JP5578685B2 - 低ガス透過性シリコーン成形物およびそれを用いた光半導体装置 - Google Patents

低ガス透過性シリコーン成形物およびそれを用いた光半導体装置 Download PDF

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Description

本発明はシリコーン樹脂組成物から製造されるシート状またはフィルム状の成形物に関する。詳細には、本発明は、シリコーン樹脂組成物から製造される、優れた低ガス透過性を有するシート状またはフィルム状の成形物、該成形物を防湿用部材または波長変換シートとして使用する方法、及び該成形物を備えた光半導体装置に関する。
近年、LEDは、携帯電話や小型照明だけでなく、一般照明や大型ディスプレイなど非常に幅広く使用されるようになった。ところで、白色LEDを製造するにあたり、一般的には青色LEDに450nmの光を励起するYAG(イットリウムアルミニウムガーネット)と呼ばれる蛍光体を用いる方式と、3in1とよばれる赤・緑・青色LEDを同時に発光させる方式がある。上記の青色LEDと蛍光体を用いる方式は3in1方式に比べ、LED数やワイヤー数が少ないために安価で製造できることから、様々なLEDに対してこの方式が用いられている。
しかし、蛍光体は、水分に非常に弱く、吸湿してしまうとLEDの発光効率が非常に低下してしまうという欠点があり、吸湿しない方法が考えられてきた。特許文献1〜3は、LED上に蛍光体含有シリコーンエラストマーを被覆させることにより、色座標のむらがなく蛍光体を分散できることを記載している。しかし、特許文献1〜3に記載されているシリコーン樹脂組成物はガス透過性が非常に高く、耐湿性が十分ではなかった。従って、得られる硬化物は、耐光性、耐熱変色性、耐衝撃性には優れるが、ガス透過性が高いためLEDなどの光半導体装置の基板にメッキされた銀面を腐食し、輝度を低下させ、半導体装置の信頼性を悪くするという問題があった。そこで、さらなる改良が求められている。
特許第4271747号公報 特開2010−263252号公報 特開2009−235368号公報
本発明は上記事情に鑑み、第一に、シリコーン樹脂組成物から製造され、低ガス透過性を有するシート状またはフィルム状成形物を提供することを目的とする。また本発明は第二に、該成形物を備えた信頼性の高い光半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために種々検討を行った結果、ケイ素原子に結合したシクロアルキル基を含有するシリコーン樹脂組成物から製造されるシート状またはフィルム状成形物は、シクロヘキシル基の立体的嵩高さのため、低ガス透過性を有し吸湿性が抑制されることを見出した。また、該シリコーン樹脂組成物から製造されるシート状またはフィルム状成形物は、耐熱変色性や輝度劣化耐久性に優れた光半導体装置を提供できることを見出した。
即ち、本発明は、シリコーン樹脂組成物から製造されるシート状またはフィルム状成形物であって、前記シリコーン樹脂組成物が下記(A)〜(C)成分及び(F)成分を含有する、成形物に関する。
(A)下記平均組成式(1)で示されるシリコーン樹脂 30〜95質量部、
(OX) SiO (4−a−b−c―d)/2 (1)
(式中、R は炭素数4〜8のシクロアルキル基であり、R はシクロアルキル基及びアルケニル基でない、置換もしくは非置換の、炭素数1〜10の一価炭化水素基であり、R は炭素数2〜8のアルケニル基であり、a、b、cおよびdは、それぞれa>0、b>0、c>0、及びd>0であり、a+b+c+d=1.0〜2.0を満たす数であり、Xは、置換もしくは非置換の、炭素数1〜8の一価炭化水素基、または水素原子である)
(B)下記平均組成式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン 5〜70質量部、
(OX) SiO (4−e−f−g−h)/2 (2)
(式中、R 、R 及びXは上記記載のとおりであり、e、f、gおよびhは、それぞれe>0、f>0、g>0、及びh>0であり、e+f+g+h=1.0〜2.0を満たす数である)
(但し、(A)成分と(B)成分の合計質量は100質量部である)
(C)付加反応触媒 (A)及び(B)成分の合計100質量部に対し有効成分量(質量)で0.0001〜0.5質量部となる量、及び
(F)光励起材料 シリコーン樹脂組成物全体の質量に対して0.1〜80質量%。
らに、本発明は、上記成形物を備えた光半導体装置、及び、上記成形物を防湿用部材または波長変換シートとして使用する方法を提供する。
本発明の成形物は、低ガス透過性及び耐湿性に優れており、防湿用部材等として有用である。また、本発明の成形物を被覆部材として使用することにより、蛍光体の劣化防止に優れた光半導体装置を提供することができる。特に、高耐熱性及び高耐光性を必要とするLED用の波長変換シートとして非常に有用である。
本発明はシリコーン樹脂組成物から製造されるシート状またはフィルム状の成形物であって、該シリコーン樹脂組成物がケイ素原子に結合したシクロアルキル基を含有することを特徴とする。シリコーン樹脂組成物中のシクロアルキル基の含有量は、シリコーン樹脂組成物の合計質量に対し10質量%以上、好ましくは15〜70質量%、より好ましくは20〜60質量%であるのがよい。上記下限値未満ではガス透過性が増大し、蛍光体の吸湿劣化を招いてLEDの輝度低下につながるため好ましくない。
該シリコーン樹脂組成物としては、(A)1分子中に少なくとも2個の、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有するシリコーン樹脂、(B)1分子中に少なくとも1個の、ケイ素原子に結合した水素を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び(C)付加反応触媒を含有するものであり、上記(A)成分または(B)成分の少なくとも1が、1分子中に少なくとも1個の、ケイ素原子に結合したシクロアルキル基を有する組成物が好ましい。特には、シクロアルキル基の含有量が、(A)成分及び(B)成分の合計質量に対し15質量%以上、好ましくは20〜80質量%であるのがよい。上記下限値未満ではガス透過性が増大し、蛍光体の吸湿劣化を招いてLEDの輝度低下につながるため好ましくない。また、上記シリコーン樹脂組成物は、(D)酸化防止剤及び(E)接着付与剤をさらに含有することができる。以下、各成分について詳細に説明する。
(A)シリコーン樹脂
(A)成分は、1分子中に少なくとも2個の、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有するシリコーン樹脂であり、特には、1分子中に少なくとも1個の、ケイ素原子に結合したシクロアルキル基を有するシリコーン樹脂であるのがよい。該シリコーン樹脂としては下記平均組成式(1)で示されるシリコーン樹脂が好ましい。
[化1]
(OX)SiO(4−a−b−c―d)/2 (1)
式中、Rは炭素数4〜8のシクロアルキル基であり、Rはシクロアルキル基及びアルケニル基でない、置換もしくは非置換の、炭素数1〜10の一価炭化水素基であり、Rは炭素数2〜8のアルケニル基であり、a、b、cおよびdは、それぞれa>0、b>0、c>0、及びd>0であり、a+b+c+d=1.0〜2.0を満たす数であり、Xは、置換もしくは非置換の、炭素数1〜8の一価炭化水素基、または水素原子である。
上記式(1)において、aは好ましくは0.3〜0.98、より好ましくは0.4〜0.95、さらには0.4〜0.8の数であり、bは好ましくは0.05〜0.75、より好ましくは0.05〜0.6、さらには0.05〜0.1の数であり、cは好ましくは0.02〜0.6、より好ましくは0.03〜0.5、さらには0.05〜0.3の数であり、dは好ましくは0.001〜0.2、より好ましくは0.001〜0.1の数である。a+b+c+d=1.0〜2.0であり、好ましくは、1.1〜1.9である。
上記式(1)において、Rは、炭素数4〜8のシクロアルキル基であり、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。中でも、シクロヘキシル基である事が好ましい。
上記式(1)において、Rは、シクロアルキル基及びアルケニル基でない、置換もしくは非置換の、炭素数1〜10の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜6の一価炭化水素基である。このようなRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基及びこれらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、またはシアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基、及びシアノエチル基等が挙げられる。中でも、メチル基及びフェニル基が好ましい。
上記式(1)において、Rは、炭素数2〜8、好ましくは2〜6のアルケニル基である。このようなRとしては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等が挙げられ、ビニル基またはアリル基が好ましい。
上記式(1)において、Xは、置換もしくは非置換の、炭素数1〜8、好ましくは1〜6の一価炭化水素基、または水素原子である。一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基が挙げられる。好ましくは、Xはメチル基あるいは水素原子である。
上記式(1)で示されるシリコーン樹脂は、レジン構造(即ち、三次元網状構造)のオルガノポリシロキサンである。該オルガノポリシロキサンは、RSiO3/2単位、R SiO2/2単位及びR SiO1/2単位からなるオルガノポリシロキサンであるのが好ましい。上記式において、Rは上記Rと同じ基であり、Rは上記RまたはRと同じ基、または、水酸基あるいはアルコキシ基である。kは0又は1、pは1又は2の整数であり、但しk+p=2であり、qは1〜3、rは0〜2の整数であり、但しq+r=3である。尚、Rはシクロヘキシル基であることが好ましい。但しRの少なくとも1は水酸基あるいはアルコキシ基であるのがよい。シリコーン樹脂が水酸基あるいはアルコキシ基を有さないと成形物の基材に対する接着性が低下するため好ましくない。
レジン構造のオルガノポリシロキサンは、RSiO3/2単位をa単位、R SiO2/2単位をb単位、R SiO1/2単位をc単位とした場合、モル比で(b+c)/a=0.01〜1、好ましくは0.1〜0.5、c/a=0.05〜3、好ましくは0.1〜0.5となる量で構成されていることが好ましい。また、該オルガノポリシロキサンは、重量平均分子量が2,000〜100,000、好ましくは2,000〜50,000の範囲にあるものが好適である。
尚、本発明において重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量であり、下記条件で測定することができる。
[測定条件]
展開溶媒:THF
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolomn SuperH−L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL(濃度0.5重量%のTHF溶液)
上記レジン構造のオルガノポリシロキサンは、上記a単位、b単位、c単位に加えて、さらに、二官能性シロキサン単位や三官能性シロキサン単位(すなわち、オルガノシルセスキオキサン単位)を本発明の目的を損なわない範囲で少量含有してもよい。
上記レジン構造のオルガノポリシロキサンは、上記a単位、b単位、c単位の単位源となる化合物を上記モル比となるように組み合わせ、例えば、酸の存在下で共加水分解反応を行なうことによって容易に合成することができる。
a単位源として、例えば、シクロへキシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロへキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシランを用いることができる。
b単位源として、例えば、ジメチルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル1,3,5,7−テトラシクロヘキシルシクロテトラシロキサンを用いることができる。
さらにb単位の原料として、下記の化合物を使用することができる。
Figure 0005578685
Figure 0005578685
(上記式において、p、q及びrは0〜50の数(平均値)であり、p+q+r=5〜50を満たす数(平均値)である。)
c単位源としては、例えば、下記のものを用いることができる。
Figure 0005578685
Figure 0005578685
好ましくは下記に示されるオルガノポリシロキサンである。
Figure 0005578685
式中、Xは上述の通りであり、kは1、2または3であり、jは1または2である化合物の混合物である。s、t、u、及びwは各単位のモル比を示し、sは0.3〜0.7、tは0.2〜0.7、uは0〜0.4、wは0〜0.4の数である。但し、u+w>0である。
本発明の(A)成分は、上述したレジン構造のオルガノポリシロキサンと直鎖状オルガノポリシロキサンとの混合物であってもよい。混合物とする場合には、混合物中に、レジン構造のオルガノポリシロキサンが20〜95質量%、より好ましくは40〜90質量%となる量で配合されるのがよい。レジン構造のオルガノポリシロキサンの配合量が少なすぎると、成形物の物理的強度が低下し、成形物表面にタックが生じるおそれがある。
直鎖状オルガノポリシロキサンとしては、25℃における粘度が10〜1,000,000mPa・s、好ましくは1,000〜50,000mPa・sのものが作業性、硬化性等の観点から好ましい。粘度は、回転粘度計等により測定することができる。尚、本発明で示す粘度の値は、BM型粘度計を用いて回転数6、12、30または60rpmで測定した、25℃における測定値を表す。
特には、下記一般式(3)で表される、分子鎖両末端のケイ素原子上に各1個以上のビニル基を有する直鎖状オルガノポリシロキサンを使用することができる。下記オルガノポリシロキサンは少量の分岐状構造(三官能性シロキサン単位)を分子鎖中に含有してもよい。
Figure 0005578685
式中、R及びRは上述したとおりであり、RはRまたはRであり、Rの一部は水酸基またはアルコキシ基であってよい。gは1、2又は3の整数であり、x、y及びzは0又は正の整数であり、但し、1≦x+y+z≦1,000を満足する数であり、xまたはyの少なくとも1つは1以上である。
上記式(3)において、x、y及びzは、1≦x+y+z≦1,000を満足する0又は正の整数であり、好ましくは5≦x+y+z≦500、より好ましくは30≦x+y+z≦500であり、但し0.5<(x+y)/(x+y+z)≦1.0を満足する整数である。
上記式(3)で表されるオルガノポリシロキサンとしては、下記のものを挙げられる。
Figure 0005578685
(上記式において、x、y、zは上述の通りである)
Figure 0005578685
(上記式において、z及びyは上述の通りである)
(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは架橋剤として作用するものであり、該成分中のケイ素原子に結合した水素原子(以下、SiH基)と成分(A)中のアルケニル基とが付加反応することにより硬化物を形成する。かかるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に少なくとも1個のケイ素原子に結合した水素を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであればいずれのものでもよく、一分子中にSiH基を少なくとも2個、好ましくは3個以上有するものが好適に用いられる。特には、本発明のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に少なくとも1個のケイ素原子に結合したシクロアルキル基を有するのがよい。
該オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては下記平均組成式(2)で示されるシロキサンが好ましい。
[化10]
(OX)SiO(4−e−f−g−h)/2 (2)
式中、R、R及びXは上述のとおりであり、e、f、gおよびhは、それぞれ>0、f>0、g>0、及びh>0であり、e+f+g+h=1.0〜2.0を満たす数である。分子中SiH基の位置は特に制限されず、分子鎖の末端であっても途中であってもよい。
上記式(2)において、eは好ましくは0.3〜0.98、より好ましくは0.4〜0.95の数、さらには0.4〜0.8の数であり、fは好ましくは0.05〜0.8、より好ましくは0.05〜0.6、さらには0.05〜0.1の数であり、gは好ましくは0.02〜0.5、より好ましくは0.05〜0.3の数であり、hは好ましくは0.001〜0.2、より好ましくは0.001〜0.1の数である。e+f+g+h=1.0〜2.0、好ましくは1.0〜1.5である。分子中SiH基の位置は特に制限されず、分子鎖の末端であっても途中であってもよい。
上記式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、レジン構造(即ち、三次元網状構造)を有する。このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、(RHSiO1/2単位とSiO4/2単位とから成る共重合体、(RHSiO1/2単位とSiO4/2単位と(R)SiO3/2単位とから成る共重合体等が挙げられる。式中、Rは上記RまたはRであり、Rの一部は水酸基またはアルコキシ基であってよい。
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、公知の方法により調製することができ、通常、RSiCl、RSiHCl、(RSiCl、(RSiCl 、(RSiHClのようなクロロシラン、または(RSi(OR)、(RSi(OR、RSi(OR(式中、Rは上記RまたはRである、Rは炭素数1〜8の一価炭化水素基である)のようなアルコキシシランを加水分解するか、加水分解して得られたシロキサンを、強酸触媒を用いて平衡化することにより得ることができる。
また、下記構造で示されるオルガノハイドロジェンシロキサンを単位源として使用することができる。
Figure 0005578685
上記式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、特に、下記構造式で示されるポリシロキサンであることが好ましい。
[化12]
(CySiOs’/2)[CyCHSiOt’/2][(CH)HSiO](OX)
上記式において、Cyはシクロヘキシル基を示し、Xは上述のとおりであり、i、j、kは各単位のモル比を示し、iは0.1〜0.9、jは0.01〜0.8、kは0.03〜0.3の数、lは0.01〜0.2の数である。s’は1〜3の数、t’は1〜2の数である。OXは、酸素原子が式中のSi原子のいずれかに結合しており、結合位置は特に制限されるものではない。
本発明の(B)成分は、上記レジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと直鎖状または分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサンとの混合物であってもよい。混合物とする場合には、混合物中に、レジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが10〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%となる量で配合されるのがよい。レジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量が少なすぎると、成形物の物理的強度が低下し、成形物表面にタックが生じるおそれがある。
直鎖状または分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、シクロヘキシル含有分岐シロキサン、末端ハイドロジェンシクロヘキシルメチルポリシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体が挙げられる。
また、下記のオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンも使用することができる。
Figure 0005578685
(B)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して5〜70質量部、好ましくは30〜60質量部であるのが良い。特に、(B)成分の配合量は上記(A)成分の硬化有効量であるのがよく、(B)成分中のSiH基の数が、(A)成分中のアルケニル基1個に対し0.5〜4.0個、好ましくは0.8〜2.0個、さらに好ましくは0.9〜1.5個となるように配合されることが好ましい。上記下限値未満では、硬化反応が進行せず硬化物を得ることが困難となるおそれがあり、上記上限値超では、未反応のSiH基が硬化物中に多量に残存するため、シート物性が経時的に変化する原因となるおそれがある。
(C)付加反応触媒
触媒は付加反応を促進するために配合され、白金系、パラジウム系、ロジウム系等の金属系触媒が使用できるが、コスト等の見地から白金族金属系触媒であることがよい。白金族金属系触媒としては、例えば、HPtCl・mHO、KPtCl、KHPtCl・mHO、KPtCl、KPtCl・mHO、PtO・mHO(mは、正の整数)等が挙げられる。また、前記白金族金属系触媒とオレフィン等の炭化水素、アルコールまたはビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等を用いることができる。上記触媒は単独でも、2種以上の組み合わせであってもよい。
触媒は、いわゆる触媒量で配合すればよく、前記(A)及び(B)成分の合計量100質量部に対し、有効成分である金属換算(質量)で0.0001〜0.5質量部、好ましくは0.001〜0.3質量部となる量で使用される。
(D)酸化防止剤
酸化防止剤は、シリコーン樹脂組成物の耐熱性を向上するための耐熱劣化防止剤として使用する。このような酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、0.001〜10質量部、好ましくは0.001〜3質量部、更に好ましくは0.01〜1質量部となる量である。配合量が前記上限値超では、残存した酸化防止剤が硬化後の樹脂の表面に析出するため好ましくなく、前記下限値未満では、耐変色性が低下するため好ましくない。
このような酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−プロパン−1,3−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6,6’−ジ−tert−ブチル−2,2’−チオジ−p−クレゾール、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−C9側鎖アルキルエステル、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォネート、2,2’−エチリデンビス[4,6−ジ−tert−ブチルフェノール]、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、6,6’−ジ−tert−ブチル−4,4’−チオジ−m−クレゾール、ジフェニルアミン、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンの反応生成物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−1−ベンゾピラン−6−オール、2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、ジドデシル3,3’−チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’−チオジプロピオネート等が例示される。また、望ましくはIrganox245、259、295、565、1010、1035、1076、1098、1135、1130、1425WL、1520L、1726、3114、5057(BASFジャパン株式会社)、及びアデカスタブAOシリーズ(旭電化株式会社製)などが挙げられる。これらの酸化防止剤は2種以上を混合して用いてもよい。
(E)接着付与剤
接着付与剤は、本発明におけるシリコーン樹脂組成物のLCP等のパッケージ材料や金属基板および半導体素子などに対する接着性を付与することを目的として使用する。接着付与剤としては、シクロヘキシルトリメチルシラン、シクロヘキシルトリエチルシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等や、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン及びそのオリゴマー等が挙げられる。これらの接着付与剤は、単独でも2種以上混合して使用してもよい。該接着付与剤は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対し、0.1〜10質量部、特に0.1〜5質量部となる量で配合することが好ましい。中でも、ケイ素に直結したシクロヘキシル基を有する接着付与剤を用いることが好ましい。
(F)光励起材料
光励起材料は、例えば、窒化物系半導体を発光層とする半導体発光ダイオードからの光を吸収し、異なる波長の光に波長変換するものであればよい。該光励起材料としては、公知の蛍光体を使用することができるが、中でも、光励起材料が波長400nm以上の光を励起するものがよい。例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体または酸窒化物系蛍光体、Eu等のランタノイド系、及びMn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類金属ケイ酸塩蛍光体、アルカリ土類金属硫化物蛍光体、アルカリ土類金属チオガレート蛍光体、アルカリ土類金属窒化ケイ素蛍光体、ゲルマン酸塩蛍光体、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体、希土類ケイ酸塩蛍光体、Eu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体蛍光体、及びCa−Al−Si−O−N系オキシ窒化物ガラス蛍光体等から選ばれる少なくともいずれか1以上であることが好ましい。
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体は、例えば、MSi:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。)などが挙げられる。また、MSi:EuのほかMSi10:Eu、M1.8Si0.2:Eu、M0.9Si0.110:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。)なども挙げられる。
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される酸窒化物系蛍光体は、例えば、MSi:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。)などが挙げられる。
Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体は、例えば、M(POX:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1種以上である。)などが挙げられる。
アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体は、例えば、MX:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などが挙げられる。
アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体は、例えば、SrAl:R、SrAl1425:R、CaAl:R、BaMgAl1627:R、BaMgAl1612:R、BaMgAl1017:R(Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1種以上である。)などが挙げられる。
アルカリ土類金属ケイ酸塩系蛍光体は、例えば、MO・xSiO:A(ただし、Mは、Mg、Ca、Sr、Zn、Cd、Baを表し、Aは、Ce、Tb、Eu、Tm、Pb、Tl、Bi、Mnの少なくとも1種を表し、xは、0.5≦x<2.5を満たす数を表す。) で表される。
アルカリ土類金属硫化物蛍光体は、例えば、LaS:Eu、YS:Eu、GdS:Euなどが挙げられる。
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体は、例えば、YAl12:Ce、(Y0.8Gd0.2Al12:Ce、Y(Al0.8Ga0.212:Ce、(Y,Gd)(Al,Ga)12の組成式で表されるYAG系蛍光体などがある。また、Yの一部若しくは全部をTb、Lu等で置換したTbAl12:Ce、LuAl12:Ceなどが挙げられる。
その他の蛍光体としては、例えば、ZnS:Eu、ZnGeO:Mn、MGa:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種である。)などが挙げられる。
上述の蛍光体は、所望に応じてEuに代えて、又は、Euに加えてTb、Cu、Ag、Au、Cr、Nd、Dy、Co、Ni、Tiから選択される1種以上を含有させることもできる。
Ca−Al−Si−O−N系オキシ窒化物ガラス蛍光体とは、モル%表示で、CaCOをCaOに換算して20〜50モル%、Alを0〜30モル%、SiOを25〜60モル%、AlNを5〜50モル%、希土類酸化物または遷移金属酸化物を0.1〜20モル%とし、5成分の合計が100モル%となるオキシ窒化物ガラスを母体材料とした蛍光体である。尚、オキシ窒化物ガラスを母体材料とした蛍光体では、窒素含有量が15wt%以下であることが好ましく、希土類酸化物イオンの他に増感剤となる他の希土類元素イオンを希土類酸化物として蛍光ガラス中に0.1〜10モル%の範囲の含有量で共賦活剤として含むことが好ましい。
また、上記蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、効果を有する蛍光体も使用することができる。蛍光体の形状は、特に限定されるものではなく、例えば球形又は非球形のものが使用できる。蛍光体は平均粒径0.01〜200μmを有することが好ましく、より好ましくは平均粒径0.01μm〜100μmを有することが好ましい。
光励起材料の配合量は、シリコーン樹脂組成物全体の質量に対して0.1〜80質量%、好ましくは1〜70質量%であるのがよい。光励起材料の配合量が上記上限値超えではシリコーン樹脂が脆弱となり好ましくない。また、上記下限値未満では光励起効果が低くなり好ましくない。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、上述した(A)〜(F)成分以外に、必要に応じて公知の各種添加剤を配合することができる。各種添加剤としては、ヒュームドシリカ、ヒュームド二酸化チタン等の補強性無機充填剤、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、酸化第二鉄、カーボンブラック、酸化亜鉛等の非補強性無機充填剤、ヒンダードアミン等の光劣化防止剤、ビニルエーテル類、ビニルアミド類、エポキシ樹脂、オキセタン類、アリルフタレート類、アジピン酸ビニル等の反応性希釈剤等が挙げられる。これらの各種添加剤は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することができる。
シリコーン樹脂組成物の調製
シリコーン樹脂組成物は、上述した各成分を同時に、又は別々に、必要により加熱処理を加えながら攪拌、溶解、混合、及び分散させることにより調製される。使用前に硬化反応が進行しないように、成分(A)及び(C)と、成分(B)とを2液に分けて保存し、使用時に該2液を混合して硬化を行うこともできる。成分(B)と成分(C)を1液で保存すると脱水素反応を起こす危険性があるため、成分(B)と成分(C)を分けて保存するのがよい。また、アセチレンアルコール等の硬化抑制剤を少量添加して1液として用いることもできる。
攪拌等の操作に用いる装置は特に限定されないが、攪拌、加熱装置を備えたライカイ機、3本ロール、ボールミル、プラネタリーミキサー等を用いることができる。また、これら装置を適宜組み合わせてもよい。尚、得られたシリコーン樹脂組成物の回転粘度計により測定した25℃における粘度は、100〜10,000,000mPa・s、特には300〜500,000mPa・s程度であるのが好ましい。
シート状またはフィルム状成形物の製造
本発明は、上記シリコーン樹脂組成物から製造されるシート状またはフィルム状成形物である。該成形物は、上記シリコーン樹脂組成物をシート状またはフィルム状に成形し、次いで硬化することによって製造することができる。フィルム状成形物の膜厚は0.1μm以上であるのが良く、好ましくは0.5μm〜500μm、より好ましくは0.8μm〜200μmである。シート状成形物の膜厚は、好ましくは500μm〜30mm、より好ましくは500μm〜15mmである。成形方法は従来公知の方法を使用すればよい。例えば、ロールコーターやスピンコーターなどが使用できる。成形条件は、特に制限されるものではないが、通常、50〜150℃、好ましくは60〜150℃で、10秒〜30分、好ましくは30秒〜10分である。成形物の製造には、必要に応じて、成形物を任意の大きさに切断する等、成形物を加工する工程を含んでいてもよい。シート状成形物を製造する場合は、フィルム状成形物の複数枚を積層し、従来公知の方法で圧着又は接着することによって製造してもよい。
本発明においてシリコーン樹脂組成物の硬化条件は特に制限されるものではないが、通常、40〜250℃、好ましくは60〜200℃で、5分〜10時間、好ましくは30分〜6時間程度で硬化させることができる。上記シリコーン樹脂組成物は直ちに硬化してシート状またはフィルム状成形物となることができる。該成形物は低いガス透過性に優れており、かつLCP等のパッケージ材料や金属基板および半導体素子などに非常によく接着する。従って、本発明のシート状またはフィルム状成形物は、例えば温泉やプールなどに設置する非常に水分との接触が多いLED用材料のための防湿用部材等に好適に使用できる。
本発明はJIS K 7129に準拠したLyssy法による厚さ1mm以上での水蒸気透過率が20g/m・day以下、特には15g/m・day以下である成形物を提供することができる。該水蒸気透過性は少なければ少ないほど好ましい。水蒸気透過性が上記上限値超では、吸湿劣化条件において水蒸気が透過するため、例えば本発明のシート状またはフィルム状成型物で金属の上を被覆した場合、金属界面を腐食させるおそれがある。
また、本発明のシート状成形物は、半導体素子の表面または半導体装置の全面を被覆する被覆シートとして使用することができる。例えば、半導体素子の表面または半導体装置の全面の大きさに応じてシート状成形物を小片化し、得られたシート片を被覆すべき表面に接触するように配置し密着させた後に、加熱成形することにより被覆することができる。
また、光励起材料を含有するシリコーン樹脂組成物から製造されたシート状またはフィルム状成形物は、波長変換シートとして好適に使用できる。例えば、光半導体素子を備える半導体装置において、該波長変換シートを光半導体素子の上に圧着または接着させる態様により使用できる。該波長変換シートはガス透過性が低いため、蛍光体の吸湿劣化が抑制されて耐久性に優れた光半導体装置を提供する事ができる。光半導体素子としては、例えば、LED、フォトダイオード、CCD、CMOS、フォトカプラなどが挙げられ、特にLEDの為の波長変換シートとして効果的に使用できる。波長変換シートを光半導体素子の上に圧着する方法は従来公知の方法に従えばよい。例えば、フィルムボンダー等の装置を用いることができる。温度は通常、室温〜300℃以下、特には50〜150℃であり、圧着時間は、通常0.5〜10分間である。圧力は、通常10MPa以下(通常0.01〜10MPa)、好ましくは5MPa以下(例えば0.1〜5MPa)、特には0.5〜5MPaの加圧下である。波長変換シートを光半導体素子の上に接着する方法は、公知の接着剤を使用して行えばよく、該接着剤としては例えばLPS−8443(信越化学工業(株)製)などが使用可能である。
また、本発明の成形物により光半導体装置を封止することもできる。当該封止方法は、光半導体素子の種類に応じた公知の方法を採用すればよい。例えば、銀メッキしたリードフレームを封止する場合、銀メッキしたリードフレームは上記シリコーン樹脂組成物の濡れ性を高めるため、予め表面処理をしておくことが好ましい。このような表面処理は、作業性や設備の保全等の観点から、紫外線処理、オゾン処理、プラズマ処理等の乾式法が好ましく、特にプラズマ処理が好ましい。また、プレモールドパッケージの材質は、シリコーン樹脂組成物の相溶性を高めるため、プレモールドパッケージ中のシリコーン成分の含有量が全有機成分の15質量%以上とすることが好ましい。ここにいうシリコーン成分とは、Si単位を有する化合物及びそのポリマーと定義されるものであり、シリコーン成分が全有機成分の15質量%未満であると、シリコーン樹脂組成物との相溶性が低下するため、樹脂封止する際シリコーン樹脂組成物とプレモールドパッケージ内壁との間に隙間(空泡)が生じてしまい、クラックの入り易い光半導体装置になってしまうため好ましくない。
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例において重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量であり、下記条件で測定したものである。
[測定条件]
展開溶媒:THF
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolomn SuperH−L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL(濃度0.5重量%のTHF溶液)
[合成例1]
フラスコにトルエン2000g、水3149g、12M−HCl 2611gを加え、シクロヘキシルトリメトキシシラン1226g(6.00mol)、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン1256g(6.67mol)、ビニルジメチルクロロシラン40.2g(0.33mol)、ビニルメチルジクロロシラン46.5g(0.33mol)、トルエン440gを混合したものを滴下した。滴下終了後3時間攪拌し、廃酸分離し水洗した。無機合成吸着剤であるキョーワード(登録商標)2200(協和化学(株)製)100gを加えて共沸脱水した後、加圧濾過および減圧留去を行い、下記構造式で示されるシクロヘキシル基含有ビニルシリコーンレジンを得た。該シリコーンレジン中のシクロヘキシル基含有量は58.0質量%であり、ビニル基含有量は0.052mol/100gであった。THFを溶媒として用いたGPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量は12000であった。また、29Si-NMR測定により求められたSi原子に結合しているOX基の量(即ち、SiOH基とSiOCH基の合計量)は2.3mol%であった。
Figure 0005578685
式中、Xはメチルまたは水素原子であり、k=2.96(平均値)であり、j=1.96(平均値)である化合物の混合物。
[合成例2]
フラスコにトルエン2000g、水3101g、12M−HCl 2611gを加え、シクロヘキシルトリメトキシシラン1226g(6.00mol)、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン1256g(6.67mol)、ジメチルクロロシラン63.38g(0.67mol)、トルエン394gを混合したものを滴下した。滴下終了後3時間攪拌し、廃酸分離し水洗した。キョーワード(登録商標)2000(協和化学(株)製)100gを加えて共沸脱水した後、加圧濾過および減圧留去を行い、下記構造式で示されるシクロヘキシル基含有ハイドロジェンシリコーンレジンを得た。該シリコーンレジン中のシクロヘキシル基含有量は58.4質量%であり、SiH基含有量は0.051mol/100gであった。THFを溶媒として用いたGPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量は13000であった。また、29Si-NMR測定により求められたSi原子に結合しているOX基の量(即ち、SiOH基とSiOCH基の合計量)は2.1mol%であった。
Figure 0005578685
式中、Xはメチルまたは水素原子であり、k=2.96(平均値)であり、j=1.97(平均値)である化合物の混合物。
[合成例3]
ビニルメチルジメトキシシラン158.01g(1.195mol)、シクロヘキシルトリメトキシシラン712.70g(3.585mol)、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン525.51g(2.385mol)、IPA1500mlを仕込み、25wt%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液49.20g、水444gを混合し加え、3時間攪拌した。トルエンを加え、リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和し、水洗を行い、減圧留去を行い、下記構造式で示される接着付与剤を得た。該シリコーンレジン中のシクロヘキシル基含有量は34.1質量%であった。THFを溶媒として用いたGPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量は4000であった。また、29Si-NMR測定により求められたSi原子に結合しているOX基の量(即ち、SiOH基とSiOCH基及びSiOCH(CH)基の合計量)は1.8mol%であった。
Figure 0005578685
上記式で示され、k=2.97(平均値)、j=1.98(平均値)、R=H、メチル、またはイソプロピルである化合物の混合物。
[合成例4]
フラスコにトルエン2000g、水5317g、12M−HCl 2611gを加え、シクロヘキシルトリメトキシシラン1226g(6.00mol)、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン2512g(13.34mol)、ビニルジメチルクロロシラン40.2g(0.33mol)、ビニルメチルジクロロシラン46.5g(0.33mol)、トルエン440gを混合したものを滴下した。滴下終了後3時間攪拌し、廃酸分離し水洗した。キョーワード(登録商標)2200(協和化学(株)製)100gを加え、共沸脱水した後に、加圧濾過および減圧留去を行い、下記構造式で示されるシクロヘキシル基含有ビニルシリコーンレジンを得た。該シリコーンレジン中のシクロヘキシル基含有量は58.1質量%であった。THFを溶媒として用いたGPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量は16000であった。また、29Si-NMR測定により求められたSi原子に結合しているOX基の量(即ち、SiOH基とSiOCH基の合計量)は1.7mol%であった。
Figure 0005578685
式中、Xはメチルまたは水素原子であり、k=2.97(平均値)であり、j=1.97(平均値)である化合物の混合物。
[合成例5]
フラスコにトルエン2000g、水5317g、12M−HCl 2611gを加え、シクロヘキシルトリメトキシシラン1226g(6.00mol)、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン2512g(13.34mol)、ジメチルクロロシラン63.4g(0.67mol)、トルエン394gを混合したものを滴下した。滴下終了後3時間攪拌し、廃酸分離し水洗した。キョーワード(登録商標)2000(協和化学(株)製)100gを加え、共沸脱水した後に加圧濾過および減圧留去を行い、下記構造式で示されるシクロヘキシル基含有ハイドロジェンシリコーンレジンを得た。該シリコーンレジン中のシクロヘキシル基含有量は58.5質量%であり、THFを溶媒として用いたGPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量は11000であった。29Si-NMR測定により求められたSi原子に結合しているOX基の量(即ち、SiOH基とSiOCH基の合計量)は2.0mol%であった。
Figure 0005578685
式中、Xはメチルまたは水素原子であり、k=2.96(平均値)であり、j=1.96(平均値)である化合物の混合物。
[合成例6]
フェニルトリクロロシラン1142.1g(87.1mol%)、ClMeSiO(MeSiO)33SiMeCl:529g(3.2mol%)、メチルビニルジクロロシラン84.6g(9.7mol%)をトルエン溶剤に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、フェニル基含有ビニルシリコーンレジンを得た。THFを溶媒として用いたGPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量は62000であった。29Si-NMR測定により求められたSiOH量は2.1mol%であった。
[合成例7]
フェニルトリクロロシラン1142.1g(87.1mol%)、ClMeSiO(MeSiO)33SiMeCl:529g(3.2mol%)、メチルジクロロシラン69g(9.7mol%)をトルエン溶剤に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、フェニル基含有ハイドロジェンシリコーンレジンを得た。THFを溶媒として用いたGPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量は58000であった。29Si-NMR測定により求められたSiOH量は2.0mol%であった。
[合成例8]
フェニルトリクロロシラン1142.1g(87.1mol%)、ClMeSiO(MeSiO)33SiMeCl:529g(3.2mol%)、ジメチルビニルクロロシラン72.3g(9.7mol%)をトルエン溶剤に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、フェニル基含有ビニルシリコーンレジンを得た。THFを溶媒として用いたGPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量は63000であった。29Si-NMR測定により求められたSiOH量は1.8mol%であった。
[合成例9]
フェニルトリクロロシラン1142.1g(87.1mol%)、ClMeSiO(MeSiO)33SiMeCl:529g(3.2mol%)、ジメチルクロロシラン56.7g(9.7mol%)をトルエン溶剤に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、フェニル基含有ハイドロジェンシリコーンレジンを得た。THFを溶媒として用いたGPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量は57000であった。29Si-NMR測定により求められたSiOH量は2.2mol%であった。
[実施例1]
合成例1で調製したシクロヘキシル基含有ビニルレジン100g、合成例2で調製したシクロヘキシル基含有ハイドロジェンシリコーンレジン100g、塩化白金酸のビニルシリコーン変性溶液(白金濃度1質量%)0.2g、酸化防止剤としてアデカスタブAO−60(旭電化株式会社製)0.1g、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール0.6g、合成例3で調製した接着付与剤6.0g、及び450nmの波長を励起するアルカリ土類金属ケイ酸塩系蛍光体10gを加えて混合して、シリコーン樹脂組成物を調製した。該シリコーン樹脂組成物中のシクロアルキル基の含有量は54.4質量%であった。該シリコーン樹脂組成物をコンプレッション成形機にて150℃、5分で圧縮成形し、その後150℃のオーブンにて5分間加熱して硬化し、縦150mm×横150mm×厚み0.1mmを有するフィルム状成形物1を製造した。
[実施例2]
合成例4で調製したシクロヘキシル基含有ビニルレジン100gと合成例5で調製したシクロヘキシル基含有ハイドロジェンシリコーンレジン100gを使用した以外は実施例1と同じ方法によりシリコーン樹脂組成物を調製した。該シリコーン樹脂組成物中のシクロアルキル基の含有量は54.7質量%であった。実施例1と同じ方法により縦150mm×横150mm×厚み0.1mmを有するフィルム状成形物2を製造した。
上記成形物1及び2について、下記の評価試験をおこなった。結果を表1に示す。
硬さ(ShoreD)
各フィルム状成形物の硬さ(ShoreD)をJIS K 6253に準拠して測定した。
引張強さ
各フィルム状成形物を厚さ1mmになるように積層成形し、該成形物の引張強さをJIS K 6251に準拠して測定した。
伸び率
各フィルム状成形物を厚さ1mmになるように積層成形し、該成形物の伸び率をJIS K 6251に準拠して測定した。
水蒸気透過性
上記厚さ1mmの積層成形物の透湿度(水蒸気透過性)をJIS K 7129に準拠してLyssy法(装置名 Lyssy社 L80−5000)により測定した。
蛍光体の分散度合い
上記縦150mm×横150mm×厚み0.1mmを有するフィルム状成形物をセラミック基板上に圧着し、次いでダイサーで該成形物を縦に切った。顕微鏡を用いて該切断面を目視にて観察し、該成形物上下の蛍光体の分散度合いを評価した。
耐高温高湿性
上記縦150mm×横150mm×厚み0.1mmを有するフィルム状成形物を85℃/85RH%の高温高湿オーブン中に1週間放置し、放置前後での該成形物の重量変化の値から吸湿率を測定した。
[実施例3]
合成例1で調製したシクロヘキシル基含有ビニルレジン100g、合成例2で調製したシクロヘキシル基含有ハイドロジェンシリコーンレジン100g、塩化白金酸のビニルシリコーン変性溶液(白金濃度1質量%)0.2g、酸化防止剤としてアデカスタブAO−60(旭電化株式会社製)0.1g、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール0.6g、合成例3で調製した接着付与剤6.0gを加えて混合した。得られたシリコーン樹脂組成物中のシクロアルキル基の含有量は57.2質量%であった。該シリコーン樹脂組成物をコンプレッション成形機にて150℃、5分で圧縮成形し、その後150℃のオーブンでさらに5分間加熱して硬化し、縦150mm×横150mm×厚み0.1mmを有するフィルム状成形物3を得た。該フィルム状成形物の硬さ、引張強さ、伸び率、水蒸気透過性、及び耐高温高湿性を実施例1及び2と同じ方法により測定した。結果を表1に示す。
[比較例1]
(1)ポリシロキサン(VF):
Figure 0005578685
(2)ビニルメチルシロキサン(VMQ):SiO単位50モル%、(CHSiO0.5単位42.5モル%及びViSiO0.5単位7.5モル%からなるレジン構造を有するビニルメチルシロキサン。
(3)ハイドロジェンポリシロキサン(HDM):
Figure 0005578685
上記ビニルメチルシロキサン75g、ポリシロキサン(VF)25g、ハイドロジェンポリシロキサン1.5gを用い、酸化防止剤としてアデカスタブAO−60(旭電化株式会社製)0.1g、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール0.6g、合成例3で調製した接着付与剤6.0g、及び450nmの波長を励起するアルカリ土類金属ケイ酸塩系蛍光体10gを加えて混合してシリコーン樹脂組成物を調製した。実施例1と同じ方法により縦150mm×横150mm×厚み0.1mmを有するフィルム状成形物を製造した。該成形物の各物性を実施例と同じ方法により評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
合成例6で得られたフェニル基含有ビニルレジン189g、合成例7で得られたフェニル基含有ハイドロジェンシリコーンレジン189g、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール0.2g、塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金濃度1質量%)0.1gを加えてベース組成物を調製した。該ベース組成物に酸化防止剤としてIrganox1076(BASFジャパン株式会社製)0.1g、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール0.6g、合成例3で調製した接着付与剤6.0g、及び450nmの波長を励起するアルカリ土類金属ケイ酸塩系蛍光体10gを加えて混合し、シリコーン樹脂組成物を調製した。該シリコーン樹脂組成物をコンプレッション成形機にて150℃、5分で圧縮成形し、その後150℃のオーブンにて5分間加熱して硬化し、縦150mm×横150mm×厚み0.1mmを有するフィルム状成形物を製造した。該成形物の各物性を実施例と同じ方法により評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
合成例8で得られたフェニル基含有ビニルレジン189g、合成例9で得られたフェニル基含有ハイドロジェンシリコーンレジン189g、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール0.2g、塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金濃度1質量%)0.1gを加えてベース組成物を調製した。該ベース組成物に酸化防止剤としてアデカスタブAO−60(旭電化株式会社製)0.1g、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール0.6g、合成例3で調製した接着付与剤6.0g、及び450nmの波長を励起するアルカリ土類金属ケイ酸塩系蛍光体10gを加えて混合し、シリコーン樹脂組成物を調製した。実施例1と同じ方法により縦150mm×横150mm×厚み0.1mmを有するフィルム状成形物を製造した。該成形物の各物性を実施例と同じ方法により評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005578685
上記実施例1、2及び比較例1、2のフィルム状成形物を波長変換シートとして使用した例を以下に示す。
LED装置の作製
底面に厚さ2μmの銀メッキを施した銅製リードフレームを配したカップ状のLED用プレモールドパッケージ(3mm×3mm×1mm、開口部の直径2.6mm)に対し、減圧下でArプラズマ(出力100W、照射時間10秒)処理を行い、該底面の該リードフレームにInGaN系青色発光素子の電極を、銀ペースト(導電性接着剤)を用いて接続すると共に、該発光素子のカウンター電極を金ワイヤーにてカウンターリードフレームに接続し、KJR−9022X−5(信越化学工業(株)製 メチル系シリコーン樹脂)をパッケージ開口部に充填し、60℃で1時間、更に150℃で4時間硬化させて封止した。その後、各波長変換シートを150℃、5分で圧縮成形し、その後150℃、1hrで二次硬化した。最後にダイシングしてLED装置を各10個作成した。
上記LED装置に25mAの電流を流して点灯させながら、85℃85RH%の雰囲気下で500時間放置してLED点灯試験を行った。パッケージ界面の接着不良、クラックの有無を目視にて観察した。接着不良またはクラックが発生した試験体の個数を表2に示す。また、浜松ホトニクス(株)製 LED全光束・効率測定装置C9929−22を用い、点灯試験前後での全光束(lm/w)の低下率(輝度劣化率)を測定した。結果を表2に示す。表2において輝度低下率(%)は、点灯試験前の全光束を100%とした時の点灯試験後の全光束(%)である。
Figure 0005578685
表1および表2に示すように、本発明の成形物は透湿性が低く、耐高温高湿性に優れ、かつ、蛍光体の分散性に優れていた。本発明の成形物を波長変換シートとして使用した光半導体装置は、高温高湿下で長時間保存した後の蛍光体の劣化が抑制され、また、剥離及びクラックを生じることもなかった。
本発明の成形物はガス透過性が低いため、防湿用部材や被覆シートとして好適に使用できる。特に、本発明の成形物は光半導体装置の為の波長変換シートとして好適に使用することができ、本発明の成形物を波長変換シートとして使用することにより、蛍光体の吸湿劣化防止に優れた信頼性の高い光半導体装置を提供することができる。

Claims (13)

  1. シリコーン樹脂組成物から製造されるシート状またはフィルム状の成形物であって、前記シリコーン樹脂組成物が下記(A)〜(C)成分及び(F)成分を含有する、成形物
    (A)下記平均組成式(1)で示されるシリコーン樹脂 30〜95質量部、
    [化1]
    (OX) SiO (4−a−b−c―d)/2 (1)
    (式中、R は炭素数4〜8のシクロアルキル基であり、R はシクロアルキル基及びアルケニル基でない、置換もしくは非置換の、炭素数1〜10の一価炭化水素基であり、R は炭素数2〜8のアルケニル基であり、a、b、cおよびdは、それぞれa>0、b>0、c>0、及びd>0であり、a+b+c+d=1.0〜2.0を満たす数であり、Xは、置換もしくは非置換の、炭素数1〜8の一価炭化水素基、または水素原子である)
    (B)下記平均組成式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン 5〜70質量部、
    [化2]
    (OX) SiO (4−e−f−g−h)/2 (2)
    (式中、R 、R 及びXは上記記載のとおりであり、e、f、gおよびhは、それぞれe>0、f>0、g>0、及びh>0であり、e+f+g+h=1.0〜2.0を満たす数である)
    (但し、(A)成分と(B)成分の合計質量は100質量部である)
    (C)付加反応触媒 (A)及び(B)成分の合計100質量部に対し有効成分量(質量)で0.0001〜0.5質量部となる量、及び
    (F)光励起材料 シリコーン樹脂組成物全体の質量に対して0.1〜80質量%。
  2. シリコーン樹脂組成物が、(D)酸化防止剤を(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対し0.001〜10質量部でさらに含有する、請求項に記載の成形物。
  3. シリコーン樹脂組成物が、(E)接着付与剤を(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対し0.1〜10質量部でさらに含有する、請求項またはに記載の成形物。
  4. シリコーン樹脂組成物の合計質量に対しシクロアルキル基の含有量が10質量%以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載の成形物。
  5. (A)シリコーン樹脂が、R SiO 3/2 単位、R SiO 2/2 単位及びR SiO 1/2 単位(式中、R は炭素数2〜8のアルケニル基であり、R は、炭素数4〜8のシクロアルキル基、またはシクロアルキル基及びアルケニル基でない、置換もしくは非置換の、炭素数1〜10の一価炭化水素基、あるいは、水酸基あるいはアルコキシ基であり、kは0又は1、pは1又は2の整数であり、但しk+p=2であり、qは1〜3、rは0〜2の整数であり、但しq+r=3である)からなるレジン構造を有するオルガノポリシロキサンである、請求項1〜4のいずれか1項記載の成形物。
  6. (A)シリコーン樹脂が、請求項5記載のレジン構造を有するオルガノポリシロキサンと、直鎖状オルガノポリシロキサンとの混合物であり、レジン構造を有するオルガノポリシロキサンを混合物中に20〜95質量%で含む、請求項5記載の成形物。
  7. 光励起材料が蛍光体である、請求項1〜のいずれか1項に記載の成形物。
  8. 光励起材料が波長400nm以上の光を励起する、請求項1〜のいずれか1項に記載の成形物。
  9. JIS K 7129に準拠したLyssy法による厚さ1mm以上での水蒸気透過率が20g/m・day以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の成形物。
  10. 請求項のいずれか1項に記載の成形物を波長変換シートとして使用する方法。
  11. 請求項1〜のいずれか1項に記載の成形物を防湿用部材として使用する方法。
  12. 請求項1〜のいずれか1項に記載の成形物を備えた光半導体装置。
  13. 請求項1〜のいずれか1項に記載の成形物を光半導体素子の上に圧着または接着させた光半導体装置。
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