JP5662813B2 - エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
従来のエアバッグ100は、図示のように、膨張展開した後に、ステアリングホイール90上でバウンド(図17Aの矢印W)することがある。これに伴い、エアバッグ100は、形状が安定せず、最も厚い形状V1と最も薄い形状V2の間で変動することで、性能も不安定になる。また、例えば、乗員91(図17B参照)が、最も薄い形状V2のエアバッグ100に接触すると、エアバッグ100が乗員91の衝撃やエネルギーを吸収するストローク(吸収ストローク)が不足する虞もある。従って、従来のエアバッグ100は、より安定して膨張展開して、乗員91を安全に拘束する観点から、改良が求められている。
このエアバッグ装置は、車両内に配置されて、膨張展開するエアバッグにより乗員を受け止めて保護する。また、エアバッグ装置は、例えば、車両内で、運転席や助手席等のシートの周囲に設けられて、シートに座った乗員を保護する。以下では、運転席前方のステアリングホイールに配置されたエアバッグ装置を例に採り説明する。
エアバッグ装置1は、図示のように、ステアリングホイール90の中央部に搭載されて、乗員の前方に配置される。また、エアバッグ装置1は、表面を覆うエアバッグカバー2を備え、エアバッグカバー2内に所定状態に折り畳まれたエアバッグ(図示せず)が収容されている。エアバッグは、膨張によりエアバッグカバー2を押し開いて車室内で展開し、ステアリングホイール90と乗員の間で膨張展開する。その際、エアバッグは、乗員の位置する方向(乗員方向という)と側方に向けて膨張して、ステアリングホイール90を覆うように展開する。
図2は、第1の実施形態のエアバッグ装置1(以下、エアバッグ装置1Aと表す)を示す図であり、図1の矢印X方向から見たエアバッグ装置1Aを模式的に示している。また、図2では、展開(膨張)初期のエアバッグ10を断面図で示している。図3は、図2のエアバッグ装置1Aを分解して示す斜視図であり、エアバッグ装置1Aの各構成を上下方向に離して示している。図3では、矢印により、組み合わされる構成の関係や構成同士の組み合わせ位置も示している。
膨張前のインナーバッグ30Aは、図4Aに示すように、前基布32と後基布33が重ねて配置されて、円形状をなす。膨張後のインナーバッグ30Aは、図4Bに示すように、基布32、33内の気室34にガスが充填されて、球形状に膨張する。このように、インナーバッグ30Aは、アウターバッグ20内で、平面形状から立体形状に膨張する。
アウターバッグ20に関しては、まず、2つの補強布13、14を後基布23の内外面に縫製(図3では、各縫製部を点線で示す)する。また、規制部材40Aの両端を前基布22の内面に縫製する。次に、両基布22、23の外面を重ね合わせて、両基布22、23を外周に沿って縫製する。その後、両基布22、23を、取付口11を通して反転させて、規制部材40Aをアウターバッグ20内に配置する。なお、図3では、アウターバッグ20及びインナーバッグ30Aを反転させた後における各構成の配置状態を示している。
エアバッグ10の展開初期では、まず、インナーバッグ30Aが、インフレータ3から供給されるガスにより膨張する(図5A参照)。インナーバッグ30Aは、規制部材40Aとアウターバッグ20の前面の間で膨張展開する。その際、規制部材40Aの開口部41は、膨張展開したインナーバッグ30Aよりも小さく形成されているため、内部のインナーバッグ30Aに引っ掛かる(図5B参照)。規制部材40Aは、開口部41がインナーバッグ30Aに止められて、開口部41の周囲と開口部41の両外側部分が、インナーバッグ30Aの後面に押し付けられる。その状態で、規制部材40Aは、インナーバッグ30Aの後面に保持されて、乗員方向への移動や変形が抑制される。また、規制部材40Aは、アウターバッグ20の前面に張力を作用させて、前面を乗員方向の逆方向(車体方向)に引っ張る。
大柄な乗員91A(図6A参照)が運転席92に座ると、乗員91Aの位置が車両内の後方になり、乗員91Aとエアバッグ装置1Aの距離L1が長くなる。小柄な乗員91B(図6B参照)が運転席92に座ると、乗員91Bの位置が車両内の前方になり、乗員91Bとエアバッグ装置1Aの距離L2が短くなる。そのため、小柄な乗員91Bは、大柄な乗員91Aよりも早いタイミングでエアバッグ10に接触する。
図7は、第2の実施形態のエアバッグ装置1(以下、エアバッグ装置1Bと表す)を示す図であり、図1の矢印X方向から見たエアバッグ装置1Bを模式的に示している。また、図7では、展開初期のエアバッグ10を断面図で示している。図8は、図7のエアバッグ装置1Bを分解して示す斜視図であり、エアバッグ装置1Bの各構成を上下方向に離して示している。図8では、矢印により、組み合わされる構成の関係や、構成同士の組み合わせ位置も示している。図7と図8は、それぞれ第1の実施形態で説明した図2と図3に対応する。
規制部材40Bは、図示のように、2つの基布により形成された輪状部材45(ここでは、輪状布)からなる。輪状部材45(図7、図8参照)は、エアバッグ10の膨張前に、インナーバッグ30Aの前後面(基布32、33)に沿って配置されて、インナーバッグ30Aを囲む。即ち、エアバッグ10内で、第1布43は、インナーバッグ30Aの後面とアウターバッグ20の後面の間に配置され、第2布44は、インナーバッグ30Aの前面とアウターバッグ20の前面の間に配置される。
規制部材40Bは、第1布43と第2布44を縫製(図8では、各縫製部を点線で示す)して輪状に形成する。アウターバッグ20に関しては、まず、2つの補強布13、14を後基布23の内外面に縫製する。また、規制部材40Bの第2布44を前基布22の内面に縫製する。次に、両基布22、23の外面を重ね合わせて、両基布22、23を外周に沿って縫製する。その後、両基布22、23を、取付口11を通して反転させて、規制部材40Bをアウターバッグ20内に配置する。なお、図8では、アウターバッグ20及びインナーバッグ30Aを反転させた後における各構成の配置状態を示している。
なお、エアバッグ10は、基本的には、第1の実施形態と同様の過程を経て膨張展開する。従って、ここでは、エアバッグ10の膨張展開について簡単に説明する。
図11は、第3の実施形態のエアバッグ装置1(以下、エアバッグ装置1Cと表す)を示す図である。図11では、図8に対応させて、分解したエアバッグ装置1Cを斜視図で示している。
エアバッグ装置1Cでは、規制部材40(以下、この形態の規制部材には40Cを付す)の一部が、第2の実施形態の規制部材40Bと相違する。
アウターバッグ20に関しては、まず、一方の補強布13を後基布23の外面に重ね、他方の補強布14と規制部材40Cの第1布43を後基布23の内面に重ねる。その状態で、4つの布13、23、14、43を縫製(図11では、各縫製部を点線で示す)する。規制部材40Cの第2布44は、前基布22の内面に縫製する。次に、両基布22、23の外面を重ね合わせて、両基布22、23を外周に沿って縫製する。規制部材40Cは、両基布22、23を挟んだ状態で、第1布43と第2布44を縫製して輪状に形成する。その後、両基布22、23と規制部材40Cを、取付口11を通して反転させて、規制部材40Cをアウターバッグ20内に配置する。なお、図11では、アウターバッグ20及びインナーバッグ30Aを反転させた後における各構成の配置状態を示している。
図12は、第4の実施形態のエアバッグ装置1(以下、エアバッグ装置1Dと表す)を示す図であり、図1の矢印X方向から見たエアバッグ装置1Dを模式的に示している。また、図12では、展開初期のエアバッグ10を断面図で示している。図13は、図12のエアバッグ装置1Dを分解して示す斜視図であり、エアバッグ装置1Dの各構成を上下方向に離して示している。図13では、矢印により、組み合わされる構成の関係や構成同士の組み合わせ位置も示している。
膨張前のインナーバッグ30Bは、図14Aに示すように、前基布35と後基布36が重ねて配置されて、平面形状をなす。膨張後のインナーバッグ30Bは、図14Bに示すように、基布35、36内の気室34にガスが充填されて、立体形状に膨張する。その際、球状膨張部37は、インフレータ3から供給されるガスにより、インナーバッグ30Bの中心で球形状に膨張する。筒状膨張部38は、球状膨張部37から供給されるガスにより、球状膨張部37から外方に向かって筒状に膨張する。
アウターバッグ20と規制部材40Cは、第3の実施形態と同じ工程で形成する。ただし、アウターバッグ20の両基布22、23を縫製(図13では、各縫製部を点線で示す)するまえに、2つのカバー26を、後基布23に縫製しておく。インナーバッグ30Bに関しては、まず、保護布15を後基布36の内面に縫製する。次に、両基布35、36の外面を重ね合わせて、基布35、36を両側縁に沿って縫製する。その後、両基布35、36を、取付口11を通して反転させて、筒状膨張部38を外方に突出するように配置する。なお、図13では、インナーバッグ30Bを反転させた後における各構成の配置状態を示している。
なお、エアバッグ10は、基本的には、第2及び第3の実施形態と同様の過程を経て膨張展開する。従って、ここでは、エアバッグ10の膨張展開について、既に説明した過程と異なる過程を中心に説明する。
Claims (10)
- ガスにより膨張展開して車両の乗員を保護するエアバッグと、エアバッグにガスを供給するインフレータとを備えたエアバッグ装置であって、
エアバッグが、インフレータから供給されるガスにより膨張するとともに、ガスの流通口が設けられたインナーバッグと、インナーバッグを収容してインナーバッグの流通口から供給されるガスにより膨張するアウターバッグと、アウターバッグ内でアウターバッグの前面に連結されて前面の乗員方向への移動を規制する規制部材とを有し、
規制部材が、膨張したインナーバッグの外周に引っ掛かり、かつ、アウターバッグの膨張に伴いインナーバッグの外周に沿って乗員方向へ移動する開口部を有し、開口部の移動に応じてアウターバッグの前面を乗員方向へ移動させるエアバッグ装置。 - 請求項1に記載されたエアバッグ装置において、
規制部材の開口部が、膨張展開したインナーバッグよりも小さく形成され、収縮するインナーバッグから抵抗を受けつつ乗員方向へ移動するエアバッグ装置。 - 請求項1又は2に記載されたエアバッグ装置において、
規制部材の開口部が、エアバッグの膨張前に、インナーバッグの後面とアウターバッグの後面の間にインナーバッグが通過可能に配置されるエアバッグ装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
規制部材が、エアバッグの膨張前に、インナーバッグの後面とアウターバッグの後面の間に配置される帯状部材からなり、
帯状部材の両端が、アウターバッグの前面に接合されたエアバッグ装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
規制部材が、エアバッグの膨張前に、インナーバッグの前後面に沿って配置されてインナーバッグを囲む輪状部材からなり、
輪状部材のインナーバッグの前面に沿う部分が、アウターバッグの前面に接合されたエアバッグ装置。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
インナーバッグが、外方に突出する筒状膨張部を有し、
筒状膨張部が、規制部材の開口部が移動するときに、規制部材により引き寄せられて開口部を通過するエアバッグ装置。 - 請求項6に記載されたエアバッグ装置において、
筒状膨張部の端部が、エアバッグの膨張前に、アウターバッグに設けられた通過口を通ってアウターバッグ外に配置され、規制部材の開口部が移動するときに、規制部材によりアウターバッグ内に引き込まれるエアバッグ装置。 - 請求項7に記載されたエアバッグ装置において、
インナーバッグが、筒状膨張部の端部に、内部のガスをアウターバッグ外に排出する排出口を有するエアバッグ装置。 - 請求項7又は8に記載されたエアバッグ装置において、
アウターバッグが、内部のガスを外部に排出するベントホールを有し、
筒状膨張部が、アウターバッグ外に端部が配置された状態でベントホールを閉鎖して、アウターバッグ内に端部が引き込まれるときにベントホールを開放するエアバッグ装置。 - 請求項9に記載されたエアバッグ装置において、
アウターバッグが、ベントホールが開放されたときにベントホールに重なる貫通孔が設けられたベントホール部カバーを有するエアバッグ装置。
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