JP4534279B2 - 有機無機複合材料からなる多孔質粒子 - Google Patents

有機無機複合材料からなる多孔質粒子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は結晶性の有機無機複合材料からなる多孔質粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】
メソ孔(直径2〜50nmの細孔)を有する金属酸化物からなる多孔質材料は、数百m2/gを超すような非常に大きな比表面積を有しているため、機能性分子等の比較的大きな分子の合成用触媒の担体や、吸着剤、分離剤等として使用可能であると考えられており、近年盛んに開発研究がなされている。
【0003】
このようなメソ孔を有する多孔質材料は、構成成分及び構造に基づいて、(1)有機基を含まない金属酸化物からなる多孔質材料、(2)金属酸化物からなる細孔壁の表面に有機基を結合させた表面修飾型多孔質材料、(3)細孔壁が有機基を含む金属酸化物からなる有機無機複合多孔質材料、に分類することができる。
【0004】
有機基を含まない金属酸化物からなる多孔質材料としては、例えば、カネマイト(NaHSi25・3H2O)から得られるヘキサゴナルの規則性を持つ多孔質材料(S. Inagaki et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun.,p.680, 1993)、シリカやケイ酸ソーダ等を界面活性剤中で加熱することにより得られる多孔質材料(C. T. Kresge et al., Nature, vol.359, p710, 1992)が知られている。
【0005】
また、有機基を含まない金属酸化物からなる多孔質材料であって特定の粒子形状を有するものとしては、球状の粒子形状を有する多孔質材料(S. Shio et al., Chem. Commun., p.2461, 1998;H. Yang et al., J. Mater. Chem., vol.8, p.743, 1998)、棒状の粒子形状を有する多孔質材料(S. Shio et al., Chem. Commun., p.2461, 1998)、十八面体状の粒子形状を有する多孔質材料(J. M. Kim et al., Chem. Commun., 259, 1998)が知られている。
【0006】
一方、表面修飾型多孔質材料としては、例えば、WO98/34723号公報に開示されたものが挙げられる。同公報に開示された表面修飾型多孔質材料は、分子内に1個のアルコキシル基を有する有機金属化合物を原料として直接合成する(直接合成法)か、無機酸化物からなる多孔質材料を一旦合成し、その後、細孔壁上に1個のアルコキシル基を有する有機金属化合物を結合させる(2段階合成法)かのいずれかの方法により作製可能とされる。
【0007】
また、有機無機複合多孔質材料としては、有機基の2以上の炭素原子に無機酸化物が結合して生成したアモルファスな有機無機複合材料によるもの(D. A. Loy et al., Chem. Rev., vol.95 p.1431, 1995)が知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の文献若しくは公報に開示された多孔質材料は次に述べるような問題点があった。
【0009】
すなわち、有機基を含まない金属酸化物からなる多孔質材料は、無機の表面特性を示し、疎水性の有機物に対しては相互作用が弱いため、疎水的な表面を必要とする反応触媒の担体や、有機基を有する物質の吸着剤として用いた場合、その性能が十分ではなかった。
【0010】
一方で、表面修飾型多孔質材料は、細孔壁表面上に有機基が結合しているため有機の表面特性を示すものの、この有機基が高温下あるいは触媒反応や吸着操作の際に脱離しやすいために、経時的に性能が劣化するという問題点があった。また、上記の問題点に加えて、直接合成法による表面修飾型多孔質材料は、吸着剤若しくは触媒用担体としての性能が低いという問題があり、2段階合成法による表面修飾型多孔質材料は、有機基が細孔壁表面に存在するため、その分だけ細孔の径が小さくなるという問題があった。
【0011】
また、上述した有機無機複合多孔質材料は、有機無機の両方の表面特性を示すものの、吸着剤として用いた場合、十分な吸着性能が得られなかったり、吸着と脱着の制御が困難となる等の問題があった。
【0012】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、有機無機の両方の表面特性を示し、吸着剤としての性能を十分に高くすることができ、加熱等による性能劣化の少ない多孔質粒子を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、上記従来技術の問題点は、多孔質材料の結晶性が悪いために細孔が規則的に配列せず粒子形状も一定でないこと又は多孔質材料を構成する金属酸化物がその骨格中に有機基を取り込んでいないことのいずれかに起因するものであることを見出した。
【0014】
また、この知見に基づいて更に研究を重ねた結果、有機基と金属原子と酸素原子とが特定の結合様式で結合した結晶性の有機無機複合材料からなる、特定形状の多孔質粒子が、有機無機の両方の表面特性を示し、吸着剤としての性能が十分に高く、加熱等による性能劣化も少ないことを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
すなわち、本発明の多孔質粒子は、炭素原子を1以上有する有機基と、該有機基中の同一若しくは異なる炭素原子に結合した2以上の金属原子と、該金属原子に結合した1以上の酸素原子とからなる骨格を有する結晶性の有機無機複合材料からなり、球状、六角柱状又は十八面体状の粒子の形状を有しており、且つ該粒子の表面及び内部に細孔が形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の多孔質粒子においては、前記骨格が、下記一般式(1)で表される構成単位の少なくとも1種類からなることが好ましい。
【化2】
Figure 0004534279
(式中、R1は炭素原子を1以上有する有機基、Mは金属原子、R2は水素、水酸基又は炭化水素基、xは金属Mの価数から1を差し引いた整数、nは1以上x以下の整数、mは2以上の整数を示す。ただし、Mが結合するR1の炭素は同一でも異なっていてもよい。)
【0017】
また、本発明の多孔質粒子の平均粒径は0.1〜100μmであることが好ましく、また、中心細孔直径は1〜50nmであることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0019】
本発明の多孔質粒子は、炭素原子を1以上有する有機基と、該有機基中の同一若しくは異なる炭素原子に結合した2以上の金属原子と、該金属原子に結合した1以上の酸素原子とからなる骨格を有する結晶性の有機無機複合材料からなり、球状、六角柱状又は十八面体状の粒子の形状を有しており、且つ該粒子の表面及び内部に細孔が形成されていることを特徴とするものである。
【0020】
本発明における、炭素原子を1以上有する有機基は、2以上の酸素原子と結合するために2価以上の価数を有するものでなければならない。このような有機基としては、例えば、アルカン、アルケン、アルキン、ベンゼン、シクロアルカン等の炭化水素から2以上の水素がとれて生じる2価以上の有機基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。有機基は、その水素原子の一部が、アミド基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、スルフォン基、カルボキシル基、エーテル基、アシル基、ビニル基等の置換基で置換されたものであってもよい。また、本発明の多孔質粒子を構成する有機無機複合材料は、上記の有機基を1種類のみ含むものであっても、2種以上含むものであってもよい。
【0021】
本発明においては、適度な架橋度の多孔質粒子が得られることから、有機基の価数は2価であることが好ましい。2価の有機基としては、メチレン基(−CH2−)、エチレン基(−CH2CH2−)、トリメチレン基(−CH2CH2CH2−)、テトラメチレン基(−CH2CH2CH2CH2−)、1,2−ブチレン基(−CH(C25)CH−)、1,3−ブチレン基(−CH(CH3)CH2CH2−)、フェニレン基(−C64−)、ジエチルフェニレン基(−C24−C64−C24−)、ビニレン基(−CH=CH−)、プロペニレン基(−CH2−CH=CH2−)、ブテニレン基(−CH2−CH=CH−CH2−)、アミド基(−CO−NH−)、ジメチルアミノ基(−CH2−NH−CH2−)、トリメチルアミン基(−CH2−N(CH3)−CH2−)等が挙げられる。中でも、結晶性の高い多孔質粒子を得ることが可能であることから、メチレン基、エチレン基、フェニレン基が好ましい。
【0022】
上記の有機基における同一若しくは異なる炭素原子には2以上の金属原子が結合するが、この金属の種類は特に制限されず、例えば、ケイ素、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、モリブデン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ベリリウム、イットリウム、ランタン、ハフニウム、スズ、鉛、バナジウム、ホウ素が挙げられる。中でも、有機基及び酸素との結合性が良好なことから、ケイ素、アルミニウム、チタンが好ましい。なお、上記の金属は有機基と結合するとともに酸素原子と結合し、酸化物となるが、この酸化物は2種以上の金属原子からなる複合酸化物であってもよい。
【0023】
本発明の多孔質粒子は、上述の有機基と金属原子と酸素原子とが結合することによって生じる結晶性の有機無機複合材料からなるものであるが、この結合の種類は限定されず、例えば、共有結合、イオン結合などが可能である。また、有機基に結合する金属原子の数や金属原子に結合する酸素原子の数によって、異なった骨格(直鎖状、梯子状、網目状、分岐状等)の有機無機複合材料が生じる。
【0024】
本発明においては、有機基は2以上の金属原子と結合しその金属原子は1以上の酸素原子と結合するため、有機基は金属酸化物の骨格中に取り込まれる。この結果、本発明の多孔質粒子は有機無機の両方の表面特性を示すようになる。また、金属酸化物の表面に有機基が付加した上述の表面修飾型多孔質材料とは異なり、加熱等による有機基の脱離が低減され、例えば吸着剤や触媒用担体として用いたときに性能劣化が抑えられる。更に、本発明の多孔質粒子は結晶性を有しており細孔が規則的に配列しているために、例えば吸着剤や触媒用担体として用いた場合にその性能が向上する。
【0025】
本発明の多孔質粒子においては、有機基と金属原子と酸素原子とからなる骨格が、下記一般式(1)で表される構成単位の少なくとも1種類からなることが好ましい。
【化3】
Figure 0004534279
【0026】
ここで、R1は炭素原子を1以上有する有機基を表す。この有機基の種類は特に制限されないが、例えば、アルカン、アルケン、アルキン、ベンゼン、シクロアルカン等の炭化水素から2以上の水素がとれて生じる2価以上の有機基を挙げることができる。これらの有機基は、その水素原子の一部がアミド基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、スルフォン基、カルボキシル基、エーテル基、アシル基、ビニル基等の置換基で置換されたものであってもよい。また、有機基は2価であることが好ましく、2価の有機基としては上述したようなものが挙げられる。2価の有機基としては、結晶性の高い多孔質粒子を得ることが可能であることから、メチレン基、エチレン基、フェニレン基が好ましい。
【0027】
上記一般式(1)におけるMは金属原子を表す。この金属原子の種類は特に制限されないが、例えば、ケイ素、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、モリブデン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ベリリウム、イットリウム、ランタン、ハフニウム、スズ、鉛、バナジウム、ホウ素を挙げることができる。中でも、有機基及び酸素との結合性が良好なことから、ケイ素、アルミニウム、チタンを用いることが好ましい。
【0028】
上記一般式(1)におけるR2は水素、水酸基又は炭化水素基を表す。R2が炭化水素基である場合その種類に制限はないが、R2としては、例えば、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、フェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、上記一般式(1)におけるxは金属Mの価数から1を差し引いた整数、nは1以上x以下の整数、mは2以上の整数を表す。なお、Mが結合するR1の炭素は同一でも異なっていてもよい。また、−O1/2−は、これらが2つ結合することにより−O−となる基を表す。
【0029】
上記一般式(1)において、R1、M、R2、n、mが、それぞれエチレン基、ケイ素、メチル基、1、2である場合は、一般式(1)は下記化学式(2)で表すことができる。
【化4】
Figure 0004534279
【0030】
化学式(2)の構成単位が2個連結した骨格は、下記化学式(3)で表すことができる。
【化5】
Figure 0004534279
【0031】
また、一般式(1)において、R1、M、n、mが、それぞれエチレン基、ケイ素、3、2である場合は、一般式(1)は下記化学式(4)で表すことができる。
【化6】
Figure 0004534279
【0032】
化学式(4)の構成単位が複数個連結すると網状構造を形成する。下記化学式(5)はその網状構造の一例における化学式(4)の構成単位を4個示すものである。
【化7】
Figure 0004534279
【0033】
本発明の多孔質粒子を構成する有機無機複合材料の骨格は、一般式(1)において、R1、M、R2、n、mが異なる複数の構成単位からなるものであってもよい。例えば、化学式(2)で表される構成単位と化学式(4)で表される構成単位とからなるものであってもよい。また、当該有機無機複合材料は、一般式(1)で表される構成単位以外に、例えば、Si−(O1/24−、Ti−(O1/24−等の構成単位を有していてもよい。
【0034】
本発明における多孔質粒子は、上述した有機基及び金属原子と酸素原子からなる、球状、六角柱状又は十八面体状の形状を有する結晶性の粒子である。
【0035】
この粒子の平均粒径は0.01〜100μmであることが好ましく、0.01〜50μmであることがより好ましい。更に好ましくは、平均粒径は0.1〜50μmである。平均粒径が0.01μm未満である場合は、粒子が飛散しやすく取り扱いが困難である。また、平均粒径が100μmを超す場合は、吸着剤や触媒の担体として用いたときに粒子の内部の細孔が十分に利用できなくなる傾向にある。なお、球状の形状を有する粒子における平均粒径とは、直径(最長の直径)の平均を意味し、六角柱状の形状を有する粒子における平均粒径とは、長手方向に垂直な六角断面の直径(最長の対角線の長さ)の平均を意味する。また、十八面体状の形状を有する粒子における平均粒径とは、直径(最長の頂点間距離)の平均を意味する。
【0036】
一方、多孔質粒子に形成された細孔の中心細孔直径は、1〜50nmであることが好ましく、2〜30nmであることがより好ましい。更に好ましくは、中心細孔直径は、2〜10nmである。中心細孔直径が1nm未満である場合は、細孔の平均の大きさが吸着の対象となる物質の大きさよりも小さくなることが多くなるために、吸着性能が低下する傾向にある。また、中心細孔直径が50nmを超す場合は、比表面積が低下して、触媒、吸着特性が低下する傾向にある。
【0037】
ここで、中心細孔直径とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径である。なお、細孔径分布曲線は、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、吸着剤である多孔質粒子を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法あるいは重量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得る。この吸着等温線を用い、Cranston-Inklay法、Pollimore-Heal法、BJH法等の計算法により細孔径分布曲線を求めることができる。
【0038】
本発明の多孔質粒子は、細孔径分布曲線における中心細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれることが好ましい。ここで、「細孔径分布曲線における最大ピークを示す細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれる」とは、例えば、中心細孔直径が3.00nmである場合、この3.00nmの±40%、すなわち1.80〜4.20nmの範囲にある細孔の容積の合計が、全細孔容積の60%以上を占めていることを意味する。この条件を満たす多孔質材料は、細孔の直径が非常に均一であることを意味する。
【0039】
また、本発明の多孔質粒子の比表面積については特に制限はないが、700m2/g以上であることが好ましい。比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。
【0040】
更に、本発明の多孔質粒子は、そのX線回折パターンにおいて1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することが好ましい。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。したがって、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列していることを意味する。
【0041】
本発明の多孔質粒子が有する細孔は、粒子の表面のみならず内部にも形成される。この細孔の形状は特に制限はないが、例えば、トンネル状に貫通したものであってもよく、また、球状若しくは多角形状の空洞が互いに連結したような形状を有していてもよい。
【0042】
本発明の多孔質粒子は、例えば、以下の一般式(6)で表される化合物の少なくとも1種類を重縮合することにより得ることができる。
【化8】
Figure 0004534279
【0043】
ここで、R1は炭素原子を1以上有する有機基、Mは金属原子を表す。また、R2は水素、水酸基又は炭化水素基を表す。なお、一般式(6)におけるR1、M、R2は、一般式(1)におけるR1、M、R2と同等である。一般式(6)におけるAは、アルコキシル基又はハロゲン原子を表し、xは金属Mの価数から1を差し引いた整数、nは1以上x以下の整数、mは1以上の整数を表す。なお、Mが結合するR1の炭素は同一でも異なっていてもよい。
【0044】
一般式(6)のAがアルコキシル基である場合、そのアルコキシル基中の酸素に結合した炭化水素基の種類は特に制限されず、例えば、鎖式、環式、脂環式の炭化水素を挙げることができる。この炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜5の鎖式アルキル基であり、より好ましくは、メチル基またはエチル基である。
【0045】
一般式(6)のAがハロゲン原子である場合、その種類も特に制限されず、例えば、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素を挙げることができる。中でも、塩素及び臭素が好ましい。
【0046】
一般式(6)において、R1、M、A、n、mがそれぞれ、エチレン基、ケイ素、メトキシ基、3、2である場合は、一般式(6)は、(CH3 O)3 Si−CH2 −CH2 −Si(OCH3 3 で表される1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタンとなる。
【0047】
また、一般式(6)において、R1、M、A、n、mがそれぞれ、エチレン基、ケイ素、塩素、3、2である場合は、一般式(6)は、Cl3 Si−CH2 −CH2 −SiCl3 で表される1,2−ビス(トリクロロシリル)エタンとなる。
【0048】
本発明においては、一般式(6)で表される化合物に、アルコキシシラン、チタニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシド等を加えて重縮合してもよい。
【0049】
アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等を用いることができる。また、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、エポキシ基等の官能基を有するアルコキシシランを用いることもできる。
チタニウムアルコキシドとしては、例えば、チタニウムブトキシド、チタニウムイソプロポキシド、チタニウムエトキシドを用いることができ、アルミニウムアルコキシドとしては、例えば、アルミニウムイソプロポキシドを用いることができる。また、塩素化ケイ素(SiCl4)を始めとする各種ハロゲン化金属も用いることができる。
【0050】
上記の一般式(6)で表される化合物やアルコキシシラン等に、擬ベーマイト、アルミン酸ソーダ、硫酸アルミニウム、ジアルコキシアルミノトリアルコキシシラン等を加えて反応させることにより、SiO2−Al23の骨格を導入することができる。また、硫酸バナジル(VOSO4)、ホウ酸(H3BO3)、塩化マンガン(MnCl2)等を加えて反応させることにより、V、B、Mnを骨格に導入することができる。
【0051】
本発明の多孔質粒子を製造する際には、上述の一般式(6)で表される化合物を、界面活性剤を含む水溶液に加え酸性若しくはアルカリ性条件下で重縮合することが好ましい。
【0052】
界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性のいずれの界面活性剤も使用することができる。このような界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム[Cn2n+1N(CH33]、アルキルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物あるいは水酸化物等の他、脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤、一級アルキルアミン等が挙げられる。
アルキルトリメチルアンモニウム[Cn2n+1N(CH33]としてはアルキル基の炭素数が8〜18のものを用いることが好ましい。
【0053】
非イオン性界面活性剤としては、疎水性成分として炭化水素基を有し、親水性成分としてポリエチレンオキサイド鎖を有するポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤が挙げられる。このような界面活性剤としては、例えば、C1633(OCH2CH22OH、C1225(OCH2CH24OH、C1633(OCH2CH210OH、C1633(OCH2CH220OH、C1837(OCH2CH210OH、C1835(OCH2CH210OH、C1225(OCH2CH223OH等が挙げられる。
【0054】
また、ソルビタン脂肪酸エステル成分とポリエチレンオキサイド成分を有した界面活性剤を使用することもできる。このような界面活性剤としては、TritonX−100(アルドリッチ)、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノラウリレート(Tween20、アルドリッチ)、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween40)、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノステアレート、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノオリエート(Tween60)、ソルビタンモノパルミテート(Span40)等が挙げられる。
【0055】
また、界面活性剤としては、3つのポリアルキレンオキサイド鎖からなるトリブロックコポリマーも用いることができる。中でも、ポリエチレンオキサイド(EO)鎖−ポリプロピレンオキサイド(PO)鎖−ポリエチレンオキサイド(EO)鎖で表されるトリブロックコポリマーが好ましい。EO鎖の繰り返し数がx、PO鎖の繰り返し数がyである時、このトリブロックコポリマーは(EO)x(PO)y(EO)xとして表すことができる。本発明において用いられるトリブロックコポリマーの、x、yには特に制限はないが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは15〜20、yは50〜60であることがより好ましい。
【0056】
また、ポリプロピレンオキサイド(PO)鎖−ポリエチレンオキサイド(EO)鎖−ポリプロピレンオキサイド(PO)鎖のトリブロックコポリマー((PO)x(EO)y(PO)x)も好ましく使用できる。ここで、x、yには特に制限はないが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは15〜20、yは50〜60であることがより好ましい。
【0057】
上記のトリブロックコポリマーとしては、(EO)5(PO)70(EO)5、(EO)13(PO)30(EO)13、(EO)20(PO)30(EO)20、(EO)26(PO)39(EO)26、(EO)17(PO)56(EO)17、(EO)17(PO)58(EO)17、(EO)20(PO)70(EO)20、(EO)80(PO)30(EO)80、(EO)106(PO)70(EO)106、(EO)100(PO)39(EO)100、(EO)19(PO)33(EO)19、(EO)26(PO)36(EO)26が挙げられる。中でも、(EO)17(PO)56(EO)17、(EO)17(PO)58(EO)17を用いることが好ましい。これらのトリブロックコポリマーはBASF社等から入手可能であり、また、小規模製造レベルで所望のx値とy値を有するトリブロックコポリマーを得ることができる。上記のトリブロックコポリマーは1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
また、エチレンジアミンの2個の窒素原子にそれぞれ2本のポリエチレンオキサイド(EO)鎖−ポリプロピレンオキサイド(PO)鎖が結合したスターダイブロックコポリマーも使用することができる。このようなスターダイブロックコポリマーとしては、((EO)113(PO)222NCH2CH2N((PO)22(EO)1132、((EO)3(PO)182NCH2CH2N((PO)18(EO)32、((PO)19(EO)162NCH2CH2N((EO)16(PO)192等が挙げられる。上記のスターダイブロックコポリマーは1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
本発明の多孔質粒子は、上記の一般式(6)で表される化合物(及び必要によりアルコキシシラン等の無機系化合物)を、界面活性剤を含む水溶液に加え、酸性若しくはアルカリ性条件下で重縮合することにより得ることができるが、水溶液のpHは7以上であることが好ましい。
【0060】
また、有機金属化合物(及び必要により無機系化合物)を、界面活性剤の非存在下、酸性若しくはアルカリ性条件下で重縮合してオリゴマーを形成させ、このオリゴマーを含む水溶液中に界面活性剤を加え、酸性若しくはアルカリ性条件下で更に重縮合させることもできる。
【0061】
界面活性剤存在下における重縮合においては、アルカリ性条件下による重縮合と、酸性条件下による重縮合とを交互に行うこともできる。この際、アルカリ性条件と酸性条件の順序は特に制限はないが、酸性条件で重縮合を行ってアルカリ性条件で重縮合を行うと、重合度が高まる傾向にある。なお、重縮合反応においては、攪拌と静置を交互に行うことが好ましい。
【0062】
重縮合の反応温度は、0〜100℃の範囲が好ましいが、温度が低い方が生成物の構造の規則性が高くなる傾向がある。構造の規則性を高くするために好ましい反応温度は20〜40℃である。一方、反応温度が高い方が、重合度が高く構造の安定性が高くなる傾向がある。重合度を高くするために好ましい反応温度は60〜80℃である。
【0063】
重縮合反応の後、熟成を行った後に生成した沈殿あるいはゲルを濾過し、必要に応じて洗浄を行った後に乾燥すると、細孔内に界面活性剤が充填されたままの多孔質粒子前駆体が得られる。
【0064】
この多孔質粒子前駆体を、重縮合反応において使用したものと同じ界面活性剤を含む水溶液(典型的には重縮合反応時と同等かそれ以下の界面活性剤濃度とする)中あるいは水等の溶媒中に分散させ、当該前駆体を50〜200℃で水熱処理することができる。この場合、重縮合反応において使用した溶液をそのままあるいは希釈して加熱することができる。加熱温度は60〜100℃であることが好ましく、70〜80℃であることがより好ましい。また、この時のpHは弱アルカリ性であることが好ましく、pHは例えば8〜8.5であることが好ましい。この水熱処理の時間には特に制限はないが、1時間以上が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
【0065】
この水熱処理後、多孔質粒子前駆体を濾過した後に、乾燥し、余剰の処理液を取り去る。なお、多孔質粒子前駆体を上記水溶液あるいは溶媒中に分散してpH調整後水熱処理を開始する前に、あらかじめ室温で数時間〜数十時間程度攪拌処理を行ってもよい。
【0066】
次いで、多孔質粒子前駆体から界面活性剤を除去するが、その方法としては、例えば、焼成による方法と水やアルコール等の溶媒で処理する方法が挙げられる。
【0067】
焼成による方法においては、多孔質粒子前駆体を300〜1000℃、好ましくは400〜700℃で加熱する。加熱時間は30分程度でもよいが、完全に界面活性剤成分を除去するには1時間以上加熱することが好ましい。焼成は空気中で行うことが可能であるが、多量の燃焼ガスが発生するため、窒素等の不活性ガスを導入して行ってもよい。
【0068】
溶媒を用いて多孔質粒子前駆体から界面活性剤を除去する場合は、例えば、界面活性剤の溶解性の高い溶媒中に多孔質材料前駆体を分散させ、攪拌後固形分を回収する。溶媒としては、水、エタノール、メタノール、アセトン等を使用することができる。
【0069】
陽イオン性の界面活性剤を用いた場合は、少量の塩酸を添加したエタノールあるいは水中に多孔質材料前駆体を分散させ、50〜70℃で加熱しながら攪拌を行う。これにより、陽イオン界面活性剤がプロトンによりイオン交換され抽出される。陰イオン性の界面活性剤を用いた場合は、陰イオンを添加した溶媒中で界面活性剤を抽出することができる。また、非イオン性の界面活性剤を用いた場合は、溶媒のみで抽出することが可能である。なお、抽出時に超音波を照射することが好ましい。また、攪拌と静置とを組み合わせ、あるいは繰り返すことが好ましい。
【0070】
本発明の多孔質粒子の粒子形状は、合成条件により制御することができる。なお、粒子形状は粒子の細孔の配列構造を反映しており、また、結晶構造が決まることにより粒子形状も決まる。例えば、球状の多孔質粒子の結晶構造は三次元ヘキサゴナルであり、六角柱状の多孔質粒子の結晶構造は二次元ヘキサゴナルである。また、十八面体状の多孔質粒子の結晶構造はキュービックである。
【0071】
粒子形状(結晶構造)に最も大きく影響する合成条件は、反応温度と界面活性剤の長さ(炭素数)である。例えば、界面活性剤としてアルキルトリメチルアンモニウムを用いる場合は、そのアルキル基の炭素数と反応温度が粒子形状に影響を与える。例えば、反応温度が95℃でアルキル基の炭素数が18である場合は、六角柱状の粒子が生成しやすく、反応温度が95℃でアルキル基の炭素数が16である場合は、十八面体状の粒子が生成しやすい。また、反応温度が25℃の場合は、アルキル基の炭素数が18と16のいずれの場合も球状粒子が生成しやすい。一方、反応温度が2℃でアルキル基の炭素数が18の時は、層状構造となり、反応温度が2℃でアルキル基の炭素数が16の時は、球状粒子が生成しやすい。これらをまとめて表1に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0004534279
【0073】
多孔質粒子の形状が、球状、六角柱状、十八面体状である場合のそれぞれの粒子形状に関して以下に詳しく説明する。
【0074】
図1は本発明に係る球状の多孔質粒子の一例の斜視図である。図2は、図1に示す球状の多孔質粒子のAで表した部分を拡大した斜視図であり、多孔質粒子の細孔の形状の一形態を示したものである。図1に示す球状の多孔質粒子は、例えば、後述する実施例48記載の条件(反応温度が25℃で界面活性剤のアルキル基の炭素数が18)で1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタンを重縮合させることにより得ることができる。球状の多孔質粒子は、図2に示す中心細孔直径が2.7nmの細孔を有する球状ユニットが六方最密充填して形成されたものである。なお、実施例48記載の条件で得られる球状の多孔質粒子の平均粒径は5μmである。
【0075】
図3は本発明に係る六角柱状の多孔質粒子の一例の斜視図である。図4は、図3に示す六角柱状の多孔質粒子のBで表した部分を拡大した斜視図であり、多孔質粒子の細孔の形状の一形態を示したものである。図3に示す六角柱状の多孔質粒子は、例えば、後述する実施例47記載の条件(反応温度が95℃で界面活性剤のアルキル基の炭素数が18)で1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタンを重縮合させることにより得ることができる。六角柱状の多孔質粒子は、図4に示す中心細孔直径が3.1nmの細孔を有したハニカム状構造により形成される。なお、実施例47記載の条件で得られる六角柱状の多孔質粒子の平均粒径は1μmであり、長手方向の平均長は10μmである。
【0076】
図5に本発明に係る十八面体状の多孔質粒子の一例の斜視図を示す。図6(a)、(b)、(c)は、それぞれ図5に示す十八面体状の多孔質粒子の正面図、側面図、底面図である。また、図7は、図5に示す十八面体状の多孔質粒子のCで表す部分を拡大した斜視図であり、多孔質粒子の細孔の形状の一形態を示したものである。図5に示す十八面体状の多孔質粒子は、例えば、後述する実施例70記載の条件(反応温度が95℃で界面活性剤のアルキル基の炭素数が16)で1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタンを重縮合させることにより得ることができる。十八面体状の多孔質粒子は、図7に示す中心細孔直径が2.9nmの細孔を有するユニットが連結し形成されたものである。なお、実施例70記載の条件で得られる十八面体状の多孔質粒子の平均粒径は5μmである。
【0077】
本発明において、一般式(6)の化合物とともに、上述したアルコキシシラン等の無機系化合物を重縮合させ多孔質粒子を作製する場合においては、これらの配合比により結晶構造を制御することが可能である。例えば、アルコキシシラン等の無機系化合物のモル数をXとし、一般式(6)の化合物のモル数をYとした場合、X/Yが0/100〜50/50の範囲では、結晶構造がキュービックになりやすく、80/20〜100/0の範囲では、結晶構造がヘキサゴナルになりやすい。
【0078】
また、用いる界面活性剤の種類を変化させたり、界面活性剤に疎水的な化合物(例えば、トリメチルベンゼンやトリプロピルベンゼン)を添加することにより、得られる多孔質粒子の細孔径を制御することができる。本発明においては、界面活性剤(S)と水(H2O)の比(S/H2O:g/g)が20以上である場合は、規則的な細孔構造が形成されやすくなる。この比が20程度の場合は、結晶構造がキュービックになりやすく、23以上の場合は結晶構造がヘキサゴナルになりやすい。
【0079】
更に、上述した水熱処理を施す場合においては、水熱処理を施さない場合に比べて、界面活性剤除去後の多孔質粒子の強度及び構造規則性が向上する。例えば、結晶構造がヘキサゴナルである多孔質粒子前駆体に対して水熱処理を施すことにより、中心細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれる程度に細孔直径を均一化することができる。
【0080】
本発明の多孔質粒子の用途としては、吸着剤、触媒用担体が挙げられる。これら以外の用途としては、化粧品の添加剤、樹脂の添加剤、断熱材、遮音材等が挙げられる。化粧品の添加剤として使用する場合、化粧ののりが良くなり、また、香り成分や肌質向上成分の保持性が向上する等の効果がある。樹脂の添加剤として使用する場合は、樹脂とのなじみがよいために樹脂中によく分散する。また、粒子形状が球状、六角柱状または十八面体状であるために、応力が均一に分散し、力学物性等の各種性能が向上する。断熱材や遮音材として用いる場合においては、多孔質材料の吸着現象等を利用してその性能を高めることができる。
【0081】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0082】
(実施例1)
1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタンの合成
窒素ガス環流下、1000mLの三口フラスコに200gのNaOCH3 −HOCH3 溶液(約28%濃度)と102gの無水CH3 OHを入れ、氷−水の冷却下で攪拌しながら1,2−ビス(トリクロロシリル)エタンを50g滴下した。常圧蒸留で溶剤のメタノールを除去してから、減圧蒸留によって生成物を得た。さらに、生成物を減圧蒸留で純化させた。純化させた生成物の構造をガスクロマトグラフィーマススペクトル(GC−MS)と 1H−NMR,13C−NMR,29Si−NMRにより同定したところ(図8〜11)、生成物は、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン[(CH3 O)3 Si−CH2 −CH2 −Si(OCH3 3 ](以下、BTMeと略す)であることがわかった。GC−MSによると、生成物中のBTMeの含有量は95%以上で、収率は84mol%であった。
【0083】
多孔質粒子前駆体の合成
100mLのビーカーに、1.152g(3.6mmol)の界面活性剤(n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド[C1633N(CH3 3 Cl])と、30gのイオン交換水と、1.5gの6規定NaOH水溶液(7.5mmolのNaOHを含有)とを導入した。この混合物を室温で激しく攪拌させつつ、BTMeを2.03g(7.5mmol)加え、3時間攪拌した。これを室温で14時間静置後に、12.5時間攪拌し、さらに14時間静置後に6.9時間攪拌し、内容物を濾過した。沈殿は300mLのイオン交換水で2回洗い、風乾後に、1.90gの固形物を得た。この固形物は多孔質粒子前駆体であり、細孔内に上記界面活性剤を有するものである。
【0084】
多孔質粒子の生成
次に述べるような方法で多孔質粒子前駆体から界面活性剤を除去し、多孔質粒子を得た。すなわち、上記の固形物1.0gを150mL無水エタノールと3.8g濃塩酸の混合物に加え、50℃で6時間攪拌し、その後濾過した。沈殿物を回収しこの処理をもう1度繰り返した。最終的に得られた沈殿物を150mL無水エタノールで2回洗い、風乾することにより多孔質粒子を得た。
【0085】
生成物の構造解析
上記の多孔質粒子前駆体及び多孔質粒子の低角域のX線回折パターンを図12に示す。多孔質粒子については、d=4.05nmの強いピークとその高角側に弱ショルダーピークが見られた。この回折パターンから、本多孔質粒子は、キュービックの結晶構造を示していると推察された。
【0086】
図13(a)には、多孔質粒子の窒素吸着等温線、図13(b)には、Cranston-Inklay法で求めた細孔径分布曲線を示す。中心細孔直径は3nmであり、中心細孔直径の±40%の細孔径範囲に全細孔容積の85%が含まれていた。窒素吸着等温線から求めたBET比表面積は1547m2 /gで、細孔容積は1.3cc/gと大きな値を示した。
【0087】
さらに、多孔質粒子の細孔壁内の構造を固体NMRで調べた。図14(a)に示すように、13C−NMRにおいては−CH2 CH2 −と加水分解しなかった残留−SiOCH3 に帰属される共鳴ピークがそれぞれδ=6と60ppm付近に観察された。δ=18ppmのピークはおそらく残存したエタノールの炭素に帰因すると考えられる。図14(b)に示す29Si−NMRによると、多孔質粒子のケイ素は主にT2とT3種(図15参照)に帰属され、13C−NMRの結果と対応していた。これらのNMRの結果は、−CH2 CH2 −がシリケート骨格内に組み込まれていることを示している。
【0088】
(実施例2)
1.5gの6規定NaOH水溶液に代えて、5gの6規定NaOH水溶液を用い、1.152g(3.6mmol)のn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(炭素数:16)に代えて、同モルのドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(炭素数:12)を用いた他は実施例1と同様にして多孔質粒子前駆体を得た。
【0089】
(実施例3)
1.152g(3.6mmol)のn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(炭素数:16)に代えて、0.56g(1.8mmol)のドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(炭素数:12)を用いた他は実施例1と同様にして多孔質粒子前駆体を得た。
【0090】
(実施例4)
1.5gの6規定NaOH水溶液に代えて、0.1gの6規定NaOH水溶液を用い、1.152g(3.6mmol)のn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(炭素数:16)に代えて、0.56g(1.8mmol)のドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(炭素数:12)を用いた他は実施例1と同様にして多孔質粒子前駆体を得た。
【0091】
(実施例5)
1.5gの6規定NaOH水溶液に代えて、41gの4規定H2 SO4水溶液を用い、1.152g(3.6mmol)のn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(炭素数:16)に代えて、4.88g(15.7mmol)のドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(炭素数:12)を用いた他は実施例1と同様にして多孔質粒子前駆体を得た。
【0092】
(実施例6)
実施例1の方法と同様にしてBTMeを得た。このBTMe2.03gに、10gの6規定NaOH水溶液を添加し、1.75時間室温で攪拌した。そこに、2.44gのドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを溶解させた4規定のH2 SO4 水溶液40.98gを添加し、30分攪拌した後、47時間静置した。生成した沈殿を300mLのイオン交換水で2回洗浄した後、風乾し、多孔質粒子前駆体を得た。更に、実施例1と同様にして、この多孔質粒子前駆体から界面活性剤を除去し、多孔質粒子を得た。
【0093】
(実施例7)
2.44gのドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドに代えて、同モルのヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドを用いた他は実施例6と同様にして多孔質粒子前駆体を得た。
【0094】
(実施例8)
1.152g(3.6mmol)のn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドに代えて、1.8mmolのドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを用いた他は実施例1と同様にして、多孔質粒子前駆体を得、更に、実施例1と同様にして多孔質粒子を得た。
【0095】
実施例3〜7において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを図16に示す。NaOHの添加量が多すぎる場合(実施例2;6規定NaOH=5g)、縮重合速度は遅く、約50時間の反応時間までに沈殿は現れなかった。NaOHの添加量が少ない場合(実施例4;6規定NaOH=0.1g)は反応速度は速いが、多孔質粒子前駆体の構造の規則性が低かった。その中間の添加量(実施例3;6規定NaOH=1.5g)で、比較的構造の規則性の高い多孔質粒子前駆体が得られた。
【0096】
一方、H2 SO4 を添加した系(実施例5)では縮重合の反応速度は速いが、多孔質粒子前駆体には明瞭なX線回折ピークが見られず、構造の規則性が低いことがわかった。なお、それより少量のH2 SO4 を触媒とした系(実施例として示さず)では、反応速度が遅く、一ヵ月以内に沈殿は生成しなかった。
【0097】
また、炭素数12の界面活性剤を用いて得られた多孔質粒子前駆体(実施例6)の方が、炭素数16の界面活性剤を用いて得られた多孔質粒子前駆体(実施例7)よりも規則性が優れていた。
【0098】
実施例6及び8で得られた多孔質粒子の13C−NMRを図17(a)に、29Si−NMRを図17(b)に示す。29Si−NMR(図17(b))においては、NaOH溶液中で合成した多孔質粒子(実施例8)のT2とT3のピークは分離していたが、実施例6で得られた多孔質粒子のT3ピークは肩ピークとなった。アルカリ条件の方が重合の程度が高いことがわかった。なお、13C−NMRスペクトル(図17(a))においては、両者の違いは見られなかった。
【0099】
(実施例9)
多孔質粒子前駆体の合成時の反応温度を70℃とし、反応時間を30.7時間とした他は実施例1と同様にして、多孔質粒子前駆体を得、更に実施例1と同様にして多孔質粒子を得た。
【0100】
(実施例10)
多孔質粒子前駆体の合成時の反応温度を70℃とし、反応時間を4.5時間とした他は実施例1と同様にして、多孔質粒子前駆体を得、更に実施例1と同様にして多孔質粒子を得た。
【0101】
実施例1、9及び10で得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを図18に示し、29Si−NMRを図20に示す。また、実施例1、9及び10で得られた多孔質粒子の細孔分布曲線を図19に示す。
図18の結果から、反応温度が高い方が回折ピークが低角度にシフトし、ピークがブロードになった。これは反応時の界面活性剤分子の熱運動のため界面活性剤のミセルが膨張したためと考える。また、図19に示すように、多孔質粒子前駆体から界面活性剤を除いて得られた多孔質粒子の細孔分布曲線では、反応温度の上昇と反応時間の長時間化に従って細孔分布がブロードになった。
【0102】
実施例1、9及び10で得られた多孔質粒子の比表面積は、それぞれ1547m2 /g、965m2 /g、1194m2 /gであった。70℃においては、反応時間が長い方が比表面積が小くなることがわかった。
29Si−NMR(図20)においては、多孔質粒子前駆体のT3ピークは、反応温度が高い方(実施例9、10)が強いことから、70℃で合成した物の方が重合度が高く、安定性が高いことがわかった。
【0103】
(実施例11)
実施例1と同様にしてBTMeを得た。このBTMe2.03gに3gの6規定NaOH水溶液と7gの水を加え、2時間室温で攪拌した。そこに、40gの水を加え、70℃でヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドを加え、70℃で3時間攪拌した。その後、4規定のH2 SO4 を加えて溶液のpHを8.6に調整し、70℃で3.5時間攪拌した後、14時間室温で静置し、さらに、70℃で7時間攪拌した。その後、300mLの水で2回洗浄し、風乾して、多孔質粒子前駆体(攪拌時の温度70℃、攪拌時間総計13.5時間)を得た。
【0104】
(実施例12)
界面活性剤(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド)の添加時の温度及びその後の攪拌時の温度を46℃にした他は、実施例11と同様にして多孔質粒子前駆体を得た。
【0105】
実施例11及び12で得られた多孔質粒子前駆体の29Si−NMRを図21に示す。図21においても、多孔質粒子前駆体のT3ピークは反応温度が高い方が強く、70℃で合成した多孔質粒子前駆体の方が重合度が高く安定性が高いことがわかった。
【0106】
(実施例13)
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(炭素数16)に代えて、当モルのドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(炭素数12)を用いた他は実施例1と同様にして、多孔質粒子前駆体を得、更に、実施例1と同様にして多孔質粒子を得た。
【0107】
(実施例14)
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(炭素数16)を用いない他は、実施例1と同様にして、多孔質粒子前駆体を得、更に、実施例1と同様にして多孔質粒子を得た。
【0108】
実施例1、13及び14で得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを図22に示す。また、実施例1、13及び14で得られた多孔質粒子の細孔径分布曲線を図23に示す。
【0109】
沈殿物が現れる時間は、実施例13の方が実施例1よりも長いことがわかった。また、界面活性剤無しの場合(実施例14)には沈殿は生成しなかった。なお、炭素数8のオクチルトリメチルアンモニウムクロライドを用いた系で、実施例1と同様に反応を行っても沈殿物は得られなかった。
【0110】
図22に示す結果では、界面活性剤無しで調製した多孔質粒子前駆体(実施例14)は明瞭なX線回折ピークを示さなかった。また、実施例13で得られた多孔質粒子前駆体よりは実施例1で得られた多孔質粒子前駆体の方がX線回折ピークはシャープであった。
【0111】
図23に示す細孔径分布曲線から、実施例1で得られた多孔質粒子の中心細孔直径が約3nmで、実施例13で得られた多孔質粒子の中心細孔直径が約2nmであることがわかった。比表面積は実施例1で得られた多孔質粒子が最も大きく、実施例13で得られた多孔質粒子が次に大きく、実施例14で得られた多孔質粒子はその次に大きいことがわかった。また、実施例14で得られた多孔質粒子については、1.5nm以下のマイクロ孔が存在すると考えられた。
【0112】
(実施例15)
n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドの使用量を3.6mmolから0.9mmolにした他は実施例1と同様にして、多孔質粒子前駆体を得た。
【0113】
(実施例16)
n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドの使用量を3.6mmolから1.8mmolにした他は実施例1と同様にして、多孔質粒子前駆体を得た。
【0114】
(実施例17)
n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドの使用量を3.6mmolから7.2mmolにした他は実施例1と同様にして、多孔質粒子前駆体を得た。
【0115】
(実施例18)
3.6mmolのn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドに代えて、0.9mmolのドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを用いた他は実施例1と同様にして、多孔質粒子前駆体を得た。
【0116】
(実施例19)
3.6mmolのn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドに代えて、3.6mmolのドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを用いた他は実施例1と同様にして、多孔質粒子前駆体を得た。
【0117】
(実施例20)
3.6mmolのn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドに代えて、7.2mmolのドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを用いた他は実施例1と同様にして、多孔質粒子前駆体を得た。
【0118】
実施例1、8及び14〜20で得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを図24及び図25に示す。なお、これらの実施例におけるBTMeと界面活性剤のモル比及び界面活性剤の最長鎖の炭素数をまとめて表2に示す。
【0119】
【表2】
Figure 0004534279
【0120】
界面活性剤が多い場合、多孔質粒子前駆体のX線回折ピークはブロードになり低角度側へシフトする傾向があった。炭素数16の界面活性剤を用いた場合、BTMe/界面活性剤比が75/9〜75/18のとき(実施例15及び16)に比較的規則性の良いものが得られた。一方、炭素数12の界面活性剤を用いた場合(実施例8及び18〜20)は界面活性剤の量の増加に従ってX線回折ピークは少し強くなる傾向があった。
【0121】
(実施例21)
7.5mmolのBTMeに代えて、同モルの1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン(BECl)を用いた他は実施例1と同様にして、多孔質粒子前駆体を得た。
【0122】
(実施例22)
7.5mmolのBTMeに代えて、同モルのSi(OCH3 4を用いた他は実施例1と同様にして、多孔質粒子前駆体を得た。
【0123】
(実施例23)
10mmolのBEClに、13gの6規定NaOH水溶液を添加し、1.75時間室温で攪拌した。そこに、2.44gのドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを溶解させた4規定のH2 SO4 水溶液40.98gを添加し、30分攪拌した後、47時間静置した。生成した沈殿を300mLのイオン交換水で2回洗浄した後、風乾し、多孔質粒子前駆体を得た。
【0124】
(実施例24)
10mmolのBEClに代えて15mmolのSiCl4を用いた他は、実施例23と同様にして多孔質粒子前駆体を得た。
【0125】
(実施例25)
4規定のH2 SO4 水溶液40.98gに代えて、4規定のH2 SO4 水溶液20gを用いた他は、実施例24と同様にして多孔質粒子前駆体を得た。
【0126】
(実施例26)
10mmolのBEClに代えて、0.89mmolのBEClと2.04mmolのSiCl4の混合物を用い、4規定のH2 SO4 水溶液40.98gに代えて、4規定のH2 SO4 水溶液20gを用いた他は、実施例23と同様にして多孔質粒子前駆体を得た。
【0127】
実施例1、21及び22で得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを図26に示す。また、実施例6及び23〜26で得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを図27に示す。
Si(OCH3 4 を用いた場合(実施例22)は規則性の高い多孔質粒子前駆体が生成し易いことがわかった。一方、BECl(実施例21)を用いた場合は、Si(OCH3 4 を用いた場合(実施例22)に比べて規則性が低いことがわかった。
一方、実施例6及び23〜25においては、得られた多孔質粒子前駆体の構造の規則性の高い順は、SiCl4 を用いた場合(実施例24及び25)、BTMeを用いた場合(実施例6)、BEClを用いた場合(実施例23)の順となった(図27)。SiCl4 を原料とした多孔質粒子前駆体の構造の規則性は特に優れていた(図27)。
【0128】
以上の実験結果から、Si原料の親水性が高い程、多孔質粒子前駆体の構造規則性が高まる相関性があると考えられる。疎水性グループである−CH2 CH2 −を含有するBTMeとBEClは界面活性剤と規則的なミセルを生成しにくいため、多孔質粒子前駆体の構造規則性がSiCl4 またはSi(OCH3 4 を用いた場合より悪かったと考えられる。
【0129】
(実施例27)
実施例1と同様にして多孔質粒子前駆体を得た。この多孔質粒子前駆体1.0gを、500mLのHCl−EtOH溶液(36g濃塩酸/1LEtOH溶液)に加え、70℃で10時間攪拌し、室温で14時間静置し、また70℃で10時間攪拌した。その後、室温まで冷却してから濾過した。沈殿は150mLの無水エタノールで洗い、風乾することにより多孔質粒子を得た。
【0130】
実施例1で得られた多孔質粒子前駆体及び実施例27で得られた多孔質粒子のX線回折パターンを図28に示す。また、これらの29Si−NMRスペクトルを図29に示す。
【0131】
実施例1で得られた50℃で界面活性剤を抽出した多孔質粒子と構造を比較すると、実施例27で得られた多孔質粒子は、X線回折ピークは弱くなり、d値は1.4ぐらい小さくなった。70℃の除去条件では多孔質粒子の構造変化が大きいことがわかった。
【0132】
なお、界面活性剤の除去により29Si−NMRのT2/T3のピーク比が下がったことから、HCl−EtOH処理により残留Si−OCH3 (若しくはSi−OH)の再縮重合が起こったことが示唆される(図29)。70℃で処理した試料の13C−NMRには界面活性剤の炭素の共鳴ピークがなかったことから、界面活性剤はほぼ完全に除去されたことがわかった。
【0133】
(実施例28)
実施例16で得られた多孔質粒子前駆体1gを153.8gの希塩酸(3.8g濃塩酸を150gのイオン交換水と混合したもの)に加え、50℃で6時間攪拌し、濾過した。回収した沈殿をもう一度同じ条件でHCl−H2 O溶液を用いて処理し、その後、350mLのイオン交換水で3回洗浄した後、風乾し、多孔質粒子を得た。
【0134】
この多孔質粒子の、元素分析、13C−NMR、X線回折、熱重量分析を行った。13C−NMRスペクトルを図30に、X線回折パターンを図31に、熱重量分析結果を図32に示す。
【0135】
この多孔質粒子の元素分析の結果は、C:13.1%,H:4.5%,N:0%,SiO2 :75.6%となり、窒素(N)成分がまったく検出されないことから、界面活性剤が完全に除去されたことがわかった。
【0136】
また、この多孔質粒子の13C−NMR(図30)スペクトルにはd=6と60ppmにピークが観察されたが、d=18ppmにはピークが観察されなかった。このことから、エタノール中で界面活性剤を抽出した場合に見られたd=18ppmのピーク(実施例1)は、溶媒のエタノールが表面シラノールと反応して生成したSi−C2 5 に帰属される。また、X線回折パターン(図31)から、規則的な構造が保持されていることが確認された。
【0137】
熱重量分析(図32)では、441℃において急激な重量減少が見られたが、これは多孔質粒子の細孔壁内に組み込まれた有機基の熱分解あるいは燃焼によるものであり、この多孔質粒子が高い耐熱性を有していることを示す。
【0138】
(実施例29)
100mLビーカーに0.432g(1.35mmol)のn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドと、30gのイオン交換水と1.5gの6規定NaOH水溶液(7.5mmolのNaOHを含有する)とを導入した。室温で激しく攪拌しながら、BTMeを2.03g(7.5mmol)加え、3時間攪拌した。室温で14時間静置後に、12.5時間攪拌し、再び14時間静置した後に6.9時間攪拌し、濾過した。沈殿は300mLのイオン交換水で2回洗い、風乾後に、1.90gの多孔質粒子前駆体を得た。
【0139】
この多孔質粒子前駆体1.0gを150mL無水エタノールと3.8g濃塩酸の混合物に加え、50℃で6時間攪拌し、濾過した。回収した沈殿は同じ条件でもう一回HCl−EtOHで処理を繰り返した。150mL無水エタノールで2回洗い、風乾することにより、多孔質粒子を得た。
【0140】
(実施例30)
実施例29と同様にして多孔質粒子前駆体を得た。この多孔質粒子前駆体1.0gを50mLのHCl−EtOH溶液(36%濃塩酸/1L溶液)に加え、70℃で10時間攪拌し、室温で14時間静置し、さらに70℃で10時間攪拌した。その後、室温まで冷却してから濾過した。沈殿は150mLの無水エタノールで3回洗い、風乾することにより多孔質粒子を得た。
【0141】
実施例29及び30で得られた多孔質粒子の走査型電子顕微鏡写真(SEM)、透過型電子顕微鏡写真(TEM)及び電子線回折写真、X線回折パターン、窒素吸着等温線及びBJH法により求めた細孔径分布曲線、13C−NMR、29Si−NMR及び熱重量分布の結果を、それぞれ、図33〜37に示す。
【0142】
図33(a)及び(b)に示す、実施例29で得られた多孔質粒子の走査型電子顕微鏡写真から、本試料が粒径がサブミクロンから数十ミクロンの球形をしていることがわかる。
【0143】
図34及び図36は、実施例29で得られた多孔質粒子についての透過型電子顕微鏡写真であるが、結晶の観察面が異なっている。また、それぞれの観察面において測定した電子線回折写真(図35及び図37)から、実施例29で得られた多孔質粒子の細孔構造は、三次元ヘキサゴナルであると推察された。また、図38のX線回折パターンから、実施例29及び30で得られた多孔質粒子の構造は、三次元ヘキサゴナル構造であることが確認された。
【0144】
実施例29で得られた多孔質粒子の窒素吸着等温線及び細孔径分布曲線(図39及び図40)から、中心細孔直径が2.8nmで、中心細孔直径の±40%の細孔径範囲に全細孔容積の88%が含まれることが分かり、細孔径分布が均一であることが確認された。また、本多孔質粒子の元素分析の結果は、C:14.5%,H:4.4%,N:0%,SiO2 :76.6%となり、界面活性剤が完全に除去されているとともに、C/Siのモル比が1となり、炭素が理論値通り細孔壁内部に取り込まれていることがわかった。このことは、熱重量分析の結果からも確認された。
【0145】
(実施例31)
100mLのビーカーに0.432gのn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドと、30gのイオン交換水と1.5gの6規定NaOH水溶液(7.5mmolのNaOHを含有する。)を導入した。混合液を0℃に冷却した状態で激しく攪拌しながら、BTMeを2.03g(7.5mmol)加え、8時間攪拌した。生成物を濾過し、風乾したところ、0.86gの多孔質粒子前駆体を得た。この多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを図44に示す。パターン上、2度付近に3本の重なったピークが観察され、更に3〜5度に幾つかのピークが見られることから、構造の規則性の高い三次元ヘキサゴナル構造をしていると考えられた。
【0146】
(実施例32)
100mLのビーカーに0.313g(0.9mmol)のn−オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド[C1837N(CH3 3 Cl]と、30gのイオン交換水と1.5gの6規定NaOH水溶液(7.5mmolのNaOHを含有する。)を導入した。室温で激しく攪拌しながら、BTMeを2.03g(7.5mmol)を加え、3時間攪拌した。室温で14時間静置後に、12.5時間攪拌し、さらに14時間静置後に6.9時間攪拌し、濾過した。沈殿は300mLのイオン交換水で2回洗い、風乾後に、0.705gの多孔質粒子前駆体を得た。この多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを図45に示す。このパターン上、2度付近に3本の重なったピークが観察され、更に3〜5度に幾つかのピークが見られることから、構造の規則性の高い三次元ヘキサゴナル構造をしていると考えられた。
【0147】
(実施例33〜39)
300mLのビーカーに2.304gのn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドと、120gのイオン交換水と6.0gの6規定NaOH水溶液(7.5mmolのNaOHを含有する。)を導入した。室温で激しく攪拌しながら、表3に示す比率でBTMeとテトラメチルオルトシリケート[TMOS:Si(OCH3 4 ]の混合物(BTMeとテトラメチルオルトシリケートのモル数の和はすべて30mmol)を添加し、混合液を3時間攪拌した。室温で14時間静置後に、12.5時間攪拌を行い、さらに14時間静置後に6.9時間攪拌し、濾過した。沈殿物は300mLのイオン交換水で2回洗った後に、さらに50℃の水500mLで4回洗浄し、多孔質粒子前駆体を得た。
【00148】
【表3】
Figure 0004534279
【0149】
得られた7種類の多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを図46及び図47に示す。TMOS/BTMe比が50/50以下の場合(0/100,20/80,50/50;実施例33、34、35)は、多孔質粒子前駆体はキュービック構造を示すのに対し、TMOS/BTMe比が80/20,90/10,95/5,100/0の場合(試料36、37、38、39)はヘキサゴナル構造を示した。
【0150】
(実施例40)
実施例36で得られた多孔質粒子前駆体1gをヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド0.576gを水30gに溶解させた水溶液中に分散させ、1規定塩酸水溶液を加えることにより分散液のpHを8〜8.5に調整し室温で20時間攪拌した。その後、分散液を70℃で7時間加熱しながら攪拌し、固形分を濾過して風乾し、水熱処理が施された多孔質粒子を得た。
【0151】
この多孔質粒子1.0gを150mL無水エタノールと3.8g濃塩酸の混合物に加え、50℃で6時間攪拌し、濾過した。回収した沈殿物は同じ条件でもう1回HCl−EtOHで処理を繰り返した。150mL無水エタノールで2回洗い、風乾することにより界面活性剤が除去された多孔質粒子を得た。
更に、この多孔質粒子を550℃で6時間、空気中で焼成し、焼成した多孔質粒子を得た。
【0152】
上記の水熱処理が施された多孔質粒子、界面活性剤が除去された多孔質粒子、焼成した多孔質粒子のX線回折パターンを図48に示す。
【0153】
水熱処理により、X線回折ピークはシャープになり構造の規則性が向上したことがわかる。水熱処理が施された多孔質粒子は、界面活性剤が除去された後もヘキサゴナルの構造の規則性が保持されており、構造が安定であることを示す。更に、焼成後もX線回折ピークが残っており、構造の安定性、耐熱性が高いことを示す。
【0154】
界面活性剤が除去された多孔質粒子と焼成した多孔質粒子の窒素吸着等温線および細孔径分布曲線を図49及び図50、ならびに図51及び図52に示す。
【0155】
これらの結果からは、界面活性剤が除去された多孔質粒子および焼成した多孔質粒子とも中心細孔直径の±40%の細孔径範囲に全細孔容積の約64%が含まれており、均一な細孔が形成されていることが分かった。
【0156】
(実施例41〜46)
300mLのビーカーに、1.5gのn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(界面活性剤:S)と、表4に示す重量(g)のイオン交換水を導入した。そこに6規定NaOH水溶液をH2 O/6規定NaOH=12.5(g/g)になるように加えた。室温で激しく攪拌しながら、BTMeをS/BTMe=1.5/1.425(g/g)になるように添加した。室温で3日間、その後100℃で17時間熟成を行い、そのまま風乾し多孔質粒子前駆体を得た。
【0157】
【表4】
Figure 0004534279
【0158】
得られた6種類の多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを図53及び54に示す。S/H2 O比が1.5/7.5(実施例41)の場合、明瞭なピークが見られなかったが、S/H2 O=1.5/15(実施例42)の場合には、層状または不規則構造と思われるブロードなピークが、S/H2 O=1.5/30(実施例43)の場合には、キュービック構造と思われるピークが、そしてS/H2 O=1.5/35(実施例44)、1.5/40(実施例45)、1.5/45(実施例46)の場合には、ヘキサゴナル構造のパターンが観察された。
【0159】
(実施例47)
n−オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド(ODTMA)、水酸化ナトリウム(NaOH)、及び水(H2 O)の混合溶液を25℃で激しく攪拌しながら、そこに、BTMeを滴下した。なお、各原料の混合モル比(BTMe:ODTMA:NaOH:H2 O)は1:0.57:2.36:353であった。BTMeを添加したとき白色の沈殿は生成しなかったが、25℃で14時間攪拌後、95℃に加熱したところ、白色沈殿が生成した。この沈殿液を95℃で21時間攪拌した後、これの沈殿液を濾過して、十分量の水で洗浄後、乾燥し、多孔質粒子前駆体を得た。
【0160】
この多孔質粒子前駆体1gを採り、3.8gの36%塩酸水溶液を添加した水150mLに分散させ50℃で6時間攪拌し、沈殿を濾過して水洗した。得られた沈殿を、再度、3.8gの36%塩酸水溶液を添加した水150mLに分散させて50℃で6時間攪拌し、沈殿を濾過して水洗し、乾燥して多孔質粒子を得た。
【0161】
(実施例48)
n−オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド(ODTMA)、水酸化ナトリウム(NaOH)、及び水(H2 O)の混合溶液を25℃で激しく攪拌しながら、そこに、BTMeを滴下した。なお、各原料の混合モル比(BTMe:ODTMA:NaOH:H2 O)は1:0.12:1:231であった。BTMeを添加したとき、速やかに白色の沈殿が生成した。この沈殿を含む液をそのまま25℃で24時間攪拌した後、濾過した。得られた沈殿を十分量の水で洗浄し、その後乾燥し、多孔質粒子前駆体を得た。
【0162】
この多孔質粒子前駆体1gを採り、3.8gの36%塩酸水溶液を添加した水150mLに分散させ50℃で6時間攪拌し、沈殿を濾過して水洗した。得られた沈殿を、再度、3.8gの36%塩酸水溶液を添加した水150mLに分散させて50℃で6時間攪拌し、沈殿を濾過して水洗し、乾燥して多孔質粒子を得た。
【0163】
実施例47において得られた多孔質粒子のX線回折パターンを図55に示す。この図からは、二次元ヘキサゴナル構造(a=57.0Å)を示す6本のピークが観察され、構造の規則性が高いことが示された。また、走査型電子顕微鏡写真(図56参照)により、この多孔質粒子は、細孔の配列構造を反映した六角柱状の粒子形状を有していることが示された。また、透過型電子顕微鏡写真(図57参照)により、六方状に規則的に配列した細孔が観察され、また、図57の右上角に併せて示す電子線回折パターンにより、6次までの高次スポットが観察され、結晶性が高いことが示された。なお、この多孔質粒子の中心細孔直径は31Åで、比表面積は、750m2 /gであった。また、この多孔質粒子の平均粒径は1μmであり、長手方向の平均長は10μmであった。
【0164】
実施例48において得られた多孔質粒子のX線回折パターンを図58に示す。この図からは、三次元ヘキサゴナル構造(a=88.6Å、c=55.4Å)で指数付けできる6本のピークが観察された。走査型電子顕微鏡写真から、この試料は、球状の粒子形状を有することが示された。また、電子線の入射方向に対して試料を傾けて測定した数点の電子線回折パターンから、三次元ヘキサゴナル構造を有することが確認された。この多孔質粒子の中心細孔直径は27Åで、比表面積は、1170m2 /gであった。また、この多孔質粒子の平均粒径は5μmであった。
【0165】
29Si及び13C−NMRの測定結果から、上記多孔質材料の細孔壁はいずれも、エチレン基(−CH2 CH2 −)がSiと共有結合で結合してシリケート骨格内に組み込まれた化学構造を有することが確認された。
【0166】
(実施例49〜55)
ネジ溝を口部に有する瓶に、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(C16界面活性剤)、イオン交換水、6規定NaOH水溶液とを加え、室温で攪拌しながら、図59に示す各種有機金属化合物(R2 O)3 Si−R1 −Si(OR23 を滴下し、この瓶の蓋をネジ締め、室温で30時間攪拌した後に濾過し、沈殿を風乾し、多孔質粒子前駆体を得た。各有機金属化合物と他の原料の混合比を図59に示す。また、得られた7種類の多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを図60に示す。
【0167】
(実施例56〜61)
ネジ溝を口部に有する瓶に、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド(C18界面活性剤)、イオン交換水、6規定NaOH水溶液とを加え、室温で攪拌しながら、図61に示す各種有機金属化合物(R2 O)3 Si−R1 −Si(OR2 3 を滴下し、この瓶の蓋をネジ締め、室温で5時間攪拌した後、15時間放置し、反応物を三口フラスコに移し、95〜98℃で9時間攪拌した後、室温まで冷却し、濾過して沈殿を風乾し、多孔質粒子前駆体を得た。各有機金属化合物と他の原料の混合比を図61に示す。また、得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを図62に示す。
【0168】
(実施例62)
実施例56と同様に、攪拌、放置、攪拌、冷却及び濾過して、得られたろ液を1規定塩酸でpH8〜8.5に調整して沈殿を得た。この沈殿を濾過した後、風乾して多孔質粒子を得た。
【0169】
(実施例63)
実施例57と同様に、攪拌、放置、攪拌、冷却及び濾過して、得られたろ液を1規定塩酸でpH8〜8.5に調整して沈殿を得た。この沈殿を濾過した後、風乾して多孔質粒子を得た。
【0170】
(実施例64)
実施例60と同様に、攪拌、放置、攪拌、冷却及び濾過して、得られたろ液を1規定塩酸でpH8〜8.5に調整して沈殿を得た。この沈殿を濾過した後、風乾して多孔質粒子を得た。
【0171】
実施例62、63及び64で得られた多孔質粒子のX線回折パターンを図63に示す。
【0172】
(実施例65)
非イオン系界面活性剤として、(EO)17(PO)58(EO)17の組成式で表されるトリブロックコポリマー(ただし、EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを意味する。また、このトリブロックコポリマーを以下単にP104という。BASF社製)を用い、骨格成分として、(CH3 O)3 SiCH2 CH2 Si(OCH3 3 (BTMe)を用い、塩酸を触媒として加水分解して多孔質粒子を合成した。
【0173】
すなわち、0.44g(0.00009モル)のP104を26.5mLのイオン交換水に溶解させ、これに12規定塩酸水溶液を5mL(0.061モル)を加えた(全水量1.67モル)。この混合液を45℃で激しく攪拌しながら、骨格成分である(CH3 O)3 SiCH2 CH2 Si(OCH3 3 (BTMe)1.42g(0.00525モル)をゆっくりと加えてそのまま10時間攪拌した。BTMeを加えて数分以内に白色沈殿が生成した。さらに、70℃の湯浴中で10時間攪拌した後、白色沈殿を濾過した。次いでこの白色沈殿を300mLのイオン交換水で2回洗浄し、45℃の乾燥器に一晩放置して乾燥させ多孔質粒子前駆体を得た。
【0174】
(実施例66)
実施例65で得られた多孔質粒子前駆体0.35gを100mLのエタノールに分散させ、超音波洗浄器に約15分さらし、濾過により沈殿物を回収した。この操作を2回行った後、45℃の乾燥器に一晩放置して、多孔質粒子を得た。
【0175】
(実施例67)
0.44g(0.00009モル)のP104を26.5mLのイオン交換水に溶解させ、これに12規定塩酸水溶液5mL(HCl:0.061モル)を加えた(全水量1.67モル)。45℃の湯浴中で激しく攪拌しながら、BTMe1.42g(0.00525モル)をゆっくり加え、そのまま10時間攪拌した。BTMeを加えて、数分以内に白色沈殿が生じた。さらに70℃の湯浴中で10時間攪拌した。次に、70℃の湯浴中で、この反応液に3規定水酸化ナトリウム水溶液12mL(NaOH:0.036モル)を加えて3時間攪拌し、白色沈殿を濾過した。この白色沈殿を300mLのイオン交換水で2回洗浄した後、45℃の乾燥器に一晩放置して乾燥させ、多孔質粒子前駆体を得た。
【0176】
粉末X線回折により、実施例65で得られた多孔質粒子前駆体、実施例66で得られた多孔質粒子及び実施例67で得られた多孔質粒子前駆体の構造解析を行った。
【0177】
図64に実施例65で得られた多孔質粒子前駆体の低角域のX線回折パターンを示す。この前駆体については、低角域にd=92.91Å(2θ=0.945)の強いピークとその高角側に弱いショルダーピークが見られた。
【0178】
図65に実施例66で得られた多孔質粒子のX線回折パターンを示す。このX線回折パターンによりエタノール溶媒による界面活性剤の除去後も、骨格構造は保持されていることがわかった。また、d=95.54Å(2θ=0.920)であった。
【0179】
図66に実施例67で得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す。この前駆体については、d=94.91Å(2θ=0.930)の強いピークとその高角側に弱いショルダーピークが見られた。実施例65で得られた多孔質粒子前駆体と比較することにより、白色沈殿が生成後、反応系のpHを酸性から塩基性にすることで、骨格内の縮重合度が向上し、構造の規則性が良くなる傾向があることがわかった。
【0180】
実施例66で得られた多孔質粒子の窒素吸着測定を行った。図67にその窒素吸着等温線を示す。相対圧力P/P0=0.5付近に、毛細管凝縮による吸着量の急激な立ち上がりが観察され、細孔を有していることを示した。BJH法を用いて解析した細孔分布曲線を図68に示す。これより、この多孔質粒子は、4.55nmの細孔直径を有することがわかった。また、中心細孔直径の±40%範囲内に全細孔容積の90%以上が含まれていた。BET比表面積は878.1m2 /gであった。また、細孔壁厚は6.53nmであることが確認された。
【0181】
(実施例68)
ビーカ中で1.532gのヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(HDTMA)と30gのイオン交換水と2.4gの6規定NaOH水溶液を混合した。室温で激しく攪拌しながら、BTMe1.42gを加え、更に室温で20時間攪拌した。その後、溶液を95℃まで加熱し、95℃で17時間静置した。生成した沈殿をイオン交換水で洗浄した後、風乾し、多孔質粒子前駆体を得た。この多孔質粒子前駆体1gを150mlの無水エタノールと3.8gの濃塩酸の混合物に加え、50℃で6時間攪拌し、濾過した。回収した沈殿をもう一度同じ無水エタノールと濃塩酸の混合液で処理した。その後風乾することにより多孔質粒子を得た。
【0182】
(実施例69)
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドの重量を1.021gに、BTMeの重量を1.29gにした他は実施例68と同様にして、多孔質粒子を得た。
【0183】
(実施例70)
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドの重量を1.021gに、BTMeの重量を1.52gにした他は実施例68と同様にして、多孔質粒子を得た。
【0184】
実施例68〜70で得られた多孔質粒子のX線回折パターンを、それぞれ図69〜71に示す。いずれの多孔質粒子のパターンにも、回折角度が1〜4度にいくつかのピークが観察され、ナノオーダでの規則的な構造が形成されていることを示す。
【0185】
図72に、実施例68で得られた多孔質粒子の窒素吸着等温線を示し、図73に、実施例68で得られた多孔質粒子の細孔径分布曲線を示した。図72の窒素吸着等温線はIV型の等温線であり、メソ細孔の存在を示す。なお、図73の細孔径分布曲線は、図72の窒素吸着等温線よりBJH法により求めた。これにより、中心細孔直径が2.8nmの均一な細孔が存在することが確認された。また、比表面積は770m2/gであった。
【0186】
図74(a)、(b)及び図75(a)、(b)に、実施例70で得られた多孔質粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。多孔質粒子はすべて十八面体状の粒子形状を有しており、粒子の大きさのばらつきは少なく、平均粒径は5μmであった。
【0187】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、有機無機の両方の表面特性を示し、吸着剤としての性能が十分に高く、加熱等による性能劣化の少ない多孔質粒子を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る球状の多孔質粒子の斜視図である。
【図2】本発明に係る球状の多孔質粒子の要部の斜視図である。
【図3】本発明に係る六角柱状の多孔質粒子の斜視図である。
【図4】本発明に係る六角柱状の多孔質粒子の要部の斜視図である。
【図5】本発明に係る十八面体状の多孔質粒子の斜視図である。
【図6】図6(a)は、本発明に係る十八面体状の多孔質粒子の正面図、図6(b)は同側面図、図6(c)は同底面図である。
【図7】本発明に係る十八面体状の多孔質粒子の要部の斜視図である。
【図8】BTMeのGCスペクトルを示す図である。
【図9】BTMeのGCスペクトルの各ピークのMSスペクトルを示す図である。
【図10】BTMeのGCスペクトルのピーク3及び標準物質のMSスペクトルを示す図である。
【図11】図11(a)はBTMeの13C−NMRスペクトル、図11(b)はBTMeの29Siスペクトル、図11(c)はBTMeの1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図12】実施例1において得られた多孔質粒子前駆体と多孔質粒子のX線回折パターンを示す図である。
【図13】図13(a)は実施例1において得られた多孔質粒子の窒素吸着等温線、図13(b)は実施例1において得られた多孔質粒子の細孔分布曲線を示す図である。
【図14】図14(a)は実施例1において得られた多孔質粒子の13C−NMRスペクトル、図14(b)は実施例1において得られた多孔質粒子の29Si−NMRスペクトルを示す図である。
【図15】図14(b)におけるT2、T3に対応するケイ素を示す図である。
【図16】実施例3〜7において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図17】図17(a)は実施例6及び8において得られた多孔質粒子の13C−NMRスペクトル、図17(b)は実施例6及び8において得られた多孔質粒子の29Si−NMRスペクトルを示す図である。
【図18】実施例1、9及び10において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図19】実施例1、9及び10において得られた多孔質粒子の細孔径分布曲線を示す図である。
【図20】実施例1、9及び10において得られた多孔質粒子前駆体の29Si−NMRスペクトルを示す図である。
【図21】実施例11及び12において得られた多孔質粒子前駆体の29Si−NMRスペクトルを示す図である。
【図22】実施例1、13及び14において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図23】実施例1、13及び14において得られた多孔質粒子の細孔径分布曲線を示す図である。
【図24】実施例1、14〜17において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図25】実施例8、14、18〜20において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図26】実施例1、21及び22において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図27】実施例6及び23〜26において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図28】実施例1において得られた多孔質粒子前駆体及び実施例27において得られた多孔質粒子のX線回折パターンを示す図である。
【図29】実施例1において得られた多孔質粒子前駆体及び実施例27において得られた多孔質粒子の29Si−NMRスペクトルを示す図である。
【図30】実施例28において得られた多孔質粒子の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図31】実施例16において得られた多孔質粒子前駆体と実施例28において得られた多孔質粒子のX線回折パターンを示す図である。
【図32】実施例28において得られた多孔質粒子の熱重量分析結果を示す図である。
【図33】図33(a)は実施例29において得られた多孔質粒子の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)、図33(b)は実施例29において得られた多孔質粒子の走査型電子顕微鏡写真(倍率5000倍)を示す図である。
【図34】実施例29において得られた多孔質粒子の透過型電子顕微鏡写真(倍率40万倍)を示す図である。
【図35】実施例29において得られた多孔質粒子の図34に対応する断面の電子線回折写真を示す図である。
【図36】実施例29において得られた多孔質粒子の透過型電子顕微鏡写真(倍率40万倍)を示す図である。
【図37】実施例29において得られた多孔質粒子の図36に対応する断面の電子線回折写真を示す図である。
【図38】実施例29において得られた多孔質粒子前駆体及び多孔質粒子、実施例30において得られた多孔質粒子のX線回折パターンを示す図である。
【図39】実施例29において得られた多孔質粒子の窒素吸着等温線を示す図である。
【図40】実施例29において得られた多孔質粒子の細孔径分布曲線を示す図である。
【図41】実施例29において得られた多孔質粒子の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図42】実施例29及び30において得られた多孔質粒子前駆体、実施例29において得られた多孔質粒子、実施例30において得られた多孔質粒子の29Si−NMRスペクトルを示す図である。
【図43】実施例29において得られた多孔質粒子の熱重量分析結果を示す図である。
【図44】実施例31において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図45】実施例32において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図46】実施例33〜35において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図47】実施例36〜39において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図48】実施例40において得られた、水熱処理された多孔質粒子、界面活性剤が除去された多孔質粒子、焼成した多孔質粒子のX線回折パターンを示す図である。
【図49】実施例40において得られた、界面活性剤が除去された多孔質粒子の窒素吸着等温線を示す図である。
【図50】実施例40において得られた、界面活性剤が除去された多孔質粒子の細孔径分布曲線を示す図である。
【図51】実施例40において得られた、焼成した多孔質粒子の窒素吸着等温線を示す図である。
【図52】実施例40において得られた、焼成した多孔質粒子の細孔径分布曲線を示す図である。
【図53】実施例41、42及び43において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図54】実施例44、45及び46において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図55】実施例47において得られた多孔質粒子のX線回折パターンを示す図である。
【図56】実施例47において得られた多孔質粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図57】実施例47において得られた多孔質粒子の透過型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図58】実施例48において得られた多孔質粒子のX線回折パターンを示す図である。
【図59】実施例49〜55の原料及び配合比を示す図である。
【図60】実施例49〜55において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図61】実施例56〜61の原料及び配合比を示す図である。
【図62】実施例56〜61において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図63】実施例62〜64において得られた多孔質粒子のX線回折パターンを示す図である。
【図64】実施例65において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図65】実施例66において得られた多孔質粒子のX線回折パターンを示す図である。
【図66】実施例67において得られた多孔質粒子前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図67】実施例66において得られた多孔質粒子の窒素吸着等温線を示す図である。
【図68】実施例66において得られた多孔質粒子のBJH法による細孔分布曲線を示す図である。
【図69】実施例68において得られた多孔質粒子のX線回折パターンを示す図である。
【図70】実施例69において得られた多孔質粒子のX線回折パターンを示す図である。
【図71】実施例70において得られた多孔質粒子のX線回折パターンを示す図である。
【図72】実施例68において得られた多孔質粒子の窒素吸着等温線を示す図である。
【図73】実施例68において得られた多孔質粒子の細孔分布曲線を示す図である。
【図74】図74(a)は実施例70において得られた多孔質粒子の走査型電子顕微鏡写真(倍率6000倍)、図74(b)は実施例70において得られた多孔質粒子の走査型電子顕微鏡写真(倍率14000倍)を示す図である。
【図75】図75(a)は実施例70において得られた多孔質粒子の走査型電子顕微鏡写真(倍率12000倍)、図75(b)は実施例70において得られた多孔質粒子の走査型電子顕微鏡写真(倍率14000倍)を示す図である。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表される構成単位の少なくとも1種類からなる骨格を有する結晶性の有機無機複合材料からなり、球状、六角柱状又は十八面体状の粒子の形状を有しており、且つ該粒子の表面及び内部に細孔が形成されていることを特徴とする多孔質粒子。
    Figure 0004534279
    (式中、R はメチレン基、エチレン基、フェニレン基、ジエチルフェニレン基又はビニレン基、Mはケイ素原子、R は水素、水酸基又は炭化水素基、xは3、nは1以上3以下の整数、mは2を示す。ただし、Mが結合するR 中の炭素は同一でも異なっていてもよい。)
  2. 前記粒子の平均粒径が0.1〜100μmであり、且つ中心細孔直径が1〜50nmであることを特徴とする請求項1記載の多孔質粒子。
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