JP5669582B2 - グルカゴンアンタゴニスト - Google Patents

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Description

天然グルカゴンは、肝臓におけるグルコースの合成及び代謝の増強を介して血中グルコースレベルを調節する、29アミノ酸のペプチドである。したがって、内因性グルカゴン作用の抑制は、糖尿病のような過剰グルコース産生により特徴付けられる状態を治療する薬剤の開発のための標的になってきた。
グルカゴンは、一般に、インスリンの作用に対抗する対抗制御ホルモンとして機能して、特に低血糖の場合に血中グルコースレベルを維持する。しかし、一部の1型又は2型糖尿病の患者では、絶対的又は相対的に上昇したグルカゴンレベルが低血糖状態に寄与することが示されている。健康な対照動物と1型及び2型糖尿病の動物モデルの両方において、選択的及び特異的抗体による循環グルカゴンの除去は、血糖レベルの低下をもたらした(Brand et al., Diabetologia 37, 985 (1994); Diabetes 43, [suppl 1], 172A (1994); Am. J. Physiol. 269, E469-E477 (1995); Diabetes 44 [suppl 1], 134A (1995); Diabetes 45, 1076 (1996))。これらの研究は、グルカゴンアンタゴニスト作用が糖尿病の血糖制御に有用でありうることを示唆している。
グルカゴンは、7膜貫通Gタンパク質共役受容体ファミリーのグルカゴン−セクレチンブランチの一部である受容体に結合し、それを活性化することによって、作用を発揮する。受容体は、アデニリルシクラーゼを活性化するように機能して、cAMPレベルの増加をもたらす。以前の報告は、ペプチドに基づいた(Unson, C. G. et al. (1989) J. Biol. Chem. 264, 789-94, Ahn, J. et al. (2001) J. Peptide Research 58, 151-8 and Ahn J. et al. (2001) J. Med. Chem. 44, 1372-9を参照すること)、並びにヌクレオチドに基づいた(Sloop K. et al. (2004) J. Clinical Invest. 113, 1571-81)グルカゴンアンタゴニストを同定している。ペプチドに基づいた阻害は、受容体結合のレベルで作用し、一方、後者は、グルカゴン受容体に特異的な細胞内mRNAを抑制するように機能する。
グルカゴン受容体のインヒビターが記載されており、一般にグルカゴンのアミノ酸配列に基づいている。1個以上のアミノ酸が欠失して又は置換されてグルカゴン受容体の強力なアンタゴニストを産生する幾つかの類縁体が記載されており、例えば〔des His〕〔Glu〕−グルカゴンアミド(Unson et al., (1989) Peptides 10, 1171; Post et al., (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 1662)、des His,Phe〔Glu〕−グルカゴンアミド(Azizh et al., (1995) Bioorg. & Med. Chem. Lett. 16, 1849)及びNle,Ala11,16−グルカゴンアミド(Unson et al. (1994) J. Biol. Chem. 269(17), 12548)である。他の類縁体には、グルカゴン配列の4位(Ahn J M et al. (2001) J. Pept. Res. 58(2): 151-8)、1位(Dharanipragada, R. et al. (1993) Int. J. Pept. Res. 42(1): 68-77)、並びに4、5、12、17及び18位(Gysin B et al. 1986. Biochemistry. 25(25):8278-84)に置換のあるものが含まれる。
本明細書に記載されているように、天然グルカゴンペプチドの修飾を表す極めて強力なグルカゴンアンタゴニストが提供される。より詳細には、新規グルカゴンアンタゴニストは、天然グルカゴン配列のN末端の新規化学修飾を表し、見かけのアゴニスト活性を示さない高度に特異的なアンタゴニストを産生する。これらの化合物を、グルカゴンアゴニスト作用の抑制が望ましいあらゆる状況に使用することができる。一つの実施態様によると、この化合物を糖尿病の治療に使用することができる。
一つの実施態様によると、純粋なグルカゴンアンタゴニスト活性を有するグルカゴンの類縁体が提供される。グルカゴンアンタゴニストを、グルカゴン作動の抑制が望ましいあらゆる状況に使用することができる。最も直接的で見かけの使用は糖尿病の治療におけるものであり、高血糖症の前臨床モデルで血中グルコースの低下をもたらすグルカゴンアンタゴニスト作用が実証されている。これらのグルカゴンアンタゴニストを更に修飾して、母体化合物のアンタゴニスト活性を維持しながら、化合物の生物物理学的安定性及び/又は水性溶解度を改善することができる。
一つの実施態様によると、N末端からの最初の2〜5個のアミノ酸残基の欠失と、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、システインのスルホン酸誘導体、及び下記構造:
〔ここで、Xは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル若しくはC〜Cアルキニルである〕
を有するシステインのアルキルカルボキシレート誘導体からなる群より選択されるアミノ酸による天然ペプチドの9位のアスパラギン酸の置換とによって修飾されている天然グルカゴンペプチドを含む、グルカゴンアンタゴニストが提供される。
一つの実施態様において、システインのスルホン酸誘導体は、システイン酸又はホモシステイン酸である。一つの実施態様において、C末端のアミノ酸における天然のカルボン酸は、アミド又はエステルのような電荷中性基に代えられている。
別の実施態様において、N末端からの最初の5個のアミノ酸残基の欠失と、天然のN末端のアミノ酸をヒドロキシル基に代える残りのN末端のアミノ酸(フェニルアラニン)の修飾(すなわち、N末端フェニル−乳酸(PLA))とによって修飾されている天然グルカゴンペプチドを含む、グルカゴンアンタゴニストが提供される(本明細書において、PLA6類縁体と呼ばれる)。PLA6類縁体は、最初の5個のアミノ酸の欠失を含むがN末端天然フェニルアラニンを保持する類縁体と比べて、親和性を3倍に増加させ、アンタゴニスト作用の潜在能力を増加させる。更なる実施態様において、天然タンパク質の9位のアスパラギン酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、システインのスルホン酸誘導体、及び下記構造:
〔ここで、Xは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル若しくはC〜Cアルキニルである〕
を有するシステインのアルキルカルボキシレート誘導体からなる群より選択されるアミノ酸から構成されている。
一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号36、配列番号37及び配列番号38からなる群より選択される配列を含み、一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、配列番号7又は8の配列を含む。
一つの実施態様によると、ポリエチレングリコール鎖が11、12、16、19若しくは24位又はN−若しくはC末端のアミノ酸でアミノ酸と共有結合しているペプチドであって、配列番号7又は配列番号37の配列を含むグルカゴンアンタゴニストが提供される。一つの実施態様において、ポリエチレングリコール鎖が、配列番号9の11位、配列番号10の16位、配列番号11の19位又は配列番号12の11と19の両方の位置でアミノ酸に共有結合している、配列番号9、配列番号10、配列番号11又は配列番号12の配列を含むグルカゴンアンタゴニストが提供される。一つの実施態様において、約1,000〜約5,000ダルトンの範囲から選択される分子量を有する単一ポリエチレングリコール鎖が、グルカゴンアンタゴニストペプチドに共有結合している。別の実施態様において、少なくとも20,000ダルトンの分子量を有する単一ポリエチレングリコール鎖が、グルカゴンアンタゴニストペプチドに共有結合している。あるいは、グルカゴンアンタゴニストは、配列番号12の配列を含み、11と19の両方の位置でアミノ酸に共有結合しているポリエチレングリコール鎖を有し、ここで2つのポリエチレングリコール鎖の合わせた分子量は、約1,000〜約5,000ダルトンであるか又は20,000ダルトンを超える。
一つの実施態様において、配列番号7、配列番号8、配列番号36、配列番号39又は配列番号40のペプチドのカルボキシ末端のアミノ酸が、配列番号19の配列(GPSSGAPPPS)を含む第2のペプチドに共有結合しているグルカゴンアンタゴニストが提供される。これらの化合物を、PEG基と、配列番号7、配列番号8、配列番号36、配列番号39又は配列番号40における11、16、19位から選択される位置でのグルカゴン類縁体との共有結合により更に修飾することができる。一つの実施態様において、配列番号7、配列番号8、配列番号36、配列番号39又は配列番号38のペプチドのカルボキシ末端のアミノ酸が、配列番号53の配列を含む第2のペプチドに共有結合しているグルカゴンアンタゴニストが提供される。
一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは本明細書に記載される構造A−B−Cを含み、ここでAは、
(i)フェニル乳酸(PLA);
(ii)PLAのオキシ誘導体;
(iii)連続した2個のアミノ酸がエステル又はエーテル結合を介して結合しているアミノ酸2〜6個のペプチド
からなる群より選択され;
Bは、配列番号1のアミノ酸i−26を表し(ここでiは、3、4、5、6又は7である)、更に、本明細書において更に記載される1つ以上のアミノ酸修飾を含んでもよく、そして
Cは、
(x)X;
(xi)X−Y;
(xii)X−Y−Z;
(xiiI)X−Y−Z−R10
(ここでXは、Met、Leu又はNleであり;Yは、Asn又は荷電アミノ酸であり;Zは、Thr、Gly、Cys、Lys、オルニチン(Orn)、ホモシステイン、アセチル−フェニルアラニン(Ac−Phe)又は荷電アミノ酸であり、R10は、配列番号19〜21及び53からなる群より選択される);
(xiv)C末端カルボキシレートがアミドで置換されている(x)〜(xiii)のいずれか
からなる群より選択される。
別の実施態様において、天然グルカゴンの1〜5個のN末端のアミノ酸を欠失している及び/又はPLAを含んでいる前述のいずかのグルカゴンアンタゴニストの可溶性は、荷電アミノ酸をペプチドのC末端部分、好ましくはグルカゴンアンタゴニストのC末端から22位まで、に導入する置換及び/又は付加によりペプチドを修飾することによって改善することができる。更に、1、2又は3個の荷電アミノ酸を、C末端部分、好ましくは22位(天然グルカゴンの27位)からC末端まで、に導入してもよい。一つの実施態様によると、23及び/又は24位の天然アミノ酸が荷電アミノ酸で置換されている。また/或いは、更なる実施態様において、1〜3個の荷電アミノ酸もペプチドのC末端に付加されている。例示的な実施態様において、1、2個又は全ての荷電アミノ酸は、負に帯電している。一つの実施態様において、配列番号7又は配列番号8のグルカゴンアンタゴニストは更に修飾されて、23及び/又は24位で酸性アミノ酸置換を含む。一つの実施態様において、酸性アミノ酸は、アスパラギン酸又はグルタミン酸残基であり、グルカゴンアンタゴニストは、配列番号41の配列を含む。
更なる実施態様において、天然グルカゴンの1〜5個のアミノ酸を欠失している及び/又はPLAを含んでいるグルカゴンアンタゴニストの生理学的pHでの安定性は、10位のアスパラギン酸残基(天然グルカゴンの15位)を、Glu、システイン酸、ホモグルタミン酸又はホモシステイン酸から選択されるアミノ酸で置換することによって改善できる。一つの実施態様によると、そのようなグルカゴンアンタゴニストは、配列番号36又は配列番号40の配列を含む。
本明細書に記載されているいずれかのグルカゴンアンタゴニストは更に修飾されて、望ましい活性を保持する位置で1個以上のα,α−二置換アミノ酸を含むことができる。幾つかの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストの16、17、18、20、21、24又は29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の1、2、3、4つ又はそれ以上の位置は、α,α−二置換アミノ酸で置換されている。例えば、グルカゴンアンタゴニストは、アミノイソ酪酸(AIB)による16位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)での置換を含むことができる。幾つかの実施態様において、16、20、21又は24位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の1、2、3つ又はそれ以上の位置がAIBで置換されている。特定の態様において、1個以上のα,α−二置換アミノ酸を含むグルカゴンアンタゴニストは、C末端カルボキシレートを更に含む。
本明細書に記載されているいずれかのグルカゴンアンタゴニストは更に修飾されて、アシル基及び/又はアルキル基を含むことができ、ここでアシル又はアルキル基は、本明細書に記載されるように、スペーサーのアミノ酸に又はエステル、エーテル、チオエーテル、アミド若しくはアルキルアミン結合を介してグルカゴンアンタゴニストに結合している。
本明細書に記載されているいずれかのグルカゴンアンタゴニストを、グルカゴンペプチドのC末端の1又は2個のアミノ酸(すなわち、天然グルカゴンペプチドの29位又は28及び29位)の切断又は欠失により更に修飾することができる。
グルカゴンアンタゴニスト活性を依然として保持できるような更なる修飾、例えば保存的置換をグルカゴンアンタゴニストに行うことができる。したがって、本発明は、本明細書に開示されているいずれかのグルカゴン類縁体が更に修飾されて、2、3、4、5、6、7、8又は9つまでの更なるアミノ酸修飾を含むことができ、依然としてグルカゴンアンタゴニストの所望の活性レベルをグルカゴン受容体に対して保持できることを考慮する。
本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニストの二量体も本開示に包含される。一つの実施態様において、配列番号7、配列番号8、配列番号36、配列番号37、配列番号39及び配列番号40からなる群より独立して選択される2つのペプチドを含むグルカゴンアンタゴニスト二量体が提供され、ここで2つのグルカゴンアンタゴニストは、それぞれのペプチド鎖の11又は19位に独立して結合しているリンカーを介して互いに結合している。
一つの実施態様によると、本明細書に開示されている新規グルカゴンアンタゴニストを含む医薬組成物が提供される。一つの実施態様において、医薬組成物は、滅菌され多様な包装内に含有されている液剤を含む。医薬組成物は、患者に組成物を投与するための使い捨て装置を含むキットの一部として更に包装することができる。
一つの実施態様によると、予備処方された水性組成物を使用して高血糖症を素速く治療する方法が提供される。この方法は、本開示の新規修飾グルカゴンアンタゴニストを含む水性液剤の有効量を投与する工程を含む。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストはペグ化されており、PEG鎖は、約500〜約5,000ダルトンの分子量を有する。一つの実施態様において、修飾グルカゴン液剤は、高血糖症に罹患している患者に組成物を投与するのに使用される装置に予め包装されている。
一つの実施態様によると、インスリン依存性患者において血中グルコースレベルを調節する改善された方法が提供される。この方法は、糖尿病を制御するのに治療上有効な量のインスリンを投与する工程及び本開示の新規修飾グルカゴンアンタゴニストを投与する工程を含み、これらの投与工程は、互いに12時間以内に実施される。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト及びインスリンは、単一組成物として同時投与され、ここでグルカゴンペプチドは、約5,000〜約40,000ダルトンの範囲から選択される分子量を有するPEG鎖でペグ化されている。
37℃でそれぞれ24、48、72、96、144及び166時間インキュベートしたグルカゴンCys21−マレイミドPEG5κの安定性を表す棒グラフである。 37℃でそれぞれ24、72又は144時間インキュベートしたグルカゴンCys21−マレイミドPEG5κのpH5でのHPLC分析から生成したデータを表す。 列挙したN末端切断スルホン酸グルカゴンアンタゴニスト類縁体の結合アッセイから生成したデータを表す。 cAMP産生により測定した、列挙したペプチドアンタゴニストについてのグルカゴン受容体アンタゴニスト作用の測定により生成したデータを表す。 cAMP産生により測定した、列挙したグルカゴン類縁体についてのグルカゴン受容体アンタゴニスト作用の測定により生成したデータを表す。より詳細には、図5Aは、グルカゴン類縁体〔E9〕G(2−29)●、〔hC9(SO3H)〕G(2−29)▲、〔hC9(SO3H)〕G(4−29)▼、〔hC9(SO3H)〕G(5−29)(左向き黒三角)及び〔hC9(SO3H)〕G(6−29)(右向き黒三角)によるグルカゴン受容体の誘導を天然グルカゴン■と比較している。図5Bは、0.2nMのグルカゴンによるグルカゴン受容体の誘導に対する同じ類縁体の阻害効果に関するデータを提供する。略語:E9=天然グルカゴンでは9位でのグルタミン酸の置換;G(X−29)=X−1アミノ酸でN末端が切断された天然グルカゴン;hC9(SO3H)=天然グルカゴンでは9位でのホモシステイン酸。 Fmoc−ホモCys(SONa)−OHの合成の合成スキームを表す。Fmoc−ホモCys(SONa)−OHは、DMF又はNMPに良好に溶解し、自動ペプチド合成の際にDIC/HOBT又はHBTU/HOBTを使用して直接組み込むことができる。全てのhC9(SOH)に基づくグルカゴンアンタゴニスト類縁体は、固相ペプチド合成においてナトリウム形態のFmoc−ホモCys(SONa)−OHを直接組み込むことによって合成した。 N末端のアミノ酸(天然グルカゴンの「残基6」)の修飾に関して異なる各グルカゴンアンタゴニストの結合親和性及びグルカゴン受容体活性を比較したデータを表す。 cAMP産生により測定した、0.8nMのグルカゴンによるグルカゴン受容体の誘導に対する、列挙したPLAグルカゴン類縁体アンタゴニストの阻害効果の測定により生成したデータを表す。試験したPLA類縁体には、単独の天然グルカゴン■と比較した、〔PLA6,E9〕G(6−29)●、〔Ac−PLA6,E9〕G(6−29)▲、〔PLA4,E9〕G(4−29)▼、〔PLA5,E9〕G(5−29)(左向き黒三角)が含まれる。略語:E9=天然グルカゴンでは9位でのグルタミン酸の置換;G(Ac−PLA)=アセチル化PLA。
〔定義〕
本発明を記載し、特許請求するに際し、以下の用語を下記に記載した定義に従って使用する。
本明細書で使用されるとき、用語「薬学的に許容される担体」には、リン酸緩衝食塩水、水、油/水又は水/油乳剤のような乳剤、並びに多様な種類の湿潤剤のような標準的な医薬担体のいずれかが含まれる。この用語は、また、ヒトを含む動物における使用が米国連邦政府の規制当局により承認されているか又は米国薬局方に記載されている作用物質のいずれかを包含する。
本明細書で使用されるとき、用語「薬学的に許容される塩」は、母体化合物の生物学的活性を保持し、生物学的にも非生物学的にも有害ではない、化合物の塩を意味する。本明細書に開示されている化合物の多くは、アミノ及び/若しくはカルボキシル基又は同様の基の存在によって酸性及び/又は塩基性塩を形成することができる。
薬学的に許容される塩基性付加塩は、無機又は有機塩基から調製することができる。無機塩基から誘導される塩には、単なる例として、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩が含まれる。有機塩基から誘導される塩には、第一級、第二級及び第三級アミンの塩が含まれるが、これらに限定されない。
薬学的に許容される酸性付加塩は、無機又は有機塩基から調製することができる。無機酸から誘導される塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが含まれる。有機酸から誘導される塩には、醋酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などが含まれる。
本明細書で使用されるとき、用語「治療する」には、特定の障害若しくは状態を予防すること、又は特定の障害若しくは状態に関連する症状を緩和すること、及び/又は前記症状を防止若しくは排除することが含まれる。
本明細書で使用されるとき、グルカゴンアンタゴニストの「有効」量又は「治療有効量」は、所望の効果をもたらすペプチドの非毒性であるが十分な量を意味する。例えば、一つの望ましい効果は、高血糖症の予防又は治療である。「有効」である量は、個人の年齢及び全身状態、投与様式などによって被験者毎に変わる。したがって、正確な「有効量」を規定することがいつも可能というわけではない。しかし、個別の症例における適切な「有効」量は、慣用的な実験を使用して当業者によって決定することができる。
用語「非経口的」は、消化管を介するのではなく、皮下、筋肉内、脊髄内又は静脈内のような他の経路によることを意味する。
本明細書で使用するとき、「グルカゴンペプチド」には、配列番号1のアミノ酸配列のペプチド、又は、配列番号1のアミノ酸配列の任意の誘導体であって、実施例13に記載されているアッセイを使用してcAMP産生により測定されたグルカゴン若しくはGLP−1受容体活性を刺激するような、アミノ酸の置換又は翻訳後修飾(例えば、メチル化、アシル化、ユビキチン化など)を含むペプチドのいずれかが含まれる。
用語「グルカゴンアンタゴニスト」は、グルカゴン活性に対抗して作用するか又はグルカゴン機能を妨げる化合物を意味する。例えば、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンにより達成される最大反応の少なくとも60%の阻害(例えば、少なくとも70%の阻害)、好ましくは少なくとも80%の阻害を示す。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンにより達成される最大反応の少なくとも90%の阻害を示す。特定の実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンにより達成される最大反応の100%の阻害を示す。加えて、約1μMの濃度のグルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンにより達成される最大アゴニスト活性の約20%未満を示す。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンにより達成される最大アゴニスト活性の約10%未満を示す。特定の実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンにより達成される最大アゴニスト活性の約5%未満を示す。さらに別の特定の実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンにより達成される最大アゴニスト活性の0%を示す。
「純粋なグルカゴンアンタゴニスト」は、実施例13に記載されているような検証済インビトロモデルアッセイを使用してcAMP産生により測定した場合、グルカゴン又はGLP−1受容体活性に対する検出可能な刺激を生じないようなグルカゴンアンタゴニストである。例えば、純粋なグルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンにより達成される最大アゴニスト活性の約5%未満(例えば、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0%)を示し、GLP−1受容体に対してGLP−1により達成され螺宇最大アゴニスト活性の約5%未満(例えば、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0%)を示す。
本明細書で使用されるとき、「グルカゴンアンタゴニスト誘導体」は、配列番号1のアミノ酸と60%を超えるアミノ酸配列同一性を共有するが、グルカゴンアンタゴニスト活性を示すように修飾されているペプチドである。そのような修飾には、アミノ酸置換若しくは欠失、又はペプチドの翻訳後修飾(例えば、メチル化、アミド化、アシル化、ユビキチン化、ペグ化など)が含まれる。一つの例では、グルカゴンアンタゴニスト誘導体は、最初の5個のアミノ酸残基がN末端から欠失しているように、そして残りのN末端のアミノ酸(フェニルアラニン)のアミノ基がヒドロキシル基で置換されているように修飾された、配列番号1のグルカゴンペプチドを含む。
本明細書で使用されるとき、アミノ酸「修飾」は、アミノ酸の置換、付加又は欠失を意味し、ヒトタンパク質において一般的に見出される20個のアミノ酸に加え、異形又は非天然のアミノ酸のいずれかによる、置換又は付加が含まれる。異形アミノ酸の商業供給源には、Sigma-Aldrich(Milwaukee, WI)、ChemPep Inc.(Miami, FL)及びGenzyme Pharmaceuticals(Cambridge, MA)が含まれる。異形アミノ酸は、商業供給者から購入する、新規に合成する、又は天然のアミノ酸を化学的に修飾する若しくは誘導体化して得ることができる。本明細書で使用されるとき、アミノ酸「置換」は、1個のアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基に代えることを意味する。
本明細書で使用されるとき、用語「保存的アミノ酸置換」は、以下の5つの群の1つの範囲内の交換として定義される:
I.小型で脂肪族で非極性又は僅かに極性の残基:
Ala、Ser、Thr、Pro、GIy;
II.極性の負荷電残基及びそれらのアミド:
Asp、Asn、Glu、Gln;
III.極性の正荷電残基:
His、Arg、Lys、オルニチン(Orn);
IV.大型で脂肪族の非極性残基:
Met、Leu、Ile、Val、Cys、ノルロイシン(Nle)、ホモシステイン;
V.大型の芳香族残基:
Phe、Tyr、Trp、アセチルフェニルアラニン。
本明細書で使用されるとき、一般的用語「ポリエチレングリコール」又は「PEG」は、一般式:H(OCHCHOH(nは9以上)により表される、分岐鎖又は直鎖の、エチレンオキシドと水の縮合ポリマーの混合物を意味する。更なる特定がない限り、この用語は、500〜40,000ダルトンの範囲から選択される平均総分子量を有するエチレングリコールのポリマーを含むことが意図される。「ポリエチレングリコール」又は「PEG」を数字の接尾辞と組み合わせて使用して、およその平均分子量を示す。例えば、PEG−5,000は、平均約5,000の総分子量を有するポリエチレングリコールを意味する。
本明細書で使用するとき、用語「ペグ化」及び同様の用語は、ポリエチレングリコールポリマーを化合物に結合することにより天然状態から修飾された化合物を意味する。「ペグ化グルカゴンアンタゴニスト」は、共有結合しているPEG鎖を有するグルカゴンアンタゴニストである。
本明細書で使用されるとき、ペプチドに対する一般的な参照は、修飾されたアミノ及びカルボキシ末端を有するペプチドも包含することが意図される。例えば、末端カルボン酸の代わりにアミノ基を含むアミノ酸鎖は、標準的なアミノ酸を示すアミノ酸配列に包含されることが意図される。
本明細書で使用されるとき、「リンカー」は、2つの別々の実体を互いに結合する結合、分子、又は分子群である。リンカーは、2つの実体に最適な間隔をもたらしてもよいし、更に2つの実体が互いに分離することを可能にする不安定な結合を提供してもよい。不安定な結合には、光切断基、酸不安定部分、塩基不安定部分及び酵素切断基が含まれる。
本明細書で使用される「二量体」は、リンカーを介して互いに共有結合している2つのサブユニットを含む複合体である。二量体という用語は、意味を限定する言葉無しに使用される場合、ホモ二量体とヘテロ二量体の両方を包含する。ホモ二量体は、2つの同一のサブユニットを含み、一方、ヘテロ二量体は、異なる2つのサブユニットを含むが、2つのサブユニットは、実質的に互いに類似している。
本明細書で使用されるとき、用語「荷電アミノ酸」は、生理学的pHの水溶液中に負に荷電(すなわち、脱プロトン化)している、又は正に荷電(すなわち、プロトン化)している側鎖を含むアミノ酸を意味する。例えば、負荷電アミノ酸には、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン酸、ホモシステイン酸及びホモグルタミン酸が含まれ、一方、正荷電アミノ酸には、アルギニン、リシン及びヒスチジンが含まれる。荷電アミノ酸には、ヒトタンパク質において一般的に見出される20個のアミノ酸、また異形又は非天然アミノ酸のうちの荷電アミノ酸が含まれる。
本明細書で使用されるとき、「システインのスルホン酸誘導体」は、一般構造:
〔ここで、Xは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケン又はC〜Cアルキニルである〕で示される化合物を意味する。
本明細書で使用されるとき、用語「C〜Cアルキル」(ここでnは1〜6であることができる)は、1個から特定の個数までの炭素原子を有する、分岐鎖又は直鎖のアルキル基を表す。典型的なC〜Cアルキル基には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用されるとき、用語「C〜Cアルケニル」(ここでnは2〜6であることができる)は、2個から特定の個数までの炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する、オレフィン性不飽和の分岐鎖又は直鎖基を表す。そのような基の例には、1−プロペニル、2−プロペニル(−CH−CH=CH)、1,3−ブタジエニル(−CH=CHCH=CH)、1−ブテニル(−CH=CHCHCH)、ヘキセニル、ペンテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「C〜Cアルキニル」(ここでnは2〜6であることができる)は、2からn個までの炭素原子及び少なくとも1つの三重結合を有する不飽和の分岐鎖又は直鎖基を意味する。そのような例には、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用されるとき、用語「pH安定化グルカゴンアンタゴニスト」は、薬理学的な目的に使用される最も広いpH範囲の水性緩衝液において、天然グルカゴンに比べて優れた安定性及び可溶性を示すグルカゴン類縁体を意味する。
本明細書で使用されるとき、用語「酸性アミノ酸」は、例えばカルボン酸又はスルホン酸基のような、第2の酸性部分を含むアミノ酸を意味する。
本明細書で使用されるとき、用語「患者」は、更なる指定のない限り、任意の家畜化された温血脊椎動物(例えば、家畜類、ウマ、ネコ、イヌ及び他のペット類が含まれるが、これらに限定されない)並びにヒトを包含することが意図される。
本明細書で使用されるとき、用語「約」は、記述されている値又は値の範囲よりも10パーセント多い又は少ないことを意味するが、任意の値又は値の範囲をこの広義の定義にのみ指定することを意図しない。用語「約」に続くそれぞれの値又は値の範囲は、記述された絶対値又は値の範囲の実施態様も包含することが意図される。
〔実施態様〕
本明細書に開示されているものは、グルカゴン抑制に対して高度に特異的であり、かつ見かけのアゴニスト活性を有さないグルカゴンアンタゴニストである。そのようなグルカゴンアンタゴニストは、グルカゴンアゴニスト作用の抑制が望まれるあらゆる状況に利用される。例えば、グルカゴンアンタゴニスト作用が高血糖症の前臨床モデルにおいて血中グルコースの低下をもたらすことが実証されている糖尿病の治療に、グルカゴンアンタゴニストを使用することができる。
通常9位に生じるアスパラギン酸がグルタミン酸により又はシステイン酸に基づく誘導体により置換されているような、グルカゴンの特定の類縁体が開発されている。より詳細には、最初のアミノ酸の欠失(des−His)及び9位のアスパラギン酸のグルタミン酸による置換が、グルカゴンアンタゴニストを産生する。グルカゴンの9位のアミノ酸を置換するスルホン酸置換基を有するグルカゴン誘導体は、カルボン酸に基づくアミノ酸と同様に機能するが、可溶性のような物理的特性に関して幾つかの重要な差がある。従来のdes−His,Glu9グルカゴンアンタゴニストにおいて9位の等配電子グルタミン酸をホモシステイン酸(hCysSO)により置換すると、部分的なアンタゴニスト及び弱いアゴニストが保持される。
驚くべきことに、出願者たちは、例えば最初の5個のアミノ酸の除去(des(1−5)を生じる)のような、追加のN末端残基の除去と、hCys(SO)、ホモグルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、又は下記構造:
〔ここで、Xは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル若しくはC〜Cアルキニルである〕を有するシステインのアルキルカルボキシレート誘導体による、9位(配列番号1の番号付けによる)での置換を行うことにより、高度に特異的で、強力で、アゴニスト特性の混入を有さないホルモンアンタゴニストとして機能する化合物がもたらされることを発見した。したがって、純粋なグルカゴンアンタゴニスト活性を示すグルカゴン誘導体ペプチドが本明細書に開示されている。一つの実施態様によると、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体が0.8nMのグルカゴンとグルカゴンアンタゴニストに同時に接触したとき、インビトロアッセイでcAMP酸性により測定すると、グルカゴン受容体のグルカゴン誘導cAMP産生を最大で少なくとも50%低減する活性を示す。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体のグルカゴン誘導cAMP産生を最大量で少なくとも80%低減する。
一つの実施態様によると、配列番号1の野生型配列と比べて、N末端からの2〜5個のアミノ酸残基の欠失、及び、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、システインのスルホン酸誘導体、又は下記構造:
〔ここで、Xは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル若しくはC〜Cアルキニルである〕を有するシステインのアルキルカルボキシレート誘導体による、天然タンパク質の9位のアスパラギン酸残基の置換、によって修飾されているグルカゴンペプチドを含む、グルカゴンアンタゴニスト誘導体が提供される。
特定の実施態様において、N末端からの2〜5個のアミノ酸残基の欠失及び天然グルカゴンの9位のAspの置換を含む前記グルカゴンアンタゴニストは、3つまでのアミノ酸修飾により更に修飾される。例えば、グルカゴンアンタゴニストは、1、2又は3つの保存的アミノ酸修飾を含むことができる。代替的に又は追加的に、グルカゴンアンタゴニストは、下記からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸修飾を含むことができる:
A.10、20及び24位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のうちの1若しくは2個のアミノ酸、又はN若しくはC末端のアミノ酸の、エステル、エーテル、チオエーテル、アミド若しくはアルキルアミン結合を介してアシル基若しくはアルキル基に共有結合しているアミノ酸による置換;
B.16、17、20、21及び24位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のうちの1若しくは2個のアミノ酸、又はN若しくはC末端のアミノ酸の、Cys、Lys、オルチニン、ホモシステイン及びアセチル−フェニルアラニン(Ac−Phe)からなる群より選択されるアミノ酸による置換(ここで前記群のアミノ酸は親水性部分と共有結合している);
C.N又はC末端への、親水性部分と共有結合したアミノ酸の付加;
D.システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸又はびホモシステイン酸による、15位(配列番号1の番号付けによる)のAspの置換;
E.システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸又はホモシステイン酸による、16位(配列番号1の番号付けによる)のSerの置換;
F.配列番号1のアミノ酸番号付けによる16、20、21及び24位のうちの1つ以上の位置でのAIBによる置換;
G.配列番号1の番号付けによる29位のアミノ酸、又は28及び29位の両方のアミノ酸の欠失;
H.28位のAsn及び29位のThr(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のそれぞれ又は両方の荷電アミノ酸による置換、及び/又は、配列番号1のC末端への1〜2個の荷電アミノ酸の付加;
I.Leu又はノルロイシンによる27位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のMetの置換;
J.配列番号1のC末端への、配列番号19〜21及び53のいずれかのアミノ酸配列を有するペプチドの付加(ここで29位(配列番号1の番号付けによる)のThrはThr又はGlyである);並びに
K.アミド又はエステルによるC末端カルボキシレートの交換。
特定の実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、上記に記載されたアミノ酸修飾のA、B若しくはC、又はそれらの組み合わせを含む。さらに別の特定の実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、アミノ酸修飾のA、B及び/又はCに加えて、上記に記載されたアミノ酸修飾のD〜K又はそれらの組み合わせを更に含む。
一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、最初の5個のアミノ酸がN末端から除去され、残りのN末端アミノ基がヒドロキシル基に代えられて(「PLA6類縁体」)、配列番号39のペプチドを産生する、グルカゴンペプチドを含む。出願者たちは、最初の5個のアミノ酸の欠失及び9位(天然のグルカゴンにおいて)のグルタミン酸の置換を有するグルカゴンアンタゴニスト類縁体における、フェニル−乳酸によるフェニルアラニンの置換が、これらのグルカゴンアンタゴニスト類縁体の潜在能力を更に増強することを見出した。
一つの実施態様において、配列番号39のグルカゴンアンタゴニストペプチドは、一般構造:
〔ここで、Xは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケン又はC〜Cアルキニルである〕で示されるアミノ酸により4位(天然グルカゴンの9位)のアスパラギン酸残基を置換することによって更に修飾されており、一つの実施態様では、XはC〜Cアルキルであり、別の実施態様では、XはCアルキルである。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、最初の5個のアミノ酸がN末端から除去されており、かつ4位(天然グルカゴンの9位)のアスパラギン酸残基がシステイン酸又はホモシステイン酸で置換されているグルカゴンペプチドを含む。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、配列番号39、配列番号7及び配列番号8からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むグルカゴンペプチドを含む。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、配列番号8からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、ここで4位のアミノ酸はホモシステイン酸である。
別の実施態様において、配列番号39のグルカゴンアンタゴニストは、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、又は一般構造:
〔ここで、Xは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル若しくはC〜Cアルキニルである〕を有するシステインのアルキルカルボキシレート誘導体による4位(天然グルカゴンの9位)のアスパラギン酸残基の置換によって、更に修飾されている。特定の実施態様において、Xは、C又はCアルキルである。
しかし、出願者たちは、des 1−5グルカゴン類縁体(すなわち、最初の5個のアミノ酸か欠失しているグルカゴン類縁体)において、PLAによってN末端フェニルアラニンを置換することによって、4位(天然グルカゴンの9位)の天然アスパラギン酸残基の更なる置換が、純粋なアンタゴニスト作用を示す類縁体を産生するのに必要ではなくなることを発見した。この結果は、グルカゴン(2−29)類縁体の高度な親和性及び強力なアンタゴニストを産生するために4位の天然アスパラギン酸を置換しなければならないという従来技術の教示の観点からすると、驚くべきことである。PLA置換の使用は、Glu9及びhCys(SOH)9類縁体と同程度にまでAsp9類縁体の相対的な潜在能力を改善する(実施例の表6及び7を参照すること)。
3,4−2F−フェニルアラニン(3,4−2F−Phe)、2−ナフチルアラニン(2−Nal)、N−アシル−フェニルアラニン(Ac−Phe)、アルファ−メチルヒドロケイ皮酸(MCA)及びベンジルマロン酸(BMA)を含む他のフェニルアラニン類縁体によるフェニルアラニン残基の置換は、PLA置換と同等の効力では機能しなかった(図7を参照すること)。
4及び5位を含む6位以外(天然グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の部位でのPLAの置換は、PLA6類縁体が、僅かに延長したN末端を有するグルカゴン類縁体よりもかなり強力なアンタゴニストであること明らかにした(表8及び図8に表された結果を参照すること)。図8に表された結果は、PLAヒドロキシ基のアシル化がPLA6類縁体の効力に影響を与えないことも実証している。したがって、本発明は、N末端のアミノ酸がアシル化及びアルキル化「O末端」ペプチドで置換されている類縁体も含む。
更に、PLA9置換は、アンタゴニストの効力を増大するのみならず、ペグ化においても重要な役割を果たす。PLA6類縁体を、グルカゴンアゴニスト作用を回復することなく選択的にペグ化することができる。驚くべきことに、PLA置換が不在であると、類縁体のペグ化はグルカゴンアゴニスト作用を誘発する。このグルカゴンアゴニスト作用は、ペグ化されたPLA6類縁体では見られない。3、6及び19位(天然グルカゴンの8、11及び19位)並びN末端のアミノ酸残基を含む幾つかの部位がペグ化のために調査された(表12を参照すること)。一つの実施態様において、ペグ化は19位(天然グルカゴンの24位)で行われるが、その部位は最も強力で選択的なグルカゴンアンタゴニスト作用を示す。
一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは一般構造A−B−Cを含み、ここでAは、
(i)フェニル乳酸(PLA);
(ii)PLAのオキシ誘導体;
(iii)連続した2個のアミノ酸がエステル又はエーテル結合を介して結合しているアミノ酸2〜6個のペプチド
からなる群より選択され;
Bは、配列番号1のアミノ酸i−26を表し(ここでiは、3、4、5、6又は7である)、更に、下記からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸修飾を含んでもよく:
(iv)Glu、Cysのスルホン酸誘導体、ホモグルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、又は下記構造:
〔ここで、Xは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル若しくはC〜Cアルキニルである〕を有するシステインのアルキルカルボキシレート誘導体による、9位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のAspの置換;
(v)エステル、エーテル、チオエーテル、アミド、又はアルキルアミン結合を介してアシル又はアルキル基に共有結合しているアミノ酸による、10、20及び24位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のうちの1又は2個のアミノ酸の置換;
(vi)Cys、Lys、オルチニン、ホモシステイン及びアセチル−フェニルアラニン(Ac−Phe)からなる群より選択されるアミノ酸による、16、17、20、21及び24位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のうちの1又は2個のアミノ酸の置換(ここで前記群のアミノ酸は親水性部分に共有結合している);
(vii)システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸又はホモシステイン酸による15位(配列番号1の番号付けによる)のAspの置換;
(viii)システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸又はホモシステイン酸による16位(配列番号1の番号付けによる)のSerの置換;
(ix)配列番号1のアミノ酸番号付けによる16、20、21及び24位の1つ以上の位置でのAIBによる置換、
そして
Cは、
(x)X;
(xi)X−Y;
(xii)X−Y−Z;
(xiiI)X−Y−Z−R10
(ここでXは、Met、Leu又はNleであり;Yは、Asn又は荷電アミノ酸であり;Zは、Thr、Gly、Cys、Lys、オルニチン(Orn)、ホモシステイン、アセチル−フェニルアラニン(Ac−Phe)又は荷電アミノ酸であり、R10は、配列番号19〜21及び53からなる群より選択される);
(xiv)C末端カルボキシレートがアミドで置換されている(x)〜(xiii)のいずれか
からなる群より選択される。
特定の態様において、グルカゴンアンタゴニストは、PLAのオキシ誘導体を含む。本明細書で使用されるとき、「PLAのオキシ誘導体」は、ヒドロキシ基がO−R11(ここでR11は化学的部分である)に代えられているPLAの修飾構造を含む化合物を意味する。この場合、PLAのオキシ誘導体は、例えばPLAのエステル又はPLAのエーテルであることができる。
PLAのオキシ誘導体を作製する方法は、当該技術分野において既知である。例えば、オキシ誘導体がPLAのエステルである場合、エステルを、PLAのヒドロキシルと、求核剤を有するカルボニルとの反応により形成することができる。求核剤は、アミン又はヒドロキシルが含まれるが、これらに限定されない任意の適切な求核剤であることができる。したがって、PLAのエステルは、式IV:
〔式中、Rは、PLAのヒドロキシルと、求核剤を有するカルボニルとの反応により形成される〕で示される構造を含むことができる。
求核剤を有するカルボニル(PLAのヒドロキシルと反応してエステルを形成する)は、例えば、カルボン酸、カルボン酸誘導体又はカルボン酸の活性化エステルであることができる。カルボン酸誘導体は、塩化アシル、酸無水物、アミド、エステル又はニトリルでありうるが、これらに限定されない。カルボン酸の活性化エステルは、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、トシレート(Tos)、カルボジイミド又はヘキサフルオロホスフェートであることができる。幾つかの実施態様において、カルボジイミドは、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,1′−カルボニルジイミダゾール(CDI)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)又は1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(CICD)である。幾つかの実施態様において、ヘキサフルオロホスフェートは、ヘキサフルオロホスフェート ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノンホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)及びo−ベンゾトリアゾール−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)からなる群より選択される。
ヒドロキシル基(例えば、PLAのヒドロキシル)を用いる反応によりエーテルを作製する方法も当該技術分野において既知である。例えば、PLAのヒドロキシル基を、ハロゲン化アルキル又はトシル化アルキルアルコールと反応させて、エーテル結合を形成することができる。
一般に、化学的部分であるR11は、グルカゴンアンタゴニストの活性を減少させないものである。幾つかの実施態様において、化学的部分は、グルカゴンアンタゴニストの活性、安定性及び/又は可溶性を増強する。
特定の実施態様において、酸素含有結合を介して(例えば、エステル又はエーテル結合を介して)PLAに結合している化学的部分は、ポリマー(例えば、ポリアルキレングリコール)、炭水化物、アミノ酸、ペプチド又は脂質、例えば脂肪酸又はステロイドである。
特定の実施態様において、化学的部分は、アミノ酸であり、更に、式IVがデプシペプチドとなるように、ペプチドの一部であってもよい。この場合、PLAは、グルカゴンアンタゴニストがPLA残基の1個以上(例えば、1、2、3、4、5、6個又はそれ以上)のアミノ酸N末端を含むように、グルカゴンアンタゴニストのN末端アミノ酸残基以外の位置にあることができる。例えば、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴンアンタゴニストのn位にPLAを含むことができ、ここでnは2、3、4、5又は6である。
PLA残基のN末端のアミノ酸は、合成アミノ酸であってもよく、天然に存在するアミノ酸であってもよい。特定の実施態様において、N末端PLAであるアミノ酸は、天然アミノ酸である。一つの実施態様において、PLAのN末端であるアミノ酸は、天然グルカゴンのN末端のアミノ酸である。例えば、グルカゴンアンタゴニストは、N末端に、配列番号54〜58のいずれかのアミノ酸配列を含むことができ、ここでPLAは、エステル結合を介してトレオニンに結合している:
配列番号54 His−Ser−Gln−Gly−Thr−PLA
配列番号55 Ser−Gln−Gly−Thr−PLA
配列番号56 Gln−Gly−Thr−PLA
配列番号57 Gly−Thr−PLA
配列番号58 Thr−PLA
別の実施態様において、1個以上のN末端のアミノ酸を天然グルカゴンのアミノ酸以外のアミノ酸で置換することができる。例えば、グルカゴンアンタゴニストが5又は6位のアミノ酸としてPLAを含む場合、1位及び/又は2位のアミノ酸は、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対して感受性を低減するアミノ酸であることができる。より詳細には、幾つかの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストの1位は、D−ヒスチジン、アルファ,アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン及びホモ−ヒスチジンからなる群より選択されるアミノ酸である。より詳細には、幾つかの実施態様において、アンタゴニストペプチドの2位は、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン及びアミノイソ酪酸(AIB)からなる群より選択されるアミノ酸である。また、例えば、グルカゴンアンタゴニストが4、5又は6位のアミノ酸としてPLAを含む場合、グルカゴンアンタゴニストの3位のアミノ酸は、天然グルカゴンの天然グルタミン残基とは対照的に、グルタミン酸であることができる。本発明の例示的な実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、N末端に、配列番号59〜61のいずれかのアミノ酸配列を含む。
式IVの化合物を含むグルカゴンアンタゴニストに関して、ポリマーは、PLAのヒドロキシル基と反応することができる限り、任意のポリマーであることができる。ポリマーは、天然では又は通常は求核剤を有するカルボニルを含むものであることができる。あるいは、ポリマーは、カルボニルを有するカルボニルを含むように誘導体化されているものであることができる。ポリマーは、以下のいずれかを誘導体化したポリマーであってもよい:ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン及びポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレートを含むその誘導体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、 ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)及びポリ(オクタデシルアクリレート)を含むアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハロゲン化物、ポリ(酢酸ビニル)及びポリビニルピロリドンを含むポリビニルポリマー、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン及びそのコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシエチルセルロース、三酢酸セルロース及びセルロース硫酸ナトリウム塩を含むセルロース、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(エチレンテレフタレート)を含むポリエチレン、並びにポリスチレン。
ポリマーは、生分解性ポリマーであることができ、例えば、合成の生分解性ポリマー(例えば、乳酸とグリコール酸ポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)及びポリ(ラクチド−co−カプロラクトン))及び天然の生分解性ポリマー(例えば、アルギン酸塩及びデキストランを含む他の多糖類、セルロース、コラーゲン、その化学誘導体(化学基、例えばアルキル、アルキレンの置換、付加、ヒドロキシル化、酸化、及び当業者により日常的に行われる他の修飾)、アルブミン及び他の親水性タンパク質(例えば、ゼイン、他のプロラミン及び疎水性タンパク質))、並びにこれらの任意のコポリマー又は混合物であることができる。一般に、これらの物質は、インビボにおける酵素的加水分解又は水への暴露によって、表面又はバルク侵食により分解される。
ポリマーは、生体付着性ポリマーであることができ、例えば、H. S. Sawhney, C. P. Pathak and J. A. Hubbell in Macromolecules, 1993, 26, 581-587により記載される生体侵食性ヒドロゲル(この教示は本明細書に組み込まれる)、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルチン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)及びポリ(オクタデシルアクリレート)であることができる。
一つの実施態様において、ポリマーは水溶性ポリマーである。適切な水溶性ポリマーは、当該技術分野において既知であり、例として、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC;Klucel)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC;Methocel)、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース、ヒドロキシプロピルペンチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース(Ethocel)、ヒドロキシエチルセルロース、多様なアルキルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロース、多様なセルロースエーテル、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ポリ−ヒドロキシアルキルメタクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、メタクリル酸コポリマー、ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、無水マレイン酸/メチルビニルエーテルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム及びカルシウム、ポリアクリル酸、酸性カルボキシポリマー、カルボキシポリメチレン、カルボキシビニルポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリメチルビニルエーテル−co−無水マレイン酸、カルボキシメチルアミド、カリウムメタクリレートジビニルベンゼンコポリマー、ポリオキシエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、並びにこれらの誘導体、塩及び組み合わせが挙げられる。
特定の実施態様において、ポリマーは、例えばポリエチレングリコール(PEG)のような、ポリアルキレングリコールである。
炭水化物は、アルファ離脱基を有するカルボニルを含む又は含むように構成される限り、任意の炭水化物であることができる。炭水化物は、例えば、アルファ離脱基を有するカルボニルを含むように誘導体化されているものであることができる。この場合、炭水化物を、単糖(例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース)、二糖(例えば、スクロース、ラクトース、マルトース)、オリゴ多糖(例えば、ラフィノース、スタキオース)、多糖(デンプン、アミラーゼ、アミロペクチン、セルロース、キチン、カロース、ラミナリン、キシラン、マンナン、フコイダン、ガラクトマンナン)から誘導体化することができる。
式IVの化合物を含むグルカゴンアンタゴニストに関して、脂質は、アルファ離脱基を有するカルボニルを含む、任意の脂質であることができる。脂質は、例えば、カルボニルを含むように誘導体化されたものであることができる。この場合、脂質は、以下のものの誘導体であることができる:脂肪酸(例えば、C4〜C30脂肪酸、エイコサノイド、プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサン、N−アシルエタノールアミン)、グリセロ脂質(例えば、一置換、二置換、三置換グリセロール)、グリセロリン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン)、スフィンゴ脂質(例えば、スフィンゴシン、セラミド)、ステロール脂質(例えば、ステロイド、コレステロール)、プレノール脂質、サッカロ脂質又はポリケチド、油、ロウ、コレステロール、ステロール、脂溶性のビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質。
一つの実施態様において、R7は、約100kDa以下aの分子量、例えば90kDa以下、約80kDa以下、約70kDa以下、約60kDa以下、約50kDa以下、約40kDa以下の分子量を有する。したがって、R7は、約35kDa以下、30kDa以下、約25kDa以下、約20kDa以下、約15kDa以下、約10kDa以下、約5kDa以下、又は約1kDaの分子量を有することができる。
別の実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、Aとして、連続した2個のアミノ酸がエステル又はエーテル結合を介して結合しているアミノ酸2〜6個のペプチドを含む。エステル又はエーテル結合は、例えば、アミノ酸2と3、3と4、4と5又は5と6の間にあることができる。更に、ペプチドを、ポリマー(例えば、親水性ポリマー)への結合を含む他の化学的部分への共有結合、アルキル化、又はアシル化により、更に修飾してもよい。
ペプチドは、ペプチドの連続した少なくとも2個のアミノ酸がエステル又はエーテル結合を介して結合している限り、合成又は天然の任意のアミノ酸を含むことができる。特定の実施態様において、ペプチドは天然グルカゴンのアミノ酸を含む。例えば、ペプチドは天然グルカゴン(配列番号1)のうちのjから6個を含むことができ、ここでjは1、2、3、4又は5である。あるいは、ペプチドは、1つ以上のアミノ酸修飾を有する、配列番号1のN末端に基づいたアミノ酸配列を含むことができる。1位及び/又は2位のアミノ酸は、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対して感受性を低減させるアミノ酸であることができる。例えば、ペプチドは、D−ヒスチジン、アルファ,アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン及びホモ−ヒスチジンからなる群より選択されるアミノ酸を、グルカゴンアンタゴニストの1位に含むことができる。より詳細には、幾つかの実施態様において、アンタゴニストペプチドの2位は、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン及びアミノイソ酪酸(AIB)からなる群より選択されるアミノ酸である。また、例えば、グルカゴンアンタゴニストの3位のアミノ酸は、天然グルカゴンの天然グルタミン残基とは対照的に、グルタミン酸であることができる。したがって、グルカゴンアンタゴニストは、
Xaa−Xaa−Xaa−Thr−Gly−Phe(配列番号68);
Xaa−Xaa−Thr−Gly−Phe(配列番号69);又は
Xaa−Thr−Gly−Phe(配列番号70)
のアミノ酸配列を含むことができ、
ここで、Xaaは、His、D−ヒスチジン、アルファ,アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン及びホモ−ヒスチジンからなる群より選択され;Xaaは、Ser、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン及びアミノイソ酪酸(AIB)からなる群より選択され;そしてXaaは、Gln又はGluである。
本発明は、グルカゴンアンタゴニストのC末端のアミノ酸が、天然アミノ酸に存在するカルボン酸基を置換しているアミド基を有する実施態様も包含する。
グルカゴンアンタゴニストを更に修飾して、ペプチドのグルカゴンアンタゴニスト活性を保持しながら、生理学的pHの水溶液における可溶性を改善することができる。天然ペプチドの1、16、17、20、21、24及び29位に対応した位置又はC末端への親水性基の導入は、親化合物のアンタゴニスト活性を保持しながら、得られたグルカゴンアンタゴニストの、生理学的pHを有する溶液における可溶性を改善することができる。したがって、一つの実施態様において、本開示のグルカゴンアンタゴニストは、天然グルカゴンペプチドの1、16、17、20、21、24及び29位のアミノ酸又はN若しくはC末端のアミノ酸に対応したアミノ酸の側鎖に共有結合している1つ以上の親水性基を含むように、更に修飾される、。更なる実施態様において、天然グルカゴンペプチドの16及び24位のアミノ酸に対応したアミノ酸の側鎖は、親水性基に共有結合しており、一つの実施態様において、親水性基はポリエチレングリコール(PEG)である。
幾つかの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストがペグ化されている場合、グルカゴンアンタゴニストは、短縮されたグルカゴンペプチド、具体的には、「N末端」アミノ酸がPLA(フェニル−乳酸)であるグルカゴンペプチド6−29を含む。そのようなグルカゴン誘導体は特有の効能を示す。これらは、天然N末端フェニルアラニンを有するものよりも強力なペプチドであり、ペグ化の結果、あらゆるグルカゴンアゴニスト作用を抑制し、このことは天然フェニルアラニンにおいて見られない。最後に、現在の文献は、9位の天然アスパラギン酸の置換がアンタゴニスト活性にとって必要であることを確立しているものの、そのような置換はPLA−(6−29)グルカゴン類縁体においてはもはや必要ではないという驚くべき結果を本発明者たちは発見した。
一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストのアミノ酸は少なくとも1つのシステイン残基で置換されており、ここでシステイン残基の側鎖は、例えばマレイミド、ビニルスルホン、2−ピリジルチオ、ハロアルキル及びハロアシルを含むチオール反応性試薬により更に修飾される。これらのチオール反応試薬は、カルボキシ、ケト、ヒドロキシ及び他のエーテル基、並びにポリエチレングリコール単位のような他の親水性部分を含有することができる。別の実施態様において、グルカゴンアンタゴニストのアミノ酸は、リシンで置換され、置換リシン残基の側鎖は、カルボン酸の活性エスエル(スクシンイミド、無水物など)又はポリエチレングリコールのような親水性部分のアルデヒドのような、アミン反応性試薬を使用して、更に修飾される。一つの実施態様によると、天然ペプチドの12位に対応するリシン残基はアルギニンで置換され、天然ペプチドの1、16、17、20、21、24若しくは29位に対応するアミノ酸の1つに単一のリシン置換が挿入されるか、又は、グルカゴンアンタゴニストのN若しくはC末端にリシンが付加される。
別の実施態様において、天然ペプチドの27位に対応するメチオニン残基をロイシン又はノルロイシンに変えて、ペプチドの酸化分解を防止する。
幾つかの実施態様において、本明細書に記載されているグルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体における活性又は効力に影響を与えることなく、グルカゴンペプチドのC末端の1又は2個のアミノ酸の切断又は欠失(すなわち、天然グルカゴンの29位又は28及び29位のアミノ酸の切断)により更に修飾される。この場合、本明細書に記載されているグルカゴンアンタゴニストは、例えば、天然グルカゴンペプチド(配列番号1)のアミノ酸1〜27、1〜28、2〜27、2〜28、3〜27、3〜28、4〜27、4〜28、5〜27、5〜28、6〜27又は6〜28から実質的に構成されるか又は構成され、本明細書に記載されているグルカゴンアンタゴニスト活性をもたらす1つ以上の修飾を有することができる。
本開示のグルカゴンアンタゴニストは、グルカゴンペプチドの機能にとって重要ではないことが知られている位置におけるアミノ酸置換も包含する。一つの実施態様において、置換は、配列番号39の2、5、6、7、8、9、12、13、14、15、16、19、22、23又は24からなる群より選択される1、2又は3つの位置での保存的アミノ酸置換である。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、配列番号42のペプチド誘導体を含み、ここでグルカゴンペプチドは、2、5、6、7、8、9、12、13及び14位から選択される1〜3つのアミノ酸位置で配列番号42に対して更なるアミノ酸置換を含む。一つの実施態様において、配列番号42の2、5、6、8、9、12、13及び14位での置換は、保存的アミノ酸置換である。一つの実施態様において、天然ペプチドの16、17、20、21、24又は29位に対応するアミノ酸、とりわけ21及び/又は24位に対応するアミノ酸はシステイン又はリシンで置換されており、ここで置換システイン又はリシン残基にはPEG鎖が共有結合している。
グルカゴンアンタゴニストがポリエチレングリコール鎖を含むこれらの実施態様において、ポリエチレン鎖は、直鎖の形態であってもよく、分岐鎖であってもよい。一つの実施態様によると、ポリエチレングリコール鎖は、約500〜約10,000ダルトンの範囲から選択される平均分子量を有する。一つの実施態様において、ポリエチレングリコール鎖は、約1,000〜約5,000ダルトンの範囲から選択される平均分子量を有する。一つの実施態様において、ポリエチレングリコール鎖は、約1,000〜約5,000ダルトンの範囲から選択される平均分子量を有する。一つの実施態様において、ポリエチレングリコール鎖は、約1,000〜約2,000ダルトンから選択される平均分子量を有する。一つの実施態様において、ポリエチレングリコール鎖は、約1,000ダルトンの平均分子量を有する。
一つの実施態様によると、修飾グルカゴンアンタゴニストは、ペプチドに共有結合している2つ以上のポリエチレン鎖を含み、ここでグルカゴン鎖の総分子量は、約1,000〜約5,000ダルトンである。一つの実施態様において、ペグ化グルカゴンアンタゴニストは、配列番号12及び配列番号22からなる群より選択されるペプチドを含み、ここで前記ペプチドは、11及び19位のアミノ酸に結合しているポリエチレングリコール鎖を含み、2つのPEG鎖の合わせた分子量は、約1,000〜約5,000ダルトンである。
一つの実施態様によると、下記:
−Phe−Thr−Ser−Xaa−Tyr−Ser−Xaa−Tyr−Leu−Xaa−Xaa−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Xaa−Asn−Thr−R(配列番号9)、
−Phe−Thr−Ser−Xaa−Tyr−Ser−Xaa−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Xaa−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Xaa−Asn−Thr−R(配列番号10)、
−Phe−Thr−Ser−Xaa−Tyr−Ser−Xaa−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Xaa−Asn−Thr−R(配列番号11)、及び
−Phe−Thr−Ser−Xaa−Tyr−Ser−Xaa−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Xaa−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Xaa−Asn−Thr−R(配列番号12)
からなる群より選択される修飾グルカゴンペプチドを含むグルカゴンアンタゴニストが提供され、
ここで、4位のXaaは、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン酸又はホモシステイン酸であり、7位のXaaは、Lys又はArgであり、10位のXaaは、アスパラギン酸、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸又はホモシステイン酸であり、11位のXaaは、Ser、Lys、Cys、Orn、ホモシステイン又はアセチルフェニルアラニンであり、16位のXaaは、Asp、Lys、Cys、Orn、ホモシステイン又はアセチルフェニルアラニンであり、19位のXaaは、Gln、Lys、Cys、Orn、ホモシステイン及びアセチルフェニルアラニンであり、22位のXaaは、Met、Leu又はNleであり、Rは、OH又はNHであり、そしてRは、COOH又はCONHであり、ペプチドは、配列番号9の場合は11位、配列番号10の場合は16位、配列番号11の場合は19位、配列番号12の場合は16又は19位でペグ化されているが、但し、4位のXaaがアスパラギン酸である場合は、RはOHである。一つの実施態様によると、ペプチドは、配列番号9、配列番号10又は配列番号11の配列を含み、ここでRはOHであり、そしてRはCONHである。一つの実施態様において、ペプチドは、配列番号9、配列番号10又は配列番号11の配列を含み、ここでRはOHであり、RはCONHであり、そして4位のアミノ酸はアスパラギン酸であり、更なる実施態様において、そのようなペプチドは、配列番号19の配列を含むカルボキシ末端延長を含む。
一つの実施態様によると、ペプチドは、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14及び配列番号16からなる群より選択される配列を含み、ここでペプチドは、配列番号9及び配列番号13の11位でペグ化されており、配列番号10の16位でペグ化されており、そして配列番号10及び配列番号14の19位でペグ化されている。一つの実施態様において、グルカゴンアゴニストは、配列番号13及び配列番号14のペプチドを含む。一つの実施態様において、本明細書に開示されているグルカゴンアゴニストのC末端のアミノ酸は、天然アミノ酸に存在するカルボン酸基の代わりにアミド基を有する。一つの実施態様によると、グルカゴンアンタゴニストは、配列番号18の配列を含む。
一つの実施態様において、血漿タンパク質がペプチドのアミノ酸側鎖に共有結合してグルカゴンペプチドの可溶性、安定性及び/又は薬物動態を改善しているグルカゴンアンタゴニストが提供される。例えば、血清アルブミンを本明細書に提示されているグルカゴンアンタゴニストに共有結合することができる。一つの実施態様において、血漿タンパク質が、天然グルカゴンペプチドの16、17、20、21、24又は29位に対応するアミノ酸に共有結合している。より詳細には、一つの実施態様において、プラスミドタンパク質は、天然グルカゴンペプチドの16又は24位に対応するアミノ酸に結合しており、グルカゴンアンタゴニストは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号36、又は配列番号39の配列を含む。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、配列番号9、配列番号10、配列番号11及び配列番号12からなる群より選択されるペプチドを含む。
一つの実施態様によると、免疫グロブリン分子のFc部分を表す直鎖アミノ酸配列が、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニストのアミノ酸側鎖に共有結合して、グルカゴンペプチドの可溶性、安定性及び/又は薬物動態を改善している、グルカゴンアンタゴニストが提供される。例えば、免疫グロブリン分子のFc部分を表すアミノ酸配列は、配列番号7、配列番号39のグルカゴンペプチド又はそのグルカゴン類縁体の11、12、15、16、19、21又は24位に共有結合することができる。一つの実施態様において、Fcペプチドは、配列番号6、配列番号7、配列番号8又は配列番号36のグルカゴンアンタゴニストの11又は19位に共有結合している。Fc部分は、通常、IgGから単離されるが、任意の免疫グロブリンからのFcペプチドフラグメントも同等に機能するはずである。一つの実施態様において、グルカゴンペプチドは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番号8及び配列番号39からなる群より選択され、ここでFc部分は、天然グルカゴンペプチドの16、17、20、21、24又は29位に対応する位置に結合している。一つの実施態様において、グルカゴン類縁体は、配列番号9、配列番号10、配列番号11及び配列番号12からなる群より選択されるグルカゴンペプチドを含み、ここでFcペプチドは、配列番号9、配列番号10、配列番号11の場合はそれぞれ11、16又は19位、配列番号12の場合は11と19位の両方に配置されているアミノ酸の側鎖に結合している。
本開示は、本発明のグルカゴンペプチドが結合する、他の結合体も包含し、更にペプチドは、共有結合を介して結合してもよく、リンカーを介して結合してもよい。結合は、共有化学結合、静電気、水素、イオン、ファンデルワールスのような物理的な力又は疎水的若しくは親水的相互作用により達成することができる。多様な非共有結合系を使用することもでき、その例として、ビオチン−アビジン、リガンド/受容体、酵素/基質、核酸/核酸結合タンパク質、脂質/脂質結合タンパク質、細胞付着分子パートナー、又は互いに親和性を有する任意の結合パートナー若しくはそのフラグメントが挙げられる。
例示的な結合体には、異種ペプチド又はポリペプチド(例えば、血漿タンパク質を含む)、標的作用物質、免疫グロブリン又はその一部(例えば、可変部領域、CDR若しくはFc領域)、放射性同位体、蛍光体若しくは酵素標識のような診断用標識、水溶性ポリマーを含むポリマー、又は他の治療若しくは診断剤が含まれるが、これらに限定されない。一つの実施態様において、本発明のグルカゴンペプチド及び血漿タンパク質を含む結合体が提供され、ここで血漿タンパク質は、アルブミン、トランスフェリン、フィブリノゲン及びグロブリンからなる群より選択される。一つの実施態様において、結合体の血漿タンパク質部分は、アルブミン又はトランスフェリンである。幾つかの実施態様において、リンカーは、1〜約60個、又は1〜30個以上の原子長さ、2〜5個の原子、2〜10個の原子、5〜10個の原子又は10〜20個の原子長さの原子鎖を含む。幾つかの実施態様において、鎖原子は全て炭素原子である。幾つかの実施態様において、リンカーの主鎖の鎖原子は、C、O、N及びSからなる群より選択される。鎖原子及びリンカーは、より可溶性のある結合体をもたらすと予想される可溶性(親水性)に従って選択することができる。幾つかの実施態様において、リンカーは、酵素やその他の触媒による切断、又は、標的組織若しくは臓器若しくは細胞において見出される加水分解的条件による切断の対象となる官能基を提供する。幾つかの実施態様において、リンカーの長さは、立体障害の潜在性を低減するのに十分な長さである。リンカーが共有結合又はペプチジル結合であり、結合体は、ポリペプチドである場合、全体が融合タンパク質であることができる。そのようなペプチジルリンカーは任意の長さであることができる。例示的なリンカーは、約1〜50個のアミノ酸長さ、5〜50個、3〜5個、5〜10個、5〜15個又は10〜30個のアミノ酸長さである。そのような融合タンパク質は、当業者に既知の組み換え遺伝子操作法により産生することもできる。
天然グルカゴンの15〜16位のAsp−Ser配列は、水性緩衝液において天然ホルモンの早期化学切断をもたらす特有の不安定ジペプチドとして同定されている。例えば、0.01NのHClに37℃で2週間維持されたとき、50%を超える天然グルカゴンがフラグメントに切断されうる。2つの遊離切断ペプチド1−15及び16−29は、グルカゴン様生物学的活性を欠いており、したがって、グルカゴン及び関連する類縁体の水性の予備処方に対して制限となる。Gluによる天然グルカゴンペプチドの15位のAspの選択的化学置換は、15−16ペプチド結合の化学切断を実質的に排除することが観察されている。
したがって、本発明のグルカゴンアンタゴニストを同様に修飾して、水性緩衝液における早期化学切断に対する感受性を減少できることが予想される。一つの実施態様によると、本明細書に記載されているグルカゴンアンタゴニストを更に修飾して、天然グルカゴンペプチドの15位に配置されている天然アスパラギン酸アミノ酸を、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸及びホモシステイン酸からなる群より選択されるアミノ酸で置換することによって、水溶液中の安定性を増強することができる。一つの実施態様によると、配列番号39のグルカゴンアンタゴニストの10位のアスパラギン酸残基を、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸及びホモシステイン酸からなる群より選択されるアミノ酸で置換することができ、一つの実施態様において、配列番号39の10位の天然アスパラギン酸はグルタミン酸で置換される。一つの実施態様によると、配列番号36、配列番号40及び配列番号42からなる群より選択される配列を含む、水溶液中で改善された可溶性を有するグルカゴンアンタゴニストが提供される。更なる実施態様において、グルカゴンアンタゴニストはアミド化されている。
一つの実施態様によると、本明細書に記載されているグルカゴンアンタゴニストの分解を低減することによる安定性の増加は、グルタミン酸、システイン酸、ホモグルタミン酸又はホモシステイン酸による16位(天然グルカゴンの番号付けによる)のセリンの置換によって達成することもできる。特定の実施態様において、16位(天然グルカゴンの配列番号付けによる)のセリンは、グルタミン酸に代えられている。より特定的な態様において、そのような修飾を含むグルカゴンアンタゴニストは、C末端カルボキシレートを含み、アミド化されていない。
一つの実施態様において、配列番号7、配列番号36、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43及び配列番号44からなる群より選択されるグルカゴンペプチドを含み、天然グルカゴンペプチドの11、12、15、16、19及び/又は24位に対応する位置での1つ以上の追加的なアミノ酸置換により更に修飾されているグルカゴンアンタゴニストが提供され、ここでアミノ酸置換は、例えばPEGのような親水性部分との架橋に適した側鎖を有するアミノ酸による置換を含む。天然グルカゴンペプチドを、天然に存在するアミノ酸又は合成(非天然)アミノ酸で置換することができる。合成又は非天然アミノ酸は、インビボで天然には存在しないが、本明細書に記載されるペプチド構造に組み込むことができるアミノ酸を意味する。一つの実施態様において、配列番号7、配列番号36、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、又は配列番号44の配列を含むペプチドであって、天然グルカゴンペプチドの21又は24位に対応する位置にポリエチレン鎖が更に結合しているグルカゴンアンタゴニストが提供される。更なる実施態様において、グルカゴンペプチドのC末端は修飾されて、カルボン酸基がアミド基で置換されている。
出願者たちは、電荷をカルボキシ末端に導入することによって、ペプチドのアゴニスト特性を保持しながら可溶性を増強するように、天然グルカゴンを修飾できることも発見した。増強された可溶性は、ほぼ中性のpHでのグルカゴン溶液の調製及び保存を可能にする。比較的中性のpH(例えば、約6.0〜約8.0のpH)でグルカゴン溶液を配合することは、グルカゴンペプチドの長期安定性を改善する。
ここでも、出願者たちは、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニストを同様に修飾して、母体タンパク質のアンタゴニスト特性を保持しながら、比較的中性のpH(例えば、約6.0〜約8.0のpH)の水溶液における可溶性を増強できることを予測する。したがって、本発明の一つの実施態様は、野生型グルカゴン(配列番号1)の6〜29位に存在する天然アミノ酸に対して、荷電アミノ酸による天然非荷電アミノ酸の置換により又はカルボキシ末端への荷電アミノ酸の付加によりペプチドに電荷を付加して更に修飾されている、配列番号39のグルカゴンアンタゴニストを対象とする。一つの実施態様によると、配列番号39のグルカゴンアンタゴニストの非荷電天然アミノ酸のうちの1〜3個は、荷電アミノ酸で置換されている。一つの実施態様において、荷電アミノ酸は、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群より選択される。より詳細には、出願者たちは、荷電アミノ酸による天然グルカゴンの28及び/又は29位に対応する位置で通常生じるアミノ酸の置換、及び/又はグルカゴンペプチドのカルボキシ末端への1〜2個の荷電アミノ酸の付加が、生理学的に関連するpH(すなわち、約6.5〜約7.5のpH)の水溶液におけるグルカゴンペプチドの可溶性及び安定性を増強することを発見した。したがって、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニストのそのような修飾は、母体ペプチドの生物学的活性を保持しながら、特に約5.5〜約8.0の範囲のpHの水溶液における可溶性に同様の効果を有することが予測される。
一つの実施態様によると、配列番号39のグルカゴンアンタゴニストは、負荷電アミノ酸(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)による天然グルカゴンの28位及び/又は29位に対応する天然アミノ酸の置換によって修飾されており、更に、ペプチドのカルボキシ末端への負荷電アミノ酸(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)の付加によって修飾されてもよい。別の実施態様において、配列番号39の天然グルカゴンペプチドは、正荷電アミノ酸(例えば、リシン、アルギニン又はヒスチジン)による天然グルカゴンの29位に対応する天然アミノ酸の置換によって修飾されており、更に、ペプチドのカルボキシ末端への1〜2個の正荷電アミノ酸(例えば、リシン、アルギニン又はヒスチジン)の付加により修飾されてもよい。一つの実施態様によると、改善された可溶性及び安定性を有するグルカゴン類縁体が提供され、ここで類縁体は、配列番号41のアミノ酸配列を含むが、但し、配列番号41の23又は24位のうちの少なくとも1個のアミノ酸は、酸性アミノ酸で置換されている、及び/又は、配列番号41のカルボキシ末端に、追加の酸性アミノ酸が付加されている。一つの実施態様において、酸性アミノ酸は、Asp、Glu、システイン酸及びホモシステイン酸からなる群より独立して選択される。
一つの実施態様によると、改善された可溶性及び安定性を有するグルカゴンアンタゴニストが提供され、ここでアンタゴニストは配列番号41、配列番号42、配列番号43又は配列番号44のアミノ酸配列を含み、23位又は24位の少なくとも1個のアミノ酸は、非天然アミノ酸残基で置換されている(すなわち、類縁体の23又は24位に存在する少なくとも1個のアミノ酸は、配列番号7の対応する位置に存在するアミノ酸と異なる酸性アミノ酸である)。一つの実施態様によると、配列番号41又は42の配列を含むグルカゴンアゴニストが提供されるが、但し、23位のアミノ酸がアスパラギンであって24位のアミノ酸がトレオニンである場合、グルカゴンアンタゴニストのカルボキシ末端には、Lys、Arg、His、Asp又はGluからなる群より独立して選択される1〜2個のアミノ酸が更に付加される。
本開示は、第2のペプチドがグルカゴンアンタゴニストのC末端に融合しているグルカゴンアンタゴニスト融合タンパク質も包含する。より詳細には、融合タンパク質は、配列番号19(GPSSGAPPPS)、配列番号20(Lys Arg Asn Arg Asn Asn Ile Ala)又は配列番号21(Lys Arg Asn Arg)のアミノ酸配列がC末端のアミノ酸に更に結合している、配列番号44のグルカゴンアンタゴニストペプチドを含むことができる。一つの実施態様において、配列番号19(GPSSGAPPPS)のアミノ酸配列は、ペプチド結合を介して配列番号42のグルカゴンアンタゴニストのアミノ酸24に結合している。別の実施態様において、融合タンパク質は、配列番号19(GPSSGAPPPS)のアミノ酸配列がアミノ酸24に更に結合している、配列番号7、配列番号36、配列番号39、配列番号40、配列番号41又は配列番号43のグルカゴンアンタゴニストペプチドを含む。別の実施態様において、融合タンパク質は、配列番号20、配列番号21又は配列番号53のアミノ酸配列がアミノ酸24に更に結合している、配列番号7、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号41又は配列番号43のグルカゴンアンタゴニストペプチドを含む。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストペプチドは、配列番号46及び配列番号47からなる群より選択される配列を含む。更なる実施態様において、融合ペプチドのC末端は修飾されて、カルボン酸基がアミド基に代えられている。
一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト融合ペプチドが提供されるが、ここで、融合ペプチドのグルカゴンアンタゴニスト部分は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号10、配列番号16、配列番号17、配列番号18及び配列番号39からなる群より選択され、配列番号19の配列は、グルカゴンアンタゴニスト部分のカルボキシ末端に融合しており、PGE鎖が存在する場合は、PGE鎖は500〜4,000ダルトンの範囲から選択される。より詳細には、一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストセグメントは、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号46及び配列番号47からなる群より選択され、PGE鎖は、500〜5,000ダルトンの範囲から選択され、より好ましくは、一つの実施態様において、PEG鎖は約1,000ダルトンである。更なる実施態様において、C末端は修飾されて、カルボン酸基がアミド基に代えられている。
グルカゴンアンタゴニストは、1〜2個の荷電アミノ酸がカルボキシ末端へ更に付加されていてもよい。一つの実施態様において、1〜2個の荷電アミノ酸が配列番号44のカルボキシ末端に付加される場合、アミノ酸は、例えばグルタミン酸及びアスパラギン酸を含む負荷電アミノ酸である。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは配列番号42の配列を含み、天然グルカゴンペプチドの対応する27及び28位の少なくとも1つは、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群より選択されるアミノ酸を含み、配列番号42は更に、カルボキシ末端1〜2個の負荷電アミノ酸の付加によって修飾されていてもよい。一つの実施態様において、負荷電アミノ酸は、グルタミン酸又はアスパラギン酸である。
別の実施態様において、配列番号42のグルカゴンアンタゴニストの可溶性は、親水性部分を11、12、15、16、19又は24位のアミノ酸残基に共有結合して改善することができ、一つの実施態様において、親水性部分は、11、16又は19位のアミノ酸に結合しており、更なる実施態様において、親水性部分は、アミノ酸19に結合している。一つの実施態様において、親水性部分は、血漿タンパク質であるか又は免疫グロブリンのFc部分であり、別の実施態様において、親水性部分は、親水性炭化水素鎖である。一つの実施態様において、親水性部分は、約1,000〜約5,000ダルトンの範囲から選択される分子量を有するポリエチレングリコールである。別の実施態様では、親水性部分は、少なくとも約20,000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールである。一つの実施態様において、ポリエチレン修飾グルカゴンアンタゴニストは、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号43、配列番号44又は配列番号45のアミノ酸配列を含む。
一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは一般構造A−B−Cを含み、ここでAは、
(i)フェニル乳酸(PLA);
(ii)PLAのオキシ誘導体;
(iii)連続した2個のアミノ酸がエステル又はエーテル結合を介して結合しているアミノ酸2〜6個のペプチド、
からなる群より選択され;
Bは、配列番号1のアミノ酸i〜26を表し(ここでiは、3、4、5、6又は7である)、更に、下記からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸修飾を含んでもよく:
(iv)Glu、Cysのスルホン酸誘導体、ホモグルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、又は下記構造:
〔ここで、Xは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル若しくはC〜Cアルキニルである〕を有するシステインのアルキルカルボキシレート誘導体による、9位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のAspの置換;
(v)エステル、エーテル、チオエーテル、アミド又はアルキルアミン結合を介してアシル又はアルキル基に共有結合しているアミノ酸による、10、20及び24位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のうちの1又は2個のアミノ酸の置換;
(vi)Cys、Lys、オルチニン、ホモシステイン及びアセチル−フェニルアラニン(Ac−Phe)からなる群より選択されるアミノ酸による、16、17、20、21及び24位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のうちの1又は2個のアミノ酸の置換(ここで前記群のアミノ酸は親水性部分に共有結合している);
(vii)システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸又はホモシステイン酸による15位(配列番号1の番号付けによる)のAspの置換;
(viii)システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸又はホモシステイン酸による16位(配列番号1の番号付けによる)のSerの置換;
(ix)配列番号1のアミノ酸番号付けによる16、20、21及び24位の1つ以上の位置でのAIBによる置換、
そして
Cは、
(x)X;
(xi)X−Y;
(xii)X−Y−Z;
(xiiI)X−Y−Z−R10
(ここでXは、Met、Leu又はNleであり;Yは、Asn又は荷電アミノ酸であり;Zは、Thr、Gly、Cys、Lys、オルニチン(Orn)、ホモシステイン、アセチル−フェニルアラニン(Ac−Phe)又は荷電アミノ酸であり、R10は、配列番号19〜21及び53からなる群より選択される); 及び
(xiv)C末端カルボキシレートがアミドで置換されている(x)〜(xiii)のいずれか、
からなる群より選択される。
特定の態様において、グルカゴンアンタゴニストは、PLAのオキシ誘導体、例えばPLAのエステル又はPLAのエーテルを含む。一つの実施態様において、PLAのエステルは、式IV:
〔式中、Rは、PLAのヒドロキシルと、求核剤を有するカルボニルとの反応により形成される〕
で示される構造を含む。
特定の実施態様において、PLAのオキシ誘導体は、ポリマー(例えば、ポリアルキレングリコール)、炭水化物、アミノ酸、ペプチド及び脂質、例えば脂肪酸又はステロイドからなる群より選択される化学的部分を含み、ここで化学的部分は、酸素含有結合(例えば、エステル又はエーテル結合)を介してPLAに結合している。
特定の実施態様において、化学的部分はアミノ酸であり、更に、式IVがデプシペプチドとなるように、ペプチドの一部であってもよい。この場合、PLAは、グルカゴンアンタゴニストがPLA残基の1個以上(例えば、1、2、3、4、5、6個又はそれ以上)のアミノ酸N末端を含むように、グルカゴンアンタゴニストのN末端のアミノ酸残基以外の位置にあることができる。例えば、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴンアンタゴニストのn位にPLAを含むことができ、ここでnは2、3、4、5又は6である。
PLA残基のアミノ酸N末端は、合成アミノ酸であってもよく、天然に存在するアミノ酸であってもよい。特定の実施態様において、PLAのN末端であるアミノ酸は、天然のアミノ酸である。一つの実施態様において、PLAのN末端であるアミノ酸は、天然グルカゴンのN末端のアミノ酸である。例えば、グルカゴンアンタゴニストは、N末端に、配列番号54〜58のいずれかのアミノ酸配列を含むことができ、ここでPLAは、エステル結合を介してトレオニンに結合している:
配列番号54 His−Ser−Gln−Gly−Thr−PLA
配列番号55 Ser−Gln−Gly−Thr−PLA
配列番号56 Gln−Gly−Thr−PLA
配列番号57 Gly−Thr−PLA
配列番号58 Thr−PLA
別の実施態様において、1個以上のN末端のアミノ酸を天然グルカゴンのアミノ酸以外のアミノ酸で置換することができる。例えば、グルカゴンアンタゴニストが5又は6位のアミノ酸としてPLAを含む場合、1位及び/又は2位のアミノ酸は、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対して感受性を低減するアミノ酸であることができる。より詳細には、幾つかの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストの1位は、D−ヒスチジン、アルファ,アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン及びホモ−ヒスチジンからなる群より選択されるアミノ酸である。より詳細には、幾つかの実施態様において、アンタゴニストペプチドの2位は、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン及びアミノイソ酪酸(AIB)からなる群より選択されるアミノ酸である。また、例えば、グルカゴンアンタゴニストが4、5又は6位のアミノ酸としてPLAを含む場合、グルカゴンアンタゴニストの3位のアミノ酸は、天然グルカゴンの天然グルタミン残基とは対照的に、グルタミン酸であることができる。本発明の例示的な実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、N末端に、配列番号59〜61のいずれかのアミノ酸配列を含む。
式IVの化合物を含むグルカゴンアンタゴニストに関して、ポリマーは、PLAのヒドロキシルと反応することができる限り、任意のポリマーであることができる。例えばポリマーは、天然では又は通常は求核剤を有するカルボニルを含むものであることができる。あるいは、ポリマーは、求核剤を有するカルボニルを含むように誘導体化されているものであることができる。ポリマーは、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン及びポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレートを含むその誘導体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、 ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)及びポリ(オクタデシルアクリレート)を含むアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハロゲン化物、ポリ(酢酸ビニル)及びポリビニルピロリドンを含むポリビニルポリマー、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン及びそのコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシエチルセルロース、三酢酸セルロース及びセルロース硫酸ナトリウム塩を含むセルロース、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(エチレンテレフタレート)を含むポリエチレン、並びにポリスチレンのいずれかの誘導体化ポリマーであることができる。
ポリマーは、生分解性ポリマーであってもよく、例えば、合成の生分解性ポリマー(例えば、乳酸とグリコール酸ポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)及びポリ(ラクチド−co−カプロラクトン))及び天然の生分解性ポリマー(例えば、アルギン酸塩及びデキストランを含む他の多糖類、セルロース、コラーゲン、その化学誘導体(化学基、例えばアルキル、アルキレンの置換、付加、ヒドロキシル化、酸化、及び当業者により日常的に行われる他の修飾)、アルブミン及び他の親水性タンパク質(例えば、ゼイン、他のプロラミン及び疎水性タンパク質))、並びにこれらの任意のコポリマー又は混合物であることができる。一般に、これらの物質は、インビボにおける酵素的加水分解又は水への暴露によって、表面又はバルク侵食により分解される。
ポリマーは、生体付着性ポリマーであってもよく、例えば、H. S. Sawhney, C. P. Pathak and J. A. Hubbell in Macromolecules, 1993, 26, 581-587により記載される(この教示は本明細書に組み込まれる)生体侵食性ヒドロゲル、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルチン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)及びポリ(オクタデシルアクリレート)であることができる。
一つの実施態様において、ポリマーは水溶性ポリマーである。適切な水溶性ポリマーは、当該技術分野において既知であり、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC;Klucel)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC;Methocel)、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース、ヒドロキシプロピルペンチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース(Ethocel)、ヒドロキシエチルセルロース、多様なアルキルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロース、多様なセルロースエーテル、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ポリ−ヒドロキシアルキルメタクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、メタクリル酸コポリマー、ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、無水マレイン酸/メチルビニルエーテルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム及びカルシウム、ポリアクリル酸、酸性カルボキシポリマー、カルボキシポリメチレン、カルボキシビニルポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリメチルビニルエーテル−co−無水マレイン酸、カルボキシメチルアミド、カリウムメタクリレートジビニルベンゼンコポリマー、ポリオキシエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、並びにこれらの誘導体、塩及び組み合わせが含まれる。
特定の実施態様において、ポリマーは、例えばポリエチレングリコール(PEG)のような、ポリアルキレングリコールである。
炭水化物は、アルファ離脱基を有するカルボニルを含む又は含むように構成される限り、任意の炭水化物であることができる。炭水化物は、例えば、アルファ離脱基を有するカルボニルを含むように誘導体化されているものであることができる。この場合、炭水化物を、単糖(例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース)、二糖(例えば、スクロース、ラクトース、マルトース)、オリゴ多糖(例えば、ラフィノース、スタキオース)、多糖(デンプン、アミラーゼ、アミロペクチン、セルロース、キチン、カロース、ラミナリン、キシラン、マンナン、フコイダン、ガラクトマンナン)から誘導体化することができる。
式IVの化合物を含むグルカゴンアンタゴニストに関して、脂質は、アルファ離脱基を有するカルボニルを含む任意の脂質であることができる。脂質は、例えば、カルボニルを含むように誘導体化されたものであることができる。この場合、脂質は、脂肪酸(例えば、C4〜C30脂肪酸、エイコサノイド、プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサン、N−アシルエタノールアミン)、グリセロ脂質(例えば、一置換、二置換、三置換グリセロール)、グリセロリン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン)、スフィンゴ脂質(例えば、スフィンゴシン、セラミド)、ステロール脂質(例えば、ステロイド、コレステロール)、プレノール脂質、サッカロ脂質又はポリケチド、油、ロウ、コレステロール、ステロール、脂溶性のビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質の誘導体であることができる。
一つの実施態様において、R7は、約40kDa以下の分子量を有する。したがって、R7は、約35kDa以下、30kDa以下、約25kDa以下、約20kDa以下、約15kDa以下、約10kDa以下、約5kDa以下又は1kDaの分子量を有する。
別の実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、Aとして、連続した2個のアミノ酸がエステル又はエーテル結合を介して結合しているアミノ酸2〜6個のペプチドを含む。ペプチドは、ペプチドの連続した少なくとも2個のアミノ酸がエステル又はエーテル結合を介して結合している限り、合成又は天然の任意のアミノ酸を含むことができる。特定の実施態様において、Aのペプチドは天然グルカゴンのアミノ酸を含む。例えば、ペプチドは天然グルカゴン(配列番号1)のうちのjから6個を含むことができ、ここでjは1、2、3、4又は5である。あるいは、ペプチドは、1つ以上のアミノ酸修飾を有する、配列番号1のN末端に基づいたアミノ酸配列を含むことができる。例えば、ペプチドは、D−ヒスチジン、アルファ,アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン及びホモ−ヒスチジンからなる群より選択されるアミノ酸を、グルカゴンアンタゴニストの1位に含むことができる。より詳細には、幾つかの実施態様において、アンタゴニストペプチドの2位は、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン及びアミノイソ酪酸(AIB)からなる群より選択されるアミノ酸である。また、例えば、グルカゴンアンタゴニストの3位のアミノ酸は、天然グルカゴンの天然グルタミン残基とは対照的に、グルタミン酸であることができる。したがって、グルカゴンアンタゴニストは、
Xaa−Xaa−Xaa−Thr−Gly−Phe(配列番号68);
Xaa−Xaa−Thr−Gly−Phe(配列番号69);又は
Xaa−Thr−Gly−Phe(配列番号70)
のアミノ酸配列を含むことができ、
ここで、Xaaは、His、D−ヒスチジン、アルファ,アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン及びホモ−ヒスチジンからなる群より選択され;Xaaは、Ser、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン及びアミノイソ酪酸(AIB)からなる群より選択され;そしてXaaは、Gln又はGluである。
一般構造A−B−Cを含むグルカゴンアンタゴニストに関して、Bは、天然グルカゴンの、例えば配列番号1のアミノ酸i−26を表し(ここでiは、3、4、5、6又は7である)、更に、1つ以上のアミノ酸修飾を含んでもよい。特定の実施態様において、Bは、配列番号1のアミノ酸7−26を表し、更に修飾されていてもよい。
一つの実施態様において、Bは、3つまでのアミノ酸修飾により修飾されている。例えば、配列番号1の天然アミノ酸配列を表すBは、1つ以上の保存的アミノ酸修飾で修飾されている。
別の実施態様において、Bは、本明細書に記載された(iv)〜(ix)からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸修飾を含む。特定の実施態様において、Bは、アミノ酸修飾(v)及び(vi)のうちの1つ又は両方を含む。更なる特定の実施態様において、Bは、(v)及び(vi)に加えて、(iv)、(vii)、(viii)及び(ix)からなる群より選択されるアミノ酸修飾の1つ又は組み合わせを含む。
別の特定の実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、C末端に1個以上の荷電アミノ酸を含む。例えば、Y及び/又はZは、荷電アミノ酸、例えばLys、Arg、His、Asp及びGluであることができる。さらに別の実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、ZのC末端に1〜2個の荷電アミノ酸(例えば、Lys、Arg、His、Asp及びGlu)含む。特定の態様において、1〜2個の荷電アミノ酸が後に続くZは、R10を含まない。
一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、本明細書に記載されているグルカゴンアンタゴニストのアミノ酸残基に共有結合している親水性部分を含む。例えば、グルカゴンアンタゴニストは、配列番号1の番号付けによる1、16、20、21又は24位のアミノ酸に共有結合している親水性部分を含むことができる。別の実施態様において、親水性部分は、グルカゴンアンタゴニストのC末端のアミノ酸に結合しており、このアミノ酸は、幾つかの場合では、ZのC末端から1又は11個目である。さらに別の実施態様において、AがPLA、PLA−Phe又はPLA−Thr−Pheである場合は、親水性部分はPLAに結合しており、ここでPLAは修飾されて、親水性部分を含む。別の実施態様において、親水性部分を含むアミノ酸は、グルカゴンアンタゴニストのN又はC末端に付加されている。
別の実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、本明細書に記載されているアシル基又はアルキル基を含む。例えば、アシル化又はアルキル化は、配列番号1の番号付けによる10、20又は24位のアミノ酸の側鎖の外で生じることができる。別の実施態様において、アシル化又はアルキル化は、グルカゴンアンタゴニストのC末端のアミノ酸の側鎖の外で生じるが、このアミノ酸は、幾つかの場合では、ZC末端から1〜11個目である。さらに別の実施態様において、AがPLA、PLA−Phe又はPLA−Thr−Pheである場合、PLAは修飾されて、アシル又はアルキル基を含む。
本発明の特定の実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、配列番号62、64〜67及び71のいずれかのアミノ酸配列を含む。
開示されているグルカゴンアンタゴニストは、他のグルカゴンアンタゴニストについて以前に記載されているあらゆる使用に適していると考えられる。したがって、本明細書に記載されている修飾グルカゴンペプチドを、高血糖症の治療、又はグルカゴンの高血中レベル若しくは高血中グルコースレベルをもたらす他の代謝疾患の治療に使用することができる。一つの実施態様によると、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニストを使用して治療される患者は、家畜化された動物であり、別の実施態様では、治療される患者はヒトである。研究は、糖尿病患者におけるグルカゴン抑制の欠如が、部分的にはグリコーゲン分解の促進を介した食後高血糖に寄与することを示唆している。経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の際の血中グルコースの分析から、ソマトスタチン誘導グルカゴン抑制の存在又は不在にかかわらず、高グルカゴンレベルの被験者においてグルコースの有意な増加が示された。したがって、本発明のグルカゴンアンタゴニストは、高血糖症の治療に使用可能であり、また、I型真性糖尿病、II型真性糖尿病又は妊娠糖尿病(インスリン依存性とインスリン非依存性のいずれかも)を含む多様な種類の糖尿病を治療すること、及び腎障害、網膜症及び血管疾患を含む糖尿病の合併症を低減することに有用であることが予想される。
エキセンディン−4は、39個までのアミノ酸からなるペプチドである。GLP−1として知られている受容体の強力な刺激物質である。このペプチドは、食欲を抑制し、減量を誘導することも報告されている。出願者たちは、エキセンディン−4の末端配列は、グルカゴンのカルボキシ末端へ付加されると、グルカゴンの生体活性を損なうことなく、グルカゴンの可溶性及び安定性を改善することを見出した。一つの実施態様によると、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニストを、食欲を減退させるため又は体重の減少を促進するための方法として、患者に投与する。一つの実施態様によると、患者は家畜化された動物であり、別の実施態様では、治療される患者はヒトである。一つの実施態様において、エキセンディン−4の末端アミノ酸10個(すなわち配列番号19(GPSSGAPPPS)の配列)は、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニストのカルボキシ末端に結合している。これらの融合タンパク質は、食欲を抑制し、減量/体重維持を誘導する薬理学的活性を有すると予測される。一つの実施態様によると、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニストは更に修飾されて、配列番号42のグルカゴンアンタゴニストのアミノ酸24に結合している配列番号19(GPSSGAPPPS)のアミノ酸配列を含むことができ、個人に投与して減量を誘導する又は体重維持を援助することができる。より詳細には、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号36、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43及び配列番号44からなる群より選択される配列を含むグルカゴンアンタゴニストであって、アミノ酸24に配列番号19(GPSSGAPPPS)のアミノ酸配列が更に結合しているグルカゴンペプチドを、食欲の抑制及び減量/体重維持の誘導に使用する。一つの実施態様において、投与されるグルカゴンアンタゴニストは、配列番号46又は配列番号47の配列を含む。
そのような食欲を減退する又は体重の減少を促進する方法は、体重の低減、体重増加の防止、又は、薬剤誘導肥満を含む多様な原因による肥満の治療、並びに、血管疾患(冠動脈疾患、発作、末梢血管疾患、虚血再灌流など)、高血圧、II型糖尿病の発症、高脂血症及び筋骨格系疾患などの肥満に関連する合併症の低減に有用であることが予想される。
本発明のグルカゴンペプチドを、単独で又は他の抗糖尿病又は抗肥満剤と組み合わせて投与することができる。当該技術分野において既知であるか又は調査中の抗糖尿病剤には、インスリン;トルブタミド(Orinase)、アセトヘキサミド(Dymelor)、トラザミド(Tolinase)、クロルプロパミド(Diabinese)、グリピジド(Glucotrol)、グリブリド(Diabeta, Micronase, Glynase)、グリメピリド(Amaryl)又はグリクラジド(Diamicron)のようなスルホニル尿素;レパグリニド(Prandin)又はナテグリニド(Starlix)のようなメグリチニド;メトホルミン(Glucophage)又はフェンホルミンのようなビグアナイド;ロシグリタゾン(Avandia)、ピオグリタゾン(Actos)若しくはトログリタゾン(Rezulin)又は他のPPARγインヒビターのようなチアゾリジンジオン;ミグリトール(Glyset)、アルカボース(Precose/Glucobay)のような炭水化物の消化を阻害するアルファグルコシダーゼインヒビター;エクセナチド(Byetta)又はプラムリンチド;ビルダグリプチン又はシタグリプチンのようなジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP−4)インヒビター;SGLT(ナトリウム依存性グルコーストランスポーター1)インヒビター;又はFBPase(フルクトース1,6−ビスホスファターゼ)インヒビターが含まれる。
当該技術分野において既知であるか又は調査中の抗肥満剤には、フェネチルアミン型刺激薬、フェンテルミン、(更に、フェンフルラミン又はデクスフェンフルラミンも)、ジエチルプロピオン(Tenuate(登録商標))、フェンジメトラジン(Prelu-2(登録商標)、Bontril(登録商標))、ベンズフェタミン(Didrex(登録商標))、シブトラミン(Meridia(登録商標)、Reductil(登録商標))を含む食欲抑制薬;リモナバン(Acomplia(登録商標))、他のカンナビノイド受容体アンタゴニスト;オキシントモジュリン;塩酸フルオキセチン(Prozac);Qnexa(トピラメート及びフェンテルミン)、Excalia(ブプロピオン及びゾニサミド)又はContrave(ブプロピオン及びナルトレキソン);或いは、ゼニカル(Orlistat)若しくはCetilistat (ATL-962としても知られている)又はGT 389-255と類似しているリパーゼインヒビター類が含まれる。
本発明のグルカゴンアンタゴニストを、代謝性るいそうを罹患している患者に投与することもできる。癌患者の過半数が、意図されない進行性の減量、衰弱、並びに低体脂肪及び筋肉消失により特徴付けられる、代謝性るいそうを経験していると推定される。この症状は、AIDS患者において同様に一般的であり、細菌及び寄生虫疾患、リウマチ様関節炎、並びに腸、肝臓、肺及び心臓の慢性疾患においても存在しうる。通常、食欲不振に関連し、加齢の状態又は物理的外傷の結果として表れる可能性がある。代謝性るいそうは、生活の質を減少し、基礎状態を悪化させる症状であり、死亡の主な原因である。出願者たちは、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニストを患者に投与して、代謝性るいそうを治療できると予測する。
本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニストを含む医薬組成物を、標準的な薬学的に許容される担体及び当業者に既知の投与経路を使用して、配合及び投与することができる。したがって、本開示は、本明細書に開示されている1つ以上のグルカゴンアンタゴニストを薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物も包含する。医薬組成物は、グルカゴンアンタゴニストを唯一の薬学的活性成分として含んでもよいし、グルカゴンアンタゴニストを1つ以上の追加的な活性剤と組み合わせてもよい。一つの実施態様によると、本発明のグルカゴンアンタゴニストと、GLP−1受容体を活性化する化合物(例えば、GLP−1、GLP−1類縁体、エキセンディン−4類縁体又はそれらの誘導体)とを含む組成物が提供される。一つの実施態様によると、本発明のグルカゴンアンタゴニストと、インスリン又はインスリン類縁体とを含む組成物が提供される。あるいは、配列番号42の配列を含み、配列番号42のアミノ酸24に配列番号19(GPSSGAPPPS)のアミノ酸配列が更に結合しているペプチドと、抗肥満ペプチドとを含む、減量の誘導又は体重増加の防止のための組成物を提供することができる。適切な抗肥満ペプチドには、米国特許第5,691,309号、同第6,436,435号又は米国特許出願第2005/0176643号に開示されているものが含まれ、GLP−1、GIP(胃抑制ポリペプチド)、MP1、PYY、MC−4、レプチンが含まれるが、これらに限定されない。
一つの実施態様によると、好ましくは滅菌され、好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の純度レベルの、本明細書に開示されている任意の新規グルカゴンペプチドと、薬学的に許容される希釈剤、担体又は賦形剤とを含む、医薬組成物が提供される。そのような組成物は、少なくとも0.5mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、11mg/ml、12mg/ml、13mg/ml、14mg/ml、15mg/ml、16mg/ml、17mg/ml、18mg/ml、19mg/ml、20mg/ml、21mg/ml、22mg/ml、23mg/ml、24mg/ml、25mg/ml、又はそれ以上の濃度で、グルカゴンペプチドを含有することができる。一つの実施態様において、医薬組成物は、滅菌された、更に多様な容器に保存されてもよい、水性液剤を含む。本発明の化合物を一つの実施態様に従って使用して、注射可能な予備処方された液剤を調製することができる。別の実施態様において、医薬組成物は凍結乾燥粉末剤を含む。医薬組成物を、患者に組成物を投与する使い捨て装置を含むキットの一部として更に包装することができる。容器又はキットにラベルを付けて常温又は冷蔵温度で保存することができる。
本明細書に記載されている全ての治療方法、医薬組成物、キット及び他の同様の実施態様は、グルカゴンアンタゴニストという用語の使用にはその薬学的に許容される塩が全て含まれることを考慮する。
グルカゴンアンタゴニストをペグ化することで、アンタゴニストの水溶性を改善することができる。しかし、PEG鎖の長さを増大して又は複数のPEG鎖をペプチドに結合して、結合PEGの総分子量が5,000ダルトンを超えると、修飾グルカゴンアンタゴニストの作用時間を遅延し始める。一つの実施態様によると、1つ以上のポリエチレングリコール鎖を含むペプチドであるグルカゴンアンタゴニストが提供され、ここで結合PEGの総分子量は、5,000ダルトンを超え、一つの実施態様では、10,000ダルトンを超える。そのような修飾グルカゴンアンタゴニストは、活性の時間が遅くなるが、生体活性を失うことはない。したがって、そのような化合物を予防的に投与して、投与グルカゴンアンタゴニストの効果を延ばすことができる。
一つの実施態様において、ペグ化グルカゴンアンタゴニストは、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号43、配列番号44及び配列番号45からなる群より選択されるペプチドを含み、ここでペプチドの11、16又は19位のアミノ酸残基の側鎖は1つ以上のポリエチレングリコール鎖に共有結合しており、PEG鎖の総分子量は、約10,000ダルトンを超える。一つの実施態様において、PEG鎖の分子量は、10,000超から40,000ダルトン以下である。一つの実施態様において、ペグ化グルカゴンアンタゴニストは、配列番号9及び配列番号43のペプチドを含み、ここでペプチドの11位のアミノ酸残基は、約10,000〜約40,000ダルトンの範囲から選択される分子量を有するポリエチレングリコール鎖に共有結合している。一つの実施態様において、ペグ化グルカゴンアンタゴニストは、配列番号10及び配列番号44のペプチドを含み、ここでペプチドの16位のアミノ酸残基は、約10,000〜約40,000ダルトンの範囲から選択される分子量を有するポリエチレングリコール鎖に共有結合している。一つの実施態様において、ペグ化グルカゴンアンタゴニストは、配列番号11及び配列番号45のペプチドを含み、ここでペプチドの19位のアミノ酸残基は、約10,000〜約40,000ダルトンの範囲から選択される分子量を有するポリエチレングリコール鎖に共有結合している。別の実施態様において、ペグ化ルカゴンアンタゴニストは、配列番号13、配列番号14、配列番号15又は配列番号16のペプチドを含み、ここで共有結合しているPEG鎖は、少なくとも約10,000ダルトンの分子量を有し、一つの実施態様において、PEGの分子量は、約20,000〜約40,000ダルトンの範囲から選択される。別の実施態様において、ペグ化グルカゴンアゴニストは、配列番号12、配列番号17又は配列番号22のペプチドを含み、ここでPEG鎖は11位及び19位のアミノ酸残基に共有結合しており、2つのPEG鎖の合わせた分子量は少なくとも10,000ダルトンである。
本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニストを、例えばインスリンを含む他の活性剤と組み合わせて、過剰グルカゴン活性により特徴付けられている疾患又は状態を治療することができる。一つの実施態様において、10,000ダルトンを超える分子量を有するPEG鎖に共有結合するように修飾されたグルカゴンアンタゴニストを、インスリンと一緒に投与して、糖尿病患者の安定した血中グルコースレベルの維持を助けることができる。本開示のグルカゴンアンタゴニストを単一組成物でインスリンと同時投与することもできるし、インスリンとグルカゴンアンタゴニストを別々の液剤として同時に投与するか、あるいは、互いに異なる時間で投与することもできる。一つの実施態様において、インスリンを含む組成物及びグルカゴンアンタゴニストを含む組成物を、互いに12時間以内に投与する。グルカゴンアンタゴニストと投与されたインスリンの正確な比率は、部分的には患者のグルカゴンレベルを決定することによって決まり、慣用的な実験により決定することができる。
本開示は、本明細書に開示されている修飾グルカゴンアンタゴニストの多量体も包含する。2つ以上の修飾グルカゴンペプチドを、標準的な結合剤及び当業者に既知の手順を使用して一緒に結合することができる。例えば、二量体は、2つの修飾グルカゴンアンタゴニスト、特にシステイン、リシン、オルチニン、ホモシステイン又はアセチルフェニルアラニン残基(例えば、配列番号9、配列番号10、配列番号11及び配列番号12)により(例えば、11、16又は19位で)置換されているグルカゴンアンタゴニストから、二官能チオール架橋剤及び二官能アミン架橋剤の使用を介して形成することができる。二量体は、ホモ二量体であることができるか、あるいはヘテロ二量体であることができる。一つの実施態様において、二量体は、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号45、配列番号46又は配列番号47からなる群より独立して選択される2つのグルカゴンアンタゴニストから形成され、ここで2つのペプチドは、それぞれのペプチドの11位、それぞれのペプチドの16位、若しくはそれぞれのペプチド19位、又はこれらの任意の組み合わせに結合しているリンカーを介して、互いに結合している。一つの実施態様において、結合は、それぞれのグルカゴンアンタゴニストペプチドのCys11とCys11又はCys19とCys19又はCys11とCys19残基の間のジスルフィド結合である。
同様に、二量体は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39及び配列番号42からなる群より独立して選択される2つのグルカゴンアンタゴニストペプチドから形成することができ、ここで結合は、天然グルカゴンペプチドに対応した16、21及び24位から独立して選択されるアミノ酸位置の間で形成される。
一つの実施態様によると、それぞれ配列番号46の配列を含む2つのグルカゴンアンタゴニストを含むグルカゴンアンタゴニスト二量体が提供され、ここで2つのアンタゴニストは、アミノ酸の25位を介してジスルフィド結合により互いに結合している。別の実施態様において、それぞれ配列番号47の配列を含む2つのグルカゴンアンタゴニストを含むグルカゴンアンタゴニスト二量体が提供され、ここで2つのアンタゴニストは、アミノ酸の35位を介してジスルフィド結合により互いに結合している。一つの実施態様において、二量体は、配列番号46と配列番号47のグルカゴンアンタゴニストから形成され、10位のアミノ酸はグルタミン酸である。
一つの実施態様において、二量体は、配列番号7、配列番号8、配列番号36、配列番号37、配列番号40、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42からなる群より選択されるグルカゴンアンタゴニス融合ペプチドのホモ二量体及びそれらの薬学的に許容される塩を含む。一つの実施態様によると、リンカーを介して第2グルカゴンアンタゴニストに結合している第1グルカゴンアンタゴニスト(ここで、二量体の第1及び第2グルカゴンペプチドは、配列番号7、配列番号8、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号41及び配列番号42からなる群より独立して選択される)を含む二量体と、その薬学的に許容される塩が提供される。別の実施態様において、二量体の第1及び第2グルカゴンペプチドは、配列番号7、配列番号8、配列番号36及び配列番号39からなる群より独立して選択される。
別の実施態様において、二量体は、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31からなる群より選択されるグルカゴンアンタゴニストのホモ二量体を含む。別の実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト二量体が提供され、ここで二量体の第1及び第2グルカゴンペプチドは、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27及び配列番号28からなる群より独立して選択されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、二量体は、配列番号9、配列番号11及び配列番号12からなる群より選択されるグルカゴンアンタゴニストのホモ二量体を含み、ここでグルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドの11又は19位に共有結合しているポリエチレングリコール鎖を更に含む。
本発明の修飾グルカゴンペプチドを、一つの実施態様に従って、キットの一部として提供することができる。一つの実施態様において、グルカゴンアゴニストを、それを必要とする患者に投与するキットが提供され、ここでキットは、下記からなる群より選択される修飾グルカゴンアンタゴニストを含む:
1)配列番号7、配列番号8、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43及び配列番号44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むグルカゴンアンタゴニスト;
2)PEG鎖が、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号46及び配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むグルカゴンアンタゴニストの11、12、15、16、19、24又は35位に共有結合しており、PEG鎖が約500〜約40,000ダルトンの分子量を有する、ペグ化グルカゴンアンタゴニスト;
3)配列番号7、配列番号8、配列番号36、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43及び配列番号44からなる群より選択されるグルカゴンアンタゴニストを含む融合ペプチドと、前記グルカゴンアンタゴニストの末端アミノ酸に融合している配列番号19のペプチド、並びに
4)グルカゴンアンタゴニストのカルボキシ末端に結合している配列番号19(GPSSGAPPPS)のアミノ酸配列を更に含み、共有結合しているPEG鎖が約500〜約40,000ダルトンの分子量を有する、ペグ化グルカゴンアンタゴニスト。
一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト組成物を患者に投与する装置を有するキットが提供される。キットは、多様な容器、例えばバイアル、チューブ、ボトルなどを更に含むことができる。好ましくは、キットは使用説明書も含む。一つの実施態様によると、キットの装置は、エアゾール・ディスペンサー装置であり、ここで組成物はエアゾール装置内に予め包装されている。別の実施態様において、キットは、シリンジ及び針を含み、一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト組成物は、シリンジの中に予め包装されている。
<アルファ,アルファ二置換アミノ酸の組み込み>
一つの実施態様によると、グルカゴンペプチドのC末端部分(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによるアミノ酸12〜29のあたり)に1つ以上のα,α−二置換アミノ酸を(アミノ酸置換又は挿入にいずれかにより)含む、グルカゴンアンタゴニストが提供される。特定の実施態様において、α,α−二置換アミノ酸は、メチル、エチル、プロピル及びn−ブチルから選択される同一若しくは異なる基により二置換されている又はシクロオクタン若しくはシクロヘプタンにより二置換されているアミノ酸(例えば、1−アミノシクロオクタン−1−カルボン酸)であるアミノイソ酪酸(AIB)の1つである。幾つかの実施態様において、16、17、18、20、21、24又は29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のうちの1、2、3、4つ又はそれ以上の位置は、α,α−二置換アミノ酸で置換されている。特定の実施態様において、16、20、21又は24位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のうちの1、2、3つ又は全ての位置は、AIBで置換されている。特定の態様において、グルカゴンアンタゴニストが1個以上のα,α−二置換アミノ酸、例えばAIBを含む場合、グルカゴンアンタゴニストは、C末端カルボキシレートを含み、C末端でアミド化されていない。
<親水性部分の結合>
一つの実施態様において、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニストの可溶性は、ペプチドへの親水性部分の共有結合により増強される。親水性部分を、タンパク質と活性化ポリマー分子との反応に使用される任意の適切な条件下でグルカゴンアンタゴニストに結合することができる。アシル化、還元的アルキル化、マイケル付加、チオールアルキル化又はPEG部分に対する反応基(例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド又はヒドラジノ基)と標的化合物に対する反応基(例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド又はヒドラジノ基)との他の化学選択的結合/連結方法を含む、当該技術分野において既知のあらゆる方法を使用することができる。水溶性ポリマーを1つ以上のタンパク質に結合するのに使用できる活性化基には、スルホン、マレイミド、スルフヒドリル、チオール、トリフレート、トレシレート、アジリジン、オキシラン及び5−ピリジルが含まれるが、これらに限定されない。還元的アルキル化によりアンタゴニストペプチドに結合する場合、選択されるポリマーは、重合の程度が制御されるように単一の反応性アルデヒドを有するべきである。例えば、Kinstler et al., Adv. Drug. Delivery Rev. 54: 477-485 (2002); Roberts et al., Adv. Drug Delivery Rev. 54: 459-476 (2002)及びZalipsky et al., Adv. Drug Delivery Rev. 16: 157-182 (1995)を参照すること。
適切な親水性部分には、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化ポリオール(例えば、POG)、ポリオキシエチレン化ソルビトール、ポリオキシエチレン化グルコース、ポリオキシエチレン化グリセロール(POG)、ポリオキシアルキレン、ポリエチレングルコールプロピオンアルデヒド、エチレングルコール/プロピレングリコールのコポリマー、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、モノ−(C1−C10)アルコキシ−又はアリールオキシ−ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアセタール、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ベータ−アミノ酸)(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、ポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー(PPG)及び他のポリアルキレンオキシド、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、コロン酸又は他の多糖ポリマー、フィコール又はデキストラン、並びにこれらの混合物が含まれる。
親水性部分、例えばポリエチレングリコール鎖は、幾つかの実施態様によると、約500〜約4,0000ダルトンの範囲から選択される分子量を有する。一つの実施態様において、親水性部分、例えばPEGは、約500〜約5,000ダルトン又は約1,000〜約5,000ダルトンの範囲から選択される分子量を有する。別の実施態様において、親水性部分、例えばPEGは、約10,000〜約20,000ダルトンの分子量を有する。さらに別の例示的な実施態様において、親水性部分、例えばPEGは、約20,000〜約40,000ダルトンの分子量を有する。
一つの実施態様において、デキストランが親水性部分として使用される。デキストランは、主にα1−6結合により結合しているグルコースサブユニットの多糖ポリマーである。デキストランは、多くの分子量範囲、例えば約1kDから約100kDまでの範囲、又は約5、10、15若しくは20kDから約20、40、50、60、70、80若しくは90kDまでの範囲で入手することができる。
直鎖又は分岐鎖ポリマーが考慮される。得られる結合体の調製物は、実質的に単分散又は多分散であることができ、アンタゴニストペプチド1つあたり約0.5、0.7、1、1.2、1.5又は2つのポリマー部分を有することができる。
一つの実施態様において、親水性部分は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖であり、更に、1、16、17、21、24、29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の1つ以上、C末端延長内の位置、例えば30位、又はN若しくはC末端のアミノ酸において、アンタゴニストと結合していてもよい。幾つかの実施態様において、その位置の天然アミノ酸は、アンタゴニストへの親水性部分の結合を促進するために、親水性部分との架橋に適した側鎖を有するアミノ酸で置換されている。例示的な実施態様において、その位置の天然アミノ酸は、Lys、Cys、Orn、ホモシステイン又はアセチル−フェニルアラニン残基で置換されている。他の実施態様において、親水性基を含むように修飾されているアミノ酸が、ペプチドのN又はC末端に付加される。
<結合体及び融合>
本開示は、本発明のグルカゴンアンタゴニストが、結合体部分に結合する、他の結合体も包含し、結合は共有結合を介してでもリンカーを介してでもよい。結合は、共有化学結合、静電気、水素、イオン、ファンデルワールスのような物理力、又は疎水性若しくは親水性相互作用により達成することができる。ビオチン−アビジン、リガンド/受容体、酵素/基質、核酸/核酸結合タンパク質、脂質/脂質結合タンパク質、細胞付着分子パートナー又は互いに親和性を有する任意の結合パートナー若しくはそのフラグメントを含む、多様な非共有結合系を使用することもできる。
アンタゴニストを、アンタゴニストの標的アミノ酸残基と、これらの標的アミノ酸の選択された側鎖又はN若しくはC末端の残基と反応することができる有機誘導体化剤との反応により、直接共有結合を介して結合体部分に結合することができる。アンタゴニスト又は結合体の反応基には、例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド又はヒドラジノ基が含まれる。誘導体化剤には、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介して結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基を介して結合)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸又は当該技術分野に既知の他の作用物質が含まれる。あるいは、結合体部分を、多糖又はポリペプチド担体のような中間体担体を介してアンタゴニストに間接的に結合することもできる。多糖担体の例にはアミノデキストランが含まれる。適切なポリペプチド担体の例には、ポリリシン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、それらのコポリマー及びこれらのアミノ酸の混合ポリマー、並びに得られる装填担体に望ましい可溶性の特性を付与する他のもの、例えばセリンが挙げられる。
システイニル残基は、最も一般的には、クロロ酢酸又はクロロアセトアミドのようなα−ハロアセテート(及び対応するアミン)と反応して、カルボキシメチル又はカルボキシアミドメチル誘導体を与える。システイニルン残基はまた、ブロモトリフルオロアセトン、アルファ−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロ水銀ベンゾエート、2−クロロ水銀−4−ニトロフェノール、又は、クロロ−7−ニトロベンゾ−オキサ−1,3−ジアゾールと反応させることによっても誘導体化される。
ヒスチジル残基は、ジエチルピロカーボネートとpH5.5〜7.0で反応させることによって誘導体化されるが、それはこの作用物質がヒスチジル側鎖に比較的特異性があるからである。パラ−ブロモフェナシルブロミドも有用であり、反応は、好ましくは0.1Mカコジル酸ナトリウムによりpH6.0で実施される。
リシニル及びアミノ末端残基は、無水コハク酸又は他のカルボン酸無水物と反応する。これらの作用物質による誘導体化は、リシニル残基の電荷を逆転する効果を有する。アルファ−アミノ含有残基を誘導体化するのに適した他の試薬には、メチルピコリンイミデート、ピリドキサールホスフェート、ピリドキサール、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ尿素、2,4−ペンタンジオンのようなイミドエステル及びグリオキシレートとのトランスアミダーゼ触媒反応が含まれる。
アルギニル残基は、1つ又は幾つかの従来の試薬、中でもフェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン及びニンヒドリンによる反応で修飾される。アルギニン残基の誘導体化のためには、グアニジン官能基のpKaが高いので、反応をアルカリ条件下で実施する必要がある。更に、これらの試薬は、リシンの基、またアルギニン−イプシロン−アミノ基と反応することができる。
チロシル残基の特定の修飾は、スペクトル標識をチロシル残基に導入するのに特に興味深く、芳香族ジアゾニウム化合物又はテトラニトロメタンによる反応によって行うことができる。最も一般的には、N−アセチルイミダゾール及びテトラニトロメタンを使用して、O−アセチルチロシル種及び3−ニトロ誘導体がそれぞれ形成される。
カルボニル側基(アスパルチル又はグルタミル)は、R及びR′が異なるアルキル基であるカルボジイミド(R−N=C=N−R′)、例えば1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミド又は1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドとの反応により選択的に修飾される。更に、アスパルチル残基及びグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によってアスパラギニル残基及びグルタミニル残基に変換される。
他の修飾としては、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン及びヒスチジン側鎖のアルファ−アミノ基のメチル化(T. E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp. 79-86 (1983))、アスパラギン又はグルタミンの脱アミド化、N末端アミンのアセチル化、及び/又はC末端カルボン酸基のアミド化若しくはエステル化が挙げられる。
別の種類の共有的修飾としては、アンタゴニストへのグリコシドの化学的又は酵素的結合が挙げられる。糖を、(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)システインのような遊離スルフヒドリル基、(d)セリン、トレオニン又はヒドロキシプロリンのような遊離ヒドロキシル基、(e)チロシン又はトリプトファンのような芳香族残基、又は(f)グルタミンのアミド基、に結合することができる。これらの方法は、1987年9月11日に公開されたWO87/05330及びAplin and Wriston, CRC Crit. Rev. Biochem., pp. 259-306 (1981)に記載されている。
本明細書に記載されているグルカゴンアンタゴニストのいずれかに結合することができる例示的な結合体部分には、異種ペプチド又はポリペプチド(例えば、血漿タンパク質を含む)、標的作用物質、免疫グロブリン又はその一部(例えば、可変部領域、CDR若しくはFc領域)、放射性同位体、蛍光体若しくは酵素標識のような診断用標識、水溶性ポリマーを含むポリマー、又は他の治療若しくは診断剤が含まれるが、これらに限定されない。一つの実施態様において、本発明のグルカゴンアンタゴニスト及び血漿タンパク質を含む結合体が提供され、ここで血漿タンパク質は、アルブミン、トランスフェリン、フィブリノゲン及びグロブリンからなる群より選択される。
幾つかの実施態様において、リンカーは、1〜約60個、又は1〜30個以上の原子長さ、2〜5個の原子、2〜10個の原子、5〜10個の原子又は10〜20個の原子長さの原子鎖を含む。幾つかの実施態様において、原子鎖は全て炭素原子である。幾つかの実施態様において、リンカーの主鎖の原子鎖は、C、O、N及びSからなる群より選択される。原子鎖及びリンカーは、より可溶性のある結合体をもたらすと予想される可溶性(親水性)に従って選択することができる。幾つかの実施態様において、リンカーは、酵素や他の触媒による分解、又は、標的組織若しくは臓器若しくは細胞において見出される加水分解的条件による切断の対象となる官能基を提供する。幾つかの実施態様において、リンカーの長さは、立体障害の潜在性を低減するのに十分な長さである。リンカーが共有結合又はペプチジル結合であり、結合体がポリペプチドである場合、結合体はその全体が融合タンパク質であることができる。そのようなペプチジルリンカーは任意の長さであることができる。例示的なリンカーは、約1〜50個のアミノ酸長さ、5〜50個、3〜5個、5〜10個、5〜15個又は10〜30個のアミノ酸長さである。そのような融合タンパク質は、代替的には当業者に既知の組み換え遺伝子操作法により産生することもできる。
上記に記述したように、幾つかの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、免疫グロブリン又はその一部分(例えば、可変部領域、CDR又はFc領域)に結合、例えば融合している。既知の種類の免疫グロブリン(Ig)には、IgG、IgA、IgE、IgD又はIgMが含まれる。Fc領域はIg重鎖のC末端領域であり、これは、再循環(延長された半減期をもたらす)、抗体依存性細胞仲介細胞障害性(ADCC)及び補体依存性細胞障害性(CDC)のような活性を実施するFc受容体への結合に関与している。
例えば、幾つかの定義によると、ヒトIgG重鎖Fc領域は、重鎖のCys226からC末端まで伸びている。「ヒンジ領域」は、一般に、ヒトIgG1のGlu216からPro230まで伸びている(他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、システイン結合に関わるシステインを整列することによりIgG1配列と整列させることができる)。IgGのFc領域には2つの定常部ドメイン、CH2及びCH3が含まれる。ヒトIgGのFc領域のCH2ドメインは、通常、アミノ酸231からアミノ酸341まで伸びている。ヒトIgGのFc領域のCH3ドメインは、通常、アミノ酸342から酸447まで伸びている。免疫グロブリン又は免疫グロブリンのフラグメント若しくは領域のアミノ酸番号付けに関する参照は、全て、Kabat et al. 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Department of Public Health, Bethesda, Md.に基づいている。関連する実施態様において、Fc領域は、1つ以上の、CH1以外の免疫グロブリン重鎖の、天然の又は修飾された定常部領域、例えばIgG及びIgAのCH2及びCH3領域、又はIgEのCH3及びCH4領域を含むことができる。
適切な結合体部分は、FcRn結合部位を含む免疫グロブリン配列の一部を含む。サルベージ受容体であるFcRnは、免疫グロブリンを再循環して、血液循環に戻すことに関与する。FcRn受容体に結合するIgGのFc部分の領域は、X線結晶構造解析に基づいて記載されている(Burmeister et al. 1994, Nature 372:379)。FcRnへのFcの主な接触領域は、CH2及びCH3ドメインの接合部に近接している。Fc−FcRn接触点は、全て単一Ig重鎖の範囲内である。主な接触部位には、CH2ドメインのアミノ酸残基248、250〜257、272、285、288、290〜291、308〜311及び314、並びにCH3ドメインのアミノ酸残基385〜387、428及び433〜436が含まれる。
幾つかの結合体部分は、FcγR結合部位(1つ又は複数の)を含んでもよいし含まなくてもよい。FcγRは、ADCC及びCDCに関与する。Fcγrと直接接触するFc領域内の位置の例は、アミノ酸234〜239(低ヒンジ領域)、アミノ酸265〜269(B/Cループ)、アミノ酸297〜299(C′/Eループ)及びアミノ酸327〜332(F/G)ループである(Sondermann et al., Nature 406: 267-273, 2000)。IgEの低ヒンジ領域は、FcRI結合にも関わっている(Henry, et al., Biochemistry 36, 15568-15578, 1997)。IgA受容体結合に関わる残基は、Lewisらにより記載されている(J Immunol. 175:6694-701, 2005)。IgE受容体結合に関わるアミノ酸残基は、Sayers らにより記載されている(J Biol Chem. 279(34):35320-5, 2004)。
アミノ酸修飾を免疫グロブリンのFc領域に行うことができる。そのようなFc領域変異体は、Fc領域のCH3ドメイン(残基342〜447)に少なくとも1つのアミノ酸修飾、及び/又はFc領域のCH2ドメイン(残基231〜341)に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む。FcRnに親和性の増加を付与すると考えられる突然変異には、T256A、T307A、E380A及びN434Aが含まれる(Shields et al. 2001, J. Biol. Chem. 276:6591)。他の突然変異は、FcRnの親和性を有意に低減することなく、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB及び/又はFcγRIIIAへのFc領域の結合を低減することができる。例えば、Ala又は他のアミノ酸によるFc領域の297位のAsnの置換は、高度に保存されたN−グリコシル化部位を除去し、Fc領域の延長された半減期を伴って免疫原性の低減、また、FcγRへの結合の低減をもたらすことができる(Routledge et al. 1995, Transplantation 60:847; Friend et al. 1999, Transplantation 68:1632; Shields et al. 1995, J. Biol. Chem. 276:6591)。FcγRへの結合を低減する、IgG1の233〜236位でのアミノ酸の修飾が行われた(Ward and Ghetie 1995, Therapeutic Immunology 2:77 and Armour et al. 1999, Eur. J. Immunol. 29:2613)。幾つかの例示的なアミノ酸置換は、米国特許第7,355,008号及び同第7,381,408号に記載されており、それぞれその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
本開示は、第2のペプチド又はポリペプチドがグルカゴンアンタゴニストの末端、例えばカルボキシ末端に融合している、グルカゴン融合ペプチド又はタンパク質も含む。幾つかの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストのカルボキシ末端に付加される第2ペプチドは、グルカゴンアンタゴニストのアミノ酸29(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)に結合しているGPSSGAPPPS、KRNRNNIA又はKRNRである。他の実施態様において、第2ペプチドはXGPSSGAPPPSであり、ここでXは、20個の通常のアミノ酸、例えばグルタミン酸、アスパラギン酸又はグリシンのうちの1つから選択される。一つの実施態様において、Xは、アミノ酸の側鎖に共有結合している親水性部分を更に含むアミノ酸、例えばCysを表す。そのようなC末端延長は、可溶性を改善し、グルカゴン又はGLP−1活性も改善することができる。幾つかの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストがカルボキシ末端延長を更に含む場合、延長のカルボキシ末端のアミノ酸は、カルボン酸ではなくアミド基又はエステル基で終わる。
幾つかの実施態様において、例えばC末端延長を含むグルカゴンアンタゴニストにおいて、29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のトレオニンはグリシンに代えられている。例えば、29位のトレオニンにグリシン置換を有し、GPSSGAPPPSのC末端延長を含むグルカゴンアンタゴニストは、同じC末端延長を含むように修飾された天然グルカゴンよりも、GLP−1受容体に対して、4倍も効力がある。このT29G置換を、本明細書に開示されている他の修飾と一緒に使用して、GLP−1受容体に対するグルカゴンアンタゴニストの親和性を増強することができる。
幾つかの実施態様において、アミノ酸がC末端に付加されており、付加されるアミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸及びグリシンからなる群より選択される。
本開示は、本明細書に開示されている修飾グルカゴンアンタゴニストの多量体も包含する。2つ以上の修飾グルカゴンアンタゴニストを、標準的な結合剤及び当業者に既知の手順を使用して一緒に結合することができる。例えば、二量体は、2つの修飾グルカゴンアンタゴニスト、特にシステイン、リシン、オルチニン、ホモシステイン又はアセチルフェニルアラニン残基により置換されているグルカゴンアンタゴニストから、二官能チオール架橋剤及び二官能アミン架橋剤の使用を介して形成することができる。
<アシル化及びアルキル化>
幾つかの実施態様によると、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニストは修飾されて、アシル基又はアルキル基を含む。アシル化又はアルキル化は、循環しているグルカゴンアンタゴニストの半減期を増加させることができる。アシル化又はアルキル化は、有利には、グルカゴン及び/若しくはGLP−1受容体に対して作用の開始を遅延する及び/若しくは作用の持続時間を延長する、並びに/又はDPP−IVのようなプロテアーゼに対する耐性を改善する、並びに/又は可溶性を改善することができる。幾つかの実施態様において、アシル化グルカゴンアンタゴニストの効力は、非アシル化型のグルカゴンアンタゴニストに匹敵する。グルカゴンアンタゴニストを、親水性部分が結合している同じアミノ酸の位置又は異なるアミノ酸の位置でアシル化又はアルキル化することができる。
幾つかの実施態様において、本発明は、グルカゴンアンタゴニストの10位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸に共有結合しているアシル基又はアルキル基を含むように修飾されているグルカゴンアンタゴニストを提供する。グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴンアンタゴニストの10位のアミノ酸とアシル基又はアルキル基との間にスペーサーを更に含むことができる。幾つかの実施態様において、アシル基は、脂肪酸若しくは胆汁酸又はこれらの塩であり、例えばC40〜C30脂肪酸、C8〜C24脂肪酸、コール酸、C4〜C30アルキル、C8〜C24アルキル又は胆汁酸のステロイド部分を含むアルキルである。スペーサーは、アシル又はアルキル基を結合するのに適した反応性基を有する任意の部分である。例示的な実施態様において、スペーサーは、アミノ酸、ジペプチド若しくはトリペプチド、又は親水性二官能スペーサーを含む。幾つかの実施態様において、スペーサーは、Trp、Glu、Asp、Cys及びNH(CHCHO)n(CH)mCOOHを含むスペーサーからなる群より選択され、ここでmは、1〜6の任意の整数であり、そしてnは、2〜12の任意の整数である。そのようなアシル化又はアルキル化グルカゴンアンタゴニストは、親水性部分を更に含んでもよく、これはポリエチレングリコールであってもよい。前述のグルカゴンアンタゴニストのいずれも、2つのアシル基若しくは2つのアルキル基又はそれらの組み合わせを含むことができる。
アシル化は、グルカゴンアンタゴニスト活性(及び場合によりGLP−1活性も)が保持される限り、C末端延長内の位置である1〜29位のいずれかの位置、又はC末端のアミノ酸を含む、グルカゴンアンタゴニスト内の任意の位置で実施することができる。非限定例には、5、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28又は29(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の位置が挙げられる。アシル基を、グルカゴンアンタゴニストのアミノ基に直接的に又はグルカゴンアンタゴニストのアミノ基にスペーサーを介して間接的に共有結合することができ、ここでスペーサーは、グルカゴンアンタゴニストのアミノ基とアシル基との間に位置している。グルカゴンアンタゴニストを、親水性部分が結合しているのと同じアミノ酸の位置又は異なるアミノ酸の位置でアシル化することができる。非限定例には、グルカゴンアンタゴニストの10位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)でのアシル化、及び、C末端部分における1つ以上の位置、例えばC末端延長内の24、28若しくは29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)又はC末端(例えば、C末端Cysの付加を介する)でのペグ化が挙げられる。
本発明の特定の態様において、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴンアンタゴニストのアミノ酸の側鎖のアミン、ヒドロキシル又はチオールの直接的なアシル化により修飾されて、アシル基を含む。幾つかの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、アミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル又はチオールを介して、直接アシル化される。幾つかの実施態様において、アシル化は、10、20、24又は29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)においてである。この場合、アシル化グルカゴンアンタゴニストは、配列番号2のアミノ酸配列、又は本明細書に記載されている1つ以上のアミノ酸修飾を含む配列番号2の修飾アミノ酸配列であって、10、20、24及び29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸の少なくとも1個が修飾されて、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含む任意のアミノ酸となっているアミノ酸配列を含むことができる。本発明の幾つかの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストの直接アシル化は、10位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを介して生じる。
幾つかの実施態様において、側鎖アミンを含むアミノ酸は、式I:
で示されるアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式Iのアミノ酸は、nが4(Lys)であるか又はnが3(Orn)であるアミノ酸である。
他の実施態様において、側鎖ヒドロキシルを含むアミノ酸は、式II:
で示されるアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式IIのアミノ酸は、nが1(Ser)であるアミノ酸である。
さらに別の実施態様において、側鎖チオールを含むアミノ酸は、式III:
で示されるアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式IIのアミノ酸は、nが1(Cys)であるアミノ酸である。
本発明の一つの実施態様において、アシル化グルカゴンアンタゴニストは、アンタゴニストとアシル基との間にスペーサーを含む。幾つかの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストはスペーサーと共有結合し、スペーサーはアシル基と共有結合している。幾つかの例示的な実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、スペーサーのアミン、ヒドロキシル又はチオールのアシル化により修飾されてアシル基を含み、ここでスペーサーは、グルカゴンアンタゴニストの10、20、24若しくは29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸の側鎖又はC末端のアミノ酸に結合している。スペーサーが結合しているアミノ酸は、スペーサーへの結合を可能にする部分を含む任意のアミノ酸であることができる。例えば、側鎖NH2、−OH又は−COOHを含むアミノ酸(例えば、Lys、Orn、Ser、Asp又はGlu)が適している。この場合、アシル化グルカゴンアンタゴニストは、配列番号1のアミノ酸配列、又は、本明細書に記載されている1つ以上のアミノ酸修飾を含む配列番号1の修飾アミノ酸配列を含んでもよく、ここで、10、20、24及び29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸の少なくとも1個が修飾されて、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はカルボキシレートを含む任意のアミノ酸となっている。
幾つかの実施態様において、スペーサーは、側鎖アミン、ヒドロキシル若しくはチオールを含むアミノ酸であるか又は側鎖アミン、ヒドロキシル若しくはチオールを含むアミノ酸を含むジペプチド若しくはトリペプチドである。
アシル化がスペーサーのアミン基を介して生じる場合、アシル化は、アミノ酸のアルファアミン又は側鎖アミンを介して生じることができる。アルファアミンがアシル化される場合、スペーサーアミノ酸は、任意のアミノ酸であることができる。例えば、スペーサーアミノ酸は、疎水性アミノ酸、例えばGly、Ala、Val、Leu、Ile、Trp、Met、Phe、Tyrであることができる。あるいは、スペーサーアミノ酸は、酸性残基、例えばAsp及びGluであることができる。スペーサーアミノ酸の側鎖アミンがアシル化される場合、スペーサーアミノ酸は、側鎖アミンを含むアミノ酸、例えば式Iのアミノ酸(例えば、Lys又はOrn)である。この場合、スペーサーアミノ酸のアルファアミンと側鎖アミンの両方ともアシル化されることが可能であり、それによりグルカゴンアンタゴニストがジアシル化される。本発明の実施態様はそのようなジアシル化分子を含む。
アシル化がスペーサーのヒドロキシル基を介して生じる場合、アミノ酸又はジペプチド若しくはトリペプチドのアミノ酸のうちの1個は、式IIのアミノ酸であることができる。特定の例示的な実施態様において、アミノ酸はSerである。
アシル化がスペーサーのチオール基を介して生じる場合、アミノ酸又はジペプチド若しくはトリペプチドのアミノ酸のうちの1個は、式IIIのアミノ酸であることができる。特定の例示的な実施態様において、アミノ酸はCysである。
一つの実施態様において、スペーサーは、親水性二官能スペーサーを含む。特定の実施態様において、スペーサーは、アミノポリ(アルキルオキシ)カルボキシレートを含む。この場合、スペーサーは、例えばNH(CHCHO)(CHCOOHを含むことができ(ここでmは、1〜6の任意の整数であり、そしてnは、2〜12の任意の整数である)、その例として、Peptides International, Inc. (Louisville, KY)により販売されている8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸が挙げられる。
アミン、ヒドロキシル及びチオールを介したペプチドアシル化に適した方法は、当該技術分野において知られている。例えば、実施例19(アミンを介したアシル化の方法)、Miller, Biochem Biophys Res Commun 218: 377-382 (1996); Shimohigashi and Stammer, lnt J Pept Protein Res 19: 54-62 (1982);及びPreviero et al., Biochim Biophys Acta 263: 7-13 (1972)(ヒドロキシルを介したアシル化の方法);並びにSan and Silvius, J Pept Res 66: 169-180 (2005)(チオールを介したアシル化の方法); Bioconjugate Chem. "Chemical Modifications of Proteins: History and Applications" pages 1, 2-12 (1990); Hashimoto et al., Pharmacuetical Res. "Synthesis of Palmitoyl Derivatives of Insulin and their Biological Activity" Vol. 6, No: 2 pp.171-176 (1989)を参照すること。
アシル化グルカゴンアンタゴニストのアシル基は、任意のサイズ、例えば任意の長さの炭素鎖であることができ、直鎖又は分岐鎖であることができる。本発明の幾つかの特定の実施態様において、アシル基は、C4〜C30脂肪酸である。例えば、アシル基は、C4脂肪酸、C6脂肪酸、C8脂肪酸、C10脂肪酸、C12脂肪酸、C14脂肪酸、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、C24脂肪酸、C26脂肪酸、C28脂肪酸又はC30脂肪酸のいずれかであることができる。幾つかの実施態様において、アシル基は、C8〜C20脂肪酸、例えばC14脂肪酸又はC16脂肪酸である。
別の実施態様において、アシル基は胆汁酸である。胆汁酸は、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、タウロコール酸、グリココール酸及びコレステロール酸が含まれるが、これらに限定されない任意の適切な胆汁酸であることができる。
本明細書に記載されているアシル化グルカゴンアンタゴニストは更に修飾されて、親水性部分を含むことができる。幾つかの特定の実施態様において、親水性部分は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖を含むことができる。親水性部分の組み込みは、本明細書に記載されたいずれかの方法のような任意の適切な手段によって達成することができる。この場合、アシル化グルカゴンアンタゴニストは、本明細書に記載されている修飾のいずれかを含む配列番号1を含むことができ、ここで、(a)10、20、24及び29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の少なくとも1個のアミノ酸はアシル基を含み、(b)C末端延長内の位置である16、17、21、24若しくは29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の少なくとも1個のアミノ酸又はC末端のアミノ酸は修飾されて、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys又はAc−Pheとなり、アミノ酸の側鎖は、親水性部分(例えば、PEG)に共有結合している。幾つかの実施態様において、アシル基は、10位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)に結合しており、この結合はCys、Lys、Orn、ホモ−Cys又はAc−Pheを含むスペーサーを介してであってもよく、親水性部分は、24位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のCysに組み込まれている。
あるいは、アシル化グルカゴンアンタゴニストは、スペーサーを含むことができ、ここでスペーサーは、アシル化され、かつ、修飾もされて親水性部分を含む。適切なスペーサーの非限定例には、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys及びAc−Pheからなる群より選択される1個以上のアミノ酸を含むスペーサーが挙げられる。
一つの実施態様によると、グルカゴンアンタゴニストは、循環の半減期を延長する、並びに/又は作用の開始を遅延する及び/若しくは持続時間を延長する、並びに/又はDPP−IVのようなプロテアーゼに対する耐性を改善する目的で、エステル、エーテル、チオエーテル、アミド又はアルキルアミン結合を介して結合しているアルキル基を含むように修飾される。
アルキル化は、グルカゴンアンタゴニスト活性(及び場合によりGLP−1活性も)が保持される限り、1〜29位のいずれかの位置、C末端延長内、又はC末端のアミノ酸を含む、グルカゴンアンタゴニスト内の任意の位置で実施することができる。非限定例には、5、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28又は29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)が挙げられる。アルキル基を、グルカゴンアンタゴニストのアミノ基に直接的に又はグルカゴンアンタゴニストのアミノ基にスペーサーを介して間接的に共有結合することができ、ここでスペーサーは、グルカゴンアンタゴニストのアミノ基とアルキル基との間に位置している。グルカゴンアンタゴニストを、親水性部分が結合している同じアミノ酸の位置又は異なるアミノ酸の位置でアルキル化することができる。非限定例には、グルカゴンアンタゴニストの10位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)でのアルキル化、及びC末端部分における1つ以上の位置、例えばC末端延長内の24、28若しくは29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)又はC末端(例えば、C末端Cysの付加を介する)でのペグ化が挙げられる。
本発明の特定の態様において、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴンアンタゴニストのアミノ酸の側鎖のアミン、ヒドロキシル又はチオールの直接的なアルキル化により修飾されて、アルキル基を含む。幾つかの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、アミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル又はチオールを介して直接アルキル化される。幾つかの実施態様において、アルキル化は、10、20、24又は29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)においてである。この場合、アルキル化グルカゴンアンタゴニストは、配列番号2のアミノ酸配列、又は本明細書に記載されている1つ以上のアミノ酸修飾を含む配列番号2の修飾アミノ酸配列であって、10、20、24及び29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸の少なくとも1個が修飾されて側鎖アミン、ヒドロキシル又はチオールを含む任意のアミノ酸となっているアミノ酸配列を含むことができる。本発明の幾つかの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストの直接アルキル化は、10位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル又はチオールを介して生じる。
幾つかの実施態様において、側鎖アミンを含むアミノ酸は、式Iのアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式Iのアミノ酸は、nが4(Lys)であるか又はnが3(Orn)であるアミノ酸である。
他の実施態様において、側鎖ヒドロキシルを含むアミノ酸は、式IIのアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式IIのアミノ酸は、nが1(Ser)であるアミノ酸である。
さらに別の実施態様において、側鎖チオールを含むアミノ酸は、式IIIのアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式IIのアミノ酸は、nが1(Cys)であるアミノ酸である。
本発明の一つの実施態様において、アルキル化グルカゴンアンタゴニストは、アンタゴニストとアルキル基との間にスペーサーを含む。幾つかの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストはスペーサーと共有結合し、スペーサーはアルキル基と共有結合している。幾つかの例示的な実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、スペーサーのアミン、ヒドロキシル又はチオールのアルキル化により修飾されてアルキル基を含み、ここでスペーサーは、グルカゴンアンタゴニストの10、20、24又は29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸の側鎖に結合している。スペーサーが結合しているアミノ酸は、スペーサーへの結合を可能にする部分を含む任意のアミノ酸であることができる。例えば、側鎖NH2、−OH又は−COOHを含むアミノ酸(例えば、Lys、Orn、Ser、Asp又はGlu)が適している。この場合、アルキル化グルカゴンアンタゴニストは、配列番号1のアミノ酸配列、又は、本明細書に記載されている1つ以上のアミノ酸修飾を含む配列番号1の修飾アミノ酸配列を含んでもよく、ここで、10、20、24及び29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸の少なくとも1個が修飾されて、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はカルボキシレートを含む任意のアミノ酸となっている。
幾つかの実施態様において、スペーサーは、側鎖アミン、ヒドロキシル若しくはチオールを含むアミノ酸であるか、又は側鎖アミン、ヒドロキシル若しくはチオールを含むアミノ酸を含むジペプチド若しくはトリペプチドである。
アルキル化がスペーサーのアミン基を介して生じる場合、アルキル化は、アミノ酸のアルファアミン又は側鎖アミンを介して生じることができる。アルファアミンがアルキル化される場合、スペーサーアミノ酸は、任意のアミノ酸であることができる。例えば、スペーサーアミノ酸は、疎水性アミノ酸、例えばGly、Ala、Val、Leu、Ile、Trp、Met、Phe、Tyrであることができる。あるいは、スペーサーアミノ酸は、酸性残基、例えばAsp及びGluであることができる。スペーサーアミノ酸の側鎖アミンがアルキル化される場合、スペーサーアミノ酸は、側鎖アミンを含むアミノ酸、例えば式Iのアミノ酸(例えば、Lys又はOrn)である。この場合、スペーサーアミノ酸のアルファアミンと側鎖アミンの両方ともアルキル化されることが可能であり、それによりグルカゴンアンタゴニストがジアルキル化される。本発明の実施態様はそのようなジアルキル化分子を含む。
アルキル化がスペーサーのヒドロキシル基を介して生じる場合、アミノ酸又はジペプチド若しくはトリペプチドのアミノ酸のうちの1個は、式IIのアミノ酸であることができる。特定の例示的な実施態様において、アミノ酸はSerである。
アシル化がスペーサーのチオール基を介して生じる場合、アミノ酸又はジペプチド若しくはトリペプチドのアミノ酸のうちの1個は、式IIIのアミノ酸であることができる。特定の例示的な実施態様において、アミノ酸はCysである。
一つの実施態様において、スペーサーは、親水性二官能スペーサーを含む。特定の実施態様において、スペーサーは、アミノポリ(アルキルオキシ)カルボキシレートを含む。この場合、スペーサーは、例えばNH(CHCHO)(CHCOOHを含むことができ(ここでmは、1〜6の任意の整数であり、そしてnは、2〜12の任意の整数である)、その例として、Peptides International, Inc. (Louisville, KY)により販売されている8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸が挙げられる。
アミン、ヒドロキシル及びチオールを介したペプチドアルキル化に適した方法は、当該技術分野において知られている。例えば、ウィリアムソンエーテル合成を使用して、グルカゴンアンタゴニストとアルキル基との間にエーテル結合を形成することができる。また、ハロゲン化アルキルによるペプチドの求核置換反応は、エステル、エーテル、チオエーテル、アミド又はアルキルアミン結合のいずれかをもたらすことができる。
アルキル化グルカゴンアンタゴニストのアルキル基は、任意のサイズ、例えば任意の長さの炭素鎖であることができ、直鎖又は分岐鎖であることができる。本発明の幾つかの実施態様において、アルキル基は、C1〜C30アルキルである。例えば、アルキル基は、C4アルキル、C6アルキル、C8アルキル、C10アルキル、C12アルキル、C14アルキル、C16アルキル、C18アルキル、C20アルキル、C22アルキル、C24アルキル、C26アルキル、C28アルキル又はC30アルキルのいずれかであることができる。幾つかの実施態様において、アルキル基は、C8〜C20アルキル、例えばC14アルキル又はC16アルキルである。
幾つかの実施態様において、アルキル基は、胆汁酸のステロイド部分、例えば、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、タウロコール酸、グリココール酸及びコレステロール酸を含む。
本明細書に記載されているアルキル化グルカゴンアンタゴニストは、更に修飾されて、親水性部分を含むことができる。幾つかの特定の実施態様において、親水性部分は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖を含むことができる。親水性部分の組み込みは、本明細書に記載されたいずれかの方法のような任意の適切な手段によって達成することができる。この場合、アルキル化グルカゴンアンタゴニストは、配列番号1のアミノ酸配列、又は本明細書に記載されているアミノ酸修飾の1つ以上を含む配列番号1のアミノ酸配列を含むことができ、ここで、(a)10、20、24及び29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の少なくとも1個のアミノ酸はアルキル基を含み、(b)C末端延長内の位置である16、17、21、24若しくは29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の少なくとも1個のアミノ酸又はC末端のアミノ酸は修飾されて、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys又はAc−Pheとなり、アミノ酸の側鎖は、親水性部分(例えば、PEG)に共有結合している。幾つかの実施態様において、アルキル基は、10位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)に結合しており(結合はCys、Lys、Orn、ホモ−Cys又はAc−Pheを含むスペーサーを介してでもよい)、親水性部分は、24位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のCysに組み込まれている。
あるいは、アルキル化グルカゴンアンタゴニストは、スペーサーを含むことができ、ここでスペーサーは、アルキル化され、かつ、修飾もされて親水性部分を含む。適切なスペーサーの非限定例には、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys及びAc−Pheからなる群より選択される1個以上のアミノ酸を含むスペーサーが挙げられる。
〔実施例〕
本発明の化合物を、標準的な合成方法、組み換えDNA技術又はペプチド及び融合タンパク質を調製する他の任意の方法により調製することができる。特定の非天然アミノ酸は標準的な組み換えDNA技術により発現することができないが、それらを調製する技術は当該技術分野において知られている。非ペプチド部分を含む本発明の化合物を、適用可能であれば、標準的なペプチド化学反応に加えて、標準的な有機化学反応により合成することができる。
一般的合成プロトコール:
グルカゴン類縁体を、改良Applied Biosystem 430 Aペプチド合成機により、0.2mmolのBoc Thr(OBzl)Pam樹脂から出発し、HBTU活性化「Fast Boc」単一カップリングを使用して合成した。Bocアミノ酸及びHBTUは、Midwest Biotech(Fishers, IN)から得た。使用した側鎖保護基は、Arg(Tos)、Asn(Xan)、Asp(OcHex)、Cys(pMeBzl)、His(Bom)、Lys(2Cl−Z)、Ser(OBzl)、Thr(OBzl)、Tyr(2Br−Z)及びTrp(CHO)であった。N末端Hisの側鎖保護基はBocであった。
合成の完了したそれぞれのペプチジル樹脂を、ジメチルホルムアミド中の20%ピペリジンの溶液で処理して、トリプトファンからホルミル基を除去した。液体フッ化水素切断を、p−クレゾール及びジメチルスルフィドの存在下で実施した。切断は、HF装置(Penninsula Labs)を使用して氷浴で1時間実施した。HFを蒸発させた後、残渣をジエチルエーテルに懸濁し、固体物質を濾過した。ペプチドをそれぞれ30〜70mlの酢酸水溶液に抽出し、希釈アリコートをHPLC〔Beckman System Gold、0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm、A緩衝液=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%アセトニトリル、10分間かけて10%から80%Bの勾配〕により分析した。
精製を2.2×25cmのKromasil C18カラムのFPLCにより実施し、その間、214nmのUVでモニタリングし、5分毎の画分を収集した。均質画分をまとめ、凍結乾燥して、生成物純度>95%を得た。正確な分子量及び純度は、MALDI質量スペクトル分析を使用して確認した。
一般的ペグ化プロトコール:(Cys−マレイミド)
典型的には、グルカゴンCys類縁体をリン酸緩衝食塩水(5〜10mg/ml)に溶解し、0.01Mエチレンジアミン四酢酸を加える(総容量の10〜15%)。過剰(2倍)量のマレイミドメトキシPEG試薬(Nektar)を加え、反応物を室温で撹拌し、その間、HPLCで反応進行をモニタリングする。8〜24時間後、反応混合物を酸性化し、精製のために0.1%TFA/アセトニトリル勾配を使用する分取逆相カラムに装填する。適切な画分をまとめ、凍結乾燥して、所望のペグ化誘導体を得た。
〔実施例1〕
グルカゴンCys17(1−29)及び同様のモノCys類縁体の合成
60mlの反応容器中の0.2mmolのBoc Thr(OBzl) Pam樹脂(SynChem Inc)及び以下の配列を、FastBoc HBTU活性化単一カップリングを使用する改良Applied Biosystems 430Aペプチド合成機に入れ、稼働した。
HSQGTFTSDYSKYLDSCRAQDFVQWLMNT(配列番号32)
以下の側鎖保護基を使用した:Arg(Tos)、Asp(OcHex)、Asn(Xan)、Cys(pMeBzl)、Glu(OcHex)、His(Boc)、Lys(2Cl−Z)、Ser(Bzl)、Thr(Bzl)、Trp(CHO)及びTyr(Br−Z)。合成の完了したペプチジル樹脂を20%ピペリジン/ジメチルホルムアミドで処理して、Trpホルミル保護を除去し、次にHF反応容器に移し、真空下で乾燥した。1.0mlのp−クレゾール及び0.5mlのジメチルスルフィドを、磁気式撹拌バーと共に加えた。容器をHF装置(Pennisula Labs)に取り付け、ドライアイス/メタノール浴で冷却し、蒸発させ、およそ10mlの液体フッ化水素を填塞した。反応物を氷浴で1時間撹拌し、次にHFを減圧留去した。残渣をエチルエーテルに懸濁し、固体を濾過し、エーテルで洗浄し、ペプチドを50mlの酢酸水溶液に抽出した。分析HPLC〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm、A緩衝液は0.1%TFA、B緩衝液は0.1%TFA/90%ACN、10分間かけて10%Bから80%Bの勾配〕を少量の切断抽出物試料を用いて実施した。残りの抽出物を2.2×25cmのKromasil C18分取逆相カラムに装填し、Pharmacia FPLC系を使用してアセトニトリル勾配を実施した。5分毎の画分を収集し、その間、214nmのUV(2.0A)でモニタリングした。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%アセトニトリル。勾配=450分間かけて30%Bから100%B。
最も純粋な生成物(48−52)を含有する画分をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、30.1mgを得た。生成物のHPLC分析は、>90%の純度を示し、MALDI質量スペクトル分析は、所望の質量の3429.7を示した。グルカゴンCys21、グルカゴンCys24及びグルカゴンCys29を同様に調製した。
〔実施例2〕
グルカゴン−Cex及び他のC末端延長類縁体の合成
285mg(0.2mmol)のメトキシベンズヒドリルアミン樹脂(Midwest Biotech)を60mlの反応容器に入れ、以下の配列を、FastBoc HBTU活性化単一カップリングを使用する改良Applied Biosystems 430Aペプチド合成機に入れ、稼働した。
HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNTGPSSGAPPPS(配列番号33)
以下の側鎖保護基を使用した:Arg(Tos)、Asp(OcHex)、Asn(Xan)、Cys(pMeBzl)、Glu(OcHex)、His(Boc)、Lys(2Cl−Z)、Ser(Bzl)、Thr(Bzl)、Trp(CHO)及びTyr(Br−Z)。合成の完了したペプチジル樹脂を20%ピペリジン/ジメチルホルムアミドで処理して、Trpホルミル保護を除去し、次にHF反応容器に移し、真空下で乾燥した。1.0mlのp−クレゾール及び0.5mlのジメチルスルフィドを、磁気式撹拌バーと共に加えた。容器をHF装置(Pennisula Labs)に取り付け、ドライアイス/メタノール浴で冷却し、蒸発させ、およそ10mlの液体フッ化水素を填塞した。反応物を氷浴で1時間撹拌し、次にHFを減圧留去した。残渣をエチルエーテルに懸濁し、固体を濾過し、エーテルで洗浄し、ペプチドを50mlの酢酸水溶液に抽出した。分析HPLC〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm、A緩衝液は0.1%TFA、B緩衝液は0.1%TFA/90%ACN、10分間かけて10%Bから80%Bの勾配〕を切断抽出物のアリコートで実施した。残りの抽出物を2.2×25cmのKromasil C18分取逆相カラムに装填し、Pharmacia FPLC系を溶出に使用してアセトニトリル勾配を実施した。5分毎の画分を収集し、その間、214nmのUV(2.0A)でモニタリングした。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%アセトニトリル。勾配=450分間かけて30%Bから100%B。画分58〜65をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、198.1mgを得た。
生成物のHPLC分析は、95%を超える純度を示した。MADI質量スペクトル分析は、所望の理論質量の4316.7を有する生成物の存在をC末端アミドとして示した。オキシントモジュリン及びオキシントモジュリン−KRNRを、適切な装填PAM樹脂から出発して、C末端カルボン酸として同様に調製した。
〔実施例3〕
グルカゴンCys17Mal−PEG−5K
15.1mgのグルカゴンCys17(1−29)及び27.3mgの平均分子量5000のメトキシポリ(エチレングリコール)マレイミド(mPEG−Mal−5000、Nektar Therapeutics)を、3.5mlのリン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解し、0.5mlの0.01Mエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を加えた。反応物を室温で撹拌し、反応の進行をHPLC分析〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間かけて10%Bから80%B〕によりモニタリングした。5時間後、反応混合物を2.2×25cmのKromasil C18分取逆送カラムに装填した。アセトニトリル勾配をPharmacia FPLCにより実施し、その間、214nmのUV波長でモニタリングした。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%アセトニトリル、勾配=450分間かけて30%Bから100%B。生成物に対応する画分をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、25.9mgを得た。
この生成物をHPLC〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm(0.5A)、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間かけて10%Bから80%B〕により分析し、およそ90%の純度を示した。MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)質量スペクトル分析は、8700〜9500の(PEG誘導体に典型的な)広い質量範囲を示した。これは、出発グルカゴンペプチドの質量(3429)へのおよそ5,000原子質量単位の追加を示す。
〔実施例4〕
グルカゴンCys21Mal−PEG−5K
21.6mgのグルカゴンCys21(1−29)及び24mgのmPEG−Mal−5000(Nektar Therapeutics)を、3.5mlのリン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解し、0.5mlの0.01Mエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を加えた。反応物を室温で撹拌した。2時間後、更なる12.7mgのmPEG−Mal−5000を加えた。8時間後、反応混合物を2.2×25cmのVydac C18分取逆相カラムに装填し、アセトニトリル勾配を4ml/分のPharmacia FPLCにより実施し、その間、5分毎の画分を収集した。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。勾配=450分間かけて20%から80%B。
表れた生成物に対応する画分をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、34mgを得た。分析HPLC〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm(0.5A)、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間かけて10%Bから80%B〕による生成物の分析は、出発グルカゴンペプチドと異なる均質生成物を示した。MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)質量スペクトル分析は、8700〜9700の(PEG誘導体に典型的な)広い質量範囲を示した。これは、出発グルカゴンペプチドの質量(3470)へのおよそ5,000原子質量単位の追加を示す。
〔実施例5〕
グルカゴンCys24Mal−PEG−5K
20.1mgのグルカゴンC24(1−29)及び39.5mgのmPEG−Mal−5000(Nektar Therapeutics)を、3.5mlのPBSに撹拌しながら溶解し、0.5mlの0.01M EDTAを加えた。反応物を室温で7時間撹拌し、次に更なる40mgのmPEG−Mal−5000を加えた。およそ15時間後、反応混合物を、2.2×25cmのVydac C18分取逆相カラムに装填し、アセトニトリル勾配を、Pharmacia FPLCを使用して実施した。5分毎の画分を収集し、その間、214nmのUV(2.0A)でモニタリングした。A緩衝液=0.1%TFA、B緩衝液=0.1%TFA/50%ACN、勾配=450分間かけて30%Bから100%B。生成物に対応する画分をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、45.8mgを得た。MALDI質量スペクトル分析は、最大9175.2の典型的なPEGの幅広のシグナルを示し、これはグルカゴンC24(3457.8)よりもおよそ5,000原子質量単位だけ多い。
〔実施例6〕
グルカゴンCys24Mal−PEG−20K
25.7mgのグルカゴンC24(1−29)及び40.7mgのmPEG−Mal−20K(Nektar Therapeutics)を、3.5mlのPBSに室温で撹拌しながら溶解し、0.5mlの0.01M EDTAを加えた。6時間後、出発物質と生成物の比率は、HPLCにより決定すると、およそ60:40であった。更なる25.1mgのmPEG−Mal−20Kを加え、反応物を更に16時間撹拌した。生成物比率が有意に改善されなかったので、反応混合物を、2.2×25cmのKromasil C18分取逆相カラムに装填し、450分かけて30%Bから100%Bへの勾配を使用するPharmacia FPLCにより精製した。A緩衝液=0.1%TFA、B緩衝液=0.1%TFA/50%ACN、流量=4ml/分、5分毎の画分を収集し、その間、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。均質な生成物を含有する画分をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、25.7mgを得た。分析HPLCにより決定された純度は約90%であった。MALDI質量スペクトル分析は、23,000から27,000の広域のピークを示し、これは出発グルカゴンC24(3457.8)よりもおよそ20,000原子質量単位だけ多い。
〔実施例7〕
グルカゴンCys29Mal−PEG−5K
20.0mgのグルカゴンCys29(1−29)及び24.7mgのmPEG−Mal−5000(Nektar Therapeutics)を、3.5mlのPBSに室温で撹拌しながら溶解し、0.5mlの0.01M EDTAを加えた。4時間後、更なる15.6mgのmPEG−Mal−5000を加えて、反応の完了を促進した。8時間後、反応混合物を、2.2×25cmのVydac C18分取逆相カラムに装填し、アセトニトリル勾配を、Pharmacia FPLC系により実施した。5分毎の画分を収集し、その間、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。画分75〜97をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、HPLCにより回収された出発物質(画分58〜63)と異なる、40.0mgの生成物を得た。分析HPLC〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm(0.5A)、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間かけて10%Bから80%B〕による生成物の分析は、95%を超える純度を示した。MALDI質量スペクトル分析は、8,000〜10,000(最大9025.3)の範囲の質量を有するPEG成分の存在を示し、これは出発物質(3484.8)よりも5,540原子質量単位だけ多い。
〔実施例8〕
グルカゴンCys24(2−ブチロラクトン)
24.7mgのグルカゴンCys24(1−29)に、4mlの0.05M重炭酸アンモニウム/50%アセトニトリル及び5.5ulの2−ブロモ−4−ヒドロキシ酪酸−γ−ラクトンの溶液(アセトニトリル900ul中100ul)を加えた。室温で3時間撹拌した後、更なる105ulのラクトン溶液を反応溶液に加え、更に15時間撹拌した。反応混合物を、10%酢酸水溶液で10mlに希釈し、2.2×25cmのKromasil C18分取逆相カラムに装填した。アセトニトリル勾配(450分かけて20%Bから80%B)をPharmacia FPLCにより実施し、その間、5分毎の画分を収集し、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。流量=4ml/分、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。画分74〜77をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、7.5mgを得た。HPLC分析は、95%の純度を示し、MALDI質量スペクトル分析は、3540.7の質量又は出発物質よりも84質量単位多い質量を示した。この結果は、単一ブチロラクトン部分の付加と一致している。
〔実施例9〕
グルカゴンCys24(S−カルボキシメチル)
18.1mgのグルカゴンCys24(1−29)を、9.4mlの0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH=9.2)に溶解し、0.6mlのブロモ酢酸溶液(アセトニトリル中1.3mg/ml)を加えた。反応物を室温で撹拌し、反応の進行を分析HPLCにより追跡した。1時間後、更なる0.1mlのブロモ酢酸溶液を加えた。反応物を更に60分間撹拌し、酢酸水溶液で酸性化し、精製のために2.2×25cmのKromasil C18分取逆相カラムに装填した。アセトニトリル勾配をPharmacia FPLC(流量=4ml/分)により実施し、その間、5分毎の画分を収集し、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。画分26〜29をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、数mgの生成物を得た。分析HPLCは、90%の純度を示し、MALDI質量スペクトル分析は、所望の生成物の質量3515を確認した。
〔実施例10〕
グルカゴンCys24マレイミド,PEG−3.4K−二量体
16mgのグルカゴンCys24及び1.02mgのMal−PEG−Mal−3400、平均分子量3400のポリ(エチレングルコール)−ビス−マレイミド(Nektar Therpeutics)を、3.5 のリン酸緩衝食塩水及び0.5mlの0.01M EDTAに溶解し、反応物を室温で撹拌した。16時間後、更なる16mgのグルカゴンCys24を加え、撹拌を続けた。およそ40時間後、反応混合物をPharmcia PepRPC 16/10カラムに装填し、アセトニトリル勾配をPharmacia FPLCにより実施し、その間、2分毎の画分を収集し、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。流量=2ml/分、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。画分69〜74をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、10.4mgを得た。分析HPLCは、90%の純度を示し、MALDI質量スペクトル分析は、9500〜11,000の範囲の成分を示し、これは所望の二量体と一致する。
〔実施例11〕
グルカゴン可溶性アッセイ:
グルカゴン(又は類縁体)の溶液(1mg/ml又は3mg/ml)を0.01NのHClで調製する。100ulの原液を、0.01NのHClで1mlに希釈し、UV吸光度(276nm)を決定する。残りの原液のpHを、200〜250ulの0.1M NaHOP(pH9.2)を使用して、pH7に調整する。溶液を4℃で一晩放置し、次に遠心分離する。次に100ulの上澄みを、0.01NのHClで1mlに希釈し、UV吸光度を決定する(2回繰り返す)。
初期吸光度の読み取りを容量の増加で補正し、以下の計算を使用して、溶解率%を確立する。
最終吸光度/初期吸光度×100=溶解率%
結果を表1に示し、表中、グルカゴン−Cexは、野生型グルカゴン(配列番号1)への配列番号19のカルボキシ末端の付加を表し、グルカゴン−Cex R12は、配列番号48を表す。
〔実施例12〕
グルカゴン受容体結合アッセイ
グルカゴン受容体へのペプチドの親和性を、シンチレーション近接アッセイ技術を利用する競争結合アッセイにより測定した。シンチレーション近接アッセイ緩衝液(0.05Mのトリス−HCl、pH7.5、0.15MのNaCl、0.1%w/vのウシ血清アルブミン)により調製したペプチドの3倍希釈系列を、0.05nMの(3−〔125I〕−ヨードチロシル)Tyr10グルカゴン(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)、1ウエルあたり1〜6マイクログラムの、ヒトグルカゴン受容体を過剰発現している細胞から調製した原形質膜画分、及び1mg/ウエルのポリエチレンイミン処理ムギ胚芽凝集素A型シンチレーション近接アッセイビーズ(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)と共に、96穴白色/透明底プレート(Corning Inc., Acton, MA)の中で混合した。ロータリー振とう器により800rpmで5分間振とうしてから、プレートを室温で12時間インキュベートし、次にMicroBetal450液体シンチレーションカウンター(Perkin-Elmer, Wellesley, MA)で読み取った。試験試料の最高濃度よりも4倍高い濃度の「コールドの」天然リガンドを入れたウエルで非特異的結合(NSB)放射能を測定し、競合物質を入れなかったウェルで総結合放射能を検出した。特異的結合の率を以下のように計算した:特異的結合率=((結合−NSB)/(総結合−NSB))×100。IC50値は、Originソフトウェア(OriginLab, Northampton, MA)を使用して決定した。
〔実施例13〕
機能アッセイ−cAMP合成
cAMPを誘導するグルカゴン類縁体の能力を、ホタルルシフェラーゼに基づいたレポーターアッセイにより測定した。グルカゴン受容体又はGLP−1受容体のいずれかと、cAMP応答配列に結合したルシフェラーゼ遺伝子とを同時形質移入されたHEK293細胞を、0.25%ウシ増殖血清(HyClone, Logan, UT)が添加されたDMEM(Invitrogen, Carlsbad, CA)中で16時間培養することにより血清を取り除き、次にグルカゴン、GLP−1又は新規グルカゴン類縁体のいずれかの希釈系列と共に、96穴ポリ−D−リシン被覆「バイオコート」プレート(BD Biosciences, San Jose, CA)中で37℃、5%COでインキュベートした。インキュベーションの終了時に、100マイクロリットルのLucLiteルミネセンス基質試薬(Perkin-Elmer, Wellesley, MA)を各ウエルに加えた。プレートを短時間振とうし、暗黒で10分間インキュベートし、発光をMicroBeta-1450液体シンチレーションカウンター(Perkin-Elmer, Wellesley, MA)で測定した。有効50%濃度は、Originソフトウェア(OriginLab, Northampton, MA)を使用して計算した。結果を図3、並びに表2及び3に示す。
−実験の数
−実験の数
〔実施例14〕
グルカゴンCys−マレイミドPEG類縁体の安定性アッセイ
各グルカゴン類縁体を水又はPBSに溶解し、初期HPLC分析を実施した。pHを調整した後(4、5、6、7)、試料を37℃で特定の時間インキュベートし、HPLCにより再び分析して、ペプチドの完全性を決定した。特定の目的とするペプチドの濃度を決定し、無傷のまま残っている率を初期分析と比較して計算した。グルカゴンCys21−マレイミドPEG5κについての結果を図1及び2に示す。
〔実施例15〕
グルカゴン類縁体
グルカゴンアンタゴニストは以下の一般的な複数の戦略を使用して合成した。
Boc化学戦略による一般的なペプチド合成プロトコール:
グルカゴン類縁体を、改良Applied Biosystem 430Aペプチド合成機により、0.2mmolのMBHA樹脂から又はPam樹脂に結合した第1アミノ酸から出発し、HBTU活性化「Fast Boc」単一カップリングを使用して合成した。Bocアミノ酸及びHBTUは、Midwest Biotech(Fishers, IN)から得た。使用した側鎖保護基は以下の通りであった:Arg(Tos)、Asn(Xan)、Asp(OcHex)、Cys(pMeBzl)、His(Bom)、Lys(2Cl−Z)、Ser(OBzl)、Thr(OBzl)、Tyr(2Br−Z)及びTrp(CHO)。自動固相合成の後、N末端の3−フェニル乳酸(PLA)(Aldrich, Milwaukee, WI)を、手動で、BEPBT(3−(ジエトキシ−ホスホリルオキシ)−3H−ベンゾ〔d〕〔1,2,3〕トリアジン−4−オン、Synchem Inc., Aurora, OH)によりカップリングした。
ペプチド固相合成の後、合成の完了したそれぞれのペプチジル樹脂を20%ピペラジン/DMFで処理して、トリプトファンからホルミル基を除去した。液体フッ化水素切断を、p−クレゾール及びジメチルスルフィドの存在下で実施した。切断は、HF装置(Penninsula Labs)を使用して氷浴で1時間実施した。HFを蒸発させた後、残渣をジエチルエーテルに懸濁し、固体物質を濾過した。ペプチドをそれぞれ30〜70mlの酢酸水溶液に抽出し、水で希釈し、凍結乾燥した。粗ペプチドを分析HPLCで分析し、ペプチド分子量をESI又はMALDI−TOF質量分析法により調べた。ペプチドを一般的なHPLC精製手順により精製した。
Fmoc化学戦略による一般的なペプチド合成プロトコール:
ペプチドは、カップリング試薬としてDIC/HOBTを使用し、Rink MBHAアミド樹脂を用いて又はWang樹脂(Novabiochem, San Diego, CA)に結合した第1アミノ酸を用いて、標準的Fmoc化学を使用するABI 433A自動ペプチド合成機により合成した。自動ペプチド合成の後、3−フェニル乳酸(PLA)を、手動で、BEPBTによりカップリングした。N−Fmoc〔N−(9−フルオレニル)メトキシカルボニル〕アミノ酸の側鎖保護基は以下の通りであった:Arg、Pmc;Asp、OtBu;Cys、Trt;Gln、Trt;His、Trt;Lys、Boc;Ser、tBu、Tyr、tBu;及びTrp、Boc(Pmc=2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル、OtBu=tert−ブチルエステル、Trt=トリチル、Boc=tert−ブチルオキシカルボニル及びtBu=tert−ブチルエステル)。Fmoc−Cys(SO3Na)−OH及びFmoc−ホモCys(SO3Na)−OHを、システイン酸及びホモシステイン酸含有ペプチドの合成に使用した。ペプチドを、85%TFA、5%フェノール、5%水及び5%チオアニソール(ペプチドがシステインを含有する場合は2.5%EDTが添加された)を含有する切断カクテルにより樹脂から切断した。粗ペプチドをエーテルに沈殿させ、遠心分離し、凍結乾燥した。ペプチドを分析HPLCで分析し、ESI又はMALDI−TOF質量スペクトル分析法により調べた。ペプチドを一般的なHPLC精製手順により精製した。
一般的な分析HPLC手順:
分析HPLCは、流量1.0mL/分の勾配溶離及び214nmでのモニタリングを用いて、ZORBAX SB-C8カラム(0.46×5cm、5μm、Agilent)を有するBeckman System GoldHPLC系により実施した。勾配は、10分間の10%Bから80%B、次に5分間の10%Bに設定した。緩衝液A=0.1TFA及びB=0.1%TFA/90%アセトニトリル。
一般的な分取HPLC精製手順:
ペプチドは、典型的には、準分取HPLCカラム(ZORBAX SB-C8、21.2×250mm、7μm、Agilent)を有する486モニター系に接続したWaters 600Eにより、214nm又は230nMでモニタリングを行いながら精製した。緩衝液A=0.1TFA/10%アセトニトリル及びB=0.1%TFA/90%アセトニトリル。精製に使用した勾配は、特に示されていない限り、12ml/分の流量による40分間の0〜30%B、次に30分間の30〜50%Bであった。画分を分析HPLCで分析し、質量分析法により調べた。90%を超える純度の画分を収集し、凍結乾燥し、保存した。60〜90%の純度の画分をまとめ、凍結乾燥し、再び精製した。
ペグ化グルカゴン類縁体の誘導体を、以下の一般的なCys−マレイミド手順に従って調製した。典型的には、グルカゴンCys類縁体をリン酸緩衝食塩水(5〜10mg/ml)に溶解し、0.01Mエチレンジアミン四酢酸を加える(総容量の10〜15%)。過剰(1.5〜2倍)量のマレイミドメトキシPEG試薬(Nektar, Huntsville, AL)を加え、反応物を室温で撹拌し、その間、HPLCで反応進行をモニタリングする。2〜24時間後、反応混合物を酸性化し、精製のため、0.1%TFA/アセトニトリル勾配を使用する分取逆相カラムに装填する。適切な画分をまとめ、凍結乾燥して、所望のペグ化誘導体を得た。PBS中で低い可溶性を示すペプチドについては、これらペプチドを25%アセトニトリル水に又は0.1Mトリスを有する4〜6M尿素緩衝液(pH8.0〜8.5に調整)に溶解し、PEG試薬と反応させた。
上記に記載された方法により合成された化合物の特定の実施例を以下に提示する。
Fmoc−ホモCys(SONa)−OHの調製
0.92g(5mmol)のL−ホモシステイン酸(Sigma, St. Louis, MO)及び0.5g(12.5mmol)のNaOHを、氷浴で冷却した50mlの水に溶解した。50mlのジオキサン中の9−フルオレニルメチルスクシンイミジルカーボネート(Fmoc−OSu)(1.86g、5.5mmol)の溶液を一度に加えた。混合物を室温で4時間以上撹拌した。混合物を減圧下で蒸発させ、100mlの水を加えた。水溶液をエーテルで洗浄し、次にイオン交換カラム(Amberlite IR-120B, H+form; GFS Chemicals, Columbus, OH)の中に通した。水性溶離液を凍結乾燥して、粘性で非晶質のFmoc−ホモCys(SOH)−OH(1.6g、3.95mmol、収率79.2%)を得た。次に上記の遊離酸を、氷浴中の、0.16g(4mmol)のNaOHを含有する50mlの水に加え、凍結乾燥して、量的なFmoc−ホモCys(SOHa)−OHを得たが、これは更に精製することなくSPPSに直接使用することができる。非晶質の凍結乾燥Fmoc−ホモCys(SOH)−OHをエタノール/酢酸エステル(2:1)から再結晶させて、融点が215〜218℃及びESI−MSが404.2〔(M−H)、酸性形態〕の結晶質固体生成物を得る。
〔PLA6,E9〕グルカゴン(6−29)アミドの合成
ペプチド配列TSEYSKYLDSRRAQDFVQWLMNT(配列番号51;〔E3〕グルカゴン(7−29))を、最初に、カップリング試薬として0.1mmolのDIC/HOBTを使用して、0.1mmolのRink MBHAアミド樹脂を用いる0.1mmolのFmoc/HOBT/DCC化学プログラムを使用した、ABI 433A自動ペプチド合成機により固相合成した。以下のFmocアミノ酸を使用した:Ala、Arg(Pmc)、Asp(OtBu)、Asn(Trt)、Glu(OtBu)、Gln(Trt)、Leu、Lys(Boc)、Met、PLA、Ser(tBu)、Thr(tBu)、Trp(Boc)、Tyr(tBu)及びVal。自動合成の後、ペプチジル樹脂を、3フェニル乳酸(83mg、0.5mmol)及びDEPBT(150mg、0.5mmol)と、4mlの5%DIEA/DMF中、約2時間手動でカップリングさせて、以下の配列を有するペプチジル樹脂を得た:HO−PLA−Thr−Ser−Glu−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr−NH(配列番号50)。
ペプチジル樹脂を、0.5gのフェノール、0.5mlの水及び0.5mlのチオアニソールを添加した8.5mlのTFAにより、室温で2時間処理した。TFAに溶解したペプチドを濾過し、40mlのエーテルを加えて、ペプチドを沈殿させた。粗ペプチドを遠心分離し、酢酸水溶液に溶解し、凍結乾燥した。粗ペプチド収量は200〜250mgであり、精製した後、収量は、純度95%のペプチドが25〜40mg(総収率10〜15%)であった。ペプチドを一般的な分析HPLCで分析したところ、7.66分の保持時間を示し、ESI−MS分析は、ペプチド分子量2986.3に相当する所望の質量である2986.0を示した。
同様の手順を使用して、分析HPLCでの値7.25分及び計算分子量の2973.3に相当するESI−MSでの値2973.5を有する〔PLA6,D9〕グルカゴン(6−29)アミド;分析HPLCでの値7.46分及び計算分子量の2973.3に相当するESI−MSでの値2973.0を有する〔PLA6,D9,D28〕グルカゴン(6−29)アミド;分析HPLCでの値7.20分及び計算分子量の3002.3に相当するESI−MSでの値3002.0を有する〔PLA6,C8,E9〕グルカゴン(6−29)アミド;分析HPLCでの値7.38分及び計算分子量の3002.3に相当するESI−MSでの値3002.0を有する〔PLA6,E9,C16〕グルカゴン(6−29)アミド;分析HPLCでの値7.33分及び計算分子量2961.3に相当するESI−MSでの値2961.0を有する〔PLA6,E9,C24〕グルカゴン(6−29)アミド;分析HPLCでの値7.43分及び計算分子量の2947.3に相当するESI−MSでの値2947.0を有する〔PLA6,D9,C24〕グルカゴン(6−29)アミド;分析HPLCでの値7.28分及び計算分子量の3924.3に相当するMALDI−MSでの値3925.5を有する〔PLA6,E9,C40〕グルカゴン(6−40)アミド、の各ペプチドを合成した。
〔hCys(SO3H)9〕グルカゴン(6−29)アミドの合成
ペプチド配列YSKYLDSRRAQDFVQWLMN(配列番号51;グルカゴン(10−29))を、最初に、カップリング試薬として0.1mmolのDIC/HOBTを使用して、0.1mmolのRink MBHAアミド樹脂を用いる0.1mmolのFmoc/HOBT/DCC化学プログラムを使用した、ABI 433A自動ペプチド合成機により固相合成した。自動合成した後、ペプチジル樹脂を、Fmoc−ホモCys(SO3Na)−OH(130mg、0.3mmol)、HOBT(45.2mg、0.33mol)及びDIC(52.0ul、0.33mol)と、4mlのDMF中、手動で約2時間カップリングさせた。ニンヒドリン試験の後、半分のペプチジル樹脂(0.05mmol)を、残りの3つのアミノ酸Ser、Thr及びPheと更に自動的に組み合わせて、以下の配列のペプチジル樹脂を得た:HN−Phe−Thr−Ser−ホモCys(SO3H)−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr−NH2(配列番号52)。
以下のFmocアミノ酸を使用した:Ala、Arg(Pmc)、Asp(OtBu)、Asn(Trt)、Gln(Trt)、ホモCys(SO3Na)、Leu、Lys(Boc)、Met、Phe、Ser(tBu)、Thr(tBu)、Trp(Boc)、Tyr(tBu)及びVal。
ペプチジル樹脂を、0.5gのフェノール、0.5mlの水及び0.5mlのチオアニソールを添加した8.5mlのTFAにより、室温で2時間処理した。TFAに溶解したペプチジルを濾過し、40mlのエーテルを加えて、ペプチドを沈殿させた。粗ペプチドを遠心分離し、酢酸水溶液に溶解し、凍結乾燥した。粗ペプチド収量は100〜130mgであり、精製した後、15〜20mg(総収率10〜15%)のペプチドを純度95%で得た。ペプチドを一般的な分析HPLCで分析したところ、6.73分の保持時間を示し、ESI−MS分析は、ペプチド分子量3021.3に相当する所望質量の3021.0を示した。
同様の手順によって、分析HPLCでの保持時間6.82分及び計算分子量の3122.4に相当するESI−MSでの値3122.5を有する〔hCys(SO3H)9〕グルカゴン(5−29)アミド;分析HPLCでの保持時間6.83分及び計算分子量の3179.3に相当するESI−MSでの値3178.5を有する〔hCys(SO3H)9〕グルカゴン(4−29)アミド;分析HPLCの保持時間6.79分及び計算分子量の3394.7に相当するESI−MSでの値3394.5を有する〔hCys(SO3H)9〕グルカゴン(2−29)アミド;分析HPLCでの保持時間7.17分及び計算分子量の3022.3に相当するESI−MSでの値3022.0を有する〔PLA6,hCys(SO3H)9〕グルカゴン(6−29)アミド、を合成した。
〔PLA6,E9,C24(1.2K)〕グルカゴン(6−29)アミドの合成
20mg(0.00675mmol)の〔PLA6,E9,C24〕グルカゴン(6−29)アミド及び12.5mg(0.01mmol)のm−dPEGTM24−MAL(分子量1239、Quanta biodesign Ltd. Powell, OH)を、9mlの25%アセトニトリル水及び1mlの1Mトリス塩基緩衝液(pH8.0〜8.5に調整)に溶解した。反応物を室温で撹拌し、反応の進行を分析HPLCによりモニターした。HPLCにより初期生成物が何も検出されなかった後(約2時間後)、反応混合物を分取HPLCにより直接精製した。
凍結乾燥した後、分析HPLCの分析が7.48分の保持時間を示し、計算〔M+HO〕の4218.0に相当するESI−MSの4218.5を示した、約10〜12mgの〔PLA6,E9,C24(1.2K)〕グルカゴン(6−29)アミドを得た。
同様の手順を使用して、分析HPLCの分析が7.25分の保持時間を示し、ESI−MSが計算分子量の4327.8に相当する4327.5を示す〔C5(1.2K),E9〕グルカゴン(5−29)アミド;分析HPLCの分析が7.25分の保持時間を示し、ESI−MSが計算〔M+HO〕の4259.0に相当する4260.0を示す〔C8(1.2K),E9〕グルカゴン(6−29)アミドを合成した。
〔PLA6,E9,C24(20K)〕グルカゴン(6−29)アミドの合成
15mg(0.005mmol)の〔PLA6,E9,C24〕グルカゴン(6−29)アミド及び140mg(0.006mmol)の20K m−PEG−MAL(分子量約22K、Nektar, Huntsville, AL)を、9mlの25%アセトニトリル水及び1mlの1Mトリス塩基緩衝液(pH8.0〜8.5に調整)に溶解した。反応物を室温で撹拌し、反応の進行を分析HPLCにより追跡した。HPLCにより初期生成物が何も検出されなかった後(約6時間後)、反応混合物を分取HPLCにより直接精製した。画分を、214nmの分析HPLCにより調べ、また、280nmのUVで測定した。90%のHPLC純度を有し、UV測定による高吸光度(A280nm=1.0〜2.0)も有する画分をまとめ、凍結乾燥した。分析HPLCの分析が8.5〜8.6分の保持時間を示し、MALDI−MSが24K〜26Kの広域質量分析を示す、約60〜80mgの〔PLA6,E9,C24(20K)〕グルカゴン(6−29)アミドを得た。
同様の手順を使用して、〔PLA6,C8(20K),E9〕グルカゴン(6−29)アミド、〔PLA6,E9,C16(20K)〕グルカゴン(6−29)アミド、〔PLA6,E9,C40(20K)〕グルカゴン(6−40)アミド、〔PLA6,D9,C16(20K)〕グルカゴン(6−29)アミド及び〔PLA6,D9,C24(20K)〕グルカゴン(6−29)アミドを合成した。
〔PLA6,E9,C24(40K)〕グルカゴン(6−29)アミドの合成
15mg(0.005mmol)の〔PLA6,E9,C24〕グルカゴン(6−29)アミド及び240mg(0.006mmol)の40K m−PEG−MAL(分子量約40K、Chirotech Technology Ltd., Cambs CB4 OWG, Germany)を、18mlの25%アセトニトリル水及び2mlの1Mトリス塩基緩衝液(pH8.0〜8.5に調整)に溶解した。反応物を室温で撹拌し、反応の進行を分析HPLCによりモニターした。HPLCにより初期生成物が何も検出されなかった後(約6時間後)、反応混合物を分取HPLCにより直接精製した。画分を、214nmの分析HPLCにより調べ、また、280nmのUVで測定した。90%のHPLC純度を有し、UV測定による高吸光度(A280nm=1.0〜2.0)も有する画分をまとめ、凍結乾燥した。分析HPLCの分析が8.60〜8.8分の保持時間を示す、約100〜120mgの〔PLA6,E9,C24(40K)〕グルカゴン(6−29)アミドを得ることができる。
同様の手順を使用して、〔PLA6,C8(40K),E9〕グルカゴン(6−29)アミド、〔PLA6,E9,C16(40K)〕グルカゴン(6−29)アミド、〔PLA6,E9,C40(40K)〕グルカゴン(6−40)アミド、〔PLA6,D9,C16(40K)〕グルカゴン(6−29)アミド及び〔PLA6,D9,C24(40K)〕グルカゴン(6−29)アミドを合成した。
二量体〔PLA6,E9,C24〕グルカゴン(6−29)アミドの合成
20mg(0.00675mmol)の〔PLA6,E9,C24〕グルカゴン(6−29)アミドを6mlのPBS緩衝液、1mlの1Mトリス塩基(pH8.0〜8.5に調整)及び3mlのDMSOに溶解した。反応混合物を開放容器中で撹拌し、分析HPLCにより2時間毎にモニターした。初期生成物(HPLCでのRTが7.4分)が無くなった後、そして二量体生成物(HPLCでのRTが7.4分)が生成物において優勢になった後(12時間後)、混合物を0.1%TFA 10%アセトニトリル水で希釈し、分取HPLCにより直接精製した。凍結乾燥した後、計算分子量の5920.6に相当するESI−MSでの値5920.0を有する、約6〜8mgの二量体〔PLA6,E9,C24〕グルカゴン(6−29)アミドを得た。
同様の手順を使用して、計算分子量の5916.6に相当するESI−MSでの値5916.0を有する二量体〔C9〕グルカゴン(6−29)アミド、及び計算分子量の6174.8に相当するESI−MSでの値6174.0を有する二量体〔C5,E9〕グルカゴン(5−29)アミドを合成した。
〔実施例16〕
グルカゴン類縁体のアンタゴニスト活性
グルカゴン及び多様なグルカゴン誘導体インヒビターについて、受容体結合、cAMP誘導及びcAMP阻害を比較した。受容体結合、cAMP誘導及びcAMP阻害を測定するアッセイは、実質的に実施例12及び13にそれぞれ開示されているアッセイ系を使用して実施した。
グルカゴンアンタゴニスト活性を示す特定のグルカゴン類縁体を調製した。そのような化合物は、天然のN末端残基を有さず、天然グルカゴンでの9位にグルタミン酸置換を有する点において、天然グルカゴンと異なっている。表4は、幾つかの特定のグルカゴン類縁体アンタゴニストのグルカゴン受容体親和性及びアンタゴニスト活性を提示する。
Gluは、天然グルカゴンの番号付けによる9位のグルタミン酸である。
表5のデータが示すように、一連のhCys9に基づいたアンタゴニストは、以前に報告されたGlu9に基づいたアンタゴニストと同等な効力又は選択性を発揮しない。化合物5B及び6Bは、いくらかのアンタゴニスト作用レベルを示すが、アゴニストとしての有効容量の3倍高い濃度においてのみ示す。しかし、N末端の複数のアミノ酸(天然グルカゴンの1位のアミノ酸に加えて)が除去されると、hCys9に基づいたグルカゴンアンタゴニストの効力は増強される(表8を参照すること)。
アンタゴニストではない
上付きの数字により示されているものは、天然グルカゴンの番号付けによるアミノ酸位置である。
第1アミノ酸の切断及び9位(天然グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の置換により修飾されたグルカゴン及びグルカゴンペプチドのグルカゴン受容体親和性を、実質的に実施例12に記載されたとおりに分析した。結果を表6に示す。
EC50(nM)
hGlu=ホモグルタミン酸
上付きの数字により示されているものは、天然グルカゴンの番号付けによるアミノ酸位置である。
Glu、hGlu、CSA−1、CSA−2及びβ−hGluにより9位で修飾されたペプチドを含む、試験された修飾グルカゴンに基づいたペプチドのうちの幾つかは、強力なグルカゴンアンタゴニスト活性を示した。
9位に修飾アミノ酸を含み、N末端切断と異なる延長を有するグルカゴンペプチドを、グルカゴンアンタゴニスト活性について分析した。試験したペプチドの結果を表7に示す。
上付きの数字により示されているものは、天然グルカゴンの番号付けによるアミノ酸位置である。
データは、少なくとも3回の独立した実験の平均±STDである。
pA、1単位のアゴニストの反応を0.5単位のアゴニストにより得られた反応にまで低減する、アンタゴニスト濃度の負の対数。データは、少なくとも2回の重複実験の平均±STDである。
(I/A)50、阻害指数、添加された一定のグルカゴン(0.1〜0.2nM)に対するインヒビターのIC50比。データは、少なくとも3回の独立した実験の平均であり、EC50により規準化される。
NA、完全なアンタゴニストではない。
ND、検出されず。
図3は、N末端が1、3又は5個のアミノ酸の除去により更に短縮されているグルカゴンアンタゴニストの結合親和性を測定したデータを表す。より詳細には、hCys9に基づいたグルカゴンアンタゴニストの結合親和性を、グルカゴン受容体への結合をI125標識グルカゴンと競争する能力について測定することによって調査した。結果は、第1残基の除去は親和性を低減するが、更なる除去は親和性を僅かしか変えず、依然としてナノモル親和性のリガンドを生じることを示している。図4は、cAMPバイオアッセイにおいてグルカゴン作用を抑制する選択されたアンタゴニストの能力を示すデータを表す。驚くべきことに、5−29 hCys9に基づいたグルカゴンアンタゴニストは、文献における標準的なGlu9 2−29又はLeu4,Glu9 4−29よりも強力であり効果的であることが見出された。更に、5−29又は6−29 hCys9類縁体は、測定されうるアゴニスト活性のない純粋に強力なアンタゴニスト作用を示した。
表8は、幾つかのホモシステイン酸修飾切断グルカゴンフラグメント類縁体のグルカゴン受容体親和性及びアンタゴニスト活性を提示する。desHis1に基づいたhCys(SOH)に基づいたアンタゴニストは、以前に報告されたGluに基づいたアンタゴニスト〔desHis,Glu9〕グルカゴンペプチドと同等の効力を発揮する。3、4又は5個のアミノ酸の除去により更に短縮されたhCys(SOH)に基づいたグルカゴンアンタゴニストを研究した。受容体結合の結果は、第1残基の除去はグルカゴン受容体への化合物の親和性を低減するが、更なる除去は親和性を僅かしか変えず、依然としてナノモル親和性のリガンドを生じることを示している。
上付きの数字により示されているものは、天然グルカゴンの番号付けによるアミノ酸位置である。
図5A及び5Bに表されたデータにより示されているように、4−29、5−29及び6−29 hCys(SOH)に基づいたペプチドは、驚くべきことに、全てグルカゴン作用の完全なアンタゴニストであり、一方、2−29ペプチドは、グルカゴン活性を完全に抑制するには有効性が著しく低かった。図5Aは、グルカゴン作用を完全に抑制することが2−29ペプチドでは無力であるのは、これらの2つのペプチドがそれぞれ維持する残留グルカゴン作用の機能によるものであることを示している。
6−29短縮グルカゴンアミド主鎖において通常6位に生じるフェニルアラニンをフェニル−乳酸(PLA)で置換した、グルカゴンの特定の類縁体も開発した。PLAはフェニルアラニン(Phe)と等電子であるが、滴定可能な水素を有さない。表9及び10に表されたデータは、PLA6置換によって、天然Asp9類縁体が純粋なアンタゴニスト作用を示すが、効力はGlu9及びhCys(SOH)類縁体よりも低減していることを示している。文献は、以前は、グルカゴン(2−29)類縁体の高い親和性及び強力なアンタゴニスト作用のためには天然Asp9残基がGlu9又はhCys(SOH)に変わる必要があると指摘していた。したがって、6−29短縮グルカゴンアミド主鎖におけるPheのPLAによる置換が、類縁体の相対的アンタゴニスト効力をGlu9及びhCys(SOH)類縁体と同程度にまで改善するのは、驚くべきことである。より詳細には、PLA6類縁体は、天然Phe6類縁体と比べて、グルカゴン受容体への類縁体の親和性を3倍増加させるとともに、アンタゴニスト作用の効力も増加させる。
上付きの数字により示されているものは、天然グルカゴンの番号付けによるアミノ酸位置である。
上付きの数字により示されているものは、天然グルカゴンの番号付けによるアミノ酸位置である。
4及び5位を含むグルカゴン類縁体の異なる位置でのPLA置換の効果も調査した。表11及び図8に表したデータは、PLA6類縁体が、僅かに延長されたペプチドよりも明白に強力なアンタゴニストであることを示している。図8に表された結果は、ヒドロキシ基のアシル化がPLA6類縁体の効力に影響を与えないことも示している。
ND:検出されず
上付きの数字により示されているものは、天然グルカゴンの番号付けによるアミノ酸位置である。
表12に表したデータは、PLA6置換がペプチドを効力を増加させるばかりでなく、ペグ化において重要な役割も果たすことを示している。PLA6類縁体を、グルカゴンアゴニスト作用を回復することなく選択的にペグ化することができる。天然Phe6類縁体は、驚くべきことに、ペグ化されるとアゴニスト作用の回復を示す。しかし、このアゴニスト作用の回復は、PLA6ペプチド類縁体では観察されない。8、11及び24位(天然グルカゴンペプチドによる)のアミノ酸を含む幾つかの特定のペグ化部位を検査した。PLA6類縁体の24位でのペグ化は、最も強力で選択的なグルカゴンアンタゴニスト作用を示す。
〔実施例17〕
本明細書に記載されているグルカゴンアンタゴニストを以下のようにアシル化する。
アシル化及び/又はペグ化ペプチドを以下のように調製する。ペプチドは、CS Bio 4886ペプチド合成機又はApplied Biosystems 430Aペプチド合成機のいずれかを使用して、固体支持樹脂上に合成する。Schnolzer et al., Int. J. Peptide Protein Res. 40: 180-193(1992)に記載されているin situ中和化学を使用する。アシル化ペプチドの場合は、アシル化される標的アミノ酸残基(例えば、10位)をNε−FMOCリシン残基で置換する。DMF中の20%ピペリジンによる完全N末端BOC保護ペプチドの30分間の処理によって、FMOC/ホルミル基を除去する。遊離ε−アミノLys残基へのカップリングは、FMOC保護スペーサーアミノ基(例えば、FMOC−(N−BOC)−トリプトファン−OH)又はアシル鎖(例えば、C17−COOH)のいずれかの10倍モル過剰と、DMF/DIEA中のPyBOP又はDEPBTカップリング試薬とのカップリングにより達成される。その後のスペーサーアミノ酸のFMOC基の除去に続いて、アシル鎖とのカップリングが繰り返される。100%TFAによる最終処理は、あらゆる側鎖保護基及びN末端BOC基の除去をもたらす。ペプチド樹脂を、5%DIEA/DMFで中和し、乾燥し、次にHF/p−クレゾール95:5を0℃で1時間使用して支持体から切断する。エーテル抽出の後、5%HOAc溶液を使用して粗ペプチドを溶媒和する。次に溶液の試料を、正しい分子量のペプチドを含有しているかについてESI−MSにより確認する。正しいペプチドを、100%CH3CN中の10%CH3CN/0.1%TFAから0.1%TFAの直線勾配を使用してRP−HPLCにより精製する。Vydac C18の22mm×250mmタンパク質カラムを精製に使用する。アシル化ペプチド類縁体は、一般に、緩衝液比率の20:80で完全に溶離する。一部を一緒にプールし、分析RP−HPLCにより純度を調べる。純粋な画分を凍結乾燥して、白色の固体ペプチドを得る。
ペプチドのペグ化の場合は、40kDaのメトキシポリ(エチレングルコール)マレイミド−プロピオンアミド(Chirotech Technology Ltd.)を、ペプチドとPEGの両方を溶解して透明な溶液にするのに必要な最小量の溶媒(一般に、2〜3mgのペプチドを使用する反応において2mL未満)を使用して、7Mの尿素、50mMのトリス−HCl緩衝液中のモル当量のペプチドと反応させる。室温での激しい撹拌を開始して4〜6時間行い、反応物を分析RP−HPLCにより分析する。ペグ化生成物は、保持時間が減少しているので出発物質と異なっていると思われる。精製は、初期ペプチド精製に使用した条件と同じ条件のVydac C4カラムにより実施する。溶離は、緩衝液比率が50:50のあたりで生じる。純粋なペグ化ペプチドの画分が見出され、凍結乾燥する。
〔実施例18〕
グルカゴンに基づいたデプシペプチド〔Thr5−O−PLA6,E9〕グルカゴン(2−29)アミド及び〔Thr5−O−PLA6,E9〕グルカゴン(1−29)アミドの合成を以下のように実施した。
ペプチド配列HO−PLA−TSEYSKYLDSRRAQDFVQWLMNT〔PLA6,E9〕グルカゴン(6−29)(配列番号71)は、0.2mmolのMBHAアミド樹脂を用い、カップリング試薬としてDEPBTを用いるABI 430A自動ペプチド合成機を使用した固相Boc化学により合成した。以下のBocアミノ酸を使用した:Ala、Arg(Tos)、Asp(OcHx)、Asn(Xan)、Glu(OcHx)、Gln(Xan)、Leu、Lys(2−Cl−Z)、Met、PLA、Ser(OBzl)、Thr(OBzl)、Trp(HOC)、Tyr(2,6−ジ−Cl−Bzl)及びVal。このペプチドに、DCM中のBoc−Thr(OBzl)−OH(2mmol)/DIC(1mmol)/DMAP(0.2mmol)から構成される事前活性化対称無水物の溶液を用いて、約16時間手動でカップリングすることによって、樹脂上にデプシペプチド(エステル結合)を形成した。残りのアミノ酸を標準的Boc化学によりカップリングして、以下の配列のデプシペプチジル樹脂を得た:Ser−Gln−Gly−Thr−O−PLA−Thr−Ser−Glu−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr−NH(配列番号64)。
ペプチジル樹脂を液体フッ化水素で処理して、固体支持体から粗ペプチドを切断し、全ての保護基を除去した。デペシペプチドを、分取HPLCにより精製し、MS及び分析HPLCにより分析した。純粋なペプチドは、分析クロマトグラフィーにおいて単一ピークを示し、ESI−MS分析において計算分子量の3359.6ダルトンに相当する所望の質量である3359.0を生じた。
同様の手順を使用して、N末端ヒスチジン残基の単一付加カップリングにより、デペシペプチド〔Thr5−O−PLA6,E9〕グルカゴン(1−29)アミド(配列番号65)を合成した。純粋なペプチドは、分析クロマトグラフィーにより単一ピークを示し、ESI−MS分析により計算分子量の3496.8ダルトンに相当する所望の質量の3495.9を生じた。
〔実施例19〕
以下のペプチドを上記に一般的に記載されたように合成し、続いて、実施例13に一般的に記載されているように、ヒトGLP−1受容体を発現する細胞からのcAMP放出をアッセイすることにより、GLP−1受容体を刺激する能力について試験し、また、ヒトグルカゴン受容体を発現して0.5nMのグルカゴンにより刺激された細胞からのcAMP放出をアッセイすることによって、グルカゴン受容体を刺激する能力について試験した。アッセイの結果を表13に示す。
(O)はデプシペプチド結合を表す。

Claims (16)

  1. 一般構造A−B−Cを有するグルカゴンアンタゴニストであって、
    Aが、下記(i)〜(iii)からなる群より選択され:
    (i)フェニル乳酸(PLA);
    (ii)PLAのオキシ誘導体;
    (iii)連続した2個のアミノ酸がエステル又はエーテル結合を介して結合しているアミノ酸2〜6個のペプチド;
    Bが、配列番号1のアミノ酸i−26を表し、又は、Bが、下記(iv)〜(ix)からなる群より選択される、1つ以上のアミノ酸修飾を有する、配列番号1のアミノ酸i−26を表し(ここでiは、3、4、5、6又は7であり):
    (iv)Glu、Cysのスルホン酸誘導体、ホモグルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、又は下記構造:
    〔ここで、X5は、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル若しくはC2〜C4アルキニルである〕
    を有するシステインのアルキルカルボキシレート誘導体による、9位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のAspの置換;
    (v)エステル、エーテル、チオエーテル、アミド又はアルキルアミン結合を介してアシル又はアルキル基に共有結合しているアミノ酸による、10、20及び24位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のうちの1又は2個のアミノ酸の置換;
    (vi)Cys、Lys、オルチニン、ホモシステイン及びアセチル−フェニルアラニン(Ac−Phe)からなる群より選択されるアミノ酸による、16、17、20、21及び24位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のうちの1又は2個のアミノ酸の置換(ここで前記群のアミノ酸は親水性部分に共有結合している);
    (vii)システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸による15位(配列番号1の番号付けによる)のAspの置換;
    (viii)システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸及びホモシステイン酸による16位(配列番号1の番号付けによる)のSerの置換;
    (ix)配列番号1のアミノ酸番号付けによる16、20、21及び24位のうちの1つ以上の位置でのAIBによる置換;
    そして
    Cが、下記(x)〜(xiv)からなる群より選択され:
    (x)X;
    (xi)X−Y;
    (xii)X−Y−Z;
    (xiii)X−Y−Z−R10
    (ここでXは、Met、Leu又はNleであり;Yは、Asn又は荷電アミノ酸であり;Zは、Thr、Gly、Cys、Lys、オルニチン(Orn)、ホモシステイン、アセチル−フェニルアラニン(Ac−Phe)又は荷電アミノ酸であり、R10は、配列番号19〜21及び53からなる群より選択される);並びに、
    (xiv)C末端カルボキシレートがアミドで置換されている(x)〜(xiii)のいずれかである、グルカゴンアンタゴニスト。
  2. 請求項1記載のグルカゴンアンタゴニストであって、
    A. 前記PLAのオキシ誘導体は、エステル結合又はエーテル結合を介してアミノ酸、ペプチド、親水性ポリマー、アシル基又はアルキル基と結合しているPLA、
    B. 前記(iii)のペプチドは、配列番号1のアミノ酸j〜6を含み、ここで、jは1、2、3、4又は5であり、
    C. Bは、配列番号1のアミノ酸7〜26を表し、
    D. Y又はZが荷電アミノ酸である場合、該荷電アミノ酸は、Lys、Arg、His、Asp及びGluからなる群より選択され、
    E. CがX−Y−Zを含む場合、前記グルカゴンアンタゴニストは、ZのC末端側に荷電アミノ酸1〜2個を更に含む、
    グルカゴンアンタゴニスト。
  3. 前記PLAのオキシ誘導体が、エステル結合を介してアミノ酸又はペプチドと共有結合しているPLAを含むデプシペプチドである、
    請求項1又は2記載のグルカゴンアンタゴニスト。
  4. Bが、前記(v)若しくは(vi)で示されたアミノ酸修飾、又はそれらの組み合わせを含む、
    請求項1〜3のいずれか1項記載のグルカゴンアンタゴニスト。
  5. A.配列番号1の番号付けによる16、21又は24位のアミノ酸残基又はN若しくはC末端の残基に、親水性部分が共有結合しており、
    B.エステル、エーテル、チオエーテル、アミド又はアルキルアミン結合を介して、アシル基又はアルキル基に共有結合したアミノ酸を含み、該アミノ酸が、10、20若しくは24位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)にあるアミノ酸であるか、又はN若しくはC末端の残基である、
    請求項1〜4のいずれか1項記載のグルカゴンアンタゴニスト。
  6. 配列番号62、64〜67及び71のいずれかのアミノ酸配列、又は表4〜12のいずれかに記載されているアミノ酸配列を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載のグルカゴンアンタゴニスト。
  7. 配列番号42の配列を含むグルカゴンアンタゴニスト、又は、
    配列番号42の誘導体を含み、該誘導体が、5、6、8、9、12、13及び14位から選択される1〜3つのアミノ酸位置でのアミノ酸置換により、配列番号42と異なっている、グルカゴンアンタゴニスト。
  8. 前記グルカゴンアンタゴニストが配列番号42の配列を含む場合、
    C末端のアミノ酸は、天然アミノ酸に存在するカルボン酸基の代わりにアミド基を有し、
    前記配列番号42の4位のアミノ酸は、アスパラギン酸であり、
    前記配列番号42のカルボキシ末端のアミノ酸に融合した、配列番号19のアミノ酸を更に含み、
    前記配列番号42の11、16又は19位のアミノ酸残基又はN若しくはC末端のアミノ酸に共有結合した、親水性部分を更に含み、
    配列番号46又は配列番号47の配列を更に含み、
    23位のアミノ酸がAsnである場合、24位のアミノ酸は、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群より選択され、且つ、24位のアミノ酸がThrである場合、23位のアミノ酸は、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群より選択され(配列番号42のアミノ酸番号付けによる)、
    前記配列番号42のカルボキシ末端に付加された、1〜2個のアミノ酸を更に含み、ここでカルボキシ末端に付加された該アミノ酸は、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群より独立して選択され、
    前記配列番号42の10位のアミノ酸は、グルタミン酸、システイン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸からなる群より選択され、及び/又は
    配列番号7、配列番号8、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号40、及び配列番号41のいずれかの配列を更に含む、
    請求項7に記載のグルカゴンアンタゴニスト、
    又は、その薬学的に許容される塩。
  9. 前記親水性部分が、血漿タンパク質又は免疫グロブリンのFc部分であるか、又は、ポリエチレングリコールである、
    請求項8記載のグルカゴンアンタゴニスト。
  10. 配列番号1のN末端からの2〜5個のアミノ酸残基の欠失と、
    配列番号1の9位のアスパラギン酸残基の、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、システインのスルホン酸誘導体、又は下記構造:
    〔ここで、X5は、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル若しくはC2〜C4アルキニルである〕
    を有するシステインのアルキルカルボキシレート誘導体による置換と
    によって修飾されている天然グルカゴンのアミノ酸配列を含む、グルカゴンアンタゴニストである、グルカゴンアンタゴニスト。
  11. A.前記システインのスルホン酸誘導体は、ホモシステイン酸であり、
    B.X5は、C1アルキル又はC2アルキルであり、及び/又は
    C.前記天然グルカゴンのアミノ酸配列は、3つまでのアミノ酸修飾により更に修飾されていてもよい、
    請求項10に記載のグルカゴンアンタゴニスト。
  12. 前記3つまでのアミノ酸修飾が、下記A〜Kから成る群より選択される、請求項11記載のグルカゴンアンタゴニスト:
    A.10、20及び24位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のうちの1若しくは2個のアミノ酸、又はN若しくはC末端のアミノ酸の、アシル若しくはアルキル基を含むアミノ酸による置換;
    B.16、17、20、21及び24位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のうちの1若しくは2個のアミノ酸、又はN若しくはC末端のアミノ酸の、Cys、Lys、オルチニン、ホモシステイン及びアセチル−フェニルアラニン(Ac−Phe)からなる群より選択されるアミノ酸による置換(ここで前記群のアミノ酸は親水性部分と共有結合している);
    C.N又はC末端への、親水性部分と共有結合したアミノ酸の付加;
    D.システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸及びホモシステイン酸による、15位(配列番号1の番号付けによる)のAspの置換;
    E.システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸及びホモシステイン酸による、16位(配列番号1の番号付けによる)のSerの置換;
    F.配列番号1のアミノ酸番号付けによる16、20、21及び24位のうちの1つ以上の位置でのAIBによる置換;
    G.配列番号1の番号付けによる29位のアミノ酸、又は28及び29位の両方のアミノ酸の欠失;
    H.28位のAsn及び29位のThr(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のそれぞれ又は両方の荷電アミノ酸による置換、及び/又は、配列番号1のC末端への1〜2個の荷電アミノ酸の付加;
    I.Leu又はノルロイシンによる27位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のMetの置換;
    J.配列番号1のC末端への、配列番号19〜21及び53のいずれかのアミノ酸配列を有するペプチドの付加(ここで29位(配列番号1の番号付けによる)のThrはThr又はGlyである);並びに
    K.アミド又はエステルによるC末端カルボキシレートの交換。
  13. 請求項12に記載されているアミノ酸修飾のうちのA、B若しくはC又はそれらの組み合わせを含む、請求項12記載のグルカゴンアンタゴニスト。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のグルカゴンアンタゴニストを2つ以上含む、二量体又は多量体、あるいは、
    請求項1〜13のいずれか1項に記載のグルカゴンアンタゴニストと、異種ペプチドとを含む、結合体。
  15. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のグルカゴンアンタゴニスト、請求項14に記載の二量体若しくは多量体若しくはそれらの結合体、又はそれらの組み合わせと、薬学的に許容される担体とを含む、滅菌された医薬組成物。
  16. 患者における、高血糖症の治療、食欲の抑制、体重増加の低減、減量の誘導、又は代謝性るいそうの治療に使用するための組成物であって、請求項1〜13のいずれか1項に記載のグルカゴンアンタゴニスト、請求項14に記載の二量体若しくは多量体若しくは結合体、又はそれらの組み合わせを含む、組成物。
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