JP2004363544A - 酸化亜鉛膜及びそれを用いた光起電力素子、酸化亜鉛膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光起電力素子における光閉じ込め層として用いられる酸化亜鉛膜の特性及び耐久性を向上させると共に、安価に形成できるようにする。
【解決手段】 表面に1の面と2の面が1の曲線で接する構成を有する凸部からなる構成物を複数有し、該構成物が有する該1の面の傾斜角の大きさが30°以上60°以下の範囲にあり、該2の面の傾斜角の大きさが10°以上35°以下の範囲にあるものが、該複数の構成物の半数以上である酸化亜鉛膜とする。
【選択図】 図9
【解決手段】 表面に1の面と2の面が1の曲線で接する構成を有する凸部からなる構成物を複数有し、該構成物が有する該1の面の傾斜角の大きさが30°以上60°以下の範囲にあり、該2の面の傾斜角の大きさが10°以上35°以下の範囲にあるものが、該複数の構成物の半数以上である酸化亜鉛膜とする。
【選択図】 図9
Description
本発明は、酸化亜鉛膜及びそれを用いた光起電力素子に係わる。
従来、水素化非晶質シリコン、水素化非晶質シリコンゲルマニウム、水素化非晶質シリコンカーバイド、微結晶シリコンまたは多結晶シリコンなどからなる光起電力素子は、長波長における収集効率を改善するために、裏面に反射層が利用されてきた。かかる反射層は、半導体材料のバンド端の近くにおいて吸収の小さくなる波長、即ち800〜1200nmで有効な反射特性を示すのが望ましい。この条件を十分に満たすのは、金・銀・銅・アルミニウムといった金属やそれらの合金などである。また、光閉じ込めとして知られる所定の波長範囲で光学的に透明な凸凹層を設けることも行なわれていて、一般的には前記金属層と半導体活性層の間に凸凹の透明導電性層を設けて、反射光を有効に利用して短絡電流密度Jscを改善することが試みられている。さらに、前記透明導電性層は、シャントパスによる特性低下を防止する。極めて一般的にはこれらの層は、真空蒸着やスパッタといった方法にて成膜され、短絡電流密度の改善を示している。
例えば、非特許文献1、2では、銀原子から構成される反射層についての反射率とテクスチャー構造について検討されている。これらの例においては、反射層を基板温度を変えた銀の二層堆積とすることで有効な凸凹を形成し、これによって酸化亜鉛膜とのコンビネーションにて、光閉じ込め効果による短絡電流の増大を達成したとしている。
特許文献1では、亜鉛イオン0.001〜0.5mol/l、及び硝酸イオン0.001〜0.5mol/lを含有する水溶液からなる酸化亜鉛膜作製用電解液を用いて作製した酸化亜鉛膜は、膜厚及び組成が均一で、光学的透明性に優れた酸化亜鉛膜が形成されたことが開示されている。
また、特許文献2では、基体上にスパッタ法により第1の酸化亜鉛薄膜を形成する工程と、少なくとも硝酸イオン、亜鉛イオン及び炭水化物を含有してなる水溶液に前記基体を浸漬し、該溶液中に浸漬された電極との間に通電することにより第2の酸化亜鉛薄膜を前記第1の酸化亜鉛薄膜上に形成する工程とを有することを特徴とする酸化亜鉛薄膜の製造方法は、安価で実施することが可能であり、膜の異常成長が抑制でき、基板密着性に優れた酸化亜鉛薄膜の形成が可能であることが開示されている。
さらに、特許文献3では、導電性基体と対向電極とを少なくとも硝酸イオンと亜鉛イオンとを含有する水溶液に浸漬し、該導電性基体と対向電極との間に通電することにより、該導電性基体上に酸化亜鉛膜を形成する酸化亜鉛膜の形成方法において、前記水溶液として、sp2混成軌道を有する複数の炭素にカルボキシル基が結合した多価カルボン酸またはそのエステルを含有する水溶液を用いて形成した酸化亜鉛膜は、光閉じ込め効果の高いテクスチャー形状を有することが開示されている。
前述のように、すでに開示された光閉じ込め層は、優れた光変換特性を有するものである。
しかしながら、前記非特許文献1及び2では、酸化亜鉛膜を抵抗加熱や電子ビームによる真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などによってのみ形成しており、ターゲット材料などの作成工賃が高いこと、真空装置の償却費の大きいこと、材料の利用効率が低いことが、これらの技術を用いる光起電力素子のコストを極めて高いものとし、太陽電池を産業的に応用しようとする上で大きなバリアとなっている。また、傾斜角の大きさを制御することも困難であった。
また、水素化非晶質シリコンと微結晶シリコンまたは多結晶シリコンなどの薄膜からなる光電変換層である場合、さらに光閉じ込め効果を高めるために、より鋭いテクスチャー形状の半導体表面を用いた光起電力素子ではシャントパスを誘発するなどの弊害が起こり、光電変換特性を向上させる効果は不十分であるという課題があった。
前記特許文献1では、膜厚及び組成が均一で光学的特性の優れた酸化亜鉛膜の作成に関する技術が開示されているが、テクスチャー構造を備えた酸化亜鉛膜の作成に関しては触れられておらず、例えば、表面に酸化亜鉛膜を備えた基板上に、半導体膜を積層させて形成した光起電力素子において、酸化亜鉛膜として膜厚の均一なものを使用した場合には、光閉じ込め効果が十分に発揮されず、光電変換特性、特に短絡電流を増加させる効果は不十分である。また、酸化亜鉛膜として表面が相対的に平滑な形状を有している場合には、乱反射の要素が減少することにより、光閉じ込め効果が低下し、光電変換特性、特に短絡電流が小さくなる。
また、前記亜鉛イオン及び硝酸イオンを含有する水溶液からの電析によって形成された酸化亜鉛薄膜は、特に、電流密度を上昇させたり、溶液の濃度を上げたりする条件下で形成した場合には、堆積上にミクロンオーダーを越えるような針状や球状や樹脂状などの形状をした異常成長が生成しやすく、この酸化亜鉛薄膜を光起電力素子の一部として用いた場合には、これらの異常成長が光起電力素子のシャントパスを誘発する原因となると考えられる。さらに、前記亜鉛イオン及び硝酸イオンを含有する水溶液からの電析によって形成された酸化亜鉛薄膜は、酸化亜鉛結晶粒の大きさにばらつきが生じやすく、大面積化したときの均一性に問題があった。さらに、前記亜鉛イオン及び硝酸イオンを含有する水溶液からの電解によって形成された酸化亜鉛薄膜は、基体上への密着性が抵抗加熱や電子ビームによる真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などによって形成されたものに対して劣るといった問題点があった。
前記特許文献2や3で開示された技術は、光閉じ込め効果に優れた形状を有し、異常成長を低減し、均一性を向上させたもので、光起電力素子の基板としては優れた特性をもつものであるが、さらに高い光起電力素子の特性を得るためには、さらなる光閉じ込め効果をもった基板が必要であること、また、基板形成後の後工程での基板の変形、切断などを行ったときにさらなる高い耐久性が必要であること、実使用条件下での耐環境性についてもさらなる向上が必要であること、及び、光起電力素子形成後の基板の歪みをより抑制する必要があること、という課題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、従来の方法に比べさらなる優れた特性・耐久性をもつ酸化亜鉛膜を安価に形成することができ、これを光起電力素子に組み入れることにより、効率の高い素子を安価に供給することを目的とする。
本発明者等は、第1の発明として、基体上に形成された酸化亜鉛膜であって、該酸化亜鉛膜は表面に第1の面と第2の面が1の曲線で接する構成を有する凸部からなる構成物を複数有し、該構成物が有する該第1の面の平均傾斜角の大きさが30°以上60°以下の範囲にあり、該第2の面の平均傾斜角の大きさが10°以上35°以下の範囲にあるものが、該複数の構成物の半数以上であることを特徴とする酸化亜鉛膜、及び、第2の発明として、前記酸化亜鉛膜上に半導体層を積層させて形成した光起電力素子を提供する。
上記第1、第2の発明においては、前記第1の面が曲面からなり、前記第2の面が概略平面からなることが好ましく、前記第2の面が、酸化亜鉛の(002)面であることが好ましい。また、本発明においては、前記第1の面の平均傾斜角が前記第2の面の平均傾斜角よりも大きい凸部が、前記複数の凸部の半分以上であること、前記基体への前記第1の面の投影面積が、前記基体への前記第2の面の投影面積よりも小さい凸部が、前記複数の凸部の半分以上であること、前記凸部からなる構成物を、前記基体上に投影したとき、その投影図の形状の長径が、800nm以上10μm以下である構成物が、全体の80%以上であることが好ましい。
本発明者等は、第3の発明として、酸化亜鉛膜と、1組以上のpin接合を有する半導体層を含む光起電力素子において、前記酸化亜鉛膜に最も近いpin接合で吸収される光のうち、最も光収集効率の高い光の波長をXとしたときに、前記酸化亜鉛膜の前記半導体層に近い側の表面形状が、サンプリング長をXとしたときに求まる平均傾斜角をA、サンプリング長をX/10としたときに求まる平均傾斜角をBとしたときに、A≧15°且つ1≧A/B≧0.5の関係を満たすことを特徴とする光起電力素子を提供する。
上記第3の発明においては、前記Aの値がA≦40°であることが好ましい。また、前記A及びBが、0.9≧A/B≧0.6の関係を満たすことが好ましい。さらに、前記酸化亜鉛膜の少なくとも一部を、水溶液からの電気化学的反応による電析法によって形成したことが好ましい。
さらに、本発明者等は、第4の発明として、酸化亜鉛膜と半導体層を積層させて形成した光起電力素子であって、該酸化亜鉛膜は、複数の凸部からなり、所定の面積あたりの前記凸部の個数から求まる平均径の大きさが、1000nm以上2500nm以下であり、該凸部の長径の値aと短径の値bとの比c=a/bが1.5≦c≦7の範囲にあるものが、該凸部の半数以上であることを特徴とする光起電力素子を提供する。
さらにまた、本発明者等は、第5の発明として、酸化亜鉛膜と、1組以上のpin接合を有する半導体層を含む光起電力素子において、前記酸化亜鉛膜の光入射側面は複数の凸部を有し、該凸部の傾斜角の度数分布の極大が2つであることを特徴とする光起電力素子を提供する。
上記第5の発明においては、前記亜鉛膜上のpin接合を有する半導体層の光入射側面が複数の凸部を有し、該凸部の傾斜角の度数分布の極大が1つであることが好ましい。
さらに、上記第1乃至第5の発明においては、前記酸化亜鉛膜の少なくとも一部を、水溶液からの電気化学的反応による電析法によって形成することが好ましい。また、前記酸化亜鉛膜が、スパッタ法で形成した第一の酸化亜鉛膜と、該第一の酸化亜鉛膜上に、水溶液からの電気化学的反応による電析法で形成した第二の酸化亜鉛膜による積層構成からなることが好ましい。前記半導体層が微結晶を含むことが好ましい。
また、本発明者等は、第6の発明として、導電性基体と対向電極とを少なくとも硝酸イオンと亜鉛イオンとsp2混成軌道を有する複数の炭素にカルボキシル基が結合した多価カルボン酸又はそのエステルを含有する水溶液に浸漬し、該導電性基体と対向電極との間に通電することにより該導電性基体上に酸化亜鉛膜を形成する酸化亜鉛膜の形成方法において、第1の電流密度で酸化亜鉛膜を形成する工程と、第2の電流密度で酸化亜鉛膜を形成する工程とを少なくとも有することを特徴とする酸化亜鉛膜の形成方法を提供する。
上記第5の発明において、前記第2の電流密度は前記第1の電流密度より大きいことが好ましい。また、第2の電流密度で形成する酸化亜鉛膜の厚さは、第1の電流密度で形成する酸化亜鉛膜の厚さよりも大きいことが好ましい。さらに、前記水溶液中の亜鉛イオン濃度Aと硝酸イオン濃度Bの関係が、2A<Bであることが好ましい。
基体上に形成された酸化亜鉛膜であって、該酸化亜鉛膜は表面に第1の面と第2の面が1の曲線で接する構成を有する凸部からなる構成物を複数有し、該構成物が有する該第1の面の傾斜角の大きさが30°以上60°以下の範囲にあり、該第2の面の傾斜角の大きさが10°以上35°以下の範囲にあるものが、該複数の構成物の半数以上であることを特徴とする酸化亜鉛膜は、従来知られていた凹凸構造よりも光閉じ込め効果に優れた形状であり、基板形成後の後工程での基板の変形、切断などを行ったときにさらなる高い耐久性をもち、及び実使用条件下での耐環境性が高いことを見出した。
また、酸化亜鉛膜と、1組以上のpin接合を有する半導体層を含む光起電力素子において、前記酸化亜鉛膜に最も近いpin接合で吸収される光のうち、最も光収集効率の高い光の波長をXとしたときに、前記酸化亜鉛膜の前記半導体層に近い側の表面形状が、サンプリング長をXとしたときに求まる平均傾斜角をA、サンプリング長をX/10としたときに求まる平均傾斜角をBとしたときに、A≧15°且つ1≧A/B≧0.5の関係を満たすことを特徴とする光起電力素子は、従来知られていた光起電力素子に対して、特に長波長領域での優れた吸収特性を示し、さらには密着性に優れ、基板形成後の後工程での基板の変形、切断などを行ったときにさらなる高い耐久性をもち、光起電力素子形成後の基板の歪みをより抑制すること、及び実使用条件下での耐環境性が高いことを見出した。
また、酸化亜鉛膜と半導体層を積層させて形成した光起電力素子であって、該酸化亜鉛膜は、複数の凸部からなり、所定の面積あたりの前記凸部の個数から求まる平均径の大きさが、1000nm以上2500nm以下であり、該凸部の長径の値aと短径の値bとの比c=a/bが1.5≦c≦7の範囲にあるものが、該凸部の半数以上であることを特徴とする、光起電力素子では、酸化亜鉛膜の反射特性をより半導体層に適したものにすることができ、酸化亜鉛膜と隣接する層との密着性に優れ、実使用条件下での耐環境性が高いことを見出した。
また、第一の面と第二の面を有する半導体層において、複数の凸部を有する該第一の面の該凸部の傾斜角の度数分布の極大が2つであり第二の面の該凸部の傾斜角の度数分布の極大が1つであることを特徴とする半導体層を用いることを特徴とする光起電力素子は、従来知られていた光起電力素子に対して特に長波長領域での優れた吸収特性を示し、きわめて優れた光閉じ込め効果が得られ、且つシャントパスを誘発するなどの弊害を起こすことなく素子特性の向上が図られた。
前述した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明者等は、基体上に形成された酸化亜鉛膜であって、該酸化亜鉛膜は表面に第1の面と第2の面が1の曲線で接する構成を有する凸部からなる構成物を複数有し、該構成物が有する該第1の面の平均傾斜角の大きさが30°以上60°以下の範囲にあり、該第2の面の平均傾斜角の大きさが10°以上35°以下の範囲にあるものが、該複数の構成物の半数以上であることを特徴とする酸化亜鉛膜は、従来知られていた凹凸構造よりも光閉じ込め効果に優れた形状であり、基板形成後の後工程での基板の変形、切断などを行ったときにさらなる高い耐久性をもち、及び実使用条件下での耐環境性が高いことを見出した(第1、第2の発明)。
本発明者等は、酸化亜鉛膜と、1組以上のpin接合を有する半導体層を含む光起電力素子において、前記酸化亜鉛膜に最も近いpin接合で吸収される光のうち、最も光収集効率の高い光の波長をXとしたときに、前記酸化亜鉛膜の前記半導体層に近い側の表面形状が、サンプリング長をXとしたときに求まる平均傾斜角をA、サンプリング長をX/10としたときに求まる平均傾斜角をBとしたときに、A≧15°且つ1≧A/B≧0.5の関係を満たすことを特徴とする光起電力素子は、従来知られていた光起電力素子に対して、特に長波長領域での優れた吸収特性を示し、さらには密着性に優れ、基板形成後の後工程での基板の変形、切断などを行ったときにさらなる高い耐久性をもち、光起電力素子形成後の基板の歪みをより抑制すること、及び実使用条件下での耐環境性が高いことを見出した(第3の発明)。
また、本発明者等は、酸化亜鉛膜と半導体層を積層させて形成した光起電力素子であって、該酸化亜鉛膜は、複数の凸部からなり、所定の面積あたりの前記凸部の個数から求まる平均径の大きさが、1000nm以上2500nm以下であり、該凸部の長径の値aと短径の値bとの比c=a/bが1.5≦c≦7の範囲にあるものが、該凸部の半数以上であることを特徴とする、光起電力素子では、酸化亜鉛膜の反射特性をより半導体層に適したものにすることができ、酸化亜鉛膜と隣接する層との密着性に優れ、実使用条件下での耐環境性が高いことを見出した(第4の発明)。
さらに、本発明者等は、半導体層の面形状において、複数の凸部から構成される第一の面での該凸部の傾斜角の度数分布の極大が2つであり、第二の面での該凸部の傾斜角の度数分布の極大が1つであることを特徴とする半導体層を特徴とする光起電力素子は、従来知られていた光起電力素子に対して、きわめて優れた光閉じ込め効果が得られ、且つシャントパスを誘発するなどの弊害を起こすことなく素子特性の向上が図られることを見出した(第5の発明)。
一方、先に示した先行技術に開示されている水溶液からの電析によって形成された電析法による酸化亜鉛膜も、条件によっては本発明と類似した表面形状を取り得る。しかし、本発明者等の知見によれば、単に形状が類似しているだけでは、特に光起電力素子の構成要素として、光閉じ込め効果を十分に発現するためには、必ずしも最適とはいえない。
即ち、各面の傾斜角及びその存在割合まで含めて、特定の範囲に制御すること、或いは、前記酸化亜鉛膜に最も近いpin接合で吸収される光のうち、最も光収集効率の高い光の波長をXとしたときに、サンプリング長をXをしたときに求まる平均傾斜角と、サンプリング長をX/10としたときに求まる平均傾斜角の関係を、特定の範囲に制御することにより、特性がより一層向上することが、本発明の本質であるといえる。
以下に本発明の特徴が及ぼす作用について説明する。
基体上に形成した酸化亜鉛膜を、光閉じ込め効果の優れた構造にするためには、その表面形状をテクスチャー構造とすることが好ましいものである。ここで、光閉じ込め効果をより優れたものとするためには、酸化亜鉛表面の平均傾斜角を相対的に大きくすることが、反射する光の光路長を伸ばすことができるために、光学的に有利である。
さらに、所望の波長領域でより多くの光閉じ込め効果を得つつ、同時に光起電力素子として高い特性を得るためには、凹凸のサイズを適切に制御することが重要な技術課題となることを本発明者等は見出した。
具体的には、酸化亜鉛膜と、1組以上のpin接合を有する半導体層を含む光起電力素子においては、前記酸化亜鉛膜に最も近いpin接合で吸収される光のうち、最も光収集効率の高い光の波長域に対して、光閉じ込め効果を十分に発現するように凹凸形状のスケールを制御したものが、好ましいものである。また、その凹凸形状は、光起電力素子として使用するために求められる、密着性、耐久性、耐環境性を十分に発現するために必要な凹凸形状と両立していることも、同時に求められる。
そこで本発明者等は、基板表面の凹凸形状を、大きな周期の凹凸形状と、小さな周期の凹凸形状の組み合わせという概念でとらえ、この観点から光起電力素子として求められる凹凸形状を考察したところ、傾斜角を求める際のスキャン長であるサンプリング長と傾斜角の関係を、特定の範囲に制御するように形成することにより、所望の酸化亜鉛膜を得ることができることを見出したものである。
ここで、サンプリング長と傾斜角の概念の一例を図7により説明すると、まず、最小単位となる単位格子長を決め、次に単位格子長の間隔で基板の表面の決められた範囲内に2次元的に格子点を配置し(図7の●)、各格子点の基準レベルからの標高を、原子間力顕微鏡などの手段を用いて測定する。次に単位格子長の任意の整数倍からなるサンプリング長を決め、そのサンプリング長を一辺とする直角二等辺三角形を、表面内に順次作成する。該直角二等辺三角形の頂点に相当する格子点の高さ位置から、各直角二等辺三角形の面の傾斜角を求め、範囲内で定義されるすべての直角二等辺三角形の平均値を、そのサンプリング長における平均傾斜角と定義する。
図7(a)は、サンプリング長を単位格子長と同一にした場合を示している。定義される直角二等辺三角形は、単位格子長を一辺とする直角二等辺三角形となり、表面はこれらの直角三角形により、重なる部分がなくすべて覆われ、これらの直角三角形からそれぞれ求まる傾斜角の平均値が、サンプリング長を単位格子長と同一にした場合の平均傾斜角として定義される。また図7(b)は、サンプリング長を単位格子長の2倍とした場合を示している。この場合に定義される直角二等辺三角形は、単位格子長の二倍の長さを一辺とする直角二等辺三角形となり、それぞれの直角二等辺三角形は単位格子長だけずれて、重なりながら配置される。サンプリング長を単位格子長の2倍とした場合の平均傾斜角は、サンプリング長を単位格子長と同一にした場合と同様に、それぞれの直角三角形の傾斜角を求め、その平均値として定義される。以下、同様な方法で、任意のサンプリング長における平均傾斜角を定義することが可能である。このようにして定義される平均傾斜角の大きさは、サンプリング長未満のサイズの凹凸構造を反映しないので、サンプリング長以上の周期の凹凸構造を表したものと考えられる。
以下、第1、第2の発明について説明する。
本発明において、第1、第2の発明にかかる平均傾斜角は、最小単位となるサンプリング長を単位格子長の間隔である50nmとし、測定対象の20μm×20μmの領域に二次元的に格子点を配置し、各格子点の基準レベルからの標高を、原子間力顕微鏡などの手段を用いて測定する。基準レベルは、標高を算出するための仮想水平面で、基板を水平な台上に置いた時の当該台表面に相当する仮想面である。次に、上記サンプリング長を一辺とする直角二等辺三角形を、表面内に順次作成する。該直角二等辺三角形の頂点に相当する格子点の高さ位置から、各直角二等辺三角形の面の傾斜角を求め、範囲内で定義されるすべての直角二等辺三角形の平均値を、本発明にかかる平均傾斜角と定義する。
ここで、面内の平均傾斜角が同じ構成である例として、各領域の傾斜角の大きさが均一である場合と、ばらつきがある場合とでは、各領域の傾斜角の大きさが均一であるよりも、相対的にばらつきがあり、特に各面の傾斜角及びその存在割合まで含めて、特定の範囲に制御することにより、酸化亜鉛層の上位層である光起電力素子での光の吸収量が高まるという事実を本発明者等は見出した。この詳細な理由は不明であるが、この構成とすることより、酸化亜鉛膜から上位層へ反射する光の光路長をより伸ばす効果があるものと推察され、好ましいものである。特に一つの凸部からなる構成物に、傾斜角の大きな部分と、傾斜角の小さな部分が含まれている構成は、傾斜角の大きな領域と、傾斜角の小さな領域が、面内で均一に分散するように存在することになるため、より光閉じ込めの効果を発揮させることになるものと推測している。
ただし、傾斜角が大きすぎる領域では、表面形状のなかに、鋭利な凸部や凹部といった特異領域が形成される。この場合は、酸化亜鉛膜上に上位膜を形成する際に、前記特異領域近傍において、異常成長の発生や、膜形成が行われない領域となりやすく、前記上位膜の膜特性の低下を引き起こし、また、形成初期或いは実使用条件下での使用過程において、クラックの発生や応力集中領域の発生を誘発し、耐環境性上問題を生じていた。また、基板の変形、切断時に膜はがれが生じやすいという問題が生じていた。また、傾斜角が小さすぎる領域では、光閉じ込めの効果に乏しかった。
また、凹凸形状を、曲面と平面を組み合わせた構成においては、基板形成後に熱履歴の変化や、高湿度環境下の工程を経たあとでも、基板歪みの発生が抑制されたり、酸化亜鉛の上位層との膜剥がれが抑制される効果が発現される。この現象が起こる理由についての詳細な理由は不明であるが、本発明者等は、曲面と平面を組み合わせた構成は外部応力を吸収しやすい構造となっている、表面の凹凸形状の鋭角な変化を曲面部で緩やかにすることができる、上位層との接合面の傾きを変化させる構成が密着性を高めている、などの効果により、本発明の構成をもつことにより、凹凸形状を発達させつつ、耐環境性に優れた特性を両立させることができるものと推測している。
以上の事情を鑑み、基体上に形成された酸化亜鉛膜であって、該酸化亜鉛膜は表面に第1の面と第2の面が1の曲線で接する構成を有する凸部からなる構成物を複数有し、該構成物が有する該第1の面の平均傾斜角の大きさが30°以上60°以下の範囲にあり、該第2の面の平均傾斜角の大きさが10°以上35°以下の範囲にあるものが、該複数の構成物の半数以上である構成とすることにより、光閉じ込め効果をより優れたものとするとともに、上記の問題点を抑制することを両立させることができる。
尚、本発明において、前記第1の面と第2の面が1の曲線で接する構成を有する凸部とは、具体的には、曲線状の稜線の左右に斜面を有する凸部からなる構成物で、曲線状の稜線は弧状の稜線であることが好ましい。また、この凸部からなる構成物とは、単独の凸部、複数の凸部の結合物または凸部同志の交差物をいう。
本発明における第1の面と第2の面は、該略平面でも曲面でもよいが、曲面と平面を組み合わせた構成においては、基板形成後に熱履歴の変化や、高湿度環境下の工程を経たあとでも、基板歪みの発生が抑制されたり、酸化亜鉛の上位層との膜剥がれが抑制される効果が発現されることから、第1の面が曲面からなり、第2の面が概略平面からなることが好ましい。
特に上記概略平面からなる第2の面が、酸化亜鉛の(002)面であると、面内のクラックの発生が抑制されるために好ましいものである。その詳細な理由は不明であるが、酸化亜鉛は(002)面が面内の原子密度が最も大きな面で表面自由エネルギーが小さいため、平均傾斜角が小さく、第1の面に比してより広い面積を表面にあわらしやすい前記第2の面が、(002)面であることが、上位層との密着性の強化にも寄与しているものと本発明者等は推測している。
前記酸化亜鉛上にシリコン系半導体層を積層させた光起電力素子においては、半導体材料のバンド端に近く、その吸収の小さくなる波長、即ち800nmから1200nmで有効な反射特性を示すのが望ましい。ここで、前記凸部からなる構成物の大きさが、反射すべき光の波長に比べて微細なものでは、凹凸形状であることの効果が十分に発現されない、逆に大きくなりすぎると乱反射の効果が小さくなったり、素子としての特性が低下してしまうという問題点が生じる。例えば、上位層を光起電力素子とした場合に、酸化亜鉛膜の凸部からなる構成物の大きさがその直上に形成される半導体層の膜厚に比べて相対的に大きくなりすぎることにより、光起電力素子の開放電圧の値が小さくなってしまう。これは、実質的なn型半導体層及び/またはp型半導体層の膜厚の確保ができなくなるためではないかと思われるが、このような特性低下の問題点が発生する。ここで、酸化亜鉛膜の凹凸形状を、基体上に投影したとき、その投影図の形状の長径が、800nm以上10μm以下である構成物が、全体の80%以上である構成にすることにより、光閉じ込め効果を大きく発現しつつ、上記の問題点を発生させないことを両立させることができるために好ましいものである。
基体上に形成された酸化亜鉛膜であって、該酸化亜鉛膜は表面に第1の面と第2の面が1の曲線で接する構成を有する凸部からなる構成物を複数有し、該構成物が有する該第1の面の平均傾斜角の大きさが30°以上60°以下の範囲にあり、該第2の面の平均傾斜角の大きさが10°以上35°以下の範囲にあるものが、該複数の構成物の半数以上であることを特徴とする酸化亜鉛膜の形成方法としては、少なくともその一部を水溶液からの電気化学的反応による電析法によって行うことにより、スパッタ法などの他の形成方法によって行った場合と比べて形状の制御が、形成後に加工するなどの手段をとることなく、可能である点から好ましいものである。特に、酸化亜鉛膜の表面層を電析法で行うことは好ましいものである。さらにスパッタ法では必要となる、高価な酸化物ターゲットや真空装置が電析法では不要であり、材料も製造装置も低コストで作成することが可能であるため、少なくとも一部の酸化亜鉛を電析法で形成することは、コストの面からも有利である。
酸化亜鉛膜の下部層との組み合わせによっては、酸化亜鉛膜と下部層との密着性をより強化する必要がある場合、或いは下部層上に電析法では酸化亜鉛の成長核の形成が難しい場合など、下部層上に直接電析法で酸化亜鉛膜の形成をすることが困難である場合には、前記酸化亜鉛膜を、第一の酸化亜鉛膜をスパッタ法でまず形成し、該第一の酸化亜鉛膜上に、水溶液からの電気化学的反応による電析法で第二の酸化亜鉛膜を積層する層構成とすることは、好ましいものである。
以下、第3の発明について説明する。
平均傾斜角という概念から表面形状を考察すると、前記酸化亜鉛膜に最も近いpin接合で吸収される光のうち、最も光収集効率の高い光の波長をXとしたときに、サンプリング長Xで求まる平均傾斜角の大きさをAとすると、A≧15°という構成が、吸収するべき波長の光に対する光閉じ込め効果が優れていることになり、好ましいものである。ただし、Aの値が大きすぎる構成では、表面形状のなかに、鋭利な凸部や凹部といった特異領域が形成されており、この場合前記特異領域上に半導体層を形成すると、特異領域への膜の堆積速度が相対的に小さいため、或いは表面積が大きくなるために実質的な膜厚が他の領域に比べて薄くなってしまうために、所望の特性を得られないという問題点が生じる。例えば、前記特異領域上に光起電力素子の構成部であるn型半導体層またはp型半導体層を形成した場合には、n型半導体層またはp型半導体層の実質的な膜厚が小さくなってしまうために、光起電力素子の開放電圧の値が小さくなってしまうという問題点が発生してしまい好ましくない。そのため、A≦40°であることが、より好ましい構成として挙げられる。
酸化亜鉛膜と上位層との密着性を良好にするためには、サンプリング長をX未満としたときに求まる平均傾斜角の大きさが、サンプリング長をXとしたときに求まる平均傾斜角Aの値よりも大きな値をもつことが好ましい傾向である。ただし、この傾向が大きすぎる場合、即ち、大きな周期の凹凸形状に比べて小さな周期の凹凸形状の発達が大きすぎる場合には、上位層の形成において、異常成長の発生や、膜形成が行われない領域となりやすく、かえって密着性を低下させてしまう。このことは、前記上位膜の膜特性の低下を引き起こし、また、形成初期或いは実使用条件下での使用過程において、クラックの発生や応力集中領域の発生を誘発し、耐環境性上問題を生じさせてしまう。また、基板の変形、切断時に膜はがれがしやすいという問題も生じる。さらに、小さな周期の凹凸が堅固に発達していると、上位層の形成時の熱履歴に起因した酸化亜鉛膜の内部応力が増大し、基板の歪みの発生の要因にもなる。以上を鑑みて、本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、大きな周期の凹凸形状と小さな周期の凹凸形状の好ましい関係を見出した。即ち、酸化亜鉛膜と、1組以上のpin接合を有する半導体層を含む光起電力素子において、前記酸化亜鉛膜に最も近いpin接合で吸収される光のうち、最も光収集効率の高い光の波長をXとしたときに、前記酸化亜鉛膜の前記半導体層に近い側の表面形状が、サンプリング長をXとしたときに求まる平均傾斜角をA、サンプリング長をX/10としたときに求まる平均傾斜角をBとしたときに、A/Bの値が、1≧A/B≧0.5の関係を満たすことを特徴とする、光起電力素子では、密着性、耐久性、耐環境性を十分に発現するために必要な凹凸形状を両立させることができることを見出した。さらに、0.9≧A/B≧0.6の関係を満たす構成では、酸化亜鉛膜形成後に半導体層を形成した後での、基板の歪みが小さい効果が特に優れているので、より好ましい構成として挙げられる。
ここで、第3の発明における平均傾斜角は、先に図7により説明した単位格子長を最も光収集効率の高い光の波長Xの1/10として、次に単位格子長の間隔で測定対象物の表面の20μm×20μmの領域に格子点を配置し、各格子点の基準レベルからの標高を、原子間力顕微鏡などの手段を用いて測定する。次にサンプリング長(X及びX/10)を一辺とする直角二等辺三角形を、表面内に順次作成する。該直角二等辺三角形の頂点に相当する格子点の高さ位置から、各直角二等辺三角形の面の傾斜角を求め、範囲内で定義されるすべての直角二等辺三角形の平均値を、そのサンプリング長における平均傾斜角と定義する。
酸化亜鉛膜の半導体層に近い側の表面形状が、サンプリング長をXとしたときに求まる平均傾斜角をA、サンプリング長をX/10としたときに求まる平均傾斜角をBとしたときに、A≧15°且つ1≧A/B≧0.5の関係を満たす酸化亜鉛膜の形成方法としては、少なくともその一部を水溶液からの電気化学的反応による電析法を用いることにより、スパッタ法などの他の形成方法と比べて形状の制御が、形成後に加工するなどの手段をとることなく、可能である点から好ましいものである。特に、酸化亜鉛膜の表面層の形成を電析法で行うことは好ましいものである。さらにスパッタ法では必要となる、高価な酸化物ターゲットや、真空装置が、電析法では不要であり、材料も製造装置も低コストで作成することが可能であるため、少なくとも一部の酸化亜鉛を電析法で形成することは、コストの面からも有利である。
酸化亜鉛膜と下部層との組み合わせによっては、酸化亜鉛膜と下部層との密着性をより強化する必要がある場合や、或いは下部層上に電析法では酸化亜鉛の成長核が形成することが難しい場合など、下部層上に直接電析法で酸化亜鉛膜の形成をすることが困難である場合には、前記酸化亜鉛膜を、第一の酸化亜鉛膜をスパッタ法でまず形成し、該第一の酸化亜鉛膜上に、水溶液からの電気化学的反応による電析法で第二の酸化亜鉛膜を積層する層構成とすることは、好ましいものである。この場合、第二の酸化亜鉛膜の条件を、第一の酸化亜鉛膜の材質や形状に合わせて調整することで、様々な表面形状を有する酸化亜鉛膜を形成することが可能である。その中から本発明で示した形状となる条件を選ぶことで、所望の酸化亜鉛膜を得ることができ、それを用いることによって、優れた特性・耐久性をもつ光起電力素子を形成することができる。
以下、第4の発明について説明する。
基体上に形成した酸化亜鉛膜を、反射特性の優れた構造にするためには、その表面形状を適切なサイズの凹凸構造となるように制御し、反射すべき波長域の光を、十分に反射することのできる形状とすることが好ましいものである。具体的には、反射すべき波長域のオーダーの凹凸形状を有していることが好ましい。
さらに、上記で記したように表面を凹凸形状とした場合には、反射特性に優れた酸化亜鉛膜を得ることに加えて、酸化亜鉛膜と隣接する層との密着性が向上するという別の効果も発現される。この効果についての詳細は不明であるが、表面に適度な凹凸形状を有するように制御することによって、酸化亜鉛膜の表面積が適度に増大し、内部応力が緩和されるためではないかと推測している。特に、電析法を用いた場合には、スパッタ法や蒸着法などの気相法と比較して、酸化亜鉛膜の形成プロセスにおいて、膜形成領域での原子の表面拡散が小さいために、原子が格子に組み込まれるまでの時間が短いこと、水溶液に含まれている微量の添加物・不純物が膜中に取り込まれること、形成温度が水溶液の沸点以下の温度に限定されるため膜中の原子の再配列が起こりにくいこと、などの要因により、形成された酸化亜鉛膜は、相対的に大きな内部応力を有していると考えられている。そのため、表面が平面形状である場合よりも、凹凸形状である場合の内部応力の緩和の効果が、特に有効に発現され、隣接する層との密着性の向上に大きく寄与しているものと思われる。
以上のことをふまえ、酸化亜鉛膜と水素化非晶質シリコン、水素化非晶質シリコンゲルマニウム、水素化非晶質シリコンカーバイド、微結晶シリコンまたは多結晶シリコンなどからなる半導体層を積層させて形成した光起電力素子において、適切な酸化亜鉛膜の形状について考察を行なうと、上記酸化亜鉛膜は、半導体層の吸収効率の小さくなる800nmから1200nmの範囲の波長域で有効な反射特性を示し、且つ酸化亜鉛と隣接する層との密着性を確保することを両立する形状となっていることが好ましいものと言うことができる。このことをより高いレベルで実現させるためには、酸化亜鉛の凸部の形状に着目し、その平均径の大きさと、凸部の長径と短径の比の値を、特定の範囲に制御することが、重要な技術課題となることを本発明者等は見出した。具体的には、酸化亜鉛膜と半導体層を積層させて形成した光起電力素子においては、該酸化亜鉛膜は、複数の凸部からなり、所定の面積あたりの前記凸部の個数から求まる平均径の大きさが、1000nm以上2500nm以下であり、該凸部の長径の値aと短径の値bとの比c=a/bが1.5≦c≦7の範囲にあるものが、該凸部の半数以上であるように制御することが好ましい形態であることを見出したものである。
ここで、所定の面積あたりの前記凸部の個数から求まる平均径rは、所定の領域(例えば一辺の長さがcである面積c2の正方形)内の凸部の個数nを、顕微鏡などを用いた写真、画像などの観察像手段を用いて数え、r=c/(nπ)1/2の式から算出することができる。同様に長径aと短径bの値も、観察手段から求めることができる。尚、観察像手段から把握される凸部の稜線の長さの平均値を長径の平均値とする。そして、(長径の平均値)×(短径の平均値)=r2から短径の平均値を求めることができる。
より簡便な方法として、原子間力顕微鏡と制御・解析ソフトを用いた方法を、図13を用いて説明すると、酸化亜鉛表面の所定の面積内に二次元的に格子点を配置し、各格子点の基準レベルからの標高を、原子間力顕微鏡を用いて測定する。次に求めた各格子点の標高位置を元に、単位格子長を一辺とする直角二等辺三角形の面の傾斜角θをそれぞれ算出させ、求めた傾斜角θの増減関係から表面形状の稜線を規定し、規定された稜線の数を所定の領域内の凸部の個数nとし、上記の式から平均径rを算出する。また長径aと短径bの値も、傾斜角θから表面形状の谷の部分を特定して、個々の凸部の領域を規定することにより算出することができる。
尚、長径の平均値及び短径の平均値は、傾斜角θの増減関係から稜線を特定した上で、前述の考え方に従って算出することができる。本願明細書において、傾斜角θ、平均径r、長径a、短径b、長径の平均値、短径の平均値は、特に断らない限り上記簡便な方法で算出したものを採用している。
また、上記簡便な方法を採用した場合、長径a、平均径rは見た目の値よりも小さくなる。その理由は、各凸部が互いに重なり合った部分で一方の凸部の稜線が切断され、複数の稜線としてカウントされるためである。
該酸化亜鉛膜の所定の面積あたりの前記凸部の個数から求まる平均径の大きさが、1000nm以上2500nm以下であり、該凸部の長径の値aと短径の値bとの比c=a/bが1.5≦c≦7の範囲にあるものが、該凸部の半数以上である構成が好ましい理由として、本発明者等は以下のように考えている。即ち、相関関係については現状では不明確な部分もあるものの、凸部の大きさが、反射特性や密着性に影響を及ぼしているものと考えている。即ち、凸部の大きさが相対的に小さくなると、所望の波長域の反射特性が十分ではなく、特に長波長域で干渉を起すことにより、反射率が低下するという傾向が生じる。
一方、凸部の大きさが相対的に大きくなると、特に酸化亜鉛膜の膜厚が大きくなったときには、酸化亜鉛膜の内部応力が増加して、隣接する層との密着性が低下するという傾向が生じる。これらの傾向を踏まえ、より反射特性が高く、隣接する層との密着性が高い構成を検討した結果、凸部の形状としては、その投影面が概略円形である構成よりも、長径aと短径bの値に、ある程度の差を設けた形状とし、凸部が大きなスケールであることによって得られる効果と、小さなスケールで得られる効果を、併せて活用できる構成とすることが好ましいこと、具体的には1.5≦c≦7の範囲の構成が好ましいことを見出したものである。
また、例えばピラミッド型形状に代表される、凹凸形状が概略平面で構成された斜面からなる酸化亜鉛膜に半導体層が隣接する構成において、前記半導体層が微結晶を含む構成である場合には、光閉じ込め効果から考察される凹凸形状を用いた基板では、変換効率が低下してしまうことが知られている。これは、概略平面で構成された斜面からなる凹凸形状では、微結晶が成長するに従って、特に凹部近傍を中心に結晶粒どうしが衝突を起こしてしまい、それに起因する欠陥が増加してしまうためであると考えられている。
ここで、本発明で開示した形状では、凸部内の傾斜角は概略一定の値をとらずに分布を持つため、結晶粒の衝突に起因する欠陥の生成が抑制される効果が発現しているものと推測している。その理由としては、本発明の構成では、酸化亜鉛膜の表面に露出している酸化亜鉛の面方位は場所により異なっているため、酸化亜鉛膜上に不均一に半導体層の核形成が行なわれるため、或いは基体の法線方向に対する面の角度が随時異なっているため、酸化亜鉛膜上への半導体層を形成する原子の付着確率が異なるためではないかと思われる。
また、凹部の形状の鋭角が緩和されることにより、半導体層を構成する微結晶の結晶粒の衝突が抑制する効果も発現しているのではないかと推測している。これらの効果により、光起電力素子との実使用条件下での耐環境性も高まると考えられる。以上のことから、本発明の構成は、従来知られている構成のものよりも反射特性の優れた酸化亜鉛膜の形状を提供し、加えて、その酸化亜鉛膜上に微結晶を含む半導体層を形成して光起電力素子とした場合には、より優れた半導体層とすることができるために、好ましいものであると言える。
以下、第5の発明について説明する。
本発明者等は、前述の課題を解決するために単に半導体層の面形状における該凸部の傾斜角の平均値だけではなく、傾斜角の度数分布に注目し検討を行なった。その結果、半導体層の両界面の該凸部の傾斜角の度数分布が大きく異なること、さらには該凸部の傾斜角の度数分布の極大の数が異なることが優れた光閉じ込め効果を発現し、素子特性がより一層向上することを見出した。
但し、該凸部の傾斜角の度数分布はブロードな場合が多く、事実上、複数の分布の合成と見ることができる。本発明ではその複数の分布中心の角度の違いを議論するのではなく、明らかに分布が異なり度数分布の極大の数が異なることが特性に影響を与えることを見出した。その中でも酸化亜鉛膜側の面(以下、第一の面)及び光入射側面(以下、第二の面)の該凸部の傾斜角の度数分布の特徴として度数分布の極大がそれぞれ2つ及び1つの場合に、優れた光閉じ込め効果が確認された。
ここで、角度の度数分布の極大の定義として、角度θの度数分布関数をf(θ)とみなしたとき、その2次微分のピーク(上に凸)が2つで度数分布関数f(θ)が極大1つを持つものとする。そして、2次微分のピークが3つもしくは4つあることが度数分布関数f(θ)が極大2つを持つものと定義する。もちろん、微分処理を行なう際、度数分布関数f(θ)の測定上のノイズ成分とみなされるスパイク及び微小ピークについてはスムージング処理により取り除くものとする。
このようにして得られる複数の凸部から構成される酸化亜鉛膜の光入射側面の該凸部の傾斜角の度数分布の2つの極大のそれぞれの中心値は低角度側から一方は5°以上35°以下に有り、他方は30°以上70°以下にあることが望ましい。
半導体層の両面において、光閉じ込め効果の優れた形状にするためには、その両面の形状を凹凸構造とすることが好ましいものである。このとき、半導体の下地層のみの凹凸構造形成により光閉じ込め効果の最大化を目指した場合には、下地層の該凸部の平均傾斜角を大きくする必要があったが、傾斜角が大きすぎる領域では、表面形状のなかに、鋭利な凸部や凹部といった特異領域が形成されてしまう。このような特異領域上に上位膜を形成した場合には、前記特異領域近傍において、異常成長の発生や、膜形成が行われない領域を形成しやすくなるなどの理由により、前記上位膜の膜特性の低下を引き起こし、また、形成初期或いは実使用条件下での使用過程において、クラックの発生や応力集中領域の発生を誘発し、耐環境性上の問題を生じていた。
そこで本発明者等が鋭意検討を行なった結果、半導体層の第一の面と、第二の面の両方の面の傾斜角の分布を異なるように形成することによって、前記二面に挟まれた半導体層内への光閉じ込め効果を高めるための各面の平均傾斜角の適性範囲が広がり、より低角度の傾斜角の面の組合せによっても、優れた光閉じ込め効果を得られることを見出した。具体的には、片方の面を、傾斜角の度数分布が極大を1つもつ構成とし、他方の面を、傾斜角の度数分布が極大を2つもつ構成では、両方の面の傾斜角の度数分布の極大の数が等しい構成と比べて、光の干渉性の抑制などにより半導体層内での光閉じ込め効果が格段に向上することを見出したものである。その結果、上記の耐環境性に関する問題点を実用上問題の無いレベルに抑制しつつ、且つ優れた光閉じ込め効果と同時に光起電力素子として高い特性を両立することが可能となった。
上記第5の発明における傾斜角は、先に説明した図7(a)において、最小単位となるサンプリング長を単位格子長の間隔である50nmとし、測定対象物の20μm×20μmの領域に二次元的に格子点を配置し、各格子点の基準レベルからの標高を、原子間力顕微鏡などの手段を用いて測定する。次に上記サンプリング長を一辺とする直角二等辺三角形を、表面内に順次作成する。該直角二等辺三角形の頂点に相当する格子点の高さ位置から、範囲内で定義されるすべての直角二等辺三角形の傾斜角を求めることによって得る。
また、本発明で示した半導体の面形状を得るためには、傾斜角の度数分布の極大が2つある下地層上に半導体層を形成する方法や、半導体層の第一及び第二の面をエッチング加工するなどの手段をとることも可能である。さらには、前述の電析法を用いる酸化亜鉛膜を下地層として半導体層を形成した後、酸化亜鉛膜の下地層をエッチングすることにより形成することも可能である。
本発明の酸化亜鉛膜形成方法としては、少なくともその一部を水溶液からの電気化学的反応による電析法を用いることにより、スパッタ法などの他の形成方法と比べて形状の制御が、形成後に加工するなどの手段をとることなく、可能である点から好ましいものである。特に、酸化亜鉛膜の表面層の形成を電析法で行うことは好ましいものである。さらにスパッタ法では必要となる、高価な酸化物ターゲットや、真空装置が、電析法では不要であり、材料も製造装置も低コストで作成することが可能であるため、少なくとも一部の酸化亜鉛を電析法で形成することは、コストの面からも有利である。
酸化亜鉛膜と下部層との組み合わせによっては、酸化亜鉛膜と下部層との密着性をより強化する必要がある場合や、或いは下部層上に電析法では酸化亜鉛の成長核が形成することが難しい場合など、下部層上に直接電析法で酸化亜鉛膜の形成をすることが困難である場合には、前記酸化亜鉛膜を、第一の酸化亜鉛膜をスパッタ法でまず形成し、該第一の酸化亜鉛膜上に、水溶液からの電気化学的反応による電析法で第二の酸化亜鉛膜を積層する層構成とすることは、好ましいものである。この場合、第二の酸化亜鉛膜の条件を、第一の酸化亜鉛膜の材質や形状に合わせて調整することで、様々な表面形状を有する酸化亜鉛膜を形成することが可能である。その中から本発明で示した形状となる条件を選ぶことで、所望の酸化亜鉛膜を得ることができ、それを用いることによって、優れた特性・耐久性をもつ光起電力素子を形成することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明の光起電力素子の構成要素について説明する。
図1、図2は本発明の基板及び光起電力素子の一例を示す模式的な断面図である。図中101は基板、102は半導体層で、102−1はn型半導体層、102−2はi型半導体層、102−3はp型半導体層、103は透明導電層、104は集電電極である。また、101−1は基体、101−2は反射層、101−3は酸化亜鉛膜で、101−3Aは第一の酸化亜鉛膜、101−3Bは第二の酸化亜鉛膜である。これらは基板101の構成部材であり、反射層101−2は必要に応じて形成する。
(基体101−1)
基体101−1としては、金属、樹脂、ガラス、セラミックス、半導体バルク等からなる板状部材やシート状部材が好適に用いられる。その表面には微細な凸凹を有していてもよい。透明材料で基体101−1を構成し、基体101−1側から光が入射する構成としてもよい。また、基体101−1を長尺の形状とすることによってロール・ツー・ロール法を用いた連続成膜を行うことができる。特にステンレス、ポリイミド等の可撓性を有する材料は基体101−1の材料として好適である。
基体101−1としては、金属、樹脂、ガラス、セラミックス、半導体バルク等からなる板状部材やシート状部材が好適に用いられる。その表面には微細な凸凹を有していてもよい。透明材料で基体101−1を構成し、基体101−1側から光が入射する構成としてもよい。また、基体101−1を長尺の形状とすることによってロール・ツー・ロール法を用いた連続成膜を行うことができる。特にステンレス、ポリイミド等の可撓性を有する材料は基体101−1の材料として好適である。
(反射層101−2)
反射層101−2は、電極としての役割と、到達した光を反射して半導体層102で再利用させる役割とを有する。その材料としては、Al、Cu、Ag、Au、CuMg、AlSiやこれらの合金を好適に用いることができる。また反射層101−2をNi、Cr、Tiなどの遷移金属との積層構造とすることも好適に用いることができる。基体101−1と反射層101−2の密着性をより向上させる効果が期待できる。反射層101−2の形成方法としては、蒸着、スパッタ、電析、印刷等の方法が好適である。反射層101−2は、その表面に凸凹を有することが好ましい。それにより反射光の半導体層102内での光路長を伸ばし、短絡電流を増大させることができる。
反射層101−2は、電極としての役割と、到達した光を反射して半導体層102で再利用させる役割とを有する。その材料としては、Al、Cu、Ag、Au、CuMg、AlSiやこれらの合金を好適に用いることができる。また反射層101−2をNi、Cr、Tiなどの遷移金属との積層構造とすることも好適に用いることができる。基体101−1と反射層101−2の密着性をより向上させる効果が期待できる。反射層101−2の形成方法としては、蒸着、スパッタ、電析、印刷等の方法が好適である。反射層101−2は、その表面に凸凹を有することが好ましい。それにより反射光の半導体層102内での光路長を伸ばし、短絡電流を増大させることができる。
(酸化亜鉛膜101−3)
酸化亜鉛膜101−3は、入射光及び反射光の乱反射を増大し、半導体層102内での光路長を伸ばす役割を有する。また、反射層101−2の元素が半導体層102へ拡散或いはマイグレーションを起こし、光起電力素子がシャントすることを防止する役割を有する。さらに、適度な抵抗をもつことにより、半導体層102のピンホール等の欠陥によるショートを防止する役割を有する。酸化亜鉛膜101−3は、その表面に凸凹を有していることが望ましい。
酸化亜鉛膜101−3は、入射光及び反射光の乱反射を増大し、半導体層102内での光路長を伸ばす役割を有する。また、反射層101−2の元素が半導体層102へ拡散或いはマイグレーションを起こし、光起電力素子がシャントすることを防止する役割を有する。さらに、適度な抵抗をもつことにより、半導体層102のピンホール等の欠陥によるショートを防止する役割を有する。酸化亜鉛膜101−3は、その表面に凸凹を有していることが望ましい。
即ち、その形状は、第1、第2の発明においては、表面に第1の面と第2の面が1の曲線で接する構成を有する凸部からなる構成物を複数有し、該構成物が有する該第1の面の平均傾斜角の大きさが30°以上60°以下の範囲にあり、該第2の面の平均傾斜角の大きさが10°以上35°以下の範囲にあるものが、該複数の構成物の半数以上であることが好ましいものである。
また、第3乃至第5の発明においては、酸化亜鉛膜に最も近いpin接合で吸収される光のうち、最も光収集効率の高い光の波長をXとしたときに、前記酸化亜鉛膜の前記半導体層に近い側の表面形状が、サンプリング長をXとしたときに求まる平均傾斜角をA、サンプリング長をX/10としたときに求まる平均傾斜角をBとしたときに、A≧15°且つ1≧A/B≧0.5の関係を満たす構成が好ましいものである。
上述した形状を形成するためには、前記酸化亜鉛膜101−3の少なくとも一部を、水溶液からの電気化学的反応による電析法によって形成するのが、表面形状の制御を、形成後に加工するなどの手段をとることなく、可能である点から好ましいものである。
電析法によって酸化亜鉛膜101−3を形成する条件は、耐腐食性容器内で、硝酸イオン、亜鉛イオンを含んだ水溶液を用いるのが好ましい。硝酸イオン、亜鉛イオンの濃度は、0.002〜2.0mol/lの範囲にあるのが望ましく、0.01〜1.0mol/lの範囲にあるのがより望ましく、0.1〜0.5mol/lの範囲にあるのがさらに望ましい。硝酸イオン、亜鉛イオンの供給源としては特に限定するものではなく、両方のイオンの供給源である硝酸亜鉛でもよいし、硝酸イオンの供給源である硝酸アンモニウムなどの水溶性の硝酸塩と、亜鉛イオンの供給源である硫酸亜鉛などの亜鉛塩の混合物であってもよい。
さらに、水溶液に、異常成長を抑制したり密着性を向上させるために、サッカロースやデキストリンなどの炭水化物を加えることも好ましいものである。ただし過剰の炭水化物は、酸化亜鉛のC軸配向に特定する働きが強まり、表面形状を平坦化させるため好ましくない。以上のことから、水溶液中の炭水化物の量は炭水化物の種類にもよるが、概ね、サッカロースの場合には、1〜500g/l、さらに好ましくは3〜100g/lが好ましい範囲として挙げられ、デキストリンの場合には、0.01〜10g/l、さらに好ましくは、0.025〜1g/lが好ましい範囲として挙げられる。
また、詳細な効果やその機構については不明であるが、水溶液に、前記構成物の凹凸形状の大きさを制御したり、前記構成物の傾斜角を制御したりする目的のために、sp2混成軌道を有する複数の炭素にカルボキシル基が結合した多価カルボン酸またはそのエステルを導入することが好ましい。sp2混成軌道を有する複数の炭素にカルボキシル基が結合した多価カルボン酸またはそのエステルとしては、−C=C−基を有しこれらの炭素それぞれにカルボキシル基またはエステル基が結合したものや、芳香環(ベンゼン環や複素芳香環など)中の複数の炭素にカルボキシル基が結合したものが挙げられる。より具体的には、フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、ナフタル酸或いはこれらのエステルなどが挙げられる。ただし過剰の多価カルボン酸は、酸化亜鉛膜の凹凸形状を微小化させる働きがあるため好ましくない。以上のことから、これらの多価カルボン酸の濃度は、0.5〜500μmol/lとすることが好ましく、10〜300μmol/lとすることがさらに好ましい。尚、本明細書中で多価カルボン酸の濃度とは、該多価カルボン酸及びそのカルボキシレートアニオン等の合計の濃度を現すものである。
電析法により酸化亜鉛膜101−3を堆積する場合には、前記の水溶液中に酸化亜鉛膜101−3を堆積する基体101−1を陰極にし、亜鉛、白金、炭素などを陽極とするのが好ましい。陽極と陰極間に流す電流値の範囲としては、好ましくは0.1〜100mA/cm2、さらに好ましくは1〜30mA/cm2、最適には4〜20mA/cm2が挙げられる。
電析法を用いて酸化亜鉛膜101−3を形成する場合には、水溶液中の硝酸イオン、亜鉛イオンの濃度、水溶液の温度、水溶液のpH、水溶液の攪拌方法、炭水化物や多価カルボン酸などの添加物を制御することによって、形成される酸化亜鉛の形状や配向性の制御が可能となるが、酸化亜鉛膜101−3の表面形状は、上述した電析法の条件に加え、基体101−1の材質、表面形状、反射層101−2の有無、反射層101−2の材質、反射層101−2の表面形状などの影響も受ける。さらに、酸化亜鉛膜101−3を、スパッタ法で形成した第一の酸化亜鉛膜101−3A上に第二の酸化亜鉛膜101−3Bを水溶液からの電気化学的反応による電析法で形成した積層構成とした場合には、スパッタ法による第一の酸化亜鉛膜101−3Aの表面形状や膜厚などによっても、電析法による第二の酸化亜鉛膜101−3Bの表面形状は影響を受ける。
そこで、本発明の形状を形成するためには、それぞれの形態にあわせて、本発明の形状となるように、上述の範囲の中から適宜範囲を求めて実施すればよい。例えば、上記パラメータを適宜制御したサンプルを作成し、原子間力顕微鏡等で表面観察をして表面形状を確認し、最適パラメータを調整するようにして実施することなどが考えられる。
例えば、酸化亜鉛膜の電流密度の経時的制御は所望の酸化亜鉛膜の形成のために非常に重要である。酸化亜鉛膜を形成する酸化亜鉛膜の形成方法において、少なくとも第1の電流密度で行う工程と、第2の電流密度で行う工程とを有することにより、所望の凹凸形状をより均一に形成することが可能となる。第1の電流密度で行なう工程は、均一に初期膜の形成を行なう工程、第2の電流密度で行なう工程は、所望の凹凸形状を形成するための工程とし、上記2つの工程の組合せを、電析法により酸化亜鉛膜を形成するときの少なくとも初期に実施することにより、所望の酸化亜鉛膜の形成が可能になるものと、本発明者等は考えている。第2の電流密度は第1の電流密度より大きいことが好ましい。さらに好ましくは、第2の電流密度は第1の電流密度の2倍以上が好ましい。第2の電流密度により形成した酸化亜鉛膜の厚さは、第1の電流密度により形成した酸化亜鉛膜の厚さよりも大きいことが好ましい。第2の電流密度により形成した酸化亜鉛膜の厚さは、第1の電流密度により形成した酸化亜鉛膜の10倍以上であることが好ましい。
また、電析液中の亜鉛イオン濃度Aと硝酸イオン(NO3 -)濃度Bの関係が、2A<Bであることが、所望の酸化亜鉛膜が得られるために好ましい。その詳細な理由は明確にはなっていないが、上記の関係よりも硝酸イオンに対する亜鉛イオンの濃度が大きくなると、亜鉛の酸化反応を伴う液中での電気化学反応に何らかの影響を及ぼし、均一な酸化亜鉛膜が得られないのではないかと推察している。また、酸化亜鉛膜の形成速度を増大させようとした場合に、酸化亜鉛の核生成密度の急速な増大領域の発生により異常成長を誘発したり、あるいはSP2混成軌道を有する複数の炭素にカルボキシル基が結合した多価カルボン酸またはそのエステル(例えば、フタル酸)や炭水化物(例えば、デキストリン)による、異常成長抑制効果、粒径増大効果、凹凸化効果などの所望とする酸化亜鉛膜の形成に必要な効果の発現が小さくなってしまうと、本発明者等は考えている。
スパッタ法によって第一の酸化亜鉛膜101−3Aを形成する条件は、方法やガスの種類と流量、内圧、投入電力、成膜速度、基板温度等が大きく影響を及ぼす。例えばDCマグネトロンスパッタ法で、酸化亜鉛ターゲットを用いて第一の酸化亜鉛膜101−3Aを形成する場合には、ガスの種類としてはAr、Ne、Kr、Xe、Hg、O2などが挙げられ、流量は、装置の大きさと排気速度によって異なるが、例えば成膜空間の容積が20リットルの場合、1cm3/min(normal)から100cm3/min(normal)が好ましい。また成膜時の内圧は10mPaから10Paが好ましい。投入電力は、ターゲットの大きさにもよるが、10Wから10kWが好ましい。また基板温度は、成膜速度によって好適な範囲が異なるが、70℃から450℃であることが好ましい。
(基板101)
以上の方法により、基体101−1上に必要に応じて、反射層101−2、酸化亜鉛膜101−3を積層して基板101を形成する。また、素子の集積化を容易にするために、基板101に絶縁層を設けてもよい。
以上の方法により、基体101−1上に必要に応じて、反射層101−2、酸化亜鉛膜101−3を積層して基板101を形成する。また、素子の集積化を容易にするために、基板101に絶縁層を設けてもよい。
(半導体層102)
半導体層102にシリコン系薄膜を用いた場合の主たる材料としては、非晶質相或いは結晶相、さらにはこれらの混相系が用いられる。Siに代えて、SiとCまたはGeとの合金を用いても構わない。半導体層102には、同時に、水素及び/またはハロゲン原子が含有される。その好ましい含有量は0.1〜40原子%である。さらに半導体層102は、酸素、窒素などを含有してもよい。半導体層102をp型半導体層とするにはIII属元素、n型半導体層とするにはV属元素を含有する。p型層及びn型層の電気特性としては、活性化エネルギーが0.2eV以下のものが好ましく、0.1eV以下のものが最適である。また比抵抗としては100Ωcm以下が好ましく、1Ωcm以下が最適である。
半導体層102にシリコン系薄膜を用いた場合の主たる材料としては、非晶質相或いは結晶相、さらにはこれらの混相系が用いられる。Siに代えて、SiとCまたはGeとの合金を用いても構わない。半導体層102には、同時に、水素及び/またはハロゲン原子が含有される。その好ましい含有量は0.1〜40原子%である。さらに半導体層102は、酸素、窒素などを含有してもよい。半導体層102をp型半導体層とするにはIII属元素、n型半導体層とするにはV属元素を含有する。p型層及びn型層の電気特性としては、活性化エネルギーが0.2eV以下のものが好ましく、0.1eV以下のものが最適である。また比抵抗としては100Ωcm以下が好ましく、1Ωcm以下が最適である。
スタックセル(pin接合を複数有する光起電力素子)の場合、光入射側に近いpin接合のi型半導体層102−2はバンドギャップが広く、遠いpin接合になるに随いバンドギャップが狭くなるのが好ましい。また、i型半導体層102−2内部ではその膜厚方向の中心よりもp型半導体層102−3寄りにバンドギャップの極小値があるのが好ましい。光入射側のドープ層(p型半導体層102−3もしくはn型半導体層102−1)は光吸収の少ない結晶性の半導体か、またはバンドギャップの広い半導体が適している。
pin接合を2組積層したスタックセルの例としては、i型シリコン系半導体層の組み合わせとして、光入射側から(アモルファス半導体層、結晶相を含む半導体層)、(結晶相を含む半導体層、結晶相を含む半導体層)、(アモルファス半導体層、アモルファス半導体層)となるものが挙げられる。また、pin接合を3組積層した光起電力素子の例としては、i型シリコン系半導体層の組み合わせとして、光入射側から(アモルファス半導体層、アモルファス半導体層、結晶相を含む半導体層)、(アモルファス、結晶相を含む半導体層、結晶相を含む半導体層)、(結晶相を含む半導体層、結晶相を含む半導体層、結晶相を含む半導体層)となるものが挙げられる。i型半導体層としては光(630nm)の吸収係数(α)が5000cm-1以上、ソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm2)による擬似太陽光照射化の光伝導度(σp)が10×10-5S/cm以上、暗伝導度(σd)が10×10-6S/cm以下、コンスタントフォトカレントメソッド(CPM)によるアーバックエナジーが55meV以下であるのが好ましい。i型半導体層としては、わずかにp型、n型になっているものでも使用することができる。
(半導体層102の形成方法)
上述の半導体層102を形成するには、高周波プラズマCVD法が適している。以下、高周波プラズマCVD法によって半導体層102を形成する手順の好適な例を示す。
上述の半導体層102を形成するには、高周波プラズマCVD法が適している。以下、高周波プラズマCVD法によって半導体層102を形成する手順の好適な例を示す。
減圧状態にできる堆積室(真空チャンバー)内を所定の堆積圧力に減圧する。
堆積室内に原料ガス、希釈ガス等の材料ガスを導入し、堆積室内を真空ポンプによって排気しつつ、堆積室内を所定の堆積圧力に設定する。
基板101をヒーターによって所定の温度に設定する。
高周波電源によって発振された高周波を前記堆積室に導入する。前記堆積室への導入方法は、高周波を導波管によって導き、アルミナセラミックスなどの誘電体窓を介して堆積室内に導入したり、高周波を同軸ケーブルによって導き、金属電極を介して堆積室内に導入したりする方法がある。
堆積室内にプラズマを生起させて原料ガスを分解し、堆積室内に配置された基板101上に堆積膜を形成する。この手順を必要に応じて複数回繰り返して半導体層102を形成する。
半導体層102の形成条件としては、堆積室内の基板温度は100〜450℃、圧力は50mPa〜1500Pa、高周波パワーは0.001〜1W/cm3が好適な条件として挙げられる。
半導体層102の形成に適した原料ガスとしては、SiH4、Si2H6、SiF4等のシリコン原子を含有したガス化しうる化合物が挙げられる。合金系にする場合にはさらに、GeH4やCH4などのようにGeやCを含有したガス化しうる化合物を原料ガスに添加することが望ましい。原料ガスは、希釈ガスで希釈して堆積室内に導入することが望ましい。希釈ガスとしては、H2やHeなどが挙げられる。さらに窒素、酸素等を含有したガス化しうる化合物を原料ガス乃至希釈ガスとして添加してもよい。半導体層102をp型層とするためのドーパントガスとしてはB2H6、BF3等が用いられる。また、半導体層102をn型層とするためのドーパントガスとしては、PH3、PF3等が用いられる。結晶相の薄膜や、SiC等の光吸収が少ないかバンドギャップの広い層を堆積する場合には、原料ガスに対する希釈ガスの割合を増やし、比較的高いパワーの高周波を導入するのが好ましい。
(透明導電層103)
透明導電層103は、光入射側の電極であるとともに、その膜厚を適当に設定することにより反射防止膜の役割をかねることができる。透明導電層103は、半導体層102の吸収可能な波長領域において高い透過率を有することと、抵抗率が低いことが要求される。好ましくは550nmにおける透過率が80%以上、より好ましくは85%以上であることが望ましい透明導電層103の材料としては、ITO、ZnO、In2O3等を好適に用いることができる。その形成方法としては、蒸着、CVD、スプレー、スピンオン、浸漬などの方法が好適である。これらの材料に導電率を変化させる物質を添加してもよい。
透明導電層103は、光入射側の電極であるとともに、その膜厚を適当に設定することにより反射防止膜の役割をかねることができる。透明導電層103は、半導体層102の吸収可能な波長領域において高い透過率を有することと、抵抗率が低いことが要求される。好ましくは550nmにおける透過率が80%以上、より好ましくは85%以上であることが望ましい透明導電層103の材料としては、ITO、ZnO、In2O3等を好適に用いることができる。その形成方法としては、蒸着、CVD、スプレー、スピンオン、浸漬などの方法が好適である。これらの材料に導電率を変化させる物質を添加してもよい。
(集電電極104)
集電電極104は集電効率を向上するために透明導電層103上に設けられる。その形成方法として、マスクを用いてスパッタによって電極パターンの金属を形成する方法や、導電性ペースト或いは半田ペーストを印刷する方法、金属線を導電性ペーストで固着する方法などが好適である。
集電電極104は集電効率を向上するために透明導電層103上に設けられる。その形成方法として、マスクを用いてスパッタによって電極パターンの金属を形成する方法や、導電性ペースト或いは半田ペーストを印刷する方法、金属線を導電性ペーストで固着する方法などが好適である。
尚、必要に応じて光起電力素子の両面に保護層を形成することがある。同時に光起電力素子の裏面(光入射側と反射側)などに鋼板等の補強材を併用してもよい。
以下の実施例では、光起電力素子として太陽電池を例に挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の内容をなんら限定するものではない。
(実施例1−1、比較例1−1)
まず、ステンレス(SUS430−BA)からなる帯状の基体101−1(幅40cm、長さ200m、厚さ0.125mm)を十分に脱脂、洗浄し、図3の堆積膜形成装置301を用いて、Agからなる反射層101−2、ZnOからなる第一の酸化亜鉛層101−3A、ZnOからなる第二の酸化亜鉛層101−3Bからなる、図1及び図2に示される基板101を形成した。
まず、ステンレス(SUS430−BA)からなる帯状の基体101−1(幅40cm、長さ200m、厚さ0.125mm)を十分に脱脂、洗浄し、図3の堆積膜形成装置301を用いて、Agからなる反射層101−2、ZnOからなる第一の酸化亜鉛層101−3A、ZnOからなる第二の酸化亜鉛層101−3Bからなる、図1及び図2に示される基板101を形成した。
図3は、本発明の光起電力素子の基板を製造する堆積膜形成装置の一例を示す模式的な断面図である。図3に示す堆積膜形成装置301は、送り出し容器302、真空容器311〜313、巻き取り容器303がガスゲートを介して結合することによって構成されている。この堆積膜形成装置301には、各形成用真空容器を貫いて帯状の基体101−1がセットされる。帯状の基体101−1は、送り出し容器302に設置されたボビンから巻き出され、巻き取り容器303で別のボビンに巻き取られる。
各真空容器311〜313には、ターゲットがカソード電極341〜343として設置されており、直流電源351〜353をカソード電極341〜343に印加することによって、基体101−1上に反射層101−2、第一の酸化亜鉛層101−3Aを形成することができるようになっている。また各真空容器311〜313には、スパッタガスを導入するためのガス導入管331〜333が接続されている。また、各真空容器311〜313には、基体と放電空間との接触面積を調整するための、不図示の成膜領域調整板が設けられており、これを調整することによって各真空容器311〜313で形成される堆積膜の膜厚を調整することができるようになっている。
まず基体101−1を堆積膜形成装置301に設置し、堆積膜形成装置301内を十分に排気した。
次に、真空排気系を作動させつつ、ガス導入管331〜332からスパッタガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、各真空容器311〜313内の圧力を所定の圧力に調整した。形成条件は表1に示す通りである。
各真空容器311〜313内の圧力が安定したところで、送り出し容器302から巻き取り容器303の方向に、基体101−1の移動を開始した。基体101−1を移動させながら、各真空容器311〜313内の赤外線ランプヒーターを作動させ、基体101−1の成膜面の温度が、表1に示す値になるように調整した。カソード電極341には、純度99.99重量%の銀のターゲットを使用し、カソード電極342、343には純度99.99重量%の酸化亜鉛のターゲットを使用し、各カソード電極341〜343に表1に示すスパッタ電力を投入して、基体101−1上に真空容器311で銀による反射層101−2(厚さ800nm)を堆積し、真空容器312、313で第一の酸化亜鉛層101−3A(厚さ300nm)を堆積した。
次に、第二の酸化亜鉛層101−3Bを図6に示す堆積膜形成装置601を用いて形成した。
図6は、本発明の光起電力素子の基板を製造する堆積膜形成装置の一例を示す模範的な断面図である。図6に示す堆積膜形成装置601には、送り出しローラー602、形成容器611、水洗容器613、乾燥容器615、巻き取りローラー603から構成されている。この堆積膜形成装置601には、各容器を貫いて帯状の反射層のついた基体101−1がセットされる。帯状の基体101−1は、送り出しローラー602に設置されたボビンから巻き出され、巻き取りローラー603で別のボビンに巻き取られる。
形成容器611内には亜鉛の対向電極621が備えられており、この対向電極621は不図示の負荷抵抗及び電源631と接続されている。また不図示のヒーターと熱伝対を用いて、溶液を攪拌させながら温度をモニターし、形成容器611内の水溶液の温度調整を行なえるようになっている。また水洗容器613で基板101表面の水溶液を、不図示の超音波装置を用いながら洗い流し、水洗容器613の出口側では純水シャワー614により純水洗浄を行ない、乾燥容器615では、赤外線ヒーター616を用いて基板101の表面を乾燥できるようになっている。
形成容器611内の水溶液を、亜鉛イオン濃度0.1mol/l、PH=5.0、水溶液温度85℃、陽極と陰極間に流す電流値を8.0mA/cm2、デキストリン濃度0.15g/l、フタル酸水素カリウムを加えることによってフタル酸濃度を40μmol/lにして、前記反射層102及び第一の酸化亜鉛膜101−3Aを有する基体101−1の搬送を開始し、第二の酸化亜鉛層101−3B(厚さ2.7μm)の形成を行なった。巻き取りローラー603に巻き取られた基板101を、真空ポンプに接続された不図示の乾燥容器に基板を入れ、10KPaの窒素雰囲気中で雰囲気温度を250℃で5時間乾燥させ、基板101を完成させた(実施例1−1A)。
形成した基板101の表面状態を、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察し、図7(a)に示すように、酸化亜鉛膜表面内をサンプリング長を一単位とした格子点で区切り、格子点から形成される最小の三角形で面内を覆い、該三角形の面の傾きの値から、各面の平均傾斜角の値とその分布を、さらに凸部からなる構成物の形状を求めた。サンプリング長は前述したように50nmである。
次に、図4に示した堆積膜形成装置201を用い、以下の手順で、図5に示した光起電力素子を形成した。図5は本発明のシリコン系半導体を有する光起電力素子の一例を示す模式的な断面図である。図中、図1と同様の部材には同じ符号を付して説明を省略する。この光起電力素子の半導体層102は、非晶質n型半導体層102−1A、結晶相を含むi型半導体層102−2A、結晶相を含むp型半導体層102−3Aからなっている。
図4は、光起電力素子を製造する堆積膜形成装置の一例を示す模式的な断面図である。図4に示す堆積膜形成装置201は、送り出し容器202、半導体形成用真空容器211〜216、巻き取り容器203が、ガスゲート221〜227を介して結合することによって構成されている。この堆積膜形成装置201には、各容器及び各ガスゲートを貫いて帯状の導電性の基板204がセットされる。帯状の基板204は、送り出し容器202に設置されたボビンから巻き出され、巻き取り容器203で別のボビンに巻き取られる。
半導体形成用の真空容器211〜216は、それぞれ堆積室を有しており、該放電室内の放電電極241〜246に高周波電源251〜256から高周波電力を印加することによってグロー放電を生起させ、それによって原料ガスを分解し基板101上に半導体層102を堆積させる。また、各真空容器211〜216には、原料ガスや希釈ガスを導入するためのガス導入管231〜236が接続されている。
図4に示した堆積膜形成装置201の各半導体形成用の真空容器211〜216には、各堆積室内での基板101と放電空間との接触面積を調整するための、不図示の成膜領域調整板が設けられており、これを調整することによって各真空容器211〜216で形成される各半導体膜の膜厚を調整することができるようになっている。
次に、送り出し容器202に、基板101を巻いたボビンを装着し、基板101を搬入側のガスゲート、真空容器211〜216、搬出側のガスゲートを介し、巻き取り容器203まで通し、帯状の基板101がたるまないように張力調整を行った。そして、送り出し容器202、半導体成形用の真空容器211〜216、巻き取り容器203を不図示の真空ポンプからなる真空排気系により、十分に真空排気した。
次に、真空排気系を作動させつつ、半導体形成用真空容器211〜216へガス導入管231〜236から原料ガス及び希釈ガスを供給した。
また、不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500cm3/min(normal)のH2ガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器211〜216内の圧力を所望の圧力に調整した。形成条件は表2に示す通りである。
半導体形成用真空容器211〜216内の圧力が安定したところで、送り出し容器202から巻き取り容器203の方向に、基板101の移動を開始した。
次に、真空容器211〜216内の放電電極241〜246に高周波電源251〜256より高周波を導入し、真空容器211〜216内の堆積室内にグロー放電を生起し、基板101上に非晶質n型半導体層102−1A(膜厚50nm)、結晶相を含むi型半導体層102−2A(膜厚3.5μm)、結晶相を含むp型半導体層(膜厚10nm)を形成し光起電力素子を形成し、不図示の連続モジュール化装置を用いて、形成した帯状の光起電力素子を36cm×22cmの太陽電池モジュールに加工した(実施例1−1B)。
次に、酸化亜鉛膜を、スパッタ法によってのみ作成し、それ以外は実施例1−1と同様の手順で基板及び太陽電池モジュールを作成した(比較例1−1A、比較例1−1B)。ここで比較例1−1Bで作成した酸化亜鉛膜101−3の膜厚は、実施例1−1Aにおける第一及び第二の酸化亜鉛膜膜101−3A、101−3Bの合計の膜厚である3μmとした。比較例1−1Aで作成した基板101の表面状態も実施例1−1Aと同様の手順で調べた。測定結果を図10、図11に示す。
次に、実施例1−1B、比較例1−1Bで作成した太陽電池モジュールの光電変換効率をソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm2)を用いて測定した。その結果、実施例1−1Bの太陽電池モジュールの光電変換効率は、比較例1−1Bの太陽電池モジュールの光電変換効率の1.10倍であった。特に、実施例1−1Bの太陽電池モジュールは、短絡電流密度が比較例1−1Bの太陽電池モジュールに比べて優れており、入射光の吸収がより効率的に行われたことがわかる。
実施例1−1Aと比較例1−1Aの基板101の表面を詳しく観察してみると、実施例1−1Aの基板101表面は、凸部からなる構成物を複数有し、凸部をもつ構成物はそれぞれ数μm程度の大きさをもっており、該凸部は、曲面からなる第1の面と、概略平面からなる第2の面から構成されており、前記基体101−1に対する該第1の面の平均傾斜角の大きさが30°以上60°以下の範囲にあり、該第2の面の平均傾斜角の大きさが10°以上35°以下の範囲にあるものが、該複数の凸部の半分以上を占めていた。ここで、凸部を取り出して透過電子顕微鏡により格子縞を観察したところ、前記概略平面からなる第二の面が(002)面に優先配向していることがわかった。それに対して比較例1−1Aの基板101表面は、凸部からなる構成物は実施例1−1Aと比べて小さく、傾斜角の分布も小さい範囲であり、凸部の形状も、曲面からなる第1の面と、概略平面からなる第2の面からからなる構成を取っていなかった。以上のことから、本発明の基板101及び光起電力素子を含む太陽電池モジュールは優れた特長をもつことがわかる。
(実施例1−2)
第二の酸化亜鉛膜101−3Bを形成する際の水溶液を、デキストリン濃度を0.01〜2.0g/lの範囲から、またフタル酸濃度を5〜500μmol/lの範囲から、それぞれ適宜選んだ処方によって作成した以外は実施例1−1と同様に基板101、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成した。
第二の酸化亜鉛膜101−3Bを形成する際の水溶液を、デキストリン濃度を0.01〜2.0g/lの範囲から、またフタル酸濃度を5〜500μmol/lの範囲から、それぞれ適宜選んだ処方によって作成した以外は実施例1−1と同様に基板101、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成した。
作成した基板101、光起電力素子、太陽電池モジュールについて、以下の試験を行った。作成した太陽電池モジュールの光電変換効率をソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm2)を用いて測定した。作成した光起電力素子を碁盤目テープ法(切り傷の隙間間隔1mm、ます目の数100)を用いて密着性を調べた。
さらに、実使用条件での耐環境性に関する加速試験とすることを目的に、太陽電池モジュールを、温度85℃、湿度85%の暗所に設置し30分保持、その後70分かけて温度−20℃まで下げ30分保持、再び70分かけて温度85℃、湿度85%まで戻すサイクルを100回繰り返した後に再度光電変換効率を測定し、温湿度試験による光電変換効率の変化を調べた。
また作成した太陽電池モジュールを、長手方向に沿って筒状に変形させて元に戻す動作を100回繰り返し、その前後の光電変換効率の特性を調べ変形動作による特性の変化を調べた。
以上の試験を実施例1−1のサンプルについても同様に実施し、光電変換効率については実施例1の0.95倍以上、碁盤目テープ法については格子の剥がれのないこと、温湿度試験については試験の後の光電変換効率が試験の前の変換効率の0.95倍以上、変形試験については試験の後の光電変換効率が試験の前の変換効率の0.95倍以上であるものを合格とし、すべての項目が合格であるものを、初期特性、耐環境性に優れている合格品とした。その結果、デキストリン濃度を0.05〜0.3g/lの範囲、且つフタル酸濃度を15〜100μmol/lの範囲にある処方で作成したものが合格品となった。
基板101の表面観察の結果と照らし合わせると、これらの合格品の分布は、凸部からなる構成物が有する曲面からなる第1の面と、概略平面からなる第2の面から構成されており、前記基体101−1に対する該第1の面の平均傾斜角の大きさが30°以上60°以下の範囲にあり、該第2の面の平均傾斜角の大きさが10°以上35°以下の範囲にあるものが、該複数の構成物の半数以上であるものの分布と一致した。フタル酸の濃度が小さい領域のものは相対的に傾斜角が小さくて初期変換効率に劣るものが多く、フタル酸の濃度の大きい領域のものは、酸化亜鉛膜の凸部からなる構成物が小さく、異常成長している領域も認められ、初期効率及び耐久試験の結果が芳しくなかった。また、デキストリン濃度の小さい領域では、尖状の構成物が多く、傾斜角が60°を越えるものが支配的であるサンプルもあり、初期効率及び耐久試験の結果が芳しくなく、デキストリン濃度の大きい領域では、傾斜角が小さく初期効率の結果が芳しくなかった。
(実施例1−3)
基体101−1をステンレス(SUS430−2D)を用いたことを除いては、実施例1−2と同様の手順で、基板101、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成し、実施例1−2と同様の試験を行った。
基体101−1をステンレス(SUS430−2D)を用いたことを除いては、実施例1−2と同様の手順で、基板101、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成し、実施例1−2と同様の試験を行った。
その結果、デキストリン濃度を0.03〜0.2g/lの範囲、且つフタル酸濃度を10〜80μmol/lの範囲にある処方で作成したものが合格品となった。ステンレスの基体101−1自身の表面形状が異なるため、合格品となったサンプルのデキストリンとフタル酸の濃度範囲は実施例1−2のものとは異なるが、前記基体に対する該第1の面の平均傾斜角の大きさが30°以上60°以下の範囲にあり、該第2の面の平均傾斜角の大きさが10°以上35°以下の範囲にあるものが、該複数の構成物の半数以上であるものの分布と、上記試験の合格品の分布が一致する点は、同等であった。
(実施例1−4)
反射層101−2と第一の酸化亜鉛層101−3Aの形成温度を、それぞれ50℃、150℃とし、第一の酸化亜鉛層101−3Aの表面形状が、実施例1−2のものと比較して凹凸形状が発達していないものとしたことを除いては、実施例1−2と同様の手順で、基板101、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成し、実施例1−2と同様の試験を行った。
反射層101−2と第一の酸化亜鉛層101−3Aの形成温度を、それぞれ50℃、150℃とし、第一の酸化亜鉛層101−3Aの表面形状が、実施例1−2のものと比較して凹凸形状が発達していないものとしたことを除いては、実施例1−2と同様の手順で、基板101、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成し、実施例1−2と同様の試験を行った。
その結果、デキストリン濃度を0.05〜0.4g/lの範囲、且つフタル酸濃度を30〜200μmol/lの範囲にある処方で作成したものが合格品となった。ステンレスの基体101−1自身の表面形状が異なるため、合格品となったサンプルのデキストリンとフタル酸の濃度範囲は実施例1−2のものとは異なるが、前記基体101−1に対する該第1の面の平均傾斜角の大きさが30°以上60°以下の範囲にあり、該第2の面の平均傾斜角の大きさが10°以上35°以下の範囲にあるものが、該複数の構成物の半数以上であるものの分布と、上記試験の合格品の分布が一致する点は、同等であった。
(実施例1−5)
第一の酸化亜鉛膜101−3Aの膜厚を10nm〜1000nmの範囲で変化させながら、それ以外の条件は実施例1−1と同様の手順で、基板101、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成し、実施例1−2と同様の試験を行った。
第一の酸化亜鉛膜101−3Aの膜厚を10nm〜1000nmの範囲で変化させながら、それ以外の条件は実施例1−1と同様の手順で、基板101、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成し、実施例1−2と同様の試験を行った。
その結果、第一の酸化亜鉛膜101−3Aの膜厚が20nmより小さい基板101では、凸部からなる構成物の80%以上が、基板101上に投影したときの投影図の長径が800nm以下であり、太陽電池モジュールの光電変換効率が低くなる傾向であった。光電変換効率の低下は、短絡電流密度の低下に起因していた。また第一の酸化亜鉛膜の101−3Aの膜厚を1000nmにしたサンプルに対して、第二の酸化亜鉛膜101−3Bを形成するときの水溶液のフタル酸の濃度を大きくしていきながら基板101の作成を行ったところ、フタル酸の濃度が500μmol/lを超えた基板101では、凸部からなる構成物の80%以上が、基板101上に投影したときの投影図の長径が10μmを越え、これらの基板101上の太陽電池モジュールでは、開放電圧の値に低下傾向が見られた。以上のことから、酸化亜鉛の凸部からなる構成物を、前記基体101−1上に投影したとき、その投影図の形状の長径が、800nm以上10μm以下である構成物が、全体の80%以上であることが、より好ましいことがわかった。
(実施例1−6)
実施例1と同じ基板101を用いて、実施例1−1と同様の手順で、図12に示した光起電力素子を形成した。図12は本発明のシリコン系半導体を有する光起電力素子の一例を示す模式的な断面図である。図中、図1と同様の部材には同じ符号を付して説明を省略する。
実施例1と同じ基板101を用いて、実施例1−1と同様の手順で、図12に示した光起電力素子を形成した。図12は本発明のシリコン系半導体を有する光起電力素子の一例を示す模式的な断面図である。図中、図1と同様の部材には同じ符号を付して説明を省略する。
この光起電力素子の半導体層102は、非晶質n型半導体層102−1A、結晶相を含むi型半導体層102−2A、結晶相を含むp型半導体層102−3A(以上がボトムセルの構成要素)、非晶質n型半導体層102−4、結晶相を含むi型半導体層102−5、結晶相を含むp型半導体層102−6(以上がミドルセルの構成要素)、非晶質n型半導体層102−7、非晶質i型半導体層102−8、結晶相を含むp型半導体層102−9(以上がトップセルの構成要素)、からなっている、いわゆるトリプル型の光起電力素子である。
実施例1−1と同様の手順で、基板101上に非晶質n型半導体層(膜厚50nm)、結晶相を含むi型半導体層(膜厚3.5μm)、結晶相を含むp型半導体層(膜厚10nm)からなるボトムセルを作成し、一旦堆積膜形成装置201から取り出したあと、引き続いて堆積膜形成装置201にセットし、ボトムセル上に非晶質n型半導体層(膜厚50nm)、結晶相を含むi型半導体層(膜厚2.0μm)、結晶相を含むp型半導体層(膜厚10nm)からなるミドルセルを作成し、さらにミドルセル上に非晶質n型半導体層(膜厚50nm)、非晶質i型半導体層(膜厚0.2μm)、結晶相を含むp型半導体層(膜厚10nm)からなるトップセルを形成し、トリプルセルを完成させた。ボトムセルとミドルセルの形成条件は、膜厚のみ調整した以外は表2と同じ条件で行い、トップセルの形成は、表3に示す条件で行なった。
次に、実施例1−1と同様に太陽電池モジュールを作成して、光電変換効率を測定したところ、実施例1−1の太陽電池モジュールと比較してより多くの光を半導体層で吸収することが可能になり、より高い変換効率を得ることができた。また、耐久試験の結果も優れていた。以上のことから、本発明の基板101及び光起電力素子は、優れた特長をもつことがわかる。特に複数の光起電力素子を積層した構成のように、より多くの光を吸収することのできる素子構成をもつ光起電力素子においては、特に優れた特長をもつことがわかる。
(実施例2−1、比較例2−1)
表4に示す形成条件を用いた以外は、実施例1−1と同様にして基体304上に真空容器311で銀による反射層101−2(厚さ800nm)を堆積し、真空容器312、313で第一の酸化亜鉛膜101−3A(厚さ300nm)を堆積し、さらに、第二の酸化亜鉛膜(厚さ2.7μm)の形成条件として、亜鉛イオン濃度0.15mol/l、pH=5.0、水溶液温度85℃、陽極と陰極間に流す電流値を15mA/cm2、デキストリン濃度0.15g/l、フタル酸水素カリウムを加えることによってフタル酸濃度を20μmol/lとした以外は、実施例1−1と同様にして、第二の酸化亜鉛膜(厚さ2.7mm)を形成し、基板101を作製した(実施例2−1A)。
表4に示す形成条件を用いた以外は、実施例1−1と同様にして基体304上に真空容器311で銀による反射層101−2(厚さ800nm)を堆積し、真空容器312、313で第一の酸化亜鉛膜101−3A(厚さ300nm)を堆積し、さらに、第二の酸化亜鉛膜(厚さ2.7μm)の形成条件として、亜鉛イオン濃度0.15mol/l、pH=5.0、水溶液温度85℃、陽極と陰極間に流す電流値を15mA/cm2、デキストリン濃度0.15g/l、フタル酸水素カリウムを加えることによってフタル酸濃度を20μmol/lとした以外は、実施例1−1と同様にして、第二の酸化亜鉛膜(厚さ2.7mm)を形成し、基板101を作製した(実施例2−1A)。
次いで、表5に示す条件を用いた以外は実施例1−1と同様にして、基板上に非晶質n型半導体層(膜厚50nm)、結晶相を含むi型半導体層(膜厚3.5μm)、結晶相を含むp型半導体層(膜厚10nm)を形成して光起電力素子を形成し、不図示の連続モジュール化装置を用いて、形成した帯状の光起電力素子を36cm×22cmの太陽電池モジュールに加工した(実施例2−1B)。次に、酸化亜鉛膜を、スパッタ法によってのみ作成し、それ以外は実施例2−1と同様の手順で基板及び太陽電池モジュールを作成した(比較例2−1A、比較例2−1B)。ここで比較例で作成した酸化亜鉛膜の膜厚は、実施例2−1の酸化亜鉛膜の合計の膜厚である3μmとした。
次に実施例2−1B、比較例2−1Bで作成した太陽電池モジュールの光電変換効率をソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm2)を用いて測定した。その結果、実施例2−1Bの太陽電池モジュールの光電変換効率は、比較例2−1Bの太陽電池モジュールの光電変換効率の1.15倍であった。特に、実施例2−1Bの太陽電池モジュールは、短絡電流密度が比較例2−1Bの太陽電池モジュールに比べて優れており、入射光の吸収がより効率的に行われたことがわかる。またそれぞれの太陽電池モジュールについて、入射波長ごとの光収集効率を調べたところ、600nmの波長の光収集効率が一番大きかった。次に、実施例2−1A及び比較例2−1Aで作成した基板の表面形状を、原子間力顕微鏡を用いて観察した。各基板について、まず波長の光収集効率が最も大きかった波長である600nmをサンプリング長としたときに求まる平均傾斜角をA、サンプリング長をその1/10である60nmとしたときに求まる平均傾斜角をBとしたときのA及びA/Bの値を求めたところ、実施例2−1Aの基板ではA=19.7°、A/B=0.69であり、比較例2−1Aの基板ではA=13.5°、A/B=0.43であった。以上のことから、本発明の光起電力素子を含む太陽電池モジュールは優れた特長をもつことがわかる。
(実施例2−2)
形成容器611内の水溶液を、デキストリン濃度0.10g/l、フタル酸水素カリウムを加えることによってフタル酸濃度を30μmol/lにした以外は、実施例2−1と同様に基板を作成した。
形成容器611内の水溶液を、デキストリン濃度0.10g/l、フタル酸水素カリウムを加えることによってフタル酸濃度を30μmol/lにした以外は、実施例2−1と同様に基板を作成した。
巻き取りローラーに巻き取られた基板を、真空ポンプに接続された不図示の乾燥容器に基板を入れ、10KPaの窒素雰囲気中で雰囲気温度を250℃で5時間乾燥させ、基板101を完成させた(実施例2−2A)
次に、半導体形成用真空容器211〜216内の放電電極241〜246に高周波電源251〜256より高周波を導入し、半導体形成用真空容器211〜216内の堆積室内にグロー放電を生起し、基板上に非晶質n型半導体層(膜厚50nm)、結晶相を含むi型半導体層(膜厚3.5μm)、結晶相を含むp型半導体層(膜厚10nm)を形成し光起電力素子を形成し、不図示の連続モジュール化装置を用いて、形成した帯状の光起電力素子を36cm×22cmの太陽電池モジュールに加工した(実施例2−2B)。
次に、半導体形成用真空容器211〜216内の放電電極241〜246に高周波電源251〜256より高周波を導入し、半導体形成用真空容器211〜216内の堆積室内にグロー放電を生起し、基板上に非晶質n型半導体層(膜厚50nm)、結晶相を含むi型半導体層(膜厚3.5μm)、結晶相を含むp型半導体層(膜厚10nm)を形成し光起電力素子を形成し、不図示の連続モジュール化装置を用いて、形成した帯状の光起電力素子を36cm×22cmの太陽電池モジュールに加工した(実施例2−2B)。
次に、酸化亜鉛膜を、スパッタ法によってのみ作成し、それ以外は実施例1と同様の手順で基板及び太陽電池モジュールを作成した(比較例2−2A、比較例2−2B)。
ここで、比較例2−2Aで作成した酸化亜鉛膜の膜厚は、実施例2−2の酸化亜鉛膜の合計の膜厚である3μmとした。さらに、比較例2−2Aと同様に酸化亜鉛膜を形成したあとに、3%の酢酸溶液に5分浸したところ、ピラミッド型の凹凸形状をもつ表面が形成された。得られた基板上に、実施例2−1と同様の手順で太陽電池モジュールを作成した(比較例2−2C、比較例2−2D)。
次に実施例2−2B、比較例2−2B、比較例2−2Dで作成した太陽電池モジュールの光電変換効率をソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm2)を用いて測定した。その結果、実施例2−2Bの太陽電池モジュールの光電変換効率は、比較例2−2B、比較例2−2Dの太陽電池モジュールの光電変換効率のそれぞれ1.20倍、1.30倍であった。実施例2−2Bの太陽電池モジュールは、比較例2−2B、2−2Dの太陽電池モジュールに比べて短絡電流密度が優れており、入射光の吸収がより効率的に行われたことがわかる。また、比較例2−2Dの太陽電池モジュールは、開放電圧の値が実施例と比較して小さかったことも、変換効率が低い要因であった。また、実施例2−2A、比較例2−2A、比較例2−2Cで作成した基板の表面形状を、原子間力顕微鏡を用いて観察し、10μm×10μmの領域内を、単位格子長を50nmとした格子点で覆い、単位格子長を一辺とする直角二等辺三角形の面の傾斜角θを各格子点の標高から算出させ、求めた傾斜角θの増減関係から表面形状の稜線を規定し、規定された稜線の数を所定の領域内の凸部の個数nとし、平均径rを算出した。また長径aと短径bの値も、傾斜角θから表面形状の谷の部分を規定することにより算出した。その結果、実施例2−2Aの基板の平均径は1500nmであり、比較例2−2Aの基板の平均径は800nmであり、比較例2−2Cの基板の平均径は850nmであった。また、実施例2−2Aの基板では、各凸部のa/bの値が、1.5以上7以下の範囲にあるものが、凸部のうち90%を占めていたが、比較例2−2A及び比較例2−2Cの基板では、1.5以下の範囲にあるものが、凸部のうちの過半数を占めていた。また、それぞれの太陽電池モジュールを、碁盤目テープ法(切り傷の隙間間隔1mm、升目の数100)を用いて密着性を調べたところ、比較例2−2Dの太陽電池モジュールでは、格子の一部に膜剥がれが生じていた。以上のことから、本発明の光起電力素子を含む太陽電池モジュールは優れた特長をもつことがわかる。
(実施例2−3)
実施例2−1と同様に基板及び半導体素子を作成した(実施例2−3A、実施例2−3B)。
実施例2−1と同様に基板及び半導体素子を作成した(実施例2−3A、実施例2−3B)。
次に、酸化亜鉛膜を、スパッタ法によってのみ作成し、それ以外は実施例2−1と同様の手順で基板及び光起電力素子を形成した(比較例2−3A、比較例2−3B)。さらに、第二の酸化亜鉛膜101−3Bを傾斜角が高い条件で作製し、それ以外は実施例2−1と同様の手順で基板及び光起電力素子を形成した(比較例2−3C、比較例2−3D)。またさらに、第二の酸化亜鉛膜101−3Bを傾斜角が低い条件で作製し、それ以外は実施例2−1と同様の手順で基板及び光起電力素子を形成した(比較例2−3E、比較例2−3F)。ここで比較例で作成した酸化亜鉛膜の膜厚は、いずれも実施例2−3Aの酸化亜鉛膜の合計の膜厚である3μmとした。
次に実施例2−3B、比較例2−3B、比較例2−3D、及び比較例2−3Fで作成した光起電力素子に透明導電層と集電電極を形成し、不図示の連続モジュール化装置を用いて、形成した帯状の光起電力素子を36cm×22cmの太陽電池モジュールに加工した(実施例2−3b、比較例2−3b、比較例2−3d、及び比較例2−3f)。その太陽電池モジュールの光電変換効率をソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm2)を用いて測定した。
その結果、実施例2−3bの太陽電池モジュールの光電変換効率は、比較例2−3bの太陽電池モジュールの光電変換効率の1.1倍であった。また比較例2−3dの太陽電池モジュールの光電変換効率は、詳細な原因は究明なされてはいないがシャントパスを誘発するなどの弊害により実施例2−3bの太陽電池モジュールの光電変換効率の0.85倍であった。また比較例2−3fの太陽電池モジュールの光電変換効率は、光閉じ込め効果が不十分であり実施例2−3bの太陽電池モジュールの光電変換効率の0.9倍であった。特に、実施例2−3bの太陽電池モジュールは、短絡電流密度が比較例2−3bの太陽電池モジュールに比べて優れており、入射光の吸収がより効率的に行われたことがわかる。
また、実施例とそれぞれの比較例の酸化亜鉛膜及び半導体層の表面形状を、原子間力顕微鏡を用いて観察した。実施例の酸化亜鉛膜(半導体下地層)ではその傾斜角の度数分布の極大が2つであり(図14(b))、半導体層の表面の傾斜角の度数分布の極大が1つであった(図14(a))。比較例2−3Aの半導体下地層ではその傾斜角の度数分布の極大が1つであり(図15(b))、半導体層の表面の傾斜角の度数分布の極大も1つであった(図15(a))。また比較例2−3C、及び比較例2−3Eの半導体下地層ではその傾斜角の度数分布の極大が1つであった。その傾斜角の度数分布は比較例2−3Aに対して比較例2−3Cでは高角度側に分布し(図16(a))、その平均傾斜角も高いものであった。また比較例2−3Eでは低角度側に分布し、その平均傾斜角も低いものであった(図16(b))。
以上のことから、本発明の光起電力素子を含む太陽電池モジュールは優れた特長をもつことがわかる。
(実施例3−1)
第二の酸化亜鉛膜を形成する際の水溶液中を、デキストリン濃度を0.0〜2.0g/lの範囲から、またフタル酸濃度を0.5〜500μmol/lの範囲から、それぞれ適宜選んだ処方によって作成した以外は実施例2−1と同様に基板、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成した。
第二の酸化亜鉛膜を形成する際の水溶液中を、デキストリン濃度を0.0〜2.0g/lの範囲から、またフタル酸濃度を0.5〜500μmol/lの範囲から、それぞれ適宜選んだ処方によって作成した以外は実施例2−1と同様に基板、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成した。
作成した基板、光起電力素子、太陽電池モジュールについて、以下の試験を行った。作成した太陽電池モジュールの光電変換効率をソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm2)を用いて測定した。作成した光起電力素子を碁盤目テープ法(切り傷の隙間間隔1mm、升目の数100)を用いて密着性を調べた。さらに、実使用条件での耐環境性に関する加速試験とすることを目的に、太陽電池モジュールを、温度85℃、湿度85%の暗所に設置し30分保持、その後70分かけて温度−20℃まで下げ30分保持、再び70分かけて温度85℃、湿度85%まで戻す、このサイクルを100回繰り返した後に再度光電変換効率を測定し、温湿度試験による光電変換効率の変化を調べた。また作成した太陽電池モジュールを、長手方向に沿って筒状に変形させて元に戻す動作を100回繰り返し、その前後の光電変換効率の特性を調べ変形動作による特性の変化を調べた。
以上の試験を実施例2−1のサンプルについても同様に実施し、光電変換効率については実施例2−1の0.95倍以上、碁盤目テープ法については格子の剥がれのないこと、温湿度試験については試験の後の光電変換効率が試験の前の変換効率の0.95倍以上、変形試験については試験の後の光電変換効率が試験の前の変換効率の0.95倍以上であるものを合格とし、すべての項目が合格であるものを、初期特性、耐環境性に優れている合格品とした。その結果、デキストリン濃度を0.0〜0.5g/lの範囲、且つフタル酸濃度を10〜100μmol/lの範囲にある処方で作成したものが合格品となった。
基板の表面観察の結果と照らし合わせると、これらの合格品の分布は、サンプリング長を600nmとしたときに求まる平均傾斜角をA、サンプリング長を60nmとしたときに求まる平均傾斜角をBとしたときに、40°≧A≧15°且つ1≧A/B≧0.5の関係を満たすものの分布と一致した。フタル酸の濃度が小さい領域のものは相対的に傾斜角が小さくて初期変換効率に劣るものが多く、フタル酸の濃度の大きい領域のものは、酸化亜鉛膜の凸部からなる構成物が小さく、異常成長している領域も認められ、初期効率及び耐久試験の結果が芳しくなかった。また、デキストリン濃度の小さい領域では、尖状の構成物が多く、傾斜角が60°を超えるものが支配的であるサンプルもあり、初期効率及び耐久試験の結果が芳しくなく、デキストリン濃度の大きい領域では、傾斜角が小さく初期効率の結果が芳しくなかった。また、0.9≧A/B≧0.6の関係を満たすものは、光起電力素子を形成した後の基板の反りがほとんどなく特に好ましいものであった一方、上記の関係式の範囲外のものは、基板が内側に反るカール状の変形が確認できた。
(実施例3−2)
第二の酸化亜鉛膜を形成する際の水溶液中を、亜鉛イオンの濃度を0.01〜0.8mol/lの範囲から、またフタル酸濃度を1.0〜100μmol/lの範囲から、それぞれ適宜選んだ処方によって作成した以外は実施例2−2と同様に基板、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成した。
第二の酸化亜鉛膜を形成する際の水溶液中を、亜鉛イオンの濃度を0.01〜0.8mol/lの範囲から、またフタル酸濃度を1.0〜100μmol/lの範囲から、それぞれ適宜選んだ処方によって作成した以外は実施例2−2と同様に基板、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成した。
作成した基板、光起電力素子、太陽電池モジュールについて、以下の試験を行った。作成した太陽電池モジュールの光電変換効率をソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm2)を用いて測定した。作成した光起電力素子を碁盤目テープ法(切り傷の隙間間隔1mm、升目の数100)を用いて密着性を調べた。さらに、実使用条件での耐環境性に関する加速試験とすることを目的に、太陽電池モジュールを、温度85℃、湿度85%の暗所に設置し30分保持、その後70分かけて温度−20℃まで下げ30分保持、再び70分かけて温度85℃、湿度85%まで戻す、このサイクルを100回繰り返した後に再度光電変換効率を測定し、温湿度試験による光電変換効率の変化を調べた。また作成した太陽電池モジュールを、長手方向に沿って筒状に変形させて元に戻す動作を100回繰り返し、その前後の光電変換効率の特性を調べ変形動作による特性の変化を調べた。
以上の試験を実施例2−1〜2−3のサンプルについても同様に実施し、光電変換効率については実施例2−1の0.95倍以上、碁盤目テープ法については格子の剥がれのないこと、温湿度試験については試験の後の光電変換効率が試験の前の変換効率の0.95倍以上、変形試験については試験の後の光電変換効率が試験の前の変換効率の0.95倍以上であるものを合格とし、全ての項目が合格であるものを、初期特性、耐環境性に優れている合格品とした。その結果、亜鉛イオンの濃度を0.05〜0.4mol/lの範囲、且つフタル酸濃度を10〜60μmol/lの範囲にある処方で作成したものが合格品となった。
基板の表面観察の結果と照らし合わせると、これらの合格品の分布は、平均径の大きさが、1000nm以上2500nm以下であり、該凸部の長径の値aと短径の値bとの比c=a/bが1.5≦c≦7の範囲にあるものが、該凸部の半数以上であるものの分布と一致した。亜鉛イオンの濃度が小さい領域のものは、相対的に凸部の発達に乏しいために平均径が大きくなり、長波長域での反射特性に干渉が生じた。また亜鉛イオン濃度が大きい領域のものは、凸部の形成密度が高く、平均径が小さい傾向にあり、中には針状の異常成長物も確認された。また、フタル酸の濃度の大きい領域のものは、酸化亜鉛膜の凸部が小さく、異常成長している領域も認められ、初期効率及び耐久試験の結果が相対的に低いものとなった。
(実施例4−1)
基体をステンレス(SUS430−2D)を用いたことを除いては、実施例3−1と同様の手順で、基板、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成し、実施例3−1と同様の試験を行った。その結果、デキストリン濃度を0.03〜0.35g/lの範囲、且つフタル酸濃度を10〜80μmol/lの範囲にある処方で作成したものが合格品となった。ステンレス基体自身の表面形状が異なるため、合格品となったサンプルのデキストリンとフタル酸の濃度範囲は実施例3−1のものとは異なるが、サンプリング長を600nmとしたときに求まる平均傾斜角をA、サンプリング長を60nmとしたときに求まる平均傾斜角をBとしたときに、40°≧A≧15°且つ1≧A/B≧0.5の関係を満たすものの分布と、上記試験の合格品の分布が一致する点は、同等であった。
基体をステンレス(SUS430−2D)を用いたことを除いては、実施例3−1と同様の手順で、基板、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成し、実施例3−1と同様の試験を行った。その結果、デキストリン濃度を0.03〜0.35g/lの範囲、且つフタル酸濃度を10〜80μmol/lの範囲にある処方で作成したものが合格品となった。ステンレス基体自身の表面形状が異なるため、合格品となったサンプルのデキストリンとフタル酸の濃度範囲は実施例3−1のものとは異なるが、サンプリング長を600nmとしたときに求まる平均傾斜角をA、サンプリング長を60nmとしたときに求まる平均傾斜角をBとしたときに、40°≧A≧15°且つ1≧A/B≧0.5の関係を満たすものの分布と、上記試験の合格品の分布が一致する点は、同等であった。
(実施例4−2)
基体をステンレス(SUS430−2D)を用いたことを除いては、実施例3−2と同様の手順で、基板、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成し、実施例3−2と同様の試験を行った。その結果、亜鉛イオン濃度を0.03〜0.3mol/lの範囲、且つフタル酸濃度を8〜40μmol/lの範囲にある処方で作成したものが合格品となった。ステンレス基体自身の表面形状が異なるため、合格品となったサンプルの亜鉛イオン濃度とフタル酸の濃度範囲は実施例3−2のものとは異なるが、平均径の大きさが、1000nm以上2500nm以下であり、該凸部の長径の値aと短径の値bとの比c=a/bが1.5≦c≦7の範囲にあるものが、該凸部の半数以上であるものの分布と、上記試験の合格品の分布が一致する点は、同等であった。
基体をステンレス(SUS430−2D)を用いたことを除いては、実施例3−2と同様の手順で、基板、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成し、実施例3−2と同様の試験を行った。その結果、亜鉛イオン濃度を0.03〜0.3mol/lの範囲、且つフタル酸濃度を8〜40μmol/lの範囲にある処方で作成したものが合格品となった。ステンレス基体自身の表面形状が異なるため、合格品となったサンプルの亜鉛イオン濃度とフタル酸の濃度範囲は実施例3−2のものとは異なるが、平均径の大きさが、1000nm以上2500nm以下であり、該凸部の長径の値aと短径の値bとの比c=a/bが1.5≦c≦7の範囲にあるものが、該凸部の半数以上であるものの分布と、上記試験の合格品の分布が一致する点は、同等であった。
(実施例5−1)
反射層101−2と第一の酸化亜鉛膜101−3Aの形成温度を、それぞれ50℃、150℃とし、第一の酸化亜鉛膜の表面形状が、実施例3−1のものと比較して凹凸形状が発達していないものとしたことを除いては、実施例3−1と同様の手順で、基板、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成し、実施例3−1と同様の試験を行った。
反射層101−2と第一の酸化亜鉛膜101−3Aの形成温度を、それぞれ50℃、150℃とし、第一の酸化亜鉛膜の表面形状が、実施例3−1のものと比較して凹凸形状が発達していないものとしたことを除いては、実施例3−1と同様の手順で、基板、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成し、実施例3−1と同様の試験を行った。
その結果、デキストリン濃度を0.05〜0.8g/lの範囲、且つフタル酸濃度を30〜300μmol/lの範囲にある処方で作成したものが合格品となった。ステンレス基体自身の表面形状が異なるため、合格品となったサンプルのデキストリンとフタル酸の濃度範囲は実施例3−1のものとは異なるが、サンプリング長を600nmとしたときに求まる平均傾斜角をA、サンプリング長を60nmとしたときに求まる平均傾斜角をBとしたときに、40°≧A≧15°且つ1≧A/B≧0.5の関係を満たすものの分布と、上記試験の合格品の分布が一致する点は、同等であった。
(実施例5−2)
反射層101−2と第一の酸化亜鉛膜101−3Aの形成温度を、それぞれ50℃、150℃とし、第一の酸化亜鉛膜の表面形状が、実施例3−2のものと比較して凹凸形状が発達していないものとしたことを除いては、実施例3−2と同様の手順で、基板、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成し、実施例3−2と同様の試験を行った。
反射層101−2と第一の酸化亜鉛膜101−3Aの形成温度を、それぞれ50℃、150℃とし、第一の酸化亜鉛膜の表面形状が、実施例3−2のものと比較して凹凸形状が発達していないものとしたことを除いては、実施例3−2と同様の手順で、基板、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成し、実施例3−2と同様の試験を行った。
その結果、亜鉛イオン濃度を0.10〜0.8mol/lの範囲、且つフタル酸濃度を30〜200μmol/lの範囲にある処方で作成したものが合格品となった。ステンレス基体自身の表面形状が異なるため、合格品となったサンプルのデキストリンとフタル酸の濃度範囲は実施例3−2のものとは異なるが、平均径の大きさが、1000nm以上2500nm以下であり、該凸部の長径の値aと短径の値bとの比c=a/bが1.5≦c≦7の範囲にあるものが、該凸部の半数以上であるものの分布と、上記試験の合格品の分布が一致する点は、同等であった。
(実施例6−1)
実施例2−1と同じ基板を用いて、実施例2−1と同様の手順で、図12に示した光起電力素子を形成した。
実施例2−1と同じ基板を用いて、実施例2−1と同様の手順で、図12に示した光起電力素子を形成した。
実施例2−1と同様の手順で、基板上に非晶質n型半導体層(膜厚50nm)、結晶相を含むi型半導体層(膜厚3.5μm)、結晶相を含むp型半導体層(膜厚10nm)からなるボトムセルを作成し、一旦堆積膜形成装置201から取り出したあと、引き続いて堆積膜形成装置にセットし、ボトムセル上に非晶質n型半導体層(膜厚50nm)、結晶相を含むi型半導体層(膜厚2.0μm)、結晶相を含むp型半導体層(膜厚10nm)からなるミドルセルを作成し、さらにミドルセル上に非晶質n型半導体層(膜厚50nm)、非晶質i型半導体層(膜厚0.2μm)、結晶相を含むp型半導体層(膜厚10nm)からなるトップセルを形成し、トリプルセルを完成させた。ボトムセルとミドルセルの形成条件は、膜厚のみ調整した以外は表5と同じ条件で行い、トップセルの形成は、表6に示す条件で行なった。
次に実施例2−1と同様に太陽電池モジュールを作成して、光電変換効率を測定したところ、実施例2−1の太陽電池モジュールと比較してより多くの光を半導体層で吸収することが可能になり、より高い変換効率を得ることができた。また、耐久試験の結果も優れていた。また形成した光起電力素子の積層セルのうち、酸化亜鉛膜と隣接しているボトムセルの光収集効率を、バイアス光を照査させてトップセル及びミドルセルを短絡状態にして求めたところ、800nmの波長の光収集効率が一番大きかった。
次に、本実施例で作成した基板の表面形状を、原子間力顕微鏡を用いて観察した。まずボトムセルにおける波長の光収集効率が最も大きかった波長である800nmをサンプリング長としたときに求まる平均傾斜角をA、サンプリング長をその1/10である80nmとしたときに求まる平均傾斜角をBとしたときのA及びA/Bの値を求めたところ、本実施例の基板ではA=18.5°、A/B=0.73であった。
次に基体をステンレス(SUS430−2D)を用いたことを除いては、実施例3−1と同様の手順で、基板、光起電力素子、太陽電池モジュールを作成し、実施例3−1と同様の試験を行った。その結果、デキストリン濃度を0.04〜0.40g/lの範囲、且つフタル酸濃度を15〜90μmol/lの範囲にある処方で作成したものが合格品となった。ステンレス基体自身の表面形状が異なるため、合格品となったサンプルのデキストリンとフタル酸の濃度範囲は実施例2−1の基板のものとは異なるが、サンプリング長を800nmとしたときに求まる平均傾斜角をA、サンプリング長を80nmとしたときに求まる平均傾斜角をBとしたときに、40°≧A≧15°且つ1≧A/B≧0.5の関係を満たすものの分布と、上記試験の合格品の分布が一致する点は、同等であった。
以上のことから、本発明の基板及び光起電力素子は、優れた特長をもつことがわかる。
(実施例6−2)
実施例2−2と同じ基板を用いて、実施例6−1と同様の手順で、図12に示した光起電力素子を形成した。
実施例2−2と同じ基板を用いて、実施例6−1と同様の手順で、図12に示した光起電力素子を形成した。
次に実施例2−1と同様に太陽電池モジュールを作成して、光電変換効率を測定したところ、実施例2−2の太陽電池モジュールと比較してより多くの光を半導体層で吸収することが可能になり、より高い変換効率を得ることができた。また、耐久試験の結果も優れていた。
以上のことから、本発明の基板及び光起電力素子は、優れた特長をもつことがわかる。
(実施例6−3)
実施例2−3Aと同じ基板を用いて、実施例6−1と同様の手順で、図12に示した光起電力素子を形成した(実施例6−3A)。
実施例2−3Aと同じ基板を用いて、実施例6−1と同様の手順で、図12に示した光起電力素子を形成した(実施例6−3A)。
次に、比較例2−3Aの基板を用い、実施例6−1と同様の手順で光起電力素子を形成した(比較例6−3A)。
次に実施例6−3A、比較例6−3Aで作成した光起電力素子に透明導電層と集電電極を形成し、不図示の連続モジュール化装置を用いて、形成した帯状の光起電力素子を36cm×22cmの太陽電池モジュールに加工した(実施例6−3B、比較例6−3B)。
その太陽電池モジュールの光電変換効率を測定したところ、実施例2−1〜2−3の太陽電池モジュールと比較してより多くの光を半導体層で吸収することが可能になり、より高い変換効率を得ることができた。
またそれぞれの太陽電池モジュールに対応する、実施例6−3B及び比較例6−3Bで作成した半導体層の表面形状を、原子間力顕微鏡を用いて観察した。実施例、比較例とも半導体層の表面の傾斜角の度数分布の極大は1つであった。用いた基板はそれぞれ実施例2−3A、比較例2−3Aと同じであることから半導体下地層である酸化亜鉛膜の表面の傾斜角の度数分布の極大はそれぞれ2つと1つである。
以上のことから、本発明の光起電力素子を含む太陽電池モジュールは優れた特長をもつことがわかる。
101:基板
101−1:基体
101−2:反射層
101−3:酸化亜鉛膜
101−3A:第一の酸化亜鉛膜
101−3B:第二の酸化亜鉛膜
102 半導体層
102−1:n型半導体層
102−1A、102−4、102−7:非晶質n型半導体層
102−2:i型半導体層
102−2A、102−5:結晶相を含むi型半導体層
102−8:非晶質i型半導体層
102−3:p型半導体層
102−3A、102−6、102−9:結晶相を含むp型半導体層
103:透明導電層
104:集電電極
301:堆積膜形成装置
302:送り出し容器
303:巻き取り容器
311〜313:真空容器
331〜333:ガス導入管
341〜343:カソード電極
351〜353:直流電源
201:堆積膜形成装置
202:送り出し容器
203:巻き取り容器
211〜216:真空容器
221〜227:ガスゲート
231〜236:ガス導入管
241〜246:放電電極
251〜256:高周波電源
601:堆積膜形成装置
602:送り出しローラー
603:巻き取りローラー
611:形成容器
613:水洗容器
614:純水シャワー
615:乾燥容器
616:赤外線ヒーター
621:対向電極
631:電源
101−1:基体
101−2:反射層
101−3:酸化亜鉛膜
101−3A:第一の酸化亜鉛膜
101−3B:第二の酸化亜鉛膜
102 半導体層
102−1:n型半導体層
102−1A、102−4、102−7:非晶質n型半導体層
102−2:i型半導体層
102−2A、102−5:結晶相を含むi型半導体層
102−8:非晶質i型半導体層
102−3:p型半導体層
102−3A、102−6、102−9:結晶相を含むp型半導体層
103:透明導電層
104:集電電極
301:堆積膜形成装置
302:送り出し容器
303:巻き取り容器
311〜313:真空容器
331〜333:ガス導入管
341〜343:カソード電極
351〜353:直流電源
201:堆積膜形成装置
202:送り出し容器
203:巻き取り容器
211〜216:真空容器
221〜227:ガスゲート
231〜236:ガス導入管
241〜246:放電電極
251〜256:高周波電源
601:堆積膜形成装置
602:送り出しローラー
603:巻き取りローラー
611:形成容器
613:水洗容器
614:純水シャワー
615:乾燥容器
616:赤外線ヒーター
621:対向電極
631:電源
Claims (21)
- 基体上に形成された酸化亜鉛膜であって、該酸化亜鉛膜の表面に第1の面と第2の面が1の曲線で接する構成を有する凸部からなる構成物を複数有し、該構成物が有する該第1の面の平均傾斜角の大きさが30°以上60°以下の範囲にあり、該第2の面の平均傾斜角の大きさが10°以上35°以下の範囲にあるものが、前記複数の凸部の半分以上であることを特徴とする酸化亜鉛膜。
- 前記第1の面が曲面からなり、前記第2の面が概略平面からなることを特徴とする請求項1に記載の酸化亜鉛膜。
- 前記第2の面が、酸化亜鉛の(002)面であることを特徴とする請求項2に記載の酸化亜鉛膜。
- 前記第1の面の平均傾斜角が前記第2の面の平均傾斜角よりも大きい凸部が、前記複数の凸部の半分以上であることを特徴とする請求項2に記載の酸化亜鉛膜。
- 前記基体への前記第1の面の投影面積が、前記基体への前記第2の面の投影面積よりも小さい凸部が、前記複数の凸部の半分以上であることを特徴とする請求項2に記載の酸化亜鉛膜。
- 前記凸部からなる構成物を前記基体上に投影したとき、その投影図の形状の長径が800nm以上10μm以下である構成物が、全体の80%以上であることを特徴とする請求項2に記載の酸化亜鉛膜。
- 前記酸化亜鉛膜の少なくとも一部を、水溶液からの電気化学的反応による電析法によって形成したことを特徴とする請求項2に記載の酸化亜鉛膜。
- 前記酸化亜鉛膜が、スパッタ法で形成した第一の酸化亜鉛膜と、該第一の酸化亜鉛膜上に、水溶液からの電気化学的反応による電析法で形成した第二の酸化亜鉛膜による積層構成からなることを特徴とする請求項2に記載の酸化亜鉛膜。
- 請求項2に記載の酸化亜鉛膜上に半導体層を積層させて形成したことを特徴とする光起電力素子。
- 酸化亜鉛膜と、1組以上のpin接合を有する半導体層を含む光起電力素子において、前記酸化亜鉛膜に隣接するpin接合を有する半導体層で最も光収集効率の高い光の波長をXとしたときに、前記酸化亜鉛膜の光入射側面が、サンプリング長をXとしたときに求まる平均傾斜角をA、サンプリング長をX/10としたときに求まる平均傾斜角をBとしたときに、A≧15°且つ1≧A/B≧0.5の関係を満たすことを特徴とする光起電力素子。
- 前記Aの値がA≦40°であることを特徴とする請求項10に記載の光起電力素子。
- 前記A及びBが、0.9≧A/B≧0.6の関係を満たすことを特徴とする請求項11に記載の光起電力素子。
- 酸化亜鉛膜と、1組以上のpin接合を有する半導体層を含む光起電力素子において、前記酸化亜鉛膜の光入射側面は複数の凸部を有し、所定の面積あたりの該凸部の個数から求まる平均径の大きさが、1000nm以上2500nm以下であり、該凸部の長径の値aと短径の値bとの比c=a/bが1.5≦c≦7の範囲にあるものが、該凸部の半数以上であることを特徴とする光起電力素子。
- 酸化亜鉛膜と、1組以上のpin接合を有する半導体層を含む光起電力素子において、前記酸化亜鉛膜の光入射側面は複数の凸部を有し、該凸部の傾斜角の度数分布の極大が2つであることを特徴とする光起電力素子。
- 前記亜鉛膜上のpin接合を有する半導体層の光入射側面が複数の凸部を有し、該凸部の傾斜角の度数分布の極大が1つであることを特徴とする請求項14に記載の光起電力素子。
- 前記酸化亜鉛膜の少なくとも一部を、水溶液からの電気化学的反応による電析法によって形成したことを特徴とする請求項14に記載の光起電力素子。
- 前記酸化亜鉛膜が、スパッタ法で形成した第一の酸化亜鉛膜と、該第一の酸化亜鉛膜上に、水溶液からの電気化学的反応による電析法で形成した第二の酸化亜鉛膜による積層構成からなることを特徴とする請求項14に記載の光起電力素子。
- 導電性基体と対向電極とを少なくとも硝酸イオンと亜鉛イオンとsp2混成軌道を有する複数の炭素にカルボキシル基が結合した多価カルボン酸またはそのエステルを含有する水溶液に浸漬し、該導電性基体と対向電極との間に通電することにより該導電性基体上に酸化亜鉛膜を形成する酸化亜鉛膜の形成方法において、第1の電流密度で酸化亜鉛膜を形成する工程と、第2の電流密度で酸化亜鉛膜を形成する工程とを少なくとも有することを特徴とする酸化亜鉛膜の形成方法。
- 前記第2の電流密度は前記第1の電流密度より大きいことを特徴とする請求項18に記載の酸化亜鉛膜の形成方法。
- 第2の電流密度で形成する酸化亜鉛膜の厚さは、第1の電流密度で形成する酸化亜鉛膜の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項18に記載の酸化亜鉛膜の形成方法。
- 前記水溶液中の亜鉛イオン濃度Aと硝酸イオン濃度Bの関係が、2A<Bであることを特徴とする請求項18に記載の酸化亜鉛膜の形成方法。
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