JP3331860B2 - 熱間圧延材のデスケーリング装置 - Google Patents

熱間圧延材のデスケーリング装置

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  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は加熱炉から抽出され
た熱間状態のスラブの1次スケールをオンラインでデス
ケーリングするホットスケールブレカー(以下HSBと
いう)、又は熱間圧延鋼板の2次スケールをデスケーリ
ングしてスケールを除去をするためのデスケーリング装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延材、即ち圧延前のスラブ、及び
圧延中の圧延材のスケールを除去する方法とし、熱間状
態の鋼材表面に高圧水を噴射して、スケールを除去する
方法が数多く提案されている(例えば、特開昭63−6
8214号公報)。
【0003】ここで、従来の高圧水デスケーリング装置
を図5により説明する。図5(a)は圧延ラインに直角
な断面における圧延材と高圧水ヘッダーとの関係と、圧
延材の表面におけるスプレー水の噴射領域,即ちスプレ
ー水が圧延材に衝突して形成される面( 図5(a)の下
側の図) とを示す。
【0004】一般に、熱間圧延材に高圧水を噴射する装
置は、図5(a)に示すようなノズル1を数十個備えた
ヘッダ2を、圧延材5の幅方向(矢印A方向)に設置
し、ノズル1より高圧水(例えば100〜200kg/
cm2 )を噴射してスケールを除去する装置である。
【0005】この装置では、それぞれのノズル1から噴
射される高圧水の噴射領域6は、圧延材5の幅方向Aに
対して15゜程度の捻り角(β)7をもって傾斜してお
り、スプレー水の両端部は両隣りのノズル1から噴射さ
れる高圧水の噴射領域と重ならないようになっている。
この各ノズルの噴射領域が重ならないようにしてあるの
は、高圧水同士が干渉して圧延材に対する衝突力が低下
するのを避けるためである。
【0006】上記各ノズルの噴射領域が、図示するよう
に0〜30mm程度のオーバーラップ幅9を有している
のは、板幅方向で高圧水が衝突する領域をなくし、デス
ケーリング能力を幅方向に均一にしようとするためであ
る。
【0007】また、図5(b)は圧延ラインと平行な断
面における圧延材とノズルヘッダとの関係を示す。図に
示すようにノズル1の向きは、圧延材5の進行方向(矢
印B方向)に対して、図のように傾斜させて設けられ
て、その迎え角(α)8の角度は、ノズル1から圧延材
5に下した垂線から10〜15゜位となっている。
【0008】これは、圧延材に衝突した高圧水によって
剥離したスケールを高圧水と共に横方向に流し、圧延材
表面から側方に流れ落るようにするためである。垂線距
離14がノズル高さ(H)である。
【0009】ところが、近年鋼材の材質を向上させるた
めにSi、Cr、Niなどの元素を添加した鋼材の場
合、スケールが剥離しにくくなってきている。これら難
剥離性のスケールが残存する状況を観察すると、多くの
場合、圧延ライン進行方向に伸びた筋状のスケールが幅
方向に複数残っており、これは現状のデスケーリング作
用が幅方向で不均一であることを示すものである。
【0010】従来、加熱炉から抽出された熱間状態の圧
延前のスラブ等の1次スケールをオンラインでHSBに
よりデスケーリングする際、及び熱間圧延中の鋼板の2
次スケールをデスケーリングする際には、各ノズルから
の高圧噴射水を重ねてオーバーラップ部を設けることに
より、圧延鋼板表面上の噴射水の衝突圧力が圧延材幅方
向に均一に分布できると考えられてきた。
【0011】上記例として、特開平6−285534号
公報は、可逆式熱間圧延機を用いて熱間圧延鋼板を圧延
する際、鋼板のデスケーリング及び冷却を行いながら複
数回圧延する熱間圧延鋼板の製造方法において、デスケ
ーリングのため熱間圧延鋼板に向かって複数のノズルか
ら噴出する高圧噴射水を一定値以上の衝突圧力で板幅方
向に概ね均一に分布させている。
【0012】更に、上記ノズルのピッチ、噴射角度を圧
延条件に合わせて調整し、熱間圧延鋼板上における水の
衝突部での高圧噴射水のラップ率を決めて、熱間圧延鋼
板の板幅方向のデスケーリング能力を概ね均一にしよう
とするものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法により、圧
延材の筋ムラ防止には役立っているが、いまだ十分な対
応がなされているとは言い難いという問題点があった。
即ち、近年鋼材の材質を向上させるためにSi、Cr、
Niなどの元素を添加してあるため、鋼材スケールが剥
離しにくくなっている。また、圧延材の表面品質に対す
る顧客の要求が厳しくなっているため、圧延ライン進行
方向に伸びた筋状のスケールを可及的に少なくする必要
がある。しかし、現状のデスケーリング装置では上記要
求を満足していない。
【0014】
【課題を解決するための手段】そこで、発明者らはオー
バーラップ部のデスケーリング水の流れを詳細に検討し
た結果、ホットスケールブレーカー(以下HSBとい
う)又は圧延機にてデスケーラーの高圧水スプレーノズ
ルの配置を変更するという手段によって、圧延鋼板の筋
ムラを大幅に低減して、その後の鋼板の圧延、或いは冷
却工程によって生じる形状不良を大幅に低減することが
できるとの着想を得て下記の発明をするに至った。
【0015】第1の発明は、熱間圧延機前面又は圧延機
後面に配置された2次スケールをデスケーリングするデ
スケーリング装置であって、該デスケーリング装置の高
圧水スプレーノズル配置を、ノズルのピッチ、ノズルの
スプレー角、迎え角、捻り角、ノズル高さを、隣接する
高圧水スプレーの横流れ水が干渉し合わないように配列
してあることを特徴とする熱間圧延材の2次デスケーリ
ング装置である。
【0016】第2の発明は、上記熱間圧延機前面および
圧延機後面に配置され、そのノズルが前記の通り配置さ
れた2次スケールのデスケーリング装置であって、圧延
機前面のノズルピッチと圧延機後面のノズルピッチとを
所定のピッチだけ圧延方向と直角方向にづらして配置し
てあることを特徴とする熱間圧延材の2次デスケーリン
グ装置である。
【0017】第3の発明は、加熱炉から抽出された圧延
前における熱間状態のスラブの1次スケールをインライ
ンでデスケールするホットスケールブレーカー(以下H
SBという)であって、該HSBの高圧水スプレーノズ
ル配置を、該スプレーノズルのピッチ、スプレー角、迎
え角、捻り角、ノズル高さを、隣接する高圧水スプレー
の前記スラブ表面における横流れ水が干渉し合わないよ
うに配列してあることを特徴とする熱間圧延材のデスケ
ーリング装置である。
【0018】第4の発明は、前記HSBの第1段目と第
2段目のノズル配置をそれぞれ前記の通り配置し、更に
前記HSBの第1段目のノズル配置と前記2段目のノズ
ル配置を所定のピッチだけ圧延方向と直角方法にづらし
て配置したことを特徴とする熱間圧延材のデスケーリン
グ装置である。
【0019】上記発明の基本的思想は、HSB又は圧延
機にてデスケーラーの高圧水スプレーが熱間状態の鋼板
に衝突した後、ノズルの迎え角の方向に、スプレー角の
広がりをもって、圧延材表面に沿って流れる横流れ水
を、隣接する高圧水スプレーが干渉することの無いよう
なノズルピッチ以上で配列することにある。このような
ノズル配置により、圧延材表面のスケールを幅方向に均
一に除去できるため、圧延材の表面に筋ムラを防止でき
る。
【0020】ここで、隣接する高圧水スプレーの横流れ
水が干渉し合わないノズルピッチとは、ノズルのスプレ
ー角、迎え角、捻り角、ノズル高さから幾何学的な関係
より求めることができる。
【0021】更に、HSBにおいては、第1段目のノズ
ルを上記ノズルピッチで配列し、第2段目で第1段目の
ノズルピッチより所定のピッチだけずれた配置にする。
また、圧延機においても圧延機前面と圧延機後面のデス
ケーラーのノズルを上記ノズルピッチで配列し、圧延機
後面で圧延機前面のノズルピッチより所定のピッチだけ
ずらした配置にする。上記のようにノズルを配置したH
SB及び2次デスケーラーは各々圧延材表面のスケール
を幅方向に均一に除去できると共に、両者は相互に補完
して更に圧延材の表面に筋ムラを防止できる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明者らは、先ず図5に示す現
状のノズル配置において、実際に高圧水を噴射し、高圧
水の分布状況を調べた。その結果、図6に示すように、
ノズルから噴射された高圧水は、圧延材に衝突した後、
ノズルの迎え角の方向に、スプレー角(θ)3の広がり
をもって、圧延材表面に沿って横流れ水10として流れ
ていくことが分かった。
【0023】その際、ノズル1aから噴射された高圧水
が、横流れ水10aとして隣のノズル1bの噴射領域6
bを横切って流れていき、更に、その一部10dは噴射
領域6bに沿って横方向に流れていくことが認められ
た。
【0024】本発明者らは、この横流れ水の影響を調べ
るために、実ラインの高圧水デスケーリング装置のデス
ケーリング性と実験室での高圧水による鉛板の壊食試験
結果が良い相関を持っているという報告(材料とプロセ
ス、Vol.5.1992,p.1510)に基づき、図5
に示す現状のノズル配置で、ノズル間隔を変えて鉛板の
壊食試験を行った。ここで、壊食とは鉛板の表面がえぐ
りとられることを言う。
【0025】図7は、図5に示す現状のノズル配置にし
た2本のノズルを用いて、板厚5mmの純鉛板を壊食さ
せた結果である。鉛板はノズルの噴射領域を0.6m/
minの速度で10回移動させて、壊食深さを評価し
た。この時の条件は、ノズルのスプレー角25゜、水量
1.0l/min、噴射圧力170kg/cm2 、ノズ
ル高さ300mm、迎え角15゜、捻り角15゜であっ
た。
【0026】更に、ノズルの間隔を変化させて、噴射部
分が20mmオーバーラップ(図7の9)している場合
(図7(a))、噴射部分のオーバーラップがない場合
(図7(b))、噴射部分が20mm離れている場合
(図7(c))、の3条件で比較した。その結果、
(a)、(b)、(c)いずれの条件でも、試験後の鉛
板には、深く壊食された領域11、全く壊食されない領
域12、壊食深さの浅い領域13の3つの領域が存在し
た。
【0027】図7(a)、(b)、(c)いずれの条件
でも、深く壊食された領域11は、横流れ水の影響のな
い噴射領域6aに対応していた。全く壊食されない領域
12は、ノズル1aから噴射された高圧水が横流れ水と
して、直接、噴射領域6bを横切る領域に対応してい
た。壊食深さの浅い領域13は、ノズル1aの横流れ水
が、噴射領域6bに沿って横方向に流れて行く領域に対
応していると判断された。
【0028】図5に示される現状のノズル配置は、図7
の壊食試験後の鉛板の領域で言えば、深い壊食領域11
と全く壊食されない領域12と壊食深さの浅い領域13
が、幅方向に並んでいることになり、デスケーリング作
用が幅方向に不均一であると考えられる。
【0029】そこで、前記鉛板壊食試験と同じ条件で、
1150℃に加熱した鋼材を1m/sの搬送速度で移動
させながら、高圧水を噴射したところ、スケールが剥離
せず、残存したときの位置は、図7の全く壊食されない
領域12の位置に対応していた。したがって、図5に示
される現状のノズル配置は、高圧水の横流れ水が、隣接
するノズルから噴射された高圧水のデスケーリング作用
を幅方向に不均一にさせ、高圧水ノズルが持つ本来のデ
スケーリング作用が発揮できていない。
【0030】そこで、高圧水スプレーが熱間の鋼板に衝
突した後、ノズルの迎え角の方向に、スプレー角の広が
りをもって、圧延材表面に沿って流れる横流れ水を、隣
接する高圧水スプレーが干渉することの無いノズルピッ
チ以上で配列することにより、隣接するノズルのデスケ
ーリング能力の劣化が回避され、幅方向全体に渡って最
も高いデスケーリング能力が得られる。
【0031】また、これにより、従来に比してノズルピ
ッチを大きくとれるようになり、幅方向のノズル本数が
少なくなり、流量を減らさなければ1本あたりのノズル
の噴射水の衝突圧力を上昇させることができる。高圧水
スプレーの横流れ水が干渉し合わないノズルピッチはノ
ズルの迎え角α、スプレー角θ、捻り角β、ノズル高さ
Hから幾何学的な関係より求めることができる。
【0032】即ち、図7に示した横流れ水の流れる範囲
から、幾何計算により、隣接する高圧水スプレーが干渉
することの無いノズルピッチp1 は下式により表すこと
ができる。 p1 =2×H×tan(θ/2)/cosα ×{cosβ+sinβ/tan(90°−(θ/2)−β)} =f1 (θ、α、β)×H
【0033】図3にスプレー角θ=25°、50°に対
するf1 (θ、α、β)の関数値を横軸捻り角βに対し
て示した。この図から、スプレー角θ、迎え角αが与え
られると捻じ角βとf1 (θ、α、β)との関係が求め
られる。
【0034】また、HSBに関しても、第1段目のノズ
ルを上記ノズルピッチで配列した後、第2段目で第1段
目のノズルピッチより所定のピッチだけずれた配置にす
ることにより、また、圧延機においては圧延機前面のノ
ズルを上記ノズルピッチで配列した後、圧延機後面で圧
延機前面のノズルピッチより所定のピッチだけずれた配
置にすることにより幅方向に均一で、高いデスケーリン
グ能力を得られる。
【0035】つまり、HSBでの第1段目および圧延機
前面においてスケールが剥離できず残存する領域をHS
Bでの第2段目および圧延機後面において、スケールを
完全に剥離するものである。この所定のピッチp′
1 は、下式により表すことができる。 p′1 =2×H×sinβ/cosα ×{1−tan(θ/2)/tan(90°−(θ/2)−β)} =f2 (θ、α、β)×H
【0036】図4にスプレー角θ=25°、50°に対
するf2 (θ、α、β)の関数値を横軸捻り角βに対し
て示した。この図からこの図から、スプレー角θ、迎え
角αが与えられると捻じ角βとf1(θ、α、β)との
関係が求められる。
【0037】上記計算により、望ましいノズルの配置が
計算できるので、以下厚板圧延機のHSBとミルデスケ
ーラーに実際に適用した結果に付いて述べる。
【0038】
【実施例】図1に本発明に係る圧延機の前面および後面
におけるミルデスケーリングノズルの配置を示す。20
は圧延機前面でのノズル配置を、21は圧延機後面での
ノズル配置を示す。圧延機前面および圧延機後面におい
て、3のノズルスプレー角θ=25°、8の迎え角α=
15°、7の捻り角β=15°、14のノズル高さH=
370mmである。
【0039】6は高圧水の噴射領域を直線で示し、衝突
部長さは170mmであった。4はデスケーリングノズ
ルからのスプレー水流の広がりを表したもので、隣接す
るノズルからの水流が干渉し合わないノズルピッチに配
置した。
【0040】このときのピッチはp1 =187mmとし
た。このピッチでは、隣接する衝突部のすき間9は23
mmである。つまり、オーバーラップ幅9=−23mm
である。また、圧延機の前面および後面における高圧水
ノズルは、p2 =17mmずらしている。
【0041】表1にミルデスケーラーにおけるノズル配
置の詳細を従来例と比較して、本発明のノズル配置を示
す。表1において、本実施例はNo.1であり、対応す
る従来例はNo.3である。本実施例であるNo.1は
ノズル本数が圧延機前面で25本、圧延機後面で24本
である。
【0042】
【表1】
【0043】これに対し、対応する従来例であるNo.
3は、ノズルピッチが150mmであるためオーバーラ
ップ幅が14mmとなり、ノズル本数が圧延機前面で3
2本、圧延機後面で31本も必要であった。即ち、本発
明では、圧延機前面で7本、圧延機後面で7本ノズル本
数が少なくてよい。
【0044】同様に表1において、本発明のノズル配置
はNo.2であり、対応する従来例はNo.4である。
No.2の実施例ではノズルのスプレー角θ=37°、
迎え角α=15°、捻り角β=15°、ノズル高さH=
365mmである。
【0045】高圧水の衝突部長さは253mmであっ
た。隣接するデスケールノズルとは水流が干渉し合わな
いノズルピッチに配置し、このときのピッチp1 =28
8mmとした。このピッチでは、隣接する衝突部のすき
間は44mmである。つまり、オーバーラップ幅=−4
4mmである。
【0046】また、圧延機の前面および後面における高
圧水ノズルのピッチのずれをp2 =136mmとした。
実施例であるNo.2はノズル本数が圧延機前面で18
本、圧延機後面で18本であるのに対し、対応する従来
例であるNo.4は、ノズルピッチが150mmである
ためオーバーラップ幅が94mmとなり、ノズル本数が
圧延機前面で36本、圧延機後面で36本であった。従
って、本発明では、ノズル本数はそれぞれ18本少なく
てよい。
【0047】図2に本発明に関するHSBの第1段目お
よび第2段目におけるデスケーリングノズルの配置を示
す。22はHSBの第1段目でのノズル配置を、23は
HSBの第2段目でのノズル配置を示す。HSBの第1
段目および第2段目において、3のノズルのスプレー角
θ=50°、8の迎え角α=15°、7の捻り角β=1
5°、14のノズル高さH=150mmである。
【0048】6は高圧水の噴射領域を示し、衝突部長さ
は145mmであった。4はデスケーリングノズルより
のスプレーの広がりを表したもので、隣接するデスケー
ルノズルとは水流が干渉し合わないノズルピッチに配置
した。このときのピッチは15のp′1 =171mmと
した。このピッチでは、隣接する衝突部のすき間は31
mmである。つまり、オーバーラップ幅9=−31mm
である。また、HSBの第1段目および第2段目におけ
る高圧水ノズルはp′2 =49mmずらしている。
【0049】表2に従来例と比較して本実施例を示す。
表2において、本実施例はNo.1であり、対応する従
来例はNo.3である。本実施例であるNo.1はノズ
ル本数がHSBの第1段目で13本、第2段目で14本
であるのに対し、対応する従来例であるNo.3は、ノ
ズルピッチが140mmであるためオーバーラップ幅が
0mmとなり、ノズル本数がHSBの第1段目で17
本、第2段目で18本も必要であった。
【0050】同様に表2において、実施例はNo.2で
あり、対応する従来例はNo.4である。No.2の実
施例ではノズルのスプレー角θ=40°、迎え角α=1
5°、捻り角β=15°、ノズル高さH=150mmで
ある。
【0051】高圧水の衝突部長さは113mmであっ
た。隣接するデスケールノズルとは水流が干渉し合わな
いノズルピッチに配置し、このときのピッチp′1 =1
30mmとした。このピッチでは、隣接する衝突部のす
き間は21mmである。つまり、オーバーラップ幅=−
21mmである。
【0052】また、HSBの第1段目および第2段目に
おける高圧水ノズルのピッチのずれp′2 =60mmと
した。実施例であるNo.2はノズル本数がHSBの第
1段目で18本、第2段目で19本であるのに対し、対
応する従来例であるNo.4は、ノズルピッチが109
mmであるためオーバーラップ幅が0mmとなり、ノズ
ル本数がHSBの第1段目で22本、第2段目で23本
も必要であった。
【0053】
【表2】
【0054】上記ノズル配置を備えたデスケーラを具備
した圧延機を用いて圧延した圧延材の表面性状は極めて
平滑であり、いわゆる筋状疵の極めて少ない圧延板が得
られた。
【0055】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、圧延機
の前面および後面におけるミルデスケーラーおよびHS
Bの第1段目および第2段目におけるHSBデスケーラ
ーにおいて、本発明に係るノズル配置をしたデスケーラ
ーを用いることにより、従来のデスケーラーに比して、
著しく均一に圧延材の表面スケール除去ができる。しか
も、高圧水ノズルの本数を減らせることができる。その
ため、ノズル詰まり等の管理も大幅に軽減される。ま
た、本発明によればコストをかけること無しに筋状のス
ケールのない良好な鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による圧延機の前面および後面における
ミルデスケーリングノズルの配置図である。
【図2】本発明によるHSBの第1段目および第2段目
におけるデスケーリングノズルの配置図である。
【図3】本発明によるミルデスケーリングノズルのピッ
チを決定する式をグラフにした図である。
【図4】本発明によるHSBの第1段目および第2段目
のデスケーリングノズルのピッチを決定する式をグラフ
にした図である。
【図5】従来のノズル配置を示す図である。
【図6】従来のノズル配置での高圧水の噴射状況を説明
する図である。
【図7】従来のノズル配置における鉛板の壊食試験結果
を示す図である。
【符号の説明】
1 高圧水ノズル 2 高圧水ヘッダー 3 スプレー角(θ) 4 高圧水スプレー 5 熱間圧延材 6 噴射領域 7 捻じ角(β) 8 迎え角(α) 9 オーバーラップ幅 10 ノズル高さ(H) P1 ミルデスケーラーのノズルピッチ P2 圧延機前面後面のミルデスケーラーのノズルピッ
チのずれ P′1 HSBのノズルピッチ P′2 第1段目と第2段目のHSBのノズルピッチのず

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間圧延機前面又圧延機後面に配置され
    た2次スケールをデスケーリングするデスケーリング装
    置であって、該デスケーリング装置の高圧水スプレーノ
    ズル配置を、ノズルのピッチ、ノズルのスプレー角、迎
    え角、捻り角、ノズル高さを、隣接する高圧水スプレー
    の横流れ水が干渉し合わないように配列してあることを
    特徴とする熱間圧延材の2次デスケーリング装置。
  2. 【請求項2】 熱間圧延機前面および圧延機後面に配置
    され、そのノズルが前記の通り配置された2次スケール
    のデスケーリング装置であって、圧延機前面のノズル
    ッチと圧延機後面のノズルピッチとを所定のピッチだけ
    圧延方向と直角方向にづらして配置してあることを特徴
    とする請求項1記載の熱間圧延材の2次デスケーリング
    装置。
  3. 【請求項3】 加熱炉から抽出された圧延前における熱
    間状態のスラブの1次スケールをインラインでデスケー
    ルするホットスケールブレーカー(以下HSBという)
    であって、該HSBの高圧水スプレーノズル配置を、該
    スプレーノズルのピッチ、スプレー角、迎え角、捻り
    角、ノズル高さを、隣接する高圧水スプレーの前記スラ
    ブ表面における横流れ水が干渉し合わないように配列し
    てあることを特徴とする熱間圧延材のデスケーリング装
    置。
  4. 【請求項4】 前記HSBの第1段目と第2段目のノズ
    ル配置をそれぞれ前記の通り配置し、更に前記HSBの
    第1段目のノズル配置と前記2段目のノズル配置を所定
    のピッチだけ圧延方向と直角方向にづらして配置したこ
    とを特徴とする請求項3に記載の熱間圧延材のデスケー
    リング装置。
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