JP5663298B2 - 蓄電池モジュールの製造方法 - Google Patents
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Description
また、蓄電池の電力で車両駆動用モータを駆動する駆動回路等に用いるパワー半導体装置を備えた電子装置では、振動からパワー半導体装置のボンディングワイヤを保護し、また耐湿性を確保するため、ケース体に樹脂を充填してパワー半導体装置をボンディングワイヤごと封止する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、組み付け時の取り扱いが容易な蓄電池モジュールの製造方法及び蓄電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明では、蓄電池と電子装置とを一体にしたので、コンパクトでレイアウト自由度が高く、組み付け時に取り扱いが容易になる。特に、熱硬化性樹脂で一体にしたので、蓄電池と電子装置との間の電気的接続部分が振動から強固に保護され、振動に強い蓄電池モジュールを実現できる。
また、電子装置ケース体に与えられた熱を電子回路の基板の支持部材を介して当該基板に導き、当該基板の表裏面を起点として基板と略垂直な方向に向かって熱硬化を生じさせるので、電子装置ケース体を局所的に急速加熱しても、基板の表裏面付近が速やかに硬化して基板上の電子部品の半田付け部やボンディングワイヤ接合部が保護されるとともに、基板と略垂直な方向に向かって硬化が進行し電子部品を倒す方向の力が発生しない。したがって、電子装置ケース体を局所的に急速加熱しても、電子回路の破壊を防止できる。
電子装置ケース体を急速加熱した場合、熱硬化性樹脂が電子装置ケース体の内側面から熱硬化することで、基板上の電子部品を倒す力が生じるが、電子部品が電子装置ケース体の内側面から離れているので、電子部品周辺の樹脂は、主に基板の表面から伝わる熱で硬化し、電子装置ケース体の内面から伝わる熱の影響は小さくなる。このため、急速加熱時においても、電子装置ケース体の内面から伝わる熱による電子部品を倒す方向の力の影響を抑えて、電子回路の破壊を確実に防止できる。
本発明では、充填された熱硬化性樹脂の体積を略等分する箇所を加熱するので、熱硬化性樹脂を効率よく加熱することができ、熱硬化処理時間を短縮できる。
また、電子装置ケース体に与えられた熱を電子回路の基板の支持部材を介して当該基板に導き、当該基板の表裏面を起点として基板と略垂直な方向に向かって熱硬化を生じさせるので、電子装置ケース体を局所的に急速加熱しても、基板の表裏面付近が速やかに硬化して基板上の電子部品の半田付け部やボンディングワイヤ接合部が保護されるとともに、基板と略垂直な方向に向かって硬化が進行し電子部品を倒す方向の力が発生しない。したがって、電子装置ケース体を局所的に急速加熱しても、電子回路の破壊を防止できる。
図1に示すように、駆動電源ユニット1は、電動二輪車の駆動用モータMを駆動するものであり、蓄電池10と、駆動用モータMを駆動するための電子装置20とを一体に備えている。
蓄電池10は、電動二輪車に搭載されて駆動用モータMの駆動電力源となるバッテリーであって、図1および図3に示すように、互いに直列に接続された複数の蓄電セル12と、これら複数の蓄電セル12を収容する蓄電池ケース体11とを備える。蓄電セル12のそれぞれには、電極タブ13が設けられ、これら電極タブ13を通じて蓄電池10と電子装置20とが電気的に接続されている。蓄電池ケース体11は、上面が開口した有底の箱状ケース体であり、上面の開口11Aから各電極タブ13を延出させるように各蓄電セル12が蓄電池ケース体11に納められている。
スイッチング電源回路25は、蓄電池10の直流電圧を所定電圧に変換してインバータ回路26に出力するDC−DCコンバータ(電力変換装置)として機能するものであり、その入力側が蓄電池10の電極タブ13と電気的に接続されている。
インバータ回路26は、スイッチング電源回路25の出力電圧で駆動されて駆動用モータMを駆動するものであり、IGBTといった複数のパワー半導体装置(スイッチング素子)を含む電子部品24を備える。
なお、この基板23には、スイッチング電源回路25と、インバータ回路26との他にも、インバータ回路26の各パワー半導体装置のゲート端子を駆動するゲートドライブ回路(図示せず)なども設けられている。
本実施形態では、この樹脂封止が蓄電池10の樹脂封止とともに行われ、当該樹脂封止により、これら電子装置20と蓄電池10が一体に結合される。
以下、かかる樹脂封止について説明する。
樹脂31は、熱硬化性樹脂であり、例えば、硬化前は液状であって加熱により硬化してゲル状または固体となるものである。すなわち、電子装置20及び蓄電池10には加熱前の液状状態で樹脂31が注入され、熱硬化処理により硬化することで、これら電子装置20及び蓄電池10が樹脂封止される。
特に、蓄電池ケース体11および電子装置ケース体21は、例えばアルミニウム合金等の熱伝導率の高い金属により形成され、互いに密接するように連結されることで、それぞれの間の熱抵抗を抑えた状態で連結されている。これにより、蓄電池ケース体11および電子装置ケース体21に伝えられた熱が、両方の表面全体に広がって放熱されるので、放熱性能が向上する。
例えば炉を用いて電子装置20全体をゆっくりと加熱することで、樹脂31に温度ムラが生じないようにして一様に硬化を開始するようにできるが、熱硬化処理に要する時間が長くなるうえ、大型で高価な設備が必要となる。
具体的には、電子装置20の支持部材22および基板23を、例えばアルミニウム合金等の熱伝導率の高い金属により形成し、基板23を支持部材22に十分に接触させることで、電子装置ケース体21に与えられた熱を基板23に均等かつ速やかに導くようにした。
したがって、炉などの大型で高価な設備を用いることなく、インダクションヒーターなどの安価な局所加熱設備で、蓄電池ケース体11を局所的に急速加熱しても、電子装置20の破壊を防止しつつ電子装置20および蓄電池10を樹脂封止することができ、設備コストの低減および熱硬化処理時間の短縮を実現できる。
これにより、電子装置ケース体21が急速に加熱されても、電子部品24周辺の樹脂31は、主に基板23の表面から伝わる熱で硬化し、電子装置ケース体21の内側面21Cから伝わる熱の影響は小さくなる。このため、電子装置ケース体21の内側面21Cから伝わる熱による電子部品24を倒す方向の力の影響を抑えて電子装置20の破壊を確実に防止できる。
まず、上述のように、蓄電池ケース体11に蓄電セル12を収めて蓄電池10を組み立て、また電子装置ケース体21に基板23を収めて電子装置20を組み立てる。
次に、電子装置ケース体21の下側の開口21Bに、蓄電池ケース体11の上側を嵌め込んで接続し、電子装置ケース体21と蓄電池ケース体11とを連通状態で連結する。
このとき、電子装置20のスイッチング電源回路25を、蓄電池10の電極タブ13と電気的に接続しておく。
そして、電子装置ケース体21の上側の開口21Aから液状の樹脂31を注入し、蓄電池ケース体11および電子装置ケース体21に樹脂31を充填する。
加熱領域Aは、蓄電池ケース体11及び電子装置ケース体21の連結方向(図1中上下方向)において、充填された樹脂31の体積を略等分する箇所に設定される。本実施形態では、この加熱領域Aが蓄電池ケース体11に位置し、この加熱領域Aで上記局所加熱装置が蓄電池ケース体11の周囲を取り囲み加熱することで、蓄電池ケース体11及び電子装置ケース体21に充填された樹脂31を効率よく加熱することができ、樹脂31の熱硬化処理時間を短縮できる。
熱硬化処理においては、蓄電池ケース体11及び電子装置ケース体21の樹脂31を、次の処理工程の作業位置に払い出し可能な硬度(次工程可搬硬度)まで熱硬化する。このとき、図4に示すように、樹脂31が次工程可搬硬度に到達するまでの時間は加熱温度が高いほど短くなり、例えば加熱温度を60℃に設定することで、到達時間T1は、加熱温度を46℃に設定したときの到達時間T2に比べ大幅に短縮される。
したがって、加熱温度を蓄電池10や電子装置20の耐熱温度(例えば60℃以下)を限度に高温に設定することで、熱硬化処理時間を大幅に短縮できる。
本実施形態では、蓄電池ケース体11及び電子装置ケース体21の両方に樹脂31を充填することから熱硬化対象の樹脂31の量が増え熱硬化時間が長くなるが、上述のように、加熱温度を高温に設定することで熱硬化時間の延長が抑えられる。また、加熱温度を高温に設定した場合であっても、上述の通り、電子装置ケース体21に与えられた熱が基板23に導かれ当該基板23の表裏面で熱硬化を生じさせるため、電子装置20の破壊を生じることがない。
また、本実施形態では、電子装置20においては、基板23の上下表面、電子部品24およびボンディングワイヤ(不図示)が樹脂31で覆われている。これにより、電子装置20の耐湿性を確保でき、電子部品24を硬化済みの樹脂31で保護して耐震性を確保できる。
例えば、また、上述した実施形態では、蓄電池モジュールとして、電動二輪車の駆動用モータを駆動するための駆動電源ユニットを例示したが、これに限らず、電動四輪車等の他の蓄電池モジュールにも本発明を適用できる。
10 蓄電池
11 蓄電池ケース体
12 蓄電セル
20 電子装置
21 電子装置ケース体
21C 内側面
23 基板
24 電子部品
25 スイッチング電源回路(電子回路)
26 インバータ回路(電子回路)
31 樹脂(熱硬化性樹脂)
Claims (3)
- 複数の蓄電セルを蓄電池ケース体に収めた蓄電池と、当該蓄電池と電気的に接続される電子回路を含む電子装置とを備えた蓄電池モジュールの製造方法であって、
前記蓄電池の蓄電池ケース体と前記電子装置の電子装置ケース体とを連通し、これら蓄電池ケース体及び電子装置ケース体に熱硬化性樹脂を充填し熱硬化させ、前記蓄電池と前記電子装置とを前記熱硬化性樹脂で封止し一体にするものであり、
前記熱硬化性樹脂の熱硬化処理の際に前記電子装置ケース体に与えられた熱を前記電子回路の基板の支持部材を介して当該基板に導き、当該基板の表裏面を起点として前記基板と略垂直な方向に向かって熱硬化を生じさせるようにしたことを特徴とする蓄電池モジュールの製造方法。 - 前記基板上に、前記電子回路の電子部品を前記電子装置ケース体の内側面から離れた位置に配置したことを特徴とする請求項1に記載の蓄電池モジュールの製造方法。
- 複数の蓄電セルを蓄電池ケース体に収めた蓄電池と、当該蓄電池と電気的に接続される電子回路を含む電子装置とを備えた蓄電池モジュールの製造方法であって、
前記蓄電池の蓄電池ケース体と前記電子装置の電子装置ケース体とを連通し、これら蓄電池ケース体及び電子装置ケース体に熱硬化性樹脂を充填し熱硬化させ、前記蓄電池と前記電子装置とを前記熱硬化性樹脂で封止し一体にするものであり、
前記蓄電池の蓄電池ケース体と前記電子装置の電子装置ケース体とのうち、これら蓄電池ケース体及び電子装置ケース体に充填された熱硬化性樹脂の体積を略等分する箇所を加熱して熱硬化処理し、
前記熱硬化性樹脂の熱硬化処理の際に前記電子装置ケース体に与えられた熱を前記電子回路の基板の支持部材を介して当該基板に導き、当該基板の表裏面を起点として前記基板と略垂直な方向に向かって熱硬化を生じさせるようにしたことを特徴とする蓄電池モジュールの製造方法。
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