JP6502809B2 - Led封止材用蛍光体含有シリコーンフィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蛍光体を含有するシリコーン樹脂フィルム及び該フィルムの製造方法に関する。
LEDは現代社会の様々な分野で利用されており、その需要はますます広がりを見せている。近年、LEDは、携帯電話や小型照明だけでなく、一般照明や大型ディスプレイなど非常に幅広く使用されるようになった。
白色LEDを製造するにあたり、一般的には青色LEDに波長450nmの光で励起するYAG(イットリウムアルミニウムガーネット)と呼ばれる蛍光体を用いる方式と、3in1とよばれる赤・緑・青色LEDを同時に発光させる方式がある。上記の青色LEDと蛍光体を用いる方式は、3in1方式に比べて、LED数やワイヤー数が少なく安価で製造できることから、様々な白色LEDに対してこの方式が用いられている。
上記のように青色LEDと蛍光体を用いて白色LEDを製造する方法として、YAGなどの蛍光体を混合した液状封止材(例えば、液状シリコーン封止材)を用いて青色LEDを封止する方法が検討されてきた。しかし、YAGなどの蛍光体を混合した液状封止材でLEDデバイスを封止する際には、加熱硬化によって封止するため、液状封止材が温度上昇によって低粘度化して封止材内の蛍光体が沈降してしまい、結果としてLEDの色ばらつきが大きくなってしまうことが問題となっていた。
そこで、従来は蛍光体層と透明層を別々に設けたフィルム(特許文献1)や、蛍光体セラミックと透明フィルムを成型することで(特許文献2)蛍光体層における蛍光体の分散性を維持してLEDの色ばらつきを抑制することが行われてきた。また、最近では、蛍光体を分散させた蛍光体ガラスなども登場してきている(特許文献3〜5)。しかし、これらの方法では、蛍光体層の透明性が高くないためにLEDの光が蛍光体に当たっても、蛍光体表面で励起された光が透明層あるいは封止層側に全て放出されないため、透明でない蛍光体層からの光変換効率の改善はみられず、LEDの輝度向上が期待できなかった。
そこで、最近では、ポリビニルブチラール(特許文献6)や、エポキシアクリレート(特許文献7)などの樹脂を有機蛍光体と混合し、透明な太陽電池用波長変換シートを作製する方法などが考案されている。しかし、LEDのような熱や光のエネルギーが高いデバイスの封止用に上記のような樹脂を使用すると、封止樹脂がすぐに劣化してしまうため、上記の樹脂はLED用の蛍光体層として利用することはできなかった。
特開2011−159874号公報 特開2011−102004号公報 特開2007−153626号公報 特開2007−298743号公報 特開2006−248800号公報 国際公開第WO2014/065189号パンフレット 国際公開第WO2012/077485号パンフレット
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、蛍光体を含んだ状態でも透明度の高い硬化物を形成することができる蛍光体含有シリコーンフィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、
(A)23℃で固体又は半固体状態である付加硬化型シリコーン樹脂組成物、
(B)溶剤、及び
(C)前記(A)成分又は前記(B)成分に分散又は溶解可能な蛍光体
を含有し、未硬化状態でフィルム状に成型されたものであり、硬化してJIS K 7375:2008記載の方法で測定された波長400〜800nmにおける全光線透過率が厚さ0.1mm以下で80%以上の硬化物となるものである蛍光体含有シリコーンフィルムを提供する。
このような蛍光体含有シリコーンフィルムであれば、蛍光体を含んだ状態でも透明度の高い硬化物を形成することができる。
また、前記(C)成分が有機蛍光体であることが好ましい。
有機蛍光体は溶解した際に透明であることから、本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムの(C)成分として、特に好適に用いることができる。
また、前記(A)成分が、
(a)1分子中にケイ素原子に結合した炭素数2〜10のアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(b)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を1個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(c)付加反応触媒
を含有し、前記(a)成分及び前記(b)成分のいずれか又は両方が、1分子中にケイ素原子に結合したアリール基を1個以上有するものであることが好ましい。
このような(A)成分を含むものであれば、硬化前のフィルムの形状追従性や作業性、硬化後のフィルムの透明性や信頼性がより優れたものとなる。
また、前記(a)〜(c)成分が、
(a)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン;30〜95質量部、
(OX)SiO(4−a−b−c―d)/2 (1)
(式中、Rは炭素数6〜10のアリール基であり、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜10の飽和一価炭化水素基であり、Rは炭素数2〜8のアルケニル基であり、a、b、c、及びdは、それぞれa>0、b>0、c>0、d>0、かつa+b+c+d=1.0〜2.0を満たす数であり、Xは置換もしくは非置換の炭素数1〜8の一価炭化水素基、又は水素原子である。)
(b)下記平均組成式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン;前記(a)成分との合計が100質量部となる量、及び
(OX)SiO(4−e−f−g−h)/2 (2)
(式中、R、R、及びXは前記と同様であり、e、f、g、及びhは、それぞれe>0、f>0、g>0、及びh>0、かつe+f+g+h=1.0〜2.0を満たす数である。)
(c)付加反応触媒;前記(a)成分と前記(b)成分の合計100質量部に対し、有効成分量が0.0001〜0.5質量部となる量、
であることが好ましい。
(A)成分として、このような(a)〜(c)成分を含むものを用いれば、硬化前のフィルムの形状追従性や作業性、硬化後のフィルムの透明性や信頼性が更に優れたものとなる。
また、前記(A)成分100質量部に対し、前記(C)成分を1〜400質量部含有するものであることが好ましい。
(C)成分の配合量が1質量部以上であれば、波長変換後に狙いの色温度になり易いため、蛍光体フィルムとしての機能に優れたものとなる。また、(C)成分の配合量が400質量部以下であれば、波長変換フィルムとした際にフィルムが脆弱なものとなることを防ぐことができるため、波長変換フィルムとしての機能に優れたものとなる。
また、前記蛍光体含有シリコーンフィルムが、更に(D)無機充填材を含むものであることが好ましい。
このような無機充填材を含むものであれば、硬化後のフィルムの機械特性が更に良好なものとなる。
また、本発明では、蛍光体含有シリコーンフィルムの製造方法であって、
(A)23℃で固体又は半固体状態である付加硬化型シリコーン樹脂組成物、(B)溶剤、及び(C)前記(A)成分又は前記(B)成分に分散又は溶解可能な蛍光体を混合して前記(C)成分を分散させた混合物を調製し、該混合物から前記(B)成分を揮発させて未硬化状態でフィルム状に成型する蛍光体含有シリコーンフィルムの製造方法を提供する。
このような製造方法であれば、蛍光体を含んだ状態でも透明度の高い硬化物を形成することができる蛍光体含有シリコーンフィルムを容易に製造することができる。
以上のように、本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムであれば、蛍光体がフィルム全体に均一に分散することで、蛍光体を含んだ状態でも透明度の高い硬化物を形成することができる。従って、このような本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムをLED等の光半導体装置の封止材として使用することで、従来の方法よりも光半導体装置を透明化し、励起光を蛍光体表面からチップ上部の封止層へ透過させることができるため、光取り出し効率を向上させ、光半導体装置の輝度を効率良く向上させることができる。また、本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムは23℃で固体又は半固体状態とすることができ、未硬化のAステージ状態であるため、ガラスやセラミックとは異なり、凹凸のある基板に追従させて搭載することができる。つまり、硬化前の作業性が良好であるとともに、硬化後の信頼性にも優れている。
また、本発明の製造方法であれば、蛍光体を溶剤に溶解させてフィルム全体に均一に分散させることができるため、上記のような蛍光体含有シリコーンフィルムを容易に製造することができる。
実施例の輝度変化率の測定に使用したLED搭載デバイスのLED封止前の状態を示す概略図である。 図1のLED搭載デバイスのLEDを蛍光体含有シリコーンフィルムで封止した状態を示す概略図である。
上述のように、蛍光体を含んだ状態でも透明度の高い硬化物を形成することができる蛍光体含有シリコーンフィルムの開発が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、蛍光体がフィルム全体に均一に分散された状態であれば、蛍光体を含んだ状態でも透明度の高い硬化物を形成することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(A)23℃で固体又は半固体状態である付加硬化型シリコーン樹脂組成物、
(B)溶剤、及び
(C)前記(A)成分又は前記(B)成分に分散又は溶解可能な蛍光体
を含有し、未硬化状態でフィルム状に成型されたものであり、硬化してJIS K 7375:2008記載の方法で測定された波長400〜800nmにおける全光線透過率が厚さ0.1mm以下で80%以上の硬化物となるものである蛍光体含有シリコーンフィルムである。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において、「Me」はメチル基、「Ph」はフェニル基、「Vi」はビニル基を示す。
また、本明細書において、「重量平均分子量」は、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量を指す。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolomn SuperH−L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(カラムはいずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL(濃度0.5質量%のTHF溶液)
<蛍光体含有シリコーンフィルム>
本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムは、
(A)23℃で固体又は半固体状態である付加硬化型シリコーン樹脂組成物、
(B)溶剤、及び
(C)前記(A)成分又は前記(B)成分に分散又は溶解可能な蛍光体
を含有するものである。
以下、各成分について詳細に説明する。
[(A)23℃で固体又は半固体状態である付加硬化型シリコーン樹脂組成物]
本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムは、(A)成分として、23℃で固体又は半固体状態である付加硬化型シリコーン樹脂組成物を含有する。
このような(A)成分の付加硬化型シリコーン樹脂組成物としては、
(a)1分子中にケイ素原子に結合した炭素数2〜10のアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(b)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を1個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(c)付加反応触媒
を含有し、前記(a)成分及び前記(b)成分のいずれか又は両方が、1分子中にケイ素原子に結合したアリール基を1個以上有するものであることが好ましい。
以下、(a)〜(c)成分について詳細に説明する。
((a)アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン)
(a)成分は、1分子中にケイ素原子に結合した炭素数2〜10のアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンであり、これは後述の(b)成分とともに本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムの主成分となるものである。なお、(a)成分としては、1分子中にケイ素原子に結合したアリール基を1個以上有するものであることが好ましく、より具体的には下記平均組成式(1)で示される網目鎖状のオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
(OX)SiO(4−a−b−c―d)/2 (1)
(式中、Rは炭素数6〜10のアリール基であり、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜10の飽和一価炭化水素基であり、Rは炭素数2〜8のアルケニル基であり、a、b、c、及びdは、それぞれa>0、b>0、c>0、d>0、かつa+b+c+d=1.0〜2.0を満たす数であり、Xは置換もしくは非置換の炭素数1〜8の一価炭化水素基、又は水素原子である。)
上記式(1)中、Rは炭素数6〜10のアリール基である。炭素数6〜10のアリール基の具体例としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。中でも、フェニル基が特に好ましい。
上記式(1)中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜10の飽和一価炭化水素基である。炭素数1〜10の飽和一価炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の鎖状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の環状脂肪族炭化水素基などが挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが好ましく、メチル基、シクロヘキシル基が特に好ましい。また、これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部はフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、又はシアノ基等で置換されていてもよく、置換された炭化水素基としては、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基、及びシアノエチル基等のシアノ置換アルキル基が挙げられる。
上記式(1)中、Rは炭素数2〜8のアルケニル基である。炭素数2〜8のアルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基などが挙げられる。中でも、ビニル基、アリル基などが好ましく、ビニル基が特に好ましい。
上記式(1)中、Xは置換もしくは非置換の炭素数1〜8の一価炭化水素基、又は水素原子である。炭素数1〜8の一価炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、イソプロピル基が特に好ましい。
上記式(1)中、a、b、c、及びdは、それぞれa>0、b>0、c>0、d>0、かつa+b+c+d=1.0〜2.0を満たす数である。aは、好ましくは0.2≦a≦0.7、より好ましくは0.3≦a≦0.5である。bは、好ましくは0.5≦b≦1.8、より好ましくは0.5≦b≦1.5である。cは、好ましくは0.005≦c≦0.1、より好ましくは0.03≦c≦0.1である。dは、好ましくは0<d≦0.05、より好ましくは0.01≦d≦0.05である。a+b+c+dは、好ましくはa+b+c+d=1.1〜2.0、より好ましくはa+b+c+d=1.3〜1.9を満たす数である。
特に、aを0.2≦a≦0.7とすれば、得られる付加硬化型シリコーン樹脂組成物を23℃で固体又は半固体状態にすることが容易となるため、好ましい。
なお、(a)成分のオルガノポリシロキサンは、SiO4/2単位(Q単位)、RSiO3/2単位(T単位)、RSiO2/2単位(D単位)、及びRSiO1/2単位(M単位)(Rは、上記のR、R、R、及び(OX)のいずれかを示す)のいずれを有していてもよい。各シロキサン単位の含有率としては、Q単位は好ましくは0〜50モル%、より好ましくは0〜30モル%、更に好ましくは0〜15モル%であり、T単位は好ましくは0〜70モル%、より好ましくは10〜70モル%、更に好ましくは15〜65モル%であり、D単位は好ましくは0〜85モル%、より好ましくは10〜85モル%、更に好ましくは20〜85モル%、特に好ましくは30〜85モル%であり、M単位は好ましくは0〜30モル%、より好ましくは0.1〜20モル%、更に好ましくは0.1〜15モル%である。
また、(a)成分のオルガノポリシロキサンがD単位を含む場合、含まれる全D単位のうち、好ましくは30モル%以上99モル%以下、より好ましくは50モル%以上99モル%以下が連続しており、その連続したD単位の数が好ましくは5〜50個、より好ましくは5〜40個、更に好ましくは8〜40個であることが好ましい。(a)成分がこのような連続したD単位を含むものであれば、蛍光体含有シリコーンフィルムを貼り合わせる際にフィルムが適度な温度で溶融するため好ましい。
また、(a)成分のオルガノポリシロキサンは、上記の各シロキサン単位に加えて、更に、その他の二官能性シロキサン単位や三官能性シロキサン単位(即ち、オルガノシルセスキオキサン単位)を含有してもよい。
(a)成分のオルガノポリシロキサンは、重量平均分子量が2,000〜100,000であることが好ましく、5,000〜80,000であることがより好ましい。
(a)成分のオルガノポリシロキサンは、Q単位、T単位、D単位、及びM単位の各単位源となる化合物を所望のモル比となるように組み合わせ、例えば、酸の存在下で共加水分解反応を行うことによって容易に合成することができる。
Q単位源としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどを用いることができる。
T単位源としては、例えば、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシランなどを用いることができる。
D単位源としては、例えば、ジメチルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル1,3,5,7−テトラアリルシクロテトラシロキサンを用いることができる。
更に、D単位の原料として、下記のシロキサン化合物を例示することができる。
Figure 0006502809
Figure 0006502809
Figure 0006502809
(ここで、p’、q’、及びr’は0〜50の数(平均値)であり、かつ(p’又はq’)+r’=5〜50を満たす数(平均値)である。)
M単位源としては、例えば、下記の化合物を用いることができる。
Figure 0006502809
なお、(a)成分の配合量としては、(a)成分と後述の(b)成分の合計100質量部に対し、30〜95質量部とすることが好ましい。
((b)オルガノハイドロジェンポリシロキサン)
(b)成分は、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を1個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、これは上述の(a)成分とともに本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムの主成分となるものである。この(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは架橋剤として作用するものであり、(b)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(以下、「SiH基」と称する)と上述の(a)成分中のアルケニル基とが付加反応することにより硬化物を形成する。(b)成分としては、1分子中にSiH基を1個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであればいずれのものでもよく、1分子中にSiH基を好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上有するものが好適に用いられる。
(b)成分としては、1分子中にケイ素原子に結合したアリール基を1個以上有するものであることが好ましく、より具体的には下記平均組成式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることが好ましい。
(OX)SiO(4−e−f−g−h)/2 (2)
(式中、R、R、及びXは上記と同様であり、e、f、g、及びhは、それぞれe>0、f>0、g>0、及びh>0、かつe+f+g+h=1.0〜2.0を満たす数である。)
上記式(2)中のR、R、Xの例としては、上述の式(1)中のR、R、Xの例として挙げたものと同様のものを例示することができる。
上記式(2)中、e、f、g、及びhは、それぞれe、f、g、及びhは、それぞれe>0、f>0、g>0、及びh>0、かつe+f+g+h=1.0〜2.0を満たす数である。eは、好ましくは0<e≦0.85、より好ましくは0.2≦e≦0.7である。fは、好ましくは0.6≦f≦1.5、より好ましくは0.8≦f≦1.5である。gは、好ましくは0.005≦g≦0.1、より好ましくは0.01≦g≦0.08である。hは、好ましくは0<h≦0.05、より好ましくは0.01≦h≦0.05である。e+f+g+hは、好ましくはe+f+g+h=1.1〜2.0、より好ましくはe+f+g+h=1.3〜1.9を満たす数である。
また、分子中SiH基の位置は特に制限されず、分子鎖の末端であっても途中であってもよい。
(b)成分の例としては、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C)SiO3/2単位とからなる共重合体等が挙げられる。
(b)成分の配合量としては、上述の(a)成分との合計が100質量部となる量、即ち、(a)成分と(b)成分の合計100質量部に対し、5〜70質量部とすることが好ましい。また、(b)成分の配合量は、(a)成分のアルケニル基と(b)成分のSiH基のモル比から決定してもよく、その場合は、(a)成分のアルケニル基1モルに対して、(b)成分のSiH基が、好ましくは0.5〜8モル、より好ましくは0.7〜5モルとなるような量で配合することが好ましい。
((c)付加反応触媒)
(c)成分は、上述の(a)成分と(b)成分の付加反応を促進するために配合する付加反応触媒である。このような(c)成分としては、例えば白金系、パラジウム系、及びロジウム系の触媒を使用できるが、コスト等の見地から白金族金属系触媒が好ましい。白金族金属系触媒としては、例えば、HPtCl・mHO、KPtCl、KHPtCl・mHO、KPtCl、KPtCl・mHO、PtO・mHO(mは、正の整数)が挙げられる。また、上記の白金族金属系触媒とオレフィン等の炭化水素、アルコール又はビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等を用いることもできる。上記の触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(c)成分の配合量は、いわゆる触媒量でよく、より具体的には、上述の(a)成分と(b)成分の合計100質量部に対し、有効成分量が0.0001〜0.5質量部となる量が好ましく、有効成分量が0.0001〜0.05質量部となる量がより好ましい。
[(B)溶剤]
本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムは、(B)成分として、溶剤を含有する。(B)成分の溶剤としては、特に限定されないが、キシレン、トルエン、メシチレン、クメン、アニソール、メチルアニソール、パラシメン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン、シクロヘキサノン、ジメトキシベンゼン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、水、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどを挙げることができる。中でも、キシレンは発光材料(蛍光体)として用いられている多くの芳香族化合物及び有機物金属錯体に対して良好な溶解性を有しているため、キシレンが特に好ましい。また、これらの溶剤は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(B)成分の配合量は、上述の(A)成分100質量部に対し、5〜1,000質量部が好ましく、8〜800質量部がより好ましい。上記範囲内であれば、(C)成分である蛍光体がフィルム全体に均一に分散し、透明性に優れた蛍光体含有シリコーンフィルムを得ることができる。
[(C)蛍光体]
本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムは、(C)成分として、上述の(A)成分又は(B)成分に分散又は溶解可能な蛍光体を含有する。(C)成分の蛍光体としては、無機蛍光体、有機蛍光体のどちらも使用することができ、有機蛍光体としては錯形成した有機蛍光体を使用することもできる。なお、蛍光体含有シリコーンフィルムの透明性の観点から、溶解した際に透明な有機蛍光体が好ましい。
(無機蛍光体)
無機蛍光体としては、例えば、窒化物系半導体を発光層とする半導体発光ダイオードからの光を吸収し、異なる波長の光に波長変換するものを使用することができる。このような無機蛍光体としては、例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素により主に賦活される窒化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体;Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類金属ケイ酸塩蛍光体、アルカリ土類金属硫化物蛍光体、希土類硫化物蛍光体、アルカリ土類金属チオガレート蛍光体、アルカリ土類金属窒化ケイ素蛍光体、ゲルマン酸塩蛍光体;Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体、希土類ケイ酸塩蛍光体;Eu等のランタノイド系元素で主に賦活されるCa−Al−Si−O−N系オキシ窒化物ガラス蛍光体等を挙げることができる。なお、これらの無機蛍光体は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。具体例として、下記の無機蛍光体を例示できるが、これに限定されない。
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体としては、MSi:Eu、MSi10:Eu、M1.8Si0.2:Eu、M0.9Si0.110:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、及びZnから選ばれる1種以上である)などを例示できる。
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される酸窒化物系蛍光体としては、MSi:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、及びZnから選ばれる1種以上である)などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体としては、M(POX:Z(Mは、Sr、Ca、Ba、及びMgから選ばれる1種以上であり、Xは、F、Cl、Br、及びIから選ばれる1種以上であり、Zは、Eu、Mn、及びEuとMnから選ばれる1種以上である)などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体としては、MX:Z(Mは、Sr、Ca、Ba、及びMgから選ばれる1種以上である。Xは、F、Cl、Br、及びIから選ばれる1種以上であり、Zは、Eu、Mn、及びEuとMnから選ばれる1種以上である)などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体としては、SrAl:Z、SrAl1425:Z、CaAl:Z、BaMgAl1627:Z、BaMgAl1612:Z、BaMgAl1017:Z(Zは、Eu、Mn、及びEuとMnから選ばれる1種以上である)などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ケイ酸塩蛍光体としては、(BaMg)Si:Eu、(BaSrCa)SiO:Eu、などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属硫化物蛍光体としては、(Ba,Sr,Ca)(Al,Ga):Euなどを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活される希土類硫化物蛍光体としては、LaS:Eu、YS:Eu、GdS:Euなどを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属チオガレート蛍光体としては、MGa:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる1種以上である)などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属窒化ケイ素蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)AlSiN:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si:Eu、SrAlSi:Euなどを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるゲルマン酸塩蛍光体としては、ZnGeO:Mnなどを例示できる。
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体としては、YAl12:Ce、(Y0.8Gd0.2Al12:Ce、Y(Al0.8Ga0.212:Ce、(Y,Gd)(Al,Ga)12等のYAG系蛍光体などを例示できる。また、Yの一部もしくは全部をTb、Lu等で置換したTbAl12:Ce、LuAl12:Ceなども使用できる。
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類ケイ酸塩蛍光体としては、YSiO:Ce,Tbなどを例示できる。
Ca−Al−Si−O−N系オキシ窒化物ガラス蛍光体とは、モル%表示で、CaCOをCaOに換算して20〜50モル%、Alを0〜30モル%、SiOを25〜60モル%、AlNを5〜50モル%、希土類酸化物又は遷移金属酸化物を0.1〜20モル%とし、5成分の合計が100モル%となるオキシ窒化物ガラスを母体材料とした蛍光体である。なお、オキシ窒化物ガラスを母体材料とした蛍光体では、窒素含有量が15質量%以下であることが好ましい。また、希土類酸化物イオンの他に増感剤となる他の希土類元素イオンを希土類酸化物の状態で含むことが好ましく、蛍光体中に0.1〜10モル%の範囲の含有量で共賦活剤として含むことが好ましい。
その他の無機蛍光体としては、ZnS:Euなどを挙げることができる。また、上記以外のシリケート系蛍光体としては、(BaSrMg)Si:Pb、(BaMgSrZnCa)Si:Pb、ZnSiO:Mn、BaSi:Pbなどが挙げられる。
また、上記の無機蛍光体において、Euに代えて、又はEuに加えて、Tb、Cu、Ag、Au、Cr、Nd、Dy、Co、Ni、及びTiから選択される1種以上を含むものも使用することができる。
また、上記の無機蛍光体以外の蛍光体であって、上記のものと同様の性能、効果を有するものであれば、本発明の(C)成分として使用することができる。
上記無機蛍光体の性状は、特に限定されるものではなく、例えば粉末状のものを使用することができる。また、無機蛍光体粉末の形状は、特に限定されるものではなく、具体的には球形、非球形などが挙げられる。無機蛍光体粉末の平均粒径としては、0.01〜200μmが好ましく、0.01μm〜100μmがより好ましい。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
(有機蛍光体)
有機蛍光体としては、例えば、Eu等のランタノイド系元素等で主に賦活される有機蛍光体や有機錯体蛍光体等を使用することができ、9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノリノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス〔8−(パラ−トシル)アミノキノリン〕亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、ポリ−2,5−ジヘプチルオキシ−パラ−フェニレンビニレン、クマリン系蛍光体、ペリレン系蛍光体、ピラン系蛍光体、アンスロン系蛍光体、ポルフィリン系蛍光体、キナクリドン系蛍光体、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系蛍光体、ナフタルイミド系蛍光体、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系蛍光体、あるいはIr錯体等の燐光性発光体などを使用できる。
・赤色蛍光体
赤色に発光する蛍光体としては、ホスト材であるトリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下、「Alq3」と称する)に、ピラン系化合物のドープ材である4−ジシアノメチレン−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−2−メチル−4H−ピラン(以下「DCM」と称する)と、4−ジシアノメチレン−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−2−(t−ブチル)−4H−ピラン(以下、「DCJTB」と称する)とをそれぞれドーピング濃度が2%となるように添加したものや、ユーロピウム(III)(1,10−フェナントロリン)トリス[4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオネート]などが挙げられる。
また、燐光物質2,2,2−トリフェニルアセトフェノン(以下、「TPAP」と称する)と、希土類錯体であるユーロピウム(Eu)錯体とを用いることもできる。ユーロピウム錯体としては、例えばユーロピウム(トリジベンゾイルメタン)フェナントロリン(以下、「Eu(DBM)Phen」と称する)を用いることができる。
・緑色蛍光体
緑色に発光する蛍光体としては、ホスト材であるAlq3、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(以下、「TPBi」と称する)に、ドープ材であるトリス(2−(p−トリル)ピリジン)イリジウム(III)(以下、「Ir(mppy)」と称する)をドーピング濃度が4%になるように添加したものなどが挙げられる。
・青色蛍光体
青色に発光する蛍光体としては、ホスト材であるAlq3に、ドープ材である4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−ビフェニル(以下、「DPVBi」と称する)と、2−(O−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾール亜鉛錯体(以下、「Zn(BOX))と称する」とをそれぞれドーピング濃度が2%となるように添加したものが挙げられる。
上記有機蛍光体の性状は、特に限定されるものではなく、具体的には粉末状、顆粒状、固形状などが挙げられる。
(C)成分の配合量は、上述の(A)成分100質量部に対し、1〜400質量部が好ましく、5〜400質量部がより好ましく、20〜400質量部が更に好ましい。(C)成分の配合量が1質量部以上であれば、波長変換後に狙いの色温度になり易いため、蛍光体フィルムとしての機能に優れたものとなる。また、(C)成分の配合量が400質量部以下であれば、波長変換フィルムとした際にフィルムが脆弱なものとなることを防ぐことができるため、波長変換フィルムとしての機能に優れたものとなる。
[(D)無機充填材]
本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムは、更に(D)無機充填材を含むものとすることが好ましい。(D)成分の無機充填材としては、溶融シリカ、結晶性シリカなどのシリカ類、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモンなどを挙げることができる。
(D)成分の配合量は、上述の(A)成分100質量部に対し、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。
[その他の添加剤]
また、本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムは、塗工性向上のために、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤などの添加剤を適量含むものとすることが好ましい。
また、本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムは、硬化してJIS K 7375:2008記載の方法で測定された波長400〜800nmにおける全光線透過率が厚さ0.1mm以下で80%以上の硬化物となるものである。全光線透過率が80%以上であることによって、励起された光が反射や吸収されることなく透過し、輝度の向上に寄与することができる。
このような本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムであれば、蛍光体がフィルム全体に均一に分散することで、蛍光体を含んだ状態でも透明度の高い硬化物を形成することができる。従って、このような本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムをLED等の光半導体装置の封止材として使用することで、従来の方法よりも光半導体装置を透明化し、励起光を蛍光体表面からチップ上部の封止層へ透過させることができるため、光取り出し効率を向上させ、光半導体装置の輝度を効率良く向上させることができる。また、本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムは23℃で固体又は半固体状態とすることができ、未硬化のAステージ状態であるため、ガラスやセラミックとは異なり、凹凸のある基板に追従させて搭載することができる。つまり、硬化前の作業性が良好であるとともに、硬化後の信頼性にも優れている。
<蛍光体含有シリコーンフィルムの製造方法>
また、本発明では、蛍光体含有シリコーンフィルムの製造方法であって、
(A)23℃で固体又は半固体状態である付加硬化型シリコーン樹脂組成物、(B)溶剤、及び(C)前記(A)成分又は前記(B)成分に分散又は溶解可能な蛍光体を混合して前記(C)成分を分散させた混合物を調製し、該混合物から前記(B)成分を揮発させて未硬化状態でフィルム状に成型する蛍光体含有シリコーンフィルムの製造方法を提供する。
(A)〜(C)成分を混合して混合物を調製する際には、(A)〜(C)成分を一度に混合してもよいが、予め少量の(B)成分に(C)成分を分散又は溶解させたものを調製しておき、これを(A)成分及び(B)成分(必要に応じて、その他の添加剤)を混合したものに添加した方が、より均一に(C)成分が分散された混合物を調製することができるため好ましい。このように、(C)成分を予め(B)成分に分散又は溶解させておく方法であれば、(C)成分としてシリコーン樹脂に対する分散性に乏しい有機蛍光体などを使用する場合にも、分散性を向上させることができる。
なお、(A)〜(C)成分としては、上述のものを用いればよい。また、上記のように、塗工性向上等のために、必要に応じて、(D)無機充填剤や、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤などの添加剤を適量混合してもよい。
次に、上記のようにして調製した混合物から(B)成分の溶剤を揮発させて未硬化状態でフィルム状に成型する。このときの揮発条件は、使用する(B)成分の種類等により適宜決定すればよく、混合物中の(B)成分の一部が揮発し、かつ成型後の蛍光体含有シリコーンフィルム中にも(B)成分が残存するような条件とすればよい。
このような本発明の製造方法であれば、蛍光体を溶剤に溶解させてフィルム全体に均一に分散させることができるため、上述のような本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムを容易に製造することができる。
以下、合成例、実施例、及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、重量平均分子量の測定条件は上述の通りである。また、全光線透過率はJIS K7375:2008に準拠して、波長400nmにおける厚さ0.05mmでの全光線透過率を測定した。
[合成例1]
フェニルトリクロロシラン:1,142.1g(87.1モル%)、ClMeSiO(MeSiO)33SiMeCl:529g(3.2モル%)、ジメチルビニルクロロシラン:72.4g(9.7モル%)をトルエンに溶解後、これを水中に滴下し、共加水分解を行った。更に、水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、フェニル基を含有するビニルシリコーンレジンa1を得た。このビニルシリコーンレジンa1の重量平均分子量は63,000、ビニル基当量は0.026mol/100gであった。
[合成例2]
フェニルトリクロロシラン:1,142.1g(87.1モル%)、ClMeSiO(MeSiO)33SiMeCl:529g(3.2モル%)、メチルジクロロシラン:69g(9.7モル%)をトルエンに溶解後、これを水中に滴下し、共加水分解を行った。更に、水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、フェニル基を含有するハイドロジェンシリコーンレジンb1を得た。このハイドロジェンシリコーンレジンb1の重量平均分子量は58,000、水素ガス発生量は5.8ml/g、SiH基当量は0.026mol/100gであった。
[合成例3]
フェニルトリクロロシラン:1,142.1g(84.4モル%)、ClMeSiO(MeSiO)13SiMeCl:466.6g(6.3モル%)、ジメチルビニルクロロシラン:72.4g(9.4モル%)をトルエンに溶解後、これを水中に滴下し、共加水分解を行った。更に、水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、フェニル基を含有するビニルシリコーンレジンa2を得た。このビニルシリコーンレジンa2の重量平均分子量は22,000、ビニル基当量は0.042mol/100gであった。
[合成例4]
フェニルトリクロロシラン:1,142.1g(84.4モル%)、ClMeSiO(MeSiO)13SiMeCl:466.6g(6.3モル%)、メチルジクロロシラン:69.0g(9.4モル%)をトルエンに溶解後、これを水中に滴下し、共加水分解を行った。更に、水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、フェニル基を含有するハイドロジェンシリコーンレジンb2を得た。このハイドロジェンシリコーンレジンb2の重量平均分子量は11,000、水素ガス発生量は9.4ml/g、SiH基当量は0.042mol/100gであった。
[合成例5]
フラスコにキシレン:1,000g及び水:5,014gを入れ、これに、フェニルトリクロロシラン:2,285g(10.8モル)、ビニルジメチルクロロシラン:326g(2.70モル)、及びキシレン:1,478gの混合物を滴下した。滴下終了後3時間撹拌し、廃酸分離し、水洗した。共沸脱水後にKOH:6g(0.15モル)を加え、150℃で終夜加熱還流を行った。トリメチルクロロシラン:27g(0.25モル)及び酢酸カリウム:24.5g(0.25モル)で中和し、濾過した後、溶剤を減圧留去し、平均組成式(PhSiO1.50.8(MeViSiO0.50.2で示されるフェニル基を含有するビニルシリコーンレジンa3を合成した。このビニルシリコーンレジンa3の重量平均分子量は1,800、ビニル基当量は0.131mol/100gであった。
また、実施例、比較例で用いた蛍光体を以下に示す。
蛍光体1:ユーロピウム(III)(1,10−フェナントロリン)トリス[4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオネート]
蛍光体2:トリス(ジベンゾイルメタン)モノ(1,10−フェナントロリン)ユーロピウム(III)
蛍光体3:ビス(8−ヒドリキシキノリン)亜鉛
蛍光体4:トリス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−C,N]イリジウム(III)
YAG1:平均粒径30μmのYAG蛍光体
YAG2:平均粒径10nmのナノYAG蛍光体
[実施例1]
合成例1で合成したビニルシリコーンレジンa1:100g、合成例2で合成したハイドロジェンシリコーンレジンb1:100g、塩化白金酸のビニルシリコーン変性溶液(白金濃度1質量%):0.2g、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール:0.6g、接着付与剤として下記式(3)で示される接着付与剤1:6.0g、蛍光体1:20g、及びDMF(ジメチルホルムアミド):80gを混合して、シリコーン樹脂を含む混合物C1を調製した。次に、自動塗工装置PI−1210(テスター産業(株)社製)を用いて、この混合物C1を未硬化状態でフィルム状に成型し、これを乾燥させて、縦150mm、横150mm、厚さ0.05mmのフィルムF1を製造した。なお、フィルムの乾燥は100℃×10分の条件で行った。このフィルムF1を硬化させ、全光線透過率を測定したところ、全光線透過率は84.6%であった。また、厚さを0.025mm及び0.1mmに変更してもフィルムを製造できることを確認した。
接着付与剤1
Figure 0006502809
(式中、R’’は上記の基であり、kは1〜5の整数(平均:3)、k’は0〜3の整数(平均:1)である。)
[実施例2]
蛍光体1の配合量を350g、DMFの配合量を1,400gに変更する以外は、実施例1と同様の組成で各成分を混合して、シリコーン樹脂を含む混合物C2を調製した。次に、混合物C1の代わりに混合物C2を使用する以外は実施例1と同様にして、縦150mm、横150mm、厚さ0.05mmのフィルムF2を製造した。このフィルムF2を硬化させ、全光線透過率を測定したところ、全光線透過率は84.2%であった。また、厚さを0.025mm及び0.1mmに変更してもフィルムを製造できることを確認した。
[実施例3]
蛍光体1:20gを蛍光体2:20gに、DMF:80gをTHF:50gに変更する以外は、実施例1と同様の組成で各成分を混合して、シリコーン樹脂を含む混合物C3を調製した。次に、混合物C1の代わりに混合物C3を使用する以外は実施例1と同様にして、縦150mm、横150mm、厚さ0.05mmのフィルムF3を製造した。このフィルムF3を硬化させ、全光線透過率を測定したところ、全光線透過率は87.2%であった。また、厚さを0.025mm及び0.1mmに変更してもフィルムを製造できることを確認した。
[実施例4]
蛍光体2の配合量を350g、THFの配合量を875gに変更する以外は、実施例3と同様の組成で各成分を混合して、シリコーン樹脂を含む混合物C4を調製した。次に、混合物C1の代わりに混合物C4を使用する以外は実施例1と同様にして、縦150mm、横150mm、厚さ0.05mmのフィルムF4を製造した。このフィルムF4を硬化させ、全光線透過率を測定したところ、全光線透過率は82.2%であった。また、厚さを0.025mm及び0.1mmに変更してもフィルムを製造できることを確認した。
[実施例5]
蛍光体1:20gを蛍光体3:20gに、DMF:80gをクロロホルム:20gに変更する以外は、実施例1と同様の組成で各成分を混合して、シリコーン樹脂を含む混合物C5を調製した。次に、混合物C1の代わりに混合物C5を使用する以外は実施例1と同様にして、縦150mm、横150mm、厚さ0.05mmのフィルムF5を製造した。このフィルムF5を硬化させ、全光線透過率を測定したところ、全光線透過率は89.2%であった。また、厚さを0.025mm及び0.1mmに変更してもフィルムを製造できることを確認した。
[実施例6]
蛍光体3の配合量を350g、クロロホルムの配合量を350gに変更する以外は、実施例5と同様の組成で各成分を混合して、シリコーン樹脂を含む混合物C6を調製した。次に、混合物C1の代わりに混合物C6を使用する以外は実施例1と同様にして、縦150mm、横150mm、厚さ0.05mmのフィルムF6を製造した。このフィルムF6を硬化させ、全光線透過率を測定したところ、全光線透過率は87.5%であった。また、厚さを0.025mm及び0.1mmに変更してもフィルムを製造できることを確認した。
[実施例7]
蛍光体1:20gを蛍光体4:50gに、DMF:80gをクロロホルム:50gに変更する以外は、実施例1と同様の組成で各成分を混合して、シリコーン樹脂を含む混合物C7を調製した。次に、混合物C1の代わりに混合物C7を使用する以外は実施例1と同様にして、縦150mm、横150mm、厚さ0.05mmのフィルムF7を製造した。このフィルムF7を硬化させ、全光線透過率を測定したところ、全光線透過率は83.5%であった。また、厚さを0.025mm及び0.1mmに変更してもフィルムを製造できることを確認した。
[実施例8]
蛍光体4の配合量を350g、クロロホルムの配合量を350gに変更する以外は、実施例7と同様の組成で各成分を混合して、シリコーン樹脂を含む混合物C8を調製した。次に、混合物C1の代わりに混合物C8を使用する以外は実施例1と同様にして、縦150mm、横150mm、厚さ0.05mmのフィルムF8を製造した。このフィルムF8を硬化させ、全光線透過率を測定したところ、全光線透過率は81.8%であった。また、厚さを0.025mm及び0.1mmに変更してもフィルムを製造できることを確認した。
[実施例9]
ビニルシリコーンレジンa1:100gを合成例3で合成したビニルシリコーンレジンa2:100gに、ハイドロジェンシリコーンレジンb1:100gを合成例4で合成したハイドロジェンシリコーンレジンb2:100gに、DMFの配合量を100gに変更する以外は、実施例1と同様の組成で各成分を混合して、シリコーン樹脂を含む混合物C9を調製した。次に、混合物C1の代わりに混合物C9を使用する以外は実施例1と同様にして、縦150mm、横150mm、厚さ0.05mmのフィルムF9を製造した。このフィルムF9を硬化させ、全光線透過率を測定したところ、全光線透過率は85.7%であった。また、厚さを0.025mm及び0.1mmに変更してもフィルムを製造できることを確認した。
[実施例10]
蛍光体1の配合量を350g、DMFの配合量を1,400gに変更する以外は、実施例9と同様の組成で各成分を混合して、シリコーン樹脂を含む混合物C10を調製した。次に、混合物C1の代わりに混合物C10を使用する以外は実施例1と同様にして、縦150mm、横150mm、厚さ0.05mmのフィルムF10を製造した。このフィルムF10を硬化させ、全光線透過率を測定したところ、全光線透過率は83.1%であった。また、厚さを0.025mm及び0.1mmに変更してもフィルムを製造できることを確認した。
[比較例1]
蛍光体1:20gをYAG1:50gに変更し、DMFを添加しない以外は、実施例1と同様の組成で各成分を混合して、シリコーン樹脂を含む混合物C11を調製した。次に、混合物C1の代わりに混合物C11を使用する以外は実施例1と同様にして、縦150mm、横150mm、厚さ0.05mmのフィルムF11を製造した。このフィルムF11を硬化させ、全光線透過率を測定したところ、全光線透過率は24.2%であった。また、厚さを0.025mm及び0.1mmに変更してもフィルムを製造できることを確認した。
[比較例2]
YAG1の配合量を350gに変更する以外は、比較例1と同様の組成で各成分を混合して、シリコーン樹脂を含む混合物C12を調製した。次に、混合物C1の代わりに混合物C12を使用する以外は実施例1と同様にして、縦150mm、横150mm、厚さ0.05mmのフィルムF12を製造した。このフィルムF12を硬化させ、全光線透過率を測定したところ、全光線透過率は11.5%であった。また、厚さを0.025mm及び0.1mmに変更してもフィルムを製造できることを確認した。
[比較例3]
蛍光体1:20gをYAG2:350gに変更し、DMFを添加しない以外は、実施例1と同様の組成で各成分を混合して、シリコーン樹脂を含む混合物C13を調製しようとしたが、混合物が固体になり、フィルムが製造できなかった。
[比較例4]
ビニルシリコーンレジンa1:100gを合成例5で合成したビニルシリコーンレジンa3:100gに、ハイドロジェンシリコーンレジンb1:100gを下記式(4)で示される分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサンb3(水素ガス発生量170.24ml/g、SiH基当量0.76mol/100g):17.24gに、蛍光体1:20gをYAG1:50gに変更し、DMFを添加しない以外は実施例1と同様の組成で各成分を混合して、シリコーン樹脂を含む混合物C14を調製した。次に、混合物C1の代わりに混合物C14を使用する以外は実施例1と同様にして、縦150mm、横150mm、厚さ0.025mm、0.05mm、及び0.1mmのフィルムを製造したが、いずれもタックのある高粘ちょう体であり、フィルムとしては利用することができなかった。
Figure 0006502809
(輝度変化率の測定)
まず、図1に示されるように、セラミック基板1と銀メッキリードフレーム3からなるCOB(Chip On Board)用基板にフリップチップタイプのLEDチップ2(300μm×300μm×150μm)を搭載したデバイスを用意し、そのLEDの輝度を、全光束測定装置(浜松ホトニクス PHOTONIC MULTO−CHANNEL ANALYZER C10027)で測定し、初期輝度(lm/W)を求めた。その後、貼り合わせ装置として加圧式真空ラミネータ V130(ニチゴー・モートン株式会社製)を用い、貼り合わせ条件を80℃、真空時間40秒、及び0.1MPaに設定し、加圧時間を20秒として、図2に示されるように、上記の実施例1〜10及び比較例1、2で製造した各蛍光体含有シリコーンフィルム4(フィルムF1〜F12)を貼り合せた。次に、フィルムを貼り合わせた状態で、再度全光束測定装置でLEDの輝度を測定し、フィルムを貼り合わせる前の輝度(初期輝度)を100%としたときの輝度変化率を計算した。
以下に、上記の実施例1〜10についてまとめた表1と、上記の比較例1〜4についてまとめた表2を示す。
Figure 0006502809
Figure 0006502809
表1に示されるように、シリコーン樹脂組成物、溶剤、及びシリコーン樹脂組成物又は溶剤に分散又は溶解可能な蛍光体を含む実施例1〜10では、フィルム化することが可能であり、硬化物の全光線透過率が80%以上であった。また、このように蛍光体を含んだ状態でも透明度の高い硬化物を形成できる実施例1〜10の蛍光体含有シリコーンフィルムでLEDを封止した場合には、輝度が大きく向上した。
一方、表2に示されるように、溶剤を使用しなかった比較例1〜4では、硬化物の全光線透過率が25%未満であり、透明度の高い硬化物を形成できない、あるいはフィルム自体を製造することができなかった。また、フィルム化できた比較例1、2の蛍光体含有シリコーンフィルムでLEDを封止した場合には、輝度がほとんど変化しなかった。
以上のように、本発明の蛍光体含有シリコーンフィルムであれば、蛍光体を含んだ状態でも透明度の高い硬化物を形成することができ、LEDの封止材として使用した際には、LEDデバイスの輝度を大きく向上できることが明らかとなった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…セラミック基板、 2…LEDチップ、 3…銀メッキリードフレーム、
4…蛍光体含有シリコーンフィルム。

Claims (6)

  1. (A)23℃で固体又は半固体状態である付加硬化型シリコーン樹脂組成物、
    (B)溶剤、及び
    (C)前記(A)成分又は前記(B)成分に分散又は溶解可能な有機蛍光体
    を含有し、未硬化状態でフィルム状に成型されたものであり、硬化してJIS K 7375:2008記載の方法で測定された波長400nmにおける厚さ0.05mmでの全光線透過率が80%以上の硬化物となるものであることを特徴とするLED封止材用蛍光体含有シリコーンフィルム。
  2. 前記(A)成分が、
    (a)1分子中にケイ素原子に結合した炭素数2〜10のアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、
    (b)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を1個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
    (c)付加反応触媒
    を含有し、前記(a)成分及び前記(b)成分のいずれか又は両方が、1分子中にケイ素原子に結合したアリール基を1個以上有するものであることを特徴とする請求項に記載のLED封止材用蛍光体含有シリコーンフィルム。
  3. 前記(a)〜(c)成分が、
    (a)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン;30〜95質量部、
    (OX)SiO(4−a−b−c―d)/2 (1)
    (式中、Rは炭素数6〜10のアリール基であり、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜10の飽和一価炭化水素基であり、Rは炭素数2〜8のアルケニル基であり、a、b、c、及びdは、それぞれa>0、b>0、c>0、d>0、かつa+b+c+d=1.0〜2.0を満たす数であり、Xは置換もしくは非置換の炭素数1〜8の一価炭化水素基、又は水素原子である。)
    (b)下記平均組成式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン;前記(a)成分との合計が100質量部となる量、及び
    (OX)SiO(4−e−f−g−h)/2 (2)
    (式中、R、R、及びXは前記と同様であり、e、f、g、及びhは、それぞれe>0、f>0、g>0、及びh>0、かつe+f+g+h=1.0〜2.0を満たす数である。)
    (c)付加反応触媒;前記(a)成分と前記(b)成分の合計100質量部に対し、有効成分量が0.0001〜0.5質量部となる量、
    であることを特徴とする請求項に記載のLED封止材用蛍光体含有シリコーンフィルム。
  4. 前記(A)成分100質量部に対し、前記(C)成分を1〜400質量部含有するものであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のLED封止材用蛍光体含有シリコーンフィルム。
  5. 前記蛍光体含有シリコーンフィルムが、更に(D)無機充填材を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のLED封止材用蛍光体含有シリコーンフィルム。
  6. LED封止材用蛍光体含有シリコーンフィルムの製造方法であって、
    (A)23℃で固体又は半固体状態である付加硬化型シリコーン樹脂組成物、(B)溶剤、及び(C)前記(A)成分又は前記(B)成分に分散又は溶解可能な有機蛍光体を混合して前記(C)成分を分散させた混合物を調製し、該混合物から前記(B)成分を揮発させて未硬化状態でフィルム状に成型することを特徴とするLED封止材用蛍光体含有シリコーンフィルムの製造方法。
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