JP3941727B2 - 炭化珪素単結晶の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化珪素単結晶の製造方法、および、これに適した炭化珪素単結晶の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化珪素単結晶は、高耐圧、高電子移動度という特長を有するため、パワーデバイス用半導体基板として期待されている。炭化珪素単結晶には、一般に昇華法(改良レーリー法)と呼ばれる単結晶成長方法が用いられる。
【0003】
改良レーリー法は、準密閉された黒鉛製ルツボ内に炭化珪素原料を配置すると共に、この原料部と対向するように種結晶を黒鉛ルツボの内壁に装着し、原料部を2200〜2400℃に加熱して昇華ガスを発生させ、原料部より数十〜数百℃低温にした種結晶に再結晶化させることで、炭化珪素単結晶を成長させるものである。
【0004】
この改良レーリー法では、炭化珪素単結晶の成長に伴って炭化珪素原料が減少するため、成長させることができる量に限界がある。たとえ、成長中に原料を追加する手段をとったとしても、炭化珪素が昇華する際に、昇華ガス中のSi/Cが1を超える比で昇華するため、成長中に原料を追加すると、ルツボ内の昇華ガスの濃度が揺らぎ、結晶を連続的に高品質に作製することの障害となる。
【0005】
一方、CVDによって炭化珪素をエピタキシャル成長させる技術が、特許文献1に開示されている。図8,9はこの技術を用いた製造装置の概略断面図である。図8において、円筒形状のケース100の中央付近に円筒形状のサセプタ101を配置している。このサセプタ101は高純度の黒鉛等からなる。サセプタ101の上端面には種結晶となる炭化珪素単結晶基板102が配置されている。ケース100の外部におけるサセプタ101の外周に相当する位置には、サセプタ101内の気体を加熱するための加熱手段103が配置されている。サセプタ101の周囲は断熱材である多孔質の黒鉛104により充填されている。そして、サセプタ101の下端において、この断熱材(104)によって漏斗状の通路105が形成されている。ケース100の下端には、炭化珪素単結晶の成長に必要なSiやCを含有する原料ガスを供給する原料ガス導入管106が配置されている。また、サセプタ101の上端面には原料ガスが排気される通路107が形成されており、ケース100の上部にはケース100の外部に繋がる通路108が形成されている。このような構成の製造装置では、原料ガス導入管106から供給された原料ガスが断熱材(104)により形成された通路105を通ってサセプタ101内に移動し、原料ガスが加熱手段103により加熱されて種結晶(102)から炭化珪素単結晶としてエピタキシャル成長される。そして、残留した原料ガスは、サセプタ101の上端面の通路107を通り、ケース100の上部に形成された通路108を通って排気される。
【0006】
また、図9においても、円周壁を有するサセプタ200および蓋201によって形成された成長空間に、原料となる原料ガスを導入し、基板202が昇華を始める温度にて、結晶成長を行う。結晶成長に供されなかった原料ガスは、ガス吐出穴203を通って系外に排出される。
【0007】
この図8,9に示した方法では、成長期間中、Si/C比を一定に保つことが可能であり、優れた結晶品質を有する単結晶を高い成長速度で成長させることが可能である。
【0008】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の方法では、サセプタ101,200が同じ温度に加熱されるため、成長空間に導入された原料ガスは、基板のみならず、サセプタ101,200にも結晶を堆積させる。そのため、長尺な結晶を得ようとする際には、単結晶の収率が小さいのみならず、成長空間やガス吐出穴(107,203)が析出した結晶によって閉塞されてしまい、定常的な成長が実現できないという問題点があった。さらに、成長に寄与できずにサセプタ101,200の外部へ放出された炭化珪素の原料ガスが排気経路において堆積し、導入ガスの経路が塞がれるため、定常的な成長ができないという問題もあった。
【0009】
【特許文献1】
特表平11−508531号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような背景の下になされたものであり、その目的は、効率的かつ定常的に結晶成長させることができる炭化珪素単結晶の製造方法および製造装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法は、図1に示すごとく、真空容器内において反応容器1の内部に種結晶となる炭化珪素単結晶基板2を配置し、反応容器1内に、Siを含有するガスとCを含有するガスとを含む原料ガスを導入することにより、種結晶となる炭化珪素単結晶基板2から炭化珪素単結晶3を成長させる際に、原料ガスの流れとして、種結晶となる炭化珪素単結晶基板2の上流において原料ガスを加熱した後、それよりも低温に保持された種結晶となる炭化珪素単結晶基板2から結晶成長させ、さらに、成長に寄与しなかった原料ガスを再び加熱した後、真空容器内において吸収材4に吸収させるようにしたことを特徴としている。
【0012】
これにより、原料ガスの流れにおいて、種結晶となる炭化珪素単結晶基板2においては過飽和となる低温にして結晶が析出するとともに、その上流側および下流側においては未飽和となる高温にして結晶が析出しないようにすることができる。その結果、ガス流路の温度を均一にする方式(図8)に比べ炭化珪素単結晶3の収率を向上させることができるとともに、反応容器1内(成長空間)が析出した結晶によって閉塞されることを回避することができる。
【0013】
また、成長に寄与しなかった原料ガスは吸収材4に吸収され、その他のガスは排気系へ導かれる。そのため、ガスの経路が塞がれることを回避することができる。その結果、反応容器1内(成長空間)を含めたガス流路が、析出した結晶によって閉塞されることがなく定常的な成長が実現できる。
【0014】
請求項4に記載のように、図1に示すごとく、種結晶となる炭化珪素単結晶基板2の上流において加熱された原料ガスの温度が2300〜2700℃であり、炭化珪素単結晶3の成長表面の温度が2100〜2600℃であるとよい。
【0015】
請求項5に記載のように、種結晶となる炭化珪素単結晶基板において結晶成長に寄与しなかった原料ガスを再び加熱すべく、種結晶となる炭化珪素単結晶基板に向かう原料ガスの流れに対し逆向きの原料ガスの流れを作るようにすると、つまり、導入した原料ガスを種結晶となる炭化珪素単結晶基板にて反転させると、低温に保持される炭化珪素単結晶基板においては過飽和、原料ガスの加熱状態では未飽和とすることができ、請求項1での作用効果が得られる。
【0016】
そのために、請求項9に記載の炭化珪素単結晶の製造装置を用いる。つまり、種結晶となる炭化珪素単結晶基板への原料ガスを当該種結晶となる炭化珪素単結晶基板での温度よりも高くなるように加熱する加熱装置と、有蓋円筒状をなし、蓋部の下面に種結晶となる炭化珪素単結晶基板が取り付けられた構造、又は、台座と円筒体からなる構造を有し、加熱装置により加熱した原料ガスを用いて種結晶となる炭化珪素単結晶基板から結晶成長させた後の成長に寄与しなかった原料ガスを再び上流側に戻す反応容器と、真空容器内に配置され、戻された原料ガスを加熱装置により再び加熱した後の原料ガスを吸収する吸収材と、を備えた炭化珪素単結晶の製造装置を使用する。
【0017】
より具体的には、請求項12に記載の炭化珪素単結晶の製造装置を用いる。つまり、反応容器内において種結晶となる炭化珪素単結晶基板に向かって温度が下がる温度勾配を有するものとする。そのために、請求項13に記載のように、反応容器内において原料ガスが種結晶となる炭化珪素単結晶基板に到達した後、原料ガスが反応容器の内壁に沿って排出するようにする。より具体的には、請求項14に記載のように、反応容器は有蓋円筒状をなし、反応容器の開口部から原料ガスを反応容器の中央部において導入して種結晶となる炭化珪素単結晶基板に到達後、反応容器の内壁に沿って上流側に戻り、反応容器の開口部から下流側に流れる炭化珪素単結晶の製造装置を使用する。
【0018】
このようにして、反応容器の内壁に種結晶となる炭化珪素単結晶基板に向かって温度が低くなるような温度勾配を設定することによって、最も低温となっている種結晶となる炭化珪素単結晶基板から結晶を析出させた原料ガスは、そこで反転し、内壁に沿って流れる。反転した原料ガスは、炭化珪素単結晶基板より温度の高い内壁では未飽和となり、内壁に結晶を析出させないで系外へ放出される。
【0019】
請求項15に記載のように、反応容器が、加熱装置における加熱した原料ガスを反応容器に向かって導出する筒体から分離されていると、熱伝導が遮断され、反応容器と加熱装置の筒体の温度差を大きく設定することが可能となる。この温度差を大きく設定できると、種結晶となる炭化珪素単結晶基板での過飽和度を大きくすることができ、収率の高い結晶成長が可能となる。
【0020】
請求項16に記載のように、反応容器と、加熱装置における加熱した原料ガスを反応容器に向かって導出する筒体とは、別体構造をなし、種結晶となる炭化珪素単結晶基板は、反応容器内において前記加熱装置の筒体から接離する方向に移動可能に支持されているとよい。特に、請求項17に記載のように、炭化珪素単結晶の成長表面と加熱装置の筒体との間隔を20mm以下にするとよい。さらに、請求項18に記載のように、炭化珪素単結晶の成長表面と加熱装置の筒体との間隔を5mm以下にするとよい。
【0021】
請求項6に記載のように、反応容器の内部において種結晶となる炭化珪素単結晶基板の周囲に比べ当該基板を局所的に低温化すると、種結晶となる炭化珪素単結晶基板のみを局所的に低温にでき、単結晶の収率が向上する。また、こうすることにより、単結晶と周辺に生成する多結晶を分離でき、高品質な単結晶を成長させるためには好適である。そのために、請求項19に記載のように、種結晶となる炭化珪素単結晶基板の周辺に断熱部材を配置するとよい。また、請求項20に記載のように、反応容器を支持するパイプ材を通して冷却ガスを導入して、この冷却ガスと反応容器との間で熱交換を行って種結晶となる炭化珪素単結晶基板をその周辺に比べ局所的に低温化するとよい。
【0022】
請求項7に記載のように、種結晶となる炭化珪素単結晶基板の上流において原料ガスを加熱して種結晶となる炭化珪素単結晶基板へ導入するに際し、原料ガスを攪拌すると、反応容器(成長空間)における原料ガスの攪拌が促進され、単結晶の収率を向上させることができる。そのために、例えば、請求項21に記載のように、原料ガスの加熱装置において原料ガスの通路に複数の透孔を有する板材を配置し、板材の透孔に原料ガスを通すことにより原料ガスを攪拌する。こうして、板材の複数の透孔を通して成長空間に攪拌された原料ガスが導入される。
【0023】
請求項22に記載のように、吸収材として、多孔質カーボン、カーボンフェルト、カーボン断熱材の少なくともいずれかを用いるとよい。
請求項8に記載のように、反応容器から排出されるガスをSiおよびCを含有しないガスのみにする。具体的には、請求項23に記載のように、反応容器における原料ガスの出口に、水素のみを透過する水素分離膜を設置する。このようにして、反応容器(成長空間)に導入された原料ガスを排出する際に、水素のみを透過する水素分離膜を通すことにより、水素のみを選択的に排出する。これにより、結晶化できなかった原料ガスが再利用され、導入した原料ガスが高効率に結晶成長に寄与できる。即ち、特許文献1に記載の方法では単結晶として成長に寄与する原料の割合が小さく原料の利用効率が悪いが、この不具合を解消して原料の利用効率向上を図ることができることとなる。
【0024】
請求項24に記載のように、反応容器が、筒体と、種結晶となる炭化珪素単結晶基板を支持し、かつ、筒体の内部を移動可能な台座とからなると、単結晶の成長表面と筒体と加熱装置の相対的な位置を保った状態で成長を続けることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、この発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明する。
【0026】
図2には、本実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の概略断面図を示す。
図2において、真空容器10は筒状をなし、立設した状態で配置されている。真空容器10は例えば石英からなる。真空容器10の内部には有蓋円筒状の反応容器11が立設した状態で配置されている。反応容器11は黒鉛製であり、円筒形状の筒部11aと、筒部11aの上端開口部を塞ぐ蓋部11bからなる(筒部11aの下端は開口している)。反応容器11の蓋部11bの下面には、種結晶となる炭化珪素単結晶基板13が取り付けられている。そして、この炭化珪素単結晶基板13が種結晶となって反応容器11の内部において炭化珪素単結晶21が成長することとなる。
【0027】
真空容器10の内部において、反応容器11の下方には断熱材14が配置されている。断熱材14には原料ガス供給通路14aが形成され、ここから上方の反応容器11に向かって原料ガスが供給される。この原料ガスとしては、具体的には例えば、モノシラン(Siを含有するガス)とプロパン(Cを含有するガス)とキャリアガスを所定の割合で混合したものが使用される。
【0028】
真空容器10の内部において、断熱材(原料ガス供給部)14の上端部には円筒状の筒体15が立設した状態で配置され、筒体15の下端開口部にはプレート材16が同開口部を塞ぐように設けられている。プレート材16にはその中央部にガス通過用透孔16aが形成されている。そして、断熱材14の原料ガス供給通路14aからの原料ガスがプレート材16の透孔16aを通して筒体15の内部に導入される。筒体15は黒鉛よりなり、望ましくは、原料ガスとの反応を防止するために炭化タンタルによって被覆されているとよい。
【0029】
この筒体15は反応容器11の下端開口部に配置されている。つまり、反応容器11と筒体15の位置関係として、筒体15に対して、有蓋円筒状をなす反応容器11を、反応容器11の下端開口部側から被せるように配置している。このとき、筒体15の外周面と反応容器11の筒部11aの内周面とは所定の距離d1だけ離間している。具体的には、距離d1は1〜50mmである。また、筒体15の上端と反応容器11の蓋部11bとは離間している。
【0030】
筒体15の内部には邪魔板17が水平方向に延びるように配置されて、炭化珪素単結晶基板(種結晶)13の中心と断熱材14の原料ガス供給通路14aの中心と邪魔板17の中心が一致している。この邪魔板17に原料ガスが当たり、原料ガスとの熱の授受が促進することとなる。プレート材16と邪魔板17は炭化タンタル、もしくは、炭化タンタルを被覆した黒鉛部材よりなる。
【0031】
また、反応容器11の蓋部11bの上面にはパイプ材18の下面が密着した状態で固設されており、反応容器11がパイプ材18に連結支持されている。パイプ材18は上下方向に延びている。このパイプ材18の上端部には回転・上下動機構(図示略)が設置され、この機構によりパイプ材18を回転および上下動(昇降)できるようになっている。つまり、炭化珪素単結晶基板(種結晶)13が反応容器11内に配置された状態において成長時にパイプ材18を回転させたり上動させることにより炭化珪素単結晶基板(種結晶)13を回転や上動させることができるようになっている。また、反応容器11を支持するパイプ材18の内部を通して冷却ガスが導入されてパイプ材18の下端部に設けた透孔を通してパイプ材18の外部に排出される。このようにして反応容器の蓋部11bの裏面に冷却用のガスが導入されて、ガスの通過に伴ない冷却ガスと反応容器11との間で熱交換が行われ、種結晶となる炭化珪素単結晶基板13をその周辺に比べ局所的に低温化することができるようになっている。
【0032】
図2において炭化珪素単結晶21の成長時の炭化珪素単結晶基板(種結晶)13の配置高さにおける真空容器10の外周部には高周波誘導コイル(RFコイル)19が巻回され、同コイル19を通電することにより成長時において炭化珪素単結晶基板(種結晶)13を加熱することができるようになっている。
【0033】
また、真空容器10の外周部における前記高周波誘導コイル19の下方には高周波誘導コイル(RFコイル)20が巻回され、同コイル20を通電することにより筒体15の内部を通過する原料ガスを加熱することができるようになっている。
【0034】
本実施形態においては、高周波誘導コイル(RFコイル)20と筒体15とプレート材16と邪魔板17によって、種結晶となる炭化珪素単結晶基板13への原料ガスを種結晶となる炭化珪素単結晶基板13での温度よりも高くなるように加熱する加熱装置(高周波誘導加熱装置)が構成されている。つまり、高周波誘導コイル(RFコイル)19とは別に高周波誘導コイル(RFコイル)20が設けられ、炭化珪素単結晶基板(種結晶)13に供給する原料ガスの温度を炭化珪素単結晶基板13の温度とは独立に制御できる。
【0035】
また、反応容器11は、加熱装置(15,16,17,20)により加熱した原料ガスを用いて種結晶となる炭化珪素単結晶基板13から結晶成長させた後の成長に寄与しなかった原料ガスを再び上流側に戻す構造の反応容器となっている。詳しくは、図2において上下方向での温度分布で示すように反応容器11内において種結晶となる炭化珪素単結晶基板13に向かって温度が下がる温度勾配を有し、反応容器11内において原料ガスが種結晶となる炭化珪素単結晶基板13に到達した後、原料ガスが反応容器11の内壁に沿って排出する。つまり、有蓋円筒状をなす反応容器11の開口部から原料ガスを反応容器11の中央部において導入して種結晶となる炭化珪素単結晶基板13に到達後、反応容器11の内壁に沿って上流側に戻り、反応容器11の開口部から下流側に流れる。
【0036】
一方、真空容器10の内壁面にはカーボン断熱材12が配置されている。このカーボン断熱材12の内周面と円筒状反応容器11の外周面とは所定の距離d2だけ離間している。具体的には、距離d2は1〜50mmである。このカーボン断熱材12は本実施形態においては原料ガスの吸収材として機能する。
【0037】
原料ガスは、断熱材14の原料ガス供給通路14aから供給され、プレート材16の透孔16a、筒体15の内部を経て反応容器11の内部に入り、種結晶となる炭化珪素単結晶基板13に至る。さらに、向きを変えて筒体15の外周面と筒部11aの内周面との間を通って反応容器11の外部に至る。そして、再び向きを変えて筒部11aの外周面とカーボン断熱材(吸収材)12の内周面との間を通って排気系に至る。この時、カーボン断熱材(吸収材)12にて、戻された原料ガスを加熱装置(15,16,17,20)により再び加熱した後の原料ガスが吸収されることになる。
【0038】
なお、炭化珪素単結晶基板(種結晶)13から炭化珪素単結晶21が成長する様子をモニターすることができるようになっている。具体的には、真空容器10の外部から炭化珪素単結晶21に対しX線を照射して真空容器10を通過したX線を信号に変換してモニターしている。また、加熱装置の温度は、プレート材16の底面を断熱材14に設けた観測孔(貫通孔)22を通してパイロメーターによって測定することができるようになっている。さらに、パイプ材18の内部を通してパイロメーターにより、反応容器の蓋部11bの上面での温度を測定することができるようになっている。また、本装置では、排気系にはポンプ(図示せず)が設けられ、このポンプへの排出弁(図示せず)の開度を調整することにより、雰囲気圧力を一定に調整できるようになっている。
【0039】
次に、炭化珪素単結晶の製造方法について説明する。
まず、反応容器11の内部に種結晶となる炭化珪素単結晶基板13を配置する。そして、真空容器10内に、Siを含有するガスとCを含有するガスとを含む原料ガスを導入する。原料ガスの流量はマスフローコントローラにて制御される。この原料ガスは、原料ガスの加熱装置(15,16,17,20)により所望の温度まで加熱される。この加熱装置による温度は断熱材14中の観測孔(貫通孔)22を通してパイロメーターによって測定される。
【0040】
高温に加熱された原料ガスは、反応容器11の内部に導入され、それよりも低温に保持された種結晶となる炭化珪素単結晶基板13から炭化珪素単結晶21が成長する。パイプ材18の内部を通してパイロメーターにより反応容器11の蓋部11bの温度が測定され、炭化珪素単結晶基板13の温度に換算される。単結晶成長時には、X線によって炭化珪素単結晶21の成長量が検出され、その結果を反映させる形で反応容器11(炭化珪素単結晶基板13)を回転や上動させる。
【0041】
より詳しくは、反応容器11と、加熱装置(15,16,17,20)における加熱した原料ガスを反応容器11に向かって導出する筒体15とは、別体構造をなし、かつ、種結晶となる炭化珪素単結晶基板13は、反応容器11内において加熱装置の筒体15から接離する方向に移動可能に支持されている。ここで、炭化珪素単結晶21の成長表面と加熱装置の筒体15との間隔L1を20mm以下、好ましくは、5mm以下にする。
【0042】
一方、結晶成長に寄与できなかった原料ガスは、炭化珪素単結晶基板13で反転して、反応容器の筒部11aの内壁に沿って下側に流れる。つまり、種結晶となる炭化珪素単結晶基板13において結晶成長に寄与しなかった原料ガスを再び加熱すべく、種結晶となる炭化珪素単結晶基板13に向かう原料ガスの流れに対し逆向きの原料ガスの流れが作られる。そして、反応容器の筒部11aの内周面と筒体15の外周面との間の隙間(d1)を通って反応容器11(成長空間)の外に放出される。
【0043】
このように、導入した原料ガスを種結晶となる炭化珪素単結晶基板13にて反転させると、原料ガスの流れにおいて、種結晶となる炭化珪素単結晶基板13(およびその周辺の部位)においては過飽和となる低温して結晶が析出するとともに、その上流側および下流側においては未飽和となる高温にして結晶が析出しないようにすることができる。即ち、反応容器11の内壁(側壁)において種結晶となる炭化珪素単結晶基板13に向かって温度が低くなるような温度勾配を設定することによって、最も低温となっている種結晶となる炭化珪素単結晶基板13から結晶を析出させた原料ガスは、そこで反転し、反応容器11の内壁(側壁)に沿って流れる。反転した原料ガスは、炭化珪素単結晶基板13より温度の高い反応容器内壁(側壁)では未飽和となり、内壁(側壁)に結晶を析出させないで反応容器11の外へ放出される。その結果、ガス流路の温度を均一にする方式(図8)に比べ炭化珪素単結晶の収率を向上させることができるとともに、反応容器11内(成長空間)が、析出した結晶によって閉塞されることを回避することができる。
【0044】
また、反応容器11の外周面には適当な間隔(図2のd2)をおいてカーボン断熱材(吸収材)12が配置されており、結晶成長に寄与しなかった原料ガスが反応容器11の外において吸収される。つまり、反応容器11(成長空間)から排出された原料ガス中に残存する炭化珪素は、カーボン断熱材(吸収材)12の中で析出する。詳しくは、加熱装置(15,16,17,20)およびコイル19の駆動により、図3に示すように、反応容器11の外周部に配置されたカーボン断熱材(吸収材)12においては外側に向かって低温となる温度勾配が設定される。これを駆動力としてカーボン断熱材(吸収材)12に吸収された炭化珪素は低温部に順次蓄積されていく。そのため、炭化珪素を回収できる。
【0045】
一方、図2,3に示すごとく、反応容器11から放出された原料ガス中に残存する炭化珪素以外のガスは、カーボン断熱材(吸収材)12の内周面と反応容器11の外周面との間の隙間を通って、ポンプ(図示せず)、即ち、排気系へ排気される。そのため、ガスの経路が塞がれることを回避することができる。
【0046】
このようにして、原料ガスの流れとして、種結晶となる炭化珪素単結晶基板13の上流において原料ガスを加熱した後、それよりも低温に保持された種結晶となる炭化珪素単結晶基板13から結晶成長させ、さらに、成長に寄与しなかった原料ガスを再び加熱した後、吸収材としてのカーボン断熱材12に吸収させるようにした。その結果、炭化珪素単結晶21の収率を向上させることができるとともに、反応容器11内(成長空間)を含めたガス流路が、析出した結晶によって閉塞されることがなく定常的な成長が実現できる。
【0047】
また、反応容器11が、加熱装置(15,16,17,20)における加熱した原料ガスを反応容器11に向かって導出する筒体15から分離されているので、熱伝導が遮断され、反応容器11と加熱装置の筒体15の温度差を大きく設定することができる。この温度差を大きく設定できることにより、種結晶となる炭化珪素単結晶基板13での過飽和度を大きくすることができ、収率の高い結晶成長が可能となる。また、結晶が長尺になるにしたがって成長面の温度等の成長環境が変化するが、これを最小限に抑制するために種結晶となる炭化珪素単結晶基板13を適宜、昇降、回転させるが、このことからも、反応容器11と加熱装置(15,16,17,20)が分離されていることは重要である。
【0048】
また、パイプ材18の内部を通して冷却ガスが導入され、炭化珪素単結晶基板(種結晶)13が低温化される。このように、種結晶となる炭化珪素単結晶基板13のみを局所的に低温にすることにより、単結晶の収率が向上する。また、こうすることにより、単結晶と周辺に生成する多結晶を分離でき、高品質な単結晶を成長させるためには好適である。
【0049】
なお、吸収材としてカーボン断熱材12を使用したが、多孔質カーボンやカーボンフェルトを用いてもよい。要は、吸収材は、多孔質カーボン、カーボンフェルト、カーボン断熱材の少なくともいずれかを用いる。
【0050】
次に、炭化珪素単結晶の成長実験を行ったので説明する。
原料ガスとして、SiH4(シラン)=0.01〜10リットル/分、C3H8(プロパン)=0.01〜10リットル/分、導入した。また、原料のキャリアガスとして、H2(水素)=0〜100リットル/分、Ar(アルゴン)=0〜100リットル/分、He(ヘリウム)=0〜100リットル/分を、適宜、導入した。さらに、単結晶の電気的特性を制御することを目的に、必要に応じて、N2(窒素)=0〜10リットル/分、(CH3)3Al(トリメチルアルミニウム)=0〜10リットル/分、導入した。また、反応容器11へは冷却ガスとして、Ar(アルゴン)=0〜100リットル/分導入した。成長装置内(真空容器10内)の圧力は1〜100Kpaの範囲で一定に制御した。原料ガスは、高周波誘導コイル20等による加熱装置によって2300〜2700℃に加熱し、炭化珪素単結晶基板13は高周波誘導コイル19にて2100〜2600℃に保持した。その結果、炭化珪素単結晶基板13から0.1〜10mm/hの成長速度で炭化珪素単結晶21が成長した。また、円筒状反応容器11の天井以外には、多結晶が発達することなく、優れた品質の単結晶が効率的に成長した。また、カーボン断熱材12に吸収された炭化珪素はガスの経路を塞ぐことなく、定常的な連続成長が実現した。
【0051】
次に、炭化珪素単結晶の成長実験の一例を具体的数値を挙げて説明する。
[測定例]
上記製造装置を用いて、SiH4=1リットル/分、C3H8=0.333リットル/分、H2=10リットル/分、He=5リットル/分導入し、雰囲気圧=53Kpa、結晶基板温度=2300℃、原料ガスの加熱装置温度=2400℃とする。これにより、成長速度=1mm/hのSiC単結晶成長が実現した。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0052】
図4には、本実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の概略断面図を示す。
本実施の形態においては、原料ガスの加熱装置(15,16,20)の構成部材として板材30を用いている。板材30は筒体15内の原料ガスの通路に配置され、複数の透孔31を有している。板材30はタンタル製である。板材30の透孔31には原料ガスが通り原料ガスが攪拌される。こうして、板材30の複数の透孔31を通して反応容器11(成長空間)に攪拌された原料ガスが導入される。このとき、原料ガスの流速が場所によって異なる。このように、種結晶となる炭化珪素単結晶基板13の上流において原料ガスを加熱して種結晶となる炭化珪素単結晶基板13へ導入するに際し、原料ガスを攪拌しており、これにより、反応容器11(成長空間)における原料ガスの攪拌が促進され、単結晶の収率を向上させることができる。また、この部材(30)は、効率よく、原料ガスの温度を上げる上でも有効である。
【0053】
一方、反応容器11の内部において、炭化珪素単結晶基板13の周囲には黒鉛製部材33が配置されている。この黒鉛製部材33の上面には断熱部材34が貼り合わされ、炭化珪素単結晶基板13の周囲に断熱部材34が配置されている。黒鉛製部材33は炭化珪素単結晶基板(種結晶)13よりも高い温度となっている。このように、種結晶となる炭化珪素単結晶基板13の周辺に断熱部材34を配置することにより、反応容器11の内部において種結晶となる炭化珪素単結晶基板13の周囲に比べ当該基板13を局所的に低温化している。
【0054】
図5を用いて詳しく説明する。
図5において、反応容器11の天井面には突部11cが形成され、この突部11cに炭化珪素単結晶基板(種結晶)13が固定されている。この炭化珪素単結晶基板(種結晶)13の高さとほぼ同じ高さ位置において炭化珪素単結晶基板(種結晶)13の周囲には、黒鉛製部材33および断熱部材34が水平方向に延びる状態で設けられている。よって、上下方向での原料ガスの温度プロファイルとして、断熱部材34の上下面で温度ギャップができる。つまり、黒鉛製部材33および断熱部材34が無い場合には、図5の温度分布として破線で示すようになるが、これが、実線で示すごとく、断熱部材34において温度差が生じる。これにより、種結晶となる炭化珪素単結晶基板13のみを局所的に低温にでき、単結晶の収率が向上する。また、こうすることにより、単結晶と周辺に生成する多結晶を分離でき、高品質な単結晶を成長させるためには好適である。
【0055】
このような製造装置で成長実験を実施したところ、第1の実施の形態における[測定例]に比べて、20〜40%成長速度が向上した。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0056】
図6には、本実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の概略断面図を示す。
反応容器11の下側開口部は筒体15の外周面との間が塞がれている。また、反応容器11における下端部に原料ガスの出口(透孔)40が形成され、この出口(透孔)40に水素のみを透過する水素分離膜41を設置している。このように反応容器11(成長空間)に導入された原料ガスを排出する際に、水素のみを透過する水素分離膜41を通すこととし、水素のみを選択的に排出している。つまり、反応容器11から排出されるガスを水素のみにしている。広義には、反応容器11から排出されるガスをSiおよびCを含有しないガスのみにする。
【0057】
これら構成により、反応容器11内において、原料ガスの一部が循環する。詳しくは、筒体15からの原料ガスが炭化珪素単結晶基板(種結晶)13に向かって流れ、さらに、炭化珪素単結晶基板(種結晶)13において反転した原料ガスの一部が再び原料ガスと共に炭化珪素単結晶基板13に供給される。これにより、導入した原料ガスを有効に結晶化させることができる。その結果、結晶化できなかった原料ガスが再利用され、導入した原料ガスが高効率に結晶成長に寄与できる。即ち、特許文献1に記載の方法では単結晶として成長に寄与する原料の割合が小さく原料の利用効率が悪いが、この不具合を解消して原料の利用効率向上を図ることができる。
【0058】
以上のように、水素分離膜41としてカーボンナノチューブ膜を設置することにより、原料ガスのほとんどが単結晶成長に寄与できた。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0059】
図7には、本実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の概略断面図を示す。
本実施の形態においては、反応容器が、台座50と筒体(円筒体)51からなり、筒体51は成長空間を形成する。台座50と筒体51は分離しており、別体構造をなしている。また、台座50は、種結晶となる炭化珪素単結晶基板13を支持し、かつ、筒体51の内部を移動可能である。これにより、炭化珪素単結晶基板13および炭化珪素単結晶21が筒体51とは独立に移動が可能である。
【0060】
これによって、炭化珪素単結晶21の成長表面と、成長空間を形成する筒体51と、原料ガス加熱装置(特に筒体15)の相対的な位置を保った状態で成長を続けることができる。その結果、成長結晶が長尺となった場合の成長環境の変化を最小にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明のための図。
【図2】第1の実施の形態における炭化珪素単結晶の製造装置の概略断面図。
【図3】製造装置の一部を示すととも温度プロファイルを示す図。
【図4】第2の実施の形態における炭化珪素単結晶の製造装置の概略断面図。
【図5】製造装置の一部を示すととも温度プロファイルを示す図。
【図6】第3の実施の形態における炭化珪素単結晶の製造装置の概略断面図。
【図7】第4の実施の形態における炭化珪素単結晶の製造装置の概略断面図。
【図8】従来の製造装置の概略断面図。
【図9】従来の製造装置の斜視図。
【符号の説明】
1…反応容器、2…炭化珪素単結晶基板、3…炭化珪素単結晶、4…吸収材、11…反応容器、12…カーボン断熱材(吸収材)、13…炭化珪素単結晶基板、15…筒体、16…プレート材、17…邪魔板、20…高周波誘導コイル、21…炭化珪素単結晶、30…板材、31…透孔、40…出口、41…水素分離膜、50…台座、51…筒体。
Claims (24)
- 真空容器(10)内において反応容器(1,11)の内部に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(2,13)を配置し、前記反応容器(1,11)内に、Siを含有するガスとCを含有するガスとを含む原料ガスを導入することにより、前記種結晶となる炭化珪素単結晶基板(2,13)から炭化珪素単結晶(3,21)を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、
原料ガスの流れとして、種結晶となる炭化珪素単結晶基板(2,13)の上流において原料ガスを加熱した後、それよりも低温に保持された種結晶となる炭化珪素単結晶基板(2,13)から結晶成長させ、さらに、成長に寄与しなかった原料ガスを再び加熱した後、前記真空容器(10)内において吸収材(4,12)に吸収させるようにしたことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。 - 請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、
前記吸収材(12)を、反応容器(11)の外周面に間隔をおいて配置したことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。 - 請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、
前記吸収材(12)を、反応容器(11)の外周面から1〜50mm離間して配置したことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、
種結晶となる炭化珪素単結晶基板(2)の上流において加熱された原料ガスの温度が2300〜2700℃であり、前記炭化珪素単結晶(3)の成長表面の温度が2100〜2600℃であることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、
種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)において結晶成長に寄与しなかった原料ガスを再び加熱すべく、種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)に向かう原料ガスの流れに対し逆向きの原料ガスの流れを作るようにしたことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、
反応容器(11)の内部において種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)の周囲に比べ当該基板(13)を局所的に低温化したことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、
種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)の上流において原料ガスを加熱して種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)へ導入するに際し、原料ガスを攪拌するようにしたことを特徴する炭化珪素単結晶の製造方法。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、
前記反応容器(11)から排出されるガスをSiおよびCを含有しないガスのみにしたことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。 - 真空容器(10)内において反応容器(11)の内部に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)を配置し、前記反応容器(11)内に、Siを含有するガスとCを含有するガスとを含む原料ガスを導入することにより、前記種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)から炭化珪素単結晶(21)を成長させるための炭化珪素単結晶の製造装置であって、
前記種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)への原料ガスを当該種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)での温度よりも高くなるように加熱する加熱装置(15,16,17,20)と、
有蓋円筒状をなし、蓋部(11b)の下面に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13) が取り付けられた構造、又は、台座(50)と円筒体(51)からなる構造を有し、前記加熱装置(15,16,17,20)により加熱した原料ガスを用いて前記種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)から結晶成長させた後の成長に寄与しなかった原料ガスを再び上流側に戻す反応容器(11)と、
前記真空容器(10)内に配置され、前記戻された原料ガスを前記加熱装置(15,16,17,20)により再び加熱した後の原料ガスを吸収する吸収材(12)と、
を備えたことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。 - 請求項9に記載の炭化珪素単結晶の製造装置において、
前記吸収材(12)を、反応容器(11)の外周面に間隔をおいて配置したことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。 - 請求項9に記載の炭化珪素単結晶の製造装置において、
前記吸収材(12)を、反応容器(11)の外周面から1〜50mm離間して配置したことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。 - 請求項9〜11のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造装置において、
反応容器(11)内において種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)に向かって温度が下がる温度勾配を有することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。 - 請求項12に記載の炭化珪素単結晶の製造装置において、
反応容器(11)内において原料ガスが種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)に到達した後、原料ガスが反応容器(11)の内壁に沿って排出されることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。 - 請求項9〜11のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造装置において、
反応容器(11)は有蓋円筒状をなし、反応容器(11)の開口部から原料ガスを反応容器(11)の中央部において導入して種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)に到達後、反応容器(11)の内壁に沿って上流側に戻り、反応容器(11)の開口部から下流側に流れることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。 - 請求項9〜11のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造装置において、
反応容器(11)が、加熱装置(15,16,17,20)における加熱した原料ガスを反応容器(11)に向かって導出する筒体(15)から分離されていることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。 - 請求項9〜11のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造装置において、
前記反応容器(11)と、加熱装置(15,16,17,20)における加熱した原料ガスを反応容器(11)に向かって導出する筒体(15)とは、別体構造をなし、種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)は、反応容器(11)内において前記加熱装置(15,16,17,20)の筒体(15)から接離する方向に移動可能に支持されていることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。 - 請求項16に記載の炭化珪素単結晶の製造装置において、
炭化珪素単結晶(21)の成長表面と加熱装置(15,16,17,20)の筒体(15)との間隔(L1)を20mm以下にしたことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。 - 請求項16に記載の炭化珪素単結晶の製造装置において、
炭化珪素単結晶(21)の成長表面と加熱装置(15,16,17,20)の筒体(15)との間隔(L1)を5mm以下にしたことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。 - 請求項9〜11のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造装置において、
種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)の周辺に断熱部材(34)を配置したことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。 - 請求項9〜11のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造装置において、
反応容器(11)を支持するパイプ材(18)を通して冷却ガスを導入して、この冷却ガスと反応容器(11)との間で熱交換を行って種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)をその周辺に比べ局所的に低温化したことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。 - 請求項9〜11のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造装置において、
前記原料ガスの加熱装置(15,16,17,20)において原料ガスの通路に複数の透孔(31)を有する板材(30)を配置し、板材の透孔(31)に原料ガスを通すことにより原料ガスを攪拌することを特徴する炭化珪素単結晶の製造装置。 - 請求項9〜11のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造装置において、
前記吸収材(12)として、多孔質カーボン、カーボンフェルト、カーボン断熱材の少なくともいずれかを用いたことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。 - 請求項9〜11のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造装置において、
反応容器(11)における原料ガスの出口(40)に、水素のみを透過する水素分離膜(41)を設置したことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。 - 請求項9〜11のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造装置において、
前記反応容器が、
筒体(51)と、
種結晶となる炭化珪素単結晶基板(13)を支持し、かつ、前記筒体(51)の内部を移動可能な台座(50)と
からなることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
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