JP7133920B2 - 伸縮性経編地及びこれを用いた衣料 - Google Patents

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Description

本発明は、タテ、ヨコ、ナナメにバランスのとれた伸縮性を有する経編地に関する。より詳しくは、本発明は、裁断したままで縁の始末が不要な伸縮性経編、及びこれを用いた衣料に関する。
伸縮性を有する経編地を衣料等に用いる場合、衣料の種類に合せて裁断された後、一般的には折り返した後にミシンで縫合されるか又はテープで接着されることが従来行われており、裁断した縁のままで用いられることは行われていなかった。一般的に伸縮性経編地は、裁断したままの状態で伸縮されると、裁断端の縁からほつれが生じたり、あるいはカーリングが発生し易いため、縫合や接着などの縁始末がなされてきた。
しかしながら、縫合や接着により縁始末を実施した場合、その始末部位は2枚重ね以上の厚みとなり審美性を損なうと共に、厚みの増加による曲げ剛力の増加によって、肌に沿わない着用上の不快感を与えることになる。
そこで、近年、裁断後に縁始末を実施しなくてもよい経編地を製造する技術が、開発されてきた。
例えば、以下の特許文献1には、編組織が非弾性糸と弾性糸とを同行させた1×1編み組織であって、かつ各編針において非弾性糸と弾性糸のうち少なくとも1方が閉じ目により編成された伸縮性たて編地が開示されている。
また、以下の特許文献2には、非弾性糸と弾性糸とを組み合わせて編成された伸縮性経編地であって、非弾性糸が1コース毎に1ウェール分の振り幅で左右交互に振られて全てのコースでループを形成する編成組織Aと、弾性糸が1コース毎に複数ウェール分の振り幅で左右交互に振られて全てのコースでループを形成する編成組織Bとを備えることにより、裁ち放しで縫製されたとしても、裂けやホツレが生じにくくなっている伸縮性経編地が開示されている。
更に以下の特許文献3には、相対向する一対のハーフセット編みからなる非弾性糸編成組織と、相対向する一対のハーフセット編みからなる弾性糸編成組織とを必須の編成組織とし、かつ、メッシュ組織を備える経編地も開示されている。
しかしながら、特許文献1~3に開示された編地ではいずれも、弾性糸はループを形成している。
特開2003-147618号公報 特開2006-257588号公報 特開2013-155463号公報
前記したように、裁断後に縁始末を必要としない経編地に関する従来技術では、弾性糸がループを形成する構造上、生地表裏の伸縮性に差が生じ易く、特に大きな伸縮性を必要とされる部位や繰返し伸縮される部位では縁部よりカーリングが発生し、衣料がめくれ上がり易くなるという問題を抱えていた。また、カーリングやホツレを抑制させる経編地を製造するために、非弾性糸や弾性糸の繊度が限定される結果、経編地のパワーを自在に変化させることが難しかった。更には、縁端部より生じるホツレを抑制するために、メッシュ構造の経編地を製造することは極めて困難であった。
更に経編地の特徴として、タテ、ヨコ、ナナメでの伸縮性について等方性を得難く、また、上記のような弾性糸がループを形成する経編地では、等方性が顕著に得られないため、カーリングやホツレを助長させる構造となっていた。
以上に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、等方性の伸縮性を発揮することができ、また容易にパワー変化が可能であり、更に裁断状態のままで縁始末が不要な伸縮性経編地、及びかかる伸縮性経編地からなり、裁断されたままで縁始末がされていない衣料を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、非弾性糸と弾性糸からなる経編地の構成要素を細かく分析し、非弾性糸と弾性糸、及びそれぞれの糸の組織を特定することによって上記の課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]非弾性糸と少なくとも2種類の挿入弾性糸からなる伸縮性経編地であって、該非弾性糸がループの連結により形成される組織を支持組織とし、該非弾性糸と第1弾性糸の編地中のアンダーラッピング方向が同一方向となると共に重なり同行する部分が含まれる組織を地編組織とし、かつ、該地編組織中の非弾性糸と第1弾性糸が重なり同行する部分を第2弾性糸が通過するように構成されることを特徴とする前記伸縮性経編地。
[2]非弾性糸と少なくとも3種類の挿入弾性糸からなる伸縮性経編地であって、第3弾性糸が、前記地編組織中の非弾性糸と第1弾性糸が重なり同行する部分を通過するように構成されながらも、第2弾性糸の挿入方向とは線対称方向に挿入されている、前記[1]に記載の伸縮性経編地。
[3]前記第1弾性糸を除く第2以降の弾性糸がハーフセットに糸入れされて、メッシュ構造を示す、前記[1]又は[2]に記載の伸縮性経編地。
[4]更に綿が交編されている、前記[1]~[3]のいずれかに記載の伸縮性経編地。
[5]前記非弾性糸を上筬に用い、前記第1弾性糸を挿入糸として下筬に用いる経編機で編成したとき、下筬に挿入された第1弾性糸が、上筬の非弾性糸の上に重なるイベージョンラップ現象が生じている、前記[1]~[4]のいずれかに記載の伸縮性経編地。
[6]前記[1]~[5]のいずれかに記載の伸縮性経編地が裁断されたままで、縁始末不要な状態の縁が形成されている衣料。
本発明に係る伸縮性経編地は、等方性の伸縮性を発揮することができ、また容易にパワー変化が可能であり、更に裁断状態のままで縁始末が不要な伸縮性経編地あるため、例えば、ファンデーションやインナーウェア、スポーツウェア、アウターウェアなどの衣料、またカーテンやテーブルクロス、建築資材、ラッピング材などの資材用途など、裁断したままで活用される衣料や資材用途で幅広く利用できる。本発明に係る伸縮性経編地は、特に、ストレッチ性が必須とされる人体に密着する衣料であるインナーウェアやスポーツウェアなどの衣料において裁断後の縁始末が不要となるため、特に有用である。
本実施形態の伸縮性経編地の組織図例である。 本実施形態の伸縮性経編地の組織図例である。 図2において、L3、L4に配置された糸をハーフセットとしたときの糸配置状態を示す模式図である。 本実施形態の伸縮性経編地の組織図例である。 比較例1の経編地の組織図である。 比較例2の経編地の組織図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の伸縮性経編地は、非弾性糸と少なくとも2種類の挿入弾性糸からなる伸縮性経編地であって、該非弾性糸がループの連結により形成される組織を支持組織とし、該非弾性糸と第1弾性糸の編地中のアンダーラッピング方向が同一方向となると共に重なり同行する部分が含まれる組織を地編組織とし、かつ、該地編組織中の非弾性糸と第1弾性糸が重なり同行する部分を第2弾性糸が通過するように構成されることを特徴とする。
本実施形態の伸縮性経編地は、ラッセルやトリコット機など通常の編成装置や編成方式を持つ経編機を用いて製造でき、製造に用いる経編機の種類は特に限定されない。しかしながら、等方性の伸縮性が得易く、また、製造される経編地のパワーを期待される衣料毎に変化させ易いという観点から、ラッセル機を用いることが好ましい。例えば、カールマイヤー社製 RSE-5Nなどの無地ラッセル機であっても、RSJ4/1などのジャガード筬を有するコンピュータージャガードラッセル機であってもよい。本実施形態の伸縮性経編地は、非弾性糸と少なくとも2種類の弾性糸から編成されるため、3筬以上、好ましくは4筬以上の筬を有する経編機を用いることが好ましい。経編機のゲージについても特に制限されないが、ホツレをより抑え良好な伸縮性を得やすい観点から、14ゲージ以上48ゲージ以下が好ましく、更に好ましくは24ゲージ以上36ゲージ以下である。尚、ゲージとは、編機上の1インチ(2.54cm)間に配置されている編針本数により定義される。
非弾性糸としては、弾性糸ではないこと以外は特に制限が無く、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維、キュプラ、レーヨンなどの再生繊維、綿、絹、麻、ウールなどの天然繊維が挙げられる。非弾性糸としては、要求される衣料の機能に適した繊維を使用すればよい。例えば、ポリエステル、ナイロンなどの合成繊維を使用した場合、寸法安定性が高い衣料となり、高い吸湿性を付与する場合、綿、キュプラ、ウールなど、公定水分率が高い繊維を使用すればよい。また、混紡、混繊、交撚、又は編機上で交編することなどによって、2種類以上の非弾性糸を使用してもよい。但し、高度な縁始末が不要な衣料を得たい場合には、乾熱でのセット性が高いナイロン、ポリエステルなどの合成繊維を用いることが好ましい。また、非弾性糸の形態としては、フィラメント糸、スパン糸、異型断面糸、紡績糸、撚糸、仮撚糸などいずれでもよく、特に限定されるものではない。非弾性糸の太さについても特に限定されず、製造する経編機のゲージにより最適繊度を選択することができ、好ましくは15~170dtex、より好ましくは20~90dtexの太さの糸を使用することができる。
弾性糸としては、ポリウレタン系、ポリエーテルエステル系、乾式紡糸法、湿式紡糸法、溶融紡糸法など、ポリマーの原料系や紡糸法で限定されるものではなく、いずれであってもよい。但し、高度で安定した伸縮性を得る観点から、弾性糸としては、ポリエーテル系で乾式紡糸法により製造されるポリウレタン弾性糸が好ましい。弾性糸の太さは、15~1000dtexが好ましく、30~500dtexがより好ましい。弾性糸の破断伸度としては400~1000%のもので、伸縮性に優れ、染色加工時のプレセット工程における一般的な処理温度185℃近辺で伸縮性を損なわないものが好ましい。また、第1弾性糸と第2弾性糸は、同一の原料系、紡糸法のものであっても異なっていてもよい。また、第1弾性糸と第2弾性糸の太さも、同一であっても異なっていてもよく、異なっている場合、どちらが太いものであってもよい。但し、第3弾性糸を使用する場合、第2弾性糸と第3弾性糸は同じ原料系、紡糸法のものであり、同じ太さの弾性糸を用いることが好ましい。
本実施形態の伸縮性経編地は、支持組織として、非弾性糸がループの連結により形成される組織を有し、かつ、弾性糸が挿入されているものである。すなわち、本実施形態の伸縮性経編地では、挿入される弾性糸はルーピング構造を有しない。ルーピング構造は、弾性糸同士の接点を編組織中に多く取り込める反面、ループを形成する構造上、直線型に戻ろうとする弾性糸のトルクが発生し、編地にカーリングが発生し易くなるため、好ましくない。それゆえ、本実施形態の伸縮性経編地中の弾性糸の組織は、編地内で挿入のみで形成されたものである。他方、弾性糸が単純に挿入のみで形成される編組織は、弾性糸が経編地の編組織内でズレを起こし、編地の伸縮時にホツレを生じさせるという欠点がある。
そこで、本実施形態の伸縮性経編地においては、支持組織として、非弾性糸がループの連結により形成される組織を有するものとし、かつ、弾性糸を挿入することで、非弾性糸と第1弾性糸の編地中のアンダーラッピング方向が同一方向となると共に重なり同行する部分が含まれる組織を地編組織とし、該地編組織中の非弾性糸と第1弾性糸が重なり同行する部分を第2弾性糸が通過するように構成している。
すなわち、先ず非弾性糸はルーピング組織を形成しながら同一ウェールでリピートするか又はウェールを渡り、その移動方向と同一になるように又は一部が同一になるように第1弾性糸が挿入されて地編組織を形成する。この時、アンダーラッピング方向も同一方向とすることによって、イベージョンラップ現象が起こり、挿入する弾性糸がルーピング構造を形成する非弾性糸を巻き込むように編成される。その結果、地糸の非弾性糸が、第1弾性糸と第2弾性糸を束ねてコイル状に巻きつくような形となり、そして生地の仕上げ加工、熱セット時に、しわなどが入らないように生地を張る動作をすることで非弾性糸のテンションは高くなり、束ね状態の弾性糸を包んで締め付ける力が働く。これにより同じコースを通過した複数の弾性糸は密着した状態となり、セット熱により表面が変形又は溶融した弾性糸同士はしっかり一体化することとなる。また、前記したように束ねて締め付ける組織構造であるため、使用する弾性糸は低融点弾性糸に限らず、一般的によく使用される融点の高い弾性糸でも十分なほつれ止め性能を示すこととなる。尚、図1のL1(非弾性糸)の直線部分はアンダーラッピング、曲線部分はオーバーラッピング(ルーピング構造)を示している。
ここで、イベージョンラップ現象とは、糸の重なり上下の関係が、筬位置の上下に反する糸の重なり方になる現象をいう。通常、経編おいての糸の重なり方は筬の位置、上下の関係(編機前から見て手前が上筬、後ろが下筬)通りに糸が重なるが、上筬に位置するルーピング組織による糸(本実施形態の場合、非弾性糸)と下筬に位置する挿入組織による糸(本実施形態の場合、第1弾性糸)のアンダーラッピング方向が同一方向に組織される時、筬の位置の上下に反した糸の重なり方、すなわち、下筬の挿入糸が上筬の糸の上に重なるイベージョンラップの現象が起こり上下の糸が絡みつくような状態になる。
非弾性糸のルーピング構造は、挿入弾性糸との関係において、かかるイベージョンラップ現象を誘発する構造であれば限定されないが、デンビ(10/12//)、コード(10/23//)など、1コース毎で往復するようなルーピング構造は、非弾性糸と挿入弾性糸との関係において、イベージョンラップ現象を誘発したとしても、絡みが弱く不向きである。図1に例示するように、L1(非弾性糸)は、1コースで、好ましくは同一ウェールを少なくとも2コース連続した後に隣のウェールに渡る形が含まれる4コース以上で、リピートするルーピング組織による構造であり、さらに好ましくは4~12コースでリピートする構造であることが好ましい。
本実施形態の伸縮性経編地においては、前記地編組織中の非弾性糸と第1弾性糸が重なり同行する部分に、第2弾性糸を通過させる挿入構造とすることによって、前記した地編組織中のイベージョンラップ現象が誘発された構造内に第2弾性糸がさらに通過することになり、第1弾性糸と第2弾性糸の両者により地糸の非弾性糸のループが絞まり、第1弾性糸と第2弾性糸が地糸の非弾性糸のループの隙間でしっかりと固定される構造体が形成される。尚、図1~4に例示するように、L3(第2弾性糸)の挿入構造は、12、24、36、48コースなど12の倍数のリピートが好ましく、より好ましくは12、24コースリピートである。
図2~4に例示するように、L4(第3弾性糸)を導入する場合には、第2弾性糸と同様に、地編組織中の非弾性糸と第1弾性糸が重なり同行する部分を通過させる挿入構造としながらも、第2弾性糸の挿入方向とは線対称方向に挿入されている編組織とすることが好ましい。また、前記したように、第3弾性糸は、第2弾性糸と同じ原料系、紡糸法のものであり、同じ太さであることが好ましい。
本実施形態の伸縮性経編地においては、前記の1弾性糸と第2弾性糸がほつれ止め機能を発現する組織構造と第1弾性糸を除く第2以降の弾性糸がハーフセットに糸入れされることによって、メッシュ構造、部分的に弾性糸の密度が異なる、すなわちテンションの強い領域と弱い領域が混在することによってループが解れ難い生地構造となり、裁断したままで縁始末不要な伸縮性経編地を得ることが容易にできる。具体的には、1in1out、2in2outなど、弾性糸をフルにセットして挿入せず、1本おき、2本おき、3本おきと半分のセット本数にて編成することにより、容易にメッシュ構造が形成できる。ハーフセットの配置の仕方は、必要とされるメッシュ構造の穴径に合せて選択すればよい。但し、強度保持の観点で、2in2out~4in4outが好ましい。更に好ましい態様としては、第3弾性糸まで導入し、第2弾性糸と第3弾性糸で交絡点が最大化するように配置することが好ましい。具体的には、例えば、2in2outの場合、第2弾性糸は2in2out配置する一方で、第3弾性糸は1in2out1in配置など、第2と第3弾性糸の交絡点が最大化するように配置することができる。
また、本実施形態の伸縮性経編地においては、図4に例示するように、綿を交編されてなる伸縮性経編地を得ることもできる。特にインナー衣料における綿の需要は多く、吸湿や肌への低刺激性の面で好んで使用される。綿の太さは限定されるものではないが、30番単糸~100番単糸相当の太さのものが好ましい。また、綿を交編する場合は、最内筬に配置することが好ましい。また、形態安定性の観点から、ナイロンなどの合成繊維や弾性糸と交編することが好ましい。
本実施形態の伸縮性経編地は、例えば、ファンデーションやインナーウェア、スポーツウェア、アウターウェアなどの衣料、また資材用途など幅広く活用でき、特にインナー、スポーツなどの肌に密着するウェアでは、腕、足、首など衣料の開口部に裾始末をせずに裁断されたままで衣料を形成しても、ホツレやカーリングが発生し難いため、好適に使用できる。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
伸縮性経編地の製造には、カールマイヤー社製 RSE-5N、仕掛幅130インチ(330cm)、28ゲージ/インチ(2.54cm)のラッセル編機を使用し、各筬と糸種、配置と編成条件を以下のように設定して実施した。
また、上記の編機で製造した白生地(生機)は、一般的に使用される染色加工(精練→プレセット→染色→ファイナルセット)にて仕上げ、伸縮性に優れる経編地を得た。
[実施例1]
組織図を図1に示す。
L1(非弾性糸を配置する第一筬)にナイロン44dtex/34f(東レ株式会社製 ミラコスモ)をフルセットで配置し、組織を12/21/23/21/12/10//の6コースリピートのルーピング構造とした。
L2(第1弾性糸を配置する第二筬)にロイカ(登録商標、旭化成株式会社製、ポリウレタン弾性糸、タイプC-804)155dtexをフルセットで配置し、組織を22/11/33/11/22/00//の6コースリピートの挿入構造とした。
L3(第2弾性糸を配置する第三筬)にL2と同じロイカ(登録商標)155dtexをフルセットで配置し、組織を11/00/22/11/33/22/44/22/33/11/22/00//の12コースリピートの挿入構造とした。
[実施例2]
新たにL4(第3弾性糸を配置する第四筬)を使用して、図2の組織とした以外は実施例1と同様に実施した。
L4(第3弾性糸を配置する第四筬)にL2、L3と同じロイカ(登録商標)155dtexをフルセットで配置し、組織を44/22/33/11/22/00/11/00/22/11/33/22//の12コースリピートの挿入構造とした。
[実施例3]
L3、L4をハーフセットとする以外は実施例2と同様に実施し、良好なメッシュ構造経編地を得た。但しL3とL4の糸の配置は下記の通りであった:
L3:2in2out
L4:1in2out1in。
本構成時のL3、L4の糸配置状態を図3に示す。
[実施例4]
更にL5を使用して綿を交編させ、図4の組織とした以外は実施例3に実施して、吸湿性が良好なメッシュ構造経編地を得た。
L5には、綿 120双糸(日清紡株式会社製)をフルセットで配置し、組織を11/00/11/00/11/00//の6コースリピートの挿入組織とした。
[実施例5]
L2(第1弾性糸)をロイカ(登録商標)78dtex、L3(第2弾性糸)、L4(第3弾性糸)をそれぞれ44dtexとする以外は実施例3と同様に実施し、薄手軽量メッシュ構造経編地を得た。
Figure 0007133920000001
[比較例1]
組織図を図5に示す。
L1(非弾性糸を配置する第一筬)にナイロン44dtex/34f(東レ株式会社製 ミラコスモ)をフルセットで配置し、組織を12/21/23/21/12/10//の6コースリピートのルーピング構造とした。
L2(第1弾性糸を配置する第二筬)にロイカ(登録商標、旭化成株式会社製、ポリウレタン弾性糸、タイプC-805)44dtexをフルセットで配置し、組織を10/12//の2コースリピートのルーピング構造とした。
比較例1は、弾性糸が挿入構造ではなくルーピング構造を有する事例である。
[比較例2]
組織図を図6に示す。
L1(非弾性糸を配置する第一筬)にナイロン44dtex/34f(東レ株式会社製 ミラコスモ)をフルセットで配置し、組織を10/12//の2コースリピートのルーピング構造とした。
L2(第1弾性糸を配置する第二筬)にロイカ(登録商標)155dtexをフルセットで配置し、組織を11/00//の2コースリピートの挿入構造とした。
L3(第2弾性糸を配置する第三筬)にL2と同じロイカ(登録商標)155dtexをフルセットで配置し、組織を11/00/22/11/33/22/44/22/33/11/22/00//の12コースリピートの挿入構造とした。
比較例2は、非弾性糸がルーピング構造、第1、第2弾性糸ともに挿入構造により形成される経編地であるが、非弾性糸と第1弾性糸の動き方が、アンダーラッピングにおいて同一方向ではない事例である。
Figure 0007133920000002
実施例1~5、比較例1~2にて製造した白生地(生機)を、一般的に使用される染色加工(精練・リラックス:拡布リラクサー → プレセット:190℃ → 染色:液流染色95℃ → ファイナルセット:160℃)にて仕上げ、伸縮性に優れる経編地を得た。
得られた伸縮性経編地について、その特性を以下のように評価した。
[カール性]
経100mm×緯100mmの試験生地を、標準状態である温度20±2℃、相対湿度65±4%RHの雰囲気中に一晩(12時間以上)平場の上で放置し、経又は緯方向でめくり上がりが強い方の生地端面の接線と平場の角度を15度単位で計測し、カール性として評価した。0度は全くカールが見られない状態であり、90度までは使用に耐えうる状態、90度を超えるものは衣服が着用時にめくれ上がったり、衣服になる前の縫製工程にて折れ込みが起こり得る水準であり、好ましくない。
[裁ち端]
以下の評価基準で裁ち端を評価した:
○:裁ち端の非弾性糸の長さが1mm未満で、非弾性糸のフィラメントがほとんどばらけていない
△:裁ち端の非弾性糸の長さが1mm未満で、非弾性糸のフィラメントがばらけている
×:裁ち端の非弾性糸の長さが1mm以上である
尚、ばらけの程度に関しては、1本の非弾性糸の中のフィラメント最外糸同志の角度が60°を超えるものを「ばらけている」と判断した。
サンプリングは、カール評価用生地は経100mm×緯100mmとし、裁ち端評価用生地は経100mm×緯150mmに編み始め方向より30°、45°、60°の角度、また編み終わり方向からも30°、45°、60°の角度で50mmの切り込みを合計6か所入れたものを使用した。
[洗濯処理]
JIS L-0217 の付表1[記号別の試験方法-洗い方(水洗い)]の番号103に規定の試験方法(103法)により実施した。
Figure 0007133920000003
実施例1~5では、仕上り生地、及び上記洗濯処理により生地が伸縮された後でも、カーリングも少なく、また裁ち端の形状も変化が少ないことが分かった。
本発明に係る伸縮性経編地は、等方性の伸縮性を発揮することができ、また容易にパワー変化が可能であり、更に裁断状態のままで縁始末が不要な伸縮性経編地あるため、例えば、ファンデーションやインナーウェア、スポーツウェア、アウターウェアなどの衣料、またカーテンやテーブルクロス、建築資材、ラッピング材などの資材用途など、裁断したままで活用される衣料や資材用途で幅広く利用できる。本発明に係る伸縮性経編地は、特に、ストレッチ性が必須とされる人体に密着する衣料であるインナーウェアやスポーツウェアなどの衣料において裁断後の縁始末が不要となるため、特に有用である。
L1 第一筬(非弾性糸)
L2 第二筬(第1弾性糸)
L3 第三筬(第2弾性糸)
L4 第四筬(第3弾性糸)
L5 第五筬(綿 120双糸)

Claims (5)

  1. 非弾性糸と少なくとも種類の挿入弾性糸からなる伸縮性経編地であって、該非弾性糸がループの連結により形成される組織を支持組織とし、該非弾性糸と第1弾性糸の編地中のアンダーラッピング方向が同一方向となると共に重なり同行する部分が含まれる組織を地編組織とし、かつ、該地編組織中の非弾性糸と第1弾性糸が重なり同行する部分を第2弾性糸が通過し、かつ、第3弾性糸が、該地編組織中の非弾性糸と第1弾性糸が重なり同行する部分を通過するように構成されながらも、第2弾性糸の挿入方向とは線対称方向に挿入されていることを特徴とする前記伸縮性経編地。
  2. 前記第1弾性糸を除く第2以降の弾性糸がハーフセットに糸入れされて、メッシュ構造を示す、請求項に記載の伸縮性経編地。
  3. 更に綿が交編されている、請求項1又は2に記載の伸縮性経編地。
  4. 前記非弾性糸を上筬に用い、前記第1弾性糸を挿入糸として下筬に用いる経編機で編成したとき、下筬に挿入された第1弾性糸が、上筬の非弾性糸の上に重なるイベージョンラップ現象が生じている、請求項1~のいずれか1項に記載の伸縮性経編地。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載の伸縮性経編地が裁断されたままで、縁始末不要な状態の縁が形成されている衣料。
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