JP5673547B2 - バリア性透明導電フィルムの製造方法、及び該バリア性透明導電フィルムを用いた有機el素子及び有機太陽電池 - Google Patents

バリア性透明導電フィルムの製造方法、及び該バリア性透明導電フィルムを用いた有機el素子及び有機太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、有機EL素子や有機太陽電池等の光電変換素子のバリア性透明電極として好適に用いることができる、優れたバリア性と導電性、薬品耐性を有し、加えて脱水処理適性と平滑性にも優れたバリア性透明導電フィルムとその製造方法、及び経時での性能劣化が小さい有機EL素子及び有機太陽電池に関するものである。
有機EL素子は自発光体であるため、駆動電圧が低くかつ消費電力が少ない、輝度が高い、応答性が速い、視野角が広い、素子を薄型化できるといった多くの優れた特徴を有することから、白熱電球や蛍光灯に代わる照明デバイスとして、或いは、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイに代わるフラットディスプレイデバイスとして注目されている。
また、有機太陽電池は、製法が簡便で生産コストが低く、軽量で薄くかつ柔軟性や意匠性を付与できるといった優れた特徴を有することから、従来のシリコン系や無機化合物系の材料を用いた太陽電池に代わる発電デバイスとして期待されている。
一般に、有機EL素子や有機太陽電池は、透明基材/透明電極/有機機能層/対向電極/封止層を積層して構成され、例えば、有機EL素子の場合には有機機能層が発光能を有し、両電極間に電圧を印加することにより有機発光層で生じた発光が、透明電極を通して外部に取り出される。通常、有機機能層の膜厚は極めて薄いため(100nm以下)、透明電極表面の凹凸が大きいと両電極間で電流リークや電界集中が起こり、素子性能(光電特性や寿命等)の劣化を招く。従って、透明電極表面には高い平滑性が求められる。さらに、有機機能層は水蒸気や酸素によって劣化や変質を起こしやすいため、透明基材には高いガスバリア性が求められる。
近年、有機EL素子や有機太陽電池等の有機光電変換素子を、更に薄型化、軽量化するために、或いは柔軟性を持たせるために、ガラス基材からなる透明基材をフィルム基材へ置き換える試みが進められている。
しかしながら、ガラス基材に較べフィルム基材は水蒸気や酸素等を遮断するガスバリア機能が大きく劣るため、フィルム基材の使用は有機光電変換素子の性能を劣化させる原因となる。従って、有機光電変換素子の性能劣化を防止するために、フィルム基材のガスバリア機能の向上は必要不可欠である。
その解決手段の一つとして、フィルム基材上に金属酸化物層等のガスバリア層を形成した後、ITO等の透明導電層を積層したバリア性透明導電フィルムが提案されている。しかし、透明導電層を形成する際のプラズマダメージや導電層を積層することによるストレス、更には透明導電層のパターニングの際に用いられる薬品、例えばレジスト現像工程やレジスト除去工程で用いられるアルカリ水溶液による浸食等により、ガスバリア層がダメージを受けバリア機能が損なわれるという問題があった。
このような課題に対して、透明フィルム上に金属酸化物を主成分とする透明ガスバリア性薄膜、及び有機架橋体を主成分とする保護膜を真空製膜法により順次形成し、更にITO等の金属酸化物からなる透明導電性薄膜を積層して、バリア性透明導電フィルムのガスバリア性と耐薬品性、表面平滑性を改良する技術が提案されて(例えば、特許文献1参照)いる。しかし、ガスバリア性薄膜、有機保護膜、透明導電性薄膜を全て真空製膜法にて形成する方法は生産性に劣り、また、生産性改善のために製膜レートを高めると膜表面の荒れやスパイク状突起物の生成等が起こるため、生産性と膜表面の平滑性とを両立できないという課題があった。
特許第3855307号公報
以上のように、従来提案されている技術では、バリア性透明導電フィルムに求められる各種特性や機能を十分満足することができなかった。従って、本発明の目的は、優れたバリア性と導電性、薬品耐性を有しながら、脱水処理適性(以下、脱水性)と平滑性にも優れた低コストのバリア性透明導電フィルムとその製造方法を提供することにある。また、本発明のバリア性透明導電フィルムを透明電極として用いることにより、経時での性能安定性が改良された有機EL素子及び有機太陽電池を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.透明フィルム基材上に、少なくとも透明バリア層と透明導電層を積層したバリア性透明導電フィルムの製造方法であって、
該透明バリア層と該透明導電層の間に少なくとも1層の、接着剤として機能する透明樹脂層を有し、
樹脂基板又は樹脂フィルムからなる離型性基材の離型面上に、少なくとも金属細線のネットワーク構造を含む前記透明導電層を形成した後、該透明導電層を、前記透明樹脂を接着剤として、前記透明バリア層を有する前記明フィルム基材上に転写して製造することを特徴とするバリア性透明導電フィルムの製造方法。
2.前記透明導電層に含まれる前記金属細線のネットワーク構造が、少なくとも金属ナノワイヤを含むことを特徴とする前記1に記載のバリア性透明導電フィルムの製造方法。
3.前記離型性基材の離型面の表面粗さ(Ry_d)が、1nm≦Ry_d≦50nmであることを特徴とする前記1又は前記2に記載のバリア性透明導電フィルムの製造方法。
.対向する電極の少なくとも一方が透明導電フィルムで構成された有機EL素子であって、該透明導電フィルムが前記1〜のいずれか1項に記載のバリア性透明導電フィルムの製造方法で製造されたバリア性透明導電フィルムであり、
前記透明導電層の表面粗さ(Ry_f)が、1nm≦Ry_f≦50nmであることを特徴とする有機EL素子。
.対向する電極の少なくとも一方が透明導電フィルムで構成された有機太陽電池であって、該透明導電フィルムが前記1〜のいずれか1項に記載のバリア性透明導電フィルムの製造方法で製造されたバリア性透明導電フィルムであり、
前記透明導電層の表面粗さ(Ry_f)が、1nm≦Ry_f≦50nmであることを特徴とする有機太陽電池。
本発明の上記構成によれば、優れたバリア性と導電性、薬品耐性を有し、加えて脱水性と平滑性にも優れたバリア性透明導電フィルムを得ることができる。従って、高いバリア性、導電性、平滑性、更に低含水性が求められる、有機EL素子や有機太陽電池等の光電変換素子のバリア性透明電極として好ましく用いることができ、その効果として、光電変換素子の性能安定性を大幅に改良することができる。また、本発明のバリア性透明導電フィルムの製造方法にはウェットプロセスを適用できるため、従来の真空プロセスを用いる製造方法に較べ生産性の向上やエネルギーの削減にも効果を有し、コストの削減や環境適性の改善も実現できる。
本発明に係る、離型性基材上に、金属ナノワイヤのネットワーク構造を含む透明導電層を有するフィルムAの断面図である。 本発明に係る、透明フィルム基材上に、透明バリア層、透明樹脂層を積層したフィルムBの断面図である。 フィルムAの透明導電層とフィルムBの透明樹脂層を密着した状態の断面図である。 本発明のバリア性透明導電フィルムの断面図である。 本発明の有機EL素子の分解斜視図である。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、本発明者らが、上記構成のバリア性透明導電フィルムを有機EL素子や有機太陽電池に適用してみたところ、有機架橋体を主成分とする保護膜を有するバリア性透明導電フィルムを使用した素子は、保護膜を有さないバリア性透明導電フィルムを使用した素子に較べて素子寿命等の経時安定性に劣ることが判明した。この原因について本発明者らが鋭意解析したところ、保護膜を有するバリア性透明導電フィルムにおいては、以下の機構により素子性能が劣化してしまうことが明らかになった。
1.製造後のフィルムを大気中に保管している間や、透明導電膜のパターニング工程や洗浄工程等において保護膜中に水分が浸透拡散する。
2.保護膜中拡散した水分は、保護膜の両面がガスバリア膜と金属酸化物透明導電性膜で覆われているため、有機光電変換素子を製造する前の加熱処理や真空処理等の脱水工程では容易に除去することができない。
3.保護膜中の水分が、素子製造後に素子内部に徐々に拡散し性能を劣化させる。
本願発明者らは、従来のバリア性透明導電フィルムにおける上記課題を克服するために鋭意検討を重ねた結果、透明フィルム基材上に、透明バリア層、透明樹脂層、及び金属細線のネットワーク構造を含む透明導電層を順に積層した構造を有するバリア性透明導電フィルムによって、バリア性と導電性、パターニング処理適性(薬品耐性)に優れ、かつ脱水性にも優れたバリア性透明導電フィルムを実現できることを見いだした。
更に、平滑性に優れた離型性基材表面に、金属細線のネットワーク構造を含む透明導電層を形成した後、該透明導電層を透明樹脂を接着剤として透明バリア層を有する透明なフィルム基材上に転写して上記構造のバリア性透明導電フィルムを作製することにより、導電層の平滑性にも優れたバリア性透明導電フィルムを得ることができた。
本発明によって、従来技術の課題であったバリア性透明導電フィルムの脱水性を改良することができたのは、金属細線のネットワーク構造を含む本発明に係わる透明導電層が十分な開口率(透明導電層の投影面積において、金属細線が無い部分の面積が全体の面積に占める割合)を有するため、透明樹脂層等に蓄積された水分を脱水処理によって容易に除去できるようになったためと考えられる。また、本発明では、透明導電層に金属細線のネットワーク構造を用いることにより、透明導電層の上記開口率と導電性の両立を図ることができた。透明導電層に金属以外の材料、例えば、単層カーボンナノチューブに代表される炭素繊維や、ITOナノワイヤに代表される金属酸化物ナノワイヤ等を用いた場合には、有機EL素子や有機太陽電池の透明電極として使用する場合に求められる十分な導電性を得ることが難しい。
一方で、基材上に金属細線のネットワーク構造を形成しただけの導電層では平滑な表面を得ることができない。しかし、本発明の製造方法によれば、金属細線のような表面平滑性に劣る導電材料であっても、有機EL素子や有機太陽電池で求められるレベルの高度な平滑性を実現することができる。また、上記バリア性透明導電膜の製造方法においては、少なくとも透明樹脂層と透明導電層の製膜に真空プロセスを必要としないため、製造コストを大幅に削減することが可能である。
さらに、上記特徴を有するバリア性透明導電フィルムを有機EL素子や有機太陽電池の透明電極に適用することにより、経時での素子性能安定性を大幅に改良できることが判った。
本願発明者らは、上記知見を得ることにより本願発明に至った。すなわち、本発明に係る上記課題は以下の手段により解決される。
本発明のバリア性透明導電フィルムは、透明フィルム基材上に、少なくとも透明バリア層と透明導電層を積層したバリア性透明導電フィルムであって、該透明バリア層と該透明導電層の間に少なくとも1層の透明樹脂層を有し、かつ前記透明導電層が少なくとも金属細線のネットワーク構造を含むことを特徴とするこれは、請求項1〜4に係る発明に共通する技術的特徴である。
なお、本発明において、「透明」とは、JIS K 7361−1(ISO 13468−1に対応)の「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が60%以上であることをいう。
本発明のバリア性透明導電フィルムの好ましい態様としては、透明導電層の表面粗さ(Ry_f)が、1nm≦Ry_f≦50nmであることを挙げることができる。
本発明のバリア性透明導電フィルムの好ましい製造方法としては、離型面の表面粗さ(Ry_d)が1nm≦Ry_d≦50nmの離型性基材の離型面上に、金属細線のネットワーク構造を含む透明導電層を形成した後、該透明導電層を透明樹脂を接着剤として透明バリア層を有する透明なフィルム基材上に転写する方法を挙げることができる。
本発明のバリア性透明導電フィルムの好ましい用途としては、対向する電極の少なくとも一方が透明導電フィルムで構成される有機EL素子及び有機太陽電池の透明導電フィルムとして使用する場合を挙げることができる。
以下に、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための最良の形態等について詳細に説明する。
〔透明フィルム基材〕
本発明のバリア性透明導電フィルムに用いられる透明フィルム基材としては、高い光透過性を有していればそれ以外に特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルム、ポリサルホン樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜780nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明フィルム基材には、透明バリア層の製膜性や接着性を向上させるために、表面処理を施したり易接着層を設けたりすることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層の材料としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。透明フィルム基材が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基材と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、易接着層の材料に酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルを混ぜ、その比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるために2層以上の構成にしてもよい。また、透明フィルム基材の平滑性や擦り傷耐性を向上するためにハードコート層が予め形成されていてもよい。
〔透明バリア層〕
本発明のバリア性透明導電フィルムに係わる透明バリア層は、ガス分子の透過を抑制しうる緻密な構造を有し、水蒸気や酸素等の侵入による有機光電変換素子の劣化や変質を防止する機能を有する。
本発明に係わる透明バリア層のガスバリア機能は、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であることが好ましく、10−4g/(m・24h)以下がより好ましく、10−5g/(m・24h)以下が特に好ましい。
同様に、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度は、1×10−3cm/(m・24h・atm)(1atmは、1.01325×10Paである。)以下であることが好ましく、1×10−4cm/(m・24h・atm)以下がより好ましく、1×10−5cm/(m・24h・atm)以下が特に好ましい。
本発明に係わる透明バリア層は、珪素酸化物や珪素窒化物等の珪素化合物、または金属酸化物や金属窒化物等の金属化合物、或いはそれらの混合物で構成されていることが好ましい。透明バリア層の形成方法は、目的の薄膜を形成できる方法であればいかなる方法でも用いることができる。例えば、珪素化合物や金属化合物層の形成にはスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などが適しており、具体的には特許登録第3400324号、特開2002−322561号、特開2002−361774号各公報記載の形成方法を適用することができる。
透明バリア層に含まれる成分は、上記性能を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、CeおよびTa等からなる群から選ばれる1種以上の珪素または金属を含む酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物であることが好ましい。中でも、Si、Al、In、SnおよびZnからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の珪素または金属を含む酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物であることがより好ましい。また、透明バリア層が複数のバリア層で構成される場合には、各々が同じ組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
透明バリア層の厚さにも特に限定はないが、厚すぎると曲げ応力によりクラックが発生しバリア性が損なわれる恐れがあり、薄すぎると膜が島状に分布しバリア性が十分に得られない場合がある。このためバリア層の厚みは、それぞれ5nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、10nm〜1000nmがさらに好ましく、10nm〜200nmが最も好ましい。
本発明において、バリア性と高透明性とを両立させるには、バリア層として珪素酸化物や珪素窒化物または珪素酸化窒化物を用いるのが好ましい。バリア層として珪素酸化物であるSiOxを用いる場合、良好なガスバリア性と高い光線透過率とを両立させるためには1.6<x<1.9であることが望ましい。バリア層として珪素窒化物であるSiNyを用いる場合は、1.2<y<1.3であることが好ましい。y<1.2となると着色が大きくなる場合がある。
また、バリア層として珪素酸化窒化物であるSiOxNyを用いる場合、基材密着性を向上するには、酸素リッチの膜とすることが好ましく、具体的には1<x<2および、0<y<1を満足することが好ましい。一方、ガスバリア性の向上を重視する場合には、窒素リッチの膜とすることが好ましく、具体的には0<x<0.8および0.8<y<1.3を満足することが好ましい。
〔透明樹脂層〕
本発明のバリア性透明導電フィルムに係わる透明樹脂層は、本発明に係わる透明バリア層と透明導電層の接着剤として機能すると共に透明バリア層の保護層としても機能し、かつ可視領域で透明である樹脂材料であれば特に限定はないが、透明導電層に洗浄処理やパターニング処理を施すためには、耐水性を有する非水溶性樹脂であることが好ましく、例えば、硬化型樹脂や熱可塑型樹脂等を用いることができる。硬化型樹脂として熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂などを挙げることができるが、これらの硬化型樹脂のうちでは、樹脂硬化のための設備が簡易で作業性に優れることから、紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。紫外線硬化型樹脂とは、紫外線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂で、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられる。本発明に係わる透明樹脂層には、例えばアクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂等を好適に用いることができる。
アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号に記載のものを用いることができる。例えば、ユニディック17−806(DIC(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、例えば、特開平1−105738号に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
これらの中で、バインダーの主成分として、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレートから選択されるアクリル系の活性線硬化樹脂が好ましい。
これら紫外線硬化型樹脂の光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。光増感剤と共に使用してもよい。上記光反応開始剤も光増感剤として使用できる。また、エポキシアクリレート系の光反応開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。紫外線硬化型樹脂組成物に用いられる光反応開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
〔透明導電層〕
本発明のバリア性透明導電フィルムに係わる透明導電層は、少なくとも金属細線のネットワーク構造を含む。
本発明に係わる透明導電層の光透過性は、全光線透過率として70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。全光透過率は、分光光度計等を用いた公知の方法に従って測定することができる。また、本発明に係わる透明導電層の電気抵抗は、表面抵抗率として1000Ω/□以下であることが好ましく、100Ω/□以下であることがより好ましい。1000Ω/□を越えると一般的な透明電極としても十分に機能しない場合がある。さらには、有機光電変換素子に適用するために、50Ω/□以下であることが好ましく、10Ω/□以下であることがより好ましく、1Ω/□以下であることが特に好ましい。本発明において表面抵抗率は、例えば、JIS K 7194:1994(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)などに準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することもできる。
本発明に係わる透明導電層の厚みには特に制限はなく、例えば、金属細線の幅や厚さを変えることによって、金属細線が金属ナノワイヤの場合には直径や目付き量を変える等して、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の透明導電層は、金属細線のネットワーク構造を保持するため、透明なバインダー樹脂等を含むことができる。透明なバインダー樹脂としては、塗布液を形成できる透明な樹脂であれば特に制限はなく、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ブチラール系樹脂等を単独あるいは複数併用して用いることができる。
〔金属細線のネットワーク構造〕
本発明に係る金属細線のネットワーク構造は、単一の金属や合金等の金属材料からなる細線を、一様な網目状、直線様あるいは曲線様のストライプ状あるいは櫛型等に配置したものや、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形などの(正)n角形、円、楕円、星形などを規則的に組み合わせた幾何学図形のラインパターンを配置したものや不規則な図形のラインパターンを配置したもの、或いは、直線状や曲線状の金属細線をメッシュ状に配置したものなどで構成することができる。本発明に係わる金属細線のネットワーク構造は、導電性ネットワーク構造として機能することができる。
金属細線の組成としては特に制限は無く、貴金属元素や卑金属元素の1種または複数の金属から構成されることができるが、貴金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)及び鉄、コバルト、銅、錫、ニッケルからなる群に属する少なくとも1種の金属を含むことが好ましく、導電性の観点から少なくとも銀を含むことがより好ましい。さらには、導電性と安定性を両立するために、銀と銀以外の少なくとも1種の金属を含むことも好ましい。
金属細線のネットワーク構造の導電性を向上するためには金属細線の断面積を大きくすることが有効であり、本発明に係わる金属細線の断面積は、1×10−4μm〜1×10μmであることが好ましい。金属細線の断面積が等しい場合には、金属細線の厚さを厚くする方が透明性を向上できるため好ましい。また、透明性の観点からは開口率(透明導電層の投影面積において、金属細線が無い部分の面積が全体の面積に占める割合)を大きくすること、つまり金属細線の幅を細くし間隔は広くすることが好ましい。このように導電性と透明性の点から、金属細線の幅と厚さは1×10−2μm〜1×10μmが好ましく、ライン間隔は1×10−1μm〜1×10μmが好ましい。
本発明に係わる金属細線のネットワーク構造を含む透明導電層の表面抵抗率は、50Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましく、1Ω/□以下が特に好ましい。また、透過率及び脱水性の観点から、開口率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
本発明に係る金属細線のネットワーク構造を形成する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、フォトリソグラフィー法を用いて金属細線パターンを形成する方法や、印刷法やインクジェット法を用いて直接パターンを形成する方法、銀塩感光材料を用いて露光、現像処理してパターン形成する方法でもよい。また、無電解メッキや電解メッキを上記の方法に組み合せて用いてもよい。この中でも印刷法、インクジェット法(特に静電インクジェット法)、銀塩感光材料を用いる方法、あるいはそれらと無電解メッキや電解メッキを組み合せて用いる方法が、金属細線のネットワーク構造を連続的に精度良く、かつ安価に形成することが可能であるため好ましい。
また、金属ナノワイヤを含む分散液を用いて、印刷法や塗布法により金属ナノワイヤメッシュを形成し、本発明に係る金属細線のネットワーク構造に適用することもできる。本発明に係る金属細線のネットワーク構造を金属ナノワイヤで形成することにより、本発明に係る透明導電層の平滑性や脱水性を向上させることができるため特に好ましい。
〔金属ナノワイヤ〕
一般に、金属ナノワイヤとは、金属元素を主要な構成要素とする線状構造体のことをいう。特に、本発明における金属ナノワイヤとは、原子スケールからnmサイズの直径を有する線状構造体を意味する。
本発明に係る金属ナノワイヤとしては、1つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に、3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均直径は、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤの平均直径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下が好ましい。
本発明に係わる金属ナノワイヤを含む透明導電層の表面抵抗率は、100Ω/□以下が好ましく、50Ω/□以下がより好ましく、10Ω/□以下が特に好ましい。また、透過率及び脱水性の観点から、開口率は80%以上が好ましく、90%以上が特に好ましい。
本発明に係る金属ナノワイヤの金属組成としては特に制限はなく、貴金属元素や卑金属元素の1種または複数の金属から構成することができるが、貴金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)及び鉄、コバルト、銅、錫からなる群に属する少なくとも1種の金属を含むことが好ましく、導電性の観点から少なくとも銀を含むことがより好ましい。また、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、及びマグレーション耐性)を両立するために、銀と、銀を除く貴金属に属する少なくとも1種の金属を含むことも好ましい。本発明に係る金属ナノワイヤが2種類以上の金属元素を含む場合には、例えば、金属ナノワイヤの表面と内部で金属組成が異なっていてもよいし、金属ナノワイヤ全体が同一の金属組成を有していてもよい。
本発明に係る金属ナノワイヤの製造手段には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法等の公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、銀ナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837;WO2008/073143A2等、金ナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、銅ナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、コバルトナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した、Adv.Mater.,2002,14,833〜837やWO2008/073143A2で報告された銀ナノワイヤの製造方法は、水系で簡便に銀ナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明に係る金属ナノワイヤの製造方法として好ましく適用することができる。
〔表面粗さ〕
本発明において、透明導電層の表面粗さを表すRyは最大高さを意味し、JIS B601(1994)に規定される2次元の最大高さの定義を3次元に拡張した値であり、基準長lに代わって試料表面から基準面積Sを抜き取った領域における最大高さとして定義する。即ち、本発明における表面粗さ(Ry)は、基準面積内における最も高い山頂面と、最も低い谷底面との間隔を表す値である。本発明においては、基準面積は80μm×80μm以上に設定するものとする。
本発明においてRyの測定には、市販の原子間力顕微鏡(AFM)を用いることができ、例えば、次の様な方法で測定することができる。
AFMとして、セイコーインスツル社製NanoNaviプローブステーション及びS−image高分解能小型ステージユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位で検出する。ピエゾスキャナーは、X−Y方向120μm、Z方向2μmを走査可能なものを使用する。カンチレバーは、セイコーインスツル社製シリコンカンチレバーSI−DF40(共振周波数250〜390kHz、バネ定数42N/m)等を用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で、80×80μm以上の測定領域を、走査周波数0.5Hz以下で測定しRyを求める。通常、測定データの解析ソフトを使用してRyを自動的に計算することができる。
〔製造方法〕
本発明のバリア性透明導電フィルムの製造方法に特に制限はなく、例えば、以下のような方法で製造することができる。
(a)透明バリア層を有する透明なフィルム基材上に透明樹脂を形成した後、金属細線のネットワーク構造を含む透明導電層を形成して作成する方法。
また、有機EL素子や有機太陽電池の透明電極用途のように、高い表面平滑性が求められる場合には、例えば
(b)上記(a)の方法でバリア性透明導電フィルムを作成した後、金属細線のネットワーク構造を完全に被覆せず、かつ透明導電層の表面粗さが1nm≦Ry_f≦50nmとなるように、膜厚を精密に制御して透明樹脂をオーバーコートする方法。
(c)上記(a)の方法でバリア性透明導電フィルムを作成した後、金属細線のネットワーク構造を完全に被覆するように透明樹脂をオーバーコートし、導電性繊維層が表面に現れかつ透明導電層の表面粗さが1nm≦Ry_f≦50nmとなるように、表面を一様に切削または研磨する方法。
(d)離型性基材の離型面上に金属細線のネットワーク構造を含む透明導電層を形成した後、該透明導電層を透明樹脂を接着剤として透明バリア層を有する透明なフィルム基材上に転写する方法などを用いることができる。
特に、本発明のバリア性透明導電フィルムの製造方法には(d)の方法を用いることが好ましいので図を用いて説明する。尚、(d)の方法を用いることにより、バリア性透明導電フィルムの透明導電層表面を簡便にかつ安定に高平滑化することができる。
図1は、離型性基材11上に、金属ナノワイヤ12のネットワーク構造を含む透明導電層13を有するフィルムAの断面図であって、透明導電層13は、金属ナノワイヤ12の他にバインダー樹脂を含んでいてもよい。本発明のバリア性透明導電フィルムの製造方法で用いられる離型性基材としては、樹脂基板や樹脂フィルムなどを好適に用いることができる。該樹脂には特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの合成樹脂の単層あるいは複数層からなる基板やフィルムが好適に用いられる。さらにガラス基板や金属基板を用いることもできる。また、離型性基材の表面(離型面)には、必要に応じてシリコン樹脂やフッ素樹脂、ワックスなどの離型剤を塗布して表面処理を施してもよい。
離型性基材表面は、透明導電層転写後に得られるバリア性透明導電フィルムの透明導電層の表面平滑性に影響を与えるため高平滑であることが好ましく、具体的には、最大高さ(Ry_d)がRy_d≦50nmであることが好ましく、1nm≦Ry_d≦50nmであることがより好ましい。Ry_dが50nmより大きいと、素子の両電極間で電流リークや電界集中が起こり、素子性能(光電特性や寿命等)を劣化させる可能性が高くなる。一方、Ry_dが1nmより小さいと転写時の剥離性が劣る場合がある。
離型性基材の離型面上に、金属細線のネットワーク構造を形成する方法に特に制限はないが、生産性や品質の向上、環境負荷軽減の観点から、透明導電層の形成には塗布法や印刷法を用いることが好ましい。塗布法としては、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法などを用いることができる。印刷法としては、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法などを用いることができる。なお、必要に応じて、密着性・塗工性を向上させるための予備処理として、離型性基材表面にコロナ放電処理、プラズマ放電処理などの物理的表面処理を施すことができる。
図1において、離型性基材11の離型面上に、金属ナノワイヤ分散液を塗布(または印刷)し乾燥して、離型性基材表面に金属ナノワイヤ12のネットワーク構造からなる透明導電層13を形成してフィルムAを作製する。一方、図2に示すように、透明バリア層14を有する透明フィルム基材15に透明樹脂層16を塗布または印刷し、フィルムBを作製する。
得られた、フィルムAの透明導電層とフィルムBの金属ナノワイヤ層を図3に示すように貼合する。透明樹脂層16を硬化した後、離型性基材11を剥離することによって透明導電層を透明フィルム基材側に転写してバリア性透明導電フィルムを作製する。
上記、本発明の製造方法によれば、金属ナノワイヤを専ら転写後の透明導電層表面に存在させることができるため、表面導電性に優れたバリア性透明導電フィルムを形成することができる。また、転写後の透明導電層表面は、離型性基材表面の平滑性を反映したものとなるため、平滑性に優れた離型性基材を用いることにより、バリア性透明導電フィルムにおける透明導電層の平滑性を高めることができる。
本発明のバリア性透明導電フィルムにおいては、図4のように透明樹脂層の一部が透明導電層に入り込んでいても良く、透明導電層表面の一部を構成していても良い。また、透明樹脂層は樹脂の異なる複数の層で構成することもできる。
上記、本発明の製造方法において、金属ナノワイヤ分散液は金属ナノワイヤ以外にバインダーや界面活性剤等の添加剤を含んでいても良い。また、それらの添加剤が透明導電層に含まれていても良い。金属ナノワイヤを塗布・乾燥した後、透明導電層にカレンダー処理や熱処理を施し金属ナノワイヤ間の密着性を高めることや、プラズマ処理を施し金属ナノワイヤ間の接触抵抗を低減することは、金属ナノワイヤのネットワーク構造の導電性を向上させる方法として有効である。また、上記製造方法において、離型性基材の離型面は、予めコロナ放電(プラズマ)などにより親水化処理していてもよい。
上記、本発明の製造方法において、透明樹脂層は透明導電層に塗布(または印刷)して透明バリア層を有する透明フィルム基材と貼合することもできる。また、貼合方法には特に限定はなく、シートプレス、ロールプレス等により行うことができる。ロールプレスは、ロールとロールの間に接着すべきフィルムを挟んで圧着し、ロールを回転させる方法である。ロールプレスは均一に圧力がかけられ、シートプレスよりも生産性にも優れるため好適に用いることができる。
上記、本発明の製造方法において、硬化後の透明樹脂層の膜厚Drは、離型性基材表面に形成した透明導電層の膜厚Dcより厚いことが好ましいが、Drが厚すぎると透明樹脂層の脱水工程に時間を要する場合がある。一方、DrがDcより薄い場合には、透明導電層と透明バリア層との接着が不十分となり、透明導電層をバリア層側に上手く転写できない場合がある。或いは、透明導電層の凹凸を透明樹脂層で十分緩和することができず、転写後の透明導電層表面の平滑性が劣化する場合がある。本発明の製造方法においては、Dc<Dr≦Dc×10が好ましく、Dc<Dr≦Dc×5がより好ましく、Dc<Dr≦3Dcがさらに好ましい。
同様に、本発明の製造方法において、硬化後の透明樹脂層の膜厚Drは、透明バリア層の表面粗さRy(b)の値より大きいことが好ましいが、Drが厚すぎると透明樹脂層の脱水工程に時間を要する場合がある。一方、DrがRy(b)より小さい場合には、透明導電層と透明バリア層との接着が不十分となり、透明導電層をバリア層側に上手く転写できない場合がある。或いは、透明バリア層の凹凸を透明樹脂層で十分緩和することができず、転写後の透明導電層表面の平滑性が劣化する場合がある。本発明の製造方法においては、Dc<Dr≦Dc×10が好ましく、Dc<Dr≦Dc×5がより好ましく、Dc<Dr≦3Dcがさらに好ましい。
〔パターニング方法〕
本発明のバリア性透明導電フィルムの透明導電層は、必要に応じてパターニングすることができる。パターニングプロセスには特に制限はなく、例えば、上記本発明の製造方法において、離型性基材の表面にパターニングされた透明導電層を形成した後転写することができるし、透明導電層の転写時にパターニングすることもできるし、本発明のバリア性透明導電フィルムを作製後にパターニング処理を施すこともできる。
離型性基材の表面に、パターニングされた透明導電層を形成する具体的な方法として、例えば以下の様な方法を用いることができる。
1.離型性基材上に印刷法を用いて本発明に係る透明導電層をパターン様に直接形成する方法。
2.離型性基材上に本発明に係る透明導電層を一様に形成した後、金属細線のネットワーク構造をエッチング可能な液を、印刷法を用いてネガパターン様に塗布してパターニングする方法。
3.離型性基材上に本発明に係る透明導電層を一様に形成した後、金属細線のネットワーク構造をエッチング可能な液を用いて、一般的なフォトリソプロセスに従いパターニングする方法。
4.離型性基材上に予めフォトレジストで形成したネガパターン上に本発明に係る透明導電層を一様に形成し、リフトオフ法を用いてパターニングする方法。
バリア性透明導電フィルムを作製後にパターニングする具体的な方法として、例えば以下の様な方法を用いることができる。
5.本発明のバリア性透明導電フィルムを形成した後、金属細線のネットワーク構造をエッチング可能な液を、印刷法を用いてネガパターン様に塗布してパターニングする方法。
6.本発明のバリア性透明導電フィルムを形成した後、金属細線のネットワーク構造をエッチング可能な液を用いて一般的なフォトリソプロセスに従いパターニングする方法。
〔有機EL素子〕
次に、本発明の有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
この内、陽極と陰極を除いた各層を総称して有機積層体とも言う。
以下に各層について説明する。
《発光層》
発光層とは、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよいが、層間での励起子の失活等が考えられることから発光層の層内であることが好ましい。
発光層の膜厚は特に制限はないが、形成する膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、且つ駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2〜200nmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは5〜100nmの範囲に調整される。
本発明では、ホスト−ゲスト型の発光層をウェットプロセスで形成する際に、溶媒の沸点と20℃での蒸気圧、また溶媒の官能基、発光ホストの分子量を選択することで、作製した素子の外部取り出し量子効率や駆動電圧を改善するのみならず、連続駆動時の電圧上昇を抑制している。
以下に発光層に含まれるホスト化合物(発光ホストとも言う)と発光ドーパントについて説明する。
《ホスト化合物》
本発明に用いられるホスト化合物について説明する。
ここで、本発明においてホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内でその層中での質量比が20%以上であり、且つ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物である。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光ドーパントを複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
本発明において、ホスト化合物としては下記一般式(a)で表される化合物が好ましい。
式中、XはNR′、O、S、CR′R″またはSiR′R″を表す。R′、R″は各々水素原子または置換基を表す。Arは芳香環を形成するのに必要な原子群を表す。nは0〜8の整数を表す。
R′、R″で各々表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。これらの置換基は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
中でも、XとしてはNR′またはOが好ましく、またR′としては、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基)、または芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)が特に好ましい。
上記の芳香族炭化水素基、芳香族複素環基は、各々一般式(a)のXにおいて、R′、R″で各々表される置換基を有してもよい。
一般式(a)において、Arにより表される芳香環としては、芳香族炭化水素環または芳香族複素環が挙げられる。また、該芳香環は単環でもよく、縮合環でもよく、更に未置換でも、一般式(a)のXにおいて、R′、R″で各々表される置換基を有してもよい。
一般式(a)において、Arにより表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。これらの環は更に、一般式(a)で表される部分構造のXにおいて、R′、R″で各々表される置換基を有してもよい。
一般式(a)において、Arにより表される芳香族複素環としては、例えば、フラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。
これらの環は、更に一般式(a)において、R′、R″で各々表される置換基を有してもよい。
上記の中でも、一般式(a)において、Arにより表される芳香環として、好ましく用いられるのは、カルバゾール環、カルボリン環、ジベンゾフラン環、ベンゼン環であり、更に好ましく用いられるのは、カルバゾール環、カルボリン環、ベンゼン環であり、より好ましくは置換基を有するベンゼン環であり、特に好ましくはカルバゾリル基を有するベンゼン環が挙げられる。
また、一般式(a)において、Arにより表される芳香環としては、各々3環以上の縮合環が好ましい一態様であり、3環以上が縮合した芳香族炭化水素縮合環としては、具体的には、ナフタセン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ヘキサセン環、フェナントレン環、ピレン環、ベンゾピレン環、ベンゾアズレン環、クリセン環、ベンゾクリセン環、アセナフテン環、アセナフチレン環、トリフェニレン環、コロネン環、ベンゾコロネン環、ヘキサベンゾコロネン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フルオランテン環、ペリレン環、ナフトペリレン環、ペンタベンゾペリレン環、ベンゾペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環、コロネン環、ナフトコロネン環、オバレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。なお、これらの環は、更に上記の置換基を有していてもよい。
また、3環以上が縮合した芳香族複素環としては、具体的には、アクリジン環、ベンゾキノリン環、カルバゾール環、カルボリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、カルボリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の任意の一つが窒素原子で置き換わったものを表す)、フェナントロリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、チオファントレン環(ナフトチオフェン環)等が挙げられる。なお、これらの環は更に置換基を有していてもよい。
また、一般式(a)において、nは0〜8の整数を表すが、0〜2であることが好ましく、特にXがO、Sである場合には1〜2であることが好ましい。
以下に、一般式(a)で表されるホスト化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
また、本発明に用いられる発光ホストとしては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位を持つ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(重合性発光ホスト)でもよいが、高分子材料を用いた場合、化合物が溶媒を取り込んで膨潤やゲル化等、溶媒が抜けにくいと思われる現象が起こりやすいので、これを防ぐために分子量は高くない方が好ましく、具体的には塗布時での分子量が1,500以下の材料を用いることが好ましく、塗布時の分子量1,000以下の材料を用いることが更に好ましい。
併用してもよい公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、なお且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
《発光ドーパント》
本発明に係る発光ドーパントについて説明する。
本発明に係る発光ドーパントとしては、蛍光ドーパント、リン光ドーパントを用いることができるが、より発光効率の高い有機EL素子を得る観点からは、有機EL素子の発光層や発光ユニットに使用される発光ドーパントとしては、上記のホスト化合物を含有すると同時にリン光ドーパントを含有することが好ましい。
リン光ドーパントは、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
本発明に係るリン光ドーパントとしては、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
以下に、リン光ドーパントとして用いられる化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
また、化合物内にフッ素(F)を有するポリアニオンであっても良い。具体的には、パーフルオロスルホ基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)などをあげることができる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係わる正孔阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
正孔阻止層には、前述のホスト化合物として挙げたアザカルバゾール誘導体を含有することが好ましい。
また、本発明においては、複数の発光色の異なる複数の発光層を有する場合、その発光極大波長が最も短波にある発光層が、全発光層中、最も陽極に近いことが好ましいが、このような場合、該最短波層と該層の次に陽極に近い発光層との間に正孔阻止層を追加して設けることが好ましい。更には、該位置に設けられる正孔阻止層に含有される化合物の50質量%以上が、前記最短波発光層のホスト化合物に対しそのイオン化ポテンシャルが0.3eV以上大きいことが好ましい。
イオン化ポテンシャルは化合物のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義され、例えば、下記に示すような方法により求めることができる。
(1)米国Gaussian製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)の小数点第2位を四捨五入した値としてイオン化ポテンシャルを求めることができる。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いためである。
(2)イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接測定する方法により求めることもできる。例えば、理研計器製の低エネルギー電子分光装置「Model AC−1」を用いて、あるいは紫外光電子分光として知られている方法を好適に用いることができる。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは5〜30nmである。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることからこれらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。
また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をゲスト材料としてドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《基板》
本発明の有機EL素子に用いることのできる基板(以下、支持基板とも言う)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。基板側から光を取り出す場合には、基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(JSR製)あるいはアペル(三井化学製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、水蒸気透過度が0.01g/m/日・atm以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には酸素透過度10−3g/m/日以下、水蒸気透過度10−5g/m/日以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し量子効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=(有機EL素子外部に発光した光子数)/(有機EL素子に流した電子数)×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
《封止》
本発明の有機EL素子の封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、有機EL素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。更には、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/m/24h以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m/24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。
これらの膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
〔有機太陽電池〕
一般に、有機太陽電池は以下の様な構成を有する。
(I)透明基材/陽極/発電層/陰極/封止層
(II)透明基材/陽極/正孔輸送層/発電層/陰極/封止層
(III)透明基材/陽極/正孔輸送層/発電層/電子輸送層/陰極/封止層
(IV)透明基材/陽極/正孔輸送層/p型半導体層/発電層/n型半導体層/電子輸送層/陰極/封止層
(V)透明基材/陽極/正孔輸送層/第1発光層/電子輸送層/中間電極/正孔輸送層/第2発光層/電子輸送層/陰極/封止層
前記有機EL素子同様、発電層を正孔輸送層と電子輸送層で挟み込むことで、正孔及び電子の陽極・陰極への取り出し効率を高めることができるため、それらを有する構成(上記IIまたはIII)の方が好ましい。また、発電層自体も正孔と電子の整流性(キャリア取り出しの選択性)を高めるため、(IV)のようにp型半導体材料とn型半導体材料単体からなる層で発電層を挟み込むような構成(p−i−n構成ともいう)であっても良い。また、太陽光の利用効率を高めるため、異なる波長の太陽光をそれぞれの発電層で吸収するような、タンデム構成(上記V)であっても良い。
さらには、太陽光利用率(光電変換効率)の向上を目的として、上記のような発電層を正孔輸送層と電子輸送層で挟み込む構成に代えて、一対の櫛歯状電極上にそれぞれ正孔輸送層、電子輸送層を形成し、その上に発電層を配置したバックコンタクト型の有機光電変換素子が構成とすることもできる。
本発明の有機太陽電池は、上記構成要素の「透明基材/陽極」の部分に本発明のバリア性透明導電フィルムを用いることを特徴とする。
以下、本発明の有機太陽電池を構成するその他の層について説明する。
《正孔輸送層》
本発明の有機太陽電池は、バルクヘテロジャンクション層(発電層)で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、陽極とバルクヘテロジャンクション層の中間には正孔輸送層を有していることが好ましい。
正孔輸送層を構成する材料としては、例えば、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン及びそのドープ材料、WO2006019270号等に記載のシアン化合物等を用いることができる。なお、バルクヘテロジャンクション層に用いられるn型半導体材料のLUMO準位よりも浅いLUMO準位を有する材料を正孔輸送層に用いた場合には、バルクヘテロジャンクション層で生成した電子を陽極側に流さないような整流効果(電子ブロック機能)が付与される。このような正孔輸送層は、電子ブロック層と呼ばれる場合がある。本発明の有機太陽電池は、このような電子ブロック機能を有する正孔輸送層を使用することが好ましい。
電子ブロック機能を有する材料としては、特開平5−271166号公報等に記載のトリアリールアミン系化合物、また酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化タングステン等の金属酸化物等を用いることができる。また、バルクヘテロジャンクション層に用いたp型半導体材料単体で正孔輸送層を構成することもできる。
正孔輸送層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれを用いることもできるが、溶液塗布法を用いることが好ましい。バルクヘテロジャンクション層を形成する前に、正孔輸送層を溶液塗布法で形成すると、塗液のレベリング作用により正孔輸送層表面が平滑化し、素子内部のリーク等の影響を低減することができる。
《発電層》
発電層は、正孔を輸送できるp型半導体材料と電子を輸送できるn型半導体材料を含有していることが必要であり、これらは実質2層でヘテロジャンクションを形成していても良いし、1層の内部で混合された状態となっているバルクヘテロジャンクションを形成しても良いが、バルクヘテロジャンクション構成のほうが光電変換効率が高いため好ましい。
《p型半導体材料》
発電層に用いられるp型半導体材料として、種々の縮合多環芳香族低分子化合物や共役系ポリマー・オリゴマーを挙げることができる。
縮合多環芳香族低分子化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、へプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンジチオロテトラチアフルバレン(BEDT−TTF)−過塩素酸錯体、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
また、上記縮合多環を有する誘導体の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol127.No14.4986、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123、p9482、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130(2008)、No.9、2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物等が挙げられる。
共役系ポリマーとしては、例えば、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT)等のポリチオフェン及びそのオリゴマー、またはTechnical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka, Japan, 2007, P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェン、Nature Material,(2006)vol.5,p328に記載のポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、WO2008000664に記載のポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、Adv Mater,2007p4160に記載のポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体,Nature Mat.vol.6(2007),p497に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマー、等のポリマー材料が挙げられる。
また、ポリマー材料ではなくオリゴマー材料としては、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
これらの化合物の中でも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、かつ乾燥後は結晶性薄膜を形成し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。
また、発電層上に電子輸送層を塗布で製膜する場合、電子輸送層溶液が発電層を溶かしてしまうという課題があるため、溶液プロセスで塗布した後に不溶化できるような材料を用いても良い。
このような材料としては、Technical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka, Japan, 2007, P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェンのような、塗布後に塗布膜を重合架橋して不溶化できる材料、または米国特許出願公開第2003/136964号、および特開2008−16834等に記載されているような、熱等のエネルギーを加えることによって可溶性置換基が反応して不溶化する(顔料化する)材料などを挙げることができる。
《n型半導体材料》
発電層に用いられるn型半導体材料に特に限定は無く、例えば、フラーレン、オクタアザポルフィリン等、p型半導体の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を用いることができる。
しかし、各種のp型半導体材料と高速かつ効率的に電荷分離を行うことができる、フラーレン誘導体が好ましい。フラーレン誘導体としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等、およびこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、シリル基等によって置換されたフラーレン誘導体を挙げることができる。
中でも[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッドメチルエステル(略称PCBM)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nブチルエステル(PCBnB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−イソブチルエステル(PCBiB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nヘキシルエステル(PCBH)、Adv.Mater.,vol.20(2008),p2116等に記載のbis−PCBM、特開2006−199674号公報等のアミノ化フラーレン、特開2008−130889号公報等のメタロセン化フラーレン、米国特許第7329709号明細書等の環状エーテル基を有するフラーレン等のような、置換基を有してより溶解性が向上したフラーレン誘導体を用いることが好ましい。
《電子輸送層》
本発明の有機太陽電池は、バルクヘテロジャンクション層(発電層)で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、バルクヘテロジャンクション層と陰極との中間には電子輸送層を有していることが好ましい。
電子輸送層構成する材料としては、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)を用いることができる。なお、バルクヘテロジャンクション層に用いられるp型半導体材料のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する材料を電子輸送層に用いた場合には、バルクヘテロジャンクション層で生成した正孔を陰極側には流さないような整流効果(正孔ブロック機能)が付与される。このような電子輸送層は、正孔ブロック層と呼ばれる場合がある。本発明の有機太陽電池は、このような正孔ブロック機能を有する電子輸送層を使用することが好ましい。
正孔ブロック機能を有する材料としては、バソキュプロイン等のフェナントレン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体材料、及び酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物及びフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等を用いることができる。また、バルクヘテロジャンクション層に用いたn型半導体材料単体で電子輸送層を構成することもできる。
電子輸送層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれを用いることもできるが、溶液塗布法を用いることが好ましい。
《その他の層》
エネルギー変換効率の向上や素子寿命の向上を目的に、各種中間層を素子内に有する構成としてもよい。中間層の例としては、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層などを挙げることができる。
《陰極》
陰極は導電性材料の単独層であっても良いが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用しても良い。陰極の導電材料としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中でも、電子の取り出し性能及び酸化等に対する耐久性の点から、これら金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等を好適に用いることができる。陰極は、これらの材料を蒸着やスパッタリング等の成膜法を用いて、薄膜を形成して作製することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
陰極の導電材料として金属材料を用いれば、陰極側に来た光を陽極側に反射して発電層で再利用することが可能となり、より光電変換効率が向上することができる。
また、陰極は、金属(例えば金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)や炭素からなるナノ粒子、ナノワイヤ、ナノ構造体であってもよく、ナノワイヤの分散物であれば、透明で導電性の高い陰極を塗布法により簡便に形成することができる。また、陰極側を光透過性とする場合は、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、銀及び銀化合物等の陰極に適した導電性材料を薄く1〜20nm程度の膜厚で作製した後、上記透明電極の説明で挙げた導電性光透過性材料の膜を設けることで、光透過性陰極とすることができる。
《中間層》
前記(V)のようなタンデム構成の場合に必要となる中間電極の材料としては、透明性と導電性を併せ持つ化合物を用いることが好ましく、ITO、AZO、FTO、酸化チタン等の透明金属酸化物や、Ag、Al、Au等の非常に薄い金属層またはナノ粒子・ナノワイヤ、PEDOTやポリアニリン及びそのドープ材料等の導電性高分子材料等を好ましく用いることができる。
なお前述した正孔輸送層と電子輸送層の中には、適切に組み合わせて積層することで中間電極(電荷再結合層)として働く組み合わせもあり、このような構成とすると製造プロセスを簡略化することができる。
《封止》
本発明の有機太陽電池は、環境中の酸素や水分等による劣化を防止するために、公知の手法を用いて封止することが好ましい。具体的な封止手段としては、上記有機EL素子の説明に記載の封止方法を用いることができる。
〔好ましい用途〕
本発明のバリア性透明導電フィルムは、優れたバリア性と導電性、薬品耐性を有し、加えて脱水性と平滑性にも優れ、各種有機光電変換素子に好ましく用いることができる。その中でも、導電性と透明性に加え、透明電極のバリア性、低含水性、平滑性も厳しく求められる有機EL素子や有機薄膜太陽電池の透明電極として特に好ましく用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記実施例において、全光線透過率、表面抵抗率、表面粗さ(Ry)、水蒸気透過率(ガスバリア性)は以下の様な方法で測定した。
[全光線透過率]
JIS K 7361−1:1997に準拠して、スガ試験機(株)製のヘイズメーターHGM−2Bを用いて測定した。
[表面抵抗率]
JIS K 7194:1994に準拠して、三菱化学社製ロレスターGP(MCP−T610型)を用いて測定した。
[表面粗さ(Ry)]
AFM(セイコーインスツル社製NanoNaviプローブステーション及びS−image高分解能小型ステージユニット)を使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を用いて前記の方法で測定した。
[水蒸気透過率]
JIS K 7129−1992に準拠して、MOCON社製 水蒸気透過率測定装置 PERMATRAN−W 3/33 MGモジュールを用いて測定した。
[含水量]
三菱化学(株)製、CA−20型微量水分計を用いて温度150℃で測定した。
実施例1[銀ナノワイヤを用いたバリア性透明導電フィルムの作製と性能評価]
(銀ナノワイヤの作製)
本実施例では、金属ナノワイヤとして銀ナノワイヤを用いた。銀ナノワイヤは、前記のAdv.Mater.,2002,14,833〜837及びWO2008/073143A2に記載の方法を参考に、平均直径60nm、平均長さ30μmの銀ナノワイヤを作製し、限外濾過法を用いて銀ナノワイヤを濾別かつ水洗処理した後、分散剤と界面活性剤を加えて純水中に再分散して銀ナノワイヤ分散液(銀ナノワイヤ含有量5質量%)を調製した。また、何れの実施例においても塗布はスピンコーターを用いて行った。
(離型性基材への透明導電層の形成)
離型性基材として、表面粗さがRy=10nmのクリアハードコート層(CHC)を離型面として有するPETフィルムを用いた。コロナ放電処理を施した離型性基材に、銀ナノワイヤの目付け量が60mg/mとなるように上記銀ナノワイヤ分散液を塗布した後、120℃で30分間乾燥処理して銀ナノワイヤのネットワーク構造を含む透明導電層を形成した。得られた透明導電層の表面抵抗率は15Ω/□、表面粗さ:Ryは250nmであった。
(透明フィルム基材への透明バリア層の形成)
厚さ100μmのPETフィルム(全光透過率90%)を透明フィルム基材として、ロール・ツー・ロール方式のスパッタリング装置を使用し、厚み100μmのPETフィルム(全光透過率90%)上に、Siターゲットを用いてアルゴンスパッタ法により膜厚約80nmの酸化珪素層を形成し、透明バリア層を有する透明フィルム基材を作製した。得られた透明バリア層の表面粗さ:Ryは140nmであった。
《バリア性透明導電フィルムBCM1の作製:発明例》
図1〜3に示した製造方法に従いバリア性透明導電フィルムを作製した。
上記透明バリア層を有する透明フィルム基材のバリア層上に、透明樹脂層として紫外線硬化型透明樹脂(JSR社製、NN803)を塗布(乾燥膜厚0.2μm相当)し溶媒成分を気化させた後、上記透明導電層を有する離型性基材の透明導電層側と貼合しロールプレスした。続いて、紫外線を照射して透明樹脂層を十分に硬化させた後、離型性基材を剥離することによって透明導電層を透明フィルム基材側に転写し、バリア性透明導電フィルムBCM1を作製した。
《バリア性透明導電フィルムBCM2の作製:発明例》
上記、透明導電膜BCM1の作製法において、透明樹脂層の膜厚が0.6μmとなるように、紫外線硬化型透明樹脂の塗布量を変更した以外はBCM1と同様にして、バリア性透明導電フィルムBCM2を作製した。
《バリア性透明導電フィルムBCM3の作製:発明例》
上記、透明導電膜BCM1の作製法において、透明樹脂層の膜厚が1.0μmとなるように、紫外線硬化型透明樹脂の塗布量を変更した以外はBCM1と同様にして、バリア性透明導電フィルムBCM3を作製した。
《バリア性透明導電フィルムBCM4の作製:発明例》
上記、透明導電膜BCM1の作製法において、透明樹脂層の膜厚が2.0μmとなるように、紫外線硬化型透明樹脂の塗布量を変更した以外はBCM1と同様にして、バリア性透明導電フィルムBCM4を作製した。
《バリア性透明導電フィルムBCM5の作製:発明例》
上記、透明導電膜BCM1の作製法において、透明樹脂層の膜厚が3.0μmとなるように、紫外線硬化型透明樹脂の塗布量を変更した以外はBCM1と同様にして、バリア性透明導電フィルムBCM5を作製した。
《バリア性透明導電フィルムBCM6の作製:比較例》
上記透明バリア層を有する透明フィルム基材のバリア層上に、銀ナノワイヤの目付け量が60mg/mとなるように上記銀ナノワイヤ分散液を塗布した後、120℃で30分間乾燥処理して銀ナノワイヤのネットワーク構造を含む透明導電層を形成し、バリア性透明導電フィルムBCM6を作製した。
《バリア性透明導電フィルムBCM7の作製:発明例》
上記透明バリア層を有する透明フィルム基材のバリア層上に、透明樹脂層として紫外線硬化型透明樹脂(JSR社製、NN803)を塗布(乾燥膜厚1.0μm相当)し溶媒成分を気化させた後、紫外線を照射して透明樹脂層を十分に硬化させた。次いで、銀ナノワイヤの目付け量が60mg/mとなるように上記銀ナノワイヤ分散液を透明樹脂層上に塗布した後、120℃で30分間乾燥処理して銀ナノワイヤのネットワーク構造を含む透明導電層を形成し、バリア性透明導電フィルムBCM7を作製した。
《バリア性透明導電フィルムBCO1の作製:比較例》
従来技術に倣い、以下の様な製造法でバリア性透明導電フィルムを作製した。
上記透明バリア層を有する透明フィルム基材のバリア層上に、透明樹脂層として前記紫外線硬化型透明樹脂を塗布(乾燥膜厚0.2μm相当)し溶媒成分を気化させた後、紫外線を照射して透明樹脂層を十分に硬化させた。続いて、ITOターゲットを用いてアルゴンスパッタ法により膜厚約100nmのITO透明導電層を形成し、バリア性透明導電フィルムBCO1を作製した。
《バリア性透明導電フィルムBCO2の作製:比較例》
上記、透明導電膜BCO1の作製法において、透明樹脂層の膜厚が0.6μmとなるように、紫外線硬化型透明樹脂の塗布量を変更した以外はBCO1と同様にして、バリア性透明導電フィルムBCO2を作製した。
《バリア性透明導電フィルムBCO3の作製:比較例》
上記、透明導電膜BCO1の作製法において、透明樹脂層の膜厚が1.0μmとなるように、紫外線硬化型透明樹脂の塗布量を変更した以外はBCO1と同様にして、バリア性透明導電フィルムBCO3を作製した。
《バリア性透明導電フィルムBCO4の作製:比較例》
上記、透明導電膜BCO1の作製法において、透明樹脂層の膜厚が2.0μmとなるように、紫外線硬化型透明樹脂の塗布量を変更した以外はBCO1と同様にして、バリア性透明導電フィルムBCO4を作製した。
《バリア性透明導電フィルムBCO5の作製:比較例》
上記、透明導電膜BCO1の作製法において、透明樹脂層の膜厚が3.0μmとなるように、紫外線硬化型透明樹脂の塗布量を変更した以外はBCO1と同様にして、バリア性透明導電フィルムBCO5を作製した。
《バリア性透明導電フィルムBCO6の作製:比較例》
上記、透明導電膜BCO1の作製法において、透明樹脂層の形成を除外しバリア層上に直接ITO透明導電層を形成した以外はBCO1と同様にして、バリア性透明導電フィルムBCO6を作製した。
以上の様に作製したバリア性透明導電フィルムBCM1〜7及びBCO1〜6の各試料に対し、表面抵抗率[Ω/□]と表面粗さ:Ry[nm]、水蒸気透過率[g/(m・24h)]の測定を行った。
また、各試料に公知のフォトリソグラフィー法を用いて4.5mm□のタイル状(間隔0.5mm)にパターニング処理した後、再度水蒸気透過率[g/(m・24h)]を測定した。
更に、パターニング後の各試料を同一サイズに切り出し、乾燥窒素ガス雰囲気下で90℃−1時間及び12時間の脱水処理を施し、各処理時間後の含水量[g/m]を測定した。
得られた測定結果を表1に示す。バリア性は、パターニング前に対するパターニング後の水蒸気透過率に殆ど変化が見られなかった場合を○、パターニング後の水蒸気透過率が増加しバリア性に劣化が認められた場合を×で記した。脱水性は、1時間脱水処理後の含水量に対する12時間処理後の含水量の減少が、10−4g/m以下の場合を○、10−4〜10−3g/mの場合を△、10−2g/mより大きかった場合を×で示した。
BCM6とBCO6でバリア性に劣化が認められるのは、パターニング処理でレジスト現像液や除去液として使用したアルカリ水溶液にバリア層が侵されたためであり、一方、BCM1〜5、BCM7及びBCO1〜5では、透明樹脂層がバリア層の保護層として機能するため、パターニング処理に伴うバリア性の劣化が防止されたものと考えられる。
比較例のBCO1〜5を比較すると、透明樹脂層の膜厚が厚くなるに従い表面粗さは改善されており、透明樹脂層を厚くすることによりバリア層表面の粗さの影響を軽減できることが判る。それに反し、脱水性は透明樹脂層の膜厚が厚くなるほど劣化しており、従来技術のように透明樹脂層の両面がバリア層と金属酸化物からなる透明導電層でサンドウィッチされている場合には、作製後のバリア性透明導電フィルムを大気中に保管している間や、パターニング工程や洗浄工程等で透明樹脂層に浸透した水分を除去することが難しいことが判る。即ち、従来技術では、バリア性透明導電フィルムの薬品耐性と表面粗さ(平滑性)、及び脱水性を全て満足することはできない。
それに対して本発明例BCM1〜5とBCM7では、薬品耐性、表面粗さ、脱水性を全て両立できていることが判る。BCM1がBCM2〜5に比較して表面粗さがやや劣っているのは、透明樹脂層の厚さが透明導電層の表面粗さ:Ryに対してやや不足している影響と考えられる。尚、BCM1〜5とBCM7の脱水性評価結果の絶対値を比較したところ、透明樹脂層が薄くなるに従い脱水性は徐々に良化する傾向が認められたことから、本発明のバリア性透明導電フィルムの構成においても、脱水性の観点から透明樹脂層の厚さは、透明バリア層や離型性基材に形成した透明導電層の表面粗さを吸収できる範囲で薄い方が好ましいことが判った。
実施例2[銀微粒子を用いたバリア性透明導電フィルムの作製と性能評価]
(自己組織化銀微粒子層形成溶液の調製)
以下の処方で、自己組織化銀微粒子層形成溶液を調製した。(数字は質量%である。)
BYK−410(BYKケミー製) 0.11
SPAN−80(東京化成工業製) 0.11
ジクロロエタン 75.63
シクロヘキサノン 0.42
銀粉末(平均粒径70nm) 3.59
BYK−348(0.02%水溶液;BYKケミー製)19.98
ZonylFSH(デュポン製) 0.08
Butver B−76(Solutia製) 0.08
(離型性基材への透明導電層の形成)
離型性基材として、表面粗さがRy=10nmのクリアハードコート層(CHC)を離型面として有するPETフィルムを用いた。コロナ放電処理を施した離型性基材に、上記自己組織化銀微粒子層形成溶液を塗布し、25℃で1分間放置して銀微粒子を網目形状に自己組織化させてランダムな網目状に銀微粒子層を形成した後、150℃で1分間処理した。次に、25℃のアセトン(ナカライテスク(株)製 特級)に30秒間浸漬した後、フィルムを取り出し25℃で3分間乾燥させた。続いて、25℃の1N(1mol/L)の塩酸(ナカライテスク(株)製 N/10−塩酸)に1分間浸漬した後、フィルムを取り出し水洗処理を施した後150℃で1分間乾燥して、銀微粒子からなる金属細線が網目状にネットワークした構造を含む透明導電層を形成した。得られた透明導電層の表面抵抗率は20Ω/□、表面粗さ:Ryは1.7μmであった。
《バリア性透明導電フィルムSAM1の作製:発明例》
図1〜3に示した製造方法に従いバリア性透明導電フィルムを作製した。
実施例1に記載の透明バリア層を有する透明フィルム基材のバリア層上に、透明樹脂層として紫外線硬化型透明樹脂(JSR社製、NN803)を透明導電層の表面粗さを吸収できる膜厚(乾燥膜厚2.0μm相当)で塗布し、溶媒成分を気化させた後上記透明導電層を有する離型性基材の透明導電層側と貼合しロールプレスした。続いて、紫外線を照射して透明樹脂層を十分に硬化させた後、離型性基材を剥離することによって透明導電層を透明フィルム基材側に転写し、バリア性透明導電フィルムSAM1を作製した。
《バリア性透明導電フィルムSAM2の作製:発明例》
実施例1に記載の透明バリア層を有する透明フィルム基材のバリア層上に、透明樹脂層として紫外線硬化型透明樹脂(JSR社製、NN803)を塗布(乾燥膜厚1.0μm相当)し溶媒成分を気化させた後、紫外線を照射して透明樹脂層を十分に硬化させた。次いで、上記自己組織化銀微粒子層形成溶液を透明樹脂層上に塗布し、25℃で1分間放置して銀微粒子を網目形状に自己組織化させてランダムな網目状に銀微粒子層を形成した後、150℃で1分間処理した。次に、25℃のアセトン(ナカライテスク(株)製 特級)に30秒間浸漬した後、フィルムを取り出し25℃で3分間乾燥させた。続いて、25℃の1N(1mol/L)の塩酸(ナカライテスク(株)製 N/10−塩酸)に1分間浸漬した後、フィルムを取り出し水洗処理を施した後150℃で1分間乾燥して、銀微粒子からなる金属細線が網目状にネットワークした構造を含む透明導電層を形成し、バリア性透明導電フィルムSAM2を作製した。
以上の様に作製したバリア性透明導電フィルムSAM1及び2を実施例1と同様に評価した。得られた測定結果を表2に示す。
SAM1〜2は、実施例1のBCM1〜5同様にバリア性と脱水性に優れることが判った。但し、表面粗さは銀ナノワイヤのネットワーク構造を含む透明導電層の方が優れていた。また、銀ナノワイヤのネットワーク構造を含む透明導電層の方が、透明樹脂層の厚さを薄く設計できるため脱水性に優れる。
実施例3[有機EL素子の作製と性能評価]
(正孔注入材料の合成)
142.68g(16.03mmolのナフィオンモノマー単位SE−10072:Dupont社製)および173.45g脱イオン水を500mlフラスコへ注ぎ込んだ。0.0667g硫酸第二鉄水和物を脱イオン水で12.2775gの総質量へ溶解することによって硫酸第二鉄溶液を作製した。次に1.40gの硫酸第二鉄溶液および1.72g(7.224mmol)過硫酸ナトリウムをフラスコに加えて、良く撹拌した。フラスコ内容物を、500ml3首フラスコ中へ注ぎ込んだ。次に混合物を反応容器中で30分間撹拌した。0.63ml(5.911mmol)の3,4−エチレンジオキシチオフェンを反応混合物に撹拌しながら加えた。重合を約23℃で撹拌しながら進行させた。1時間7分後に、重合液体は非常に濃い青色に変わった。
この水性PEDOT/ナフィオン重合液体100gに陰イオン交換体(Bayre AG社製;Lewatit MP 62)5.0g、陽イオン交換体(Bayre AG社製;Lewatit S 100)5.0gを添加し、8時間攪拌した後イオン交換体をろ過によって取除いた。
乾燥固体の質量分析に基づいて固形分1.89質量%の10gのPEDOT/ナフィオン分散液を作製した。
図5に有機EL素子の分解斜視図で示す。図5(c)は陽極22が基材21上にタイル状に形成された斜視図である。この陽極22上に、正孔注入層23が図5(b)のように形成され、更にその正孔注入層23上に、正孔阻止層、電子輸送層、及び陰極24が図5(a)のように形成されている。
《バリア性透明導電フィルムBCG1の作製》
透明ガラス基材を用いて透明導電ガラスを作製した。
平滑なガラス基材の上に、ITOターゲットを用いてアルゴンスパッタ法により膜厚約100nmのITO透明導電層を形成し、透明導電ガラスBCG1を作製した。
実施例1で作製したバリア性透明導電フィルムBCM1〜6、BCO1〜6、及び上記透明導電ガラスBCG1を9.6×11.2cm□に切り出し、公知のフォトリソグラフィー法で図5(c)のようにタイル状(パターン間隔4mm)にパターニング処理を行い、25℃−30%RHの環境で48時間調湿した後、乾燥窒素ガス雰囲気下で90℃−1hの乾燥・脱水処理を施したものを陽極(アノード電極)として用いて、以下の手順で有機EL素子を作製した。
《有機EL素子ELM1の作製:発明例》
(正孔注入層の形成)
バリア性透明導電フィルムBCM1の透明導電層上に、前記正孔注入材料のPEDOT/ナフィオン分散液をスピンコーターで塗布した後、陽極(アノード電極)のパターン間及び周囲の部分を拭き取り、110℃、30分間乾燥して、厚さ30nmの図5(b)の様なパターン状の正孔注入層を形成した。
次いで、以下の手順で有機EL素子の各層を形成した。市販の真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製またはタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
なお、正孔輸送層と有機発光層を蒸着する際には、上記拭き取り後の正孔注入層と重なるように、蒸着マスクを使用して図5(b)の様にパターン状に蒸着を行った。
また、正孔阻止層及び電子輸送層、陰極の形成は、蒸着マスクを使用して図5(a)の様にパターン状に蒸着を行った。
(正孔輸送層の形成)
真空度1×10−4Paまで減圧した後、α−NPDの入った上記蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒でバリア性透明導電フィルムBCM1の正孔注入層上に蒸着し、30nmの正孔輸送層を設けた。
(有機発光層の形成)
Ir−1が13質量%、Ir−14が3.7質量%の濃度になるように、Ir−1、Ir−14及び化合物a−7を蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が622nm、厚さ10nmの緑赤色燐光発光層を形成した。
次いで、E−1が10質量%になるように、E−1及び化合物a−7を蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が471nm、厚さ15nmの青色燐光発光層を形成した。
(正孔阻止層及び電子輸送層、陰極の形成)
M−1を膜厚5nmに蒸着して正孔阻止層を形成した後、CsFを膜厚比で10%になるようにM−1と共蒸着し、厚さ45nmの電子輸送層を形成し、次いで、アルミニウム110nmを蒸着して陰極(カソード電極)を形成し、モノリシック型の有機EL素子を作製した。
(封止膜の形成)
作製した有機EL素子の上に、ポリエチレンテレフタレートを基材とし、Alを厚さ300nmで蒸着した可撓性封止部材を使用した。アノード電極及びカソード電極の外部取り出し端子が形成出来る様に端部を除きカソード電極の周囲に接着剤を塗り、可撓性封止部材を貼合し熱処理で接着剤を硬化させた後、アノード電極及びカソード電極の外部取り出し端子を形成した。
《有機EL素子ELM2〜6、ELO1〜6、ELG1の作製》
上記、有機EL素子ELM1作製法において、陽極(アノード電極)をBCM2〜6、BCO1〜6、BCG1に変更して、有機EL素子ELM2〜6、ELO1〜6、ELG1を作製した。
以上の様に作製した各有機EL素子に対し、以下の方法で整流比と発光性、及び素子寿命の評価を行った。
[整流比の測定]
作製した各有機EL素子に、+3V/−3Vの電圧を印加した時の電流値を測定し、下記の計算式により整流比を求め、下記基準で評価した。
整流比=+3V印加時の電流値/−3V印加時の電流値
○:整流比10以上
△:整流比10以上、10未満
×:整流比10未満
[素子寿命の評価]
作製した各有機EL素子について、初期の輝度が5000cd/mになるよう一定電圧で連続発光させ、輝度が半減するまでの時間を求め、ELG1の半減時間を100とし、下記基準で評価した。
○:半減時間90以上
△:半減時間50以上、90未満
×:半減時間50未満
[発光性の評価]
KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加し発光させた。1000cd/mで発光させた各有機EL素子について、50倍の顕微鏡で各々の発光均一性を観察した。
発光均一性の評価基準
○:EL素子全体が均一に発光している
△:EL素子の発光にややムラが認められる
×:EL素子としての発光が認められない
得られた測定結果を表3に示す。
ELM6とELO6で発光が確認できない原因は、透明導電層の表面粗さの影響により、専ら電極間で電流がリークしているためと考えられる。
比較例の有機EL素子ELO1〜5を比較すると、透明導電層の表面粗さが良化する(即ち透明導電層の膜厚が厚くなる)に従い整流比と発光性は改良されるが、逆に素子寿命は透明導電層の含水量の影響を受けて劣化してしまう。
一方、本発明の有機EL素子ELM1〜5では、整流比、発光性、素子寿命の何れにおいても、透明導電ガラスをアノード電極に用いたELG1と同様に良好な結果が得られており、本発明のバリア性透明導電フィルムを用いた本発明の有機EL素子では、素子性能の改良効果が明確に確認できる。
実施例4[有機太陽電池の作製と性能評価]
実施例1で作製したバリア性透明導電フィルムBCM1〜6、BCO1〜6、及び透明導電ガラスBCG1に対してフォトリソ法でパターニング処理を行ったものを陽極(アノード電極)として用いて、以下の手順で有機太陽電池を作製した。
《有機太陽電池PVM1の作製:発明例》
初めに、導電性高分子であるPEDOT/PSS(Baytron P4083、H.C.Starck社製)を膜厚が30nmになるように陽極上に塗布した後、110℃で30分間熱処理を施して正孔輸送層を製膜した。これ以降は、基板を窒素チャンバー中に持ち込み、乾燥窒素ガス雰囲気下で作製した。
次に、クロロベンゼンにP3HT(プレクトロニクス社製:レジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェン)とPCBM(フロンティアカーボン社製:6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル)を3.0質量%になるように1:0.8で混合した液を調製後フィルタで濾過した後、膜厚が100nmになるように塗布し室温で乾燥して光電変換層を製膜した。続いて、110℃で3時間脱水処理を行った。
次に、上記一連の機能層を製膜した基板を真空蒸着装置チャンバー内に移動し、1×10−4Pa以下まで真空蒸着装置内を減圧した後、蒸着速度0.01nm/秒でフッ化リチウムを0.6nm積層し、更に続けて、2mm幅のシャドウマスクを通して(受光部が2×2mmに成るように直行させて蒸着)、蒸着速度0.2nm/秒でAlメタルを100nm積層することで陰極(カソード電極)を形成した。得られた素子を窒素チャンバーに移動し、封止用キャップとUV硬化樹脂を用いて封止を行って、受光部が2×2mmサイズの有機太陽電池PVM1を作製した。
《有機太陽電池PVM2〜6、PVO1〜6、PVG1の作製》
上記、有機太陽電池PVM1の作製法において、陽極(アノード電極)をBCM2〜6、BCO1〜6、BCG1に変更して、有機太陽電池PVM2〜6、PVO1〜6、PVG1を作製した。
以上の様に作製した各有機太陽電池に対し、以下の方法でエネルギー変換効率と耐熱性の評価を行った。
[エネルギー変換効率の評価]
作製した各有機太陽電池に対して、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルタ)で強度100mW/cmの光を照射し、受光部に合わせて有効面積を4.0mmにしたマスクを受光部に重ね、I−V特性を評価することで、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、開放電圧Voc(V)及びフィルファクターFF(%)を測定し、下記式Iに従ってエネルギー変換効率PCE(%)を求め、PVG1のPCEを100とし下記基準で評価した。
○:PCE90以上
△:PCE50以上、90未満
×:PCE50未満
(式I)
PCE(%)=〔Jsc(mA/cm)×Voc(V)×FF(%)〕/100mW/cm
[耐熱性の評価]
作製した各有機太陽電池に、JIS C8938の温湿度サイクル試験A−2に対応する温湿度変化(−20℃〜85℃、相対湿度85%)を10サイクル実施し、その前後で上記の測定方法と同様にして短絡電流密度Jsc(mA/cm)を求め、下記式IIに従って保持率(%)を算出し、PVG1の保持率を100とし下記基準で評価した。
○:保持率90以上
△:保持率50以上、90未満
×:保持率50未満
(式II)
保持率(%)=(温湿度サイクル後のJsc)/(温湿度サイクル前のJsc)×100
得られた測定結果を表4に示す。
表4に示した評価結果から明らかなように、本発明の太陽電池PVM1〜5では、エネルギー変換効率と保持率共に、透明導電ガラスをアノード電極に用いたPVG1と同様に良好な結果が得られており、本発明のバリア性透明導電フィルムを用いた本発明の太陽電池では、素子性能の改良効果が明確に確認できる。
1 フィルムA
2 フィルムB
11 離型性基材
12 金属ナノワイヤ
13 透明導電層
14 透明バリア層
15 透明フィルム基材
16 透明樹脂層
21 基材
22 陽極
23 正孔注入層
24 陰極

Claims (5)

  1. 透明フィルム基材上に、少なくとも透明バリア層と透明導電層を積層したバリア性透明導電フィルムの製造方法であって、
    該透明バリア層と該透明導電層の間に少なくとも1層の、接着剤として機能する透明樹脂層を有し、
    樹脂基板又は樹脂フィルムからなる離型性基材の離型面上に、少なくとも金属細線のネットワーク構造を含む前記透明導電層を形成した後、該透明導電層を、前記透明樹脂を接着剤として、前記透明バリア層を有する前記明フィルム基材上に転写して製造することを特徴とするバリア性透明導電フィルムの製造方法。
  2. 前記透明導電層に含まれる前記金属細線のネットワーク構造が、少なくとも金属ナノワイヤを含むことを特徴とする請求項1に記載のバリア性透明導電フィルムの製造方法。
  3. 前記離型性基材の離型面の表面粗さ(Ry_d)が、1nm≦Ry_d≦50nmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバリア性透明導電フィルムの製造方法。
  4. 対向する電極の少なくとも一方が透明導電フィルムで構成された有機EL素子であって、
    該透明導電フィルムが請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のバリア性透明導電フィルムの製造方法で製造されたバリア性透明導電フィルムであり、
    前記透明導電層の表面粗さ(Ry_f)が、1nm≦Ry_f≦50nmであることを特徴とする有機EL素子。
  5. 対向する電極の少なくとも一方が透明導電フィルムで構成された有機太陽電池であって、
    該透明導電フィルムが請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のバリア性透明導電フィルムの製造方法で製造されたバリア性透明導電フィルムであり、
    前記透明導電層の表面粗さ(Ry_f)が、1nm≦Ry_f≦50nmであることを特徴とする有機太陽電池。
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