JP5705950B2 - 半導体発光素子 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、半導体発光素子に関する。
近年、GaN系の半導体を用いた青色や緑色の発光ダイオードの研究開発が進んでいる。FU(Face Up)型すなわち成長基板とは反対側から光を取り出す構造の発光ダイオードにおいては、p型GaNコンタクト層上の導電層として、例えばITO(Indium Tin Oxide)が用いられている。このような導電層には、体積抵抗率及びコンタクト抵抗などの電気的特性が良好であることと、加工性が良好であることと、が求められる。
特開2007−149966号公報
本発明の実施形態は、電気的特性が良好で加工性が良好な電極を有する半導体発光素子を提供する。
本発明の実施形態によれば、導電層と、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層と、前記導電層と前記第1半導体層との間に設けられた発光部と、前記発光部と前記導電層との間に設けられ窒化物半導体を含み第2導電形の第2半導体層と、を備えた半導体発光素子が提供される。前記導電層は、前記発光部から放出される光に対して透過性を有する。前記導電層は、多結晶を含む。前記導電層は、第1導電領域と、前記第1導電領域と前記第2半導体層との間に設けられた第2導電領域と、を含む。前記第2導電領域に含まれる粒界どうしの間隔は、前記第1導電領域に含まれる粒界どうしの間隔よりも小さく150ナノメートル以下である。前記第2導電領域の前記第1半導体層から前記第2半導体層に向かう方向に沿う長さは、前記第1導電領域の前記方向に沿う長さよりも短い。
実施形態に係る半導体発光素子を示す模式的断面図である。 図2(a)〜図2(c)は、実施形態に係る半導体発光素子の一部を示す模式的断面図である。 図3(a)〜図3(c)は、実施形態に係る半導体発光素子の一部を示す模式的断面図である。 図4(a)〜図4(c)は、透明導電膜の顕微鏡写真像である。 図5(a)〜図5(c)は、半導体発光素子の特性を示すグラフ図である。 実施形態に係る半導体発光素子の特性を例示するグラフ図である。 実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を例示するフローチャート図である。 図8(a)〜図8(c)は、実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。 実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的断面図である。 実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的断面図である。
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(実施の形態)
図1は、実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図1に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110は、第1導電形の第1半導体層10と、第2導電形の第2半導体層20と、発光部30と、第1導電層51と、第2導電層52と、を備える。
発光部30は、第1半導体層10と第2半導体層20との間に設けられる。
第1導電層51は、多結晶を含む。第1導電層51は、発光部30から放出される光に対して透過性を有する。
第2導電層52は、第2半導体層20と第1導電層51との間において第2半導体層20と第1導電層51とに接する。第2導電層52は、多結晶を含む。第2導電層52は、上記の光に対して透過性を有する。
すなわち、第1半導体層10の上に発光部30が設けられる。発光部30の上に第2半導体層20が設けられる。第2半導体層20の上に第2導電層52が設けられる。第2導電層52の上に第1導電層51が設けられる。
第1導電層51及び第2導電層52は、透明電極50に含まれる。
例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。ただし、実施形態はこれに限らず、第1導電形がp形であり、第2導電形がn形でも良い。以下では、第1導電形がn形であり、第2導電形がp形である場合として説明する。
ここで、第1半導体層10から第2半導体層20に向かう方向をZ軸(第1軸)とする。Z軸に対して垂直な1つの軸をX軸(第2軸)とする。Z軸とX軸とに対して垂直な軸をY軸(第3軸)とする。
第1半導体層10、第2半導体層20、及び、発光部30は、例えば、窒化物半導体を含む。
図1に表したように、半導体発光素子110は、基板5と、バッファ層6と、をさらに備えることができる。基板5と発光部30との間に第1半導体層10が配置される。基板5と第1半導体層10との間にバッファ層6が配置される。
基板5には、例えばサファイアからなる基板が用いられる。基板5の主面は、(0001)面、すなわち、c面とされる。基板5の主面は、(0001)面に対して例えば5度以下の角度で傾斜していても良い。バッファ層6には、例えばAlx0Ga1−x0N(0≦x0≦1)層が用いられる。
第1半導体層10は、例えば、第1n側層11と、第2n側層12と、を含む。第2n側層12は、第1n側層11と発光部30との間に設けられる。第1n側層11は、n形コンタクト層として機能する。第2n側層12は、n形ガイド層として機能する。第1n側層11には、例えば高濃度でn形の不純物(例えばシリコンなど)が添加されたGaN層などが用いられる。第2n側層12には、例えば第1n側層11よりも低濃度でn形の不純物が添加されたGaN層などが用いられる。
第2半導体層20は、第1p側層21と、第2p側層22と、を含む。第1p側層21は、第2p側層22と発光部30との間に設けられる。第1p側層21は、例えば電子オーバーフロー防止層(抑制層)として機能する。第2p側層22は、p形コンタクト層として機能する。第1p側層21には、例えば、p形の不純物(例えばマグネシウム)が添加されたAlGaN層などが用いられる。第2p側層22には、p形不純物が高濃度で添加されたGaN層などが用いられる。
半導体発光素子110は、第1電極70と、第2電極80と、をさらに備える。第1電極70は、第1半導体層10(具体的には、n形コンタクト層である第1n側層11)に電気的に接続される。第2電極80は、例えば、透明電極50に電気的に接続される。
第2電極80は、透明電極50を介して、第2半導体層20(具体的には、p形コンタクト層である第2p側層22)に電気的に接続される。
本具体例では、第2電極80は、第2半導体層20(具体的にはp側コンタクト層である第2p側層22)の上に設けられる透明電極50(具体的には第1導電層51)の上に設けられる。
第1電極70には、例えば、Ti膜、Pt膜及びAu膜の積層膜が用いられる。第2電極80には、例えば、Ni膜及びAu膜の積層膜が用いられる。
第1電極70と第2電極80との間に印加される電圧により、第1半導体層10、第2半導体層20及び透明電極50を介して発光部30に電流が供給され、発光部30から光(発光光)が放出される。
発光部30は、例えば、紫外、紫、青及び緑の少なくともいずれかの光を放出する。すなわち、発光部30から放出される発光光の波長(主波長)は、360ナノメートル(nm)以上580nm以下である。
積層構造体10sは、第1半導体層10、第2半導体層20及び発光部30を含む。本具体例では、積層構造体10sの第2半導体層20の側の第1主面10aにおいて、第1半導体層10の一部、発光部30の一部、第2半導体層20の一部と、が除去されている。
積層構造体10sは、第2半導体層20の側の第1主面10aと、第1半導体層10の側の第2主面10bと、を有する。第2主面10bは、積層構造体10sにおいて、第1主面10aとは反対側の面である。積層構造体10sの第1主面10aにおいて、第1半導体層10が露出している。
すなわち、第1半導体層10の一部と、第2半導体層20と、の間に発光部30が設けられる。第1主面10aの側において、第1半導体層10に接して第1電極70が設けられている。第2主面10aの側において、第2半導体層10に接する透明電極50に接して、第2電極80が設けられている。積層構造体10sの第2主面10bに、基板5及びバッファ層6が設けられている。
発光部30は、単一量子井戸(SQW:Single Quantum Well)構造または多重量子井戸(MQW:Multi Quantum Well)構造を有する。
図2(a)〜図2(c)は、実施形態に係る半導体発光素子の一部の構成を例示する模式的断面図である。
すなわち、これらの図は、発光部30の構成の例を示す模式図である。
図2(a)に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110aにおいては、発光部30は、SQW構造を有している。すなわち、発光部30は、障壁層BL(第1障壁層BL1)と、p側障壁層BLpと、第1障壁層BL1とp側障壁層BLpとの間に設けられた井戸層WL(第1井戸層WL1)と、を含む。
なお、本願明細書において、「積層」とは、直接重ねられる場合の他、他の層が挿入されて重ねられる場合も含む。例えば、後述するように、第1障壁層BL1と第1井戸層WL1との間、及び、第1井戸層WL1とp側障壁層BLpとの間に別の層が設けられても良い。
図2(b)に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110bにおいては、発光部30は、MQW構造を有している。すなわち、発光部30は、Z軸に沿って積層された複数の障壁層(この例では、第1〜第4障壁層BL1〜BL4、及び、p側障壁層BLp)と、複数の障壁層どうしのそれぞれの間に設けられた井戸層(第1〜第4井戸層WL1〜WL4)と、を含む。本具体例では、井戸層が4層設けられているが、井戸層の数は任意である。
このように、発光部30は、2以上の整数Nにおいて、第(N−1)井戸層WLの第(N−1)障壁層とは反対の側に設けられた第N障壁層と、第N障壁層の第(N−1)井戸層とは反対の側に設けられた第N井戸層と、をさらに含む。
図2(c)に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110cにおいては、発光部30は、障壁層と井戸層との間のそれぞれに設けられた中間層をさらに含む。すなわち、発光部30は、第(N−1)障壁層と第(N−1)井戸層との間に設けられた第1中間層IL1と、第(N−1)井戸層と第N障壁層との間に設けられた第2中間層IL2と、をさらに含む。さらに、第2中間層IL2は、第N井戸層とp側障壁層BLpとの間に設けられる。なお、第1中間層IL1と第2中間層IL2は、必要に応じて設けられ、省略可能である。また、第1中間層IL1を設け、第2中間層IL2を省略しても良い。また、第2中間層IL2を設け、第1中間層IL1を省略しても良い。
障壁層(例えば第1〜第4障壁層BL1〜BL4、第N障壁層)には、例えば、Inx1Aly1Ga1−x1−y1N(0≦x1<1、0≦y1<1、x1+y1≦1)を用いることができる。障壁層には、例えばIn0.02Al0.33Ga0.65Nを用いることができる。障壁層の厚さは、例えば12.5nmとすることができる。
p側障壁層BLpには、例えば、Inx2Aly2Ga1−x2−y2N(0≦x2<1、0≦y2<1、x2+y2≦1)を用いることができる。p側障壁層BLpには、例えばIn0.02Al0.33Ga0.65Nを用いることができる。障壁層の厚さは、例えば12.5nmとすることができる。
井戸層(例えば、第1井戸層WL1〜WL4、第N井戸層)には、例えば、Inx3Aly3Ga1−x3−y3N(0<x3≦1、0≦y3<1、x3+y3≦1)を用いることができる。井戸層には、例えばIn0.15Ga0.85Nを用いることができる。井戸層の厚さは、例えば2.5nmとすることができる。
井戸層に含まれるInの組成比(III族元素中におけるInの原子数の割合)は、障壁層(第1〜第4障壁層BL1〜BL4、第N障壁層、及び、p側障壁層BLp)に含まれるInの組成比(III族元素中におけるInの原子数の割合)よりも高い。これにより、障壁層におけるバンドギャップエネルギーが井戸層におけるバンドギャップエネルギーよりも大きくできる。
第1中間層IL1には、例えば、Inx4Ga1−x4N(0≦x4<1)を用いることができる。第1中間層IL1には、例えばIn0.02Ga0.98Nを用いることができる。第1中間層IL1の厚さは、例えば0.5nmとすることができる。
第2中間層IL2には、例えば、Inx5Ga1−x5N(0≦x5<1)を用いることができる。第2中間層IL2には、例えばIn0.02Ga0.98Nを用いることができる。第2中間層IL2の厚さは、例えば0.5nmとすることができる。
なお、井戸層に含まれるInの組成比(III族元素中におけるInの原子数の割合)は、第1中間層IL1及び第2中間層IL2に含まれるInの組成比(III族元素中におけるInの原子数の割合)よりも高い。これにより、第1中間層IL1及び第2中間層IL2におけるバンドギャップエネルギーが井戸層におけるバンドギャップエネルギーよりも大きくできる。
なお、第1中間層IL1は、障壁層の一部と見なすこともできる。また、第2中間層IL2は、障壁層の一部とみなすこともできる。すなわち、井戸層と積層される障壁層は、組成の異なる複数の層を含んでも良い。
なお、図2(a)に例示したSQW構造において、第1中間層IL1と第2中間層IL2とを設けても良い。この場合には、第1中間層IL1は、第1障壁層BL1と第1井戸層WL1との間に設けられ、第2中間層IL2は、第1井戸層WL1とp側障壁層BLpとの間に設けられる。
上記は、発光部30の構成の例であり、実施形態はこれに限らず、障壁層、p側障壁層BLp、井戸層、第1中間層IL1及び第2中間層IL2に用いられる材料及び厚さは種々の変形が可能である。なお、上記のように、障壁層、p側障壁層BLp、井戸層、第1中間層IL1及び第2中間層IL2は、窒化物半導体を含む。
以下、透明電極50の構成及び特性について半導体発光素子110を例にとって説明する。以下の説明は、半導体発光素子110a、110b及び110cなどの種々の構成を有する半導体発光素子に適用される。
第1導電層51及び第2導電層52は、In、Sn、Zn及びTiよりなる群から選ばれた少なくとも1つ(1種)の元素を含む酸化物を含む。第1導電層51及び第2導電層52には、例えばITOが用いられる。第1導電層51及び第2導電層52には、例えばIn及びSnOの少なくともいずれかを用いても良い。
既に説明したように、第1導電層51及び第2導電層52は、多結晶を含む。すなわち、第1導電層51及び第2導電層52には、金属酸化物を含む多結晶膜が用いられる。ここで、多結晶(多結晶膜)においては、X線回折測定により複数の回折ピークが観測される。なお、非晶質(非晶質膜)においては、X線回折測定での観察により鋭い回折ピークは観測されず、ブロードなハローピークが観測される。
図3(a)〜図3(c)は、実施形態に係る半導体発光素子の一部の構成を例示する模式的断面図である。
図3(a)は、Z軸に対して平行な平面で半導体発光素子110の一部を切断した断面図である。図3(b)は、Z軸に沿って第1導電層51をみたときの第1導電層51の構成を模式的に示す平面図である。図3(c)は、Z軸に沿って第2導電層52をみたときの第2導電層52の構成を模式的に示す平面図である。
図3(a)に表したように、第1導電層51は、複数のグレイン(複数の第1グレイン51g)を含む。複数の第1グレイン51gどうしの間には、粒界(第1粒界51gb)が設けられている。すなわち、第1粒界51gbどうしの間の領域が、第1グレイン51gとなる。
第2導電層52は、複数のグレイン(複数の第1グレイン52g)を含む。複数の第2グレイン52gどうしの間には、粒界(第2粒界52gb)が設けられている。すなわち、第2粒界52gbどうしの間の領域が、第2グレイン52gとなる。
第1グレイン51gの径は、第2グレイン52gの径よりも大きい。
このようなグレインの形状は、例えば透過電子顕微鏡像などに基づいて求められる。
例えば第1導電層51の厚さ方向の軸(Z軸)に沿った中心における第1グレイン51gの径(Z軸に対して垂直な軸に沿った径)は、第2導電層52の厚さ方向の軸(Z軸)に沿った中心における第2グレイン52gの径(Z軸に対して垂直な軸に沿った径)よりも大きい。
例えば、複数の第1グレイン51gは、第1平均粒径d1を有する。第1平均粒径d1は、例えば、第1導電層51のZ軸に沿った中心における複数の第1グレイン51gの径の平均である。第1平均粒径d1は、例えば、第1導電層51のZ軸に沿った中心における複数の第1グレイン51gの例えばX軸(またはY軸)に沿った径の平均である。
例えば、複数の第2グレイン52gは、第2平均粒径d2を有する。第2平均粒径d2は、例えば、第2導電層52のZ軸に沿った中心における複数の第2グレイン52gの径の平均である。第2平均粒径d2は、例えば、第2導電層52のZ軸に沿った中心における複数の第2グレイン52gの例えばX軸(またはY軸)に沿った径の平均である。
第1平均粒径d1は、第2平均粒径d2よりも大きい。
図3(a)に表したように、第1導電層51は、第2導電層52の側の第1面51aと、第2導電層52とは反対の側の第2面51bと、を有する。また、第2導電層52は、第2半導体層20の側の第3面52aと、第1導電層51の側の第4面52bと、を有する。
第1平均粒径d1として、例えば、第1面51aにおける複数の第1グレイン51gの径の平均を用いても良い。第1平均粒径d1として、例えば、第2面51bにおける複数の第1グレイン51gの径の平均を用いても良い。
第2平均粒径d2として、例えば、第3面52aにおける複数の第2グレイン51gの径の平均を用いても良い。第2平均粒径d2として、例えば、第4面52bにおける複数の第2グレイン51gの径の平均を用いても良い。
この場合も、第1平均粒径d1は、第2平均粒径d2よりも大きい。
図3(b)は、第2面51bにおける複数の第1グレイン51gを例示している。図3(b)に表したように、複数の第1グレイン51gのそれぞれの形状は互いに異なる。
図3(c)は、第4面52bにおける複数の第2グレイン52gを例示している。図3(c)に表したように、複数の第2グレイン52gのそれぞれの形状は互いに異なる。
グレインが細長い形状を有してしている場合には、グレインの径は、そのグレインにおいて径が長い方向の軸に沿った長さとされる。すなわち、グレインのそれぞれにおける径の最大値が、そのグレインの径とされる。そして、複数のグレインにおける径の平均は、平均径(第1平均粒径d1または第2平均粒径d2)とされる。
第1平均粒径d1及び第2平均粒径d2を定量的に求める場合は、図3(a)に関して説明した値を用いることにする。すなわち、第1平均粒径d1は、第1導電層51のZ軸に沿った中心における複数の第1グレイン51gの径の平均である。そして、第2平均粒径d2は、第2導電層52のZ軸に沿った中心における複数の第2グレイン52gの径の平均である。
実施形態に係る半導体発光素子110においては、第2平均粒径d2は、第1平均粒径d1よりも小さく、150nm以下である。すなわち、第2導電層52は、第1平均粒径d1よりも小さく150nm以下の第2平均粒径d2を有する多結晶を含む。
これにより、電気的特性が良好で加工性が良好な電極を有する半導体発光素子が提供できる。
第2導電層52の厚さ(Z軸に沿った厚さ)は、第1導電層51の厚さ(Z軸に沿った厚さ)よりも薄い。
後述するように、第1導電層51及び第2導電層52は、気相成長法により形成されることができる。例えば、第1導電層51及び第2導電層52は、スパッタ法により形成される。
第2半導体層20の上に設けられる第2導電層52における第2平均粒径d2は小さい。これにより、第2導電層52と第2半導体層20との間において、良好な電気的な特性が得られる。すなわち、第2導電層52と第2半導体層20との間のコンタクト抵抗は低い。
一方、既に説明したように、第2導電層52の厚さは、第1導電層51の厚さよりも薄い。これにより、第2導電層52における第2平均粒径d2が第1導電層51における第1平均粒径d1よりも小さく、これにより、第2導電層52の材料の加工性が低い場合においても、第2導電層52において良好な加工性が確保できる。
第2導電層52の厚さは、例えば100nm以下である。これにより、第2導電層52における良好な加工性が得やすい。第2導電層52の厚さは、50nm以下であることがさらに望ましい。これにより、より良好な加工性が得られる。
一方、第1導電層51の厚さは、電気的な特性、及び、光学的特性の観点で定めることができる。
すなわち、第1導電層51の厚さが過度に薄いと、透明電極50の抵抗が高くなり過ぎる。また、透明電極50の厚さ(第1導電層51及び第2導電層52の合計の厚さ)は、透明電極50の透過率が高くなるように設定される。透明電極50の厚さと透過率との関係については後述する。
以下、透明電極50となる透明導電膜の粒径とコンタクト抵抗及び加工性との関係についての実験結果について説明する。この実験においては、第2半導体層20の上に、透明導電膜としてITO膜をスパッタ法により形成した。このとき、ITO膜の厚さを変えた試料を作製した。
透明導電膜の形成においては、ITOのターゲットを用い、酸素を実質的に含まない不活性ガス雰囲気を用いた。透明導電膜の形成直後は、例えば透明導電膜は非晶質である。または、透明導電膜の形成直後は、例えば透明導電膜は、非晶質部と多結晶部が混在した状態である。
透明導電膜の形成の後に、透明導電膜を所定の形状に加工した。そして、この加工の際の残渣を、残渣の程度を光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡で観察することにより評価した。
その後、透明導電膜を熱処理した。これにより、透明導電膜は多結晶状態になる。この熱処理は、酸素を含む条件で行われた。具体的には、空気の雰囲気で熱処理が行なわれた。
透明導電膜の形成のスパッタの条件を変えることで、熱処理後の透明導電膜における粒径が変化する。具体的には、この実験では、透明導電膜の形成において、スパッタの際に用いる電力を変えた。
そして、熱処理後の透明導電膜の粒径を測定した。また、熱処理後において、透明導電膜と第2半導体層20との間のコンタクト抵抗を測定した。
図4(a)〜図4(c)は、透明導電膜の顕微鏡写真像である。
図4(a)〜図4(c)は、それぞれ第1〜第3試料SP1〜SP3に対応する。第1〜第3試料SP3において、スパッタの際の電力が互いに異なる。これらの図に表したように、サファイアの基板5の上にバッファ層6と第2半導体層20(GaN層)とを順次形成し、さらにその上に、透明導電膜50fが形成されている。これらの図において、透明導電膜50fの粒界50gbが矢印で示されている。
図4(a)に表したように、第1試料SP1では、粒界50gbどうしの間隔が狭い。第1試料SP1における平均粒径は、134nmである。
図4(b)に表したように、第2試料SP2では、粒界50gbどうしの間隔が、第1試料SP1よりも広い。第2試料SP2における平均粒径は、150nmである。
図4(c)に表したように、第3試料SP3では、粒界50gbどうしの間隔が、第2試料SP2よりも広い。第3試料SP3における平均粒径は、224nmである。
このように、製造条件によって、透明導電膜50fの平均粒径が制御できる。
図5(a)〜図5(c)は、半導体発光素子の特性を例示するグラフ図である。
図5(a)は、透明導電膜と第2半導体層20とのコンタクト抵抗R1と、透明導電膜の粒径dと、の関係を示している。なお、図5(a)においては、コンタクト抵抗R1は相対的な値で示されている。図5(b)は、透明導電膜の加工性指標PAと、透明導電膜の粒径dと、の関係を示している。ここで、粒径dは、透明導電膜における複数のグレインの平均の径である。加工性指標PAが1である場合は、残渣がほとんど観察されない場合に相当する。そして、加工性指標PAが大きいほど、残渣が多く存在する。加工性指標PAが小さいことが望ましい。図5(c)は、透明導電膜の加工性指標PAと、透明導電膜の厚さtと、の関係を示している。
図5(a)に表したように、透明導電膜の粒径dが大きいときに、コンタクト抵抗R1は高い。粒径dが小さいときに、コンタクト抵抗R1は低い。この結果から、コンタクト抵抗R1の観点からは、粒径dは小さいことが望ましい。特に、粒径dが、150nm以下において、コンタクト抵抗R1の低下の効果が顕著になる。
図5(b)に表したように、透明導電膜の粒径dが大きいときに、加工性指標PAは小さく、残渣が少ない。粒径dが小さいときに、加工性指標PAは大きく、すなわち、残渣が多い。
図5(b)に表したように、透明導電膜の厚さtが薄いほど、加工性指標PAが小さく、望ましい。厚さtが厚い場合には、加工性の観点で、粒径dは150nmよりも大きいことが望ましい。
図5(c)に表したように、透明導電膜の厚さtが薄いときに、加工性指標PAは小さく、残渣が少ない。厚さtが厚いときに、加工性指標PAは大きく、すなわち、残渣が多い。図5(c)に表したように、厚さtが100nm以下において、加工性指標PAが小さく、望ましい。さらに、厚さtが50nm以下において、加工性指標PAが小さく、実質的に1であり、残渣がほとんど発生しない状態が得られる。ここで、50nm以下の膜厚に関しては、加工の度合いを目視するのが困難であり、加工性指数が1の粒径dが230nmの透明導電膜を積層したもののデータを示している。
発明者が行った上記の実験の結果により見出された特性に基づいて、実施形態の構成が定められている。
すなわち、第2平均粒径d2は、第1平均粒径d1よりも小さく150nm以下である。これにより、低いコンタクト抵抗と、高い加工性と、が得られる。具体的には、第2平均粒径d2は、10nm以上で150nm以下が望ましい。第2平均粒径d2が10nmよりも小さいときは、粒界における光散乱により透過率が低下する。
一方、第1平均粒径d1は、第2平均粒径d2よりも大きい。これにより、良好な加工性が得られる。具体的には、第1平均粒径d1は、150nmよりも大きく、1マイクロメートル(μm)以下である。第1平均粒径d1が、1μmよりも大きくなると、例えば、第2導電層52へひずみがかかりコンタクト抵抗が高くなる。特に、第1平均粒径d1は、150nmよりも大きく、500nm以下であることが望ましい。これにより、第1導電層51における高い透過率が維持できる。また、高い加工性が維持できる。
図5(c)に例示した結果から、第2導電層52の厚さは、100nm以下に設定される。第2導電層52の厚さは、50nm以下であることがさらに望ましい。これにより、さらに高い加工性が得られる。第2導電層52の厚さは、1nm以上であることが望ましい。これにより、低いコンタクト抵抗が得られる。第2導電層52の厚さが1nmよりも薄いと、コンタクト抵抗が高くなる場合がある。
第1導電層51の厚さは、50nm以上400nm以下であることが望ましい。第1導電層51の厚さが、50nmよりも薄いと、透明電極50(第1導電層51及び第2導電層52)の抵抗が高くなり過ぎる。第1導電層51の厚さが400nmよりも厚いと、例えば光取り出し効率が低下し易くなる。
また、第1導電層51の厚さ及び第2導電層52の厚さを上記の値に適正に設定するおとで、透明電極50(第1導電層51及び第2導電層52)の体積抵抗率を下げることができる。これにより、さらに良好な電気的特性が得られる。
透明電極50においては、光の干渉の現象が生じる。従って、透明電極50の厚さ(及び屈折率)を調整することで、高い透過率が得られる。
透明電極50の厚さtは、放出される光の上面への透過率が最大(反射率が最小)となるように設計される。以下、透明電極50の厚さt及び屈折率と、反射率と、の関係についてシミュレーションした結果について説明する。
図6は、実施形態に係る半導体発光素子の特性を例示するグラフ図である。
同図の横軸は、透明電極50の厚さtである。縦軸は、反射率Rfである。同図には、透明電極50の屈折率nを1.90〜2.20の範囲で変化させたときの反射率Rfのシミュレーション結果が示されている。このシミュレーションにおいて、素子構造は、p型GaN層、ITO層、SiO層(屈折率n=1.45)、樹脂層(屈折率n=1.4)の積層構造とし、光の波長は450nmとした。すなわち、このシミュレーションで用いた構成は、後述する半導体発光素子111において絶縁層60(SiO層)の上にさらに樹脂層を設けた構成に相当する。
図6に表したように、反射率Rfは、透明電極50の厚さt及び屈折率nに依存して変化する。抵抗率が低いITOの屈折率は、1.9以上2.0以下である。従って、図6から、透明電極50として抵抗率が低いITOを用いた場合には、厚さt(第1導電層51の厚さ及び第2導電層52の厚さの和)は、150nmよりも大きく200nm以下、及び、260nm以上330nm以下のいずれかとすることが望ましい。これにより、低い反射率Rfが得られる。すなわち、高い透過率が得られる。
第2導電層52の厚さは、透明電極50の厚さtである150nmよりも大きく200nm以下、及び、260nm以上330nm以下のいずれかの値から第1導電層51の厚さを減じた値に設定することが望ましい。
これにより、光学的に良好な特性がさらに得られる。
なお、例えば、第1参考例として、透明電極50として、真空蒸着法による膜と、スプレー熱分解法による膜と、の積層膜を用いる構成が考えられる。これにより、粒径が互いに異なる膜が形成される。しかし、真空蒸着法による層は密度が低く耐熱性が低い。このため、第1参考例においては、実用的な課題がある。
第2参考例として、透明電極50として、真空蒸着法による膜と、スパッタ法による膜と、の積層膜を用いる構成が考えられる。このときも真空蒸着法による層は密度が低く耐熱性が低い。
これに対し、実施形態においては、第1導電層51及び第2導電層52は、スパッタ法により形成される。そして、スパッタの際の条件(例えば電力)を変えることで、第1導電層51の粒径が第2導電層52の粒径から変更されている。このため、実施形態においては、膜の密度が高く、耐熱性が高い。また、上記のように、第2導電層52の粒径(第2平均粒径d2)は、発明者により見出された特性により定められる。これにより、電気的特性が良好で加工性が良好な電極を有する半導体発光素子が提供できる。
例えばITOのような透明導電膜の成膜方法として、電子ビーム蒸着法、スパッタ法、及びゾルゲル法などがある。発明者の実験によると、体積抵抗率が低いITOを形成するためには、スパッタ法による成膜が有効である。
スパッタによるITO膜の形成において、酸素を実質的に含まない雰囲気での成膜においてパワーを低く設定することで、非晶質のITO膜が得られる。これにより、加工性の良いITO膜が得られる。しかし、非晶質のITO膜においてはGaN層に対するコンタクト抵抗が高くなる傾向がある。逆に、成膜時のパワーが高いと、コンタクト抵抗は低くなるが、膜中に微結晶が含有され、残渣の原因となる。すなわち、加工性が低下する。
本実施形態においては、第1導電層51及び第2導電層52の構成を適正に設定することで、高い電気的特性と、高い加工性と、を同時に得る。
実施形態において、第2導電層52は、良好なコンタクト特性を得る機能を有する。第2導電層52の第2平均粒径d2が小さいと、第2半導体層20との密着面積が大きくなり、抵抗が下がる。第2平均粒径d2は、例えば10nm以上50nm以下であることが望ましい。第1導電層51は、通電のための抵抗を下げる機能を有する。第1導電層51体積抵抗率が低いことが望ましい。第1平均粒径d1が大きいほど粒界散乱が減少する。これにより、導電率が上昇する。第1導電層51の第1平均粒径d1は、300nm以上500nm以下であることが望ましい。
以下、半導体発光素子110の製造方法の例について説明する。本製造方法は、第1導電形の第1半導体層10と、第2導電形の第2半導体層20と、第1半導体層10と第2半導体層20との間に設けられた発光部30と、第1平均粒径d1を有する多結晶を含み、発光部30から放出される光に対して透過性の第1導電層51と、第2半導体層20と第1導電層51との間において第2半導体層20と第1導電層51とに接し、第1平均粒径d1よりも小さい第2平均粒径d2を有する多結晶を含み、上記の光に対して透過性の第2導電層52と、を含む半導体発光素子の製造方法である。
図7は、実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を例示するフローチャート図である。
図8(a)〜図8(c)は、実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図7及び図8(a)に表したように、第2半導体層20の上に第2導電層52となる第1膜f1を希ガス雰囲気中で第1電力によるスパッタ法で形成する(ステップS110)。すなわち、Ar雰囲気中で、微結晶を比較的多く含む非晶質のITO膜を形成する。ここで、ITO膜の組成は、酸素欠乏性になるように、成膜中の酸素濃度が調整される。
図7及び図8(b)に表したように、第1膜f1の上に第1導電層51となる第2膜f2を希ガス雰囲気中で第1電力よりも小さい第2電力によるスパッタ法で形成する(ステップS120)。例えば、形成された第2膜f2は、非晶質である。すなわち、スパッタ時のパワーを下げた後、Ar雰囲気中で微結晶が比較的少ない非晶質のITO膜を形成する。
なお、上記に限らず、第1膜f1及び第2膜f2の形成においては、例えば、In、Sn、Zn及びTiよりなる群から選択された少なくともいずれかの元素を含む酸化物を含むターゲットが用いられる。スパッタにより形成された、第1膜f1及び第2膜f2は、In、Sn、Zn及びTiよりなる群から選択された少なくともいずれかの元素を含む酸化物を含む。
第1膜f1の形成及び第2膜f2の形成は、酸素を実質的含まない雰囲気で実施される。すなわち、第1膜f1及び第2膜f2は、酸素欠乏性の透明導電酸化物の膜である。
図7及び図8(c)に表したように、第1膜f1及び第2膜f2を、酸素を含む雰囲気中で熱処理し、第1導電層51及び第2導電層52を形成する(ステップS140)。第2導電層52の第2平均粒径は、例えば、150nm以下である。
第1膜f1及び第2膜f2を酸化性雰囲気中で熱処理を施すことにより、膜中に酸素が取り込まれる。これにより、結晶が成長する。これにより、第1膜f1から、例えば10nm以上150nm以下の粒径(第2平均粒径d2)を有する多結晶の第2導電層52が得られる。そして、第2膜f2から、150nmよりも大きく500nm以下の粒径(第1平均粒径d1)を有する多結晶の第1導電層51が得られる。
これにより、電気的特性が良好で加工性が良好な電極を有する半導体発光素子が製造できる。
なお、図7に表したように、第1膜f1と第2膜f2とを予め定められた形状に加工する工程(ステップS130)をさらに、実施しても良い。すなわち、本製造方法は、第2膜f1の形成(ステップS120)と、上記の熱処理(ステップS140)と、の間において、第1膜f1と第2膜f2とを予め定められた形状に加工する工程(ステップS130)さらに含むことができる。
熱処理の前においては、第2膜f2は非晶質であるため、加工性が比較的高い。また、第1膜f1が多結晶であっても第1膜f1の厚さが比較的薄いた加工性が比較的高い。この後、熱処理により、第1膜f1及び第2膜f2から、第2導電層52及び第1導電層51をそれぞれ形成することで、高い電気的特性と、高い加工性と、が同時に得られる。
さらに、図7に表したように、本製造方法は、酸素を含む雰囲気中での熱処理(ステップS140)の後に、第1膜f1(第2導電層52)及び第2膜f2(第1導電層51)を還元雰囲気中でさらに熱処理する工程(ステップS150)をさらに含むことができる。
これにより、第2導電層52及び第1導電層51に含まれる過剰な酸素を除去することができる。すなわち、還元雰囲気中でのシンター処理により、過剰な酸素を膜中から脱離させ、所望の体積抵抗率のITO膜を得ることができる。
上記のように、実施形態においては、p形GaN層の上に、まず微結晶を比較的多く含むITOの薄膜をスパッタにより形成する。これにより、p形GaN層との良好なコンタクト特性が得られる。この後、スパッタのパワーを下げ、Ar雰囲気中で微結晶が比較的少ないITOの厚膜を形成する。この膜は、非晶質の膜であるため、加工性が極めて良好である。これらの膜はその後、酸素を含む雰囲気中でシンターを施すことにより、結晶粒径が10nm以上150nm以下の多結晶膜と、結晶粒径が150nmよりも大きく以上500nm以下の多結晶膜と、に変化する。この構造及びプロセスを用いることで、低コンタクト抵抗と高い加工性とを同時に得ることが可能となる。
図9は、実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図9に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子111は、絶縁層60をさらに備えている。第1導電層51は絶縁層60と第2導電層52との間に設けられている。絶縁層60は、発光光に対して透過性を有する。絶縁層60には、例えばシリコン酸化膜が用いられる。実施形態は、これに限らず、絶縁層60には、発光部30から放出される発光に対して透過性を有する任意の絶縁材料を用いることができる。
絶縁層60は、第1導電層51の第2電極80と接する部分を除いて設けられる。これにより、第1導電層51と第2電極80との電気的な導通が確保される。
絶縁層60は、例えば、第1導電層51、第2導電層52、第2半導体層20及び発光部30の側面を覆う。さらに、絶縁層60は、第1半導体層10の側面上、及び、第1半導体層10の第1主面10aの側の面上に設けられている。絶縁層60は、積層構造体10sのパッシベーション膜として機能する。絶縁層60は、第1半導体層10の第1電極70と接する部分を除いて設けられる。これにより、第1半導体層10と第1電極70との電気的な導通が確保される。
絶縁層60は必要に応じて設けられ省略しても良い。
半導体発光素子111においても、第2導電層52は、第1平均粒径d1よりも小さく150nm以下の第2平均粒径d2を有する多結晶を含む。これにより、電気的特性が良好で加工性が良好な電極を有する半導体発光素子が提供できる。
図10は、実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。 図10に表したように、実施形態に係る別の半導体発光素子112は、第1半導体層10、第2半導体層20、発光部30、第1導電層51及び第2導電層52に加え、第3導電層53をさらに備える。
第3導電層53における上記の光に対する透過率は、第1導電層51の透過率よりも低く第2導電層52の透過率よりも低い。第3導電層53には、例えば金属層が用いられる。第3導電層53は、例えば、第2電極80である。第3導電層53には、例えば、Ni膜及びAu膜の積層膜が用いられる。
第1導電層51は、第1部分51pと、第2部分51qと、を有する。第1部分51pは、第3導電層53と第2半導体層20との間において第3導電層53と第2半導体層20とに接する。第2部分51qは、第3導電層53に覆われておらず、第2導電層52の少なくとも一部を覆う。
第1導電層51と第2半導体層20とにおけるコンタクト抵抗は、第2導電層52と第2半導体層20とにおけるコンタクト抵抗よりも高い。このため、第1導電層51のうちで第2半導体層20に接する第1部分51pにおけるコンタクト抵抗は高い。このため、第1部分51pに対応する発光部30においての発光が抑制される。すなわち、コンタクト抵抗が低い第2部分51qにおける発光が促進される。
すなわち、透過率が低い(遮光性または反射性の)第3導電層53に対応する第1部分51pにおける発光が抑制される。このため、光取り出し効率が向上する。
半導体発光素子112においても、第2導電層52は、第1平均粒径d1よりも小さく150nm以下の第2平均粒径d2を有する多結晶を含む。これにより、電気的特性が良好で加工性が良好な電極を有する半導体発光素子が提供できる。
実施形態によれば、電気的特性が良好で加工性が良好な電極を有する半導体発光素子及びその製造方法が提供される。
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、BInAlGa1−x−y−zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電型などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体発光素子に含まれ半導体層、n形半導体層、p形半導体層、発光部、透明電極層、及び電極などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体発光素子及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体発光素子及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
5…基板、 6…バッファ層、 10…第1半導体層、 10a…第1主面、 10b…第2主面、 10s…積層構造体、 11…第1n側層、 12…第2n側層、 20…第2半導体層、 21…第1p側層、 22…第2p側層、 30…発光部、 50…透明電極、 50f…透明導電膜、 50gb…粒界、 51…第1導電層、 51a…第1面、 51b…第2面、 51g…第1グレイン、 51gb…第1粒界、 51p…第1部分、 51q…第2部分、 52…第2導電層、 52a…第3面、 52b…第4面、 52g…第2グレイン、 52gb…第2粒界、 53…第3導電層、 60…絶縁層、 70…第1電極、 80…第2電極、 110、110a、110b、110c、111、112…半導体発光素子、 BL…障壁層、 BL1〜BLn…第1〜第n障壁層、 BLp…p側障壁層、 IL1、IL2…第1、第2中間層、 PA…加工性指標、 R1…コンタクト抵抗、 SP1〜SP3…試料、 WL…井戸層、 WL1〜WLn…第1〜第n井戸層、 d…粒径、 d1、d2…第1、第2平均粒径、 f1、f2…第1、第2膜、 t…厚さ

Claims (5)

  1. 電層と、
    窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層と、
    記導電層と前記第1半導体層との間に設けられた発光部と、
    前記発光部と前記導電層との間に設けられ窒化物半導体を含み第2導電形の第2半導体層と
    備え、
    前記導電層は、前記発光部から放出される光に対して透過性を有し、
    前記導電層は、多結晶を含み、
    前記導電層は、第1導電領域と、前記第1導電領域と前記第2半導体層との間に設けられた第2導電領域と、を含み、
    前記第2導電領域に含まれる粒界どうしの間隔は、前記第1導電領域に含まれる粒界どうしの間隔よりも小さく150ナノメートル以下であり、
    前記第2導電領域の前記第1半導体層から前記第2半導体層に向かう方向に沿う長さは、前記第1導電領域の前記方向に沿う長さよりも短いことを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記第2導電領域の前記長さは、100ナノメートル以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  3. 記導電層の前記方向に沿う長さは、150ナノメートルよりも大きく200ナノメートル以下、及び、260ナノメートル以上330ナノメートル以下のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。
  4. 記導層は、In、Sn、Zn及びTiよりなる群から選択された少なくともいずれかの元素を含む酸化物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
  5. 前記導電層は、前記光に対する透過率が前記第1導電領域の透過率よりも低く前記第2導電領域の透過率よりも低い第3導電領域をさらに含み、
    前記第3導電領域と前記第2半導体層の一部との間に前記第1導電領域の一部が配置され、
    前記第1導電領域は、
    前記第3導電領域と前記第2半導体層との間において前記第3導電領域と前記第2半導体層とに接する第1部分と、
    前記第3導電領域に覆われておらず、前記第2導電領域の少なくとも一部を覆う第2部分と、
    を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
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