[第1の実施例]
(1)画像形成部
図2は本発明に従う画像形成装置の一例の構成略図である。この画像形成装置は、通紙されるシート(記録材)に未定着のトナー像を形成する画像形成手段と、トナー像をシートに固着画像として加熱定着する定着装置を有する。より具体的には、この画像形成装置は、電子写真プロセスを利用した、中間転写ドラムタイプのカラーレーザプリンタであり、ホスト装置300からコントローラ(制御手段:CPU)200へ入力する電気的な画像情報に対応した画像をシートに形成して出力する。ホスト装置300はパーソナルコンピュータ・画像読み取り装置(イメージスキャナ)等である。コントローラ200は、画像形成装置の動作を統括的に制御する制御回路部であり、プリントスタート信号に基づいて、画像形成動作のシーケンス制御を開始する。
101は有機感光体やアモルファスシリコン感光体でできた感光ドラム(像担持体)であり、矢示の反時計方向に所定のプロセス速度(周速度)で回転駆動される。感光ドラム101はその回転過程で帯電ローラ等の帯電装置102で所定の極性・電位の一様な帯電処理を受ける。その帯電処理面にレーザ光学箱(レーザスキャナー)110から出力されるレーザ光103により、画像情報の走査露光処理を受ける。レーザ光学箱110はコントローラ200の画像処理部から入力する画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光103を出力して感光ドラム101の面を走査露光する。この走査露光により感光ドラム101の面には走査露光した画像情報に対応した静電潜像が形成される。109はレーザ光学箱110からの出力レーザ光103を感光ドラム101の露光位置に偏向させるミラーである。
フルカラー画像形成の場合は、第1の色分解成分画像、例えばイエロー(Y)成分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、その潜像が4色カラー現像装置104のうちのY色現像器104Yの作動でY色トナー像として現像される。そのY色トナー像は感光ドラム101と中間転写ドラム105との接触部(或いは近接部)である1次転写部T1において中間転写ドラム105の面に一次転写される。中間転写ドラム105の面に対するトナー像転写後の感光ドラム面はクリーナ107により転写残トナー等の付着残留物の除去を受けて清掃される。
上記のような帯電・走査露光・現像・一次転写・清掃のプロセスサイクルが、フルカラー画像の第2、第3、第4の各色分解成分画像について順次に実行される。第2の色分解成分画像は、例えはマゼンタ(M)成分画像であり、M色現像器104Mが作動する。第3の色分解成分画像は、例えはシアン(C)成分画像であり、C色現像器104Cが作動する。第4の色分解成分画像は、例えは黒(BK)成分画像であり、BK色現像器104BKが作動する。これにより、中間転写ドラム105の面にY色トナー像・M色トナー像・C色トナー像・BK色トナー像の4色のトナー像が順次に重ねて一次転写される。これにより、中間転写ドラム105の面には未定着のカラートナー像が合成形成される。
中間転写ドラム105は、金属ドラム上に中抵抗の弾性層と高抵抗の表層を設けたもので、感光ドラム101に接触して或いは近接して感光ドラム101とほぼ同じ周速度で矢示の時計方向に回転駆動される。そして、中間転写ドラム105の金属ドラムにバイアス電位を与えて感光ドラム101との電位差で感光ドラム101側のトナー像を中間転写ドラム105側に静電的に転写させる。
中間転写ドラム105の面に合成形成されたカラートナー像は、中間転写ドラム105と転写ローラ106との接触ニップ部である二次転写部T2において、シートPの面に二次転写されていく。シートPは、給紙部(不図示)から給紙され、搬送ローラ対、トップセンサ(レジストセンサ)等を含むシートパス(不図示)を通って所定のタイミングで二次転写部T2に送り込まれる。
転写ローラ106はシートPの背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで中間転写ドラム105倒からシートP側へ、未定着のカラートナー像を順次に一括して二次転写する。
本実施例の画像形成装置において、上記の作像機構が、シートにトナー像を形成する画像形成手段である。
二次転写部T2を通過したシートPは中間転写ドラム105の面から分離されて定着装置(像加熱装置)100へ導入され、トナー像の加熱定着処理を受けて、画像形成物として機外の排紙トレー(不図示)に排出される。
シートPに対するカラートナー像の二次転写後の中間転写ドラム105はクリーナ108により転写残トナー・紙粉等の付着残留物の除去を受けて清掃される。このクリーナ108は常時は中間転写ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写ドラム105からシートPに対するカラートナー像の二次転写実行過程において中間転写ドラム105に接触状態に保持される。また、転写ローラ106も常時は中間転写ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写ドラム105からシートPに対するカラートナー像の二次転写実行過捏において中間転写ドラム105にシートPを介して接触状態に保持される。
本例の画像形成装置は、白黒画像などモノカラー画像のプリントモードも実行できる。また両面画像プリントモードも実行できる。両面画像プリントモードの場合は、定着装置100を出た1面目画像プリント済みのシートPは再循環搬送機構(不図示)を介して表裏反転されて再び二次転写部T2へ送り込まれて2面に対するトナー像の転写を受ける。そして、そのシートが、再度、定着装置100に導入されて2面に対するトナー像の定着処理を受けることで両面画像形成物が出力される。
本実施例の画像形成装置においては、シートPの通紙搬送基準は、シート幅中心の中央基準である。
201は画像形成装置の操作盤である。この操作盤201には各種の情報入力手段(各種の操作キー類)及び表示手段としての表示器(例えば液晶表示器)202が配設されている。各種の情報入力手段から入力した情報がコントローラ200で処理される。表示器202には、画像形成装置の動作状況などの各種情報が表示される。
本実施例の画像形成装置は、操作盤201に、シート情報入力手段としての操作部203を設けており、この操作部203により、ユーザが、通紙するシートPの坪量やサイズなどのシートに関する情報をコントローラ200に対して入力することができる。即ち、操作部203は、シートPの幅を設定するための設定手段(以下、シート幅設定手段と記す)を有する。コントローラ200は、入力されたシートの坪量やサイズに応じて、画像形成速度や二次転写の条件、定着条件の適正化を行う。
シート幅設定手段を有するシート情報入力手段は、上記の構成に限られるものではなく、ネットワークを介して画像形成装置と接続されるパーソナルコンピュータ300に表示する手段でも構わない。
(2)定着装置100
図3は本実施例における定着装置100を説明する図である。図3の(a)は定着装置100の横断面模型図である。この定着装置100は、ベルト状の加熱部材として円筒状ベルトを用いた、ベルト加熱方式、加圧部材駆動方式(テンションレスタイプ)のオンデマンド定着装置である。
10は第1の定着部材(熱定着手段)としてのベルトアセンブリ、30は第2の定着部材(加圧部材)としての弾性加圧ローラであり、両者の圧接により定着ニップ部Nを形成させている。
ベルトアセンブリ10は、横断面略半円弧状樋型の耐熱性・剛性を有するベルトガイド部材(ステイ:ベルト状定着部材の内面バックアップ部材)16を有する。また、このベルトガイド部材16の下面に、該部材16の長手に沿って設けた凹溝部に嵌め入れて固定して配設した、加熱手段(加熱体)としてのセラミックヒータ12を有する。また、該ヒータ12を取り付けたベルトガイド部材16にルーズに外嵌したエンドレスベルト状(円筒状)の耐熱性の定着ベルト11を有する。この定着ベルト11が、前記の画像形成手段によりシート上に形成されたトナー像をニップ部にて加熱する加熱部材である。また、ベルトガイド部材16内に挿入した加圧用剛性ステイ22を有する。また、大サイズシートの通紙領域、且つ、小サイズシートの非通紙領域に相当する位置に、定着ベルト11の非通紙領域の温度を検知する非通紙領域温度センサ5を配設している。ここで、本実施例の装置において、大サイズシートはA4横(297mm幅)である。小サイズシートは、A4横よりも幅の小さい、B4縦(257mm幅)、A4縦(210mm幅)等のシートである。
具体的には、上記センサ5を、通紙領域中央から幅方向に145mmの位置に設けている。本実施例では、センサ5としてサーミスタを用い、このセンサ5を定着ベルト11の外面に対して弾性支持部材5aの弾性により弾性的に接触させている。このように小サイズシートの非通紙領域に温度センサ5を固定して設ける構成のため、小サイズシートを連続通紙する際の非通紙領域の温度上昇を確実に検知することができる。
加圧ローラ30は、芯金30aに、シリコーンゴム等の弾性層30bを設けて硬度を下げたもので、表面性を向上させるために、さらに外周に、PTFE、PFA、FEP等のフッ素樹脂層30cを設けてもよい。加圧ローラ30は、芯金30aの両端部を装置シャーシー(不図示)の手前側と奥側の側板間に軸受部材を介して回転自由に軸受保持させて配設してある。
ベルトアセンブリ10は、加圧ローラ30の上側に、セラミックヒータ12側を下向きにして加圧ローラ30に並行に配置し、加圧用剛性ステイ22を付勢バネ(不図示)にて加圧ローラ30の軸線方向に押圧附勢する。これにより、セラミックヒータ12の下向き面を定着ベルト11を介して加圧ローラ30の弾性層に該弾性層の弾性に抗して圧接させ、加熱定着に必要な、シート搬送方向において所定幅のニップ部(定着ニップ部)Nを形成させている。
加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢示の反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動による加圧ローラ30と定着ベルト11の外面との定着ニップ部Nにおける摩擦力で定着ベルト11に回転力が作用する。そのために、定着ベルト11がその内面が定着ニップ部Nにおいてセラミックヒータ12の下面に密着して摺動しながら矢示の時計方向に加圧ローラ30の回転周速度にほぼ対応した周速度をもってベルトガイド部材16の外回りを回転状態になる。
定着ニップ部Nにおけるセラミックヒータ12の下面と定着ベルト11の内面との相互摺動摩擦力を低減化させるのがよい。そのために、定着ニップ部Nのセラミックヒータ12の下面に潤滑部材40(図3の(c))を配設し、定着ベルト11の内面との間に耐熱性グリスなどの潤滑剤を介在させる。
そして、プリントスタート信号に基づくコントローラ200のシーケンス制御により、加圧ローラ30の回転が開始され、セラミックヒータ12のヒートアップが開始される。セラミックヒータ12のヒートアップは、電源部210からセラミックヒータ12の通電発熱層12b(図3の(c))に給電されることで通電発熱層12bが発熱してセラミックヒータ12が迅速に昇温する。そして、コントローラ200は、ヒータ12に接触させて設けたサーミスタ等の温度センサ4で検知されて入力するヒータ温度(温度に関する電気的情報)が所定のほぼ一定温度(定着温度)に維持されるように、通電発熱層12bに対する通電を制御する。すなわち、セラミックヒータ12は所定の定着温度に加熱・温調される。
加圧ローラ30の回転による定着ベルト11の回転周速度が定常化し、セラミックヒータ12の温度が所定に立ち上がった状態において、定着装置100にシートPが導入される。即ち、定着ニップ部Nの定着ベルト11と加圧ローラ30との間に被加熱材としての、トナー像tを担持させたシートPがトナー像担持面側を定着ベルト11側にして導入される。シートPは、定着ニップ部Nにおいて、定着ベルト11を介してセラミックヒータ12の下面に密着して定着ニップ部Nを定着ベルト11と一緒に移動通過していく。その移動通過過程においてセ、ラミックヒータ12の熱が定着ベルト11を介してシートPに付与されてトナー像tがシートP面に加熱定着される。定着ニップ部Nを通過したシートPは定着ベルト11の面から分離されて搬送される。
即ち、定着ベルト11が、加熱体12を内包する無端状ベルトの加熱部材である。そして、互いに圧接して回転する一対の、加熱部材としての定着ベルト11と加圧部材としての加圧ローラ30の圧接ニップ(圧接領域)である定着ニップ部(定着領域)Nで、シートPが挟持搬送されてシート上に未定着トナー像tが加熱定着される。
次に、定着ベルト11について詳しく説明する。本実施例における定着ベルト11は、図3の(b)の層構成模式図のように、基層11a、弾性層11b、離型層11cから成る。
基層11aは、熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、ベルト膜厚は100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上にする。材料としては、耐熱性のポリイミド、ポリイミドアミド、PEEK、PES、PPS、PTFE、PFA、FEP等を使用できる。本例では、直径25mmの円筒状ポリイミドベルトを用いた。
弾性層11bは、ゴム硬度10度(JIS−A)、熱伝導率4.18605×10−1W/m・℃(1×10−3[cal/cm.sec.deg])、厚さ200μmのシリコーンゴムを用いた。
離型層11cは、厚さ20μmのPFAコート層を用いた。PFAチューブを用いても良い。PFAコートは、厚さが薄く出来、材質的にもPFAチューブに比較してトナーをつつみ込む効果がより大きい点が優れている。一方、機械的及び電気的強度はPFAチューブがPFAコートよりも優っているので、場合により使い分けることが出来る。
次に、加熱体12について詳しく説明する。本実施例における加熱体としてのセラミックヒータ12は、ヒータ基板として窒化アルミニウム等を用いた、裏面加熱タイプのものであり、定着ベルト11・シートPの移動方向に直交する方向を長手とする低熱容量の横長の線状加熱体である。図3の(c)はその横断面模式図であり、このセラミックヒータ12は、窒化アルミニウム等でできたヒータ基板12aを有する。また、このヒータ基板12aの裏面側(定着ベルト対向面側とは反対面側)にその長手に沿って設けた、例えばAg/Pd(銀/パラジウム)等の電気抵抗材料を約10μm、幅1〜5mmにスクリーン印刷等により塗工して設けた通電発熱層12bを有する。また、更にその上に設けたガラスやフッ素樹脂等の保護層12cを有する。即ち、セラミックヒータ12は、上記のヒータ基板12a、通電発熱層12b、保護層12cを基本構成とするものである。
本実施例においては、ヒータ基板12aの表面側(定着ベルト対向面側)に摺動部材40を設けている。このセラミックヒータ12の通電発熱層12bの両端間に通電されることで通電発熱層12bは発熱してヒータ12が急速に昇温する。そのヒータ温度がヒータ保護層12cの外面に接触させて配設したヒータ温調用の温度センサ4に検知されて、その検知温度に関する電気的な情報がコントローラ200に入力する。コントローラ200は、入力する検知温度情報に基づいて、ヒータ温度が所定の温度に維持されるように、電源部210から通電発熱層12bに対する通電を制御して、ヒータ12を温調する。上記のセラミックヒータ12は、摺動部材40を設けたヒータ基板表面側を下向きに露呈させてベルトガイド16の下面の略中央部にガイド長手に沿って形成具備させた溝部に嵌入して固定支持させてある。定着ニップ部Nではこのセラミックヒータ12の摺動部材40の面と定着ベルト11の内面が相互接触摺動する。
また、温度制御方式として比例制御方式を用いており、ヒータ温度の設定値(本実施例では220℃)と、温度センサ4で測定された温度の偏差に比例した電力をヒータ12に印加する方式である。
(3)非通紙領域の冷却構成
定着装置100は、定着ベルト11のシートが通紙されない非通紙領域を冷却風により冷却する冷却装置(加熱部材を送風により冷却する冷却手段)を有する。また、この冷却装置による冷却領域をシートの設定幅に応じて変更すべく移動可能に設けられたシャッタを有する。即ち、定着装置100には、上記の冷却装置と、操作部203のシート幅設定手段で設定されたシートの設定幅に応じて、冷却領域を可変とするシャッタとを備える冷却幅調節装置を配設してある。
先ず、冷却装置の構成について、図9及び図10を用いて詳しく説明する。図9は、定着ベルト11と、冷却装置の送風ファン48及び冷却用ダクト41の状態を説明する図である。定着ベルト11の上部には定着ベルト11の非通紙領域を冷却するための送風ファン48が設けられており、送風ファン48には冷却用ダクト41が接続されている。即ち、冷却装置は、定着ベルト11に対向して送風口を形成する冷却用ダクト41と、この冷却用ダクト41に冷却風を送風する送風ファン48を有する。送風ファン48は、シロッコファン等の遠心ファンを使用することが可能である。
図10は、冷却幅調節装置を説明する図である。冷却用ダクト41の定着ベルトに対する送風口の近傍には、パルスモータ(不図示)と駆動ギア(不図示)により自在に開閉可能なシャッタ43が配設される。シャッタ43は、シート幅設定手段で設定されたシートの設定幅に応じて、冷却領域を可変とする部材である。
シャッタ43の上部には、シャッタ43の位置検知用段差44を検出するセンサ45が設けられている。これにより、位置検知用段差44がセンサ45を通過した後の前記パルスモータに印加する電気パルス数によりシャッタ43の位置を精度良く自在に定めることができる。ここで、位置検知用段差44がセンサ45を遮る場合が送風経路が閉の状態であり、通常、シャッタ43は閉状態にある。
次に、非通紙領域の冷却動作について、図4、図7、図8を用いて詳しく説明する。
図4は、コントローラ200が実行する、小サイズシート通紙時の定着ベルト11の非通紙領域を冷却する動作手順を示すフローチャートである。図8の(a)は、このときの定着ベルト11の温度推移を示す図である。図4中に於いて、非通紙領域温度センサ、過昇温検知センサ、温度低下検知センサの検知温度を夫々Ts1、Ts2、Ts3と表記する。図7は、図8の(a)の所定タイミングに於ける定着ベルト11の温度分布を示す図である。
ここで、非通紙領域温度センサは、前記したように、加熱部材である定着ベルト11の非通紙領域の温度を検知する非通紙領域温度検知手段5である。過昇温検知センサは、後述するように、シャッタ43に具備されていて、定着ベルト11の冷却領域の長手方向内側端部より内側の定着ベルト11の温度を検知する過昇温検知手段46である。また、温度低下検知センサは、後述するように、シャッタ43に具備されていて、定着ベルト冷却領域の長手方向内側端部より外側の定着ベルト11の温度を検知する温度低下検知手段47である。即ち、非通紙領域温度検知手段5が、シャッタ43とともに移動可能に設けられ、加熱部材である定着ベルト11の温度を検知する温度検知手段である。また、過昇温検知手段46が、シャッタ43とともに移動可能に設けられ、定着ベルト11の前記冷却領域とよりも幅方向内側の非冷却領域の温度を検知する温度検知手段である。
更に、図8の(a)の測定点A、B及びCは、図8の(b)に示す通りで、点Aが通紙領域中央近傍、点Bが通紙領域端部、点Cが非通紙領域温度センサ5の取り付け位置である。
本実施例の定着装置100及びトナーでは、定着ベルト11の温度が160℃以上で定着性能を確保することができ、更に、定着ベルト11の温度が190℃以下でホットオフセットを防止することができる。つまり、通紙領域全域に於いて、定着ベルト11の温度を160℃から190℃の範囲、望ましくは170℃から180℃の範囲に維持する必要がある。
図4、図8を参照して、画像形成装置の画像形成スタート(1)とほぼ同時にセラミックヒータ12の通電発熱層12bへの通電が始まり、通電発熱層12bが発熱して、定着ベルト11及び加圧ローラ30が加熱される。この時、ユーザが、シート幅設定手段で設定したシートサイズが小サイズの場合(2)、設定されたシートサイズ(設定幅)に対応する位置に、冷却幅調節装置のシャッタ43が移動制御される(3)。
セラミックヒータ12への通電開始(t0)から約10秒後(t1)に未定着トナー像を担持したA4縦紙の通紙が開始される(4、t1)。この時の定着ベルト11の温度分布は図7の(i)の通りで、定着ベルト11の温度は全域において175℃程度である。
連続通紙中においては、定着ベルト11の非通紙領域の温度は上昇し、非通紙領域の熱の回りこみにより通紙領域の端部の温度は180℃程度まで上昇する。そして、非通紙領域温度センサ5の検知温度Tc1が所定の基準値以上の温度、本実施例では210℃以上の温度になると(7、t2)、送風ファン48をオンして送風冷却を行う(8)。この時の定着ベルト11の温度分布は図7の(ii)の通りである。そして、この送風冷却により、非通紙領域温度センサ5の検知温度Tc1が上記の所定の基準値よりも低い温度、即ち本実施例では210℃未満まで下がると(7)、送風ファン48をオフする(9)。
以後、連続通紙の最終のシートの通紙が終了するまで、この送風ファン48のオフ/オンを繰り返えす。
即ち、コントローラ200は、定着ベルト11の非通紙領域の温度を検知する非通紙領域温度センサ5の検知温度によって、前記冷却装置のオン/オフ制御を行う。これにより、5℃程度の温度リップルが生じるものの、通紙領域の端部の定着ベルト11の温度を175℃から185℃の範囲に維持することができる。つまり、上記の通紙中に於いて、通紙領域の定着ベルト11の温度が常に170℃から185℃に維持されるので、定着性能を確保しつつ、ホットオフセットが生じることは無い。
以下に、本実施例の特徴的な部分であるユーザが、シートサイズを誤設定したことを検知するための構成及び動作に関して説明する。即ち、小サイズシートの連続画像形成時に送風冷却により非通紙部を冷却する定着装置において、ユーザがシートサイズを誤設定した場合でも、ホットオフセット、定着装置破損、定着不良を防止する構成及び動作である。
図1の(a)はシャッタ43の定着ベルト対向面側の図、(b)はシャッタ43の側面図である。
シャッタ43の定着ベルト対向面側には、冷却幅を規定するエッジ43(a)より内側の定着ベルト11の温度を検知する過昇温検知センサ(定着ベルト冷却領域の長手方向内側端部より内側の定着ベルト温度を検知する過昇温検知手段)46が設けられている。また、シャッタ43の定着ベルト対向面側には、エッジ43(a)より外側の定着ベルト11の温度を検知する温度低下検知センサ(定着ベルト冷却領域の長手方向内側端部より外側の定着ベルト温度を検知する温度低下検知手段)47が設けられている。この両センサ46・47はシャッタ43と共に移動可能である。
上記のシャッタ構成により、2個の温度検知センサ46・47で、定着ベルト11の、あらゆるシートサイズにおける非通紙領域(冷却領域)と通紙領域(非冷却領域)の温度検知が可能である。
過昇温検知センサ46及び温度低下検知センサ47の具体的な取り付け位置は、ユーザがシートサイズを誤設定したことが検知可能な位置であれば良い。本実施例では、過昇温検知センサ46をエッジ43(a)から5mm内側、温度低下検知センサ47をエッジ43(a)から5mm外側に取り付けている。更に、本実施例では、過昇温検知センサ46及び温度低下検知センサ47として、定着ベルト11の温度を非接触で検知できる赤外センサを用いている。
図4及び図5を用いて、先ず、ユーザが通紙するシートサイズよりも大きなシートサイズを誤設定した場合の画像形成装置の動作に関して、一例として、通紙サイズがA4縦サイズの場合に、B4サイズに誤設定した場合で説明する。
図4は上述の通り、小サイズシートの非通紙領域を冷却する際のフローチャートである。図5の(a)は、定着ベルト11の温度推移を示す図であり、(b)は(a)の所定タイミングに於ける定着ベルト11の温度分布を示す図である。尚、図5の(a)の測定点A、B及びCは、図13の(a)に示す通りである。即ち、点AがB4サイズの非通紙領域である非通紙領域温度センサ5の取り付け位置、点BがA4縦サイズの通紙領域端部、点CがA4縦サイズの非通紙領域、且つ、B4サイズの非冷却領域である過昇温検知センサ46の取り付け位置である。
図4、図5を参照して、画像形成装置の画像形成スタート(1)とほぼ同時にセラミックヒータ12の通電発熱層12bへの通電が始まる。この時、ユーザが、シート幅設定手段で設定したシートサイズ(設定幅)が小サイズの場合(2)、設定されたサイズであるB4サイズに対応する位置に、冷却幅調節装置のシャッタ43が移動制御される(3)。
セラミックヒータ12への通電開始(t0)から約10秒後(t1)に未定着トナー像を担持したA4縦紙の通紙が開始される(4、t1)。この時の定着ベルト11の温度分布は図5の(b)の(i)の通りであり、定着ベルト11の温度は全域において175℃程度であり、連続通紙によりA4縦サイズの非通紙領域の温度は上昇する。
この場合、過昇温検知センサ46でA4縦サイズからB4サイズ間の温度上昇を検知することができる。過昇温検知センサ46の検知温度Ts2が、所定の過昇温基準値以上、本実施例では185℃以上となると(5、t2)、コントローラ200は、ユーザがシートサイズを誤設定したと判断し、画像形成動作を停止する(10)。この時の定着ベルト11の温度分布は図5の(b)の(ii)の通りである。
更に、コントローラ200は、画像形成装置の操作盤201の表示器202(図2)に『用紙設定サイズを確認してください』の警告を表示し、適正なサイズへの設定変更を促した後(11)、画像形成動作を終了する(12)。即ち、表示器202が、設定幅が誤りである旨を報知する報知手段である。
つまり、本実施例の画像形成装置は、ユーザが通紙サイズを大きく誤設定した場合において、通紙端部の温度が190℃を超える前に誤設定を検知することができるので、ホットオフセットが発生して画像品位が損なわれることが無い。
次に、図4及び図6を用いて、ユーザが通紙サイズよりも小さなシートサイズを誤設定した場合の画像形成装置の動作に関して、一例として、通紙サイズがB4サイズの場合に、A4縦サイズに誤設定した場合で説明する。
図4は上述の通り、小サイズシートの非通紙領域を冷却する際のフローチャートである。図6の(a)は定着ベルト11の温度推移を示す図であり、(b)は(a)の所定タイミングに於ける定着ベルト11の温度分布を示す図である。尚、図6の(a)の測定点A、B及びCは図13の(b)に示す通りである。即ち、点AがB4サイズの非通紙領域である非通紙領域温度センサ5の取り付け位置、点BがB4サイズの通紙領域端部、点CがB4サイズの通紙領域、且つ、A4縦サイズの冷却領域である温度低下検知センサ47の取り付け位置である。
図4、図6を参照して、画像形成装置の画像形成スタート(1)とほぼ同時にセラミックヒータ12の通電発熱層12bへの通電が始まる。この時、ユーザが、シート幅設定手段で設定したシートサイズ(設定幅)が小サイズの場合(2)、設定されたサイズであるA4縦サイズに対応する位置に、冷却幅調節装置のシャッタ43が移動制御される(3)。
セラミックヒータ12への通電開始(t0)から約10秒後(t1)に未定着トナー像を担持したA4縦紙の通紙が開始される(4、t1)。この時の定着ベルト11の温度分布は図6の(b)の(i)の通りで、定着ベルト11の温度は全域において175℃程度である。
連続通紙中は、B4サイズの非通紙領域の温度は上昇する。非通紙領域温度センサ5の検知温度Ts1が所定の基準値以上の温度、本実施例では210℃以上になると(7、t2)、送風ファン48をオンして送風冷却を行う(8)。この時の定着ベルト11の温度分布は図6の(b)の(ii)の通りである。非通紙領域温度センサ5の検知温度が210℃未満まで下がると(7)、送風ファン48をオフする(9)。
更に、連続通紙されると、A4縦サイズの非通紙領域、且つ、B4サイズの通紙領域はシートによる除熱と送風冷却により、温度低下が発生する。この温度低下は、温度低下検知センサ47で検知することができる。この温度低下検知センサ47の検知温度Tc3が、所定の低温基準値以下の温度、本実施例では165℃以下となると(6、t3)、コントローラ200は、ユーザがシートサイズを誤設定したと判断し、画像形成動作を停止する(10)。この時の定着ベルト11の温度分布は図6の(b)の(iii)の通りである。
更に、コントローラ200は、画像形成装置の操作盤201の表示器202(報知手段)に『用紙設定サイズを確認してください』の警告を表示し、適正なサイズへの設定変更を促した後(11)、画像形成動作を終了する(12)。
つまり、本実施例の画像形成装置は、ユーザが通紙サイズを小さく誤設定した場合において、通紙端部の温度が160℃を下回る前に誤設定を検知することができるので、定着性能を確保することができる。
上記のように、冷却領域の内側及び外側の定着ベルト温度を測定する過昇温検知センサ46及び温度低下検知センサ47をシャッタ43に取り付ける構成により、シャッタ開口幅(ユーザ設定シートサイズ)と通紙しているシートサイズのミスマッチを検出する。具体的には、上記のように、1)設定サイズが大きく設定された場合は、内側の過昇温検知センサ46で過昇温を検知する(図17の(a))、2)設定サイズが小さく設定された場合は、外側の温度低下検知センサ47で温度低下を検知する(図17の(b))。上記誤設定を検知した場合には、画像形成動作を停止する。そして、誤設定である旨を表示手段(報知手段)に表示する。
即ち、小サイズシートを連続通紙する際に、非通紙領域の定着ベルト温度が通紙領域よりも大幅に高くなることを防止するため、ユーザが設定したシートサイズに応じてシャッタで冷却領域を定める。そして、小サイズシートの非通紙領域に固定配置した非通紙領域温度検知手段5の検知により冷却装置のオフ/オン制御を行う。これにより、非通紙領域の定着ベルト11の温度上昇を防止する画像形成装置が構成される。そして、冷却領域内側端部の内側及び外側の夫々に定着ベルト11の温度を検知する、過昇温温度検知手段46と温度低下検知手段47を設けることで、ユーザがシートサイズを誤設定した場合に発生する過昇温及び温度低下を検知することが可能となる。
ユーザがシートサイズを誤設定したことを検知すると、即ち、過昇温検知手段46が所定の過昇温基準値以上の温度、若しくは、温度低下検知手段47が所定の低温値以下の温度を検知すると、画像形成動作を停止する。これにより、定着性能を確保しつつホットオフセットを防止することが可能となる。
上記の過昇温検知手段46と温度低下検知手段47シャッタ43に備えることにより、2個の温度検知手段のみでユーザが設定可能な全てのシートサイズに対する誤設定を検知することが可能となる。
更に、操作盤201の表示器202に具備させた報知手段で、ユーザがシ−ト幅設定手段で設定したシートの設定幅が誤りである旨を報知することで、速やかにユーザにシートサイズの誤設定を認識させることが可能となる。
つまり、第1の実施例に係る画像形成装置は、定着装置が低熱容量の加熱部材を用いる定着ベルト方式の定着装置であっても、次のような効果がある。即ち、小サイズシートの連続通紙中に発生する非通紙領域の過昇温を防止する冷却装置を有しつつ、ユーザが誤って通紙サイズを設定した場合に於いても定着性を確保しつつホットオフセットを防止することが可能となる。
[第2の実施例]
本実施例の画像形成装置は、ユーザがシートサイズを誤設定したことを検知した場合に、過昇温検知センサ46若しくは温度低下検知センサ47の検知温度に基づいて、シャッタ位置を通紙サイズに対して適切な位置となる様に移動する。そして、通紙サイズの非画像領域のみを冷却するように制御する構成とする。これにより、画像形成動作を停止すること無く、連続通紙の最終シートまで画像形成を終了するものである。
即ち、本実施例においては、コントローラ200は、センサ46若しくはセンサ47の出力に応じてシャッタ43を移動させることで、加熱部材である定着ベルト11の冷却領域を補正する補正手段を有している。以下、これについて説明する。
ユーザがシートサイズを誤設定したことを検知した後の装置動作以外の画像形成装置及び定着装置等の構成は第1の実施例と同様である。
先ず、図14及び図15を用いて、ユーザが通紙サイズよりも大きなシートサイズを誤設定した場合の画像形成装置の動作に関して、一例として、通紙サイズがA4縦サイズの場合に、B4サイズに誤設定した場合で説明する。
図14は、本実施例の画像形成装置において、小サイズシートの非通紙領域を冷却する際のフローチャートである。図15の(a)は定着ベルト11の温度推移を示す図であり、(b)は(a)の所定タイミングに於ける定着ベルト11の温度分布を示す図である。尚、図15の(a)の測定点A、B及びCは、寸述した図13の(a)に示した通りである。
画像形成装置の画像形成スタート(1)とほぼ同時にセラミックヒータ12の通電発熱層12bへの通電が始まる。この時、ユーザが、シート幅設定手段で設定したシートサイズ(設定幅)が小サイズの場合(2)、設定されたサイズであるB4サイズに対応する位置に、冷却幅調節装置のシャッタ43が移動制御される(3)。
セラミックヒータ12への通電開始(t0)から約10秒後(t1)に未定着トナー像を担持したA4縦紙の通紙が開始される(4、t1)。この時の定着ベルト11の温度分布は図15の(b)の(i)の通りで、定着ベルト11の温度は全域において175℃程度であり、連続通紙によりA4縦サイズの非通紙領域の温度は上昇する。
この場合、過昇温検知センサ46でA4縦サイズからB4サイズ間の温度上昇を検知することができる。そして、過昇温検知センサ46の検知温度Tc2が所定の過昇温基準値以上の温度、本実施例では185℃以上を検知すると(5、t2)、コントローラ200は、ユーザがシートサイズを誤設定したと判断する。この時の定着ベルト11の温度分布は図15の(b)の(ii)の通りである。
その後、コントローラ200は、画像形成動作及び通紙動作を停止すること無く、過昇温検知センサ46の検知温度Tc2が所定の過昇温基準値よりも低い温度、本実施例では180℃未満の温度となるまで、シャッタ43を内側に移動させる。
即ち、センサ46の検知温度Tc2が上限設定温度に上昇したことが検知されたとき、前記補正手段は、加熱部材である定着ベルト11の冷却領域を広げる方向に冷却幅調節装置のシャッタ43を移動させる(10、11、12)。このシャッタ43の移動幅は5mmであり、移動完了してから200msec後に定着ベルト11の温度を測定する。この時の定着ベルト11の温度分布は図15の(b)の(ii)の通りである。即ち、この冷却領域を補正するためのシャッタ43の移動を段階的(5mmずつ)に繰り返して実行可能な構成としている。また、センサ46により、定着ベルト11の非冷却領域の温度が上限設定温度に上昇したことが検知されたとき、コントローラ200は、設定幅が誤りである旨を報知手段に報知する。
その後、連続通紙中において、定着ベルト11の非通紙領域の温度は上昇し、非通紙領域の熱の回りこみにより通紙端部の温度は180℃程度まで上昇する。非通紙領域温度センサ5の検知温度Tc1が所定の基準値以上の温度、本実施例では210℃以上になると(7、t3)、送風ファン48をオンして送風冷却を行う(8)。この時の定着ベルト11の温度分布は図15の(b)の(iii)の通りである。非通紙領域温度センサ5の検知温度が210℃未満まで下がると(7)、送風ファン48をオフする(9)。
以後、コントローラ200は、連続通紙の最終のシートの通紙が終了するまで、この送風ファン48のオフ/オン制御を繰り返す。この制御により、5℃程度の温度リップルが生じるものの、通紙領域端部の定着ベルト11の温度を175℃から185℃の範囲に維持される。つまり、連続通紙中に於いて、通紙領域の定着ベルト11の温度が常に170℃から185℃に維持されるので、定着性能を確保しつつ、ホットオフセットが生じることは無い。
つまり、本実施例の画像形成装置は、ユーザが通紙サイズを大きく誤設定した場合において、通紙領域端部の温度が190℃を超える前に誤設定を検知することができる。これにより、過昇温検知センサ46の検知温度Tc2に従って、冷却幅調節装置のシャッタ43を適正な位置に移動させることで、通紙領域端部の温度が190℃超えることが無いので、ホットオフセットが発生し画像品位が損なわれることが無い。
次に、図14及び図16を用いて、ユーザが通紙サイズよりも小さなシートサイズを誤設定した場合の画像形成装置の動作に関して、一例として、通紙サイズがB4サイズの場合に、A4縦サイズに誤設定した場合で説明する。
図14は、小サイズシートの非通紙領域を冷却する際のフローチャートである。図16の(a)は定着ベルト11の温度推移を示す図であり、(b)は(a)の所定タイミングに於ける定着ベルト11の温度分布を示す図である。尚、図16の(a)の測定点A、B及びCは図13の(b)に示す通りである。即ち、点AがB4サイズの非通紙領域である非通紙領域温度センサ5の取り付け位置、点BがB4サイズの通紙領域端部、点CがB4サイズの通紙領域、且つ、A4縦サイズの冷却領域である温度低下検知センサ47の取り付け位置である。
図14と図16を参照して、画像形成装置の画像形成スタート(1)とほぼ同時にセラミックヒータ12の発熱層12bへの通電が始まる。この時、ユーザが、シート幅設定手段で設定したシートサイズ(設定幅)が小サイズの場合(2)、設定されたサイズであるA4縦サイズに対応する位置に、冷却幅調節装置のシャッタ43が移動制御される(3)。通電開始(t0)から約10秒後(t1)に未定着トナー像を担持したA4縦紙の通紙が開始される(4、t1)。この時の定着ベルト11の温度分布は図6の(b)の(i)の通りで、定着ベルト11の温度は全域において175℃程度である。連続通紙中は、B4サイズの非通紙領域の温度は上昇する。非通紙領域温度センサ5の検知温度Tc1が所定の基準値以上の温度、本実施例では210℃以上を検知すると(7、t2)、送風ファン48をオンして送風冷却を行う(8)。この時の定着ベルト11の温度分布は図6の(b)の(ii)の通りである。非通紙領域温度センサ5の検知温度Tc1が210℃未満まで下がると(7)送風ファン48をオフする(9)。
更に、連続通紙されると、A4縦サイズの非通紙領域、且つ、B4サイズの通紙領域はシートによる除熱と送風冷却により、温度低下が発生する。温度低下検知センサ47でこの温度低下を検知することができる。温度低下検知センサ47の検知温度Tc3が所定の低温基準値以下の温度、本実施例では165℃以下となると(6、t3)、コントローラ200は、ユーザがシートサイズを誤設定したと判断する。この時の定着ベルト11の温度分布は図16の(b)の(iii)の通りである。
その後、コントローラ200は、画像形成動作及び通紙動作を停止すること無く、温度低下検知センサ47の検知温度Tc3が所定の低温基準値よりも高い温度、本実施例では205℃以上の温度となるまで、シャッタ43を外側に移動させる。即ち、センサ47の検知温度Tc3が下限設定温度に下降したことが検知されたとき、前記補正手段は、加熱部材である定着ベルト11の冷却領域が狭まる方向に移動させる(13、14、15)。このシャッタ43の移動幅は5mmであり、移動完了してから200msec後に定着ベルト11の温度を測定する。この制御のもとで、通紙及び冷却動作を最終のシートの画像形成終了まで行う(16)。この時、冷却領域はB4サイズに対してほぼ適正な位置となり、時間t4の時の定着ベルト11の温度分布は図16の(b)の(iv)の通りである。そのため、通紙領域端部の温度低下は抑えられる。即ち、この冷却領域を補正するためのシャッタ43の移動を段階的(5mmずつ)に繰り返して実行可能な構成としている。また、センサ47により、定着ベルト11の冷却領域の温度が下限設定温度に降下したことが検知されたとき、コントローラ200は、設定幅が誤りである旨を報知手段に報知する。
つまり、本実施例の画像形成装置は、ユーザが通紙サイズを小さく誤設定した場合において、通紙領域端部の温度が160℃を超える前に誤設定を検知することができる。そして、温度低下検知センサ47の検知温度に従って、冷却幅調節装置のシャッタ43の位置を適正な位置に移動させることで、通紙領域端部の温度が160℃超えることが無いので、定着性能を確保することが可能となる。
上記のように、冷却領域の内側及び外側の定着ベルト温度を測定する過昇温検知センサ46及び温度低下検知センサ47をシャッタ43に取り付ける構成により、シャッタ開口幅(ユーザ設定シートサイズ)と通紙しているシートサイズのミスマッチを検出する。具体的には、上記のように、1)設定サイズが大きく設定された場合は、内側の過昇温検知センサ46で過昇温を検知する(図17の(a))、2)設定サイズが小さく設定された場合は、外側の温度低下検知センサ47で温度低下を検知する(図17の(b))。上記誤設定を検知した場合には、過昇温検知センサ46又は温度低下検知センサ47の検知温度に応じて、シャッタ43の位置を自動的に変えて、通紙を続行する。
即ち、小サイズシートを連続通紙する際に、非通紙領域の定着ベルト温度が通紙領域よりも大幅に高くなることを防止するため、ユーザが設定したシートサイズに応じてシャッタで冷却領域を定める。そして、小サイズシートの非通紙領域に固定配置した非通紙領域温度検知手段5の検知温度により冷却装置のオフ/オン制御を行う。これにより、非通紙領域の定着ベルト11の温度上昇を防止する画像形成装置が構成される。そして、冷却領域内側端部の内側及び外側の夫々に定着ベルト11の温度を検知する、過昇温温度検知手段46と温度低下検知手段47を設けることで、ユーザがシートサイズを誤設定した場合に発生する過昇温及び温度低下を検知することが可能となる。
また、過昇温検知手段46が所定の過昇温基準値以上の温度を検知すると、過昇温検知手段の検知温度が前記の所定の過昇温基準値よりも低い温度となるまで、シャッタ43を冷却領域が広がる方向に移動する。また、温度低下検知手段47が所定の低温基準値以下の温度を検知すると、温度低下検知手段の検知温度が前記の所定の低温基準値よりも高い温度となるまで、シャッタ43を冷却領域が狭まる方向に移動する。即ち、ユーザがシートサイズを誤設定したことを検知すると、過昇温検知手段46若しくは温度低下検知手段47の検知温度が所定温度となるまで、シャッタ43を移動させ、通紙中のシートサイズに適した冷却領域にする。これにより、画像形成装置を停止すること無く、定着性能を確保しつつオフセットを防止することが可能となる。
更に、上記温度検知手段46・47をシャッタに備えることにより、2個の温度検知手段のみでユーザが設定可能な全てのシートサイズに対する誤設定を検知することが可能となる。
つまり、第2の実施例に係る画像形成装置は、定着装置が低熱容量の加熱部材を用いる定着ベルト方式の定着装置であっても、次のような効果がある。即ち、小サイズシートの連続通紙中に発生する非通紙領域の過昇温を防止する冷却装置を有しつつ、ユーザが誤って通紙サイズを設定した場合に於いても定着性を確保しつつホットオフセットを防止することが可能となる。
以上、2つの実施例によって本発明の画像形成装置を説明したが、上記にあげた構成に限られるものではなく、本発明の提案に従って様々な構成を採用することが可能である。
即ち、第1と第2の実施例は本発明を限定するものでは無く、定着ベルト、加熱体、シートサイズ等は一例に過ぎない。更に、各種設定温度は定着装置や使用するトナーの特性などにより適宜決定すれば良く、実施例に限定されるものでは無い。加えて、実施例では冷却装置により定着ベルトの冷却を行っているが、冷却方法はこれに限定されるものでは無く、加圧部材若しくは定着部材と加圧部材の両方を冷却する構成でも良い。
また、実施例では、シャッタ43をステッピングモータで駆動する構成であるので、シャッタ停止位置はA4縦サイズ、B4サイズA4横サイズなどの定型サイズに限定されず、ユーザが作成した任意のサイズ紙に対しても対応可能である。
更に、本実施例の定着装置では加圧部材としてローラ部材を用いているが、更に熱容量を低減し、省電力を達成することが可能な加圧部材としてベルト部材を用いる定着装置においても、同様の効果が発揮されることは言うまでも無い。また、加熱部材は、ハロゲンヒータ等の内部熱源又は外部熱源で加熱される、或いは電磁誘導加熱される熱ローラとすることもできる。
また、シートの通紙基準がいわゆる片側通紙基準の画像形成装置にも本発明を適用することができることは勿論である。
通紙されるシートに未定着トナー像を形成する画像形成手段は、実施例の転写方式の電子写真プロセスに限られず、直接方式の電子写真プロセスであってもよい。また、転写方式又は直接方式の静電記録プロセスや、磁気記録プロセスなど、他のトナー像形成プロセスであってもよい。
4.ヒータ温調用の温度センサ、5.非通紙領域温度センサ、11.定着ベルト、12.セラミックヒータ、16.ベルトガイド部材、22.加圧用剛性ステイ、30.加圧ローラ、48.送風ファン、41.非通紙域送風用ダクト、43.シャッタ、44.位置検知用段差、45.センサ、46.過昇温検知センサ、47.温度低下検知センサ、100.定着装置、101.感光ドラム、102.帯電装置、103.レーザ光、104.現像器、105.中間転写ドラム、106.転写ローラ、107.クリーナ、108.クリーナ