JP2017026741A - 画像形成装置、制御方法、および制御プログラム - Google Patents

画像形成装置、制御方法、および制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】印刷時における使用者の待ち時間を短縮することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、動作状態と、動作状態よりも消費電力の小さい非動作状態とを有する。画像形成装置100は、熱により印刷物にトナー像を定着させる定着装置20と、電源がオンされたとき、または非動作状態から動作状態に移行するときに、トナー像を印刷物に定着させることが可能な温度まで定着装置20を加熱するウォームアップを実行する実行部110と、ウォームアップの終了後または印刷終了後において定着装置20を印刷可能温度以上に保つ待機状態を維持する温度制御部118とを備える。温度制御部118は、電源がオンされてから所定回数の印刷実行後における待機状態時、または非動作状態が所定時間以上続いた後における待機状態時において、他の待機状態時よりも定着装置20の温度を高くする処理を実行する。
【選択図】図4

Description

本開示は、画像形成装置の制御に関し、特に、画像形成装置に備えられる定着装置の制御に関する。
電子写真方式の画像形成装置が普及している。電子写真方式による画像形成装置は、定着装置を備える。定着装置は、回転可能な加熱部と、当該加熱部に圧接される回転可能な加圧部とを含む。画像形成装置は、加熱部を加熱することで、加熱部と加圧部との間を通過する印刷物上のトナー像を融解し、当該トナー像を印刷物に定着させる。
定着装置の制御に関し、特開2012−242635号公報(特許文献1)は、「待機モードにおいて、オーバーシュートあるいはアンダーシュートを伴うこともなく、加熱部材の表面温度を設定した範囲内に保持する」画像形成装置を開示している。特開平05−289574号公報(特許文献2)は、「定着用回転体に損傷を与えることなく該回転体の表面温度を所定の制御温度に安定にかつ精度良く制御することができる」定着装置を開示している。
特開2012−242635号公報 特開平05−289574号公報
画像形成装置は、電源がオンされたとき、または印刷指示を受け付けたときに、印刷可能な温度まで加熱部を加熱するウォームアップを実行し、ウォームアップの完了後に印刷処理を実行する。ウォームアップに時間がかかると、印刷時における使用者の待ち時間が長くなる。したがって、ウォームアップの時間を短縮することが可能な画像形成装置が望まれている。
特許文献1に開示される画像形成装置は、加熱部材の表面温度を所定範囲内に安定的に維持することを目的としている。すなわち、当該画像形成装置は、ウォームアップの時間を短縮するものではない。
特許文献2に開示される定着装置は、定着用回転体の表面温度を所定範囲内に安定的に維持することを目的としている。すなわち、当該定着装置も、ウォームアップの時間を短縮するものではない。
本開示は上述のような問題点を解決するためになされたものであって、ある局面における目的は、印刷時における使用者の待ち時間を短縮することが可能な画像形成装置を提供することである。他の局面における目的は、印刷時における使用者の待ち時間を短縮することが可能な制御方法を提供することである。さらに他の局面における目的は、印刷時における使用者の待ち時間を短縮することが可能な制御プログラムを提供することである。
ある局面に従うと、動作状態と、動作状態よりも消費電力の小さい非動作状態とを有する画像形成装置が提供される。画像形成装置は、回転可能な加熱部と、当該加熱部に圧接される回転可能な加圧部とを含む定着装置を備える。定着装置は、加熱部を加熱することで加熱部と加圧部との間を通過する印刷物にトナー像を定着させる。画像形成装置は、画像形成装置の電源がオンされたとき、または非動作状態から動作状態に移行するときに、トナー像を印刷物に定着させることが可能な所定温度まで加熱部を加熱するウォームアップを実行するための実行部と、ウォームアップの終了後または印刷終了後において待機状態を維持するための温度制御部とを備える。温度制御部は、画像形成装置の電源がオンされてから所定回数の印刷実行後における待機状態時、または非動作状態が所定時間以上続いた後における待機状態時において、他の待機状態時よりも加熱部の温度を高くする処理を実行する。
好ましくは、所定回数は、1回である。
好ましくは、定着装置は、加熱部の温度を検出するためのセンサを含む。温度制御部は、ウォームアップの開始時における加熱部の温度が所定温度以上である場合には、処理を実行しない。
好ましくは、温度制御部は、加熱部について設定されている目標温度と加熱部の回転時間との少なくとも一方を変えることで、加熱部の温度を調整する。
好ましくは、温度制御部は、所定回数の印刷実行後または非動作状態が所定時間以上続いた後における待機状態時において、目標温度を第1温度に設定するとともに、回転時間を第1時間に設定し、他の待機状態において、目標温度を第1温度よりも低い第2温度に設定するとともに、回転時間を第1時間よりも短い第2時間に設定する。
好ましくは、温度制御部は、処理の実行中に印刷指示を受け付けた場合に、当該処理を中止する。
他の局面に従うと、動作状態と、動作状態よりも消費電力の小さい非動作状態とを有する画像形成装置の制御方法が提供される。画像形成装置は、回転可能な加熱部と、当該加熱部に圧接される回転可能な加圧部とを含む定着装置を備える。定着装置は、加熱部を加熱することで加熱部と加圧部との間を通過する印刷物にトナー像を定着させる。制御方法は、画像形成装置の電源がオンされたとき、または非動作状態から動作状態に移行するときに、トナー像を印刷物に定着させることが可能な所定温度まで加熱部を加熱するウォームアップを実行するステップと、ウォームアップの終了後または印刷終了後において待機状態を維持するステップとを備える。維持するステップは、画像形成装置の電源がオンされてから所定回数の印刷実行後における待機状態時、または非動作状態が所定時間以上続いた後における待機状態時において、他の待機状態時よりも加熱部の温度を高くする処理を実行するステップを含む。
さたに他の局面に従うと、動作状態と、動作状態よりも消費電力の小さい非動作状態とを有する画像形成装置の制御プログラムが提供される。画像形成装置は、回転可能な加熱部と、当該加熱部に圧接される回転可能な加圧部とを含む定着装置を備える。定着装置は、加熱部を加熱することで加熱部と加圧部との間を通過する印刷物にトナー像を定着させる。制御プログラムは、画像形成装置に、画像形成装置の電源がオンされたとき、または非動作状態から動作状態に移行するときに、トナー像を印刷物に定着させることが可能な所定温度まで加熱部を加熱するウォームアップを実行するステップと、ウォームアップの終了後または印刷終了後において待機状態を維持するステップとを実行させる。維持するステップは、画像形成装置の電源がオンされてから所定回数の印刷実行後における待機状態時、または非動作状態が所定時間以上続いた後における待機状態時において、他の待機状態時よりも加熱部の温度を高くする処理を実行するステップを含む。
ある局面において、印刷時における使用者の待ち時間を短縮することができる。
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
実施の形態に従う画像形成装置の装置構成の一例を示す図である。 実施の形態に従う画像形成装置の状態と加熱部の温度との関係を示す図である。 高蓄熱処理の中止処理が実行された場合における加熱部の温度の変化を示す図である。 実施の形態に従う画像形成装置の機能構成の一例を示すブロック図である。 実施の形態に従う画像形成装置が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。 実施の形態に従う画像形成装置の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。 定着装置の平面図である。 図7中のVIII−VIII線に沿った断面図である。 図7中のIX−IX線に沿った断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
[画像形成装置100]
図1を参照して、実施の形態に従う画像形成装置100について説明する。図1は、画像形成装置100の装置構成の一例を示す図である。
図1には、カラープリンタとしての画像形成装置100が示されている。以下では、カラープリンタとしての画像形成装置100について説明するが、画像形成装置100は、カラープリンタに限定されない。たとえば、画像形成装置100は、モノクロプリンタであってもよいし、モノクロプリンタ、カラープリンタおよびFAXの複合機(所謂MFP:Multi-Functional Peripheral)であってもよい。
画像形成装置100は、画像形成ユニット1A〜1Dと、中間転写ベルト11と、一次転写部12と、二次転写部13と、クリーニング部15と、トレー16と、カセット17と、制御装置18と、露光制御部19と、定着装置20とを備える。
画像形成ユニット1Aは、ブラック(BK)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Bは、イエロー(Y)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Cは、マゼンタ(M)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Dは、シアン(C)のトナー像を形成する。中間転写ベルト11は矢印21の方向に回転し、画像形成ユニット1A〜1Dは、それぞれ、中間転写ベルト11の回転方向に沿って順に配置されている。
画像形成ユニット1A〜1Dは、それぞれ、感光体2と、帯電部3と、現像部4と、クリーニング部5と、露光部9とを備える。
感光体2は、トナー像を担持する像担持体である。一例として、感光体2には、その表面に感光層が形成された感光体ドラムが用いられる。感光体2は、中間転写ベルト11の回転方向に対応する方向に回転する。
帯電部3は、感光体2の表面を一様に帯電する。露光部9は、露光制御部19からの制御信号に応じて感光体2にレーザーを照射し、指定された画像パターンに従って感光体2の表面を露光する。これにより、入力画像に応じた静電潜像が感光体2上に形成される。
現像部4は、感光体2上に形成された静電潜像をトナー像として現像する。一例として、現像部4は、トナーおよびキャリアを含む現像剤を用いて静電潜像を現像する。
感光体2と中間転写ベルト11とは、一次転写部12を設けている部分で接触している。この接触部分に所定の転写バイアスが印加され、この転写バイアスによって、感光体2上のトナー像が中間転写ベルト11に転写される。このとき、ブラック(BK)のトナー像、イエロー(Y)のトナー像、マゼンタ(M)のトナー像、およびシアン(C)のトナー像が順に重ねられて中間転写ベルト11に転写される。これにより、カラーのトナー像が中間転写ベルト11上に形成される。
クリーニング部5は、クリーニングブレードを備える。クリーニングブレードは、感光体2に圧接され、トナー像の転写後に感光体2の表面に残留するトナーを回収する。
カセット17は、画像形成装置100の下部に設けられている。カセット17には、紙等の印刷物14がセットされる。印刷物14は、カセット17から1枚ずつ二次転写部13に送られる。印刷物14の送り出しおよび搬送のタイミングと、中間転写ベルト11上のトナー像の位置とを同期させることで、印刷物14の適切な位置にトナー像が転写される。その後、印刷物14は、定着装置20に送られる。
定着装置20は、回転可能な加熱部30と、加熱部30に圧接される加圧ローラ32(加圧部)とを含む。定着装置20は、加熱部30を加熱することで加熱部30と加圧ローラ32との間を通過する印刷物14上のトナーを融解し、当該トナー像を印刷物14に定着させる。その後、印刷物14は、トレー16に排紙される。
クリーニング部15は、クリーニングブレードを備える。クリーニングブレードは、中間転写ベルト11に圧接され、トナー像の転写後に中間転写ベルト11に残留するトナーを回収する。当該トナーは、搬送スクリュー(図示しない)で搬送され、廃トナー容器(図示しない)に回収される。
制御装置18は、画像形成装置100を制御する。制御装置18は、たとえば、露光制御部19や定着装置20を制御する。制御装置18は、たとえば、加熱部30に設けられているモータ(図示しない)を制御することにより、加熱部30の回転速度や回転時間等を調整する。当該モータの制御方法としては、たとえば、PWM(Pulse Width Modulation)制御が挙げられる。
[定着装置20の制御]
図2を参照して、制御装置18(図1参照)による定着装置20(図1参照)の温度制御について説明する。図2は、画像形成装置100の状態と加熱部30(図1参照)の温度との関係を示す図である。
画像形成装置100は、状態として、動作状態と、非動作状態と、ウォームアップ状態と、待機状態とを有する。「動作状態」とは、印刷指示等を受けて画像形成装置100が動作している状態のことをいう。「非動作状態」とは、動作状態よりも小さい消費電力で画像形成装置100が動作している状態のことをいう。非動作状態は、たとえば、画像形成装置100を低電力状態に維持するスリープ状態を含む。「ウォームアップ状態」とは、加熱部30を印刷可能温度まで加熱している状態のことをいう。「待機状態」とは、印刷指示等を待っている状態のことをいう。待機状態は、たとえば、スタンバイ状態を含む。
図2のグラフ(A)に示されるように、画像形成装置100は、電源がオンされたことに基づいてウォームアップを開始し、加熱部30の温度を印刷可能温度Tよりも高くする。
時刻tにおいて、画像形成装置100は、印刷指示を受け付けたとする。画像形成装置100は、加熱部30の温度が印刷可能温度Tを超えている場合には、ウォームアップを終了するとともにウォームアップ状態から動作状態に移行し、印刷処理を開始する。
印刷処理が時刻tに終了したとする。印刷処理が終了したことに基づいて、画像形成装置100は、動作状態から待機状態に移行する。このとき、画像形成装置100は、次の印刷に備えて、加熱部30に蓄熱する。蓄熱処理は、たとえば、加熱部30および加圧ローラ32の空回転により実現される。時刻t,t間の待機状態時においては他の待機状態時と比べて、より多くの熱が蓄えられる。一例として、画像形成装置100は、加熱部30を目標温度T1まで加熱する。以下では、目標温度T1まで蓄熱する処理を「高蓄熱処理」ともいい、目標温度T1よりも低い目標温度T2まで蓄熱する処理を「低蓄熱処理」ともいう。
画像形成装置100は、定着装置20について設定されている目標温度と、加熱部30の回転時間との少なくとも一方を変えることで加熱部30の温度を調整する。
ある局面において、高蓄熱処理時においては、画像形成装置100は、目標温度を温度T1(第1温度)に設定する。低蓄熱処理時においては、画像形成装置100は、目標温度を、温度T1よりも低い温度T2(第2温度)に設定する。温度T1,T2は、画像形成装置100の設計時に予め設定されていてもよいし、画像形成装置100の使用者によって任意に設定されてもよい。
他の局面において、高蓄熱処理時においては、画像形成装置100は、加熱部30の回転時間を時間Δt(第1時間)に設定する。時間Δtは、たとえば、900秒である。低蓄熱処理時においては、画像形成装置100は、加熱部30の回転時間を、時間Δtよりも短い時間Δt(第2時間)に設定する。時間Δtは、たとえば、5秒である。時間Δt,Δtは、画像形成装置100の設計時に予め設定されていてもよいし、画像形成装置100の使用者によって任意に設定されてもよい。
印刷が終了した時刻tから時間Δtが経過した時刻tにおいて、画像形成装置100は、待機状態から非動作状態に移行する。時間Δtは、予め設定されていてもよく、画像形成装置100の使用者によって操作パネルを介して任意に設定されていてもよい。非動作状態時においては、加熱部30の温度は、放熱により徐々に低下する。
時刻tにおいて、画像形成装置100は、新たな印刷指示を受け付けたとする。このことに基づいて、画像形成装置100は、ウォームアップを開始し、加熱部30の温度を印刷可能温度Tよりも高くする。
時刻tにおいて、加熱部30の温度が印刷可能温度を超えると、画像形成装置100は、ウォームアップを終了するとともに動作状態に移行し、印刷を開始する。
印刷処理が時刻tに終了したとする。このことに基づいて、画像形成装置100は、動作状態から待機状態に移行する。本待機状態においては、画像形成装置100は、低蓄熱処理を行なう。時刻tから所定時間が経過した時刻tにおいて、画像形成装置100は、待機状態から非動作状態に移行する。
図2のグラフ(A)およびグラフ(B)を比較して、時刻t,t間の待機状態時に高蓄熱処理を実行することによる効果について説明する。
グラフ(A)に示されるように、時刻t,t間の待機状態において高蓄熱処理が実行されることにより、次のウォームアップにかかる時間Δt1が短縮される。一方で、グラフ(B)に示されるように、時刻t,tの間の待機状態において低蓄熱処理が実行されると、次のウォームアップにかかる時間Δt2が長くなる。すなわち、画像形成装置100は、高蓄熱処理を実行することにより次のウォームアップにかかる時間を時間Δt2から時間Δt1に短縮することができる。その結果、印刷時間が短縮され、使用者の利便性が改善される。
高蓄熱処理を実行することは、特に、印刷指示が頻繁に発生しないような状況において効果的である。なぜならば、このような状況下において蓄熱量を多くすることにより、非動作状態が長く続いたとしても、加熱部30が次の印刷時までに冷め切らないためである。一方で、印刷指示が頻繁に発生する場合には、定着装置20の加熱部30が冷める前に次の印刷が実行されるので、高蓄熱処理が実行されなくとも、印刷時間はそれほど長くならない。
印刷指示が頻繁に発生しない状況の一例として、朝一の使用状況が挙げられる。朝一の典型的な使用状況として、使用者は、電源を入れて、数枚の印刷を実行する。朝一においては、画像形成装置100の使用者が少ないため、印刷後には、画像形成装置100は、長時間(たとえば、1時間)非動作状態になる。
このような使用頻度が低い状況を判断するために、画像形成装置100は、電源がオンされてから所定回数の印刷が実行された後における待機状態であるか否かを判断する。あるいは、画像形成装置100は、非動作状態が所定時間(たとえば、2時間)以上続いた後における待機状態であるか否かを判断する。画像形成装置100は、使用頻度が低い状況下の待機状態であると判断した場合に、他の待機状態時よりも加熱部30の温度を高くする。これにより、使用頻度が低い状況下において、印刷時間が短縮される。
電源がオンされてからしばらく経つと使用者が徐々に多くなり、画像形成装置100は、たとえば、30秒程度の印刷と15分程度のスリープ状態とを繰り返す。このような使用頻度が高い状況下においては、加熱部30が冷める前に次の印刷が実行されるため、画像形成装置100は低蓄熱処理を実行する。あるいは、画像形成装置100は、蓄熱処理自体を実行しない。これにより、画像形成装置100は、加熱部30を余計に蓄熱せずに済み、定着装置20の消費電力を抑制したり、定着装置20の装置寿命を延ばしたりすることができる。
好ましくは、画像形成装置100は、電源がオンされてからの1回目の印刷後における待機状態において高蓄熱処理を実行する。2回目の印刷以降の待機状態においては、画像形成装置100は、低蓄熱処理を実行する。高蓄熱処理が1回目の印刷後の待機状態にのみ実行されることにより、2回目の印刷処理にかかる時間を短縮することができる。
なお、画像形成装置100の使用頻度が低い場合には、加熱部30の温度が低くなる可能性が高い。この点に着目して、使用頻度が低いことを判断するための判断材料として、画像形成装置100は、ウォームアップの開始時における加熱部30の温度をさらに利用してもよい。より具体的な処理として、画像形成装置100は、ウォームアップが開始されたことに基づいて、後述するサーミスタ36A,36Bから加熱部30の温度を取得する。ウォームアップ開始時の加熱部30の温度が所定温度T3(たとえば、50度)以上である場合には、高蓄熱処理を実行しない。すなわち、画像形成装置100は、ウォームアップ開始時の加熱部30の温度が所定温度T3未満であるときのみに高蓄熱処理を実行する。これにより、画像形成装置100は、使用頻度が低い状況をより確実に判断することができる。
また、図2では、画像形成装置100が高蓄熱処理および低蓄熱処理の2段階で蓄熱処理を実行する例について説明したが、画像形成装置100は、3段階以上で蓄熱処理を実行してもよい。たとえば、定着装置20の冷め具合が非動作時間に相関することに着目して、画像形成装置100過去の非動作時間の長さに応じて蓄熱処理の目標温度を決定してもよい。ある局面において、画像形成装置100は、電源がオンされてから後になるほど待機状態の目標温度を低くする。他の局面において、画像形成装置100は、前の非動作時間が長いほど目標温度を高くし、前の非動作時間が短いほど目標温度を高くする。
[高蓄熱処理の中止処理]
図3を参照して、高蓄熱処理の中止処理について説明する。図3は、高蓄熱処理の中止処理が実行された場合における加熱部30(図1参照)の温度の変化を示す図である。
画像形成装置100は、高蓄熱処理の実行中に印刷処理を受け付けた場合には、高蓄熱処理を中止する。たとえば、図3に示されるように、画像形成装置100は、時刻tにおいて高蓄熱処理を開始し、高蓄熱処理中の時刻tにおいて、印刷指示を受け付けたとする。この場合、画像形成装置100は、加熱部30の温度が目標温度T1に到達していなかったとしても、高蓄熱処理を中止する。
これにより、画像形成装置100は、使用頻度が低いと判断した場合であっても、特異的に印刷指示が頻発した場合に、高蓄熱処理を中止することができる。その結果、画像形成装置100は、加熱部30を余計に蓄熱せずに済む。
[画像形成装置100の機能構成]
図4を参照して、画像形成装置100の機能について説明する。図4は、画像形成装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4に示されるように、画像形成装置100は、制御装置18と、定着装置20とを備える。制御装置18は、機能構成として、実行部110と、カウント部114と、計測部116と、温度制御部128とを含む。
実行部110は、定着装置20のウォームアップを実行する。一例として、ウォームアップは、画像形成装置100の電源がオンされたときに実行される。あるいは、ウォームアップは、画像形成装置100が印刷指示を受け付けて非動作状態から動作状態に復帰するときに実行される。他にも、ウォームアップは、電源が入れ直されたときや、ジャム処理の復帰時、カバーのクローズ時等に実行される。
カウント部114は、画像形成装置100の電源がオンされてからの印刷回数をカウントする。たとえば、カウント部114は、電源がオンされたことに基づいて、印刷回数をクリアし、印刷指示を受け付ける度に印刷回数をカウントアップする。1回の印刷指示は、1回の印刷ジョブに相当する。1回の印刷指示で印刷される枚数は、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。カウント部114は、カウントした印刷回数を温度制御部128に出力する。
計測部116は、非動作状態に移行してから他の状態に移行するまでの時間(すなわち、非動作時間)を計測する。より具体的には、計測部116は、非動作状態に移行したことに基づいて非動作時間の計測を開始し、当該非動作状態から他の状態に移行した時点で非動作時間の計測を終了する。計測部116は、計測した非動作時間を温度制御部128に出力する。
温度制御部128は、画像形成装置100の状態が待機状態であって、カウント部114から出力される印刷回数が所定回数(たとえば、1回)以内であるときに、定着装置20に高蓄熱処理を実行させる。あるいは、温度制御部128は、画像形成装置100の状態が待機状態であって、計測部116から出力される非動作時間が所定時間以上であるときに、定着装置20に高蓄熱処理を実行させる。
好ましくは、温度制御部128は、ウォームアップ開始時の温度が所定温度以下である場合には、印刷回数および非動作時間に関わらず、定着装置20に低蓄熱処理を実行させる。また、温度制御部128は、高蓄熱処理中に印刷指示を受け付けた場合には、高蓄熱処理を中止する。
[画像形成装置100の制御構造]
図5を参照して、画像形成装置100の制御構造について説明する。図5は、画像形成装置100が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。図5の処理は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)としての制御装置18がプログラムを実行することにより実現される。他の局面において、図5の処理の一部または全部が、回路素子その他のハードウェアによって実行されてもよい。
ステップS10において、制御装置18は、電源がオンされたか否かを判断する。制御装置18は、電源がオンされたと判断した場合(ステップS10においてYES)、制御をステップS12に切り替える。そうでない場合には(ステップS10においてNO)、制御装置18は、ステップS10の処理を再び実行する。
ステップS11において、制御装置18は、実行部110(図4参照)として、定着装置20のウォームアップを開始する。これにより、定着装置20(図1参照)の加熱部30(図1参照)は、印刷可能温度まで加熱される。
ステップS12において、制御装置18は、印刷指示を受け付けたか否かを判断する。制御装置18は、印刷指示を受け付けたと判断した場合(ステップS12においてYES)、制御をステップS13に切り替える。そうでない場合には(ステップS12においてNO)、制御装置18は、ステップS12の処理を再び実行する。
ステップS13において、制御装置18は、定着装置20の加熱部30の温度が印刷可能温度を超えているか否かを判断する。制御装置18は、定着装置20の加熱部30の温度が印刷可能温度を超えていると判断した場合(ステップS13においてYES)、制御をステップS14に切り替える。そうでない場合には(ステップS13においてNO)、制御装置18は、ステップS13の処理を再び実行する。
ステップS14において、制御装置18は、印刷処理を実行するとともに、カウント部114(図4参照)として、印刷回数をカウントアップする。制御装置18は、印刷処理が終了すると、画像形成装置100の状態を動作状態から待機状態に移行させる。
ステップS15において、制御装置18は、非動作状態への移行要求を受け付けたか否かを判断する。当該移行要求は、たとえば、印刷指示を所定時間以上受けていない場合に発せられる。制御装置18は、非動作状態への移行要求を受け付けたと判断した場合(ステップS15においてYES)、制御をステップS16に切り替える。そうでない場合には(ステップS15においてNO)、制御装置18は、制御をステップS17に切り替える。
ステップS18において、制御装置18は、画像形成装置100が使用頻度の低い状況下にあるか否かを判断する。一例として、制御装置18は、電源がオンされてからの印刷回数が所定回数以下である場合に、画像形成装置100が使用頻度の低い状況下にあると判断する。あるいは、画像形成装置100は、非動作時間が所定時間以上である場合に、画像形成装置100が使用頻度の低い状況下にあると判断する。制御装置18は、画像形成装置100が使用頻度の低い状況下にあると判断した場合(ステップS18においてYES)、制御をステップS20に切り替える。そうでない場合には(ステップS18においてNO)、制御装置18は、制御をステップS30に切り替える。
ステップS20において、制御装置18は、温度制御部128(図4参照)として、定着装置20に高蓄熱処理を実行させる。
ステップS22において、制御装置18は、印刷指示を受け付けたか否かを判断する。制御装置18は、印刷指示を受け付けたと判断した場合(ステップS22においてYES)、制御をステップS14に戻す。そうでない場合には(ステップS22においてNO)、制御装置18は、制御をステップS24に切り替える。
ステップS24において、制御装置18は、非動作状態への移行要求を受け付けたか否かを判断する。制御装置18は、当該移行要求を受け付けたと判断した場合(ステップS24においてYES)、制御をステップS16に切り替える。そうでない場合には(ステップS24においてNO)、制御装置18は、制御をステップS26に切り替える。
ステップS26において、制御装置18は、温度制御部128として、高蓄熱処理を開始してから所定時間が経過したか否かを判断する。すなわち、制御装置18は、加熱部30の温度が高蓄熱処理の目標温度に達したか否かを判断する。制御装置18は、高蓄熱処理を開始してから所定時間が経過したと判断した場合(ステップS26においてYES)、制御をステップS40に切り替える。そうでない場合には(ステップS26においてNO)、制御装置18は、制御をステップS22に戻す。
ステップS30において、制御装置18は、温度制御部128として、定着装置20に低蓄熱処理を実行させる。なお、ステップS30の低蓄熱処理は、必ずしも実行されなくともよい。この場合、制御は、ステップS18からステップS30を介さずにステップS32に切り替えられる。
ステップS32において、制御装置18は、印刷指示を受け付けたか否かを判断する。制御装置18は、印刷指示を受け付けたと判断した場合(ステップS32においてYES)、制御をステップS14に戻す。そうでない場合には(ステップS32においてNO)、制御装置18は、制御をステップS34に切り替える。
ステップS34において、制御装置18は、非動作状態への移行要求を受け付けたか否かを判断する。制御装置18は、非動作状態への移行要求を受け付けたと判断した場合(ステップS34においてYES)、制御をステップS16に切り替える。そうでない場合には(ステップS34においてNO)、制御装置18は、制御をステップS36に切り替える。
ステップS36において、制御装置18は、温度制御部128として、低蓄熱処理を開始してから所定時間が経過したか否かを判断する。すなわち、制御装置18は、加熱部30の温度が低蓄熱処理の目標温度に達したか否かを判断する。制御装置18は、低蓄熱処理を開始してから所定時間が経過したと判断した場合(ステップS36においてYES)、制御をステップS40に切り替える。そうでない場合には(ステップS36においてNO)、制御装置18は、制御をステップS32に戻す。
ステップS40において、制御装置18は、画像形成装置100の状態を通常の待機状態に移行させる。
[画像形成装置100のハードウェア構成]
図6を参照して、画像形成装置100のハードウェア構成の一例について説明する。図6は、画像形成装置100の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。図6に示されるように、画像形成装置100は、ROM(Read Only Memory)101と、CPU102と、RAM(Random Access Memory)103と、ネットワークI/F(インタフェース)104と、スキャナ106と、プリンタ107と、操作パネル108と、記憶装置120とを備える。
ROM101は、画像形成装置100で実行される制御プログラム等を格納する。CPU102は、上述の制御装置18である。CPU102は、画像形成装置100の制御プログラム等の各種プログラムを実行することで、画像形成装置100の動作を制御する。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラムの実行に必要な各種データを一時的に格納する。
ネットワークI/F104には、アンテナ(図示しない)等が接続される。画像形成装置100は、当該アンテナを介して、他の通信機器との間でデータをやり取りする。他の通信機器は、たとえば、スマートフォン等の携帯通信端末、サーバー等を含む。画像形成装置100は、本実施の形態に従う制御プログラム122を、アンテナを介してサーバーからダウンロードできるように構成されてもよい。
スキャナ106は、画像形成装置100にセットされた原稿を光学的に読み取って、原稿の画像データを生成する。
プリンタ107は、たとえば電子写真方式により、スキャナ106で読み取られた画像データや、他の通信機器から送信されたプリントデータを、印刷のためのデータに変換し、変換後のデータに基づいて文書等の画像を印刷する装置である。
操作パネル108は、タッチパネルとして構成され、画像形成装置100に対するタッチ操作を受け付ける。一例として、操作パネル108は、表示パネルと、表示パネルに重ねて設けられるタッチセンサとで構成される。操作パネル108は、たとえば、制御プログラム122に関する設定操作や印刷指示等を受け付ける。
電源109は、画像形成装置100の電源ボタン(図示しない)が押下されたことに基づいて、画像形成装置100の各種装置に電力を供給する。
記憶装置120は、たとえば、ハードディスクや外付けの記憶装置等の記憶媒体である。記憶装置120は、一例として、本実施の形態に従う処理を実現するための制御プログラム122を格納する。
なお、本実施の形態に従う制御プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従うプログラムの趣旨を逸脱するものではない。さらに、本実施の形態に従う制御プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが本実施の形態に従う処理を実現する、所謂クラウドサービスのような形態で画像形成装置100が構成されてもよい。
[定着装置20]
(定着装置20の構造)
図7〜図9を参照して、図1に示される定着装置20の構造について説明する。図7は、定着装置20の平面図である。図8は、図7中のVIII−VIII線に沿った断面図である。図9は、図7中のIX−IX線に沿った断面図である。
図7〜図9に示されるように、定着装置20は、加熱部30と、加圧ローラ32と、サーミスタ36A,36Bとを備える。加熱部30は、加熱ローラ31と、定着ベルト33と、定着ローラ34とを含む。加熱ローラ31は、その内部に、加熱ロングヒータ35Aと、加熱ショートヒータ35Bとを有する。
加熱ローラ31は、たとえば、アルミニウム等からなる円筒状の芯金で構成される。当該芯金の厚さは、たとえば、0.6mmである。当該芯金の外周面には、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等からなる樹脂層が形成されている。PTFEの厚さは、たとえば、15μmである。加熱部30の外径は、たとえば、25mmである。加熱部30の長手方向の長さは、たとえば、330mmである。
加圧ローラ32は、たとえば、アルミニウム等からなる円筒状の芯金で構成される。加圧ローラ32の外径は、たとえば、35mmである。芯金の厚さは、たとえば、2mmである。当該芯金の外周面には、ゴム層およびPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)等からなる樹脂層が形成されている。ゴム層の厚さは、たとえば、2mmである。PFAの厚さは、たとえば、30μmである。
定着ベルト33は、加熱ローラ31および定着ローラ34によって張架されており、加熱ローラ31および定着ローラ34に連動して回転する。定着ベルト33は、ポリイミド、ゴム層、およびPFA等で構成されている。定着ベルト33の外径は、たとえば、60mmである。ポリイミドの厚さは、たとえば、70mmである。ゴム層の厚さは、たとえば、200μmである。
定着ローラ34は、定着ベルト33に圧接されている。定着ローラ34は、たとえば、鉄等からなる円柱状の芯金で構成される。定着ローラ34の外径は、たとえば、30mmである。芯金の外径は、たとえば、18mmである。芯金の外周面には、ゴム層やスポンジ層が形成されている。ゴム層の厚さは、たとえば、4mmである。スポンジ層の厚さは、たとえば、2mmである。
加熱ロングヒータ35Aは、たとえば、ハロゲンランプヒータである。加熱ロングヒータ35Aのワット数は、たとえば、999Wである。加熱ロングヒータ35Aの配光率は、たとえば、80%以上である。加熱ロングヒータ35Aは、内部に熱源38Aを有する。熱源38Aにおいて熱を発生する部分の長さは、たとえば、290mmである。熱源38Aに供給される電力に応じて加熱量が変えられる。なお、加熱ロングヒータ35Aの代わりに、抵抗発熱体や誘導加熱装置が設けられてもよい。
加熱ショートヒータ35Bは、たとえば、ハロゲンランプヒータである。加熱ショートヒータ35Bのワット数は、たとえば、790Wである。加熱ショートヒータ35Bの配光率は、たとえば、80%以上である。加熱ショートヒータ35Bは、内部に熱源38Bを有する。熱源38Bにおいて熱を発生する部分の長さは、たとえば、180mmである。熱源38Bに供給される電力に応じて加熱量が変えられる。なお、加熱ショートヒータ35Bの代わりに、抵抗発熱体や誘導加熱装置が設けられてもよい。
サーミスタ36A,36Bは、定着ベルト33の温度を検出するための温度センサである。サーミスタ36A,36Bは、定着ベルト33に対向するように配置されており、定着ベルト33と非接触に配置されている。サーミスタ36Aは、たとえば、定着ベルト33の中央通紙基準から長手方向に70mm離れた位置に配置される。サーミスタ36Bは、たとえば、定着ベルト33の中央通紙基準から長手方向に135mm離れた位置に配置される。
(印刷時における定着装置20の動作)
引き続き図7〜図9を参照して、印刷時における定着装置20の動作について説明する。
サーミスタ36Aの検出温度をT1とし、温度調整用の補正係数をAとし、温度調整用の補正後温度をTA1としたとき、以下の式(1)が満たされる。熱源38A,38Bをオンオフすることにより、補正後温度TA1が調整される。
TA1=A×T1・・・(1)
画像形成装置100の電源がオンされてから定着ベルト33および加圧ローラ32の表面を印刷可能な温度にする動作をウォームアップといい、ウォームアップにかかる時間をウォームアップ時間という。ウォームアップは、たとえば、電源が入れ直されたときや、ジャム処理の復帰時、カバーのクローズ時、スリープモードからの復帰時等に実行される。
定着装置20は、ウォームアップ時において、加熱部30を駆動し、印刷可能な温度(すなわち、目標温度)まで加熱部30の温度を上げる。目標温度は、たとえば、155℃である。定着装置20は、補正後温度TA1を入力として、加熱ロングヒータ35Aおよび加熱ショートヒータ35Bを制御する。
画像形成装置100は、駆動ギア(図示しない)に駆動力を伝達することにより加圧ローラ32を回転させ、加熱部30と定着ベルト33と定着ローラ34とを従動回転させる。これにより、加熱部30の熱は、定着ベルト33や加圧ローラ32の表面に伝えられる。このときの定着装置20の線速度(印刷物が定着装置20を通過する速さ)は、たとえば、135mm/sである。加熱部30による加熱と、加熱部30の回転とにより、定着ベルト33および加圧ローラ32の表面が印刷可能温度まで上昇する。
サーミスタ36Aにより検出された温度T1に補正係数Aを掛けた補正後温度TA1が印刷可能温度になると、定着装置20は、印刷可能であることを示す信号(ready)を画像形成装置100に出力する。当該信号は、たとえば、補正後温度TA1が135℃に到達したことに基づいて出力される。画像形成装置100は、印刷信号を受け付けない場合に待機状態になり、印刷信号を受け付けた場合に印刷を開始する。待機状態の目標温度は、たとえば、155℃〜150℃である。当該目標温度は、加熱ロングヒータ35Aおよび加熱ショートヒータ35Bのオンオフにより制御される。
普通紙をフルカラーで印刷するとき、定着装置の線速度は、たとえば、135mm/sである。このときの目標温度は、たとえば、155℃〜170℃であり、補正後温度TA1を入力として、加熱ロングヒータ35Aまたは加熱ショートヒータ35Bのオンオフが制御される。
より具体的には、画像形成装置100は、サーミスタ36Bによる検出温度T2から熱源選択用の補正後温度TB1を引いた値が所定値以上であれば、定着ベルト33の端部の温度が高いと判断し、当該端部に位置する加熱ショートヒータ35Bをオンオフ制御の対象とする。画像形成装置100は、サーミスタ36Bによる検出温度T2から熱源選択用の補正後温度TB1を引いた値が所定値未満であれば、加熱ロングヒータ35Aをオンオフ制御の対象とする。
B4サイズの紙の印刷処理を例に挙げて、定着装置20の温度制御についてさらに説明する。
紙が定着装置20を通過する前においては、端部のサーミスタ36B部の温度は高くないので、画像形成装置100は、加熱ロングヒータ35Aを制御対象とし、補正後温度TA1を入力として加熱ロングヒータ35Aをオンオフする。たとえば、加熱ロングヒータ35Aの配光率が80%以上であり、加熱ロングヒータ35Aの長さは290mmであり、B4の紙の幅が257mmであるとすると、通紙幅よりも加熱幅の方が広くなるため、加熱範囲内において通紙領域と非通紙領域とが生じる。この場合、非通紙領域においては熱が用紙に奪われないので、非通紙領域の温度は、通紙領域の温度と比較して通紙の度に徐々に高くなる。
サーミスタ36Bは、たとえば、定着ベルト33の中央通紙基準から長手方向に135mm離れた位置に配置されており、通紙領域の端部は、中央通紙基準から同方向に128.5mmの位置にあるとする。画像形成装置100は、サーミスタ36Bによる検出温度T2から補正後温度TB1を引いた値が所定値以上になれば、定着ベルト33の端部の温度が高いと判断し、オンオフ制御の対象を加熱ロングヒータ35Aから加熱ショートヒータ35Bに切り替える。
[まとめ]
以上のようにして、画像形成装置100は、使用頻度が低いと判断した場合には、待機状態において高蓄熱処理を実行する。使用頻度が低いと判断する方法として、画像形成装置100は、電源がオンされてから所定回数の印刷が実行された後における待機状態であるか否かを判断する。あるいは、画像形成装置100は、非動作状態が所定時間(たとえば、1時間)以上続いた後における待機状態であるか否かを判断する。
このように、画像形成装置100は、使用頻度が低い状況の待機状態において高蓄熱処理を実行することにより他の待機状態時よりも加熱部30の温度を高くする。これにより、次の印刷時におけるウォームアップ時間が短縮され、結果として、印刷時間が短縮される。これにより、印刷時における使用者の待ち時間が短縮され、画像形成装置100の利便性が改善される。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1A〜1D 画像形成ユニット、2 感光体、3 帯電部、4 現像部、5,15 クリーニング部、9 露光部、11 中間転写ベルト、12 一次転写部、13 二次転写部、14 印刷物、16 トレー、17 カセット、18 制御装置、19 露光制御部、20 定着装置、21 矢印、30 加熱部、31 加熱ローラ、32 加圧ローラ、33 定着ベルト、34 定着ローラ、35A 加熱ロングヒータ、35B 加熱ショートヒータ、36A,36B サーミスタ、38A,38B 熱源、100 画像形成装置、101 ROM、102 CPU、103 RAM、104 ネットワークI/F、106 スキャナ、107 プリンタ、108 操作パネル、109 電源、110 実行部、114 カウント部、116 計測部、120 記憶装置、122 制御プログラム、128 温度制御部。

Claims (8)

  1. 動作状態と、前記動作状態よりも消費電力の小さい非動作状態とを有する画像形成装置であって、
    回転可能な加熱部と、当該加熱部に圧接される回転可能な加圧部とを含む定着装置を備え、
    前記定着装置は、前記加熱部を加熱することで前記加熱部と前記加圧部との間を通過する印刷物にトナー像を定着させ、
    前記画像形成装置の電源がオンされたとき、または前記非動作状態から前記動作状態に移行するときに、前記トナー像を前記印刷物に定着させることが可能な所定温度まで前記加熱部を加熱するウォームアップを実行するための実行部と、
    前記ウォームアップの終了後または印刷終了後において待機状態を維持するための温度制御部とを備え、
    前記温度制御部は、前記画像形成装置の電源がオンされてから所定回数の印刷実行後における待機状態時、または前記非動作状態が所定時間以上続いた後における待機状態時において、他の待機状態時よりも前記加熱部の温度を高くする処理を実行する、画像形成装置。
  2. 前記所定回数は、1回である、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記定着装置は、前記加熱部の温度を検出するためのセンサを含み、
    前記温度制御部は、前記ウォームアップの開始時における前記加熱部の温度が所定温度以上である場合には、前記処理を実行しない、請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記温度制御部は、前記加熱部について設定されている目標温度と前記加熱部の回転時間との少なくとも一方を変えることで、前記加熱部の温度を調整する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記温度制御部は、
    前記所定回数の印刷実行後または前記非動作状態が前記所定時間以上続いた後における待機状態時において、前記目標温度を第1温度に設定するとともに、前記回転時間を第1時間に設定し、
    前記他の待機状態において、前記目標温度を前記第1温度よりも低い第2温度に設定するとともに、前記回転時間を前記第1時間よりも短い第2時間に設定する、請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記温度制御部は、前記処理の実行中に印刷指示を受け付けた場合に、当該処理を中止する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 動作状態と、前記動作状態よりも消費電力の小さい非動作状態とを有する画像形成装置の制御方法であって、
    前記画像形成装置は、回転可能な加熱部と、当該加熱部に圧接される回転可能な加圧部とを含む定着装置を備え、
    前記定着装置は、前記加熱部を加熱することで前記加熱部と前記加圧部との間を通過する印刷物にトナー像を定着させ、
    前記制御方法は、
    前記画像形成装置の電源がオンされたとき、または前記非動作状態から前記動作状態に移行するときに、前記トナー像を前記印刷物に定着させることが可能な所定温度まで前記加熱部を加熱するウォームアップを実行するステップと、
    前記ウォームアップの終了後または印刷終了後において待機状態を維持するステップとを備え、
    前記維持するステップは、前記画像形成装置の電源がオンされてから所定回数の印刷実行後における待機状態時、または前記非動作状態が所定時間以上続いた後における待機状態時において、他の待機状態時よりも前記加熱部の温度を高くする処理を実行するステップを含む、制御方法。
  8. 動作状態と、前記動作状態よりも消費電力の小さい非動作状態とを有する画像形成装置の制御プログラムであって、
    前記画像形成装置は、回転可能な加熱部と、当該加熱部に圧接される回転可能な加圧部とを含む定着装置を備え、
    前記定着装置は、前記加熱部を加熱することで前記加熱部と前記加圧部との間を通過する印刷物にトナー像を定着させ、
    前記制御プログラムは、前記画像形成装置に、
    前記画像形成装置の電源がオンされたとき、または前記非動作状態から前記動作状態に移行するときに、前記トナー像を前記印刷物に定着させることが可能な所定温度まで前記加熱部を加熱するウォームアップを実行するステップと、
    前記ウォームアップの終了後または印刷終了後において待機状態を維持するステップとを実行させ、
    前記維持するステップは、前記画像形成装置の電源がオンされてから所定回数の印刷実行後における待機状態時、または前記非動作状態が所定時間以上続いた後における待機状態時において、他の待機状態時よりも前記加熱部の温度を高くする処理を実行するステップを含む、制御プログラム。
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