JP7058341B2 - 歯肉健康を促進するための口腔ケア組成物 - Google Patents
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Description
本明細書で使用するとき、「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求の範囲で使用する場合、請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味するものと理解される。
驚くべきことに、口腔ケア組成物中の第一スズイオン(すなわち、抗菌剤)と酸性アミノ酸(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)との組み合わせが、使用者の歯肉健康効果を促進するのに特に有用であることが見出された。特に、驚くべき発見は、酸性アミノ酸と組み合わせたときに、バイオフィルムへの第一スズイオンの浸透が著しく改善されていることであった。理論に束縛されることを望むものではないが、酸性アミノ酸は、カルボン酸基及びアミン基の両方を含有する。第一スズイオンは、アミノ酸上のこれらの化学部分に強く結合して、バイオフィルムへの第一スズイオンの浸透に正の影響を及ぼし得ると考えられる。
本発明は、好ましい例では、抗菌効果を提供するために、組成物の0.01重量%~5重量%、好ましくは0.05重量%~4重量%又はより好ましくは0.1重量%~2重量%の量で存在する第一スズイオン源を含む、上述の口腔ケア組成物に関する。本明細書で使用されるスズイオン源は、任意の安全かつ有効な第一スズ塩を含み得る。第一スズイオン源の好適な例は、塩化第一スズ、フッ化第一スズ、酢酸第一スズ、グルコン酸第一スズ、シュウ酸第一スズ、硫酸第一スズ、乳酸第一スズ、酒石酸第一スズ、ヨウ化第一スズ、クロロフッ化第一スズ、ヘキサフルオロジルコン酸第一スズ、クエン酸第一スズ、リンゴ酸第一スズ、グリシン酸第一スズ、炭酸第一スズ、リン酸第一スズ、ピロリン酸第一スズ、メタリン酸第一スズ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、第一スズイオン源は、フッ化第一スズ、塩化第一スズ及びこれらの組み合わせから選択される。好ましい一例では、第一スズイオン源は、塩化第一スズを含む。別の好ましい例では、スズイオン源は、フッ化第一スズを含む。
本発明の口腔ケア組成物は、酸性アミノ酸を含む。好ましくは、酸性アミノ酸は、pH2.0~5.0の範囲に等電点を有し、最低でも水溶性であり、水溶液(25℃で1g/1000mL)に7未満のpHをもたらす。好ましくは、酸性アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸、その塩、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。あるいは、酸性アミノ酸は、最低でも部分的に水溶性であり、1g/1000mLの水溶液中、pH2.0~5.0の範囲に等電点を有する、例えば、25℃で4.9、又は4.8、又は4.7、又は4.6、又は4.5、又は4.4、又は4.3、又は4.2、又は4.1、又は4.0、又は3.9、又は3.8、又は3.7、又は3.6、又は3.5、又は3.4、又は3.3、又は3.2、又は3.1、又は3.0などの等電点を有する、生物学的に許容可能なアミノ酸であってもよい。好ましくは、酸性アミノ酸は、アスパラギン酸又はグルタミン酸であり、より好ましくはその遊離形態である。酸性アミノ酸がその塩形態である場合、好適な塩としては、提供される量及び濃度において生理学的に許容可能であるとみなされる医薬的に許容可能な塩であることが当該技術分野において既知の塩が挙げられる。このような塩の非限定的な例としては、カリウム及びナトリウムなどのアルカリ金属、又はカルシウム及びマグネシウムなどのアルカリ土類金属から誘導されるものが挙げられる。好ましくは、酸性アミノ酸は、組成物の0.01重量%~10重量%、0.05重量%~5重量%、更により好ましくは0.1重量%~2重量%、あるいは0.2重量%~3重量%の量で存在する。好ましい一例では、酸性アミノ酸はアスパラギン酸である。別の好ましい例では、酸性アミノ酸はグルタミン酸である。
任意選択的に、しかし好ましくは、口腔ケア組成物は、組成物の0.1~5重量%、好ましくは0.2~2重量%の亜鉛イオン源を更に含んでもよい。好ましくは、亜鉛イオン源は、クエン酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、リン酸亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、亜鉛イオン源は、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、及びこれらの組み合わせから選択される。
本発明の口腔ケア組成物には増粘剤が含まれていてもよい。好ましくは、口腔ケア組成物は、組成物の0.1重量%~5重量%、好ましくは0.8重量%~3.5重量%、より好ましくは1重量%~3重量%、なおも更により好ましくは1.3重量%~2.6重量%の増粘剤を含んでいてもよい。
任意選択的に、しかし好ましくは、口腔ケア組成物は、有効量の抗齲蝕剤を含んでもよい。一態様では、抗齲蝕剤は、フッ素イオン源である。フルオリドイオンの好適な例は、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム(「MFP」)、フッ化インジウム、フッ化アミン、フッ化亜鉛及びこれらの混合物を含む供給源から選択され得る。好ましくは、フッ素イオン源は、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、MFP又はこれらの組み合わせから選択される。フッ素イオン源は、抗齲蝕効果をもたらすために、組成物の0.0025重量%~10重量%若しくは0.05重量%~4重量%若しくは0.1重量%~2重量%、又は、好ましくは0.2重量%~1.5重量%の量で存在し得る。特定の例では、フッ素イオン源は、組成物中で25ppm~25,000ppm、概して少なくとも500ppm~1600ppm、例えば1100ppm又は1450ppmのフッ素イオン濃度をもたらすのに十分な量で存在し得る。フッ化物の適切な濃度は、具体的な用途に依存する。一般的な使用者の練り歯磨きは、典型的には約1000~1500ppmを有し、小児用練り歯磨きでは幾分少ない。
本発明の口腔ケア組成物のpHは、4.5~11、好ましくはpH5~10であり得る。いくつかの好ましい実施例では、口腔ケア組成物のpHは、pH5.0~7.2であり得る。あるいは、口腔ケア組成物は、7.5~9、又は8~10のpHを有してもよい。いくつかの実施例では、pHは、5.0~7.0、あるいはpH5.5~pH7.0未満、例えば、pH6.9、又はpH6.8、又はpH6.7、又はpH6.6、又はpH6.5、又はpH6.4、又はpH6.3、又はpH6.2、又はpH6.2、又はpH6.1、又はpH6.0、又はpH5.9、又はpH5.8、又はpH5.7、又はpH5.6、又はpH5.5である。
本明細書の口腔ケア組成物は、任意選択的に、有効量のpH調整剤を含んでもよく、あるいはこのpH調整剤はpH緩衝剤である。本明細書で使用するとき、pH調整剤は、口腔ケア組成物のpHを上記で特定されたpH範囲に調整するために使用することができる薬剤を指す。pH調整剤としては、塩酸、アルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウム、有機アンモニウム化合物、炭酸塩、セスキ炭酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、イミダゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。
水は、その多くの利点により、口腔ケア組成物中の担体材料として一般的に使用される。例えば、水は加工助剤として有用であり、口腔に対して害が無く、練り歯磨きの迅速な発泡を助ける。水は、それ自体で成分として添加されてもよく、又は例えば、ソルビトール及びラウリル硫酸ナトリウムなどの他の一般的な原料中の担体として存在してもよい。
任意選択的に、しかし好ましくは、口腔ケア組成物は界面活性剤を含む。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、両性、双性イオン性、カチオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせから選択されてもよく、好ましくは、界面活性剤はアニオン性であり、より好ましくは、アニオン性界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウム(SLS)である。双性イオン性界面活性剤の例は、コカミドプロピルベタインである。口腔ケア組成物は、1つ、2つ、又はそれ以上の界面活性剤を含有してもよい。組成物は、全組成物の0.1重量%~20重量、好ましくは1重量%~10重量%の濃度で界面活性剤を含んでもよい。
本明細書の口腔ケア組成物は、組成物の0重量%~70重量%、又は15重量%~55重量%の量で存在する湿潤剤を含んでもよい。湿潤剤は、口腔ケア組成物の空気への曝露による硬化を回避し、ある特定の湿潤剤はまた、口腔ケア組成物に所望の甘味風味を付与することができる。湿潤剤の好適な例としては、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、キシリトール、トリメチルグリシン、及びこれらの混合物を挙げることができる。他の例としては、他の食用多価アルコールを挙げることができる。いくつかの例では、湿潤剤は、ソルビトール、グリセリン、及びこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、湿潤剤はソルビトールである。ある例では、組成物は、組成物の10重量%~66重量、あるいは30重量%~55重量の湿潤剤を含む。
口腔ケア組成物は、有効量の研磨剤を含む。研磨剤の例としては、カルシウム含有研磨剤、シリカ、又はこれらの組み合わせが挙げられる。カルシウム含有研磨剤を含有する場合、カルシウム含有研磨剤は、好ましくは、炭酸カルシウム、リン酸ニカルシウム、リン酸三カルシウム、カルシウムオルトリン酸塩、カルシウムメタリン酸塩、カルシウムポリリン酸塩、カルシウムオキシアパタイト、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。シリカの場合、好ましくは、シリカは、沈殿シリカ(例えば、ケイ酸ナトリウム溶液を酸により不安定化させ、非常に細かい粒子としたもの)、例えば、Huber Engineered MaterialsのZEODENT(登録商標)シリーズ(例えば、ZEODENT(登録商標)103、124、113 115、163、165、167)である。これらのシリカ(例えば、合成非晶質シリカ)の一部は、研磨機能及び増粘機能の両方を発揮することができることが認められるが、本明細書では、本発明の目的のために「研磨剤」という用語のうちに含まれる。好ましくは、口腔ケア組成物は、組成物の1重量%~35重量%、より好ましくは5重量%~25重量%の研磨剤を含む。
本明細書の口腔ケア組成物は、組成物の0.01重量%~5重量%、好ましくは0.1重量%~2重量%の風味剤を含んでもよい。口腔ケア組成物中で使用され得る好適な風味剤の例としては、米国特許第8,691,190号(Haught,J,C)、第7欄第61行~第8欄第21行に記載されているものが挙げられる。いくつかの例では、風味剤は、サリチル酸メチル、メントール、オイゲノール、及びシネオールから選択されてもよい。いくつかの例では、口腔ケア組成物は、サリチル酸メチル、メントール、オイゲノール、及びシネオールを含まない、又は実質的に含まない、風味混合物を含んでもよい。
本明細書の口腔ケア組成物は、甘味剤を含んでもよい。甘味剤は、一般に、組成物の0.005重量%~5重量%の濃度で口腔ケア組成物中に存在する。甘味剤の好適な例としては、サッカリン、デキストロース、スクロース、ラクトース、キシリトール、マルトース、レブロース、アスパルテーム、シクラミン酸ナトリウム、D-トリプトファン、ジヒドロカルコン、アセスルファム、スクラロース、ネオテーム、及びこれらの混合物が挙げられる。甘味剤の他の好適な例は、米国特許第8,691,190号(Haught,J,C)、第9欄第18行~第10欄第18行に記載されている。
本明細書の口腔ケア組成物は、組成物の0.001重量%~0.01重量%の量で存在する着色剤を含んでもよい。着色剤は、水溶液、好ましくは水溶液中1%の着色剤の形態であってもよい。着色剤の好適な例としては、顔料、パール剤(pealing agent)、充填剤粉末、タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、オキシ塩化ビスマス、酸化亜鉛、及び口腔ケア組成物に視覚的変化を生みだすことができる他の物質を挙げることができる。他の好適な例としては、二酸化チタン(TiO2)を挙げることができる。二酸化チタンは、組成物に不透明度を添加し、一般に組成物の0.25重量%~5重量%の濃度で口腔ケア組成物中に存在する白色粉末である。
本発明の口腔ケア組成物は、当業者に既知の通常及び従来の補助成分を含むことができる。任意選択による成分としては、例えば、歯垢防止剤、抗過敏剤、ホワイトニング剤及び酸化剤、炎症防止剤、歯石防止剤、キレート剤、歯牙実質剤、鎮痛剤、及び麻酔剤が挙げられるが、これらに限定されない。口腔ケア組成物のために選択された成分は、互いに、化学的かつ物理的に適合性でなければならないことが理解されよう。
一態様では、本発明は、対象の歯を清浄化又は研磨するための方法に関する。本明細書の清浄化又は研磨方法は、対象の歯を、本発明による口腔ケア組成物と接触させることを含む。
a)0時間~72時間の期間、
b)0時間~48時間の期間、
c)0時間~24時間の期間、
ここで時間の0時間は、本発明による口腔ケア組成物が投与される時である。
(i)口腔内の歯肉創傷治癒を改善することと、
(ii)口腔内の細菌活性の低減を改善することと、を含む。
実施例1~8は、以下に示す歯磨剤組成物であり、成分の量は、重量%である。これらは、製剤者によって選択される従来の方法によって好適に調製されてもよい。実施例1~2及び4~6は、それぞれ異なる濃度で、第一スズイオン源と単一の酸性アミノ酸(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)とで作製された、本発明による発明の製剤である。実施例3及び7は、塩化第一スズと2つの酸性アミノ酸(例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸)の組み合わせとで作製された、発明の製剤である。並行して、酸性アミノ酸なしの比較例製剤8が調製される。全ての組成物は、指示された比率の表1及び2の成分の混和によって調製される。
バイオフィルム中の抗菌剤の浸透の改善を判定するために、以下のアッセイを使用して、本発明の発明の口腔ケア組成物及び対照の、in situでの歯垢バイオフィルムにおける共局在化率の測定を介して、第一スズイオンと細菌との浸透有効性を評価する。アッセイの詳細を以下に説明する。
ヒドロキシアパタイト(hydroxyapatite、HA)ディスクは、バイオフィルムのin situ増殖に使用される。HAディスクは、各ディスクに3つの平行な溝(すなわち、2つの側方溝の幅200μm、深さ200μm、中央溝の幅500μm及び深さ500μm)を有するように設計される。対象の口にディスクを取り付けるとき、一般に歯垢が蓄積する傾向がある清浄困難な領域である、歯間の隣接歯間間隙を模倣するように、これらの溝を垂直に維持する。このモデルにより、溝からの円滑な歯垢の収集が可能にする。HAディスクは、Shanghai Bei’erkang biomedicine limited companyによって製造される。
ヒト対象は、スプリントを着用する。各対象は、少なくとも9HAディスクが48時間後に利用可能であることを確実にするために、スプリント上に最大12HAディスクを着用する。このようなスプリント及びHAディスクの非限定例を図1に示す。図1を参照すると、デバイス(1)は、複数のHAディスク(2a~2d)を保持する。特定の例では、図2を参照すると、HAディスク(201)は、3つの平行な溝(203)を有する(2つの側方の溝(203a及び203c)は、幅300μm及び深さ300μmであり、中間の溝(203b)(2つの側面の溝の間にある)は、幅500μm及び深さ500μmである)。中間溝は、HAディスクがヘッド対ヘッドの比較目的のために2つの同一の半ディスクに、より容易に分離することができるように、2つの側方溝よりも広くかつ深く設計されている。図3は、内部にバイオフィルム(2005)を有する溝(2003)の断面図の概略図である。HAディスクの更なる詳細は、米国特許出願公開第2017/0056531号(例えば、段落[0019]~[0020])に記載されている。
全てのHAディスクは、ピンセットによって48時間でスプリントから除去される。ピンセットを使用して、HAチップの縁部を保持し、HAディスクを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液を含有する2mL遠心管に移す。毎回ディスクを移す前に、ピンセットを十分に洗浄する(水、75%アルコール、次いで脱イオン水)。
15グラムの脱イオン水を5グラムの練り歯磨きに添加する(本発明の組成物の実施例1~7、比較組成物の実施例8のいずれか1つを使用)。完全に撹拌した後、混合物を12,000RPMで20分間遠心分離する。上清を使用の1日前に調製し、4℃で保管する。
HAディスクをスプリントから除去した後。HAディスクは、異なる発明の組成物及び比較例の組成物によるex vivo処置に使用される。対象の上清で処置し、微生物蛍光プローブ及び第一スズ蛍光プローブ(例えば、Shiらの米国特許出願公開第2018/0072944(A1)号、に記載されている)で標識した後、溝内のバイオフィルムを、共焦点レーザー走査顕微鏡(confocal laser scanning microscopy、CLSM)(以下に記載される)によって測定する。好ましくは、第一スズ蛍光プローブは、tert-ブトキシ-カルボキサミド、N-[3’,6’-ビス(ジエチルアミノ)-3-オキソスピロ[1H-イソインドール-1,9’-[9H]キサンテン]-H)-イル](Dr.Tao Yi、Fudan University,Shanghai,Chinaから入手可能)である。好ましくは、微生物蛍光プローブは、Molecular Probes(商標)LIVE/DEAD(登録商標)BacLight(商標)システム(Thermo Fisherから入手可能)である。
HAディスクをPBS溶液ですすぎ、各HAディスクをピンセットで2つの半分に分割する。その後、各半ディスクを500~1000μLのPBS溶液に1分間静置する。各ディスクを、PBS溶液又は練り歯磨き上清のいずれかによって2分間処理する。各ディスクをピンセットで保持することによって各ディスクを洗浄し、1mLのPBS溶液中で前後に10回振盪し、次いでこの洗浄サイクルを繰り返す。次いで、各ディスクを500~1000μLのPBS溶液に5分間静置する。
処理及び浸漬後、各半ディスクを、Syto-9プローブと共にSnプローブ(5μMのSyto-9及び5μMのSnのプローブを含む)により、暗所で30分間染色する。染色後、各ディスクを、500~1000μLのPBS溶液に浸漬して、2分間静置する。各ディスクをピンセットで保持することによって再度洗浄し、1mLのPBS溶液中で前後に5回振盪し、それを繰り返す。SYTO-9/Sn染料染色した試料について、以下のパラメータを使用する:λex=488nm/543nm、λem=500/580nm、20倍対物レンズ、及び表面細菌の底部から60μmにわたってステップサイズ=3μmで走査する。
Leica(商標)TCS SP8 AOBS分光共焦点顕微鏡を使用する。共焦点システムは、Leica(商標)DM6000B直立顕微鏡及びLeica(商標)DMIRE2反転顕微鏡からなる。直立スタンドは、スライド載置した標本を含む用途に使用されるが、37℃のインキュベーションチャンバ及びCO2富化付属品を有する反転スタンドは、生細胞用途を提供する。顕微鏡は、交換可能なレーザー走査ヘッド、及びそれ自体の電気モータ駆動ステージに加えて、焦点(Z)平面における急速撮像を容易にする、ガルバノメータ駆動型高精度Zステージを共有する。落射蛍光に加えて、顕微鏡は、明視野、偏光光及び差動干渉コントラストを含む様々な透過光コントラスト方法を支持し、5倍、20倍、40倍、63倍(オイル及びドライ)並びに100倍(オイル)Leica(商標)対物レンズを装備している。
in vitroでヒト歯肉線維芽細胞を使用して、発明の組成物及び比較組成物による処置の結果として、創傷治癒移行の効果を評価する。この方法は、3つの段階を含む。
ヒト歯肉線維芽細胞を、抜歯患者から採取し、5mLのPBSで洗浄する。組織を小片に刻んで、15mLの遠心管に入れる。試料を、等量の1mLの8%ディスパーゼ及び1mLの6%コラゲナーゼで1時間、37℃で消化し、その間、試料を15分毎に振盪する必要がある。消化プロセスが完了すると、管を室温で6分間、1100RPMで遠心分離する。遠心分離後、細胞のペレットが管の底に形成される。これらを上清溶液から分離する。次いで上清を廃棄し、細胞ペレットを3mLの新鮮な最小必須培地(Minimum Essential Medium、「MEM」、Thermo Fisherから入手可能)培養培地に懸濁させた後、ペトリ皿に移す。細胞を有するペトリ皿を、37℃、5% CO2のインキュベータ内に約10日間置く。ペトリ皿を、2日毎に培地の色の変化について確認する。培地の色の変化が生じた場合、新鮮な培養培地を交換する。
ペトリ皿の80~90%の細胞単層被覆率である場合、本培養培地を除去し、5mLのPBSで洗浄する。1mLの0.25%トリプシン-EDTA溶液を添加し、細胞が視覚的に丸い形状になるまで、細胞を37℃で約1~2分間静置する。ペトリ皿表面からいかなる粘着性の細胞も除去するために、ペトリ皿をタップすることが必要であり得る。少なくとも1mLの新鮮なMEM培養培地を添加してトリプシンを不活性化し、細胞を15mLの遠心管に回収する。次いで管を1100RPMにて6分間室温で遠心分離する。上清を廃棄し、細胞ペレットを、同じ遠心管中の4mLの新鮮なMEM培養培地に再懸濁させる。4つのペトリ皿をそれぞれ、ペトリ皿上の80~90%細胞単層被覆が観察されるまで、1mLの細胞懸濁液及び9mLの新鮮なMEM培養培地と共に、37℃、5% CO2のインキュベータ内に約3~5日間にわたって置く。この段階は、最も高い細胞生存率を達成するために創傷治癒アッセイ前に2~4回繰り返されるべきである。
ペトリ皿の80~90%の細胞単層被覆である場合、本培養培地を除去し、5mLのPBSで洗浄する。1mLの0.25%トリプシン-EDTA溶液を添加し、細胞が視覚的に丸い形状になるまで、細胞を37℃で約1~2分間静置する。ペトリ皿表面からいかなる粘着性細胞も除去するために、培養ペトリ皿をタップすることが必要であり得る。少なくとも1mLの新鮮なMEM培養培地を添加してトリプシンを不活性化し、細胞を15mLの遠心管に回収する。次いで管を1100RPMにて6分間室温で遠心分離する。上清を廃棄し、細胞ペレットを、6mLの新鮮なMEM培養培地に再懸濁させる。1mLの細胞懸濁液及び1mLの新鮮なMEM培養培地を、それぞれ6ウェルプレートの各ウェルに添加する。プレートを、50~70%細胞単層被覆が形成されるまで、37℃、5% CO2でインキュベートする。次いで画像取得中に、ウェルの外側底部を、基準線として中間線でマーキングする。滅菌した1mLのピペットチップでセル単層の右半分をこすり取ることによって、創傷が手作業で作製される。細胞を2mLのPBSで洗浄して、懸濁された細胞が見えなくなるまで、いかなる懸濁細胞も除去する。2mLの培養培地、及び1%の比較組成物を含有する2mLの培養培地又は1%の発明の組成物を含有する2mLの培養培地をウェルに添加する。
本発明による口内洗浄剤組成物を、表5の実施例9~12として以下に示す。これらの組成物は、第一スズイオン源と酸性アミノ酸とを含有する。好ましくは、これらの組成物は、これらの成分を含まない市販の製剤と比較して改善された歯肉健康効果を示す。
Claims (15)
- 第一スズイオン源と、酸性アミノ酸と、を含む、口腔ケア組成物。
- a)前記組成物の0.01重量%~5重量%の第一スズイオン源と、
b)前記組成物の0.01重量%~10重量%の酸性アミノ酸と、
を含む、請求項1項に記載の口腔ケア組成物。 - 前記第一スズイオン源が、前記組成物の0.05重量%~4重量%の量で存在し、塩化第一スズ、フッ化第一スズ、酢酸第一スズ、グルコン酸第一スズ、シュウ酸第一スズ、硫酸第一スズ、乳酸第一スズ、酒石酸第一スズ、ヨウ化第一スズ、クロロフッ化第一スズ、ヘキサフルオロジルコン酸第一スズ、クエン酸第一スズ、リンゴ酸第一スズ、グリシン酸第一スズ、炭酸第一スズ、リン酸第一スズ、ピロリン酸第一スズ、メタリン酸第一スズ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の口腔ケア組成物。
- 前記酸性アミノ酸が、アスパラギン酸、グルタミン酸、及びこれらの組み合わせから選択され、前記酸性アミノ酸が、前記組成物の0.05重量%~5重量%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
- 前記組成物の0.1重量%~5重量%の亜鉛イオン源を更に含む、前記亜鉛イオン源が、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、リン酸亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
- 前記組成物の0.05重量%~4重量%のフッ素イオン源を更に含み、前記フッ素イオン源は、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、フッ化インジウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化亜鉛、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
- 前記組成物の0.01重量%~5重量%の増粘剤を更に含み、前記増粘剤が、増粘ポリマー、増粘シリカ、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
- 前記組成物の1重量%~35重量%の研磨剤を更に含み、前記研磨剤が、カルシウム含有研磨剤、シリカ研磨剤、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
- 前記組成物の1重量%~60重量%の湿潤剤を更に含み、前記湿潤剤がポリオールである、、請求項1~8のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
- 前記組成物が、9.0以下のpHを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
- 口腔ケア組成物であって、
(i)塩化第一スズ、フッ化第一スズ、又はこれらの組み合わせから選択される、前記組成物の0.1重量%~2重量%の第一スズイオン源と、
(ii)アスパラギン酸、グルタミン酸、又はこれらの組み合わせから選択される、前記組成物の0.1重量%~2重量%の酸性アミノ酸と、
(iii)クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、又はこれらの組み合わせから選択される、前記組成物の0.2重量%~2重量%の亜鉛イオン源と、
(iv)フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、モノフルオロリン酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせから選択される、前記組成物の0.5重量%~1.5重量%のフッ素イオン源と、
(v)増粘ポリマー、増粘シリカ、又はこれらの組み合わせから選択される、前記組成物の0.01重量%~5重量%の増粘剤であって、前記増粘ポリマーは、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、カラギーナン、キサンタンガム、又はこれらの組み合わせから選択される、増粘剤と、
(vi)前記組成物の5重量%~25重量%のシリカ研磨剤と、
(vii)ソルビトール、グリセリン、又はこれらの組み合わせから選択される、前記組成物の30重量%~55重量%の湿潤剤と、を含み、
歯磨剤組成物である、口腔ケア組成物。 - 対象における歯肉健康を促進するための口腔ケア組成物を製造するための、第一スズイオン源および酸性アミノ酸の使用。
- 歯肉健康を促進することが、
(i)口腔内の歯肉創傷治癒を改善することと、
(ii)口腔内の細菌活性の低減を改善することと、
を含む、請求項12に記載の使用。 - 前記歯肉健康の促進が、
a)0時間~72時間の期間、
b)0時間~48時間の期間、
c)0時間~24時間の期間、
からなる群から選択される期間内で行なわれ、
ただし、時間の0時間は、前記口腔ケア組成物が投与される時である、請求項12又は13に記載の使用。 - 対象における歯肉健康を促進する方法であって、請求項1~11のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物を、前記対象の口腔に投与することを含む、方法。
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