本発明の放射線画像検出器は、基板上に二次元状に配列された複数の光電変換素子を有する光電変換パネルに、光学補償材料を介してシンチレータパネルが備えられた放射線画像検出器であって、前記シンチレータパネルがシンチレータの複数の柱状結晶からなるシンチレータ層及び前記光学補償材料が当該柱状結晶間の隙間に浸透することを防止する浸透防止層を有し、かつ当該柱状結晶の先端部における浸透防止層の平均層厚tと複数の当該柱状結晶間の隙間距離の最大値dが前記式(1)を満足し、かつ、前記浸透防止層の厚さが、前記柱状結晶の先端部と、少なくとも前記柱状結晶の先端部に最も近い側面部分と、でほぼ同等であり、前記柱状結晶間の隙間に前記光学補償材料が浸透するのを防止しており、かつ、前記浸透防止層が、前記シンチレータの光電変換素子側に配置してなることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項6までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、防湿有機層を用いず、薄い浸透防止層を用いた場合でも、シンチレータが水分を吸収して劣化するのを防止するために、前記シンチレータパネルはシンチレータ層が形成されていない支持体からなる外周部を有し、該外周部の支持体及び光電変換パネルの外周部の間に接着剤を有し、前記シンチレータ層が、前記支持体、前記光電変換パネル及び前記接着剤により密封されていることが好ましい。また、前記支持体又は前記光電変換パネルの基板が、ガラス層を有することが、前記接着剤が光硬化型である場合、接着剤を硬化する光を透過すること及び水蒸気の遮断性が高いことから好ましい。
さらに、本発明においては、前記浸透防止層が、ポリパラキシリレン、ポリモノクロロパラキシリレン、ポリジクロロパラキシリレン、ポリテトラクロロパラキシリレン、ポリフルオロパラキシリレン、ポリジメチルパラキシリレン又はポリジエチルパラキシリレンを含有することが好ましい。これにより、優れた浸透防止の効果が得られる。
本発明の放射線画像検出器を製造する放射線画像検出器の製造方法としては、前記基板、前記支持体及び前記接着剤で囲まれ密閉された内部空間を、大気圧より減圧する態様の製造法であることが、シンチレータパネルと光電変換パネルが光学補償材料を介して密着される際に、空気が排除されることにより光学補償材料の空隙を生じないことから好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
また、支持体の外周部とは、支持体、シンチレータ層及び浸透防止層を有するシンチレータパネルにおいて、シンチレータ層が設けられた面の内、シンチレータ層の周囲を囲むシンチレータ層を有しない領域であって、糊代として用いられる領域をいう。
また、「柱状結晶の先端部」とは、シンチレータパネルの柱状結晶において、各柱状結晶の支持体から最も遠い点をいう。
(放射線画像検出器)
本発明の放射線画像検出器は、基板上に二次元状に配列された複数の光電変換素子を有する光電変換パネルに、光学補償材料を介してシンチレータパネルが備えられた放射線画像検出器であって、前記シンチレータパネルがシンチレータの複数の柱状結晶からなるシンチレータ層及び前記光学補償材料が当該柱状結晶間の隙間に浸透することを防止する浸透防止層を有し、かつ当該柱状結晶の先端部における浸透防止層の平均層厚tと複数の当該柱状結晶間の隙間距離の最大値dが下記式(1)を満足し、かつ、前記浸透防止層の厚さが、前記柱状結晶の先端部と、少なくとも前記柱状結晶の先端部に最も近い側面部分と、でほぼ同等であり、前記柱状結晶間の隙間に前記光学補償材料が浸透するのを防止しており、かつ、前記浸透防止層が、前記シンチレータの光電変換素子側に配置してなることを特徴とする。
式(1) d/2≦t≦8μm
[式中、tはシンチレータ層の柱状結晶の先端部における浸透防止層の平均層厚であり、dは複数の柱状結晶間の隙間距離の最大値を表し、dは0.5〜15.0μmの範囲内である。]
放射線検出システムにおいては、放射線発生器で発生させた放射線を被写体に照射し、被写体を透過した放射線を放射線画像検出器に入射させる。放射線画像検出器は、被写体からの放射線情報を検出し、デジタルの画像信号に変換して出力する。使用される放射線は、例えば、波長が1×10−10m程度のエックス線である。
放射線画像検出器により変換された画像信号は、画像処理装置で各種画像処理を行われ、画像表示部で表示されたり、各種プリンタにて媒体上に出力される。またこの画像信号をメモリに保存したり、ネットワークを介して他の部署に送信することもできる。
以下、本発明の放射線画像検出器の概略構造について図1を用いて説明する。
放射線画像検出器100は、放射線の照射により蛍光発光を行うシンチレータパネル10と、その下方に設けられシンチレータパネル10で発生した蛍光を光電変換する光電変換パネル20を有する。光電変換パネル20は、図1に示すように、光電変換素子が格子状に2次元配置されており、個々の光電変換素子が放射線画像の1画素に対応するものである。
光電変換パネル20は、さらに、制御回路120、光電変換素子で変換された画像信号を記憶するメモリ部130、放射線画像検出器100の動作を切り換える操作部140、放射線画像の撮影準備完了の表示やメモリ部130への画像信号の書込みを表示する表示部150、光電変換素子より画像信号を得るために必要な電力供給を行う電源部160、放射線画像検出器100と外部の画像処理部との間で通信を行うための通信用のコネクタ170を備える。
放射線画像検出器100は、シンチレータパネル10、光電変換パネル20、及びこれらを収納する筐体180より構成される。
ここで、コネクタ170を介して接続されている外部の画像処理部から、放射線画像検出器100を着脱自在にしておけば、放射線画像検出器100を持ち運びできる可搬構造とすることができる。
筐体180は、アルミニウムやアルミニウム合金等の軽量で耐久性を有する素材で構成される。筐体180の放射線入射面側は、カーボン繊維等の放射線を透過し易い材料で形成される。また、放射線入射面とは逆側にあたる背面側には鉛板等の放射線吸収材料を設け、放射線画像検出器100を透過した放射線や、放射線画像検出器100の構成素材が放射線吸収により発生する2次放射線の装置外への漏洩を防止する。
図2は本発明の放射線画像検出器100の主要部分の層構成例を示す断面図であり、その左半分に機能的に括った概略図を、右半分に付加可能な層も含めた具体的な層構成を示す。
まず、左半分の機能的に括った層構成を説明する。
図2において、放射線は図の上方から入射する。放射線画像検出器100は、図の上方放射線入射方向から、大きく分けてシンチレータパネル10と光電変換パネル20との積層で構成されており、シンチレータパネル10は、放射線入射方向から順に、第1の支持体11、第1の粘着層12、第2の支持体14とシンチレータ層15を有するシンチレータシート13からなり、これら全体を浸透防止層16が覆っている。また、光電変換パネル20は、放射線入射方向から順に、平坦化層21、光電変換素子層22、出力層23、及び基板24が積層された構成を有する。
シンチレータパネル10と光電変換パネル20は、光学補償材料から形成された光学補償層18を介して貼合され、第1の支持体11の外周部と基板24の外周部とは、接着剤25を介して接着接合されている。
(シンチレータパネル)
ここで、シンチレータパネル10は、放射線画像を光変換するものであるが、後述する製造方法で説明するように、第2の支持体14はシンチレータ層15の基台として設けられ、両者でシンチレータシート13を構成する。そして、シンチレータシート13は、第1の粘着層12で第1の支持体11に接着してある。第1の支持体11は、シンチレータパネル10の強度、平坦性及び水蒸気の遮断性を確保する機能を有する。また、浸透防止層16は、シンチレータの柱状結晶間の隙間に光学補償材料が浸透するのを防止するために設けられる。
次に、図2の右側で具体的な層構成を説明するに、第2の支持体14のシンチレータ層15側には、反射率及び輝度を向上するための反射層17a、シンチレータ層15の保護のための下引き層17bが順次積層して設けられている。これらは、付加的な層であるが、付加するほうが装置の性能を向上させる上で望ましい。少なくとも反射層は設けたほうがよい。
(シンチレータ層)
シンチレータ層(蛍光体層ともいう。)は、放射線の照射により蛍光を発するシンチレータ(蛍光体)から成る層である。
即ち、シンチレータとは、エックス線等の入射された放射線のエネルギーを吸収して、波長が300nmから800nmの範囲内の電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる電磁波(光)を発光する蛍光体をいう。本発明において、シンチレータとして柱状結晶を用いる。柱状結晶の柱径は2.0〜20μmの範囲内が好ましく、3.0〜15μmの範囲内がより好ましい。
前記シンチレータ層は、シンチレータの複数の柱状結晶を含有し、複数の該柱状結晶の長辺方向が第2の支持体の法線方向とほぼ一致するように並んで形成され、それぞれの柱状結晶の間に空気からなる隙間を有する。また、前記シンチレータ層の層厚は、100〜1000μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは120〜800μmの範囲内、特に好ましくは140〜600μmの範囲内である。
本発明においては、柱状結晶間の隙間距離の最大値dは0.5〜15.0μmの範囲内である。前記柱状結晶間の隙間距離の最大値dは、蒸着時の支持体温度の制御、蒸着速度、Ar等のキャリアガスの導入量を調整し真空度を制御すること等により調整することができる。
前記柱状結晶間の隙間距離の最大値dは、以下の方法により求められる。第2の支持体上にシンチレータ層を形成して作製したシンチレータシートを硬化性樹脂液に浸漬し、シンチレータの隙間に硬化性樹脂液を浸透させ、硬化した後にシンチレータ層を柱状結晶先端から30μmの位置で、支持体と平行に切断し、撮影領域250μm×180μmに渡る断面の走査型電子顕微鏡写真より、柱状結晶間の隙間の最大値を求める。
なお、上記走査型電子顕微鏡写真において、隙間が3方に分岐している場合は、図11に示したように、3つのシンチレータの柱状結晶の断面の周囲から一定の同じ距離L離れた点の軌跡を描き、Lを変化させて3つの軌跡が重なったときのLを求め、該Lを2倍した値を隙間距離の最大値dとする。
なお、図11において、SCはシンチレータの柱状結晶の断面、Gは隙間、Rは柱状結晶の断面の周囲から距離L離れた点の前記軌跡を表し、3本の軌跡Rが点Pで交わっている。
また、シンチレータ層の充填率は70〜95%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは80〜94%の範囲内、特に好ましくは85〜92%の範囲内である。ここで充填率とはシンチレータ層の実際の質量を、理論密度と見かけの体積で割った値をさす。シンチレータ層の充填度を制御するには、蒸着時の支持体温度の制御や、蒸着速度やAr等のキャリアガスの導入量を調整することにより真空度を制御することで行うことができる。
また、シンチレータ層の充填率の変動係数は、好ましくは20%以下であり、より好ましくは10%以下であり、特に好ましくは5%以下である。これにより輝度、鮮鋭性を向上し、さらに温度変動に伴う画像欠陥の発生を防止することができる。充填率の変動係数は小さければ小さいほど好ましいが、通常は0.1%以上である。
充填率の変動係数は、シンチレータ層におけるシンチレータの充填率のばらつきの程度を示す指標値となるものである。充填率の変動係数は、シンチレータパネル上で縦、横を10分割し生成した100区画で充填率を測定し、各測定区画における充填率から求めた平均充填率Dav、充填率の標準偏差Ddevを用いて下記式により算出する。
充填度の変動係数=Ddev/Dav(%)
ここで、Ddev:充填率の標準偏差
Dav:平均充填率
充填率の変動係数を20%以下にするためには、シンチレータ層の製造装置において用いる蒸発源の配置を制御することで行うことができる。例えば、複数の蒸発源を円の円周上に配置することで行うことができるが、さらに円の中心部にも蒸発源が配置されることがより好ましい。さらに複数の蒸発源が半径の異なる複数の同心円の円周上に配置されることがより好ましい。また塗布法によりシンチレータ層を形成する場合には、塗布時に用いる塗布装置のスリット形状を精密研磨により制御することにより行うことができる。
シンチレータ層を形成する材料としては、種々の公知のシンチレータ材料を使用することができるが、セシウムハライド系シンチレータであるヨウ化セシウム(CsI)が好ましい。ヨウ化セシウム(CsI)は、エックス線から可視光への変換率が比較的高く、蒸着によって容易にシンチレータを柱状結晶構造に形成できるため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、シンチレータ層(蛍光体層)の厚さを厚くすることが可能である。
但し、CsIのみでは発光効率が充分でないために、各種の賦活剤が添加される。例えば、特公昭54−35060号の如く、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものが挙げられる。また、例えば特開2001−59899号公報に開示されているような、インジウム(In)、タリウム(Tl)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)などの賦活物質を含有するCsIが好ましい。
また、シンチレータは、柱状結晶の先端を平坦化したものを用いてもよく、その場合、浸透防止層表面の凹凸が小さくなり、光学補償材料の塗布均一性が向上するメリットがある。
また、タリウムを含有するCsIのシンチレータ層を形成するための原材料としては、1種類以上のタリウム化合物を含む添加剤とヨウ化セシウムとが、好ましく用いられる。タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)は400nmから750nmまでの広い発光波長を持つことから好ましい。
1種類以上のタリウム化合物を含有するタリウム化合物としては、種々のタリウム化合物(+Iと+IIIの酸化数の化合物)を使用することができる。好ましいタリウム化合物は、ヨウ化タリウム(TlI)、臭化タリウム(TlBr)、塩化タリウム(TlCl)、又はフッ化タリウム(TlF、TlF3)等である。
また、タリウム化合物の融点(常温常圧下における融点)は、発光効率の面から、400〜700℃の範囲内にあることが好ましい。また、タリウム化合物の分子量は206〜300の範囲内にあることが好ましい。
シンチレータ層において、当該賦活剤の含有量は目的性能等に応じて、最適量にすることが望ましいが、ヨウ化セシウムの含有量に対して、0.01〜20モル%の範囲内であるのが好ましく、0.05〜5モル%の範囲内であるのがより好ましい。
さらに、本発明においては、上記したCsI:Tl以外にも各種のものが利用可能である。他の一例として、
基本組成式(I):M(I)X・aM(II)X’2・bM(III)X”3:zA
で示されるアルカリ金属ハロゲン化物系シンチレータが利用可能である。
上記式において、M(I)はLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ金属を表し、M(II)はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し、M(III)はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選択される少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表す。
また、X、X’及びX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選択される少なくとも一種のハロゲンを表し、Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag、Tl及びBiからなる群より選択される少なくとも一種の希土類元素又は金属を表す。また、a、b及びzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表す。
また、上記基本組成式(I)中のMIとしては少なくともCsを含んでいることが好ましく、Xとしては少なくともIを含んでいることが好ましく、Aとしては特にTl又はNaであることが好ましい。zは1×10−4≦z≦0.1の範囲内の数値であることが好ましい。
また、
基本組成式(II):MIIFX:zLn
で示される希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系シンチレータも好ましい材料である。
上記式において、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbからなる群より選択される少なくとも一種の希土類元素を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選択される少なくとも一種のハロゲンを表す。また、zは、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。なお、上記式中のMIIとしては、Baが半分以上を占めることが好ましい。Lnとしては、特にEu又はCeであることが好ましい。
また、他に、LnTaO4:(Nb、Gd)系、Ln2SiO5:Ce系、LnOX:Tm系(Lnは希土類元素である)、Gd2O2S:Tb、Gd2O2S:Pr、Ce、ZnWO4、LuAlO3:Ce、Gd3Ga5O12:Cr、Ce、HfO2等を挙げることができる。
(浸透防止層)
光電変換パネルとシンチレータパネルを貼合したときに、両者の間を光学補償材料で満たす。これにより画像の鮮鋭性が向上する。しかし、光学補償材料がシンチレータの柱状結晶の間に浸透すると、柱状結晶間の隙間から押し出された空気により、光電変換パネルとシンチレータパネルの間の光学補償材料中に気泡が生じ、鮮鋭性が著しく低下する。光学補償材料が常温硬化性又は熱硬化性樹脂であっても、光電変換パネルとシンチレータパネルを貼合した直後は、流動性が高いので、気泡を生じる。
浸透防止層は、光学補償材料がシンチレータの柱状結晶の間に浸透するのを防止する。また、浸透防止層はシンチレータ層が外部の力を受けて損傷するのを防止する機能、及びシンチレータと光電変換パネルの接触により生じる光電変換素子の腐食を防止する機能を有する。
シンチレータ層の柱状結晶の先端部における浸透防止層の平均層厚tと柱状結晶間の隙間距離の最大値dとが、下記式(1)を満足する。
式(1) d/2≦t≦8μm
[式中、tはシンチレータ層の柱状結晶の先端部における浸透防止層の平均層厚であり、dは柱状結晶間の隙間距離の最大値を表し、0.5〜15.0μmの範囲内である。]
前記平均層厚tが8μm以下であることにより、シンチレータと光電変換素子間の距離が短く、光電変換素子に届くまでに光が拡散して、先鋭性が低下するのを防止することができる。
前記平均層厚tをd/2以上とすることにより、図3に示したように、柱状結晶の先端に近い部分の間隙を覆い、光学補償材料が間隙に浸透するのを防止することができる。
当該浸透防止層は種々の材料を用いて形成することができ、例えば金属酸化物の蒸着層、金属の蒸着層、CVD法による有機薄層等が挙げられ、なかでも表面に凹凸があっても、凹凸に沿って均一な層が形成されることからCVD法による有機薄層が好ましい。
前記有機薄層としては、特にポリパラキシリレン、ポリモノクロロパラキシリレン、ポリジクロロパラキシリレン、ポリテトラクロロパラキシリレン、ポリフルオロパラキシリレン、ポリジメチルパラキシリレン又はポリジエチルパラキシリレンが好ましく用いられる。
最も好適には、CVD法によりポリパラキシリレン層を形成する。即ち、図2に示したように、シンチレータシート13及び第1の支持体11の表面全体にポリパラキシリレン層を形成し、浸透防止層16とすることができる。CVD法によるポリパラキシリレンの層は、光学補償材料に対して浸透を防止する能力が優れているため、本発明に係る浸透防止層として好適である。
また、CVD法による有機薄層の中でも、ポリパラキシリレンの層は、被蒸着面に凹凸があっても、均一な厚さの層を形成することができる。図3(a)はシンチレータの柱状結晶3をその先端部において厚さtの浸透防止層(有機薄層)2が均一な層厚で覆っている様子を示している。有機薄層に覆われた柱状結晶の上には、光学補償材料1が接触している。浸透防止層の厚さは、柱状結晶の先端部と柱状結晶の側面部分でほぼ同等(先端部又は側面部を基準にして±30%の範囲内)なので、tが、隣り合う柱状結晶間の隙間距離の最大値dの1/2に達したときに、柱状結晶の間の隙間が塞がれる。
浸透防止層の厚さtが、隣り合う柱状結晶間の隙間距離の最大値dの1/2より大きくなると、図3(b)に示したように、柱状結晶の支持体から遠い先端部付近のみで厚さtが増大する。浸透防止層は同じ材料を2層以上積層してもよく、違う種類の材料を積層してもよい。
シンチレータ層の柱状結晶の先端部における浸透防止層の平均層厚tは、8μm以下であれば良好な鮮鋭性が得られるが、5μm以下であればさらに画像の鮮鋭性を向上するため好ましい。dは15μm以下であれば良好な鮮鋭性が得られるが、10μm以下の場合さらに画像の鮮鋭性を向上するために好ましい。
柱状結晶の先端部における浸透防止層の平均層厚tとは、下記の方法により求めた値をいう。
第2の支持体上にシンチレータ層を形成して作製したシンチレータシートを硬化性樹脂液に浸漬し、シンチレータの隙間に硬化性樹脂液を浸透させ、硬化した後にシンチレータ層を、支持体と垂直に切断し、走査型電子顕微鏡写真より、浸透防止層の平均層厚tを求める。
柱状結晶は、支持体の面に対し、ほぼ垂直に成長した結晶であり、柱状結晶の側面は支持体の面に対して垂直である。ここで、柱状結晶の先端部とは、支持体と垂直な断面の走査型電子顕微鏡写真において、それぞれの柱状結晶の支持体から最も遠い部分をいう。
上記CVD法のほかに、浸透防止層は、蒸着法やスパッタリング法などにより、SiC、SiO2、SiN、Al2O3などの無機物質を積層して形成してもよく、ポリオレフィン系、ポリアセタール系、エポキシ系、ポリイミド系、シリコーン系、ポリパラキシリレン系の材料を用いてもよい。
(フィラー)
また、浸透防止層自体が柱状結晶間深くに入り込むと、浸透防止層を介して柱状結晶間で光が拡散し鮮鋭性が低下する。このような場合は、浸透防止層をコートする前に、シンチレータ上部にフィラーを分散したり、ファイバーシートを貼ったりしてもよい。フィラーやファイバーシートのファイバーが柱状結晶間の隙間を塞ぎ、浸透防止層が柱状結晶間の隙間に深く浸みこむのを防止することによって、さらに鮮鋭性を向上することができる。
本発明に用いられるフィラーとしては、公知の無機質粉末や有機質粉末を適宜選択して使用することができる。無機質粉末としては例えば酸化チタン、窒化硼素、SnO2、SiO2、Cr2O3、α−Al2O3、α−Fe2O3、α−FeOOH、SiC、酸化セリウム、コランダム、人造ダイヤモンド、石榴石、ガーネット、マイカ、珪石、窒化珪素、炭化珪素等を挙げることができる。有機質粉末としては、例えば3次元架橋されたポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、テフロン(登録商標)等の粉末を挙げることができる。これらの無機質粉末については表面処理されていてもよい。
フィラーとして使用される有機又は無機粉末の平均粒径は通常0.5〜8.0μmの範囲内であり、好ましくは1.0〜6.0μmの範囲内であり、より好ましくは2.0〜5.0μmの範囲内である。また、複数の種類の粉末を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
(ファイバーシート)
本発明に用いられるファイバーシートとしては、公知の薄いファイバーシートを適宜選択して使用することができる。例えば、セルロースナノファイバーシート等を使用してもよい。
ファイバーシートの膜厚としては、通常0.5〜100μmの範囲内、好ましくは2.0〜50μmの範囲内であり、より好ましくは5.0〜30μmの範囲内である。ファイバーシートの線径としては、通常0.003〜5.0μmの範囲内、好ましくは0.01〜1.0μmの範囲内であり、より好ましくは0.05〜0.2μmの範囲内である。
浸透防止層のヘイズ率は、鮮鋭性、放射線画像ムラ、製造安定性、作業性等を考慮し、3%以上、40%以下であることが好ましく、更には3%以上、10%以下であることがより好ましい。ヘイズ率は、曇りの度合いを表す指標(数値が大きくなると、曇りの度合いも大きくなる)であり、全光線透過率に対する散乱光透過率の割合(%)で表された値である。
浸透防止層の光透過率は、70〜99%の範囲内が好ましい。光電変換効率、シンチレータ発光波長等を考慮し、550nmで70%以上あることが好ましく、99%以下であれば工業的に容易に実現可能である。
(光学補償材料)
また、光電変換パネル20は、光学補償材料(マッチングオイル)を介してシンチレータパネル10のシンチレータ層15側に貼り付けられている。詳しくは、光電変換パネルのシンチレータ層15は浸透防止層16に覆われており、光電変換パネルの表面には平坦化層21が設けられていて、光学補償材料は浸透防止層16と平坦化層21との間隙を満たし光学補償層18を形成している。
光学補償材料が前記間隙を満たしていない場合、浸透防止層と空気との屈折率の差が大きいため、シンチレータから浸透防止層に到達した光は浸透防止層と空気との界面で反射や散乱を生じる。また、浸透防止層から間隙に放射された光は、空気と平坦化層との屈折率の差が大きいため、その界面で反射される。
前記光学補償材料は、シンチレータの浸透防止層の屈折率及び光電変換パネルの平坦化層の屈折率と近い屈折率を有していて、シンチレータで発生した光が空気層との界面で反射や散乱を生じるのを防止し、高い効率で光電変換パネルに取り込まれ、また、画像の先鋭性を向上させる効果を有する。
前記光学補償材料は、好ましくは熱硬化性又は常温硬化性の樹脂で形成されている。熱硬化性又は常温硬化性の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂やエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が好ましく用いられる。
また、光学補償層を、硬化させた樹脂等の固体で形成する代わりに、透明な液体やゲル状物質で形成することも可能である。この場合も、液体やゲル状物質からなる光学補償層は、少なくともシンチレータプレートの浸透防止層と光電変換パネルの平坦化層の表面とにそれぞれ密接する状態で形成することができる。
特に弾力性を有する接着樹脂光学補償層を形成する材料としてはゴム系の接着剤が使用できる。ゴム系の接着剤の樹脂としては、例えば、スチレン−イソプレン−スチレン等のブロックコポリマー系や、ポリブタジエン、ポリブチレン等の合成ゴム系接着剤、および天然ゴム等を使用できる。市販されているゴム系の接着剤としては、例えば、一液型RTVゴムKE420(信越化学工業(株)製)などが好適である。
また、シンチレータプレートと平面受光素子には粘着性を有する光学グリース等も使用できる。透明性が高く粘着性があれば、公知のいかなるものも使用できる。市販されている光学グリースとしては、例えば、シリコンオイル KF96H(100万CS:信越化学工業(株)製)などが好適である。
一方、光学補償層は、その屈折率が、シンチレータプレートの浸透防止層の屈折率と光電変換パネルの平坦化層の屈折率のうち、小さい方の屈折率以上で大きい方の屈折率以下の屈折率となるように形成されることが好ましい。上記において、浸透防止層の屈折率は、シンチレータの屈折率より小さいことが好ましい。
本発明では、上述したように好ましい浸透防止層としてポリパラキシリレンが用いられ、その屈折率は1.6である。また、平坦化層を形成する樹脂としてはアクリル樹脂が好ましく用いられるが、その屈折率は約1.5である。そこで、本発明では、光学補償層は、その屈折率nが1.5〜1.7の範囲になるように形成されていることが好ましい。
放射線の照射によりシンチレータプレートのシンチレータ層で発光した光は、浸透防止層や平坦化層と共に、光学補償層を通って光電変換素子に到達するので、光学補償層は、透明であり、光の透過率が90%以上の高透過率であることが好ましい。
なお、光学補償層を形成する光学補償材料が、例えば、硬化する際に収縮し易いものであったり、温度が高くなると膨張し易いものであるような場合、光学補償層が収縮したり膨張したりする際に、シンチレータプレートの蛍光体柱状結晶に対して面方向に力が加わる状態になる。そして、その力によって柱状結晶が破壊されてしまう可能性が生じる。そこで、光学補償層を形成する光学補償材料としては、硬化収縮率や線膨張係数が低いものを用いることが好ましい。
(支持体)
本発明に係るシンチレータパネルの支持体は、第1の支持体と第2の支持体を有し、両支持体が接着剤又は粘着剤により接着されて形成されることが好ましい。前記第2の支持体を構成する材料としては、例えば、(1)カーボン(アモルファスカーボンや、木炭および紙を炭化処理して固めたもの等)、(2)樹脂(炭素繊維強化プラスチック〔CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics〕、ガラス繊維強化プラスチック〔Glass Fiber Reinforced plastics〕等も含む。)(3)ガラス、(4)金属、(5)上記(1)〜(4)の材料を薄く形成し発泡樹脂でサンドイッチしたもの等を使用することができるが、X線透過率の点でプ樹脂が好ましく、樹脂の中でも耐熱性の点から特にポリイミドが好ましい。これらは単独で用いても積層して用いてもよい。
シンチレータ層を第2の支持体上に形成したものをシンチレータシートと呼ぶ。シンチレータシートのシンチレータ層が形成されていない面(第2の支持体の面)に第1の支持体を接着し、第2の支持体及び第1の支持体を有する支持体上にシンチレータ層が形成された構成のシンチレータシート積層体を作製することが好ましい。
第1の支持体は、シンチレータパネルの補強又は外部の水蒸気の遮断のために設けられ、それを構成する材料としては、上記第2の支持体を構成する材料として挙げられた材料と同様の材料が挙げられるが、特にガラス板が好ましく用いられ、該ガラス板は前記支持体のガラス層を形成する。
また、第1の支持体をシンチレータシートより大きくして、第1の支持体の中央部にシンチレータシートを接着することにより、シンチレータシートの外側の周囲の第1の支持体(支持体の外周部)を接着剤の塗布のための糊代として用いることができる。
外周部とは、支持体、シンチレータ層及び浸透防止層を有するシンチレータパネルにおいて、シンチレータ層が設けられた面の内、シンチレータ層の周囲を囲むシンチレータ層を有しない領域をいう。
(下引き層・反射層)
支持体とシンチレータ層の接着性向上のため、第2の支持体とシンチレータ層との間に、下引き層を設けることが好ましい。さらに、反射層を設ける場合は、下引き層と第2の支持体の間に反射層を設けることが好ましい。また、1つの層で、前記下引き層と反射層を兼ねさせてもよい。
下引き層を構成するバインダーとしては、易接着性のポリマー、例えば、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、シリコーン樹脂、アクリル樹脂又はポリビニルブチラールを使用することが好ましい。また、これらのバインダーは2種以上を混合して使用することもできる。
バインダーのガラス転移温度(Tg)は100℃以下であることが、支持体とシンチレータ層の接着性向上の観点で好ましい。
本発明において下引き層は、溶剤に溶解又は分散したバインダーを塗布、乾燥して形成する方法のほか、CVD法によりポリパラキシリレン樹脂層を形成しても良い。下引き層の塗布方式については、特に制約は無いが、例えば、グラビア、ダイ、コンマ、バー、ディップ、スプレー、スピン等の一般的な方式を用いることができる。
下引き層の調製に用いることができる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステル、メトキシプロパノールプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
下引き層の厚さは、0.1〜10μmの範囲内が好ましく、0.5〜5μmの範囲内がさらに好ましい。下引き層の厚さを0.5μm以上とすることでシンチレータとの接着性が向上し、下引き層の厚さを5μm以下とすることで下引き層内での光散乱が抑制され鮮鋭性が向上する。下引き層には、蛍光体(シンチレータ)が発光する光の散乱の防止し、鮮鋭性等を向上させるために顔料や染料を含有させても良い。
支持体の少なくともシンチレータ層が蒸着される面に反射層を有することが好ましい。反射層を設けることによって、シンチレータの発光を非常に効率よく取り出すことができ、輝度が飛躍的に向上する。反射層の表面反射率は好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
反射層を構成する材料としては、アルミニウム、銀、白金、パラジウム、金、銅、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、ステンレス等の金属材料又はSiO2、TiO2等の金属酸化物を含有していることが好ましい。中でも反射率、耐食性の観点からアルミニウム、銀又はTiO2を主成分としていることが特に好ましい。また、このような反射層を2層以上形成するようにしても良い。
金属を支持体上に被覆する方法としては、蒸着、スパッタ、あるいは、金属箔の貼り合わせ等、特に制約は無いが、密着性の観点からスパッタが最も好ましい。
支持体と反射層の密着性を向上させるために、支持体と反射層の間に中間層を設けることができる。中間層を構成する材料としては、一般的な易接着性のポリマーの他、反射層とは異なる異種金属層を設けても良い。異種金属層としては、例えば、ニッケル、コバルト、クロム、パラジウム、チタン、ジルコニウム、モリブデン及びタングステンの中から選ばれる少なくとも1種類の金属を用いることが好ましく、中でもニッケル、クロムを単独、若しくは混合して使用することがさらに好ましい。
反射層の厚さは、0.005〜0.3μmの範囲内、より好ましくは0.01〜0.2μmの範囲内であることが、発光光取り出し効率の観点から好ましい。
本発明では、反射率向上のため、SiO2、TiO2等の金属酸化物からなる増反射層を設けても良い。本発明において塗布型反射層は、少なくとも光散乱粒子、及びバインダーより構成される。
光散乱粒子としては、例えば、TiO2(アナターゼ型、ルチル型)、MgO、PbCO3・Pb(OH)2、BaSO4、Al2O3、M(II)FX(但し、M(II)はBa、Sr及びCaの各原子から選ばれる少なくとも一種の原子であり、XはCl原子又はBr原子である。)、CaCO3、ZnO、Sb2O3、SiO2、ZrO2、リトポン(BaSO4・ZnS)、珪酸マグネシウム、塩基性珪硫酸塩、塩基性燐酸鉛、珪酸アルミニウム等の白色顔料を使用することができる。これらの白色顔料のうちTiO2は隠蔽力が強く、屈折率が大きいため、光を反射し、屈折させることによりシンチレータの発光を容易に散乱し、得られる放射線像変換パネルの感度を顕著に向上させることができる。
これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは組み合わせて用いてもよい。
酸化チタンの結晶構造としては、ルチル型、アナターゼ型どちらでも使用できるが、樹脂の屈折率との比率が大きく、高輝度を達成できる点からルチル型が好ましい。
酸化チタンとしては、具体的には、例えば塩酸法で製造されたCR−50,CR−50−2,CR−57,CR−80,CR−90,CR−93,CR−95,CR−97,CR−60−2,CR−63,CR−67,CR−58,CR−58−2,CR−85,硫酸法で製造されたR−820,R−830,R−930,R−550,R−630,R−680,R−670,R−580,R−780,R−780−2,R−850,R−855,A−100,A−220,W−10(以上商品名:石原産業(株)製)などが挙げられる。
酸化チタンの一次粒径は0.1〜0.5μmの範囲内が好ましく、さらに0.2〜0.3μmの範囲内がさらに好ましい。また、酸化チタンとしては、ポリマーとの親和性、分散性を向上させるためやポリマーの劣化を抑えるためのAl、Si、Zr、Znなどの酸化物で表面処理されたものが特に好ましい。
光散乱粒子と混合して反射層を構成する材料としては、易接着性のポリマー、例えば、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。
なかでもポリウレタン、ポリエステル、シリコーン樹脂、アクリル樹脂又はポリビニルブチラールを使用することが好ましい。また、これらのバインダーは2種以上を混合して使用することもできる。
本発明において塗布型反射層は、少なくとも光散乱粒子、バインダー、溶剤を含有する組成物を、塗布、乾燥して形成することができる。塗布方式については、特に制約は無いが、例えば、グラビア、ダイ、コンマ、バー、ディップ、スプレー、スピン等の一般的な方式を用いることができる。
反射層作製に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステル、メトキシプロパノールプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
酸化チタンの分散性を向上させるために分散剤を使用しても良い。分散剤としては、例えば、多価アルコール、アミン類、シリコーン、あるいは界面活性剤を用いることができる。
反射層の層厚は、10〜500μmの範囲内であることが好ましい。反射層の層厚が10μm以上であれば高い輝度が得られ、また500μm以下であれば、反射層表面の平滑性が優れる。
酸化チタンは、反射層中に40〜95質量%の範囲内含まれていることが好ましく、60〜90質量%の範囲内含まれていることが特に好ましい。40質量%以上では輝度が高くし、95質量%以下であれば、支持体若しくはシンチレータ層との接着性が良い。
(シンチレータパネルの作製方法)
本発明のシンチレータパネル10を作製する作製方法の具体例について、図を参照しながら説明する。
まず準備工程として、第2の支持体14に反射層17a、下引き層17b等を必要に応じて順次作製する。夫々の層の材料、作製方法は上述したとおりである。
次いで、シンチレータ層を形成するのであるが、その説明に先立ち、シンチレータ層を形成する蒸着装置について説明する。
図4は、蒸着装置61の概略構成を示す図面である。図4に示すように、蒸着装置61は真空容器62を備えており、真空容器62には真空容器62の内部の排気及び大気の導入を行う真空ポンプ66が備えられている。
真空容器62の内部の上面付近には、支持体B(図2に示した第2の支持体14)を保持する基板ホルダ64が設けられている。
支持体Bの表面には、シンチレータ層が気相堆積法によって形成される。気相堆積法としては、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法その他を用いることができるが、本発明では特に蒸着法が好ましい。
基板ホルダ64は、支持体Bのうち前記シンチレータ層を形成する面が真空容器62の底面に対向し、かつ真空容器62の底面と平行となるように支持体Bを保持する構成となっている。
また、基板ホルダ64には、支持体Bを加熱する加熱ヒータ(図示せず)を備えることが好ましい。この加熱ヒータで支持体Bを加熱することによって、支持体Bの基板ホルダ64に対する密着性の強化や、前記シンチレータ層の層質調整を行う。また、支持体Bの表面の吸着物を離脱・除去し、支持体Bの表面と後述するシンチレータ層との間に不純物層が発生することを防止する。
また、加熱手段として温媒又は熱媒を循環させるための機構(図示せず)を有していてもよい。この手段は蛍光体の蒸着時における支持体Bの温度を50〜150℃の範囲内といった比較的低温に保持して蒸着する場合に適している。
また、加熱手段としてハロゲンランプ(図示せず)を有していてもよい。この手段は蛍光体の蒸着時における支持体Bの温度を150℃以上といった比較的高温に保持して蒸着する場合に適している。
さらに、基板ホルダ64には、支持体Bを水平方向に回転させる基板回転機構65が設けられている。基板回転機構65は、基板ホルダ64を支持すると共に支持体Bを回転させる基板回転軸67及び真空容器62の外部に配置されて基板回転軸67の駆動源となるモータ(図示せず)から構成されている。
また、真空容器62の内部の底面付近には、支持体Bに垂直な中心線を中心とした円の円周上の互いに向かい合う位置に蒸発源63a、63bが配置されている。この場合において、支持体Bと蒸発源63a、63bとの間隔は100〜1500mmの範囲内とされることが好ましく、より好ましくは200〜1000mmの範囲内である。また、支持体Bに垂直な中心線と蒸発源63a、63bとの間隔は100〜1500mmの範囲内とされるのが好ましく、より好ましくは200〜1000mmの範囲内である。
なお、本発明の蒸着装置においては、3個以上の多数の蒸発源を設けることも可能であり、各々の蒸発源は等間隔に配置してもよく、間隔を変えて配置してもよい。また、支持体Bに垂直な中心線を中心とした円の半径は任意に定めることができる。本発明においては複数の蒸発源が円の円周上に配置されることが好ましいが、さらに円の中心部にも蒸発源63cを配置することや複数の同心円上に複数の蒸発源を配置することで、FPD等の大サイズのパネルに使用する場合でも、シンチレータ層のシンチレータの充填率の変動係数を20%以下とすることができ、耐衝撃性や耐湿性を良好にすることができる。
蒸発源63a、63bは、蛍光体を収容して抵抗加熱法で加熱するため、ヒータを巻いたアルミナ製のるつぼから構成しても良いし、ボートや、高融点金属からなるヒータから構成しても良い。また、蛍光体を加熱する方法は、抵抗加熱法以外に電子ビームによる加熱や、高周波誘導による加熱等の方法でも良いが、本発明では比較的簡単な構成で取扱いが容易、安価、かつ、非常に多くの物質に適用可能である点から直接電流を流し抵抗加熱する方法や、周りのヒータでるつぼを間接的に抵抗加熱する方法が好ましい。また、蒸発源63a、63bは分子源エピタキシャル法による分子線源でも良い。
また、蒸発源63a、63bと支持体Bとの間には、蒸発源63a、63bから支持体Bに至る空間を遮断するシャッタ68が水平方向に開閉自在に設けられており、このシャッタ68によって、蒸発源63a、63bにおいて蛍光体の表面に付着した目的物以外の物質が蒸着の初期段階で蒸発し、支持体Bに付着するのを防ぐことができるようになっている。
以上の蒸着装置61を用いた製造方法によれば、複数の蒸発源63a、63bを設けることによって蒸発源63a、63bの蒸気流が重なり合う部分が整流化され、支持体Bの表面に蒸着する後述するシンチレータの結晶性を均一にすることができる。このとき、多数の蒸発源を設けるほど多くの箇所で蒸気流が整流化されるため、より広範囲においてシンチレータの結晶性を均一にすることができる。また、蒸発源63a、63bを支持体Bに垂直な中心線を中心とした円の円周上に配置することで、蒸気流の整流化によって結晶性が均一になるという作用を、支持体Bの表面において等方的に得ることができる。
また、基板回転機構65によって支持体Bを回転しながら後述する蛍光体の蒸着を行うことによって、支持体Bの表面により均一に蛍光体を蒸着させることができる。
以上説明した蒸着装置61によりシンチレータ層を形成する。まず、基板ホルダ64に準備工程で作製した第2の支持体14(反射層17a、下引き層17bなどを設けてある)を取り付ける。また、真空容器62の底面付近において、第2の支持体14に垂直な中心線を中心とした円の円周上に蒸発源63a、63bを配置し、蒸発させるべき蛍光体(ヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとを含む混合物)を載置する。
次いで、真空ポンプ66を作動させて真空容器62の内部を排気し、真空容器62の内部を0.1Pa以下の真空雰囲気下にする。ここでいう「真空雰囲気下」とは、100Pa以下の圧力雰囲気下のことを意味し、0.1Pa以下の圧力雰囲気下であるのが好適である。
その後、アルゴン等の不活性ガスを真空容器62の内部に導入し、当該真空容器62の内部を0.1Pa〜5Paの範囲内の真空雰囲気下に維持する。そして、基板ホルダ64のヒータと基板回転機構65のモータとを駆動させ、基板ホルダ64に取り付け済みの支持体Bとしての第2の支持体14を蒸発源63に対向させた状態で加熱しながら回転させる。
この状態において、電極から蒸発源63に電流を流し、ヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとを含む混合物を700〜800℃の範囲内程度で所定時間加熱してその混合物を蒸発させる。その結果、第2の支持体14の表面に無数の柱状結晶体が順次成長して所望の厚さのシンチレータ層15が形成される。
蒸着源を加熱する温度としては、500〜800℃の範囲内が好ましく、特に630〜750℃の範囲内が好ましい。支持体温度は100〜250℃の範囲内が好ましく、特に150〜250℃の範囲内とするのが好ましい。支持体温度をこの範囲とすることで、柱状結晶の形状が良好となり、輝度特性が向上する。
なお、第2の支持体14の表面にシンチレータを成長させる工程を複数回に分けて行ってシンチレータ層を形成することも可能である。また、蒸着法においては、蒸着時、必要に応じて、被蒸着体を冷却あるいは加熱しても良い。さらに、蒸着終了後、シンチレータ層を加熱処理(アニール)しても良い。また、蒸着法においては必要に応じてO2、H2などのガスを導入して蒸着する反応性蒸着を行っても良い。
(光電変換パネル)
光電変換パネル20は、シンチレータパネル10の放射線入射面とは反対側の面に設けられており、シンチレータパネル10側から順に、平坦化層21、光電変換素子層22、画像信号の出力層23、及び基板24から構成されている。
平坦化層21は、シンチレータパネル10と光電変換パネル20を密着あるいは接着する際の緩衝層である。
次に図2の右側を用いて説明する。光電変換素子層22は、少なくとも、透明電極22aと、透明電極22aを透過して入光した電磁波により励起されて電荷を発生する電荷発生層22bと、透明電極22aに対しての対極となる対電極22cとから構成されており、平坦化層21側からこの順に配置される。
(基板)
光電変換パネルの基板としては、セラミックス、ガラス、プラスチック等が挙げられる。これらのうち、外力からのシンチレータの保護性、水蒸気遮断性、平面性及び紫外線透過性の点からガラス板が特に好ましい。前記ガラス板は前記基板のガラス層を形成知る。基板がガラス板であれば、紫外線透過性であれば、光電変換パネルとシンチレータパネルを、紫外線硬化性接着剤を用いて接着するとき、光電変換パネル側からも紫外線を照射して接着剤を硬化することができる。
前記基板の厚さは、0.1〜1.0mmの範囲内が好ましい。さらに、シンチレータの保護性、平面性の観点から0.2mm以上が好ましい。また、放射線画像検出器の取扱い性の観点から0.6mm以下が好ましい。
次に、放射線画像検出器100の作用について説明する。まず、放射線画像検出器100に入射された放射線は、放射線画像検出器100のシンチレータパネル10側から光電変換パネル20側に向けて入射する。そして、シンチレータパネル10中のシンチレータ層15が放射線のエネルギーを吸収し、その強度に応じた電磁波(光)を発光する。発光された電磁波のうち、光電変換パネル20に入射される電磁波は、光電変換パネル20の平坦化層21、透明電極22aを貫通し、電荷発生層22bに到達する。そして、電荷発生層22bにおいて電磁波は吸収され、その強度に応じて正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。
その後、発生した電荷(正孔と電子)は、放射線画像検出器100の電源部160によるバイアス電圧の印加により生じる内部電界によりそれぞれ異なる電極(透明電極22a及び対電極22c)へ運ばれ、光電流となって流れる。
対電極22c側に運ばれた正孔は、画像信号の出力層23に設けられるコンデンサに蓄積され、蓄積された正孔は、コンデンサに接続されているトランジスタを駆動させて画像信号を出力し、出力された画像信号はメモリ部130に記憶される。
(防湿手段)
防湿手段は、前記シンチレータ層を内包し、密封することにより、前記シンチレータ層を外気から遮断する。前記浸透防止層は、薄いため、該浸透防止層だけでは防湿能力が十分でなくても、上記防湿手段を設けることによりシンチレータ層に外気の水蒸気が侵入することがない。前記防湿手段は、(1)CVD法による有機薄層で基板、光電変換素子層、平坦化層とシンチレータパネルの全体を被覆することにより形成しても良いし、(2)シンチレータ層を挟む2枚の水蒸気遮断性の板の外周部を接着剤で封止することにより形成しても良い。
前記(2)において、前記2枚の板は、前記第2の支持体を構成する材料として挙げられた材料と同様の材料を有する板を用いることができる。さらに、前記2枚の板の一方は、シンチレータパネルの支持体であることが好ましい。前記2枚の板のもう一方は、光電変換パネル又はその基板であることが好ましい。防湿手段と支持体又は基板の役割を兼ねることが、放射線画像検出器の構造を簡単にし、製造の効率を向上できることから好ましい。
前記(2)において用いられる接着剤は、耐久性の点から熱硬化性接着剤又は光硬化性接着剤が好ましい。なかでも、光硬化性接着剤が、シンチレータパネルと光電変換パネルを貼合して移動させずに硬化し固定でき、位置ズレを生じず、シンチレータや光電変換素子の劣化が無いことから好ましい。
光硬化性接着剤としては、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤等が挙げられるが、光感度が高く、照射時間を短くできることから、アクリル系接着剤が好ましい。
(放射線画像検出器の製造方法)
次に、本実施形態に係る放射線画像検出器の製造方法の一例について、以下に説明する。上記の放射線画像検出器100は、下記(プロセス1)及び(プロセス2)に従って製造される。
(プロセス1)
S1:接着剤配置工程、S2:光電変換パネル載置工程、S3:シンチレータパネル載置工程、S4:フィルム載置工程、S5:減圧貼合工程
(プロセス2)
S1:接着剤配置工程、S2:光電変換パネル載置工程、S3:シンチレータパネル載置工程、S4:フィルム載置工程、S5:減圧貼合工程、S6:接着剤硬化工程、S7:封止工程
放射線画像検出器100の製造においては、大きく分けて2つの方法があるが、まず、プロセス1に従って、光電変換パネル20上に、シンチレータパネル10を載置するようにして放射線画像検出器100を製造する方法について説明する。
なお、以下の説明では、光電変換パネルの外周部の基板とシンチレータパネルの外周部の支持体とを接着剤で接着する例について述べるが、光電変換素子層22及び平坦化層21の強度が高く、水分透過性が低い場合は前記基板の代わりに、光電変換パネルの外周部とシンチレータパネルの外周部の支持体とが接着されてもよい。
本実施形態では、放射線画像検出器100の製造において、図5に示すような基台31とフィルム32と蓋部材33とを有するチャンバ30が用いられる。
チャンバ30の基台31と蓋部材33の各側面には、Oリング状のシール部材34a、34bがそれぞれ配設されており、基台31のシール部材34aと蓋部材33のシール部材34bで上下からフィルム32を挟持するようにしてフィルム32を密封状に固定するようになっている。
基台31の底部は、平面状に形成されており、さらに、図示しない開口部を介して減圧用ポンプ35が取り付けられている。また、フィルム32は、紫外線を透過し、伸縮性を有する素材で形成されている。また、本実施形態では、蓋部材33の内部には紫外線照射装置36が取り付けられている。さらに、本実施形態では、蓋部材33にはポンプ37が図示しない開口部を介して取り付けられている。なお、蓋部材33については、ポンプ37を設ける代わりに単なる開口部を設けるように構成することも可能である。
放射線画像検出器100の製造においては、まず、光電変換パネル20の光電変換素子側の外周部を除いた領域に光学補償材料(不図示)を塗布する。
図6に示すように、スペーサSを含む接着剤25を、基板24の上面24a上の光電変換素子22や平坦化層21等の周囲に塗布して配置する(プロセス1のステップS1)。
後述するように光電変換パネル20とシンチレータパネル10とは光電変換素子層22とシンチレータ層15とが対向するように載置されるが、その際、接着剤25がシンチレータ層15が設けられていない周囲の支持体の部分に位置するように、基板24の上面24a上にあらかじめ接着剤25が塗布される。光電変換パネルの基板24とシンチレータパネルの支持体が接着剤25を介して貼合される。
なお、前記支持体は、前記シンチレータパネルの第1の支持体であっても、第2の支持体であってもよいが、以降、一例として、接着剤を介して光電変換パネルの基板24と貼合される支持体が第1の支持体である態様について説明する。
また、光電変換パネル20が、光電変換素子層が積層されていない基板からなる外周部を有し、2層以上の基板を有する場合、そのいずれか一方に光電変換素子が配置されていない外周部を有していることが好ましく、接着剤の塗布される基板24の上面24aは、前記2層以上の基板のいずれの基板の上面であってもよい。
続いて、図7に示すように、このように接着剤25が配置された光電変換パネル20が、チャンバ30の基台31上に載置される(プロセス1のステップS2)。そして、光電変換パネルの平坦化層上に、光学補償材料が塗布される。図8に示すように、その上方から、シンチレータパネル10を、シンチレータ層側の浸透防止層が光電変換パネルに対向するように光電変換パネル20上に載置される(プロセス1のS3)。図2に示すように、本実施形態では、このようにして、接着剤25が塗布された光電変換パネル20の外周部の基板24上にシンチレータパネル10の外周部の第1の支持体11を重ね合わせることで、接着剤25を、基板24と第1の支持体11との間隙部分であってシンチレータ層15の周囲の部分に配置するようになっている。
なお、本実施形態のように、あらかじめ接着剤25が塗布された基板24を有する光電変換パネル20上にシンチレータパネル10を載置することで接着剤25を配置する代わりに、図9に示すように、接着剤25をあらかじめシンチレータパネルの第1の支持体11側に塗布しておき、それを光電変換パネル20上に載置することで、基板24と第1の支持体11との間隙部分に接着剤25を配置するように構成することも可能である。その際、接着剤25は、第1の支持体11のシンチレータ層15の周囲にあらかじめ塗布される。
また、光電変換パネルとシンチレータパネルを、光学補償材料を介して貼合した後、光電変換パネルの基板24とシンチレータパネルの第1の支持体11との間隙部分に接着剤25を挿入するようにして、接着剤25をシンチレータ層15の周囲の部分に配置するようにすることも可能である。
プロセス1のS3に続いて、図5に示したように、基台31上に載置された光電変換パネル20とシンチレータパネル20の上方側から、それらを被覆するようにフィルム32が載置され(プロセス1のステップS4)、その上方からチャンバ30の蓋部材33が取り付けられる。
そして、前述したように、基板24と第1の支持体11と接着剤25とで外部から区画された内部空間内の空気を排出し、シンチレータパネル10と光電変換パネル20を光学補償材料を介して密着するために、減圧用ポンプ35を駆動して、チャンバ30の基台31とフィルム32との間の空間(以下、下方空間R1という。図5参照)を減圧することで、前記内部空間を大気圧より低い圧力(例えば0.2〜0.5気圧の範囲内)に減圧していく。
チャンバ30の蓋部材33とフィルム32との間の空間(以下、上方空間R2という。図5参照)は大気圧のままであるため、チャンバ30の下方空間R1を減圧していくと、図10に示すように、シンチレータパネル10の上方からフィルム32が張り付くようになり、フィルム32を介して上方から上方空間R2の大気圧と第2のシンチレータパネル10の自重等で押圧されて、光電変換パネル20とシンチレータパネル10とが光学補償材料を介して貼合される(プロセス1のステップS5)。
その際、接着剤25に前述したようなスペーサSが含まれていれば、外気圧による外力でシンチレータ層15のシンチレータの鋭角状の先端が浸透防止層を介して平坦化層21等に強く押し付けられて損傷してしまうことを防止することが可能となる。
なお、その際、チャンバ30の蓋部材33側のポンプ37を駆動させてチャンバ30の上方空間R2を適度に加圧して、光電変換パネル20の基板24とシンチレータパネルの第1の支持体11とを確実に貼合するように構成することも可能であり、チャンバ30の上方空間R2の圧調整は適宜行われる。
本実施形態では、基本的には、以上のようにして、基板24と第1の支持体11とが接着剤25を介して減圧の環境下で貼合されるとともに、基板24と第1の支持体11と接着剤25とで外部から区画された内部空間が形成される。そして、放射線画像検出器100を、シンチレータパネルの浸透防止層16が光学補償材料を介して、光電変換パネルの基板24上に形成された光電変換素子層22又はそれを被覆する平坦化層21の表面に当接する状態に形成することができる。
本実施形態では、さらに、図10の状態で貼合されたシンチレータパネル10と光電変換パネル20に対してチャンバ30の蓋部材33に設けられた紫外線照射装置36から紫外線を照射して、接着剤25を硬化し、基板24と第1の支持体11とを確実に貼合するようになっている(プロセス2のステップS6)。そのため、本実施形態では、接着剤25として、光硬化型、特に紫外線硬化型の接着剤が用いられることが好ましく、第1の支持体11は、光、特に紫外線を透過する材料で形成されていることが好ましい。
また、第1の支持体11を透過した紫外線がシンチレータ層15や光電変換素子15等に悪影響を及ぼすことを防止するために、第1の支持体11とシンチレータ層15との間に、光(紫外線)を遮光する遮光層を形成することが好ましい。なお、遮光層は、第2の支持体であっても良い。また、遮光層は、第1の支持体11とシンチレータ層15との間だけではなく、第1の支持体11のシンチレータ層15が設けられた面とは反対側の面側に形成することも可能である。
一方、上記のように、支持体載置工程(プロセス1及び2のステップS3)において、チャンバ30の下方空間R1がまだ減圧されていない大気圧の状態で、最初からシンチレータ層15の周囲の全周にわたって接着剤25が配置されると、基板24と第1の支持体11と接着剤25とで外部から区画され密閉された内部空間の内部の圧力が大気圧になる。
そして、その状態で、減圧貼合工程(同ステップS5)においてチャンバ30の下方空間R1を減圧すると、内部空間の空気(又はドライエアや不活性ガス。以下同じ。)がうまく引き出されずに、内部空間の圧力が大気圧のままとなったり、あるいはまだ軟らかい接着剤25によるシールを破壊して内部空間から下方空間R1に空気が噴出し、接着剤25によるシールが破壊されてしまう場合がある。
これらの場合、少なくとも放射線画像検出器100をチャンバ30内から大気圧中に取り出すと、基板24と第1の支持体11と接着剤25とで外部から区画された内部空間が密閉されないままとなり、防湿機能が発揮できない場合がある。
そのため、本実施形態では、接着剤25を光電変換パネルの基板24とシンチレータパネルの第1の支持体11との間隙部分に配置するが、シンチレータ層15の周囲の全周にわたって接着剤25を配置するのではなく、内部空間とその外側の空間とを連通する開口部が接着剤25部分に単数あるいは複数形成されるように、接着剤25を基板24や第1の支持体11にあらかじめ配置することが好ましい(同ステップS1)。
そして、その状態で、減圧貼合工程(同ステップS5)を実行してチャンバ30の下方空間R1を減圧すると、内部空間の空気が接着剤25の開口部から引き出され、内部空間の圧力も確実に減圧される。そして、あらかじめ開口部の開口の大きさを適切な大きさに形成しておくと、減圧貼合工程(ステップS5)において、上方空間R2からの大気圧による押圧等で光電変換パネルの基板24とシンチレータパネルの第1の支持体11とが互いに接近する際に、それにより接着剤25が水平方向に押し広げられて、いわば自動的に開口部が封止される。
そして、この状態で、図10に示したように、チャンバ30内の紫外線照射装置36から紫外線が照射され、接着剤25が硬化されて(プロセス2のステップS6)、基板24と第1の支持体11とが確実に貼合されることで、内部空間が外気から遮断された状態で封止される。なお、自動的に封止した開口部24の部分に新たに接着剤を塗布して硬化させて、封止を確実にするように構成することも可能である(プロセス2のステップS7)。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
[実施例1−1]
(反射層の塗設)
厚さ125μmのポリイミドフィルム(宇部興産製UPILEX−125S)からなる第2の支持体上に下記の手順にて反射層を塗設した。
平均粒径0.2μmのルチル型二酸化チタン40質量部、ポリエステル樹脂を10質量部(バイロン630:東洋紡社製)、溶剤としてトルエン25質量部とメチルエチルケトン(MEK)25質量部を添加した後、サンドミルにて分散して反射層用塗料を作製した。この反射層用塗料をポリイミドフィルム支持体上に塗工、乾燥し、層厚50μmの反射層を塗設し、反射層付きポリイミドフィルムを作製した。
(シンチレータ層の形成)
蛍光体1(CsIのみ)をボート1に入れ、蛍光体2(CsIに対しTlを0.03mol%含有)をボート2に入れた。
蒸着装置において、支持体回転機構を備えた支持体ホルダに、反射層をボート1及びボート2側に向けて反射層付きポリイミドフィルムを装填した。次に上記蛍光体材料が入ったボート1とボート2を真空容器の内部の底面付近であって、支持体に垂直な中心線を中心とした同一の円の円周上に配置した。このとき、支持体と蒸発源との間隔を500mmに調節すると共に、支持体に垂直な中心線と蒸発源との間隔を300mmに調節した。また、各ボートとホルダとの間にシャッタ(図示略)を配し、蒸着開始時に目的物以外の物質がシンチレータ層に付着するのを防止した。
続いて蒸着装置内を一旦排気し、Arガスを導入して0.5Paに真空度を調整した後、10rpmの速度で支持体を回転させながら支持体の温度を30℃に保持した。次いで抵抗加熱によりボート1内を所定の温度に上昇させて蛍光体1を蒸着開始したのちポリイミドフィルムの温度を200℃まで上昇させ、次いで蛍光体2を蒸着し、シンチレータ層の層厚が200μmとなったところで蒸着を終了させ、ポリイミドフィルム/反射層/シンチレータ層からなるシンチレータシート(第2の支持体とシンチレータ層を有するシート)を得た。
なお、上記蒸着において、シンチレータ層の柱状結晶隙間最大値を0.5μmに調整するために、Arガスの流量をコントロールした。
(ポリイミドフィルム/反射層/シンチレータ層からなるシンチレータシートの断裁)
上記で得られた、ポリイミドフィルム/反射層/シンチレータ層からなるシンチレータシートを縦100mm×横100mmのサイズに断裁した。
(第1の支持体の貼合)
所定のサイズに断裁されたポリイミドフィルム/反射層/シンチレータ層からなるシンチレータシートのポリイミドフィルム(第2の支持体)側に縦110mm×横110mm、厚さ0.3mmのガラス板(第1の支持体)を両面粘着シートにより貼合した。これにより、ポリイミドフィルムとガラス層(ガラス板)を支持体とし、外周部に幅5mmのシンチレータ層の無いガラス層(ガラス板)からなる接着剤塗布領域(外周部)を有するシンチレータシート積層体(シンチレータシートに第1の支持体を貼合したシート)を作製した。
(浸透防止層の形成)
上記で得られたシンチレータシート積層体をCVD装置にセットして、シンチレータ層の表面にパリレンN(日本パリレン合同会社製)を化学蒸着しポリパラキシリレンからなる浸透防止層を形成し、シンチレータパネルを作製した。詳しくは、化学蒸着の時間をコントロールすることにより、シンチレータの柱状結晶の支持体から遠い先端部における浸透防止層の平均層厚tを0.75μmに調整した。
シンチレータの柱状結晶の支持体から遠い先端部における浸透防止層の平均層厚tは、以下の方法で測定し求めた。
上記によりシンチレータ層の表面に浸透防止層を形成したシンチレータパネルを、硬化性樹脂液に浸漬し、硬化した後にシンチレータ層を、支持体と垂直に切断し、走査型電子顕微鏡写真を撮影する。任意に10本の柱状結晶を選択し、その先端部における浸透防止層の層厚を測定し、浸透防止層の平均層厚tを求めた。
〈柱状結晶間の隙間距離の最大値の測定〉
得られたシンチレータパネルのシンチレータ層を柱状結晶先端から30μmの位置で、支持体と平行に切断し、断面の走査型電子顕微鏡写真より、柱状結晶間の隙間距離の最大値を求めた。断面の走査型電子顕微鏡写真の撮影領域は、250μm×180μmとした。
(光電変換パネルの作製)
PaxScan2520(Varian社製放射線画像検出器)のシンチレータパネルを剥がし取り、光電変換素子層の領域が244.4mm×195.4mmの光電変換パネルを得た。
(光電変換パネルとシンチレータパネルとの貼合)
前記光電変換パネルの光電変換素子層側表面の中央部100mm×100mm(後で貼合するシンチレータパネルのシンチレータ層と同サイズ)の領域に、光学補償材料としてSA−511(エポキシ系オイル、粘度5400mPa・s(25℃)、味の素ファインテック社製)を厚さ10μmで塗布した。
前記光電変換パネルの光学補償材料塗布領域の外側の外周部には、シール材となる下記接着剤を塗布した。図5に示したチャンバ30の基台31に、接着剤が上になるように光電変換パネルを載置した。次に、光電変換パネルの光学補償材料が塗布された位置にシンチレータ層が対向して重なるように、シンチレータパネルを載置した。
次に、上方からシンチレータパネルを覆うようにフィルム32を載置し、上から蓋部材33を取り付け、下方空間R1を減圧した。
これにより、シンチレータパネルの外周部のガラス板と光電変換パネルの外周部とを接着剤を介して貼合し、シンチレータパネルのシンチレータ層が設けられた領域と光電変換パネルが光学補償材料を介して密着するようにした。シンチレータパネル側から外周部に紫外線を照射して接着剤を硬化し、シンチレータ層をシンチレータパネルのガラス層、光電変換パネル及び接着剤で密封した放射線画像検出器を作製した。
(接着剤)
OP3010P(アクリル系接着剤;電気化学工業株式会社製)
(放射線画像検出器の評価)
得られた放射線画像検出器について、気泡の評価、鮮鋭性の評価を以下に示す方法で行った。
〈気泡の有無の評価〉
管電圧40kVpのX線を放射線画像検出器の支持体側から照射し、得られた放射線画像検出器上の画像を出力装置よりプリントアウトした。得られたプリント画像を観察し、気泡の有無の評価を行った。表1に結果を示す。
画像で観察されたものが、気泡によるものであるか否かは、光学補償材料で貼合する前の画像と比較することにより判別した。
気泡として確認できるものの直径は200μm以上である。
〈鮮鋭性の評価〉
鉛製のMTFチャートを通して管電圧40kVpのX線を放射線画像検出器の放射線入射面側に照射し、画像データを検出しハードディスクに記録した。その後、ハードディスク上の記録をコンピュータで分析して当該ハードディスクに記録されたX線像の変調伝達関数MTF(空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値)を鮮鋭性の指標とした。表中MTF値が高いほど鮮鋭性に優れていることを示す。MTFはModulation Transfer Functionの略号である。
[実施例1−2〜1−5及び比較例1−1〜1−6]
実施例1−1において、パリレンNの化学蒸着時間を変化させて、浸透防止層のtを表1に示したように調整し、光学補償材料として表1に示した材料を用いたほかは、同様にして実施例1−2〜1−5及び比較例1−1〜1−6を実施した。なお、比較例1−1では光学補償材料を用いずに光電変換パネルとシンチレータパネルを貼合した。
なお、表1に示す光学補償材料を下記に記す。
A:東レダウコーニング社製 メチルシリコーン系 JCR6122 粘度340mPa・s
B:味の素ファインテック社製 エポキシ系 SA−511 粘度5400mPa・s
上記光学補償材料A及びBは、いずれも熱又は室温硬化性樹脂であり、貼合後、時間が経過することにより硬化する。
[実施例2−1〜2−5及び比較例2−1〜2−6]
実施例1−1において、柱状結晶間の隙間距離の最大値が3.0μmとなるようにArガスの流量をコントロールしてシンチレータ層を形成し、パリレンNの化学蒸着時間を変化させて、浸透防止層のtを表1に示したように調整し、光学補償材料として表1に示した材料を用いたほかは、同様にして実施例2−1〜2−5及び比較例2−1〜2−6を実施した。なお、比較例2−1では光学補償材料を用いずに光電変換パネルとシンチレータパネルを貼合した。
[実施例3−1及び比較例3−1〜3−6]
実施例1−1において、柱状結晶間の隙間距離の最大値が14.0μmとなるようにArガスの流量をコントロールしてシンチレータ層を形成し、パリレンNの化学蒸着時間を変化させて、浸透防止層のtを表1に示したように調整し、光学補償材料として表1に示した材料を用いたほかは、同様にして実施例3−1及び比較例3−1〜3−6を実施した。なお、比較例3−1では光学補償材料を用いずに光電変換パネルとシンチレータパネルを貼合した。
柱状結晶間の隙間距離の最大値d、シンチレータ層の柱状結晶の先端部における浸透防止層の平均層厚t、光学補償材料、気泡の有無の評価結果及び鮮鋭性の評価結果を表1に示す。なお、鮮鋭性は、比較例1−1のMTF値を1.00としたときの相対値として表1に示した。
表1より、1/2dより小さなtを有するパリレン層をコートしたシンチレータパネル(比較例1−2〜4、2−2〜4、3−2〜4)は、光学補償材料を介して光電変換パネルと貼合すると、気泡が発生し、鮮鋭性が低いことが分かる。
一方、d/2以上、8μm以下のtを有するパリレン層をコートしたシンチレータパネル(実施例1−1〜1−5、2−1〜2−5、3−1)は、光学補償材料を介して光電変換パネルと貼合しても、気泡が発生せず、鮮鋭性が高いことがわかる。
ただし、8μmを超えるtを有するパリレン層をコートしたシンチレータパネル(比較例1−5〜6、2−5〜6及び3−5〜6)は、MTFが低く、光学補償材料の効果を得ることができないことが分かる。
[実施例4−1]
実施例1において、シンチレータシート積層体にセルロースナノファイバーシート(厚さ15μm、平均繊維径0.05μm)を載せた状態で袋状のプラスチックシートに挿入し、プラスチックシート内を減圧してシンチレータ層にセルロースナノファイバーシートを密着積層させた後、シンチレータシート積層体を取り出して浸透防止層を形成したほかは、同様にして実施例4−1を実施した。
[実施例4−2、4−3及び比較例4−1〜4−6]
実施例4−1において、パリレンNの化学蒸着時間を変化させて、浸透防止層のtを表2に示したように調整し、光学補償材料として表2に示した材料を用いたほかは、同様にして実施例4−2、4−3及び比較例4−1〜4−6を実施した。
[実施例5−1〜5−4及び比較例5−1〜5−6]
実施例4−1において、柱状結晶間の隙間距離の最大値が3.0μmとなるようにArガスの流量をコントロールしてシンチレータ層を形成し、パリレンNの化学蒸着時間を変化させて、浸透防止層のtを表2に示したように調整し、光学補償材料として表2に示した材料を用いたほかは、同様にして実施例5−1〜5−4及び比較例5−1〜5−6を実施した。
[実施例6−1及び比較例6−1〜6−6]
実施例4−1において、柱状結晶間の隙間距離の最大値が14.0μmとなるようにArガスの流量をコントロールしてシンチレータ層を形成し、パリレンの化学蒸着時間を変化させて、浸透防止層のtを表2に示したように調整し、光学補償材料として表2に示した材料を用いたほかは、同様にして実施例6−1及び比較例6−1〜6−6を実施した。
上記実施例4−1〜6−1及び比較例4−1〜6−6の評価結果を表2に記す。
表2より、d/2より小さなtを有するパリレン層をコートしたかパリレン層をコートしていないシンチレータパネル(比較例4−2〜4、5−2〜4、6−2〜4)は、光学補償材料を介して光電変換パネルと貼合すると、気泡が発生し、鮮鋭性が低いことが分かる。
一方、d/2以上、8μm以下のtを有するパリレン層をコートしたシンチレータパネル(実施例4−1〜3、5−1〜4、6−1)は、光学補償材料を介して光電変換パネルと貼合しても、気泡が発生せず、鮮鋭性が高いことが分かる。
ただし、8μmを超えるtを有するパリレン層をコートしたシンチレータパネル(比較例4−5〜6、5−5〜6及び6−5〜6)は、鮮鋭性が低く、光学補償材料の効果を得ることができないことが分かる。
また、表2の実施例を表1の対応する実施例と比べると、セルロースナノファイバーシートを密着積層させたことにより鮮鋭性がさらに向上したことがわかる。