JP5663846B2 - 鋼板のデスケーリング装置およびデスケーリング方法 - Google Patents

鋼板のデスケーリング装置およびデスケーリング方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼板のデスケーリング装置およびデスケーリング方法に関するものである。
熱間圧延材、即ち圧延前のスラブ及び圧延中の圧延材のスケールを除去する技術として、熱間状態の鋼板(圧延材)表面に高圧水を噴射してスケールを除去する技術(高圧水デスケーリング技術)が数多く提案されている。
ここで、従来の高圧水デスケーリング装置を図4により説明する。
図4(a)は、圧延ラインに直角な断面における圧延材10と高圧水ヘッダ11との関係と、圧延材10の表面における高圧水(スプレー水)14の噴射領域、即ちスプレー水14が圧延材10に衝突して形成される面(図4(a)の下側の図)とを示す。
一般に、熱間圧延材10に高圧水14を噴射する装置(高圧水デスケーリング装置)は、図4(a)に示すようなデスケーリングノズル12(以下、単にノズルともいう)を数十個備えたデスケーリングノズルヘッダ11(以下、単にヘッダともいう)を、圧延材10の幅方向に設置し、ノズル12より高圧水14(例えば噴射圧:10〜50MPa)を噴射してスケールを除去する装置である。
この装置では、それぞれのノズル12から噴射されるスプレー水14の噴射領域は、圧延材10の幅方向に対して15゜程度のり角βをもって傾斜しており、スプレー水14の両端部は両隣のノズル12から噴射されるスプレー水14の噴射領域と重ならないようになっている。この各ノズル12の噴射領域が重ならないようにしてあるのは、スプレー水14同士が空中で干渉して圧延材10に対する衝突圧力が低下するのを避けるためである。
一方、上記各ノズル12の噴射領域が、図示するように、圧延材10の板幅方向(以下、単に幅方向という)でオーバーラップしている領域(オーバーラップ領域)を有しているのは、圧延材10に対して幅方向でスプレー水14が衝突しない領域をなくそうという思想からである。なお、オーバーラップ領域の幅方向長さ(オーバーラップ幅)は通常0〜30mm程度である。
また、図4(b)は、圧延ラインと平行な断面における圧延材10とヘッダ11との関係を示す。図に示すように、ノズル12の向きは、圧延材10の進行方向に対して、傾斜させて設けられており、その迎え角αの角度は、ノズル12から圧延材10に下ろした垂線から通常10〜15゜位となっている。
これは、圧延材10に衝突したスプレー水14によって剥離したスケールをスプレー水14と共に斜め横方向に流し、圧延材10表面から側方に流れ落ちるようにするためである。垂線距離がノズル高さHである。
ところが、近年鋼板の材質を向上させるために、特にSiなどの元素を添加した鋼板の場合、スケールが剥離しにくくなってきている。これら難剥離性のスケールが残存する状況を観察すると、多くの場合、圧延ライン進行方向に伸びた筋状のスケールが幅方向に複数残っており、このようなスケール残りは従来のデスケーリング作用が幅方向で不均一であることを示すものである。
実際に、図4に示した通常のノズル配置において、スプレー水14を噴射し、スプレー水14の分布状況を調べた結果、図5に部分平面図を示すように、ノズル12から噴射されたスプレー水14(左側の外縁線14a、右側の外縁線14b)は、鋼板(圧延材)10に衝突した後、ノズル12の迎え角の方向に、スプレー角θの広がりをもって、圧延材10表面に沿って横流れ水15(左側の外縁線15a、右側の外縁線15b)として流れていくことが分かった。その際、ノズル12B(図5において、噴射領域がオーバーラップ領域で圧延材進行方向下流側に位置するノズル)から噴射されたスプレー水14による横流れ水15が、隣のノズル12A(図5において、噴射領域がオーバーラップ領域で圧延材進行方向上流側に位置するノズル)の噴射領域を横切って流れていくことが認められた。
したがって、このような横流れ水15が存在している領域では、圧延材10表面へのスプレー水14の衝突圧力が低下してしまい、デスケーリング作用が幅方向で不均一になっていると考えられた。
ここで、図5において、ノズル12Aの噴射領域のうち、隣のノズル12Bからの横流れ水15が通過してノズル12Aからのスプレー水14と干渉する領域を干渉領域と呼び、干渉領域の幅方向の長さを干渉領域幅と呼ぶことにする。すなわち、ノズル12Bからの横流れ水15の左側外縁線15aがノズル12Aの噴射領域を通過する点Rから、ノズル12Aの噴射領域の右端Pまでの間が干渉領域であり、R−P間の幅方向長さが干渉領域幅ということになる。また、ノズル12Bの噴射領域の左端Qから、ノズル12Aの噴射領域の右端Pまでの間がオーバーラップ領域であり、Q−P間の幅方向長さがオーバーラップ幅ということになる。
そして、干渉領域のうち、オーバーラップ領域はノズル12Bの噴射領域でカバーされるので、デスケーリング能力には直接影響しない。一方、オーバーラップ領域以外の領域はノズル12Bによる横流れ水15の干渉をそのまま受けてノズル12Aによるデスケーリング能力に影響がでるので、これを干渉影響領域と呼び、その幅方向長さを干渉影響領域幅と呼ぶことにする。すなわち、前記の点Rからノズル12Bの噴射領域の左端Qまでの間が干渉影響領域であり、R−Q間の幅方向長さが干渉影響領域幅ということになる。
なお、ノズル12は、その軸線13がヘッダ11の軸線に対して垂直になるように設置されている。
従来、加熱炉から抽出されたスラブ等の1次スケールをオンラインでHSB(Hydraulic Scale Breaker)によりデスケーリングする際、及び熱間圧延中の鋼板の2次スケールをデスケーリングする際には、各ノズルからの高圧噴射水を重ねてオーバーラップ領域を設けることにより、圧延鋼板表面上の噴射水の衝突圧力が圧延材幅方向に均一に分布できると考えられてきた。その一例として、特許文献1では、可逆式熱間圧延機を用いて熱間圧延鋼板を圧延する際、鋼板のデスケーリング及び冷却を行いながら複数回圧延する熱間圧延鋼板の製造方法において、デスケーリングのため熱間圧延鋼板に向かって複数のノズルから噴出する高圧噴射水を一定値以上の衝突圧力で板幅方向に概ね均一に分布させるとしている。
また、特許文献2には、隣り合ったデスケーリングノズルをライン進行方向に対して上流向き、下流向きと交互に噴射方向を変えて配置し、隣り合うノズルからの噴射水が鋼板に衝突した位置での水膜間距離が0mm以上100mm以下で、前段ノズルからの噴射水膜の鋼板に対する入射角度が0°から4°の間、後段ノズルからの噴射水膜の入射角度が0°から−4°の範囲にあるようにしたデスケーリング装置が記載されている。
また、特許文献3には、高圧水衝突部を所定の数式から求められる距離だけ間隔を空けてノズルを配置することが記載されている。
また、特許文献4には、複数列のデスケーリングヘッダを備えるデスケーリング装置において、1列目のノズルを横流れ水が干渉しない間隔、迎え角、捻り角、ノズル高さで配置するとともに、2列目のノズルを所定ピッチだけ幅方向にずらして配置することが記載されている。
また、特許文献5には、ノズルから噴射される高圧水の幅方向の流量を端部と中央部と他方の端部で異なる分布とすることで、スケール剥離ムラをなくす方法が記載されている。
特開平6−285534号公報 特許第3844279号公報 特開2000−176533号公報 特許第3331860号公報 特開2006−247714号公報
材料とプロセス、Vol.5、1992、p.1510
しかし、特許文献1に記載の方法では、以下のような理由から問題点がある。デスケーリングノズルは噴射水が扇状に広がるフラットスプレー型が一般的であるから、ノズルから噴射された高圧水は鋼板に衝突した後も広がりながら鋼板の表面を流れ、図4に示したいわゆる横流れ水が発生する。この横流れ水が隣のノズルからの噴射領域に干渉し、幅方向長さに衝突圧力の小さい部分が生じる。その結果、スケールが取れ残ってしまう。
そして、特許文献2に記載の方法は、横流れ水による干渉がないのでスケール剥離ムラ軽減を達成することができるが、このようなデスケーリングノズルを圧延ロールの直近に配置すると高圧水によって剥離させたスケールが圧延ロール側に流れ、スケール噛み込みを発生させてしまうという問題点がある。
また、特許文献3に記載の方法は、間隔の空いた部分に対してもスケール剥離作用があるとしているが、それはスケールが剥離しやすい鋼種に限定されるものと考えられ、スケール剥離困難な鋼種の場合はやはりスケールが取れ残ってしまうという問題点がある。
さらに、特許文献4に記載のデスケーリング装置は、上述したように、デスケーリングヘッダが1列ではスケールが取れ残ってしまい、デスケーリングヘッダが2列以上あることが必要であるが、設置スペースのとれない圧延機回りには採用できない。またデスケーリングヘッダを複数列配置するため高圧水の水量増加、電力増加などのコスト高を伴い、また水量を多くすることによる温度低下も増大し、所定の圧延温度を確保できないという問題もある。また、同文献には横流れ水が干渉しない配置という記載があるものの、具体的な説明がなく、実施困難である。
そして、特許文献5では、ノズルから噴射される高圧水の流量についての記載がなされているが、実際のノズルで流量分布を変化させてもスケールむらが生じてしまう場合があった。流量分布をつけたノズルを単に用いるだけでは不十分であると思われる。
本発明は、従来の技術における上記の諸問題を解消し、スケール残りの発生がなく、適切にデスケーリングを行うことのできる鋼板のデスケーリング装置およびデスケーリング方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
[1]鋼板の幅方向に備えられたデスケーリングヘッダに高圧水を噴射する複数個のデスケーリングノズルを配置してなる鋼板のデスケーリング装置において、
デスケーリングノズルとして、スプレー角度がノズル軸線に対して左右非対称な斜方ノズルが用いられ、
該斜方ノズルが、所定の迎え角および捻り角を有し、かつ、隣接する斜方ノズルからの噴射領域同士が鋼板幅方向に所定のオーバーラップ幅を有するように配置されていることを特徴とする鋼板のデスケーリング装置。
[2]前記斜方ノズルの軸線に対して左右非対称なスプレー角度のうち、小さい方のスプレー角度が2°以下であることを特徴とする前記[1]に記載の鋼板のデスケーリング装置。
[3]前記斜方ノズルは、鋼板表面に噴射される噴射領域の幅方向に均等な流量分布を有することを特徴とする前記[1]または[2]に記載の鋼板のデスケーリング装置。
[4]鋼板表面に噴射された後の横流れ水が隣接する斜方ノズルの噴射領域を干渉する干渉領域幅が、前記隣接する斜方ノズルの噴射領域同士のオーバーラップ幅の範囲内に収まるようになっていることを特徴とする前記[1]乃至[3]のいずれかに記載の鋼板のデスケーリング装置。
[5]鋼板の幅方向に延設されたデスケーリングヘッダに配置された複数個のデスケーリングノズルから高圧水を噴射して行う鋼板のデスケーリング方法において、
デスケーリングノズルとして、スプレー角度がノズル軸線に対して左右非対称な斜方ノズルを用いて、
所定の迎え角および捻り角を有し、かつ、隣接する斜方ノズルからの噴射領域同士が鋼板幅方向に所定のオーバーラップ幅を有するように高圧水を噴射することを特徴とする鋼板のデスケーリング方法。
[6]前記斜方ノズルとして、鋼板表面に噴射される噴射領域の幅方向に均等な流量分布となるようなノズルを用いることを特徴とする前記[5]に記載の鋼板のデスケーリング方法。
[7]鋼板表面に噴射された後の横流れ水が隣接する斜方ノズルの噴射領域を干渉する干渉領域幅が、前記隣接する斜方ノズルの噴射領域同士のオーバーラップ幅の範囲内に収まるようにすることを特徴とする前記[5]または[6]に記載の鋼板のデスケーリング方法。
なお、本発明において、迎え角および捻り角は特に限定されるものではなく、一般的に用いられている所定の値を用いればよい。例えば、迎え角は5°〜15°程度、捻り角は5°〜15°程度とすればよい。
本発明によれば、特別なデスケーリング装置を用いなくても、ノズルを変更するだけで、Siなどの元素が添加されてスケールが剥離しにくい鋼板(圧延材)であっても、鋼板(圧延材)の幅全体に渡りスケール残りがなくなり、製品の品質が向上する。
本発明の一実施形態における部分平面図である。 本発明の一実施形態における部分正面図である。 斜方ノズルの説明図である。 従来のデスケーリング装置における部分正面図と部分側面図である。 従来のデスケーリング装置における部分平面図である。 従来例におけるアルミニウム板の壊食試験結果例である。 本発明例におけるアルミニウム板の壊食試験結果例である。
前述したように、鋼板進行方向に伸びた筋状のスケールが鋼板幅方向に複数残るスケール残りは、横流れ水として隣のノズルの噴射領域を横切って流れていくような水流の干渉によって発生する。そこで、この横流れ水による干渉を低減し、幅方向全体を均一にスケールを剥離させることを目的として本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、スプレー角度がノズル軸線に対して左右非対象なノズルである斜方ノズル(片扇形ノズルとも言う)を用いることによって、図5で示した干渉影響領域が狭くなるようにしたものであり、好ましくは、干渉領域がオーバーラップ領域内に納まる(干渉領域幅≦オーバーラップ領域幅)ようにして、干渉影響領域を無くすようにしたものである。
ここで、図3は斜方ノズルの説明図である。図3に示すように、斜方ノズル22は、その軸線23に対して、左側のスプレー角度θ1と右側のスプレー角度θ2が異なるノズルであり、図3では、θ1<θ2となっている(なお、θ1+θ2=θ)。斜方ノズルとしては、θ2>θ1≧0、特にθ1≒0のものが一般的であるが、θ1がマイナスになった斜方ノズルもある(θ1<0)。
ちなみに、図4、図5に示した通常のノズル12は、その軸線13に対して、θ1=θ2(=θ/2)となっている。
本発明の一実施形態を図1、図2により説明する。
図1はこの実施形態における部分平面図であり、図2はこの実施形態における部分正面図である。それぞれ、前述の従来技術における図5、図4(a)に対応している。
図1、図2に示すように、この実施形態は、ヘッダ11に複数の斜方ノズル22をその軸線がヘッダ11の軸線に対して垂直になるように設置し、干渉領域幅=オーバーラップ領域幅となるようにしたものであり、これによって、干渉影響領域を無くしたものである。言い換えれば、図5における点R(図6でいうと、右側の斜方ノズル22Bからの横流れ水15の左側外縁線15aが左側の斜方ノズル22Aの噴射領域を通過する点)の幅方向位置と、図5における点Q(図6でいうと、右側の斜方ノズル22Bの噴射領域の左端)の幅方向位置を一致させるようにしたものである。
具体的には、θ1=0、θ2=θとなった斜方ノズル22を用いることで、スプレー水14の左側の外縁線14a(横流れ水15の左側の外縁線15a)の水平方向成分(圧延材10表面に投影した線)が圧延材進行方向と平行になるようにしている。
このようにして、この実施形態においては、ノズル22Bからの横流れ水15がそのままノズル22Aによるデスケーリング能力に影響を及ぼす干渉影響領域を無くすようにしたので、幅方向でデスケーリング作用が不均一になることが防止される。その結果、鋼板(圧延材)10の幅全体に渡りスケール残りの発生を抑止することができるようになる。
本発明者らは、上記の実施形態の効果を確認するために、実ラインの高圧水デスケーリング装置のデスケーリング性と実験室での高圧水による板の壊食試験結果が良い相関を持っているという報告(非特許文献1参照)に基づき、実験室において、図4、図5に示した通常のノズル12を用いた場合(従来例)と、この実施形態のように斜方ノズル22を用いた場合(本発明例)とで、板の壊食試験を行った。ここで、壊食とは鉛板やアルミニウム板の表面がえぐりとられることを言う。
図6(従来例)、図7(本発明例)は、それぞれ2本のノズルを用いて、板厚6mmの純アルミニウム板を壊食させた結果である。この時の条件は、通常のノズル12および斜方ノズル22ともに、スプレー角θが46゜、高圧水の水量が68l/min、高圧水の噴射圧力が16MPa、ノズル高さHが100mm、迎え角αが10゜、り角βが5゜、ノズルピッチが81mmであった。
そして、従来例では、θ1=θ2=23°であり、干渉影響領域幅が5mmを超えていたのに対して、本発明例では、θ1=0、θ2=46゜の斜方ノズル22によって、干渉影響領域幅が0mmになるようにした。
図6(b)に実物の写真、図6(a)にそれを描写した図を示すように、従来例では幅方向に壊食されていない部分がみられるが、図7(b)に実物の写真、図7(a)にそれを描写した図を示すように、本発明例では幅方向に壊食されていない部分はない。
これによって、干渉領域幅=オーバーラップ領域幅となるようにした上記の実施形態の効果が確認された。
上記の実施形態の効果は、図5で示した干渉影響領域を無くすことにより得られたものであり、干渉領域がオーバーラップ領域内に納まる(干渉領域幅≦オーバーラップ領域幅)ようにすれば、同様の効果が得られる。すなわち、場合によっては、θ1<0になった斜方ノズルを用いることで、干渉領域幅<オーバーラップ領域幅となるようにしてもよい。
ただし、θ1をマイナス側に振り過ぎると、隣の斜方ノズルからの噴射領域とオーバーラップさせるためにθ2を大きくすることが必要になり、θ1側のスプレー水の実質噴射距離とθ2側のスプレー水の実質噴射距離の差が大きくなって、1個の斜方ノズルの噴射領域内で、幅方向のデスケーリング能力に差が生じてしまう。したがって、θ1をマイナスにする場合でも、θ1≧−5°とすることが好ましい。
なお、本発明においては、干渉影響領域が厳密に無いこと、すなわち干渉領域幅≦オーバーラップ領域幅であることが好ましいが、それを厳密に要求するものではない。例えば、θ1<θ2であれば、干渉影響領域幅は狭くなり、ある程度の効果は得ることができる。さらに、スプレー水14の幅方向端部近傍すなわち横流れ水15の左側外縁線15a近傍では流量がやや小さく、また、デスケーリング水(高圧水)14のせん断力により幅方向にスケールが剥がれる効果もあることから、干渉影響領域幅が5mm以下であれば、スケール残りがなくなることが確認されている。すなわち、実質的に干渉影響領域はなく、干渉領域幅がオーバーラップ幅の範囲内に収まっていると言える。したがって、干渉影響領域幅が5mm以下になるように、斜方ノズルのスプレー角度θ1、θ2を定めればよい。例えば、θ1≦2°とすることが好ましい。
なお、上記の実施形態と同様の作用は、通常のノズル12を用いて、その軸線13がヘッダ11の軸線に対して斜めになるように設置することで達成することも可能であるが、その設置のためにはヘッダ11の改造が必要となる。また、その取付け角度の調整も容易ではない。一方、この実施形態のように斜方ノズル22を用いれば、ノズルをヘッダ11の軸線に対して垂直に設置することができるので、ヘッダ11の軸線に対して垂直に設置されている既設のノズルを斜方ノズル22に交換するだけでよく、ヘッダ11の改造が不要であり、設備コストの上昇はほとんどない。
また、通常のノズル12を用いて、その軸線13がヘッダ11の軸線に対して斜めになるように設置した場合、θ1側のスプレー水の実質噴射距離とθ2側のスプレー水の実質噴射距離の差が大きくなり、噴射領域での流量分布が不均一となる。一方、斜方ノズル22には、ヘッダ11の軸線に対して垂直に設置した場合に、噴射領域での幅方向の流量分布が均一となるものが知られており、そのような斜方ノズル22を用いると、幅方向のデスケーリング能力が均一となり、より好ましい。
上記の実験室での高圧水による板の壊食試験結果を踏まえて、本発明を厚鋼板製造ラインに適用した。
厚鋼板製造ラインにおいて、厚板圧延機の前面および後面に設置されているデスケーリングヘッダは、図4、図5に示したように、デスケーリングノズル12が鋼板10の進行方向に対して斜め向きに、かつ噴射領域が幅方向に端部がオーバーラップするような配置、すなわち、ノズル12のスプレー角θが46゜、高圧水14の水量が68l/min、高圧水14の噴射圧力が16MPa、ノズル高さHが100mm、迎え角αが10゜、り角βが5゜、ノズルピッチが81mm、オーバーラップ幅が17.7mmとなっている。
そして、厚さ250mmのスラブを1200℃まで加熱し、加熱炉出側のHSBでスケールを一旦除去した後、圧延機直近に設置したデスケーリング装置でスケールを除去し、厚板圧延機で15パスの圧延を行い、厚さ30mm、板幅300mmとした。なお、この鋼材にはSiが0.16%程度添加されており、スケールは比較的剥離しにくい鋼種である。15パス中の合計13パスのみ、鋼板(圧延材)進入側のデスケーリングノズルから高圧水を噴射してスケールの剥離を行った。
その際に、本発明例として、図1、2に示すように、通常ノズル12(θ1=θ2=23°)に代えて、斜方ノズル22(θ1=0°、θ2=46°)を用い、干渉影響領域幅を0mmとした。その結果、本発明例では、スケール残りがほとんど見られず、またその他の問題もなく、きわめて良好であった。
このときの、高圧水の衝突圧力を圧力センサによりオフラインで測定したところ、幅方向に圧力分布はあるものの、衝突圧力は全てスケール剥離のための衝突圧力以上であった。
一方、比較例1として、図4、図5に示すように、通常ノズル12(θ1=θ2=23°)を用いて実施した。その結果、スケール残りが発生し、外観も不良であった。
また、比較例2として、特許文献2に記載されたノズルの交互配置で実施した。その結果、スケール残りは認められなかったが、圧延機内でスケールの噛み込みが発生し、あばた状にスケールの押し込みが見られて外観不良となった。
さらに、比較例3として、特許文献5に記載された幅方向に流量を変えたデスケーリングノズルを用いて実施した。その結果、干渉影響領域では、スケール残りが発生し、外観も不良であった。
10 鋼板(圧延材)
11 デスケーリングヘッダ(ヘッダ)
12 デスケーリングノズル(ノズル)
12A 左側のノズル
12B 右側のノズル
13 ノズルの軸線
14 スプレー水(高圧水)
14a スプレー水の左側の外縁線
14b スプレー水の右側の外縁線
15 横流れ水
15a 横流れ水の左側の外縁線
15b 横流れ水の右側の外縁線
22 斜方ノズル
23 斜方ノズルの軸線

Claims (8)

  1. 鋼板の幅方向に備えられたデスケーリングヘッダに高圧水を噴射する複数個のデスケーリングノズルを配置してなる鋼板のデスケーリング装置において、
    デスケーリングノズルとして、スプレー角度がノズル軸線に対して左右非対称な斜方ノズルが用いられ、
    該斜方ノズルが、前記デスケーリングヘッダの軸線に対して垂直に設置されるとともに、所定の迎え角および捻り角を有し、かつ、隣接する斜方ノズルからの噴射領域同士が鋼板幅方向に所定のオーバーラップ幅を有するように配置されていることを特徴とする鋼板のデスケーリング装置。
  2. 前記斜方ノズルのノズル軸線に対して左右非対称なスプレー角度のうち、小さい方のスプレー角度が2°以下であることを特徴とする請求項1に記載の鋼板のデスケーリング装置。
  3. 前記斜方ノズルは、鋼板表面に噴射される噴射領域の幅方向に均等な流量分布を有することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼板のデスケーリング装置。
  4. 進行する鋼板表面に、噴射領域が鋼板幅方向でオーバーラップしているオーバーラップ領域において、噴射領域が鋼板進行方向下流側に位置するデスケーリングノズルから高圧水が噴射された後の横流れ水が鋼板表面を通過して、隣接する斜方ノズルの噴射領域を干渉する干渉領域の幅方向の長さである干渉領域幅が、前記隣接する斜方ノズルから噴射される高圧水の噴射領域同士のオーバーラップ幅の範囲内に収まるようになっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鋼板のデスケーリング装置。
  5. 鋼板の幅方向に延設されたデスケーリングヘッダに配置された複数個のデスケーリングノズルから高圧水を噴射して行う鋼板のデスケーリング方法において、
    デスケーリングノズルとして、スプレー角度がノズル軸線に対して左右非対称な斜方ノズルを用いて、
    前記デスケーリングヘッダの軸線に対して垂直に設置するとともに、
    所定の迎え角および捻り角を有し、かつ、隣接する斜方ノズルからの噴射領域同士が鋼板幅方向に所定のオーバーラップ幅を有するように高圧水を噴射することを特徴とする鋼板のデスケーリング方法。
  6. 前記斜方ノズルとして、鋼板表面に噴射される噴射領域の幅方向に均等な流量分布となるようなノズルを用いることを特徴とする請求項5に記載の鋼板のデスケーリング方法。
  7. 進行する鋼板表面に、噴射領域が鋼板幅方向でオーバーラップしているオーバーラップ領域において、噴射領域が鋼板進行方向下流側に位置するデスケーリングノズルから高圧水が噴射された後の横流れ水が鋼板表面を通過して、隣接する斜方ノズルの噴射領域を干渉する干渉領域の幅方向の長さである干渉領域幅が、前記隣接する斜方ノズルから噴射される高圧水の噴射領域同士のオーバーラップ幅の範囲内に収まるようにすることを特徴とする請求項5または6記載の鋼板のデスケーリング方法。
  8. 前記斜方ノズルのノズル軸線に対して左右非対称なスプレー角度のうち、小さい方のスプレー角度が2°以下であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の鋼板のデスケーリング方法。
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