JP6744074B2 - 光ファイバグレーティング用光ファイバおよびファイバレーザ装置 - Google Patents
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Description
ファイバレーザ装置101は、励起用光源102と、光コンバイナ103と、光共振器104と、を備えている。
光共振器104は、増幅用コイル121を有する増幅用光ファイバ107と、第1の反射部122と、第2の反射部123と、を備えている。増幅用光ファイバ107の一端には入力側光ファイバ105が接続され、増幅用光ファイバ107の他端には出力側光ファイバ106が接続されている。増幅用光ファイバ107には、例えばYb添加コアファイバが用いられる。
光コンバイナ103は、複数のレーザダイオード11からの複数の励起光を結合する。
第2の反射部123は、出力側光ファイバ106の一部に設けられている。第2の反射部123は、増幅用光ファイバ107を伝搬するレーザ光の一部を反射させる。レーザ光は、第1の反射部122と第2の反射部123との間で共振し、増幅される。
第1の反射部122は高反射率(例えばほぼ100%)とされ、第2の反射部123は低反射率(例えば10%程度)とされる。
図10(A)に示すように、光ファイバ110は、光ファイバ裸線111と、光ファイバ裸線111の外周面に形成されたポリマークラッド層2と、ポリマークラッド層2の外周面に形成された保護被覆層3と、を有する。光ファイバ裸線111は、コア114およびそれを囲むクラッド5を有する。
コア114には、Geが添加されている。図10(B)では、Geが添加された領域に斜線のハッチングを付した。この図に示すように、Geはコア114の全体に添加され、Geの濃度はコア114の径方向に均一である。
(1)高出力のレーザ光を出力しても非線形光学効果(特に誘導ラマン散乱)による波長変換が生じないこと。
(2)出力するレーザ光がレンズにより集光しやすいこと。言い換えると、(ビーム品質を示す)M2が小さい値であること。
そのため、非線形光学効果を抑制するには、増幅用光ファイバ(Yb添加コアファイバ)の光路長を短くすることが有効である。
しかしながら、光路長を短くするには増幅用光ファイバのYb濃度を高くする必要があり、Ybの濃度が高くなると、フォトダークニングと呼ばれる現象によりレーザ出力パワーが低下するおそれがある。そのため、この手法により非線形光学効果を抑制することには限界がある。
しかしながら、コアの屈折率を小さくすると光の閉じ込めが難しくなり、曲げ損失が生じやすくなるために、ファイバレーザ装置のなかに光ファイバをコンパクトに収納することができなくなる。一般的には、コアの屈折率が0.1%未満になると実使用が難しくなると考えられる。
一方、コア径を大きくするとカットオフ波長が長波長になり、シングルモード条件を満たすことができなくなる。例えば、コアの屈折率が0.12%のとき、波長1060nmにおいてシングルモード条件を満たすためには、コア径は12μm程度(実効断面積は130μm2程度)までしか拡大できない。
この程度の実効断面積では、数百ワットクラスのCWファイバレーザ装置でも非線形光学効果が生じてしまう。
さらにコア径を大きく、例えば28μmにすると、実効断面積を410μm2程度まで大きくでき、非線形光学効果の抑制には好適である。このとき、波長1060nmにおいて伝搬可能なモードはLP01、LP11、LP21、LP02、LP31、LP12の6つである。直径100mm程度の曲げ条件で収納すれば、実質的にLP21、LP02、LP31、LP12はカットオフされるが、LP01とLP11は安定して伝搬する。
第1の高次モードであるLP11が安定して伝搬することから、このコアで共振器を構成すると、レーザ出力光にLP11が混入し、M2の値が大きくなってしまう。
前記光ファイバでは、活性元素であるYbの濃度分布を基本モードの電界強度分布に近づけることで、高次モードの利得を抑制して基本モードを優先的に増幅する。
しかしながら、Ybの添加領域を制限すると、クラッドポンプ光の吸収率を低減させるおそれがあるため、Yb添加コアファイバを長尺とする必要が生じる。また、共振器内の異種光ファイバの融着点(例えば図9において、入力側光ファイバ105と増幅用光ファイバ107との融着点108、増幅用光ファイバ107と出力側光ファイバ106との融着点109など)で生じるLP11モードを十分に抑制できないという問題があり、ビーム品質の向上が要望されていた。
前記コアは、前記中心部を含む内側領域と、前記内側領域の外周側の外側領域とを有することが好ましく、前記内側領域のGe濃度は、前記外側領域よりGe濃度より高くてよい。
前記外側領域は、Geが添加されていなくてもよい。
前記内側領域は、GeとBが共添加されていてもよい。
前記コアの径方向のGeの濃度分布は、前記少なくとも2つのLPモードのうち基本モードであるLP01モードのパワー分布に沿う分布としてよい。
前記コアには、Bが添加されてもよい。
前記コアの屈折率は、前記コアの径方向に一定とすることが好ましい。
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図4を用いて説明する。
図1は、本発明に係る光ファイバグレーティング用光ファイバの第1実施形態である光ファイバグレーティング用光ファイバ10(以下、単に光ファイバ10という)を示す断面図である。図2は、光ファイバ10の屈折率分布を示す図である。図3は、光ファイバ10を用いたファイバレーザ装置100を示す概略構成図である。図4は、LP01モードおよびLP11モードのパワー分布を示す図である。
図3に示すように、ファイバレーザ装置100は、励起用光源102と、光コンバイナ103と、光共振器104と、を備えている。
光共振器104は、増幅用コイル121を有する増幅用光ファイバ107と、第1の反射部22と、第2の反射部23と、を備えている。
増幅用光ファイバ107の一端には入力側光ファイバ25が接続され、増幅用光ファイバ107の他端には出力側光ファイバ26が接続されている。
増幅用光ファイバ107としては、例えばYb添加コアファイバが用いられる。
光コンバイナ103は、複数のレーザダイオード11からの複数の励起光を結合する。光コンバイナ103からの励起光は、入力側光ファイバ25を通して増幅用光ファイバ107に入力される。
第2の反射部23は、出力側光ファイバ26の一部に設けられている。第2の反射部23は、増幅用光ファイバ107を伝搬するレーザ光の一部を反射させる。レーザ光は、第1の反射部22と第2の反射部23との間で共振し、増幅される。
第1の反射部22の反射率は、第2の反射部23の反射率より高い。第1の反射部22の反射率は、例えば90%以上とすることができ、99%以上が好ましい。第2の反射部23の反射率は、例えば5〜50%とすることができ、5〜10%が好ましい。
図1は、本実施形態の光ファイバ10を示す断面図である。
光ファイバ10は、図3に示すファイバレーザ装置100において、入力側光ファイバ25と出力側光ファイバ26のうち少なくともいずれか一方として用いることができる。ここに示す光ファイバ10は、ポリマークラッド光ファイバであり、少なくとも入力側光ファイバ25として用いるのが好ましい。
なお、出力側光ファイバ26としては、ポリマークラッド層2がないこと以外は光ファイバ10と同様の構成の光ファイバを用いることができる。
光ファイバ裸線1は、石英系ガラスなどからなる。
ポリマークラッド層2は、光ファイバ裸線1の屈折率よりも低い屈折率を有する。
内側領域6は、コア4と同心の断面円形の領域である。内側領域6の外径は、コア4の外径に対して例えば30〜80%とすることができる。
中心部8は、コア4の中心4aを含む領域である。中心部8は、コア4と同心であって、コア4の外径に対して例えば5〜20%の外径を有する断面円形の領域である。
図2では、コア4においてGeが添加された領域に斜線のハッチングを付した。この図に示すように、Geは内側領域6にのみ添加されている。Geは内側領域6の全体に添加され、その濃度は内側領域6の径方向に均一であることが好ましい。
Ge以外の屈折率上昇ドーパントとしては、アルミニウム(Al)、リン(P)等がある。Al、P以外であっても、屈折率を上昇させるドーパントであって、紫外線を照射してFBG形成させる際にGeよりも屈折率変化が小さいドーパントであれば使用してよい。図2では、Ge以外の屈折率上昇ドーパントが添加された外側領域7に網かけのハッチングを付した。
このように、基本モード(LP01モード)と、高次モード(例えばLP11モード)とは、パワー分布が異なり、高次のモードではパワー分布は外側に広がる。
そのため、図9における光共振器104内の異種光ファイバの融着点(入力側光ファイバ105と増幅用光ファイバ107との融着点108、増幅用光ファイバ107と出力側光ファイバ106との融着点109など)で生じるLP11モードを十分に抑制できない。そのため、ビーム品質の良いレーザ光を得るのは難しかった。
そのため、光共振器104内の異種光ファイバの融着点(入力側光ファイバ25と増幅用光ファイバ107との融着点108、増幅用光ファイバ107と出力側光ファイバ26との融着点109など)で生じるLP11モードを十分に抑制することができる。したがって、ビーム品質の良いレーザ光が得られる。例えば、M2が1.3以下、好ましくは1.1以下であるレーザ光を得ることができる。
図5(A)は、本発明の第2実施形態である光ファイバの屈折率分布を示す図である。図5(B)は、この光ファイバにおいて、添加物の屈折率への寄与度を説明する図である。
なお、以下の説明において、第1実施形態の光ファイバ10との共通点については、同じ符号を付してその説明を省略する。
さらに、第2実施形態の光ファイバでは、内側領域16にBが添加されているため、感光性を高めることができる。そのため、光ファイバグレーティングの形成のための露光時間を短縮し、光ファイバグレーティングの形成の効率を高めることができる。
図6(A)は、本発明の第3実施形態である光ファイバの屈折率分布を示す図である。図6(B)は、この光ファイバにおいて、添加物の屈折率への寄与度を説明する図である。
Geの濃度分布がLP01モードのパワー分布に沿うとは、Geの濃度のピークの径方向位置が、LP01モードのピークの径方向位置に、一致(または略一致)することをいう。
コア24の径方向のGeの濃度分布は、図4に示すLP01モードのパワー分布と同じく中央にピークを有するため、コア24のGeの濃度分布は、LP01モードのパワー分布に沿うといえる。
第3実施形態の光ファイバにおいて、それ以外の構成は光ファイバ10と同じとしてよい。
図7(A)は、本発明の第4実施形態である光ファイバの屈折率分布を示す図である。図7(B)は、この光ファイバにおいて、添加物の屈折率への寄与度を説明する図である。
内側領域36の屈折率は外側領域37の屈折率と等しいため、コア34の屈折率は径方向に一定である。
第4実施形態の光ファイバにおいて、それ以外の構成は光ファイバ10と同じとしてよい。
さらに、内側領域36にBが添加されるため、第2実施形態と同様に、光ファイバグレーティングの形成のための露光時間を短縮し、光ファイバグレーティングの形成の効率を高めることができる。
図8(A)は、本発明の第5実施形態である光ファイバの屈折率分布を示す図である。図8(B)は、この光ファイバにおいて、添加物の屈折率への寄与度を説明する図である。
図8(B)に示すように、コア44における径方向のGeの濃度分布は、中央にピークを有する滑らかな山形の曲線をなす。このGeの濃度分布は、図4に示すLP01モードのパワー分布に沿う。
Bと、Ge以外の屈折率上昇ドーパントとは、それぞれ、中央で最も低くなる谷形の曲線をなす分布となるように添加される。
コア44の屈折率は径方向に一定となっている。
第5実施形態の光ファイバにおいて、それ以外の構成は光ファイバ10と同じとしてよい。
また、Bが添加されるため、第2実施形態と同様に、光ファイバグレーティングの形成のための露光時間を短縮し、光ファイバグレーティングの形成の効率を高めることができる。
さらに、Ge以外の屈折率上昇ドーパントも添加されるため、Bの添加量の調整が可能である。
例えば上記実施形態では、コアの屈折率は径方向に一定であるが、コアの屈折率が径方向に一定でない構成、例えば、内側領域の屈折率と外側領域の屈折率とが互いに異なる構成も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、ファイバレーザ装置の各構成要素の形状、配置、材料等に関する具体的な記載は、上記実施形態に限らない。本発明は、CWファイバレーザ装置、パルスファイバレーザ装置のいずれにも適用可能である。
Claims (11)
- 次数が異なる少なくとも2つのLPモードが伝搬可能なコアを有する光ファイバグレーティング用光ファイバであって、
前記コアにはGeが添加され、前記コアの中心部におけるGe濃度が、前記コアの外周縁におけるGe濃度より高く、
前記コアは、前記中心部を含む内側領域と、前記内側領域の外周側の外側領域とを有し、
前記外側領域の屈折率は、前記内側領域の屈折率と等しく、前記内側領域の屈折率分布と前記外側領域の屈折率分布が、ともに半径方向において一定である、光ファイバグレーティング用光ファイバ。 - 次数が異なる少なくとも2つのLPモードが伝搬可能なコアを有する光ファイバグレーティング用光ファイバであって、
前記コアにはGeが添加され、前記コアの中心部におけるGe濃度が、前記コアの外周縁におけるGe濃度より高く、
前記コアの径方向のGeの濃度分布は、全体的に渡って前記少なくとも2つのLPモードのうち基本LPモードのパワー分布に沿う、光ファイバグレーティング用光ファイバ。 - 前記内側領域にGeおよびBが添加され、
前記外側領域にGeが添加されている、請求項1に記載の光ファイバグレーティング用光ファイバ。 - 前記内側領域にGeおよびBが添加され、
前記外側領域にGe以外の屈折率上昇ドーパントが添加されている、請求項1に記載の光ファイバグレーティング用光ファイバ。 - 前記コアに、少なくともGeと、Bと、Ge以外の屈折率上昇ドーパントとが添加され、
前記Bと、前記Ge以外の屈折率上昇ドーパントとは、それぞれ、屈折率寄与度が前記コアの中央で最も低くなる谷形の曲線をなす分布となるように添加される、請求項2に記載の光ファイバグレーティング用光ファイバ。 - 前記内側領域のGe濃度は、前記外側領域よりGe濃度より高いことを特徴とする請求項1,3,4のうちいずれか1項に記載の光ファイバグレーティング用光ファイバ。
- 前記外側領域は、Geが添加されていないことを特徴とする請求項6に記載の光ファイバグレーティング用光ファイバ。
- 前記内側領域は、GeとBが共添加されていることを特徴とする請求項6または7に記載の光ファイバグレーティング用光ファイバ。
- 前記コアに、Bが添加されることを特徴とする請求項5に記載の光ファイバグレーティング用光ファイバ。
- 前記コアの屈折率は、前記コアの径方向に一定であることを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の光ファイバグレーティング用光ファイバ。
- 励起光を出力する励起用光源と、
前記励起光が入力される増幅用光ファイバと、
前記増幅用光ファイバの一端側に設けられ、光ファイバグレーティングである第1の反射部を有する入力側光ファイバと、
前記増幅用光ファイバの他端側に設けられ、光ファイバグレーティングである第2の反射部を有する出力側光ファイバと、を備え、
前記入力側光ファイバと前記出力側光ファイバのうち少なくともいずれか一方は、請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の光ファイバグレーティング用光ファイバからなることを特徴とするファイバレーザ装置。
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