JP2009231029A - 透明導電性フィルムの製造方法及び透明導電性フィルム - Google Patents

透明導電性フィルムの製造方法及び透明導電性フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】低コスト化や環境適性に優れ、軽量で柔軟性に富む透明導電性フィルムの製造方法と、導電性と透明性に優れた透明導電性フィルムを提供する。
【解決手段】透明フィルム基材上に導電性繊維層を有する透明導電性フィルムの製造方法であって、該透明導電性フィルムを、該導電性繊維層を金属プレート上に塗布する工程1、該金属プレート上の導電性繊維層を、低酸素雰囲気下で250〜600℃の温度で熱処理する工程2、及び該金属プレート上の該導電性繊維層を透明フィルム基材上に転写する工程3、を経て製造することを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機発光素子、無機電界発光素子、液晶表示素子、電子ペーパー、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル等の各種分野において好適に用いることができる、高い導電性と良好な透明性を併せ持つ透明導電性フィルムの製造方法及び透明導電フィルムに関するものである。
有機発光素子、無機電界発光素子、液晶表示素子、電子ペーパー、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル等の各種分野における透明導電材料として、特定の金属酸化物が好適に用いられている。具体例としては、錫や亜鉛をドープした酸化インジウム(ITO、IZO)、アルミニウムやガリウムをドープした酸化亜鉛(AZO、GZO)、フッ素やアンチモンをドープした酸化錫(FTO、ATO)等が挙げられる。
一般に、金属酸化物透明導電膜の作製には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の気相製膜法が用いられる。しかしながら、これらの製膜方法は真空環境を必要とするため装置が大掛りかつ複雑なものとなり、また製膜に大量のエネルギーを消費するため、製造コストや環境負荷を軽減できる技術の開発が求められていた。また、一方で、液晶ディスプレイやタッチディスプレイに代表されるように、透明導電材料の大面積化が指向されており、それに伴い透明導電材料の軽量化や柔軟性に対する要請が高まっていた。
このような要請に対して、π共役系高分子に代表される導電性高分子材料を、適当な溶媒に溶解または分散し必要に応じてバインダー成分を加えて、塗布や印刷などの液相成膜法により透明導電膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1。)。しかし、導電性高分子を用いた透明導電素子は、真空成膜法によるITO等の金属酸化物透明導電素子に較べると、導電性は低くかつ透明性にも劣るため、適用可能な分野が限定されてしまうという課題があった。
導電性高分子以外の液相成膜が可能な透明導電材料技術として、カーボンナノチューブ(以下、CNTと略記する)や金属ナノロッドやナノワイヤのような導電性繊維を導電体として用いる方法が提案されている(例えば、特許文献2、3。)。しかしながら、十分な導電性を得るためには、導電性繊維の使用量を増やす必要があり、透明性との両立が課題であった。
特開平6−273964号公報 特表2006−517485号公報 特開2004−238503号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、透明導電性フィルムにおける導電性と透明性の向上と更にはそれらの両立、加えて製造コストの削減と環境負荷の軽減にある。従って、本発明の目的は、低コスト化や環境適性に優れた軽量で柔軟性に富む透明導電性フィルムの製造方法を提供することにあり、加えて導電性と透明性に優れた透明導電性フィルムを提供することにある。
上記課題を解決すべく検討を進めた過程において、CNTや金属ナノワイヤのような導電性繊維を導体として用いる透明導電材料では、導電性繊維間の電気的な接触によって導電性が発現するが、導電性繊維間の接触抵抗の影響により、満足できる導電性を得ることができないこと明らかとなり、その解決手段について鋭意検討を行った結果、下記の手段により上記課題が解決できることを見出し、本願発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.透明フィルム基材上に導電性繊維層を有する透明導電性フィルムの製造方法であって、
該透明導電性フィルムを、
該導電性繊維層を金属プレート上に塗布する工程1、
該金属プレート上の導電性繊維層を、低酸素雰囲気下で250〜600℃の温度で熱処理する工程2、
及び該金属プレート上の該導電性繊維層を透明フィルム基材上に転写する工程3、
を経て製造することを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
2.前記工程2が、窒素ガス雰囲気下で前記導電性繊維層を300〜500℃の温度に少なくとも1分間以上保持することにより熱処理を施すことを特徴とする前記1に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
3.前記導電性繊維層が、カーボンナノチューブ及び金属ナノワイヤの群から選ばれる少なくとも1種の導電性繊維を含有することを特徴とする前記1または2に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
4.透明フィルム基材上に導電性繊維層を有する透明導電性フィルムであって、前記1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とする透明導電性フィルム。
本発明の上記手段によれば、導電性繊維間の接触抵抗を軽減することができ、その結果として、導電性と透明性が改良されコストや環境適性に優れた透明導電性フィルムの製造方法を提供することができる。また、導電性と透明性に優れ軽量で柔軟性に富む透明導電性フィルムを提供することができる。
すなわち、本発明の透明導電性フィルムの製造方法により、有機発光素子、無機電界発光素子、液晶表示素子、電子ペーパー、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル等の各種分野へ好ましく適用可能なフレキシビリティの高い透明導電性フィルムの提供が可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明の透明導電性フィルムの製造方法は、導電性繊維を金属プレート上に塗布する工程1と前記金属プレート上の導電性繊維層を熱処理する工程2、更に前記金属プレート上の前記導電性繊維層を透明フィルム基材上に転写する工程3を含み構成されることを特徴とする。この特徴は、請求項1〜4に係る発明に共通する技術的特徴である。
なお、本願において、「透明」とは、JIS K 7361−1(ISO 13468−1に対応)の「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が60%以上であることをいう。
本発明の透明導電性フィルムの製造方法における好ましい態様としては、金属プレートを300〜500℃の温度に少なくとも1分間以上保持することにより、金属プレート上の導電性繊維層を熱処理すること、金属プレート上の導電性繊維層の熱処理が窒素ガスまたは不活性ガス雰囲気下で実施されること、導電性繊維がカーボンナノチューブ及び金属ナノワイヤの群から選ばれる少なくとも1種を含有すること等を挙げることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための最良の形態等について詳細な説明をする。
〔透明導電性フィルム〕
本発明の透明導電性フィルムは、金属プレート上に塗布した導電性繊維層を、熱処理後に透明フィルム基材上に転写することにより製造されることを特徴とする透明導電性フィルムである。
本発明の透明導電性フィルムの厚さには、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一般的に10μm以下であることが好ましく、厚さが薄くなるほど透明性が向上するためより好ましい。
本発明の透明導電性フィルムの全光線透過率は、60%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であることが望ましい。全光透過率は、分光光度計やヘイズメーター等を用いた公知の方法に従って測定することができる。
本発明の透明導電性フィルムにおける電気抵抗値としては、表面抵抗率として1×104Ω/□以下であることが好ましく、1×103Ω/□以下であることがより好ましく、1×102Ω/□以下であることが特に好ましい。表面抵抗率は、例えば、JIS K6911、ASTM D257等に準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することもできる。
本発明の透明導電性フィルムは、例えば、有機ELや無機ELディスプレイや照明、液晶ディスプレイ、各種電子ペーパー、太陽電池等のフレキシブル透明電極として好ましく用いることができる。従来のITOフィルム等を、10cmやA4サイズ程度、あるいはそれ以上といった大きな面積の電極として使用する場合、給電部からの距離が遠い部分では電極での電圧降下によって悪影響が出る。一方、本発明の透明導電性フィルムを用いたフレキシブル透明面電極では、低抵抗の導電性繊維間の電気的ネットワーク構造により、給電部から遠い部分にもほとんど電圧降下なく電流を供給できるため特に有効である。
〔透明フィルム基材〕
本発明に用いられる透明フィルム基材には、特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜780nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明の透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。中でも、透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
透明フィルム基材には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。透明フィルム基材が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率が1.57〜1.63とすることで、フィルム基材と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
〔導電性繊維〕
本発明に係る導電性繊維とは、導電性を有し、かつ長さが幅に比べて十分に長い形状を持つものであり、概ね、長さと直径の比率(長さ/直径=アスペクト比)が5以上、好ましくは20以上のものである。形状としては中空チューブ状、ワイヤ状、ファイバー状のものなどがあり、例えば、金属でコーティングした有機繊維や無機繊維、導電性金属酸化物繊維、金属ナノワイヤ、炭素繊維、カーボンナノチューブなどがある。本発明においては、透明性の観点から太さが300nm以下の導電性繊維であることが好ましく、併せて導電性も満足するために、少なくともカーボンナノチューブ及び金属ナノワイヤの群から選ばれる少なくとも1種の導電性繊維を含むことが好ましく、金属ナノワイヤを含むことが最も好ましい。
〔カーボンナノチューブ〕
カーボンナノチューブは、厚さ数原子層のグラファイト状炭素原子面(グラフェンシート)が筒形に巻かれた形状からなる炭素系繊維材料であり、その周壁の構成数から単層ナノチューブ(SWNT)と多層ナノチューブ(MWNT)とに大別され、また、グラフェンシートの構造の違いからカイラル(らせん)型、ジグザグ型、アームチェア型に分けられ、各種のものが知られている。
本発明に係る導電性繊維に適用されるカーボンナノチューブとしては、いずれのタイプのカーボンナノチューブも用いることができ、また、これらの種々のカーボンナノチューブを複数混合して用いてもよいが、導電性に優れた単層カーボンナノチューブであることが好ましく、更には金属性のアームチェア型単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。また、本発明に係るカーボンナノチューブは、有機化合物によって表面処理することができ、具体的には、界面活性剤を使用して個々のカーボンナノチューブの分散性を向上することもできる。
本発明に係るカーボンナノチューブの形状としては、アスペクト比(=長さ/直径)が大きい、すなわち細くて長い単層カーボンナノチューブであることが好ましい。例えば、アスペクト比が102以上、好ましくは103以上のカーボンナノチューブが挙げられる。カーボンナノチューブの平均長さは、3μm以上であることが好ましく、更には3〜500μmが好ましく、特に、3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均直径は100nmより小さいことが好ましく、1〜50nmが好ましく、1〜30nmであることがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
本発明で使用されるカーボンナノチューブの製造方法は特に限定されるものではなく、二酸化炭素の接触水素還元、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法、気相成長法、一酸化炭素を高温高圧化で鉄触媒と共に反応させて気相で成長させるHiPco法などの公知の手段を用いることができる。また、副生成物や触媒金属等の残留物を除去するために、洗浄法、遠心分離法、ろ過法、酸化法、クロマトグラフ法等の種々の精製法によって、より高純度化されたカーボンナノチューブの方が、各種機能を十分に発現することから好ましい。
本発明において、カーボンナノチューブや金属ナノワイヤ等の導電性繊維の長さや直径、アスペクト比の平均値は、十分な数の導電性繊維について電子顕微鏡写真を撮影し、個々の導電性繊維像の計測値の算術平均から求めることができる。導電性繊維の長さは、本来直線状に伸ばした状態で測定するべきであるが、現実には屈曲している場合もあるため、電子顕微鏡写真から画像解析装置を用いて導電性繊維の投影直径及び投影面積を算出し、円柱体を仮定して算出してもよい(長さ=投影面積/投影直径)。また、長さや直径の相対標準偏差は、測定値の標準偏差を平均値で除した値に100を乗じた値で表す。
相対標準偏差[%]=測定値の標準偏差/平均値×100
計測対象の導電性繊維数は、少なくとも100個以上が好ましく、300個以上の導電性繊維を計測することが更に好ましい。
〔金属ナノワイヤ〕
一般に、金属ナノワイヤとは、金属元素を主要な構成要素とする線状構造体のことをいう。特に、本発明における金属ナノワイヤとは、原子スケールからnmサイズの直径を有する線状構造体を意味する。
本発明に係る導電性繊維に適用される金属ナノワイヤとしては、金属ナノワイヤ間の導電ネットワーク構造を効果的に形成するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、更には3〜500μmが好ましく、特に、3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均直径は、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤの平均直径として10〜300nmが好ましく、20〜200nmであることがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
本発明に係る金属ナノワイヤの金属組成としては特に制限は無く、貴金属元素や卑金属元素の1種または複数の金属から構成されることができるが、貴金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)及び鉄、コバルト、銅、錫からなる群に属する少なくとも1種の金属を含むことが好ましく、導電性の観点から少なくとも銀を含むことがより好ましい。また、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、及びマグレーション耐性)を両立するために、銀と銀を除く貴金属に属する少なくとも1種の金属を含むことも好ましい。本発明に係る金属ナノワイヤが2種類以上の金属元素を含む場合には、例えば、金属ナノワイヤの表面と内部で金属組成が異なっていてもよいし、金属ナノワイヤ全体が同一の金属組成を有していてもよい。
本発明で使用される金属ナノワイヤの製造方法は、特に限定されるものではなく、液相法や気相法などの公知の手段を用いることができる。例えば、Agナノワイヤは、エチレングリコールやポリビニルピロリドンなどのポリオール中で、硝酸銀などの銀塩を還元する液相法により形状の揃ったAgナノワイヤを大量に合成することができる。合成方法としては、例えば、Xia.Y,et.al.,Chem.Mater.誌14巻,2002,p.4736−4745等に記載されている。
また、本発明に係る金属ナノワイヤは、有機化合物によって表面処理することができ、具体的には、界面活性剤を使用して個々の金属ナノワイヤの分散性を向上することもできる。
〔本発明の透明導電性フィルムの製造方法を構成する各工程〕
本発明者らは、CNTや金属ナノワイヤのような導電性繊維を導体として用いる透明導電材性フィルムにおいて、従来技術では満足できる導電性を得ることができない主因が、導電性繊維間の接触抵抗にあることを見い出した。一般に、導電性繊維を形成する際には、保護コロイドや形態制御の目的で各種の有機物を使用する。さらに、導電性繊維を含む塗布液を調製する際には、分散性向上の目的で界面活性剤や分散剤等の各種有機物を使用する。即ち、これらの有機物が導電性繊維表面に残存し、導電性繊維間の電気的な接触を阻害することによって接触抵抗が増大してしまう。
このような導電性繊維表面に残存する各種有機物を除去する方法としては熱処理が有効である。但し、導電性繊維を透明フィルム基材に塗布した後に熱処理を行う場合には、フィルム基材の耐熱温度以上に熱をかけることができないため、導電性繊維表面の有機物を十分に分解除去することができない。
本発明の透明導電性フィルムの製造方法においては、耐熱性に優れた金属プレート上の電性繊維層に熱処理を行うことができるため、導電性繊維表面の有機物を分解除去するに十分な熱を加えることが可能となる。その後、表面の有機物が除去されて導電性繊維間の電気的なネットワークが有効に形成された導電性繊維層を透明フィルム基材に転写することによって、導電性に優れた透明導電性フィルムを得ることができる。
従って、本発明の製造方法において、以下に説明する工程1〜工程3は、本発明の製造方法を特徴づけると共に必須の構成要素であり、かつ工程1→工程2→工程3の順に実施することが重要である。
〔工程1:導電性繊維の金属プレート上への塗布工程〕
本発明の透明導電性フィルムの製造方法は、導電性繊維を金属プレート上に塗布する工程1を有する。
本発明の透明導電性フィルムの製造方法に適用できる金属プレートの材質としては、本発明に係る導電性繊維や導電性繊維を含む塗布液の添加剤や溶媒との反応性が低く耐蝕性に優れ、かつ耐久性(耐傷性や耐摩耗性)に優れる材質であることが好ましい。また、金属プレート上の導電性繊維層の透明フィルム基材上への転写性を高めるために、平滑な表面に加工できる材質、好ましくは鏡面加工が可能な材質であることが好ましい。また、金属プレート上の導電性繊維層の透明フィルム基材上への転写性を高めるために、金属プレート表面に耐熱性を有する有機材料や無機材料を含むコーティング層を設けることもできる。本発明で好ましく用いることができる金属プレートの具体的な材質としては、ステンレス(鉄・クロム合金)やアモルファス・ステンレス、チタンやチタン合金などを挙げることができる。
金属プレートの厚みや幅、形状には特に制限は無く、所望のサイズのプレートを用いることができる。さらに、図1に示す本発明の透明導電性フィルムの製造ラインの好ましい態様のように、ロールtoロールプロセスに適用する場合には、金属プレートの厚さや材質の柔軟性を適宜選択して、ベルト状に加工された金属プレートを用いることもできる。
本発明の透明導電性フィルムの製造方法における塗布方法には、特に制限はなく、従来公知の塗布法や印刷法などの一般的な液相成膜法を広く適用することができ、塗布法としては、例えば、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法などを用いることができる。印刷法としては、例えば、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法などを用いることができる。
本発明に係る導電性繊維を塗布する際には、導電性繊維を含む塗布液に必要に応じて任意に添加剤を加えることができる。具体的には、界面活性剤、有機溶媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、劣化防止剤、pH調整剤、重合禁止剤、表面改質剤、脱泡剤、可塑剤、抗菌剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。界面活性剤としては、一般に知られているアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などを挙げることが可能で、これらを任意に用いて良い。水系溶媒を用いる場合には、重縮合系の芳香族系界面活性剤、重合系の芳香族系界面活性剤、芳香族系非イオン性界面活性剤、及び、芳香族系非イオン性界面活性剤とイオン性界面活性剤との組み合わせなどを用いることも好ましい。
また、金属プレート上に導電性繊維を塗布した後、必要に応じて乾燥処理を施すこともできる。乾燥処理の条件として特に制限はないが、導電性繊維が酸化等の影響を受けない温度範囲や、導電性繊維層が損傷しない範囲の送風量で処理することが好ましい。なお、乾燥処理は、後工程の導電性繊維の熱処理工程で実施することもできる。
なお、必要に応じて、塗工性を向上させるための予備処理として、導電性繊維の塗布に先立ち、金属プレート表面にコロナ放電処理、プラズマ放電処理などの物理的表面処理を施すこともできる。
〔工程2:導電性繊維層の熱処理工程〕
本発明の透明導電性フィルムの製造方法は、金属プレート上の導電性繊維層を250℃以上の温度で熱処理する工程2を有する。
本発明に適用できる金属プレート上の導電性繊維層の熱処理方法には、特に制限はなく、導電性繊維層を直接的に加熱する方法や間接的に加熱する方法のいずれを用いてもよい。導電性繊維層を直接的に加熱する方法としては、例えば、高周波誘導加熱、プラズマ加熱、アーク加熱、電子線加熱などから好ましい方法を選び用いることができる。また、導電性繊維層を間接的に加熱する方法としては、例えば、ヒーター等の輻射熱を用いる方法や、金属プレートを加熱して熱伝導により加熱する方法などから好ましい方法を選び用いることができる。
本発明の透明導電性フィルムの製造方法における熱処理温度は、250〜600℃であることが特徴である。導電性繊維が熱的に変質や損傷しない範囲であれば、高温である方が短時間に導電性繊維表面に残存する有機物を有効に分解除去することが可能であるため好ましいが、通常600℃の温度で処理すれば十分な効果が得られため、600℃より高い温度での熱処理は経済的ではない。本発明において、有機物の分解や酸化等の導電性繊維や金属プレートへの影響を考慮したさらに好ましい熱処理温度は300〜500℃である。
本発明の透明導電性フィルムの製造方法における熱処理の時間は、より長時間である方が導電性繊維表面に残存する有機物を有効に分解除去することが可能であるため好ましい。具体的には30秒間以上であることが好ましく、1〜10分間であることがより好ましい。導電性繊維が熱的に変質や損傷しない範囲であれば熱処理時間の上限に特に制限は無いが、通常250℃以上の温度で10分間熱処理すれば効果が得られるため、10分間より長い時間の熱処理は経済的ではない。
本発明の透明導電性フィルムの製造方法において、金属プレート上の導電性繊維層を熱処理する工程は、導電性繊維や金属プレートの酸化等の影響を避けるために、低酸素雰囲気下で実施される。本発明でいう低酸素雰囲気とは、空間における酸素の分圧が1.1×103Pa以下の圧力であることを意味し、より好ましくは1.1×102Pa以下の圧力である。本発明で低酸素雰囲気を形成する好ましい手段としては、真空雰囲気や減圧雰囲気、窒素ガス雰囲気又はアルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン等の希ガス元素雰囲気などを挙げることができるが、コスト面から窒素雰囲気であることがより好ましい。
〔工程3:導電性繊維層の転写工程〕
本発明の透明導電性フィルムの製造方法は、金属プレート上の導電性繊維層を透明フィルム基材上に転写する工程3を有する。
本発明に適用できる金属プレート上の導電性繊維層を透明フィルム基材上に転写する方法には、特に制限はなく、例えば、以下の様な方法で実施することができる。
(1)金属プレート上の導電性繊維層にアンカーコート層を形成した後、透明フィルム基材に接着し、金属プレートを剥離することによって導電性繊維層を透明フィルム基材に転写する。
(2)金属プレート上の導電性繊維層に透明なバインダー材料を含有する溶液を塗布・乾燥する。更にアンカーコート層を形成した後、透明フィルム基材に接着し、金属プレートを剥離することによって導電性繊維と透明なバインダー材料を含む層を透明フィルム基材に転写する。
上記の本発明に係る透明なバインダー材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ブチラール系樹脂等を単独あるいは複数併用して用いることができる。
(3)透明フィルム基材上に、エネルギー線(紫外光や電子線)硬化性や熱硬化性の透明樹脂を含有する溶液を塗布・乾燥し、バインダー層を形成する。金属プレート上の導電性繊維層をバインダー層に圧着し、エネルギー線や熱を付与してバインダーを硬化させた後、金属プレートを剥離することにより、透明フィルム基材上のバインダー層表面部分に導電性繊維層を転写する。この場合、エネルギー線硬化性や熱硬化性の透明樹脂の塗布に先立ち、透明フィルム基材表面にコロナ放電処理やプラズマ放電処理などの物理的表面処理を施していてもよい。
本発明の透明導電性フィルムの製造方法においては、いずれかのタイミングで必要に応じて導電性繊維層に加圧処理を施すこともできる。これによって、より高い導電性を得たり、表面の平滑性を高めたりすることができる。加圧に際しては、加圧処理を行う工程で好ましい方法を用いることができる。例えば、金属プレート上でプレートを用いて加圧する方法、ロールとロールの間に金属プレートや基材フィルムを通過させながら加圧するニップロール加圧法など採用することができる。また、加圧処理と加熱処理を併用すると、より好ましい効果が得られる場合がある。加熱時間は温度との関係で調節し、高い温度では短く、低温では長くというようにすることができる。透明フィルム基材上に導電性繊維層を転写した後、加熱処理を行う場合には、ニップロール方式でロールを予め所定の温度に加熱しておく方法やオートクレーブ室のような加熱室内で加熱する方法を用いることができる。
本発明の透明導電性フィルムには、その適用分野に応じて、ハードコート層やノングレアコート層、バリアコート層、アンカーコート層、キャリア輸送層、キャリア蓄積層などの各種機能性層を付与することもできる。ハードコート層やノングレアコート層を付与する場合には、透明フィルム基材を挟み本発明に係る導電性繊維層とは反対側に配置させることが好ましく、バリアコート層を付与する場合には、透明フィルム基材と本発明に係る導電性繊維層の間に配置させることが好ましく、アンカーコート層やキャリア輸送層、キャリア蓄積層を付与する場合には、透明フィルム基材に対して本発明に係る導電性繊維層と同じ側に配置させることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《銀ナノワイヤ分散液の調製》
参考文献「Adv.Mater.2002,14,833〜837」に記載の方法を参考に、還元剤としてエチレングリコール(EG、関東化学社製)を、形態制御剤兼保護コロイド剤としてポリビニルピロリドン(PVP:平均分子量130万、アルドリッチ社製)を使用し、かつ核形成工程と粒子成長工程とを分離して粒子形成を行い、銀ナノワイヤ分散液M−1を調製した。
(核形成工程)
反応容器内で160℃に保持したEG液100mlを攪拌しながら、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0モル/L)2.0mlを一定の流量で1分間かけて添加した後、160℃で10分間保持し銀イオンを還元して銀の核粒子を形成した。反応液は、ナノサイズの銀微粒子の表面プラズモン吸収に由来する薄黄色を呈しており、銀イオンが還元されて銀の微粒子(核粒子)が形成されたことが確認できた。続いて、PVPのEG溶液(PVP濃度:3.0×10-1モル/L)10.0mlを一定の流量で10分間かけて添加した。
(粒子成長工程)
上記核形成工程終了後の核粒子を含む反応液を攪拌しながら160℃に保持し、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0×10-1モル/L)100mlと、PVPのEG溶液(PVP濃度:3.0×10-1モル/L)100mlを、ダブルジェット法を用いて一定の流量で120分間かけて添加した。粒子成長工程において、30分毎に反応液を採取して電子顕微鏡で確認したところ、核形成工程で形成された核粒子が時間経過に伴ってワイヤ状の形態に成長しており、粒子成長工程における新たな微粒子の生成は認められなかった。
最終的に得られた銀ナノワイヤについて、電子顕微鏡写真を撮影し、300個の銀ナノワイヤ粒子像の直径及び長さを測定して算術平均を求めた。平均直径は100nm、平均長さは40μmであった。
(脱塩水洗工程)
上記粒子形成工程を終了した反応液を室温まで冷却した後、分画分子量0.2μmの限外濾過膜を用いて脱塩水洗処理を施し、最後に液量を100mlまで濃縮して銀ナノワイヤ分散液M−1を調製した。
《透明導電性フィルムの作製》
〔透明導電性フィルムNW−11の作製:本発明〕
(銀ナノワイヤの金属プレート上への塗布工程:工程1)
表面を鏡面研磨したステンレス製プレートに、目付け量が0.25g/m2となるように、銀ナノワイヤ分散液M−1をダイコーターを用いて塗布・乾燥して、銀ナノワイヤ層を形成した。
(銀ナノワイヤ層の熱処理工程:工程2)
上記ステンレスプレート上に形成された銀ナノワイヤ層を、窒素ガス雰囲気下で250℃に1分間保持して熱処理を施した。続いて、ニップロール間に2.5MPaの圧力をかけ、ロール間にステンレスプレートを通すことにより加圧処理を施し、その後冷却した。
(銀ナノワイヤ層の転写工程:工程3)
表面に易接着層を設けた厚さ100μm、透過率92%(裏面に反射防止加工)のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材にコロナ放電処理を施した後、下記紫外線硬化樹脂層塗布組成物1をダイコーターを用いて塗布し、80℃で1分間乾燥してバインダー層を形成した。続いて、PETフィルムのバインダー層と上記熱処理工程終了後のステンレスプレート上の銀ナノワイヤ層を重ね合わせ、ニップロール間に0.5MPaの圧力をかけながらロール間を通すことにより、バインダー層と銀ナノワイヤ層を良く圧着させた。バインダー層が銀ナノワイヤ層を保持した状態でPETフィルム側から120mJ/cm2の紫外線を高圧水銀灯で照射してバインダー層を硬化させ、その後ステンレスプレートを剥離することにより、ステンレスプレート上の銀ナノワイヤ層を、PETフィルム上に転写した。
〈紫外線硬化樹脂層塗布組成物1〉
ペンタエリスリトールトリアクリレート 100質量部
ジメトキシベンゾフェノン光反応開始剤 4質量部
メチルエチルケトン 75質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 75質量部
このようにして、透明PETフィルム基材上に、導電性繊維層としての銀ナノワイヤ層を有する透明導電性フィルムNW−11を作製した。
〔透明導電性フィルムNW−12〜17の作製:本発明〕
上記透明導電性フィルムNW−11の作製において、銀ナノワイヤ層の熱処理工程における熱処理の温度や時間をそれぞれ表1に記載の条件に変更した以外は同様にして、透明導電性フィルムNW−12〜16を作製した。
〔透明導電性フィルムNW−21〜22の作製:比較例〕
上記透明導電性フィルムNW−11の作製において、銀ナノワイヤ層の熱処理工程における熱処理の温度や時間をそれぞれ表1に記載の条件に変更した以外は同様にして、透明導電性フィルムNW−21〜22を作製した。
〔透明導電性フィルムNW−23の作製:比較例〕
上記透明導電性フィルムNW−16の作製法において、銀ナノワイヤ層の熱処理工程を大気中で実施した以外は同様にして、透明導電性フィルムNW−23を作製した。
〔透明導電性フィルムNW−24の作製:比較例〕
厚さ100μm、透過率92%(裏面に反射防止加工)のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材にコロナ放電処理を施した後、前記紫外線硬化樹脂層塗布組成物1をダイコーターを用いて塗布し、80℃で1分間乾燥してバインダー層を形成した。続いて、目付け量が0.25g/m2となるように、銀ナノワイヤ分散液M−1をダイコーターを用いて塗布・乾燥して、銀ナノワイヤ層を形成した。その後、ニップロール間に0.5MPaの圧力をかけながら、ロール間にPETフィルムを通すことによりバインダー層に銀ナノワイヤ層を良く圧着させ、120mJ/cm2の紫外線を高圧水銀灯で照射してバインダー層を硬化させた。
このようにして、透明PETフィルム基材上に、導電性繊維層としての銀ナノワイヤ層を有する透明導電性フィルムNW−24を作製した。
〔透明導電性フィルムNW−25〜27の作製:比較例〕
上記透明導電性フィルムNW−24と同様の方法で透明導電性フィルムを作製した後、表1に示すような条件でそれぞれ熱処理を施して、透明導電性フィルムNW−25〜27を作製した。
Figure 2009231029
《透明導電性フィルムの評価》
以上のように作製した各透明導電性フィルムについて、下記の方法に従って表面抵抗率と全光透過率の測定を行った。
〔表面抵抗率の測定〕
表面抵抗率は、JIS K 7194:1994(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)に準拠して、三菱化学社製ロレスタ−GP(MCP−T610型)を用いて測定した。
〔全光透過率の測定〕
全光透過率は、JIS K 7361−1:1997に準拠して、スガ試験機社製のヘイズメーターHGM−2Bを用いて測定した。
以上により得られた測定結果を表2に示した。
Figure 2009231029
なお、透明導電性フィルムNW−23は、銀ナノワイヤ層の酸化により茶褐色に変色した。また、透明導電性フィルムNW−25は、熱処理によってPETフィルムが白濁・湾曲したため、測定が行えなかった。
本発明の透明導電性フィルムの製造方法に従って作製した透明導電性フィルムNW−11〜17は、いずれも比較例の透明導電性フィルムNW−21〜27に対して表面抵抗率が大きく改善されていることが分かる。また、250℃以上の熱処理温度で本発明の効果が有意に得られることが判る。透明導電性フィルムNW−25のように、透明フィルム支持体の耐熱温度以上で熱処理を行うと、フィルムが白濁しかつ湾曲するなどして透明導電性フィルムの品質に甚大な悪影響を及ぼした。一方、透明導電性フィルムNW−24及び透明導電性フィルムNW−26〜27のように、透明フィルム支持体の耐熱温度以下の熱処理では、満足できる表面抵抗率の改善効果は得られない。また、透明導電性フィルムNW−24のように、熱処理を非低酸素雰囲気下で行った場合には、導電性繊維の酸化の影響によって導電性と透明性が大きく損なわれてしまう。
実施例2
実施例1で用いた銀ナノワイヤを、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)に代えて同様に評価を行ったところ、実施例1と同様の効果が得られた。
本発明の透明導電性フィルムの製造方法は、図1に示すような製造工程で実施することにより、RtoRプロセスにも適用することができる。
本発明の透明導電性フィルムの製造方法の好ましい一例を表す概略工程図である。
符号の説明
11:ベルト状金属プレート
12:表面処理工程
13:導電性繊維塗布工程
14:導電性繊維層
15:乾燥工程
16:クリーニング工程
21:熱処理工程
22:加圧処理工程
23:冷却工程
24:低酸素雰囲気
31:透明フィルム基材
32:表面処理工程
33:バインダー層塗布工程
34:乾燥工程
35:バインダー層
36:圧着工程
37:硬化処理工程
38:剥離工程
39:透明導電性フィルム

Claims (4)

  1. 透明フィルム基材上に導電性繊維層を有する透明導電性フィルムの製造方法であって、
    該透明導電性フィルムを、
    該導電性繊維層を金属プレート上に塗布する工程1、
    該金属プレート上の導電性繊維層を、低酸素雰囲気下で250〜600℃の温度で熱処理する工程2、
    及び該金属プレート上の該導電性繊維層を透明フィルム基材上に転写する工程3、
    を経て製造することを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
  2. 前記工程2が、窒素ガス雰囲気下で前記導電性繊維層を300〜500℃の温度に少なくとも1分間以上保持することにより熱処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
  3. 前記導電性繊維層が、カーボンナノチューブ及び金属ナノワイヤの群から選ばれる少なくとも1種の導電性繊維を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
  4. 透明フィルム基材上に導電性繊維層を有する透明導電性フィルムであって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とする透明導電性フィルム。
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