JP4659195B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置においてトナー像を記録材に加熱定着する定着装置、および定着装置を搭載した画像形成装置に関し、特に定着装置の加熱体の温度制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真方式を利用した、たとえば複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置において、記録材上のトナー像を加熱定着する定着装置として、熱ローラ方式、フィルム加熱方式等の接触加熱型の定着装置が広く用いられている。
【0003】
これらの定着装置では、ハロゲンランプや抵抗発熱体等の加熱ヒータに電流を流して発熱させ、その定着温度まで上昇した熱をローラやフィルムを介して記録材上のトナー像に付与することにより、トナー像を記録材に加熱定着している。また画像形成装置を記録材の種々の紙種や環境下で使用しても、定着装置に良好な定着を行わせて、画像形成装置に所定の画像品質性能を確保するために、定着装置に対し複数の加熱モードを設置して、定着温度の調節を紙種や環境によって選択できるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来は、加熱モードを選択しても、加熱モードにおける定着温度への立ち上げ制御が記録材の紙種や環境に応じたきめ細かい制御とはなっていなかったので、紙種や環境によっては良好な定着が行えず、高品質の画像を得ることができない場合があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、ヒータの定着温度への立ち上げ制御を行う加熱モードを、記録材の紙種や環境に応じたきめ細かいものすることにより、紙種と環境とに拘わらず良好な定着を行って、高品質の画像を得ることを可能とした定着装置、およびその定着装置を搭載した画像形成装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る定着装置および画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明の一態様によれば、加熱体を有する定着部材と、前記加熱体の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の検知結果に基づき前記加熱体への通電を調整して、前記加熱体を定着温度に制御する制御手段と、前記加熱部材と圧接して定着ニップ部を形成する加圧部材とを備え、前記定着ニップ部にトナー像が形成された記録材を進入させることにより、前記加熱体の熱量を前記記録材に付与して、前記トナー像を前記記録材に加熱定着する定着装置において、
前記加熱体への通電開始から前記定着ニップ部に前記記録材が進入するまでの前記加熱体の定着温度への立ち上げ方法が異なる複数の加熱モードを備え、
前記複数の加熱モードのうちの少なくとも2つは、定着温度の異なる2種類の記録材に対する加熱モードであり、
定着温度が低い方の記録材に対して通電開始からその定着温度T1までの立ち上げを1段で行うモード1と、
定着温度が高い方の記録材に対して通電開始からその定着温度T2までの立ち上げを複数段で行うモード2であることを特徴とする定着装置が提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、加熱体を有する定着部材と、前記加熱体の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の検知結果に基づき前記加熱体への通電を調整して、前記加熱体を定着温度に制御する制御手段と、前記加熱部材と圧接して定着ニップ部を形成する加圧部材とを備え、前記定着ニップ部にトナー像が形成された記録材を進入させることにより、前記加熱体の熱量を前記記録材に付与して、前記トナー像を前記記録材に加熱定着する定着装置において、
前記加熱体への通電開始から前記定着ニップ部に前記記録材が進入するまでの前記加熱体の定着温度への立ち上げ方法が異なる複数の加熱モードを備え、
前記複数の加熱モードは、定着温度の異なる2種類の記録材に対する2つの加熱モードと、更に、前記定着温度が異なる2種類の記録材に対する定着装置を備えた画像形成装置が置かれた環境の温度を考慮した加熱モードを含む少なくとも3つの加熱モードを備え、
その3つのモードのうちの定着温度が低い方の記録材に対するモード1は、前記環境の温度に関係なく、通電開始からその定着温度T1までの立ち上げを1段で行い、
定着温度が高い方の記録材に対するモード2は、前記環境の温度が高温または室温のとき、通電開始からその定着温度T2までの立ち上げを1段で行い、
定着温度が高い方の記録材に対するモード3は、前記環境の温度が低温のとき、通電開始からその定着温度T2よりも低い温度T31まで1段で立ち上げ、その温度T31で前記モード2のときの立ち上げ終了時間以上の時間まで保持した後、定着温度T2まで1段で立ち上げることを特徴とする定着装置が提供される。
【0008】
上記本発明の一実施態様によれば、前記定着部材が加熱体とその外側に配置された円筒状のフィルムとを備えてなり、前記加圧部材が前記加熱体の部分で前記フィルムに圧接した弾性ローラからなる。
【0009】
本発明の更に他の態様によれば、上記いずれかの構成とされる定着装置を搭載した画像形成装置が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る定着装置および画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0015】
実施例1
以下の実施例においては、画像形成装置の一例としてレーザービームプリンタの場合について説明する。
【0016】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施例を示す概略断面図、図2は、図1の画像形成装置に搭載した定着装置を示す概略断面図である。本画像形成装置は、レーザービームプリンタに構成されており、本発明は、そこに搭載した定着装置の温度制御に特徴がある。
【0017】
図1に示されるように、本実施例のレーザービームプリンタは、外装14で囲まれたプリンタ本体の略中央部に、感光ドラム20を備えたプロセスカートリッジ18を具備し、カートリッジ18の下方に、記録媒体として紙やOHT等の記録材Pを収容した給紙カセット15を備えている。カセット15内の記録材Pは給紙ローラ16によって給紙され、搬送ローラ17によって感光ドラム20の転写部に向けて搬送される。またカートリッジ18の右方には、プリンタが置かれた環境の温湿度を検知する環境センサー23が設置されている。
【0018】
プロセスカートリッジ18は、公知の画像形成プロセスにより感光ドラム20上に画像を形成するもので、カートリッジ18外のレーザーユニット19から発生したレーザビームで感光ドラム20を露光走査することにより、感光ドラム20の表面に静電潜像を形成し、この潜像をカートリッジ18内の現像部で現像してトナー像として可視化する。
【0019】
感光ドラム20上に得られたトナー像は、カセット15から転写部に搬送された記録媒体P上に、カートリッジ18外の転写ローラ21により転写される。トナー像を転写された記録材は定着装置10に搬送され、そこでトナー像が記録材に定着された後、排紙ローラ22によってプリンタ本体外装14の上面に排紙される。
【0020】
本実施例によれば、定着装置10はフィルム加熱方式とされ、図2に示されるように、耐熱性のステイ2にヒータ6を固定し、そのヒータ6の外側に耐熱性の円筒状の薄膜フィルム(定着フィルム)1を配置して定着部材を構成し、その定着部材のフィルム1を介してヒータ6に弾性を有する加圧ローラ7を圧接して、フィルム1と加圧ローラ7との間に所定の幅の定着ニップ部Tを形成している。
【0021】
ヒータ6は、セラミック等の基板4の表面にスクリーン印刷等で抵抗発熱体5を1条または複数条に形成してなっており、抵抗発熱体5に通電して加熱し、そのヒータ温度をヒータ6の背面に設置された温度検知手段のサーミスタ3で検知し、検知温度に基づきヒータ6(抵抗発熱体5)への通電量を制御することにより、ヒータ6の発熱量を制御して、ヒータ6が所定の定着温度に温度調節される。サーミスタ3は、図3に示すように、直流電源Eおよび抵抗Rからなる電圧検出回路につながれていて、電源Eの一定電圧V0のサーミスタ抵抗による分圧分を計測することにより、サーミスタ3の出力が得られ、ヒータ温度が測定される。
【0022】
定着フィルム1は加圧ローラ7による従動回転とされ、加圧ローラ7に加えられた矢印方向の回転力が定着ニップ部Tで記録材Pに伝えられ、さらに定着フィルム1に伝えられる。記録材Pは図2の右方から定着ニップ部Tに導入されて、記録材Pが定着ニップ部に進入すると、記録材Pは定着フィルム1の面に密着し、そのフィルム1と一所に定着ニップ部を挟持搬送され、定着ニップ部を通過する間に、記録材Pおよびその上のトナー像9が定着温度に上昇したヒータ6により定着フィルム1を介して加熱されて、トナー像9が記録材Pに定着される。
【0023】
図4は、定着装置10の制御手段における温調制御の概略を示すフローチャートである。制御手段(制御回路)は、CPU、A/D変換器およびトライアック等を備えてなっている。
【0024】
図4に示されるように、まず、ヒータ6上のサーミスタ3によりヒータ温度を検出し(ステップS1)、そのアナログの検出出力をA/D変換器でデジタル値にA/D変換し(ステップS2)、得られたデジタルの検出出力をCPUに取り込み(ステップS3)、検出温度情報に基づく開閉信号をトライアック(通電制御部)に出力し、トライアックにより、検出温度が目標ヒータ温度(目標定着温度)に一致するように、抵抗発熱体5に通電するAC電圧を位相制御方式、波数制御方式等により制御し(ステップS4)、その制御された電圧で発熱抵抗体5へ電力を供給し、これにより、ヒータ6を加熱温調して、所定のヒータ温度に維持する(ステップS5)。
【0025】
本発明によれば、定着装置10の加熱モードとして、ヒータ6への通電開始(立ち上げ開始)から定着ニップ部に記録材が進入するまでのヒータ6の立ち上げ、すなわち定着温度までの立ち上げの温度制御方法を異ならせた複数のモードを有し、画像形成時、所定の選択条件に従って加熱モードを選択するようになっている。加熱モードの選択は、ユーザーがプリンタ本体に取り付けられたオペレーションパネルから指定するか、パーソナルコンピュータから指定するか、プリンタ本体が自動的に指定するか、もしくはこれらの組み合わせによって指定される。
【0026】
本実施例では、2つの加熱モード1、2を有する。モード1は、薄紙や普通紙、平滑紙(OHTを含む)のような記録材にトナー像を定着するときの加熱モード(普通紙モード)であり、モード2は、厚紙や表面の粗い紙のような記録材にトナー像を定着するときの加熱モード(厚紙モード)である。
【0027】
本実施例の定着装置の加熱モードを図5に示す。図5は、本実施例の加熱モードにおける立ち上げ温度制御を行ったときのサーミスタ3の出力(アナログ値)の変化を示すグラフである。サーミスタ3は、温度が上昇すると抵抗値が下がるので、サーミスタによる分圧分も下がる。したがって、図5のサーミスタの出力は、縦軸を上に行くほど出力電圧が下がっており、ヒータの検出温度は上昇している。なお、縦軸の単位は電圧でも、抵抗でもよく、温度に換算した値で考えてもよい。
【0028】
加熱モード2は、記録材が厚紙や表面の粗い紙であるときの厚紙モードであるので、高い定着温度を必要とし、その定着温度T2は、記録材が薄紙や普通紙、平滑紙であるときの加熱モード(普通紙モード)1の定着温度T1よりも、T1<T2と高く設定されている。
【0029】
図5に示すように、モード1では、1段の立ち上げで定着温度T1に立ち上げており、ヒータに通電が開始されると、一気に定着温度T1まで上がっていく。これに対し、モード2では、2段の立ち上げで定着温度T2まで立ち上げており、ヒータへの通電開始により一度立ち上げ温度T21に落ち着いてから、定着温度T2に上げていく。
【0030】
本実施例では、このように、記録材の種類によって定着温度までの立ち上げ制御方法を変え、普通紙等よりも高い定着温度を必要とする厚紙等の定着時に、定着温度まで複数段で立ち上げるようにしたので、急激な温度変化を防いだ立ち上げができ、定着装置や付近の部品の急激な温度変化による損傷を防いで、それらの寿命を延ばすことができる。
【0031】
以上では、普通紙等の加熱モード1に対し、厚紙等の加熱モード2では、立ち上げ方を2段階としたが、図6に示すように、モード1でも、定着温度T1に対しこれよりも若干低い立ち上げ温度T11を設けて、ヒータへの通電開始から2段階の立ち上げで定着温度T1まで立ち上げるようにすることができる。このように2段で定着温度に立ち上げるようにすれば、温度制御のプログラムが組みやすくなるメリットがあるが、そのメリットをモード2ばかりでなくモード1にも得られる。
【0032】
実施例2
図7は、本発明の他の実施例の定着装置の加熱モードを示す説明図である。
【0033】
本実施例は、図1の環境センサー23で検知したプリンタが置かれている環境の温度を考慮した加熱モードとした。図7は、図5のときと同様、加熱モードにおける立ち上げ温度制御を行ったときのサーミスタの出力(アナログ値)の変化を示す。
【0034】
図7において、加熱モード1は、薄紙や普通紙、平滑紙のような記録材に定着するときの加熱モード(普通紙モード)で、低温・室温時は定着温度T1に立ち上げ、環境温度が高い場合、ヒータ周囲の温度も記録材の温度も高くなると考えられるので、高温時は、T1よりも低い定着温度T1’に立ち上げている。いずれも定着温度までの立ち上げは1段で行っている。
【0035】
加熱モード2は、厚紙や表面の粗い紙のような記録材に定着するときの加熱モード(厚紙モード)である。環境温度が高い場合、ヒータ周囲の温度も記録材の温度も高くなるので、厚紙モードでは、記録材が定着ニップ部に侵入する前に加圧ローラ7の表面を暖めすぎて、過剰定着になりやすい。過剰定着になると、記録材上のトナー像が定着ニップ部を通過した後でも、トナーが軟らかく粘性がある状態なので、定着フィルム1にくっつきやすい。フィルムにくっついて1周したトナーは、記録材上の本来トナー像がないところに付着してしまい、画像の乱れ(ホットオフセット)を生じる。
【0036】
そこで、モード2では、環境の温度で定着温度も、立ち上げ方も異ならせた。すなわち、低温・室温時は定着温度T2に1段で立ち上げ、高温時は、ホットオフセットを防ぐために、T1よりも低い定着温度T2’に複数段で、本例では、立ち上げ温度T22’、T21’(T22’<T21’)を経て3段で立ち上げた。
【0037】
本実施例によれば、以上のように、高温環境下でのプリンタの使用時、厚紙等に対する定着をホットオフセットを発生することなく実施できる。
【0038】
以上では、環境センサー23で検知したプリンタが置かれた環境の温度を考慮した加熱モードとしたが、加熱モードに、環境センサー23で検知したプリンタが置かれた環境の湿度を考慮し、高湿度環境を検知した場合に、急激な立ち上げによる記録材のスリップを防止するために、モード2の立ち上げ方を、本実施例に準じてモード1と異ならせるようにしてもよい。
【0039】
実施例3
本実施例では、加熱モードによって、ヒータ6をデューティー100%の最大電力で立ち上げるか、デューティーを絞って立ち上げるかを異ならせた。ヒータ6への通電電力は波数制御で行った。同期は10半波1周期とした。
【0040】
図8に本実施例における定着装置の加熱モードを示す。図5のときと同様、加熱モードにおける立ち上げ温度制御を行ったときのサーミスタの出力(アナログ値)の変化を示す。
【0041】
図8において、モード1は、薄紙や普通紙、平滑紙のような記録材に定着するときの加熱モード(普通紙モード)で、サーミスタ3の検知温度が、ヒータ6に通電が開始されてから定着温度T1から温度D(℃)だけ下の(T1−D)では、デューティー100%の最大電力(電源電圧)を入力して立ち上げ、それ以上の(T1−D)よりも大の温度になると、デューティーを減少させる。
【0042】
一方、モード2は、厚紙や表面の粗い紙のような記録材に定着するときの加熱モード(厚紙モード)で、通電開始と同時に100%未満の少ないデューティーで立ち上げる(PID制御)。モード1のように最大電力で立ち上げるよりも、モード2のように100%未満の少ないデューティーで立ち上げる方がゆっくりと立ち上がるので、実施例2と同様、ホットオフセットを防止することができる。
【0043】
モード2の細線で描かれたグラフは、モード1と同様に、定着温度T2から温度Dだけ下の(T2−D)までは、デューティー100%の最大電力で立ち上げ、それ以上の(T2−D)よりも大の温度になると、デューティーを減少させて定着温度T2に立ち上げた場合で、この場合は、温度が上昇しすぎてT2をオーバーシュートすることが示されている。
【0044】
特に低温環境下でも厚紙や表面の粗い紙で十分定着性を確保できるように、定着装置の定着温度を決めた画像形成装置では、定着温度の高い加熱モードを使用し、高温環境下でしかも最大電力が高い場合に、オーバーシュートになりやすく、ホットオフセットが発生しやすい。したがって、オーバーシュートを防ぐために、複数段に分けて立ち上げるような立ち上げの工夫を必要するが、本実施例のモード2のように、100%未満の少ないデューティーで立ち上げることによっても、オーバーシュートを防ぐことができる。
【0045】
実施例4
本実施例では、定着温度が低い方の加熱モード1で2段階の立ち上げを行った。
【0046】
図9において、加熱モード1は、薄紙や普通紙、平滑紙のような記録材に定着するときのモード(普通紙モード)で、モード1では、オーバーシュートを防ぐために、一度立ち上げ温度T11に立ち上げ、その温度に落ち着いてから定着温度T1に上げている。
【0047】
一方、加熱モード2は、厚紙や表面の粗い紙のような記録材に定着するときのモード(厚紙モード)で、本実施例におけるこのモード2は、定着性を最優先としたモードであって、ヒータに通電開始してから一気に定着温度T2まで立ち上げている。
【0048】
定着装置全体が低温環境で冷えている場合、記録材が定着ニップ部に進入するどれだけ前に加圧ローラ7の温度を上昇させることができるかで、定着性の善し悪しが決定するので、相当厚い厚紙を低温環境で定着するには、定着温度T2まで2段階で立ち上げるとするのは得策ではなく、最大電力で一気に定着温度T2に立ち上げるのがよい。
【0049】
本実施例では、以上により、相当厚い記録材を低温環境で定着する場合にも、良好な定着性を得ることができる。
【0050】
実施例5
本実施例では、短時間で記録材の定着性を確保する加熱モードを有する場合について説明する。
【0051】
図10において、加熱モード1は、薄紙や普通紙、平滑紙のような記録材に定着するときのモード(普通紙モード)、加熱モード2は、厚紙や表面の粗い紙のような記録材に定着するときのモード(厚紙モード)で、モード1では、定着温度T1に一気に立ち上げるが、モード2では、定着温度T2より高い立ち上げ温度T21まで一気に立ち上げて、しばらくその温度に保持し、記録材が定着ニップ部に侵入するのに合わせて定着温度T2に戻している。
【0052】
モード2でこのような制御をすることによって、ヒータ6に通電してから記録材が定着ニップ部に侵入するまでの時間が同じであっても、加圧ローラ7の温度を高くでき、したがってモード2で定着させなければならない厚紙や表面が粗い紙に対しても、1枚目から定着性を良好にすることができる。
【0053】
すなわち、定着装置全体が冷えている状態からのヒータの通電開始(コールドスタート)において、記録材の1枚目の定着性を、薄紙やOHT(平滑紙)用のモード1と同じ立ち上げ時間で確保する必要がある場合に有効である。
【0054】
なぜならば、定着性を確保するには定着温度だけを上げても駄目で、加圧ローラに十分な熱を与えておいて、記録材が定着ニップ部に侵入したときに記録材の非印字面(裏面)側からもトナーを加熱できるようにしなければならないからである。こうしておかないと、1枚目の定着中に加圧ローラ温度が急激に下がってしまい、1枚目の後半部分で定着性が悪くなることがある。
【0055】
なお、モード1で薄紙やOHTに対し、同様のことをすると、高湿度環境でスリップとなる可能性がある。
【0056】
実施例6
本実施例では、加熱モードとして加圧ローラのトナー汚れに対する弊害対策モードを具備させた。
【0057】
定着装置にまつわる弊害の一つとして、加圧ローラ7にトナーの塊が付着して大きくなり、それが記録材に転移してしまう現象がある。この原因の一つとして、トナー像を定着した際に定着フィルム1に付着したトナーが考えられる。定着フィルム上のトナーは、立ち上げ温度制御で急激なヒータ通電を行って、ヒータと加圧ローラの温度を急に上げると、加圧ローラに移ってしまい、このようなことを何度も繰り返すと、加圧ローラにトナーの塊ができると考えられる。
【0058】
そこで、通常の定着を行う普通紙モード1、厚紙モード2の他に、厚紙モードの変形として、定着フィルム上のトナーを加圧ローラに転移させず、加圧ローラのトナー汚れを防ぐための、ヒータをゆっくりと立ち上げるモード3を設けた。
【0059】
図11において、加熱モード2とモード3の違いは立ち上げ温度制御だけである。モード2を選択していても、環境センサー23がある閾値以下の低温を検知すると、自動的にモード3に入るようになっている。これは、定着温度と立ち上げ時間が決まっている場合に、低温の状態から立ち上げるのと、室温程度から立ち上げるのとでは、温度差がある分、低温状態から立ち上げる方が急激な立ち上げになるからであり、これを防ぐために、ヒータの立ち上げをゆっくりにさせたモード3に移行させる。
【0060】
これまでの実施例中には、ヒータをゆっくりと立ち上げるために、加熱モードに複数段の立ち上げ温度を設けたものがあるが、本実施例では、立ち上げ時間を延長することにより、ヒータをゆっくり立ち上げるようにした。
【0061】
図11において、モード2が指定されていて、環境センサー23が室温以上の温度を検知した場合は、環境の温度によって変わらないモード1と同じ立ち上げ時間Taで定着温度T2まで立ち上げ、記録材を進入させる。
【0062】
一方、モード2が指定されていて、環境センサーが室温よりも低い温度を検知した場合はモード3に移行し、ヒータの通電開始により定着温度T2より低い立ち上げ温度T31に立ち上げ、その温度で時間Tb(Tb>Ta)までしばらく保持した後、時間Tcまでに定着温度T2に立ち上げて、記録材を進入させる。このように、定着温度T2よりも低い立ち上げ温度T31を設けて、この温度T31で保持することにより、定着温度T2までの立ち上げ時間を延長する。
【0063】
ただし、環境の温度検知でモード2からモード3に自動的に移行するのは、定着装置が検知した環境温度に近い温度の場合(コールドスタート)である。たとえば、前回のプリントが終了してから間もなく今回のプリントを開始するとき(間欠プリント時)は、前回のプリント時に発生した熱のために定着装置が温まっているので、モード2からモード3に移行することによる効果は少なくなる。
【0064】
本実施例では、以上のように、加熱モードによっては、定着温度より低い立ち上げ温度を設定して、立ち上げ時間を延長するようにしたので、定着温度への急激な立ち上げを防いで、加圧ローラのトナー汚れを防ぐことができる。
【0065】
以上では、モード2に対し、モード3では立ち上げ方を2段階としたが、図12に示すように、モード2でも、定着温度T2より低い立ち上げ温度T31に時間Tdで立ち上げ、その後、時間Taまでに定着温度T2に立ち上げるように、2段階の立ち上げとすることができる。このように2段階で定着温度に立ち上げるようにすれば、温度制御のプログラムが組みやすくなる利点がある。
【0066】
以上では、定着装置はフィルム加熱方式としたが、ヒータを内蔵した定着ローラに弾性ローラ製の加圧ローラを圧接して定着ニップ部を形成した、加熱ローラ方式の定着装置であってもよく、本発明を同様に適用して同様な効果を得ることができる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、定着装置の定着温度への立ち上げ制御を行う加熱モードを、記録材の紙種や環境に応じたきめ細かいものとしたので、オフセット、加圧ローラ汚れ等の弊害を防止でき、紙種と環境とに拘わらず良好な定着を行って、高品質の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施例を示す概略断面図である。
【図2】図1の画像形成装置に搭載した定着装置を示す概略断面図である。
【図3】図2の定着装置のヒータ基板に設けられたサーミスタの温度検出回路を示す図である。
【図4】図2の定着装置の制御手段における温調制御の概略を示すフローチャートである。
【図5】実施例1の定着装置の加熱モードを示す説明図である。
【図6】図5の加熱モードの変形例を示す説明図である。
【図7】実施例2の定着装置の加熱モードを示す説明図である。
【図8】実施例3の定着装置の加熱モードを示す説明図である。
【図9】実施例4の定着装置の加熱モードを示す説明図である。
【図10】実施例5の定着装置の加熱モードを示す説明図である。
【図11】実施例6の定着装置の加熱モードを示す説明図である。
【図12】図11の加熱モードの変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 定着フィルム
2 ステー
3 サーミスタ
4 基板
5 抵抗発熱体
6 ヒータ
7 加圧ローラ
10 定着装置
P 記録材
Claims (4)
- 加熱体を有する定着部材と、前記加熱体の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の検知結果に基づき前記加熱体への通電を調整して、前記加熱体を定着温度に制御する制御手段と、前記加熱部材と圧接して定着ニップ部を形成する加圧部材とを備え、前記定着ニップ部にトナー像が形成された記録材を進入させることにより、前記加熱体の熱量を前記記録材に付与して、前記トナー像を前記記録材に加熱定着する定着装置において、
前記加熱体への通電開始から前記定着ニップ部に前記記録材が進入するまでの前記加熱体の定着温度への立ち上げ方法が異なる複数の加熱モードを備え、
前記複数の加熱モードのうちの少なくとも2つは、定着温度の異なる2種類の記録材に対する加熱モードであり、
定着温度が低い方の記録材に対して通電開始からその定着温度T1までの立ち上げを1段で行うモード1と、
定着温度が高い方の記録材に対して通電開始からその定着温度T2までの立ち上げを複数段で行うモード2であることを特徴とする定着装置。 - 加熱体を有する定着部材と、前記加熱体の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の検知結果に基づき前記加熱体への通電を調整して、前記加熱体を定着温度に制御する制御手段と、前記加熱部材と圧接して定着ニップ部を形成する加圧部材とを備え、前記定着ニップ部にトナー像が形成された記録材を進入させることにより、前記加熱体の熱量を前記記録材に付与して、前記トナー像を前記記録材に加熱定着する定着装置において、
前記加熱体への通電開始から前記定着ニップ部に前記記録材が進入するまでの前記加熱体の定着温度への立ち上げ方法が異なる複数の加熱モードを備え、
前記複数の加熱モードは、定着温度の異なる2種類の記録材に対する2つの加熱モードと、更に、前記定着温度が異なる2種類の記録材に対する定着装置を備えた画像形成装置が置かれた環境の温度を考慮した加熱モードを含む少なくとも3つの加熱モードを備え、
その3つのモードのうちの定着温度が低い方の記録材に対するモード1は、前記環境の温度に関係なく、通電開始からその定着温度T1までの立ち上げを1段で行い、
定着温度が高い方の記録材に対するモード2は、前記環境の温度が高温または室温のとき、通電開始からその定着温度T2までの立ち上げを1段で行い、
定着温度が高い方の記録材に対するモード3は、前記環境の温度が低温のとき、通電開始からその定着温度T2よりも低い温度T31まで1段で立ち上げ、その温度T31で前記モード2のときの立ち上げ終了時間以上の時間まで保持した後、定着温度T2まで1段で立ち上げることを特徴とする定着装置。 - 前記定着部材が加熱体とその外側に配置された円筒状のフィルムとを備えてなり、前記加圧部材が前記加熱体の部分で前記フィルムに圧接した弾性ローラからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
- 請求項1〜3のいずれかの項に記載の定着装置を搭載した画像形成装置。
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