JP5742733B2 - 希土類磁石の製造方法 - Google Patents

希土類磁石の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5742733B2
JP5742733B2 JP2012006165A JP2012006165A JP5742733B2 JP 5742733 B2 JP5742733 B2 JP 5742733B2 JP 2012006165 A JP2012006165 A JP 2012006165A JP 2012006165 A JP2012006165 A JP 2012006165A JP 5742733 B2 JP5742733 B2 JP 5742733B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
rare earth
earth magnet
powder
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012006165A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013145832A (ja
Inventor
宮本 典孝
典孝 宮本
一昭 芳賀
一昭 芳賀
哲也 庄司
哲也 庄司
真也 大村
真也 大村
大輔 一期崎
大輔 一期崎
真鍋 明
明 真鍋
真也 長島
真也 長島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2012006165A priority Critical patent/JP5742733B2/ja
Publication of JP2013145832A publication Critical patent/JP2013145832A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5742733B2 publication Critical patent/JP5742733B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、希土類磁石の製造方法に関するものである。
ランタノイド等の希土類元素を用いた希土類磁石は永久磁石とも称され、その用途は、ハードディスクやMRIを構成するモータのほか、ハイブリッド車や電気自動車等の駆動用モータなどに用いられている。
この希土類磁石の磁石性能の指標として残留磁化(残留磁束密度)と保磁力を挙げることができるが、モータの小型化や高電流密度化による発熱量の増大に対し、使用される希土類磁石にも耐熱性に対する要求は一層高まっており、高温使用下で磁石の保磁力を如何に保持できるかが当該技術分野での重要な研究課題の一つとなっている。車両駆動用モータに多用される希土類磁石の一つであるNd-Fe-B系磁石を取り挙げると、結晶粒の微細化を図ることやNd量の多い組成合金を用いること、保磁力性能の高いDy、Tbといった重希土類元素を添加することなどによってその保磁力を増大させる試みがおこなわれている。
希土類磁石としては、組織を構成する結晶粒(主相)のスケールが3〜5μm程度の一般的な焼結磁石のほか、結晶粒を50nm〜300nm程度のナノスケールに微細化したナノ結晶磁石があるが、中でも、上記する結晶粒の微細化を図りながら高価な重希土類元素の添加量を低減すること(フリー化)のできるナノ結晶磁石が現在注目されている。
希土類磁石の製造方法の一例を概説すると、たとえばNd-Fe-B系の金属溶湯を急冷凝固して得られた急冷薄帯(急冷リボン)を所望サイズに粉砕して原料磁粉を製作し、この磁粉を加圧成形しながら成形体とし、この成形体に磁気的異方性を付与するべく熱間塑性加工を施して希土類磁石(配向磁石)を製造する方法が一般に適用されている。
また、特許文献1には、Nd-Fe-B系合金からなる磁粉に重希土類改質合金粉末を混合もしくは被覆させた原料を、まず冷間成形して冷間成形体を製造し、この冷間成形体を熱間成形して熱間成形体を製造する、もしくは熱間成形体にさらに熱間塑性加工を施して熱間塑性加工体を製造する希土類磁石の製造方法が開示されている。この製造方法によれば、粒界相に濃化したDy等の重希土類元素を均一に分布させることができ、残留磁束密度の低下を抑制しながら保磁力を向上させることができるとしている。
ところで、上記熱間塑性加工にて希土類磁石を製造する過程においては、相互に隣接する結晶粒同士が一部磁気的に結合し、結合して相対的に大きくなった結晶粒と、結合していない相対的に小さな結晶粒が混在している。これは、原料となる磁粉が大小様々な粒径を有しており、その中で相対的に微細な磁粉は改質合金を酸化させ易く、そのために改質合金による粒界改質効果が不十分なものとなる結果、熱間塑性加工の際に隣接する結晶粒が改質が不十分な粒界相を突き破って磁気的に結合し易くなるためである。
一般に結晶粒が小さいと保磁力が高く、結晶粒が大きいと保磁力が小さくなるが、その代わりに磁化が高くなる。したがって、このように大小の粒径の結晶粒が混在してしまうと、M-Hループ(磁気ヒステリシスループ)の角部が丸みを帯びる傾向となり、このことはすなわち、磁石の角型性(角型比と言うこともできる)が悪くなることを意味している。なお、優れた角型性を有する磁石は、M-Hループが可及的に四角形に近く、したがって角部が90度に近い磁石である。
角型性が悪くなることは磁石の最大エネルギ積が小さくなることを意味しており、したがって、仮に保磁力の高い磁石であったとしても、角型性が悪い磁石はモータに適用された際に性能が不十分なものとなってしまう。
特開2010−263172号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、角型性に優れ、最大エネルギ積の高い希土類磁石を製造することのできる希土類磁石の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による希土類磁石の製造方法は、RE-T-B系の主相(RE:Nd、Pr、Yの少なくとも一種、T:Fe、Feの一部をCoで置換したもの)と、該主相の周りにある粒界相からなる磁粉のうち、粒径が50μm未満の磁粉を取り除いて選別された磁粉とし、融点が700℃以下のRE-M合金(M:遷移金属元素または典型金属元素であり、REはRE1-RE2であってもよく、RE1,RE2:Nd、Pr、Yの少なくとも一種)からなる改質合金粉をこの選別された磁粉と混合し、熱間プレス加工をおこなって成形体を製造する第1のステップ、前記成形体を熱間塑性加工して希土類磁石を製造する第2のステップからなるものである。
本発明の製造方法は、熱間プレス加工にて成形体(バルク体)を製造するに当たり、原料となる磁粉を分級し、具体的には平均粒径が50μm未満の磁粉を取り除いて原料磁粉を選別した後に、さらにこの選別された磁粉に対し、融点が700℃以下の改質合金粉を混合したものを熱間プレス加工するものである。
本発明者等によれば、粒径50μm未満の磁粉を取り除くこと、および、融点が700℃以下という低融点の改質合金を使用することにより、優れた角型性を有し、したがって最大エネルギ積の高い希土類磁石が得られることが実証されている。
結晶粒(主相)を構成する希土類元素は、Nd、Pr、Yの少なくとも一種からなるが、これに加えて、Nd、Prの中間生成物として知られるDi(ジジム)を適用することもできる。
また改質合金粉を構成する「遷移金属元素」または「典型金属元素」としては、Cu、Mn、Co、Ni、Zn、Al、Ga、Snなどのうちのいずれか一種を適用することができる。なお、改質合金粉の成分として重希土類元素を完全に排除しているわけではなく、融点700℃以下を満足する条件下で、Dy、Tb、Hoなどの重希土類元素が合金組成をなす改質合金粉を使用することもできる。
改質合金粉を形成するRE-M合金としては、Nd-Cu合金(共晶点520℃)、Pr-Cu合金(共晶点480℃)、Nd-Pr-Cu合金、Nd-Al合金(共晶点640℃)、Pr-Al合金(650℃)、Nd-Pr-Al合金、Nd-Co合金(共晶点566℃)、Pr-Co合金(共晶点540℃)、Nd-Pr-Co合金のいずれか一種を適用することができる。また、重希土類元素を含む合金として、60Nd-30Cu-10Dy合金(共晶点503℃)、50Nd-30Cu-20Dy(共晶点576℃)などを挙げることができる。
このように低融点の改質合金粉を使用して低温で溶融させることができるため、たとえば800℃程度以上の高温雰囲気下に置かれると結晶粒の粗大化が問題となるナノ結晶磁石(結晶粒径が50nm〜300nm程度)に対して、本発明の製造方法は好適である。
また、前記磁粉のうち、REの含有率が28〜32質量%の範囲にあるのが好ましい。
REの含有率が28質量%未満の場合には、熱間塑性加工の際に割れの生じる可能性が高くなり、結晶粒の配向性も低下し易くなること、REの含有率が32質量%を超える場合には、熱間塑性加工の際の加工歪が相対的に軟らかい粒界相で吸収され易く、したがって結晶粒の配向性が低下し易くなるという本発明者等の知見に基づくものである。
また、改質合金粉と選別された磁粉が混合された原料のうち、改質合金粉が1.5質量%以下の割合で混合されているのが好ましい。
改質合金粉の混合割合が1.5質量%を超えてしまうと、熱間塑性加工の際の加工歪が粒界相に吸収され易く、したがって結晶粒の配向性が低下し易くなるという本発明者等の知見に基づくものである。
さらに、第2のステップにおける熱間塑性加工を700〜800℃の範囲の温度雰囲気下でおこなうのが好ましい。
熱間塑性加工によって成形体を構成する結晶粒が回転したり、あるいは任意の結晶面ですべりが生じることで各結晶粒が容易磁化方向に配向する(いわゆるC軸配向)。熱間塑性加工が700℃未満の温度条件下でおこなわれると成形体に亀裂が生じ易く、800℃を超える温度条件下でおこなわれると結晶粒の粒成長速度が急激に速くなり過ぎ、保磁力が大きく低下し易くなるという本発明者等の知見に基づくものである。
以上の説明から理解できるように、本発明の希土類磁石の製造方法によれば、熱間プレス加工にて成形体を製造するに当たり、粒径が50μm未満の磁粉を取り除いて原料磁粉を選別し、さらにこの選別された磁粉に対して融点が700℃以下の改質合金を混合したものを熱間プレス加工して希土類磁石前駆体である成形体を製造し、この成形体に熱間塑性加工をおこなって希土類磁石(配向磁石)を製造することにより、改質合金粉が微細な磁粉で酸化されることが無くなり、したがって改質合金粉による高い粒界改質効果が得られ、結晶粒同士の磁気的な結合を抑制することができる。そのため、粒径に大きな差異がなく、粒径の揃った結晶粒からなる希土類磁石であって、角型性に優れ、最大エネルギ積の高い希土類磁石を製造することができる。
本発明の希土類磁石の製造方法の第1のステップを説明した模式図である。 図1に続いて第1のステップを説明した図である。 図2に続いて第1のステップを説明した図である。 第1のステップで製造された成形体の組織を拡大した図である。 図4のV部の拡大図であって、結晶組織のミクロ構造を示した図である。 本発明の希土類磁石の製造方法の第2のステップを説明した模式図である。 第2のステップで製造された希土類磁石の結晶組織のミクロ構造を示した図である。 磁粉の分級の有無、および分級の際の粒径に応じた角型比を検証した実験結果を示す図である。 磁粉の分級の有無、および改質合金粉の混合割合を変化させた際の角型比を検証した実験結果を示す図である。 磁粉の分級の有無、および改質合金粉の混合割合を変化させた際の磁気特性を検証した実験結果を示す図である。 磁粉の分級の有無、および改質合金粉の混合割合を変化させた際のM-Hループを示す図であり、(a)は改質合金粉がない場合の結果であり、(b)は改質合金粉を1質量%有する場合の結果である。 改質合金粉の素材を変化させた際の角型比と磁気特性を検証した実験結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の希土類磁石の製造方法の実施の形態を説明する。なお、図示例はナノ結晶磁石である希土類磁石の製造方法を説明したものであるが、本発明の希土類磁石の製造方法はナノ結晶磁石の製造に限定されるものではなく、結晶粒の相対的に大きな焼結磁石(たとえば1μm程度の粒径のもの)等の製造に適用できることは勿論のことである。
(希土類磁石の製造方法)
図1,2,3はその順で本発明の希土類磁石の製造方法の第1のステップを説明した模式図であり、図4は第1のステップで製造された成形体の組織を拡大した図であり、図5は図4のV部の拡大図であって、結晶組織のミクロ構造を示した図である。
図1で示すように、たとえば50kPa以下に減圧したArガス雰囲気の不図示の炉中で、単ロールによるメルトスピニング法により、合金インゴットを高周波溶解し、希土類磁石を与える組成の溶湯を銅ロールWに噴射して急冷薄帯B(急冷リボン)を製作し、これを粗粉砕する。
次に、急冷薄帯Bが粗粉砕されてできた磁粉を分級し、粒径(平均粒径)が50μm未満の磁粉を取り除いて磁粉の選別をおこない、選別された磁粉Qを得る。
次に、図2で示すように、選別された磁粉Qと改質合金粉Tをそれぞれ容器に所定量ずつ投入して混合し、成形体原料Rを生成する。
生成された成形体原料Rを図3で示すように超硬ダイスDとこの中空内を摺動する超硬パンチPで画成されたキャビティ内に充填し、超硬パンチPで加圧しながら(X方向)加圧方向に電流を流して通電加熱することにより、ナノ結晶組織のRE-Fe-B系の主相(RE:Nd、Pr、Yの少なくとも一種)(20nm〜200nm程度の結晶粒径)と、主相の周りにあるNd-X合金(X:金属元素)の粒界相からなる成形体Sを熱間プレス加工にて製作する(第1のステップ)。
ここで、粒界相を構成するNd-X合金は、Ndと、Co、Fe、Ga等のうちの少なくとも1種以上の合金からなり、たとえば、Nd-Co、Nd-Fe、Nd-Ga、Nd-Co-Fe、Nd-Co-Fe-Gaのうちのいずれか一種、もしくはこれらの二種以上が混在したものであって、Ndリッチな状態となっている。
一方、改質合金粉は、RE-M合金(M:遷移金属元素または典型金属元素であり、REはRE1-RE2であってもよく、RE1,RE2:Nd、Pr、Yの少なくとも一種)を素材とするものである。ここで、遷移金属元素または典型金属元素としては、Cu、Mn、Co、Ni、Zn、Al、Ga、Snなどのうちのいずれか一種を適用することができる。
中でも、合金の融点が700℃以下の低融点のRE-M合金を使用するものとし、たとえば、Nd-Cu合金(共晶点520℃)、Pr-Cu合金(共晶点480℃)、Nd-Pr-Cu合金、Nd-Al合金(共晶点640℃)、Pr-Al合金(650℃)、Nd-Pr-Al合金、Nd-Co合金(共晶点566℃)、Pr-Co合金(共晶点540℃)、Nd-Pr-Co合金のいずれか一種を適用する。
また、選別された磁粉Qにおいては、REの含有率が28〜32質量%の範囲にあるのがよい。REの含有率が28質量%未満の場合には、以後の第2のステップである熱間塑性加工の際に割れの生じる可能性が高くなり、結晶粒の配向性も低下し易くなること、REの含有率が32質量%を超える場合には、熱間塑性加工の際の加工歪が相対的に軟らかい粒界相で吸収され易く、したがって結晶粒の配向性が低下し易くなるためである。
さらに、改質合金粉Tと選別された磁粉Qが混合された成形体原料Rのうち、改質合金粉Tは1.5質量%以下の割合で混合されているのがよい。改質合金粉の混合割合が1.5質量%を超えてしまうと、熱間塑性加工の際の加工歪が粒界相に吸収され易く、したがって結晶粒の配向性が低下し易くなるためである。
図4で示す熱間プレス加工では、上記する低融点の改質合金粉Tを使用することから、700℃以下の比較的低い温度(300℃程度に共晶点のあるNd合金を使用する場合は共晶点に応じた温度でプレス加工)で熱間プレス(たとえば50〜500MPaで15秒以上保持して高密度化)をおこなうことで、改質合金粉Tを溶融させることができ、したがって、ナノ結晶磁石を構成する結晶粒の粗大化を効果的に抑制することができる。
そして、成形体Sを構成する磁粉間の磁粉界面には、改質合金粉Tが溶融してなる改質合金粉の融液T’が行き渡る。なお、この成形体Sの磁粉Qの組織のミクロ構造は、図5で示すようにナノ結晶粒MP(主相)間を粒界相BPが充満する等方性の結晶組織を呈している。
第1のステップで成形体Sが得られたら、次に、第1のステップと同様に、超硬ダイスDとこの中空内を摺動する超硬パンチPで画成されたキャビティ内に成形体Sを収容し、熱間塑性加工をおこなうことで、改質合金粉の融液T’が粒界相に粒界拡散し、保磁力の高められた希土類磁石Cが製造される(第2のステップ)。
この希土類磁石Cは、図7で示すように、熱間塑性加工によって磁気的異方性が付与され、磁化の高められた磁石となっている。
図示する希土類磁石の製造方法によれば、熱間プレス加工にて成形体を製造するに当たり、原料となる磁粉を分級して粒径が50μm未満の磁粉を取り除いて原料磁粉を選別し、この選別された磁粉に対して融点が700℃以下の改質合金粉Tを混合してなる成形体原料Rを熱間プレス加工して希土類磁石前駆体である成形体Sを製造し、この成形体Sに熱間塑性加工をおこなって希土類磁石Cを製造することにより、改質合金粉Tが微細な磁粉で酸化されることが無くなり、したがって改質合金粉による高い粒界改質効果が得られ、結晶粒同士の磁気的な結合を抑制することができる。そのため、粒径に大きな差異がなく、粒径の揃った結晶粒からなり、したがって角型性に優れ、最大エネルギ積の高い希土類磁石Cを製造することができる。
[磁粉の分級の有無、および分級の際の粒径に応じた角型比を検証した実験とその結果]
本発明者等は、磁粉の分級の有無、および分級の際の粒径に応じた角型比を検証した実験をおこなった。以下、実施例1、2の製造方法を説明するとともに比較例1〜6の製造方法を説明する。
希土類合金原料(合金組成は、質量%で、29Nd-0.2Pr-4Co-0.9B-0.6Ga-bal.Fe)を所定量配合し、Arガス雰囲気下で溶解した後、その溶湯をオリフィスからCrめっきを施したCu製の回転ロールに射出して急冷し、合金薄帯を製作した。この合金薄帯をカッターミルで粉砕した後、篩にかけないものを比較例1、3とし(比較例1は改質合金粉を有するものであり、比較例3は改質合金粉を有していないもの)、篩にかけたものはその上限を2mmとして微細側を38μmで分級したもの(比較例2は改質合金粉を有するものであり、比較例4は改質合金粉を有していないもの)、微細側を53μmで分級したもの(実施例1は改質合金粉を有するものであり、比較例5は改質合金粉を有していないもの)、微細側を74μmで分級したもの(実施例2は改質合金粉を有するものであり、比較例6は改質合金粉を有していないもの)とした。
上記各種の希土類合金粉末9gに対し、粒径が74〜250μm以下のNd-Cu合金粉末を1質量%混合し、粉末混合機にて10分間混ぜ合わせた。
次に、混合粉末をφ10mm、高さ40mmの容積の超硬型に収容し、上下の超硬パンチにて封止してこれをチャンバーにセットし、10−2Paに減圧しながら、高周波コイルで650℃まで加熱し、650℃の段階で300MPaで熱間プレス加工をおこない、その後、30秒保持して高さ15mmの成形体を製作した。
この成形体をφ20mmの超硬型に収容し、上下の超硬パンチで封止し、高周波加熱で750℃まで加熱して熱間塑性加工をおこなって実施例1,2と比較例1〜6の希土類磁石の各試験片を製作した。
実施例1,2と比較例1〜6の各試験片に対し、その中心の2×2×2.2mmを切り出し、それぞれの磁気特性を測定するとともに、M-Hループを作成してその角型比を求めた。なお、磁気特性評価は、試料振動型磁力計(Vibrating Sample Magnetometer)を用いてRTでの保磁力、磁化を測定したものである。この実験結果を以下の表1と図8に示す。
Figure 0005742733
ここで、Hcは磁束密度がゼロの際の保磁力(平均保磁力)であり、Hkは磁束密度が残留磁束密度の90%の際の保磁力であり、Hk/Hcの値が角型比となる。なお、表中の保磁力の値に79.6を乗じることで、SI単位(kA/m)の保磁力値となる。
表1および図8より、比較例1〜6に比して実施例1,2は、角型比が大きく向上し、最大エネルギ積の高い希土類磁石となっていることが実証されている。これは、53μm未満の磁粉を分級して取り除いたこと、および、Nd-Cu合金からなる改質合金粉を成形体原料として混合したためであると考えられる。この結果と分級のし易さ(μm単位ではなくて十μm単位)を考慮して、50μm未満の磁粉を分級の際の臨界値に設定するのがよいと考えられる。
[磁粉の分級の有無、および改質合金粉の混合割合を変化させた際の角型比を検証した実験とその結果]
本発明者等はさらに、磁粉の分級の有無、および改質合金粉の混合割合を変化させた際の角型比を検証した実験をおこなった。
この実験では、実質的に既述する実験と同様の方法で試験片を製作している。ただし、分級ありのものは篩の粒径を74μmとし、Nd-Cu合金の混合割合を、0質量%、0.5質量%、1質量%、1.5質量%、2質量%、3質量%、5質量%で変化させている。この実験結果を以下の表2と図9,10に示す。
Figure 0005742733
表2および図9,10より、実施例2〜4はいずれも、比較例に比して角型比と磁化の双方ともに向上することが実証されている。
たとえば、比較例9〜11では、角型比が他の比較例に比して向上するものの、実施例に比して磁化が大きく低下しており、角型比と磁化の双方をともに向上させることができていない。
具体的には、分級の有無とNd-Cu合金からなる改質合金粉の有無のみならず、改質合金粉の混合量が大きく影響し、この混合割合が1.5質量%を超えると磁化が大きく低下することが実証されている。
これは、低融点のNd-Cu合金を添加することで熱間塑性加工の際にこの合金が溶融し、加工歪を吸収するため、この合金混合量が多すぎると配向性が低下し、磁化の低下に繋がるものと考えられる。ただし、混合量が1.5質量%まではその低下の割合もわずかであり、角型比向上による効果の方が大きいことから、改質合金粉混合割合を1.5質量%以下に規定するのがよい。
また、図11aには、比較例3、6のM-Hループを、図11bには、実施例2、比較例1のM-Hループを示している。
改質合金粉を有していない図11aにおける比較例3、6では、分級の有無によって大きな角型比の変化は確認できないが、図11bより、改質合金粉を有している場合、さらに分級の有無によって比較例1に比して実施例2の角型比が大きく向上していることが確認できる。
[改質合金粉の素材を変化させた際の角型比と磁気特性を検証した実験とその結果]
本発明者等はさらに、改質合金粉の素材を変化させた際の角型比と磁気特性を検証した実験をおこなった。
本実験では、53μmの大きさの篩で分級しており、熱間塑性加工は既述の実験同様750℃でおこなっている。改質合金粉の有無や改質合金粉種の相違による実験結果を以下の表3および図12に示す。
Figure 0005742733
表3および図12より、比較例12〜14で使用する改質合金粉はそれらの融点が700℃を超えており、実施例5〜8に比して保磁力と角型比がともに格段に低くなっている。これは、熱間塑性加工時の加熱温度で改質合金粉が溶融していないために保磁力向上が図られなかったものと考えられる。
これに対し、実施例5〜8は融点700℃以下の改質合金粉を有していることから、熱間塑性加工の際に改質合金粉が十分に溶融し、粒界相が良好に改質された結果、保磁力と角型比がともに向上したものと考えられる。なお、比較例で使用した各改質合金粉の融点温度で熱間塑性加工をおこなうと、今度は結晶粒の粗大化が問題となり、この粗大化によって保磁力の大きな向上を見込むことはできない。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
W…銅ロール、B…急冷薄帯(急冷リボン)、Q…選別された磁粉、T…改質合金粉、T’…改質合金粉の融液、R…成形体原料、D…超硬ダイス、P…超硬パンチ、S…成形体、C…希土類磁石(配向磁石)、MP…主相(ナノ結晶粒、結晶粒)、BP…粒界相

Claims (6)

  1. RE-T-B系の主相(RE:Nd、Pr、Yの少なくとも一種、T:Fe、Feの一部をCoで置換したもの)と、該主相の周りにある粒界相からなる磁粉のうち、粒径が50μm未満の磁粉を取り除いて選別された磁粉とし、融点が700℃以下のRE-M合金(M:遷移金属元素または典型金属元素であり、REはRE1-RE2であってもよく、RE1,RE2:Nd、Pr、Yの少なくとも一種)からなる改質合金粉をこの選別された磁粉と混合し、熱間プレス加工をおこなって成形体を製造する第1のステップ、
    前記成形体を熱間塑性加工して希土類磁石を製造する第2のステップからなる希土類磁石の製造方法。
  2. 前記磁粉のうち、REの含有率が28〜32質量%の範囲にある請求項1に記載の希土類磁石の製造方法。
  3. 改質合金粉と選別された磁粉が混合された原料のうち、改質合金粉が1.5質量%以下の割合で混合されている請求項1または2に記載の希土類磁石の製造方法。
  4. 熱間塑性加工を700〜800℃の範囲の温度雰囲気下でおこなう請求項1〜3のいずれかに記載の希土類磁石の製造方法。
  5. RE-M合金のMが、Cu、Mn、Co、Ni、Zn、Al、Ga、Snのいずれか一種である請求項1〜4のいずれかに記載の希土類磁石の製造方法。
  6. RE-M合金としてNd-Cu合金、Pr-Cu合金、Nd-Pr-Cu合金、Nd-Al合金、Pr-Al合金、Nd-Pr-Al合金、Nd-Co合金、Pr-Co合金、Nd-Pr-Co合金のいずれか一種を使用する請求項1〜5のいずれかに記載の希土類磁石の製造方法。
JP2012006165A 2012-01-16 2012-01-16 希土類磁石の製造方法 Expired - Fee Related JP5742733B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012006165A JP5742733B2 (ja) 2012-01-16 2012-01-16 希土類磁石の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012006165A JP5742733B2 (ja) 2012-01-16 2012-01-16 希土類磁石の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013145832A JP2013145832A (ja) 2013-07-25
JP5742733B2 true JP5742733B2 (ja) 2015-07-01

Family

ID=49041475

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012006165A Expired - Fee Related JP5742733B2 (ja) 2012-01-16 2012-01-16 希土類磁石の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5742733B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106816253A (zh) * 2017-01-06 2017-06-09 北京工业大学 一种Mn‑Ga合金磁硬化的方法

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103971875B (zh) * 2014-05-15 2017-02-22 聊城大学 一种镁铜晶界改性高磁性烧结钕铁硼磁体及其制备工艺
CN108281272A (zh) * 2018-01-16 2018-07-13 宁波招宝磁业有限公司 一种低成本高性能烧结钕铁硼磁体的制备方法
CN109411226A (zh) * 2018-10-23 2019-03-01 宁波同创强磁材料有限公司 一种提高钕铁硼磁体耐高温性能和超低失重的制备工艺

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3405806B2 (ja) * 1994-04-05 2003-05-12 ティーディーケイ株式会社 磁石およびその製造方法
JPH09275004A (ja) * 1995-07-07 1997-10-21 Daido Steel Co Ltd 永久磁石とその製造方法
JP2007129106A (ja) * 2005-11-04 2007-05-24 Neomax Co Ltd 希土類合金系バインダレス磁石およびその製造方法
JP5532745B2 (ja) * 2009-08-21 2014-06-25 大同特殊鋼株式会社 磁気異方性磁石及びその製造方法
JP2010263172A (ja) * 2008-07-04 2010-11-18 Daido Steel Co Ltd 希土類磁石およびその製造方法
JP2010180426A (ja) * 2009-02-03 2010-08-19 Hitachi Metals Ltd R−t−b系永久磁石の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106816253A (zh) * 2017-01-06 2017-06-09 北京工业大学 一种Mn‑Ga合金磁硬化的方法
CN106816253B (zh) * 2017-01-06 2018-07-13 北京工业大学 一种Mn-Ga合金磁硬化的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013145832A (ja) 2013-07-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6003920B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
JP5640954B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
JP5692231B2 (ja) 希土類磁石の製造方法、及び希土類磁石
JP5725200B2 (ja) 希土類磁石
JP5120710B2 (ja) RL−RH−T−Mn−B系焼結磁石
JP2013149862A (ja) 希土類磁石の製造方法
JP5751237B2 (ja) 希土類磁石とその製造方法
JP5915637B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
JP5708242B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
JP5691989B2 (ja) 希土類磁石前駆体の焼結体を形成する磁性粉体の製造方法
JP2016111136A (ja) 希土類磁石
CN105849828A (zh) 制造稀土磁体的方法
JP2013084802A (ja) 希土類磁石前駆体の焼結体とこれを形成する磁性粉末の製造方法
JP2013197414A (ja) 焼結体とその製造方法
JP5742733B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
JP6274068B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
JP2019179796A (ja) 希土類磁石及びその製造方法
JP6313202B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
EP3007192A1 (en) Method for manufacturing rare-earth magnets
JP6642419B2 (ja) 希土類磁石
JP6447804B2 (ja) 磁石用成形体の製造方法
JP2013157345A (ja) 希土類磁石の製造方法
JP2013138111A (ja) 希土類磁石の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140213

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20141119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150106

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150407

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150420

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5742733

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees