JP5692425B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子(無機EL素子)や有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)が挙げられる。無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
一方、有機エレクトロルミネッセンス素子(単に、有機EL素子ともいう。)は自己発光(発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子)のため、視認性に優れ、かつ数V〜数十Vの低電圧駆動が可能なため駆動回路を含めた軽量化が可能である。そこで、有機EL素子は、薄膜型ディスプレイ、照明、バックライトとしての活用が期待されている。
有機EL素子の中でも、最近、発光の量子効率の高さから注目されているリン光発光有機EL素子は、従来の蛍光発光有機EL素子に比べて、駆動電圧が高く、更なる低消費電力で効率よく高輝度に発光する素子の開発が望まれている。
一般に駆動電圧を下げるには膜厚を単に薄くすることで対応が可能となるが、その場合には電極間での通電に伴う不良が増え、歩留まりがあがらないという問題点がある。
これらを解決する手段として、電荷輸送層にドーパントを入れることで、電荷輸送層の伝導率を上げるという試みがされている(例えば、特許文献1及び2参照。)。ここでは、電荷輸送性有機材料であるフェナントロリン誘導体と金属又は金属塩ドーパントの混合層において、駆動電圧の低下が認められている。
しかし、これらの化合物では、連続駆動する際の寿命が短く、素子としての保存性がよくないこと、また、実用的に十分な駆動電圧の低下が得られずより一層の低下が望まれている。
また、特許文献3には、フルオレン基を含有した電子輸送材料が開示されている。しかし我々の検討より、電子輸送材料は芳香族環が二つ以上連結した複素環であることと、連結基を有する場合には分子量240以下であることが好ましいことが判明した。複素環が電子移動サイトとして働くと考えられているが、単位体積中(分子全体のなかで)の電子移動サイトの寄与が、分子量が大きい場合には小さくなってしまうこと、また金属イオンとの錯形成とも関係していると思われる。
従って、前記アルカリ金属やアルカリ土類金属の金属酸化物又は金属塩を用いても、実用的に十分な駆動電圧の低下、及び素子寿命として十分な長寿命化は達成されていないのが現状である。
特開平10−270172号公報 特開2001−102175号公報 特開2004−2297号公報
本発明の課題は、低電圧駆動が可能であり、且つ、素子寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
本発明の上記課題は、下記手段により解決される。
1.支持基板上に少なくとも陽極、陰極及び該陽極と該陰極間に少なくとも一つの有機化合物層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機化合物層の少なくとも一つが、下記一般式(14)で表される電荷輸送材料を含み、且つ、金属、該金属の塩及び電子供与性化合物の群から選択される少なくとも一つを含有する電子輸送材料含有層であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005692425
(一般式(14)において、X 11 〜X 13 は、それぞれ、C−R 87 を表し、X 14 は、窒素原子を表す。R 81 〜R 83 及びR 87 は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基を表し、少なくとも一つが置換基を有してもよい単環の芳香族基であり、置換基同士が結合し環を形成してもよい。)
2.前記一般式(14)で表される電荷輸送材料が、それぞれ、下記一般式(16)または(17)で表されることを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
一般式(16): Q−L−Q
一般式(17): Ar−(Q)n
(式中、Qは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい1,5−ナフチリジン残基を表す。Lは、二価の連結基を表す。Arは、置換基を有してもよい単環の芳香族炭化水素環もしくは置換基を有してもよい単環の芳香族複素環を表す。nは、1以上の整数を表す。)
3.前記一般式(14)、(16)又は(17)において、前記置換基の分子量が240以下であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記金属が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれることを特徴とする第1項から第項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記金属の塩が、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩から選ばれることを特徴とする第1項から第項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる金属が、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウム、バリウム、カルシウム又はストロンチウムであることを特徴とする第項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記アルカリ金属から選ばれる金属が、セシウムであることを特徴とする第項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、セシウム塩、バリウム塩、カルシウム塩及びストロンチウム塩から選ばれることを特徴とする第項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の対アニオンが、フッ素イオンであることを特徴とする第項又は第項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記アルカリ金属塩が、フッ化セシウムであることを特徴とする第項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記電子供与性化合物が、芳香族アミン化合物、チオフェン化合物又はフルバレン化合物であることを特徴とする第1項から第項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.構成層として拡散防止層を有し、該拡散防止層が、金属又は該金属のイオンの拡散を防止又は抑制することを特徴とする第1項から第1項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
13燐光発光体が、含まれていることを特徴とする第1項から第1項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明により、素子寿命の長い、低電圧駆動が可能である有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。 表示部の模式図である。 画素の模式図である。 パッシブマトリクス方式フルカラー表示装置の模式図である。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、請求項1〜15のいずれか一項に規定する構成とすることにより、素子寿命が長く、且つ、低電圧駆動が可能である有機エレクトロルミネッセンス素子、及び該素子を用いた表示装置あるいは照明装置を提供することを可能とした。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について順次説明する。
本発明の有機EL素子の構成層の詳細については、後述するが、陽極と陰極との間に設けられる有機化合物含有層としては、例えば、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、正孔注入層等が挙げられるが、本発明に係る電子輸送材料含有層は、前記有機化合物含有層のいずれかの層の間に設けられていてもよく、また、該電子輸送材料含有層が、前記有機化合物含有層のいずれかの層と一体になっていてもよく、例えば、電子輸送層や電子注入層等が、本発明に係る電子輸送材料含有層として機能してもよい。
《電子輸送材料含有層》
本発明に係る電子輸送材料含有層は、一般式(1)で表される電荷輸送材料を含み、且つ、金属、該金属の塩及び電子供与性化合物の群から選択される少なくとも一つを含有することが特徴である。
(電子輸送材料含有層の形成方法)
電子輸送材料含有層の形成方法(成膜方法ともいう)は、従来公知のいかなる薄膜形成法を適用してもよく、例えば、蒸着法やスパッタ法が使用できる。また、溶液からの塗布で薄膜形成が可能な場合には、スピンコーティング法、ディップコーティング法、インクジェット等のような、溶液を用いての塗布法が使用できる。この場合、混合される、金属、該金属の塩又は電子供与性化合物と、電子輸送性材料は、不活性なポリマー中に分散して用いてもよい。
(電子輸送材料含有層の膜厚)
電子輸送材料含有層の厚み(膜厚)は、特に限定されないが、均一な膜の形成や駆動電圧低下の観点から、1nm〜200nmの範囲が好ましく、特に好ましくは、20nm〜80nmの範囲に調整することである。
《金属、該金属の塩》
本発明に係る電子輸送材料含有層に含有させる金属としては、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr等)、アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba等)が好ましいが、更に好ましくは、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウム、バリウム、カルシウム、ストロンチウムであり、最も好ましくは、セシウムである。
本発明に係る電子輸送材料含有層に含有させる金属、該金属の塩としては、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr等)、アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba等)の金属塩が好ましいが、更に好ましくは、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、セシウム塩、バリウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩であり、最も好ましく用いられる金属の塩は、セシウム塩である。
更に、上記の金属の塩の好ましい態様を説明すると、金属の塩形成には、種々の対アニオンを用いることが出来るが、本発明に記載の効果(有機EL素子の低電圧駆動、発光寿命の長寿命化)を最も効果的に得る観点からは、本発明に係る金属の塩形成には、対アニオンとして、フッ素イオンを用いることが好ましく、中でも金属の塩として好ましく用いられるのは、CsF(フッ化セシウム)である。
また、CsFも含め、金属の塩の具体例を挙げると、下記に記載の塩、例えば、LiF、NaF、KF、RbF、CsF、MgF、CaF、SrF、BaF、LiCl、NaCl、KCl、RbCl、CsCl、MgCl、CaCl、SrCl、BaCl等が挙げられる。
CsHPO、CsHPO、CsOH、CHSOCs、CsHCO、CsBr、CsI、RbHPO、又はこれらの水和物は、300℃以下に融点、分解点、沸点を持つ化合物であり、容易に抵抗加熱蒸着できる特徴を有する。
CsNO、RbOH、RbNO、CsI、CsClO、RbBr、RbI、RbClO、又はこれらの水和物は、600℃以下に融点、分解点、沸点を持つ化合物であり、容易に抵抗加熱蒸着できる上、安定性を兼ね備えている等の特徴を有する。
CsAlSiO、CsAl(SiO、CsCrO、CsCr、(CsF)x(AlF)y、CsVO、CsVO、CsMnO、CsAlCl、CsTi13、CsWO、CsNbF、RbCrO等の水和物は、安定性が高く、取り扱いが容易であるという特徴を有する。
セシウム、ルビジウムのβ−ジケトン錯体、アルコキシドは、沸点、もしくは分解点が低く、容易に抵抗加熱蒸着できることから好適に用いることができる。β−ジケトン錯体としては、アセチルアセトネート、エチルアセトアセトネートやそれらのフッ素置換体などが挙げられるが、これに限定されない。アルコキシドとしては、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、メトキシエトキシド等が挙げられる。
(金属、該金属の塩の含有量(濃度))
本発明では、電子注入の際にエネルギー障壁を低下させる一方、陰極近傍での電子授受を担う有機材料濃度を維持し電子注入効率を上げる観点から、電子材料含有層における金属又は該金属の塩の濃度は、0.1質量%〜99.0質量%であることが好ましく、1.0質量%〜80.0質量%の範囲に調整されていることが更に好ましい。
(金属、該金属の塩と電子輸送性材料との質量比)
金属又は該金属の塩と、後述する電子輸送性有機材料との質量比は、0.1:99.9〜99:1が好ましく、1:99〜80:20がより好ましい。
(金属酸化物)
本発明に係る無機金属塩は、上記のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の金属酸化物等と併用してもよく、前記金属酸化物としては、例えば、LiO、NaO、KO、RbO、CsO、MgO、CaO等が挙げられる。
《一般式(1)で表される電子輸送材料》
本発明に係る電子輸送材料含有層は、下記一般式(1)で表される電子輸送材料を含有する。
Figure 0005692425
(式中、X〜XはC−Rもしくは窒素原子を表す。Rは、それぞれ独立に、水素もしくは置換基を表し、隣接してRが存在する場合、R同士がお互いに結合して環を形成してもよい。)
一般式(1)において、X〜XはC−Rもしくは窒素原子を表す。Rはそれぞれ独立に水素もしくは置換基を表し、また、ここにおいて、置換基とは、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチル
ウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、等が挙げられる。
また、これらのRが隣接して存在する場合、R1同士が互いに結合して環を形成してもよい。形成される環としては、飽和、不飽和の炭化水素環、ヘテロ環等その種類は問わない。更に、これらの環は、前記置換基を更に有してもよい。
また、前記一般式(1)で表される電荷輸送材料としては、さらに下記一般式(2)で表される電荷輸送材料が好ましい。
Figure 0005692425
(式中、R15〜R18は、それぞれ独立に、水素もしくは置換基を表し、R15〜R18はお互いに結合して環を形成してもよい。)
一般式(2)において、R15〜R18はそれぞれ独立に水素もしくは置換基を表し、R15〜R18はお互いに結合して環を形成してもよい。ここにおいて、置換基R15〜R18は、前記一般式(1)における置換基Rと同義である。
また、電荷輸送材料としては、さらに下記一般式(3)で表される電荷輸送材料が好ましい。
Figure 0005692425
(式中、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素もしくは置換基を表し、Zは、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成するに必要な原子団を表す。)
式中、R21、R22はそれぞれ独立に水素もしくは置換基を表し、Zは置換基を有してもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成するに必要な原子団を表す。R21、R22で表される置換基は、前記一般式(1)における置換基Rと同義である。
により形成される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等がありこれらは更に置換基を有していてもよい。
により形成される芳香族複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。
形成されるこれらの芳香族炭化水素環又は芳香族複素環としては、6員の環が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環等が好ましい。また、これらの環は更に置換基を有していてもよい。
また、前記一般式(3)で表される電荷輸送材料としては、さらに下記一般式(4)で表される電荷輸送材料が好ましい。
Figure 0005692425
(式中、R31〜R36は、それぞれ独立に、水素もしくは置換基を表し、お互いに結合して環を形成してもよい。)
前記一般式(4)において、R31〜R36はそれぞれ独立に水素もしくは置換基を表し、お互いに結合して環を形成してもよい。R31〜R36で表される置換基は、前記一般式(1)における置換基Rと同義である。
また、前記一般式(3)又は(4)で表される電荷輸送材料として、一般式(5)又は(6)で表される電荷輸送材料が好ましい。
一般式(5):Q−L−Q
一般式(6):Ar−(Q
〔式中、Qはそれぞれ独立に置換基を有してもよいピリミジン、キナゾリン、ベンゾキナゾリン残基を表し、Lは二価の連結基もしくは直接結合を表す。また、Arは芳香族炭化水素環残基もしくは芳香族複素環残基を表す。ここにおいてnは0以上の整数を表す。〕
一般式(5)又は(6)において、Qはそれぞれ独立に置換基を有してもよいピリミジン、キナゾリン、ベンゾキナゾリン残基を表し、Lは二価の連結基もしくは直接結合を表す。また、Arは芳香族炭化水素環残基もしくは芳香族複素環残基を表す。ここにおいてnは0以上、好ましくは6以下の整数を表す。
ここにおいて置換基とは、前記一般式(1)における置換基Rと同義であり、また、Arで表される芳香族炭化水素環残基又は芳香複素環残基が誘導される芳香族炭化水素環又は芳香複素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。
で表される二価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基等が挙げられる。アルキレン基としては、それぞれ置換基を有していてもよい例えばメチレン、エチレン、プロピレン等が、アリーレン基としては、フェニレン、ナフチレン等の基が、また、ヘテロアリーレン基としては、ピリジン等の芳香族複素環から誘導される2価の基等が挙げられ、またこれらの基が複数連結した構造、例えばメチレンビスフェニレン基等の基であってもよい。置換基としてはハロゲン原子等、限定されない。
また、前記一般式(5)又は(6)で表される電荷輸送材料として、前記Qで表されるピリミジン、キナゾリン、ベンゾキナゾリン残基は、一般式(7)で表されることが好ましい。
Figure 0005692425
一般式(7)において、R41〜R45はそれぞれ独立に水素原子もしくは置換基を表し、R41〜R45はお互いに結合し環を形成してもよい。*は連結部位を示す。ここにおいて、R41〜R45で表される置換基としては、前記一般式(1)における置換基Rと同義である。
また、前記一般式(2)で表される電荷輸送材料として、さらに下記一般式(8)又は(9)で表される電荷輸送材料が好ましい。
Figure 0005692425
前記一般式(8)、(9)において、R51〜R54はそれぞれ独立に水素もしくは置換基を表し、R51、R52は互いに結合して環を形成してもよい。Z、Zは置換基を有してもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成するに必要な原子団を表す。ここにおいてR51〜R54で表される置換基とは、前記一般式(1)置換基Rと同義である。
また、Z、Zにより形成される芳香族複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。形成されるこれらの芳香族炭化水素環又は芳香族複素環としては、6員の環が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環等が好ましい。これらの環は更に置換基を有していてもよい。
また、前記一般式(8)又は(9)で表される電荷輸送材料として、さらに前記一般式(10)又は(11)で表される電荷輸送材料が好ましい。
前記一般式(10)又は(11)において、R61〜R66、R71〜R76はそれぞれ独立に水素もしくは置換基を表す。R61〜R66、R71〜R76で表される置換基とは、前記一般式(1)における置換基Rと同義である。
また、前記一般式(1)、(2)、(8)、(9)、(10)、(11)等で表される電荷輸送材料のうち、さらに一般式(12)又は(13)で表される電荷輸送材料が好ましい。
一般式(12):Q−L−Q
一般式(13):Ar−(Q
式中、Qはそれぞれ独立に置換基を有してもよいピリダジン、シンノリン、フタラジン、ベンゾシンノリン、ベンゾフタラジン残基を表す。Lは二価の連結基もしくは直接結合を表す。Ar2は芳香族炭化水素環残基もしくは芳香族複素環残基を表す。nは0以上、好ましくは6以下の整数を表す。
ここにおいて、置換基とは、前記一般式(1)における置換基Rと同義であり、また、Arで表される芳香族炭化水素環残基又は芳香複素環残基が誘導される芳香族炭化水素環又は芳香複素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。
で表される二価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基等が挙げられる。アルキレン基としては、それぞれ置換基を有していてもよい例えばメチレン、エチレン、プロピレン等が、アリーレン基としては、フェニレン、ナフチレン等の基が、また、ヘテロアリーレン基としては、ピリジン等の芳香族複素環から誘導される2価の基等が挙げられ、またこれらの基が複数連結した構造、例えばメチレンビスフェニレン基等の基であってもよい。置換基としてはハロゲン原子等、限定されない。
また、本発明に係る電子輸送材料含有層においては、金属、該金属の塩及び電子供与性化合物の群から選択される少なくとも一つと共に下記一般式(14)又は(15)で表される電荷輸送材料を含有してもよい。
Figure 0005692425
一般式(14)又は(15)において、X11〜X14はそれぞれ独立にC−R87もしくは窒素原子を表すが、X11〜X14のうち必ず一つは窒素原子を表す。R81〜R83、R87はそれぞれ独立に水素原子もしくは置換基を表すが、置換基同士が結合し環を形成してもよい。
また、X15〜X18はそれぞれ独立にC−R87もしくは窒素原子を表すが、X15〜X18のうち必ず一つは窒素原子を表す。R84〜R86、R87はそれぞれ独立に水素原子もしくは置換基を表すが、置換基同士が結合し環を形成してもよい。
ここにおいてR81〜R87で表される置換基とは、前記一般式(1)における置換基Rと同義である。
また、一般式(14)又は(15)で表される電荷輸送材料は、一般式(16)また(17)で表されることが好ましい。
一般式(16)
−L−Q
一般式(17)
Ar−(Q
式中、Q3はそれぞれ独立に置換基を有してもよいナフチリジン、ベンゾナフチリジン残基を表す。Lは二価の連結基もしくは直接結合を表す。Ar3は芳香族炭化水素環残基もしくは芳香族複素環残基を表す。nは0以上、好ましくは6以下の整数を表す。
ここにおいて置換基とは、前記一般式(1)における置換基Rと同義であり、また、Arで表される芳香族炭化水素環残基又は芳香複素環残基が誘導される芳香族炭化水素環又は芳香複素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。
で表される二価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基等が挙げられる。アルキレン基としては、それぞれ置換基を有していてもよい例えばメチレン、エチレン、プロピレン等が、アリーレン基としては、フェニレン、ナフチレン等の基が、また、ヘテロアリーレン基としては、ピリジン等の芳香族複素環から誘導される2価の基等が挙げられ、またこれらの基が複数連結した構造、例えばメチレンビスフェニレン基等の基であってもよい。置換基としてはハロゲン原子等、限定されない。
また、一般式(8)、(15)、(19)等において、nが4以上の化合物は勿論、nが6以上の化合物も本発明において、好ましく用いることが出来る。
また、前記一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)又は(17)等において、前記置換基(一般式(1)における置換基Rと同義の基)としては分子量240以下であることが好ましい。単位体積中(分子全体のなかで)の電子移動サイトと考えられるヘテロ環部分の寄与が小さくなると電荷輸送材料として好ましくない。
また、前記一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(10)、(11)、(14)又は(15)で表される電荷輸送材料については、少なくとも一つの窒素ヘテロ芳香族環を含む複数の芳香族環が連結し環構造を形成している(例えば、化合物例N−52〜56、またN−59等がある)ことが好ましく、駆動電圧が低く、長寿である。
また、前記一般式で表される電子輸送材料は、本発明に係る電子輸送材料含有層に単独で含まれていてもよいし、後述する、本発明の有機EL素子のその他の構成層にも含まれていても良く、例えば、電子輸送層に含有されていてもよい。
以下、前記一般式で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005692425
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Figure 0005692425
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《電子供与性化合物》
本発明に係る電子供与性化合物としては、芳香族アミン化合物、チオフェン化合物、フルバレン化合物が好ましい化合物としてあげられる。
ここで、芳香族アミン化合物の具体例としては、特開平9−59614号公報に記載のアリールアミン誘導体(例えば、ジメチルアニリン、p−アニシジン、p−アミノジフェニルアミン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、2−メチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−p−フェニレンジアミン、テトラメチル−p−フェニレンジアミン、デュレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノピレン、1,8−ジアミノピレン等)や特開2002−203684号公報に記載のトリフェニルアミン系化合物(例えば、トリ(4−メチルフェニル)アミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン等)が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
また、チオフェン化合物の具体例としては、特開2002−100416号公報に記載の化合物、例えば、Adv.Mater.(1997),9巻,N0.7,557頁、Angew.Chem.(英語版)、(1995),34巻,No.3,303−307頁、米国化学会誌(J.Am.Chem.Soc.),120巻,N0.4,(1998),664−672頁等に記載されているオリゴチオフェン化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
本発明に係るフルバレン化合物の具体例としては、特開平5−52667号公報に記載のドナー性有機分子として記載されているような、例えば、テトラチアフルバレン、テトラメチルテトラチアフルバレン、テトラメチルテトラセレナフルバレン、ビスエチレンジチオテトラチアフルバレン、ビストリメチレンジチオテトラチアフルバレンなどのテトラチアフルバレン化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
また、本発明に係る電子輸送材料含有層は、下記のような材料を含有していてもよい。
《併用してもよい材料》
本発明に係る電子輸送性材料含有層には、上記の電荷輸送材料、金属又は金属塩、電子供与性化合物以外にも、以下のような化合物を併用して用いることが出来る。
併用可能な化合物としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体等の金属錯体、メタロフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾール等を配位子とする金属錯体、アニリン共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。
次に、代表的な有機EL素子の構成について述べる。
《有機EL素子の構成層》
本発明の有機EL素子の構成層について説明する。
本発明の有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送材料含有層/陰極(ii)陽極/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子輸送材料含有層/陰極(iii)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子輸送材
料含有層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子輸送材料含有層/陰極
(v)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子輸送材料含有層/陰極バッファー層/陰極
(vi)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子輸送材料含有層/陰極バッファー層/陰極
(vii)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子輸送材料含有層/陰極バッファー層/陰極
(viii)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/拡散防止層/電子輸送材料含有層/陰極
(ix)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/電子阻止層/拡散防止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子輸送材料含有層/拡散防止層/陰極バッファー層/陰極
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極又は電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
本発明に係る発光層は、発光極大波長が430nm〜480nmの範囲にある青色発光層、510nm〜550nmの範囲にある緑色発光層、600nm〜640nmの範囲にある赤色発光層等、種々の発光極大波長を有するものを用いることができ、特に限定されない。
発光層の数は単層でも、複数層でもよく、複数層の場合には、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。また、本発明に係る発光層の発光が、後述する、燐光発光体(リン光発光性化合物)に基づく青色リン光発光を含むことが好ましい。
個々の発光層の膜厚としては、2nm〜100nmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは、2nm〜20nmの範囲に調整することである。青、緑、赤の各発光層の膜厚の関係については、特に制限はない。
発光層が複数層設けられる場合の、総膜厚は特に制限はないが、膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、且つ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜5μmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは2nm〜200nmの範囲に調整され、特に好ましくは、10nm〜20nmの範囲である。
発光層の作製には、後述する発光ドーパントやホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。
また、前記の極大波長を維持する範囲において、各発光層には複数の発光性化合物を混合してもよい。例えば、青発光層に、極大波長430nm〜480nmの青発光性化合物と、極大波長510nm〜550nmの緑発光性化合物を混合して用いてもよい。
次に、発光層に含まれるホスト化合物、発光ドーパント(発光ドーパント化合物ともいう)について説明する。
(ホスト化合物)
本発明の有機EL素子の発光層に含まれるホスト化合物とは、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、又は複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光ドーパントとして用いられるリン光性化合物等を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。リン光性化合物の種類、ドープ量を調整することが可能であり、照明、バックライトへの応用もできる。
本発明に係るホスト化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物が好ましく用いられる化合物の一例として挙げられる。また、前記化合物は発光層の隣接層(例えば、正孔阻止層等)にも好ましく用いられる。
下記一般式(I)で表される化合物を発光層又は該発光層の隣接層に含み、本発明に係る燐光発光体を発光層に用いて作製した有機EL素子は、発光効率が高くなり、高輝度の素子を得ることができる。
《一般式(I)で表される化合物》
Figure 0005692425
式中、Zは置換基を有していてもよい芳香族複素環を表し、Zは、各々置換基を有していてもよい芳香族複素環又は芳香族炭化水素環を表し、Zは2価の連結基又は単なる結合手を表す。R101は水素原子又は置換基を表す。
前記一般式(I)において、Z、Zで表される芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、カルボリン環、カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子が更に窒素原子で置換されている環等が挙げられる。更に、前記芳香族複素環は、後述するR101で表される置換基を有してもよい。
前記一般式(I)において、Zで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。更に、前記芳香族炭化水素環は、後述するR101で表される置換基を有してもよい。
一般式(I)において、R101で表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によって更に置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
好ましい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、フッ化炭化水素基、アリール基、芳香族複素環基である。
2価の連結基としては、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレンなどの炭化水素基のほか、ヘテロ原子を含むものであってもよく、また、チオフェン−2,5−ジイル基や、ピラジン−2,3−ジイル基のような、芳香族複素環を有する化合物(ヘテロ芳香族化合物ともいう)に由来する2価の連結基であってもよいし、酸素や硫黄などのカルコゲン原子であってもよい。また、アルキルイミノ基、ジアルキルシランジイル基やジアリールゲルマンジイル基のような、ヘテロ原子を会して連結する基でもよい。
単なる結合手とは、連結する置換基同士を直接結合する結合手である。
本発明においては、前記一般式(I)のZが6員環であることが好ましい。これにより、より発光効率を高くすることができる。更に、一層長寿命化させることができる。
また、本発明においては、前記一般式(I)のZが6員環であることが好ましい。これにより、より発光効率を高くすることができる。更に、より一層長寿命化させることができる。
更に、前記一般式(I)のZとZを共に6員環とすることで、より一層発光効率と高くすることができるので好ましい。更に、より一層長寿命化させることができるので好ましい。
以下、本発明に係る一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
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また、本発明に用いられる発光ホストとしては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもいい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、なお且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
(発光ドーパント)
本発明の有機EL素子の発光層に含まれる発光ドーパントについて説明する。
本発明に用いられる発光ドーパントとしては、蛍光性化合物、燐光発光体(リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう)を用いることが出来るが、より発光効率の高い有機EL素子を得る観点からは、本発明の有機EL素子の発光層や発光ユニットに使用される発光ドーパント(単に、発光材料ということもある)としては、上記のホスト化合物を含有すると同時に、燐光発光体を含有することが好ましい。
(燐光発光体)
燐光発光体は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光発光体は、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
燐光発光体の発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを燐光発光体に移動させることで燐光発光体からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つは燐光発光体がキャリアトラップとなり、燐光発光体上でキャリアの再結合が起こり燐光発光体からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、燐光発光体の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
燐光発光体は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
燐光発光体としては、好ましくは元素周期表で8族〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
以下に、燐光発光体として用いられる化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。
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(蛍光発光体(蛍光性ドーパント等ともいう))
蛍光発光体(蛍光性ドーパント)の代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
また、従来公知のドーパントも本発明に用いることができ、例えば、国際公開第00/70655号パンフレット、特開2002−280178号公報、特開2001−181616号公報、特開2002−280179号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−280180号公報、特開2001−247859号公報、特開2002−299060号公報、特開2001−313178号公報、特開2002−302671号公報、特開2001−345183号公報、特開2002−324679号公報、国際公開第02/15645号パンフレット、特開2002−332291号公報、特開2002−50484号公報、特開2002−332292号公報、特開2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、特開2002−338588号公報、特開2002−170684号公報、特開2002−352960号公報、国際公開第01/93642号パンフレット、特開2002−50483号公報、特開2002−100476号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−359082号公報、特開2002−175884号公報、特開2002−363552号公報、特開2002−184582号公報、特開2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2002−235076号公報、特開2002−241751号公報、特開2001−319779号公報、特開2001−319780号公報、特開2002−62824号公報、特開2002−100474号公報、特開2002−203679号公報、特開2002−343572号公報、特開2002−203678号公報等が挙げられる。
《阻止層(電子阻止層、正孔阻止層)》
本発明に係る阻止層(例えば、電子阻止層、正孔阻止層)について説明する。
本発明においては、正孔阻止層、電子阻止層等に、本発明の有機EL素子材料を用いることが好ましく、特に好ましくは正孔阻止層に用いることである。
本発明の有機EL素子材料を正孔阻止層、電子阻止層に含有させる場合、請求の範囲第1項〜第29項のいずれか1項に記載されている、本発明に係る金属又は該金属の塩を正孔阻止層や電子阻止層等の層構成成分として100質量%の状態で含有させてもよいし、他の有機化合物(例えば、本発明の有機EL素子の構成層に用いられる化合物等)等と混合してもよい。
本発明に係る阻止層の膜厚としては好ましくは3nm〜100nmであり、更に好ましくは5nm〜30nmである。
《正孔阻止層》
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
正孔阻止層としては、例えば特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載の正孔阻止(ホールブロック)層等を本発明に係る正孔阻止層として適用可能である。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る正孔阻止層として用いることが出来る。
《電子阻止層》
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることが出来る。
また、本発明においては、発光層に隣接する隣接層、即ち、正孔阻止層、電子阻止層に、上記一般式(33)で表される化合物を用いることが好ましく、特に正孔阻止層に用いることが好ましい。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002), p.139)に記載されているような所謂、p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5nm〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層又は複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開平10−270172号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)などに記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《拡散防止層》
本発明に係る拡散防止層とは、広くはEL素子の発光効率の低下又は発光寿命の低減を引き起こす原因となるEL素子を構成する、各構成中の有機材料(例えば、電子輸送材料、電子供与性化合物等)・無機材料(例えば、金属、該金属の塩等)、又は前記有機・無機材料中の混入物が(隣接層から)発光層内へ拡散すること、又は発光層内での拡散を防止する役割を有するものを指す。この様な役割を有していれば、陽極バッファー層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、陰極バッファー層等、他の層と兼用しても構わない。
本発明の効果を最大限得るためには、電子輸送材料含有層に含まれる金属又は該金属の塩中のイオンの拡散を防止又は抑制することが好ましい。
また、該拡散防止層(他層と兼ねている場合も含む)が発光層と陽極あるいは陰極との間の層に位置することが好ましく、さらには正孔輸送層と発光層の間にあり、正孔輸送層に隣接する位置、陰極又は陰極バッファー層と発光層の間にあり、陰極又は陰極バッファー層に隣接する位置に有することがより好ましい。
本発明に係る拡散防止層の形成に用いられる材料は、従来公知の金属イオントラップ等に用いられる化合物(例えば、クラウンエーテル化合物)や、金属や金属イオンを包接できる化合物を用いることができる。ここで、前記包接可能な化合物は、例えば、「超分子科学:中嶋直敏編著;化学同人出版;2004年3月発刊」及び、同書に参考文献として挙げられている文献等に記載の化合物を用いることが出来る。
次に、本発明の有機EL素子の構成層として用いられる、注入層について説明する。
《注入層》:電子注入層、正孔注入層
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記のごとく陽極と発光層又は正孔輸送層の間、及び、陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的には、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1nm〜100nmの範囲が好ましい。
この注入層は、上記材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。注入層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5000nm程度である。この注入層は、上記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であってもよい。
《陽極》
本発明の有機EL素子に係る陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1000nm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、本発明に係る陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、アルミニウム、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1000nm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が、透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
《基体(基板、基材、支持体等ともいう)》
本発明の有機EL素子に係る基体としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明のものであれば特に制限はないが、好ましく用いられる基板としては例えばガラス、石英、光透過性樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい基体は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物もしくは有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、水蒸気透過率が0.01g/m・day・atm以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光の室温における外部取り出し効率は1%以上であることが好ましく、より好ましくは2%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用してもよい。
照明用途で用いる場合には、発光ムラを低減させるために粗面加工したフィルム(アンチグレアフィルム等)を併用することもできる。
多色表示装置として用いる場合は少なくとも2種類の異なる発光極大波長を有する有機EL素子からなるが、有機EL素子を作製する好適な例を説明する。
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子輸送材料含有層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
まず適当な基体上に、所望の電極物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10nm〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、前記陽極上に素子材料である、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子輸送材料含有層等の形成に用いる有機化合物を含有する薄膜を形成させる。
この有機化合物を含有する薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如くスピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1nm〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50nm〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔輸送層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施してもかまわない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
《ボトムエミッションとトップエミッションについて》
本発明の有機EL素子の発光の光取り出し方向は、支持基板(支持体ともいう)側から発光を取り出す、いわゆる、ボトムエミッション型でも、陰極側から発光を取り出す、トップエミッション型でもよいが、アクティブ型の素子のように支持基板側にTFT(薄膜トランジスタ)等を設置する(複合化ともいう)場合は、素子の発光部分の割合(発光面積率ともいう)をできるだけ大きくするためには、TFTが設置されていない側、つまり、陰極側から発光を取り出す、トップエミッション型が好ましい。
《光取出し方法》
本発明の有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.6〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(例えば、米国特許第4,774,435号明細書)。基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(例えば、特開昭63−314795号公報)。素子の側面等に反射面を形成する方法(例えば、特開平1−220394号公報)。基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(例えば、特開昭62−172691号公報)。基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(例えば、特開2001−202827号公報)。基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)などがある。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明は、これらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマーなどが挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。またさらに1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚みは、媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面又は、いずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といった、いわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述のとおり、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
このとき、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状など、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
《集光シート》
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、支持基板(基板)の光取出し側に、例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは、所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)などを用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、発光素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)などを用いることができる。
《表示装置》
本発明の表示装置について説明する。
本発明の表示装置は単色でも多色でもよいが、ここでは、多色表示装置について説明する。多色表示装置の場合は、発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においてはシャドーマスクを用いたパターニングが好ましい。
また、作製順序を逆にして、陰極、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた多色表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレー、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレーにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることにより、フルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス、ディスプレーとしてはテレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリックス(パッシブマトリックス)方式でもアクティブマトリックス方式でもどちらでもよい。
発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではない。
《照明装置》
本発明の照明装置について説明する。
本発明の有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよく、このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより、上記用途に使用してもよい。
また、本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。又は、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
以下、本発明の有機EL素子を有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
図1は、有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
ディスプレイ1は、複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。
制御部Bは、表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
図2は、表示部Aの模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。
図においては、画素3の発光した光が、白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
配線部の走査線5及び複数のデータ線6は、それぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示していない)。
画素3は、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。発光の色が赤領域の画素、緑領域の画
素、青領域の画素を、適宜、同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
次に、画素の発光プロセスを説明する。
図3は、画素の模式図である。
画素は、有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサ13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
図3において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサ13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
画像データ信号の伝達により、コンデンサ13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサ13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
すなわち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
ここで、有機EL素子10の発光は、複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。
また、コンデンサ13の電位の保持は、次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
図4は、パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図4において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子が無く、製造コストの低減が計れる。
本発明に係わる有機EL材料は、また、照明装置として、実質白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色によりを得る。複数の発光色の組み合わせとしては、青色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光を発光する材料(発光ドーパント)を、複数組み合わせたもの、蛍光又はリン光を発光する発光材料と、該発光材料からの光を励起光として発光する色素材料とを組み合わせたもののいずれでもよいが、本発明に係わる白色有機エレクトロルミネッセンス素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせる方式が好ましい。
複数の発光色を得るための有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成としては、複数の発光ドーパントを、一つの発光層中に複数存在させる方法、複数の発光層を有し、各発光層中に発光波長の異なるドーパントをそれぞれ存在させる方法、異なる波長に発光する微小画素をマトリックス状に形成する方法等が挙げられる。
本発明に係わる白色有機エレクトロルミネッセンス素子においては、必要に応じ製膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもいいし、電極と発光層をパターニングしてもいいし、素子全層をパターニングしてもいい。
発光層に用いる発光材料としては特に制限はなく、例えば液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係わる白金錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
このように、本発明の有機EL素子は、前記表示デバイス、ディスプレーに加えて、各種発光光源、照明装置として、家庭用照明、車内照明、また、露光光源のような一種のランプとして、液晶表示装置のバックライト等、表示装置にも有用に用いられる。
その他、時計等のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体等の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等、更には表示装置を必要とする一般の家庭用電気器具等広い範囲の用途が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
《有機EL素子1−1〜1−22の作製》
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm製膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行なった。この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、CuPcを蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基板に膜厚20nm蒸着し正孔注入層を設けた。次にα−NPDを0.1nm/秒で蒸着し正孔輸送層を20nm設けた。その上にCBPとIr−1の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.2nm/秒、0.012nm/秒で前記正孔輸送層上に共蒸着して発光層を30nm設けた。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。更に、B−Alqを蒸着速度0.1nm/秒で前記発光層の上に蒸着して膜厚10nmの正孔阻止の役割も兼ねた電子輸送層を設けた。その上に、更に、電荷輸送材料N−30とサエスゲッター製セシウムディスペンサーから金属セシウムを0.1nm/秒、0.025nm/秒で蒸着して電子輸送層を膜厚50nm設けた。
引き続きアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子1−1を作製した。
有機EL素子1−1の作製において、電子輸送層の電荷輸送材料として用いているN−30を表1に示す電荷輸送材料に変えた以外は有機EL素子1−1と同じ方法で1−2〜1−22を作製した。上記で使用した化合物の構造を以下に示す。
Figure 0005692425
有機EL素子1−1〜1−22の寿命、駆動電圧の評価を下記に示す方法で行った。
〈寿命〉
各有機EL素子を2.5mA/cmの一定電流で駆動したときに、輝度が発光開始直後の輝度(初期輝度)の半分に低下するのに要した時間を測定し、これを半減寿命時間(τ0.5)として寿命の指標とした。なお測定には分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ(株)製)を用いた。
表1の寿命の測定結果は、有機EL素子1−22を100とした時の相対値で表した。
〈駆動電圧〉
各有機EL素子を2.5mA/cmの一定電流で駆動したときの電圧を測定し、
電圧評価値=有機EL素子1−1〜1−21の駆動電圧/有機EL素子1−22の駆動電圧×100でそれぞれ表した。値が小さい方が比較に対して駆動電圧が低いことを示している。
Figure 0005692425
実施例2
実施例1の金属セシウムをフッ化セシウムに変更した以外同じ有機EL素子2−1〜2−22を評価した結果、実施例1と同様の効果が得られた。
実施例3
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm製膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行なった。この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、m−MTDATAとF4−TCNQをそれぞれ蒸着速度0.2nm/秒、0.002nm/秒で透明支持基板上に100nm共蒸着し正孔注入層を設けた。次にm−MTDATXAを0.1nm/秒で蒸着し正孔輸送層を設けた。その上にCDBPとIr−12の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.1nm/秒、0.003nm/秒で前記正孔輸送層上に共蒸着して発光層を30nm設けた。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。更に、HB−1を蒸着速度0.1nm/秒で前記発光層の上に蒸着して膜厚10nmの正孔阻止の役割も兼ねた電子輸送層を設けた。その上に、更に、拡散防止層として、N−30を0.1nm/秒の蒸着速度で10nm設けた。
拡散防止層の上に、電荷輸送材料N−3とフッ化セシウムを0.1nm/秒、0.025nm/秒の速度で蒸着し電子輸送層を膜厚50nm設けた。
引き続きアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子3−1を作製した。
有機EL素子3−1の作製において、拡散防止層のない素子を有機EL素子3−2、さらに有機EL素子3−2の電子輸送層の電荷輸送材料として用いているN−30をBPhenに置き換えた素子を有機EL素子3−3とした。表2に有機EL素子3−1〜3−3の保存性を評価した結果を示す。
Figure 0005692425
保存性は85℃、100時間で保存したときの前後で、2.5mA/cm定電流駆動における輝度がどれだけ変化したかを評価した。
保存性=100時間保存後の輝度/100時間保存前の輝度×100なお輝度測定には実施例1同様分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ(株)製)を用いた。
Figure 0005692425
本発明に係る電荷輸送層では比較例に比して、保存性が良いことが分かる。さらに、拡散防止層を設けた3−1素子では更に保存性が向上している。これは、電子輸送層から発光層へのセシウムイオンの拡散を防いでいるためと考えられる。
実施例4
実施例3において、N−30を、それぞれ表1に使用した電荷輸送材料に代え試験を行ったが、実施例3と同様の効果が確認された。
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサ
A 表示部
B 制御部

Claims (13)

  1. 支持基板上に少なくとも陽極、陰極及び該陽極と該陰極間に少なくとも一つの有機化合物層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機化合物層の少なくとも一つが、下記一般式(14)で表される電荷輸送材料を含み、且つ、金属、該金属の塩及び電子供与性化合物の群から選択される少なくとも一つを含有する電子輸送材料含有層であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005692425
    (一般式(14)において、X11〜X13は、それぞれ、C−R87を表し、X14は、窒素原子を表す。R81〜R83及びR87は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基を表し、少なくとも一つが置換基を有してもよい単環の芳香族基であり、置換基同士が結合し環を形成してもよい。)
  2. 前記一般式(14)で表される電荷輸送材料が、それぞれ、下記一般式(16)または(17)で表されることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    一般式(16): Q−L−Q
    一般式(17): Ar−(Q)n
    (式中、Qは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい1,5−ナフチリジン残基を表す。Lは、二価の連結基を表す。Arは、置換基を有してもよい単環の芳香族炭化水素環もしくは置換基を有してもよい単環の芳香族複素環を表す。nは、1以上の整数を表す。)
  3. 前記一般式(14)、(16)又は(17)において、前記置換基の分子量が240以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記金属が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記金属の塩が、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩から選ばれることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる金属が、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウム、バリウム、カルシウム又はストロンチウムであることを特徴とする請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記アルカリ金属から選ばれる金属が、セシウムであることを特徴とする請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、セシウム塩、バリウム塩、カルシウム塩及びストロンチウム塩から選ばれることを特徴とする請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 前記アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の対アニオンが、フッ素イオンであることを特徴とする請求項又は請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 前記アルカリ金属塩が、フッ化セシウムであることを特徴とする請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  11. 前記電子供与性化合物が、芳香族アミン化合物、チオフェン化合物又はフルバレン化合物であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  12. 構成層として拡散防止層を有し、該拡散防止層が、金属又は該金属のイオンの拡散を防止又は抑制することを特徴とする請求項1から請求項1までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  13. 燐光発光体が、含まれていることを特徴とする請求項1から請求項1までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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