JP4916479B2 - 炭化珪素エピタキシャル用基板の製造方法 - Google Patents
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Description
この製膜装置によれば、サセプタおよび断熱材を備えた反応室に原料ガスであるSi原料ガスおよびC原料ガスをキャリアガスとともに供給して炭化珪素基板に炭化珪素単結晶薄膜をエピタキシャル結晶成長させることができる。
このため、サセプタとして炭化珪素を用いるかサセプタ表面を炭化珪素でコートした炭化珪素コートグラファイトを用いるなどのカーボンの供給を抑えた反応室内条件下で炭化珪素基板上に炭化珪素単結晶をエピタキシャル成長させる技術が検討されている。
このため、炭化珪素基板へのエピタキシャル成長の前処理として、炭化珪素基板の水素雰囲気によるエッチング処理が提案された(特許文献1〜4)。
従って、この発明の目的は、カーボンの供給を抑えた反応室内条件下でのエピタキシャル成長用基板として好適な炭化珪素エピタキシャル用基板の製造方法を提供することである。
この発明は、カーボンの供給を抑えた反応室内条件下、炭化珪素基板をアルゴン雰囲気下にてエピタキシャル成長温度まで昇温させて基板表面をアルゴン処理し、エピタキシャル成長温度に到達した段階で昇温のための加熱およびアルゴンガス供給を停止した後、さらに、水素ガスを供給して基板表面をエッチングする炭化珪素エピタキシャル用基板の製造方法に関する。
また、この発明は、前記の製造方法によって得られた炭化珪素エピタキシャル用基板の表面に、引き続いてキャリアガス、Si原料ガスおよびC原料ガスを供給して炭化珪素単結晶をエピタキシャル成長させる成長方法に関する。
1)昇温のための加熱およびアルゴンガス供給を停止した後、さらに、水素ガスを供給して基板表面をエッチングする前記の製造方法。
2)カーボンの供給を抑えた反応室内条件が、サセプタを炭化珪素又は炭化珪素コートグラファイトによって構成することである前記の製造方法。
3)カーボンの供給を抑えた反応室内条件が、断熱材を炭化珪素又は炭化珪素コートグラファイトによって構成することである前記の製造方法。
4)水素ガスを5〜60分間供給して基板表面をエッチングする前記の製造方法。
図1において、製膜装置は、反応室1内に例えば炭化珪素又は炭化珪素コートグラファイトで構成したサセプタ2および例えば炭化珪素又は炭化珪素コートグラファイトで構成した断熱材3を備え、サセプタ2上の炭化珪素基板4に薄膜を形成するためのチャンバー、例えば、石英製チャンバーからなり、反応室1外に装置内加熱装置5、例えば、高周波電源と、装置内加熱温度測定用の熱電対温度計6と、アルゴンガスおよび他のガス、例えば水素キャリアガス、原料ガスの供給配管(図示せず)、排気管(図示せず)および形成された薄膜を取り出す薄膜取り出し装置(図示せず)を備えている。なお、図1の円形図(右側にある図)は反応室内の横断面図である。
前記のカーボンの供給を抑えた反応室内条件としては、好適にはサセプタを炭化珪素又は炭化珪素コートグラファイトで構成すること、又は断熱材を炭化珪素又は炭化珪素コートグラファイトで構成することが挙げられる。特に、サセプタを炭化珪素又は炭化珪素コートグラファイトで構成することと断熱材を炭化珪素又は炭化珪素コートグラファイトで構成することを組み合わせることが好ましい。
また、この発明の好適な態様として、昇温のための加熱およびアルゴンガス供給を停止し、さらに、水素ガスを供給して炭化珪素エピタキシャル用基板表面をエッチングすることが好ましい。
この昇温中での水素ガス供給によるSiドロップレット生成の要因として、水素雰囲気下に炭化珪素基板を加熱することによって炭化珪素基板表面で下記の反応が起こることによると考えられる。
この炭化珪素基板表面に発生したSi(s)がドロップレットとして表面に残ると考えられる。
このSi(s)は加熱により次式に従って蒸発すると考えられる。
Si(s)→Si(g)+4.4eV (2)
この反応によるSiの蒸発は、活性化エネルギーの関係から低温域では遅く、高温域では早い。また、飽和蒸気圧の関係から、蒸発速度は圧力の平方根分の1に比例するため温度や圧力によって炭化珪素基板表面に残るSi量が異なり、結局水素ガス雰囲気では炭化珪素基板表面にSiがドロップレットとして残ることは避けられない。
さらに、昇温中のガスはアルゴンのみであるため、昇温過程における昇温条件、特に昇温速度が表面に及ぼす影響がほとんどない。このため、形状やタイプの異なる製膜装置(成長炉)を用いても、昇温中に水素ガスを供給する場合に比べて、再現性が得られやすいので好適である。
この発明においては、図3に示すようにエピタキシャル成長温度に到達した段階でアルゴンガス供給を停止した後、さらに、水素ガスを供給して炭化珪素エピタキシャル用基板表面をエッチングしてもよい。この場合エピタキシャル成長温度以上の温度であれば温度については特に制限はなく、前記の範囲で温度一定に保つか前記の範囲で降温させて基板表面を水素ガスでエッチングして炭化珪素エピタキシャル用基板を得てもよい。
また、前記のアルゴンガスの供給を停止した後に引き続き水素ガスを供給して基板表面をエッチングする条件としては、10〜5000sccm、特に50〜2500sccm程度の水素ガス供給量、1500℃以上〜2000℃未満、特に1500〜1800℃程度、その中でも特に1500〜1650℃の温度、5分間〜2時間、特に5〜60分間の時間が好ましい。
前記の方法によって得られた炭化珪素エピタキシャル用基板の表面に、図4に示すように、引き続いてキャリアガス(例えば、水素ガス)およびSi原料ガスおよびC原料ガスを供給して炭化珪素単結晶をエピタキシャル成長させることができる。
この発明の方法によれば、カーボンの供給を抑えた反応室内条件下にエピタキシャル成長に好適な炭化珪素エピタキシャル用基板を製造することができ、基板自体が良好な特性を有しているとともにそのままの反応室内で炭化珪素単結晶のエピタキシャル成長を行うことによって、従来の製膜装置を起源とするハイドロカーボン・不純物の発生を抑制することができる。
例えば、エピタキシャル成長によって形成される薄膜は単一層であってもよく2種以上の多層であってもよい。また、炭化珪素のみからなる薄膜の場合、p型およびn型の単結晶が相互に接合されて構成されてもよく、異種の結晶からなる薄膜が相互に接合されて構成されてもよい。
前記の炭化珪素をエピタキシャル成長させるためのSi原料ガスとしては、SiH4やジクロルシランなどを挙げることができ、C原料ガスとしてメタン、プロパン、アセチレンなどを挙げることができる。
前記の各サセプタおよび断熱材のうちどれを組み合わせて使用するかによって、原料のSi原料およびC原料の割合を変えることが好ましく、例えば、炭化珪素サセプタおよび炭化珪素断熱材を組み合わせて用いる場合、炭化珪素エピタキシャル結晶成長時の適切な原料供給比のC/Siは6である。
以下の各例において、炭化珪素エピタキシャル用基板の表面粗さを原子間力顕微鏡によって測定し、SRq(粗さ曲面の自乗平均平方根粗さを示す)で表示する。
図1に示す製膜装置(CVD装置)を用いて、下記の工程で炭化珪素エピタキシャル用基板を製造し、評価した。
1)洗浄した炭化珪素基板を、炭化珪素サセプタおよび炭化珪素断熱材を備えたCVD装置の反応室に設置した。
2)アルゴンガス500sccmを流しながら5torrの圧力下で加熱を始める。
3)50℃/ 分の一定の昇温速度で昇温させて基板表面をアルゴン処理し、エピタキシャル成長温度(1650℃)になったところで昇温のための加熱を停止して、炭化珪素エピタキシャル用基板を得た。
また、得られた炭化珪素エピタキシャル用基板の表面粗さを測定した結果、鏡面でSRq=0.5nmの平坦面であった。
加熱を停止した後、さらに、以下の工程に示すように水素ガスを供給して炭化珪素エピタキシャル用基板表面をエッチングする工程を加えた他は実施例1と同様に実施した。
1)洗浄した炭化珪素基板を、炭化珪素サセプタおよび炭化珪素断熱材を備えたCVD装置の反応室に設置した。
2)アルゴンガス500sccmを流しながら5torrの圧力下で加熱を始める。
3)50℃/ 分の一定の昇温速度で昇温させて基板表面をアルゴン処理し、エピタキシャル温度(1650℃)になったところで昇温のための加熱を停止して、供給ガスをアルゴンから水素に切替えて30分間保持して、炭化珪素エピタキシャル用基板を得た。
また、得られた炭化珪素エピタキシャル用基板の表面粗さを測定した結果、鏡面でSRq=0.2nmの平坦面であった。
以下の工程に示すように、昇温中の供給ガスをアルゴンから水素に変えた他は実施例1と同様に実施した。
1)洗浄した炭化珪素基板を、炭化珪素サセプタおよび炭化珪素断熱材を備えた製膜装置の反応室に設置した。
2)水素ガス500sccmを流しながら2torrの圧力下で加熱を始める。
3)50℃/ 分の一定の昇温速度で昇温し、エピタキシャル温度(1650℃)になったところで昇温のための加熱を停止して、炭化珪素エピタキシャル用基板を得た。
炭化珪素エピタキシャル用基板表面にはSiドロップレットの発生が確認された(図7の全面に点在する白い部分がSiドロップレットである。)。
以下の工程に示すように、昇温中の供給ガスをアルゴンから水素に変えた他は実施例2と同様に実施した。
1)洗浄した炭化珪素基板を、炭化珪素サセプタおよび炭化珪素断熱材を備えた製膜装置の反応室に設置した。
2)水素ガス500sccmを流しながら2torrの圧力下で加熱を始める。
3)50℃/ 分の一定の昇温速度で昇温し、エピタキシャル温度(1650℃)になったところで昇温のための加熱を停止し30分間保持して、炭化珪素エピタキシャル用基板を得た。
基板周辺部にのみSiドロップレットの発生が確認された(図8の周辺部の白く見えるところがSiドロップレットの発生領域)。
2 サセプタ
3 断熱材
4 基板
5 装置内加熱装置
6 熱電対温度計
10 製膜装置
Claims (5)
- カーボンの供給を抑えた反応室内条件下、炭化珪素基板をアルゴン雰囲気下にてエピタキシャル成長温度まで昇温させて基板表面をアルゴン処理し、エピタキシャル成長温度に到達した段階で昇温のための加熱およびアルゴンガス供給を停止した後、さらに、水素ガスを供給して基板表面をエッチングする炭化珪素エピタキシャル用基板の製造方法。
- カーボンの供給を抑えた反応室内条件が、サセプタを炭化珪素又は炭化珪素コートグラファイトによって構成することである請求項1に記載の製造方法。
- カーボンの供給を抑えた反応室内条件が、断熱材を炭化珪素又は炭化珪素コートグラファイトによって構成することである請求項1又は2に記載の製造方法。
- 水素ガスを5〜60分間供給して基板表面をエッチングする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法によって得られた炭化珪素エピタキシャル用基板の表面に、引き続いてキャリアガス、Si原料ガスおよびC原料ガスを供給して炭化珪素単結晶をエピタキシャル成長させる成長方法。
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