JP6938194B2 - 立体構造経編地 - Google Patents

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本発明は、第1地組織と、第1地組織に対向する第2地組織と、第1地組織及び第2地組織を連結する連結糸とを備える立体構造経編地に関する。
婦人服等の衣類の用途においては、立体構造経編地に高い意匠性が求められる。高い意匠性を実現するために、例えば、地組織の表面にフクレ状柄を形成することがある。このようなフクレ状柄を得るべく、従来から様々な立体構造経編地が検討されている。
例えば、二列のニードルバーを有する経編機を用いて、熱収縮率の異なる二種以上の糸状を連結糸として使用して編成された立体構造経編地があった(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の立体構造経編地は、編成後に熱処理を施すことで、熱収縮率の異なる連結糸が使用された領域毎に、その厚みを異ならせたものである。
また、収縮性の異なる2枚の布帛を接結糸により結合し、刺繍模様を施した後、所望部分の接結糸を溶解すると共に収縮処理を行って立体構造経編地に膨らみを形成させる方法があった(例えば、特許文献2を参照)。
特開平4−222260号公報 特公昭52−27754号公報
しかしながら、引用文献1に記載の立体構造経編地は、経方向の異なる場所で立体構造経編地の厚みを異ならせるためには、整経の段階で1本の連結糸の所々に熱収縮性の異なる糸を配さねばならず、準備に手間がかかるという問題があった。また、熱収縮性糸は比較的高温で収縮するため、非収縮性糸に使用できる繊維素材が耐熱性に優れたものに限定されるという問題、及び高収縮性糸は高価であるため全体としてコスト高になってしまうという問題があった。また、収縮糸は熱で収縮すると硬くなるため、編地の風合いが硬くなる虞があった。
引用文献2に記載の立体構造経編地は、その製造において収縮性の異なる布帛を別々に作成し、それらを接結糸で結合する工程、刺繍を施す工程、接結糸の溶解工程、及び収縮処理工程といった多くの工程が必要であり、生産効率が悪かった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡易な工程でフクレ状柄を形成することが可能な立体構造経編地を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明にかかる立体構造経編地の特徴構成は、
第1地組織と、前記第1地組織に対向する第2地組織と、前記第1地組織及び前記第2地組織を連結する連結糸とを備える立体構造経編地であって、
前記連結糸が、弾性糸を含み、
隣り合う連結糸の少なくとも一方が、前記第1地組織及び前記第2地組織の間に掛け渡され、前記第1地組織及び前記第2地組織の両方に編成された連結領域と、
隣り合う連結糸の何れもが、前記第1地組織及び前記第2地組織の間に掛け渡されておらず、前記第1地組織にのみ編成された非連結領域と、
を有し、
前記第1地組織において、前記非連結領域が占める面積の割合が15〜70%であることにある。
本構成の立体構造経編地は、連結糸の収縮力(張力)によって、第1地組織では連結糸が地組織として編成された全ての領域でループ間隔が縮小する。第2地組織の非連結領域には、第1地組織の連結糸が地組織として編成された部分のループ間隔が収縮することによる収縮力(張力)が働くが、第2地組織の非連結領域のループ間隔は縮小しないため、外側への膨らみが形成され、フクレ状の柄が形成される。従って、本構成の立体構造経編地は、編成後の後処理を必要としない簡易な工程で、第2地組織の膨出によりフクレ状柄を形成することができる。
また、第1地組織において、非連結領域が占める面積の割合が15〜70%であれば、寸法安定性に優れ、所望する幅やフクレ状柄が得られる。また、非連結領域では、第1地組織にのみ連結糸が編成され、第2地組織との掛け渡し部分が無いことにより、通気性に優れ、編地が柔かい風合いになる。そのため非連結領域が占める面積の割合がこのような範囲であれば、触感も良好で、肌面に設置してもベトツキが少ない良好な編物となる。
本発明に係る立体構造経編地において、
生機において単位面積中に含まれるループ数をNg、仕上において単位面積中に含まれるループ数をNfとするとき、
生機/仕上収縮率(%) = (1 − Ng/Nf) × 100
により求められる生機/仕上収縮率が、前記第1地組織において40〜85%であることが好ましい。
本構成の立体構造経編地によれば、第1地組織が十分に収縮するため、非連結領域において第2地組織が膨出し、フクレ状の柄を形成することができる。
本発明に係る立体構造経編地において、
前記非連結領域において、前記第1地組織の生機/仕上収縮率と前記第2地組織の生機/仕上収縮率との差が、20〜80%であることが好ましい。
本構成の立体構造経編地によれば、第1地組織の収縮により連結糸が編成されていない第2地組織が非連結領域に押し集められるため、非連結領域において第2地組織が顕著に膨出し、フクレ状の柄を形成することができる。
本発明に係る立体構造経編地において、
前記非連結領域は、緯方向に連続して並ぶ3本(3ループ)以上の連結糸の何れもが、経方向に3ループ以上連続して前記第1地組織にのみ編成されていることが好ましい。
本構成の立体構造経編地によれば、経方向、及び緯方向の何れにも、3ループ以上連続した第2地組織が膨出するため、明確に視認できる程度のフクレ効果を得ることができる。
本発明に係る立体構造経編地において、
前記連結領域と前記非連結領域とが所定のパターンで繰り返し配列することが好ましい。
本構成の立体構造経編地によれば、所定のパターンのテキスタイルを連続して編成することができる。
本発明の実施形態に係る立体構造経編地の構造を示した概略斜視断面図である。 立体構造経編地の第1地組織の編組織を示す概念図である。 (a)立体構造経編地の生機を模式的に示す断面図、及び(b)立体構造経編地の仕上を模式的に示す断面図である。 立体構造経編地の編成に用いるダブルラッシェル編機の概要図である。 立体構造経編地の編組織を例示する組織図である。 立体構造経編地の他の編組織を例示する組織図である。 (a)実施例及び比較例の非連結領域における編組織の組織図、及び(b)実施例及び比較例の連結領域における編組織の組織図である。
以下、本発明の立体構造経編地について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に説明する構成に限定されることを意図するものではない。なお、各図において、本発明の立体構造経編地を構成する地組織が図示されているが、各地組織の厚み関係は説明容易化のため適宜変更しており、実際の立体構造経編地における各地組織の厚みの大小関係(縮尺)を正確に反映したものではない。
<立体構造経編地の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る立体構造経編地10の構造を示した概略斜視断面図である。図4は、立体構造経編地10の編成に用いるダブルラッシェル編機の概要図である。立体構造経編地10は、第1地組織1と、第1地組織1に対向する第2地組織2とが、連結糸3により連結された構造を有する。このような構造は、立体構造経編地10を図4に示すダブルラッシェル編機を用いて編成することが好ましい。図1に示す立体構造経編地10は、ダブルラッシェル編機を用いて、一定のパターンを繰り返し配列するように編成したテキスタイルの一部を切り出したものである。立体構造経編地10の厚みTは、立体構造経編地10の硬さ、通気、目付及び後述するフクレ状柄の高低差等を考慮して、1.5〜20mmであることが好ましく、2〜10mmがより好ましく、2〜8mmであることがさらにより好ましい。厚みが1.5mm未満であると所望の風合いが得られない虞があり、20mmより厚くなると風合いや柔軟性が損なわれる虞がある。編地の厚みTの測定は、PEACOCK H−30(株式会社尾崎製作所製)を用い、例えば、図1において膨出部4が形成されていない領域(後述の連結領域C)で行う。
なお、ダブルラッシェル編機を用いて編成することで、立体構造経編地10は、第1地組織1と第2地組織2とが互いにシンカループ側の面を対向させて連結される。従って、本実施形態では、第1地組織1及び第2地組織2の何れでも、シンカループ側を「内側」、ニードルループ側を「外側」と表記する。
第1地組織1は、熱収縮糸ではない繊維素材を経編みで編成した地組織である。ここで、「熱収縮糸」とは、熱収縮率が20%以上の糸条であることを意味する。第1地組織1を構成する繊維素材には、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維等の合成繊維、レーヨン等の再生繊維、及び、綿や羊毛等の天然繊維を、単独又は混合してなる糸条を用いることができる。特に、第1地組織1を構成する繊維素材は、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸、紡績糸、加工糸など特に限定はされないが、伸縮が少ない繊維素材であることが好ましい。第1地組織1を構成する繊維素材は、総繊度が33〜330dtexであることが好ましい。
図1では、第1地組織1において1つのループが存在する領域を破線の枠で模式的に示している。また本図において、第1地組織1の断面における黒塗りの三角形は、連結糸3が第1地組織1のシンカループに沿って編成されていることを示す。第1地組織1の編組織は特に限定されないが、立体構造経編地10の全ての領域において同一のパターンで編成され、全てのループに連結糸3が編成されていることを特徴とする。これにより、第1地組織1は、立体構造経編地10の全ての領域において、ループの間隔がおおよそ均等になる。
第2地組織2は、熱収縮糸ではない繊維素材を経編みで編成した地組織であり、立体構造経編地10の一部の領域(以下、「非連結領域U」)において、膨出部4を形成する。第2地組織2において所定のパターンで膨出部4を配することで、膨出部4によってフクレ状の柄を形成することができる。このような膨出部4によってフクレ状の柄を形成した第2地組織2を、立体構造経編地10の表地組織とすることで、高い意匠性を実現することができる。第2地組織2を構成する繊維素材には、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維等の合成繊維、レーヨン等の再生繊維、及び、綿や羊毛等の天然繊維を、単独又は混合してなる糸条を用いることができる。これらの繊維素材は、第1地組織1及び第2地組織2で同種の繊維素材を用いても、異なる繊維素材を用いてもよい。特に、第2地組織2を構成する繊維素材は、フィラメント糸、モノフィラメント糸、紡績糸、加工糸など特に限定はされないが、伸縮が少ない繊維素材であることが好ましい。第2地組織2を構成する繊維素材は、総繊度が33〜330dtexであることが好ましい。
図1では、第2地組織2において1つのループが存在する領域を一点鎖線の枠で模式的に示している。また本図において、第2地組織2の断面における白抜きの三角形は、連結糸3が第2地組織2のシンカループに沿って編成されていることを示し、第2地組織2の断面におけるバツ印は、連結糸3が第2地組織2に編成されていないことを示す。このように、第2地組織2の編組織には、膨出部4を形成する非連結領域Uで連結糸3が編成されておらず、それ以外の領域(以下、「連結領域C」)で連結糸3が編成されている。連結糸3は後述するように弾性糸を含んでおり、連結糸3が編成されると、連結糸3の張力によってループが引き寄せられる。そのため、第2地組織2のループは、立体構造経編地10の連結領域Cにおいて間隔が狭く、立体構造経編地10の非連結領域Uにおいて間隔が広くなっている。
第2地組織2の編組織は、鎖編、挿入編、デンビ編、コード編等の組織を組み合わせて適宜選択可能であるが、特に、経方向及び緯方向の何れにも寸法安定性及び形態安定性に優れ、経緯に充分な引張り強度を有するものが好ましい。寸法安定性及び形態安定性に優れた編組織を採用することで、第2地組織2では、膨出部4が形成されやすくなる。経方向、及び緯方向に伸縮しにくく寸法安定性及び形態安定性に優れた編組織としては、ハーフ編やクイーンズ・コード編等が挙げられるが、通気性の点で開口部を有する組織が好ましく、特に、鎖編組織と挿入編組織とからなる開口部を有する組織が好ましい。鎖編と挿入編を用いることにより布帛の伸縮が抑えられるので、非連結領域Uにおいてループ間隔を維持することができる。鎖編組織と挿入編組織とからなる開口部を有する組織としてはチュール編、マーキゼット編などの格子状、ハニカム状の網状組織が挙げられる。これにより、多数の開口を備えていても十分な強度も備える立体構造経編地10を得ることができる。
なお、図1に示す立体構造経10は、連結領域C中に非連結領域Uを島状に配したパターンで構成されているが、連結領域Cと非連結領域Uとの配置は、図1のものに限らず、例えば、非連結領域U中に連結領域Cを島状に配したパターン、連結領域Cと非連結領域Uとを緯方向又は経方向に沿って帯状に並列させたパターン、連結領域Cと非連結領域Uとを市松状に配したパターン等他のパターンであってもよい。
連結糸3は、ジャガード糸であって、第1地組織1と第2地組織2とを連結する。図1では、緯方向に沿う断面に複数本の連結糸3が露出し、経方向に沿う断面に1本の連結糸3が露出する様子を図示している。それぞれの連結糸3は、弾性糸を含む繊維素材からなる。弾性糸には、例えば、ポリウレタン系弾性糸、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系弾性糸を用いることができる。連結糸3を構成する繊維素材には、上記の弾性糸を単独又は非弾性繊維との複合糸として用いることができる。例えば、弾性糸をマルチフィラメント糸、モノフィラメント糸として使用してもよく、あるいは、弾性糸を加工糸と撚り合わせたカバーリング加工して使用してもよい。特に、連結糸3に柔軟性を付与するためには、連結糸3を構成する繊維素材に、単糸繊度が0.35〜6dtexで、総繊度が33〜250dtexのマルチフィラメント糸を用いることが好ましい。
連結糸3は、第1地組織1の全てのループに編成されているが、第2地組織2には一部のループに編成され他のループに編成されていない。第1地組織1及び第2地組織2の互いに対向するループの両方に連結糸3が編成された位置では、連結糸3は、第1地組織1及び第2地組織2の間に掛け渡され、第1地組織1及び第2地組織2を垂直方向に連結する。一方、連結糸3が第1地組織1のループにのみ編成され、第2地組織2の対向するループに編成されていない位置では、連結糸3は、第1地組織1及び第2地組織2の間に掛け渡されていない。なお、連結糸3を第1地組織1及び第2地組織2に編成する間隔、配置、及び配置方向等は、本図の構成に限定されず、必要に応じ任意に決定し得る。例えば、連結糸3を第1地組織1及び第2地組織2の両方に編成する位置を、襷掛けに配置、斜め方向に配置、ジクザクに配置、菱形に配置、ハニカム状に配置、さらには、これらを任意に組み合わせて配置して、第1地組織1及び第2地組織2を連結してもよい。
連結糸3が弾性糸を含むことで、連結糸3が編成された地組織は、経方向及び緯方向に収縮する。詳細には、連結糸3が第1地組織1及び第2地組織2の両方に編成され、第1地組織1及び第2地組織2の間に掛け渡されている位置で、図中で黒塗りの三角形の付された第1地組織1のループと、白抜き三角形が付された第2地組織2のループとは、連結糸3の収縮力(張力)により同程度にループ間隔が縮小する。ここで「ループ間隔」とは、第1地組織1のループと第2地組織2のループとの間隔ではなく、第1地組織1内及び第2地組織2内のそれぞれで経方向又は緯方向に隣接するループとの間隔を意味する。一方、連結糸3が第1地組織1にのみ編成され、第1地組織及び第2地組織の間に掛け渡されていない位置では、×印が付された第2地組織2のループが引き寄せられずループ間隔が縮小しないが、図中で黒塗り三角形が付された第1地組織1のループが連結糸3の収縮力(張力)により引き寄せられループ間隔が縮小する。
図2を参照して、第1地組織1の収縮について説明する。図2は、立体構造経編地10の第1地組織1の編組織を示す概念図である。本図において破線は第1地組織1の編地(シンカループ)を示し、実線は連結糸3の編地(シンカループ)を示す。図2(a)は、第1地組織1がデンビ組織で編成され、連結糸3が第1地組織1のシンカループに沿ってデンビ組織で編成された例である。この編組織において、第1地組織1の全てのループに、連結糸3が編成されているため、第1地組織1には、経方向及び緯方向の両方で、ループが引き寄せられる向きの張力が働く。第1地組織1の編組織は、図2(a)のものに限らず、連結糸3が均等に編成される編組織であれば、他の編組織を採用することも可能である。図2(b)は、第1地組織1と連結糸3とでダブルデンビ組織が編成された例である。図2(c)は、第1地組織1が鎖組織で編成され、連結糸3が第1地組織1のシンカループに沿ってデンビ組織で編成された例である。図2(d)は、第1地組織1と連結糸3とでダブルコード組織が編成された例である。図2(e)は、第1地組織1がデンビ組織で編成され、連結糸3が第1地組織1のシンカループに沿ってコード組織で編成された例である。図2(b)〜(e)の何れの編組織においても、全ての領域で第1地組織1に連結糸3が均等に編成されているため、第1地組織1には、経方向及び緯方向の両方で、ループが引き寄せられる向きの張力が働き、編組織が収縮する。このように、第1地組織1に連結糸3が均等に編成されることで、第1地組織1の各編目は均等に引き寄せられ、全ての領域においてループの間隔がおおよそ均等になる。一方、第2地組織2には非連結領域Uに連結糸3が編成されていないため、非連結領域Uでループが引き寄せられず、連結領域Cよりもループ間隔が広くなる。なお、連結糸3は第1地組織1の全てのループに編成されるとしたが、連結糸3は第1地組織1の全体がおおよそ均等に収縮するよう編成されていればよく、例えば、筬のガイド部に対して一本おきに編糸を通糸したハーフセットで、連結糸3を編成してもよい。
<膨出部の形成>
膨出部4の形成について、図3を参照して説明する。図3は、(a)立体構造経編地10の生機を模式的に示す断面図、及び(b)立体構造経編地10の仕上を模式的に示す断面図である。本実施形態では、「立体構造経編地10の生機」とは経編機により編成された直後であって、連結糸3の収縮力(張力)によってループ間隔が縮小する前の状態を意味し、「立体構造経編地10の仕上」とは、連結糸3の収縮力(張力)によってループ間隔が縮小した後の状態を意味する。本図では、非連結領域Uは、経方向に連続する3つのループにおいて連結糸3が第1地組織1にのみ編成された例を図示しているが、非連結領域Uは、連続する2つ以上のループにおいて連結糸3が第1地組織1にのみ編成され、第2地組織2に編成されていない領域であればよい。連結領域Cは、隣り合う2つのループの少なくとも一方で連結糸3が第1地組織1及び第2地組織2の両方に編成されている領域である。
図3(a)に示すように、生機の状態では、第1地組織1の全てのループと、第2地組織2の全てのループとがおおよそ同じ間隔で編成される。この状態から、連結糸3の収縮力(張力)によりループ間隔が縮小して、立体構造経編地10は図3(b)に示す仕上状態になる。仕上状態では、第1地組織1は連結糸が地組織として編成された全てのループ間隔が縮小している。一方、第2地組織2では、連結領域Cのループは連結糸3が編成されているため第1地組織の収縮に引っ張られる形でループ間隔が縮小するが、非連結領域Uのループは連結糸3が編成されていないためループ間隔が縮小していない。しかし、非連結領域Uを囲む連結領域Cで第1地組織1と第2地組織2とが連結されているため、非連結領域Uにおいてループ間隔が縮小した第1地組織1が収縮すると、ループ間隔が縮小していない第2地組織2も、周囲の連結領域Cの第2地組織2からの圧力によって、押し集められる。この結果、非連結領域Uでは、ループ間隔が縮小することなく狭い範囲に押し集められた第2地組織2が、外側へ押し出されることで膨出部4が形成される。
なお、連結領域Cにおける第2地組織2の表面からの膨出部4の高さh(以下、単に「膨出部4の高さh」)は、編糸の太さ、編組織、編密度により変化するが、特に、1つの非連続領域Uを構成する編目の数が多いほど高くなる。そのため、明確に視認できる程度のフクレ効果を得るためには、非連結領域Uは、経緯方向に3ループ以上連続する領域であることが好ましい。特に、膨出部4によって意匠性の高いフクレ状柄を形成するためには、膨出部4の高さhは、2〜30mmの範囲にあることが好ましく、2〜10mmの範囲にあることがより好ましい。特に、肌面へ接触した際の風合いやピリング性、摩耗性、目付の観点から膨出部4の高さhは2〜8mmの範囲にあることがさらにより好ましい。膨出部4の高さhの測定は、例えば、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製 VHX−5000)を用い、編地表面に対して垂直にカメラをセットし、倍率100倍にて撮影し測定することができる。
なお、図3(a)及び(b)では、立体構造経編地10の経方向に沿う断面における膨出部4の形成を説明したが、立体構造経編地10の緯方向に沿う断面においても、同様に膨出部4が形成される。立体構造経編地10の緯方向に沿う断面では、緯方向に連続して並ぶ2本(2ループ)以上の連結糸3が第1地組織1にのみ編成され、第2地組織2に編成されていない領域が、非連結領域Uとなり、隣り合う2本の連結糸の少なくとも一方が第1地組織1及び第2地組織2の両方に編成されている領域が、連結領域Cとなる。さらに、膨出部4において明確に視認できる程度のフクレ効果を得るために、立体構造経編地10の緯方向に沿う断面では、非連結領域Uが、緯方向に連続して並ぶ3本(3ループ)以上の連結糸3が第1地組織1にのみ編成された領域であることが好ましい。
なお、立体構造経編地10は、生機に後処理を施さずとも、連結糸3の収縮力(張力)によりループ間隔が縮小し、図3(a)に示す生機から図3(b)に示す仕上へ変化するが、立体構造経編地10の生機に染色、湿熱セット、乾熱セット等の後処理を必要に応じて実施してもよい。
<立体構造経編地の特性>
〔1〕生機/仕上収縮率
膨出部4の形成に影響を与える立体構造経編地10の特性として、第1地組織1の生機/仕上収縮率が挙げられる。生機/仕上収縮率は、立体構造経編地10の生機でのループ密度と、仕上でのループ密度との比率を用いて、下記の手順で算出する。先ず、第1地組織1について、生機での2.54cm(1インチ)当たりの経方向のループ数と、2.54cm当たりの緯方向のループ数とを数え、その積から、生機において単位面積(6.45cm(1平方インチ))中に含まれるループ数Ngを算出する。仕上についても同様に2.54cm当たりの経方向のループ数と、2.54cm当たりの緯方向のループ数とを数え、その積から、仕上において単位面積(6.45cm)中に含まれるループ数Nfを算出する。これらの値から、第1地組織1の生機/仕上収縮率を、下記の式により算出する。
生機/仕上収縮率(%) = (1 − Ng/Nf) × 100
本発明の立体構造経編地10において、フクレ状の柄を呈するよう膨出部4を形成するには、第1地組織1の生機/仕上収縮率は、40〜85%であることが好ましく、48〜85%であることがより好ましい。第1地組織1の生機/仕上収縮率がこのような範囲であれば、膨出部4によってフクレ状の柄を形成することができる。第1地組織1の生機/仕上収縮率が40%未満であると第1地組織1が十分に収縮せず、膨出部4が形成されない虞があり、85%を超えると第2地組織2の凹凸が大きくなりすぎて、膨出部4によってきれいなフクレ状の柄を形成することが困難になる虞がある。
〔2〕非連結領域収縮率差
膨出部4の形成に影響を与える立体構造経編地10の他の特性として、非連結領域Uにおける第1地組織1の生機/仕上収縮率と第2地組織2の生機/仕上収縮率との差である非連結領域収縮率差が挙げられる。非連結領域収縮率差の算出には、上記〔1〕生機/仕上収縮率において説明した手順により第1地組織1の生機/仕上収縮率を求めるとともに、非連結領域Uにおける第2地組織2に対しても同様の手順により生機/仕上収縮率を求める。これらの値から、非連結領域収縮率差を、下記の式により算出する。
非連結領域収縮率差(%) = 第1地組織1の生機/仕上収縮率(%) − 第2地組織2の生機/仕上収縮率(%)
本発明の立体構造経編地10において、フクレ状の柄を呈するよう膨出部4を形成するには、非連結領域収縮率差は、20〜80%であることが好ましく、30〜70%であることがより好ましい。非連結領域収縮率差がこのような範囲であれば、膨出部4によってフクレ状の柄を形成することができる。非連結領域収縮率差が20%未満であると第1地組織1が十分に収縮しないため第2地組織2が非連結領域Uに押し集められず、膨出部4が形成されない虞があり、80%を超えると第2地組織2の凹凸が大きくなりすぎて、膨出部4によってきれいなフクレ状の柄を形成することが困難になる虞がある。
〔3〕非連結領域率
膨出部4の形成に影響を与える立体構造経編地10の他の特性として、非連結領域率を検討した。非連結領域率は、ダブルラッシェル編機により立体構造経編地10を編成する際に、連結糸3を編成しない第2地組織2のループ数を、第2地組織2の全ループ数で除した値であり、ダブルラッシェル編機の設定から算出できる。
なお、非連結領域率は、第1地組織1の面積に対して非連結領域Uが占める割合として、下記の方法によっても、同様の値を算出することが可能である。第1地組織1と第2地組織2とに色の異なる繊維素材を用いて、立体構造経編地10が編成されている場合、この立体構造経編地10から非連結領域U及び連結領域Cの何れも含む任意の大きさの被測定布を準備する。例えば、立体構造経編地10が、非連結領域U及び連結領域Cを所定のパターンで繰り返して配列するように編成されたテキスタイルである場合、所定のパターンの1周期分の長さを切り出すことで、好適な被測定布を得ることができる。被測定布の第1地組織1側の面をスキャナーで読み込むことにより画像データを得る。この画像データでは、第1地組織1と第2地組織2とが連結された連結領域Cに、第2地組織2を構成する繊維素材の色成分が含まれる。この色成分に基づいて画像データの非連結領域Uと連結領域Cとを白と黒とに2値化して、白ドット部分を積分により集計することで非連結領域面積を得る。非連結領域率の算出は、下記の式に従う。
非連結領域率(%) = 非連結領域面積/被測定布の面積 × 100
本発明の立体構造経編地10において、非連結領域率は15〜70%、好ましくは20〜60%に設定される。非連結領域率が15%未満であると、フクレ状の柄が発現しなかったり、風合いが硬くなる虞がある。非連結領域率が70%を超えると、非連結領域Uが多くなり、立体構造経編地10の寸法安定性が悪く、所望する幅やフクレ状柄が得られない虞がある。
〔4〕開口率
第2地組織2に膨出部4を形成するために、鎖編組織と挿入編組織とからなる開口部を有する組織を第2地組織2の編組織に採用することが望ましい。これは、鎖編と挿入編とを用いることで布帛の伸縮が抑えられ、膨出部4の形成に有利であるためである。そこで、第2地組織2の編組織に鎖編組織と挿入編組織とからなる開口部を有する組織を採用する場合に、第2地組織2の開口率が立体構造経編地10の特性に与える影響を検討した。
第2地組織2の開口率の測定方法としては、膨出部4が形成された位置で立体構造経編地10を5cm×5cmの大きさにカットして被試験布を準備する。次いで、被試験布の第2地組織2側の面をスキャナーで読み込むことにより画像データを得る。この画像データにおいて第2地組織2の開口部と非開口部とを白と黒に2値化して、白ドット部分を積分により集計することで開口部面積を得る。開口率の算出は、下記の式に従う。
開口率(%) = 開口部面積/被試験布の面積 × 100
本発明の立体構造経編地10において、非連結領域Uにおける第2地組織2の開口率が15〜80%であることが好ましく、20〜70%であることがより好ましい。開口率がこの範囲内にあれば、立体構造経編地10の風合いが固くなることを軽減でき、更に通気性が損なわれることもない。開口率が15%未満であると、立体構造経編地10の風合いが固くなったり、通気性が損なわれる虞があり、80%より大きいと膨出部4が形成されにくくなる虞がある。
〔5〕最大開口径
第2地組織2の編組織に鎖編組織と挿入編組織とからなる開口部を有する組織を採用する場合、非連結領域Uにおける開口部の最大開口径が0.2〜30mmであることが好ましく、0.5〜20mmであることがより好ましい。最大開口径がこの範囲内にあれば、立体構造経編地10の風合いが固くなることを軽減でき、更に通気性が損なわれることもない。開口部の最大開口径が0.2mm未満であると、立体構造経編地10の風合いが固くなったり、通気性が損なわれる虞がある。開口部の最大開口径が30mmより大きいと膨出部4が形成されにくくなる虞がある。
<立体構造経編地の編成例>
本発明に係る立体構造経編地10は、例えば、図4に示すような6枚筬(ガイドバー)L1〜L6を有するダブルラッシェル編機を用いて編成することができる。図4において、N1、N2はそれぞれ編機幅方向に並列する前後2列のニードル、T1、T2は前後の針釜(トリックプレート)を示し、Y1〜Y6は、各筬(ガイドバー)L1〜L6のガイド部G1〜G6に通糸される編糸を示している。B1〜B6は各編糸のビームを示す。
図4のダブルラッシェル編機による編成において立体構造経編地10を編成する場合、少なくとも1枚の筬(ガイドバー)L1に導糸される編糸Y1を地糸として、ニードルN1(以下、「F針」)により表面となる第2地組織2を編成する。例えば、2枚の筬(ガイドバー)L1、L2に導糸される編糸Y1、Y2を地糸として、F針により第2地組織2を編成してもよい。あるいは、3枚の筬(ガイドバー)L1、L2、L3に導糸される編糸Y1、Y2、Y3を地糸として、F針により第2地組織2を編成してもよい。また、少なくとも1枚の筬(ガイドバー)L5に導糸される編糸Y5を地糸として、ニードルN2(以下、「B針」)により裏面となる第1地組織1を編成する。例えば、2枚の筬(ガイドバー)L5、L6に導糸される編糸Y5、Y6を地糸として、B針により第1地組織1を編成してもよい。ここで特に、第1地組織1に使用される編糸は伸縮が少ない編糸で編成されることが好ましい。伸縮が大きいと、第1地組織1のループに対して連結糸3の弾性力によって経方向、緯方向へ引き寄せる張力が働いたときに、ループ間隔が縮小するのではなく編糸が伸び、その結果、第1地組織1が十分に収縮しない虞がある。
ダブルラッシェル編機による編成では、生機での第1地組織1及び第2地組織2の経密度(コース)は20〜75コース/2.54cmで編成されることが好ましく、編地の硬さ及び膨出部4の高低差などから30〜65コース/2.54cmで編成されることがより好ましい。また、緯密度(ウエル)は16〜60ウエル/2.54cmで編成されることが好ましく、編地の硬さ及び膨出部4の高低差などから20〜50ウエル/2.54cmで編成されることがより好ましい。
ダブルラッシェル編機による編成では、筬(ガイドバー)L3、L4に導糸される編糸Y3、Y4をF針及びB針により第1地組織1及び第2地組織2に交互に編み込むことで、第1地組織1及び第2地組織2を連結する。この場合、筬(ガイドバー)L3、L4に導糸される編糸Y3、Y4は、ストレッチ(弾性の有る)編糸を使用する。中でもポリウレタン弾性糸は弾性が大きいので、連結糸3が第1地組織1のみに編成されるときに第1地組織1のループ間隔を引き寄せる張力が強く、膨出部4の良好な形成が期待できる。
図5は、立体構造経編地10の編組織を例示する組織図である。ダブルラッシェル編機により図5(a)に示す編組織を編成することで、立体構造経編地10の連結領域Cに当たる部分が編成できる。ダブルラッシェル編機により図5(b)に示す編組織を編成することで、立体構造経編地10の非連結領域Uに相当する部分が編成できる。図5(a)の組織図は、F針が、筬(ガイドバー)L1に導糸される編糸Y1と筬(ガイドバー)L2に導糸される編糸Y2とで、チュール編の第2地組織2を編成し、B針が、筬(ガイドバー)L5に導糸される編糸Y5で、鎖編の第1地組織1を編成し、連結糸3となる筬(ガイドバー)L3−1に導糸される編糸Y3と筬(ガイドバー)L4−1に導糸される編糸Y4とで、第1地組織1及び第2地組織2を交互に連結して厚みの有る編地を編成していることを表している。図5(b)の組織図は、F針が、筬(ガイドバー)L1に導糸される編糸Y1と筬(ガイドバー)L2に導糸される編糸Y2とで、チュール編の第2地組織2を編成し、B針が、筬(ガイドバー)L5に導糸される編糸Y5で、デンビ編の第1地組織1を編成し、連結糸3となる筬(ガイドバー)L3−2に導糸される編糸Y3と筬(ガイドバー)L4−2に導糸される編糸Y4とが、第1地組織1を編成する筬(ガイドバー)L−5に導糸される編糸Y5と共にB針によって編成されることを表している。特に、筬(ガイドバー)L4−2に導糸される編糸Y4は、筬(ガイドバー)L5の内側(シンカーループ側)に重なり編成されている。
なお、立体構造経編地10の編組織は、図5に示すものに限定されない。図6は、立体構造経編地10の他の編組織を例示する組織図である。例えば、図6(a)に示すように、3枚の筬(ガイドバー)L1、L2、L3に導糸される編糸Y1、Y2、Y3を地糸としてマーキゼット編で第2地組織2を編成した構成であってもよい。図5、及び図6(a)に示す編組織であれば、第2地組織2に小さな開口部ができ、通気性に優れた立体構造経編地10を編成することができる。
また、他の例として、図6(b)、又は図6(c)に示すように、立体構造経編地10の連結領域Cに当たる部分を編成してもよい。図6(b)の組織図は、2枚の筬(ガイドバー)L1、L2に導糸される編糸Y1、Y2を地糸として糸抜き、糸入れの手法によりネット編で第2地組織2を編成することを示している。図6(c)の組織図は、2枚の筬(ガイドバー)L1、L2に導糸される編糸Y1、Y2をフルセットでデンビ編とコード編とに編成することにより、第2地組織2をハーフ編で編成することを示している。
次に、具体的実施例に基づいて、本発明に係る立体構造経編地を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の立体構造経編地(実施例1〜7)、及び本発明の範囲外となる立体構造経編地(比較例1〜6)について、各種測定及び評価を行い、立体構造経編地の構造と性能との関係について検討を行った。測定項目は、立体構造経編地の厚みT、膨出部4の高さh、及び「立体構造経編地の特性」の項目で説明した〔1〕生機/仕上収縮率、〔2〕非連結領域収縮率差、〔4〕開口率、及び〔5〕最大開口径である。評価は、以下の〔6〕フクレ感の有無、及び〔7〕寸法安定性について行った。
〔6〕膨れ感
膨出部4によるフクレ感の有無を、3人の評価者が目視にて観察した。評価基準は、フクレ感を感じる評価者が2人以上である場合に、フクレ感ありとした。
〔7〕寸法安定性
立体構造経編地をJIS L0217 103法に準じて処理して、立体構造経編地の寸法安定性を評価した。評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
○:処理前後の寸法変化率が経方向、緯方向共に−3〜3%の範囲内であった。
×:処理前後の寸法変化率が経方向、緯方向共に−3〜3%の範囲を超えた。
<実施例1〜7>
ダブルラッシェル編機において表1に示す糸使いで、図7(a)に示す編組織と、図7(b)に示す編組織とを交互に繰り返し、非連結領域率が30%となるように非連結領域Uと連結領域Cとを繰り返し編成することで、実施例1の立体構造経編地を得た。図7は、(a)実施例1の非連結領域Uにおける編組織の組織図、及び(b)実施例1の連結領域Cにおける編組織の組織図である。
実施例1と同様の手法で、ダブルラッシェル編機において、それぞれ実施例1とは異なる糸使い、組織、及び非連結領域率で、非連結領域Uと連結領域Cとを繰り返し編成し、実施例2〜7の立体構造経編地を得た。実施例1〜7の立体構造経編地の編成において用いた糸使い、組織、及び非連結領域率を、表1にまとめた。
Figure 0006938194
<比較例1〜6>
実施例1と同様の手法で、ダブルラッシェル編機において、それぞれ実施例1とは異なる糸使い、組織、及び非連結領域率で、非連結領域Uと連結領域Cとを繰り返し編成し、比較例1〜6の立体構造経編地を得た。比較例1〜6の立体構造経編地の編成において用いた糸使い、組織、及び非連結領域率を、表2にまとめた。
Figure 0006938194
〔検討結果〕
実施例1〜7の立体構造経編地について構造及び性能を表3にまとめ、比較例1〜6の立体構造経編地について構造及び性能を表4にまとめた。
Figure 0006938194
Figure 0006938194
実施例1〜7の立体構造経編地は、何れも連結糸3に弾性糸を含む繊維素材を用い、非連結領域率を本発明で規定する15〜70%の範囲内で編成した結果、厚みTが本発明において好適な1.5〜15mmの範囲内にあり、膨出部4の高さhが本発明において好適な2〜15mmの範囲内にあった。また、実施例1〜7の立体構造経編地は、何れも第1地組織1の生機/仕上収縮率が本発明で規定する40〜85%の範囲内にあり、非連結領域収縮差が本発明で規定する20〜80%の範囲内にあった。また、第2地組織2を開口を有する組織で編成した実施例1〜6は、開口率が本発明において好適な15〜80%の範囲内にあり、最大開口径が本発明において好適な0.2〜20mmの範囲内にあった。この結果、実施例1〜7は何れも、膨出部4によるフクレ感が明確に確認できた。寸法安定性についても、実施例1〜7は何れも、良好な結果を示した。このように、非連結領域率、生機/仕上収縮率、及び非連結領域収縮差が本発明で規定する数値範囲内にある実施例1〜7の立体構造経編地は、好適な高さhを有する膨出部4が形成されることによりフクレ状柄が発現し、且つ、寸法安定性に優れることが確認された。
一方、連結糸3に弾性糸を含まない繊維素材を用いた比較例1〜4は、何れも第1地組織1の生機/仕上収縮率が本発明で規定する40〜85%の範囲より小さい値であり、非連結領域収縮差が本発明で規定する20〜80%の範囲より小さい値であった。この結果、比較例1〜4は、何れも膨出部4の高さhが本発明において好適な2〜15mmの範囲より小さい値となり、膨出部4によるフクレ感が確認できなかった。比較例5は、連結糸3に弾性糸を含む繊維素材を用いたが、非連結領域率を本発明で規定する15〜70%の範囲より小さい10%で編成した結果、膨出部4の高さhが本発明において好適な2〜15mmの範囲より小さい値となり、膨出部4によるフクレ感が確認できなかった。比較例6は、連結糸3に弾性糸を含む繊維素材を用いており、膨出部4によるフクレ感が確認できたが、寸法安定性に劣るものであった。これは、比較例6が非連結領域率を本発明で規定する15〜70%の範囲より大きい85%で編成したためと考えられる。
このように、生機/仕上収縮率、及び非連結領域収縮差が本発明で規定する数値範囲から外れている比較例1〜4の立体構造経編地と、非連結領域率が本発明で規定する数値範囲より小さい比較例5の立体構造経編地とは、膨出部4によるフクレ状柄が発現せず、非連結領域率が本発明で規定する数値範囲を超える比較例6は、寸法安定性に劣ることが確認された。
本発明の立体構造経編地は、フクレ状柄を有した意匠性の高い服地として利用することが可能であり、婦人服等の衣類の服地に利用することも可能である。
1 第1地組織
2 第2地組織
3 連結糸
4 膨出部
10 立体構造経編地
C 連結領域
U 非連結領域

Claims (5)

  1. 第1地組織と、前記第1地組織に対向する第2地組織と、前記第1地組織及び前記第2地組織を連結する連結糸とを備える立体構造経編地であって、
    前記連結糸が、弾性糸を含み、
    隣り合う連結糸の少なくとも一方が、前記第1地組織及び前記第2地組織の間に掛け渡され、前記第1地組織及び前記第2地組織の両方に編成された連結領域と、
    隣り合う連結糸の何れもが、前記第1地組織及び前記第2地組織の間に掛け渡されておらず、前記第1地組織にのみ編成された非連結領域と、
    を有し、
    前記第1地組織において、前記非連結領域が占める面積の割合が15〜70%である立体構造経編地。
  2. 生機において単位面積中に含まれるループ数をNg、仕上において単位面積中に含まれるループ数をNfとするとき、
    生機/仕上収縮率(%) = (1 − Ng/Nf) × 100
    により求められる生機/仕上収縮率が、前記第1地組織において40〜85%である請求項1に記載の立体構造経編地。
  3. 前記非連結領域において、前記第1地組織の生機/仕上収縮率と前記第2地組織の生機/仕上収縮率との差が、20〜80%である請求項2に記載の立体構造経編地。
  4. 前記非連結領域は、緯方向に連続して並ぶ3本(3ループ)以上の連結糸の何れもが、経方向に3ループ以上連続して前記第1地組織にのみ編成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の立体構造経編地。
  5. 前記連結領域と前記非連結領域とが所定のパターンで繰り返し配列する請求項1〜4の何れか一項に記載の立体構造経編地。
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