JP5696959B1 - 吸水時の振動性に優れた高融点ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

高い耐振動特性、つまり極めて高い共振周波数を持ち、特に吸水時でも高い共振周波数を保持することができる高融点ポリアミド樹脂組成物を提供する。融点(Tm)が290℃〜350℃であり、昇温結晶化温度(Tc1)が80〜150℃であるポリアミド樹脂(A)と、断面積が1.5〜5.0?10−6cm2のガラス繊維(B)を含有するポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂(A)とガラス繊維(B)の重量比((A):(B))が20:80〜35:65であり、ポリアミド樹脂(A)が(a)ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位55〜75モル%と、(b)11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムから得られる構成単位45〜25モル%とからなる共重合ポリアミドであることを特徴とする。

Description

本発明は、高融点かつ低吸水の特定のポリアミド樹脂に特定の断面積を持つガラス繊維を添加することによって極めて高い共振周波数を達成したものであり、特に非常に低い吸水率によって成形品が吸水しても振動特性が低下しないポリアミド樹脂組成物に関する。本発明のポリアミド樹脂組成物は、電気電子部品の筐体や、自動車内装および外装に使用される車両用部品の成形品として好適に使用できるものである。
ポリアミド樹脂は、ガラス繊維で強化することによって、高い強度、剛性だけでなく高い荷重たわみ性を発現することができる。そのため、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物は、電気電子機器や自動車分野において内部部材および外部部材として広く用いられている。近年、特に電気電子部材における製品肉厚の薄肉化や、車輌用部品の小サイズ化から要求される振動特性のレベルが高まっており、弾性率/比重で示される比弾性率のより高い熱可塑性樹脂組成物が求められている。しかし、ポリアミド樹脂組成物は、一般的に吸水が大きく、吸水すると弾性率の低下を引き起こすため、例えばポリアミド6、ポリアミド66成分をベースとしたガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物は、吸水時に耐振動特性が低下するという欠点がある。さらに、ガラス繊維の充填量が60重量%以上になると、樹脂比率が低くなるため、吸水の絶対量に対して強度、弾性率などの低下率がより大きくなり、電気電子部品筐体、車両内装、外装部品としての使用が制限される。
また、近年、特に電気電子部品の実装においては、製品サイズの小型化に伴う部品の小型化、実装の高密度化、工程の簡略化や低コスト化により表面実装方式(フロー方式、リフロー方式)が急速に浸透している。表面実装方式では、工程雰囲気温度が半田溶融温度以上(240〜260℃)になることから、使用される樹脂にも必然的に上記雰囲気温度での耐熱性が求められる。また、表面実装工程においては、樹脂の吸水に由来する実装部品のふくれ、変形が問題となることもあり、使用される樹脂には低吸水性が求められる。これらの特性を満足する樹脂としては、6T系ナイロンや9Tナイロンがあり、例えば特許文献1や特許文献2などでこれらの芳香族系ポリアミドが表面実装型電気電子部品に使用できることが示されている。
特許文献3では、ナイロン66ベースに結晶性を低下させるイソフタラミド成分を共重合し、ガラス繊維などの強化材を60%以上配合して共振周波数の高い耐振動特性を有する樹脂組成物を得ている。しかしながら、結晶性を低下させる成分によって弾性率の上昇は充分でなく、試験サンプル形状で200Hz以上の共振周波数を得るための曲げ弾性率と比重の良好なバランスを得られていない。また、マイカを添加することによって伸度、耐衝撃性を落としている懸念がある。さらに、吸水することによって大幅な弾性率の低下を引き起こすため、実使用時に大きく共振周波数が低下する問題がある。
特許文献4では、ポリアミド樹脂と非円形断面のガラスロービング繊維とを組み合わせた長繊維ポリアミド成形材料が開示されている。しかしながら、特許文献4の実施例においては、ガラス繊維を60%以上配合しておらず、したがって共振周波数が比例する関係にある弾性率/比重は充分に高くないため、強度、衝撃面では高度な特性を持つ成型材料であっても耐振動性に関しては充分な特性を発現しない。さらに、ここで例示されているポリアミドも吸水率の大きいものであり、吸水することによって大幅な弾性率の低下を引き起こすため、実使用時に大きく共振周波数が低下する問題がある。
特許文献5では、ポリアミド6、ポリアミド66、非結晶ポリアミド等の複数樹脂を共重合でなくブレンドベースで使用し、結晶性を保持しながら強化材を高充填し、さらに最適量のポリプロピレンを添加することによって高い共振周波数を得ると同時に減衰特性も付与している。しかしながら、現在の耐振動要求としては、特許文献5の試験法において230Hz以上の共振周波数を求められており、ポリプロピレンのような弾性率発現の低い樹脂を成分としている場合は、これには到底届かない。このため、さらに比弾性率の高い特性発現を得られる、ガラス繊維と熱可塑性樹脂の組合せが求められている。ここでも例示されているポリアミドは吸水率の大きいものであり、吸水することによって大幅な弾性率の低下を引き起こすため、実使用時に大きく共振周波数が低下する問題がある。
特開平3−88846号公報 特許第3474246号公報 特開平7−118522号公報 特開2008−95066号公報 特開2005−162775号公報
本発明は、上記従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、高い耐振動特性、つまり極めて高い共振周波数を持ち、特に吸水時でも高い共振周波数を保持することができる高融点ポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の形状の断面積を有するガラス繊維を、高い融点とガラス転移温度を持つ特定のポリアミド樹脂に添加することによって、その比重に対して弾性率の発現を最大限にすることができ、しかも吸水時もその特性を保持できることを見出した。高い融点とガラス転移温度を持つポリアミド樹脂にガラス繊維を添加することは、融点が270℃以下であるポリアミド6やポリアミド66にガラス繊維を添加するより、加工温度の観点から困難であるが、ガラス繊維の断面積を汎用ガラス繊維と異なるものにすることによって、汎用で使用される断面積が9.5×10−7cm(ガラス繊維径11μm)のガラス繊維や断面積が13.3×10−6cm(ガラス繊維径13μm)のガラス繊維を使う場合に比べて、その繊維本数およびガラス繊維表面積が低減され、高いガラス充填量にもかかわらず、高融点ポリアミドに対しても二軸押出機で容易に生産することができることを見出した。具体的には、このようなポリアミド樹脂組成物を用いることによって曲げ特性に関して満足な成形品が得られること、そしてこれが従来技術では達成できなかった高い共振周波数を持つということだけでなく、吸水時の振動特性の低下もなく、強度、耐衝撃性においても優れることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(9)の構成を採用するものである。
(1)融点(Tm)が290℃〜350℃であり、昇温結晶化温度(Tc1)が80〜150℃であるポリアミド樹脂(A)と、断面積が1.5〜5.0×10−6cmのガラス繊維(B)を含有するポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂(A)とガラス繊維(B)の重量比((A):(B))が20:80〜35:65であり、ポリアミド樹脂(A)が(a)ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位55〜75モル%と、(b)11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムから得られる構成単位45〜25モル%とからなる共重合ポリアミドであることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)ポリアミド樹脂(A)が、(c)前記(a)の構成単位以外のジアミンとジカルボン酸の等量モル塩から得られる構成単位、または前記(b)の構成単位以外のアミノカルボン酸もしくはラクタムから得られる構成単位を最大20モル%まで含有することを特徴とする(1)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)ガラス繊維(B)の一部または全てが扁平断面ガラス繊維であり、この扁平断面ガラス繊維が、短径/長径比が0.3〜0.5である扁平断面ガラス繊維(B−1)と、短径/長径比が0.2〜0.3である扁平断面ガラス繊維(B−2)からなり、その重量比((B−1):(B−2))が0:100〜100:0であることを特徴とする(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)さらに銅化合物(C)を最大0.5重量%の量で含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)さらに離型剤、安定剤、カーボンブラック、及び/又はカップリング剤を含む添加成分(D)を最大5重量%の量で含むことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品であって、成形品の比重ρ(g/cm)と曲げ弾性率E(GPa)が11<E/ρ<18,1.7<ρ<2.0を満足することを特徴とする成形品。
(7)成形品における残存ガラス繊維長の重量平均が300〜1000μmであることを特徴とする(6)に記載の成形品。
(8)電気電子筐体または車両の内装品もしくは外装品に使用されることを特徴とする(6)または(7)に記載の成形品。
(9)車両用鏡体保持部品に使用されることを特徴とする(8)に記載の成形品。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、添加されるガラス繊維の断面積を特定範囲に規定することによって比重に対する弾性率発現をガラス繊維高充填領域でコントロール可能としており、しかもガラス繊維を、高融点、高ガラス転移温度の特定のポリアミド樹脂に添加することによって、吸水率が低く、共振周波数の低下を極めて少なくなるようにしている。その結果、本発明のポリアミド樹脂組成物は高い共振周波数を得ることができ、かつ高い強度と耐衝撃性を有し、さらには吸水による共振周波数低下がないため、電気電子機器の筐体や自動車内装および外装用の部品として極めて有用である。
図1は、共振周波数評価のための振動試験装置の概略図である。 図2(a)は、実施例1の共振周波数測定結果であり、図2(b)は、実施例1と比較例1の80℃×95%処理した共振周波数の経時変化のグラフである。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、特定の高融点ポリアミド樹脂(A)と、断面積が1.5〜5.0×10−6cmのガラス繊維(B)を含有するものである。本発明のポリアミド樹脂組成物は、前記(A)及び前記(B)を主たる構成成分とするものであり、それらの合計で95重量%以上を占めることが好ましい。
本発明で使用するポリアミド樹脂(A)は融点(Tm)が290℃〜350℃であり、昇温結晶化温度(Tc1)が80〜150℃であることを特徴とする。かかるポリアミド樹脂(A)は、具体的には(a)ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位55〜75モル%と、(b)11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムから得られる構成単位45〜25モル%とからなる共重合ポリアミドである。
ポリアミド樹脂(A)は、高い耐熱性、流動性、低い吸水性に加えて優れた成形性を実現するために配合されるものであり、ポリアミド6Tに相当する(a)成分とポリアミド11に相当する(b)成分を特定の割合で含有するものであり、従来の6Tナイロン(例えば、テレフタル酸/イソフタル酸/ヘキサメチレンジアミンからなるポリアミド6T6I、テレフタル酸/アジピン酸/テレフタル酸からなるポリアミド6T66、テレフタル酸/イソフタル酸/アジピン酸/ヘキサメチレンジアミンからなるポリアミド6T6I66、テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/2−メチル―1、5−ペンタメチレンジアミンからなるポリアミド6T/M−5T、テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ε―カプロラクタムからなるポリアミド6T6)の欠点である高吸水性が大幅に改良されているという特徴を有する。さらには、ポリアミド11成分に由来するフレキシブルな長鎖脂肪骨格を有することから流動性を確保しやすいという特徴も有する。
(a)成分は、ヘキサメチレンジアミン(6)とテレフタル酸(T)を等量モルで共縮重合させることにより得られる6Tナイロンに相当するものであり、具体的には、下記式(I)で表されるものである。
(a)成分は、高融点ポリアミド樹脂(A)の主成分であり、高融点ポリアミド樹脂(A)に優れた耐熱性、機械的特性、摺動性などを付与する役割を有する。共重合ポリアミド(A)中の(a)成分の配合割合は、55〜75モル%であり、好ましくは60〜70モル%、さらに好ましくは62〜68モル%である。(a)成分の配合割合が上記下限未満の場合、結晶成分である6Tナイロンが共重合成分により結晶阻害を受け、成形性や高温特性の低下を招くおそれがあり、一方、上記上限を超える場合、融点が高くなりすぎ加工時に分解するおそれがある。
(b)成分は、11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムを重縮合させることにより得られる11ナイロンに相当するものであり、具体的には、下記式(II)で表されるものである。
(b)成分は、(a)成分の欠点である、吸水性、流動性を改良するためのものであり、ポリアミド樹脂(A)の融点及び昇温結晶化温度を調整し成形性を向上させる役割、吸水率を低減させて吸水時の物性変化や寸法変化によるトラブルを改善させる役割、およびフレキシブルな骨格を導入することにより溶融時の流動性を改善する役割を有する。ポリアミド樹脂(A)中の(b)成分の配合割合は、45〜25モル%であり、好ましくは40〜30モル%、更に好ましくは38〜32モル%である。(b)成分の配合割合が上記下限未満の場合、ポリアミド樹脂(A)の融点が十分に低下せず、成形性が不足するおそれがあると共に、得られた樹脂の吸水率を低減させる効果が不十分であり、吸水時に機械的特性が低下するなど物性の不安定さを招くおそれがある。上記上限を超える場合、ポリアミド樹脂(A)の融点が低下しすぎて結晶化速度が遅くなり、成形性が逆に悪くなるおそれがあると共に、6Tナイロンに相当する(a)成分の量が少なくなり、機械的特性や耐熱性が不足するおそれがある。
ポリアミド樹脂(A)は、上記(a)成分及び(b)成分以外に、(c)上記(a)の構成単位以外のジアミンとジカルボン酸の等量モル塩から得られる構成単位、または上記(b)の構成単位以外のアミノカルボン酸もしくはラクタムから得られる構成単位を最大20モル%共重合しても良い。(c)成分は、ポリアミド樹脂(A)に6Tナイロンや11ナイロンによっては得られない他の特性を付与したり、6Tナイロンや11ナイロンによって得られる特性をさらに改良する役割を有するものであり、具体的には以下のような共重合成分が挙げられる。ジアミン成分としては、1,2−エチレンジアミン、1,3−トリメチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、5−ペンタメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,8−オクタメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、1,13−トリデカメチレンジアミン、1,16−ヘキサデカメチレンジアミン、1,18−オクタデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、ピペラジン、シクロヘキサンジアミン、ビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタン、ビス−(4,4′−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミンのような脂環式ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミンなどの芳香族ジアミンおよびこれらの水添物等が挙げられる。ジカルボン酸成分としては、以下に示すジカルボン酸、もしくは酸無水物を使用できる。ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボンル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、2,2′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,11−ウンデカン二酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族や脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。また、ε−カプロラクタム、12−ラウリルラクタムなどのラクタムおよびこれらが開環した構造であるアミノカルボン酸などが挙げられる。
具体的な(c)成分としては、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ポリアミド116)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリパラキシリレンアジパミド(ポリアミドPXD6)、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリテトラメチレンテレフタルアミド(ポリアミド4T)、ポリペンタメチレンテレフタルアミド(ポリアミド5T)、ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド(ポリアミドM−5T)、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ポリアミド6T(H))、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド11T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド12T)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンテレフタルアミド(ポリアミドPACMT)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンイソフタルアミド(ポリアミドPACMI)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンテトラデカミド(ポリアミドPACM14)などが挙げられる。これらは、1成分単独もしくは多成分を組み合わせて共重合しても良い。また、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等のいずれの共重合法を用いても良い。
前記構成単位の中でも、好ましい(c)成分の例としては、ポリアミド樹脂(A)に高結晶性を付与するためのポリヘキサメチレンアジパミドや、さらなる低吸水性を付与するためのポリデカメチレンテレフタルアミド、ポリドデカンアミドなどが挙げられる。ポリアミド樹脂(A)中の(c)成分の配合割合は、最大20モル%までであることが好ましく、さらに好ましくは10〜20モル%である。(c)成分の割合が少ないと、(c)成分による効果が十分発揮されないおそれがあり、上記上限を超える場合、必須成分である(a)成分や(b)成分の量が少なくなり、ポリアミド樹脂(A)の本来意図される効果が十分発揮されないおそれがある。
ポリアミド樹脂(A)を製造するに際に使用する触媒としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸もしくはその金属塩やアンモニウム塩、エステルが挙げられる。金属塩の金属種としては、具体的には、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモンなどが挙げられる。エステルとしては、エチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステルなどを添加することができる。また、溶融滞留安定性向上の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ化合物を添加することが好ましい。
ポリアミド樹脂(A)の96%濃硫酸中20℃で測定した相対粘度(RV)は0.4〜4.0であり、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.5〜2.5である。ポリアミドの相対粘度を一定範囲とする方法としては、分子量を調整する手段が挙げられる。
ポリアミド樹脂(A)は、アミノ基量とカルボキシル基とのモル比を調整して重縮合する方法や末端封止剤を添加する方法によって、ポリアミドの末端基量および分子量を調整することができる。アミノ基量とカルボキシル基とのモル比を一定比率で重縮合する場合には、使用する全ジアミンと全ジカルボン酸のモル比をジアミン/ジカルボン酸=1.00/1.05から1.10/1.00の範囲に調整することが好ましい。
末端封止剤を添加する時期としては、原料仕込み時、重合開始時、重合後期、または重合終了時が挙げられる。末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基またはカルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限されないが、モノカルボン酸またはモノアミン、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類などを使用することができる。末端封止剤としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン等が挙げられる。
ポリアミド樹脂(A)の酸価およびアミン価としては、それぞれ0〜200eq/トン、0〜100eq/tonであることが好ましい。末端官能基が200eq/tonを超えると、溶融滞留時にゲル化や劣化が促進されるだけでなく、使用環境下においても、着色や加水分解等の問題を引き起こしうる。一方、ガラス繊維やマレイン酸変性ポリオレフィンなどの反応性化合物をコンパウンドする際は、反応性および反応基に合わせ、酸価および/又はアミン価を5〜100eq/tonとすることが好ましい。
ポリアミド樹脂(A)は、従来公知の方法で製造することができるが、例えば、(a)成分の原料モノマーであるヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸、及び(b)成分の原料モノマーである11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタム、並びに必要により(c)前記(a)の構成単位以外のジアミンとジカルボン酸の等量モル塩から得られる構成単位、前記(b)の構成単位以外のアミノカルボン酸もしくはラクタムを共縮合反応させることによって容易に合成することができる。共縮重合反応の順序は特に限定されず、全ての原料モノマーを一度に反応させてもよいし、一部の原料モノマーを先に反応させ、続いて残りの原料モノマーを反応させてもよい。また、重合方法は、特に限定されないが、原料仕込からポリマー作製までを連続的な工程で進めても良いし、一度オリゴマーを作製した後、別工程で押出し機などにより重合を進める、もしくはオリゴマーを固相重合により高分子量化するなどの方法を用いても良い。原料モノマーの仕込み比率を調整することにより、合成される共重合ポリアミド中の各構成単位の割合を制御することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)とガラス繊維(B)の重量比((A):(B))が20:80〜35:65であることが必要である。これにより本発明のポリアミド樹脂組成物からなる成形品は、成形品の比重ρ(g/cm)と曲げ弾性率E(GPa)が11<E/ρ<18、1.7<ρ<2.0を満足することができる。ガラス繊維(B)の重量比が上記範囲より低い場合、前述のE/ρの値が1.7未満になることがあり、充分に高い共振周波数を得ることができない。ガラス繊維(B)の重量比が上記範囲より高い場合、ガラス繊維(B)の比率が高くなりすぎて効率的に成形品を生産できないばかりか、ガラス繊維(B)とポリアミド樹脂の界面に欠損が生じ、充分な強度、耐衝撃性が得られない。
ガラス繊維(B)の一部(例えば50重量%以上)または全部に扁平断面ガラス繊維を使用することが好ましい。扁平断面ガラス繊維とは、繊維の長さ方向に対して垂直な断面において略楕円形、略長円形、略繭形であるものを含み、扁平度が1.5〜8であることが好ましく、より好ましくは2〜5である。ここで扁平度とは、ガラス繊維の長手方向に対して垂直な断面に外接する最小面積の長方形を想定し、この長方形の長辺の長さを長径とし、短辺の長さを短径とした場合の、長径/短径の比である。扁平度が上記範囲未満である場合には、円形断面のガラス繊維と形状に大きな差がないため、成形物の耐衝撃性があまり向上しない場合がある。一方、扁平度が上記範囲を超える場合には、ポリアミド樹脂中における嵩密度が高くなるので、ポリアミド樹脂中に均一に分散できない場合があり、成形物の耐衝撃性があまり向上しない場合がある。本発明では、略長円形断面を有し、扁平度が2〜5のガラス繊維が、高い機械的物性を発現するために特に好ましい。本発明ではガラス繊維(B)は、その断面形状によらず、その太さが断面積として1.5〜5.0×10−6cmに限定されることが必要であり、従来汎用で使用されている11μm、13μm径の丸型断面を有するガラス繊維は、65重量%以上の高充填領域では物性発現が効率的に行われないため好ましくない。ガラス繊維の一部もしくは全てに扁平断面形状ガラス繊維を使用する場合、短径/長径比が0.3〜0.5である扁平断面ガラス繊維(B−1)と、短径/長径比が0.2〜0.3である扁平断面ガラス繊維(B−2)を(B−1):(B−2)=0:100〜100:0、好ましくは10:90〜90:10で併用することによって、成形品のそり、収縮と、曲げ弾性率/比重の値をコントロールすることができるとともに、カーボンブラックや安定剤などの耐候性を向上させるのに必要な添加剤を十分に添加することができる。
本発明においては、ポリアミド樹脂(A)にガラス繊維(B)を添加していった時、比重に対する曲げ弾性率発現が高く、特に吸水で弾性率が低下しないポリアミド樹脂組成物ペレットを得ることが重要である。このためガラス繊維数が少なく、ガラス繊維同士の干渉が少ない特定の範囲の断面積を持つガラス繊維を使用することが必要である。この場合、必要なガラス繊維(B)の断面積は1.5〜5.0×10−6cmである。ガラス繊維の断面積がこれより小さい場合、単位重量あたりの繊維本数が多くなるばかりか、単糸一本一本が折れやすいため、二軸押出機のペレット造粒において高いガラス繊維率でかつ充分に長い繊維長を有するペレットを得ることができない。また、ポリアミド6やポリアミド66などを用いた場合は、吸水で弾性率が低下してしまうため、吸水によって弾性率低下の少ない高融点ポリアミドを用いることが重要である。
ガラス繊維(B)には、様々な断面形状のガラス繊維が適用されるが、ペレット生産時にガラス繊維が折れにくく、かつガラス繊維表面積が大きいため物性発現が大きく、さらに成形品のそり、変形を抑制できるという面から、比重に対して弾性率発現を上げる目的に使用するガラス繊維には扁平断面形状のものが含まれることが好ましい。さらに、ポリアミド樹脂(A)との混練り時に異なる異形比の扁平断面ガラスを複数種使用することによって、樹脂流動パターンを乱し、押出機の特定オリフィス穴からの早い樹脂流を抑制することできる。これによって、二軸押出かつストランドカットでペレットを造粒する生産方法において生産性は格段に良好となり、比重に対して高い曲げ弾性率を発現する組成比ペレットを効率的に得ることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物を作るにあたっては、ポリアミド樹脂(A)とガラス繊維(B)からなる混合物に対して、特に扁平断面ガラス繊維を使用する場合、ポリアミド反応性シランカップリング剤をガラス繊維(B)の0.1〜1.0重量%の割合で添加することが好ましい。ポリアミド用チョップドストランドの集束剤にはマトリクス樹脂との接着性の向上のために、予めシランカップリング剤が繊維束に少量含まれている。しかし、予め繊維束に付着させることのできるアミノシランカップリング剤の量は、繊維束が押出時に解繊不良を起こさないように上限があるため、不足分を別途追加添加することが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、銅化合物(C)を最大0.5重量%の量、さらには少なくとも0.01重量%、多くとも0.4重量%の量で含むことにより、耐熱性を向上することができる。銅化合物(C)が0.01重量部未満の場合、180℃、2000時間における曲げ強度保持率が低い値のままであり、耐熱老化性に効果を与えない可能性がある。一方、0.5重量%を超えて添加しても、それ以上の耐熱老化性の向上は見られず、物性が低下する可能性がある。銅化合物としては、具体的に、塩化銅、臭化銅、沃化銅、酢酸銅、銅アセチルアセトナート、炭酸銅、ホウフッ化銅、クエン酸銅、水酸化銅、硝酸銅、硫酸銅、蓚酸銅などが挙げられる。本発明では、銅化合物と併用する形で他の添加成分(D)として安定剤、例えばハロゲン化アルカリ化合物を配合することも可能である。このハロゲン化アルカリ化合物の例としては、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムを挙げることができ、特に好ましくはヨウ化カリウムである。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)、ガラス繊維(B)、及び銅化合物(C)の混合物に対して、本発明の特性を阻害しない範囲で、他の添加成分(D)、例えば上記の安定剤、無機充填材、耐候性改良剤としてカーボンブラック、光または熱安定剤としてフェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤、離型剤、結晶核剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料等を最大5重量%の量で配合することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、特に制限は無く、各成分を従来公知の混練方法により溶融混練して得ることができる。具体的な混練装置にも制限はなく、例えば単軸または二軸の押出機、混練機、ニーダーなどが挙げられるが、特に二軸押出機が生産性の面で好ましい。スクリューアレンジにも特に制限は無いが、各成分をより均一に分散させるためにニーディングゾーンを設けることが好ましい。具体的な方法としては、ポリアミド樹脂(A)、銅化合物(C)、その他の添加成分(D)をブレンダーでプリブレンドし、ホッパーから単軸や二軸の押出機に投入した後、(A)の少なくとも一部が溶融した状態で、溶融混合物中にガラス繊維(B)をフィーダーで単軸や二軸の押出機に投入し、溶融混練後ストランド状に吐出し、冷却、カットする方法が挙げられる。
上述のようにして作られた本発明のポリアミド樹脂組成物は、特定のポリアミド樹脂(A)と特定の断面積のガラス繊維(B)を用いることにより、成形品の比重ρ(g/cm)と曲げ弾性率E(GPa)が11<E/ρ<18,1.7<ρ<2.0を満足することができ、優れた耐熱性、良好な耐振動性、極めて高い曲げ強度と耐衝撃性を達成することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、成形品における残存ガラス繊維長の重量平均が300〜1000μmであることが好ましい。残存ガラス繊維長の測定は、以下のように行う。ガラス繊維高充填材料では、ガラス繊維同士の干渉が多く、測定時にガラス繊維が破損しやすく、正確な繊維長を求めにくいので、本発明ではガラス繊維長を正確に測定するため、溶融混練して得られたペレットを650℃にて、2時間強熱し、ガラス繊維を破損することなくガラス繊維を灰分として取り出し、得られたガラス繊維を水に浸し、一般的に用いられる超音波洗浄機にてガラス繊維を分散させる。分散したガラス繊維をプレパラート上に取り出し、デジタルマイクロスコープ(株式会社ハイロックス製KH−7700)で、80倍にて観察し、重量平均の繊維長を求め、残存ガラス繊維長とする。なお、ペレットの形状は、一般的に得られる形状であれば、特に制限はない。例えば、断面は、円形、楕円形、長円形のいずれかであり、直径(短径、長径含む)は、2.0mm〜4.0mm、ペレットの長さは、2.5〜6.0mm程度である。また、ペレット化の条件は、一般的な条件であれば、特に制限はない。例えば、後記する実施例での方法が挙げられる。
本明細書で記載している共振周波数F(0)は、弾性率E(MPa)と比重ρ(g/cm)に対して、F(0)∝k(E/ρ)^(1/2)の関係にあり、X=E/ρ として与えられているX値の平方根と比例関係にある。すなわち曲げ弾性率と成形品比重で示すと、比重のわりに曲げ弾性率の高い組成構成は、その成形品における共振周波数がより高くなり、耐振動性能が向上したといえる。主に射出成形を前提とする従来のガラス繊維強化ポリアミド組成物の構成は、ガラス繊維の添加量に対して強度や衝撃発現をより高くするために6.5〜13μmのガラス繊維径が最適とされていた。すなわち断面積としては、3.3×10−7cm〜1.34×10−6cmのガラス繊維径が最適として設計されていた。この断面積のガラス繊維は、その細い径ゆえにポリアミド樹脂組成物への充填量は65重量%程度が上限であり、本発明で示され共振周波数がその平方根に比例するところのX値としては、X<11の範囲であった。この領域では十分な共振周波数の高さを得られない。本発明では、これ以上の共振周波数発現をする、射出成形用を前提とするポリアミド樹脂組成物ペレットを得るために、より太いガラス繊維を使用している。加えて、吸水による共振周波数の低下を抑制するために、ポリアミドとして吸水による弾性率低下の少ない高融点ポリアミド樹脂を使用している。これにより、本発明の樹脂組成物の成形品は、良好な耐振動性を有し、吸水時でも共振周波数の低下がないものを達成することができる。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物には、ポリアミド樹脂(A)とは異なる組成のポリアミドをポリマーブレンドしても良い。本発明のポリアミド樹脂(A)と異なる組成のポリアミドとしては、特に制限されないが、例えば結晶速度を向上させ成形性を向上させるために、ポリアミド66やポリアミド6T66などを、さらなる低吸水性を付与するためのポリアミド10T誘導体などをブレンドしても良い。ポリアミド樹脂(A)とは異なる組成のポリアミドの添加量は、最適な量を選択すれば良いが、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して最大50質量部を添加することが可能である。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物には、ポリアミド樹脂(A)とは異なる組成のポリアミド以外の熱可塑性樹脂を添加しても良い。かかる熱可塑性樹脂としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、アラミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリサルホン(PSU)、ポリアリレート(PAR)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート(PC)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)が挙げられる。これら熱可塑性樹脂は、溶融混練により、溶融状態でブレンドすることも可能であるが、熱可塑性樹脂を繊維状、粒子状にし、本発明のポリアミド樹脂組成物に分散しても良い。熱可塑性樹脂の添加量は最適な量を選択すれば良いが、高融点ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して最大50質量部を添加することが可能である。
以下、本発明の効果を実施例により具体的に示すが、本発明は規定した構成要件を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、この実施例の物性値の測定方法は以下の方法に従った。
<相対粘度>
ポリアミド樹脂0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて20℃で測定した。
<末端アミノ基量>
ポリアミド樹脂0.2gをm−クレゾール20mlに溶解させ、0.1mol/l塩酸エタノール溶液で滴定した。指示薬はクレゾールレッドを用いた。樹脂1ton中の当量(eq/ton)として表した。
<融点(Tm)及び昇温結晶化温度(Tc1)>
東芝機械製射出成形機EC−100を用い、シリンダー温度は樹脂の融点+20℃、金型温度は35℃に設定し、長さ127mm、幅12.6mm、厚み0.8mmtのUL燃焼試験用テストピースを射出成形し、試験片を作製した。得られた成型品の融点(Tm)及び昇温結晶化温度(Tc1)を測定するために、成型品の一部をアルミニウム製パンに5mg計量し、アルミニウム製蓋で密封状態にして、測定試料を調製した後、示差走査熱量計(SEIKO INSTRUMENTS製 SSC/5200)を用いて、窒素雰囲気で室温から20℃/分で昇温し、350℃まで測定を実施した。その際、得られる発熱ピークの内、最も高温のピークのピークトップ温度を昇温結晶化温度(Tc1)とした。さらに昇温し、融解による吸熱のピークトップ温度を融点(Tm)とした。
<ハンダ耐熱性>
東芝機械製射出成形機EC−100を用い、シリンダー温度は樹脂の融点+20℃、金型温度は140℃に設定し、長さ127mm、幅12.6mm、厚み0.8mmtのUL燃焼試験用テストピースを射出成形し、試験片を作製した。試験片は85℃、85%RH(相対湿度)の雰囲気中に72時間放置した。試験片はエアリフロー炉中(エイテック製 AIS−20−82C)、室温から150℃まで60秒かけて昇温させ予備加熱を行った後、190℃まで0.5℃/分の昇温速度でプレヒートを実施した。その後、100℃/分の速度で所定の設定温度まで昇温し、所定の温度で10秒間保持した後、冷却を行った。設定温度は240℃から5℃おきに増加させ、表面の膨れや変形が発生しなかった最高の設定温度をリフロー耐熱温度とし、以下の基準でハンダ耐熱性を表示した。
○:リフロー耐熱温度が260℃以上
×:リフロー耐熱温度が260℃未満
<残存ガラス繊維長>
成形品における残存ガラス繊維長を以下の方法で測定した。
ガラス繊維高充填材料ではガラス繊維同士の干渉が多く測定時にガラス繊維が破損しやすく正確な繊維長が求めにくいので、本発明ではガラス繊維長を正確に測定するため溶融混練して得られたペレットを650℃にて2時間強熱しガラス繊維を破損することなくガラス繊維を灰分として取り出し、得られたガラス繊維を水に浸し、分散したガラス繊維をプレパラート上に取り出し、デジタルマイクロスコープ(株式会社ハイロックス製KH−7700)で80倍にて観察し、重量平均の繊維長を求め、残存ガラス繊維長とした。
<比重>
JIS−Z8807に準じて測定した。
<共振周波数>
振動試験はISO6721−1を参考にISO引張りダンベル試験片を使用して、中央加振法で行なった(図1参照)。試験片中央を加振機に固定し、23℃、50%RHの雰囲気で加振機より振動を与え、加速度応答をISO6721−1に準じてフーリエ変換を行なうことにより周波数応答関数を算出して共振周波数を求めた。
<吸水による共振周波数低下>
80℃×95%の高温高湿環境で1週間処理したあとの曲げ弾性率と共振周波数を前述の測定方法で測定し、吸水処理前と比較して、曲げ弾性率保持率が60%以上、かつ一次共振点低下が10Hz以上低下したものを×とした。それに対して曲げ弾性率の保持が80%以上で、かつ共振周波数の低下が5Hz未満で収まったものを○とした。
<曲げ強度、曲げ弾性率>
東芝機械製射出成形機EC−100を用い、シリンダー温度は樹脂の融点+20℃、金型温度は140℃に設定し、JIS−K7161に準拠し、評価用試験片を作成し、物性評価を実施した。
各実施例および比較例においては、以下の原料を用いた。
<共重合ポリアミド樹脂(A1)>
1,6−ヘキサメチレンジアミン7.54kg、テレフタル酸10.79kg、11−アミノウンデカン酸7.04kg、触媒としてジ亜リン酸ナトリウム9g、末端調整剤として酢酸40gおよびイオン交換水17.52kgを50リットルのオートクレーブに仕込み、常圧から0.05MPaまでNで加圧し、放圧させ、常圧に戻した。この操作を3回行い、N置換を行った後、攪拌下135℃、0.3MPaにて均一溶解させた。その後、溶解液を送液ポンプにより、連続的に供給し、加熱配管で240℃まで昇温させ、1時間、熱を加えた。その後、加圧反応缶に反応混合物が供給され、290℃に加熱され、缶内圧を3MPaで維持するように、水の一部を留出させ、低次縮合物を得た。その後、この低次縮合物を、溶融状態を維持したまま直接二軸押出し機(スクリュー径37mm、L/D=60)に供給し、樹脂温度を335℃、3箇所のベントから水を抜きながら溶融下で重縮合を進め、共重合ポリアミド樹脂(A1)を得た。得られた共重合ポリアミド樹脂(A1)は、相対粘度2.1、末端アミノ基量16eq/ton、融点314℃であった。共重合ポリアミド樹脂(A1)の原料モノマーの仕込み比率を表1に示す。
<共重合ポリアミド樹脂(A2)>
1,6−ヘキサメチレンジアミンの量を8.12kgに変更し、テレフタル酸の量を11.62kgに変更し、11−アミノウンデカン酸の量を6.03kgに変更した以外は共重合ポリアミド樹脂(A1)と同様にして、共重合ポリアミド樹脂(A2)を合成した。得られた共重合ポリアミド樹脂(A2)は、相対粘度2.1、末端アミノ基量28eq/ton、融点328℃であった。共重合ポリアミド樹脂(A2)の原料モノマーの仕込み比率を表1に示す。
<共重合ポリアミド樹脂(A3)>
1,6−ヘキサメチレンジアミンの量を8.12kgに変更し、テレフタル酸の量を9.96kgに変更し、11−アミノウンデカン酸の量を6.03kgに変更し、アジピン酸(テレフタル酸以外のジカルボン酸)1.46kgを仕込んだ以外は共重合ポリアミド樹脂(A1)と同様にして、共重合ポリアミド樹脂(A3)を合成した。得られた共重合ポリアミド樹脂(A3)は、相対粘度2.1、末端アミノ基量35eq/ton、融点310℃であった。共重合ポリアミド樹脂(A3)の原料モノマーの仕込み比率を表1に示す。
<共重合ポリアミド樹脂(A4)>
11−アミノウンデカン酸7.04kgをウンデカンラクタム6.41kgに変更した以外は共重合ポリアミド樹脂(A1)と同様にして、共重合ポリアミド樹脂(A4)を合成した。得られた共重合ポリアミド樹脂(A4)は、相対粘度2.1、末端アミノ基量13eq/ton、融点315℃であった。共重合ポリアミド樹脂(A4)の原料モノマーの仕込み比率を表1に示す。
<共重合ポリアミド樹脂(A5)>
1,6−ヘキサメチレンジアミンの量を5.22kg、テレフタル酸の量を7.47kg、11−アミノウンデカン酸の量を11.06kgに変更した以外は共重合ポリアミド樹脂(A1)と同様にして、共重合ポリアミド樹脂(A5)を合成した。得られた共重合ポリアミド樹脂(A5)は、相対粘度2.0、末端アミノ基量15eq/ton、融点273℃であった。共重合ポリアミド樹脂(A5)の原料モノマーの仕込み比率を表1に示す。
<その他ポリアミド樹脂>
ポリアミド6T6I:相対粘度RV=2.0のポリアミド6T6I、エムス社製「グリボリーG21」、CEG=87、非晶性ポリアミド、非結晶性ポリアミドのため、前述のDSC測定でTc1は得られない。
ポリアミドMXD6:相対粘度RV=2.1のポリアミドMXD6、東洋紡社製「ナイロンT600」、CEG=65、結晶性ポリアミド、前述のDSC測定で得られるTc1は135℃である。
ポリアミド66:相対粘度RV=2.4のポリアミド66、ローディア社製「スタバミド23AE」、CEG=91、結晶性ポリアミド、金型温度35度でも結晶化するため、前述のDSC測定でTc1は得られない。
<ガラス繊維(B)>
(b1)扁平断面ガラス繊維チョップドストランドとして日東紡社製「CSG3PA810S」、扁平度4(短径/長径比=0.25)、短径7μm、繊維長3mm 断面積=1.67×10−6〜1.96×10−6cm
(b2)扁平断面ガラス繊維チョップドストランドとして日東紡社製「CSG3PL810S」、扁平度2.5(短径/長径比=0.4)、短径9μm、繊維長3mm 断面積=1.72×10−6〜2.03×10−6cm
(b3)円形断面ガラス繊維チョップドストランドとして日本電気硝子社製「T−275N」、直径17μm、繊維長3mm 断面積=約2.27×10−6cm
(b4)円形断面ガラス繊維チョップドストランドとして日本電気硝子社製「T−275H」、直径11μm、繊維長3mm 断面積=約9.50×10−7cm
<銅化合物(C)>
臭化銅(II)
<他の添加成分(D)>
離型剤:クラリアント社製、モンタン酸エステルワックス「WE40」
安定剤:ヨウ化カリウム
カップリング剤:アミノシランカップリング剤として信越化学社製「KBE903」
黒顔料:カーボンブラックマスターバッチとしてレジノカラー社製 ABF−T−9801」マスターベース=AS樹脂、カーボンブラック含有量45重量%、ファーネスブラック使用
(実施例1〜5、比較例1〜5)
表1に示す配合割合で、ガラス繊維(B)以外の成分をドライブレンドし、コペリオン社製ベント式二軸押出機「STS35mm」(バレル12ブロック構成)を用いてシリンダー温度はベース樹脂の融点プラス15℃に設定し、スクリュウ回転数250rpmの押出条件で溶融混合し、次いでガラス繊維(B)をサイドフィード方式で供給し溶融混練を行った。押出機から押出されたストランドは急冷してストランドカッターでペレット化した。なお、ペレットの形状は、一般的に得られる形状であれば、特に制限はない。例えば、断面は、円形、楕円形、長円形のいずれかであり、直径(短径、長径含む)は、2.0mm〜4.0mm、ペレットの長さは、2.5〜6.0mm程度である。また、ペレット化の条件は、一般的な条件であれば、特に制限はない。得られたペレットを100℃で12時間乾燥した後、射出成形機(東芝機械株式会社製、IS80)でシリンダー温度はベース樹脂の融点プラス15℃、金型温度130℃にて各種試験用試験片を成形して評価に供した。評価結果も表2に記した。なお、図2(a)に実施例1の共振周波数の測定結果を示し、図2(b)に実施例1と比較例1の80℃×95℃処理した共振周波数の経時変化のグラフを示す。
表2から明らかなように、実施例1〜5の試験片は、極めて高い共振周波数を持ちかつ吸水による共振周波数の低下のない成形品であり、曲げ強度及び曲げ弾性率がいずれも優れており、耐振動成形品として有用な特性値を持つ。また高融点ポリアミド樹脂を使っているためハンダ耐熱も充分にある。さらに、比重に対する曲げ弾性率値:X=E/ρは高い値を示している。一方、比較例1〜5の試験片は、実施例1〜5のものに比べて、特定の共重合ポリアミドを使用していない場合は共振周波数と弾性率の低下が激しく実施例に劣る。また、特定の共重合ポリアミドを使用しても小さい断面積のガラス繊維を用いると高充填できないため、充分に高いX=E/ρを調整できず、初期値において共振周波数が低い樹脂組成物となり実施例に劣る結果となっている。
本発明のポリアミド樹脂組成物による成形品は、極めて高い共振周波数故に示される高い耐振動特性を有し、かつ吸水による共振周波数の低下がなく、さらに曲げ強度と曲げ弾性率、耐衝撃値においても高い特性を発現している。また、ハンダ耐熱性も有する。それゆえ、携帯電話、パソコンなどの電気電子機器筐体、自動車部品に適しており、特に車両用部品に最適である。

Claims (9)

  1. 融点(Tm)が290℃〜350℃であり、昇温結晶化温度(Tc1)が80〜150℃であるポリアミド樹脂(A)と、断面積が1.5〜5.0×10−6cmのガラス繊維(B)を含有するポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂(A)とガラス繊維(B)の重量比((A):(B))が20:80〜35:65であり、ポリアミド樹脂(A)が(a)ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位55〜75モル%と、(b)11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムから得られる構成単位45〜25モル%とからなる共重合ポリアミドであることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  2. ポリアミド樹脂(A)が、(c)前記(a)の構成単位以外のジアミンとジカルボン酸の等量モル塩から得られる構成単位、または前記(b)の構成単位以外のアミノカルボン酸もしくはラクタムから得られる構成単位を最大20モル%まで含有することを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. ガラス繊維(B)の一部または全てが扁平断面ガラス繊維であり、この扁平断面ガラス繊維が、短径/長径比が0.3〜0.5である扁平断面ガラス繊維(B−1)と、短径/長径比が0.2〜0.3である扁平断面ガラス繊維(B−2)からなり、その重量比((B−1):(B−2))が0:100〜100:0であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. さらに銅化合物(C)を最大0.5重量%の量で含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. さらに離型剤、安定剤、カーボンブラック、及び/又はカップリング剤を含む添加成分(D)を最大5重量%の量で含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品であって、成形品の比重ρ(g/cm)と曲げ弾性率E(GPa)が11<E/ρ<18,1.7<ρ<2.0を満足することを特徴とする成形品。
  7. 成形品における残存ガラス繊維長の重量平均が300〜1000μmであることを特徴とする請求項6に記載の成形品。
  8. 電気電子筐体または車両の内装品もしくは外装品に使用されることを特徴とする請求項6または7に記載の成形品。
  9. 車両用鏡体保持部品に使用されることを特徴とする請求項8に記載の成形品。
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