JP5695161B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プリンタ装置、ファクシミリ装置、複写機または複合機等の画像形成装置に関し、転写されたトナーを熱で溶融して記録媒体に定着させる定着器を有する画像形成装置に関する。
従来の画像形成装置は、記録媒体に転写された未定着トナーを加熱して溶融するため、定着器の定着ローラ等の定着部の内部に複数の熱源を備え、その複数の熱源を同時に通電して定着ローラを加熱するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−302862号公報(段落「0022」〜段落「0027」、図5、図6)
しかしながら、上述した従来の技術においては、定着部に備えた熱源の所望のピーク消費電力を得ることができないという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、所望のピーク消費電力を得ることを目的とする。
そのため、本発明は、所定のピーク消費電力で定着ユニットをウォームアップする第1のモードと、前記第1のモードよりも低いピーク消費電力で前記定着ユニットをウォームアップする第2のモードとを有する画像形成装置において、前記第1のモードまたは前記第2のモードを予め選択する操作を受付ける操作部と、前記操作部で受付けた選択操作に基づいて、前記定着ユニットのウォームアップを制御する制御部とを有し、前記定着ユニットは、2つの熱源を有し、前記制御部は、前記第1のモードが選択されている場合は、2つの熱源による加熱によって加熱制御を行い、前記第2のモードが選択されている場合は、一方の熱源による加熱から他方の熱源による加熱へと切り替えることによって加熱制御を行うことを特徴とする。
このようにした本発明は、所望のピーク消費電力を得ることができるという効果が得られる。
第1の実施例における画像形成装置の制御構成を示すブロック図 第1の実施例における画像形成装置の構成を示す概略側断面図 第1の実施例における定着ユニットの構成を示す断面図 第1の実施例における定着ローラの構成を示す断面図 第1の実施例における加圧ローラの構成を示す断面図 第1の実施例におけるヒータの配光分布を示すグラフ 第1の実施例における温度検出素子の配置の説明図 第1の実施例における予熱制御処理の流れを示すフローチャート 第1の実施例における予熱制御のタイムチャート 第2の実施例における予熱制御処理の流れを示すフローチャート 第2の実施例におけるホットスタート時の予熱制御のタイムチャート 第2の実施例におけるコールドスタート時の予熱制御のタイムチャート 第2の実施例におけるトナーの定着性を示すグラフ
以下、図面を参照して本発明による画像形成装置の実施例を説明する。
図2は第1の実施例における画像形成装置の構成を示す概略側断面図である。
図2において、1はトナー等の現像剤を熱で溶融して記録媒体上に熱定着させる熱定着器を有する画像形成装置としての印刷装置である。2は印刷する前の記録媒体であり、3は記録媒体2を収納する媒体カセットであり、4は印刷装置1で印刷され排出された記録媒体である。
10は像担持体に現像剤像を形成する電子写真プロセスユニットであり、カラー印刷装置の場合、プロセスの色毎(シアン色、イエロー色、マゼンタ色、ブラック色)に分けられ、モノクロ印刷装置の場合、ブラック色のみで構成されている。本実施例では、電子写真プロセスユニット10は、ブラック色の電子写真プロセスユニット10とする。
20は転写ローラであり、電子写真プロセスユニット10に対向して配置されている。この転写ローラ20と電子写真プロセスユニット10とを合わせてプロセスユニット25と呼ぶこととする。
電子写真プロセスユニット10と転写ローラ20との間を記録媒体2が通過しているとき、記録媒体2にトナーなどに代表される現像剤が電子写真プロセスユニット10の像担持体から記録媒体2に転写される。
30は記録媒体2に転写された現像剤を熱と圧力で記録媒体2に定着させる定着ユニット(定着器)であり、加圧部としての加圧ローラ45と、定着部としての定着ローラ46と、温度検出素子31と、温度検出素子32とを有している。
加圧ローラ45と定着ローラ46とは、互いに外周面を当接させて回転可能に配設され、また温度検出素子31、32はサーミスタに代表される温度検出素子で構成され、定着ローラ46の表面の温度を計測するため定着ローラ46の表面の近傍に配設されている。
40は媒体カセット3から記録媒体2を引き出すためのピックアップローラであり、41および42は互いに外周面を当接させて配設されたレジストローラである。また、43および44も互いに外周面を当接させて配設された搬送ローラであり、47および48も互いに外周面を当接させて配設された排出ローラである。このレジストローラ41、42と、搬送ローラ43、44と、排出ローラ47、48とにより記録媒体2を挟持して搬送する。
50、51、52は記録媒体2の通過を検知する媒体通過センサであり、記録媒体2が通過するたびに機械的に動作するセンサである。
ピックアップローラ40で引き出された記録媒体2は、搬送方向を示す矢印60、矢印61、矢印62、矢印63、矢印64、矢印65の順に搬送され、プロセスユニット25において現像剤像が転写され、定着ユニット30において転写された現像剤が定着されて装置外へ排出される。
次に、定着ユニットの構成を図3の第1の実施例における定着ユニットの構成を示す断面図、図4の第1の実施例における定着ローラの構成を示す断面図、図5の第1の実施例における加圧ローラの構成を示す断面図に基づいて説明する。
図3において、定着ユニット30は、定着ローラ46と、加圧ローラ45とにより構成されている。定着ローラ46は、回転可能に構成され、内部にハロゲンランプに代表される第1の熱源としてのヒータ70および第2の熱源としてのヒータ71が配設され、加圧ローラ45は、回転可能に構成され、定着ローラ46の外周面と外周面が当接するように配設されている。
定着ローラ46および加圧ローラ45は、図中矢印Aが示す方向に回転することにより、現像剤123が転写された記録媒体2を加熱および加圧しながら図中矢印Bが示す方向へ搬送する。
温度検出素子31は定着ローラ46の外周表面に接触するように配設されていても良く、図示したように間隙を保持して配設されていても良い。温度検出素子32は温度検出素子31が定着ローラ46の外周表面に非接触で配置されているとき、つまり定着ローラ46の外周表面との間に所定の間隙を保持して配置されているとき、定着ローラ46の雰囲気温度や温度検出素子31の温度を検出するために温度検出素子31の近傍に配設されている。
図4において、定着ローラ46は、回転軸に平行して配設された長尺のヒータ70およびヒータ71を中空の芯金80の内側に内蔵し、そのヒータ70およびヒータ71が発する熱により加熱される。定着ローラ46の芯金80の外周表面にゴム81が接着されており、芯金80には鉄に代表される材料が用いられ、その厚さTH1は0.5mmとするが、それよりも薄くする場合はその材料より剛性が大きい材料を選択するようにしても良い。
ゴム81はシリコン系のゴム材が用いられ、その厚さTH2は0.8mmである。なお、ゴム81に用いられるゴム材は耐熱弾性体であればシリコン系ゴムに限定されるものではない。また、ゴム81そのものを排除し、芯金80の外周表面に直接コーティングのみが施されたものであっても良い。例えば、フッ素コーティング(PFAコーティング)でコーティングの厚さが0.02mm程度のものであっても良い。この芯金80の厚さTH1とゴム81の厚さTH2は薄いほうが熱容量としては少なくなるため、できる限り薄いほうが好ましい。また、定着ローラ46の直径は、27mm程度のものとする。
図5において、加圧ローラ45は、芯金82の外周表面にゴム83が接着されている。芯金82には鉄に代表される材料が用いられ、その厚さTH3は0.5mmとするが、それよりも薄くする場合はその材料より剛性が大きい材料を選択するようにしても良い。
ゴム83はシリコン系のゴム材が用いられ、その厚さTH4は0.8mmである。なお、ゴム83に用いられるゴム材は耐熱弾性体であればシリコン系ゴムに限定されるものではなく、連続発泡シリコンスポンジであっても良い。また、定着ローラ46と同様に、芯金82の厚さTH3とゴム83の厚さTH4は薄いほうが熱容量としては少なくなるため、できる限り薄いほうが好ましい。また、加圧ローラ45の直径は、28mm程度のものとする。
図6は、図3に示すヒータ70およびヒータ71の配光分布を示したグラフであり、図6(a)はヒータ70の配光分布を示し、図6(b)はヒータ71の配光分布を示している。図6(a)および図6(b)の横軸はヒータの長手方向の長さ、縦軸はヒータ(ハロゲンランプ)の光強度を表している。光強度の分布は配光とも呼ばれ、ヒータに通電された場合には、この配光は配熱とも言い換えることができ、定着ローラ46の長手方向の温度分布に影響を与えるものである。
図6(a)において、ヒータ70は中央部の光強度を“1”とすると両端部の光強度は中央部の0.8倍であり、両端部の配熱が中央部の配熱より低いヒータ、すなわち中央部の出力が両端部の出力より高いヒータ(第1の熱源)である。
一方、図6(b)において、ヒータ71は中央部の光強度を“1”とすると両端部の光強度は中央部の1.6倍であり、両端部の配熱が中央部の配熱より高いヒータ、すなわち両端部の出力が中央部の出力より高いヒータ(第2の熱源)である。
したがって、ヒータ70は定着ローラ46の中央部を加熱し、ヒータ71は定着ローラ46の両端部を加熱する。
ヒータ70およびヒータ71の出力は、(ヒータ70の出力)>(ヒータ71の出力)の関係を有し、本実施例では、ヒータ70の出力は800W、ヒータ71の出力は400Wとする。
図7は第1の実施例における温度検出素子の配置の説明図である。
図7において、温度検出素子31、32は、定着ローラ46の長手方向における中心線46a上の中央部に配設され、定着ローラ46と図示しない加圧ローラとの間を記録媒体2が通過する場合に、記録媒体2の中央部が通過する定着ローラ46の長手方向における中心部の表面温度を検出できるようになっている。なお、記録媒体2は、記録媒体2の中心線と定着ローラ46の中心線46aが一致するように搬送され、図7では、紙幅が105mmのA6判の記録媒体2を搬送している様子を示している。
次に、画像形成装置の制御構成を図1の第1の実施例における画像形成装置の制御構成を示すブロック図に基づいて説明する。
図1において、制御部106は、CPU(Central Processing Unit)等で構成され、用紙搬送制御部114と、温度制御部118と、インターフェース部150と、パネル制御部160とを制御し、印刷装置1全体の動作を制御する。また制御部106は、メモリ等で構成された記憶部107を包含し、用紙搬送制御部114、温度制御部118、インターフェース部150およびパネル制御部160から通知された情報を必要に応じて記憶部107に記憶させることができ、また記憶部107に記憶させた情報を読み出すことができる。
温度制御部118は、温度検出素子31が接続された温度検出部115および温度検出素子32が接続された温度検出部116において検出された定着ローラの長手方向における中央部の温度に基づき、温度設定部117が設定した温度を基準として電源部112へヒータ制御信号を出力する。
温度設定部117は、制御目標温度Tgと、ウォームアップ終了温度(Tg−Tp)と、ヒータ70およびヒータ71への通電制御を切り替える第1の閾値としての通電切替温度(Tg−Tdc)を設定する。温度設定部117は、図示しないセンサ等により検知した記録媒体の材質や厚さ等に基づいて制御目標温度Tgを設定し、その後ウォームアップ終了温度(Tg−Tp)および通電切替温度(Tg−Tdc)を算出して設定するものとする。なお、TpおよびTdcはともに0℃以上とする。
ここで、ウォームアップとは、定着ローラ46の長手方向における中央部の温度が所定の温度を超えるまでヒータ70およびヒータ71で定着ローラ46を予熱する動作をいい、ウォームアップ終了温度とは、ウォームアップを終了させるための前記の所定の温度をいう。
モード選択部119は、通常制御(非排他)モードと排他制御(排他)モードのいずれかを選択する。通常モードとは、電源部112からヒータ70およびヒータ71の両方へ同時に通電を許可する非排他モードであり、排他制御モードとは、電源部112からヒータ70またはヒータ71のいずれか一方へ排他的に通電を許可する排他モードである。
温度検出部115は、温度検出素子31の出力から定着ローラの温度を検出し、その温度情報を温度制御部118へ出力し、温度検出部116は、温度検出素子32の出力から定着ローラの雰囲気温度や温度検出素子31の温度を検出し、その温度情報を温度制御部118へ出力する。
電源部112は、温度制御部118からヒータ制御信号を受信し、このヒータ制御信号に基づいて商用AC電源200から供給される電力をヒータ70とヒータ71に対して供給するものである。
用紙搬送制御部114は、制御部106から用紙搬送信号を受信し、モータ駆動制御部113に駆動信号を出力する。また、媒体通過センサ(書込センサ)51、媒体通過センサ(排出センサ)52から得る用紙位置情報からモータを駆動およびその駆動を停止する信号をモータ制御部113に出力する。
定着部回転機構173は、図2に示す定着ユニット30の加圧ローラ45および定着ローラ46に接続され、用紙搬送機構174は、図2に示すピックアップローラ40、レジストローラ41、42、搬送ローラ43、44、および排出ローラ47、48に接続され、モータ駆動制御部113から出力される駆動信号にしたがって記録媒体を搬送する方向へ各ローラを回転させる。
媒体通過センサ(排出センサ)52は、記録媒体の通過を用紙搬送制御部114へ知らせるセンサであり、媒体通過センサ(書込センサ)51は、記録媒体の先端が図2に示すプロセスユニット25の直前を通過したことを用紙搬送制御部114へ知らせるセンサである。
パネル制御部160は、ユーザの入力操作を受け付けるボタンやスイッチ、タッチパネル等の入力装置で構成されたパネル部161から入力操作情報を入力し、その入力操作情報を制御部106へ通知する。また、パネル制御部160は、液晶ディスプレイやLED(Light Emitting Diode)等の出力装置で構成された表示部162に対してユーザが入力した情報を基に表示情報を送信し、ユーザの操作の誘導等を行う文字や図等の情報を表示させる。
インターフェース部150は、有線LAN(Local Area Network)や無線LAN、USB(Universal Serial Bus)、セントロニクスインターフェース等の通信回線で接続された上位装置としてのホストコンピュータ151から印刷を指示する印刷情報を受信し、その印刷情報を制御部106へ通知する。また、インターフェース部150は、制御部106から受けた送信指示にしたがってホストコンピュータ151へ情報を送信する。
このように構成された印刷装置1は、記憶部107に記憶された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて制御部106により装置全体の動作が制御される。
上述した構成の作用を図8の第1の実施例における予熱制御処理の流れを示すフローチャートおよび図9の第1の実施例における予熱制御のタイムチャートに基づいて図1および図2を参照しながら説明する。
まず、図9について説明する。
図9の上部のグラフにおいて、横軸は時間tの経過を表し、また縦軸は温度を表し、定着ローラ46の中央部温度および両端部温度、ならびに加圧ローラ45の温度の変化を表している。また、図9の下部の横軸も時間tの経過を表し、図9の下部の縦軸は定着ローラ46の回転/停止、ヒータ70およびヒータ71のON(通電)/OFF(非通電)、媒体通過センサ(書込センサ)51の出力(ON:記録媒体検知有り/OFF:記録媒体検知なし)、媒体通過センサ(排出センサ)52の出力(ON:記録媒体検知有り/OFF:記録媒体検知なし)、制御種別(ウォームアップ/印刷)を表している。
時間t0〜t1の区間は、上位装置からの印刷指示を待機し、温度制御部118はヒータ70およびヒータ71へ通電していない状態であり、定着ローラ46がヒータ70およびヒータ71への通電により一旦加熱された後、ヒータ70およびヒータ71への通電が停止され、定着ローラ46が放熱している状態を示している。
また、Tgは制御目標温度であり、定着ローラ46の目標温度を示し、Tg−Tpは定着ローラ46のウォームアップ終了温度を示し、Tg−Tdcはヒータ70からヒータ71への通電切替温度を示している。これらの温度Tg、(Tg−Tp)、(Tg−Tdc)は温度設定部117が設定する温度であり、温度Tpおよび温度Tdcは0℃以上の所定の固定値である。本実施例では、温度Tpは7℃、温度Tdcは15℃である。なお、制御目標温度Tgは、記録媒体の材質や厚さによって変るものであり、例えば170℃とする。
ここで、中央部温度とは、定着ローラ46の長手方向における中央部の温度であり、温度検出素子31および温度検出素子32は定着ローラ46に非接触で配設されているため、温度検出素子31および温度検出素子32で検出した温度を所定の計算式で算出した結果の値を定着ローラ46の中央部の温度として扱う。
中央部温度をTc、温度検出素子31で検出した温度をTnc、温度検出素子32で検出した温度をTamb、AおよびBを定数とした場合、その計算式は、
Tc=A×(Tnc−Tamb)+B×Tamb
となる。
両端部温度とは、定着ローラ46の長手方向における両端部の外周表面温度であり、温度検出素子が配設されていない定着ローラ46の両端部の温度であり、加圧ローラ温度とは、温度検出素子が配設されていない加圧ローラ45の外周表面温度である。なお、両端部温度および加圧ローラ温度は、温度測定装置等により測定したものである。
次に、印刷装置が行う予熱制御処理を図8にSで表すステップにしたがって図1、図2および図9を参照しながら説明する。
S101:制御部106は、ホストコンピュータ151からインターフェース部150を介して印刷データを受信したか否かの判定を行い、受信していないと判定すると処理をS102へ移行し、受信したと判定すると処理をS103へ移行する。
S102:制御部106が印刷データを受信していないと判定すると、その制御部106の指示により温度制御部118は電源部112に対してヒータ70およびヒータ71へ通電するための信号の出力を停止(OFF)、処理をS101へ移行する。
S103:制御部106が印刷データを受信したと判定すると、その制御部106の指示により温度制御部118の温度設定部117はウォームアップ終了温度(Tg−Tp)および通電切替温度(Tg−Tdc)を設定し、温度制御部118は温度設定部117からウォームアップ終了温度(Tg−Tp)および通電切替温度(Tg−Tdc)を読み出す。
S104:温度制御部118のモード選択部119は、通常制御モードと排他制御モードのいずれかを選択する。なお、これらのモードは、パネル部161、表示部162、パネル制御部160によって予め入力されているものであり、例えばユーザが表示部162の表示にしたがってパネル部161の操作ボタン等を押下することにより、選択されるものである。
通常制御モードが選択されている場合は、処理をS105へ移行し、排他制御モードが選択されている場合は、処理をS107へ移行する。
S105:通常制御モードが選択されている場合、温度制御部118は、ヒータ70およびヒータ71の両方のヒータを通電するように電源部112を制御し、定着ローラ46のウォームアップを開始する。
S106:温度制御部118は、定着ローラ46の中央部温度がウォームアップ終了温度(Tg−Tp)を超えたか否かを判定し、超えたと判定すると処理をS111へ移行し、超えていないと判定すると処理をS105へ移行してウォームアップを継続する。
S107:一方、S104において排他制御モードが選択されている場合、ウォームアップ開始時に、温度制御部118は、定着ローラ46の中央部温度が通電切替温度(Tg−Tdc)以上であるか否かを判定し、定着ローラ46の中央部温度が通電切替温度(Tg−Tdc)以上であると判定すると処理をS109へ移行し、通電切替温度(Tg−Tdc)未満であると判定すると処理をS108へ移行する。
S108:ウォームアップ開始時に、定着ローラ46の中央部温度が通電切替温度(Tg−Tdc)未満であると判定した温度制御部118は、ヒータ70のみに通電するように電源部112を制御し、ヒータ70のみで定着ローラ46を加熱してウォームアップを行い、処理をS107へ移行して定着ローラ46の中央部温度が通電切替温度(Tg−Tdc)以上になるまでヒータ70のみで定着ローラ46を加熱するウォームアップを継続する。
このように、定着制御部118は、予熱開始時に、温度検出部115、116で計測した温度が第1の閾値としての通電切替温度(Tg−Tdc)未満である判定したとき、第1の熱源としてのヒータ70により定着ローラ46の予熱を開始する。
S109:S107において、定着ローラ46の中央部温度が通電切替温度(Tg−Tdc)以上であると判定した温度制御部118は、ヒータ71のみに通電するように電源部112を制御し、ヒータ71のみで定着ローラ46を加熱してウォームアップを行う。すなわち、温度制御部118は、温度検出部115、116で計測した定着ローラ46の中央部の温度が第1の閾値としての通電切替温度(Tg−Tdc)に達したとき、第1の熱源としてのヒータ70による加熱から第2の熱源としてのヒータ71による加熱に切り替えて定着ローラ46の予熱を行う。
なお、ウォームアップ開始時に、定着ローラ46の中央部温度が通電切替温度(Tg−Tdc)以上であると判定した温度制御部118は、ヒータ71のみに通電するように電源部112を制御し、ヒータ71のみで定着ローラ46を加熱してウォームアップを開始する。
ここで、定着ローラ46および加圧ローラ45の外周表面の温度の推移をグラフにすると図9に示すようになる。
図9において、時間t1〜t2の区間では、定着ローラ46の中央部温度は通電切替温度(Tg−Tdc)より低いため、ヒータ70のみが通電(ON)されて定着ローラ46がヒータ70により加熱される。時間t1のタイミングでは、定着ローラ46の両端部温度は、中央部温度よりも低い。これは、定着ローラ46の両端部の放熱の方が、中央部の放熱よりも大きいためである。
時間t1〜t2の区間でヒータ70を通電(ON)しても、図6(a)で説明したヒータ70の配光分布によれば両端部の配光が中央部に比べて低いため、両端部温度が中央部温度より高温になることはない。
次に、時間t2〜t3の区間では、加熱された定着ローラ46の中央部温度は通電切替温度(Tg−Tdc)に到達したため、ヒータ71が通電(ON)されると同時にヒータ70の通電が停止(OFF)される。このとき、ヒータ71の配光は図6(b)に示したように両端部の配光が中央部に比べて高いため、両端部温度は中央部温度に比べて短時間で上昇する。
S110:温度制御部118は、定着ローラ46の中央部温度がウォームアップ終了温度(Tg−Tp)を超えたか否かを判定し、超えたと判定すると処理をS111へ移行し、超えていないと判定すると処理をS109へ移行してヒータ71のみで定着ローラ46を加熱するウォームアップを継続する。
S111:定着ローラ46の中央部温度がウォームアップ終了温度(Tg−Tp)を超えたと判定した温度制御部118は、ヒータ71(およびヒータ70)の通電を停止して定着ローラ46のウォームアップを終了する。
図9の時間t3のタイミングで定着ローラ46の中央部温度はウォームアップ終了温度(Tg−Tp)に到達したため、ウォームアップを終了する。この時間t3のタイミングでは、定着ローラ46の両端部温度が中央部温度より高くなっている。これは、温度制御部118が、ヒータ71のみを通電(ON)するように電源部112を制御した結果、ウォームアップ終了のタイミングでは両端部温度が中央部温度よりも高くなることがある。
このように、中央部の出力が両端部の出力より大きいヒータ70で定着ローラ46を加熱した後、両端部の出力が中央部の出力より大きいヒータ71で定着ローラ46を加熱してウォームアップを行うようにしたことにより、放熱し易い定着ローラ46の両端部を十分加熱することができ、定着ローラ46の長手方向の温度のバランスを確保することができる。
S112:定着ローラ46のウォームアップを終了した温度制御部118は、ヒータ70のみを通電するように電源部112を制御し、ヒータ70のみにより定着ローラ46を加熱する。
S113:制御部106は、用紙搬送制御部114にモータ駆動制御部113が駆動を開始するように信号を出力し、モータ駆動制御部113は定着部回転機構173および用紙搬送機構174が動作するように制御信号を出力することにより、定着ローラ46やピックアップローラ40、レジストローラ41、42、搬送ローラ43、44、および排出ローラ47、48が回転する。また、用紙搬送制御部114は、媒体通過センサ(書込センサ)51、媒体通過センサ(排出センサ)52の記録媒体の検知状態を監視しながら記録媒体の通紙を開始する。
図9では、上記S111〜S113を時間t3以降で示している。定着ローラ46が時間t3のタイミングで回転を開始し、加圧ローラ45の外周表面の温度が上昇する。これは、定着ローラ46が回転することにより、定着ローラ46の外周表面の熱が加熱ローラ45の外周表面に奪われるためである。なお、熱が奪われた定着ローラ46の中央部温度および両端部温度は低下する。
時間t3以降は、定着ローラ46のウォームアップは終了しているため、印刷の制御となる。この印刷の制御においては、温度制御部118は電源部112に対して制御信号を出力し、定着ローラ46の中央部温度が制御目標温度Tgに近づくようにヒータ70のみを通電(ON)する。
印刷制御における通紙は、定着ローラ46が時間t3のタイミングで回転した時点から開始される。搬送制御部114は、モータ駆動制御部113を介して所定の間隔を保持して記録媒体が通紙されるように、定着部回転機構173および用紙搬送機構174を制御して定着ローラ46やピックアップローラ40、レジストローラ41、42、搬送ローラ43、44、および排出ローラ47、48を回転させる。
このように、温度制御部118は、温度検出部115、116で計測した定着ローラ46の中央部の温度が第1の閾値としての通電切替温度(Tg−Tdc)に達したとき、第1の熱源としてのヒータ70による加熱から第2の熱源としてのヒータ71による加熱に切り替えて定着ローラ46の予熱を行い、複数あるヒータ(ヒータ70、71)のうち、ひとつのヒータのみに通電するようにしたことにより、複数のヒータに同時に通電する場合と比較してピーク消費電力を抑えることができる。
以上説明したように、第1の実施例では、図8に示すS104におけるユーザの選択操作に基づいて定着ローラのウォームアップのモードを選択してヒータを通電するようにしたことにより、定着ローラのウォームアップにおいてユーザの所望のピーク消費電力を得ることができるという効果が得られる。
また、複数あるヒータのうち、ひとつのヒータのみに通電するようにしたことにより、複数のヒータに同時に通電する場合と比較してピーク消費電力を抑えることができ、所望のピーク消費電力が得られるという効果が得られる。
さらに、中央部の出力が両端部の出力より大きいヒータで定着ローラを加熱した後、両端部の出力が中央部の出力より大きいヒータで定着ローラを加熱してウォームアップを行うようにしたことにより、放熱し易い定着ローラの両端部を十分加熱することができ、ウォームアップ終了時点における定着ローラの長手方向の温度の均衡を確保することができるという効果が得られる。
第2の実施例の構成は、図1に示す第1の実施例の構成における温度設定部117が設定する制御目標温度Tgと、ウォームアップ終了温度(Tg−Tp)と、ヒータ70およびヒータ71への通電制御を切り替える閾値としての通電切替温度(Tg−Tdc)とに加え、ホットスタート/コールドスタート切替温度(Tg−Ths)と、定着ローラ回転温度(Tg−Tr)とを設定可能な構成にしたものである。
第2の実施例の構成を図1に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図1において、温度設定部117は、制御目標温度Tgと、ウォームアップ終了温度(Tg−Tp)と、ヒータ70およびヒータ71への通電制御を切り替える第1の閾値としての通電切替温度(Tg−Tdc)を設定する。温度設定部117は、図示しないセンサ等により検知した記録媒体の材質や厚さ等に基づいて制御目標温度Tgを設定し、その後ウォームアップ終了温度(Tg−Tp)および通電切替温度(Tg−Tdc)を算出して設定するものとする。なお、TpおよびTdcはともに0℃以上であり、本実施例では、温度Tpは7℃、温度Tdcは15℃とする。
また、温度設定部117は、第2の閾値としてのホットスタート/コールドスタート切替温度(Tg−Ths)と、第3の閾値としての定着ローラ回転温度(Tg−Tr)とを算出して設定する。
ホットスタート/コールドスタート切替温度(Tg−Ths)は、定着ローラが、所定の温度に達して温まっている状態であることと、所定の温度未満であり冷えている状態であることとを判別するための閾値である。ここでThsは0℃以上の値であり、本実施例では、20℃とする。したがって、ホットスタート/コールドスタート切替温度(Tg−Ths)は、通電切替温度(Tg−Tdc)より小さい値となっている。
温度制御部118は、定着ローラのウォームアップ開始時点において、温度検出部115、116により検出した中央部温度がホットスタート/コールドスタート切替温度(Tg−Ths)以上のとき、ホットスタートと判定し、中央部温度がホットスタート/コールドスタート切替温度(Tg−Ths)未満のとき、コールドスタートと判定する。
定着ローラ回転温度(Tg−Tr)は、定着ローラのウォームアップ開始時点で温度制御部118がコールドスタートと判定した場合において、定着ローラの回転の要否を判別するための閾値である。ここでTrは0℃以上の値であり、本実施例では、10℃とする。
温度制御部118は、温度検出部115、116により検出した中央部温度が定着ローラ回転温度(Tg−Tr)以上のとき、定着ローラの回転が必要と判定し、中央部温度が定着ローラ回転温度(Tg−Tr)未満のとき、定着ローラの回転が不要と判定する。
定着ローラの回転が必要であると判定されると、用紙搬送制御部114は、制御部106の指示によりモータ駆動制御部113を介して定着部回転機構173を動作させ、定着ローラを回転させる。
上述した構成の作用を図10の第2の実施例における予熱制御処理の流れを示すフローチャート、図11の第2の実施例におけるホットスタート時の予熱制御のタイムチャートおよび図12の第2の実施例におけるコールドスタート時の予熱制御のタイムチャートに基づいて図1および図2を参照しながら説明する。
まず、図11について説明する。
図11の上部のグラフにおいて、横軸は時間tの経過を表し、また縦軸は温度を表し、定着ローラ46の中央部温度および両端部温度、ならびに加圧ローラ45の温度の変化を表している。また、図11の下部の横軸も時間tの経過を表し、図11の下部の縦軸は定着ローラ46の回転/停止、ヒータ70およびヒータ71のON(通電)/OFF(非通電)、媒体通過センサ(書込センサ)51の出力(ON:記録媒体検知有り/OFF:記録媒体検知なし)、媒体通過センサ(排出センサ)52の出力(ON:記録媒体検知有り/OFF:記録媒体検知なし)、制御種別(ウォームアップ/印刷)を表している。
時間t10〜t11の区間は、上位装置からの印刷指示を待機し、温度制御部118はヒータ70およびヒータ71へ通電していない状態であり、定着ローラ46がヒータ70およびヒータ71への通電により一旦加熱された後、ヒータ70およびヒータ71への通電が停止され、定着ローラ46が放熱している状態を示している。
また、Tgは制御目標温度であり、定着ローラ46の目標温度を示し、Tg−Tpは定着ローラ46のウォームアップ終了温度を示し、Tg−Thsはホットスタート/コールドスタート切替温度を示している。これらの温度Tg、(Tg−Tp)、(Tg−Ths)は温度設定部117が設定する温度であり、温度Tpおよび温度Thsは0℃以上の所定の固定値である。本実施例では、温度Tpは7℃、温度Thsは20℃である。なお、制御目標温度Tgは、記録媒体の材質や厚さによって変るものであり、例えば170℃とする。
なお、中央部温度および両端部温度の検出方法は第1の実施例と同様なのでその説明を省略する。
次に、印刷装置が行う予熱制御処理を図10にSで表すステップにしたがって図1、図2および図11を参照しながら説明する。
S201、S202:図8におけるS101、S102と同様なのでその説明を省略する。
S203:制御部106が印刷データを受信したと判定すると、その制御部106の指示により温度制御部118の温度設定部117はウォームアップ終了温度(Tg−Tp)を設定し、温度制御部118は温度設定部117からウォームアップ終了温度(Tg−Tp)を読み出す。本実施例では、Tpは7℃である。
S204:温度制御部118のモード選択部119は、通常制御モードと排他制御モードのいずれかを選択する。なお、これらのモードは、パネル部161、表示部162、パネル制御部160によって予め入力されているものであり、例えばユーザが表示部162の表示にしたがってパネル部161の操作ボタン等を押下することにより、選択されるものである。
通常制御モードが選択されている場合は、処理をS205へ移行し、排他制御モードが選択されている場合は、処理をS207へ移行する。
S205:通常制御モードが選択されている場合、温度制御部118は、ヒータ70およびヒータ71の両方のヒータを通電するように電源部112を制御し、定着ローラ46のウォームアップを開始する。
S206:温度制御部118は、定着ローラ46の中央部温度がウォームアップ終了温度(Tg−Tp)を超えたか否かを判定し、超えたと判定すると処理をS210へ移行し、超えていないと判定すると処理をS205へ移行してウォームアップを継続する。
S207:一方、S204において排他制御モードが選択されている場合、温度制御部118は、定着ローラ46の中央部温度がホットスタート/コールドスタート切替温度(Tg−Ths)以上であるか否かを判定し、定着ローラ46の中央部温度がホットスタート/コールドスタート切替温度(Tg−Ths)以上、すなわちホットスタートと判定すると処理をS208へ移行し、ホットスタート/コールドスタート切替温度(Tg−Ths)未満、すなわちコールドスタートと判定すると処理をS213へ移行する。
S208:定着ローラ46の中央部温度がホットスタート/コールドスタート切替温度(Tg−Ths)以上、すなわちホットスタートと判定した温度制御部118は、ヒータ71のみに通電するように電源部112を制御し、ヒータ71のみで定着ローラ46を加熱してウォームアップを行う。
ここで、ホットスタート時の予熱制御における定着ローラ46および加圧ローラ45の外周表面の温度の推移をグラフにすると図11に示すようになる。
図11において、時間t11のタイミングでは、定着ローラ46の中央部温度がホットスタート/コールドスタート切替温度(Tg−Ths)より高いため、ヒータ71のみが通電(ON)されて定着ローラ46がヒータ71により加熱される。このとき、第1の実施例と同様に、定着ローラ46の両端部温度は、中央部温度よりも低い。これは、定着ローラ46の両端部の放熱の方が、中央部の放熱よりも大きいためである。
時間t11〜t12の区間でヒータ71のみを通電(ON)し、ヒータ70は通電を停止(OFF)したままである。このとき、ヒータ71の配光は図6(b)に示したように両端部の配光が中央部に比べて高いため、両端部温度は中央部温度に比べて短時間で上昇する。
S209:温度制御部118は、定着ローラ46の中央部温度がウォームアップ終了温度(Tg−Tp)を超えたか否かを判定し、超えたと判定すると処理をS210へ移行し、超えていないと判定すると処理をS208へ移行してヒータ71のみで定着ローラ46を加熱するウォームアップを継続する。
S210:定着ローラ46の中央部温度がウォームアップ終了温度(Tg−Tp)を超えたと判定した温度制御部118は、ヒータ71(およびヒータ70)の通電を停止して定着ローラ46のウォームアップを終了する。
図11の時間t12のタイミングで定着ローラ46の中央部温度はウォームアップ終了温度(Tg−Tp)に到達したため、ウォームアップを終了する。この時間t12のタイミングでは、第1の実施例と同様に、定着ローラ46の両端部温度が中央部温度より高くなっている。これは、温度制御部118が、ヒータ71のみを通電(ON)するように電源部112を制御した結果、ウォームアップ終了のタイミングでは両端部温度が中央部温度よりも高くなることがある。
S211:定着ローラ46のウォームアップを終了した温度制御部118は、ヒータ70のみを通電するように電源部112を制御し、ヒータ70のみにより定着ローラ46を加熱する。
S212:制御部106は、用紙搬送制御部114にモータ駆動制御部113が駆動を開始するように信号を出力し、モータ駆動制御部113は定着部回転機構173および用紙搬送機構174が動作するように制御信号を出力することにより、定着ローラ46やピックアップローラ40、レジストローラ41、42、搬送ローラ43、44、および排出ローラ47、48が回転する。また、用紙搬送制御部114は、媒体通過センサ(書込センサ)51、媒体通過センサ(排出センサ)52の記録媒体の検知状態を監視しながら記録媒体の通紙を開始する。
図11において、時間t12以降は定着ローラ46のウォームアップは終了しているため、印刷の制御となる。この印刷の制御は、第1の実施例と同様のため説明を省略する。
S213:S207においてコールドスタートと判定されると、温度制御部118の温度設定部117は、通電切替温度(Tg−Tdc)および定着ローラ回転温度(Tg−Tr)を設定し、温度制御部118は温度設定部117から通電切替温度(Tg−Tdc)および定着ローラ回転温度(Tg−Tr)を読み出す。本実施例では、Tdcは15℃、Trは10℃である。
S214:温度制御部118は、定着ローラ46の中央部温度が通電切替温度(Tg−Tdc)以上であるか否かを判定し、定着ローラ46の中央部温度が通電切替温度(Tg−Tdc)以上であると判定すると処理をS216へ移行し、通電切替温度(Tg−Tdc)未満であると判定すると処理をS215へ移行する。
S215:定着ローラ46の中央部温度が通電切替温度(Tg−Tdc)未満であると判定した温度制御部118は、ヒータ70のみに通電するように電源部112を制御し、ヒータ70のみで定着ローラ46を加熱してウォームアップを行い、処理をS214へ移行して定着ローラ46の中央部温度が通電切替温度(Tg−Tdc)以上になるまでヒータ70のみで定着ローラ46を加熱するウォームアップを継続する。
このように、定着制御部118は、予熱開始時に、温度検出部115、116で計測した温度が第2の閾値としてのホットスタート/コールドスタート切替温度(Tg−Ths)より低いと判定し、かつ第1の閾値としての通電切替温度(Tg−Tdc)未満である判定したとき、第1の熱源としてのヒータ70により定着ローラ46の予熱を開始する。
S216:S214において、定着ローラ46の中央部温度が通電切替温度(Tg−Tdc)以上であると判定した温度制御部118は、ヒータ71のみに通電するように電源部112を制御し、ヒータ71のみで定着ローラ46を加熱してウォームアップを行う。すなわち、温度制御部118は、温度検出部115、116で計測した定着ローラ46の中央部の温度が第1の閾値としての通電切替温度(Tg−Tdc)に達したとき、第1の熱源としてのヒータ70による加熱から第2の熱源としてのヒータ71による加熱に切り替えて定着ローラ46の予熱を行う。
なお、ウォームアップ開始時に、定着ローラ46の中央部温度が通電切替温度(Tg−Tdc)以上であると判定した温度制御部118は、ヒータ71のみに通電するように電源部112を制御し、ヒータ71のみで定着ローラ46を加熱してウォームアップを開始する。
S217:温度制御部118は、定着ローラ46の中央部温度が定着ローラ回転温度(Tg−Tr)を超えたか否かを判定し、超えたと判定すると処理をS218へ移行し、超えていないと判定すると処理をS216へ移行してヒータ71のみで定着ローラ46を加熱するウォームアップを継続する。
S218:定着ローラ46の中央部温度が定着ローラ回転温度(Tg−Tr)を超えたと判定すると、制御部106は、用紙搬送制御部114にモータ駆動制御部113が駆動を開始するように信号を出力し、モータ駆動制御部113は定着部回転機構173が動作するように制御信号を出力することにより、定着ローラ46が回転を開始する。
S219、S220:温度制御部118は、定着ローラ46の中央部温度がウォームアップ終了温度(Tg−Tp)を超えたか否かを判定し、超えたと判定すると処理をS221へ移行し、超えていないと判定すると処理をS220へ移行してヒータ71のみで定着ローラ46を加熱するウォームアップを継続する。
S221:定着ローラ46の中央部温度がウォームアップ終了温度(Tg−Tp)を超えたと判定した温度制御部118は、ヒータ71の通電を停止して定着ローラ46のウォームアップを終了する。なお、このとき定着ローラ46は回転したままとする。
ここで、コールドスタート時の予熱制御における定着ローラ46および加圧ローラ45の外周表面の温度の推移をグラフにすると図12に示すようになる。
図12において、時間t21のウォームアップ開始時点における定着ローラ46の中央部温度および両端部温度、加圧ローラ45の外周表面の温度が室温に近い状態になっている。本実施例では、加圧ローラ45の外周表面の温度がほぼ室温(常温)と同じ温度まで冷めている状態であり、定着ローラ46の中央部温度および両端部温度は室温まで冷めている途中の状態でウォームアップが開始されるものとする。
時間t21〜t22の区間では、ウォームアップを開始するタイミングである時間t21において、定着ローラ46の中央部温度はホットスタート/コールドスタート切替温度(Tg−Ths)より低いため、ヒータ70のみに通電(ON)してウォームアップを開始する。このとき、定着ローラ46の両端部温度は中央部温度よりも低い。これは、定着ローラ46の両端部の放熱の方が、中央部の放熱よりも大きいためである。
この時間t21〜t22の区間でヒータ70のみを通電(ON)して中央部温度が通電切替温度(Tg−Tdc)に達したとしても、時間t22のタイミングでは両端部温度はまだ中央部温度より低い。これは、図6(a)に示すようにヒータ70の両端部の配光分布が中央部の配光分布より小さいためである。
定着ローラ46の中央部温度が通電切替温度(Tg−Tdc)に到達したとき、すなわち時間t22のタイミングで温度制御部118はヒータ71のみが通電(ON)するように制御を切替え、ウォームアップを継続する。
次に、時間t23のタイミングで定着ローラ46の中央部温度は定着ローラ回転温度(Tg−Tr)を超え、このとき用紙搬送制御部114の制御により定着ローラ46を回転させる。この定着ローラ46は、ヒータ71のみが通電(ON)している状態で回転されるため、定着ローラ46の外周表面の熱が加圧ローラ45の外周表面に奪われることにより、加圧ローラ45の外周表面を加熱することができる。
ヒータ71の出力はヒータ70の出力より小さいため、定着ローラ46の中央部温度がウォームアップ終了温度(Tg−Tp)を超えるまでに時間が必要であり、この時間を経過するまで定着ローラ46を回転させることにより加圧ローラ45の外周表面の温度を上昇させることができる。
図13はトナーの定着性を示すグラフであり、横軸は加圧ローラの外周表面の温度、縦軸は定着ローラの外周表面の温度を表し、定着性限界ラインの上方はトナーの定着性が良好であり、トナーの定着が安定していることを示し、定着性限界ラインの下方はトナーの定着性が不良であることを示している。
図13によると加圧ローラ45の温度が高温の場合は、定着ローラの温度が比較的低音であってもトナーの定着性を維持するための温度マージン131を広く確保することができるということがわかる。これは、加圧ローラ45の温度を高めに設定することによって定着ローラ46の温度が通紙によって低下したとしても、良好かつ安定したトナーの定着性が得られるということを示している。つまり、定着ローラ46側にのみ温度検出素子を備える本実施例の構成においてはウォームアップの開始から終了までの間に加圧ローラ45の温度をできるだけ高めに維持することが、安定したトナーの定着性を得る手段として効果的であるといえる。
図12の説明に戻り、時間t24のタイミングで定着ローラ46の中央部温度はウォームアップ終了温度(Tg−Tp)を超え、ウォームアップは終了となる。また、第1の実施例と同様に、時間t23〜t24の区間ではヒータ71のみを通電(ON)しているため、時間t24のタイミングでは定着ローラ46の両端部温度は中央部温度より高くなっている。
S222:定着ローラ46のウォームアップを終了した温度制御部118は、ヒータ70のみを通電するように電源部112を制御し、ヒータ70のみにより定着ローラ46を加熱する。
S223:制御部106は、用紙搬送制御部114にモータ駆動制御部113が駆動を開始するように信号を出力し、モータ駆動制御部113は定着部回転機構173および用紙搬送機構174が動作するように制御信号を出力することにより、定着ローラ46やピックアップローラ40、レジストローラ41、42、搬送ローラ43、44、および排出ローラ47、48が回転する。また、用紙搬送制御部114は、媒体通過センサ(書込センサ)51、媒体通過センサ(排出センサ)52の記録媒体の検知状態を監視しながら記録媒体の通紙を開始する。
図12において、時間t24以降は定着ローラ46のウォームアップを終了した後の印刷の制御を示している。印刷の制御は第1の実施例と同様なので説明を省略する。
このように、定着ローラ46の中央部温度が所定の温度より低いコールドスタート時は、ヒータ70による加熱後のヒータ71での加熱において定着ローラ46の中央部温度が所定の温度を超えたとき、定着ローラ46および加圧ローラ45を回転させるようにしたことにより、加圧ローラ45を加熱することができ、ウォームアップ終了後に加圧ローラ45の温度を高めに維持し、安定したトナーの定着性を確保することができる。
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、定着ローラの中央部温度が所定の温度より低いコールドスタート時であっても、ウォームアップ終了後に加圧ローラの温度を高めに維持することができ、安定したトナーの定着性を確保することができるという効果が得られる。
なお、第1の実施例および第2の実施例では、画像形成装置を印刷装置として説明したが、それに限られることなく、ファクシミリ装置、複写機または複合機等としても良い。
1 印刷装置
2 記録媒体
10 電子写真プロセスユニット
20 転写ローラ
25 プロセスユニット
30 定着ユニット
31、32 温度検出素子
40 ピックアップローラ
41、42 レジストローラ
43、44 搬送ローラ
45 加圧ローラ
46 定着ローラ
47、48 排出ローラ
50、51、52 媒体通過センサ
70、71 ヒータ
106 制御部
107 記憶部
112 電源部
113 モータ駆動制御部
114 用紙搬送制御部
115、116 温度検出部
117 温度設定部
118 温度制御部
119 モード選択部
150 インターフェース部
160 パネル制御部
161 パネル部
162 表示部
173 定着部回転機構
174 用紙搬送機構

Claims (9)

  1. 所定のピーク消費電力で定着ユニットをウォームアップする第1のモードと、前記第1のモードよりも低いピーク消費電力で前記定着ユニットをウォームアップする第2のモードとを有する画像形成装置において、
    前記第1のモードまたは前記第2のモードを予め選択する操作を受付ける操作部と、
    前記操作部で受付けた選択操作に基づいて、前記定着ユニットのウォームアップを制御する制御部とを有し、
    前記定着ユニットは、2つの熱源を有し、
    前記制御部は、
    前記第1のモードが選択されている場合は、2つの熱源による加熱によって加熱制御を行い、前記第2のモードが選択されている場合は、一方の熱源による加熱から他方の熱源による加熱へと切り替えることによって加熱制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において、
    前記制御部は、
    前記定着ユニットのウォームアップにおいて前記熱源を制御することを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、
    前記定着ユニットの温度を計測する温度検出部を有し、
    前記制御部は、
    前記温度検出部で計測した温度が所定の温度に達したとき、一方の熱源による加熱から他方の熱源による加熱に切り替えることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記2つの熱源は、一方の熱源が他方の熱源よりも出力電力が高く設定されていることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    一方の熱源が、長手方向における中央部の配熱が両端部の配熱よりも高く、
    他方の熱源が、長手方向における両端部の配熱が中央部の配熱よりも高く設定されていることを特徴とする画像形成装置。
  6. 所定のピーク消費電力で定着ユニットをウォームアップする第1のモードと、前記第1のモードよりも低いピーク消費電力で前記定着ユニットをウォームアップする第2のモードとを有する画像形成装置において、
    前記第1のモードまたは前記第2のモードを予め選択する操作を受付ける操作部と、
    前記操作部で受付けた選択操作に基づいて、前記定着ユニットのウォームアップを制御する制御部とを有し、
    前記定着ユニットは、
    定着部と、
    前記定着部と長手方向が略平行に配置され、前記定着部を加熱する熱源と、
    前記定着部の温度を計測する温度検出部とを有し、
    前記制御部は、
    前記第2のモードが選択されている場合であって、
    前記温度検出部で計測した温度が所定の温度に達したとき、前記長手方向における前記熱源の中央部の配熱を両端部より高くして前記定着部を加熱する制御から、前記両端部の配熱を前記中央部よりも高くして前記定着部を加熱する制御へと切り替えてウォームアップを行うことを特徴とする画像形成装置。
  7. 所定のピーク消費電力で定着ユニットをウォームアップする第1のモードと、前記第1のモードよりも低いピーク消費電力で前記定着ユニットをウォームアップする第2のモードとを有する画像形成装置において、
    前記第1のモードまたは前記第2のモードを予め選択する操作を受付ける操作部と、
    前記操作部で受付けた選択操作に基づいて、前記定着ユニットのウォームアップを制御する制御部とを有し、
    前記定着ユニットは、
    定着部と、
    前記定着部と長手方向が略平行に配置され、前記定着部を加熱する熱源と、
    前記定着部の温度を計測する温度検出部とを有し、
    前記制御部は、
    前記第2のモードが選択されている場合であって、
    前記温度検出部で計測した温度が所定の温度に達したとき、前記長手方向における前記熱源の中央部の出力を両端部よりも高くして前記定着部を加熱する制御から、前記両端部の出力を前記中央部よりも高くして前記定着部を加熱する制御へと切り替えてウォームアップを行うことを特徴とする画像形成装置。
  8. 所定の消費電力で定着ユニットをウォームアップする第1のモードと、前記第1のモードよりも低い消費電力で前記定着ユニットをウォームアップする第2のモードとを有し、前記第1のモードと前記第2のモードによる前記定着ユニットのウォームアップを制御する制御部と、前記定着ユニットの温度を検出する温度検出部とを有する画像形成装置の制御方法であって、
    前記第1のモードまたは前記第2のモードを予め選択する操作を操作部で受付ける第1のステップと、
    前記操作部で前記第1のモードが選択されている場合は、前記制御部が、前記定着ユニットの第1の熱源および第2の熱源による加熱によって前記定着ユニットの加熱制御を行う第2のステップと、
    前記操作部で前記第2のモードが選択されている場合は、前記制御部が、前記第1の熱源、前記第2の熱源の通電状態を切替えることによって前記定着ユニットの加熱制御を行う第3のステップと、
    を有し、
    前記第3のステップにおいて、
    前記温度検出部で検出した温度が第1の閾値に達したとき、前記第1の熱源による加熱から前記第2の熱源による加熱に切り替えることを特徴とする制御方法。
  9. 請求項8に記載の制御方法において、
    前記第1の熱源は、長手方向における中央部の出力が両端部の出力よりも高く、
    前記第2の熱源は、長手方向における両端部の出力が中央部の出力よりも高いことを特徴とする制御方法。
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