JP2004289091A - 光起電力素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】変換効率が高く、安価に製造でき、軽くて、総合的に優れた光起電力素子の最適なpin接合の構成を提案する。
【解決手段】光入射側から反射防止層119と、複数組のpin接合104〜118と、0.1乃至10μmの凸凹の表面形状を持つ裏面反射層102,103とをこの順に直列に設けた薄膜光起電力素子において、前記複数組のpin接合が、光入射側から、合計の厚みが0.8μm以下であり、直列に接続された2組のi型非晶質半導体を有するpin接合113〜118と、合計の厚みが8.0μm以下であり、直列に接続された3組のi型微結晶半導体を有するpin接合104〜112とが直列に接続された合計5組のpin接合よりなる光起電力素子。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はi型非晶質半導体を有するpin接合とi型微結晶半導体を有するpin接合を複数組直列に有しているにもかかわらず、比較的厚みを厚くする必要がない、生産性に優れた、変換効率の高い太陽電池、センサー等の光起電力素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気機器の独立電源としてや、系統電力の代替えエネルギー源として様々な光起電力素子がすでに利用されている。しかしながら、特に系統電力の代替えとしては発電量当りの価格が依然高く、現在まだ盛んに研究や開発がなされている段階である。
【0003】
薄膜型光起電力素子は、W.E.SpearとP.G.Lecomber(非特許文献1)により、結晶シリコンと同様に、非晶質シリコン薄膜でも置換型ドーピングによる構造敏感性が報告されて以来、注目を浴びている。たとえば、特許文献1などに知られるように盛んに研究されてきており、近年、非特許文献2に報告されているように、光電気変換効率も13%に達してきている。
【0004】
また、従来より研究や開発は進められていたが、結晶シリコンや非晶質シリコンに比べ実用化が遅れていた微結晶シリコンが、良好な光電気変換効率が得られ、光劣化が全く見られないという、J.Meier、P.Torres、R.Platz、H.Keppner、A.Shah等の報告(非特許文献3)以来、盛んに研究されてきている。最近では、非特許文献4や特許文献2において、光電気変換効率10.7%が報告されている。
【0005】
さらに特許文献3や特許文献4などのように、非晶質半導体を主とするpin接合と微結晶半導体を主とするpin接合を複数組重ねることでさらなる変換効率の向上を目指す提案もなされている。さらに、非特許文献5などにあるように、SiCやSiGeなどのバンドギャップの異なる材料を積層する技術も知られている。
【0006】
しかしながら、pin接合を何組設けた場合が最適であるかはいまだ不明である。pin接合を複数組設ける場合、得られる変換効率だけでなく、これを生産するためのコストまで含めて、トータルで最適な構成を見極める必要がある。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第5,298,086号明細書
【特許文献2】
特開平11−330520号公報
【特許文献3】
特開平11−243218号公報
【特許文献4】
特開平11−243219号公報
【非特許文献1】
Solid State Commun.第17巻、1193頁、1975年
【非特許文献2】
J.Yang、A.Banerjee、S.Guha(Appl.Phys.Lett.第70巻、22号の2、2975頁、1997年)
【非特許文献3】
Mat.Res.Soc.Symp.Proc.第420巻、3頁、1996年
【非特許文献4】
K.Yamamoto、A.Nakajima、Y.Tawada、M.Yoshimi、Y.Okamoto、S.Igari(Pro.Of 2nd World Con.Photovoltaic Energy Conversion、1284頁、1998年)
【非特許文献5】
太陽電池ハンドブック(電気学会発行、102頁、1985年)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような従来技術にもかかわらず現在の光起電力素子は特に系統電力の代替えとしては発電量当りの価格が依然高く、より高い光電変換効率が求められ、より安価な作製方法が求められ続けている。
【0009】
本発明の目的は、変換効率が高く、安価に製造でき、軽くて、総合的に優れた光起電力素子の最適なpin接合の構成を提案するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の光起電力素子は、光入射側から、直列に接続されたn組(nは2以上の整数)のi型非晶質半導体を有するpin接合と、直列に接続された(n+1)組のi型微結晶半導体を有するpin接合とが直列に接続された合計(2n+1)組のpin接合を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の光起電力素子は、光入射側から反射防止層と、複数組のpin接合と、0.1乃至10μmの凸凹の表面形状を持つ裏面反射層とをこの順に直列に設けた薄膜光起電力素子において、前記複数組のpin接合が、光入射側から、合計の厚みが0.8μm以下であり、直列に接続された2組のi型非晶質半導体を有するpin接合と、合計の厚みが8.0μm以下であり、直列に接続された3組のi型微結晶半導体を有するpin接合とが直列に接続された合計5組のpin接合よりなることが好ましく、AM1.5(100mW/cm)の太陽光又は擬似太陽光を照射した際に流れる短絡電流が6mA/cm以上であることがより好ましい。
【0012】
また、光入射側から反射防止層と、複数組のpin接合と、0.1乃至10μmの凸凹の表面形状を持つ裏面反射層とをこの順に直列に設けた薄膜光起電力素子において、前記複数組のpin接合が、光入射側から、合計の厚みが0.8μm以下であり、直列に接続された3組のi型非晶質半導体を有するpin接合と、合計の厚みが8.0μm以下であり、直列に接続された4組のi型微結晶半導体を有するpin接合とが直列に接続された合計7組のpin接合よりなることが好ましく、AM1.5(100mW/cm)の太陽光又は擬似太陽光を照射した際に流れる短絡電流が4.2mA/cm以上であることがより好ましい。
【0013】
さらに、AM1.5(100mW/cm)の太陽光又は擬似太陽光を照射した際に、前記i型非晶質半導体を有するpin接合の開放電圧が単独で0.8Vから1.1Vであり、前記i型微結晶半導体を有するpin接合の開放電圧が単独で0.4Vから0.7Vであることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、如何にして変換効率が高く、光劣化が少なく、信頼性があり、作製が容易である光起電力素子を達成すべきか鋭意研究してきた結果、従来の知見からは得られない下記の発明を見出したのである。
【0015】
これまで反射防止層や半導体層や裏面反射層などの鋭意検討によりAM1.5の太陽光下で利用できる光電流は裏面反射を利用しないi型非晶質半導体を有するpin接合で14mA/cm程度にまで達しており、裏面反射を利用し、i型微結晶半導体を有するpin接合も利用すると全体で30mA/cm程度にまで達している。従来知られているように、pin接合を複数積層すると各接合は直列接続と考えてよく、光起電力素子としての電圧は概略各接合の電圧の和となり、電流は概略各接合の最少の電流で律速される。従って、各接合で発生する光電流は概略利用できる光電流全体をpin接合の数で割った値付近で最適と考えられる。つまりpin接合が3組の場合は約10mA/cmとなり、5組の場合は約6mA/cmとなり、7組の場合は約4.2mA/cmとなる。3組の場合の1例を挙げると、i型非晶質半導体を有する第1のpin接合の厚みは約250nm、i型微結晶半導体を有する第2のpin接合の厚みは約2600nm、i型微結晶半導体を有する第3のpin接合の厚みは約4500nm、合計7350nm、開放電圧1.81V、短絡電流10.0mA/cm、曲線因子0.68、変換効率12.3%程度が容易に得られる。なお、裏面反射を利用しないi型非晶質半導体を有するpin接合で発生することのできる光電流を、i型非晶質半導体を有するpin接合の数で割った電流の方が少ない場合はこれが律速となる。
【0016】
i型非晶質半導体を有するpin接合単独の開放電圧は0.85V程度であり、i型微結晶半導体を有するpin接合単独の開放電圧は0.48V程度である。これから開放電圧と曲線因子が積層することでも変わらないとして5組のpin接合の場合を類推すると、開放電圧3.14V、短絡電流6.0mA/cm、曲線因子0.68、変換効率12.8%程度が予想される。
【0017】
また7組のpin接合の場合を類推すると、開放電圧4.47V、短絡電流4.2mA/cm、曲線因子0.68、やはり変換効率12.8%程度が予想される。上記5組と7組構成の場合は全体で発生可能な光電流が増加した場合さらに効率の向上が予想される。
【0018】
これらに引き換え、非晶質/微結晶/微結晶/微結晶の4組構成では開放電圧2.29V、短絡電流7.5mA/cm、曲線因子0.68、変換効率11.8%程度にしかならない。また、非晶質/非晶質/微結晶/微結晶の4組構成では開放電圧2.66V、短絡電流7.0mA/cm、曲線因子0.68、変換効率12.7%程度が予想されるが、この場合はi型非晶質半導体を有するpin接合の電流が律速となり、長波長光の利用がさらに可能となる場合でも効率は向上しない。
【0019】
非晶質/微結晶/微結晶/微結晶/微結晶の5組構成では開放電圧2.77V、短絡電流6.0mA/cm、曲線因子0.68、変換効率11.3%程度にしかならない。
【0020】
非晶質/非晶質/非晶質/微結晶/微結晶の5組構成では開放電圧3.45V、短絡電流4.7mA/cm、曲線因子0.68、変換効率11.0%程度にしかならない。
【0021】
非晶質/非晶質/微結晶/微結晶/微結晶/微結晶の6組構成では開放電圧3.62V、短絡電流5.0mA/cm、曲線因子0.68、変換効率12.3%程度にしかならない。
【0022】
非晶質/非晶質/非晶質/微結晶/微結晶/微結晶の6組構成では開放電圧3.99V、短絡電流4.7mA/cm、曲線因子0.68、変換効率12.7%程度程度が予想されるが、この場合もi型非晶質半導体を有するpin接合の電流が律速となり、長波長光の利用がさらに可能となる場合でも効率は向上しない。
【0023】
このように、開放電圧の和と電流の接合数分の関係から、変換効率を予測でき、上記、非晶質/非晶質/微結晶/微結晶/微結晶の5組構成と非晶質/非晶質/非晶質/微結晶/微結晶/微結晶/微結晶の7組構成が特に優れている。またこれ以上多数も考えられるが変換効率は向上しないことも予測できる。
【0024】
また光入射側から微結晶/非晶質という構成はi型微結晶半導体を有するpin接合単独の開放電圧がi型非晶質半導体を有するpin接合単独の開放電圧の半分しかなく、短波長光の吸収は同程度あるため、i型微結晶半導体がi型非晶質半導体の代わりとなる構成は不利である。
【0025】
ただし、i型非晶質半導体を有するpin接合とi型微結晶半導体を有するpin接合をそれぞれ増設する必要があり、全体の厚みが2μm程度は厚くなり、生産性が低下することが懸念されていた。我々は果敢にこの問題に取り組み、実際に5組構成や7組構成の光起電力素子を試作検討することにより、厚みは当初見込みほど必要ではなく、変換効率の向上で十分相殺される程度の増加で済むことを見出したものである。また、各層の均一性や調整が困難となるが、3組構成にて培った技術を発展させることにより、予想のような結果を得ることが十分可能であることも見出した。
【0026】
5組のpin接合の具体的な1例としては、i型非晶質半導体を有する第1のpin接合の厚みは約80nm、i型非晶質半導体を有する第2のpin接合の厚みは約500nm、i型微結晶半導体を有する第3のpin接合の厚みは約1800nm、i型微結晶半導体を有する第4のpin接合の厚みは約2400nm、i型微結晶半導体を有する第5のpin接合の厚みは約3100nm、合計7880nm程度で作製可能であった。
【0027】
7組のpin接合の具体的な1例としては、i型非晶質半導体を有する第1のpin接合の厚みは約50nm、i型非晶質半導体を有する第2のpin接合の厚みは約150nm、i型非晶質半導体を有する第3のpin接合の厚みは約500nm、i型微結晶半導体を有する第4のpin接合の厚みは約1100nm、i型微結晶半導体を有する第5のpin接合の厚みは約1300nm、i型微結晶半導体を有する第6のpin接合の厚みは約1500nm、i型微結晶半導体を有する第7のpin接合の厚みは約1600nm、合計6200nm程度で作製可能であった。
【0028】
なぜこのように薄い膜厚で所望の特性が得られたかを検討した結果、我々は0.1乃至10μm程度の凸凹の表面形状を持つ裏面反射層による光閉じ込め効果を有効に利用できるため、1接合あたりの電流が低下できる分膜厚を薄く保てると考えている。つまり、光は入射側で多く吸収されるため、表面から入射した光に対し一般に入射側の吸収体を薄くできる。反射光を有効に利用できる場合は、この反射光に対し基板側で多く吸収できるため、基板側の膜厚を薄くすることが可能と考えている。
【0029】
生産能力については以下のように見積もれる。3組のpin接合の場合の1例として、厚み約250nmのi型非晶質半導体を有する第1のpin接合用の第1の装置と、厚み約2600nmのi型微結晶半導体を有する第2のpin接合用の第2の装置と、厚み約4500nmのi型微結晶半導体を有する第3のpin接合用の第3の装置とを同様の装置で構成するとする。ロールツーロール方式の場合、現在良好な結果を得ている作製条件では、第1から第3の装置における搬送速度はそれぞれ400mm/min、150mm/min、100mm/minとなり、第3のpin接合の搬送速度100mm/minが生産上の律速となる。
【0030】
同じ3台の装置で5組のpin接合の場合を見積もると、搬送速度はi型半導体の厚みにほぼ反比例するため、それぞれ1300mm/min、200mm/min、225mm/min、176mm/min、150mm/minとなり、第1と第2のpin接合を第1の装置を2回利用して、さらに、第3と第4のpin接合を第2の装置を2回利用して、第5のpin接合を第3の装置を利用して作製することにより、生産上の律速される搬送速度は約200mm/minの半分、100mm/minとなり、前述の3組のpin接合の場合とくらべ、生産能力を低下させることなく作製が可能である。
【0031】
別の例としてi型非晶質半導体を有するpin接合用の装置とi型微結晶半導体を有するpin接合用の装置の2台で作製する場合を搬送速度ではなく処理時間であらわすと、例えば100mの長さを作製する時間は、3組のpin接合の場合、100mを前述の搬送速度で割って、250min、667min、1000minとなり、i型微結晶半導体を有するpin接合用の装置の処理時間の和1667minが生産の律速となる。
【0032】
5組のpin接合の場合も処理時間であらわすと、100mを前述の搬送速度で割って、77min、500min、444min、601min、667minとなり、やはりi型微結晶半導体を有するpin接合用の装置の処理時間が律速となる。i型微結晶半導体を有するpin接合の処理時間の和は1712minであり、上述した3組のpin接合の場合に比べ、ほとんど変わらない作製時間で処理できる。
【0033】
我々は5組のpin接合に留まることなく7組構成まで検討したが、さらに膜厚は薄くでき、工程数は増加するものの作製時間は減少でき、生産性を低下させることなく、変換効率の高い光起電力素子を作製することができることを見出したものである。これ以上にpin接合を設ける構成は工程数が増える割に変換効率は向上せずメリットは少なくなる。
【0034】
なお、pin接合を6組設ける構成は、接合数の割に開放電圧が低くなり、高い変換効率は見込めない。
【0035】
また、炭素やゲルマニウムを加え、バンドギャップを変化させることも基本的には可能だが、大きく変化させると各層のバランスを取るのが難しく、わずかの添加にとどめたほうが良い。
【0036】
本発明の光起電力素子を作製するにあたっては、枚葉式でもロールツーロール方式でもよい。保護部材まで設けた光起電力素子の断面の一例を図1に模式図で示すが、途中までは帯状の基板に連続的に作製することも可能である。
【0037】
たとえば、帯状のステンレス製の基板101に図2と類似のスパッタリング装置により反射層102を設け、さらに透明抵抗層103を設ける。透明抵抗層103は図2と類似のスパッタリング装置や水溶液からの電気析出法装置により堆積する。透明抵抗層103の表面は0.1乃至10μmの凸凹を設け光を散乱する。作製条件で凸凹を形成してよく、また平坦な表面をウェットエッチングして凸凹を大きくしてもよい。なお我々は反射層102と透明抵抗層103をあわせて裏面反射層と呼称している。
【0038】
この基板を図2に示すプラズマCVD装置により半導体層を形成する。送り出し室201から成膜室202〜208と巻き取り室209までは不図示の真空ポンプで所定の圧力まで排気する。成膜室202〜208には温度制御装置を内蔵した天板を設けており、帯状の基板に接することで基板の温度を所望の温度に制御する。各成膜室間には必要に応じてガスの混合を防止するガスゲートを設けている。また、高周波電力を供給する対向電極210〜219は内部にガス供給路を設けており、基板の対向面の穴から原料ガスを供給する。たとえば、成膜室202へは原料ガスとしてシランとホスフィンと水素を供給し、成膜室203〜207へは原料ガスとしてシランと水素を供給し、成膜室208へは原料ガスとしてシランとジボランと水素を供給する。また、成膜室202〜208の内側にはグロー放電の発生領域を制御するための内チャンバーを設けてある。不図示の排気バルブの開度を調整し所定の圧力に調整する。この状態で帯状の基板を所定の速度で搬送しながら、電極210〜219に高周波電力を供給し、成膜室202でn型非晶質シリコン104を、成膜室203〜207でi型微結晶シリコン105を、成膜室208でp型微結晶シリコンを順次作製し、もっとも基板側のi型微結晶シリコンを有する第5のpin接合が作製できる。一度、この装置からロール状の基板を取り出し、再度送り出し室201に取り付け、これをあと2回繰り返すことで次のpin接合107、108、109と110、111、112をそれぞれ作製し、i型微結晶シリコンを有する第4、第3のpin接合が作製できる。この時、同じ装置を使用してもよいし、同様の別の装置を使用してもよい。また、装置の長さは長くなるが成膜室の数を増やし、連続的に作製してもよい。
【0039】
さらに図2と同様の装置で2回処理することにより、光入射側のi型非晶質シリコンを有する第2と第1のpin接合を完成する。i型非晶質半導体とi型微結晶半導体を作成する条件は異なるため、異なる装置を用いるほうが一般的である。この場合も、装置の長さは長くなるが成膜室をつなげて連続的に作製してもよい。なお、i型微結晶シリコン105、108、111とドープ層104、106、107、109、110、112との間には薄い非晶質シリコンの中間層を、成膜室203や207を用いて、i型非晶質シリコン111と同様な方法により設けてもよい。
【0040】
このようにして作製するとき、それぞれのi型半導体105、108、111、114、117の作製条件を、基板と電極間の距離を変えたり、材料ガス濃度や流量を変えたり、基板温度を変えたり、圧力を変えたり、シランと水素の比を変えたり、または高周波電力や成膜する成膜室の数を調節することにより、それぞれのpin接合の膜厚を調節できる。
【0041】
なお、pin接合の作製にはマイクロ波からラジオ波までのさまざまな高周波電力が使用できる。また、pin接合の表面は透明抵抗層103の凸凹を反映して凹凸を有する場合が多い。また、i型半導体はp型やn型に比べ厚くする必要があり、成膜室204〜206のように複数の成膜室を用いたほうが作製速度を早くできる。この時さらに、各成膜室の条件を微妙に変え、膜質を最適化することも可能である。
【0042】
この試料の上にさらに別の真空装置で反射防止を兼ねた透明電極層119を作製する。
【0043】
次に、試料を適当な大きさに切断し、短絡防止のため端部の透明電極層119を2mmの幅で電解エッチングし、表面に櫛型の集電電極120を設け、取り出し電極を付け、裏面補強部材121として鋼板を用い、更に、表面の光入射面の上に、表面フィルム123としてのフッ化物重合体薄膜と表面封止部材122としての熱可塑性透明有機樹脂とを接着して設け、これを透明性保護部材とし、光起電力素子を完成した。
【0044】
次に本発明の構成要素について5組構成の例を図1を参照しながら個別に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。従来から知られた作製方法を利用できる。7組構成の場合はi型非晶質半導体を有するpin接合とi型非晶質半導体を有するpin接合が1組ずつ増加した形態であり特に例示していない。
【0045】
<基板101>
基板101は、半導体層を介して一方の下部電極も兼ねるが、金属や合金あるいはその積層品、反射層を形成してあるカーボンシート、導電層が形成してある樹脂フィルムなどが使用可能である。これらは、ロール状で利用できるため連続作製に好適である。また用途によってはシリコン等の結晶基板、ガラスやセラミックスの板に反射層や導電層を設けて用いる事もできる。基板の表面は研磨や洗浄をしても良いが、そのまま用いても良い。また表面に凹凸を有したものも使用可能である。また、ステンレススティール(SUS430)のような磁性体を用いると磁石を内蔵したローラで位置を正確に制御しつつ搬送することも可能である。なお、ガラスなどの透光性基板を使用して、基板上に透明電極層を堆積して光起電力素子を作成する場合は、透光性基板側から光を入射することも可能である。
【0046】
<反射層102>
反射層102は、反射率の高い基板を用いる場合は改めて設ける必要はない。基板101にステンレススティールやカーボンシートなどを使用するときはスパッタリング等によりアルミニウムや銀などを形成する。
【0047】
<透明抵抗層103>
透明抵抗層103は、スパッタリング法や真空蒸着法や化学的気相成長法やイオンプレーティング法やイオンビーム法やイオンビームスパッタ法などで作製できる。また、硝酸基や酢酸基やアンモニア基などと金属イオンからなる水溶液中からの電気析出法や浸漬法、あるいはスパッタリング法等との併用でも作製できる。透明抵抗層の性質は基板まで光を透過させるため透明度が高いことが望ましい。また、半導体層の欠陥を通じて流れる電流を抑制するため適度の抵抗を持つことが望ましい。具体的には透過率が90%以上で、導電率が10−8(1/Ωcm)以上、10−1(1/Ωcm)以下であることが望ましい。材料としては酸化亜鉛や酸化インジウムや酸化錫またはその含有物などが利用できる。
【0048】
作製条件を制御することにより表面に0.1乃至10μmの大きさの凹凸を作製することができるが、平坦な場合は酢酸水溶液等でウェットエッチングして凸凹にしてもよい。たとえばスパッタリングの場合は基板温度を高くし、堆積速度を遅くし、厚みを厚くすることで凸凹を大きくできる。また水溶液の電気析出法では亜鉛濃度を濃くし、厚みを厚くすることで凸凹を大きくできる。
【0049】
<n型およびp型半導体>
pin接合の作成には高周波からマイクロ波までの電力を利用するCVD装置などが利用できる。真空室内に材料ガスとしてSiH、PH、Hなどを供給し、電力を投入して、これによりn型アモルファスシリコン層104、107、110、113、116が形成できる。さらにSiH、BF、Hなどを用い、p型微結晶シリコン層106、109、112、115、118が形成できる。この半導体層は非単結晶として、アモルファスやマイクロクリスタル(微結晶)に制限されず、nipの構成もpinでも可能である。また、インライン方式の装置で連続的に作製することも可能である。
【0050】
<i型微結晶半導体105、108、111>
i型微結晶半導体は、SiHとHなどにより作製するが、水素ガスの希釈率が重要であり、10倍〜500倍ほどの希釈が必要で、より好ましくは300倍程度の希釈が必要である。良好な微結晶半導体は非晶質半導体に比べ、バンドギャップが狭く、開放電圧は0.4V〜0.7Vと低くなるものの、800nm〜1100nmの波長の光に対してもある程度の吸収係数を持ち、太陽光をより多く利用できる。結晶粒径は10nm〜100nmであり、断面の形状も一様に見える非晶質半導体に比べ、柱状構造が明らかに確認できる。また作製温度は100℃〜300℃の低温で作製することにより良好なキャリア走行性が得られ、光起電力素子としての曲線因子が改善する。高周波電力密度も微結晶化の重要な要素であり、堆積速度にも影響する。好ましくは0.2W/cm〜5W/cmである。また、大面積に渡り均質な微結晶半導体を得るためには電極間距離と圧力も重要である。電極間距離は3mm〜20mm、圧力は200Paから2000Paが適当である。高周波電力の周波数は13.56MHz〜3GHzまで使用できる。
【0051】
5組構成の場合、第3のpin接合のi型微結晶半導体111の厚みは1.5μm〜2.0μmが適当である。第4のpin接合のi型微結晶半導体108の厚みは2.0μm〜2.6μmが適当である。第5のpin接合のi型微結晶半導体105の厚みは2.5μm〜3.3μmが適当である。
【0052】
7組構成の場合、第4のpin接合のi型微結晶半導体の厚みは0.8μm〜1.3μmが適当である。第5のpin接合のi型微結晶半導体の厚みは1.0μm〜1.5μmが適当である。第6のpin接合のi型微結晶半導体の厚みは1.2μm〜1.7μmが適当である。第7のpin接合のi型微結晶半導体の厚みは1.3μm〜1.8μmが適当である。
【0053】
本発明における複数のpin接合の微結晶半導体層は基本的に同じでよいが、作製条件を変えてもよい。また、複数の成膜室を同じ条件で作製してもよいが、より好適となるよう作製条件を変えてもよい。たとえば基板111側の膜を作製するときは水素希釈率を多くし、光入射面124側の膜を作製するときは水素希釈率を低くしてもよい。炭素やゲルマニウムを添加してバンドギャップを変化させることも可能である。なお、微結晶半導体とn型半導体およびp型半導体のそれぞれの間に薄い非晶質や微結晶の中間層を設けてもよい。
【0054】
<i型非晶質半導体114、117>
i型非晶質半導体も、微結晶半導体と同様な方法で作製できるが、水素ガスの希釈率が10倍程度に低くてよく、高周波電力密度も0.1W/cmほどで作製する。膜質は断面形状が一様に観察できる。開放電圧は0.8V〜1.1Vであり、i型微結晶半導体よりバンドギャップが広く、800nm以下の光を吸収できる。
【0055】
5組構成の場合は、第1のi型非晶質半導体117の厚みは0.05μm〜0.1μmが適当である。第2のi型非晶質半導体114の厚みは0.4μm〜0.7μmが適当である。
【0056】
7組構成の場合、第1のi型非晶質半導体の厚みは0.03μm〜0.08μmが適当である。第2のi型非晶質半導体の厚みは0.1μm〜0.2μmが適当である。第3のi型非晶質半導体の厚みは0.3μm〜0.6μmが適当である。
【0057】
これらのi型非晶質半導体も基本的に同じでよいが、作製条件を変えてもよい。なお、第1のpin接合のi型非晶質半導体に原料ガスとしてエチレンガスを添加し、SiCを混入させたり、第2のpin接合のi型非晶質半導体に原料ガスとしてゲルマンガスを添加し、SiGeを混入させたりして、バンドギャップを調整しても良い。
【0058】
<反射防止層119>
反射防止層119は、上記半導体層104〜118を介した基板とは反対側の上部電極を兼ね、低抵抗であることが望ましい。酸化インジウムや酸化錫や酸化チタンや酸化亜鉛やその混合物などを原材料にし、抵抗加熱や電子ビームによる真空蒸着法やスパッタリング法、CVD法、スプレー法、浸積法等で作製できる。また、光入射面124とする上で、良好な反射防止効果を得るために反射防止層の膜厚は、主に反射を防止したい光の波長に比べ、反射防止膜の屈折率の4倍分の1程度が良い。たとえば屈折率が2で最も透過したい波長が500nmとすると膜厚は、約63nm程度が望ましい。また屈折率の異なる材料を積層する構成でも良い。
【0059】
<集電電極120>
反射防止層119の上には電流を効率よく集電するために、格子状の集電電極120を設けてもよい。集電電極120の形成方法としては、マスクパターンを用いたスパッタリング、抵抗加熱、CVD法や、全面に金属膜を蒸着した後で不必要な部分をエッチングで取り除きパターニングする方法、光CVDにより直接グリッド電極パターンを形成する方法、グリッド電極パターンのネガパターンのマスクを形成した後にメッキする方法、導電性ペーストを印刷する方法などがある。
【0060】
なおこの後、必要に応じて起電力を取り出すために出力端子を基板101と集電電極120に取り付けてもよい。
【0061】
<表面封止材122>
表面封止材122は、光起電力素子の凹凸を樹脂で被覆し、変換体を温度変化、湿度、衝撃などの過酷な外部環境から守りかつ表面フィルムと変換体との接着を確保するために必要である。したがって、耐候性、接着性、充填性、耐熱性、耐寒性、耐衝撃性が要求される。これらの要求を満たす樹脂としてはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、ポリビニルブチラール樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
【0062】
<表面フィルム123>
本発明で用いられる表面樹脂フィルム123は、太陽電池モジュールの最表層に位置するため耐候性、耐汚染性、機械強度をはじめとして、太陽電池モジュールの屋外暴露における長期信頼性を確保するための性能が必要である。本発明に好適に用いられる材料としてはフッ素樹脂、アクリル樹脂などがある。なかでもフッ素樹脂は耐候性、汚染性に優れているため好んで用いられる。
【0063】
<裏面補強部材121>
裏面補強材の具体例として用いた被覆フィルムは、光起電力素子の導電性基板101と外部との電気的絶縁を保つために必要である。材料としては、導電性基板101と充分な電気絶縁性を確保でき、しかも長期耐久性に優れ熱膨張、熱収縮に耐えられる、柔軟性を兼ね備えた材料が好ましい。好適に用いられるフィルムとしては、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0064】
裏面補強材としては、前記被覆フィルムの他に、太陽電池モジュールの機械的強度を増すために、あるいは、温度変化による歪、ソリを防止するために、例えば、鋼板、プラスチック板、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)板を用いてもよい。この機械的強度が大きい裏面補強部材の場合には、屋根材などの建材に適用することができる。
【0065】
【実施例】
以下、本発明を実施例に従って、説明する。
【0066】
<実施例1>
本実施例においては以下に詳細を示すが、図1の断面模式図に示す構成の光起電力素子をロールツーロール方式で作成した。
【0067】
基板101には長さ100m、厚さ0.15mmの形状で、一般的にダル仕上げと呼ばれる凹凸をつけたロール状のSUS430を使用した。図2と同様の装置で電極部に搬送方向24cmの銀と酸化亜鉛のターゲットを設置した直流マグネトロンスパッタ装置に設置し、圧力が2mPa以下になるまで排気した。この後アルゴンガスを各々の成膜室に30cc/min供給し、圧力を0.3Paに保持した。基板を送り出し室から巻き取り室に連続的に搬送しながら、裏側から200℃に加熱して、3.5W/cmの直流電力を印加し800nmの厚みの銀の反射層102と0.2μmの酸化亜鉛の透明抵抗層103を形成した。
【0068】
このロール状のSUS430をロールツーロール方式の電解処理装置で搬送しつつ、さらに酸化亜鉛の透明電極層を2μmの厚みに作製した。溶液は0.18mol/リットルの硝酸亜鉛溶液を用い、対極電極に亜鉛板を用い、10mA/cmの電流密度で作製した。これにより透明抵抗層103の表面には0.1乃至10μmの凸凹が形成でき、反射や散乱の効果により、光を有効に利用できる。
【0069】
[i型微結晶半導体を有する第5のpin接合104〜106]
このロール状の試料を図2に概略を示す第1の装置の送り出し室201に設置し、20mPaまで真空ポンプで排気した後、各成膜室を表1の条件に設定し、基板を150mm/minの速度で搬送してi型微結晶半導体を有する第5のpin接合104、105、106を作製した。
【0070】
電極は搬送方向80cmであり、基板と電極の距離は10mmに保持した。基板の温度は基板の裏側に接する天板の温度を150℃に制御し、圧力はスロットルバルブの開度を調整して600Paに制御した。
【0071】
これにより、成膜室202ではn型非晶質半導体104が30nmの厚みに作製でき、成膜室203と207ではi型非晶質半導体の中間層(不図示)が10nmの厚みに作製でき、成膜室204〜206ではi型微結晶半導体105が3.1μmの厚みに作製でき、成膜室208ではp型微結晶半導体106が10nmの厚みに作製できる。
【0072】
【表1】
Figure 2004289091
【0073】
[i型微結晶半導体を有する第4のpin接合107〜109]
次に巻き取り室からロール状の試料を取り出し、再び図2の第2の装置の送り出し室に取り付けた。真空ポンプで排気した後、各成膜室を表2の条件に設定し、基板を176mm/minの速度で搬送してi型微結晶半導体を有する第4のpin接合107、108、109を作製した。
【0074】
基板の温度は基板の裏側に接する天板の温度を150℃に制御し、圧力はスロットルバルブの開度を調整して600Paに制御した。
【0075】
これにより、成膜室202ではn型非晶質半導体107が30nmの厚みに作製でき、成膜室203と207ではi型非晶質半導体の中間層(不図示)が10nmの厚みに作製でき、成膜室204〜206ではi型微結晶半導体108が2.4μmの厚みに作製でき、成膜室208ではp型微結晶半導体109が10nmの厚みに作製できる。
【0076】
【表2】
Figure 2004289091
【0077】
[i型微結晶半導体を有する第3のpin接合110〜112]
次に巻き取り室からロール状の試料を取り出し、再び図2の第2の装置の送り出し室に取り付けた。真空ポンプで排気した後、各成膜室を表3の条件に設定し、基板を225mm/minの速度で搬送してi型微結晶半導体を有する第3のpin接合110、111、112を作製した。
【0078】
その他の条件も同じにして、成膜室202ではn型非晶質半導体110が30nmの厚みに作製でき、成膜室203と207ではi型非晶質半導体の中間層(不図示)が10nmの厚みに作製でき、成膜室204〜206ではi型微結晶半導体111が1.8μmの厚みに作製でき、成膜室208ではp型微結晶半導体112が10nmの厚みに作製できた。
【0079】
【表3】
Figure 2004289091
【0080】
[i型非晶質半導体を有する第2のpin接合113〜115]
次に巻き取り室からロール状の試料を取り出し、再び図2と同様の別の第3の装置の送り出し室に取り付けた。真空ポンプで排気した後、各成膜室を表4の条件に設定し、基板を200mm/minの速度で搬送してi型非晶質半導体を有する第2のpin接合113、114、115を作製した。
【0081】
基板の温度は基板の裏側に接する天板の温度を200℃に制御し、圧力はスロットルバルブの開度を調整して300Paに制御した。
【0082】
これにより、成膜室202ではn型非晶質半導体110が20nmの厚みに作製でき、成膜室204〜206ではi型非晶質半導体114が500nmの厚みに作製でき、成膜室208ではp型微結晶半導体112が10nmの厚みに作製できる。
【0083】
【表4】
Figure 2004289091
【0084】
[i型非晶質半導体を有する第1のpin接合116〜118]
次に巻き取り室からロール状の試料を取り出し、再びこの第3の装置の送り出し室に取り付けた。真空ポンプで排気した後、各成膜室を同じく表4の条件に設定し、成膜室204〜206では6個あるカソードのうち1つにのみ電力を供給し、基板を200mm/minの速度で搬送してi型非晶質半導体を有する第1のpin接合113、114、115を作製した。
【0085】
これにより、成膜室202ではn型非晶質半導体116が20nmの厚みに作製でき、成膜室204〜206ではi型非晶質半導体117が80nmの厚みに作製でき、成膜室208ではp型微結晶半導体118が10nmの厚みに作製できる。
【0086】
生産速度は第2の装置に2回通すことにより176mm/minと225mm/minの平均の半分約100mm/minとなり、これは後述する比較例1と同等の処理時間となる。
【0087】
次に、図2と同様の装置で電極部に搬送方向24cmの酸化スズを3wt%含む酸化インジウムのターゲットを設置した直流マグネトロンスパッタ装置に設置し、圧力が2mPa以下になるまで排気した。この後、各々の成膜室にアルゴンガスを30cc/minと、酸素を0.2cc/min供給し、圧力を0.3Paに保持した。基板を送り出し室から巻き取り室に連続的に搬送しながら、裏側から200℃に加熱して、0.4W/cmの直流電力を印加し70nmの厚みの透明電極層119を形成した。
【0088】
以上のようにして作製したロール状の試料を長さ24cmに切断した。pHが1.2に調整された常温(25℃)の硫酸と水酸化カリウムの混合水溶液(硫酸2.0%、水酸化カリウム0.7%、純水97.3%)の電解質溶液槽に入れ、セル基板側を負極に、セル基板の外周2mmのみに対向する電極を正極とし、電極間距離0.5mmで正電圧4.2Vを印加時間1秒とし、セル基板の外周2mmのみ透明電極層119をエッチングした。これはセル基板端部での短絡防止のためである。引き続き、対向電極を一様な形状に変え、セル基板側を正極とし、電極間距離40mmの下、正電圧4.2Vを印加時間25msとしパルス的に80回印加し電解処理を行った。これはセル基板内の欠陥による短絡部の透明電極層をエッチングするためである。なお、硫酸と水酸化カリウムの混合水溶液の電気電導度は、70.0mS/cm(25℃)とし、また対向電極面積は基板面積と同様とした。その後、前記スラブを電解質溶液槽内から取り出し、純水でセル表面の電解質溶液を十分に洗い流した後、温風オーブンで150℃の温度で30分乾燥を行った。
【0089】
この表面に集電電極120として、カーボンコーティングした銅ワイヤーを圧着し、出力端子を付け、最後にマイナス側端子として銅タブをステンレス基板にステンレス半田を用いて取り付け、プラス側端子としては錫箔のテープを導電性接着剤にて集電電極120に取り付け出力端子とした。なお、プラス側端子は絶縁体を介して裏面に回し、後述する裏面被覆材の穴から出力を取り出せるようにした。
【0090】
光電気変換部の受光面側に、表面封止材122としてのEVAシートと表面フィルム123としての片面をコロナ放電処理した無延伸のETFEフィルムを、裏側に、裏面補強部材121としてのEVAシートとナイロンフィルムとガルバリウム鋼板を重ねた。この際にETFEの外側に、はみ出したEVAのための離型用テフロン(登録商標)フィルムを介してアルミニウムメッシュを配置した。この積層体を真空ラミネート装置を用いて加圧脱気しながら150℃で30分加熱することにより、アルミニウムメッシュにより表面に凹凸が形成された光起電力素子を得た。出力端子はあらかじめ光起電力素子裏面にまわしておき、ラミネート後、ガルバリウム鋼板に予め開けておいた端子取り出し口から出力が取り出せるようにした。保護樹脂を接着して完成した。
【0091】
上記透明性保護部材を設けた後の光起電力素子における初期の変換効率は12.8%であった。さらに、国際的に一般的な規格であるIEC61646、10.18に従った劣化試験(温度:45℃〜50℃、照射光エネルギー密度:100mW/cm)後の変換効率は12.2%であった。なお、3組のpin接合より電圧が高く、電流が少ないため電力損は低下しているが、膜厚で電流を調節する困難さが多少あり、2つの効果が相殺されていると思われる。
【0092】
<実施例2>
実施例2では7組のpin接合を設けた1例を示す。基本的には実施例1と同じ作製方法を用いた。異なるのは搬送速度と接合数の数だけである。
【0093】
裏面反射層を設けた基板上に第7のi型微結晶半導体を有するpin接合を表1の条件で第1の装置で搬送速度290mm/minで約1600nmの厚みに作製した。引き続き第6のi型微結晶半導体を有するpin接合を表1の条件で第1の装置で搬送速度310mm/minで約1500nmの厚みに作製した。第5のi型微結晶半導体を有するpin接合を表2の条件で第2の装置で搬送速度325mm/minで約1300nmの厚みに作製した。第4のi型微結晶半導体を有するpin接合を表3の条件で第2の装置で搬送速度370mm/minで約1100nmの厚みに作製した。
【0094】
つづいて、第3のi型非晶質半導体を有するpin接合を表4の条件で第3の装置で搬送速度200mm/minで約500nmの厚みに作製した。第2のi型非晶質半導体を有するpin接合を表5の条件で第3の装置で搬送速度670mm/minで約150nmの厚みに作製した。第1のi型非晶質半導体を有するpin接合を表5の条件で第3の装置で搬送速度670mm/minで、成膜室204〜206では6つのカソード内2つのみに電力を供給し約50nmの厚みに作製した。
【0095】
【表5】
Figure 2004289091
【0096】
以下は実施例1と同様に光起電力素子を完成させ、変換効率12.8%、劣化試験後の変換効率12.3%を得た。生産速度は工程数が増えるものの、第1の装置に2回通すところで律速され平均300mm/minの半分、150mm/minの処理速度となり後述する比較例1より早く処理できる。
【0097】
<比較例1>
比較例1では3組のpin接合を設けた1例を示す。基本的には実施例1と同じ作製方法を用いた。異なるのは搬送速度と接合数の数だけである。
【0098】
裏面反射層を設けた基板上に第3のi型微結晶半導体を有するpin接合を表1の条件で第1の装置で搬送速度100mm/minで約4500nmの厚みに作製した。引き続き第2のi型微結晶半導体を有するpin接合を表2の条件で第2の装置で搬送速度150mm/minで約2600nmの厚みに作製した。次に第1のi型微非晶質半導体を有するpin接合を表4の条件で第3の装置で搬送速度400mm/minで約250nmの厚みに作製した。
【0099】
以下は実施例1と同様に光起電力素子を完成させ、変換効率12.3%、劣化試験後の変換効率11.7%を得た。生産速度は第3のi型微結晶半導体を有するpin接合を作製する搬送速度100mm/minが律速となる。
【0100】
【発明の効果】
以上説明のように、本発明の光起電力素子は、i型非晶質半導体を有するpin接合とi型微結晶半導体を有するpin接合を複数組直列に有しているにもかかわらず、比較的厚みを厚くする必要がないため生産性を低下させることなく、安価に製造でき、最終的な製品形態での光電気変換効率が優れる。
【0101】
さらに、長時間にわたり特性に変化が少なく信頼性が高い。
【0102】
また、駆動電圧が高く、電流が少ないためさまざまな個所での電力損が少なく効率の良い発電が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光起電力素子の1実施例の断面構造を示す概略図。
【図2】本発明のpin接合層を作製するために好適な装置の概略図。
【符号の説明】
101 基板
102 反射層
103 透明抵抗層
104 n型半導体
105 i型微結晶半導体
106 p型半導体
107 n型半導体
108 i型微結晶半導体
109 p型半導体
110 n型半導体
111 i型微結晶半導体
112 p型半導体
113 n型半導体
114 i型非晶質半導体
115 p型半導体
116 n型半導体
117 i型非晶質半導体
118 p型半導体
119 反射防止層(透明電極層)
120 集電電極
121 裏面補強部材
122 表面封止材
123 表面フィルム
124 光入射面
201 送り出し室
202 n層成膜室
203〜207 i層成膜室
208 p層成膜室
209 巻き取り室
210〜219 対向電極

Claims (6)

  1. 光入射側から、直列に接続されたn組(nは2以上の整数)のi型非晶質半導体を有するpin接合と、直列に接続された(n+1)組のi型微結晶半導体を有するpin接合とが直列に接続された合計(2n+1)組のpin接合を有することを特徴とする光起電力素子。
  2. 光入射側から反射防止層と、複数組のpin接合と、0.1乃至10μmの凸凹の表面形状を持つ裏面反射層とをこの順に直列に設けた薄膜光起電力素子において、前記複数組のpin接合が、光入射側から、合計の厚みが0.8μm以下であり、直列に接続された2組のi型非晶質半導体を有するpin接合と、合計の厚みが8.0μm以下であり、直列に接続された3組のi型微結晶半導体を有するpin接合とが直列に接続された合計5組のpin接合よりなることを特徴とする光起電力素子。
  3. AM1.5(100mW/cm)の太陽光又は擬似太陽光を照射した際に流れる短絡電流が6mA/cm以上であることを特徴とする請求項2に記載の光起電力素子。
  4. 光入射側から反射防止層と、複数組のpin接合と、0.1乃至10μmの凸凹の表面形状を持つ裏面反射層とをこの順に直列に設けた薄膜光起電力素子において、前記複数組のpin接合が、光入射側から、合計の厚みが0.8μm以下であり、直列に接続された3組のi型非晶質半導体を有するpin接合と、合計の厚みが8.0μm以下であり、直列に接続された4組のi型微結晶半導体を有するpin接合とが直列に接続された合計7組のpin接合よりなることを特徴とする光起電力素子。
  5. AM1.5(100mW/cm)の太陽光又は擬似太陽光を照射した際に流れる短絡電流が4.2mA/cm以上であることを特徴とする請求項4に記載の光起電力素子。
  6. AM1.5(100mW/cm)の太陽光又は擬似太陽光を照射した際に、前記i型非晶質半導体を有するpin接合の開放電圧が単独で0.8Vから1.1Vであり、前記i型微結晶半導体を有するpin接合の開放電圧が単独で0.4Vから0.7Vであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光起電力素子。
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