JP5685028B2 - 改善した曲げ損失を有するマルチモード光ファイバ - Google Patents

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Description

本発明は、光ファイバ伝送の分野に関し、より具体的には、光ファイバの開口数を著しくは増加させずに少ない曲げ損失を有するマルチモード光ファイバに関する。
標準的な方式では、光ファイバは、光信号を伝送しオプションとして光信号を増幅する機能の光コア、およびコアの内部に光信号を閉じ込める機能の外側光クラッドから構成されている。この目的を達成するために、コアの屈折率nおよびクラッドの屈折率nは、n>nである。
屈折率プロファイルは、屈折率と光ファイバの半径とを関係付ける関数のグラフを意味する。標準的な方式では、光ファイバの中心までの距離がx軸上に示され、y軸上には、その半径位置における屈折率と外側光クラッドの屈折率との間の差が示されている。一般に、屈折率プロファイルは、それ自体の現れ方にしたがって特定される。したがって、屈折率プロファイルは、それぞれステップ形や、不等辺四角形や、三角形や、またはグレーデッド(graded)形を有するグラフに対して、「ステップ」や、「不等辺四角形」や、「三角形」や、または「アルファ」の用語で説明されている。これらの曲線は、ファイバの理論的プロファイルまたは設定プロファイルを現しているが、ファイバの製造上の制約がわずかに異なるプロファイルをもたらすことがある。
光ファイバの2つの主なタイプが存在し、マルチモードファイバおよび単一モードファイバである。マルチモードファイバでは、所与の波長に対して、いくつかの光モードが光ファイバに沿って同時に伝搬されるが、単一モードファイバでは、高次のモードは大きく減衰される。
「アルファ」プロファイルの中心コアを有するマルチモードグレーデッドインデックスファイバが、長年にわたって使用されてきている。その特性は、特に、D.Glogeらによる「Multimode theory of graded−core fibers」、Bell system Technical Journal 1973,pp 1563−1578に記載されており、G.Yabreによる「Comprehensive theory of dispersion in graded−index optical fibers」、Journal of Lightwave Technology,February 2000,Vol.18,No.2,pp 166−177に要約されている。
グレーデッドインデックスプロファイル、またはアルファインデックスプロファイル(α)−これら2つの用語は同等である−は、光ファイバのある点から中心までの距離rに応じてある点における屈折率値n間の関係によって定義することができる:
Figure 0005685028
ここで、α≧1、
、マルチモードコアの最大インデックス、
、マルチモードコアの半径、および
Figure 0005685028
であり、ここで、nはマルチモード中心コアの最小インデックスであり、一般に(多くの場合、石英で作られる)外側光クラッドのインデックスに対応する。
しかしながら、各モードは、それ独自の伝搬定数で伝搬され、その伝搬定数と光ファイバの屈折率プロファイルおよび波長の関数である実効屈折率neffが関係付けられる。
図1は、従来技術によるαプロファイル光ファイバの屈折率プロファイルを示す。下側のx軸は、光ファイバの半径を示し、左側のy軸は、光ファイバのαプロファイルの屈折率を示す。マルチモードαプロファイル光ファイバは、それゆえ、任意の半径方向において屈折率の値が光ファイバの中心からその外縁へと連続的に減少するように回転対称の中心コアプロファイルを有する。グラフは、また、光ファイバ中を伝搬されるモードを示す。右側のy軸は、伝搬モードの相対的な実効屈折率、すなわちそのモードの実効屈折率と外側光クラッドの屈折率との間の差を示す。上側のx軸上に示されたアジマスインデックスと呼ばれるリファレンスは、各モードに対応する。代表的には、モードは、グラフの水平方向に見た目で分かるモードのグループに集まる。例えば、図示されたファイバは、18個のモードグループを含む。
光ファイバの開口数(NA)は、次式によって定義される:
Figure 0005685028
ここで、neff,minおよびneff,maxは、OFL(overfilled launched)条件下で、すなわちファイバ入力における信号の励振が伝搬モードの全体にわたり一様であるときに、ファイバ出力において測定される信号中に含まれるモードの、それぞれ最小実効屈折率および最大実効屈折率である。
しかしながら、開口数の良い近似は、次式により得られる:
Figure 0005685028
ここで、nmaxおよびnminは、光ファイバ屈折率プロファイルの、それぞれ最大実効屈折率および最小実効屈折率である。
中心コアと外側光クラッドとの間に低くしたトレンチ(depressed trench)を追加することによってマルチモードグレーデッドインデックス光ファイバの曲げ損失を少なくすることが知られている。しかしながら、かかる低くしたトレンチを追加することは、結果として漏れモードとして知られる追加の伝搬モードを発現させることになる。
図2は、低くしたトレンチが中心コアと外側光クラッドとの間に追加されている図1に示したような従来技術による光ファイバの屈折率プロファイルを示す。追加の伝搬モードは、図1に対して観測され、相対的な実効屈折率のゼロ値よりも下に位置している。これらの追加の伝搬モードすなわち漏れモードは、5個のモードグループに配置されている。漏れモードは、ガイデッドモードの実効屈折率よりも小さな実効屈折率を有する。これは、低くしたトレンチのないグレーデッドインデックス光ファイバと比較して、低くしたトレンチを含んでいるグレーデッドインデックス光ファイバ中の開口数NAの増加につながる。開口数のかかる相違は、低くしたトレンチのあるグレーデッドインデックスファイバおよび低くしたトレンチのないグレーデッドインデックスファイバを含むシステム内での接続中の損失につながることがある。これゆえ、グレーデッドインデックスプロファイルへの低くしたトレンチの追加は、望ましくないNAの増加を引き起こす。したがって、低くしたトレンチを追加した結果としてのNAの増加を制限することが望ましい。
文献米国特許出願公開第2008/0166094号および国際公開第2008/085851号は、グレーデッドインデックス光ファイバ中の曲げ損失を少なくするために低くしたトレンチを使用することを開示している。しかしながら、これらの文献は、開口数が、低くしたトレンチのないグレーデッドインデックスファイバの開口数に対して、ほんのわずかしか大きくならないことをどのようにして確実にするかを述べていない。言い換えると、低くしたトレンチの追加に起因する開口数の大きな増加をどのようにして回避するかである。
文献国際公開第2006/010798号は、グレーデッドインデックス中心コアおよび低くしたトレンチを含んでいる光ファイバを記載している。中心コアのグレーデッドインデックスプロファイルは、低くしたトレンチの底の位置まで、外側光クラッドの屈折率よりも低く伸びている。言い換えると、低くしたトレンチの始まりにおいて屈折率の急激な低下はないが、その代わりに、低くしたトレンチの底に達するまで緩やかに減少している。低くしたトレンチの底の位置まで、外側光クラッドの屈折率よりも下へアルファ形の中心コアを伸ばすことは、曲げ損失を少なくすることを制限するが、一方で開口数をさらに大きくする。これは、したがって望ましくない。その上、文献国際公開第2006/010798号は、開口数が、低くしたトレンチのないグレーデッドインデックス光ファイバの開口数に対して、ほんのわずかしか大きくならないことをどのようにして確実にするかを示していない。
米国特許出願第2008/0166094号明細書 国際公開第2008/085851号パンフレット 国際公開第2006/010798号パンフレット 米国特許第5,522,007号明細書 米国特許第5,194,714号明細書 米国特許第6,269,663号明細書 米国特許第6,202,447号明細書 国際公開第2009/078962号パンフレット
D.Glogeら、「Multimode theory of graded−core fibers」、Bell system Technical Journal 1973,pp 1563−1578 G.Yabre、「Comprehensive theory of dispersion in graded−index optical fibers」、Journal of Lightwave Technology,February 2000,Vol.18,No.2,pp 166−177 KASHIMAら、「Transmission characteristics of graded−index optocal fibers with a lossy outer layer」、APPLIED OPTICS USA、vol.17、no.8、15 avril 1978、pages 1199−1207
したがって、少ない曲げ損失を有するが、光ファイバの開口数を著しくは大きくしないグレーデッドインデックス光ファイバに対する要求がある。
上記の目的のために、本発明は、請求項1によるマルチモード光ファイバを提案している。
一実施形態によれば、ファイバは、同じ屈折率プロファイルを有するが低くしたトレンチのないファイバに対して開口数の拡大が0.015未満である。
一実施形態によれば、光ファイバは、同じ屈折率プロファイルを有するが低くしたトレンチのないファイバに対して開口数の拡大が0.010未満である。
一実施形態によれば、光ファイバは、直径62.5±3μmの中心コアおよび0.275±0.015の開口数を有する。
一実施形態によれば、光ファイバは、直径50±3μmの中心コアおよび0.2±0.015の開口数を有する。
一実施形態によれば、光ファイバは、−6×10−3と−15×10−3との間にある、外側光クラッドに対しての低くしたトレンチの屈折率差Δnを有する。
一実施形態によれば、光ファイバは、−7×10−3と−10×10−3との間にある、外側光クラッドに対しての低くしたトレンチの屈折率差Δnを有する。
一実施形態によれば、光ファイバは、4.5μmよりも小さく、好ましくは1.5μm以上または2μm以上である、低くしたトレンチの幅Wtを有する。
一実施形態によれば、内側クラッドの半径rと中心コアの半径rとの間の差(すなわち内側クラッドの幅)は、0と5μmとの間を含む。
一実施形態によれば、光ファイバは、0μmである、内側クラッドの半径rと中心コアの半径rとの間の差を有し(すなわち、r=r)、したがって、低くしたトレンチが中心コアと直接接触する。
一実施形態によれば、光ファイバは、15mmの曲率半径の周りに2回巻の状態で850nmの波長において、同じインデックスプロファイルを有するが低くしたトレンチのない光ファイバに対して少なくとも40%だけ少ない曲げ損失を有する。
一実施形態によれば、光ファイバは、10mmの曲率半径の周りに2回巻の状態で850nmの波長において、同じインデックスプロファイルを有するが低くしたトレンチのない光ファイバに対して少なくとも30%だけ少ない曲げ損失を有する。
一実施形態によれば、光ファイバは、7.5mmの曲率半径の周りに2回巻の状態で850nmの波長において、同じインデックスプロファイルを有するが低くしたトレンチのない光ファイバに対して少なくとも20%だけ少ない曲げ損失を有する。
一実施形態によれば、光ファイバは、5mmの曲率半径の周りに2回巻の状態で850nmの波長において、同じインデックスプロファイルを有するが低くしたトレンチのない光ファイバに対して少なくとも20%だけ少ない曲げ損失を有する。
本発明の他の特徴および利点は、単に例として与えられ図面を参照して、下記の本発明の実施形態の詳細な説明を読むと明らかになるであろう。
アルファ(α)屈折率プロファイルを有する光ファイバの屈折率プロファイルおよび光ファイバ中を伝搬するモードを示す図である。 追加の低くしたトレンチを含む図1の光ファイバの屈折率プロファイルおよび光ファイバ中を伝搬するモードを示す図である。 従来技術による光ファイバの屈折率プロファイルの一例を示す図である。 図2に説明した光ファイバ中の、モードの相対的な実効屈折率に応じて漏れモードの漏れ損失を示すグラフである。 モードの主モード数に応じて、異なる低くしたトレンチボリュームを有する光ファイバ中を伝搬するモードにおけるモードパワー分布を示す図である。 低くしたトレンチのボリュームに応じて、低くしたトレンチが追加された光ファイバ中に誘起される、結果として生じる開口数の増加を示す図である。 低くしたトレンチのボリュームに応じて、5mmと15mmとの間で変化する曲率半径Rcの周りに2回巻の状態での曲げ損失を示す図である。 本発明による光ファイバの屈折率プロファイルの別の一例を示す図である。 2μmの幅で異なる深さのトレンチを有するトレンチ補助型マルチモードファイバのOFL条件下で2m後ろのモードパワー分布を示す図である。
従来技術による光ファイバの屈折率プロファイルが、図3を参照してより良く説明される。本発明による光ファイバの屈折率プロファイルが、図8を参照してより良く説明される。従来技術による光ファイバは、半径rおよび外側光クラッドに対してアルファインデックスプロファイルを有する中心コア、および幅W(μm)およびトレンチ自体の屈折率と外側光クラッドの屈折率との間のインデックス差Δnを有する低くしたトレンチを含むマルチモード光ファイバである。低くしたトレンチのボリュームV(μm)は、式V=1000×W×Δnによって定義される。本発明による光ファイバは、半径rおよび外側光クラッドに対してアルファインデックスプロファイルを有する中心コアと、半径rおよび外側光クラッドに対しての屈折率差Δnを有する内側クラッドと、幅W(μm)およびトレンチ自体の屈折率と外側光クラッドの屈折率との間のインデックス差Δnを有する低くしたトレンチとを含むマルチモード光ファイバである。低くしたトレンチのボリュームV(μm)は、式V=1000×W×Δnによって定義される。本発明による光ファイバは、グレーデッド中心コアの端と外側光クラッドとの間の屈折率差がゼロであり、低くしたトレンチのボリュームVが−40μmと−30μmとの間で構成される。低くしたトレンチのボリュームVの値の範囲およびグレーデッド中心コアの端と外側光クラッドとの間の屈折率差の値の範囲は、低くしたトレンチ中を伝搬される漏れモードが限定されたパワーを有することを確実にする。したがって、漏れモードは、本発明による光ファイバによって伝送される信号に対して限定された大きさだけ寄与し、開口数は、低くしたトレンチのないグレーデッドインデックスファイバと比較して限定された大きさにまで大きくなる。したがって、本発明によるグレーデッドインデックス光ファイバは、それ自体の開口数を著しく大きくしないで、曲げ損失を少なくする。本発明による光ファイバの利点は、下記により詳細に説明される。
低くしたトレンチを含むマルチモードグレーデッドインデックス光ファイバでは、漏れモードは、光ファイバ中のそれ自体の伝搬中に漏れ損失を経験する。図4は、光ファイバの屈折率プロファイルが図2に説明されている光ファイバ中の相対的な実効屈折率に応じて、漏れモードによって経験された漏れ損失をdB/mで示す。5つの連続するグラフは、別々のモードグループのそれぞれを示す。
モードグループのグラフを比較することによって、−2.5×10−3よりも小さな実効屈折率を有するモードグループは、漏れ損失が1dB/mよりも大きなモードを有することが観測される。しかしながら、−2.5×10−3よりも大きな実効屈折率を有するモードグループは、1dB/mよりも小さいことがあり得る漏れ損失のモードを有する。したがって、モードグループの実効屈折率が低いほど、漏れ損失が大きい。その結果、漏れモードグループは、それ自体の実効屈折率の値に応じて、ファイバに沿って伝搬する信号に対して違うように寄与する。
開口数の計算における漏れモードの影響は、図5を参照してより良く理解されるであろう。図5は、OFL(過剰発射)条件における励振、すなわちすべてのモードグループにおいて一様な励振、を経験した光ファイバ中で2メートルを伝搬した後のモードグループにおけるパワー分布を示す。x軸は、主モード数すなわち各モードグループの次数を示す。
曲線1から10は、9μmの低くしたトレンチ幅および−1×10−3と−10×10−3との間で構成される屈折率差Δnを有するグレーデッドインデックス光ファイバについて集められている。言い換えると、曲線1から10は、ファイバの低くしたトレンチのボリュームが−9と−90μmの間で変化するファイバに対応する。
「REF」と示された図5中の曲線は、低くしたトレンチのないグレーデッドインデックス光ファイバのリファレンス曲線特性である。18個の第1のモードグループが増加するパワー寄与を有することが観測される。18番目のモードグループは、光ファイバの開口数を計算するときに、そのグループに対して実効屈折率が最小実効屈折率neff,minとして使用されるモードグループである。したがって、0.190の開口数が、そのときには得られる。
リファレンスファイバに低くしたトレンチを追加することによって、さらに多くのモードグループが追加される。例えば、曲線6は、幅9μmで−6×10−3のインデックス差のトレンチが追加されたリファレンスファイバに対応する。曲線6が、リファレンス曲線と比較して8個の追加の漏れモードグループ、すなわち次数19から26のモードグループを有することが、観測される。曲線6に対応する光ファイバの開口数を計算するときに、次数26のモードグループは、その実効屈折率が最小実効屈折率neff,minとして使用されるモードグループでなければならない。
しかしながら、開口数を計算するときに、次の関係が満足される場合には、モードグループの寄与が著しいと考えられる:
Figure 0005685028
ここで、nは次数mのモードグループ中のモードの数であり、αは次数mのモードグループのi番目のモードのdB/mで表わした漏れ損失であり、
Figure 0005685028
は、分数
Figure 0005685028
の整数部である。
この関係は、やはり、関数
Figure 0005685028
を表わしている図5中にステップの形式で示された限度曲線によって図式的に示されることができる。したがって、光ファイバに関しては、限度曲線の上方に位置するそれ自体のパワー分布を表わす点を有する最後のモードグループが、光ファイバの開口数を計算するときに、その実効屈折率がneff,minとして使用されることができるモードグループである。
9μmの幅で外側光クラッドと−6×10−3の屈折率差を有する低くしたトレンチを有する光ファイバの例では、光ファイバのパワー分布を表わす点が限度曲線の上方に位置する最後のモードグループは、次数22のモードグループである。次数1と22のモードグループの実効屈折率を考慮することによって、0.214の開口数が得られる。このようにして得た開口数の値は、光ファイバ中を伝搬する最後のモードグループである次数26のモードグループの実効屈折率を考慮することによって得られるはずの値よりも小さい。しかしながら、この値は、動作条件下での低くしたトレンチを含むマルチモード光ファイバの実際の開口数を反映している。
したがって、より高次のモードグループによって経験される減衰が、ファイバの開口数を計算するときに無視されることを容認する。
図5中の曲線は、やはり、低くしたトレンチによって追加される漏れモードグループの数が低くしたトレンチのボリュームに依存することを示している。
本発明による光ファイバは、曲げ損失を著しく少なくすることを可能にしつつ、低くしたトレンチのない光ファイバに対して開口数の増加を制限することを可能にする−40μmと−30μmとの間で構成される低くしたトレンチボリュームを有する。
低くしたトレンチのボリュームの値の範囲は、図6および図7のグラフを参照することによってより良く理解されるであろう。
図6のグラフは、y軸上に、低くしたトレンチを有するαプロファイルマルチモード光ファイバの開口数とリファレンスマルチモード光ファイバ、すなわち低くしたトレンチのない同等のアルファ(α)プロファイルを有するマルチモード光ファイバとの間の差を示している。低くしたトレンチのボリュームが、x軸上に示されている。グラフは、0.200の開口数を有するリファレンス光ファイバおよび0.215の開口数を有するリファレンス光ファイバについての結果を示している。
図7のグラフは、y軸上に、低くしたトレンチを有するαプロファイルマルチモード光ファイバについて、5mmと、7.5mmと、10mmと、15mmとの曲率半径Rcで2回巻の状態で850nmの波長における曲げ損失を示している。低くしたトレンチのボリュームがx軸上に示されている。
2つのグラフ上には、複数の対(W,Δn)が同じボリューム値に対して示されている。
類似の屈折率プロファイルを有するが低くしたトレンチのない光ファイバと比較して、−40μmよりも小さなボリュームの低くしたトレンチを有するαプロファイルマルチモード光ファイバが、@850nmで2回巻の状態で、Rc=15mmで少なくとも60%だけ少なく、Rc=10mmで少なくとも50%だけ少なく、Rc=7.5mmで少なくとも40%だけ少なく、Rc=5mmで少なくとも40%だけ少ない曲げ損失を有することが、観測されている。しかしながら、光ファイバの開口数は、低くしたトレンチのない同等のαプロファイルマルチモード光ファイバに対して0.015よりも多く大きくなることがある。これは、低くしたトレンチのない光ファイバに接続する場合に損失をもたらすことがある。
やはり、−30μmよりも大きなボリュームの低くしたトレンチを有するαプロファイルマルチモード光ファイバが、低くしたトレンチのない同等のαプロファイルマルチモード光ファイバに対して0.010よりも小さな開口数の増加を示すことが観測される。しかしながら、−30μmよりも大きなボリュームを有する低くしたトレンチを用いると、類似のインデックスプロファイルを有するが低くしたトレンチのないファイバに対して、@850nmで2回巻の状態での曲げ損失は、Rc=15mmについて最大でも40%だけ少なく、Rc=10mmについて最大でも30%だけ少なく、Rc=7.5mmについて最大でも20%だけ少なく、Rc=5mmについて最大でも20%だけ少なくなる。低くしたトレンチの追加は、曲げ損失を少なくすることにおいてそのようにさほど重大ではない。
本発明による光ファイバは、同じ屈折率プロファイルを有するが低くしたトレンチのない光ファイバと比較したときに、0.015よりも小さいまたは0.010よりも小さいことさえある開口数の増加を可能にする低くしたトレンチボリュームを有する。言い換えると、本発明による光ファイバは、低くしたトレンチの追加のために直面する開口数の増加を制限する。@850nmで2回巻の状態で、本発明による光ファイバ中の曲げ損失は、低くしたトレンチのない類似のインデックスプロファイルを有する光ファイバに対して、Rc=15mmについて少なくとも40%だけ少なく、Rc=10mmについて少なくとも30%だけ少なく、Rc=7.5mmについて少なくとも20%だけ少なく、Rc=5mmについて少なくとも20%だけ少なくされる。そのように、ファイバは、曲げ損失を著しく少なくすることを可能にしつつ、低くしたトレンチのないファイバに対しての開口数の増加を制限することを可能にする。
本発明による光ファイバでは、グレーデッド中心コアの端と外側光クラッドとの間の屈折率差がゼロである。本発明による光ファイバは、したがって、(例えば、WO−A−2006/010798による)類似のプロファイルを有するが外側光クラッドの下へ伸びている中心コアを有する光ファイバの曲げ損失よりも小さな曲げ損失を有する。例えば、小さな曲率半径およびより高次のモードに関しては、本発明による光ファイバは、類似の屈折率プロファイルを有するが外側光クラッドの下へ伸びている中心コアを有する光ファイバに対して10分の1の曲げ損失を有する。
本発明による光ファイバは、光ファイバの帯域幅を改善するために、中心コアと低くしたトレンチとの間に構成された半径rの内側クラッドを含む。好ましくは、半径rは、光ファイバの帯域幅の改善と製造コストの増加との間の妥協点を得るために0と5μmとの間を含む。
「REF」と記された図9中の曲線は、低くしたトレンチのないグレーデッドインデックス光ファイバのリファレンス曲線特性である。18個の第1のモードグループが増加するパワー分布を有することが観測される。18番目のモードグループは、光ファイバの開口数を計算するときに、そのグループに対して実効屈折率が最小実効屈折率neff,minとして使用されるモードグループである。0.190の開口数が、そのときには得られる。
本発明による光ファイバの一例では、光ファイバは、中心コアと、中心コアと直接接触する内側クラッドと、内側クラッドと直接接触する低くしたトレンチと、外側光クラッドとから構成される。
本発明による光ファイバは、標準ファイバへの接続を可能にするために、マルチモードファイバの中心コア直径の典型値および開口数の典型値を有することができる。したがって、光ファイバは、例えば、62.5±3μmの中心コア直径および0.275±0.015の開口数を有することができる。光ファイバは、例えば、50±3μmの中心コア直径および0.2±0.015の開口数を有することができる。
本発明による光ファイバは、最終プリフォームから線引きすることによって製造されることができる。
最終プリフォームは、外側オーバークラッド層を一次プリフォームに与えること(すなわち、オーバークラッディング処理)によって製造されることができる。外側オーバークラッド層は、ドープされたまたはアンドープの、天然または合成の、石英ガラスからなる。いくつかの方法が、外側オーバークラッド層を与えるために利用可能である。
方法の第1の例では、外側オーバークラッド層は、熱を与えた状態で一次プリフォームの外周上に天然石英粒子または合成石英粒子を堆積しガラス化することによって与えられることができる。かかる処理は、例えば、米国特許第5,522,007号と、第5,194,714号と、第6,269,663号と、第6,202,447号とから知られる。
方法の別の一例では、一次プリフォームは、ドープされてもドープされなくてもよい石英スリーブ管を使用してオーバークラッドされることができる。このスリーブ管は、次に一次プリフォーム上へとコラプシングされることができる。
方法のさらに別の一例では、オーバークラッド層は、外側気相堆積(OVD)法を介して付けられることができる。ここで、スート層が、まず一次プリフォームの外周上に堆積され、次にスート層がガラスを形成するためにガラス化される。
一次プリフォームは、外側気相堆積(OVD)および気相軸付け(VAD)などの、外側気相堆積技術を介して製造されることができる。あるいは、一次プリフォームは、ガラス層がドープされたまたはアンドープの石英ガラスの基材管の内側表面上に堆積される内側堆積技術、例えば、内付け化学気相堆積(MCVD)や、炉化学気相堆積(FCVD)や、プラズマ化学気相堆積(PCVD)を介して製造されることができる。
実施形態の一例では、一次プリフォームは、中心コアの傾斜屈折率プロファイルの形状が非常に精密に制御されることを可能にするPCVD処理を使用して製造される。
低くしたトレンチは、化学気相堆積処理の一部として基材管の内側表面上に堆積されることができる。より典型的には、低くしたトレンチは、いずれか(i)傾斜屈折率中心コアの堆積のための内側堆積処理の開始点としてフッ素ドープの基材管を使用することによって、または(ii)中心コア自体が外側堆積処理(例えば、OVDまたはVAD)を使用して作られることができる傾斜屈折率中心コアを覆ってフッ素ドープの石英管をスリービングすることによって、製造されることができる。
実施形態のさらに別の一例では、一次プリフォームは、フッ素ドープの基材管を使用して内側堆積処理を介して製造される。堆積した層を含む結果として生じる管は、低くしたトレンチの厚みを増加させるために、またはトレンチの幅全体にわたり変化する屈折率を有する低くしたトレンチを作り出すために、1つまたは複数の追加のフッ素ドープの石英管によってスリーブを付けられることができる。必ずしも要求されないが、1つまたは複数の追加のスリーブ管(例えば、フッ素ドープの基材管)は、オーバークラッディング工程が実行される前に、一次プリフォーム上へとコラプシングされることがある。スリービングおよびコラプシングの処理は、時にはジャケッティングと呼ばれ、一次プリフォームの外側上に複数のガラス層を作るために繰り返されることがある。
当然のことながら、本発明は、例として説明した実施形態に限定されない。本発明による光ファイバは、システムの他の光ファイバと優れた互換性を有する多くの伝送システムに導入されることができる。
本発明による光ファイバは、特許請求の範囲中により詳細に開示されている。

Claims (13)

  1. 中心から外縁へと、中心コアと、内側クラッドと、低くしたトレンチと、外側光クラッドとを含み、
    −中心コアが半径rおよび外側光クラッドに対してアルファ屈折率プロファイルに基づくグレーデッドインデックスプロファイルを有し、
    −内側クラッドが外側半径rおよび外側光クラッドに対して屈折率差Δnを有し、
    −低くしたトレンチが幅Wおよび外側光クラッドに対してトレンチの幅W の全域において一定の屈折率差Δnを有する、
    マルチモード光ファイバであって、
    中心コアのアルファインデックスプロファイルの端と外側光クラッドとの間の屈折率差がゼロであり、ボリュームが式V=1000×Wt×Δnによって定義される低くしたトレンチのボリュームVが−40μmと−30μmとの間で構成され、
    外側光クラッドに対しての低くしたトレンチの屈折率差Δnが−7×10−3と−10×10−3との間であることを特徴とする、マルチモード光ファイバ。
  2. 光ファイバが低くしたトレンチのない同じ屈折率プロファイルを有する光ファイバに対して開口数の拡大が0.010未満である、請求項1に記載のファイバ。
  3. 低くしたトレンチの幅Wが4.5μmよりも小さい、請求項1または2に記載のファイバ。
  4. 低くしたトレンチの幅Wが1.5μmよりも大きい、請求項3に記載のファイバ。
  5. 低くしたトレンチの幅Wが2μmよりも大きい、請求項3に記載のファイバ。
  6. 内側クラッドの外側半径rと中心コアの半径rとの間の差が0と5μmとの間で構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のファイバ。
  7. 内側クラッドの外側半径rと中心コアの半径rとの間の差が0μmであり、低くしたトレンチが中心コアと直接接触する、請求項6に記載のファイバ。
  8. 中心コアが62.5±3μmの直径および0.275±0.015の開口数を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のファイバ。
  9. 中心コアが50±3μmの直径および0.2±0.015の開口数を有する、請求項1または2に記載のファイバ。
  10. 15mmの曲率半径の周りに2回巻の状態で850nmの波長において、同じインデックスプロファイルを有するが低くしたトレンチのない光ファイバに対して少なくとも40%だけ少ない曲げ損失を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のファイバ。
  11. 10mmの曲率半径の周りに2回巻の状態で850nmの波長において、同じインデックスプロファイルを有するが低くしたトレンチのないファイバに対して少なくとも30%だけ少ない曲げ損失を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のファイバ。
  12. 7.5mmの曲率半径の周りに2回巻の状態で850nmの波長において、同じインデックスプロファイルを有するが低くしたトレンチのないファイバに対して少なくとも20%だけ少ない曲げ損失を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のファイバ。
  13. 5mmの曲率半径の周りに2回巻の状態で850nmの波長において、同じインデックスプロファイルを有するが低くしたトレンチのないファイバに対して少なくとも20%だけ少ない曲げ損失を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のファイバ。
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