JP5686993B2 - シンチレータパネル及び放射線イメージセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、放射線の検出に利用されるシンチレータパネル及び放射線イメージセンサに関する。
従来、放射線の検出に利用されるシンチレータパネルとして、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1には、光を透過するファイバオプティックスプレートと、ファイバオプティックスプレートの上に蒸着形成されたシンチレータと、このシンチレータを覆う第1のポリパラキシリレン膜と、第1のポリパラキシリレン膜上に形成されたAl(アルミニウム)膜と、Al膜上に形成された第2のポリパラキシリレン膜と、を備えたシンチレータパネルが開示されている。
特開2005−338067号公報 特公平5―39558号公報 国際公開WO2004/079396号パンフレット 国際公開WO99/66346号パンフレット 特開2002−372586号公報
近年、市場の要求によりシンチレータパネルの更なる性能向上が望まれている。しかしながら、シンチレータパネルにおける解像度向上と光出力向上とはトレードオフの関係にあり、解像度と光出力の両方の性能を向上させることは容易ではなかった。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高解像度化及び高輝度化を図ることができるシンチレータパネル及び放射線イメージセンサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るシンチレータパネルは、放射線の入射面及び出射面を有し、放射線を透過させる放射線透過体と、出射面に結晶成長させられた複数の柱状体からなり、放射線の入射によって光を生じるシンチレータと、シンチレータに対して出射面と反対側に配置され、シンチレータで生じた光を伝播させるファイバオプティックスプレートと、シンチレータとファイバオプティックスプレートとの間に設けられ、シンチレータとファイバオプティックスプレートとを粘着固定すると共に、シンチレータで生じた光を透過させる粘着層と、を備えることを特徴とする。
本発明に係るシンチレータパネルによれば、放射線の入射によって生じた光が複数の柱状体からなるシンチレータの先端を通じてファイバオプティックスプレートに入射し外部に出力されるので、結晶成長において構造的な歪みが発生する確率の高いシンチレータの根本側を光が通ることを避けることができる。従って、このシンチレータパネルによれば、シンチレータ内の構造的な歪みに起因する光の散乱や減衰の発生を抑制することができるので、シンチレータパネルの高解像度化及び高輝度化を図ることが可能になる。
本発明に係るシンチレータパネルにおいては、粘着層に対してシンチレータが入り込む深さは、出射面と直交する方向におけるシンチレータの厚さの10%以下であることが好ましい。
この場合、複数の柱状体からなるシンチレータの隙間に入り込んだ粘着層の粘着成分の影響により、シンチレータの先端側から出射される光の散乱等が生じることを適切に抑制することができる。このことは、シンチレータパネルの高解像度化及び高輝度化に寄与する。
本発明に係るシンチレータパネルにおいては、放射線透過体は、剛性基板であることが好ましい。
このような構成によれば、放射線透過体の剛性によりシンチレータパネルの機械的強度を向上させることができる。このことは、シンチレータパネルの高寿命化に寄与する。
本発明に係るシンチレータパネルにおいては、放射線透過体は、膜状であることが好ましい。
この場合、放射線透過体を厚さのある形状とした場合と比べて放射線の減衰を抑制することができるので、十分な放射線透過率を確保することができる。また、シンチレータパネルの薄型化に有利である。
本発明に係るシンチレータパネルにおいては、放射線透過体及びシンチレータの外側を覆う防湿性保護膜を更に備えていることが好ましい。
このような構成によれば、シンチレータ内に水分が侵入することを抑制できるので、水分の侵入によりシンチレータの性能劣化が回避でき、シンチレータパネルの耐湿性の向上及び高寿命化を図ることができる。
本発明に係るシンチレータパネルにおいては、放射線透過体の入射面側に形成され、放射線を透過させると共にシンチレータで生じた光の反射及び吸収の少なくとも一方を行う光対応層を更に備えていることが好ましい。
このような構成によれば、シンチレータで生じた光の一部がファイバオプティックスプレートと反対側に進行したとしても、光対応層で光が反射された場合には反射光がファイバオプティックスプレートに入射することで光出力を増加させることができる。その一方、光対応層で光が吸収された場合には、他の光に干渉するクロストーク成分も吸収されるので解像度を向上させることができる。
本発明に係るシンチレータパネルにおいては、粘着層は、基材と基材の両側に設けられた粘着剤とを有することが好ましい。
このような構成によれば、粘着層として液状接着剤を用いる場合と比べて、シンチレータの隙間に粘着層の粘着成分が深く入り込むことを抑制することができる。その結果、シンチレータの隙間に入り込んだ粘着成分の影響により光の散乱等が生じることを抑制することができるので、シンチレータパネルの高解像度化に有利である。
本発明に係る放射線イメージセンサは、前述した本発明に係るシンチレータパネルと、ファイバオプティックスプレートで伝播された光を撮像する撮像素子と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る放射線イメージセンサによれば、前述のとおりシンチレータパネルの高解像度化及び高輝度化が図られることで、放射線イメージセンサにおける高解像度化及び高輝度化を実現することができる。
本発明によれば、シンチレータパネル及び放射線イメージセンサについて高解像度化及び高輝度化を図ることができる。
本発明に係るシンチレータパネル及び放射線イメージセンサの第1の実施形態を示す断面図である。 (a)はシンチレータ先端と両面テープとの粘着状態を示す図である。(b)はシンチレータ先端と接着剤との粘着状態を示す図である。 (a)はシンチレータ先端と両面テープとの粘着状態を示す写真である。(b)は(a)におけるシンチレータ先端の拡大写真である。 (a)はシンチレータ先端と液状接着剤との粘着状態を示す写真である。(b)は(a)におけるシンチレータ先端の拡大写真である。 (a)はシンチレータ先端と図4より厚めに塗布された液状接着剤との粘着状態を示す写真である。(b)は(a)におけるシンチレータ先端の拡大写真である。 本発明に係るシンチレータパネルの第2の実施形態を示す断面図である。 本発明に係るシンチレータパネルの第3の実施形態を示す断面図である。 第3の実施形態に係るシンチレータパネルの光出力及び解像度と塗装層の色との関係を示すグラフである。 本発明に係るシンチレータパネルの第4の実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
図1に示されるように、本実施形態に係るシンチレータパネル1は、X線等の放射線をシンチレーション光に変換するものであり、シンチレーション光を撮像可能な撮像素子2と共に放射線イメージセンサ10を構成する。放射線イメージセンサ10を構成する撮像素子2としては、薄膜トランジスタにフォトダイオードアレイを組み合わせたものやCCDイメージセンサなどが採用される。
シンチレータパネル1は、放射線透過基板3、シンチレータ4、両面テープ5、ファイバオプティックスプレート(以下、FOPという)6、及び防湿性保護膜7から構成されている。
放射線透過基板3は、例えばアルミニウム、カーボン、グラファイト、ガラス等の材料から構成されており、外力に対する耐変形性を備えた剛性基板である。放射線透過基板3は、放射線の入射面3a及び出射面3bを有しており、入射面3aに入射した放射線は放射線透過基板3の内部を透過して出射面3bから出射する。放射線透過基板3は特許請求の範囲に記載の放射線透過体に相当する。
シンチレータ4は、Tl(タリウム)をドープしたCsI(ヨウ化セシウム)からなる蛍光体であり、入射した放射線をシンチレーション光に変換する。シンチレータ4は、蒸着により放射線透過基板3の出射面3bにCsIの結晶を成長させることで形成されている。蒸着により形成されたシンチレータ4は、放射線透過基板3の出射面3b側に根本を有し、出射面3bと反対の側に先端4aを有する複数の針状結晶から構成される(図2(a)参照)。針状結晶は特許請求の範囲に記載の柱状体に相当する。
両面テープ5は、シンチレータ4の先端4a側とFOP6とを粘着固定する部材である。両面テープ5は、合成樹脂等からなる薄膜状の基材5aと基材5aの両面に設けられた粘着剤5bとから構成されている(図2(a)参照)。また、両面テープ5としては、シンチレータ4で生じた光を透過するものが採用される。両面テープ5は特許請求の範囲に記載の粘着層に相当する。
FOP6は、多数の光ファイバを束ねて一体化させ、プレート状に形成したものである。FOP6の一方の側の主面6aは、両面テープ5によってシンチレータ4の先端4a側に固定されている。また、FOP6の他方の側の主面6bには撮像素子2が設けられている。FOP6は、シンチレータ4で生じて主面6aに入射した光を主面6b側すなわち撮像素子2側に伝播する。
防湿性保護膜7は、シンチレータパネル1内に水分が侵入することを防ぐ防湿性の保護膜である。防湿性保護膜7は、例えばポリパラキシリレンから構成されている。防湿性保護膜7は、放射線透過基板3、シンチレータ4、及び両面テープ5の外側と、FOP6の側面6cとを覆っている。
ここで、本発明者らが行ったシンチレータ4とFOP6との間の粘着方法に関する試験結果について説明する。本発明者らは、両面テープ5によるシンチレータ4の先端4aの粘着状態と液状接着剤8によるシンチレータ4の先端4aの粘着状態との比較試験を行った。
図2(a)は、シンチレータ4の先端4aと両面テープ5との粘着状態を示す図であり、図2(b)は、両面テープ5に代えて液状接着剤8を用いた場合のシンチレータ4の先端4aと液状接着剤との粘着状態を示す図である。また、図3は、シンチレータ4の先端4aと両面テープ5との粘着状態を示す写真であり、図4は、シンチレータ4の先端4aと液状接着剤8との粘着状態を示す写真である。図5は、シンチレータ4の先端4aと図4より厚く塗布された液状接着剤8との粘着状態を示す写真である。
図3の写真では、両面テープ5として、アクリル系粘着剤を有する日東電工株式会社製の両面接着テープNo.5601を用いている。一方、図4及び図5の写真では、液状接着剤8として、スリーボンド株式会社製のエポキシ系液状接着剤2023(硬化剤は同社製の2131D)を用いている。このスリーボンド株式会社製の液状接着剤2023は、いわゆる低粘度接着剤であり、温度25℃における粘度は0.9191(Pa・s)である。また、表1に粘着方法とシンチレータ4が被覆した粘着成分の厚さとの試験結果を示す。シンチレータ4が被覆した粘着成分の厚さとは、粘着成分すなわち両面テープ5の粘着剤5b又は液状接着剤8に対してシンチレータ4が入り込む深さに相当する。
表1及び図2〜図4に示されるように、両面テープ5の粘着剤5bに対してシンチレータ4が入り込む深さは、液状接着剤8に対してシンチレータ4が入り込む深さと比べて著しく浅かった。また、液状接着剤8の厚さを10μmから70μmに変更してもシンチレータ4の入り込む深さに変化はなかった。
また、粘着剤5bや液状接着剤8に対してシンチレータ4が入り込む深さが深いほど解像度の低下が見られた。これは、シンチレータ4が入り込む深さが深いほど、粘着成分の影響で光の散乱が生じる確率が高まるためと考えられる。このため、シンチレータ4が入り込む深さは小さいことが好ましい。すなわち、針状結晶間に空間が形成されることが好ましい。具体的には、粘着剤5bや液状接着剤8に対してシンチレータ4が入り込む深さは、その針状結晶における柱部分まで至らず尖端部分におさまることが好ましい。また、シンチレータ4が入り込む深さは出射面3bと直交する方向におけるシンチレータ4の厚さの30%以下であることが好ましく、さらに10%以下が好ましい。このような状態となるようにシンチレータ4の先端4a側とFOP6とを粘着固定させることで、シンチレータ4の隙間に入り込んだ粘着成分の影響により光の散乱が生じることを適切に抑制することができる。このことは、シンチレータパネル1の高解像度化及び高輝度化に寄与する。
なお、液状接着剤8として粘度の高いものを使用することでシンチレータ4が入り込む深さを浅くすることが可能である。ただし、この場合においては、シンチレータ4とFOP6とを貼り合わせる際に液状接着剤8内で気泡が発生しやすくなるため、脱泡処理が必要となる可能性が高くなる。
以上の試験結果よりシンチレータ4とFOP6との間の粘着方法としては、液状接着剤8より両面テープ5を採用することが好ましいと考えられる。粘着方法として両面テープ5を用いることで、液状接着剤8を用いる場合と比べて、粘着剤5bや液状接着剤8に対してシンチレータ4の入り込む深さを浅くすることができる。
次に、第1の実施形態に係るシンチレータパネル1の製造方法について図1を参照して説明する。
まず放射線透過基板3の出射面3bにシンチレータ4を形成するシンチレータ形成工程を行う。シンチレータ形成工程では、まず放射線透過基板3を加熱する。その後、放射線透過基板3を回転させた状態で蒸着法によりTlをドープしたCsIの針状結晶を出射面3bに成長させることで、シンチレータ4を形成する。
次に、シンチレータ4の先端4a側とFOP6とを粘着固定する粘着固定工程を行う。粘着固定工程では、両面テープ5によってシンチレータ4の先端4a側をFOP6の主面6aに貼り合わせることで粘着固定を行う。
その後、防湿性保護膜7を形成する保護膜形成工程を行う。保護膜形成工程では、まずFOP6をCVD[Chemical Vapor Deposition]装置の蒸着室に入れる。そして、ポリパラキシリレンの原料を昇華させて得た蒸気中にFOP6を露出させるCVD法により、放射線透過基板3、シンチレータ4、及びFOP6を覆う防湿性保護膜7を形成する。以上の工程により第1の実施形態に係るシンチレータパネル1が製造される。
続いて、第1の実施形態に係るシンチレータパネル1の作用効果について説明する。
第1の実施形態に係るシンチレータパネル1によれば、放射線の入射によってシンチレータ4で生じたシンチレーション光は先端4aを通じてFOP6に入射して撮像素子2へと出力されるので、結晶成長において構造的な歪みが発生する確率の高いシンチレータ4の根本側を光が通ることを避けることができる。従って、このシンチレータパネル1によれば、シンチレータ4内の構造的な歪みに起因する光の散乱や減衰の発生を抑制することができるので、シンチレータパネル1の高解像度化及び高輝度化を図ることが可能になる。
また、このシンチレータパネル1によれば、放射線透過基板3の剛性により機械的強度を向上させることができる。このことは、シンチレータパネル1の高寿命化に寄与する。
さらに、このシンチレータパネル1によれば、粘着方法として両面テープ5を用いているので、液状接着剤8を用いる場合と比べて、粘着剤5bは基材5aに密着してシンチレータ4の隙間に入り込みにくいので、シンチレータ4の被覆厚さすなわち複数の針状結晶からなるシンチレータ4の隙間に粘着成分が深く入り込むことを抑制することができる。その結果、シンチレータ4の隙間に入り込んだ粘着成分の影響により光の散乱等が生じることを避けることができるので、シンチレータパネル1の高解像度化に有利である。
また、このシンチレータパネル1によれば、放射線透過基板3及びシンチレータ4の外側を覆う防湿性保護膜7によりシンチレータ4内に水分が侵入すること抑制できるので、水分の侵入によるシンチレータ4の性能劣化が回避でき、シンチレータパネル1の耐湿性の向上及び高寿命化を図ることができる。
また、このシンチレータパネル1の高解像度化及び高輝度化が図られることで、放射線イメージセンサ10における高解像度化及び高輝度化を実現することができる。
なお、本発明者らは、第1の実施形態におけるシンチレータ4の先端4a側について、出射面3bと略平行な面を形成するように研磨した場合と研磨しなかった場合との比較試験を行った。表2にシンチレータパネルの解像度及び光出力における比較結果を示す。なお、表2では、シンチレータ先端研磨無しを基準(100%)として相対的に評価を行った。
表2に示されるように、シンチレータ4の先端4a側を研磨した場合と研磨しなかった場合との間に顕著な差は認められなかった。従って、シンチレータ4の先端4a側を研磨した場合であっても本発明を有効に適用できることが分かる。なお、研磨によりシンチレータ4の針状結晶の一部は尖端部分のない柱状の結晶となる。特許請求の範囲に記載の柱状体には、この柱状の結晶となる態様も当然に含まれる。
[第2実施形態]
図6に示されるように、第2の実施形態に係るシンチレータパネル11は、放射線透過基板3に代えて放射線透過膜12を備えている点が第1の実施形態に係るシンチレータパネル1と相違する。
放射線透過膜12は、有機膜であり例えばポリパラキシリレンのキシリレン系の材料や尿素系の材料から構成された膜状の部材である。放射線透過膜12の厚さは1μm〜100μmである。放射線透過膜12は、放射線の入射面12a及び出射面12bを有しており、入射面12aに入射した放射線は放射線透過膜12の内部を透過して出射面12bから出射する。放射線透過膜12は、特許請求の範囲に記載の放射線透過体に相当する。
次に、第2の実施形態に係るシンチレータパネル11の製造方法について図6を参照して説明する。
まずシンチレータ形成用基板の表面に対して剥離剤を塗布する剥離剤塗布工程を行う。この剥離剤は、基板から次の工程で形成される放射線透過膜12を剥離するためのものである。その後、基板をCVD装置の蒸着室に入れCVD法により放射線透過膜12を形成する透過膜形成工程を行う。
続いて、放射線透過膜12の上にシンチレータ4を形成するシンチレータ形成工程を行う。シンチレータ形成工程では、まず放射線透過膜12が形成された基板を加熱する。その後、基板を回転させた状態で蒸着法により出射面3bにTlをドープしたCsIの針状結晶を成長させることで、シンチレータ4を形成する。
次に、シンチレータ4の先端4a側とFOP6とを粘着固定する粘着固定工程を行う。粘着固定工程では、両面テープ5によってシンチレータ4の先端4a側をFOP6の主面6aに貼り合わせることで粘着固定を行う。その後、放射線透過膜12を基板から剥がす剥離工程を行う。
剥離工程の後、防湿性保護膜7を形成する保護膜形成工程を行う。保護膜形成工程では、FOP6をCVD装置の蒸着室に入れ、CVD法により放射線透過膜12、シンチレータ4、及びFOP6を覆う防湿性保護膜7を形成する。以上の工程により第2の実施形態に係るシンチレータパネル11が製造される。
以上説明した第2の実施形態に係るシンチレータパネル11によれば、放射線透過膜12を厚さのある形状とした場合と比べて放射線の減衰を抑制することができるので、十分な放射線透過率を確保することができる。また、シンチレータパネル11の薄型化に有利である。
[第3実施形態]
図7に示されるように、第3の実施形態に係るシンチレータパネル21は、塗装層22を備えている点が第2の実施形態に係るシンチレータパネル11と相違する。
塗装層22は、放射線透過膜12の入射面12aに特定色の色材を含む樹脂からなる塗料を塗装することで形成される。このような塗料としては、有機溶剤等にバインダーとなる樹脂を溶かし込み、着色成分となる色材として顔料を混ぜた一般的なものが利用できる。また、塗料の種類についても、エナメル塗料、ラッカー塗料、ウレタン塗料などの様々な種類のものが利用できる。塗料の塗装方法としては、塗料を霧状に吹き付けるスプレー塗装などが用いられる。
この塗装層22では、シンチレータ4で生じたシンチレーション光の吸収や反射を行う。塗装層22における光の吸収率及び光の反射率は、塗料の色を変えることで調整することができる。塗装層22は、X線等の放射線を透過させるように形成されている。塗装層22は、特許請求の範囲に記載の光対応層として機能する。なお、塗装層22の他、例えばAl(アルミニウム)を主成分とするAl層等を光対応層として用いても良い。
また、塗装層22の外側は防湿性保護膜7によって覆われている。第3の実施形態に係るシンチレータパネル21は、第2の実施形態における保護膜形成工程の前に、塗装層22を放射線透過膜12の入射面12aに形成する塗装層形成工程(光対応層形成工程)を設けることにより製造される。
以上説明した第3の実施形態に係るシンチレータパネル21によれば、シンチレータ4で生じた光の一部がFOP6と反対側に進行したとしても、塗装層22で光が反射された場合には反射光がFOP6に入射することで光出力を増加させることができる。その一方、塗装層22で光が吸収された場合には、他の光に干渉するクロストーク成分も吸収されるので解像度を向上させることができる。
図8は、第3の実施形態に係るシンチレータパネル21の光出力及び解像度と塗装層22の色との関係を示すグラフである。図8において、X1は塗装層22無しの場合、X2は塗装層22にアクリル系の白色塗料を用いた場合、X3は塗装層22にカーボン系の黒色塗料を用いた場合を示している。また、表3に上記X1〜X3に対応するシンチレータパネルの解像度及び光出力を数値で示す。なお、図8及び表3では、シンチレータの放射線入射側にAl(アルミニウム)の反射膜を形成して輝度特性を高くしたシンチレータパネル(以下「タイプA」、具体的には国際公報WO99/66350の図1に記載されたように、FOP、シンチレータ、第1の保護膜、アルミニウム反射膜、第2の保護膜の順で構成されている)を基準(100%)として相対的に評価を行った。また、比較例として、タイプAと異なり反射膜を形成せずに解像度特性を高くしたシンチレータパネル(以下「タイプB」、具体的には、FOP、シンチレータ、金属吸収膜、保護膜の順で構成されている)の解像度及び光出力を示す。
図8及び表3に示されるように、塗装層22の色を変更することにより、様々な種類の光出力及び解像度を有するシンチレータパネル21を得られた。また、白色塗料を用いたシンチレータパネル21は他のシンチレータパネルと比べて光出力が高く解像度が低い特性を示し、黒色塗料を用いたシンチレータパネル21は他のシンチレータパネルと比べて光出力が低く解像度が高い特性を示した。従って、このシンチレータパネル21によれば、塗装層22を構成する色材を変えて塗装層22における光の反射率や吸収率を変更することにより、シンチレータパネル21の特性の容易な変更を実現することができる。
[第4実施形態]
図9に示されるように、第4の実施形態に係るシンチレータパネル31は、塗装層の形状が第3の実施形態に係るシンチレータパネル21と相違する。
第4の実施形態に係る塗装層32は、放射線透過膜12の入射面12aだけではなく、放射線透過膜12の側方に突出して、放射線透過膜12、シンチレータ4、両面テープ5、及びFOP6の側面6cまで覆うように形成されている。塗装層32の外周縁は、FOP6の主面6bと同じ平面上で外部に露出している。
以上説明した第4の実施形態に係るシンチレータパネル21によれば、第3の実施形態に係るシンチレータパネル21と同様の効果を得ることができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、シンチレータ4をFOP6に対して粘着固定する粘着層は、両面テープ5に限られず、液状接着剤等の種々の粘着部材を用いることができる。
また、シンチレータ4としては、TlをドープしたCsIの他、Na(ナトリウム)をドープしたCsI、TlをドープしたNaI(ヨウ化ナトリウム)、Eu(ユウロピウム)をドープしたLiI(ヨウ化リチウム)、TlをドープしたKI(ヨウ化カリウム)等を利用することができる。
1,11,21,31…シンチレータパネル 2…撮像素子 3…放射線透過基板 3a…入射面 3b…出射面 4…シンチレータ 4a…先端 5…両面テープ 5a…基材 5b…粘着剤 7…防湿性保護膜 10…放射線イメージセンサ 12…放射線透過膜 12a…入射面 12b…出射面 22…塗装層

Claims (6)

  1. 放射線の入射面及び出射面を有し、前記放射線を透過させる放射線透過体と、
    ドーパントを含有するヨウ化セシウムからなり前記出射面に結晶成長させられた複数の柱状体からなり、前記放射線の入射によって光を生じさせるシンチレータと、
    前記シンチレータに対して前記出射面と反対側に配置され、前記シンチレータで生じた光を伝播させるファイバオプティックスプレートと、
    前記シンチレータと前記ファイバオプティックスプレートとの間に設けられ、前記シンチレータと前記ファイバオプティックスプレートとを粘着固定すると共に、前記シンチレータで生じた光を透過させる粘着層と、
    前記放射線透過体及び前記シンチレータの外側、並びに前記ファイバオプティックスプレートの側面を覆う防湿性保護膜と、
    を備え
    前記粘着層に対して前記シンチレータが入り込む深さは、前記出射面と直交する方向における前記シンチレータの厚さの30%以下であることを特徴とするシンチレータパネル。
  2. 前記放射線透過体は、剛性基板であることを特徴とする請求項1に記載のシンチレータパネル。
  3. 前記放射線透過体は、膜状であることを特徴とする請求項1に記載のシンチレータパネル。
  4. 前記放射線透過体の前記入射面側に形成され、前記放射線を透過させると共に前記シンチレータで生じた光の反射及び吸収の少なくとも一方を行う光対応層を更に備えていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  5. 前記粘着層は、基材と基材の両側に設けられた粘着剤とを有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載のシンチレータパネルと、
    前記ファイバオプティックスプレートで伝播された光を撮像する撮像素子と、を備えることを特徴とする放射線イメージセンサ。
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