JP5661657B2 - シリコーン樹脂組成物、蛍光体含有波長変換フィルム、及びそれらの硬化物 - Google Patents
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Description
(A−1)下記一般式(1)で表されるラダー構造を有し、かつ分子内に2以上のアルケニル基を有するラダー構造含有ポリオルガノシロキサンと、
(B−1)下記一般式(2)で表されるラダー構造を有し、かつ分子内に2以上のケイ素原子に結合した水素原子を有するラダー構造含有ハイドロジェンポリオルガノシロキサン、及び/又は(B−2)下記平均組成式(3)で表される、ケイ素原子に結合した水素原子を分子内に2以上有するハイドロジェンポリオルガノシロキサンとを含有するものであることを特徴とするシリコーン樹脂組成物を提供する。
(A−1)成分を10〜100質量部、
(A−2)成分を0〜90質量部であって、(A−1)成分と(A−2)成分の合計が100質量部となる量、
(B−1)成分を0〜100質量部、
(B−2)成分を0〜100質量部であって、(B−1)成分と(B−2)成分の合計が100質量部となる量含有し、かつ
(C)ヒドロシリル化触媒を含有するものであることが好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物に含有するアルケニル基含有ポリオルガノシロキサン(以下、(A)成分とする)には、必須成分である(A−1)下記一般式(1)で表されるラダー構造を有し、かつ分子内に2以上のアルケニル基を有するラダー構造含有ポリオルガノシロキサン、および任意成分である(A−2)下記平均組成式(4)で表される、アルケニル基を分子内に2以上有するポリオルガノシロキサンがある。なお、(A−1)及び(A−2)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
(R1 3SiO1/2)a(R1 2SiO2/2)b(R1SiO3/2)c(SiO4/2)d
(式中、R1は前記同様であり、少なくとも2つはアルケニル基である。a〜dは、0≦a≦0.6、0≦b≦1.0、0≦c≦1.0、0≦d≦0.99、a+b+c+d=1を満たす。)
本発明のシリコーン樹脂組成物に含有するハイドロジェンポリオルガノシロキサン(以下、(B)成分とする)には、(B−1)下記一般式(2)で表されるラダー構造を有し、かつ分子内に2以上のケイ素原子に結合した水素原子を有するラダー構造含有ハイドロジェンポリオルガノシロキサン、及び(B−2)下記平均組成式(3)で表される、ケイ素原子に結合した水素原子を分子内に2以上有するハイドロジェンポリオルガノシロキサンがある。なお、(B−1)及び(B−2)成分は、何れか一方のみの1種類を用いても良いし、両方を併用したり、2種類以上を用いたりしてもよい。
(R2 3SiO1/2)e(R2 2SiO2/2)f(R2SiO3/2)g(SiO4/2)h
(式中、R2は前記同様であり、少なくとも2つはケイ素原子に直接結合した水素原子である。e〜hは、0≦e≦0.6、0≦f≦1.0、0≦g≦1.0、0≦h≦0.99、e+f+g+h=1を満たす。)
展開溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolomn SuperH−L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL(濃度0.5質量%のTHF溶液)
本発明のシリコーン樹脂組成物には(C)ヒドロシリル化触媒を含めることができる。(C)ヒドロシリル化触媒としては、(A)成分と(B)成分のヒドロシリル化反応を促進するものであれば特に限定されるものではなく、白金黒、塩化白金、塩化白金酸、白金−ジビニルシロキサン錯体等の白金−オレフィン錯体、白金−カルボニル錯体等の白金触媒、パラジウム触媒、ロジウム触媒等が例示される。この中でも特に好ましくは塩化白金酸、および白金−ジビニルシロキサン錯体等の白金−オレフィン錯体などが挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物は一種以上の蛍光体を含むことができる。蛍光体としては、特に制限されないが、その配合量は蛍光体以外の成分、例えば(A)〜(C)の全成分100質量部に対して、0.1〜2,000質量部とすることができ、より好ましくは0.1〜100質量部である。また、本発明のシリコーン樹脂組成物を、後述する蛍光体含有波長変換フィルムとする場合は蛍光体の含有量を10〜2,000質量部とすることができる。シリコーン樹脂組成物に含まれる蛍光体は、例えば、シーラスレーザー測定装置などのレーザー光回折法による粒度分布測定で測定される粒径が10nm以上であることが好ましく、10nm〜10μmがより好ましく、10nm〜1μm程度のものが特に好ましい。
また、本発明のシリコーン樹脂組成物には、無機充填材を添加することができる。無機充填材としては、例えば、ヒュームドシリカ、ヒュームド二酸化チタン等の補強性無機充填材、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、酸化第二鉄、酸化亜鉛等の非補強性無機充填材等を挙げることができる。これらの無機充填材は、1種または2種以上を併用することができ、特に制限されないが、(A)及び(B)成分の合計100質量部あたり0〜900質量部の範囲で適宜配合することができる。
また、本発明のシリコーン樹脂組成物には、接着性を付与するため、接着助剤を必要に応じて添加できる。接着助剤としては、例えば、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子、アルケニル基、アルコキシ基、エポキシ基から選ばれる官能性基を少なくとも2種、好ましくは3種有する直鎖状又は環状のオルガノシロキサンオリゴマーが挙げられる。このオルガノシロキサンオリゴマーはケイ素原子数が4〜50個であることが好ましく、より好ましくは4〜20個である。また、接着助剤としては、下記一般式(7)で示されるオルガノオキシシリル変性イソシアヌレート化合物、その加水分解縮合物(オルガノシロキサン変性イソシアヌレート化合物)などが挙げられる。
さらに必要に応じて、(A)成分、(B)成分以外の液状シリコーン成分を添加することができる。このような液状シリコーン成分としては、25℃で粘度1〜100,000mPa.s程度のものが好ましく、例えばビニルシロキサン、ハイドロジェンシロキサン、アルコキシシロキサン、ハイドロキシシロキサン及びこれらの混合物が挙げられ、本発明のシリコーン樹脂組成物全体に対して50質量%以下であることが好ましい。
本発明におけるシリコーン樹脂組成物の貯蔵安定性や反応性を制御するために、硬化抑制剤を用いても良い。硬化抑制剤としては、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート、アセチレンアルコール類及びそのシラン変性物及びシロキサン変性物、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール及びこれらの混合物からなる群から選ばれる化合物等が挙げられる。硬化抑制剤は(A−1)及び(A−2)成分の合計100質量部あたり0.001〜1.0質量部が好ましく、より好ましくは0.005〜0.5質量部添加することができる。
本発明のシリコーン樹脂組成物には、上記(A)〜(C)成分および蛍光体、無機充填材、接着助剤、液状シリコーン、硬化抑制剤のほかに、その他の任意成分を配合することができる。その他の任意成分としては、例えば、老化防止剤、ラジカル禁止剤、難燃剤、界面活性剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤、有機溶剤等が挙げられる。これらの任意成分は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、(A−1)成分を含有し、(B−1)及び/又は(B−2)成分を含有するものであれば特に制限はされないが、最も単純な実施形態としては、(A)、(B)、および(C)成分を含有したもの、もしくは(A)、(B)、及び(C)成分に蛍光体を添加したものであって、シリカ充填材等の無機充填材を含有しない組成物が例示される。無機充填材としては、例えば、上記のものが挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、(A−1)成分と、(B−1)及び/又は(B−2)成分とを任意の方法により混合して調製することができる。その他、(A)、(B)、及び(C)成分の3種類のみ、(A)、(B)、(C)成分と蛍光体、もしくは(A)、(B)、(C)成分、及び任意成分等を任意の方法により混合して調製することもできる。具体的には、例えば、(A)、(B)、(C)成分、および上記任意成分等を、通常、市販の攪拌機(例えば、THINKY CONDITIONING MIXER[(株)シンキー製]等)に入れて、1〜5分間程度、均一に混合することによって、本発明のシリコーン樹脂組成物を調製することができる。
また、蛍光体を含有したシリコーン樹脂組成物をフィルムとする場合は、特に、シリコーン樹脂組成物の蛍光体以外の成分100質量部に対し、蛍光体を10〜2,000質量部含む蛍光体含有波長変換フィルムとすることが好ましい。より好ましくは、蛍光体を10〜1000質量部含む蛍光体含有波長変換フィルムである。このような蛍光体含有波長変換フィルムは、透明で高い耐熱性と耐光性、ガスバリア性を有する発光素子保護材料となる上、半導体発光ダイオード等からの光を吸収し、異なる波長の光に波長変換することができるものとなる。また、取扱性の観点から、このような蛍光体含有波長変換フィルムは未硬化状態において常温で可塑性の固体状もしくは半固体状であることが好ましい。
さらに、本発明では、前記シリコーン樹脂組成物又は前記蛍光体含有波長変換フィルムを加熱硬化した硬化物を提供する。本発明のシリコーン樹脂組成物又は蛍光体含有波長変換フィルムの硬化は、60〜180℃で1〜12時間程度で行うことができる。特に、60〜150℃でステップキュアによって硬化させることが好ましい。ステップキュアでは、以下の2段階を経ることがより好ましい。まず、シリコーン樹脂組成物又は蛍光体含有波長変換フィルムを60〜120℃の温度で0.5〜2時間加熱し、予備硬化させる。次いで、予備硬化させたシリコーン樹脂組成物又は蛍光体含有波長変換フィルムを150〜180℃の温度で1〜10時間さらに加熱硬化させる。特に、シリコーン樹脂組成物又は蛍光体含有波長変換フィルムを100℃で1時間予備硬化させ、次いで150℃で3〜8時間加熱硬化させることが好ましい。これらの段階を経るステップキュアにより、厚い皮膜にもかかわらず十分に硬化し、気泡の発生もなく、無色透明の硬化物を得ることができる。
本発明のシリコーン樹脂組成物及び蛍光体含有波長変換フィルムは、LED素子封止用、特に青色LEDや紫外LEDの素子封止用として有用なものである。本発明のシリコーン樹脂組成物でLED素子等を封止する場合は、公知の方法、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、スキージ法などによって、図1又は図2に示すように、セラミック回路基板3上に金バンプ4を介して搭載された発光素子1上に直接、又は発光素子1を封止している封止材層5上にシリコーン樹脂層2を形成する。その際は、必要に応じて溶剤によってシリコーン樹脂組成物を希釈したワニスの状態とすることができる。溶剤としては、該シリコーン樹脂組成物を溶解せしめるものであれば特に限定されるものではなく、被膜形成後、室温または加熱条件において蒸発させることができる。また別法として、フィルムコーターや熱プレス機によって本発明のシリコーン樹脂組成物をフィルム状とし、発光素子上に圧着することにより、発光素子を被覆することもできる。この方法によって形成した被膜はそのまま用いてもよい。蛍光体を含有する波長変換フィルムの場合も同様の方法で発光素子を被覆することができる。いずれの方法においても、被膜を形成した後に60℃〜180℃の温度で数分〜数時間で加熱硬化させることが好ましく、上記のステップキュアを用いて硬化させることも好ましい。
展開溶媒:THF
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolomn SuperH−L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL(試料濃度0.5%のTHF溶液)
PhSiCl3で示されるオルガノクロロシラン(1200g、5.67mol)とViSiCl3で示されるオルガノクロロシラン(229g、1.42mol)をトルエン(1500g)に溶解し、これを水(6000g)に滴下することで加水分解を行った。その後、水洗、アルカリ洗浄にて中和、共沸脱水を行い、(PhSi(OH)dO(3−d)/2)(ViSi(OH)dO(3−d)/2)(dは0又は1)で表される構造を有したポリオルガノシロキサンのトルエン溶液(不揮発分38.1%)を作製した。次に、該ポリオルガノシロキサン溶液(1000g)に水酸化カリウム水溶液(KOH濃度:25%、4.96g)を加え、120℃で8時間アルカリ平衡反応を行うことで、前記式(1)におけるR1がフェニル基とビニル基からなるラダー構造を有したポリオルガノシロキサン(I)を合成した。その後、60℃まで冷却し、酢酸(1.3g)を加えて中和した後、水洗、共沸脱水、脱溶媒を行った。このラダー構造を有したビニル基含有ポリオルガノシロキサン(I)の重量平均分子量は1.6×104であり、赤外吸収スペクトルにてラダー構造を含有していることを確認し、1H−NMRにてR1の81.2mol%がフェニル基であり、18.8mol%がビニル基であることを確認した。
PhSiCl3で示されるオルガノクロロシラン(1350g、6.38mol)とViSiCl3で示されるオルガノクロロシラン(114.50g、0.71mol)をトルエン(1500g)に溶解し、これを水(6000g)に滴下することで加水分解を行った。その後、水洗、アルカリ洗浄にて中和、共沸脱水を行い、(PhSi(OH)dO(3−d)/2)(ViSi(OH)dO(3−d)/2)(dは0又は1)で表される構造を有したポリオルガノシロキサンのトルエン溶液(不揮発分39.4%)を作製した。次に、該ポリオルガノシロキサン溶液(400g)に溶剤(ビフェニル30%、ジフェニルエーテル70%の混合物、52.49g)と水酸化カリウムのメタノール溶液(KOH濃度:3.14%、5g)を加え、250℃まで各溶剤を留去しながら加熱し、250℃で1時間アルカリ平衡反応を行うことで前記式(1)におけるR1がフェニル基とビニル基からなるラダー構造を有したポリオルガノシロキサン(II)を合成した。その後、60℃まで冷却し、酢酸(0.17g)を加えて中和し、THF(600g)に溶解後、メタノール(3kg)で再沈殿することで精製を行った。このラダー構造を有したビニル基含有ポリオルガノシロキサン(II)の重量平均分子量は6.2×105であり、赤外吸収スペクトルにてラダー構造を含有していることを確認し、1H−NMRにてR1の90.2mol%がフェニル基であり、9.8mol%がビニル基であることを確認した。
PhSiCl3で示されるオルガノクロロシラン(1587g、7.5mol)をトルエン(1950g)に溶解し、25℃以下を保つように冷却しながら水(810g)を滴下し、加水分解を行った。その後、水洗、アルカリ洗浄にて中和、共沸脱水を行い、(PhSi(OH)dO(3−d)/2)(dは0又は1)で表される構造を有したポリオルガノシロキサンのトルエン溶液(不揮発分34.6%)を作製した。次に、作製したポリオルガノシロキサン溶液(400g)に溶剤(ビフェニル30質量%、ジフェニルエーテル70質量%の混合物、46.18g)と水酸化カリウムのメタノール溶液(KOH濃度:2.78質量%、5g)を加え、250℃まで各溶剤を留去しながら加熱し、250℃で1時間アルカリ平衡反応を行うことで式(1)のR1が全てフェニル基であるラダー構造を有したポリオルガノシロキサン(III)を合成した。その後、60℃まで冷却し、酢酸(0.15g)を加えて中和し、THF(600g)に溶解後、メタノール(3kg)で再沈殿することで精製を行った。このラダー構造を有したポリオルガノシロキサン(III)の重量平均分子量は1.1×105であり、赤外吸収スペクトルにてラダー構造を含有していることを確認した。
合成例1のラダー構造を有したビニル基含有ポリオルガノシロキサン(I)(100g、ビニル価:0.154mmol/g)に平均組成式が下記式(9)で表されるハイドロジェンオルガノシロキサン(42g、H価:0.377mmol/g)、塩化白金酸のジビニルシロキサン錯体(0.35g、1wt%白金含有)を加えた後、一度、THF100gに均一溶解させ、THFを減圧留去することによって各成分がよく混ざり合ったシリコーン樹脂組成物を調製し、以下の評価に使用した。
調製したシリコーン樹脂組成物100gをTHF100gに溶解し、180μmテフロン(登録商標)テープで周囲を囲んだ1mm厚のスライドガラス上にスキージし、室温で12時間放置することによってTHFを蒸発させ、シリコーン樹脂組成物のフィルム(膜厚:約50μm)を作製した。その後、4時間、150℃にて加熱硬化させることによりシリコーン樹脂フィルムの硬化物を得た。得られたフィルム硬化物の光波長365nmにおける初期透過率を可視紫外分光光度計により測定し、その後、180℃のオーブン中で336時間静置し、再度、光波長365nmにおける透過率を測定した。結果を表1に示す。
上記耐熱性試験と同様の手法によって1mm厚のスライドガラス上に膜厚:約50μmのシリコーン樹脂フィルムの硬化物を作製し、温度調節機能付きレーザー照射装置を用いて、150℃にて440nmのレーザー光(出力:250mW/mm2)を900時間照射した。初期(0時間)の440nmにおける透過率を100%として、レーザーを900時間照射した後の透過率との比較を行った。結果を表1に示す。
本試験には、底部に銀面を備え、熱硬化型のジメチルポリシロキサン系シリコーン樹脂(商品名:LPS−3419、信越化学工業株式会社製)によって封止したLEDパッケージを使用した。調製したシリコーン樹脂組成物中のポリオルガノシロキサンの含有率が5%となるようにアニソールに溶解し、図2に示したように、LEDパッケージの封止材層5上にスプレーコートすることによってシリコーン樹脂層2(膜厚:約20μm)を形成した。該シリコーン樹脂層を室温で1時間乾燥した後、150℃で1時間加熱硬化することによって耐硫化性試験用サンプルを作製した。次いで、硫化アンモニウム溶液(硫黄分0.5質量%)50gと純水50gの硫化アンモニウム水溶液と耐硫化性試験用サンプルを共に密閉ガラス容器に入れ、72時間静置した。ここで、耐硫化性試験用サンプルは硫化アンモニウム水溶液に触れないよう設置した。静置後、24時間、72時間時点でLEDパッケージ底部銀面の硫化状態を確認し、5つの試験用サンプル中、硫化によって黒く変色したサンプルの数を表1に記載した。
調製したシリコーン樹脂組成物100gをTHF100gに溶解し、180μmテフロン(登録商標)テープで堰を作ったPTFE上にスキージし、室温で12時間放置することによってTHFを蒸発させ、シリコーン樹脂組成物のフィルム(膜厚:約50μm)を作製した。その後、4時間、150℃にて加熱硬化させることによりシリコーン樹脂フィルムの硬化物を作製し、この硬化したフィルムを10枚重ね合わせることによってシリコーン樹脂硬化物の積層フィルム(膜厚:約500μm)を得た。得られた積層フィルムをJIS K 7129に準拠して、Lyssy法(装置名L80−5000、Lyssy社製)により水蒸気透過率を測定した。結果を表1に示す。
調製したシリコーン樹脂組成物90gに粒径5μm(平均粒径)の蛍光体(YAG)を10g加え、更にTHF90gを加えた後、プラネタリーミキサーでよく撹拌することで、色度測定用の蛍光体含有シリコーン樹脂組成物を得た。前記蛍光体含有シリコーン樹脂組成物を50μmPTFEフィルム(加圧用ベースフィルム)上にフィルムコーターにてブレードを150μmで塗布し、60℃で2分乾燥して、約50μmの固形フィルムを作製した。この固形フィルムをさらに25μmPTFEフィルム(剥離フィルム)との間に挟み、ロールにてニップして厚さ50μmのフィルム状に成形した。得られた組成物フィルムを剥離フィルムごとチップサイズに切断して小片化した。図1に示すように、得られたフィルム片を組成物側がLEDチップに接触するようにGaN系LEDチップ(発光素子1)上に載せ、その後に剥離フィルムを除去した。更にこれを150℃で1時間加熱して硬化させた。この様にして得られた蛍光体含有シリコーン樹脂層2で被覆されたLEDチップ1を用いて、金バンプ4を介して、セラミック回路基板3上に図1に示す様なフリップチップ構造の発光半導体(LED)装置を作製した。このように作製したLED各3個(表1中、サンプル番号nを示す。)を発光させて、LED光学特性モニタ(大塚電子製(LE−3400))により色度座標を測定し、初期値とした。その後、作製したLEDを80℃/80%Rhの条件下で、120時間放置した後に同様の方法で色度座標を測定し、CIE XYZ表色系における色度座標のxおよびyの初期値との差の絶対値を色度座標のずれ(Δ)として評価した。結果を表1に示す。
合成例2のラダー構造を有したビニル基含有ポリオルガノシロキサン(II)(100g、ビニル価:0.079mmol/g)に平均組成式が上記式(9)で表されるハイドロジェンオルガノシロキサン(25.15g、H価:0.377mmol/g)、塩化白金酸のジビニルシロキサン錯体(0.12g、1wt%白金含有)を加えた後、一度、THF100gに溶解させ、THFを減圧留去することによって各成分がよく混ざり合ったシリコーン樹脂組成物を調製し、実施例1と同様に評価を行った。
合成例2のラダー構造を有したビニル基含有ポリオルガノシロキサン(II)(100g、ビニル価:0.079mmol/g)に、平均組成式が下記式(10)で表されるラダー構造を有し、分子内に2以上のケイ素原子に結合した水素原子を有するハイドロジェンオルガノシロキサン(15.1g、H価:0.523mmol/g)、塩化白金酸のジビニルシロキサン錯体(0.12g、1wt%白金含有)を加えた後、一度、THF100gに溶解させ、THFを減圧留去することによって各成分がよく混ざり合ったシリコーン樹脂組成物を調製し、実施例1と同様に評価を行った。
実施例1におけるポリオルガノシロキサン(I)、ハイドロジェンオルガノシロキサン(9)及び白金触媒のかわりに、比較合成例で得られたラダー構造を有したポリオルガノシロキサン(III)を単独で使用した以外は実施例1と同様の方法で各特性の評価を行った。結果を表1に記載した。
実施例1におけるポリオルガノシロキサン(I)、ハイドロジェンオルガノシロキサン(9)及び白金触媒のかわりに、市販のラダー構造を含まない熱硬化型フェニル基含有シリコーン樹脂組成物(商品名:LPF−200、信越化学工業株式会社製)を使用した以外は実施例1と同様の方法で各特性の評価を行った。結果を表1に記載した。
2…シリコーン樹脂層、
3…セラミック回路基板、
4…金バンプ、
5…封止材層。
Claims (9)
- シリコーン樹脂組成物であって、
(A−1)下記一般式(1)で表されるラダー構造を有し、かつ分子内に2以上のアルケニル基を有するラダー構造含有ポリオルガノシロキサンと、
(B−1)下記一般式(2)で表されるラダー構造を有し、かつ分子内に2以上のケイ素原子に結合した水素原子を有するラダー構造含有ハイドロジェンポリオルガノシロキサン、及び/又は(B−2)下記平均組成式(3)で表される、ケイ素原子に結合した水素原子を分子内に2以上有するハイドロジェンポリオルガノシロキサンと、
一種類以上の蛍光体とを含有するものであることを特徴とするシリコーン樹脂組成物。
- 前記(A−1)成分及び/又は前記(B−1)成分の重量平均分子量が、3×103以上1×107以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコーン樹脂組成物。
- 前記シリコーン樹脂組成物は、
前記(A−1)成分を10〜100質量部、
前記(A−2)成分を0〜90質量部であって、前記(A−1)成分と前記(A−2)成分の合計が100質量部となる量、
前記(B−1)成分を0〜100質量部、
前記(B−2)成分を0〜100質量部であって、前記(B−1)成分と前記(B−2)成分の合計が100質量部となる量含有し、かつ
(C)ヒドロシリル化触媒を含有するものであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のシリコーン樹脂組成物。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物からなる蛍光体含有波長変換フィルムであって、
前記シリコーン樹脂組成物の前記蛍光体以外の成分100質量部に対し、前記蛍光体を10〜2,000質量部含むものであることを特徴とする蛍光体含有波長変換フィルム。 - 未硬化状態において常温で可塑性の固体状もしくは半固体状であることを特徴とする請求項5に記載の蛍光体含有波長変換フィルム。
- 前記蛍光体の平均粒径が、前記蛍光体含有波長変換フィルムの厚みの0.05〜60%であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の蛍光体含有波長変換フィルム。
- 前記蛍光体の最大粒径が、前記蛍光体含有波長変換フィルムの厚みの0.1〜90%であることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の蛍光体含有波長変換フィルム。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物又は請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の蛍光体含有波長変換フィルムを加熱硬化したものであることを特徴とする硬化物。
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