JP5797005B2 - リバーシブル経編地と、その編成方法 - Google Patents
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Description
特に丸編や横編のような緯編〔ここに、緯編(よこあみ)とは、経編(たてあみ)に対する用語である。緯編と経編は編みの分野における2本柱と言える。そして、横編(よこあみ)は緯編(よこあみ)の一つであり、横編機によって編成される〕の分野でリバーシブル編地として多くの製品が開発され、使用されている。
このように色や素材を編地の表裏で棲み分けて、デザインや機能性の向上を図る製品がリバーシブル編地の分野である。
その一つにプレーティング編がある。
これは、図9の実態模式図(ニードルループの一部を示す)に示すように、ニードルループNLを形成する際、2本の編成糸Y1、Y2を使用して2個のニードルループN1、N2を同時に形成して、2個のニードルループN1、N2の上下位置関係を常に保ち、上方のニードルループN1が下方のニードルループN2をカバーするように位置させる編成方法である。
この状態があたかもメッキをした状態に見えることからプレーティング(メッキする)編と言われている。
この方法は、緯編の平組織で良く使用される方法である。
また、この編成方法によれば、編成糸にポリエステル糸と綿糸を使用すれば、例えば、表側がポリエステル糸で、裏側が綿糸の編地を得ることができる。
このようにプレーティング編により、色と素材を使い分けてリバーシブル編地を得ることができる。
特許文献1には、プレーティング編を応用した柄編みの提案がなされている。
この手段は、丸編地や横編地のような緯編、或いはダブルラッシェル地のような経編で使用されている。
つまり、プレーティング編による方法(以後、プレーティング編法とする)と、2枚の編地を同時編成し、これを連結して一枚のリバーシブル編地を得る方法(以後、2枚編地連結法とする)である。
つまり、プレーティング編法では、一枚の編地でリバーシブル編地が形成されるので薄くできる利点や生産効率が良い等の利点があるものの、表裏の棲み分けが確実ではなく、編成条件等の管理が悪い場合、2個のニードルループの上下位置が逆転し、表の黒色の中に白色が混じる等の問題が生ずる。
一方、2枚編地連結法では、編地が二枚で別体であることから色の使い分けや素材の使い分けが完全なものになる利点はあるものの、編地が厚くなる問題や素材の使用量が多くなる等のコスト的な問題がある。
解れにくいリバーシブル編地としては、上記(特許文献3)したように、ダブルラッシェル機による2枚編地連結法によりリバーシブル編地を得る方法が存在していたが、ダブルラッシェル機は特殊な編機であることに加えて生産効率が悪い欠点があった。
すなわち、本発明の目的は、衣料用や産業用繊維資材、医療用等、多方面に使用可能な機能性を有すると共に、解れる問題が無く、形態安定性に優れ、しかも生産性にも優れてコスト的にも優位な経編によるリバーシブル編地、つまりリバーシブル経編地を提供するところにある。
する。
また、素材面でも、編地表側と編地裏側の確実な棲み分けができるので、視覚、機能の両面でリバーシブル経編地の特徴が発揮できる。
本実施の形態におけるリバーシブル経編地Wは、図11の実態説明図(一部を示す)に示すように、28ゲージのトリコット機Kによって三枚のオサ(L1、L2、L3)を使用して編成される。
28ゲージとは、1インチ間に存在するニードル(編針)Nの本数である。
トリコット機Kは、編成糸の送り出し装置を擁するものであれば一層良い。
本リバーシブル経編地Wは、図1の組織図に示すように、オサL1で編成される表地組織部F(テクニカルバック側の地組織部)と、オサL3で編成される裏地組織部B(テクニカルフェイス側の地組織部)と、この表地組織部にオサL2で挿入される挿入部Mとで構成される。
そして、表地組織部Fに挿入糸T2が挿入組織(0−0/2−2)で挿入されている。
ここにオーバーラップとは、編針に編成糸を掛け渡すことであり、その掛け渡し方向は、編針に対し、左から右に掛け渡す場合と、右から左に掛け渡す場合がある。
オーバーラップ方向を同方向とすることで、経編の編成原理上、裏地組織部BのニードルループNLが表地組織部FのニードルループNLを被覆するように編地裏側に表出する。
このことは、上記プレーティング編法で説明したとおりの原理である。
図1に示すように表地組織部Fの編組織は、上記したように(0−1/2−1)の開き目のデンビー組織である。
これに挿入糸T2を挿入組織(0−0/2−2)で挿入すれば、アンダーラップ方向が同方向となり、図3の実態模式図(複雑を避けるために表地組織部Fと挿入部Mのみを示し、一部を太線で示す)に示すように、挿入糸T2は、表地組織部FのニードルループNLをくぐり抜け、シンカーループSに保持され縦方向に絡みついた状態となる。
ここにアンダーラップとは編成糸が編針から編針へ移動することを言う。
つまり、本実施の形態のリバーシブル経編地Wは、表地組織部Fと裏地組織部Bで地編部Gが形成され、表地組織部Fに挿入糸T2が挿入されて挿入部Mが形成される。
そして、裏地組織部Bのオーバーラップ方向D1と表地組織部Fのオーバーラップ方向D2が同方向であるので、表地組織部FのニードルループNLが編地表側に表出する。
また、表地組織部Fに挿入糸T2が挿入されて形成された挿入部Mは、表地組織部FのニードルループNLをくぐり抜けシンカーループSに保持され絡みついた状態で編地表側に表出する。
このように表地組織部Fが中間層として、裏地組織部Bと挿入部Mを連結する役割を果たし、編地表側と編地裏側が確実に棲み分けられ、リバーシブル経編地Wが構成される。
本実施の形態では、裏地組織部Bのナイロン加工糸と挿入部Mのポリエステル加工糸は、異素材であり、異色に染め分けられている。
また、中間層の表地組織部Fの編成糸T1を裏地組織部Bの編成糸T3に比べて細くすることで、裏地組織部BのニードルループNLによる表地組織部FのニードルループNLの被覆をより完全なものにしている。
また、挿入部Mの挿入糸T2の太さを大きくすることでリバーシブル経編地Wの編地表側をより緊密な状態にできる。
このような観点から、編成糸T1、T2、T3の太さについては、編地裏側の地組織部Bを形成する編成糸T3を60dt〜600dtの範囲とし、挿入部Mを形成する編成糸T2を60dt〜600dtの範囲とし、編地表側の地組織部Fを形成する編成糸T1を15dt〜300dtの範囲として、これらの範囲の中で多様な組み合わせを行い、リバーシブル経編地を編成する。
本実施の形態では、構成は第1の実施の形態と同様として、図5の組織図(一部を太線で示す)に示すように、挿入部Mの挿入組織を(0−0/3−3)とする。
図6の実態模式図(複雑を避けるために表地組織部Fのデンビー組織と、挿入糸T2を1本のみ示す)で示すように、挿入部Mのアンダーラップを1針分長くすることで、第1の実施の形態に比較して、表地組織部FのニードルループNLをくぐり抜けた挿入糸T2は、シンカーループSに保持される部分が長くなりジグザグに矩形波状の形をとる。
このことで、挿入糸T2の密度が高くなり表地組織部Fの編成糸T1と相まって、密度の高いリバーシブル経編地Wが形成されることとなる。
本実施の形態では、構成は第1の実施の形態と同様として、図7の組織図(一部を太線で示す)に示すように、表地組織部Fの編組織を(0−1/3−2)の開き目のコード組織とする。
第1の実施の形態に比較して、図8の実態模式図(複雑を避けるために表地組織部Fと挿入糸T2を1本のみ示す)に示すように、表地組織部Fの編組織のアンダーラップを1針分長くすることで、裏地組織部のニードルループNLをくぐり抜けた挿入糸T2は緩んだ状態となり、シンカーループSに保持されつつ編地表側の表面にパイル状に表出する。
つまり、編地表側がパイル状のリバーシブル経編地Wが得られる。
挿入糸T2として、綿等の紡績糸を使用した場合には、起毛用の基布として使用することができる。
また、ポリエステル糸やナイロン糸の加工糸のようにクリンプを付与した素材を使用することで嵩高で厚みがあり、一定の伸縮性を有するリバーシブル経編地Wを得ることができる。
例えば、編地構造は、3枚オサで編成される表地組織部F、挿入部M、裏地組織部Bを基本とするが、表地組織部Fと裏地組織部Bの間に他の組織部を介在させるなど4枚オサ、5枚オサを使用して機能性を付与することは当然可能である。
また、挿入部Mを2枚以上のオサで形成することも当然可能である。
このことで挿入糸T2の挿入密度が極めて高いリバーシブル経編地Wが得られる。
そして、地編部Gの編組織についても、デンビー組織やコード組織のみならず、多様な編組織の採用が可能である。
よって、衣料用のみならず、産業用繊維資材としての機能を持ち、ラミネート資材の芯地や研磨布用基布、フィルター、或いはジオ・テキスタイル等、多方面に使用可能である。
また、椅子やソファーのシート地のような家具用基布として、或いは湿布芯地等の医療用基布等にも充分採用可能である。
F・・・表地組織部
M・・・挿入部
B・・・裏地組織部
G・・・地編部
T1・・・表地組織部の編成糸
T2・・・挿入糸
T3・・・裏地組織部の編成糸
D1・・・裏地組織部のオーバラップ方向
D2・・・表地組織部のオーバラップ方向
N・・・ニードル
NL・・・ニードルループ
NL1、NL2・・・プレーティング編のニードルループ
Y1、Y2・・・編成糸
R・・・リバーシブル編地
R1・・・表側編地
R2・・・裏側編地
S・・・シンカーループ
W・・・リバーシブル経編地
Claims (5)
- 少なくとも編地表側の地組織部と編地裏側の地組織部との2系列の地組織部で構成される地編部と、編地表側の地組織部に挿入される挿入部とで構成される経編地であって、2系列の地組織部の編組織のオーバーラップ方向が互いに同方向であって、編地裏側の地組織部のニードルループが編地裏側に表出していると共に、編地表側の地組織部のニードルループが編地表側に表出しており、挿入部の挿入組織のアンダーラップ方向が、編地表側の地組織部の編組織のアンダーラップ方向と同方向であって、挿入部が編地表側の地組織部のシンカーループに保持されて編地表側に表出しており、編地表側の地組織部を形成する編成糸と挿入部を形成する編成糸とが、同素材、または、そして同色であると共に、編地裏側の地組織部を形成する編成糸に対して、異素材、または、そして異色であることを特徴とするリバーシブル経編地。
- 編地裏側の地組織部の編組織が(2−3/1−0)の閉じ目のコード組織、編地表側の地組織部の編組織が(0−1/2−1)の開き目のデンビー組織であると共に、挿入部の挿入組織が(0−0/2−2)であることを特徴とする請求項1記載のリバーシブル経編地。
- 挿入部の挿入組織が(0−0/3−3)であることを特徴とする請求項1記載のリバーシブル経編地。
- 編地裏側の地組織部の編組織が(2−3/1−0)の閉じ目のコード組織であり、編地表側の地組織部の編組織が(0−1/3−2)の開き目のコード組織であり、挿入部の挿入組織が(0−0/3−3)である請求項1記載のリバーシブル経編地。
- 編地表側の地組織部を形成する編成糸が15dt〜300dtであり、挿入部を形成する編成糸が60dt〜600dtであり、編地裏側の地組織部を形成する編成糸が60dt〜600dtである請求項1又は2記載のリバーシブル経編地。
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