JP7017757B2 - 希土類永久磁石 - Google Patents

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本発明は、希土類永久磁石に関する。
希土類磁石はその高磁気特性から年々生産量を伸ばしており、各種モータ用、各種アクチュエータ用、MRI装置用など様々な用途に使用されている。
例えば、特許文献1に記載のSmFe17金属間化合物を主相とする磁石材料は、室温で非常に高い保磁力を得ている。また、非特許文献1には、放電プラズマ焼結法(SPS法)により得られる密度90%超であるSmFe17金属間化合物を主相とする磁石が記載されており、非常に高い保磁力を得ている。
しかしながら、SmFe17金属間化合物を主相とする永久磁石は、NdFe14B金属間化合物を主相とする永久磁石と比較して磁化が小さいという欠点がある。
特許文献2に記載の永久磁石材料の結晶粒は主成分の組成がSmFe17系であり、前記結晶粒は異方性の薄片状結晶粒である。しかし、現在ではさらに高い磁気特性を有する永久磁石が求められている。
特開2008-133496号公報 中国特許出願公開第105679579号明細書
Materials Science and Engineering 1(2009)012032
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、残留磁束密度および保磁力が高い希土類永久磁石を得ることを目的とする。
本発明は、RおよびTを含む希土類永久磁石であって、
RはSmを必須とする希土類元素、TはFe単独またはFeおよびCoであり、
前記希土類永久磁石は、NdFe17型結晶構造を有する結晶粒子を主相として含み、前記結晶粒子の少なくとも一部が扁平な形状を有する扁平粒子であり、
前記結晶粒子の長径の頻度分布を測定した場合に累積頻度10%以上90%以下である結晶粒子における平均長径が300nm超であることを特徴とする。
本発明に係る希土類永久磁石は、上記の特徴を有することにより、磁気特性、すなわち残留磁束密度Brおよび保磁力HcJが優れた希土類永久磁石となる。
本発明に係る希土類永久磁石は、全ての前記結晶粒子の平均アスペクト比が1.6以上であってもよい。
本発明に係る希土類永久磁石は、RとしてさらにPrおよび/またはNdを含有してもよく、R全体に対するSmの含有割合が50at%以上99at%以下であってもよく、PrおよびNdの合計含有割合が1at%以上50at%以下であってもよい。
本発明に係る希土類永久磁石は、前記結晶粒子間の粒界においてR濃縮部が存在してもよく、任意の断面における前記R濃縮部の面積比率が3%以上20%以下であってもよい。
本発明に係る希土類永久磁石は、さらにCを含有し、Cの含有割合が0at%超15at%以下であってもよい。
本発明を実施するための実施形態につき、詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
本実施形態に係る希土類永久磁石は、NdFe17型結晶構造(空間群P6/mcm)を有する結晶粒子を主相とする。なお、本実施形態では主相とは希土類永久磁石全体に対して70vol%以上を占める部分のことを指す。
本実施形態に係る希土類永久磁石は、上記のNdFe17型結晶構造も含まれるR17型結晶構造を有する結晶粒子(以下、R17型結晶粒子ともいう)以外の結晶粒子を副相として含んでもよい。例えば、RT型結晶構造、RT型結晶構造、R型結晶構造、RT型結晶構造、RT型結晶構造、R17型結晶構造、RT12型結晶構造などの結晶構造を有する結晶粒子が挙げられる。本実施形態に係る希土類永久磁石がどのような結晶構造を含むかについては、例えばX線回折法(XRD)を用いて確認することができる。
本実施形態に係る希土類永久磁石では、R17型結晶粒子の少なくとも一部が扁平な形状を有する扁平粒子である。R17型結晶構造を有し、扁平な形状を有する結晶粒子は、長径方向が磁化容易軸の方向と実質的に一致する。
さらに、本実施形態に係る希土類永久磁石におけるR17型結晶粒子は従来のR17型結晶粒子よりも粗大である。具体的には、R17型結晶粒子の長径の頻度分布を測定した場合に累積頻度10%以上90%以下であるR17型結晶粒子における平均長径が300nm超である。
少数の非常に小さいR17型結晶粒子および非常に大きいR17型結晶粒子が本実施形態の希土類永久磁石の磁気特性に与える影響は相対的に小さい。しかし、少数の非常に小さいR17型結晶粒子および非常に大きいR17型結晶粒子がR17型結晶粒子の平均長径に与える影響は相対的に大きい。すなわち、長径の頻度分布において累積頻度10%以上90%以下であるR17型結晶粒子のみで平均長径を算出するのは、少数の非常に小さい結晶粒子および非常に大きい結晶粒子を考慮しないことで、平均長径と磁気特性との関係がより明確になるためである。
17型結晶粒子の長径の頻度分布を測定した場合に累積頻度10%以上90%以下であるR17型結晶粒子における平均長径は305nm以上であることが好ましく、500nm超であることがさらに好ましく、502nm以上であることがさらに好ましい。また、上記の平均長径に上限はないが、例えば2000nm以下としてもよく、1500nm以下とすることが好ましく、1053nm以下とすることがさらに好ましい。平均長径が大きいことにより、得られる希土類永久磁石の保磁力が向上する。なお、R17型結晶粒子が扁平粒子ではない場合には長径と短径とが等しいとする。
17型結晶粒子の短径の頻度分布を測定した場合に累積頻度10%以上90%以下であるR17型結晶粒子における平均短径は任意であるが、例えば190nm以上としてもよい。
さらに、R17型結晶粒子全体に対する長径が300nm超であるR17型結晶粒子の個数割合が60%以上であることが好ましい。長径が長い結晶粒子の個数割合が大きいことで、さらに磁気特性が向上しやすくなる。
さらに、本実施形態に係る希土類永久磁石では、上記の扁平粒子における長径の向きが概ね揃っている。この結果、本実施形態に係る希土類永久磁石は、異方性希土類永久磁石となり、磁化容易軸方向における残留磁束密度Brおよび保磁力HcJが優れた磁石となる。
本実施形態に係る希土類永久磁石はRおよびTを含む。RはSmを必須とする希土類元素である。本実施形態に係る希土類永久磁石におけるRの含有割合は任意であるが、20.0at%以上37.1at%であってもよい。本実施形態に係る希土類永久磁石について、Rに占めるSmの割合は多い方が好ましく、希土類永久磁石全体におけるR全体に対するSmの含有割合は好ましくは50at%以上である。
また、RとしてPrおよび/またはNdを含んでもよい。Pr3+およびNd3+の有効磁気モーメントがSm3+の有効磁気モーメントよりも大きいため、PrまたはNdを含有すると残留磁束密度が向上する傾向がある。さらに、PrまたはNdは低保磁力成分である副相の生成を抑制する効果が得られる。ただし、Rに占めるPrおよびNdの合計含有割合が大きすぎると結晶磁気異方性が減少するとともに、低保磁力成分である副相が生成しやすくなり、保磁力HcJが低下しやすくなる。
したがって、R全体に対するSmの含有割合が50at%以上99at%以下であることが好ましく50at%以上97at%以下であることがさらに好ましい。PrおよびNdの合計含有割合が1at%以上50at%以下であることが好ましく、3at%以上50at%以下であることがさらに好ましい。また、本実施形態に係る希土類永久磁石の磁気特性に大きな影響を与えない範囲でSm,PrおよびNd以外の希土類元素をRとして含んでもよい。Sm,PrおよびNd以外の希土類元素の含有量は、例えば5at%以下である。
本実施形態に係る希土類永久磁石におけるTの含有割合は任意であるが、47.9at%80.0at%以下であってもよい。TはFe単独またはFeおよびCoである。また、T全体に対するCoの含有割合は任意であるが、0at%以上20at%以下としてもよい。Coの含有割合が小さいほど高保磁力となる傾向にある。また、Coの含有割合が大きいほど高磁化となり、高残留磁束密度となる傾向にある。
本実施形態に係る希土類永久磁石はCを含んでもよく、Cを含むことで保磁力HcJが向上する傾向にある。保磁力HcJが向上する理由は不明であるが、希土類永久磁石がCを含むことで、結晶粒子間の粒界においてRの濃度がR17型結晶構造を有する結晶粒子よりも高いR濃縮部が形成されやすくなるためであると本発明者らは考えている。そして、R濃縮部が非磁性相であり磁気分離効果が高いため、希土類永久磁石の保磁力HcJが向上すると本発明者らは考えている。本実施形態に係る希土類永久磁石がCを含む場合には0at%超15at%以下とすることが好ましい。
本実施形態に係る希土類永久磁石は、上記のR,TおよびC以外の元素を実質的に含まないことが好ましい。R,TおよびC以外の元素を実質的に含まないとは、希土類永久磁石全体に対するR,TおよびC以外の元素の含有割合が3at%以下である場合を指す。その他の元素の種類としては、例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge、Cu、Znなどが挙げられる。また、侵入元素もその他の元素として含んでもよく、N、H、Be、Pの1種以上からなる元素とする。
なお、本実施形態に係る希土類永久磁石全体の組成比の分析にはICP質量分析法が用いられる。また、必要に応じて酸素気流中燃焼-赤外線吸収法を併用してもよい。
以下、本実施形態に係る希土類永久磁石の製造方法の好適な例について説明する。
本実施形態に係る希土類永久磁石のうち、特に異方性の希土類永久磁石は、例えば、等方性の希土類永久磁石を熱間加工することにより得ることができる。
等方性の希土類永久磁石の製造方法は任意であり、ブックモールド法、ストリップキャスト法、超急冷凝固法、蒸着法、HDDR法などを適宜組み合わせて製造することができる。以下、超急冷凝固法による製造方法の一例について説明する。
超急冷凝固法には、具体的には、単ロール法、双ロール法、遠心急冷法、ガスアトマイズ法等の種類が存在するが、単ロール法を用いることが好ましい。単ロール法では、合金溶湯をノズルから吐出して冷却ロール周面に衝突させることにより、合金溶湯を急速に冷却し、薄帯状または薄片状の急冷合金を得る。単ロール法は、他の超急冷凝固法に比べ、量産性が高く、急冷条件の再現性が良好である。
原料として、まず、所望の組成比を有する合金インゴットを準備する。原料合金は、RおよびTなどを含む原料金属を不活性ガス、好ましくはAr雰囲気中でアーク溶解等の溶解法により溶解させることで作製することができる。
上記方法で作製された合金インゴットから、超急冷凝固法により、急冷薄帯を作製する。超急冷凝固法としては、例えば上記の合金インゴットをスタンプミルなどにより小片化して小片を得て、得られた小片をAr雰囲気中で高周波溶解して溶湯を得て、得られた溶湯を高速で回転している冷却ロール上に吐出して急冷凝固させるメルトスピン法を用いることができる。冷却ロールで急冷された溶湯は、薄帯状に急冷凝固された急冷薄帯になる。
なお、小片化する方法はスタンプミルに限定されない。高周波溶解時の雰囲気はAr雰囲気に限定されない。冷却ロールの回転速度は任意である。例えば10m/s以上100m/s以下としてもよい。冷却ロールの材質は任意であり、例えば冷却ロールとして銅ロールを用いてもよい。
次に、得られた急冷薄帯を熱処理することでR17型結晶構造を有する結晶粒子を生成させる。熱処理時の加熱速度および冷却速度は任意である。例えば0.01℃/s以上30℃/s以下としてもよい。熱処理は1段階で行ってもよく、多段階で行ってもよい。熱処理時の保持温度は任意であるが、R17型結晶構造を有する結晶粒子が熱分解しない範囲で高いほど結晶粒子の粒径が大きくなり、最終的に得られる異方性希土類永久磁石における上記の平均長径が大きくなる。熱処理時の保持温度は例えば575℃以上800℃以下としてもよい。保持時間は任意であるが、R17型結晶構造を有する結晶粒子の粒径を十分に大きくする必要があるため、例えば48時間以上120時間以下としてもよい。
次に、熱処理後の急冷薄帯を粗粉砕し、粒径が数十~数百μm程度の粗粉末にする。粗粉砕の方法は任意である。例えば乳鉢を用いてもよい。なお、粗粉末に含まれる個々の粒子は、それぞれ多数のR17型結晶構造を有する結晶粒子が凝集している構造となっている。
そして、粗粉末を金型に充填して加圧しながら低温焼結する工程を経ることで緻密化したバルク体を得ることができる。このバルク体が等方性希土類永久磁石である。加圧時の圧力は任意であるが、例えば1MPa以上1GPa以下としてもよい。また、低温焼結の方法は任意である。通電焼結、放電プラズマ焼結、高周波加熱焼結、HIP(熱間静水圧加圧焼結)などが挙げられる。低温焼結の温度および時間は任意である。例えば500℃以上700℃以下で0.01時間以上1時間以下とすることができる。
なお、主に主相となる結晶粒子を形成する合金インゴットおよび主に粒界を形成する合金インゴットの二種類の合金インゴットを準備し、二種類の急冷薄帯を得てもよい。二種類の急冷薄帯を用いる2合金法とする場合には、粗粉砕時、または、粗粉砕後加圧前に混合することが好ましい。2合金法を用いることで、粒界を増やすことができ、R濃縮部を増やすことができる。さらに、2合金法を用いる場合には、各粗粉末を加圧する前に被覆してもよい。
また、上記の熱処理工程を行わず、非晶質の急冷薄帯を粗粉砕してもよい。その後、非晶質の粗粉末に対して熱処理および加圧を行うことで結晶化と緻密化とを同時に行ってもよい。
以下、熱間加工について説明する。
本実施形態に係る異方性の希土類永久磁石は、上記の等方性の希土類永久磁石に対して熱間加工を行うことで、加圧および加熱により等方性の希土類永久磁石を塑性変形させて得ることができる。
熱間加工の方法は任意である。例えば、熱間圧縮(ダイアップセット)、熱間押出し、熱間鍛造、熱間圧延などが挙げられる。
熱間加工時の熱間加工温度は任意である。例えば600℃以上800℃以下とすることができる。しかし、熱間加工温度が高すぎるとR17型結晶粒子が熱分解してしまい、残留磁束密度Brおよび保磁力HcJが著しく低下する。
Smの一部をNdおよび/またはPrに置換する場合には、熱間加工温度を比較的高温にしてもR17型結晶粒子が熱分解しにくい。その結果、平均アスペクト比を大きくしやすくなり、好適な残留磁束密度Brおよび保磁力HcJを得ることができる。
熱間加工により、一つ一つの結晶粒子が加圧方向に潰れる。また、一部の結晶粒子は加圧方向に対して垂直に粒成長する。この結果、各結晶粒子が扁平形状となる。そして、加圧方向に平行な断面をTEMなどで観察する場合において、長径方向が加圧方向に垂直な方向に概ね揃った結晶粒子が観察される。なお、結晶粒子の長径および短径は、磁石断面における結晶粒子を長方形で囲んだときの最小長方形(外接長方形)の長辺の長さおよび短辺の長さである。また、結晶粒子の長径方向とは、前記結晶粒子の外接長方形の長辺の方向である。なお、加圧方向に平行な断面における観察領域の大きさは任意であるが、少なくとも200個の結晶粒子が観察できる大きさとする。
当該観察領域においてR濃縮部の面積比率が3%以上20%以下であることが好ましい。R濃縮部の面積が上記の範囲内であることにより、さらに磁気特性を高めることができる。なお、R濃縮部の面積比率は、熱間加工温度を高くするほど大きくなる傾向がある。
また、本実施形態におけるR17型結晶粒子のアスペクト比(長径の長さ/短径の長さ)は任意である。加圧方向に平行な断面における各R17型結晶粒子のアスペクト比を平均した平均アスペクト比が1.6以上であることが好ましく、1.9以上であることがさらに好ましい。なお、平均アスペクト比の計算は、観察領域内にある全てのR17型結晶粒子について長径の頻度分布を測定し、累積頻度10%以上90%以下であるR17型結晶粒子におけるアスペクト比を算出して平均する。
以上、本実施形態に係る希土類永久磁石の製造方法の一例について説明したが、希土類永久磁石の製造方法は任意である。また、本実施形態に係る希土類永久磁石の用途も任意である。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実験例1)
まず、Sm,Pr,Nd,Feおよび/またはCの単体または合金からなる原料を準備した。得られる希土類永久磁石(急冷薄帯)の組成が下表1に示す組成となるように各原料を配合し、Ar雰囲気中、アーク溶解することで合金インゴットを作製した。次にスタンプミルを用いて当該合金インゴットを小片化して小片を得た。次に当該小片を50kPaのAr雰囲気で高周波溶解して溶湯を得た。
次に、当該溶湯から単ロール法にて急冷薄帯を得た。具体的には、当該溶湯を周速40m/sで回転させた冷却ロール(銅ロール)に吐出して急冷薄帯を得た。
次に、得られた急冷薄帯を熱処理した。具体的には、下表に示す保持温度まで加熱し、下表に示す保持時間で加熱した後、冷却した。2段階で熱処理を行っている実験例では、1段階目の短時間での熱処理が終了した後に2段階目の保持温度まで冷却してから2段階目の長時間の熱処理を行った。加熱速度は全て10℃/s、冷却速度は全て10℃/sとした。
次に、乳鉢を用いて得られた急冷薄帯を粗粉砕し、粒径が数十から100μm程度の粗粉末を得た。なお、この粒径は粗粉末の粒径であり、粗粉末に含まれる結晶粒子の粒径ではない。
次に、粗粉末を金型に充填し、加圧しながら通電焼結することでバルク体(等方性希土類永久磁石)を得た。加圧時の圧力50MPaとし、通電焼結は600℃で0.1時間行った。
次に、比較例1および比較例3を除いて等方性のバルク体に対して熱間加工を行い、異方性の希土類永久磁石を得た。熱間加工は熱間圧縮(ダイアップセット)により等方性のバルク体を塑性変形させることで行った。また、熱間加工時の温度および熱間加工率を下表に示した。なお、熱間加工率とは熱間加工前の等方性のバルク体の高さを100%としたときに、熱間加工中に変形して減った高さの割合である。
その後、得られた希土類永久磁石を3.0mm×3.0mm×1.5mmに加工した各実験例の希土類永久磁石について、各種パラメータを測定した。なお、比較例1および比較例3以外では、熱間加工時の圧縮方向に平行な辺が長さ1.5mmの辺となるようにした。
<磁石組成>
磁石組成のうち希土類元素および遷移金属元素の含有割合はICP質量分析法により測定した。なお、1合金法で作製した実験例1での各磁石組成は合金インゴットの組成と実質的に同一であった。
<結晶粒子および粒界の特定>
希土類永久磁石を熱間加工時の圧縮方向に垂直な任意の断面(比較例1および比較例3では任意の断面)で切断し、TEM-EDSにて組成マッピングを行うことで特定した。RおよびFeが原子数比でおよそ5:17の比率で観察される箇所をNdFe17型結晶粒子とし、二つ以上のNdFe17型結晶粒子間に存在する箇所を粒界とした。なお、観察領域の大きさは結晶粒子が少なくとも200個以上観察される大きさとした。
TEM-EDSを用いて断面の組成マッピングを行い、TEM画像中の結晶粒子および粒界等を区別した。
<R濃縮部面積比率>
組成マッピングにおいて、Rの濃度が結晶粒子よりも高い粒界の部分をR濃縮部とし、断面積を測定した。結果を下表に示す。
<平均長径、平均短径>
上記の観察領域における全てのNdFe17型結晶粒子の長径および短径の長さを測定した。具体的には、各結晶粒子を長方形で囲んだときの最小長方形(外接長方形)における長い方の辺の長さを長径、短い方の辺の長さを短径とした。そして、長径の頻度分布を確認し、累積頻度10%以上90%以下である結晶粒子における平均長径を算出した。さらに、短径の頻度分布を確認し、累積頻度10%以上90%以下である結晶粒子における平均短径を算出した。また、全ての実施例において、R17型結晶粒子全体に対する長径が300nm超であるR17型結晶粒子の個数割合が60%以上であることを確認した。
<結晶粒子の平均アスペクト比>
上記の観察領域における全てのNdFe17型結晶粒子の長径および短径の長さを測定した。そして、各結晶粒子についてアスペクト比、すなわち(長径の長さ/短径の長さ)を測定した。各結晶粒子のアスペクト比を平均することで、平均アスペクト比を算出した。結果を下表に示す。
<磁気特性、異方性>
磁気特性(残留磁束密度Brおよび保磁力HcJ)は物理特性測定装置(PPMS)を用いて試料振動型磁力計測定(VSM測定)を行うことで測定した。なお、比較例1および比較例3以外の異方性の希土類永久磁石では、BrおよびHcJは熱間加工時の圧縮方向に垂直な方向で測定した。結果を下表に示す。なお、Brは4.5kG以上を良好とし、5.0kG以上をさらに良好とした。HcJは20kOe以上を良好とし、25kOe以上をさらに良好とした。
また、異方性の有無を確認し、熱間加工を行わなかった比較例1および比較例3以外の実施例および比較例は全て異方性を有することを確認した。異方性の有無は、熱間加工時の圧縮方向に垂直な方向での磁気特性と熱間加工時の圧縮方向に平行な方向での磁気特性とを比較することで判断した。
比較例1および比較例3以外の結晶粒子の形状が扁平形状であることは、異方性の希土類永久磁石を熱間加工時の圧縮方向に平行な任意の断面でも切断し、熱間加工時の圧縮方向に垂直な任意の断面および熱間加工時の圧縮方向に平行な任意の断面のそれぞれをTEMで観察した結果より確認した。
Figure 0007017757000001
NdFe17型結晶粒子の平均長径が300nm超である各実施例は磁気特性が優れていた。特にNdFe17型結晶粒子の平均長径が500nm超である各実施例は残留磁束密度Brが特に優れていた。また、NdFe17型結晶粒子の平均長径が1500nm以下である場合には保磁力HcJが特に優れていた。
これに対し、熱処理時間が合計1時間と短い比較例1および比較例2では、結晶粒子自体の粒成長が不足するため、結晶粒子自体が小さい。そして、熱間加工の有無に関わらずNdFe17型結晶粒子の平均長径が300nm以下である。その結果、比較例1および比較例2は残留磁束密度Brが十分ではなかった。
比較例3と実施例1は熱間加工の有無以外は同条件で実施している。熱間加工を行った結果、平均長径が大きくなり300nmを超えた実施例1は磁気特性が優れた結果となった。これに対し、熱間加工を行わず平均長径が300nm以下であった比較例3は残留磁束密度Brが十分ではなかった。
比較例4は熱間加工温度を上昇させた点以外は実施例1と同条件で実施している。比較例4では、熱間加工温度が高すぎるためにNdFe17型結晶構造を有する結晶粒子の多くが熱間加工中に分解して2-17相や1-3相が生成した。その結果、NdFe17型結晶構造を有する結晶粒子が主相ではなくなり、残留磁束密度Brおよび保磁力HcJが著しく低下した。また、比較例5についても、比較例4と同様、熱間加工温度が高すぎるためにNdFe17型結晶構造を有する結晶粒子の分解が進み、NdFe17型結晶構造を有する結晶粒子が主相ではなくなり、残留磁束密度Brおよび保磁力HcJが著しく低下した。
(実験例2)
実験例2では、主相用の急冷薄帯として実施例2で用いた急冷薄帯を準備し、粒界相用の急冷薄帯として(Sm0.8Pr0.270.0Cu30.0合金(原子数比)からなる急冷薄帯を準備した。そして、主相用の急冷薄帯を粗粉砕して得た主相用粗粉末と粒界相用の急冷薄帯を粗粉砕して得た粒界相用粗粉末とを混合した。最終的に得られる磁石組成が下表2に記載の組成となるように主相用粗粉末と粒界相用粗粉末とを適宜混合した。なお、表2に記載の熱処理条件は主相用の急冷薄帯の熱処理条件であり、粒界相用の急冷薄帯は熱処理せずに粗粉砕し、主相用粗粉末と混合した。上記の2合金法で行う点以外は実験例1の実施例2と同条件で異方性の希土類永久磁石を作製した結果を下表2に示す。
Figure 0007017757000002
表2より、粒界相合金として(Sm0.8Pr0.270.0Cu30.0合金を用いる2合金法にて行った実施例21~23は1合金法にて行った実施例2と比較して粒界相の面積比率が大きくなり、R濃縮部の面積比率が大きくなった。そして、残留磁束密度Brおよび保磁力HcJが実施例2よりも優れた結果となった。

Claims (5)

  1. RおよびTを含む希土類永久磁石であって、
    RはSmを必須とする希土類元素、TはFe単独またはFeおよびCoであり、
    前記希土類永久磁石は、NdFe17型結晶構造を有する結晶粒子を主相として含み、前記結晶粒子の少なくとも一部が扁平な形状を有する扁平粒子であり、
    前記結晶粒子の長径の頻度分布を測定した場合に累積頻度10%以上90%以下である結晶粒子における平均長径が300nm超である希土類永久磁石。
  2. 前記結晶粒子の平均アスペクト比が1.6以上である請求項1に記載の希土類永久磁石。
  3. RとしてさらにPrおよび/またはNdを含有し、
    R全体に対するSmの含有割合が50at%以上99at%以下であり、PrおよびNdの合計含有割合が1at%以上50at%以下である請求項1または2に記載の希土類永久磁石。
  4. 前記結晶粒子間の粒界においてR濃縮部が存在し、
    任意の断面における前記R濃縮部の面積比率が3%以上20%以下である請求項1~3のいずれかに記載の希土類永久磁石。
  5. さらにCを含有し、Cの含有割合が0at%超15at%以下である請求項1~4のいずれかに記載の希土類永久磁石。
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堀田龍、渡辺文也、齋藤哲治,「急冷凝固法および熱間加工法によるSm5Fe17系磁石の作成」,希土類,日本希土類学会,2018年05月08日,No.72,p.66-67

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