JP5694506B2 - 口腔ケア組成物 - Google Patents

Description

[0001] 本発明は、抗プラーク／抗歯石剤の口腔中の口の表面への増進された送達のための口腔ケア組成物、例えば歯磨組成物に関し、それは加えて歯の過敏症を処置または予防することができる。本発明は、抗プラーク／抗歯石剤を口腔中の口の表面に送達し、同時に歯の過敏症を処置または予防する方法にも関する。本発明は、象牙質細管を塞ぐことによる歯の過敏症の処置または予防における特別な適用を有する。

[0002] 象牙質は歯の内部〜エナメル質およびセメント質の部分であり、それは象牙質細管として知られる多数の微細な管または細管のために放射状に縞のある外観を有する。歯髄腔から象牙質の周辺部へと走る細管は一般にそれらの基部において直径約２ミクロンであり、それらの周辺部においていくらか狭い。細管は、それらは通常はエナメル質またはセメント質により覆われているため、通常は口腔中の環境に露出していない。セメント質は多くの場合はさらに歯肉により覆われている。

[0003] 一般に、部分的に、または完全に露出した細管は歯の敏感性、刺激および痛みを感じる状態につながり得ることが理解されている。この理論において、歯肉線の退縮はセメント質を露出して浸食させる。浸食されたセメント質は今度は中空の象牙質細管を露出する。露出した細管は、歯の外部と内部の間の物質およびエネルギーの移動がその細管により加速されるため、歯の内部の神経に外部の口内の刺激による影響を過度に受けさせる。一般的な環境刺激、例えば熱さ、冷たさ、化学物質ならびに物理的および機械的圧力または刺激、例えばブラッシングは、開いた象牙質細管を通して神経を刺激し、それにより痛みを引き起こすことができる。敏感な歯の痛みはこれらの刺激の結果もたらされるようであり、それは歯髄神経末端を活性化する象牙質細管中の流体の動きを引き起こしているようである。

[0004] 慣習的に、歯の敏感性を処置または改善するために２種類の対処法がとられてきた。１つの対処法の下では、神経が刺激されない、またはそれほど大きく刺激されないように、神経に近位の化学的環境を様々な薬剤の適用により変化させる。この化学的対処法において有用な既知の薬剤には、カリウム塩類（例えば硝酸カリウム、重炭酸カリウム、塩化カリウム）およびストロンチウム、亜鉛塩類、および塩化物塩類が含まれる。

[0005] 第２の対処法には、例えば象牙質細管を“細管遮断剤（ｔｕｂｕｌｅ ｂｌｏｃｋｉｎｇ ａｇｅｎｔｓ）”により完全に、または部分的に遮断することによる神経の機械的防御が含まれる。先行技術で開示された薬剤には、例えば陽イオン性アルミナ、粘土類、水溶性または水膨潤性高分子電解質、オキサレート類、非晶質リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、マレイン酸コポリマー類およびポリエチレン粒子が含まれる。

[0006] 本出願者の名前でのＵＳ−Ａ１−２００９／０１８６０９０は、歯の敏感性の知覚を低減および／または除去する口腔ケア組成物の提供を開示している。組成物には接着性材料が含まれ、部分的に２〜５ミクロンの粒子径を有するシリカ粒子が含まれる。

[0007] しかし、たとえそのような口腔ケア組成物が臨床での過敏症の軽減を提供するとしても、それでもなお当技術において、使用の際に歯の敏感性の増進された予防または低減を提供し、重大な処理または配合の不都合と関係しない口腔ケア組成物、特に歯磨剤に関する需要がまだ存在する。

[0008] 酸化亜鉛を抗プラーク／抗歯石剤として用いることも当技術において既知である。二価または三価金属イオンの錯体を抗プラーク剤として用いることも既知である。
[0009] 亜鉛の可溶性はキレート性分子、例えばエチレンジアミン４酢酸または生理活性分子、例えば環状α−ヒドロキシケトンと錯体を形成することにより向上され得ることが、文献において実証されてきた。例えば、ＵＳ−Ａ−６２８７５４１において開示されているように、特定の環状アルファ−ヒドロキシケトンは二価銅、亜鉛、鉄またはスズおよび三価鉄に関する錯化剤として用いられる。S. Y. Gan, et al.“Ｚｎ−キレート剤錯体の抗細菌活性”IADR, March 2009は、亜鉛に関する不活性な生体適合性キレート剤の使用を開示している。

[00010] しかし、増大された可溶性は抗プラーク、抗歯肉炎、過敏症、および／またはさわやかな息の効能における増大を保証しない。これらの利益を提供するためには、亜鉛は口腔中の硬および／または軟組織に送達されなければならない。

[00011] 抗プラーク／抗歯石剤の口の表面、特に口腔中の硬および／または軟組織への増進された送達に関する必要性がまだ存在する。
[00011a] ＧＢ−Ａ−２０５２９７８は、亜鉛イオン及びグリシンを含む口腔組成物を開示している。ＵＳ２００９／０２０２４５は、塩基性アミノ酸及び小粒子画分を含む口腔組成物を開示している。ＵＳ４，１８７，２８８は、研磨性のそして非毒性の亜鉛化合物を含む歯磨剤を開示している。ＷＯ−Ａ−００／５９４６０は、歯牙質の表面を脱感作及び再石灰化するための、シリカ等の無機酸化物研磨剤を含む組成物を開示している。ＷＯ−Ａ−２００９／０９５４２３は、表面−被覆された無機酸化物を含む口腔ケア組成物を開示している。ＵＳ５，３３０，７４８は歯磨剤に添加される亜鉛酸化物粒子を開示している。

ＵＳ−Ａ１−２００９／０１８６０９０ ＵＳ−Ａ−６２８７５４１ ＧＢ−Ａ−２０５２９７８ ＵＳ２００９／０２０２４５ ＵＳ４，１８７，２８８ ＷＯ−Ａ−００／５９４６０ ＷＯ−Ａ−２００９／０９５４２３ ＵＳ５，３３０，７４８

S. Y. Gan, et al."Ｚｎ−キレート剤錯体の抗細菌活性"IADR, March 2009

[00012] 一部の態様において、本発明は、口に許容できるビヒクル、象牙質細管より大きくない平均粒子径を有する金属酸化物粒子源および少なくとも１種類のアミノ酸を含む口腔ケア組成物を提供する。一部の態様において、前記の１種類以上のアミノ酸の内の少なくとも１種類は金属酸化物粒子をキレートすることができる。

[00013] 一部の態様において、金属酸化物粒子は１から７ミクロンまでの平均粒子径を有する。一部の態様において、金属酸化物粒子は５ミクロン未満の平均粒子径を有する。

[00014] 金属酸化物は典型的には酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化銅および酸化鉄またはそれらの混合物から選択される少なくとも１種類の金属酸化物を含む。

[00015] 他の態様において、金属酸化物は酸化亜鉛である。
[00016] 金属酸化物粒子は、３〜４ミクロンの粒度分布、５〜７ミクロンの粒度分布、３〜５ミクロンの粒度分布、２〜５ミクロンの粒度分布、または２〜４ミクロンの粒度分布を有していてよい。

[00017] 金属酸化物粒子は、口腔ケア組成物の総重量に基づいて５重量％までの量で、例えば口腔ケア組成物の総重量に基づいて０．５から２重量％の量で存在していてよい。

[00018] 金属酸化物は、粉末、ナノ粒子溶液もしくは懸濁液、またはポリマーもしくはビーズ中に封入された（ｅｎｃａｐｓｕｌａｔｅｄ）形から選択される少なくとも１種類の形で口腔ケア組成物中に組み込まれてよい。

[00019] 好ましくは、少なくとも１種類のアミノ酸はアルギニン、Ｌ−アルギニン、システイン、ロイシン、イソロイシン、リシン、Ｌ−リシン、アラニン、アスパラギン、アスパルテート、フェニルアラニン、グルタミン酸塩、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、セリン、チロシン、およびヒスチジン、ならびにそれらの混合物から選択される。

[00020] 典型的には、少なくとも１種類のアミノ酸はＬ−アルギニン、システイン、イソロイシン、Ｌ−リシン、グルタミン酸、セリンおよびそれらの混合物から選択される。

[00021] より典型的には、少なくとも１種類のアミノ酸はＬ−アルギニンを含む。
[00022] 場合により、少なくとも１種類のアミノ酸は口腔ケア組成物の総重量に基づいて５重量％まで、さらに場合により０．５から５重量％、さらになお場合により２．５から４．５重量％の量で存在する。

[00023] 口腔ケア組成物はさらに象牙質細管中での金属酸化物粒子の接着のためのポリマー接着性材料を含んでいてよい。
[00024] 一部の態様において、金属酸化物はポリマー接着性材料中に封入されている。

[00025] 一部の態様において、ポリマー接着性材料は少なくとも１種類のセルロースポリマーを含む。
[00026] 少なくとも１種類のセルロースポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース（ＨＰＭＣ）、ヒドロキシエチルプロピルセルロース（ＨＥＰＣ）、ヒドロキシブチルメチルセルロース（ＨＢＭＣ）、およびカルボキシメチルセルロース（ＣＭＣ）から選択される１種類以上のヒドロキシアルキルセルロースポリマーであってよい。

[00027] 典型的には、ポリマー接着性材料は異なる分子量を有する２種類のヒドロキシアルキルセルロースポリマーの混合物を含み、かつ、金属酸化物は２種類のヒドロキシアルキルセルロースポリマーの混合物中に封入されている酸化亜鉛を含む。

[00028] 他の態様において、ポリマー接着性材料はポリ（エチレンオキシド）ポリマー類、線状ポリビニルピロリドン（ＰＶＰ）および架橋されたポリビニルピロリドン（ＰＶＰ）、ポリエチレングリコール（ＰＥＧ）／ポリプロピレングリコール（ＰＰＧ）コポリマー、エチレンオキシド（ＥＯ）−プロピレンオキシド（ＰＯ）ブロックコポリマー類、エステルガム、シェラック、感圧シリコン接着剤、メタクリレート類、またはそれらの混合物から選択される少なくとも１種類のポリマーを含む。

[00029] 好ましくは、口腔ケア組成物は歯磨組成物、例えば練り歯磨きまたはゲルである。
[00030] あるいは、口腔ケア組成物はマウスリンス、ガム、溶解可能なロゼンジ、および溶解可能な薄膜から選択される形の中に配合される。

[00031] 本発明はさらに、哺乳類の歯の表面に本発明の口腔ケア組成物を適用することを含む、歯の敏感性を低減する方法を提供する。
[00032] 本発明はその上さらに、哺乳類の歯の表面に本発明の口腔ケア組成物を適用することを含む、歯の表面を酸に仲介される分解から保護する方法を提供する。

[00033] 本発明はさらになお、組成物を哺乳類の口の表面にある期間の間少なくとも１日１回適用することを含む、哺乳類の全身の健康を維持または増大する方法を提供し、ここで組成物は以下のものを含む：
ａ．本発明の口腔ケア組成物、ならびに
ｂ．トリクロサン；トリクロサン一リン酸塩；クロルヘキシジン；アレキシジン；ヘキセチジン；サンギナリン；塩化ベンザルコニウム；サリチルアニリド；臭化ドミフェン；塩化セチルピリジニウム（ＣＰＣ）；塩化テトラデシルピリジニウム（ＴＰＣ）；塩化Ｎ−テトラデシル−４エチルピリジニウム（ＴＤＥＰＣ）；オクテニジン；デルモピノール；オクタピノール；ナイシン；亜鉛イオン剤；銅イオン剤；精油類；フラノン類；バクテリオシン類、エチルラウロイルアルギネート、マグノリアの抽出物、金属イオン源、フッ化物、第１スズイオン類、重炭酸アルギニン、ホノキオール、マゴノール（ｍａｇｏｎｏｌ）、ウルソール酸、ウルシック酸（ｕｒｓｉｃ ａｃｉｄ）、モリン、シーバックソーンの抽出物、過酸化物、酵素、ツバキ抽出物、フラボノイド、フラバン、ハロゲン化ジフェニルエーテル、創造的（ｃｒｅａｔｉｖｅ）、およびプロポリスから選択される薬剤。

[00034] 本発明は、歯の表面に本発明に従う組成物を適用することを含む、哺乳類の歯の表面内の象牙質細管を塞ぐ方法も提供する。
[00035] 組成物は追加の療法的および非療法的構成要素を含有していてよく、様々な方法の実施において利用されてもよく、その全ては本発明の範囲内に含まれる。本発明の範囲内の組成物および方法は、例えば哺乳類の歯の敏感性の低減または除去、全身の健康の向上／維持、および／または象牙質細管を塞ぐことにおいて有用である可能性がある。

[00036] 本発明は、本発明者らによる、荷電したアミノ酸およびペプチドは口腔中の軟および／または硬組織への親和性を有し、金属酸化物、例えば酸化亜鉛、酸化第１スズ、または酸化銅をキレートすることもでき、それは療法上有効量で存在する場合に抗プラーク／抗歯石効能を有するという発見に基づいている。そのような錯体を例えば歯のブラッシングにより口腔中に導入すると、アミノ酸／ペプチドは金属酸化物を口の中の望まれる位置に送達するように作用することができる。例えば、酸化亜鉛が象牙質に送達される場合、酸化亜鉛アミノ酸錯体は象牙質細管を塞ぎ、過敏症の軽減を提供することができる。その上さらに、金属酸化物は抗プラーク／抗歯石の処置または予防を提供することができる。

[00037] 本発明者らは、特に、酸化亜鉛の歯磨剤からヒドロキシアパタイト表面への送達をＬ−アルギニンのようなアミノ酸の添加により増大させることができることを見出した。歯磨剤中の酸化亜鉛の形には、粉末、ナノ粒子溶液、および酸化亜鉛のポリマー薄膜またはビーズによる封入が含まれるが、それらに限定されない。

[00038] 図１は、哺乳類の歯の象牙質基質の本発明の口腔ケア組成物の実施例対比較例による処置の結果もたらされた閉塞の発生の比較を示し、未処理、ブラッシングによる処理後、および最初の酸負荷による処理後の基質が示されている。

[00039] 詳細な記述および具体的な実施例は本発明の態様を示すものであるが、説明の目的のみを意図しており、本発明の範囲を限定することは意図していないことは理解されるべきである。

[00040] 下記の定義および限定的ではないガイドラインは、本明細書で述べるこの発明の記述の再吟味において考慮されなければならない。本明細書で用いられる見出し（例えば“背景技術”および“発明の概要”）および副見出し（例えば“組成物”）は、本発明の開示内の題目の全体的な組織化だけを意図しており、本発明の開示またはそのいずれかの観点を制限することを意図していない。特に、“背景技術”において開示されている主題は本発明の範囲内の技術の観点を含んでいてよく、先行技術の列挙を構成してはならない。“発明の概要”において開示されている主題は、本発明の範囲全体またはそのあらゆる態様の余すところのない、または完全な開示では無い。この明細書の節の中での物質の特定の有用性を有するものとしての（例えば“有効な”または“キャリヤー”成分であるとしての）分類または論考は便宜のためになされており、材料が、それがあらゆる所与の組成物中で用いられた際に、本明細書におけるそれの分類に必ず従って、またはそれにのみ従って機能しなければならないという推論を引き出すべきでは無い。

[00041] 本明細書における参考文献の引用は、それらの参考文献が先行技術である、または本明細書で開示される本発明の特許性に何らかの関連を有するという自認を構成しない。背景技術において引用されている参考文献の内容のあらゆる論考は、単に参考文献の著者によりなされた主張の概略的な要約を提供することを意図しており、そのような参考文献の内容の正確さに関する自認を構成しない。本明細書において引用されるそれぞれおよび全ての参考文献を、本明細書にそのまま援用する。

[00042] 記述および具体的な実施例は本発明の態様を示すものであるが、説明の目的のみを意図しており、本発明の範囲を限定することは意図していない。さらに、明記された特徴を有する多数の態様の列挙は、追加の特徴を有する他の態様またはその明記された特徴の異なる組み合わせを組み込む他の態様を除外することを意図していない。具体的な実施例は、この発明の組成物および方法をどのように作る、および用いるかの説明的な目的のために提供されており、別途明示的に記載しない限り、この発明の所与の態様が作られた、もしくは試験された、または作られていない、もしくは試験されていないという表現であることを意図していない。

[00043] 本明細書で用いられる際、語“好ましい”および“好ましくは”は、特定の状況の下で特定の利益を与える本発明の態様を指す。しかし、同じ、または他の状況の下で他の態様も好ましくてよい。さらに、１個以上の好ましい態様の列挙は他の態様が有用ではないことを暗に意味せず、本発明の範囲から他の態様を除外することを意図していない。加えて、組成物およびその方法は、その中で記述されている要素を含んでいてよく、本質的にそれで構成されていてよく、またはそれで構成されていてよい。

[00044] 本明細書で用いられる際、語“含む”およびその変形は、リスト中の品目の列挙が、それもこの発明の材料、組成物、装置、および方法において有用である可能性がある他の同様の品目の除外では無いように限定的で無いことを意図している。

[00045] 本明細書で用いられる際、用語“約”は、この発明の組成物または方法のパラメーターに関する値に適用される場合、その値の計算または測定が、組成物または方法の化学的または物理的特性への実質的な作用を有しないいくらかのわずかな不正確さを許すことを示す。何らかの理由により、“約”により提供される不正確さが、当技術において別の状況でこの通常の意味では理解されない場合、本明細書で用いられる“約”はその値の５％までの可能性のある変動を示す。

[00046] 本明細書で言及される際、全ての組成の百分率は、別途明記しない限り組成物全体の重量による。
[00047] 本明細書で記述する発明には、少なくとも（ａ）アミノ酸および（ｂ）金属酸化物粒子を含有する口腔ケア組成物が含まれる。金属酸化物粒子は象牙質細管より大きくない平均粒子径を有していてよく、あるいはそれは５ミクロン以下の粒子径の中央値を有していてよい。

[00048] 一部の態様において、口腔ケア組成物は金属酸化物をキレートすることができる少なくとも１種類のアミノ酸を含む。少なくとも１種類のアミノ酸は、アルギニン、Ｌ−アルギニン、システイン、ロイシン、イソロイシン、リシン、Ｌ−リシン、アラニン、アスパラギン、アスパルテート、フェニルアラニン、グルタミン酸塩、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン（ｐｒａｌｉｎｅ）、セリン、チロシン、およびヒスチジン、ならびにそれらの混合物から選択されてよい。

[00049] 典型的には、少なくとも１種類のアミノ酸はＬ−アルギニン、システイン、イソロイシン、Ｌ−リシン、グルタミン酸、セリンおよびそれらの混合物から選択される。

[00050] より典型的には、少なくとも１種類のアミノ酸はＬ−アルギニンを含む。
[00051] 少なくとも１種類のアミノ酸は、口腔ケア組成物の総重量に基づいて５重量％まで、さらに場合により０．５から５重量％、さらになお場合により２．５から４．５重量％の量で存在していてよい。

金属酸化物粒子
[00052] 金属酸化物粒子は、５重量％まで、好ましくは２重量％まで、より好ましくは０．５から２重量％、さらにもっと好ましくは１から２重量％の量で存在していてよく、重量はその口腔ケア組成物の総重量に基づく。

[00053] 金属酸化物は、酸化亜鉛、酸化第１スズ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化銅および酸化鉄から選択される１種類以上の金属酸化物を含んでいてよい。そのような金属酸化物の混合物を用いることができる。しかし、酸化亜鉛が最も好ましい。酸化亜鉛は口腔ケア組成物中で用いられた場合に抗プラークおよび抗歯石剤として働くことが当技術において知られている。従って、酸化亜鉛を本発明の好ましい態様の口腔ケア組成物中で用いる場合、酸化亜鉛は二重の機能、すなわち象牙質細管の閉塞および抗プラーク／抗歯石作用の提供を示すことができる。

[00054] 一部の態様において、金属酸化物粒子源は粉末、ナノ粒子溶液または懸濁液、カプセルおよびビーズから選択される。
[00055] 従って、本発明の態様には特定の粒子径の金属酸化物、好ましくは酸化亜鉛の粒子が含まれ、粒子径は象牙質粒子の閉塞を達成するように選択される。

粒子径および分布
[00056] この明細書において、粒度分布はＭａｌｖｅｒｎ粒子径分析器、モデルＭａｓｔｅｒｓｉｚｅｒ ２０００（または比較可能なモデル）（Ｍａｌｖｅｒｎ Ｉｎｓｔｒｕｍｅｎｔｓ， Ｉｎｃ．、マサチューセッツ州サウスボロ）を用いて測定され、ここでヘリウム−ネオンガスレーザービームが例えば水溶液中に懸濁されたシリカヒドロゲル粒子のようなシリカを含有する透明なセルを通して投射される。粒子に当たる光線は粒子径に反比例する角度で散乱される。光検出器のアラント（ａｒｒａｎｔ）がいくつかのあらかじめ決められた角度で光の量を測定する。次いで、測定された光束の値に比例する電気シグナルを、試料および水性分散剤の屈折率により定められる理論上の粒子から予測される散乱パターンに対してマイクロコンピューターシステムにより処理し、金属酸化物の粒度分布を決定する。粒子径を測定する他の方法が当技術で既知であり、本明細書で述べられる開示に基づいて当業者はどのように本発明の金属酸化物粒子の粒子径の中央値、平均粒子径、および／または粒度分布を算出するかを理解するであろうことは理解されるであろう。

[00057] １観点において、本発明の口腔用組成物に関する適切な金属酸化物粒子、例えば酸化亜鉛粒子は、例えば３〜４ミクロンの粒度分布、あるいは５〜７ミクロンの粒度分布、あるいは３〜５ミクロンの粒度分布、あるいは２〜５ミクロンの粒度分布、あるいは２〜４ミクロンの粒度分布を有する。

[00058] 本発明の範囲内の口腔用組成物には、１個以上の粒子が細管内部に入って動かなくなり、それにより知覚される歯の敏感性の低減または除去を達成することができるような、哺乳類の象牙質細管の平均直径より大きくない粒子径の中央値を有する金属酸化物粒子、例えば酸化亜鉛が含まれる。適切な粒子は、例えば８ミクロン以下の粒子径の中央値、あるいは３〜４ミクロンの粒子径の中央値、あるいは５〜７ミクロンの粒子径の中央値、あるいは３〜５ミクロンの粒子径の中央値、あるいは２〜５ミクロンの粒子径の中央値、あるいは２〜４ミクロンの粒子径の中央値を有していてよい。

[00059] 本発明の１観点において、金属酸化物粒子、例えば酸化亜鉛は、粒子径の中央値である粒子径を有する。別の観点において、粒子径は平均（ａｖｅｒａｇｅ（ｍｅａｎ））粒子径である。１態様において、平均粒子は本発明の口腔ケア組成物中の全金属酸化物粒子の少なくとも５％、少なくとも１０％、少なくとも１５％、少なくとも２０％、少なくとも２５％、少なくとも３０％、少なくとも３５％、または少なくとも４０％を構成する。

[00060] 本発明の１観点において、金属酸化物粒子、例えば酸化亜鉛は以下のパラメーターにより特徴付けられる粒子径を有する：約２μｍ〜約４μｍの粒子径の中央値、約０．５μｍ〜約２μｍのｄ１０、および約５μｍ〜約１０μｍのｄ９０。本明細書で用いられる際、ｄ１０は標本抽出された集団の１０％の閾値である直径を有する粒子を指し（すなわち、その集団の１０％がそのｄ１０の値以下である）、ｄ９０は標本抽出された集団の９０％の閾値である直径を有する粒子を指す（すなわち、その集団の９０％がそのｄ９０の値以下である）。別の観点において、金属酸化物、例えば酸化亜鉛は約３μｍ〜約５μｍの粒子径の中央値、約１．５μｍ〜約３μｍのｄ１０、および約６μｍ〜約１１μｍのｄ９０により特徴付けられる粒子径を有する。

[00061] 金属酸化物粒子は、当技術で既知の、または当技術で開発され得るあらゆる手段により調製されてよく、望まれるならば粒子が歯の表面に接着する能力を増大させるために表面修飾されてよい。

接着性微粒子
[00062] 口腔用組成物は、金属酸化物の象牙質細管を塞ぐ粒子に加えて、さらに１種類以上の研磨性微粒子を含んでいてよい。あらゆる研磨性粒子を用いてよく、それは重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム（例えばリン酸二カルシウム二水和物）、硫酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、シリカ（例えば水和シリカ）、酸化鉄、酸化アルミニウム、パーライト、プラスチック粒子、例えばポリエチレン、およびそれらの組み合わせから選択されてよい。特に、研磨剤はリン酸カルシウム（例えばリン酸二カルシウム二水和物）、硫酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、シリカ（例えば水和シリカ）、ピロリン酸カルシウムおよび組み合わせから選択されてよい。沈降シリカ類またはシリカゲル類のようなあらゆるタイプのシリカを用いてよい。

[00063] １態様において、口腔ケア組成物は、シリカが二重の機能を有し、象牙質細管を塞ぐ微粒子としてだけでなく研磨性微粒子としても機能するような口腔ケア組成物中の粒子径および量および分布を有するシリカを含む。そのような二重機能微粒子は、本明細書の他の箇所で記述されているように、商業的に入手可能なシリカ、例えば商業においてＩｎｅｏｓ Ｓｉｌｉｃａｓ（英国ウォリントン）から入手可能なＩＮＥＯＳ ＡＣ４３により提供されてよい。１態様において、本明細書の他の箇所で詳細に記述されているように、そのようなシリカは３μｍから５μｍまでの粒子径の中央値を有する。

[00064] 様々な研磨剤を本発明に従って用いてよい。ある種類の研磨剤は、本明細書で詳細に述べられたようなシリカ粒子を含む。別の種類の研磨剤は、粉末状シリカ類、特にＵＳ−Ｂ−３，５３８，２３０において定義されているようなシリカキセロゲル類である。加えて、ＵＳ−Ｂ−４３５８４３７において述べられているように、研磨性の形の炭酸カルシウムの粉末の形は別の種類の研磨剤である。

[00065] 本発明の組成物は、さらに例えば研磨剤（ｐｏｌｉｓｈｉｎｇ ａｇｅｎｔ）として有用な任意の研磨剤（ａｂｒａｓｉｖｅ）を含んでいてよい。あらゆる口に許容できる研磨剤を用いることができるが、研磨剤のタイプ、粉末度（粒子径）および量は、組成物の通常の使用において歯のエナメル質が過度にすり減らされないように選択されるべきである。適切な任意の研磨剤には、シリカ、例えば沈降シリカの形のもの、またはアルミナと混合されたもの、不溶性ホスフェート類、炭酸カルシウム、およびそれらの混合物が含まれる。研磨剤として有用な不溶性ホスフェート類の中には、オルトホスフェート類、ポリメタホスフェート類およびピロホスフェート類がある。説明的な例は、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウムおよび不溶性ポリメタリン酸ナトリウムである。

ポリマーおよび接着性材料
[00066] 本発明の口腔ケア組成物にはポリマー接着性材料も含まれてよい。ポリマーは、唾液の流れの下での、ならびに酸性の食物および飲料への曝露の間の象牙質細管内での金属酸化物粒子の保持を助けることができる。

[00067] ポリマー接着性材料は、哺乳類の歯の表面に、および／またはやはり歯の表面上に存在している可能性のある異種のバイオフィルムに付着する、当技術で既知の、または開発され得るあらゆるものであることができる。付着はあらゆる手段、例えばイオン性相互作用、ファンデルワールス力、疎水性−親水性相互作用等により起こってよい。接着性材料は、例えば歯の表面に接着するあらゆるホモポリマーまたはコポリマー（以下まとめて“ポリマー”と呼ぶ）であってよい。そのようなポリマーには、セルロースポリマー類、例えば１種類以上のヒドロキシアルキルセルロースポリマー類、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース（ＨＰＭＣ）、ヒドロキシエチルプロピルセルロース（ＨＥＰＣ）、ヒドロキシブチルメチルセルロース（ＨＢＭＣ）、カルボキシメチルセルロース（ＣＭＣ）が含まれる可能性がある。

[00068] １態様において、ポリマー接着性材料はセルロース材料の混合物、例えば異なる分子量を有する２種類のヒドロキシアルキルセルロース材料の混合物を含む。混合物は典型的には異なる分子量の２種類のヒドロキシプロピルメチルセルロース材料の混合物を含む。特に好ましい態様において、２種類のヒドロキシプロピルメチルセルロース材料はＤｏｗ Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｃｏｍｐａｎｙから商品名Ｍｅｔｈｏｃｅｌ Ｅ５およびＭｅｔｈｏｃｅｌ Ｅ５０の下で商業的に入手可能なＨＰＭＣ材料の混合物を含む。

[00069] ポリマー系を改変することは、固体、特に酸化亜鉛の高い装填（ｌｏａｄｉｎｇ）を支えるために薄膜母材の強度を増大させることができる。ポリマー系を異なった形にバランスを取る（ｒｅｂａｌａｎｃｉｎｇ）ことにより、本発明者らは、以前に可能であったよりも多くの有効物質を薄膜中に装填することができる方法を発見した。これは、送達することができるより高い濃度の亜鉛化合物を有する薄膜を作り出し、これらのより高い量を送達するのに必要な薄膜の量も低減する。向上されたより高い装填の亜鉛含有薄膜配合物は、優れた有効性のために表面上により高い沈着を提供する。また、薄膜配合物を亜鉛化合物のより高い装填を保持するように向上することは、製品中で必要とされる薄膜全体の量を低減させ、一方で同時に薄膜のより低い装填を用いて同じ有効性を送達することができる。

[00070] ポリマーには代わりに、または追加でポリ（エチレンオキシド）ポリマー類（例えばＤｏｗ ＣｈｅｍｉｃａｌからのＰＯＬＹＯＸ）、線状ＰＶＰおよび架橋されたＰＶＰ、ＰＥＧ／ＰＰＧコポリマー類（例えばＢＡＳＦ Ｐｌｕｒａｃａｒｅ Ｌ１２２０）、エチレンオキシド（ＥＯ）−プロピレンオキシド（ＰＯ）ブロックコポリマー類（例えばＢＡＳＦ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎから入手可能な商標Ｐｌｕｒｏｎｉｃの下で販売されているポリマー類）、エステルガム、シェラック、感圧シリコン接着剤（例えばＤｏｗ−ＣｏｒｎｉｎｇからのＢｉｏＰＳＡ）、メタクリレート類、またはそれらの混合物が含まれてよい。１態様において、コポリマーは（ＰＶＭ／ＭＡ）を含む。１態様において、コポリマーはポリ（メチルビニルエーテル／無水マレイン酸）を含む。別の態様において、コポリマーはポリ（メチルビニルエーテル／マレイン酸）を含む。別の態様において、コポリマーはポリ（メチルビニルエーテル／マレイン酸）半エステル類を含む。別の態様において、コポリマーはポリ（メチルビニルエーテル／マレイン酸）混合塩類を含む。

[00071] 例えば（数平均または重量平均のどちらかにより算出される）５０，０００〜５００，０００、５００，０００〜２，５００，０００、または２，５００，０００〜１０，０００，０００の分子量が含まれる、あらゆる分子量のポリマーを用いてよい。

[00072] １態様において、メチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸のコポリマーは、１：４から４：１までのモノマー比で用いられてよい。接着性材料として用いられてよい他のポリマーには、ＵＳ−Ａ１−２００６／００２４２４６において列挙されているポリマーが含まれ、その内容を本明細書に援用する。

[00073] 商業的に入手可能なポリマーを本発明において用いてよい。時間の経過に伴い商業的に入手可能なポリマーの正確な大きさ、重量および／または組成が変化する可能性があることが理解されている。本明細書で述べられる開示に基づいて、当業者はそのようなポリマーが本発明において有用であるかどうかをどのように決定するかを理解するであろう。

組成物
[00074] 本発明の１観点において、金属酸化物粒子を含有する口腔ケア組成物（場合によりシリカ粒子を含有していてよい）は歯を脱感作することができる。別の観点において、本発明のそのような組成物は、一般に用いられる脱感作性歯磨剤よりも優れた歯の脱感作を提供する。限定的では無い例として、本発明の金属酸化物粒子を含有する歯磨剤は、数ある作用の中でも、一般に用いられる歯磨剤もしくは一般に用いられる脱感作性歯磨剤よりも大きな脱感作を提供することにより、一般に用いられる歯磨剤もしくは一般に用いられる脱感作性歯磨剤よりも急速に脱感作を提供することにより、またはより大きな脱感作およびより急速な脱感作の組み合わせにより、歯の脱感作を提供する。１態様において、本発明の金属酸化物粒子を含有する組成物は、あらゆる他の脱感作剤の非存在下で脱感作および／または優れた脱感作を提供する。別の態様において、本発明の金属酸化物粒子を含有する組成物は脱感作および／または優れた脱感作を提供し、本明細書の他の箇所で記述されているような１種類以上の追加の脱感作剤、例えばシリカ粒子を含有していてよい。

[00075] 本発明は、金属酸化物粒子を含有する脱感作性組成物の使用および／または適用の方法も含み、それは場合によりシリカ粒子を含有していて良い。１態様において、そのような金属酸化物粒子を含有する組成物は一般に用いられるブラッシングの技法（例えば歯ブラシの使用）により歯に適用されてよい。別の態様において、そのような金属酸化物粒子を含有する組成物は一般に用いられるブラッシングの技法以外の方法により歯に適用されてよい。適用の他の方法には、手作業での適用（例えば、１本以上の指を用いて、歯の表面上にこすり付けて、円状の動きでこすり付けて、等で組成物を歯に適用する）、またはあらゆる既知の歯用の器具または塗布具（ａｐｐｌｉｃａｔｏｒ）を用いる適用が含まれる。本明細書で述べられる開示に基づいて、場合により様々な程度の物理的圧力を用いて組成物を歯の上に塗り付けるあらゆる方法が本発明に含まれることは理解されるであろう。

[00076] 本発明に従う歯の脱感作は、本明細書で述べられるあらゆる技法、または当業者に既知のあらゆる技法により測定されてよい。
[00077] 組成物の歯の表面への適用は、結果として１個以上の象牙質細管中への組成物の導入をもたらす。組成物は、本明細書において述べられた、または当技術において既知のあらゆる方法により歯に適用される。

[00078] 一部の態様において、口腔ケア組成物は、望まれる可能性があるようなあらゆる他の療法用、化粧用、および／または美的（ａｅｓｔｈｅｔｉｃ）材料を含んでいてよい。例には、非シリカ脱感作剤（例えば、数ある中でも、硝酸塩、アルギニンエステル、重炭酸塩、硝酸カリウム、アルギニン−重炭酸−フィチン酸複合体、クエン酸カリウム、およびアルギニン）、化学的白化剤（例えば過酸化物を放出する化合物）、不透明な白化剤（例えばヒドロキシアパタイト）および抗歯石剤が含まれる。本発明の口腔ケア組成物中に含ませるための他の選択肢には、トリクロサン；第１スズイオン剤；クロルヘキシジン；アレキシジン；ヘキセチジン；サンギナリン；塩化ベンザルコニウム；サリチルアニリド；臭化ドミフェン；塩化セチルピリジニウム（ＣＰＣ）；塩化テトラデシルピリジニウム（ＴＰＣ）；塩化Ｎ−テトラデシル−４−エチルピリジニウム（ＴＤＥＰＣ）；オクテニジン；デルモピノール；オクタピノール；ナイシン；亜鉛イオン剤；銅イオン剤；精油類；フラノン類；バクテリオシン類、エチルラウロイルアルギネート、マグノリアの抽出物、金属イオン源、重炭酸アルギニン、ホノキオール、マゴノール、ウルソール酸、ウルシック酸（ｕｒｓｉｃ ａｃｉｄ）、モリン、シーバックソーンの抽出物、酵素、ツバキ抽出物、フラボノイド、フラバン、ハロゲン化ジフェニルエーテル、クレアチン、およびプロポリスが含まれる。

[00079] 口腔ケア組成物は特に歯磨組成物であってよく、それは練り歯磨きまたはゲルであってよい。
[00080] 本発明に従う組成物は、以下のものから選択されてよい抗微生物剤を含んでいてよい：ハロゲン化ジフェニルエーテル（トリクロサン）、草の抽出物または精油類（例えばローズマリーの抽出物、チモール、メントール、ユーカリプトール、サリチル酸メチル）、ビスグアニド系防腐剤（例えば、クロルヘキシジン、アレキシジンまたはオクテニジン）、フェノール系防腐剤、ヘキセチジン、ポビドンヨード、デルモピノール（ｄｅｌｍｏｐｉｎｏｌ）、サリフルオル（ｓａｌｉｆｌｕｏｒ）、サンギナリン、プロポリス、酸素化剤（例えば過酸化水素、緩衝したペルオキシホウ酸ナトリウム、またはペルオキシ炭酸ナトリウム）、塩化セチルピリジニウム、マグノリアの抽出物、マグノロール、ホノキオール、ブチルマグノロール、プロピルホノキオール、およびそれらの混合物。抗付着剤、例えばＳｏｌｒｏｌ、およびプラーク分散剤、例えば酵素（パパイン、グルコアミラーゼ、等）も含まれ得る。

[00081] 本発明に従う組成物は、典型的には抗プラーク剤、白化剤、抗細菌剤、洗浄剤、香味剤、甘味剤、接着剤、界面活性剤、発泡調節剤（ｆｏａｍ ｍｏｄｕｌａｔｏｒｓ）、研磨剤、ｐＨ修正剤（ｐＨ ｍｏｄｉｆｙｉｎｇ ａｇｅｎｔｓ）、湿潤剤、食感剤（ｍｏｕｔｈ ｆｅｅｌ ａｇｅｎｔｓ）、着色剤、研磨剤、歯石制御（抗歯石）剤、フッ化物イオン源、唾液刺激剤、栄養素およびそれらの組み合わせから選択される１種類以上のさらなる薬剤も含んでいてよい。組成物に添加することができる様々な構成要素には、例えば甘味剤、例えばサッカリン、またはサッカリンナトリウム、アルコール類、例えばエタノール、フッ化物イオン源、例えばフッ化ナトリウム、およびグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール類、ポロキサマー（Ｐｏｌｏｘｏｍｅｒ）ポリマー類、例えばＰＯＬＯＸＯＭＥＲ ４０７、ＰＬＵＲＯＮＩＣ Ｆ１０８（共にＢＡＳＦ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎから入手可能である）、アルキルポリグリコシド（ＡＰＧ）、ポリソルベート、ＰＥＧ４０、ヒマシ油、メントール、および同様のものが含まれる。

[00082] 本明細書において有用である香味料の中の香味料には、組成物の味を高めるように作用することができるあらゆる材料または材料の混合物が含まれる。あらゆる口に許容できる天然または合成の香味料、例えば香味油、香味アルデヒド類、エステル類、アルコール類、類似の材料、およびそれらの組み合わせを用いることができる。香味料には、バニリン、セージ、マヨラマ、パセリ油、スペアミント油、桂皮油、ウィンターグリーンの油（サリチル酸メチル）、ペパーミント油、チョウジ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、柑橘油、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、アプリコット、バナナ、ブドウ、リンゴ、イチゴ、サクランボ、パイナップル等に由来する果実油およびエッセンス剤（ｅｓｓｅｎｃｅｓ）を含む果実油およびエッセンス剤、豆および木の実由来の香味、例えばコーヒー、ココア、コーラ、ピーナッツ、アーモンド等、吸着された、および封入された香味料、ならびにそれらの混合物が含まれる。芳香および／または冷却または昇温作用を含む口の中の他の感覚作用を提供する成分も、本明細書における香味料の範囲内に含まれる。そのような成分には、メントール、酢酸メンチル（ｍｅｎｔｈｙｌ ａｃｅｔａｔｅ）、乳酸メンチル、ショウノウ、ユーカリ油、ユーカリプトール、アネトール、ユージノール、カシア（ｃａｓｓｉａ）、オキサノン（ｏｘａｎｏｎｅ）、[アルファ]−イリソン（[ａｌｐｈａ]−ｉｒｉｓｏｎｅ）、プロペニルグエトール（ｐｒｏｐｅｎｙｌ ｇｕａｉｅｔｈｏｌ）、チモール、リナロール、ベンズアルデヒド、桂皮アルデヒド、Ｎ−エチル−ｐ−メンタン−３−カルボキサミン（Ｎ−ｅｔｈｙｌ−ｐ−ｍｅｎｔｈａｎ−３−ｃａｒｂｏｘａｍｉｎｅ）、Ｎ，２，３−トリメチル−２−イソプロピルブタンアミド、３−１−メントキシプロパン−１，２−ジオール（３−１−ｍｅｎｔｈｏｘｙｐｒｏｐａｎｅ−１，２−ｄｉｏｌ）、桂皮アルデヒドグリセロールアセタール（ＣＧＡ）、メトングリセロールアセタール（ｍｅｔｈｏｎｅ ｇｌｙｃｅｒｏｌ ａｃｅｔａｌ）（ＭＧＡ）、およびそれらの混合物が含まれる。１種類以上の香味料は場合により約０．０１％〜約５％、場合により様々な態様において約０．０５から約２％まで、約０．１％から約２．５％まで、および約０．１から約０．５％までの総量で存在する。

[00083] 本明細書において有用である甘味剤の中の甘味剤には、デキストロース、ポリデキストロース、スクロース、マルトース、デキストリン、乾燥した転化糖、マンノース、キシロース、リボース、フルクトース、レブロース、ガラクトース、コーンシロップ、部分的に加水分解されたデンプン、水素化デンプン加水分解物、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、イソマルト（ｉｓｏｍａｌｔ）、アスパルテーム、ネオテーム（ｎｅｏｔａｍｅ）、サッカリンおよびその塩類、スクラロース、ジペプチドに基づく強い甘味料、シクラメート類、ジヒドロカルコン類、ならびにそれらの混合物が含まれる。

[00084] 食感剤には、組成物の使用の間に望ましい質感または他の感触を与える材料が含まれる。
[00085] 本明細書において有用な着色剤の中の着色剤には、顔料、染料、レーキおよび特定の光沢または反射性を与える薬剤、例えばパール化剤（ｐｅａｒｌｉｎｇ ａｇｅｎｔ）が含まれる。様々な態様において、着色剤は歯の表面上に白色または淡色のコーティングを提供する、組成物により有効に接触された歯の表面上の位置の指標として働く、および／または、組成物の外観、特に色および／または不透明度を改変して消費者への魅力を増進させるように作用することができる。ＦＤ＆Ｃ染料および顔料、タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、シリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、赤色、黄色、茶色および黒色酸化鉄、フェロシアン化第二鉄アンモニウム、マンガンバイオレット、ウルトラマリン、チタン化雲母（ｔｉｔａｎｉａｔｅｄ ｍｉｃａ）、オキシ塩化ビスマス、ならびにそれらの混合物を含むあらゆる口に許容できる着色剤を用いることができる。１種類以上の着色剤は、場合により約０．００１％〜約２０％、例えば約０．０１％〜約１０％または約０．１％〜約５％の総量で存在する。

[00086] 本発明の組成物は場合により歯石制御（抗歯石）剤を含む。本明細書において有用な歯石制御剤の中の歯石制御剤には、これらの薬剤のいずれかの塩類、例えばそれらのアルカリ金属およびアンモニウム塩類が含まれる：ホスフェート類およびポリホスフェート類（例えばピロホスフェート類）、ポリアミノプロパンスルホン酸（ＡＭＰＳ）、ポリオレフィンスルホネート類、ポリオレフィンホスフェート類、ジホスホネート類、例えばアザシクロアルカン−２，２−ジホスホネート類（例えば、アザシクロヘプタン−２，２−ジホスホン酸）、Ｎ−メチルアザシクロペンタン−２，３−ジホスホン酸、エタン−１−ヒドロキシ−１，１−ジホスホン酸（ＥＨＤＰ）およびエタン−１−アミノ−１，１−ジホスホネート、ホスホノアルカンカルボン酸。有用な無機リン酸およびポリリン酸塩類には、一塩基性、二塩基性および三塩基性リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸一、二、三および四ナトリウム、トリメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムならびにそれらの混合物が含まれる。

[00087] 本発明の組成物は場合により、例えば抗齲食剤として有用なフッ化物イオン源を含む。カリウム、ナトリウムおよびアンモニウムのフッ化物およびモノフルオロリン酸塩、フッ化第１スズ、フッ化インジウム、アミンフッ化物類、例えばオラフルール（ｏｌａｆｌｕｒ）（Ｎ’−オクタデシルトリメチレンジアミン−Ｎ，Ｎ，Ｎ’−トリス（２−エタノール）−ジヒドロフルオリド）、およびそれらの混合物を含む、あらゆる口に許容できる微粒子化されたフッ化物イオン源を用いることができる。場合により、１種類以上のフッ化物イオン源が、口腔用組成物に臨床的に効果的な量の可溶性フッ化物イオンを提供する量で存在する。

[00088] 本発明の組成物は場合により、例えば口内乾燥の改善において有用である唾液刺激剤を含む。限定では無いが食物酸（ｆｏｏｄ ａｃｉｄｓ）、例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、アスコルビン酸、アジピン酸、フマル酸および酒石酸、ならびにそれらの混合物が含まれるあらゆる口に許容できる唾液刺激剤を用いることができる。場合により、１種類以上の唾液刺激剤が、唾液を刺激するのに有効な総量で存在する。

[00089] 本発明の組成物は場合により栄養素を含む。適切な栄養素には、ビタミン類、鉱質、アミノ酸、およびそれらの混合物が含まれる。ビタミン類にはビタミンＣおよびＤ、チアミン、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、シアノコバラミン、パラアミノ安息香酸、バイオフラボノイド類、ならびにそれらの混合物が含まれる。栄養補給剤には、アミノ酸（例えばＬ−トリプトファン、Ｌ−リシン、メチオニン、スレオニン、レボカルニチンおよびＬ−カルニチン）、脂向性物質（ｌｉｐｏｔｒｏｐｉｃｓ）（例えばコリン、イノシトール、ベタイン、およびリノール酸）、およびそれらの混合物が含まれる。

[00090] 本発明に従う歯磨組成物は、練り歯磨きまたはゲルのような製品において口に許容できるキャリヤーを含む。本明細書で用いられる際、“口に許容できるキャリヤー”は本発明の組成物中での使用に関して安全であり、適度な利益／危険性比と釣り合う材料または材料の組み合わせを指す。

[00091] 従って、好ましくは、この発明において用いられるための具体的な材料および組成物は、医薬的に、または化粧的に許容でき、臨床的に有効であり、および／または臨床的に効果的である。本明細書で用いられる際、そのような“医薬的に許容できる”または“化粧的に許容できる”、“臨床的に有効な”、および／または“臨床的に効果的な”構成要素は、ヒトおよび／または動物での使用に適した構成要素であり、適切な量（臨床的に効果的な量）で提供されて、過度の有害な副作用（例えば毒性、刺激、およびアレルギー反応）無しに、適度な利益／危険性比と釣り合う望まれる療法的、予防的、感覚的、装飾的、または化粧的利益を提供する。

[00092] 本明細書において記述される口腔ケア組成物は、金属酸化物粒子およびアミノ酸、ならびに存在する場合はポリマー接着性材料の歯の表面への接触を可能にするあらゆる送達形中に配合されてよい。例えば、組成物はマウスリンス、ペースト、ゲル、（溶解可能な、または噛むことができる）ロゼンジ、スプレー、ガム、および（完全にまたは部分的に溶解可能な、または溶解不能な）薄膜中に配合されてよい。組成物はあらゆる一般に用いられる賦形剤またはキャリヤーを含有していてよいが、これらは選択される剤形または投薬の手段に依存して様々であろう。賦形剤またはキャリヤーには、例えば湿潤剤、着色剤、香味料（ｆｌａｖｏｒａｎｔｓ）、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、および／またはプロピレングリコール、水または他の溶媒、ガム基礎剤（ｇｕｍ ｂａｓｅｓ）、増粘剤、界面活性剤、カラギーナン（リッチモス（ｒｉｃｈ ｍｏｓｓ））、キサンタンガムおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロースおよび非晶質シリカ類が含まれ得る。

[00093] 望まれるならば、界面活性剤が含まれていてよい。適切な界面活性剤の例には、高級脂肪酸モノグリセリドモノサルフェート類の水溶性塩類、例えば硬化ヤシ油脂肪酸の一硫化（ｍｏｎｏｓｕｌｆａｔｅｄ）モノグリセリドのナトリウム塩；高級アルキルサルフェート類、例えばラウリル硫酸ナトリウム；アルキルアリールスルホネート類、例えばナトリウム ドデシルベンゼンスルホネート；高級アルキルスルホアセテート類、例えばナトリウム ラウリルスルホアセテート；１，２−ジヒドロキシプロパンスルホネートの高級脂肪酸エステル類；および低級脂肪族アミノカルボン酸化合物の実質的に飽和した高級脂肪族アシルアミド類、例えば脂肪酸、アルキルまたはアシル基中に１２〜１６個の炭素を有するそれら；および同様のものが含まれる。最後に挙げたアミド類の例には、Ｎ−ラウロイルサルコシン、ならびにＮ−ラウロイル、Ｎ−ミリストイル、またはＮ−パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウム、およびエタノールアミン塩類が含まれる。他には、例えば非陰イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤、例えばＰｏｌｙｏｘａｍｅｒ ４０７、Ｓｔｅａｒｅｔｈ ３０、Ｐｏｌｙｓｏｒｂａｔｅ ２０、およびヒマシ油；ならびに両性界面活性剤、例えばコカミドプロピルベタイン（テゴバイン（ｔｅｇｏｂａｉｎｅ））、およびコカミドプロピルベタインラウリルグルコシド；エチレンオキシドの、それと反応性であり長い炭化水素鎖（例えば、１２から２０個までの炭素原子の脂肪族鎖）を有する様々な水素を含有する化合物との縮合生成物であって、縮合生成物（エトキサマー（ｅｔｈｏｘａｍｅｒｓ））が親水性ポリオキシエチレン部分、例えばポリ（エチレンオキシド）の脂肪酸、脂肪アルコール（ｆａｔｔｙ， ａｌｃｏｈｏｌｓ）、脂肪アミドおよび他の脂肪族部分との、ならびにプロピレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド類との縮合生成物を含有するものが含まれる。

[00094] １態様において、口腔用組成物には、ラウリル硫酸ナトリウム（ｓｏｄｉｕｍ ｌａｕｒｅｌ ｓｕｌｆａｔｅ）（ＳＬＳ）およびコカミドプロピルベタインである界面活性剤系が含まれる。

[00095] 本発明の口腔ケア組成物は、当技術で既知のあらゆる手段により調製されてよい。例えば、歯磨剤に関する調製法は、例えばＵＳ−Ｂ−３９６６８６３；ＵＳ−Ｂ−３９８０７６７；ＵＳ−Ｂ−４３２８２０５；およびＵＳ−Ｂ−４３５８４３７において記述されているように周知であり、その内容を本明細書に援用する。通常は、いずれかの湿潤剤（例えばグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、および／またはポリエチレングリコール）を、一般に用いられるミキサー中で水中で撹拌の下で分散させる。分散液の中に、シックナー、例えばカルボキシメチルセルロース（ＣＭＣ）、カラギーナン、またはキサンタンガム；いずれかの陰イオン性ポリカルボキシレート；いずれかの塩類、例えばフッ化ナトリウム抗齲食剤；およびいずれかの甘味料を添加する。

[00096] 得られた混合物を、均質なゲル相が形成されるまで攪拌する。ゲル相の中に、利用するいずれかの顔料、例えばＴｉＯ_２、および加えて組成物のｐＨを調節するために必要ないずれかの酸または塩基を添加する。これらの成分を、均質な相が得られるまで混合する。

[00097] 次いで混合物を高速／真空ミキサーに移し、そこで界面活性剤成分を混合物に添加する。続いて利用する金属酸化物粒子およびいずれかのシリカ粒子を添加する。あらゆる水に不溶性の薬剤、例えばトリクロサンを、歯磨剤中に含ませるために香味油中で可溶化し、溶液を界面活性剤と共に混合物に添加し、次いでそれを２０〜５０ｍｍＨｇの真空下で５から３０分間までの範囲で高速で混合する。得られた生成物は、均質で半固体の押し出し可能なペーストまたはゲル生成物である。

使用の方法
[00098] 本発明に従う口腔ケア、例えば歯磨組成物は、ヒトまたは他の動物の対象に投与または適用することができる。組成物は、ヒトまたは動物の対象の口腔への投与または適用に適している。

[00099] 本発明は、その範囲内にいくつかの関連する方法も含む。例えば、本発明はその範囲内に哺乳類の歯の象牙質細管を低減する方法およびふさぐ方法、酸に仲介される分解から象牙質を保護する方法、ならびに歯の敏感性を低減する方法を含む。

[000100] これらの方法のそれぞれには、上記の組成物のいずれかを歯の表面に適用する工程が含まれる。適用は、接着性材料および粒子が歯の表面と接触した状態に置かれる限り、いずれの方法により実行されてもよい。適用は、ブラッシング、フロッシング、予防、洗浄（ｉｒｒｉｇａｔｉｎｇ）、拭き（ｗｉｐｉｎｇ）、すすぎ（口腔の洗浄）、泡／ゲルおよびトレイ中での（ｉｎ−ｔｒａｙ）適用、咀嚼（ｍａｓｔｉｃａｔｉｎｇ）、スプレー、塗布等により成し遂げられてよく、またはフィルムもしくは細片（ｓｔｒｉｐ）により適用されてよい。

[000101] 歯の敏感性は、本発明の方法に従って本発明の組成物を歯の表面に適用することにより低減することができる。組成物は、本明細書の他の箇所において詳細に記述されているように伝統的な方法を用いて、または典型的に歯への使用と関係していようといなかろうとあらゆる器具もしくは塗布具により適用されてよい。１態様において、１本以上のヒトの指を用いて歯の敏感性を低減する組成物を１本以上の歯に適用する。指は、組成物を歯の表面上に塗りつけるために、または別のやり方で組成物を歯の表面に適用するために用いることができる。

[000102] あるいは、本発明は複合物（ｃｏｍｐｏｓｉｔｅ）を口の表面（口腔の硬組織および軟組織両方）に適用することにより哺乳類の全身の健康を増大または維持するための方法を含む。この方法における使用のための組成物は、それがトリクロサン；トリクロサン一リン酸塩；クロルヘキシジン；アレキシジン；ヘキセチジン；サンギナリン；塩化ベンザルコニウム；サリチルアニリド；臭化ドミフェン；塩化セチルピリジニウム（ＣＰＣ）；塩化テトラデシルピリジニウム（ＴＰＣ）；塩化Ｎ−テトラデシル−４−エチルピリジニウム（ＴＤＥＰＣ）；オクテニジン；デルモピノール；オクタピノール；ナイシン；亜鉛イオン剤；銅イオン剤；精油類；フラノン類；バクテリオシン類、エチルラウロイルアルギネート、マグノリアの抽出物、金属イオン源、重炭酸アルギニン、ホノキオール、マゴノール、ウルソール酸、ウルシック酸（ｕｒｓｉｃ ａｃｉｄ）、モリン、シーバックソーンの抽出物、過酸化物、酵素、ツバキ抽出物、フラボノイド、フラバン、ハロゲン化ジフェニルエーテル、クレアチン、およびプロポリスの少なくとも１種類を含有するならば、上記のいずれのものであってもよい。適用は少なくとも１日１回であってよいが、１日あたり５回までが好まれる可能性があり、例えば１週間、１年間まで、３年間まで、または一生涯の間のようなある継続期間にわたって実行されてよい。

[000103] ここで、以下の限定的でない実施例と関連して様々な態様を記述する。

実施例１
[000104] 表１の配合を有する歯磨組成物を調製した。実施例および比較例において用いられた組成物は、異なる量の酸化亜鉛（０から２重量％まで異なる）およびアミノ酸（０から５重量％まで異なる）を有していた。実施例１に関して、歯磨組成物は１重量％の酸化亜鉛粉末を含んでおり、ＺｎＯはポリマー薄膜中に、特にＭｅｔｈｏｃｅｌ Ｅ５およびＭｅｔｈｏｃｅｌ Ｅ５０を含む２種類の異なる分子量のＨＰＭＣ材料の組み合わせを含むポリマー薄膜中に、５０重量％の装填で封入されていた。組み合わせられた酸化亜鉛／ポリマー薄膜は１重量％のＺｎＯおよび１重量％のポリマー薄膜を含み、それぞれの重量は組成物の総重量に基づく。実施例１に関して、歯磨組成物は４．３重量％のＬ−アルギニンも含んでいた。

[000105]

[000106] 亜鉛のヒドロキシアパタイトへの送達を測定するため、歯磨剤を１重量部の歯磨剤対２重量部の水で希釈し、攪拌して歯磨剤を分散させた。次に、唾液でコートされたヒドロキシアパタイトの円板をこのスラリーに入れた。円板をそのスラリーで１０分間処理し、次いで５ｍＬの水で３回すすいだ。次いで円板を硝酸で消化し、原子吸光分光分析により総亜鉛を測定した。

[000107] スラリーとして用いた場合のＬ−アルギニンおよびポリマー薄膜から送達される酸化亜鉛を含有する実施例１の歯磨配合物からの亜鉛の取り込みのデータを表２において提供する。

[000108] 実施例１から亜鉛の取り込みが有意であったことが分かる。
[000109]

比較例１
[000110] 比較例１に関して、表１の配合を有する歯磨組成物を調製し、それは（実施例１と同様に）ポリマー薄膜中に封入された１重量％のＺｎＯを含んでいたが、キレート性分子、例えばＬ−アルギニンが存在しない点で実施例１と比較して修正されていた。

[000111] その結果も表２において示す。比較例１から、亜鉛の取り込みが実施例１に関してよりも有意に低く、ほぼ１桁低かったことが分かる。
[000112] 実施例１および比較例１の比較は、キレート剤が酸化亜鉛の象牙質表面への送達を、特にポリマー薄膜との組み合わせで用いられた場合に増進することを示している。

実施例２〜７および比較例２
[000113] 実施例２に関して異なる量のＬ−アルギニンを用いて、実施例３〜７に関して異なる量の異なるアミノ酸を用いたことを除き、実施例１を繰り返した。加えて、実施例２〜７に関して、配合物の全ては１％のＺｎＯを粉末として含有し、実施例１に関するようなポリマー薄膜は存在しなかった。実施例２〜７は１．４：１のモル比のＺｎＯ粉末に対するそれぞれのアミノ酸を用いた。比較例２に関して、ここでもアミノ酸は存在せず、ＺｎＯは粉末として存在した。

[000114] 上記で実施例１に関して記述したような亜鉛取り込み試験の結果を表３において要約する。酸化亜鉛粉末および様々なアミノ酸を含有する実施例２〜７の歯磨配合物からの亜鉛取り込みのデータを表３において示し、比較例２からの結果も同様に示す。

[000115] 表２および３両方における実施例１および２の比較は、亜鉛の取り込みは歯磨剤へのＬ−アルギニンの添加により有意に増大されること、およびその作用は酸化亜鉛が歯磨剤にポリマー薄膜中に封入されて添加されても（実施例１）粉末として添加されても（実施例２）観察されることを確証している。表３は、亜鉛の取り込みが様々なアミノ酸により増大され得ることを強調している。

[000116] これらの実施例および比較例の結果は、アミノ酸が口腔中に見られる表面と類似の表面への不溶性亜鉛酸化物の送達を向上することができることを実証している。亜鉛酸化物の増大された送達は、亜鉛の増大と関係する抗細菌の利益を向上するはずである。

[000117] これらの実施例は、亜鉛を口腔中の表面に送達することができると思われるいくつかのアミノ酸に証拠を提供する。追加のアミノ酸、例えばロイシン、リシン、アラニン、アスパラギン、アスパルテート、フェニルアラニン、グルタメート、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン（ｐｒａｌｉｎｅ）、チロシン、およびヒスチジンを用いることもできるであろう。他の金属酸化物粒子、例えば酸化第１スズまたは酸化銅の口腔中の表面への送達も、アミノ酸との組み合わせにより向上される可能性がある。

実施例３
[000118] 実施例３は、アミノ酸が酸化亜鉛のためのキレート剤として含まれる歯磨配合物の閉塞効能を評価するために実施された。

[000119] 実施例３に関して、（実施例２のような）１重量％の酸化亜鉛粉末および３重量％のＬ−アルギニンを含むアミノ酸を含む、表１の配合を有する歯磨組成物を調製した。

[000120] 歯磨配合物の閉塞効能を評価するため、ヒトの臼歯から象牙質の円板を調製した。臼歯を薄く切り、紙やすりをかけ、研磨した。最後に、円板を６重量％クエン酸でエッチングし、超音波処理して象牙質表面上の細管を開いた。それぞれの円板を機械式歯ブラシおよび重量により１：２の水対歯磨剤スラリーを用いて１分３０秒間ブラッシングした。ブラッシングの後、円板を水で１５秒間すすぎ、次いでリン酸緩衝溶液中で１５分間保管した。この処理のサイクルを円板あたり７回繰り返した。７回目の処理の後、円板を共焦点顕微鏡を用いて調べ、歯磨剤製品による表面の被覆の程度を画像化した。次いで円板を（市販のコーラ炭酸飲料を用いる）１分間の酸負荷に曝露し、それぞれの処理の後に調べて象牙質細管中に残っている製品の量を評価した。この試験の結果を図１において示す。

[000121] 実施例３に関して、７回のブラッシングサイクルの後、象牙質細管の良好な閉塞が存在していたことがわかる。コーラを用いた１２回のそれに続く酸負荷のサイクルの後、まだ象牙質細管の良好な閉塞が存在していた。

比較例３
[000122] 比較例３に関して、実施例３の配合（すなわち１重量％のＺｎＯ粉末）を有するがＬ−アルギニンを抜かした歯磨組成物を調製した。この歯磨剤に実施例３と同じ閉塞効能試験を施し、その結果も図１において示す。比較例３に関して、７回のブラッシングサイクルの後、象牙質細管の乏しい閉塞が存在していたことが分かる。コーラを用いた１２回のそれに続く酸負荷のサイクルの後、象牙質細管のさらに劣った閉塞が存在していた。

[000123] 実施例３および比較例３の比較は、金属酸化物粒子、特に酸化亜鉛粒子が、キレート剤としてのアミノ酸、例えばＬ−アルギニンとの組み合わせで用いられた場合に良好な象牙質の閉塞を提供することを示している。

[000124] 理論により束縛されるわけではないが、アミノ酸はおそらく酸化亜鉛および象牙質の間で橋を形成することにより象牙質細管内部での、および口腔中の他の表面へのＺｎＯの接着を向上させると信じられる。アミノ酸上の負に荷電したカルボキシレート基は（B. Muller and W. Klager, Corrosion Science, 38 (1996), pages.1869-1875による“フェノール誘導体による亜鉛顔料の腐食抑制へのｐＨの作用”と題された論文において開示されているように、酸化亜鉛に関する９未満のｐＨにおける正のゼータ電位の存在により）酸化亜鉛に結合し、その正に荷電した基が対応して象牙質の表面に結合するのではないかと思われる。全てのアミノ酸は生理的ｐＨにおいて双性イオン性であり、従ってアミノ酸は荷電した粒子を口腔中の荷電した表面に結合させることができる可能性があると信じられる。アミノ酸のＲ基の電荷および官能性はアミノ酸の間で異なる；しかし、本発明者らによる本研究から、表３の結果により明示されるように、Ｒ基上の電荷／官能性はヒドロキシアパタイト表面への亜鉛の取り込みへの重大な影響を有しないと思われる。

[000125] 図１において示したように、本発明者らは、Ｌ−アルギニンによる酸化亜鉛の象牙質への増大された送達は、酸化亜鉛のみよりも酸の攻撃に対して耐性である象牙質細管の閉塞を提供することを見出した。象牙質細管の閉塞は過敏症の軽減と関係しているため、これは酸化亜鉛／アミノ酸系により提供される追加の可能性のある利益である。

Claims (26)

1. 以下：
   口に許容できるビヒクル；
   酸化亜鉛粒子が１から７μｍの粒子径の中央値を有する酸化亜鉛粒子源；および
   前記酸化亜鉛粒子をキレートすることができる１種類以上のアミノ酸
   を含む口腔ケア組成物。
2. 酸化亜鉛粒子が５μｍ以下の粒子径の中央値を有する、請求項１に記載の口腔ケア組成物。
3. 酸化亜鉛粒子が３〜４μｍの粒度分布、５〜７μｍの粒度分布、３〜５μｍの粒度分布、２〜５μｍの粒度分布、または２〜４μｍの粒度分布を有する、請求項１又は２に記載の口腔ケア組成物。
4. 酸化亜鉛粒子が口腔ケア組成物の総重量に基づいて５重量％までの量で存在する、請求項１〜３のいずれか１項に記載の口腔ケア組成物。
5. 酸化亜鉛粒子が口腔ケア組成物の総重量に基づいて０．５から２重量％の量で存在する、請求項４に記載の口腔ケア組成物。
6. 酸化亜鉛源が粉末、ナノ粒子溶液；ナノ粒子懸濁液；カプセル；およびビーズから選択される、請求項１〜５のいずれか１項に記載の口腔ケア組成物。
7. 前記の１種類以上のアミノ酸の内の少なくとも１種類がアルギニン、Ｌ−アルギニン、システイン、ロイシン、イソロイシン、リシン、Ｌ−リシン、アラニン、アスパラギン、アスパルテート、フェニルアラニン、グルタミン酸塩、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、セリン、チロシン、およびヒスチジン、ならびにそれらの２種類以上の組み合わせから選択される、請求項１〜６のいずれか１項に記載の口腔ケア組成物。
8. 前記の１種類以上のアミノ酸の内の少なくとも１種類がＬ−アルギニン、システイン、イソロイシン、Ｌ−リシン、グルタミン酸、セリンおよびそれらの２種類以上の組み合わせから選択される、請求項７に記載の口腔ケア組成物。
9. 前記の１種類以上のアミノ酸の内の少なくとも１種類がＬ−アルギニンである、請求項８に記載の口腔ケア組成物。
10. 前記の１種類以上のアミノ酸の内の少なくとも１種類が口腔ケア組成物の総重量に基づいて５重量％までの量で存在する、請求項１〜９のいずれか１項に記載の口腔ケア組成物。
11. 前記の１種類以上のアミノ酸の内の少なくとも１種類が口腔ケア組成物の総重量に基づいて０．５から５重量％の量で存在する、請求項１０に記載の口腔ケア組成物。
12. 前記の１種類以上のアミノ酸の内の少なくとも１種類が口腔ケア組成物の総重量に基づいて２．５から４．５重量％の量で存在する、請求項１１に記載の口腔ケア組成物。
13. さらにポリマー接着性材料を含む、請求項１〜１２のいずれか１項に記載の口腔ケア組成物。
14. 酸化亜鉛がポリマー接着性材料中に封入されている、請求項１３に記載の口腔ケア組成物。
15. ポリマー接着性材料が１種類以上のセルロースポリマーを含む、請求項１３または請求項１４に記載の口腔ケア組成物。
16. 前記の１種類以上のセルロースポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロース（ＨＰＭＣ）、ヒドロキシエチルプロピルセルロース（ＨＥＰＣ）、ヒドロキシブチルメチルセルロース（ＨＢＭＣ）、およびカルボキシメチルセルロース（ＣＭＣ）から選択されるヒドロキシアルキルセルロースポリマーである、請求項１５に記載の口腔ケア組成物。
17. ポリマー接着性材料が異なる分子量を有する２種類のヒドロキシアルキルセルロースポリマーの混合物を含み、酸化亜鉛が２種類のヒドロキシアルキルセルロースポリマーの混合物中に封入されている酸化亜鉛を含む、請求項１６に記載の口腔ケア組成物。
18. ポリマー接着性材料がポリ（エチレンオキシド）ポリマー、ポリビニルピロリドン（ＰＶＰ）、ポリエチレングリコール（ＰＥＧ）／ポリプロピレングリコール（ＰＰＧ）コポリマー、エチレンオキシド（ＥＯ）−プロピレンオキシド（ＰＯ）ブロックコポリマー類、エステルガム、シェラック、感圧シリコン接着剤、メタクリレート類、またはそれらの混合物から選択される１種類以上のポリマーを含む、請求項１３〜１７のいずれか１項に記載の口腔ケア組成物。
19. 歯磨組成物である、請求項１〜１８のいずれか１項に記載の口腔ケア組成物。
20. 練り歯磨きまたはゲルである、請求項１９に記載の口腔ケア組成物。
21. 組成物が、マウスリンス、ガム、溶解可能なロゼンジ、および溶解可能な薄膜から選択される形の中に配合される、請求項１〜１８のいずれか１項に記載の口腔ケア組成物。
22. 前記１種類以上のアミノ酸の少なくとも１つが、Ｌ−リジンである、請求項１〜２１のいずれか１項に記載の口腔ケア組成物。
23. 歯の敏感性を低減する方法において使用するための、請求項１〜２２のいずれか１項に記載の組成物。
24. 歯の表面を酸に仲介される分解から保護する方法において使用するための、請求項１〜２２のいずれか１項に記載の組成物。
25. 口腔内の象牙質細管を塞ぐことによって、哺乳類の全身の健康を維持または増大する方法に使用するための組成物であって、
    請求項１〜２２のいずれか１項に記載の口腔ケア組成物、ならびに
    トリクロサン；トリクロサン一リン酸塩；クロルヘキシジン；アレキシジン；ヘキセチジン；サンギナリン；塩化ベンザルコニウム；サリチルアニリド；臭化ドミフェン；塩化セチルピリジニウム（ＣＰＣ）；塩化テトラデシルピリジニウム（ＴＰＣ）；塩化Ｎ−テトラデシル−４エチルピリジニウム（ＴＤＥＰＣ）；オクテニジン；デルモピノール；オクタピノール；ナイシン；亜鉛イオン剤；銅イオン剤；精油類；フラノン類；バクテリオシン類、エチルラウロイルアルギネート、マグノリアの抽出物、金属イオン源、フッ化物、第１スズイオン類、重炭酸アルギニン、ホノキオール、マゴノール、ウルソール酸、ウルシック酸（ｕｒｓｉｃ ａｃｉｄ）、モリン、シーバックソーンの抽出物、過酸化物、酵素、ツバキ抽出物、フラボノイド、フラバン、ハロゲン化ジフェニルエーテル、創造的（ｃｒｅａｔｉｖｅ）、およびプロポリスから選択される薬剤を更に含む、
    前記組成物。
26. 哺乳類の歯の表面内の象牙質細管を塞ぐ方法において使用するための、請求項１〜２２のいずれか１項に記載の組成物。