JP4329282B2 - 炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,欠陥の少ない高品質な炭化珪素単結晶を効率良く製造する炭化珪素単結晶の製造方法及びこれに適した炭化珪素単結晶の製造装置に関する。
【0002】
【従来技術】
炭化珪素単結晶は,高耐圧,高電子移動度という特徴を有するため,パワーデバイス用半導体として期待されている。炭化珪素単桔晶を製造する方法としては,例えば昇華法(改良レーリー法)と呼ばれる単結晶成長方法が用いられる。
改良レーリー法は,黒鉛製るつぼ内に炭化珪素原料を挿入すると共にこの原料部と対向するように種結晶を黒鉛製るつぼの内壁に装着し,原料部を2200〜2400℃に加熱して昇華ガスを発生させ,原料部より数十〜数百℃低温にした種結晶上において再結晶させることで炭化珪素単結晶を成長させるものである。
【0003】
この改良レーリー法では,炭化珪素単結晶の成長に伴って炭化珪素原料が減少するため,成長させることができる量に限界がある。たとえ,成長途中に原料を追加する手段をとったとしても,SiCが昇華する際にSi/C比が1を超える比で昇華するため,成長中に原料を追加するとるつぼ内の昇華ガスの濃度が揺らぎ,結晶を連続的に高品質に作製することの障害となってしまう。
【0004】
一方,CVDによって炭化珪素をエピタキシャル成長させるものとして,特表平11−508531号公報に記載の従来技術がある。図12はその従来の製造装置9の概略断面図である。図12に示すように,円筒形状のケース92の中央付近に円筒状のサセプタ97を配置している。このサセプタ97は高純度の黒鉛等からなる。
【0005】
サセプタ97の上端面の蓋912には,種結晶となる炭化珪素単結晶基板913が配置されている。ケース92の外部には,上記サセプタ97の外周に相当する位置に,サセプタ97内部を加熱するための加熱手段911が配置されている。サセプタ97の周囲は断熱材910である多孔質の黒鉛により充填されている。そして,サセプタ97の下端において,この断熱材910によって漏斗状の通路915が形成されている。
【0006】
ケース92の下端には炭化珪素単結晶の成長に必要なSiやCを含有する混合ガスを供給する供給手段95が配置されている。また,サセプタ97の上端面には混合ガスが排気される通路914が形成さており,ケース92の上部にはケース92の外部に繋がる通路916が形成されている。
【0007】
この様な構成の製造装置では,供給手段95から供給された混合ガスが断熱材910により形成された通路915を通ってサセプタ97内に移動し,混合ガスが加熱手段911により加熱されて種結晶913上に炭化珪素単結晶としてエピタキシャル成長される。そして残留した混合ガスはサセプタ97上端面の通路915を通り,ケース92の上部に形成された通路916を通って排気される。
【0008】
【解決しようとする課題】
上記従来の高温CVDによる炭化珪素単結晶の製造では,供給原料ガスを制御できるため,従来の昇華法における原料追加による連続製造の障害を回避することができる。しかしながら,上記CVD法においては,ケース92の内部は中心から外部に向かって高温になり,また,ケース92は黒鉛で出来ているため,昇華法と同様な供給ガス濃度の空間揺らぎを生じる。
【0009】
また,混合ガスの温度が500℃程度以上になると,Siがこの壁面に堆積し,また,混合ガスがSiとCの反応温度に達すると,SiとCとが反応して通路915の壁面にSiCが堆積してしまう。そして,これらの堆積により通路が詰まってしまうことで,供給ガス濃度の時間揺らぎが生じ,高品質な炭化珪素単結晶の製造が困難となっていた。
【0010】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,高品質の炭化珪素単結晶を長時間連続して製造することができる炭化珪素単結晶の製造方法及び製造装置を提供しようとするものである。
【0011】
【課題の解決手段】
第1の発明は,反応容器内に炭化珪素単結晶よりなる種結晶を配置し,上記反応容器内にSiを含有する珪素含有ガスとCを含有する炭素含有ガスとを含む混合ガスを導入することにより,上記種結晶の初期表面上に炭化珪素単結晶よりなる成長結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において,
上記混合ガスを上記反応容器内に導入する際に,複数のガス流路を有するガス導入管を用いて,各ガス流路ごとに独立に上記混合ガスのガスモル比とガス流量の少なくとも一方を制御するに当たり,
上記複数のガス流路は,少なくとも2重の多筒構造を有するガス導入管内に設けられており,
各ガス流路におけるガス流量は,上記成長結晶の成長初期には,上記ガス導入管の中心に位置する上記ガス流路のガス流量を最大とすると共に,中心から離れた上記ガス流路ほどガス流量を小さくし,
上記成長結晶の成長初期を過ぎた後は,上記ガス導入管の中心に位置する上記ガス流路のガス流量を最小とすると共に,中心から離れた上記ガス流路ほどガス流量を大きくすることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法にある(請求項1)。
【0012】
本発明においては,上記複数のガス流路を利用して,上記混合ガスのガスモル比とガス流量の少なくとも一方をガス流路ごとに制御する。これにより,上記反応容器内に導入された混合ガスのガス濃度を,幅方向において自由に制御することができる。それ故,上記種結晶上において成長する成長結晶の成長状態を混合ガス濃度により制御できる。
例えば,後述するようにステップ成長を自由に制御することもでき,品質の良い炭化珪素単結晶を長時間連続して形成することができる。
【0015】
第2の発明は,反応容器内に炭化珪素単結晶よりなる種結晶を配置し,上記反応容器内にSiを含有する珪素含有ガスとCを含有する炭素含有ガスとを含む混合ガスを導入することにより,上記種結晶の初期表面上に炭化珪素単結晶よりなる成長結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において,
上記反応容器内に,上記珪素含有ガスと上記炭素含有ガスと水素ガスとを別々のガス導入管を用いて導入し,上記反応容器内において導入したガスを混合して上記混合ガスを形成する工程と,
珪素含有ガスの導入管が詰まる前に,上記珪素含有ガスを流していた導入管に水素ガスが流れるように,導入管に流すガスを入れ替える工程とを有することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法にある(請求項3)。
【0016】
本発明においては,上記ガス導入管を上記珪素含有ガス用と炭素含有ガス用と水素ガス用に分離している。そのため,上記ガス導入管内において炭化珪素単結晶が生成せず,ガス導入管内壁へのSiCの堆積を確実に防止することができる。
また,上記ガス導入管が,珪素含有ガス用に複数,炭素含有ガス用に複数,水素ガス用に複数あることが好ましい。そのため,これらのガス導入管の配置を,均質な混合ガスが得られるように配置することができ,品質の良い炭化珪素単結晶を長時間連続して形成することができる。
ここで,上記複数のガス導入管の配置としては,例えばミラー対称,中心対称(3回対称,6回対称など)を採用することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
上記第1の発明(請求項1)においては,上記複数のガス流路は,少なくとも2重の多筒構造を有するガス導入管内に設けられており,各ガス流路におけるガス流量は,上記成長結晶の成長初期には,上記ガス導入管の中心に位置する上記ガス流路のガス流量を最大とすると共に,中心から離れた上記ガス流路ほどガス流量を小さくし,上記成長結晶の成長初期を過ぎた後は,上記ガス導入管の中心に位置する上記ガス流路のガス流量を最小とすると共に,中心から離れた上記ガス流路ほどガス流量を大きくする。
【0028】
この場合には,上記成長結晶の成長初期に種結晶中央の供給ガス濃度を高くすることによって,成長初期に成長ステップの供給の役割を果たすスパイラル成長中心を種結晶の中央部に作製することができる。そしてその後,上記種結晶の周辺側が中央よりも高いガス濃度となるようにガス流量を調整することによって,成長テラス幅を結晶全面で一定としたステップ成長を実現することができる。それ故,中心部分を除き,非常に高品質な炭化珪素単結晶を形成することができる。
【0029】
また,上記成長結晶の幅方向中心部における厚さをh0,上記成長結晶の幅方向端部における厚さをh1とすると,h0≧h1となるように透過X線で形状確認を行いつつ上記ガス流路ごとのガスモル比とガス流量の少なくとも一方を制御することが好ましい(請求項2)。
【0030】
この場合には,形成された成長結晶の断面形状を上記透過X線によって確認することができるので,その断面形状が常に一定になるように,径方向の供給ガス濃度分布を制御することができる。そして,特に凸形で成長させた場合には,欠陥を外部に排出(変換)させることができ,また理想的なステップ成長が実現できるため,2次元成長核発生等に起因した欠陥の新たな発生も防止することができる。
【0033】
次に,上記発明においては,上記ガス導入管を加熱しながら上記珪素含有ガス,上記炭素含有ガス又はこれらの混合ガスを導入することが好ましい(請求項6)。この場合には,ガス導入管内壁へのSiCの堆積をより確実に抑制することができるため,供給ガス濃度分布の時間,空間揺らぎを防止することが可能となり,さらに品質の良い炭化珪素単結晶を形成することが可能となる。
【0037】
また,以下の実施例においては,6H−SiCのSi面を成長面とした場合について述べたが,本発明はこれに限定されるものではなく,C面または(0001)面から傾いたoff面またはa面などいずれの結晶面を成長面とした場合にも適用可能である。また結晶多形も4H,15R等いずれの結晶多形にも適用可能である。
【0038】
【実施例】
(実施例1)
本発明の炭化珪素単結晶の製造方法及び製造装置につき,図1,図2を用いて説明する。
本例の炭化珪素単結晶の製造装置1は,図1に示すごとく,反応容器10内に炭化珪素単結晶よりなる種結晶6を配置し,上記反応容器10内にSiを含有する珪素含有ガスとCを含有する炭素含有ガスとを含む混合ガス8を導入することにより,上記種結晶6の初期表面60上に炭化珪素単結晶よりなる成長結晶7を成長させる炭化珪素単結晶の製造装置である。
【0039】
本例では,図1,図2に示すごとく,上記混合ガス8を反応容器10内に導入するために用いるガス導入管2が,2つのガス流路31,32を形成するように2重筒構造を有しており,各ガス流路ごとに独立に混合ガス8のガスモル比とガス流量の少なくとも一方を制御するよう構成されている。
以下,これを詳説する。
【0040】
本例の製造装置1は,図1に示すごとく,2つの円盤121,122を組み合わせてなる上部フランジ12と,下部フランジ13とを上下端に有する円筒状のケース11に上記反応容器10を収納してなる。ケース11は石英二重管より構成されており,その内部に冷却水41を循環するための冷却水導入口113および冷却水導出口114を設けてある。また,ケース11の外方には,反応容器10を加熱するためのRFコイル14を配設してある。このRFコイル14は,ケース11に内蔵された上記反応容器10を覆う位置に配置されている。
【0041】
また,ケース11内には,反応容器10の周囲を覆うように断熱材15が配設されている。そして,反応容器10の下方には,下部フランジ13を貫通して挿設された混合ガス導入用の上記ガス導入管2が接続されている。
本例のガス導入管2は,図1,図2に示すごとく,外筒16内に収納されており,内管21と外管22よりなる2重管構造を有している。そして,内管21の内部に第1のガス流路31が,内管21と外管22との間に第2のガス流路32が形成されている。そして,各ガス流路31,32には,それぞれ混合ガス供給源が接続されていると共に,それぞれ単独で混合ガス8のガスモル比及びガス流量を調整するための制御装置(図示略)が接続されている。
【0042】
また,上記反応容器10の上端部分には,上記種結晶6を取り付けるための台座17が配設されている。台座17は,上部フランジ12を貫通して挿設されたシャフト18に接続されており,該シャフト18内に設けた台座冷却用ガス配管185を通して外部から冷却ガス2が台座17の上面に導入されるようになっている。そして,台座17は,上部フランジ12の上方に配設された結晶引き上げ機構部19によって,上記シャフト18と共に上方に移動可能に設けられている。
【0043】
また,上記上部フランジ12における2枚の円盤121,122の間には,試料取り出し室124及び試料取り出し口125が設けられており,ここまで引き上げられた成長結晶7を上記試料取り出し口125から外部に取り出すよう構成されている。また,試料取り出し室124には排気配管129が接続されており,上記試料取り出し室124まで流れてきた余剰の混合ガス8を外部へ排出できるよう構成されている。
また,本製造装置1の外部上方には,反応容器10内の温度を測定するためのパイロメータ145が配設されている。また,図示されていないが,ガス導入管2の下方にもパイロメータが配設されている。
【0044】
そして,このような構成の製造装置1を用いて炭化珪素単結晶である成長結晶7を成長させるに当たっては,上記台座17に種結晶6をセットして,ガス導入管2を介して混合ガス8を反応容器10内に導入する。これにより,混合ガス8は,上記種結晶6の初期表面60上において新たな炭化珪素単結晶である成長結晶7となる。そして,余剰の混合ガス8は,台座17及びシャフト18の外方を通って排気配管129から外部へ排出される。
【0045】
ここで,本例の製造装置1は,上記ガス導入管2が2重管構造であって2つのガス流路31,32を有している。そして,各ガス流路31,32ごとに独立に混合ガス8のガスモル比とガス流量の少なくとも一方を制御することができる。そのため,本例においては,上記複数のガス流路31,32を利用して,反応容器10内に導入された混合ガス8のガス濃度を,幅方向において自由に制御することができる。
【0046】
例えば,第1のガス流路31から導入する混合ガス8の流量を,その周囲の第2のガス流路32から導入される混合ガス8の流量よりも多くすることにより,中心部が最も混合ガス8の濃度が高く,周囲に近づくほど濃度が低くなる状態を作り上げることができる。逆に,第1のガス流路31から導入する混合ガス8の流量を,その周囲の第2のガス流路32から導入される混合ガス8の流量よりも少なくすることにより,中心部が最も混合ガス8の濃度が低く,周囲に近づくほど濃度が高くなる状態を作り上げることができる。
【0047】
そのため,本例の製造装置5を用いた製造方法では,上記種結晶6上において成長する成長結晶7の成長状態を混合ガス濃度により制御できる。そして,後述するステップ成長も自由に制御することができ,品質の良い炭化珪素単結晶を長時間連続して形成することができる。
【0048】
(実施例2)
本例では,図3に示すごとく,実施例1の製造装置1に,さらに上記種結晶6の初期表面60上において成長した上記成長結晶7の形状を確認するためのX線照射装置5を設けた例を示すと共に,成長結晶7を成長させた具体例を示す。
【0049】
上記X線照射装置5は,図3に示すごとく,X線発射装置51と,X線検出装置52とよりなる。X線照射装置としては,例えばイメージングプレートを用いることができる。そして,X線発射装置51からX線50を発射して成長結晶7に照射し,その透過像59をX線検出装置52に映し出せるように構成されている。そして,透過像59によって,成長結晶7の幅方向中心部における厚さh0と成長結晶7の幅方向端部における厚さh1を測定することができる。
【0050】
次に,本例で成長結晶7を成長させた具体例を説明する。
まず,台座17に種結晶6を取り付け,反応容器10内の所定の位置に種結晶6を配置した。この際,種結晶6は,6H−SiCの(0001)のSi面を初期表面60とし,図1中において下方に向くよう配置した。
【0051】
そして,容器ケース11内を真空排気すると共に,2重多筒のガス導入管2を介してArを10リットル/分の流量で導入した。
また,RFコイル14に電力を投入し,反応容器10を2400℃に昇温加熱した。その後,反応容器10の温度が2400℃で安定した時点でケース11の中の圧力を2.67×104Paとし,上述の混合ガス8とキャリアガスをマスフローコントローラにより流量を調節して,反応容器10内に導入した。
【0052】
これらのガスの流量は,中心の内管21内のガス流路31からは,SiH4を1リットル/分,C3H8を0.27リットル/分,H2を1リットル/分,N2を0.2リットル/分,Arを5リットル/分とし,その外周側のガス流路32からは,SiH4を0.5リットル/分,C3H8を0.13リットル/分,H2を0.5リットル/分,N2を0.4リットル/分,Arを2.5リットル/分とした。
なお,それぞれのガス導入管2は,後述する図9に示す加熱装置29を用いて,通電加熱より約2000℃に保持した。
【0053】
結晶成長時において,種結晶6又は種結晶6上に結晶成長した成長結晶7の表面温度を,ガス導入管2の下方に配置したパイロメータ(図示略)及びパイロメータ145により測定して,この表面温度を2350℃に制御した。また,シャフト18を回転させることで成長結晶7の結晶表面での温度分布とガス濃度分布を均一化した。
【0054】
結晶成長開始後2時間経過した時点で,X線装置5を用いた成長結晶7の透過像59(図3)の観察から,結晶成長中に結晶成長量をモニタリングした。
その結果,中心付近の成長量(h1)から成長速度が3.5mm/h,周辺付近の成長量(h0)から成長速度が0.15mm/hの山形で成長していることが分かった。
【0055】
その後,中心(ガス流路31)と周辺(ガス流路32)の混合ガス流量を逆転させた。2時間後経過した時点で再び形状をX線で確認したところ,同様に山形形状で,成長速度(約1.5mm/h)も中心,周辺で一定に保たれていた。この成長速度にあわせてシャフト18を上方に引き上げ,成長結晶7の結晶成長を引き続き行った。
【0056】
また結晶成長中にガス導入管2の下方からガス導入管内を観察したがガス導入管2内の詰まりは発生することはなかった。
この様にして成長結晶7の結晶成長を40時間行った時点でSiH4,C3H8,H2,N2のガスの供給を停止し,RFコイル14の電源の電力を下げ降温した。
その後,作製したSiC単結晶である成長結晶7を上記試料取り出し室124間で引き上げ,該試料取り出し室124にArガスを導入して大気圧まで昇圧した後,成長結晶7を試料取り出し口125より取り出した。
【0057】
上記の実験の後,SiC単結晶(成長結晶7)の成長量を測定したところ,中心で65mm,周辺で55mmほどの成長量であった。更に成長結晶7からSiC単結晶切断機を使用して厚さ500μmに切り出し,その後鏡面研磨を行い,厚さ300μmのウエハを作製した。
【0058】
この様にして得られたSiCウエハのラマン散乱分光特性を調べた結果,6H−SiC結晶多形であることが分かった。
また,He−Cdレーザー(325nm)をSiCウエハに照射し,面内の発光特性分布を調査した結果,ウエハ全面で同じ結晶多形の6H−SiCであることが分かった。
【0059】
また,エッチピット密度を測定したところ,基板最中心で,1×103cm-2以下,基板周辺では1×102cm-2以下であり,これまでの昇華法では得られたことのない高品質の炭化珪素単結晶が得られていることが判明した。
【0060】
(比較例1)
比較例1は,実施例1,2における上記ガス導入管2に代えて,特に工夫を設けない1重の管を有する製造装置を用いた例である。ガス導入管以外の部分の構造は実施例1と同様である。
【0061】
本比較例1では,反応容器1の温度を2400℃,ケース11の中の圧力を2.67×104Paとし,上述の混合ガスとキャリアガスをマスフローコントローラにより流量を調節して,1本のガス導入管(図示略)を用いて反応容器10内に導入した。
これらのガスの流量は,SiH4を1リットル/分,C3H8を0.27リットル/分,H2を1リットル/分,N2を0.4リットル/分,Arを5リットル/分とした。
【0062】
実施例2と同様にSiC単結晶である成長結晶7の表面温度を2350℃に制御した。また,シャフト18を回転させることで結晶表面での温度分布とガス濃度分布を均一化した。
結晶成長開始後1時間経過した時点で,X線装置5を用いた成長結晶7の透過像59の観察から,結晶成長中に結晶成長量をモニタリングした。
【0063】
その結果,その成長量から成長速度が1.5mm/hであることが分かった。この成長速度にあわせてシャフト18を上方に引き上げ,成長結晶7の結晶成長を引き続き行った。
成長1時間後,ガス導入管の下方からガス導入管内を観察した結果,ガス導入管内にSiCの堆積が起こっていた。
【0064】
このまま結晶成長を5時間行った時点で詰まりが激しくなったので,SiH4,C3H8,H2,N2のガスの供給を停止し,RFコイル14の電源の電力を下げ降温した。
その後,作製したSiC単結晶(成長結晶7)を実施例2と同様にして試料取り出し口25より取り出した。
【0065】
上記の実験の後,SiC単結晶の成長量を測定したところ3mmほどの成長量であった。取り出したSiC単結晶(成長結晶7)のインゴットは成長した表面の周辺に(0001)面のファセットを複数有していたことから,ガス濃度分布が時間,空間的に揺らいだことが推察された。
【0066】
更にSiC単結晶からSiC単結晶切断機を使用して厚さ500μmのウエハを切り出し研磨した。
この様にして得られたSiCウエハのラマン散乱分光特性を調べた結果,母相は6H−SiC結晶多形であったが,一部15R多形が混在していることが判明した。
このことは,面内の発光特性解析からも,同様な結論が導かれた。
この比較例1と上記実施例2の比較により,実施例2(本発明)の有用性が明確に示される。
【0067】
(参考例1)
本例の炭化珪素単結晶の製造装置1は,図4に示すごとく,反応容器10の下方に設けたガス混合室105と,該ガス混合室105に珪素含有ガス81と炭素含有ガス82を別々に導入する複数のガス導入管231,232とを有する。そして,上記ガス混合室105に珪素含有ガス81と炭素含有ガス82とを別々に導入してガス混合室105内において両者のガスを混合して混合ガス8を形成した後,混合ガス8を反応容器105内に導入するよう構成されている。
【0068】
上記ガス混合室105は,反応容器10の下方において,該反応容器10よりも大きな外径の部屋に設けられている。そして,上記ガス導入管231,232は,このガス混合室105内に突出するよう配設されている。
上記ガス導入管231,232は,互いに隣接して設けられており,その上端には両方のガス導入管231,232を覆うように配設されたキャップ部233が設けられている。そして,キャップ部233の周囲にはガスを導出可能な導出孔234が複数対称性良く設けられている。その他は実施例1と同様である。
【0069】
本例では,上記のごとく,ガス導入管として,珪素含有ガス用のガス導入管231と炭素含有ガス用のガス導入管232を分離した状態で配置して上記ガス混合室105に突出させている。そのため,珪素含有ガス81及び炭素含有ガス82は,各ガス導入管231,232を通って上記ガス混合室105内のキャップ部233に到達するまではSiCを形成しない。そして,ガス混合室105内のキャップ部233内において初めて混合ガス8が形成され,ガス混合室105からさらに上方の反応容器10内へと送られる。
【0070】
そのため,ガス導入管231,232内においては炭化珪素単結晶が生成せず,ガス導入管231,232の内壁へのSiCの堆積を確実に防止することができる。
また,上記反応容器10の下方にガス混合室105を設けたことにより,アセチレンなどの中間生成物をここであらかじめ分解させることができ,それらをSi,SiC2,Si2C等のガスに変換した後に反応容器10内にキャリアガスを用いて搬送することができる。そのため,品質の良い炭化珪素単結晶を長時間連続して形成することができる。
【0071】
(参考例2)
本例の炭化珪素単結晶の製造装置1も,図5〜図7に示すごとく,反応容器10の下方に設けたガス混合室105と,該ガス混合室105に珪素含有ガス81と炭素含有ガス82を別々に導入する複数のガス導入管260〜263とを有する。そして,上記ガス混合室105に珪素含有ガス81と炭素含有ガス82とを別々に導入してガス混合室105内において両者のガスを混合して混合ガス8を形成した後,混合ガス8を反応容器10内に導入するよう構成されている。
【0072】
上記ガス混合室105は,反応容器10の下方において,該反応容器10よりも大きな外径の部屋に設けられている。そして,このガス混合室105に繋がるガス導入管26は,図7に詳しく示すごとく,大径の外管260とその中に配設された3本の内管261〜263より構成されている。そして,図5に示すごとく,ガス混合室105内には,ガス導入管26の開口部に対面するように,キャップ部265が配設されている。
【0073】
また,本例では,図5,図6に示すごとく,ガス混合室105の上端面に通気孔271を多数設けた障害物としての黒鉛板27を配置した。この障害物としては,回転機構を有した黒鉛製のプロペラ状のものを採用することもできる。その他の構造は参考例1と同様である。なお,黒鉛板27の黒鉛材料の表面をTaCでコーティングしたものが,SiC高品質結晶を得るために好適に使用される。
【0074】
このような構造の製造装置1を用いて炭化珪素単結晶を成長させるに当たっては,まず,台座17に種結晶6を取り付けて反応容器10内の所定の位置に種結晶6を配置する。この際,種結晶6は,6H−SiCの(0001)のSi面がガス混合室105側(下方側)に向くように配置した。
【0075】
そして,ケース11内を真空排気すると共に,ガス導入管26を介してArを10リットル/分の流量で導入した。また,RFコイル14に電力を投入し,反応容器10を成長温度:2300℃に向け昇温加熱した。反応容器10の温度が1800℃に達した時点で,キャリアガス用のガス導入管260からキャリアガス83としてのH2を1リットル/分で導入した。また,珪素含有ガス用のガス導入管261から珪素含有ガス81としてSiH4を1℃あたり2cc/分,炭素含有ガス用のガス導入管262から炭素含有ガス82としてのC3H8を1℃あたり0.5cc/分,キャリアガス用のガス導入管263からキャリアガス83としてのN2を1℃あたり2cc/分で昇温とともに増加させながら導入した。
【0076】
反応容器10の温度が2300℃になった時点で,SiH4を1リットル/分,C3H8を0.25リットル/分,N2を1リットル/分に固定した。
反応容器10の温度が2300℃で安定した時点で,ケース11の中の圧力を2.67×104Paとした。種結晶6または成長結晶7の表面温度は2300℃,ガス混合室105は種結晶表面温度より200℃高温の2500℃に制御した。
【0077】
ガス混合室105の容積は,導入されたガスが対流しやすいように反応容器10の容積より大きくしてある。ガス混合室105には,SiH4の分解したSi系ガス(Si)とC3H8の分解したC系ガス(エチレン,アセチレン等)が混合しやすいように,上記のごとく障害物として黒鉛板27を設置した。黒鉛板27の直径はガス導入管26の外径よりも大きくした。
分解したSi系ガス(Si)と,C系ガス(エチレン,アセチレン等)は2500℃という高温で,SiC2,SiC2等のSiとCの結合したガスとなり,反応ガス入り口としての黒鉛板27の通気孔271から反応容器10内に導入される。反応ガス入り口としての通気孔271は,直径5mmの穴12個より構成した。この通気孔271により,ガス混合室105において生じたSiやCの固形生成物が反応容器10内に流入するのを抑制することができる。
【0078】
また,反応容器10内においては,シャフト18を回転させることで結晶表面での温度分布とガス濃度分布を均一化した。シャフト18は,1.5mm/hで上方に引き上げ,結晶成長を連続して行った。この様にして成長を20時間行った時点でRFコイル14の電源の電力を下げ降温した。
【0079】
昇温時と同様に,反応容器10の温度が1800℃になるまで,SiH4,N2流量は1℃あたり2cc/分,C3H8流量は0.5cc/分で減少させた。その後,作製したSiC単結晶である成長結晶7を,ケース11内へ導入したArガスで上部容器を大気圧まで昇圧した後,試料取り出し口より取り出した。
【0080】
上記の実験の後,SiC単結晶の成長量を測定したところ,中心,周辺ともに30mmほどの成長量であった。更にSiC単結晶からSiC単結晶切断機を使用して厚さ500μmに切り出し,その後鏡面研磨を行い,厚さ300μmのウエハを作製した。この様にして得られたSiCウエハのラマン散乱分光特性を詞べた結果,6H−SiC結晶多形であることが分かった。
【0081】
また,He−Cdレーザー(325nm)をSiCウエハに照射し,面内の発光特性分布を調査した結果,ウエハ全面で同じ結晶多形の6H−SiCであることが分かった。
また,エッチピット密度を測定したところ,基板最中心で,1×103cm-2以下,基板周辺では,1×103cm-2以下のこれまでの昇華法では得られたことのない高品質の炭化珪素単結晶が得られていることが判明した。
【0082】
(参考例3)
本例の製造装置では,図8,図9に示すごとく,反応容器10内に,珪素含有ガス81と,炭素含有ガスと82を,別々に導入するためのガス導入管241,242をそれぞれ2つずつ設け,これらのガス導入管241,242から別々に導入した珪素含有ガス81と炭素含有ガス82とを上記反応容器10内において混合して混合ガス8を形成するよう構成されている。
【0083】
上記ガス導入管241,242はそれぞれ対称になるよう交互に配置され,その上端部には,円盤部245が配設されている。円盤部245には,各ガス導入管241,242に通ずる開口部をそれぞれ設けてある。
この円盤部245は,各ガスがガス導入管の間隙から逆流するのを防止する役割を果たす。
また,上記ガス導入管241,242の間には,これらを加熱するための加熱装置29を設けた。
その他は実施例1と同様である。
【0084】
本例においては,ガス導入管241,242を珪素含有ガス81用のものと炭素含有ガス82用のものに分離している。そのため,ガス導入管241,242内において炭化珪素単結晶が生成せず,ガス導入管の内壁へのSiCの堆積を確実に防止することができる。
【0085】
また,珪素含有ガス用のガス導入管241が2つ,炭素含有ガス用のガス導入管242が2つある。そのため,これらのガス導入管241,242の配置を,均質な混合ガスが得られるように対称に配置することができる。それ故,品質の良い炭化珪素単結晶を長時間連続して形成することができる。
【0086】
また,本例では,それぞれのガス導入管241,242を加熱装置29を用いて,通電加熱より約2000℃に保持したので,ガス導入管の内壁へのSiCの堆積防止のみならず,Siの堆積も防止することができるという効果も得られた。
【0087】
なお,本例においても,実施例2(図3)と同様のX線発射装置51と,イメージングプレート52とよりなる上記X線照射装置5を設け,透過像59を観察しながら制御する各ガスの流量,濃度等を制御することもできる。
【0088】
(参考例4)
本例の製造装置1は,図10に示すごとく,予め混合した混合ガス8を上記反応容器10内に導入するためのガス導入管25を4つ設けたものである。上記4つのガス導入管25は,これを交互に開閉する切り替え装置(図示略)を有している。
【0089】
上記ガス導入管25は,同図に示すごとく,対称に配列し,その先端には参考例3と同様に円盤部255を設けた。そして円盤部255には,各ガス導入管25に通ずる開口部を設けた。
その他は実施例1と同様である。
【0090】
本例においては,予め混合した混合ガス8を,4つのガス導入管25を用いて反応容器10内に導入する。そのため,ガス導入管25の1本が詰まっても他のガス導入管から混合ガス8を導入できる。それ故,供給ガスの時間,空間の揺らぎの誘発を抑制することができ,品質の良い炭化珪素単結晶を長時間連続して形成することができる。
【0091】
特に本例では,4つのガス導入管25を交互に用いて混合ガス8を反応容器10内に導入する。そのため,定常的に均質な混合ガス8を反応容器内に導入できるため,品質の良い炭化珪素単結晶を形成することが可能となる。
なお,ガス導入管25の詰まり状態のチェックは,例えば透過X線により行うことができる。
【0092】
(実施例3)
本例の製造装置1は,図11に示すごとく,反応容器内に,珪素含有ガス81と炭素含有ガス82とを別々にそれぞれ複数のガス導入管(G0〜G6)を用いて導入し,反応容器内において両者のガスを混合して混合ガス8を形成するよう構成した例である。その他は実施例1と同様である。
【0093】
この製造装置1を用いて炭化珪素単結晶を成長させるに当たっては,まず,台座17に種結晶6を取り付け,反応容器10内の所定の位置に種結晶6を配置する。この際,種結晶6は,6H−SiCの(0001)のSi面がガス導入管の開口部側(下方)に向くように配置した。
【0094】
そして,ケース11内を真空排気すると共に,ガス導入管を介してArを10リットル/分の流量で導入した。また,RFコイル14に電力を投入し,反応容器10を2400℃に昇温加熱した。その後,反応容器10の温度が2400℃で安定した時点で容器の中の圧力を2.67×104Paとし,上述の混合ガス8用の珪素含有ガス81及び炭素含有ガス82とキャリアガス83をマスフローコントローラにより流量を調節して,反応容器10内に導入した。
【0095】
これらのガスの流量は,ガス導入管から,SiH4を1.5リットル/分,C3H8を0.4リットル/分,H2を3リットル/分,N2を0.4リットル/分,Arを5リットル/分とした。
本実施例においては,ガス導入管は中心に一つ(G0)中心対称(G1〜G6)に6つあり,途中の配管を切り替えることによりSiH4,C3H8,H2及びArのそれぞれの導入が可能となっている。またガス導入管の開口部近傍では導入管内側面に溝が刻んであり,そこで導入ガスは渦を作り,反応容器10内ですばやく混合する。
【0096】
結晶成長の初期においては,ガス導入管G1,G4からSiH4,ガス導入管G2,G5からC3H8,ガス導入管G3及びG6からH2を導入した。その後,ガスの導入を続けるにつれて,ガス導入管G1及びG4ではSiH4の分解により,導入管の内壁にSiが堆積し,ガス導入管G1及びG4は他の管に比較し,細くなる。そこで,以下の手順で導入管に流すガスを入れ換え,ガスの配管詰まりを緩和する。
【0097】
まず最初に,ガス導入管G1を閉じ,G4の流量を倍にする。次に,G3を閉じG6の流量を倍にする。次にG1にH2を流すラインをつなぎ込み,G1にH2を1.5SLM流すとともに,G6の流量を1.5SLMと半減させる。
次にG2を閉じ,G5の流量を倍にする。次にG2にSiH4を流すラインをつなぎ込み,G2にSiH4を0.75SLM流すとともに,G4の流量を0.75SLMと半減させる。以下同様に,順次,各ガス導入管に供給するガスの種類を換えつつ,またガス流量を順次変化させることで,ガス導入の不連続を抑制し,使用するガス導入管を入れ替えることができる。
【0098】
最初にSiH4が導入されていたガス導入管G1,G4にはH2が導入されるため,配管内壁に堆積したSiがエッチングされ珪化水素となり,成長室10内に導かれる。このことにより,原料ガスの収率が向上し,また配管の詰まりも緩和される。
【0099】
次にガス導入管G2,G5の内壁にSiが堆積してきたら,再びガス導入配管をローテーションする。今度はガス導入管G1,G4にC3H8,G2,G5にH2,G3,G6にSiH4を流す。この手順を順次繰り返すことにより,一種(SiH4)のガスのみの流れが悪くなるのを防止し,また,ガス導入管の詰まりも防止できるので,安定して連続にガスを供給することができる。
実際には2時間ごとにガス導入管をローテーションし,ローテーションは15minの時間でゆっくり行った。このようにして,結晶成長を40時間行った。
【0100】
次にRFコイル14ヘの電力の投入を徐々に小さくし,降温を行った。降温時には圧力を500Torrとし,1800℃までは徐々にSiH4,C3H8,H2流量を下げていき,1800℃以下ではArで封止した。
その後,作製したSiC単結晶を上部容器へ搬送し,Arガスで上部容器を大気圧まで昇圧した後,試料取り出し口より取り出した。
【0101】
上記実験の後SiC単結晶の成長量を測定したところ50mmであった。更にSiC単結晶からSiC単結晶切断機を使用して厚さ500μmに切り出し,その後鏡面研磨を行い,厚さ300μmのウエハを作製した。この様にして得られたSiCウエハのラマン散乱分光特性を調べた結果,6H−SiC結晶多形であることが分かった。
【0102】
また,He−Cdレーザー(325nm)をSiCウエハに照射し,面内の発光特性分布を調査した結果,ウエハ全面で同じ結晶多形の6H−SiCであることが分かった。
また,エッチピット密度を測定したところ,基板最中心で,1×103cm-2以下,基板周辺では1×102cm-2以下のこれまでの昇華法では得られたことのない高品質の炭化珪素単結晶が得られていることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1における,炭化珪素単結晶の製造装置の構造を示す説明図。
【図2】 実施例1における,ガス導入管の横断面図(図1のA−A線矢視断面図)。
【図3】 実施例2における,制御方法を示す説明図。
【図4】 参考例1における,炭化珪素単結晶の製造装置の構造を示す説明図。
【図5】 参考例2における,ガス混合室の構造を示す説明図。
【図6】 参考例2における,黒鉛板の構造を示す説明図。
【図7】 参考例2における,ガス導入管の構造を示す説明図。
【図8】 参考例3における,ガス導入管の構造を示す説明図。
【図9】 参考例2における,炭化珪素単結晶の製造装置の構造を示す説明図。
【図10】 参考例3における,ガス導入管の構造を示す説明図。
【図11】 実施例3における,ガス導入管の構造を示す説明図。
【図12】 従来例における,炭化珪素単結晶の製造装置の構造を示す説明図。
【符号の説明】
1...炭化珪素単結晶の製造装置,
10...反応容器,
11...ケース(石英二重管),
14...RFコイル,
17...台座,
18...シャフト,
19...結晶引き上げ機構部,
2...ガス導入管,
29...加熱装置,
5...X線照射装置,
6...種結晶,
60...初期表面,
7...成長結晶,
8...混合ガス,
81...珪素含有ガス,
82...炭素含有ガス,
Claims (6)
- 反応容器内に炭化珪素単結晶よりなる種結晶を配置し,上記反応容器内にSiを含有する珪素含有ガスとCを含有する炭素含有ガスとを含む混合ガスを導入することにより,上記種結晶の初期表面上に炭化珪素単結晶よりなる成長結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において,
上記混合ガスを上記反応容器内に導入する際に,複数のガス流路を有するガス導入管を用いて,各ガス流路ごとに独立に上記混合ガスのガスモル比とガス流量の少なくとも一方を制御するに当たり,
上記複数のガス流路は,少なくとも2重の多筒構造を有するガス導入管内に設けられており,
各ガス流路におけるガス流量は,上記成長結晶の成長初期には,上記ガス導入管の中心に位置する上記ガス流路のガス流量を最大とすると共に,中心から離れた上記ガス流路ほどガス流量を小さくし,
上記成長結晶の成長初期を過ぎた後は,上記ガス導入管の中心に位置する上記ガス流路のガス流量を最小とすると共に,中心から離れた上記ガス流路ほどガス流量を大きくすることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。 - 請求項1において,上記成長結晶の幅方向中心部における厚さをh0,上記成長結晶の幅方向端部における厚さをh1とすると,h0≧h1となるように透過X線で形状確認を行いつつ上記ガス流路ごとのガスモル比とガス流量の少なくとも一方を制御することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
- 反応容器内に炭化珪素単結晶よりなる種結晶を配置し,上記反応容器内にSiを含有する珪素含有ガスとCを含有する炭素含有ガスとを含む混合ガスを導入することにより,上記種結晶の初期表面上に炭化珪素単結晶よりなる成長結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において,
上記反応容器内に,上記珪素含有ガスと上記炭素含有ガスと水素ガスとを別々のガス導入管を用いて導入し,上記反応容器内において導入したガスを混合して上記混合ガスを形成する工程と,
珪素含有ガスの導入管が詰まる前に,上記珪素含有ガスを流していた導入管に水素ガスが流れるように,導入管に流すガスを入れ替える工程とを有することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。 - 請求項3において,上記ガス導入管は,上記珪素含有ガスと上記炭素含有ガスと水素ガスとを別々にそれぞれ複数のガス導入管を用いて導入することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
- 請求項4において,上記導入管に流すガスを入れ替える工程は,上記珪素含有ガスの複数のガス導入管のうち,一つのガス導入管を残して入れ替えを行い,入れ替え中のガス導入管で流すべきガス流量を,残したガス導入管で併せて流すことにより,ガス導入の不連続を抑制することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項において,上記ガス導入管を加熱しながら上記珪素含有ガス,上記炭素含有ガス又はこれらの混合ガスを導入することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
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