JP2004296616A - 光起電力素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温下、多湿下、あるいは温度変化のある環境下での使用時などにおいても優れた特性を維持することができる積層型光起電力素子を提供する。
【解決手段】基体上に、結晶相を含む第一の透明導電層、半導体層からなる第一の光起電力素子、結晶相を含む第二の透明導電層、半導体層からなる第二の光起電力素子を積層した構成を含む光起電力素子において、第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、第二の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値よりも大きくなるように形成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基体上に結晶相を含む第一の透明導電層、半導体層からなる第一の光起電力素子、結晶相を含む第二の透明導電層、半導体層からなる第二の光起電力素子を積層した構成を含む光起電力素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体層を積層してなる光起電力素子として、太陽電池を例として考えてみると、化石燃料を利用した既存のエネルギーに比べて太陽電池は、エネルギー源が無尽蔵であること、発電過程がクリーンであるという利点があるものの、その普及を進めるためには、発電電力量あたりの単価をさらに下げることが必要である。そのために、低コスト化を実現する生産技術の確立や、光電変換効率を高めるための技術の確立、さらには安定して所望の特性をもつ半導体素子を形成するための均一性に関する技術の確立や、屋外に設置されることが多いという実使用条件を考慮した耐環境性を高めるための技術の確立は、重要な技術課題となっている。
【0003】
光起電力素子の特性を向上させるための手段として、複数の光起電力素子を設けた、いわゆるスタック型(積層型)と呼ばれる構成が、有力なものの一つとして知られている。スタック型光起電力素子において、光入射側の光起電力素子の光電変換層をワイドバンドギャップ材料とし、ナローバンドギャップ材料からなる光電変換層を持つ光起電力素子と組み合わせることにより、光起電力素子全体としてのスペクトル感度を高めることができる。二層構成のスタック型光起電力素子の場合、光電変換層の組合わせとしては、a−Si/a−SiGe、a−SiC/a−Si、a−Si/μC−Si、a−Si/a−Si、μC−Si/μC−Siなどの構成が挙げられる。これらは、三層構成以上のスタック型光起電力素子の場合にも、同様に各材料を組み合わせた構造とすることにより形成することができる。
【0004】
上記のスタック型光起電力素子を設計するときには、作成するスタック型光起電力素子のセル構成・各光起電力素子の特性などに応じ、個々の光起電力素子の短絡電流値をほぼ同一にする方法、あるいは特定の光起電力素子で全体の短絡電流値を律速させる方法などが採用される。このとき、非晶質層を含む層の膜厚を大きくすると、膜質の低下に伴う曲線因子の低下や、特に光劣化が増大し、光起電力素子全体としての光電変換効率の低下や、光劣化率の増大を誘発する。
複数の光起電力素子を厚み方向に直列に接続してなる光起電力素子において、さらなる特性向上を目的に、特許文献1または非特許文献1においては、光起電力素子間に1又は2層以上の導電層を形成し、該導電層では短波長成分の光を反射し、長波長成分の光を透過する構成が開示されている。また、特許文献2においては、第1の太陽電池素子と第2の太陽電池素子との間に、第1の太陽電池素子で吸収することができる波長光に対しては、反射率が低くこれを透過することができ、かつ、第2の太陽電池素子の分光特性が最大となる波長±100nmの波長光に対して、反射率が極大となる選択反射膜を備えた構成が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−77167号公報
【特許文献2】
特許第2738557号公報
【非特許文献1】
山本憲治,「薄膜多結晶シリコン太陽電池」,応用物理,応用物理学会,平成14年5月,第71巻,第5号,p.524−527
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
光起電力素子のコストダウンをさらに進めるためには、さらなる高い光電変換特性が求められている。加えて、光起電力素子を高温下、多湿下、あるいは長期間にわたって使用された場合などにおいて、光電変換特性の安定性を維持させることも同様に求められている。
【0007】
そこで、本発明は上記した課題に鑑み、さらなる高い特性をもち、高温下、多湿下、あるいは長期間にわたる使用下などにおいても優れた特性を維持する光起電力素子を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基体上に、結晶相を含む第一の透明導電層、半導体層からなる第一の光起電力素子、結晶相を含む第二の透明導電層、半導体層からなる第二の光起電力素子を積層した構成を含む光起電力素子であって、前記第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、前記第二の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値よりも大きいことを特徴とする光起電力素子を提供する。
【0009】
本発明の光起電力素子は、更なる好ましい特徴として、
「前記第一の透明導電層、前記第二の透明導電層が酸化亜鉛からなること」、
「前記第一の透明導電層の膜厚が、前記第二の透明導電層の膜厚よりも大きいこと」、
「前記第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、前記第二の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値の1.1倍以上であること」、
「前記第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、前記第二の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値の1.5倍以上であること」、
「前記基体の熱膨張係数が、前記第一の半導体層及び前記第二の半導体層の熱膨張係数よりも大きいこと」、
「前記第一の透明導電層の少なくとも一部を水溶液からの電気化学的反応による電析法によって作成し、前記第二の透明導電層をスパッタ法によって作成したこと」、
「前記第一の透明導電層の少なくとも一部、及び、前記第二の透明導電層の少なくとも一部をスパッタ法によって作成したこと」、
「前記第一の透明導電層のスパッタ法による形成温度が、前記第二の透明導電層のスパッタ法による形成温度よりも高い温度を含むこと」、
「前記第一の透明導電層のスパッタ法による形成時に導入するスパッタガス中の酸素分圧が、前記第二の透明導電層のスパッタ法による形成時に導入するスパッタガス中の酸素分圧よりも大きい部分を含むこと」、
「前記第一の透明導電層のスパッタ法による形成速度が、前記第二の透明導電層のスパッタ法による形成速度よりも、小さい領域をもつこと」、
「前記基体と前記第一の透明電極層の間に、反射層を設けたこと」、
「前記反射層と前記第一の透明導電層の間に、中間層を設けたこと」、
「前記中間層の層厚が、前記第一の透明導電層よりも小さいこと」、
「前記第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、前記中間層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値よりも大きいこと」、
を含む。
【0010】
【発明の実施の形態】
前述した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明者は、基体上に、結晶相を含む第一の透明導電層、半導体層からなる第一の光起電力素子、結晶相を含む第二の透明導電層、半導体層からなる第二の光起電力素子を積層した構成を含む光起電力素子において、第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、第二の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値よりも大きくなるように形成することにより、さらなる高い特性をもち、高温下、多湿下、あるいは温度変化のある環境下での使用時などにおいても優れた特性を維持することを見出した。
【0011】
上記の構成にすることにより、以下の作用がある。
【0012】
光起電力素子の形成は、さまざまな温度履歴を経て行われる。基体上に半導体層が積層された構成の光起電力素子を形成する際に、半導体層を室温以上の温度で行い、その後温度を下げると、基体と半導体層の熱膨張率の違いにより、内部応力が生じる。この度合いが大きくなると、光起電力素子自体が湾曲するなどの変形を起すこともある。実使用条件下においても、温度変化を繰り返すような環境下では、同様の現象が起こる。このようにして発生する内部応力は、長期間における実使用条件下、特に、高温下、多湿下での使用において、膜はがれの要因となり、さらに光起電力素子自体が湾曲した場合には、半導体層形成の後工程や、実使用状況下などで悪影響を与えることになる。
【0013】
ここで、基体上に結晶相を含む第一の透明導電層、半導体層からなる第一の光起電力素子、結晶相を含む第二の透明導電層、半導体層からなる第二の光起電力素子を積層した構成を含む光起電力素子であって、前記第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、前記第二の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値よりも大きい構成では、上記の内部応力の低下、さらには湾曲を抑制することが可能となる。このことが起こるメカニズムの詳細は不明であるが、本発明者らは、前記第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、前記第二の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値よりも大きい構成では、前記第一の透明導電層と、前記第二の透明導電層内の結晶粒界密度が異なること、あるいは、結晶粒の形状、密度などが変化することなどの理由により、積層構造としての構造柔軟性が富む効果が高まるために、内部応力を吸収する効果が高まるのではないかと考えている。特に、前記第一の透明導電層の膜厚が、前記第二の透明導電層の膜厚よりも大きい構成では、上述した構造柔軟性がより富むために、好ましいものである。また加熱・冷却を繰り返すような熱履歴に対しても、特性を変化させることなく安定して特性を維持することが可能になる。上記の効果をより発揮するための好適な範囲としては、前記第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、前記第二の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値の1.1倍以上が挙げられる。より好ましくは、前記第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、前記第二の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値の1.5倍以上が挙げられる。特に前記基体の熱膨張係数が、前記第一の半導体層及び前記第二の半導体層の熱膨張係数よりも大きい構成では、この効果はさらに大きなものになる。
【0014】
また、基体上に結晶相を含む第一の透明導電層、半導体層からなる第一の光起電力素子、結晶相を含む第二の透明導電層、半導体層からなる第二の光起電力素子を積層した構成を含む光起電力素子において、前記第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、前記第二の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値よりも大きい方が光電変換効率が向上する。この理由として、本発明者は、以下のように推察している。すなわち、前記第一及び第二の透明導電層は、ともにその役割の一つとして、光を散乱させることにより、半導体層の光路長を長くすることが求められているが、第一の透明導電層が光を送付する対象としている半導体層が、一方向側のみであるのに対して、第二の透明導電層は、自身の上下両方の半導体層に光を送付する点が異なっている。この場合、第一の透明導電層の結晶粒径が相対的に大きい場合には、結晶粒界密度が相対的に小さくなることによって、透明導電層内部での不規則反射が抑制され、より多くの光を第一の光起電力素子へ戻すことが可能になる。一方、第二の透明導電層の結晶粒径が相対的に小さい場合には、結晶粒界密度が相対的に大きくなることによって、様々な方向をもつ光の反射面が増加することによって、自身の上下両方の半導体層に、効率よく光を送付することが可能になるのではないかと考えている。また、第二の透明導電層の結晶粒径を相対的に小さくすることによって、第一の光起電力素子及び/または第二の光起電力素子とのオーミックコンタクトが良好になるのではないかとも考えている。
【0015】
また、基体上に基体よりも反射率のすぐれた物質からなる反射層を積層した構造とすることにより、反射率が、基体単体で用いた場合よりも向上するために好ましいものである。
【0016】
第一及び第二の透明導電層の形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法、水溶液からの電気化学的反応による電析法等の方法を用いて形成されることが好ましいが、低コスト化、大面積化が容易であるなどの観点から、スパッタ法、水溶液からの電気化学的反応による電析法が特に好ましいものである。ここで、スパッタ法で結晶粒径の大きな透明導電層を形成する場合には、形成温度を高くする、スパッタ雰囲気中の圧力を大きくする、スパッタ雰囲気中の酸素分圧を大きくする、形成速度を小さくする方法により、実現することができる。
【0017】
また、基体と第一の透明導電層の間に、第一の透明導電層と接するように中間層を形成する構成とするのも好ましいものである。中間層を設けることにより、前記第一の透明導電層を形成する際に受ける前記基体、あるいは反射層のダメージを低減する効果を発現したり、中間層を形成することにより、大面積で均一な特性をもつ第一の透明導電層を形成することができる効果があるものと思われる。上記の効果をより発揮するためには、前記第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、前記中間層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値よりも大きいことが好ましい。
【0018】
次に本発明の光起電力素子の構成要素について説明する。
【0019】
図1は本発明の積層型光起電力素子の一例を示す模式的な断面図である。図中101は基板、102−1、102−4はn型半導体層、102−2、102−5はi型半導体層、102−3、102−6はp型半導体層、103は第二の透明導電層、104は金属酸化物層、105は集電電極である。n型半導体層102−1、i型半導体層102−2及びp型半導体層102−3により第一の光起電力素子が構成され、n型半導体層102−4、i型半導体層102−5及びp型半導体層102−6により第二の光起電力素子が構成されている。
【0020】
図2は、上記の基板101の一構成例を示す模式的な断面図である。図中101−1は基体、101−2は反射層、101−3は中間層、101−4は第一の透明導電層である。
【0021】
(基体)
基体101−1としては、金属、樹脂、ガラス、セラミックス、半導体バルク等からなる板状部材やシート状部材が好適に用いられる。その表面には微細な凸凹を有していてもよい。透明基体を用いて基体側から光が入射する構成としてもよい。また、基体を長尺の形状とすることによってロール・ツー・ロール法を用いた連続成膜を行うことができる。特にステンレス、ポリイミド等の可撓性を有する材料は基体101−1の材料として好適である。
【0022】
(反射層)
反射層101−2は電極としての役割と、到達した光を反射して半導体層102で再利用させる反射層としての役割とを有する。その材料としては、Al、Cu、Ag、Au、CuMg、AlSiやこれらの合金を好適に用いることができる。また反射層をNi、Cr、Tiなどの遷移金属との積層構造とすることにより、基体と反射層の密着性をより向上させる効果が期待できる。反射層の形成方法としては、蒸着、スパッタ、電析、印刷等の方法が好適である。反射層101−2は、その表面に凸凹を有することが好ましい。それにより反射光の半導体層102内での光路長を伸ばし、短絡電流を増大させることができる。
【0023】
(中間層)
中間層101−3は、第一の透明導電層101−4を形成する際に受ける前記基体あるいは反射層のダメージを低減する効果を発現したり、中間層を形成することにより、大面積で均一な特性をもつ第一の透明導電層形成することができる効果があるものと思われる。中間層は、ZnO、ITO等の導電性酸化物からなることが好ましく、蒸着、スパッタ、CVD法を用いて形成されることが好ましい。また、中間層の層厚は、第一の透明導電層の層厚よりも小さいことが好ましい。
【0024】
(結晶相を含む第一の透明導電層)
結晶相を含む第一の透明導電層101−4は、入射光及び反射光の乱反射を増大し、半導体層102内での光路長を伸ばす役割を有する。また、反射層101−2の元素が半導体層102へ拡散あるいはマイグレーションを起こし、光起電力素子がシャントすることを防止する役割を有する。さらに、適度な抵抗をもつことにより、半導体層のピンホール等の欠陥によるショートを防止する役割を有する。さらに、第一の透明導電層101−4はその表面に凸凹を有していることが望ましい。第一の透明導電層101−4は、ZnO、ITO等の導電性酸化物からなることが好ましく、蒸着、スパッタ、CVD法、水溶液からの電気化学的反応による電析法等の方法を用いて形成されることが好ましい。
【0025】
スパッタ法によって第一の透明導電層101−4を形成する条件は、方法やガスの種類と流量、内圧、投入電力、成膜速度、基板温度等が大きく影響を及ぼす。例えばDCマグネトロンスパッタ法で、酸化亜鉛ターゲットを用いて酸化亜鉛膜を形成する場合には、ガスの種類としてはAr、Ne、Kr、Xe、Hg、Oなどがあげられ、流量は、装置の大きさと排気速度によって異なるが、例えば成膜空間の容積が20リットルの場合、1cm/min(normal)から100cm/min(normal)が望ましい。また成膜時の内圧は10mPaから10Paが望ましい。また基板温度は、成膜速度によって好適な範囲が異なるが、70℃から450℃であることが望ましい。
【0026】
また第一の透明導電層101−4として電析法によって酸化亜鉛膜を形成する条件は、耐腐食性容器内に、硝酸イオン、亜鉛イオンを含んだ水溶液を用いるのが好ましい。硝酸イオン、亜鉛イオンの濃度は、0.001mol/lから1.0mol/lの範囲にあるのが望ましく、0.01mol/lから0.5mol/lの範囲にあるのがより望ましく、0.1mol/lから0.25mol/lの範囲にあるのがさらに望ましい。硝酸イオン、亜鉛イオンの供給源としては特に限定するものではなく、両方のイオンの供給源である硝酸亜鉛でもよいし、硝酸イオンの供給源である硝酸アンモニウムなどの水溶性の硝酸塩と、亜鉛イオンの供給源である硫酸亜鉛などの亜鉛塩の混合物であってもよい。さらに、これらの水溶液に、異常成長を抑制したり密着性を向上させるために、炭水化物を加えることも好ましいものである。炭水化物の種類は特に限定されるものではないが、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)などの単糖類、マルトース(麦芽糖)、サッカロース(ショ糖)などの二糖類、デキストリン、デンプンなどの多糖類などや、これらを混合したものを用いることができる。水溶液中の炭水化物の量は、炭水化物の種類にもよるが概ね、0.001g/lから300g/lの範囲にあるのが望ましく、0.005g/lから100g/lの範囲にあるのがより望ましく、0.01g/lから60g/lの範囲にあることがさらに望ましい。電析法により酸化亜鉛膜を堆積する場合には、前記の水溶液中に酸化亜鉛膜を堆積する基体を陰極にし、亜鉛、白金、炭素などを陽極とするのが好ましい。
【0027】
(基板)
以上の方法により、基体101−1上に必要に応じて反射層101−2及び中間層101−3を形成し、その上に結晶相を含む第一の透明導電層101−4を積層して基板101を形成する。また、素子の集積化を容易にするために、基板101に絶縁層を設けてもよい。
【0028】
(半導体層)
本発明の光起電力素子に用いられる光起電力層は、pn接合及び/またはpin接合を含んでおり、光起電力層を少なくとも2構成以上積層して構成される。それぞれの光起電力層は材料の異なる半導体を用いて構成することも、同一の材料で構成することもできるが、短波長の光ほど吸収されやすいことから、光入射側には、より短波長を吸収しやすい材料を用いた光起電力層を配置し、その後により長波長を吸収しやすい材料を用いた光起電力層を配置する構成が好適に用いられる。半導体層にシリコン系薄膜を用いた場合の主たる材料としては、非晶質相あるいは結晶相、さらにはこれらの混相系が用いられる。Siに代えて、SiとC又はGeとの合金を用いても構わない。半導体層には同時に、水素及び/又はハロゲン原子が含有される。その好ましい含有量は0.1〜40原子%である。さらに半導体層は、酸素、窒素などを含有してもよい。半導体層をp型半導体層とするにはIII属元素、n型半導体層とするにはV属元素を含有する。 p型層及びn型層の電気特性としては、活性化エネルギーが0.2eV以下のものが好ましく、0.1eV以下のものが最適である。また比抵抗としては100Ωcm以下が好ましく、1Ωcm以下が最適である。スタックセル(pin接合を複数有する光起電力素子)の場合、光入射側に近いpin接合のi型半導体層はバンドギャップが広く、遠いpin接合のバンドギャップが狭くなるのが好ましい。また、i層内部ではその膜厚方向の中心よりもp層寄りにバンドギャップの極小値があるのが好ましい。光入射側のドープ層(p型層もしくはn型層)は光吸収の少ない結晶性の半導体か、又はバンドギャップの広い半導体が適している。pin接合を2組積層したスタックセルの例としては、 i型シリコン系半導体層の組み合わせとして、光入射側から(アモルファス半導体層、結晶相を含む半導体層)、(結晶相を含む半導体層、結晶相を含む半導体層)、(アモルファス半導体層、アモルファス半導体層)となるものが挙げられる。また、 pin接合を3組積層した光起電力素子の例としては i型シリコン系半導体層の組み合わせとして、光入射側から(アモルファス半導体層、アモルファス半導体層、結晶相を含む半導体層)、(アモルファス、結晶相を含む半導体層、結晶相を含む半導体層)、(結晶相を含む半導体層、結晶相を含む半導体層、結晶相を含む半導体層)となるものが挙げられる。i型半導体層としては光(630nm)の吸収係数(α)が5000cm−1以上、ソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm)による擬似太陽光照射下の光伝導度(σp)が10×10−5S/cm以上、暗伝導度(σd)が10×10−6S/cm以下、コンスタントフォトカレントメソッド(CPM)によるアーバックエナジーが55meV以下であるのが好ましい。i型半導体層としては、わずかにp型、n型になっているものでも使用することができる。
【0029】
(半導体層の形成方法)
シリコン系半導体、及び上述の半導体層を形成するには、高周波プラズマCVD法が適している。以下、高周波プラズマCVD法によって半導体層を形成する手順の好適な例を示す。
【0030】
まず、減圧状態にできる堆積室(真空チャンバー)内を所定の堆積圧力に減圧した後、堆積室内に原料ガス、希釈ガス等の材料ガスを導入し、堆積室内を真空ポンプによって排気しつつ、堆積室内を所定の堆積圧力に設定する。
【0031】
そして、基板101をヒーターによって所定の温度に設定し、高周波電源によって発振された高周波を前記堆積室に導入する。前記堆積室への高周波の導入方法は、高周波を導波管によって導き、アルミナセラミックスなどの誘電体窓を介して堆積室内に導入したり、高周波を同軸ケーブルによって導き、金属電極を介して堆積室内に導入したりする方法がある。
【0032】
そして、堆積室内にプラズマを生起させて原料ガスを分解し、堆積室内に配置された基板101上に堆積膜を形成する。この手順を必要に応じて複数回繰り返して半導体層102を形成する。
【0033】
半導体層の形成条件としては、堆積室内の基板温度は100〜450℃、圧力は50mPa〜1500Pa、高周波パワーは0.001〜1W/cmが好適な条件として挙げられる。
【0034】
本発明のシリコン系半導体、及び上述の半導体層の形成に適した原料ガスとしては、SiH、Si、SiF等のシリコン原子を含有したガス化しうる化合物が挙げられる。合金系にする場合にはさらに、GeHやCHなどのようにGeやCを含有したガス化しうる化合物を原料ガスに添加することが望ましい。原料ガスは、希釈ガスで希釈して堆積室内に導入することが望ましい。希釈ガスとしては、HやHeなどが挙げられる。さらに窒素、酸素等を含有したガス化しうる化合物を原料ガス乃至希釈ガスとして添加してもよい。半導体層をp型層とするためのドーパントガスとしてはB、BF等が用いられる。また、半導体層をn型層とするためのドーパントガスとしては、PH、PF等が用いられる。結晶相の薄膜や、SiC等の光吸収が少ないかバンドギャップの広い層を堆積する場合には、原料ガスに対する希釈ガスの割合を増やし、比較的高いパワーの高周波を導入するのが好ましい。
【0035】
(結晶相を含む第二の透明導電層)
結晶相を含む第二の透明導電層103は、半導体層102内に形成させる複数の光起電力素子間に配置される。第二の透明導電層に対して光入射側にある光起電力素子を透過してきた入射光の一部を反射させるため、第二の透明導電層に対して光入射側にある光起電力素子の光吸収層を薄くすることが可能になる。作製方法は、第一の透明導電層の作製方法で示したものから適宜選んで作成することが望ましい。
【0036】
(金属酸化物層)
金属酸化物層104は、光入射側の電極であるとともに、その膜厚を適当に設定することにより反射防止膜の役割を兼ねることができる。金属酸化物層104は、半導体層102の吸収可能な波長領域において高い透過率を有することと、抵抗率が低いことが要求される。好ましくは波長550nmにおける透過率が80%以上、より好ましくは85%以上であることが望ましい。金属酸化物層104の材料としては、ITO、ZnO、In等を好適に用いることができる。その形成方法としては、蒸着、CVD、スプレー、スピンオン、浸漬などの方法が好適である。これらの材料に導電率を変化させる物質を添加してもよい。
【0037】
(集電電極)
集電電極105は集電効率を向上するために金属酸化物層104上に設けられる。その形成方法として、マスクを用いてスパッタによって電極パターンの金属を形成する方法や、導電性ペーストあるいは半田ペーストを印刷する方法、金属線を導電性ペーストで固着する方法などが好適である。
【0038】
なお、必要に応じて光起電力素子の両面に保護層を形成することがある。同時に光起電力素子の裏面(光入射側と反射側)などに鋼板等の補教材を併用してもよい。
【0039】
【実施例】
以下の実施例では、光起電力素子として太陽電池を例に挙げて本発明を具体的にするが、これらの実施例は本発明の内容を何ら限定するものではない。
【0040】
(実施例1−1)
まず、ステンレス(SUS430BA)からなる帯状の基体(幅40cm、長さ200m、厚さ0.125mm)を十分に脱脂、洗浄し、図3の堆積膜形成装置301を用いて、Agからなる反射層101−2、ZnOからなる結晶相を含む第一の透明導電層101−4からなる基板を形成した。
【0041】
図3は、本発明の光起電力素子の基板を製造する堆積膜形成装置の一例を示す模式的な断面図である。図3に示す堆積膜形成装置301は、基板送り出し容器302、真空容器311〜314、基板巻き取り容器303がガスゲートを介して結合することによって構成されている。この堆積膜形成装置301には、各形成用真空容器を貫いて帯状の基体304がセットされる。帯状の基体304は、基板送り出し容器302に設置されたボビンから巻き出され、基板巻き取り容器303で別のボビンに巻き取られる。
【0042】
各真空容器には、ターゲットがカソード電極341〜344として設置されており、直流電源351〜354をカソード電極に印加することによって、基体上に反射層101−2、結晶相を含む第一の透明導電層101−4を形成することができるようになっている。また各形成用真空容器には、スパッタガスを導入するためのガス導入管331〜334が接続されている。
【0043】
図3に示した堆積膜形成装置301は、真空容器を4個具備しているが、必ずしもすべての真空容器で成膜を行なう必要はなく、製造する基板の層構成にあわせて各真空容器での成膜の有無を選択することができる。また、各真空容器には、基体と放電空間との接触面積を調整するための、不図示の成膜領域調整板が設けられており、これを調整することによって各真空容器で形成される堆積膜の膜厚を調整することができるようになっている。
【0044】
まず基体を堆積膜形成装置301に設置し、各堆積膜形成用器内を十分に排気した。次に、真空排気系を作動させつつ、ガス導入管331、333、334からスパッタガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、各形成用真空容器内の圧力を所定の圧力に調整した。尚、真空容器311における反射層101−2の形成条件を表1に、真空容器313,314における第一の透明導電層101−4の形成条件を表2に示した。
【0045】
各形成用真空容器内の圧力が安定したところで、基板送り出し容器302から基板巻き取り容器303の方向に、基体304の移動を開始した。基体を移動させながら、各形成用真空容器内の赤外線ランプヒーターを作動させ、基体の成膜面の温度が、表1に示す値になるように調整した。カソード電極341には、純度99.99重量%の銀のターゲットを使用し、カソード電極343、344には純度99.99重量%の酸化亜鉛のターゲットを使用し、各カソード電極にスパッタ電力を投入して、基体304上に真空容器311で銀(厚さ800nm)を堆積して反射層101−2を形成し、真空容器313、314で酸化亜鉛からなる第一の透明導電層101−4(厚さ800nm)を堆積し、帯状の基板を形成した。
【0046】
次に、図4に示した堆積膜形成装置201を用い、以下の手順で、図5に示した光起電力素子を形成した。図5中、図1と同様の部材には同じ符号を付して説明を省略する。この積層型光起電力素子は、非晶質n型半導体層102−1A、結晶相を含むi型半導体層102−2A、結晶相を含むp型半導体層102−3Aからなる第一の光起電力素子と、非晶質n型半導体層102−4Aと、非晶質i型半導体層102−5Aと結晶相を含むp型半導体層102−6Aとからなる第二の光起電力素子を有している。
【0047】
図4に示す堆積膜形成装置201は、基板送り出し容器202、半導体形成用真空容器211〜216、基板巻き取り容器203が、ガスゲート221〜227を介して結合することによって構成されている。この堆積膜形成装置201には、前記のようにして反射層101−2及び第一の透明導電層101−4を堆積した帯状の基板204が、各容器及び各ガスゲートを貫いてセットされる。帯状の基板204は、基板送り出し容器202に設置されたボビンから巻き出され、基板巻き取り容器203で別のボビンに巻き取られる。
【0048】
半導体形成用真空容器211〜216は、それぞれ放電室を有しており、該放電室内の放電電極241〜246に高周波電源251〜256から高周波電力を印加することによってグロー放電を生起させ、それによって原料ガスを分解し基板上に半導体層を堆積させる。また、各半導体形成用真空容器211〜216には、原料ガスや希釈ガスを導入するためのガス導入管231〜236が接続されている。
【0049】
図4に示した堆積膜形成装置201の各半導体形成用真空容器には、各放電室内での基板204と放電空間との接触面積を調整するための、不図示の成膜領域調整板が設けられており、これを調整することによって各容器で形成される各半導体膜の膜厚を調整することができるようになっている。
【0050】
次に基板送り出し容器202に、基板204を巻いたボビンを装着し、基板を搬入側のガスゲート221、半導体形成用真空容器211〜216、搬出側のガスゲート227を介し、基板巻き取り容器203まで通し、帯状の基板204が弛まないように張力調整を行った。そして、基板送り出し容器202、半導体形成用真空容器211〜216、基板巻き取り容器203を不図示の真空ポンプからなる真空排気系により、十分に真空排気した。
【0051】
次に、真空排気系を作動させつつ、半導体形成用真空容器211〜216へガス導入管231〜236から原料ガス及び希釈ガスを供給した。
【0052】
また、不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500cm/min(normal)のHガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器211〜216内の圧力を所望の圧力に調整した。形成条件は表3に示す通りである。
【0053】
半導体形成用真空容器211〜216内の圧力が安定したところで、基板送り出し容器202から基板巻き取り容器203の方向に、基板204の移動を開始した。
【0054】
次に、半導体形成用真空容器211〜216内の放電電極241〜246に高周波電源251〜256より高周波を導入し、半導体形成用真空容器211〜216内の堆積室内にグロー放電を生起し、基板上に非晶質n型半導体層102−1A(膜厚50nm)、結晶相を含むi型半導体層102−2A(膜厚2.0μm)、結晶相を含むp型半導体層102−3A(膜厚10nm)を形成し第一の光起電力素子を形成した。
【0055】
次に、図3の堆積膜形成装置301の真空容器313を用いて、第一の光起電力素子上にZnOからなる第二の透明導電層103(厚さ200nm)を形成した。形成条件を表2に示す。
【0056】
次に、図4に示す堆積膜形成装置を用いて、第二の透明導電層上に、第二の光起電力素子を形成した。第二の光起電力素子の形成方法は、第一の光起電力素子と同様の手順で行い、第二の透明導電層上に非晶質n型半導体層102−4A(膜厚50nm)、非晶質i型半導体層102−5A(膜厚3000nm)、結晶相を含むp型半導体層102−6A(膜厚10nm)を形成して行った。形成条件を表4に示す。
【0057】
次に、不図示の連続モジュール化装置を用いて、形成した帯状の光起電力素子を36cm×22cmの太陽電池モジュールに加工した。
【0058】
(実施例1−2〜1−4、比較例1)
第一の透明導電層及び第二の透明導電層の形成条件を、表2に示すように変更し、それ以外は実施例1−1と同様の手順で太陽電池モジュールを作成した。
【0059】
ここで、各実施例及び比較例1で形成した太陽電池モジュールの断面のTEM観察を行って、第一の透明導電層、第二の透明導電層の結晶相の結晶粒径の平均値を求めた。第二の透明導電層の結晶相の結晶粒径の平均値に対する第一の透明導電層の結晶相の結晶粒径の平均値の値を表5に示す。
【0060】
次に各実施例及び比較例1で作成した太陽電池モジュールの光電変換効率をソーラーシミュレーター(AM1.5、mW/cm)を用いて測定し、次に碁盤目テープ法(切り傷の隙間間隔1mm、ます目の数100)を用いて密着性を調べた。さらに、各太陽電池モジュールを、温度85℃、湿度85%の暗所に設置し30分保持、その後70分かけて温度−20℃まで下げ30分保持、再び70分かけて温度85℃、湿度85%まで戻す、このサイクルを100回繰り返した後に再度光電変換効率を測定し、温湿度試験による光電変換効率の変化を調べた。以上の結果を表5に示す。
【0061】
表5に示すように、本発明の光起電力素子を用いた実施例の太陽電池モジュールは、比較例のものと比較して、優れていることがわかる。特に、実施例1−2、1−3、1−4のものは、碁盤目テープ法の結果が良好であり、さらに実施例1−3、1−4のものは、光電変換効率の結果が良好であった。
【0062】
【表1】
Figure 2004296616
【0063】
【表2】
Figure 2004296616
【0064】
【表3】
Figure 2004296616
【0065】
【表4】
Figure 2004296616
【0066】
【表5】
Figure 2004296616
【0067】
・光電変換効率は、比較例1の値を1に規格化した値
・碁盤目テープ法の評価は、はがれの部分が認められるます目の数が0〜2を「AA」、3〜5を「A」、6〜10を「B」、11〜100を「C」とした。
・温湿度試験による光電変換効率の変化は、試験後の効率/初期効率の値
【0068】
(実施例2)
基体上に反射層を形成した後、第一の透明導電層101−4を図6に示す堆積膜形成装置601を用いて形成した以外は、実施例1と同様の手順で太陽電池モジュールを作成した。
【0069】
図6に示す堆積膜形成装置601には、送り出しローラー602、形成容器611、水洗容器613、乾燥容器615、巻き取りローラー603から構成されている。この堆積膜形成装置601には、各容器を貫いて帯状の反射層のついた基体604がセットされる。帯状の基体604は、送り出しローラー602に設置されたボビンから巻き出され、巻き取りローラー603で別のボビンに巻き取られる。
【0070】
形成容器611内には亜鉛の対向電極621が備えられており、この対向電極621は不図示の負荷抵抗および電源631と接続されている。また不図示のヒーターと熱伝対を用いて、温度をモニターしながら形成容器611内の水溶液の温度調整を行なえるようになっている。また水洗容器613で基板表面の水溶液を、不図示の超音波装置を用いながら洗い流し、水洗容器の出口側では純水シャワー614により純水洗浄を行ない、乾燥容器615では、赤外線ヒーター616を用いて基板表面を乾燥できるようになっている。
【0071】
形成容器611内の水溶液を、亜鉛イオン濃度0.2mol/l、pH5.0、水溶液温度80℃、デキストリン濃度0.05g/lにしたところで基体の搬送を開始し、酸化亜鉛からなる第一の透明導電層(厚さ2.5μm)の形成を行なった。巻き取りローラーに巻き取られた基板を、真空ポンプに接続された不図示の乾燥容器に入れ、10kPaの窒素雰囲気中で雰囲気温度を250℃で5時間乾燥させ、基板を完成させた。
【0072】
ここで、形成した太陽電池モジュールの断面のTEM観察を行って、第一の透明導電層、第二の透明導電層の結晶相の結晶粒径の平均値を求めた。第二の透明導電層の結晶相の結晶粒径の平均値に対する第一の透明導電層の結晶相の結晶粒径の平均値の値1.6倍であり、実施例1のものよりも、大きな値であった。
【0073】
作成した太陽電池モジュールの光電変換効率は、実施例1−1のものに比べて1.05倍であり、碁盤目テープ法、温湿度試験による光電変換効率の変化も、実施例1と同様に優れていた。また、光起電力素子を形成した後の基板の反り具合を測定したところ、本実施例の太陽電池モジュールは、実施例1の太陽電池モジュールの2/3であり、より優れていた。基板の反り具合は、光起電力素子を平坦な台の上に置いたときに、光起電力素子と台との間にできる隙間の最大値を測定することによって行った。
【0074】
(実施例3)
基体上に反射層を形成した後、引き続き中間層101−3を図3の堆積膜形成装置301の真空容器312で形成し、その後第一の透明導電層101−4を図6に示す堆積膜形成装置601を用いて形成した以外は、実施例2と同様の手順で太陽電池モジュールを作成した。中間層101−3の形成条件は表6に示すとおりである。
【0075】
作成した太陽電池モジュールの光電変換効率は、実施例2のものに比べて1.03倍であり、碁盤目テープ法、温湿度試験による光電変換効率の変化も、実施例2と同様に優れていた。
【0076】
また、実施例2および実施例3の手順で作成した光起電力素子上に、1cmの大きさの透明電極を100個と、集電電極を作成しサブセルを形成し、それぞれのサブセルの光電変換効率をソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm)を用いて測定し、光電変換効率の均一性を調べたところ、実施例3の光起電力素子の100個のサブセルの変換効率の標準偏差は、実施例2のものに比べて0.8倍であり、実施例3の光起電力素子の方が、より均一性が優れていた。
【0077】
【表6】
Figure 2004296616
【0078】
【発明の効果】
以上のように、基体上に、結晶相を含む第一の透明導電層、半導体層からなる第一の光起電力素子、結晶相を含む第二の透明導電層、半導体層からなる第二の光起電力素子を積層した構成を含む光起電力素子であって、第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、第二の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値よりも大きいことを特徴とする光起電力素子では、さらなる高い特性をもち、高温下、多湿下、あるいは温度変化のある環境下での使用時などにおいても優れた特性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光起電力素子の一例を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の光起電力素子の基板の一構成例を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明の光起電力素子の基板を製造する堆積膜形成装置の一例を示す模式的な断面図である。
【図4】本発明の光起電力素子を製造する堆積膜形成装置の一例を示す模式的な断面図である。
【図5】本発明の光起電力素子の一例を示す模式的な断面図である。
【図6】本発明の光起電力素子の基板を製造する堆積膜形成装置の一例を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
101 基板
101−1 基体
101−2 反射層
101−3 中間層
101−4 結晶相を含む第一の透明導電層
102−1 n型半導体層
102−1A 非晶質n型半導体層
102−2 i型半導体層
102−2A 結晶相を含むi型半導体層
102−3 p型半導体層
102−3A 結晶相を含むp型半導体層
102−4 n型半導体層
102−4A 非晶質n型半導体層
102−5 i型半導体層
102−5A 非晶質i型半導体層
102−6 p型半導体層
102−6A 結晶相を含むp型半導体層
103 結晶相を含む第二の透明導電層
104 金属酸化物層
105 集電電極
201 堆積膜形成装置
202 基板送り出し容器
203 基板巻き取り容器
204 基板
211〜216 半導体形成用真空容器
221〜227 ガスゲート
231〜236 ガス導入管
241〜246 放電電極
251〜256 高周波電源
301 堆積膜形成装置
302 基板送り出し容器
303 基板巻き取り容器
304 帯状の基体
311〜314 真空容器
331〜334 ガス導入管
341〜344 カソード電極
351〜354 直流電源
601 堆積膜形成装置
602 送り出しローラー
603 巻き取りローラー
611 形成容器
613 水洗容器
614 純水シャワー
615 乾燥容器
616 赤外線ヒーター
621 対向電極
631 電源

Claims (15)

  1. 基体上に、結晶相を含む第一の透明導電層、半導体層からなる第一の光起電力素子、結晶相を含む第二の透明導電層、半導体層からなる第二の光起電力素子を積層した構成を含む光起電力素子であって、
    前記第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、前記第二の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値よりも大きいことを特徴とする光起電力素子。
  2. 前記第一の透明導電層、前記第二の透明導電層が酸化亜鉛からなることを特徴とする、請求項1に記載の光起電力素子。
  3. 前記第一の透明導電層の膜厚が、前記第二の透明導電層の膜厚よりも大きいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の光起電力素子。
  4. 前記第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、前記第二の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値の1.1倍以上であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光起電力素子。
  5. 前記第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、前記第二の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値の1.5倍以上であることを特徴とする、請求項4に記載の光起電力素子。
  6. 前記基体の熱膨張係数が、前記第一の半導体層及び前記第二の半導体層の熱膨張係数よりも大きいことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光起電力素子。
  7. 前記第一の透明導電層の少なくとも一部を水溶液からの電気化学的反応による電析法によって作成し、前記第二の透明導電層をスパッタ法によって作成したことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光起電力素子。
  8. 前記第一の透明導電層の少なくとも一部、及び、前記第二の透明導電層の少なくとも一部をスパッタ法によって作成したことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光起電力素子。
  9. 前記第一の透明導電層のスパッタ法による形成温度が、前記第二の透明導電層のスパッタ法による形成温度よりも高い温度を含むことを特徴とする、請求項8に記載の光起電力素子。
  10. 前記第一の透明導電層のスパッタ法による形成時に導入するスパッタガス中の酸素分圧が、前記第二の透明導電層のスパッタ法による形成時に導入するスパッタガス中の酸素分圧よりも大きい部分を含むことを特徴とする、請求項8に記載の光起電力素子。
  11. 前記第一の透明導電層のスパッタ法による形成速度が、前記第二の透明導電層のスパッタ法による形成速度よりも、小さい領域をもつことを特徴とする、請求項8に記載の光起電力素子。
  12. 前記基体と前記第一の透明電極層の間に、反射層を設けたことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の光起電力素子。
  13. 前記反射層と前記第一の透明導電層の間に、中間層を設けたことを特徴とする、請求項12に記載の光起電力素子。
  14. 前記中間層の層厚が、前記第一の透明導電層よりも小さいことを特徴とする、請求項13に記載の光起電力素子。
  15. 前記第一の透明導電層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値が、前記中間層に含まれる結晶相の結晶粒径の平均値よりも大きいことを特徴とする、請求項13又は14に記載の光起電力素子。
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