JP5677895B2 - 固体酸化物燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、固体酸化物燃料電池に係り、特に、電解質と一対の電極である空気極及び燃料極とからなるMEAセル、及び空気極側及び燃料極側それぞれに設けられるセパレータから構成される固体酸化物燃料電池に関する。
燃料電池の一種である固体酸化物型燃料電池(SOFC;Solid Oxide Fuel Cell)は、600℃〜900℃という高温で動作する燃料電池である。また、構成部品が全て完全な固体であるという特徴を有し、他の燃料電池システムと比較してより高い発電性能が得られる燃料電池システムである。
図7に、固体酸化物型燃料電池(SOFC)の発電原理を示す。図7(a)は、水素燃料の場合の発電原理を示し、図7(b)は、一酸化炭素燃料の場合の発電原理を示す。固体酸化物型燃料電池(SOFC)1は、燃料として水素、一酸化炭素などを使用し、空気極(カソード)4、及び燃料極(アノード)5において、下記に示す電極反応が進行する。
(水素燃料の場合の燃料極5) H+O2−→HO+2e
(一酸化炭素燃料の場合の燃料極5) CO+O2−→CO+2e
(空気極4) 1/2O+2e→O2−
この反応式に示されるように、空気極4で存在する酸素イオン(O2−)が電解質3を通過して燃料極5へと移動する。一方、燃料極5では、燃料である水素或いは一酸化炭素が酸素イオン(O2−)と反応して電子(2e)を放出し、その電子(2e)が外部回路を経由して空気極4へと移動する。
図8に、一般的な固体酸化物型燃料電池1の単セルスタック11の構成を示す。固体酸化物型燃料電池1の単セルスタック11は、電解質3と一対の電極である空気極(カソード)4及び燃料極(アノード)5とから構成されるMEAセル2、及び、2枚の(カソード側)セパレータ7及び(アノード側)セパレータ9から構成される。そして、一個の単セルスタック11自体は0.3V〜1.0V程度なので、必要な電圧とするために単セルスタック11が数十枚〜数百枚重ねられる。単セルスタック11は、圧力(P)が加圧され、全体が締め付けられて一体化する。そして、空気極(カソード)4には、図8に符号15で示すように、酸化ガスである空気が供給され、燃料極(アノード)5には、図8に符号16で示すように、燃料ガスである水素(又は一酸化炭素)が供給される。
固体酸化物型燃料電池1の空気極側セパレータ7,及び燃料極側セパレータ9は、燃料ガスと酸化ガスを分離すると同時に、MEAセル2において発電された電気を集電するという役割、及び燃料ガスと酸化ガスの供給や排出の役目も担っている。そのため、その表面には、溝加工により燃料ガス及び酸化ガスの流路が設けられている。また、固体酸化物型燃料電池1の空気極側セパレータ7,及び燃料極側セパレータ9は、600℃〜900℃という高温下で上述した役割を担うため、熱膨張率の比較的小さなフェライト系などの耐熱合金が用いられる場合が多い。さらに、この空気極側セパレータ7とMEAセル2との間、及び燃料極側セパレータ9とMEAセル2との間には、発電性能を上げるために空気極側集電材8,燃料極側集電材10が設けられるのが一般的である。これらの集電材8,10には、金属メッシュ、金属フェルト、エキスパンドメタル、及び金属繊維を編み込んで形成された平板状の金属繊維ニットなどが用いられる。
燃料電池のセパレータなどへのコーティング方法としては、例えば、めっき法、スパッタリング、蒸着、エアロゾルデポジション(AD)法、スクリーン印刷、スプレー法などの様々な方法が適用可能である。
特許文献1には、導電性に優れた固体電解質燃料電池用セパレータが開示されている。ここでは、Crを含む耐熱合金からなる母材の表面にCr3-x(ただし、x=0.5〜1)からなる組成のクロム酸化物層を介して銀めっきが形成されることが記載されている。
特開2002−289215号公報
固体酸化物燃料電池は、その実用化に向けて600℃〜900℃という高温下において40,000時間という長時間連続して動作することが要求される。このため、固体酸化物燃料電池のセパレータなどには耐熱合金が用いられるが、長時間の酸化雰囲気のなかでも劣化しない耐食性が必要となる。
また、通常、耐熱合金金属を用いたコーティングなしのセパレータ7では、高温酸化条件下において酸化されて表面に絶縁性を有する酸化クロム(Cr)の酸化膜が形成され、導電性が極めて低下する。すなわち、セパレータは、MEAセルとの間の接触面に抵抗が発生するが、この接触抵抗が大きいと発電性能の低下が発生してしまう。そして、セパレータなどが熱サイクルによる温度変化により膨張や収縮を繰り返すとこの接触抵抗が増大し、燃料電池の発電性能が更に低下する虞がある。従って、セパレータとMEAセルとの間の接触抵抗を低減して発電性能を向上させる方策が要求される。
さらに、少なくとも空気極に面しているセパレータにおいて、セパレータに含まれるクロムが酸化されて酸化クロムとなるが、この酸化クロムが高温下で蒸発して空気極(カソード)に拡散し、空気極が被毒して劣化が生じてしまい、大きな発電性能の低下を引き起こす虞がある。
本願の目的は、かかる課題を解決し、固体酸化物燃料電池のセパレータとMEAセルとの間の接触抵抗を低減して発電性能を向上させ、また、酸化クロムの蒸発により空気極が劣化し発電性能が低下するのを防止する固体酸化物燃料電池を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係る固体酸化物燃料電池は、電解質と、一対の電極である空気極及び燃料極とからなるMEAセル、及び空気極と燃料極との間に設けられるセパレータから構成される固体酸化物燃料電池において、少なくとも空気極に面しているセパレータの表面に銀及びパラジウムによる多層コーティングを施し、前記多層コーティングは、セパレータに含まれるクロムが、前記多層コーティングのセパレータ側からMEAセル側に通過するのを抑制してクロムが蒸発して空気極に拡散するのを防止し、また、MEAセル側に存在する酸素が、前記多層コーティングのMEAセル側からセパレータ側に通過するのを抑制して前記多層コーティングのセパレータ側に酸化クロムの酸化膜が形成されるのを防止することを特徴とする。
上記構成により、固体酸化物燃料電池は、少なくとも空気極側セパレータの表面には銀及びパラジウムによる多層コーティングが施される。この多層コーティングを施すことにより少なくとも空気極側セパレータは長時間の酸化雰囲気のなかでも劣化しない耐食性が備えられる。また、銀(Ag)及びパラジウム(Pd)は、それぞれ伝導性に優れるため、セパレータに銀及びパラジウムによる多層コーティングを施すことで接触抵抗が低下し、それにより発電性能を向上させることができる。すなわち、この銀及びパラジウムによる多層コーティングにより、MEAセル側に存在する酸素が、多層コーティングのMEAセル側からセパレータ側に通過するのを抑制し、多層コーティングのセパレータ側において酸化クロムの酸化膜が形成されるのを防止する。これにより、接触抵抗が低下して発電性能を向上させることができる。さらに、この銀及びパラジウムによる多層コーティングにより、セパレータに含まれるクロムが多層コーティングのセパレータ側からMEAセル側に通過するのを抑制される。これにより、高温下においてクロムが蒸発して空気極に拡散するのを防止し、空気極(カソード)における酸化クロム被毒による劣化を防止して発電性能を向上させることができる。
また、固体酸化物燃料電池は、銀及びパラジウムによる多層コーティングが、銀及びパラジウムのそれぞれの層からなり、銀によるコーティング層の厚さは、2μmから50μmの範囲内であることが好ましい。このように、銀によるコーティング層の厚さを調節することで良好な接触抵抗値を得ることができる。
また、固体酸化物燃料電池は、銀及びパラジウムによる多層コーティングには、銀及びパラジウム合金、又は銀及びパラジウム混合物による多層コーティングが含まれることが好ましい。このように、銀(Ag)及びパラジウム(Pd)は、それぞれ伝導性に優れるため、銀とパラジウムとの混合物により多層コーティングする場合であっても、銀パラジウム合金をコーティングする場合であっても、いずれの場合でも、銀による層とパラジウムによる層とから構成される多層コーティングと同様な効果を得られる。
また、固体酸化物燃料電池は、銀及びパラジウム合金、又は銀及びパラジウム混合物による多層コーティングにおける銀(Ag)とパラジウム(Pd)との組成比が、Ag:Pd=200:1からAg:Pd=2:1の範囲内であることが好ましい。これにより、銀及びパラジウム合金、又は銀及びパラジウム混合物の場合に、銀とパラジウムとの組成比を調節することで良好な接触抵抗値を得ることができる。
また、固体酸化物燃料電池は、銀及びパラジウムによる多層コーティングが、MEAセルの空気極側のセパレータと対向する面において集電材として配設される金属メッシュ、金属フェルト、エキスパンドメタル、又は金属繊維を編み込んで形成された平板状の金属繊維ニットの表面にも施されることが好ましい。これにより、セパレータだけではなく、金属メッシュ、金属フェルト、エキスパンドメタル、或いは金属繊維を編み込んで形成された平板状の金属繊維ニットなどの集電材の耐食性を向上させることができる。
また、固体酸化物燃料電池は、銀及びパラジウムによる多層コーティングには、更に、下地コーティングが含まれ、下地コーティングが、銀又は金ストライクめっきにより下地が形成されるめっき法により施されることが好ましい。このように、下地コーティングを追加することで燃料電池の発電性能をさらに向上させることができる。また、めっき法によるコーティングを用いることで数μmという薄厚で表面が緻密なコーティングが可能になり、これにより、セパレータや集電材とMEAセルとの間の接触面の接触抵抗値を低減させて燃料電池の発電性能を向上させることができる。
さらに、固体酸化物燃料電池は、銀及びパラジウムによる多層コーティングが、めっき法、スパッタリング、蒸着、エアロゾルデポジション(AD)法、スクリーン印刷、スプレー法によりコーティングが施されることが好ましい。このように、めっき法以外にも多様なコーティング方法を固体酸化物燃料電池に適用することができる。
以上のように、本発明に係る固体酸化物燃料電池によれば、固体酸化物燃料電池のセパレータとMEAセルとの間の接触抵抗を低減して発電性能を向上させ、また、酸化クロムの蒸発により空気極が劣化し発電性能が低下するのを防止する固体酸化物燃料電池を提供することができる。
本発明に係る固体酸化物燃料電池の1つの実施形態である平面単セルスタックの概略構成を示す説明図である。 ASR(単位面積当たりの抵抗値)測定冶具の概略構成を示す説明図である。 銀のみ、銀及びパラジウムによるコーティングのASR(単位面積当たりの抵抗値)の経時変化を示す図表である。 その他のコーティングによるASR(単位面積当たりの抵抗値)の経時変化を示す図表である。 1000時間経過後のASR(単位面積当たりの抵抗値)の経時変化を示す図表である。 銀及びパラジウムの組成比の違いによるASR(単位面積当たりの抵抗値)の経時変化への影響を示す図表である。 固体酸化物型燃料電池(SOFC)の発電原理を示す説明図である。 一般的な固体酸化物型燃料電池の単セルスタックの構成を示す説明図である。
以下に、図面を用いて本発明に係る固体酸化物燃料電池の実施形態につき、詳細に説明する。図1に、本発明に係る固体酸化物燃料電池1の1つの実施形態である平面単セルスタックの概略構成を示す。単セルスタック11は、電解質3と一対の電極である空気極(カソード)4及び燃料極(アノード)5とから構成されるMEAセル2、及び、2枚の空気極側セパレータ7及び燃料極側セパレータ9から構成される。そして、空気極(カソード)4には、図中15に示すように酸化ガスである空気が供給され、燃料極(アノード)5には、図中16に示すように燃料ガスである水素(又は一酸化炭素)が供給される。
このうち空気極側セパレータ7の表面には、銀及びパラジウムによる多層コーティング6aが施される。ここで、銀及びパラジウムによる多層コーティング6aとは、銀のみによるコーティング層とパラジウムによるコーティング層とから構成される、少なくとも2層の銀及びパラジウムによる多層コーティング6aであるが、それに限らず、銀(Ag)とパラジウム(Pd)との混合物によるコーティング層、銀パラジウム合金によるコーティング層であっても良い。また、銀及びパラジウムによる多層コーティング6aには、上述したコーティングに加えて銀又は金ストライクめっきによる下地コーティングが含まれても良い。なお、「多層コーティング」には、銀とパラジウムとの混合物による1つの層のみのコーティング、銀パラジウム合金による1つの層のみのコーティングも含まれる。この銀及びパラジウムによる多層コーティング6aの方法には、めっき法以外にも、例えば、スパッタリング、蒸着コーティング、エアロゾルデポジション(AD)法、スクリーン印刷、スプレー法などによるコーティングが含まれる。
また、この空気極側セパレータ7とMEAセル2との間には、発電性能を上げるために空気極側集電材8が設けられ、燃料極側セパレータ9とMEAセル2との間には、発電性能を上げるために燃料極側集電材10が設けられるのが一般的である。この空気極側集電材8には、金属メッシュ、金属フェルト、エキスパンドメタル及び金属繊維を編み込んで形成された平板状の金属繊維ニットなどが用いられる。そして、この空気極側集電材8にもまた銀及びパラジウムによる多層コーティング6bが施される。ここで、銀及びパラジウムによる多層コーティング6bとは、銀のみによるコーティング層とパラジウムによるコーティング層とから構成される、少なくとも2層の銀及びパラジウムによる多層コーティング6bであるが、それに限らず、銀(Ag)とパラジウム(Pd)との混合物によるコーティング層、銀パラジウム合金によるコーティング層であっても良い。また、銀及びパラジウムによる多層コーティング6bには、上述したコーティング層に加えて銀又は金ストライクめっきによる下地層が含まれても良い。なお、「多層コーティング」には、銀とパラジウムとの混合物による1層のみのコーティング、銀パラジウム合金による1層のみのコーティングも含まれる。この銀及びパラジウムによる多層コーティング6bの方法には、めっき法以外にも、例えば、スパッタリング、蒸着コーティング、エアロゾルデポジション(AD)法、スクリーン印刷、スプレー法などによるコーティングが含まれる。
このように、固体酸化物燃料電池1は、空気極側セパレータ7及び空気極側集電材8の表面には、銀及びパラジウムによる多層コーティング6a,6bが施され、このセパレータ7及び集電材8は、長時間の酸化雰囲気のなかでも劣化しない耐食性が備えられる。また、銀(Ag)及びパラジウム(Pd)は、それぞれ伝導性に優れるため、セパレータ7及び空気極側集電材8に銀及びパラジウムによる多層コーティング6a,6bを施すことで接触抵抗が低下し、それにより発電性能を向上させることができる。すなわち、この銀及びパラジウムによる多層コーティング6aにより、MEAセル3側に存在する酸素が、多層コーティング6aのMEAセル3側からセパレータ7側に通過するのを抑制し、多層コーティング6aのセパレータ7側において酸化クロムの酸化膜が形成されるのを防止する。これにより、接触抵抗を低下させて発電性能を向上させることができる。さらに、この銀及びパラジウムによる多層コーティング6aにより、セパレータ7に含まれるクロムが多層コーティング6aのセパレータ7側からMEAセル3側に通過するのを抑制される。これにより、高温下においてクロムが蒸発して空気極4に拡散するのを防止し、空気極(カソード)4における酸化クロム被毒による劣化を防止して発電性能を向上させることができる。
図2に、ASR(単位面積当たりの抵抗値)測定冶具の概略構成を示す。この測定冶具では、コーティングされたセパレータのφ50mmのテストピース12を用いる。また、テストピース12と冶具14との間には、集電材として白金メッシュ13を設ける。
図3に、銀のみ、銀及びパラジウムによるコーティングのASR(単位面積当たりの抵抗値)の経時変化を示す。横軸は時間(h)であり、縦軸はASR値(mΩcm)である。耐熱合金Mを基材とする図2のφ50mmのテストピース12に銀めっきコーティング、銀パラジウムめっきコーティングを施した試料にまずは予備酸化を施した。その後、定電流を流し、その時の電圧変化から接触抵抗ASRの値を算出し、時間経過による変化を検討した。図3には、下記の表1に示される、耐熱合金金属Mに2μmの銀めっきコーティングを施した試料1.2μmの銀めっきコーティング及び5μmのパラジウムめっきコーティングを施した試料2.5μmの銀めっきコーティングを施した試料3、及び、5μmの銀めっきコーティング及び5μmのパラジウムめっきコーティングを施した試料4のASR測定結果を示す。
Figure 0005677895
図4に、その他のコーティングによるASR(単位面積当たりの抵抗値)の経時変化を示す。すなわち、耐熱合金金属にコーティングを施さない場合、その他のめっき1,2を施した場合について、銀パラジウムめっきコーティングを施した場合と比較して示す。横軸は時間(h)であり、縦軸はASR値(mΩcm)である。
通常、耐熱合金金属を用いたコーティングなしのセパレータ7では、高温酸化条件下において酸化されて表面に絶縁膜である酸化クロム(Cr)が形成され、導電性が極めて悪くなる。そこで、セパレータの表面に銀コーティングを施すと、酸素による表面の酸化は抑制され抵抗が小さくなるため接触抵抗ASRは大幅に低下する。しかし、銀コーティングだけのものは時間の経過とともに接触抵抗ASRが増加し始めた。これは、コーティング層が薄いほど顕著であり、酸素の透過によりセパレータ表面の酸化が進行してしまい、最終的には接触抵抗ASRの値は大きいものになる。
一方、銀パラジウムめっきコーティングを施した場合には、時間が経過しても接触抵抗ASRの値は低いままであった。このように、セパレータの表面にコーティングを施すことで、接触抵抗ASRの低減や酸化クロムの蒸発を防止することができる。後述する実験結果により、様々のコーティングの中でも銀及びパラジウムの多層コーティング、或いは銀パラジウムめっきによるコーティングが最も低い接触抵抗ASRを示した。
図5に、1000時間経過後の接触抵抗ASR(単位面積当たりの抵抗値)の経時変化を示す。横軸は時間(h)であり、縦軸はASR値(mΩcm)である。耐熱合金金属Mに銀、銀パラジウムめっきをコーティングしたセパレータの試験片を1000時間にわたって定電流・酸化条件下でASR値を測定した。その結果、銀めっきのみの場合には接触抵抗ASRの急激な上昇がみられたが、銀パラジウムめっきのコーティングの場合には1000時間経過後もASR値の上昇はみられず低い値を示した。これは、パラジウムにより酸素の透過が防がれ、セパレータの表面の酸化が進行せず絶縁体である酸化クロム(Cr)が形成されなかったためである。
図6に、銀及びパラジウムの組成比の違いによるASR(単位面積当たりの抵抗値)の経時変化への影響を示す。横軸は時間(h)であり、縦軸はASR値(mΩcm)である。図6には、下記の表2に示されるようにパラジウムめっきの厚さを0.1μm、0.2μm、0.5μm、1.0μmに変化させた試料についてASR値を測定した。
Figure 0005677895
測定の結果、パラジウムめっきの厚さの厚いほうがASR値は低くなったが、銀(Ag)めっきのみの場合と比較すると、どの厚さでもパラジウムめっきが施されているほうがASR値の低減効果は大きく、めっき厚が厚いほどコストアップすることから、パラジウムめっき厚は、略0.1μm〜1.0μmが好ましい。すなわち、銀及びパラジウムによる多層コーティング6において、銀(Ag)とパラジウム(Pd)との組成比は、Ag:Pd=200:1からAg:Pd=2:1の範囲内であることが好ましい。
1 固体酸化物燃料電池、2 電解質、3 MEAセル、4 空気極(カソード)、5 燃料極(アノード)、6a,6b 銀及びパラジウムによる多層コーティング、7 空気極側セパレータ、8 空気極側集電材、9 燃料極側セパレータ、10 燃料極側集電材、11 単セルスタック、12 テストピース、13 白金メッシュ、14 冶具、15 空気供給、16 燃料供給。

Claims (7)

  1. 電解質と一対の電極である空気極及び燃料極とからなるMEAセル、及び空気極と燃料極との間に設けられるセパレータから構成される固体酸化物燃料電池において、
    少なくとも空気極に面しているセパレータの表面に銀及びパラジウムによる多層コーティングを施し、
    前記多層コーティングは、セパレータに含まれるクロムが、前記多層コーティングのセパレータ側からMEAセル側に通過するのを抑制してクロムが蒸発して空気極に拡散するのを防止し、また、MEAセル側に存在する酸素が、前記多層コーティングのMEAセル側からセパレータ側に通過するのを抑制して前記多層コーティングのセパレータ側に酸化クロムの酸化膜が形成されるのを防止することを特徴とする固体酸化物燃料電池。
  2. 請求項1に記載の固体酸化物燃料電池であって、銀及びパラジウムによる多層コーティングは、銀及びパラジウムのそれぞれの層からなり、銀によるコーティング層の厚さは、2μmから50μmの範囲内であることを特徴とする固体酸化物燃料電池。
  3. 請求項1に記載の固体酸化物燃料電池であって、銀及びパラジウムによる多層コーティングには、銀及びパラジウム合金、又は銀及びパラジウム混合物による多層コーティングが含まれることを特徴とする固体酸化物燃料電池。
  4. 請求項3に記載の固体酸化物燃料電池であって、銀及びパラジウム合金、又は銀及びパラジウム混合物による多層コーティングにおける銀(Ag)とパラジウム(Pd)との組成比は、Ag:Pd=200:1からAg:Pd=2:1の範囲内であることを特徴とする固体酸化物燃料電池。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の固体酸化物燃料電池であって、銀及びパラジウムによる多層コーティングは、MEAセルの空気極側のセパレータと対向する面において集電材として配設される金属メッシュ、金属フェルト、エキスパンドメタル、又は金属繊維を編み込んで形成された平板状の金属繊維ニットの表面にも施されることを特徴とする固体酸化物燃料電池。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の固体酸化物燃料電池であって、銀及びパラジウムによる多層コーティングには、更に、下地コーティングが含まれ、下地コーティングは、銀又は金ストライクめっきにより下地が形成されるめっき法により施されることを特徴とする固体酸化物燃料電池。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の固体酸化物燃料電池であって、銀及びパラジウムによる多層コーティングは、めっき法、スパッタリング、蒸着、エアロゾルデポジション(AD)法、スクリーン印刷、スプレー法によりコーティングが施されることを特徴とする固体酸化物燃料電池。
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