JP5443524B2 - メッシュ経編地及び衣類 - Google Patents
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Description
例えば、縁部を折り返して縫合する方法や、他の生地を縫い付ける方法があるが、これらの方法では、生地の厚みが増すため、着用感が損なわれたり、外観が損なわれたりといった問題があった。
そこで、単位経編地間を連結糸で連結しておき、抜き糸を抜き去って連結糸による連結を解くことで、縁始末不要な縁部を形成する技術も知られている。
しかし、この技術は、縁部の位置が予め決まっている場合であって、しかも直線状の縁部の場合にしか適用できない。
また、非弾性糸がプレーンコード組織であり、弾性糸が非弾性糸と同行するデンビ組織またはプレーンコード組織である伸縮性の経編地も提案されている(特許文献2参照)。
さらに、非弾性糸と弾性糸を編糸とする伸縮性経編地であって、これら非弾性糸と弾性糸とはいずれもアトラス組織で且つ同行する組織とし、縦・横・斜め方向のいずれの方向の裁断縁も、裁断状態のままで縁始末不要な縁が形成される構成としていることを特徴とする経編地も提案されている(特許文献3参照)。
しかし、これらの編成組織は、いずれもプレーンな生地であるので通気性や伸縮性が十分に得られ難く、これらの要求が強い用途、例えば、ファンデーションやインナーウェアなどの用途においては、十分に適したものとは言えなかった。
そして、従来、上記のごとき用途にも十分に応え得る通気性や伸縮性を備えた経編地としては、縁始末が不要なものというのは存在しなかった。
本発明にかかる衣類は、上記本発明にかかるメッシュ経編地からなることを特徴とする。
<非弾性糸>
非弾性糸編成組織は、非弾性糸による編成組織である。
ここで、非弾性糸としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、ナイロン、ポリエステルなどの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの再生繊維、綿、絹などの天然繊維などからなるものを、経編地の用途や要求性能に合わせて適宜に選択して使用することができる。複数の繊維材料を組み合わせた複合糸も使用できる。通常、非弾性糸は伸び率100%未満である。
非弾性糸編成組織は、相対向する一対のハーフセット編みからなる。本発明の経編地は、経編地全体にわたってメッシュ組織が形成されていてもよいし、一部にメッシュ組織以外の領域(例えば、後述のジャカード柄部分など)を含んでいても良い。
相対向する一対のハーフセット編みは、1本おきに編成糸を通糸した2枚の筬により編成することができる。
好ましくは、4〜12コースを繰り返し単位とし、各繰り返し単位において3〜5ウェールの範囲で左右に振られているものであり、より好ましくは、6コースを繰り返し単位とし、各繰り返し単位において3ウェールの範囲で左右に振られているものである。このような条件を満たすものにおいて、通気性、伸縮性、解れの生じ難さの全ての効果が良好に発揮されるものとなる。
すなわち、非弾性糸編成組織として、メッシュ組織を構成する基本組織と、基本組織から変化させてなる変化組織とを含むジャカード編成組織を採用することができる。このとき、変化組織を含む全ての編目位置においてループが配置されてなるものとすることにより、経編地の厚みを増すことなく、柄や模様を有する経編地や、部分的に緊迫力の異なる経編地とすることができる。
ジャカード筬の全体作動は、パターンホイールや電子制御装置(EL機)などを用いて、一定数のコース毎に繰り返すパターン制御を行なうことができる。
ジャカードカードを使用せずに、電子的な記憶情報に基づく電子制御で、ジャカード筬の作動制御を行なうこともできる。この場合、コンピュータに入力された編成組織あるいは柄組織に関するデータから、ジャカード筬の各ゲージ位置における作動条件を演算し、その結果をジャカード筬の作動制御命令として出力することができる。
ジャカード編成装置に備えられたジャカード筬は、それぞれが通常のジャカード筬と同様のジャカード機構を備えていて、ゲージ位置毎の作用・非作用を制御できる。
<弾性糸>
弾性糸編成組織は、弾性糸による編成組織である。
ここで、弾性糸としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、ポリウレタン繊維などの弾性繊維からなるものなどが使用できる。弾性糸に非弾性糸を被覆した被覆弾性糸や、非弾性繊維と弾性繊維とを組み合わせた複合糸なども使用できる。通常、伸び率150%以上、好ましくは200%以上である。
弾性糸編成組織も、非弾性糸編成組織と同様、相対向する一対のハーフセット編みからなる。
そして、弾性糸編成組織は、経編地のメッシュ組織において、非弾性糸編成組織と同行していることが必要である。
ここで、同行とは、弾性糸編成組織を編成する弾性糸と非弾性糸編成組織を編成する非弾性糸とが、同一の編方向及び同一の変位幅で編成されることを意味するものであり、閉じ目・開き目の別は問わない。
本発明にかかる経編地を編成するに際しては、通常の編成装置および編成方法が適用できる。
経編機としては、特に限定されず、例えば、トリコット編機、ラッセル編機などが使用でき、また、ジャカード編成組織を編成する場合には、ジャカード機構を備えたジャカード編機が使用できる。
編成後は、セット加工や精練処理、染色処理等の、通常の経編地に行われている処理を施すことができる。
また、時間としては、30秒〜2分であることが好ましく、30秒〜1分であることが好ましい。このような条件での熱処理によって、解れの防止効果が良好に向上する。
以下に、図1を参照しつつ、好ましい編成例を示す。
この編成例の経編地は、筬GB1と筬GB2にそれぞれ1イン1アウトのハーフセットで糸通しされた第1の非弾性糸11と第2の非弾性糸12による一対のハーフセット編みからなる非弾性糸編成組織と、筬GB3と筬GB4にそれぞれ1イン1アウトのハーフセットで糸通しされた第1の弾性糸21と第2の弾性糸22による一対のハーフセット編みからなる弾性糸編成組織とからなる。
そして、第1の弾性糸21と第2の弾性糸22で編成される弾性糸編成組織も、図1に示すように、非弾性糸編成組織と同一の編成組織である。
なお、従来の経編地では伸縮性を付与するために弾性糸による挿入組織が一般に用いられてきたが、本発明のメッシュ経編地においては、上記弾性糸編成組織が伸縮性を付与する働きを有するので、従来一般に用いられてきた弾性糸による挿入組織は必要ではない。
本発明の経編地は、上記編成例以外にも種々の編成例が適用可能である。
例えば、図1に示す非弾性糸編成組織及び/又は弾性糸編成組織に代えて、閉じ目・開き目が異なる編成例を採用してもよい。例えば、経編地の全体において、あるいは、経編地の一部において、図1に示す非弾性糸編成組織及び/又は弾性糸編成組織を、図2(a)〜(e)に示す非弾性糸編成組織及び/又は弾性糸編成組織に代えても良い。
具体的に説明すると、まず、図2(a)は、図1の弾性糸編成組織を全て閉じ目で構成した編成組織に変更したものであり、図2(b)は、図1の弾性糸編成組織を全て開き目で構成した編成組織に変更したものである。図2(c)は、非弾性糸編成組織を全て閉じ目で構成し、弾性糸編成組織を全て開き目で構成したものである。図2(d)は、図1の非弾性糸編成組織を全て閉じ目で構成した編成組織に変更したものであり、図2(e)は、図1の非弾性糸編成組織を全て開き目で構成した編成組織に変更したものである。
なお、図2(a)〜(e)に示す編成例では、弾性糸編成組織を編成する弾性糸と非弾性糸編成組織を編成する非弾性糸とが、閉じ目・開き目の点において異なるところがあるものの、同一の編方向及び同一の変位幅で編成されているため、本発明にいう「同行」の条件を満足していることは上述の「同行」の定義から明らかなとおりである。
具体的に説明すると、図2(f)は1繰り返し単位におけるコース数が4コースの例であり、図2(g)は1繰り返し単位におけるコース数が8コースの例であり、図2(h)は1繰り返し単位におけるコース数が12コースの例である。
この編成例は、図5に示すように、非弾性糸編成組織が、図3に示す編成組織(基本組織)によるメッシュ組織部Xを有するとともに、基本組織から変化させてなる図4に示す編成組織(変化組織)を部分的に含ませることで、柄部分Yをも有するジャカード編成組織となっている。なお、図5では、理解の容易化のため、変化組織を構成する編成糸を太く示したが、実際の糸の太さを反映させたものではない。
ただし、5枚以上の筬を用いて、上に述べた非弾性糸編成組織及び弾性糸編成組織以外の編成組織を組み合わせるようにしても良い。
本発明にかかる経編地は、例えば、ファンデーションやインナーウェア、スポーツウェア、アウターウェアなどの衣類やカーテンなどに好適に利用できる。
本発明にかかる経編地を他の生地に縫い付けて衣類を作製することもできる。この場合、例えば、本発明にかかる経編地の一端のみを他の生地に縫い付ける(他端は縫い付けない)ような使用態様も可能である。本発明の経編地によれば、縁始末がなくても解れが生じ難いので、縫い付けを行わない他端においても、解れを生じてしまう懸念が殆どないからである。
図1に示す編成組織のみで編成された経編地(経編地幅135cm、65ウェール/inch、120コース/inch、目付133g/m2)を作製した。なお、編成後は、190℃で1分間熱処理を施すようにした。
編成装置としては、カールマイヤー社製のRSE5EL(28ゲージ)を用いた。
GB1,2:ナイロン44dt−34f−セミダル糸(東レ社製)
また、弾性糸編成組織は、下記の糸使いで編成した。使用糸量は70cm/Rとした。
GB3,4:ライクラ44dt−127−クリヤー糸(東レ・オペロンテックス社製)
図2(b)に示す編成組織のみで編成された経編地(経編地幅190cm、45ウェール/inch、120コース/inch、目付133g/m2)を作製した。編成は、非弾性糸編成組織及び弾性糸編成組織の糸使いを以下のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様とした。
GB1,2:ナイロン56dt−17f−ブライト糸(東レ社製)
GB3,4:ライクラ78dt−127−クリヤー糸(東レ・オペロンテックス社製)
図3,4に示す編成組織により図5に示す経編地(経編地幅190cm、45ウェール/inch、120コース/inch、目付139g/m2)を作製した。なお、編成後は、185℃で1分間熱処理を施すようにした。
編成装置としては、カールマイヤー社製のRSJ4/1(28ゲージ)を用いた。
Jb1,2:ナイロン56dt−17f−ブライト糸(東レ社製)
また、弾性糸編成組織は、下記の糸使いで編成した。使用糸量は70cm/Rとした。
GB2,3:ライクラ78dt−127−クリヤー糸(東レ・オペロンテックス社製)
得られた経編地は、いずれも、メッシュ組織を含むため、通気性に優れるものであった。また、弾性糸を挿入糸ではなく編組織として用いている点で、通常のメッシュ経編地と大きく異なるものであるが、伸縮性に遜色はなかった。
さらに、どの方向に裁断しても、解れが極めて生じ難いものであった。
そして、実施例3の経編地においては、ジャカード機構による組織変化により、ドット柄が形成されているとともに、支持組織を用いていないにもかかわらず、安定した経編地が得られた。
21,22 弾性糸
X メッシュ組織部
Y 柄部
GB1〜GB4 通常の筬
Jb1,Jb2 ジャカード筬
Claims (7)
- 相対向する一対のハーフセット編みからなる非弾性糸編成組織と、相対向する一対のハーフセット編みからなる弾性糸編成組織とを必須の編成組織とし、かつ、メッシュ組織を備えるとともに、前記メッシュ組織において前記非弾性糸編成組織と前記弾性糸編成組織とが同行している、メッシュ経編地。
- 前記メッシュ組織において、前記非弾性糸編成組織及び前記弾性糸編成組織の各ハーフセット編みが、4〜12コースを繰り返し単位とし、各繰り返し単位において3〜5ウェールの範囲で左右に振られているものである、請求項1に記載のメッシュ経編地。
- 前記メッシュ組織において、前記非弾性糸編成組織及び前記弾性糸編成組織の各ハーフセット編みが、6コースを繰り返し単位とし、各繰り返し単位において3ウェールの範囲で左右に振られているものである、請求項2に記載のメッシュ経編地。
- 140〜200℃で熱処理されたものである、請求項1から3までのいずれかに記載のメッシュ経編地。
- 前記非弾性糸編成組織が、前記メッシュ組織を構成する基本組織と、前記基本組織から変化させてなる変化組織とを含むジャカード編成組織であるとともに、前記変化組織を含む全ての編目位置においてループが配置されてなるものである、請求項1から4までのいずれかに記載のメッシュ経編地。
- 前記ジャカード編成組織は、一方のハーフセット編みの変位あるいは非変位ではループが形成されない編目位置を、他方のハーフセット編みの変位あるいは非変位によってループ形成して補うように編成されている、請求項5に記載のメッシュ経編地。
- 請求項1から6までのいずれかに記載のメッシュ経編地からなる、衣類。
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