JP5682026B2 - エピタキシャル成長用基板およびエピタキシャル成長用基板の製造方法 - Google Patents

エピタキシャル成長用基板およびエピタキシャル成長用基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、エピタキシャル成長用基板およびエピタキシャル成長用基板の製造方法に関する。
青色/白色LEDには、基板上にGaN、InGaNおよび類似の化合物半導体をエピタキシャル成長によって製膜したものが使用されているが、一般に、上記エピタキシャル成長用の基板にはサファイアウエハが用いられている。これは、サファイアの格子定数がGaN、InGaNに近く、またGaN、InGaNのMOCVD法でのエピタキシャル成膜条件(焼成温度1300℃、NH雰囲気)で化学的に安定なためである。
しかし、サファイアウエハは製造コストが高く、大面積化に不向きであり、また低熱伝導率で放熱性が低いために高輝度化が困難である。一方、炭素材料は、低コスト化、大面積化、高熱伝導率で放熱性が高いために高輝度化が期待される材料であるが、高温下でNHと反応するためエピタキシャル成長用基板として使用することができなかった。
藤岡らはスパッタリング法を応用したパルス励起堆積法を用いることによって、グラファイトフィルム上にIII族窒化物薄膜の成長が可能であることを見出した(特許文献1(特開2009-200207公報)参照)。
パルス励起堆積法では真空中で成膜するためグラファイトフィルムをGaN成長基板として用いることが可能である。しかしグラファイトフィルムは、炭素化、黒鉛化に伴う内部応力により、膨れや割れが発生するためサファイア基板に比べると表面粗さが大きく平坦性が低いという技術課題を有している(非特許文献1、非特許文献2参照)。
また、従来、上記グラファイトフィルムは、例えば芳香族ポリイミドフィルムを前駆体として3000℃までの熱処理を施して作製されていたが、得られたグラファイトフィルムは、面方向の熱伝導率が数百〜2000W/m・Kであるのに対して、厚さ方向((0002)方向)の熱伝導率が2〜7W/m・Kに過ぎず、また、面方向の熱膨張係数が0.93×10−6であるのに対して、厚さ方向の熱膨張係数が32×10−6にも達し、熱伝導率および熱膨張係数に異方性を有するものであり(非特許文献3参照)、LED素子化した場合には、厚さ方向の熱抵抗が高くなり放熱性が低くなるために輝度が低くなったり、GaNと熱膨張係数が異なるために結晶性の良好なGaN膜を得にくかった。
上記グラファイトフィルムに代えてガラス状炭素や等方性黒鉛を用いた場合、ガラス状炭素や等方性黒鉛は、熱伝導率、熱膨張係数の異方性がなく、上記グラファイトフィルムよりも放熱性に優れ、熱膨張係数がGaNに近い値を示すが、結晶性が低いためにエピタキシャル成長用基板として利用することができない。
そこで出願人は、先に、4,4’−ビナフチル−1,1’,8,8’−テトラカルボン酸−3,3',4,4'−ビフェニルテトラアミン重合体(BNTCA−BPTA重合体)を黒鉛化したフィルムをエピタキシャル成長用基板として用いたときに、ポリイミドフィルムを黒鉛化してなるフィルムをエピタキシャル成長用基板として用いたときよりも、結晶性が高く、高品質のGaN膜を成長できることを提案した(特願2009-206438号明細書参照)。
しかしながら、BNTCA−BPTA重合体を黒鉛化したグラファイトフィルムでは平坦性、配向性が低く、またエピタキシャル成長用基板として、さらに放熱性、輝度高いものが求められるようになっていた。
特開2009−200207号公報
"High-quality pyrographite films",Murakami M. et al, Appl.Phys.Lett., 48,p.1954、1986 " ベンズイミダゾベンゾファナントロリンラダーを出発原料とする高結晶性炭素フィルム"山下順也ほか、第34回炭素材料学会年会要旨集、p.314、2007. " 高分子(ポリイミド)のグラファイト化反応"村上睦明著、炭素材料の研究開発動向2010、CPC研究会
従って、本発明は、平坦性、結晶性および配向性に優れ、厚さ方向の熱伝導率が高く放熱性に優れたエピタキシャル成長用基板およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明者等が鋭意検討を行った結果、炭素基板の少なくとも一方の主表面に、算術平均表面粗さRaが0.05μm以下で、表面粗さの最大値Ryが0.5μm以下であり、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅が1.5度以下であり、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比が0.01以下である高結晶グラファイト層を形成してなるエピタキシャル成長用基板およびその製造方法により、上記目的を達成し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)算術平均表面粗さRaが0.05μm以下で、表面粗さの最大値Ryが0.5μm以下である炭素基板の少なくとも一方の主表面に、算術平均表面粗さRaが0.05μm以下で、表面粗さの最大値Ryが0.5μm以下であり、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅が1.5度以下であり、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比が0.01以下であり、2層以上のグラフェンからなる厚み0.67nm〜5μmの高結晶グラファイト層を形成してなることを特徴とするエピタキシャル成長用基板、
(2)前記炭素基板の熱伝導率が10〜250W/m・Kである上記(1)に記載のエピタキシャル成長用基板、
(3)前記炭素基板の熱膨張係数が2×10−6〜7×10−6/Kである上記(1)または(2)に記載のエピタキシャル成長用基板、
(4)前記炭素基板が等方性黒鉛材、押し出し成形黒鉛材、モールド成形黒鉛材、およびガラス状炭素材から選ばれる一種以上から形成されてなる上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエピタキシャル成長用基板、
(5)請求項1〜請求項4のいずれかに記載のエピタキシャル成長用基板を製造する方法であって、
算術平均表面粗さRaが0.05μm以下で、表面粗さの最大値Ryが0.5μm以下である炭素基板の少なくとも一方の主表面に、
芳香族系テトラカルボン酸と芳香族系テトラアミンを縮合してなる複素環状高分子の含有液を塗布して薄膜を形成した後、500℃〜1500℃で焼成して炭素化し、さらに2000℃〜3200℃で焼成して2層以上のグラフェンからなる厚み0.67nm〜5μmの高結晶グラファイト層を形成する
ことを特徴とするエピタキシャル成長用基板の製造方法、および
(6)前記複素環状高分子がベンズイミダゾベンゾフェナントロリンラダーポリマ、4,4’−ビナフチル−1,1’,8,8’−テトラカルボン酸と3,3',4,4'−ビフェニルテトラアミンとの重合体である上記(5)に記載のエピタキシャル成長用基板の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、平坦性、結晶性および配向性に優れ、厚さ方向の熱伝導率が高く放熱性に優れたエピタキシャル成長用基板およびその製造方法を提供することができる。
実施例1で得られたエピタキシャル成長用基板の表面状態を示す図である。 比較例1で得られた黒鉛化フィルムの表面状態を示す図である。 比較例2で得られた黒鉛化フィルムの表面状態を示す図である。
先ず、本発明のエピタキシャル成長用基板について説明する。
本発明のエピタキシャル成長用基板は、炭素基板の少なくとも一方の主表面に、算術平均表面粗さRaが0.05μm以下で、表面粗さの最大値Ryが0.5μm以下であり、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅が1.5度以下であり、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比が0.01以下である高結晶グラファイト層を形成してなることを特徴とするものである。
本発明のエピタキシャル成長用基板は、炭素基板の片側主表面または両側主表面に、高結晶グラファイト層を形成してなるものである。
本発明のエピタキシャル成長用基板において、高結晶グラファイト層は、算術平均表面粗さRaが0.05μm以下で、表面粗さの最大値Ryが0.5μm以下であり、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅が1.5度以下であり、ラマン分光法によるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比が0.01以下である。
本発明のエピタキシャル成長用基板において、高結晶グラファイト層は、算術平均表面粗さRaが0.05μm以下であり、0.1nm〜0.05μmであることが適当である。また、高結晶グラファイト層は、表面粗さの最大値Ryが0.5μm以下であり、0.5nm〜0.5μmであることが適当である。
本発明のエピタキシャル成長用基板においては、高結晶グラファイト膜の表面粗さが小さいほど配向度の高いグラファイト膜になり、平坦性が高く欠陥密度の小さいGaN膜を形成することができる。
なお、本出願書類において、算術平均表面粗さRaおよび表面粗さの最大値Ryは、JIS B 0601−1994に準じて測定した値を意味する。
本発明のエピタキシャル成長用基板において、高結晶グラファイト層は、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅が1.5度以下であり、1.2度以下であることが適当であり、0.01〜1度であることがより適当である。
本発明のエピタキシャル成長用基板においては、高結晶グラファイト層のX線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅が1.5度以下であることにより、欠陥密度の小さい良質なGaN膜を形成することができる。
なお、本出願書類において、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅は、Philips社製多目的X線回折装置X’PartMPDを用いて測定することができる。
本発明のエピタキシャル成長用基板において、高結晶グラファイト層は、ラマンスペクトルにおけるGバンド(1580cm―1)のピーク強度に対するDバンド(1360cm―1)のピーク強度の比(Dバンドのピーク強度/Gバンドのピーク強度)が0.01以下であり、0.005以下であることが適当であり、0.001以下であることがより適当である。
上記Gバンドのピークがグラファイト構造に関連し、上記Dバンドのピークが構造の乱れに関連する。
本発明のエピタキシャル成長用基板において、高結晶グラファイト層は、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比が0.01以下であることにより、乱層構造が少なく、グレインサイズが大きい結晶構造を採ることができ、発光に有効な面積を大きくとることができる。
なお、本出願書類において、ラマンスペクトルは、HORIBA社製トリプル・レーザラマン分光測定装置、RAMANOR T6400を用いて、露光時間60秒、積算回数5の条件でGバンド(1580cm―1)とDバンド(1360cm―1)とを含む領域を測定することにより得ることができ、得られたスペクトルにおけるGバンド(1580cm―1)のピーク強度とDバンド(1360cm―1)のピーク強度とを求めることにより、その比(Dバンドのピーク強度/Gバンドのピーク強度)を算出することができる。
本発明のエピタキシャル成長用基板において、炭素基板の何れか一方の主表面における高結晶グラファイト層の厚みは、0.67nm〜5μmであることが好ましく50nm〜1μmであることがより好ましく、50nm〜500nmであることがさらに好ましい。
第一原理計算により、GaN膜を形成するエピタキシャル成長用基板の最上層のグラファイト層では20%程格子定数が伸びており、上記グラファイト層を形成するグラフェンは層状物質であるために下地のグラフェンに盃みは生じないとされている。グラファイト層上にGaN膜を成長させるには最低2層必要であることから、上記知見に基づけば、高結晶グラファイト層の厚みは0.67nm以上必要とされ、また、上記厚みが5μmを超えると生成ガスの応力集中による表面剥れが発生し易くなるため、グラファイト層の厚みは0.67nm〜5μmであることが好ましい。
本発明のエピタキシャル成長用基板において、炭素基板としては、特に制限はないが、ガラス状炭素材、等方性黒鉛材、押し出し成形黒鉛材、モールド成形黒鉛材等からなるものを挙げることができ、ガラス状炭素材または等方性炭素材からなるものが好ましい。
本発明のエピタキシャル成長用基板において、炭素基板としては、少なくとも一方の主表面の算術平均表面粗さRaが0.05μm以下であることが適当であり、0.1nm〜0.05μmであることがより適当である。また、炭素基板としては、少なくとも一方の主表面の表面粗さの最大値Ryが0.5μm以下であることが適当であり、0.5nm〜0.5μmであることがより適当である。
本発明のエピタキシャル成長用基板において、炭素基板の算術平均表面粗さRaが0.05μm以下で、表面粗さの最大値Ryが0.5μm以下であることにより、優れた平坦性を有するエピタキシャル成長用基板を提供しやすくなる。
本発明のエピタキシャル成長用基板において、炭素基板としては、熱伝導率が10〜250W/m・Kであることが好ましく、10〜225W/m・Kであるであることがより好ましく、10〜200W/m・Kであることがさらに好ましい。なお、上記炭素基板の熱伝導率は炭素基板の平面方向および厚み方向の両方向における熱伝導率を意味する。
炭素基板の熱伝導率が上記範囲内にあることにより、所望の熱伝導率を有するエピタキシャル成長用基板を提供しやすくなり、放熱性に優れることから、素子化した場合に高輝度化し易くなる。
本発明のエピタキシャル成長用基板において、炭素基板としては、熱膨張係数が2×10−6〜7×10−6/Kであるものが好ましく、3×10−6〜6×10−6/Kであるものがより好ましい。なお、上記炭素基板の熱膨張係数は炭素基板の平面方向および厚み方向の両方向における熱膨張係数を意味する。
炭素基板の熱膨張係数が上記範囲内にあることにより、GaNの熱膨張係数との差が小さくなり、エピタキシャル成長した際に結晶性に優れた半導体層を形成可能なエピタキシャル成長用基板を提供することができる。
本発明のエピタキシャル成長用基板において、炭素基板の厚みに特に制限はないが、0.1〜5mmが好ましい。また、炭素基板の平面方向の大きさ(主表面のサイズ)にも特に制限はなく、適宜決定すればよい。
本発明のエピタキシャル成長用基板は、厚さ方向の熱伝導率が10〜250W/m・Kであることが好ましく、10〜225W/m・Kであるであることがより好ましく、10〜200W/m・Kであることがさらに好ましい。
本発明のエピタキシャル成長用基板の厚さ方向の熱伝導率が上記範囲内にあることにより、優れた放熱性を発揮して、素子化した場合に高輝度化することが可能になる。
本発明のエピタキシャル成長用基板は、熱膨張係数が2×10−6〜7×10−6/Kであることが好ましく、2.5×10−6〜6.5×10−6/Kであることがより好ましく、3×10−6〜6.5×10−6/Kであることがさらに好ましい。
本発明のエピタキシャル成長用基板の厚さ方向の熱膨張係数が上記範囲内にあることにより、GaNの熱膨張係数との差が小さくなり、結晶性に優れた半導体層を形成可能なエピタキシャル成長用基板を提供することができる。
本発明のエピタキシャル成長用基板は、以下に詳述する本発明の製造方法により作製することができる。
本発明によれば、平坦性、結晶性および配向性に優れ、厚さ方向の熱伝導率が高く放熱性に優れたエピタキシャル成長用基板を提供することができる。
次に、本発明のエピタキシャル成長用基板の製造方法について説明する。
本発明のエピタキシャル成長用基板の製造方法は、炭素基板の少なくとも一方の主表面に、芳香族系テトラカルボン酸と芳香族系テトラアミンを縮合してなる複素環状高分子の含有液を塗布して薄膜を形成した後、500〜1500℃で焼成して炭素化し、さらに2000℃〜3000℃で焼成してグラファイト層を形成することを特徴とするものである。
本発明の製造方法において、炭素基板としては上述したものと同様のものを挙げることができる。
本発明の製造方法においては、先ず、炭素基板の主表面上に、芳香族系テトラカルボン酸と芳香族系テトラアミンを縮合してなる複素環状高分子を塗布して薄膜を形成する。
このような複素環状高分子としては、例えばポリイミド重合体、ベンズイミダゾベンゾフェナントロリンラダーポリマ(BBL重合体)、ポリオキサジアゾール重合体、ポリパラフェニレンビニレン重合体、4,4’−ビナフチル−1,1’,8,8’−テトラカルボン酸と3,3',4,4'−ビフェニルテトラアミンとの重合体(BNTCA−BPTA重合体)などが挙げられる。
また、具体的には、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなり、固有粘度が0.5〜8.5dlg−1である重合体が挙げられる。一般式(1)で表わされる上記重合体としては、固有粘度が3.0〜6.0dlg−1である重合体がより好ましく、3.5〜5.0dlg−1である重合体がさらに好ましい。
高分子の固有粘度(η)は分子量の指標となる物性値であり、分子量が大きくなるにつれてηは大きくなる。固有粘度の測定法はすでに知られており、本出願書類においては、重合体をメタンスルホン酸に溶解し、濃度0.15gdl−1に調整し、30℃雰囲気において測定したときの値を意味する。
Figure 0005682026
一般式(1)で表される繰り返し単位からなる重合体は、ビナフチルテトラカルボン酸またはその酸塩化物,酸無水物,エステルまたはアミド等のビナフチルテトラカルボン酸誘導体とビフェニルテトラアミンまたはその塩とを原料として反応させて得ることができる。ビナフチルテトラカルボン酸としては、4,4’−ビナフチル−1,1’,8,8’−テトラカルボン酸を例示でき、ビフェニルテトラアミンとしては3,3’,4,4’−ビフェニルテトラアミンを例示できる。ビフェニルテトラアミンの塩としては3,3’,4,4’−ビフェニルテトラアミンの四塩酸塩を例示できる。
4,4’−ビナフチル−1,1’,8,8’−テトラカルボン酸は、4−クロロ−1,8−ナフタル酸無水物から,エステル化,カップリングおよび加水分解の3ステップによって合成することができる。あるいは、市販品を購入してもよい。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラアミンは、o(オルト)−ニトロアニリンからヨウ素化,クロスカップリング,アミノ基の還元の3ステップによって合成することができる。あるいは、市販品を購入してもよい。
上記ビナフチルテトラカルボン酸またはその誘導体とビフェニルテトラアミンまたはその塩とを、溶媒を収めた反応容器内に添加し、100〜250℃で3〜72時間、好ましくは3〜48時間攪拌して、上記一般式(1)で表される繰り返し単位からなる重合体を得ることができる。
上記溶媒としては、上記原料及び生成する重合体を溶解し、重合を促進する触媒としての作用を有するものであれば特に制限されない。具体的には、ポリリン酸、ポリリン酸エステル、リン酸ジフェニルクレシル等や五酸化二リン等を溶解したメタンスルホン酸等を挙げることができる。
また、複素環状高分子として、下記一般式(2)で表される繰り返し単位からなり、固有粘度が0.5〜8.5dlg−1である重合体が挙げられる。下記一般式(2)で表わされる上記重合体としては、固有粘度が3.0〜6.0dlg−1である重合体がより好ましく、3.5〜5.0dlg−1である重合体がさらに好ましい。
Figure 0005682026
一般式(2)で表される繰り返し単位からなる重合体は、ビナフチルテトラカルボン酸またはその酸塩化物,酸無水物,エステルまたはアミド等のビナフチルテトラカルボン酸誘導体とベンゼンテトラアミンまたはその塩とを反応させて得ることができる。ビナフチルテトラカルボン酸またはその誘導体の具体例は上記のとおりである。ベンゼンテトラアミンとしては1,2,4,5−ベンゼンテトラアミンを例示できる。ベンゼンテトラアミンの塩としては1,2,4,5−ベンゼンテトラアミンの四塩酸塩を例示できる。
1,2,4,5−ベンゼンテトラアミンはm−クロロベンゼンから、ニトロ化、アミノ化およびニトロ基の還元の3ステップによって合成し、四塩酸塩として単離して使用することができる。あるいは、市販品を購入してもよい。
上記ビナフチルテトラカルボン酸またはその誘導体とベンゼンテトラアミンまたはその塩とから、上記一般式(2)で表される繰り返し単位からなる重合体を得る反応条件は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位からなる重合体を得る条件と同様である。
また、複素環状高分子として、下記一般式(3)で表される繰り返し単位からなり、固有粘度が0.5〜3.5dlg−1である重合体が挙げられる。下記一般式(3)で表わされる上記重合体としては、固有粘度が1.0〜3.5dlg−1である重合体がより好ましく、1.5〜3.0dlg−1である重合体がさらに好ましい。
Figure 0005682026
一般式(3)で表される繰り返し単位からなる重合体は、ナフタレンテトラカルボン酸またはその酸塩化物,酸無水物,エステルまたはアミド等のナフタレンテトラカルボン酸誘導体とビフェニルテトラアミンまたはその塩とを反応させて得ることができる。ナフタレンテトラカルボン酸としては、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸を例示でき、ビフェニルテトラアミンまたはその塩の具体例は上記のとおりである。
1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸は、ピレンから過マンガン酸カリウムによる酸化、次亜塩素酸ナトリウム溶液による酸化の2ステップによって合成することができる。あるいは、市販品を購入してもよい。
前記ナフタレンテトラカルボン酸またはその誘導体とビフェニルテトラアミンまたはその塩とから、上記一般式(3)で表される繰り返し単位からなる重合体を得る反応条件は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位からなる重合体を得る条件と同様である。
本発明の製造方法においては、上記一般式(1)、(2)及び(3)で表わされる複素環状高分子から選ばれる一種以上の含有液を炭素基板に塗布することができる。
なお、本実施形態における複素環状高分子を次のように記載することもできる。
(1)下記一般式で表され、固有粘度が0.5〜8.5dlg-1である重合体。
(一般式)
Figure 0005682026
(式中、Arは下記官能基1又は官能基2を示し、Arは官能基3又は官能基4を示し、nは重合度を示す自然数である。ただし、Arが官能基2のときはArは官能基3である。)。
(官能基1)
Figure 0005682026
(官能基2)
Figure 0005682026
(官能基3)
Figure 0005682026
(官能基4)
Figure 0005682026
(2)下記一般式(4)、(5)及び(6)で表されるいずれかの重合体からなり、固有粘度が0.5〜8.5dlg−1である重合体。但し、一般式(4)、(5)及び(6)において、nは自然数である。
一般式(4)、(5)において、nは、上記固有粘度が0.5〜8.5dlg−1となる数であり、3.0〜6.0dlg−1となる数であることが好ましく、3.5〜5.0dlg−1となる数であることがより好ましい。一般式(6)において、nは、上記固有粘度が0.5〜3.5dlg−1となる数であり、1.0〜3.5dlg−1となる数であることが好ましく、1.5〜3.0dlg−1となる数であることがより好ましい。
Figure 0005682026
Figure 0005682026
Figure 0005682026
本発明の製造方法においては、炭素基板の少なくとも一方の主表面に、芳香族系テトラカルボン酸と芳香族系テトラアミンを縮合してなる複素環状高分子の含有液を塗布して薄膜を形成する。
複素環状高分子としては、例えば、上記一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)から選ばれる一種以上を選択することができ、複素環状高分子の含有液としては、例えば、複素環状高分子を酸性の液体に溶解させた溶液や分散媒に分散させた分散液を挙げることができる。
複素環状高分子を溶解又は分散させる酸性の液体又は分散媒としては、メタンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸等を挙げることができる。
上記溶液又は分散液中における複素環状高分子の濃度は、0.07〜7質量%であることが好ましく、0.3〜3質量%であることがより好ましく、0.5 〜2.0質量%であることがさらに好ましい。
複素環状高分子の炭素基板主表面への塗布は、例えば、スピンコ-ター、ダイコーター、ディップコーターなどが用いて行うことができる。
複素環状高分子の塗布条件は、炭素基板の主表面に所望厚さのグラファイト層が形成されるように、所望厚さの複素環状高分子を塗布し得る条件であれば特に制限されない。
複素環状高分子は、炭素基板の片側主表面へのみ塗布してもよいし、両側主表面に塗布してもよい。
複素環状高分子の含有液を塗布した後、自然乾燥あるいは強制乾燥して、含有液中の溶媒を溶媒または分散媒を蒸発させることが好ましい。
本発明の製造方法においては、複素環状高分子の含有液を塗布した後、500〜1500℃で焼成して炭素化し、さらに2000℃〜3000℃で焼成してグラファイト層を形成する。
本発明の製造方法において、塗布した複素環状高分子を炭素化処理する炭素化工程における焼成温度は、500〜1500℃であり、700〜1500℃であることが好ましく、1000〜1500℃であることがより好ましい。炭素化工程における焼成時間は、0.1〜100時間が好ましく、0.3〜10時間がより好ましく、0.5〜3時間がさらに好ましい。
上記炭素化工程における焼成雰囲気は、不活性雰囲気であることが好ましい。本出願書類において、不活性雰囲気とは、酸素など酸化活性の気体が存在しない雰囲気を意味し、例えば、アルゴン雰囲気、ヘリウム雰囲気、窒素雰囲気等を挙げることができ、特にアルゴン雰囲気が好ましい。
上記炭素化工程において、焼成は複数回行ってもよく、その場合は、焼成に要する合計時間が上記焼成時間内にあることが適当である。
上記炭素化工程においては、炭素基板上に形成した複素環状高分子の塗膜の表面に垂直に圧力を加えながら焼成処理することが好ましく、それによって、炭素化の際に生じる収縮を押さえ、炭素化中の前駆体が配向しやすくなるために、強度の強い炭化物を形成することができる。
本発明の製造方法においては、上記焼成により複素環状高分子を炭素化した後、さらに2000℃〜3000℃で焼成してグラファイト層を形成する。
本発明の製造方法において、炭素化した複素環状高分子からグラファイト層を形成するグラファイト化工程における焼成温度は、2000℃〜3000℃であり、2500℃〜3000℃が好ましく、2700〜3000℃がより好ましい。
本発明の製造方法において、上記範囲内の温度で焼成することにより、グラファイト層を好適に形成することができる。
本発明の製造方法において、グラファイト化工程における焼成時間は、1〜8時間が好ましく、1〜5時間がより好ましく、1〜3時間がさらに好ましい。
本発明の製造方法において、グラファイト化工程における 焼成雰囲気は、不活性雰囲気であることが好ましく、例えば、アルゴン雰囲気、ヘリウム雰囲気、窒素雰囲気等を挙げることができ、特にアルゴン雰囲気が好ましい。
上記グラファイト化工程において、焼成は複数回行ってもよく、その場合は、焼成に要する合計時間が上記焼成時間内にあることが適当である。
本発明の製造方法においては、複素環状高分子を、一旦500〜1500℃で焼成して炭素化した後に、2000〜3000℃で焼成してグラファイト化することにより、グラファイト層を形成することができる。
上記焼成により得られたグラファイト層に対し、適宜不純物を除去する高純度化処理を施してもよく、高純度化処理としては、公知の方法を採用することができる(例えば特開平2-83205号公報、特開平3-45508号公報参照)。
本発明の製造方法においては、このようにしてエピタキシャル成長用基板を作製することができ、得られるエピタキシャル成長用基板の詳細については、上述した通りである。
本発明によれば、平坦性、結晶性および配向性に優れ、厚さ方向の熱伝導率が高く放熱性に優れたエピタキシャル成長用基板を簡便に製造する方法を提供することができる。
本発明のエピタキシャル成長用基板または本発明の製造方法により得られるエピタキシャル成長用基板上に、GaN等の半導体層を成長させる方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、例えば特開2009−200207号公報記載の方法を挙げることができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、表面粗さ、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅((0002)FWHM)、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比(D/G)、熱伝導率、熱膨張係数およびグラファイト層の厚さは、以下の方法により算出した。
1.表面粗さ
(株)ミツトヨ社製SV−524を用いてJIS B 0601−1994に準じて測定し、算術平均粗さRaと表面粗さの最大値(最大高さ)Ryを算出した。
2.X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅
Philips社製多目的X線回折装置X’PartMPDを用いて、(0002)方向の((0002)面の)ロッキングカーブ測定を行い、得られたピークを分離して、グラファイト層のロッキングカーブの半値幅を求めた。
3.ラマン分光法によるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比(D/G)
(株)堀場製作所製トリプル・レーザラマン分光測定装置、RAMANOR T64000を用いて、露光時間60秒、積算回数5の条件で1300cm−1から1800cm−1の領域を測定し、グラファイト構造に関連づけられているGバンド(1580cm−1)と構造の乱れに対応しているDバンド(1360cm−1)のピーク強度から、Gバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比(Dバンドのピーク強度/Gバンドのピーク強度)を算出した。
4.熱伝導率
アルバック理工(株)社製TC−7000を用いてJIS R 1611-1997に準じて基板厚さ方向の熱伝導率を算出した。
5.熱膨張係数
アルバック理工(株)製、レーザー熱膨張計LXを用いてJIS R3251−1995に準じて基板厚さ方向の熱膨張係数を測定した。測定温度は700℃で、ポリイミドの熱膨張係数に関しては、“原子動力学の第一原理計算から考える化合物半導体のエピタキシャル成長”、石井晃、表面科学 29、p.765、2008に記載された文献値を用いた。なお、同文献によれば、GaNの熱膨張係数は5.59×10−6である。
6.グラファイト層の厚み
CSM Instruments SA 社製ボール研磨式精密膜厚測定機 Calotestを用い、カロテスト法に基づいてグラファイト膜の膜厚を測定した。標準ボール直径は30mm、研磨時間は1分で基板と膜を削り、基板、膜の研磨痕の幅、標準ボール直径からグラファイト膜の厚みを算出した。
(実施例1)
(複素環状高分子の作製)
Ar流通下、ポリリン酸(オルトリン酸換算濃度115%)100g中に、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸と1,2,4,5−ベンゼンテトラアミン四塩酸塩とを10mmmolづつ加え、200℃の温度条件下で72時間反応させた後、不純物を除去するために、多量の純水、メタンスルホン酸、ジメチルアセトアミドを加えて攪拌し、その後、200℃の温度条件下で12時間減圧乾燥することにより、固有粘度が2.5dlg―1であるベンズイミダゾベンゾフェナントロリンラダーポリマ(BBL重合体)を得た。
(グラファイト層の形成)
上記BBL重合体0.5gをメタンスルホン酸49mlに投入し溶解液を作製した。東海カーボン(株)製ガラス状炭素基板(商品名 GC―30、厚み0.5mm、主表面の平均粗さ0.011μm、表面粗さの最大値0.142μm、熱伝導率10W/m・K、熱膨張係数4.0×10−6/K)を、上記溶解液に浸し、あすみ技研社製ディップコーター(製品名 MX215)を用いて速度1mm/秒の速度で引き上げた後、真空中200℃で加熱してメタンスルホン酸を除去することにより、上記炭素基板上にBBL重合体の膜を形成し、固定化した。
表面に重合体の膜を形成した上記炭素基板を、シリコニット電気炉にてAr気流中、室温から毎分5℃の割合で1500℃まで昇温し、1時間保持して表面に形成した重合体の膜の炭素化を行った。その後、黒鉛抵抗炉にてAr気流中で室温から毎分5℃の割合で2800℃まで昇温し、1時間保持して上記炭素化した重合体の黒鉛化を行うことにより、炭素基板の表面にグラファイト層が形成されてなるエピタキシャル成長用基板を得た。
得られたエピタキシャル成長用基板の表面を走査型電子顕微鏡で観察したときの写真を図1として示す。図1に示すように、得られた基板には、後述する図2、3に示すような皺や表面はがれは観察されず、平坦性が非常に高いことが分かる。
得られたエピタキシャル成長用基板において、算術平均粗さRaと表面粗さの最大値Ry、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅((0002)FWHM)、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比(D/G)、熱伝導率、熱膨張係数およびグラファイト層の片側主表面上の厚みを上記の方法により測定した。結果を表1および表2に示す。
(実施例2)
BBL重合体0.5gに代えて、固有粘度が4.1dlg―1である4,4’−ビナフチル−1,1’,8,8’−テトラカルボン酸と3,3',4,4'−ビフェニルテトラアミンとの重合体0.5gを用い、これをメタンスルホン酸49mlに投入して作製した溶解液を用いた以外は実施例1と同様に処理してエピタキシャル成長用基板を得た。
得られたエピタキシャル成長用基板において、算術平均粗さRaと表面粗さの最大値Ry、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅((0002)FWHM)、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比(D/G)、熱伝導率、熱膨張係数およびグラファイト層の片側主表面上の厚みを上記の方法により測定した。結果を表1および表2に示す。
得られたエピタキシャル成長用基板の表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、実施例1と同様に皺や表面はがれは観察されず、平坦性が非常に高いことが分かった。
(実施例3)
炭素基板として東海カーボン(株)製等方性黒鉛基板(商品名 HK―3、厚み0.5mm、主表面の平均粗さ0.030μm、表面粗さの最大値0.261μm、熱伝導率90W/m・K、熱膨張係数5.0×10−6/K)を用いた以外は、実施例2と同様に処理してエピタキシャル成長用基板を得た。
得られたエピタキシャル成長用基板において、算術平均粗さRaと表面粗さの最大値Ry、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅((0002)FWHM)、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比(D/G)、熱伝導率、熱膨張係数およびグラファイト層の片側主表面上の厚みを上記の方法により測定した。結果を表1および表2に示す。得られたエピタキシャル成長用基板の表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、実施例1と同様に皺や表面はがれは観察されず、平坦性が非常に高いことが分かった。
(実施例4)
炭素基板として東海カーボン(株)製等方性黒鉛基板(商品名 HK―6、厚み0.5mm、主表面の平均粗さ0.044μm、表面粗さの最大値0.379μm、熱伝導率100W/m・K、熱膨張係数6.5×10−6/K)を用いた以外は、実施例2と同様に処理してエピタキシャル成長用基板を得た。
得られたエピタキシャル成長用基板において、算術平均粗さRaと表面粗さの最大値Ry、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅((0002)FWHM)、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比(D/G)、熱伝導率、熱膨張係数およびグラファイト層の片側主表面上の厚みを上記の方法により測定した。結果を表1および表2に示す。得られたエピタキシャル成長用基板の表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、実施例1と同様に皺や表面はがれは観察されず、平坦性が非常に高いことが分かった。
(実施例5)
炭素基板として東海カーボン(株)製押出成形黒鉛基板(商品名 EE250、厚み0.5mm、主表面の平均粗さ0.047μm、表面粗さの最大値0.422μm、熱伝導率162W/m・K、熱膨張係数3.3×10−6/K)を用いた以外は、実施例2と同様に処理してエピタキシャル成長用基板を得た。
得られたエピタキシャル成長用基板において、算術平均粗さRaと表面粗さの最大値Ry、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅((0002)FWHM)、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比(D/G)、熱伝導率、熱膨張係数およびグラファイト層の片側主表面上の厚みを上記の方法により測定した。結果を表1および表2に示す。得られたエピタキシャル成長用基板の表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、実施例1と同様に皺や表面はがれは観察されず、平坦性が非常に高いことが分かった。
(実施例6)
炭素基板として東海カーボン(株)製モールド成形黒鉛基板(商品名 G145、厚み0.5mm、主表面の平均粗さ0.043μm、表面粗さの最大値0.418μm、熱伝導率145W/m・K、熱膨張係数3.9×10−6/K)を用いた以外は、実施例2と同様に処理してエピタキシャル成長用基板を得た。
得られたエピタキシャル成長用基板において、算術平均粗さRaと表面粗さの最大値Ry、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅((0002)FWHM)、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比(D/G)、熱伝導率、熱膨張係数およびグラファイト層の片側主表面上の厚みを上記の方法により測定した。結果を表1および表2に示す。得られたエピタキシャル成長用基板の表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、実施例1と同様に皺や表面はがれは観察されず、平坦性が非常に高いことが分かった。
(比較例1)
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製カプトン、厚さ50μm)を黒鉛基板(東海カーボン(株)製 等方性黒鉛基板、商品名 HK−3)で挟み、シリコニット電気炉にてAr気流中、室温から毎分5℃の割合で1500℃まで昇温し、1時間保持して上記ポリイミドフィルムの炭素化を行った。その後、黒鉛抵抗炉にてAr気流中で室温から毎分5℃の割合で2800℃まで昇温し、1時間保持して上記炭素化されたポリイミドフィルムの黒鉛化を行うことにより、黒鉛化フィルムを得た。得られた黒鉛化フィルムの厚さは35μmであった。
上記炭素化されたフィルムは、炭素化前のポリイミドフィルムと比べ面方向に20%程収縮していた。また、上記黒鉛化されたフィルムは結晶化の進行により膨張したがそれでも炭素化前のポリイミドフィルムよりも8%収縮していた。
得られた黒鉛化フィルムの表面を走査型電子顕微鏡で観察したときの写真を図2として示す。図2に示すように、得られた黒鉛化フィルムの表面には皺が発生していた。皺の発生は黒鉛化時の膨張によるものと考えられた。
得られた黒鉛化フィルムにおいて、算術平均粗さRaと表面粗さの最大値Ry、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅((0002)FWHM)、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比(D/G)、熱伝導率、熱膨張係数を上記の方法により測定した。結果を表1および表2に示す。
(比較例2)
フィルム形成時に厚さ50μmになるように、固有粘度が2.5dlg―1であるBBL重合体を0.3g秤量し、これをメタンスルホン酸7mLに投入して溶解液を作製した後、この溶解液を内径60mmのシャーレに展開した。
このシャーレをマントルヒータ内に置いた500ml平底セパラブルフラスコ内に水平を保って静置した。セパラブルフラスコ内をロータリーポンプで減圧して真空雰囲気にした後、段階的に200℃まで加熱して脱溶媒することにより、重合体フィルムを作製した。
上記シャーレから重合体フィルムを剥離して所定の大きさに切断した後、シリコニット電気炉にてAr気流中、室温から毎分5℃の割合で1500℃まで昇温し、1時間保持して重合体フィルムの炭素化を行った。その後、黒鉛抵抗炉にてAr気流中で室温から毎分5℃の割合で2800℃まで昇温し、1時間保持して上記炭素化した重合体フィルムの黒鉛化を行うことにより、黒鉛化フィルムを得た。得られた黒鉛化フィルムの厚さは22μmであった。
上記炭素化されたフィルムは、炭素化前のフィルムと比べ面方向に7%程収縮していた。また、上記黒鉛化されたフィルムは結晶化の進行により膨張したがそれでも炭素化前のフィルムよりも3%収縮していた。
得られた黒鉛化フィルムの表面を走査型電子顕微鏡で観察したときの写真を図3として示す。図3に示すように、得られた黒鉛化フィルムは、図2に示す比較例1で得られた黒鉛化フィルムに比べると、フィルムの炭素化、黒鉛化時における収縮、膨張が非常に少ないために皺は観察されなかったが、図3に示すように、長さ数十μmにおよぶ円盤状の表面剥れが観察され、平坦性に劣るものであった。
得られたエピタキシャル成長用基板において、算術平均粗さRaと表面粗さの最大値Ry、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅((0002)FWHM)、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比(D/G)、熱伝導率を上記の方法により測定した。結果を表1および表2に示す。
(比較例3)
BBL重合体0.3gに代えて固有粘度が4.1dlg―1である4,4’−ビナフチル−1,1’,8,8’−テトラカルボン酸と3,3',4,4'−ビフェニルテトラアミンとの重合体0.3gを用い、これをメタンスルホン酸7mlに投入して作製した溶解液を用いた以外は比較例2と同様に処理して黒鉛化フィルムを得た。得られた黒鉛化フィルムの厚さは20μmであった。
上記炭素化されたフィルムは、炭素化前のフィルムと比べ面方向に3%程収縮していた。また、上記黒鉛化されたフィルムは結晶化の進行により膨張したがそれでも炭素化前のフィルムよりも1.5%収縮していた。
得られた黒鉛化フィルムの表面は比較例2と同様にフィルムの炭素化、黒鉛化時における収縮、膨張が非常に少ないために皺は観察されなかったが、長さ数十μmにおよぶ円盤状の表面剥れが観察され、平坦性に劣るものであった。
得られたエピタキシャル成長用基板において、算術平均粗さRaと表面粗さの最大値Ry、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅((0002)FWHM)、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比(D/G)、熱伝導率を上記の方法により測定した。結果を表1および表2に示す。
Figure 0005682026
Figure 0005682026
表1および表2の結果より、実施例1〜実施例6で得られたエピタキシャル成長用基板は、平均表面粗さRaおよび最大表面粗さRyが小さいことから平坦性に優れ、ラマン分光法によるピーク強度比D/Gが小さく、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅が小さいことから、結晶性および配向性に優れ、また、熱伝導率が高く熱膨張係数がGaNの熱膨張係数に近いものであることから、特にGaNのエピタキシャル成長用基板に好適であることが分かる。
これに対し、比較例1〜比較例3で得られた黒鉛化フィルムは、皺の発生や表面剥れに伴って平均表面粗さRaおよび最大表面粗さRyが大きくなることから平坦性に劣り(比較例1〜比較例3)、ラマンスペクトルにおけるピーク強度比D/Gが大きいことから結晶性に劣り(比較例1)、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅が大きいことから配向性に劣り(比較例1〜比較例3)、熱伝導率が低かったり熱膨張係数が低いことからエピタキシャル成長用基板に適さない(比較例1〜比較例3)ことが分かる。
本発明によれば、平坦性、結晶性および配向性に優れ、厚さ方向の熱伝導率が高く放熱性に優れたエピタキシャル成長用基板およびその製造方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 算術平均表面粗さRaが0.05μm以下で、表面粗さの最大値Ryが0.5μm以下である炭素基板の少なくとも一方の主表面に、
    算術平均表面粗さRaが0.05μm以下で、表面粗さの最大値Ryが0.5μm以下であり、X線回折法による(0002)面のロッキングカーブの半値幅が1.5度以下であり、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比が0.01以下であり、2層以上のグラフェンからなる厚み0.67nm〜5μmの高結晶グラファイト層を形成してなることを特徴とするエピタキシャル成長用基板。
  2. 前記炭素基板の熱伝導率が10〜250W/m・Kである請求項1に記載のエピタキシャル成長用基板。
  3. 前記炭素基板の熱膨張係数が2×10−6〜7×10−6/Kである請求項1または請求項2記載のエピタキシャル成長用基板。
  4. 前記炭素基板が等方性黒鉛材、押し出し成形黒鉛材、モールド成形黒鉛材、およびガラス状炭素材から選ばれる一種以上から形成されてなる請求項1〜請求項3のいずれかに記載のエピタキシャル成長用基板。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のエピタキシャル成長用基板を製造する方法であって、
    算術平均表面粗さRaが0.05μm以下で、表面粗さの最大値Ryが0.5μm以下である炭素基板の少なくとも一方の主表面に、
    芳香族系テトラカルボン酸と芳香族系テトラアミンを縮合してなる複素環状高分子の含有液を塗布して薄膜を形成した後、500〜1500℃で焼成して炭素化し、さらに2000℃〜3000℃で焼成して2層以上のグラフェンからなる厚み0.67nm〜5μmのグラファイト層を形成する
    ことを特徴とするエピタキシャル成長用基板の製造方法。
  6. 前記複素環状高分子がベンズイミダゾベンゾフェナントロリンラダーポリマ、4,4’−ビナフチル−1,1’,8,8’−テトラカルボン酸と3,3',4,4'−ビフェニルテトラアミンとの重合体である請求項5に記載のエピタキシャル成長用基板の製造方法。
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