JP5648269B2 - ポリイミド管状成型体およびその製造方法、中間転写ベルト、定着ベルト、ならびに画像形成装置 - Google Patents
ポリイミド管状成型体およびその製造方法、中間転写ベルト、定着ベルト、ならびに画像形成装置 Download PDFInfo
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かかる中間転写ベルトは、例えばポリフッ化ビニリデン(例えば、特許文献1参照)、ポリカーボネート(例えば、特許文献2参照)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体とポリカーボネートとのブレンド(例えば、特許文献3参照)などの熱可塑性樹脂にカーボンブラック等の導電剤を分散させた導電性無端ベルトが提案されている。
また中間転写ベルト外周面の表面抵抗率を8LogΩ/□以上12LogΩ/□以下、内周面の表面抵抗率を5LogΩ/□以上10LogΩ/□以下とする技術が開示されている(例えば、特許文献5参照)。また、中間転写体の表面抵抗率を10LogΩ/□以上14LogΩ/□以下、体積抵抗率を13LogΩ・cm以下とし、かつ表面抵抗率を10XΩ/□、体積抵抗率を10YΩ・cmで表したときX≦Yとする技術が開示されている(例えば、特許文献6参照)。
請求項1にかかる発明は、
ポリイミド樹脂およびイミド化反応を促進する化合物としてオキシカルボン酸誘導体を含む第1の層と、
前記第1の層上に、ポリイミド樹脂を含む第2の層と、
を備え、
ポリイミド樹脂前駆体、イミド化反応を促進する化合物としてオキシカルボン酸誘導体、および有機溶剤を含む第1のポリイミド樹脂前駆体組成物を塗布した後、乾燥して、前記有機溶剤を残した状態で第1の乾燥膜を形成し、
前記第1の乾燥膜上に、ポリイミド樹脂前駆体および有機溶剤を含み、イミド化反応を促進する化合物を含まない第2のポリイミド樹脂前駆体組成物を塗布した後、乾燥して第2の乾燥膜を形成し、
前記第1の乾燥膜及び第2の乾燥膜を加熱し、イミド化反応させて前記第1の層及び第2の層を形成したポリイミド管状成型体である。
円筒状金型外面に、ポリイミド樹脂前駆体、イミド化反応を促進する化合物としてオキシカルボン酸誘導体、および有機溶剤を含む第1のポリイミド樹脂前駆体組成物を塗布し、200℃以下の温度で加熱処理して、前記有機溶剤を残した状態で基材層となる第1の乾燥膜を形成する工程と、
前記基材層となる第1の乾燥膜上に、ポリイミド樹脂前駆体および有機溶剤を含み、イミド化反応を促進する化合物を含まない第2のポリイミド樹脂前駆体組成物を塗布し、200℃以下の温度で加熱処理をして、表面層となる第2の乾燥膜を形成する工程と、
前記基材層となる第1の乾燥膜および表面層となる第2の乾燥膜を、200℃を超える温度で加熱処理して、基材層および表面層を形成する工程と、
を備えたポリイミド管状成型体の製造方法である。
請求項1にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、2つのポリイミド層間の界面の乱れが抑制される、といった効果を奏する。
請求項1にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、製造適性に優れる、といった効果を奏する。
請求項2にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、抵抗特性の乱れが抑制される、といった効果を奏する。
請求項5にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、中間転写ベルトの抵抗特性の乱れに起因する画質欠陥の発生が抑制される、といった効果を奏する。
請求項7にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、2つのポリイミド層間の界面の乱れに起因する定着ムラの発生が抑制される、といった効果を奏する。
請求項8にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、2つのポリイミド層間の界面の乱れに起因する定着ムラの発生が抑制される、といった効果を奏する。
[ポリイミド管状成型体]
第1実施形態のポリイミド管状成型体は、ポリイミド樹脂およびイミド化反応を促進する化合物を含む第1の層と、前記第1の層上に積層され、ポリイミド樹脂を含む第2の層とを備える。前記第1の層は、例えば、基材層を構成し、前記第2の層は、例えば、表面層を構成する。
前記第1の層がポリイミド樹脂およびイミド化反応を促進する化合物を含むことで、第2の層を形成する際に第1の層との界面の乱れが抑制され、さらに熱収縮による影響が緩和され、断層化が抑制された積層体が形成される。
なお、第1実施形態のポリイミド管状成型体は、ポリイミド樹脂前駆体、イミド化反応を促進する化合物としてオキシカルボン酸誘導体、および有機溶剤を含む第1のポリイミド樹脂前駆体組成物を塗布した後、乾燥して、有機溶剤を残した状態で第1の乾燥膜を形成し、第1の乾燥膜上に、ポリイミド樹脂前駆体および有機溶剤を含み、イミド化反応を促進する化合物を含まない第2のポリイミド樹脂前駆体組成物を塗布した後、乾燥して第2の乾燥膜を形成し、第1の乾燥膜及び第2の乾燥膜を加熱し、イミド化反応させて第1の層及び第2の層を形成したポリイミド管状成型体が適用される。
ポリアミック酸の製造に用いられ得るテトラカルボン酸二無水物としては、特に制限はなく、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も使用できる。
次にポリアミック酸の製造に用いられ得るジアミン化合物は、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物であれば特に限定されない。
これらのジアミン化合物は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリアミック酸としては、成型体の強度の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族系ジアミンとを含むものが好ましい。
このポリアミック酸の生成反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエン等の芳香族炭化水素も使用可能である。溶媒は、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されない。
ポリアミック酸溶液の固形分濃度は特に規定されるものではないが、例えば5質量%以上50質量%以下が好ましく、さらに10質量%以上30質量%以下が好ましい。
ポリアミック酸重合時の反応温度としては、例えば0℃以上80℃以下の範囲で行われる。
イミド化反応を促進する化合物は、3級アミン化合物単独、3級アミン化合物と脱水剤との組み合わせ、および、オキシカルボン酸誘導体から選ばれることが望ましい。
3級アミン化合物(以下、単に「3級アミン」ということがある)は、イミド化反応の触媒として働くものであり、例えば、ピリジン、ピコリン、コリジン、ルチジン、キノリン、イソキノリン、およびトリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができるが、中でもピリジン、ピコリン、キノリン、イソキノリン、およびトリエチルアミンから選ばれる1種又は2種以上を好適に使用することができる。
脱水剤は、イミド化反応時の脱水剤として働き、イミド化反応を促進するものである。脱水剤としては、1価のカルボン酸無水物であれば特に限定はされず、無水酢酸、プロピオン酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、プロピオン酸無水物、ブタン酸無水物及びシュウ酸無水物などが挙げられ、これらの中でも無水酢酸が好適である。これらは、1種類又は2種類以上用いてもよい。
本実施形態にかかるオキシカルボン酸誘導体としては、下記一般式(2)、(3)または(4)で示される化合物が例示される。
かかる化合物は、ポリアミック酸組成物中に添加することで、乾燥・焼成工程時のポリアミック酸脱水閉環反応を促進する作用を及ぼす。
このうち、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、4−ヒドロキシナフトエ酸、5−ヒドロキシナフトエ酸、等が好適に使用される。
このうち、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−スルホニル安息香酸、4−アミノナフトエ酸、4−スルホニルナフトエ酸等が好適に使用される。
このうち、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、3−ヒドロキシスルホン酸、4−ヒドロキシスルホン酸等が好適に使用される。
本実施形態に用いられるポリアミック酸組成物の溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエン等の芳香族炭化水素も使用可能である。溶媒は、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されない。
導電剤としては、導電性(例えば体積抵抗率107Ω・cm未満、以下同様である)もしくは半導電性(例えば体積抵抗率107Ω・cm以上1013Ω・cm以下、以下同様である)の粉末(1次粒径が10μm未満の粒子の粉末が好ましく、さらに望ましくは1次粒径が1μm以下の粒子の粉末)が使用でき、所望の電気抵抗を安定して得ることができれば、導特に制限はないが、ケッチエンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示できる。そしてこれらを単独、あるいは併用して使用してもよい。これらのなかでもpH5以下の酸性カーボンブラックを添加することが望ましい。
酸性カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して製造することができる。この酸化処理は、高温(例えば、300℃以上800℃以下)雰囲気下で、空気と接触され、反応させる空気酸化法、常温(例えば25℃、以下同様)下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、及び高温(例えば、300℃以上800℃以下)下での空気酸化後、低い温度(例えば、20℃以上200℃以下)下でオゾン酸化する方法などにより行うことができる。
分散剤としては、低分子量/高分子量又は、カチオン系/アニオン系/非イオン系から選ばれるいずれの種類の分散剤を使用することもできる。分散剤として非イオン系高分子を使用することが望ましい。ポリビニルピロリドン、ポリリン酸類が好適に使用しえる。
非イオン系高分子としては、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピペリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられ、単独又は複数の非イオン系高分子を添加することができる。本発明においては、カーボンブラックの分散性がより高まることから、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)を含むことが望ましい。
また前記第2の層における導電剤の含有量は、第1の層における導電剤の含有量と異なることが望ましい。第1の層における導電剤の含有量を第2の層における導電剤の含有量に対して、例えば1質量%以上10質量%多くすることが望ましい。
以下、第2実施形態である上記ポリイミド樹脂の前駆体としてのポリアミック酸組成物を用いたポリイミド管状成型体の製造方法の一例について詳細に説明する。
まず、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を有機溶媒中で重合反応させて得られたポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸溶液をメタノールなどの貧溶媒中に添加してポリアミック酸を析出させ再沈殿精製する。析出したポリアミック酸をろ別した後、γ−ブチロラクトンなどの溶媒に再溶解させ、ポリアミック酸溶液を得る。
上記工程によってポリアミック酸組成物(A)を調製する。
上記ポリアミック酸組成物(A)の製造方法と同様にして得られるポリアミック酸溶液にカーボンブラックなどの導電剤をポリアミック酸樹脂の乾燥質量100質量部に対して合計5質量部以上60質量部以下含有せしめる。かかるカーボンブラックなどの導電剤の配合量は、ポリアミック酸組成物(A)に比べて、少なくする。
上記工程にて得られたポリアミック酸組成物(A)を金型の外面に塗布する。金型としては、円筒形金型が好ましく、金型の代わりに、樹脂製、ガラス製、セラミック製など、従来既知の様々な素材の成形型が、本実施形態に係る成形型として良好に動作し得る。また、成形型の表面にガラスコートやセラミックコートなどを設けること、また、シリコーン系やフッ素系の剥離剤を使用することも選択されうる。更に、円筒金型に対するクリアランス調整がなされた膜厚制御用金型を、円筒金型に通し金型外面に沿って移動させることで、余分な溶液を排除し円筒金型上の溶液の厚みを調整する。円筒金型上への溶液塗布の段階で、溶液の厚み制御がなされていれば、特に膜厚制御用金型を用いなくてもよい。
次に、上記工程にて得られた第1の層外表面にポリアミック酸組成物(B)を塗布する。塗布方法としては、第1の層形成に用いられた装置、条件を使用する。
更に、第1の層と第2の層とが形成された金型を温度200℃以上400℃以下で加熱し、イミド化反応を進行させる。イミド化反応の温度は、原料のテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類によって、それぞれ異なるが、イミド化反応が完結する温度に設定しなければならない。
その後、金型から樹脂を取り外し、目的のポリイミド管状成型体を得られる。
なお、「ベルトの厚み」とは、ベルトと5mm2以上の面積で接触した平板間の距離を測定する厚み計で測定される厚みのことであり、ベルト表面に特異的に存在する幅50μm以下の突起物の高さを無視したものである。
また、ポリイミド管状成型体の厚さは、ベルトの用途を考慮すると、ベルトの厚みは10μm以上1000μm以下であり、30μm以上150μm以下であることが望ましい。
図1は、第4実施形態または第7実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。第4実施形態に係る画像形成装置は、第3実施形態にかかる中間転写ベルトとして、上記第1実施形態に係るポリイミド管状成型体を適用した形態である。また、第7実施形態に係る画像形成装置は、第6実施形態にかかる定着装置が備える第5実施形態にかかる定着ベルトとして、上記第1実施形態に係るポリイミド管状成型体を適用した形態である。
さらに、第4実施形態または第7実施形態にかかる画像形成装置に、搬送ベルトとして、上記第1実施形態に係るポリイミド管状成型体を適用してもよい。
次に、第6実施形態である定着装置の一例について説明する。定着装置としては、種々の構成があり、以下に、第5実施形態に係る定着ベルトを備える定着装置として、加熱源を有する加熱ロールと圧力パッドが押圧された加圧ベルトと備えた定着装置と、加熱源が押圧された加熱ベルトと加圧ロールと備えた定着装置とを説明する。これらの定着装置における加熱ベルト、加圧ベルトとして上記第1実施形態に係るポリイミド管状成型体が適用される。なお、摺動シートとして上記第1実施形態に係るポリイミド管状成型体を適用してもよい。
なお、上記定着装置60と同様な構成については、同様の符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
(合成例1:ポリアミック酸溶液の調製)
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコ中に、五酸化リンによって乾燥した窒素ガスを通じ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(0.1モル)とN−メチル−2−ピロリドン117.68gを注入した。十分攪拌・溶解した後、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル20.02g(0.1モル)をN−メチル−2−ピロリドン80.08gに溶解させた溶液を10℃に保持したフラスコ内に徐々に滴下した。ジアミン溶液滴下後10℃以上15℃以下にて攪拌・重合を行った。
反応溶液を大量のメタノール中に注ぎ、再沈殿精製を行った。析出した白色ポリマーをろ別・乾燥した後、N−メチル−2−ピロリドンに再溶解させて、固形分濃度20質量%のポリアミック酸溶液(PAA−1)を得た。
ポリアミック酸溶液(PAA−1)200g中に、β−ピコリン4.0g(ポリアミック酸に対して10質量%)を加えて溶解させた後、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH4.0、揮発分:14.0%)6.0gを添加して、ボールミルにて6時間で処理して、カーボンブラック分散ポリアミック酸組成物(A−1)を得た。
ポリアミック酸溶液(PAA−1)200g中に乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH4.0、揮発分:14.0%)8.0gを添加して、ボールミルにて6時間で処理して、カーボンブラック分散ポリアミック酸組成物(B−1)を得た。
乾燥後の基材層の一部を長さ1cm、幅1cmに切り取り、イミド化率の測定に用いた。
乾燥後の膜の一部を長さ1cm、幅1cmに切り取り、基材層を剥離して、イミド化率の測定に用いた。
得られたポリイミド管状成型体につき、以下の評価を行なった。結果を表1に示す。
基材層、表面層形成(乾燥処理後)の際の残留溶媒含率を重量法にて測定して求めた。
得られたポリイミド管状成型体から試験片を切り出しFT−IR(堀場製作所製顕微FT−IR分光器FT−530)により測定を行った。400℃焼成品をイミド化率100%として、1776cm−1のイミド基に由来するカルボニル基の伸縮ピークと1500cm−1の芳香環の振動ピークとの比により求めた。
得られたポリイミド管状成型体から、長さ10cm、幅10cmの試験片をランダムに10箇所切りだし、フィルム厚み計(TECLOCK CORPORATION製定圧厚さ測定器PG−02)を用いて、各試料で中心と四隅の5点の厚みを測定し、それらの平均値をベルト厚みとした。
引張り強度は、引張り試験機(アイコーエンジニアリング株式会社製1605N)にて測定した。打ち抜き成型機を使用して、長さ100mm、幅5mmの試験片を作製し、40mm長で引張り試験を行った。
得られたポリイミド管状成型体の外観を、目視観察し、以下の評価基準で評価を行った。
○:まったくボイドの発生が見られず、膜の均一性に優れる。
○△:ボイドの発生がやや見られるが、実用には問題ない。
△:ボイドの発生が見られ、実用にはやや支障がある。
×:ボイドが多発し、実用できない。
得られたポリイミド管状成型体から10×10cm2の試験片を切りだし、その管状成型体内面と外面について以下の手順で表面抵抗率を求めた。測定は、前述の試験片を円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧100V印加して10秒後の電流値をアドバンテスト社製R8340Aを用いて測定し、その電流値から無端ベルト外周面/内周面の表面抵抗率(ρs)を算出し、その値から表面抵抗率の常用対数値(log(ρs)(logΩ))を算出しその管状成型体内面と外面抵抗値を測定した。
得られたポリイミド管状成型体から、200mm×200mmの試料片を切り出した。富士ゼロックス社製電子写真装置DocuCentreColor400CP中間転写ベルトから200mm×200mmベルト片を切り出して、代わりに先の試料片を組み込んだ。テストパターンでの通紙試験を行って、初期複写画質について通常搭載ベルト部との比較評価を行った。複写画質の評価項目として、ウロコ状濃度ムラの有無、白点の有無、を評価した。また、50000枚通紙テスト後の画質を同様に評価した。
○:ウロコ状濃度ムラが発生せず
△:ウロコ状濃度ムラが印字画素面積中10%以内に発生する
×:ウロコ状濃度ムラが印字画素面積中10%以上に発生する
○:白点が発生せず
△:白点が印字画素面積中10%以内に発生する
×:白点が印字画素面積中10%以上に発生する
実施例1におけるポリアミック酸組成物(A−1)の調製において、イミド化反応を促進する化合物の種類および配合量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてポリイミド管状成型体を作製した。作製したポリイミド管状成型体について、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例1におけるポリアミック酸組成物(A)の調製において、イミド化反応を促進する化合物を配合しなかった以外は実施例1と同様にしてポリイミド管状成型体を作製した。作製したポリイミド管状成型体について、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例1で調製したポリアミック酸組成物(A)の調製において、イミド化反応を促進する化合物を配合しなかった以外は実施例1と同様にして調製したポリアミック酸組成物(A-6)を用い、ポリアミック酸組成物(B)を用いずに、積層構造を有しない、単層ポリイミド成型体を製造した。作製したポリイミド管状成型体について、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表1に示す。
上記の結果より、中間転写ベルトとして、良好な印字画質を達成し得るポリイミド管状成型体は、本発明にかかるもののみであった。
(調製例3:ポリアミック酸組成物(A−7)の調製)
ポリアミック酸溶液(PAA−1)200g中に、β−ピコリン4.0g(ポリアミック酸に対して10質量%)を加えて溶解させて、ポリアミック酸組成物(A−7)を得た。
ポリアミック酸溶液(PAA−1)を、ポリアミック酸組成物(B−2)とした。
乾燥後の基材層の一部を長さ1cm、幅1cmに切り取り、イミド化率の測定に用いた。
乾燥後の膜の一部を長さ1cm、幅1cmに切り取り、基材層を剥離して、イミド化率の測定に用いた。
得られたポリイミド管状成型体につき、以下の評価を行なった。結果を表2に示す。
得られたポリイミド管状成型体から、200mm×200mmの試料片を切り出した。富士ゼロックス社製電子写真装置DocuCentreColor400を用い、図1に示した定着装置である加熱ロール・加圧ベルト方式の定着装置を搭載して、加圧ベルトから200mm×200mmベルト片を切り出して、代わりに先の試料片を組み込んだ。テストパターンでの通紙試験を行って、初期複写画質について通常搭載ベルト部との比較評価を行った。複写画質の評価項目として、こすれ、にじみ、を以下の評価基準にて評価した。また、50000枚通紙テスト後の画質を同様に評価した。
「こすれ」は印字ドットの端部境界部に見られる画素欠陥で、境界部が引きずったように不明瞭になっている欠陥で、用紙進行方向に発生する。
○:こすれが発生せず
△:こすれが印字画素面積中10%以内に発生する
×:こすれが印字画素面積中10%以上に発生する
「にじみ」は方向に関係なく、印字画素に濃度にムラがあることが特徴である。
○:にじみが発生せず
△:にじみが印字画素面積中10%以内に発生する
×:にじみが印字画素面積中10%以上に発生する
14 現像器
15 中間転写体
22 2次転写ロール
25 ロール
35 クリーニング装置
50 給紙部
51 送りローラ
55 搬送ベルト
60 定着装置
Claims (8)
- ポリイミド樹脂およびイミド化反応を促進する化合物としてオキシカルボン酸誘導体を含む第1の層と、
前記第1の層上に、ポリイミド樹脂を含む第2の層と、
を備え、
ポリイミド樹脂前駆体、イミド化反応を促進する化合物としてオキシカルボン酸誘導体、および有機溶剤を含む第1のポリイミド樹脂前駆体組成物を塗布した後、乾燥して、前記有機溶剤を残した状態で第1の乾燥膜を形成し、
前記第1の乾燥膜上に、ポリイミド樹脂前駆体および有機溶剤を含み、イミド化反応を促進する化合物を含まない第2のポリイミド樹脂前駆体組成物を塗布した後、乾燥して第2の乾燥膜を形成し、
前記第1の乾燥膜及び第2の乾燥膜を加熱し、イミド化反応させて前記第1の層及び第2の層を形成したポリイミド管状成型体。 - 前記第1の層および第2の層は、導電剤をさらに含有する請求項1に記載のポリイミド管状成型体。
- 円筒状金型外面に、ポリイミド樹脂前駆体、イミド化反応を促進する化合物としてオキシカルボン酸誘導体、および有機溶剤を含む第1のポリイミド樹脂前駆体組成物を塗布し、200℃以下の温度で加熱処理して、前記有機溶剤を残した状態で基材層となる第1の乾燥膜を形成する工程と、
前記基材層となる第1の乾燥膜上に、ポリイミド樹脂前駆体および有機溶剤を含み、イミド化反応を促進する化合物を含まない第2のポリイミド樹脂前駆体組成物を塗布し、200℃以下の温度で加熱処理をして、表面層となる第2の乾燥膜を形成する工程と、
前記基材層となる第1の乾燥膜および表面層となる第2の乾燥膜を、200℃を超える温度で加熱処理して、基材層および表面層を形成する工程と、
を備えたポリイミド管状成型体の製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載のポリイミド管状成型体を備えた中間転写ベルト。
- 像保持体と、該像保持体を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電された像保持体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記像保持体上の静電潜像をトナー像として顕像化する現像手段と、前記トナー像を中間転写ベルトに転写する一次転写手段と、前記中間転写ベルトに転写されたトナー像を、被転写媒体に転写する二次転写手段と、前記被転写媒体上のトナー像を定着する定着手段と、を備え、
前記中間転写ベルトとして請求項1又は請求項2に記載のポリイミド管状成型体を用いることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のポリイミド管状成型体を備えた定着ベルト。
- 回転駆動する回転体と、
前記回転体に表面が相対的に押し付けられて該回転体との間にシートを挟み込む挟込領域を形成し、前記回転体に従動して回転し、前記挟込領域に導入される前記シートを前記回転体とで搬送する請求項6に記載の定着ベルトと、
前記挟込領域において前記シートにある未定着トナー像を加熱する加熱手段と、
を備えた定着装置。 - 表面に形成される像を保持可能な像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
前記帯電手段により帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像形成手段により前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記現像手段により形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写手段により転写された未定着トナー像を前記シートとしての前記記録媒体に定着させる請求項7に記載の定着装置と、
を備えた画像形成装置。
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