JP5686573B2 - 角目組織経編地と、それを使用した剥落防止用ネット - Google Patents
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Description
これらの安全ネットにはその性能、機能面で、強度、耐久性、取り扱いの利便性、敷設の利便性等が求められると共に、落下対象物に見合った性能、機能が求められている。
加えて安全ネットの製造に関しての利便性や経済性、更に、昨今では環境に優しい素材や景観を損ねない外観等も求められている。
中でもラッシェル地が主流となっていて、このラッシェル地を素材とした安全ネットが多く開発され使用されている。
その特徴は、ネット目の形状や寸法の設定が比較的容易に行え、強度等の性能も得やすいこと、更には生産性が非常に良いことなどの利点による。
マーキゼット組織は、主にカーテンのようなインテリア用のラッシェル地に用いられる組織で一辺が約1〜5mmの略正方形の角目組織である。
これは、本編地を横方向に拡張すると菱形の編目となるもので安全ネットには多用されている。
これは作業者の墜落に耐え得る部分とボルト等の小さな落下物にも対応可能な部分を同時に併せ持つ構造のラッシェル地の提案である。
また、特許文献2ではラッシェル地とその張設工法について提案されている。
これらは、いずれも菱目のネット組織のラッシェル地についての提案となっている。
つまり、高強度を必要とする安全ネットとしては菱目のネット組織のラッシェル地(以後、これを単に菱目ネットと言う)が、塗料の飛散防止や小物の器物落下防止等には角目であるマーキゼット組織のラッシェル地(以後、これを単にマーキゼットと言う)が主流となっていた。
例えば、菱目ネット1は、図7の組織図(理解を容易にするために一部を太線としている)に示すように2系列の基本組織11、12でネット目が形成され、これに挿入糸Sが挿入されて強度を得た構造の菱目ネット1が主流となっている。
菱目ネット1は、隣接する2系列の基本組織11、12が一定の間隔をもって互いに右、左と交叉編成をして形成する交叉連結部2で連結されてネット目を形成することから、編地を横方向に拡張した際、図8の実態模式図に示すようにネット目は菱形の菱目3となる。
ところが、菱目ネット1には、その組織構造上、横方向に引かなければ菱目3が現れない問題がある。
つまり、通常は、図7のように縦方向にスリット状のスリット目4があるのみでマーキゼットのような整然とした角目が最初から表出することはない。
この問題を解決するために図9の実態模式図に示すように、菱目ネット1を横方向に引張して、これを熱セットして、略正方形状の菱目3を得て、その後、バイアスカット線5に従い、バイアスカット(カット線を太線で示す)を施し、マーキゼットのような角目の編地を得る手段がある。
このような菱目ネット1の使用方法は、上記した特許文献2に示されている。
それは、縦軸Tは鎖編Cと、その鎖編Cに挿入される挿入糸S(本従来例では2系列の挿入糸S1、S2を使用)の挿入部SSとによって形成され、横軸Yは鎖編Cを連結する挿入糸S(挿入糸S1、S2)の掛渡し部SBによって形成されることによる。
また、縦軸T、横軸Yが直交した状態であり、それが目印となって裁断や縫製加工に極めて便利である。
ところが、横軸Yは外観上は1本のラインに見えるが実際は連続したものではなく、挿入糸Sの掛渡し部SBの集合で形成されている。
よって、横方向の引張力に対しては強度を発揮し得ない弱点がある。
このことは挿入糸S2も同様である。
つまり、マーキゼット7は編み上がりの状態では整然とした角目71を有する編地であるが、一旦、外力が加わると簡単に変形してしまう欠点がある。
このことは変形して大きくなった角目71から落下物がすり抜けてしまう等の危険性が生じ致命的な問題となる。
これらの問題を防止するためにマーキゼット7に樹脂加工を施す手段も講じられたが、樹脂加工により角目が詰まる、或いは編地の柔軟度が阻害されたり製造コストがかかるなどの問題がありマーキゼット7の欠点を解消する効果的手段とはなり得なかった。
すなわち、本発明の目的は、互いに隣接する基本組織11、12同士を一定の間隔で互いに交叉編成した交叉連結部2で連結される堅固な組織構造で高強度を発揮し得る菱目ネット1の長所と、縦軸T、横軸Yが直交した状態で角目71が整然と配列され、裁断や縫製加工に極めて便利なマーキゼット7の長所とを併せ持つ、高強度で形態安定性の高い角目組織経編地Wを提供することである。
そして、更なる目的は、上記角目組織経編地Wの利点を生かした剥落防止用ネットMを提供することを目的とする。
しかも、補強用ひも体の挿通がラッシェル機での編成時に可能であるので、後に手作業で補強用ひも体を挿通する面倒もなく、極めて生産性が良い利点がある。
そして、こうして得られる補強用ひも体を有する剥落防止用ネットは、その設置の際に補強用ひも体の箇所で堅固な取り付けが可能となり、剥落防止用ネットとしての効果を充分に発揮できる。
また、剥落防止用ネットの複数箇所に補強糸を掛け渡した部分を形成すれば、編地全体の強度が向上するばかりでなく、必要に応じてその箇所を縦方向に切断しても、補強糸が耳部となって加工や裁断、取り付けに便利な剥落防止用ネットが得られる。
更に、補強糸と補強用ひも体を併用すれば、一層の強度向上と利便性が得られる。
本実施の形態における角目組織経編地Wは、2.5ゲージのラッシェル機によって編成される。
2.5ゲージとは、1インチ間に存在する編針Nの本数である。本角目組織経編地Wは、図1(理解を容易にするために一部を太線で示す)の組織図に示すように、鎖編Cと、連結編Rと、挿入糸Sとを組織の主要素として編成される。
鎖編C(1−0/0−1)は、略1cmの間隔を持って配列される。
連結編Rには、連結編R1(1−0/0−1/1−0/0−1/1−0/1−2/2−1/1−2/2−1/1−2)と連結編R2(3−2/2−3/3−2/2−3/3−2/0−1/1−0/0−1/1−0/0−1)の2系列を使用している。
挿入Sは(0−0/1−1)で挿入される。
図1の組織図から連結編R1のみを抜き出した図2の実態模式図(理解を容易にするために一部を太線で示す)に示すように、連結編R1のみで1枚の角目編地W1が構成されている。
連結編R1のそれぞれの編込み部Fは連続した縦軸Tを形成する。
そして、掛渡し部Bはその集合体として横軸Yを形成している。
編込み部Fと掛渡し部Bとは、略90度の角度で交互に折り返しながら、これを繰り返し、角目形状の編地を形成している。
編込み部Fに対する用語は、図11に示す挿入部SSである。挿入部SSは単にS字カーブを描いているだけでニードルループNLは形成されていない。
連結編R1と同様に、連結編R2の編込み部Fは、連続した縦軸Tを形成し、掛渡し部Bはその集合体として横軸Yを形成している。
編込み部Fと掛渡し部Bとが、略90度の角度で交互に折り返しながら角目形状の編地を形成していることも連結編R1と同様であるが、連結編R2は、中に1本の鎖編Cを挟んで3本の鎖編Cに渡っているので、2本の鎖編C間においては掛渡し部が重なり、2本の掛渡し部Bが存在することとなる。
連結編R1と連結編R2のそれぞれの編込み部Fは同時に1本の縦軸Tを形成している。
また連結編R1と連結編R2とは、それぞれの掛渡し部Bが対向して編成されている。
つまり、連結編R1の掛渡し部Bが左側から右側に向かって掛け渡される場合には、連結編R2の掛渡し部Bは、右側から左側に向かって掛け渡される。
この結果、連結編R1と連結編R2の掛渡し部B同士はX字状に交叉して、釣り合いの取れた集合体としての横軸Yが構成される。
本角目組織経編地Wの特徴は、前記したように連結編R1と連結編R2はそれぞれが、個別に編地を形成しているところにある。
つまり、鎖編Cが無くても角目編地W1、W2による角目編地W3が構成される。
これは、先に説明したマーキゼットが、鎖編Cが存在しなければ、挿入糸Sがばらばらになり編地が存在しえないのに比べて大きな違いとなる。
また、横方向からの引張力がかかった場合には、横軸Yを構成する、それぞれの掛渡し部Bが、その両端に連なる編込み部Fによりしっかりと鎖編Cに固定されていて引き出されることが無く、掛渡し部Bの長さは一定に保たれ、角目が変形することがない。
本実施の形態では、第1の実施の形態で示した角目組織経編地Wに、図5(本図は、第3、第4の実施の形態をも示す(一部省略している))の実態模式図に示すように、その縦方向に補強用ひも体Hを挿通して編地自体の強度を高めると共に、設置の際に補強用ひも体Hの箇所で堅固な取り付けが可能な剥落防止用ネットMを示す。
補強用ひも体Hは、角目組織経編地Wの両サイドに挿通されることを基本とするが、必要に応じて、編地幅の所用箇所に挿通可能である。
補強用ひも体Hには、6mmφのロープを使用している。
素材はポリエステルを使用しているが、種々の合成樹脂や天然素材系等の使用も可能である。
補強用ひも体Hの挿通は手作業によらず、ラッシェル機により編成時に行える。
この際の編成には、図6のオサLと編針Nの部分説明図(一部省略)に示すように、5枚のオサL1〜L5を用いる(オサL6は第3の実施の形態の編成に用いるので記載する)。
オサL1で鎖編Cを編成し、オサL2で連結編R1を編成、オサL3により補強用ひも体Hを挿通し、オサL4で連結編R2を編成、そしてオサL5で挿入糸Sを挿入する。
オサL3は、オサL2とオサL4の間に位置するので、編成原理上、必然的に補強用ひも体Hは、連結編R1の掛渡し部Bと、連結編R2の掛渡し部Bの間に挿通、保持されることとなる。
巻き取りの際、補強用ひも体Hは厚みを有しているので、角目組織経編地Wの他の部分に比較して厚くなり、そのアンバランスから、そのままでは巻き取りが不可能となる。
そこで、本実施の形態では、巻き取りローラの補強用ひも体Hが通過する部分を凹状に細くしている。
このことで、角目組織経編地Wの他の部分との厚みの差が無くなり、巻き取りの問題が解消される。
本実施の形態では、図5の実態模式図に示すように角目組織経編地Wの両サイドの所用本数の鎖編C間に補強糸Gを掛け渡した剥落防止用ネットMを示す(図5では、片側のみを示す)。
補強糸Gは、オサL6により、挿入組織(0−0/3−3)で1コースごとに折り返して挿入される。
本実施の形態では3本の鎖編Cに渡って挿入されるが、必要に応じて鎖編Cが4本でもそれ以上でも良い。
図5では、補強用ひも体Hも記載しているが、使用する素材や用途によっては補強糸Gのみでも良い。
本実施の形態では、図5の実態模式図(一部省略)に示すように、第2の実施の形態で示した補強用ひも体Hと第3の実施の形態で示した補強糸Gの両者を擁した剥落防止用ネットMを示す。
必要に応じて剥落防止用ネットMの所用箇所に補強用ひも体Hと補強糸Gを適宜、配置できるので、強度の向上や加工、取り付けに更なる利便性を発揮する。
例えば、連結編Rにおける編込み部Fの編み込みコース数は5コースに限定されるものではなく、それ以上、或いはそれ以下であっても当然良い。
また、掛渡し部Bが掛け渡される鎖編Cの本数も4本以上とすることも可能である。
また、補強用ひも体Hは、補強糸Gが掛け渡された同一箇所に挿通することも可能である。
そして、角目組織経編地Wにおける鎖編Cや挿入糸Sについて、縦軸Tを更に補強する意味でその本数を増やし、1本の縦軸Tに2本以上の鎖編Cや挿入糸Sを加えることも可能である。
そして、角目組織経編地Wや剥落防止用ネットMの組織構成に関しても、本発明の組織を基本にして、これに別の組織を組み合わせること等も当然可能である。
11、12・・・基本組織
2・・・交叉連結部
3・・・菱目
4・・・スリット目
5・・・バイアスカット線
6・・・カットロス部
7・・・マーキゼット
71・・・角目
B・・・掛渡し部
C・・・鎖編
E・・・耳部
F・・・編込み部
G・・・補強糸
H・・・補強用ひも体
L1〜L6・・・オサ
M・・・剥落防止用ネット
N・・・編針
NL・・・ニードルループ
R・・・連結編
R1、R2・・・2系列の連結編
S・・・挿入糸
S1、S2・・・2系列の挿入糸
SB・・・マーキゼット組織の掛渡し部
SS・・・マーキゼット組織の挿入部
SL・・・シンカーループ
T・・・縦軸
W・・・角目組織経編地
W1、W1、W3・・・角目編地
Y・・・横軸
Claims (6)
- 一定の間隔に配列された鎖編と、該鎖編を連結する連結編とで構成され、連結編が、鎖編に編込まれる一定長の編込み部と鎖編間に掛け渡される掛渡し部とで構成され、編込み部と掛渡し部とが交互に折り返して繰り返し形成され、鎖編と、連結編の編込み部と掛渡し部とで角目を形成しており、
3本以上の鎖編間に掛け渡されている連結編の掛渡し部が、鎖編、並びに連結編の編込み部のニードルループとシンカーループとの間に挿通されており、
鎖編間に掛け渡される掛渡し部が、2本以上であることを特徴とする角目組織経編地。 - 鎖編と編込み部で構成される縦軸に挿入糸が挿入されていることを特徴とする請求項1記載の角目組織経編地。
- 請求項1記載の角目組織経編地で形成されたことを特徴とする剥落防止用ネット。
- 所用位置の鎖編間の2本以上の掛渡し部間に補強用ひも体が縦方向に挿通されていることを特徴とする請求項3記載の剥落防止用ネット。
- 所用位置の複数本の鎖編間に、補強糸が掛け渡されていることを特徴とする請求項3記載の剥落防止用ネットに存する。
- 補強糸が角目組織経編地の両サイドの複数本の鎖編間に掛け渡されていて耳部を形成していることを特徴とする請求項4又は5記載の剥落防止用ネット。
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