JP5691046B2 - 多孔体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)界面活性剤の存在下、製造しようとする多孔体の骨格原料を構成する金属酸化物の金属原子の、溶液中における濃度が0.4mol/l以下、(界面活性剤/骨格原料の骨格構成金属原子)のモル比が0.07以上25以下である溶液中で、前記骨格原料を縮合させる工程と、縮合物から界面活性剤を除去する工程と、縮合物を、酸又は3価以上の金属イオンと酸との塩の溶液に接触させる工程、とを備え、前記縮合物を得る工程をアルカリ条件下で行い、テトラアルコシキシシラン又はアルキルアルコキシシランを骨格原料とし、前記界面活性剤がオクチルトリメチルアンモニウムハライド又はデシルトリメチルアンモニウムハライドである、多孔体の製造方法。
(2)(1)に記載の多孔体の製造方法であって、前記3価以上の金属イオンは、Fe3+である、多孔体の製造方法。
(3)(1)または(2)に記載の製造方法によって得られる多孔体であって、骨格を有する多孔体であり、80℃の熱水に24時間浸漬した後の25℃における水蒸気吸着等温線において、相対蒸気圧が10%で0.1g/g以下、25%で0.2g/g以上の水蒸気吸着能を有する、多孔体。
In(P/P0)=−(2VLγcosθ)/rRT・・・(1)
ここで、VL、γ及びθは、それぞれ、吸着質液体のモル体積、表面張力、及び接触角を示し、Rは気体定数、Tは絶対温度を示している。
試料温度:25℃
空気恒温槽温度:50℃
基準容量:180.98ml
平衡時間:500秒
本明細書の実施例及び比較例においては、いずれもこの条件が採用されている。
本発明の多孔体は、細孔径分布曲線における中心細孔直径の±40%の細孔範囲に全細孔容積の60%以上が含まれることが好ましい。細孔径分布曲線は、次のようにして求められる。細孔径分布曲線とは、例えば細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線を言う。その細孔分布曲線のdV/dD値が最も大きくなる(最大ピークを示す)細孔直径を中心細孔直径という。細孔径分布曲線は、例えば窒素ガスの吸着量測定により得られる吸着等温線から種々の計算式で導かれる。吸着等温線の測定法を以下に例示する。この方法において最もよく用いられるガスは窒素である。
本発明では、界面活性剤と骨格原料を縮合して得た縮合物から界面活性剤を除去した後、得られた焼成体(多孔体)を酸又は3価以上の金属イオンと酸との塩の溶液に接触させる工程を備える方法を提供する。この方法によると、得られる多孔体の耐湿性や耐熱水性が向上され、これにより、熱水(典型的には、80℃の熱水)処理後の多孔体においても、低い相対蒸気圧において高い水蒸気吸着能を有する材料を得ることができる。なお、理論的に拘束されるものではないが、かかる耐湿性あるいは耐熱水性の向上は、骨格における結合、具体的には金属元素と酸素との結合(典型的には、Si−O−Si結合)が、前記酸処理あるいは塩処理により強化されるためであると考えられる。また、加水分解反応を受けにくくなるためであると考えられる。
実施例25
デシルトリメチルアンモニウムブロミド1.54g、1規定水酸化ナトリウム2.28g、水72.7g、メタノール25gを混合後、テトラメトキシシラン(TMOS)1.32gを添加したところ、多孔体−界面活性剤複合体が析出してきた。室温で8時間攪拌して一晩放置した後、吸引ろ過・水再分散を2回繰り返した。再び、吸引ろ過後、45℃で3日間乾燥した。この粉末を、550℃で6時間加熱処理することにより、細孔中の界面活性剤を除去した。この粉末0.5gを0.01規定の塩酸水溶液20gに50℃で20時間浸漬した。ろ過後、再び、550℃で6時間加熱処理した。この粉末を、80℃の熱水に24時間浸漬した後(以下、耐熱水試験ともいう。)、水蒸気吸着等温線の測定を行った。P/P0=0.10及びP/P0=0.25での水蒸気吸着量は、それぞれ、0.07g/g、0.26g/gであった。水蒸気吸着等温線を図1に示すが、本多孔体は、均一でしかも小さな細孔が形成されているので、細孔径に対応した特定の相対蒸気圧で吸着量が顕著に増加することがわかる。耐熱水試験前後のX線回折パターンを図2に示すが、細孔間隔に起因するピークd100が存在しており、耐熱水試験後も均一な径を有する多孔体構造を保持していることがわかる。
デシルトリメチルアンモニウムブロミド1.54g、1規定水酸化ナトリウム2.28g、水72.7g、メタノール25gを混合後、テトラメトキシシラン1.32gを添加したところ、多孔体−界面活性剤複合体が析出してきた。室温で8時間攪拌して一晩放置した後、吸引ろ過・水再分散を2回繰り返した。再び、吸引ろ過後、45℃で3日間乾燥した。550℃で6時間加熱処理することにより、細孔内中の界面活性剤を除去した。この粉末を、80℃の熱水に24時間浸漬した後、水蒸気吸着等温線の測定を行った。図1に示すように、P/P0=0.10及びP/P0=0.25での水蒸気吸着量は、それぞれ、0.06g/g、0.13g/gであった。試験前後のX線パターンを図3に示すが、細孔間隔に起因するピークd100も多少存在しているが、低角側が立ち上がっており、シリカゲルの生成が示唆される。耐熱水試験により、細孔が破壊され、不均一な孔成分が生成したことを示す。
Bull.Chem.Soc.Japan.,69、1449(1996)等に準じて、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド2.5gを水100gに溶解後、ジケイ酸ナトリウム5gを添加した。70℃で3時間攪拌後、2規定塩酸でpH8.5まで中和した。さらに3時間攪拌を行い一晩放置した後、吸引ろ過・水再分散を2回繰り返した。再び、再び、吸引ろ過後、45℃で3日間乾燥して、界面活性剤を含む多孔体を得た。この粉末を、550℃で6時間加熱処理することにより、細孔内の界面活性剤を除去した。この粉末を、80℃の熱水に24時間浸漬した後、水蒸気吸着等温線の測定を行った。P/P0=0.10及びP/P0=0.25での水蒸気吸着量は、それぞれ、0.08g/g、0.12g/gであった。
デシルトリメチルアンモニウムブロミド1.54g、1規定水酸化ナトリウム2.28g、水72.7g、メタノール25gを混合後、テトラメトキシシラン(TMOS)1.32gを添加したところ、多孔体−界面活性剤複合体が析出してきた。室温で8時間攪拌して一晩放置した後、吸引ろ過・水再分散を2回繰り返した。再び、吸引ろ過後、45℃で3日間乾燥した。この粉末を、550℃で6時間加熱処理した。この粉末0.5gを0.005mol/lの硝酸アルミニウム(Al(NO3)3)水溶液20gに、50℃で20時間浸漬した。ろ過後、再び、550℃で6時間加熱処理した。この粉末を、80℃の熱水に24時間浸漬した後、水蒸気吸着等温線の測定を行った。P/P0=0.10及びP/P0=0.25での水蒸気吸着量は、それぞれ、0.07g/g、0.24g/gであった。水蒸気吸着等温線を図4に示す。
デシルトリメチルアンモニウムブロミド1.54g、1規定水酸化ナトリウム2.28g、水72.7g、メタノール25gを混合後、テトラメトキシシラン(TMOS)1.32gを添加したところ、多孔体−界面活性剤複合体が析出してきた。室温で8時間攪拌して一晩放置した後、吸引ろ過・水再分散を2回繰り返した。再び、吸引ろ過後、45℃で3日間乾燥した。この粉末を、550℃で6時間加熱処理して、細孔中の界面活性剤を除去した。この粉末0.5gを、0.005mol/lの硝酸第二鉄(Fe(NO3)3)水溶液20gに、50℃で20時間浸漬した。ろ過後、再び、550℃で6時間加熱処理した。この粉末を、80℃の熱水に24時間浸漬した後、水蒸気吸着等温線の測定を行った。P/P0=0.10及びP/P0=0.25での水蒸気吸着量は、それぞれ、0.07g/g、0.25g/gであった。水蒸気吸着等温線を図4に示す。
オクチルトリメチルアンモニウムブロミド3.78g、1規定水酸化ナトリウム2.28g、水92.7g、メタノール5gを混合後、テトラメトキシシラン(TMOS)1.32gを添加したところ、多孔体−界面活性剤複合体が析出してきた。室温で8時間攪拌して一晩放置した後、吸引ろ過・水再分散を2回繰り返した。再び、吸引ろ過後、45℃で3日間乾燥した。この粉末を、550℃で6時間加熱処理した。この粉末0.5gを0.005mol/lのシュウ酸チタニルアンモニウム水溶液20gに、50℃で20時間浸漬した。ろ過後、再び、550℃で6時間加熱処理した。この粉末を、80℃の熱水に24時間浸漬した後、水蒸気吸着等温線の測定を行った。P/P0=0.10及びP/P0=0.25での水蒸気吸着量は、それぞれ、0.09g/g、0.21g/gであった。
デシルトリメチルアンモニウムブロミド1.54g、1規定水酸化ナトリウム2.28g、水72.7g、メタノール25gを混合後、テトラメトキシシラン(TMOS)1.32gを添加したところ、多孔体−界面活性剤複合体が析出してきた。室温で8時間攪拌して一晩放置した後、吸引ろ過・水再分散を2回繰り返した。再び、吸引ろ過後、45℃で3日間乾燥した。この粉末を、550℃で6時間加熱処理して、細孔中の界面活性剤を除去した。この粉末0.5gを、0.01規定の酢酸水溶液20gに、50℃で20時間浸漬した。ろ過後、再び、550℃で6時間加熱処理した。この粉末を、80℃の熱水に24時間浸漬した後、水蒸気吸着等温線の測定を行った。P/P0=0.10及びP/P0=0.25での水蒸気吸着量は、それぞれ、0.08g/g、0.23g/gであった。
Claims (3)
- 界面活性剤の存在下、製造しようとする多孔体の骨格原料を構成する金属酸化物の金属原子の、溶液中における濃度が0.4mol/l以下、(界面活性剤/骨格原料の骨格構成金属原子)のモル比が0.07以上25以下である溶液中で、前記骨格原料を縮合させて縮合物を得る工程と、
前記縮合物から界面活性剤を除去する工程と、
界面活性剤除去後の多孔体を、酸又は3価以上の金属イオンと酸との塩の溶液に接触させる工程とを備え、
前記縮合物を得る工程をアルカリ条件下で行い、
テトラアルコシキシシラン又はアルキルアルコキシシランを骨格原料とし、
前記界面活性剤がオクチルトリメチルアンモニウムハライド又はデシルトリメチルアンモニウムハライドである、多孔体の製造方法。 - 請求項1に記載の多孔体の製造方法であって、
前記3価以上の金属イオンは、Fe3+である、多孔体の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の製造方法によって得られる多孔体であって、
骨格を有する多孔体であり、80℃の熱水に24時間浸漬した後の25℃における水蒸気吸着等温線において、相対蒸気圧が10%で0.1g/g以下、25%で0.2g/g以上の水蒸気吸着能を有する、多孔体。
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