JP6024774B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Description

本発明は、有機エレクトロニクス素子用材料、有機エレクトロニクス素子、照明装置、表示装置及び有機薄膜太陽電池素子に関する。
近年、有機半導体をベースとした所謂、有機エレクトロニクス材料、更にはそれを用いた有機エレクトロニクス素子に対して大きな関心が寄せられている。
有機エレクトロニクス素子としては、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)、有機薄膜太陽電池、有機トランジスタ等が挙げられる。
一般に有機エレクトロニクス素子の特徴は、軽い、薄い、フレキシブルなことにあり、無機半導体で広く用いられてきた蒸着等のドライ(真空)プロセス以外にも、印刷や塗布成膜等のウエットプロセスへのマッチングが良いことから、大面積化、低価格化への期待が持たれている。その一方で無機半導体に比して、材料の安定性に課題があり、新しい材料の開発が待たれている。
例えば、近年注目されている有機EL素子とは、発光する化合物を含有する発光層を陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用して発光する素子である。
有機EL素子は、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、更に自己発光型であるために視野角に富み、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から大変興味を集めている。
実用化に向けた有機EL素子の開発としては、プリンストン大より、励起三重項からのリン光発光を用いる有機EL素子の報告がされ(例えば、非特許文献1参照)、以来、室温で燐光を示す材料の研究が活発になってきている(例えば、特許文献1、非特許文献2参照)。
更に、最近発見されたリン光発光を利用する有機EL素子では、以前の蛍光発光を利用する素子に比べ原理的に約4倍の発光効率が実現可能であることから、その材料開発を初めとし、発光素子の層構成や電極の研究開発が世界中で行われている。
例えば、多くの化合物がイリジウム錯体系等重金属錯体を中心に合成検討がなされている(例えば、非特許文献3参照)。
このように大変ポテンシャルの高い方式であるが、リン光発光を利用する有機ELデバイスにおいては、蛍光発光を利用する有機ELデバイスとは大きく異なり、発光中心の位置をコントロールする方法、とりわけ発光層の内部で再結合を行い、いかに発光を安定に行わせることができるかが、素子の効率・寿命を捕らえる上で重要な技術的な課題となっている。
そこで近年、機能の分離、とりわけ発光層に隣接する形で、(発光層の陽極側に位置する)正孔輸送層と(発光層の陰極側に位置する)電子輸送層を備えた多層積層型の素子が用いられるようになってきた(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、電荷注入・輸送性、及び定電流駆動時の電圧変化等の観点から、いまだ十分とは言えず、更なる改良が求められている。
一方、有機エレクトロニクス素子の別の一態様である有機薄膜太陽電池素子については、従来、有機半導体材料を用いた有機薄膜太陽電池素子は、実用化されているシリコンなどの無機太陽電池で問題になっている発電コスト及び廃棄に対する環境負荷を軽減するため、実用化に向け開発が進められている。
この有機薄膜太陽電池素子として、陽極と陰極との間に電子供与体層(p型半導体層)と電子受容体層(n型半導体層)とが混合されたバルクヘテロジャンクション層を挟んだバルクヘテロジャンクション型光電変換素子が提案されている。
これらのバルクヘテロジャンクション型太陽電池においては、陽極・陰極以外は塗布プロセスで形成されているため、高速かつ安価な製造が可能であると期待され、前述の発電コストの課題を解決できる可能性がある。
更に、上記の無機太陽電池などと異なり、160℃より高温のプロセスがないため、安価かつ軽量なプラスチック基板上への形成も可能であると期待される。
発電コストは、初期の製造コスト以外にも発電効率及び素子の耐久性も含めて算出されなければならないが、前記非特許文献1では、太陽光スペクトルを効率よく吸収するために、長波長まで吸収可能な有機高分子を用いることによって、5%を超える変換効率を達成するにいたっている。
尚、光電変換効率は、短絡電流(Jsc)×開放電圧(Voc)×曲線因子(FF)の積で算出されるが、上記のような高効率の有機薄膜太陽電池を含めて一般に有機薄膜太陽電池素子はVocが0.55程度と低いものに留まっており、これらを更に向上できれば一層の光電変換効率を得られるものと期待される。
Vocは一般的にはドナーのHOMO準位とアクセプタのLUMO準位の差で決まると言われているが、光電変換素子のビルトインポテンシャルや電荷の選択性と密接に関わっており、Voc向上のためには電荷輸送層を最適化させることが有効であることが知られている。
発電層と陰極の間にバトクプロイン(BCP)からなる正孔ブロック層を挿入することで電荷の分離効率が向上し、光電変換効率を向上できるとの開示があり(例えば、特許文献3参照)、他方、陽極側に、ドナー材料のHOMO順位の絶対値より大きな絶対値の仕事関数を有する金属酸化物層が設けられている電子ブロック層を挿入することでVocが向上し、光電変換効率が向上できるとの開示があるが(例えば、特許文献4参照)、これらの材料でも耐久性の観点からは充分なものとは言えなかった。
米国特許6,097,147号明細書 特開2005−112765号公報 特表2003−515933号公報 特開2008−91381号公報
M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151〜154ページ(1998年) M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750〜753頁(2000年) S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、素子特性の向上に有効な有機エレクトロニクス素子用材料を提供し、該材料を用いて、発光効率が高く、発光寿命が長く、且つ、駆動電圧が低い有機エレクトロニクス素子、表示装置、照明装置及び光電変換効率の高い有機薄膜太陽電池素子を提供することである。
本発明の上記目的は下記の構成1〜12により達成された。
具体的に本発明によれば、陽極と陰極の間に、構成層として有機化合物層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記構成層の少なくとも1層が構成1の一般式(1)で表される環状ケイ素化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
1.下記一般式(1)で表される環状ケイ素化合物であることを特徴とする有機エレクトロニクス素子用材料。
Figure 0006024774
〔式中、X1、X2は、各々アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、R〜Rは、各々水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基またはアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。〕
2.前記X1、前記X2が、各々下記Ar−11またはAr−17で表される2価の基であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロニクス素子用材料。
Figure 0006024774
3.前記一般式(1)で表される環状ケイ素化合物が下記のCSi−7であることを特徴とする前記1または2に記載の有機エレクトロニクス素子用材料。
Figure 0006024774
4.陽極と陰極の間に、構成層として有機化合物層を有する有機エレクトロニクス素子において、
該有機化合物層の少なくとも1層が前記1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス素子用材料を含有することを特徴とする有機エレクトロニクス素子。
5.前記構成層の少なくとも1層が、蛍光あるいはリン光発光性化合物を含有する発光層であることを特徴とする前記4に記載の有機エレクトロニクス素子。
6.前記有機化合物層の少なくとも1層は正孔輸送層であり、且つ、該正孔輸送層が、前記有機エレクトロニクス素子用材料を含有することを特徴とする前記4または5に記載の有機エレクトロニクス素子。
7.前記有機化合物層の少なくとも1層は電子輸送層であり、且つ、該電子輸送層が、前記有機エレクトロニクス素子用材料を含有することを特徴とする前記4〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス素子。
8.少なくとも1層の正孔輸送層及び少なくとも1層の電子輸送層が、前記有機エレクトロニクス素子用材料を含有することを特徴とする前記4〜7のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス素子。
9.白色に発光することを特徴とする前記4〜8のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス素子。
10.前記4〜9のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
11.前記4〜9のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
12.前記1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス素子用材料を含有することを特徴とする有機薄膜太陽電池素子。
本発明により、素子特性の向上に有効な有機エレクトロニクス素子用材料を提供し、該材料を用いて、発光効率が高く、発光寿命が長く、かつ駆動電圧が低い有機エレクトロニクス素子、表示装置、照明装置及び光電変換効率の高い有機薄膜太陽電池素子を提供することができた。
有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。 表示部Aの模式図である。 画素の模式図である。 パッシブマトリクス方式フルカラー表示装置の模式図である。 照明装置の概略図である。 照明装置の模式図である。 バルクヘテロジャンクション型の有機薄膜太陽電池素子からなる有機薄膜太陽電池を示す断面図である。 タンデム型のバルクヘテロジャンクション層を備える有機薄膜太陽電池素子からなる有機薄膜太陽電池を示す断面図である。
本発明の有機エレクトロニクス素子用材料においては、上記構成1〜3のいずれか1つに記載の構成を有することにより、素子特性の向上に有効な有機エレクトロニクス素子用材料を提供し、該材料を用いて、発光効率が高く、発光寿命が長く、かつ駆動電圧が低い有機エレクトロニクス素子、表示装置、照明装置及び光電変換効率の高い有機薄膜太陽電池素子を提供することができた。
以下、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の各構成要素の詳細について、順次説明する。
本発明者等は、上記の解決すべき課題を種々検討した結果、請求項1に記載の一般式(1)で表される環状ケイ素化合物を有機エレクトロニクス素子用材料として含有することにより、素子特性の高い有機エレクトロニクス素子を得ることができた。
例えば、本発明の有機エレクトロニクス素子の一例である有機EL素子では、従来よりも、外部取り出し量子効率、駆動電圧、発光寿命の全ての特性が向上した。
また、本発明の有機エレクトロニクス素子の別の一例である有機薄膜太陽電池素子では、光電変換効率、耐久性等の特性が向上した。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の有機エレクトロニクス素子用材料である、一般式(1)で表される環状ケイ素化合物について説明する。
《一般式(1)で表される環状ケイ素化合物》
一般式(1)において、X1、X2で各々表されるアリーレン基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ペンタセンジイル基、ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル基、3,3’−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等が挙げられる。
中でも、特に好ましいのは、下記のAr−11で表される基(アントラセンジイル基)である。
また、前記アリーレン基は、更に、後述する置換基を有してもよい。
一般式(1)において、X1、X2で各々表されるヘテロアリーレン基としては、例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環、オキサジアゾール環、ジベンゾフラン環、アクリジン環、フェナジン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される2価の基等が挙げられる。
中でも、特に好ましいのは、下記のAr−17で表される基(アクリジン環から導出される2価の基:アクリジンジイル基)である。
また、前記ヘテロアリーレン基は、更に、後述する置換基を有してもよい。
以下、一般式(1)において、X1、X2で各々表されるアリーレン基またはヘテロアリーレン基の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0006024774
一般式(1)において、R〜Rで各々表されるアミノ基としては、例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等が挙げられる。
一般式(1)において、R〜Rで各々表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等が挙げられる。
これらの基は更に後述する置換基を有していてもよい。
一般式(1)において、R〜Rで各々表されるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
これらの基は更に後述する置換基を有していてもよい。
一般式(1)において、R〜Rで各々表される芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
これらの基は更に後述する置換基を有していてもよい。
一般式(1)において、R〜Rで各々表される芳香族複素環基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。
これらの基は更に後述する置換基を有していてもよい。
一般式(1)において、X1、X2、R〜Rで各々表される基が更に有しても良い置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、イソプロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭化水素環基、芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
以下、本発明の有機エレクトロニクス素子用材料である一般式(1)で表される環状ケイ素化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0006024774
Figure 0006024774
Figure 0006024774
Figure 0006024774
Figure 0006024774
上記一般式(1)で表される環状ケイ素化合物は、本発明の有機エレクトロニクス素子の有機エレクトロニクス素子用材料として含有される。
ここで、本発明の有機エレクトロニクス素子は、有機物を用いて電気的な動作を行う素子であり、省エネルギー、低価格、柔軟性といった特長を発揮できると期待され、従来のシリコンを主体とした無機半導体に替わる技術として注目されている。
有機エレクトロニクス素子の中でも、例えば、有機EL素子は、例えば、白熱ランプ、ガス充填ランプの代替えとして、大面積ソリッドステート光源用途として注目されている。
また、本発明の有機EL素子は、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野における液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わる最有力の自発光ディスプレイとしても注目されており、製品化が進んでいる。
本発明の有機エレクトにクス素子用材料を含有する有機エレクトロニクス素子としては、有機薄膜太陽電池素子の構成材料としても用いられ、光電変換効率が高く、且つ、耐久性の高い素子としての活用が期待されている。
また、本発明の有機エレクトロニクス素子は、陽極と陰極との間に有機化合物層を有するが、該有機化合物層とは、後述する有機EL素子の構成層である陽極バッファー層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、正孔阻止層、陰極バッファー層等を挙げることができる。
また、本発明の有機エレクトロニクス素子の一態様であり、後述する有機薄膜太陽電池の層構成に記載の正孔輸送層、p型半導体層、発電層、n型半導体層、電子輸送層、第2発電層等が本発明の有機エレクトロニクス素子を構成する有機化合物層の一例として挙げることができる。
尚、本発明の有機エレクトロニクス素子の有機化合物層としては、陽極、陰極についても、構成材料として有機化合物が用いられる場合には、有機化合物層としてあげることができる。
本発明の有機エレクトロニクス素子用材料は、本発明の有機エレクトロニクス素子の一態様であり、以下に示す有機EL素子の構成層のいずれに含有させることができるが、本発明の記載、即ち、発光効率が高く、発光寿命が長く、かつ駆動電圧が低い有機エレクトロニクス素子を得る観点から、正孔輸送層または電子輸送層に含有させることが好ましい。
《有機EL素子の構成層》
本発明の有機EL素子の構成層について説明する。本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(vi)陽極//正孔輸送層/陽極バッファー層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(vii)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
発光層は、ユニットを形成して発光層ユニットにすることもある。更に、発光層間には非発光性の中間層を有していてもよく、中間層は電荷発生層を含んでいてもよい。
本発明の有機EL素子としては白色発光層であることが好ましく、これらを用いた照明装置であることが好ましい。
本発明の有機EL素子を構成する各層について説明する。
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層ないであっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の膜厚は、特に制限はないが、形成する膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、且つ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜200nmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは5nm〜100nmの範囲に調整される。
本発明の有機EL素子の発光層には、ホスト化合物(発光ホストともいう)とゲスト材料としての発光ドーパントの少なくとも1種を含有することが好ましく、ホスト化合物と3種以上の発光ドーパントを含有することが更に好ましい。以下に発光層に含まれるホスト化合物と発光ドーパント(発光ドーパント化合物ともいう)について説明する。
(ホスト化合物と発光ドーパント)
(ホスト化合物)
本発明に係るホスト化合物について説明する。
ここで、本発明においてホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内でその層中での質量比が20%以上であり、且つ、室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。
好ましくは、リン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。
また、後述する発光ドーパントを複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
また、本発明に用いられる発光ホストとしては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよい。
本発明に係るホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ発光の長波長化を防ぎ、且つ、高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
以下、本発明の有機EL素子の発光層のホスト化合物として用いられる従来公知の化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0006024774
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(発光ドーパント)
本発明に係る発光ドーパントについて説明する。
発光ドーパントとしては、蛍光発光性ドーパント(蛍光性化合物ともいう)、リン光発光性ドーパント(リン光発光体、リン光性化合物、リン光ドーパント等ともいう)を用いることができる。
(蛍光発光性ドーパント)
蛍光ドーパントとしては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体等や、レーザー色素に代表される蛍光量子収率が高い化合物が挙げられる。
(リン光発光性化合物(リン光発光性ドーパント))
本発明に係るリン光発光性化合物について説明する。
本発明に係るリン光発光性化合物は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光発光性ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光発光性ドーパントの発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光ドーパントに移動させることでリン光発光性ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光発光性ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光発光性ドーパント上でキャリアの再結合が起こりリン光発光性ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光発光性ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
リン光発光性化合物(リン光発光性ドーパント)は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
本発明に係るリン光発光性化合物(リン光発光性ドーパント)としては、好ましくは元素の周期表で8族〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも、最も好ましいのはイリジウム化合物である。
以下、本発明において、好ましく用いることの出来るリン光発光性化合物(リン光発光性ドーパント)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0006024774
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《電荷輸送層:電子輸送層、正孔輸送層》
本発明に係る電荷輸送層としては、電子輸送層、正孔輸送層等が挙げられる。
以下、本発明に係る電子輸送層、正孔輸送層について詳細に説明する。
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
電子輸送層に用いられる従来公知の材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、カルボリン誘導体、を含むアザカルバゾール誘導体等が挙げられる。
従来、電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。
電子輸送材料としては、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、アザカルバゾール誘導体等が挙げられる。
上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。
更に、これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。
また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5nm〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をゲスト材料としてドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
以下、本発明の有機EL素子の電子輸送層の形成に用いられる従来公知の化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0006024774
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本発明に係る前記一般式(1)で表される化合物は、本発明に係る電子輸送材料として好ましく用いることができ、更に、前記公知の電子輸送材料と併用しても良い。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。
例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることからこれらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
正孔輸送層の膜厚については、5nm〜5μmの範囲であることが好ましく、更に好ましくは、5nm〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
以下、本発明の有機EL素子の正孔輸送層の形成に用いられる従来公知の化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0006024774
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Figure 0006024774
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本発明に係る前記一般式(1)で表される化合物は、本発明に係る正孔輸送材料として好ましく用いられ、前記公知の正孔輸送材料と併用しても良い。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、前述の電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係わる正孔阻止層として用いることができる。
本発明に係る有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
正孔阻止層には、前述のホスト化合物として挙げたカルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、ピリジン誘導体等を含有することが好ましい。
また、本発明においては、複数の発光色の異なる複数の発光層を有する場合、その発光極大波長が最も短波にある発光層が、全発光層中、最も陽極に近いことが好ましいが、このような場合、該最短波層と該層の次に陽極に近い発光層との間に正孔阻止層を追加して設けることが好ましい。
更には、該位置に設けられる正孔阻止層に含有される化合物の50質量%以上が、前記最短波発光層のホスト化合物に対しそのイオン化ポテンシャルが0.3eV以上大きいことが好ましい。
イオン化ポテンシャルは化合物のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義され、例えば下記に示すような方法により求めることができる。
(1)米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)の小数点第2位を四捨五入した値としてイオン化ポテンシャルを求めることができる。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いためである。
(2)イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接測定する方法により求めることもできる。例えば、理研計器社製の低エネルギー電子分光装置「Model AC−1」を用いて、あるいは紫外光電子分光として知られている方法を好適に用いることができる。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては、好ましくは3nm〜100nmの範囲であり、更に好ましくは5nm〜30nmの範囲である。
《電荷注入層:電子注入層、正孔注入層》
本発明に係る電荷注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的には、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
また、陽極バッファー層及び陰極バッファー層に用いられる材料は、他の材料と併用して用いることも可能であり、例えば正孔輸送層や電子輸送層中に混合して用いることも可能である。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。
この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。
更に、膜厚は材料にもよるが、10nm〜1000nmの範囲が好ましく、更に好ましくは10nm〜200nmの範囲である。
《陰極》
陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
本発明では、これらの電極物質(導電性材料ともいう)を導電性ペーストとして用いて湿式法により薄膜を形成させ陰極を作製する。
陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は、10nm〜5μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、50nm〜200nmの範囲で選ばれる。
尚、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1nm〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《基板》
本発明に係る有機EL素子に用いることのできる基板(以下、基体、基材、支持基板、支持体等とも言う)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。
基板側から光を取り出す場合には、基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
特に好ましい基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、10−3ml/(m・24h・MPa)以下、水蒸気透過度が、10−5g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。
更に、該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシ法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。本発明に係る有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。
ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
《封止》
本発明の有機EL素子の封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。
また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。
金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、有機EL素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。
更には、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/(m・24h・MPa)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、10−5g/(m・24h)以下のものが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱及び接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリ及びル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
尚、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。
更に、該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシ法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好ましい。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み基板及びする側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。
特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。
これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
《有機EL素子の製造方法》
有機EL素子の製造方法の一例として、陽極/正孔輸送層(正孔注入層)/発光層/電子輸送層(正孔阻止層)/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極からなる素子の製造方法について説明する。
まず、適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10nm〜200nmの範囲の膜厚になるように形成させ、陽極を作製する。
次に、この上に素子材料である正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極バッファー層等の有機化合物を含有する薄膜を形成させる。
薄膜の形成方法としては乾式法と湿式法に大別されるが、乾式法としては、真空蒸着法、スパッタリング法等が挙げられ、湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法等があるが、精密な薄膜が形成可能で、且つ高生産性の点から、真空蒸着法、及びダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法などのロール・ツー・ロール方式適性の高い方法が好ましい。また、層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50nm〜200nmの範囲の膜厚になるように形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
また、順序を逆にして、陰極、陰極バッファー層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。尚、印加する交流の波形は任意でよい。
本発明の有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
《光取り出し》
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。
これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)、有機EL素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明においては、これらの方法を本発明に係る有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法が好適である。
本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた有機EL素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層の屈折率は、1.5以下が好ましく、更に好ましくは1.35以下である。
また、低屈折率媒質の厚みは媒質中の波長の2倍以上が好ましい。これは低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。
この方法は回折格子が1次の回折や2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては、いずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2倍〜3倍程度が好ましい。
回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、二次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
《集光シート》
本発明に係る有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工する、または、所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。
また、回折の効果の発生による色付きを防止し、適切な厚みに調整する観点から、一辺は10μm〜100μmの範囲が好ましい。
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。
プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
《用途》
本発明の有機エレクトロニクス素子の一例である有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機エレクトロニクス素子の一例である有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明の有機エレクトロニクス素子の一例である有機EL素子の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
また、本発明の有機エレクトロニクス素子の一例である有機EL素子が白色素子の場合には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度が、X=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることを言う。
《表示装置》
本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は、本発明の有機EL素子を具備したものである。
本発明の表示装置は単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。多色表示装置の場合は発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法である。
表示装置に具備される有機EL素子の構成は、必要に応じて上記の有機EL素子の構成例の中から選択される。
また、有機EL素子の製造方法は、上記の本発明の有機EL素子の製造の一態様に示したとおりである。
得られた多色表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。更に交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。尚、印加する交流の波形は任意でよい。
多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることによりフルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス、ディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
以下、本発明の有機EL素子を有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
図1は有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
ディスプレイ1は複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。
制御部Bは表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
図2は表示部Aの模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材及びを以下に行う。
図においては、画素3の発光した光が白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交及び置で画素3に接続している(詳細は図示していない)。
画素3は走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。
発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
次に、画素の発光プロセスを説明する。
図3は画素の模式図である。
画素は有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサ13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
図3において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサ13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
画像データ信号の伝達により、コンデンサ13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサ13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
即ち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
ここで、有機EL素子10の発光は複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。
また、コンデンサ13の電位の保持は次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
図4はパッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図4において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。
パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子が無く、製造コストの低減が計れる。
《照明装置》
本発明の照明装置について説明する。本発明の照明装置は上記有機EL素子を有する。
本発明の有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよく、このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
また、本発明の有機EL素子は照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。または、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
また、本発明の有機EL材料は照明装置として、実質白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得る。
複数の発光色の組み合わせとしては、青色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光または蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光またはリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、本発明に係る白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせ混合するだけでよい。
発光層、正孔輸送層あるいは電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分ける等単純に配置するだけでよく、他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば電極膜を形成でき、生産性も向上する。
この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
発光層に用いる発光材料としては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る金属錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
《本発明の照明装置の一態様》
本発明の有機EL素子を具備した、本発明の照明装置の一態様について説明する。
本発明の有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを陰極上に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止し、図5、図6に示すような照明装置を形成することができる。
図5は、照明装置の概略図を示し、本発明の有機EL素子101はガラスカバー102で覆われている(なお、ガラスカバーでの封止作業は、有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。)。
図6は、照明装置の断面図を示し、図6において、105は陰極、106は有機EL層、107は透明電極付きガラス基板を示す。
なお、ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
次いで、本発明の有機薄膜太陽電池素子の構成層について説明する。
《有機薄膜太陽電池素子の構成》
本発明に係る有機薄膜太陽電池素子の好ましい態様を説明するが、本発明はこれらに限定されない。有機薄膜太陽電池素子としては特に制限がなく、陽極と陰極と、両者に挟まれた発電層(p型半導体とn型半導体が混合された層、バルクヘテロジャンクション層、i層ともいう。)が少なくとも1層以上あり、光を照射すると電流を発生する素子であればよい。
有機薄膜太陽電池素子の層構成の好ましい具体例を以下に示す。
(i)陽極/発電層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発電層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発電層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/p型半導体層/発電層/n型半導体層/電子輸送層/陰極
(v)陽極/正孔輸送層/第1発電層/電子輸送層/中間電極/正孔輸送層/第2発電層/電子輸送層/陰極
ここで、発電層(光電変換層ともいう)は、正孔を輸送できるp型半導体材料と電子を輸送できるn型半導体材料を含有していることが必要であり、これらは実質2層でヘテロジャンクションを形成していても良いし、1層の内部で混合された状態となっているバルクヘテロジャンクションを形成しても良いが、バルクヘテロジャンクション構成は、光電変換効率が高いため、好ましく用いられる。発電層に用いられるp型半導体材料、n型半導体材料については後述する。
上記の本発明の有機EL素子の発光層と同様に、発電層を正孔輸送層、電子輸送層で挟み込むことで、正孔及び電子の陽極・陰極への取り出し効率を高めることができるため、それらを有する構成((ii)、(iii))の方が好ましい。
また、発電層自体も正孔と電子の整流性(キャリア取り出しの選択性)を高めるため、(iv)のようにp型半導体材料とn型半導体材料単体からなる層で発電層を挟み込むような構成(p−i−n構成ともいう)であっても良い。
また、太陽光の利用効率を高めるため、異なる波長の太陽光をそれぞれの発電層で吸収するような、タンデム構成((v)の構成)であっても良い。
太陽光利用率(光電変換効率)の向上を目的として、図7に示す有機薄膜太陽電池素子310におけるサンドイッチ構造に替わって、一対の櫛歯状電極上にそれぞれ正孔輸送層314、電子輸送層316を形成し、その上に光電変換部315を配置するといった、バックコンタクト型の有機薄膜太陽電池素子を用いることもできる。
更に、詳細な本発明の有機薄膜太陽電池素子の好ましい態様を下記に説明する。
図7は、バルクヘテロジャンクション型の有機薄膜太陽電池素子からなる有機薄膜太陽電池の一例を示す断面図である。図7において、バルクヘテロジャンクション型の有機薄膜太陽電池素子310は、基板311の一方面上に、陽極312、正孔輸送層317、バルクヘテロジャンクション層の発電層314、電子輸送層318及び陰極313が順次積層されている。
基板311は、順次積層された陽極312、発電層314及び陰極313を保持する部材である。本実施形態では、基板及び側から光電変換される光が入射するので、基板311は、この光電変換される光を透過させることが可能な、すなわち、この光電変換すべき光の波長に対して透明な部材である。
基板311は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が用いられる。この基板311は、必須ではなく、例えば、発電層314の両面に陽極312及び陰極313を形成することでバルクヘ及びャンクション型の有機薄膜太陽電池素子310が構成されてもよい。
発電層314は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、p型半導体材料とn型半導体材料とを一様に混合したバルクヘテロジャンクション層を有して構成される。p型半導体材料は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプタ)として機能する。
図7において、基板311を介して陽極312から入射された光は、発電層314のバルクヘテロジャンクション層における電子受容体あるいは電子供与体で吸収され、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。
発生した電荷は、内部電界、例えば、陽極312と陰極313の仕事関数が異なる場合では陽極312と陰極313との電位差によって、電子は、電子受容体間を通り、また正孔は、電子供与体間を通り、それぞれ異なる電極へ運ばれ、光電流が検出される。
例えば、陽極312の仕事関数が陰極313の仕事関数よりも大きい場合では、電子は、陽極312へ、正孔は、陰極313へ輸送される。
尚、仕事関数の大小が逆転すれば電子と正孔は、これとは逆方向に輸送される。また、陽極312と陰極313との間に電位をかけることにより、電子と正孔の輸送方向を制御することもできる。
尚、図7には記載していないが、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子注入層、正孔注入層、あるいは平滑化層等の他の層を有していてもよい。
更に、太陽光利用率(光電変換効率)の向上を目的として、このような光電変換素子を積層した、タンデム型の構成としてもよい。
図8は、タンデム型のバルクヘテロジャンクション層を備える有機薄膜太陽電池素子310からなる有機薄膜太陽電池を示す断面図である。タンデム型構成の場合、基板311上に、順次透明電極312、第1の発電層314′を積層した後、電荷再結合層315を積層した後、第2の発電層316、次いで対電極313を積層することで、タンデム型の構成とすることができる。
第2の発電層316は、第1の発電層314′の吸収スペクトルと同じスペクトルを吸収する層でもよいし、異なるスペクトルを吸収する層でもよいが、好ましくは異なるスペクトルを吸収する層である。
以下、本発明の有機薄膜太陽電池素子の構成層及び構成材料について説明する。
《電子輸送層(正孔ブロック層)》
本発明に係る一般式(1)で表される環状ケイ素化合物である有機エレクトロニクス素子用材料は、電子輸送層(正孔ブロック層)に好適に用いられる。これにより、光電変換効率が高く、耐久性の優れた有機薄膜太陽電池素子が達成できた。
また本発明においては、高純度の精製が可能な点と、高い移動度の薄膜が得られるといった観点から、電子輸送層(正孔ブロック層)材料は低分子化合物であることが好ましい。なお、本発明において低分子化合物とは、化合物の分子量に分布のない、単一分子であることを意味する。
他方、高分子化合物とは、所定のモノマーを反応させることによって一定の分子量分布を有する化合物の集合体であることを意味する。しかし、実用上分子量によって定義をする際には、好ましくは分子量が3000以下の化合物を低分子化合物と区分する。
より好ましくは2500以下、さらに好ましくは2000以下である。他方、分子量が2000以上、より好ましくは3000以上、さらに好ましくは5000以上の化合物を高分子化合物と区分する。
尚、分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよい。
《発電層(光電変換層ともいう)》
本発明の実施において、上述の発電層314は光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、少なくともp型半導体材料とn型半導体材料とを混合した、所謂バルクヘテロジャンクション構造である。
p型半導体材料は相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプター)として機能する。ここで、電子供与体及び電子受容体は、“光を吸収した際に、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)を形成する電子供与体及び電子受容体”であり、電極のように単に電子を供与あるいは受容するものではなく、光反応によって、電子を供与あるいは受容するものである。
電子受容体と電子供与体とが混合されたバルクヘテロジャンクション層の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができるが、本発明においては特に塗布法によって形成されることが特徴である。塗布法で形成する場合、バルクヘテロジャンクション構造を形成して光電変換効率を向上させるために、塗布後の工程において所定の温度でアニール処理され、微視的に一部結晶化させることが好ましい。
図7において、基板311を介して陽極312から入射された光は、発電層314のバルクヘテロジャンクション層における電子受容体あるいは電子供与体で吸収され、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。
発生した電荷は、内部電界、例えば、陽極312と陰極313の仕事関数が異なる場合では、陽極312と陰極313との電位差によって、電子は、電子受容体間を通り、また正孔は電子供与体間を通り、それぞれ異なる電極へ運ばれ、光起電流が検出される。
例えば、陽極312の仕事関数が陰極313の仕事関数よりも大きい場合では、電子は陽極312へ、正孔は陰極313へ輸送される。
尚、仕事関数の大小が逆転すれば、電子と正孔はこれとは逆方向に輸送され易くなる。また、陽極312と陰極313との間に電位をかけることにより、電子と正孔の輸送方向を制御することもできる。
(n型半導体材料)
n型半導体材料の例としては、フラーレン、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む、高分子化合物が挙げられる。
(p型半導体材料)
p型半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物が挙げられる。
縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
共役系化合物としては、例えば、ポリチオフェン及びそのオリゴマー、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、テトラチアフルバレン化合物、キノン化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、フラーレン及びこれらの誘導体あるいは混合物を挙げることができる。
また、特にポリチオフェン及びそのオリゴマーの内、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーを好適に用いることができる。
その他、高分子p型半導体の例としては、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリパラフェニレンスルフィド、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリカルバゾール、ポリイソチアナフテン、ポリヘプタジイン、ポリキノリン、ポリアニリンなどが挙げられ、更には特開2006−36755号公報などの置換−無置換交互共重合ポリチオフェン、特開2007−51289号公報、特開2005−76030号公報、J.Amer.Chem.Soc.,2007,p4112、J.Amer.Chem.Soc.,2007,p7246などの縮環チオフェン構造を有するポリマー、WO2008/000664、Adv.Mater.,2007,p4160、Macromolecules,2007,Vol.40,p1981などのチオフェン共重合体などを挙げることができる。
更に、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、等の有機分子錯体、C60、C70、C76、C78、C84等のフラーレン類、SWNT等のカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類等の色素等、更にポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマーや特開2000−260999号公報に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
(バルクヘテロジャンクション層の形成方法)
電子受容体と電子供与体とが混合されたバルクヘテロジャンクション層の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。このうち、前述の正孔と電子が電荷分離する界面の面積を増大させ、高い光電変換効率を有する素子を作製するためには、塗布法が好ましい。また塗布法は、製造速度にも優れている。
塗布後は残留溶媒及び水分、ガスの除去、及び半導体材料の結晶化による移動度向上・吸収長波化を引き起こすために加熱を行うことが好ましい。製造工程中において所定の温度でアニール処理されると、微視的に一部が凝集または結晶化が促進され、バルクヘテロジャンクション層を適切な相分離構造とすることができる。その結果、バルクヘテロジャンクション層のキャリア移動度が向上し、高い効率を得ることができるようになる。
発電層(バルクヘテロジャンクション層)314は、電子受容体と電子供与体とが均一に混在された単一層で構成してもよいが、電子受容体と電子供与体との混合比を変えた複数層で構成してもよい。この場合、前述したような塗布後に不溶化できるような材料を用いることで形成することが可能となる。
《正孔輸送層(電子ブロック層ともいう)》
本発明の有機薄膜太陽電池素子310は、バルクヘテロジャンクション層と陽極との中間には正孔輸送層317を、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
本発明の一般式(1)で表される環状ケイ素化合物である有機エレクトロニクス素子用材料は、正孔輸送層(電子ブロック層)に好適に用いられる。これにより、光電変換効率が高く、耐久性の優れた有機薄膜太陽電池素子が達成できた。
本発明の一般式(1)で表される有機エレクトロニクス素子用材料以外でこれらの層を構成する材料としては、例えば、正孔輸送層317としては、スタルクヴイテック社製、商品名BaytronP等のPEDOT、ポリアニリン及びそのドープ材料、国際公開第2006/019270号等に記載のシアン化合物、などを用いることができる。
尚、バルクヘテロジャンクション層に用いられるn型半導体材料のLUMO準位よりも浅いLUMO準位を有する正孔輸送層には、バルクヘテロジャンクション層で生成した電子を陽極側には流さないような整流効果を有する、電子ブロック機能が付与される。
このような正孔輸送層は、電子ブロック層とも呼ばれ、このような機能を有する正孔輸送層を使用することが好ましい。
このような材料としては、特開平5−271166号公報等に記載のトリアリールアミン系化合物、また酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化タングステン等の金属酸化物等を用いることができる。
また、バルクヘテロジャンクション層に用いたp型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。
これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。バルクヘテロジャンクション層を形成する前に、下層に塗布膜を形成すると塗布面をレベリングする効果があり、リーク等の影響が低減するため好ましい。
(その他の層)
エネルギー変換効率の向上や、素子寿命の向上を目的に、各種中間層を素子内に有する構成としてもよい。中間層の例としては、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層などを挙げることができる。
(電極)
本発明の有機薄膜太陽電池素子においては、少なくとも陽極と陰極とを有する。また、タンデム構成をとる場合には中間電極を用いることでタンデム構成を達成することができる。
尚、本発明においては主に正孔が流れる電極を陽極と呼び、主に電子が流れる電極を陰極と呼ぶ。
また、透光性があるかどうかといった機能から、透光性のある電極を透明電極と呼び、透光性のない電極を対電極と呼び分ける場合がある。通常、陽極は透光性のある透明電極であり、陰極は透光性のない対電極が用いられる場合が多いが、本発明においては、陰極が透光性のある電極であってもかまわない。
(陽極)
本発明に係る陽極は、好ましくは380nm〜800nmの光を透過する電極である。材料としては、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の透明導電性金属酸化物、金、銀、白金等の金属薄膜、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ用いることができる。
また、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン及びポリナフタレンの各誘導体からなる群より選ばれる導電性高分子等も用いることができる。また、これらの導電性化合物を複数組み合わせて陽極とすることもできる。
(陰極)
陰極は導電材単独層であっても良いが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用しても良い。陰極の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子の取り出し性能及び酸化等に対する耐久性の点から、これら金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。
陰極の導電材として金属材料を用いれば陰極側に来た光は反射されて陽極側に反射され、この光が再利用可能となり、光電変換層で再度吸収され、より光電変換効率が向上し好ましい。
また、陰極313は、金属(例えば金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素からなるナノ粒子、ナノワイヤー、ナノ構造体であってもよく、ナノワイヤーの分散物であれば、透明で導電性の高い陰極を塗布法により形成でき好ましい。
また、陰極側を光透過性とする場合は、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、銀及び銀化合物等の陰極に適した導電性材料を薄く1nm〜20nm程度の膜厚で作製した後、上記陽極の説明で挙げた導電性光透過性材料の膜を設けることで、光透過性陰極とすることができる。
(中間電極)
また、前記図2のようなタンデム構成の場合に必要となる中間電極の材料としては、透明性と導電性を併せ持つ化合物を用いた層であることが好ましく、前記陽極で用いたような材料(ITO、AZO、FTO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au等の非常に薄い金属層またはナノ粒子・ナノワイヤーを含有する層、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子材料等)を用いることができる。
なお前述した正孔輸送層と電子輸送層の中には、適切に組み合わせて積層することで中間電極(電荷再結合層)として働く組み合わせもあり、このような構成とすると1層形成する工程を省くことができ好ましい。
(基板(支持体、支持基盤、基体、基盤等ともいう))
基板側から光電変換される光が入射する場合、基板はこの光電変換される光を透過させることが可能な、即ちこの光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。基板は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが望ましい。
本発明で透明基板として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限がなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380nm〜800nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。
中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。
例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。
また、酸素及び水蒸気の透過を抑制する目的で、透明基板にはバリアコート層が予め形成されていてもよいし、透明導電層を転写する反対側にはハードコート層が予め形成されていてもよい。
(光学機能層)
本発明の有機薄膜太陽電池素子は、太陽光のより効率的な受光を目的として、各種の光学機能層を有していて良い。
光学機能層としては、例えば、反射防止膜、マイクロレンズアレイ等の集光層、陰極で反射した光を散乱させて再度発電層に入射させることができるような光拡散層などを設けても良い。
反射防止層としては、各種公知の反射防止層を設けることができるが、例えば、透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。
屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
集光層としては、例えば、支持基板の太陽光受光側にマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより特定方向からの受光量を高めたり、逆に太陽光の入射角度依存性を低減することができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。
一辺としては、回折の効果による色付きを抑制または防止し、且つ、適切な厚みに調整する観点から、10μm〜100μmの範囲が好ましい。
また、光散乱層としては、各種のアンチグレア層、金属または各種無機酸化物などのナノ粒子・ナノワイヤー等を無色透明なポリマーに分散した層などを挙げることができる。
(製膜方法・表面処理方法)
(各種の層の形成方法)
電子受容体と電子供与体とが混合されたバルクヘテロジャンクション層、及び輸送層・電極の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。
このうち、バルクヘテロジャンクション層の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等が挙げられる。
このうち、前述の正孔と電子が電荷分離する界面の面積を増大させ、高い光電変換効率を有する素子を作製するためには、塗布法が好ましい。また、塗布法は、製造速度にも優れている。
この際に使用する塗布方法に制限は無いが、例えば、スピンコート法、溶液からのキャスト法、ディップコート法、ブレードコート法、ワイヤバーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法等が挙げられる。
更には、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法でパターニングすることもできる。
塗布後は残留溶媒及び水分、ガスの除去、及び半導体材料の結晶化による移動度向上・吸収長波化を引き起こすために加熱を行うことが好ましい。
製造工程中において、所定の温度でアニール処理されると、微視的に一部が凝集または結晶化が促進され、バルクヘテロジャンクション層を適切な相分離構造とすることができる。
その結果、バルクヘテロジャンクション層のキャリア移動度が向上し、高い効率を得ることができるようになる。
発電層(バルクヘテロジャンクション層)314は、電子受容体と電子供与体とが均一に混在された単一層で構成してもよいが、電子受容体と電子供与体との混合比を変えた複数層で構成してもよい。
この場合、前述したような塗布後に不溶化できるような材料を用いることで形成することが可能となる。
(パターニング)
本発明に係る電極、発電層、正孔輸送層、電子輸送層等をパターニングする方法やプロセスには特に制限はなく、公知の手法を適宜適用することができる。
バルクヘテロジャンクション層、輸送層等の可溶性の材料であれば、ダイコート、ディップコート等の全面塗布後に不要部だけ拭き取っても良いし、インクジェット法やスクリーン印刷等の方法を使用して塗布時に直接パターニングしても良い。
電極材料などの不溶性の材料の場合は、電極を真空堆積時にマスク蒸着を行う、エッチングまたはリフトオフ等の公知の方法を適用することによってパターニングすることができる。
また、別の基板上に形成したパターンを転写することによってパターンを形成しても良い。
(封止)
また、作製した有機薄膜太陽電池素子310が環境中の酸素、水分等で劣化しないために、有機薄膜太陽電池素子310だけではなく、上記の本発明の有機EL素子等の封止に用いられている従来公知の手法によって封止することが好ましい。
例えば、アルミまたはガラスでできたキャップを接着剤によって接着することによって封止する手法、アルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等のガスバリア層が形成されたプラスチックフィルムと有機薄膜太陽電池素子310を接着剤で貼合する手法、ガスバリア性の高い有機高分子材料(ポリビニルアルコール等)をスピンコートする方法、ガスバリア性の高い無機薄膜(酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)または有機膜(パリレン等)を真空下で堆積する方法、及びこれらを複合的に積層する方法等を挙げることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
また、実施例に用いられる化合物を以下に示す。
Figure 0006024774
Figure 0006024774
実施例1
本発明の有機エレクトロニクス素子用材料である一般式(1)で表される環状ケイ素化合物の一例であるCSi−7の合成を以下に示すが、本発明はこれに限定されない。
《例示化合物1(CSi−7)の合成》
Figure 0006024774
窒素雰囲気下、−78℃で1,8−ジヨードアントラセン(4.00g,9.30mmol)のTHF(186ml)溶液中にtert−ブチルリチウム・ペンタン溶液(1.55M,24.0ml,37.2mmol)を滴下し、1,8−ジリチオアントラセン溶液を調製した。
窒素雰囲気下、室温で、1,2−ジクロロテトラメチルジシラン(1.74g,9.30mmol)のTHF溶液に、前記調製した1,8−ジリチオアントラセンのTHF溶液を40分以上かけて滴下した。
滴下終了後、40分間撹拌した後、純水(50ml)を加え反応を停止させた。有機層を分離後、水層をCHCl(3×500ml)で抽出し、併せて有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥終了後、溶媒を減圧下で流去し、約20mlのジエチルエーテルで洗浄することで、目的物であるCSi−7(1.35g、50%)を黄色固体として得た。
得られたCSi−7の融点、スペクトル特性を下記に示す。
mp>400℃;
IR(赤外吸収スペクトル)(powder)
652(m),743(s),758(m),779(s),790(m),835(m),883(m),965(m),1159(w),1244(m),1302(w),1417(w),2892(w),2945(w),3044(w)cm−1
H−NMR(400MHz,CDCl
0.47(s,12H),0.59(s,12H),7.50(dd,J=8.4,6.4Hz,4H),7.80(dd,J=6.4,1.2Hz,4H),8.06(d,J=8.4Hz,4H),8.51(s,2H),9.11(s,2H);
13C−NMR(100MHz,CDCl
δ0.1、2.1、124.8,127.9、129.1、129.9,131.7、134.6,135.2,137.8
29Si−NMR(79MHz,CDCl
−21.1
HRMS(EI):m/z calcd for C3640Si[M]584.2207, found 584.2208.
本発明の有機エレクトロニクス素子用材料として用いられる、上記の例示化合物1(CSi−7)以外の、一般式(1)で表されるその他の例示化合物も同様にして合成できる。
また、ジハロゲン中間体等の合成に関しては日本化学会編第5版 実験化学講座等に記載の既知の方法を適宜参照して合成可能である。
本発明に係る一般式(1)で表される環状ケイ素化合物の特徴であるケイ素−ケイ素結合は、有機エレクトロニクス素子材料における有用な機能性結合として古くから注目され、例えばポリシラン化合物等が知られている。
しかしながら、有機EL素子とその工業化最前線(1998年、エヌ・ティー・エス社発行、282ページ)や、環状ケイ素化合物の光化学と不安定中間体に関する研究(群馬大学、閑 春夫教授、1988年度科学研究費補助対象研究)等にあるように、化合物自身の熱・光安定性が非常に低いことも周知であり、大きな課題を抱えていた。
これに対して、本発明に係る一般式(1)で表される環状ケイ素化合物は、熱や光に対する安定性が非常に高い(前記CSi−7の熱分解温度は360℃以上)。これは化学的に不安定なケイ素−ケイ素結合が剛直なアリーレンもしくはヘテロアリーレンユニットを介し環化している構造的な特徴によるものであるといえる。
実施例2
《有機EL素子1−2の作製》
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm製膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、H.C. スタルク社製、CLEVIO P VP AI 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用い、3000rpm、30秒の条件でスピンコート法により薄膜を形成後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚20nmの正孔輸送層を設けた。
この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにCSi−7を100mg入れ、真空蒸着装置に装着した。
同様にして、α−NPD、CBP、Ir(ppy)、Alq各100mgを各モリブデン製抵抗加熱ボートに入れ、装着した。
次いで真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、CSi−7の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基板に蒸着して20nmの第2正孔輸送層を設けた。
更に、CBPとIr(ppy)の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、各々蒸着速度0.1nm/秒、0.006nm/秒で前記正孔輸送層上に共蒸着して40nmの発光層を設けた。
更に、Alqの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記発光層上に蒸着して膜厚30nmの電子輸送層を設けた。
尚、蒸着時の基板温度は室温であった。
引き続き、陰極バッファー層としてフッ化リチウム0.5nmを蒸着し、更にアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子1−2を作製した。
《有機EL素子1−1及び1−3〜1−13の作製》
有機EL素子1−2の作製において、第2正孔輸送層材料に使用した、CSi−7を表1に示した材料に変更した以外は全く同様にして、有機EL素子1−1及び1−3〜1−13を作製した。
《有機EL素子1−1〜1−13の評価》
得られた有機EL素子1−1〜1−13を評価するに際しては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガラスカバーで覆い、ガラスカバーと有機EL素子が作製されたガラス基板とが接触するガラスカバー側の周囲にシール剤としてエポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラクストラックLC0629B)を適用し、これを上記陰極側に重ねて前記透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して硬化させ、封止して、上記の図5、図6に示すような照明装置を形成して評価した。次いで、下記の評価を行った。
(外部取り出し量子効率)
有機EL素子を室温(約23℃〜25℃)、2.5mA/cmの定電流条件下で発光させ、発光開始直後の発光輝度(L)[cd/m]を測定することにより、外部取り出し量子効率(η)を算出した。ここで、発光輝度の測定はCS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。
(駆動電圧)
有機EL素子を室温(約23℃〜25℃)、2.5mA/cmの定電流条件下により駆動したときの電圧を各々測定した。
(発光寿命)
有機EL素子を室温下、2.5mA/cmの定電流条件下による連続発光を行い、初期輝度の半分の輝度になるのに要する時間(τ1/2)を測定した。
尚、外部取り出し量子効率、駆動電圧、発光寿命は有機EL素子1−13を100と設定する相対値で表した。
得られた結果を表1に示す。
Figure 0006024774
表1から、比較の有機EL素子1−13に比べて、本発明の有機EL素子は、外部取り出し量子効率が高く、低駆動電圧であり、且つ、特に発光寿命が著しく改良されていることが明らかである。
実施例3
《有機EL素子2−1の作製》
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm製膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、H.C.:スタルク社製、CLEVIO P VP AI 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用い、3000rpm、30秒の条件でスピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚20nmの正孔輸送層を設けた。
次いで、ADS254BE(American Dye Source, Inc製)を用いて、2500rpm、30秒の条件でスピンコート法により薄膜を形成した後、150℃にて1時間乾燥し、膜厚20nmの第2正孔輸送層を設けた。
この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方モリブデン製抵抗加熱ボートにCSi−7を100mg入れ、真空蒸着装置に装着した。同様にして、CBP、Ir(ppy)、Alqの各100mgをボートに入れ、装着した。
真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、CBPとIr(ppy)の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.1nm/秒、0.006nm/秒で前記正孔輸送層上に共蒸着して40nmの発光層を設けた。
次いで、CSi−7の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基板に蒸着し30nmの電子輸送層を設けた。尚、蒸着時の基板温度は室温であった。
引き続き、陰極バッファー層としてフッ化リチウム0.5nmを蒸着し、更に、アルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子2−1を作製した。
《有機EL素子2−2〜2−17の作製》
有機EL素子2−1の作製において、電子輸送層材料に使用した、CSi−7を表2に示した材料に変更した以外は全く同様にして、有機EL素子2−2〜2−17を各々作製した。
得られた有機EL素子2−1〜2−17の評価は、実施例1の場合と全く同様にして行った。尚、外部取り出し量子効率、駆動電圧、発光寿命は有機EL素子1−13を100と設定する相対値で表した。
得られた結果を表2に示す。
Figure 0006024774
表2から、比較の有機EL素子2−17に比べて、本発明の有機EL素子は、外部取り出し量子効率、駆動電圧、発光寿命の全特性が改良されていることが明らかである。
実施例4
《有機EL素子3−1〜3−10の作製》
実施例2の有機EL素子1−13の作製において、第2正孔輸送層の作製に用いたα−NPDと電子輸送層の作製に用いたAlqを表3に示した材料に変更した以外は全く同様にして、有機EL素子3−1〜3−10を各々作製した。
得られた有機EL素子3−1〜3−10の評価は、実施例1の場合と全く同様にして行った。
尚、外部取り出し量子効率、駆動電圧、発光寿命の評価は、実施例2の有機EL素子1−13を100と設定する相対値で表した。
得られた結果を表3に示す。
Figure 0006024774
表3から、比較の有機EL素子1−13に比べて、本発明の有機EL素子は、外部取り出し量子効率、駆動電圧、発光寿命の全特性共に著しく改良されていることが明らかである。
実施例5
《フルカラー表示装置の作製》
(青色発光有機EL素子)
実施例4の有機EL素子3−1の作製において、CBPをmCPに、Ir(ppy)をD−26に変更した以外は同様にして、青色発光有機EL素子3−1Bを作製した。
(緑色発光有機EL素子)
緑色発光有機EL素子として、実施例4で作製した有機EL素子3−1を用いた。
(赤色発光有機EL素子)
実施例4の有機EL素子3−1の作製において、Ir(ppy)をD−10に変更した以外は同様にして、赤色発光有機EL素子3−1Rを作製した。
上記の赤色、緑色及び青色発光有機EL素子を同一基板上に並置し、図1に記載の形態を有するアクティブマトリクス方式フルカラー表示装置を作製し、図2には、作製した前記表示装置の表示部Aの模式図のみを示した。
即ち、同一基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、並置した複数の画素3(発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素等)とを有し、配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。
前記複数の画素3は、それぞれの発光色に対応した有機EL素子、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタと駆動トランジスタそれぞれが設けられたアクティブマトリクス方式で駆動されており、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。
このように各赤、緑、青の画素を適宜、並置することによって、フルカラー表示装置を作製した。
該フルカラー表示装置を駆動することにより、発光効率が高い発光寿命の長いフルカラー動画表示が得られることを確認することができた。
実施例6
《白色発光照明装置の作製》
実施例5の有機EL素子3−1Bの作製において、D−26をIr(ppy)、D−10、D−26に変更した以外は同様して、白色発光有機EL素子3−1Wを作製した。
得られた有機EL素子3−1Wを前記実施例と同様に、非発光面をガラスケースで覆い、照明装置とした。照明装置は、発光効率が高く発光寿命の長い白色光を発する薄型の照明装置として使用することができた。
参考例7
《有機薄膜太陽電池素子SC−101の作製》〉
ガラス基板上にパターン形成した透明電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄、の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
この透明電極を有するガラス基板上に、導電性高分子であるBaytron P4083(スタルクヴィテック社製)を30nmの膜厚でスピンコートした後、140℃で大気中10分間加熱乾燥し、正孔輸送層(正孔注入層ともいう)を形成した。
これ以降は、基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。まず、窒素雰囲気下で上記基板を140℃で3分間加熱処理した。
この上にクロロベンゼンにp型半導体材料として、プレクストロニクス社製プレックスコアOS2100を1.5質量%、n型半導体材料としてフロンティアカーボン社製E100(PCBM)を1.5質量%を溶解した液を作製し、0.45μmのフィルターで濾過をかけながら500rpmで60秒、次いで、2200rpmで1秒間のスピンコートを行い、室温で30分放置し、発電層を形成した。
次に、上記一連の発電層を成膜した基板を大気に晒すことなく真空蒸着装置内に設置した。10−3Pa以下にまで真空蒸着機内を減圧した後、アルドリッチ社製バトクプロイン(BCP)10nm蒸着し、電子輸送層(正孔ブロック層)を形成した。
続いて2mm幅のシャドーマスクが透明電極と直交するように素子をセットした後、Alを100nm蒸着した。最後に120℃で30分間の加熱を行い、比較の有機薄膜太陽電池素子SC−101を得た。尚、蒸着速度は2nm/秒で蒸着し、2mm角のサイズとした。
得られた有機薄膜太陽電池素子SC−101は、窒素雰囲気下でアルミニウムキャップとUV硬化樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、UV RESIN XNR5570−B1)を用いて封止を行った後に大気下に取り出した。
《有機薄膜太陽電池素子SC−102の作製》
有機薄膜太陽電池素子SC−101の作製において、電子輸送層(正孔ブロック層)としてバトクプロインを蒸着するのに代えて、グローブボックス中で、エタノールにTi−イソプロポキシドを25mmol/lになるように溶解した液を調製し、取り出し電極部をマスキングした後に2000rpmでスピンコートした後、大気中に取り出して60分間放置してTi−イソプロポキシドを加水分解することによって、膜厚10nmのTiO層を形成し、正孔ブロック層とした以外は同様にして、比較の有機薄膜太陽電池素子SC−102を作製した。
《有機薄膜太陽電池素子SC−103〜SC−106の作製》
有機薄膜太陽電池素子SC−101の作製において、電子輸送層(正孔ブロック層)のバトクプロインを表4に記載の材料(化合物)に代えた以外は同様にして有機薄膜太陽電池素子SC−103〜SC−106を作製した。
得られた、有機薄膜太陽電池素子SC−101〜SC−106について、下記の光電変換効率と開放電圧の評価、及び、耐久性評価(光電変換効率の保持率(%))を行った。
(変換効率および曲線因子の評価)
上記作製した光電変換素子に、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルタ)の100mW/cmの強度の光を照射し、有効面積を4.0mmにしたマスクを受光部に重ね、短絡電流密度Jsc(mA/cm)及び開放電圧Voc(V)、曲線因子(フィルファクター)FFを、同素子上に形成した4箇所の受光部をそれぞれ測定し、平均値を求めた。
またJsc、Voc、FFから式1に従って光電変換効率(エネルギー変換効率)η(%)を求めた。
式1
Jsc(mA/cm)×Voc(V)×FF=η(%)
(耐久性評価)
ソーラシミュレーター(AM1.5G)の光を100mW/cmの照射強度で照射し、電圧−電流特性を測定し、初期の光電変換効率を測定した。
更に、この時の初期変換効率を100とし、陽極と陰極の間に抵抗を接続したまま100mW/cmの照射強度で100h照射し続けた後の変換効率を評価し、光電変換効率の保持率(相対保持率)を算出した。
式2
相対保持率(%)=(1−暴露後の変換効率/暴露前の変換効率)×100
得られた結果を表4に示す。また、解放電圧Voc,光電変換効率はSC−101を1としたときの相対値で示した。)
Figure 0006024774
表4から、比較の有機薄膜太陽電池素子に比べて、参考例の有機薄膜太陽電池素子は、大きな解放電圧(Voc)を示し、高い光電変換効率を示し、且つ、耐久性も高いことが明らかである。
参考例8
《有機薄膜太陽電池素子SC−201の作製》
ガラス基板上にパターン形成した透明電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄、の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
この透明電極を有するガラス基板上に、真空蒸着装置を用いて、三酸化モリブデン(MoO)を膜厚10nmとなるまで金属酸化物層である正孔輸送層(電子ブロック層)を形成した。
この上に、クロロベンゼンにp型半導体材料として、プレクストロニクス社製プレックスコアOS2100を1.5質量%、n型半導体材料としてフロンティアカーボン社製E100(PCBM)1.5質量%を溶解した液を作製し、0.45μmのフィルターでろ過をかけながら500rpmで60秒、次いで2200rpmで1秒間のスピンコートを行い、室温で30分放置し、発電層を形成した。
次に、上記一連の有機層を成膜した基板を大気に晒すことなく真空蒸着装置内に設置した。2mm幅のシャドーマスクが透明電極と直交するように素子をセットし、10−3Pa以下にまで真空蒸着機内を減圧した後、フッ化リチウムからなる膜厚5nmの電子注入層を形成、続いて、陰極としてAlを100nm蒸着した。
最後に120℃で30分間の加熱を行い、比較の有機薄膜太陽電池素子SC−201を得た。尚、蒸着速度は2nm/秒で蒸着し、2mm角のサイズとした。
得られた有機薄膜太陽電池素子SC−201は、窒素雰囲気下でアルミニウムキャップとUV硬化樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、UV RESIN XNR5570−B1)を用いて封止を行った後に大気下に取り出した。
《有機薄膜太陽電池素子SC−202〜SC−206の作製》
有機薄膜太陽電池素子SC−201の作製において、電子ブロック層として三酸化モリブデンと代えて表5に記載の材料(化合物)に変えた以外は同様にして、有機薄膜太陽電池素子SC−202〜206を作製した。
得られた、有機薄膜太陽電池素子SC−201〜SC−206について、下記の変換効率と開放電圧の評価、および耐久性評価を行った。
(変換効率および曲線因子の評価)
上記作製した有機薄膜太陽電池素子に、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルタ)の100mW/cmの強度の光を照射し、有効面積を4.0mmにしたマスクを受光部に重ね、短絡電流密度Jsc(mA/cm)及び開放電圧Voc(V)、曲線因子(フィルファクター)FFを、同素子上に形成した4箇所の受光部をそれぞれ測定し、平均値を求めた。またJsc、Voc、FFから式1に従ってエネルギー変換効率η(%)を求めた。
式1
Jsc(mA/cm)×Voc(V)×FF=η(%)
(耐久性評価)
ソーラシミュレーター(AM1.5G)の光を100mW/cmの照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定し、初期の変換効率を測定した。更に、この時の初期変換効率を100とし、陽極と陰極の間に抵抗を接続したまま100mW/cmの照射強度で100h照射し続けた後の変換効率を評価し、相対低下効率を算出した。
式2
相対保持率(%)=(1−暴露後の変換効率/暴露前の変換効率)×100
尚、解放電圧Voc、光電変換効率はSC−201を1.00としたときの相対値で示した。
得られた結果を表5に示す。
Figure 0006024774
表5から、比較の有機薄膜太陽電池素子SC−201に比べて、参考例の有機薄膜太陽電池素子SC−202〜SC−206は各々、大きな解放電圧(Voc)と高い光電変換効率を示し、且つ、耐久性が高いことが明らかである。
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサ
A 表示部
B 制御部
101 有機EL素子
102 ガラスカバー
105 陰極
106 有機EL層
107 透明電極付きガラス基板
108 窒素ガス
109 捕水剤
310 有機薄膜太陽電池素子(バルクヘテロジャンクション型)
311 基板
312 陽極
313 陰極
314 発電層(バルクヘテロジャンクション層)
314′ 第1発電層
315 電荷再結合層
316 第2発電層
317 正孔輸送層
318 電子輸送層

Claims (10)

  1. 陽極と陰極の間に、構成層として有機化合物層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記構成層の少なくとも1層が下記一般式(1)で表される環状ケイ素化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0006024774
    〔式中、X1、X2は、各々アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、R〜Rは、各々水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基またはアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。〕
  2. 前記X1、前記X2が、各々下記Ar−11またはAr−17で表される2価の基であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0006024774
  3. 前記一般式(1)で表される環状ケイ素化合物が下記のCSi−7であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0006024774
  4. 前記構成層の少なくとも1層が、蛍光あるいはリン光発光性化合物を含有する発光層であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記構成層の少なくとも1層は正孔輸送層であり、且つ、前記正孔輸送層が、前記一般式(1)で表される環状ケイ素化合物を含有することを特徴とする請求項1または4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記構成層の少なくとも1層は電子輸送層であり、且つ、前記電子輸送層が、前記一般式(1)で表される環状ケイ素化合物を含有することを特徴とする請求項1、4および5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 少なくとも1層の正孔輸送層及び少なくとも1層の電子輸送層が、前記一般式(1)で表される環状ケイ素化合物を含有することを特徴とする請求項5または6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 白色に発光することを特徴とする請求項1および4〜7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 請求項1および4〜8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
  10. 請求項1および4〜8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
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