JP5521753B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Description

本発明は有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。詳しくは連続駆動での電圧上昇及び色度変化を抑制した素子に関する。
従来、発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)が挙げられる。無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
一方、有機EL素子は、発光する化合物を含有する発光層を陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、更に、自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性の観点から注目されている。
実用化に向けた有機EL素子の開発としては、M.A.Baldo et al.,Nature、395巻、151〜154頁(1998年))により、プリンストン大より、励起三重項からのりん光発光を用いる有機EL素子の報告がされて以来、M.A.Baldo et al.,Nature、403巻、17号、750〜753頁(2000年)、米国特許第6,097,147号明細書等により、室温でりん光を示す材料の研究が活発になってきている。
更に、最近発見されたりん光発光を利用する有機EL素子では、以前の蛍光発光を利用する素子に比べ原理的に約4倍の発光効率が実現可能であることから、その材料開発を始めとし、発光素子の層構成や電極の研究開発が世界中で行われている。
例えば、S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)には、多くの化合物がイリジウム錯体系等重金属錯体を中心に合成検討されている。
このように大変にポテンシャルの高い方式であるが、りん光発光を利用する有機ELデバイスにおいては、蛍光発光を利用する有機ELデバイスとは大きく異なり、発光中心の位置をコントロールする方法、とりわけ発光層の内部で再結合を行い、いかに発光を安定に行わせることができるかが、素子の効率・寿命をとらえる上で重要な技術的な課題となっている。
近年、発光層に隣接する形で、(発光層の陽極側に位置する)正孔輸送層と、(発光層の陰極側に位置する)電子輸送層を備えた多層積層型の素子がよく知られている。
特に青色りん光発光を利用するにあたっては、青色りん光発光材料自身が高T1(最低励起三重項状態)であるため、周辺材料の開発と精密な発光中心の制御が強く求められている。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子をウェットプロセスで作成する際の正孔注入層として、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(以下、PEDOT−PSSともいう)に代表される導電性ポリマーに酸ドープを施した材料が一般的に用いられている。また、陰極の手前に金属乃至金属塩の薄膜を設け、陰極からの電子注入を改善する方式がよく知られている。しかしながら、これらの層に起因する不純物等が素子作成時、あるいは駆動時に拡散することで他層の有機材料が劣化し、駆動安定性に悪影響を及ぼすことが懸念される。
上記の様な問題点を解決する手段としては、例えば、不純物補足のためモレキュラーシーブ等の不純物補足層を設ける(例えば、特許文献1)、有機機能層にクラウンエーテルを用いることでイオン性の不純物を補足する(例えば、特許文献2)、等の工夫がなされているが、使用している材料が有機EL素子の有機機能層として好適でなく、むしろ不純物が混入した場合と同様に振る舞う、あるいは導電性が不充分等の問題があり、更なる性能改善策が求められている。
特開2008−14822号公報 特開2006−173307号公報
本発明の目的は、駆動経時の素子安定性に優れる有機エレクトロルミネッセンス素子、詳しくは駆動経時での電圧上昇や色度変化を抑制した有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
本発明の目的は、以下の手段により達成された。
1.基板上に、第一、第二電極と、両電極に挟まれた正孔注入層、正孔輸送層および発光層を含む複数の有機機能層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機機能層の少なくとも一層が、一般式(1)で示されるアザカリックスアレーン誘導体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005521753
(一般式中Arは窒素を含む二価の芳香族複素環基を示し、Ar′は、各々芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を示し、一般式中nは1〜4の整数である。但し、以下の化合物Aを除く。)
Figure 0005521753
2.基板上に、第一、第二電極と、両電極に挟まれた正孔注入層、正孔輸送層および発光層を含む複数の有機機能層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機機能層の少なくとも一層が、一般式(1)で示されるアザカリックスアレーン誘導体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005521753
(一般式中Arは窒素を含む二価の芳香族複素環基を示し、Ar′は、各々芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を示し、一般式中nは1〜4の整数である。但し、以下の一般式(3)で示される化合物を除く。)
Figure 0005521753
(ここで、一般式(3)用いられる記号および添字に以下が適用される:
Yは各々の出現において、同一または異なっており、B(R 、C(R 、NR 、O、S、C(=O)、C=C(R 、S(=O)、S(=O) 、P(=O)(R からなる群より選択される2価の基、または1以上の基R によって置換されていてもよい、5ないし18の芳香環原子を有する2価の芳香環系または複素芳香環系であり;
Rは各々の出現において、同一または異なっており、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R 、N(Ar) 、C(=O)Ar、P(=O)(Ar) 、S(=O)Ar、S(=O) Ar、CR =CR Ar、CN、NO 、Si(R 、B(OR 、B(R 、B(Ar) 、B(N(R 、OSO 、1ないし40のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2ないし40のC原子を有する直鎖のアルケニルもしくはアルキニル基または3ないし40のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であり、これらの各々は1以上の基R で置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH 基はR C=CR 、C≡C、Si(R 、Ge(R 、Sn(R 、C=O、C=S、C=Se、C=NR 、P(=O)(R )、SO、SO 、NR 、O、SまたはCONR で置換されていてもよく、ここで1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNO で置換されていてもよい、または5ないし60の芳香環原子を有する芳香環系もしくは複素芳香環系であり、これらは各々の場合に1以上の基R で置換されていてもよい、または5ないし60の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり、これらは各々の場合に1以上の基R で置換されていてもよい、またはこれらの系の組み合わせであり;
は各々の出現において、同一または異なっており、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R 、N(Ar) 、C(=O)Ar、P(=O)(Ar) 、S(=O)Ar、S(=O) Ar、CR =CR Ar、CN、NO 、Si(R 、B(OR 、B(R 、B(N(R 、OSO 、1ないし40のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2ないし40のC原子を有する直鎖のアルケニルもしくはアルキニル基または3ないし40のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であり、これらの各々は1以上の基R で置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH 基はR C=CR 、C≡C、Si(R 、Ge(R 、Sn(R 、C=O、C=S、C=Se、C=NR 、P(=O)(R )、SO、SO 、NR 、O、SまたはCONR で置換されていてもよく、ここで1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNO で置換されていてもよい、または5ないし60の芳香環原子を有する芳香環系もしくは複素芳香環系であり、これらは各々の場合に1以上の基R で置換されていてもよい、または5ないし60の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり、これらは1以上の基R で置換されていてもよい、またはこれらの系の組み合わせであり;
Arは各々の出現において、同一または異なっており、5ないし30の芳香環原子を有する芳香環系または複素芳香環系であり、これらは1以上の非芳香族基R で置換されていてもよく;ここで同一の窒素またはリン原子に結合した2つの基Arは、単結合またはB(R )、C(R 、Si(R 、C=O、C=NR 、C=C(R 、O、S、S=O、SO 、N(R )、P(R )およびP(=O)R から選択されるブリッジによって互いに連結していてもよく;
は各々の出現において、同一または異なっており、H、Dまたは1ないし20のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素芳香族炭化水素基であり、さらにH原子はFで置換されていてもよく;ここで2以上の隣接置換基R は互いに単環または多環の脂肪族または芳香環系を形成してもよく;
mは0、1、2または3であり;
pは各々の出現において、同一または異なっており、0、1、2または3である。)
3.基板上に、第一、第二電極と、両電極に挟まれた正孔注入層、正孔輸送層および発光層を含む複数の有機機能層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機機能層の少なくとも一層が、一般式(1)で示されるアザカリックスアレーン誘導体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005521753
(一般式中Arは窒素を含む二価の芳香族複素環基を示し、Ar′は、各々芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を示し、一般式中nは1〜4の整数である。但し、以下の一般式(4)で示される化合物を除く。)
Figure 0005521753
(ここで、一般式(4)用いられる記号および添字に以下が適用される:
Xは各々の出現において、同一または異なっており、CR またはNであり;
Yは各々の出現において、同一または異なっており、B(R 、C(R 、NR 、O、S、C(=O)、C=C(R 、S(=O)、S(=O) 、P(=O)(R からなる群より選択される2価の基、または1以上の基R によって置換されていてもよい、5ないし18の芳香環原子を有する2価の芳香環系または複素芳香環系であり;
Rは各々の出現において、同一または異なっており、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R 、N(Ar) 、C(=O)Ar、P(=O)(Ar) 、S(=O)Ar、S(=O) Ar、CR =CR Ar、CN、NO 、Si(R 、B(OR 、B(R 、B(Ar) 、B(N(R 、OSO 、1ないし40のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2ないし40のC原子を有する直鎖のアルケニルもしくはアルキニル基または3ないし40のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であり、これらの各々は1以上の基R で置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH 基はR C=CR 、C≡C、Si(R 、Ge(R 、Sn(R 、C=O、C=S、C=Se、C=NR 、P(=O)(R )、SO、SO 、NR 、O、SまたはCONR で置換されていてもよく、ここで1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNO で置換されていてもよい、または5ないし60の芳香環原子を有する芳香環系もしくは複素芳香環系であり、これらは各々の場合に1以上の基R で置換されていてもよい、または5ないし60の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり、これらは各々の場合に1以上の基R で置換されていてもよい、またはこれらの系の組み合わせであり;
は各々の出現において、同一または異なっており、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R 、N(Ar) 、C(=O)Ar、P(=O)(Ar) 、S(=O)Ar、S(=O) Ar、CR =CR Ar、CN、NO 、Si(R 、B(OR 、B(R 、B(N(R 、OSO 、1ないし40のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2ないし40のC原子を有する直鎖のアルケニルもしくはアルキニル基または3ないし40のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であり、これらの各々は1以上の基R で置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH 基はR C=CR 、C≡C、Si(R 、Ge(R 、Sn(R 、C=O、C=S、C=Se、C=NR 、P(=O)(R )、SO、SO 、NR 、O、SまたはCONR で置換されていてもよく、ここで1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNO で置換されていてもよい、または5ないし60の芳香環原子を有する芳香環系もしくは複素芳香環系であり、これらは各々の場合に1以上の基R で置換されていてもよい、または5ないし60の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり、これらは1以上の基R で置換されていてもよい、またはこれらの系の組み合わせであり;
Arは各々の出現において、同一または異なっており、5ないし30の芳香環原子を有する芳香環系または複素芳香環系であり、これらは1以上の非芳香族基R で置換されていてもよく;ここで同一の窒素またはリン原子に結合した2つの基Arは、単結合またはB(R )、C(R 、Si(R 、C=O、C=NR 、C=C(R 、O、S、S=O、SO 、N(R )、P(R )およびP(=O)R から選択されるブリッジによって互いに連結していてもよく;
は各々の出現において、同一または異なっており、H、Dまたは1ないし20のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素芳香族炭化水素基であり、さらにH原子はFで置換されていてもよく;ここで2以上の隣接置換基R は互いに単環または多環の脂肪族または芳香環系を形成してもよく;
mは0、1、2または3であり;
pは各々の出現において、同一または異なっており、0、1、2または3である。)
.基板上に、第一、第二電極と、両電極に挟まれた正孔注入層、正孔輸送層および発光層を含む複数の有機機能層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機機能層の少なくとも一層が、一般式(2)で示されるアザカリックスアレーン誘導体を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1つに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005521753
(一般式中Ar′は、各々芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を示し、nは1〜4の整数を表す。R(n)はピリジル基に任意の数置換する置換基を示す。)
.前記アザカリックスアレーン誘導体が、前記有機機能層の正孔輸送層中に含有されることを特徴とする前記1〜4のいずれか1つに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記正孔注入層が、酸を含むことを特徴とする前記1〜のいずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記アザカリックスアレーン誘導体が、前記正孔輸送層中に10〜50質量%含有されることを特徴とする前記またはに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記発光層が、白色の燐光発光する発光層を有することを特徴とする前記1〜のいずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明により、発光寿命が長く、且つ、経時の素子安定性に優れる有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができた。
本発明に係る有機EL素子においては、請求項1に記載の化合物を有機機能層のいずれか一層に含有させることにより、駆動経時の電圧上昇、及び色度変化を抑制した素子を提供することができた。
以下本発明の有機EL素子の各構成要素について、順次説明する。
《アザカリックスアレーンおよび一般式(1)、(2)で表される化合物》
本発明に係るアザカリックスアレーンとは、本発明の有機機能層の少なくとも1層に含有される。通常カリックスアレーンとはフェノール環をメチレン鎖で連結し、環状構造を形成している化合物であり、その芳香環に置換した水酸基が空孔状になっている、あるいは芳香環が傘状に広がっているような特異な骨格から金属の陽イオンやフラーレンを補足することが可能である化合物だが、フェノール環を含窒素芳香環に置き換えることで陽イオンだけでなくプロトン等を効果的に補足する特異性を付与できることが、例えば、有機合成化学協会誌、67巻、898項(2009年)で報告されている。
環の連結をメチレンから窒素原子に置き換えた一般式(1)、(2)で示されるアザカリックスアレーン誘導体ではトリアリールアミン骨格が形成される。そのため有機ELで一般的に正孔輸送材料として用いられるTPDのようにキャリア輸送能を発現し、不純物補足能とキャリア輸送能の二つの特性を満たす材料であることを発明者らは見出した。その結果、不純物の拡散を抑制した効果から、有機EL素子の駆動経時における電圧の上昇を抑制する効果を見出した。また、それに加え駆動経時での色度変化も抑制できることが併せて明らかとなった。
本発明の材料は優れたキャリア輸送性を有することから、いずれの層で用いても良く、複数の層に渡って用いても構わないが、少なくとも正孔輸送層に用いることがより好ましい。また、既存の有機機能材料と混合して用いても、単独で用いても構わないが、既知の材料に10〜50質量%の割合で混合して用いる方がより好ましい。
一般式(1)における、Arで各々表される、二価の、窒素を含む芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、キノリル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基等が挙げられるが、一般式(2)に示されるようにピリジル基がより好ましい。
これらの窒素を含む芳香族複素環基にはそれぞれ、置換基R(n)が、任意の数(0〜3)置換されていてもよい。また、複数置換される場合R(n)はそれぞれ異なっていても良い。
置換基(R(n))の具体例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、イソプロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭化水素環基、芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(1),(2)における、Ar′で各々表される芳香族炭化水素環基(アリール基または芳香族炭化水素基ともいう)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
一般式(1),(2)における、Ar′で各々表される芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、チアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。
これらの芳香族炭化水素環基や芳香族複素環基には置換基が導入されていても良く、その具体例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、イソプロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭化水素環基、芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式中Ar′は各々の構造が全て同じものでも良く、全て異なっていても良い。
また、一般式(1)、(2)において、nは1〜4の整数を表すが、1〜2であることが好ましい。
以下に一般式(1)、(2)の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005521753
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本発明に用いられるアザカリックスアレーン誘導体は、有機合成化学協会誌、67巻、898項(2009年)に記載された方法に準じて合成することができる。
《有機EL素子の層構成》
次に、本発明の有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/陰極
(ii)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(iv)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
この内、陽極と陰極を除いた各層を総称して有機機能層とも言う。
以下に各層について説明する。
《発光層》
発光層とは、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよいが、層間での励起子の失活等が考えられることから発光層の層内であることが好ましい。
発光層の膜厚は特に制限はないが、形成する膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、且つ駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2〜200nmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは5〜100nmの範囲に調整される。
以下に発光層に含まれるホスト化合物(発光ホストとも言う)と発光ドーパントについて説明する。
《ホスト化合物》
本発明に用いられるホスト化合物について説明する。
ここで、本発明においてホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内でその層中での質量比が20%以上であり、且つ室温(25℃)においてりん光発光のりん光量子収率が0.1未満の化合物である。好ましくはりん光量子収率が0.01未満である。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光ドーパントを複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
以下に、ホスト化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005521753
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また、本発明に用いられる発光ホストとしては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位を持つ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(重合性発光ホスト)でも良い。
ホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、なお且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。ホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物も挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
《発光ドーパント》
本発明に係る発光ドーパントについて説明する。
本発明に係る発光ドーパントとしては、蛍光ドーパント、りん光ドーパントを用いることができるが、より発光効率の高い有機EL素子を得る観点からは、有機EL素子の発光層や発光ユニットに使用される発光ドーパントとして、上記のホスト化合物を含有すると同時にりん光ドーパントを含有することが好ましい。
りん光ドーパントは、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
本発明に係るりん光ドーパントとしては、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
以下に、りん光ドーパントとして用いられる化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。
Figure 0005521753
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《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
また、高分子バッファー層には導電性向上のためにポリスチレンスルホン酸(PSS)のような酸をドープすることが一般的に良く用いられる。しかしながら、ドープした酸等の不純物が加熱や電圧印加等で素子内部に拡散し、素子性能に悪影響を与えることが懸念される。
正孔注入層の膜厚は特に制限はないが、形成する膜の均質性の観点から、2〜200nmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは5〜100nmの範囲に調整される。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
注入層中に不純物が拡散することで駆動経時での素子安定性が劣化する可能性が考えられるが、その抑制手段として、本発明に係る一般式(1)に示されるアザカリックスアレーン誘導体を用いると、性能向上する。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係わる正孔阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
正孔阻止層には、前述のホスト化合物として挙げたアザカルバゾール誘導体を含有することが好ましい。
また、本発明においては、複数の発光色の異なる複数の発光層を有する場合、その発光極大波長が最も短波にある発光層が、全発光層中、最も陽極に近いことが好ましいが、このような場合、該最短波層と該層の次に陽極に近い発光層との間に正孔阻止層を追加して設けることが好ましい。更には、該位置に設けられる正孔阻止層に含有される化合物の50質量%以上が、前記最短波発光層のホスト化合物に対しそのイオン化ポテンシャルが0.3eV以上大きいことが好ましい。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは5〜30nmである。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著 文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることからこれらの材料を用いることが好ましい。
本発明に係る正孔輸送層においては一般式(1)に示されるようなアザカリックスアレーン誘導体を用いることで正孔輸送特性を保持しつつプロトンの捕捉が可能な正孔輸送層を形成することができる。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
本発明に係る正孔輸送層は、アザカリックスアレーン誘導体を任意の割合で混合し、正孔輸送能と不純物の捕捉能の二つの機能を有する構造にすることが好ましい。
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。
また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をゲスト材料としてドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
本発明に係る電子輸送層は、アザカリックスアレーン誘導体を任意の割合で混合し、電子輸送能と不純物の捕捉能の二つの機能を有する構造にすることが好ましい。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《基板》
本発明の有機EL素子に用いることのできる基板(以下、支持基板とも言う)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。基板側から光を取り出す場合には、基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(JSR製)あるいはアペル(三井化学製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、水蒸気透過度が0.01g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には酸素透過度10−3cm/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度10−5cm/(m・24h・atm)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し量子効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=(有機EL素子外部に発光した光子数)/(有機EL素子に流した電子数)×100である。
カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、また、有機EL素子からの発光色を、蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
《封止》
本発明の有機EL素子の封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、有機EL素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。更には、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3cm/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m/24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。
これらの膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法は、陽極と陰極に挟まれた有機機能層をドライプロセスやウェットプロセスいずれを用いて製膜しても良いが、生産性の観点からウェットプロセスで成膜することが好ましい。有機積層体全てをウェットプロセスで形成することもまた好ましい。本発明でいうウェットプロセスとは、層を形成する際に層形成材料を溶液の形態で供給し、層形成を行うものである。
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法を説明する。
まず、適当な基板上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ陽極を作製する。
次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔阻止層等の有機化合物薄膜(有機層)を形成させる。
これら各層の形成方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、ダイコート法、キャスト法、インクジェット法、スプレー法、印刷法)等がある。更には均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、本発明においてはスピンコート法、ダイコート法、インクジェット法、スプレー法、印刷法等の塗布法による成膜が好ましい。
本発明の有機EL素子をウェットプロセスで作製する際に、材料を溶解または分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ペンタノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、アニソール等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒や、あるいは水を用いることができる。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
また、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量且つ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
《光取り出し》
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光の内15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)、有機EL素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた有機EL素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また、更に1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚みは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が1次の回折や2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光の内、層間での全反射等により外に出ることができない光をいずれかの層間、もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期的屈折率を持っていることが望ましい。これは発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がそれほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては、前述の通りいずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。
回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、二次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
《集光シート》
本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に、例えば一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を二次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば、基板に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
《用途》
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることを言う。本発明の有機EL素子の発光層には、発光ホスト化合物とゲスト材料としての発光ドーパントの少なくとも一種を含有することが好ましい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
また、以下に実施例で使用する化合物の構造を示す。
Figure 0005521753
《有機EL素子101の作製》
陽極として、100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm製膜した基板にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をノルマルプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板を真空蒸着装置に取付け、真空層を4×10−4Paまで減圧し、化合物HI−1を蒸着にて製膜を行い、厚さ20nmの正孔注入層(HIL)とした。次に、化合物HT−1を蒸着にて製膜を行い、厚さ20nmの正孔輸送層(HTL)とした。さらに化合物Ir−15(D−1)が膜厚比で16%になるように化合物H−27と化合物Ir−15を共蒸着し、厚さ40nmの発光層(EML)を形成した。また、化合物ET−1を蒸着で成膜を行い、厚さ20nmの電子輸送層(ETL)とした。その後に電子注入層としてLiFを1nmで成膜し、アルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子101を作製した。
《有機EL素子102〜126の作製》
有機EL素子101の作製において、下記表1の通り、化合物Az−1(CuI)、Az−1(W(CO))、Az−1(MoO)および表1に記載の化合物Az−1〜46から選ばれた本発明化合物が膜厚比でそれぞれ10%になるように化合物HT−1と共蒸着して、厚さ20nmの正孔輸送層を形成した以外は同様にして、有機EL素子102〜126を作製した。
《有機EL素子の評価》
作製した有機EL素子について、下記のようにして半減輝度到達時電圧上昇および半減輝度到達時色差の評価を行った。
(半減輝度到達時電圧上昇(Vt))
作製した有機EL素子に対し、正面輝度2000cd/mとなるような電流を与え、正面輝度が初期の半減値(1000cd/m)になるまで連続駆動し、駆動終了時から駆動直後の電圧の差を半減輝度到達時電圧上昇として求め、結果をA〜Dに分類した。
A:半減輝度到達時電圧上昇が0.5V未満
B:半減輝度到達時電圧上昇が0.5V以上1.0V未満
C:半減輝度到達時電圧上昇が1.0V以上2.0V未満
D:半減輝度到達時電圧上昇が2.0V以上
(半減輝度到達時色差(ΔEuv))
作製した有機EL素子に対し、正面輝度2000cd/mとなるような電流を与え、正面輝度が初期の半減値(1000cd/m)になるまで連続駆動し、駆動終了時から駆動直後の色度の差ΔEuvを半減輝度到達時色差として求め、結果をA〜Cに分類した。
A:半減輝度到達時色差が0.005未満
B:半減輝度到達時色差が0.005以上0.01未満
C:半減輝度到達時色差が0.01以上
なお、輝度および色度の測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。
Figure 0005521753
表1記載の結果の通り、正孔輸送層に一般式(1)および(2)に記載されるアザカリックスアレーン類を共蒸着することにより、半減輝度到達時の電圧上昇と色変動が抑制されており、駆動経時での素子安定性が向上していることがわかる。また、一般式(2)に記載されるアザカリックスアレーン類を用い、より素子安定性が向上していることも併せて明らかとなっている。
さらに、予め金属が包摂されているアザカリックスアレーン類を用いた場合は駆動経時の安定性が向上しないことがわかる。
《有機EL素子201の作製》
有機EL素子101の作製において、化合物Az−1が膜厚比で10%になるようにAz−1と化合物ET−1を共蒸着し、厚さ20nmの電子輸送層を形成した以外は同様にして、有機EL素子201を作製した。
《有機EL素子202の作製》
有機EL素子101の作製において、化合物Az−1が膜厚比で10%になるように化合物Az−1と化合物HI−1を共蒸着し、厚さ20nmの正孔注入層を形成した以外は同様にして、有機EL素子202を作製した。
《有機EL素子203の作製》
有機EL素子101の作製において、化合物Az−1が膜厚比で10%かつ化合物Ir−15が膜厚比で16%になるようにAz−1とIr−15と化合物H−27とを共蒸着し、厚さ40nmの発光層を形成した以外は同様にして、有機EL素子203を作製した。
《有機EL素子204の作製》
有機EL素子101の作製において、化合物Az−1が膜厚比で10%になるようにAz−1と化合物HT−1を共蒸着し、厚さ20nmの正孔輸送層を形成し、かつAz−1が膜厚比で10%になるようにAz−1と化合物ET−1を共蒸着し、電子輸送層とした以外は同様にして、有機EL素子204を作製した。
《有機EL素子の評価》
作製した有機EL素子について、有機EL素子101〜126と同様にして半減輝度到達時電圧上昇および半減輝度到達時色差の評価を行った。
Figure 0005521753
表2記載の結果の通り、正孔輸送層以外の各層に本発明で係るアザカリックスアレーン類を共蒸着することでも、半減輝度到達時の電圧上昇と色変動が抑制されていることが分かる。
《有機EL素子301〜305の作製》
有機EL素子105の作製において、化合物Az−1膜厚比で下記表3に示す膜厚比で化合物HT−1と共蒸着し、厚さ20nmの正孔輸送層を形成した以外は同様にして、有機EL素子301〜305を作製した。
《有機EL素子の評価》
作製した有機EL素子について、実施例101〜126と同様にして半減輝度到達時電圧上昇および半減輝度到達時色差の評価を行った。
Figure 0005521753
表3記載の結果の通り、有機機能層内に膜厚比を変化させながらアザカリックスアレーン類を用いた場合、いずれも経時駆動の安定性が向上していることがわかる。
《有機EL素子401の作製》
陽極として、100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm製膜した基板にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をノルマルプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの正孔注入層を設けた。
次いで、基板を窒素雰囲気下のグローブボックスへと移動し、グローブボックス中で発光ホスト化合物であるH−27(100mg)と発光ドーパント化合物であるIr−15(19mg)とを酢酸ノルマルプロピル10mlに溶解させた溶液を用いて、1500rpm、30秒の条件下でスピンコート(膜厚約50nm)し、120℃、30分間窒素下で乾燥し、発光層とした。
さらに、化合物ET−1(50mg)を2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール10mlに溶解させた溶液を用いて、1500rpm、30秒の条件化でスピンコート(膜厚約20nm)し、120℃、30分間窒素下で乾燥し、電子輸送層を形成した。
その後、基板を真空蒸着装置に取付け、真空槽を4×10−4Paまで減圧し、電子注入層としてLiFを1nmで成膜し、アルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子401を作製した。
《有機EL素子402の作製》
有機EL素子401の作製において、正孔注入層を形成後、グローブボックスへと移動し、化合物HT−2(50mg)をモノクロロベンゼン10mlに溶解させた溶液を用いて1500rpm、30秒の条件下でスピンコート(膜厚約20nm)し、160℃、30分間窒素下で乾燥し、正孔輸送層とした以外は同様にして有機EL素子402を作製した。
《有機EL素子403〜406の作製》
有機EL素子402の作製において、下記表4の通り、化合物HT−2(45mg)と、アザカリックスアレーン類Az−1(CuI)、Az−1(W(CO))、Az−1(MoO)およびAz−1(5mg)とをモノクロロベンゼン10mlに溶解させた溶液を用いて1500rpm、30秒の条件下でスピンコート(膜厚約20nm)し、160℃、30分間窒素下で乾燥し、正孔輸送層とした以外は同様にして有機EL素子403〜406を作製した。
《有機EL素子の評価》
作製した有機EL素子について、実施例101〜126と同様にして半減輝度到達時電圧上昇および半減輝度到達時色差の評価を行った。
Figure 0005521753
表4記載の結果の通り、正孔注入層に酸を発生する化合物を使用した場合でも有機機能層中に本発明で係るアザカリックスアレーン類を用いることで、半減輝度到達時の電圧上昇と色変動が抑制されていることが分かる。また、アザカリックスアレーン類が予め金属と包接錯体を形成している場合は上記効果が発現しないことも明らかとなっている。
《有機EL素子501〜505の作製》
前記有機EL素子402の作製において、下記表5に示す通りにアザカリックスアレーン類とHT−2の混合比率(質量%)を変化させた以外は同様にして有機EL素子501〜505を作製した。
《有機EL素子の評価》
作製した有機EL素子について、実施例101〜126と同様にして半減輝度到達時電圧上昇および半減輝度到達時色差の評価を行った。
Figure 0005521753
表5記載の結果の通り、正孔輸送層中に含まれるアザカリックスアレーン類の比率を変更した場合でも駆動経時での安定性が向上していることがわかる。
《有機EL素子601の作製》
有機EL素子402の作製において、発光ホストであるH−27(100mg)と緑色発光ドーパント化合物であるIr−1(10mg))とを酢酸ノルマルプロピル10mlに溶解させた溶液を用いて、1500rpm、30秒の条件下でスピンコート(膜厚約50nm)し、120℃、30分間窒素下で乾燥し、緑色発光層とした以外は同様にして、有機EL素子601を作製した。
《有機EL素子602の作製》
有機EL素子402の作製において、発光ホストであるH−27(100mg)と赤色発光ドーパント化合物であるIr−14(10mg))とを酢酸ノルマルプロピル10mlに溶解させた溶液を用いて、1500rpm、30秒の条件下でスピンコート(膜厚約50nm)し、120℃、30分間窒素下で乾燥し、赤色発光層とした以外は同様にして、有機EL素子602を作製した。
《有機EL素子603の作製》
有機EL素子402の作製において、発光ホスト化合物であるH−27(100mg)と青色発光ドーパント化合物であるIr−15(10mg)と緑色発光ドーパント化合物であるIr−1(0.2mg)と赤色発光ドーパント化合物であるIr−4(0.2mg)とを酢酸ノルマルプロピル10mlに溶解させた溶液を用いて、1500rpm、30秒の条件下でスピンコート(膜厚約50nm)し、120℃、30分間窒素下で乾燥し、白色発光層とした以外は同様にして、有機EL素子603を作製した。
《有機EL素子604〜606の作製》
有機EL素子601〜603の作製において、それぞれ化合物HT−2(45mg)と、アザカリックスアレーンAz−1(5mg)とをモノクロロベンゼン10mlに溶解させた溶液を用いて1500rpm、30秒の条件下でスピンコート(膜厚約20nm)し、160℃、30分間窒素下で乾燥し、正孔輸送層とした以外は同様にして有機EL素子604〜606を作製した。
《有機EL素子の評価》
作製した有機EL素子について、実施例101〜126と同様にして半減輝度到達時電圧上昇および半減輝度到達時色差の評価を行った。
Figure 0005521753
表6記載の結果の通り、青色発光だけでなく、緑発光ドーパントや赤発光ドーパントを使用した場合、また上記各色ドーパントを組み合わせた白色発光素子の場合でも本発明で係るアザカリックスアレーン類を用いることで半減輝度到達時の電圧上昇と色変動が抑制されていることが分かる。

Claims (8)

  1. 基板上に、第一、第二電極と、両電極に挟まれた正孔注入層、正孔輸送層および発光層を含む複数の有機機能層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機機能層の少なくとも一層が、一般式(1)で示されるアザカリックスアレーン誘導体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005521753
    (一般式中Arは窒素を含む二価の芳香族複素環基を示し、Ar′は、各々芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を示し、一般式中nは1〜4の整数である。但し、以下の化合物Aを除く。
    Figure 0005521753
  2. 基板上に、第一、第二電極と、両電極に挟まれた正孔注入層、正孔輸送層および発光層を含む複数の有機機能層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機機能層の少なくとも一層が、一般式(1)で示されるアザカリックスアレーン誘導体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005521753
    (一般式中Arは窒素を含む二価の芳香族複素環基を示し、Ar′は、各々芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を示し、一般式中nは1〜4の整数である。但し、以下の一般式(3)で示される化合物を除く。)
    Figure 0005521753
    (ここで、一般式(3)用いられる記号および添字に以下が適用される:
    Yは各々の出現において、同一または異なっており、B(R 、C(R 、NR 、O、S、C(=O)、C=C(R 、S(=O)、S(=O) 、P(=O)(R からなる群より選択される2価の基、または1以上の基R によって置換されていてもよい、5ないし18の芳香環原子を有する2価の芳香環系または複素芳香環系であり;
    Rは各々の出現において、同一または異なっており、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R 、N(Ar) 、C(=O)Ar、P(=O)(Ar) 、S(=O)Ar、S(=O) Ar、CR =CR Ar、CN、NO 、Si(R 、B(OR 、B(R 、B(Ar) 、B(N(R 、OSO 、1ないし40のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2ないし40のC原子を有する直鎖のアルケニルもしくはアルキニル基または3ないし40のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であり、これらの各々は1以上の基R で置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH 基はR C=CR 、C≡C、Si(R 、Ge(R 、Sn(R 、C=O、C=S、C=Se、C=NR 、P(=O)(R )、SO、SO 、NR 、O、SまたはCONR で置換されていてもよく、ここで1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNO で置換されていてもよい、または5ないし60の芳香環原子を有する芳香環系もしくは複素芳香環系であり、これらは各々の場合に1以上の基R で置換されていてもよい、または5ないし60の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり、これらは各々の場合に1以上の基R で置換されていてもよい、またはこれらの系の組み合わせであり;
    は各々の出現において、同一または異なっており、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R 、N(Ar) 、C(=O)Ar、P(=O)(Ar) 、S(=O)Ar、S(=O) Ar、CR =CR Ar、CN、NO 、Si(R 、B(OR 、B(R 、B(N(R 、OSO 、1ないし40のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2ないし40のC原子を有する直鎖のアルケニルもしくはアルキニル基または3ないし40のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であり、これらの各々は1以上の基R で置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH 基はR C=CR 、C≡C、Si(R 、Ge(R 、Sn(R 、C=O、C=S、C=Se、C=NR 、P(=O)(R )、SO、SO 、NR 、O、SまたはCONR で置換されていてもよく、ここで1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNO で置換されていてもよい、または5ないし60の芳香環原子を有する芳香環系もしくは複素芳香環系であり、これらは各々の場合に1以上の基R で置換されていてもよい、または5ないし60の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり、これらは1以上の基R で置換されていてもよい、またはこれらの系の組み合わせであり;
    Arは各々の出現において、同一または異なっており、5ないし30の芳香環原子を有する芳香環系または複素芳香環系であり、これらは1以上の非芳香族基R で置換されていてもよく;ここで同一の窒素またはリン原子に結合した2つの基Arは、単結合またはB(R )、C(R 、Si(R 、C=O、C=NR 、C=C(R 、O、S、S=O、SO 、N(R )、P(R )およびP(=O)R から選択されるブリッジによって互いに連結していてもよく;
    は各々の出現において、同一または異なっており、H、Dまたは1ないし20のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素芳香族炭化水素基であり、さらにH原子はFで置換されていてもよく;ここで2以上の隣接置換基R は互いに単環または多環の脂肪族または芳香環系を形成してもよく;
    mは0、1、2または3であり;
    pは各々の出現において、同一または異なっており、0、1、2または3である。)
  3. 基板上に、第一、第二電極と、両電極に挟まれた正孔注入層、正孔輸送層および発光層を含む複数の有機機能層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機機能層の少なくとも一層が、一般式(1)で示されるアザカリックスアレーン誘導体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005521753
    (一般式中Arは窒素を含む二価の芳香族複素環基を示し、Ar′は、各々芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を示し、一般式中nは1〜4の整数である。但し、以下の一般式(4)で示される化合物を除く。)
    Figure 0005521753
    (ここで、一般式(4)用いられる記号および添字に以下が適用される:
    Xは各々の出現において、同一または異なっており、CR またはNであり;
    Yは各々の出現において、同一または異なっており、B(R 、C(R 、NR 、O、S、C(=O)、C=C(R 、S(=O)、S(=O) 、P(=O)(R からなる群より選択される2価の基、または1以上の基R によって置換されていてもよい、5ないし18の芳香環原子を有する2価の芳香環系または複素芳香環系であり;
    Rは各々の出現において、同一または異なっており、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R 、N(Ar) 、C(=O)Ar、P(=O)(Ar) 、S(=O)Ar、S(=O) Ar、CR =CR Ar、CN、NO 、Si(R 、B(OR 、B(R 、B(Ar) 、B(N(R 、OSO 、1ないし40のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2ないし40のC原子を有する直鎖のアルケニルもしくはアルキニル基または3ないし40のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であり、これらの各々は1以上の基R で置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH 基はR C=CR 、C≡C、Si(R 、Ge(R 、Sn(R 、C=O、C=S、C=Se、C=NR 、P(=O)(R )、SO、SO 、NR 、O、SまたはCONR で置換されていてもよく、ここで1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNO で置換されていてもよい、または5ないし60の芳香環原子を有する芳香環系もしくは複素芳香環系であり、これらは各々の場合に1以上の基R で置換されていてもよい、または5ないし60の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり、これらは各々の場合に1以上の基R で置換されていてもよい、またはこれらの系の組み合わせであり;
    は各々の出現において、同一または異なっており、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R 、N(Ar) 、C(=O)Ar、P(=O)(Ar) 、S(=O)Ar、S(=O) Ar、CR =CR Ar、CN、NO 、Si(R 、B(OR 、B(R 、B(N(R 、OSO 、1ないし40のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2ないし40のC原子を有する直鎖のアルケニルもしくはアルキニル基または3ないし40のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であり、これらの各々は1以上の基R で置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH 基はR C=CR 、C≡C、Si(R 、Ge(R 、Sn(R 、C=O、C=S、C=Se、C=NR 、P(=O)(R )、SO、SO 、NR 、O、SまたはCONR で置換されていてもよく、ここで1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNO で置換されていてもよい、または5ないし60の芳香環原子を有する芳香環系もしくは複素芳香環系であり、これらは各々の場合に1以上の基R で置換されていてもよい、または5ないし60の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり、これらは1以上の基R で置換されていてもよい、またはこれらの系の組み合わせであり;
    Arは各々の出現において、同一または異なっており、5ないし30の芳香環原子を有する芳香環系または複素芳香環系であり、これらは1以上の非芳香族基R で置換されていてもよく;ここで同一の窒素またはリン原子に結合した2つの基Arは、単結合またはB(R )、C(R 、Si(R 、C=O、C=NR 、C=C(R 、O、S、S=O、SO 、N(R )、P(R )およびP(=O)R から選択されるブリッジによって互いに連結していてもよく;
    は各々の出現において、同一または異なっており、H、Dまたは1ないし20のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素芳香族炭化水素基であり、さらにH原子はFで置換されていてもよく;ここで2以上の隣接置換基R は互いに単環または多環の脂肪族または芳香環系を形成してもよく;
    mは0、1、2または3であり;
    pは各々の出現において、同一または異なっており、0、1、2または3である。)
  4. 基板上に、第一、第二電極と、両電極に挟まれた正孔注入層、正孔輸送層および発光層を含む複数の有機機能層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機機能層の少なくとも一層が、一般式(2)で示されるアザカリックスアレーン誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005521753
    (一般式中Ar′は、各々芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を示し、nは1〜4の整数を表す。R(n)はピリジル基に任意の数置換する置換基を示す。)
  5. 前記アザカリックスアレーン誘導体が、前記有機機能層の正孔輸送層中に含有されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記正孔注入層が、酸を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記アザカリックスアレーン誘導体が、前記正孔輸送層中に10〜50質量%含有されることを特徴とする請求項またはに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記発光層が、白色の燐光発光する発光層を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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