JP2012086482A - シームレスベルトの製造方法 - Google Patents

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義宣 渡辺
Tomoyuki Kasagi
智之 笠置
Kurato Akiba
府統 秋葉
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Abstract

【課題】金型からの剥離性を向上させて、生産性に優れたシームレスベルトの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のシームレスベルトの製造方法は、円筒状の金型内面に、イミド化触媒を実質的に含まない第1のポリアミド酸溶液で塗膜を形成する工程と、この塗膜上に、イミド化触媒を含む第2のポリアミド酸溶液で塗膜を形成する工程と、金型内面に形成された塗膜を加熱する工程とを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、シームレスベルトの製造方法に関する。特に、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の電子写真画像形成装置に用いられるシームレスベルトの製造方法に関する。
電子写真方式で像を形成記録する画像形成装置としては、複写機やレーザープリンタ、ビデオプリンタやファクシミリやこれらの複合機等が知られている。この種の装置では、装置寿命の向上などを目的として、感光ドラム等の像担持体上の像を中間転写ベルトに一旦転写(一次転写)し、それを印刷シート上に転写(二次転写)してから定着を行う中間転写方式が検討されている。また、印刷シートへ転写しつつ、そのシートの搬送も兼ねさせる転写方式も検討されている。中間転写ベルトの他にも、この種の装置では、記録用紙を搬送する搬送用ベルト、記録用紙を移動させながらその記録用紙上の未定着トナー像をその記録用紙上に定着させる定着ベルトが用いられている。これらのシームレスベルトは耐熱性および機械的強度が求められ、例えば、ポリイミド樹脂で形成されている。
シームレスベルトは、例えば、円筒状の金型内にポリアミド酸溶液を供給し、遠心力により金型内面に塗膜を形成した後、加熱により溶剤を除去して閉環イミド化反応を進行させて得られた皮膜を、金型から剥離する方法(遠心成型法)により製造される(例えば、特許文献1参照)。
しかし、金型からの剥離が重く、剥離に時間を要して生産性が低下するという問題がある。無理に剥離すると、得られるシームレスベルト表面に剥離痕が残る、部分的な延びが生じて平滑性を失う等の不具合が生じる場合がある。
特開昭63−311263号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、金型からの剥離性を向上させて、生産性に優れたシームレスベルトの製造方法を提供することにある。
イミド化触媒を用いると、得られるシームレスベルトの機械特性(強度)が向上することが、一般的に知られている。また、得られるシームレスベルトの反りが抑制されることが確認されている。しかし、イミド化触媒を用いると、剥離が重くなる傾向にある。本発明は、このような傾向に着目し、特定の条件下で、イミド化触媒を実質的に含まないポリアミド酸溶液を用いることにより、品質を著しく低下させることなく、優れた剥離性が得られることを見出した。
本発明のシームレスベルトの製造方法は、円筒状の金型内面に、イミド化触媒を実質的に含まない第1のポリアミド酸溶液で塗膜を形成する工程と、この塗膜上に、イミド化触媒を含む第2のポリアミド酸溶液で塗膜を形成する工程と、金型内面に形成された塗膜を加熱する工程とを含む。
好ましい実施形態においては、上記第2のポリアミド酸溶液のイミド化触媒の含有量が、ポリアミド酸を構成するテトラカルボン酸二無水物またはその誘導体の仕込み量1molに対して0.1〜1.0molである。
好ましい実施形態においては、上記ポリアミド酸溶液が導電性フィラーを含む。
本発明の別の局面によれば、シームレスベルトが提供される。このシームレスベルトは、上記製造方法により製造される。
好ましい実施形態においては、耐折度試験による耐屈曲回数が5000回以上である。
本発明によれば、金型からの剥離性を向上させて、生産性に優れたシームレスベルトの製造方法を提供することできる。具体的には、最初に、イミド化触媒を実質的に含まない第1のポリアミド酸溶液で塗膜(外層)を形成し、次いで、イミド化触媒を含む第2のポリアミド酸溶液で塗膜(内層)を形成し、得られた塗膜を加熱することにより、強度の著しい低下、反り量の増加等の不具合を抑制しながら、剥離性に極めて優れ、生産性に優れたシームレスベルトの製造方法を提供することができる。
本発明により得られるシームレスベルトは反りが抑制されていることから、反りが大きくなりやすい広幅、大口径のベルトが用いられる中間転写ベルトとしても、好適に用いられる。具体的には、ベルト端部の反りが原因で、ローラーで駆動させた場合に折れが発生する、ベルト端部の反りが装置内の周辺部品に接触してベルトの破損・亀裂が発生する等の問題が解消される。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
A.製造方法
シームレスベルトは、代表的には、円筒状の金型内にポリアミド酸溶液を供給して金型内面に塗膜を形成した後、加熱により溶剤を除去して閉環イミド化反応を進行させて得られた皮膜を、金型から剥離することにより製造される。本発明のシームレスベルトの製造方法は、円筒状の金型内面に第1のポリアミド酸溶液で塗膜を形成する工程(工程1)と、この塗膜上に第2のポリアミド酸溶液で塗膜を形成する工程(工程2)と、金型内面に形成された塗膜を加熱する工程(工程3)とを含む。以下、各々の工程について説明する。
A−1.工程1
工程1では、円筒状の金型内面に第1のポリアミド酸溶液で塗膜を形成する。ポリアミド酸溶液は、代表的には、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミン化合物との共重合体を含む。
上記テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独で、または、2種以上組み合わせて用いることができる。
上記ジアミン化合物の具体例としては、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。これらは単独で、または、2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリアミド酸溶液の溶剤としては、例えば、有機極性溶媒のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等が用いられる。また、上記以外であれば、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ピリジン、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)である。これらは単独で、または、2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリアミド酸溶液の濃度(樹脂固形分)は、好ましくは15〜25重量%、さらに好ましくは18〜23重量%である。15重量%より低いと、溶剤の使用量が増加して、溶剤の除去効率が低下して生産性が低下するおそれがある。25重量%より高いと、塗膜の形成に不具合が生じて、精度の高いシームレスベルトを製造することが困難となるおそれがある。
ポリアミド酸溶液は、用途、目的等に応じて、任意の適切な添加剤を含み得る。添加剤としては、例えば、導電性フィラー、摺動性フィラー、熱伝導性フィラー、断熱性フィラー、耐摩耗性フィラー等が挙げられる。
例えば、中間転写ベルトを製造する場合、ポリアミド酸溶液は、導電性フィラーを含む。導電性フィラーの具体例としては、カーボンブラック、アルミニウム、ニッケル、酸化錫、チタン酸カリウム等の無機化合物;ポリアニリンやポリピロールなどに代表される導電性高分子が挙げられる。これらの中でも、抵抗制御や抵抗低下の観点から、好ましくは、カーボンブラックである。導電性フィラーの含有量は、樹脂固形分100重量部に対して、好ましくは10〜40重量部、さらに好ましくは15〜30重量部である。
第1のポリアミド酸溶液は、イミド化触媒を実質的に含まない。ここで、「イミド化触媒を実質的に含まない」とは、具体的に、イミド化触媒(例えば、第3級アミン類)の含有量が、上記テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体の仕込み量1molに対して0.01mol以下である場合をいい、好ましくは0molである。このようなポリアミド酸溶液を用いて、最初に塗膜(外層)を形成することにより、得られる皮膜の剥離性が極めて優れ得る。その結果、高い生産性を実現し得る。また、表面の平滑性に優れたシームレスベルトを製造することができる。一般的に、効果の高いイミド化触媒は高沸点であり、閉環イミド化反応の際に蒸発し得る。予め、溶剤が除去されて表面が硬化した塗膜では、イミド化触媒の蒸発が阻害されて膨れが生じ、平滑性を失うという問題がある。イミド化触媒を実質的に含まないポリアミド酸溶液で外層を形成することにより、このような問題も解消される。
第1のポリアミド酸溶液の調製方法としては、任意の適切な方法が採用される。例えば、導電性フィラーを含む場合、予め、導電性フィラーを分散させた溶剤に、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミン化合物とを添加して重合反応させた後、加熱・攪拌する方法が挙げられる。
上記導電性フィラーの分散には、例えば、プラネタリーミキサー、ビーズミル、超音波等が用いられる。導電性フィラーとしてカーボンブラックを用いる場合、例えば、ポリ(N−ビニル−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアシド)等の分散剤を用いてもよい。カーボンブラックと溶剤との親和性を高め得るからである。
テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミン化合物との添加量は、任意の適切な値に設定することができる。好ましくは5〜30重量%であり、さらに好ましくは15〜25重量%である。30重量%より高いと、非常に高分子量のポリアミド酸が得られ、粘度が高くなって流動性が低下し、さらにはゲル状になってしまうなど、塗膜の形成に不具合が生じるおそれがある。上記重合反応により、ポリアミド酸溶液の粘度は上昇するが、そのまま加熱を行うと、ポリアミド酸溶液の粘度は低下する。この現象を利用して、ポリアミド酸溶液を所望の粘度に調整することができる。加熱温度は、好ましくは50〜90℃である。
第1のポリアミド酸溶液の粘度は、好ましくは10〜10000ポイズである。このような粘度に調整することにより、厚みの均一な塗膜を形成することができ、厚みのバラツキが抑制されたシームレスベルトを製造することができる。なお、粘度は、25℃、B型粘度計にて測定した値である。
塗膜の形成方法は、任意の適切な方法が採用される。例えば、回転する金型内にポリアミド酸溶液を供給し、遠心力により均一な塗膜とする方法、ノズルを金型内面に沿うように挿入し、回転する金型内にポリアミド酸溶液をノズルから吐出させて、ノズルまたは金型を走行させながら螺旋状に塗布する方法、螺旋状の塗布を粗く行った後に、金型との間に一定のクリアランスを有する走行体(弾丸状、球状)を走行させる方法、ポリアミド酸溶液中に金型を浸潰して内面に塗布膜を形成した後、円筒状ダイス等で成膜する方法、金型内面の片端部にポリアミド酸溶液を供給した後、金型との間に一定のクリアランスを有する走行体(弾丸状、球状)を走行させる方法等が挙げられる。
第1のポリアミド酸溶液で形成された塗膜(外層)の厚みは、任意の適切な値に設定される。好ましくは、最終的な厚みが50〜100μmとなるように形成される。
A−2.工程2
工程2では、上記塗膜(外層)上に第2のポリアミド酸溶液で塗膜を形成する。第2のポリアミド酸溶液は、イミド化触媒を含む。イミド化触媒としては、代表的には、第3級アミン類が挙げられる。具体例としては、イソキノリンン、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、N−メチルイミダゾール等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、イミダゾール、イソキノリン、2−エチル−4−メチルイミダゾールである。
イミド化触媒の含有量は、上記テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体の仕込み量1molに対して、好ましくは0.1〜1.0mol、さらに好ましくは0.2〜0.5molである。
第2のポリアミド酸溶液の調製方法は、イミド化触媒をさらに添加すること以外は、上記第1のポリアミド酸溶液の調製方法と同様である。イミド化触媒は、任意の適切なタイミングで添加される。例えば、導電性フィラーを分散させた溶剤に、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミン化合物とを添加して重合反応させた後、所望の粘度となるまで加熱・攪拌し、イミド化触媒を添加して攪拌する方法が挙げられる。
第2のポリアミド酸溶液の粘度は、第1のポリアミド酸溶液と同様、好ましくは10〜10000ポイズである。第2のポリアミド酸溶液による塗膜(内層)の形成方法は、上記塗膜(外層)の形成方法と同様、任意の適切な方法が採用される。具体例は上述のとおりである。
第2のポリアミド酸溶液で形成された塗膜(内層)の厚みは、任意の適切な値に設定される。好ましくは、最終的な厚みが50〜100μmとなるように形成される。
A−3.工程3
工程3では、金型内面に形成された塗膜(外層および内層)を加熱する。加熱条件は、任意の適切な条件に設定される。好ましくは、二段階で加熱を行う。最初の加熱処理は、好ましくは、塗膜中の溶剤を除去して、塗膜が自己保持し得る程度に行う。この際、金型は、回転させておくことが好ましい。加熱直後からポリアミド酸の流動性が高くなるため、タレなどにより膜厚のバラツキを抑制することができるからである。加熱温度は、閉環イミド化反応を進行させない温度が好ましく、例えば、80〜160℃である。加熱時間は、好ましくは10〜60分である。また、加熱による溶剤の除去は、塗膜全体における溶剤蒸発率75〜90%となるように行うのが好ましく、さらに好ましくは78〜88%程度である。蒸発率が75%未満であると、後述の閉環イミド化反応において、残りの溶剤が急速に除去されて、得られるシームレスベルトの反り量が大きくなるおそれがある。また、金型から塗膜が剥がれてしまうおそれがある。一方、蒸発率が90%を超えるまで溶剤を除去すると、イミド化が進んでいない塗膜は脆く、割れ等の不具合が発生しやすくなる。
次の加熱処理は、好ましくは、閉環イミド化反応を進行させ得る程度に行う。具体的には、最初の加熱処理により溶剤を除去した塗膜を金型に付着させた状態で、閉環イミド化反応を進行させて得られた皮膜を金型から剥離することによりシームレスベルトを得る。加熱温度は、好ましくは300〜450℃である。加熱時間は、好ましくは10〜60分である。
上記加熱処理は均一に行うことが好ましい。加熱が均一に行われない場合、例えば、溶剤蒸発のバラツキにより加熱途中に金型から剥離が起こって成形が困難となる、得られるシームレスベルトの表面抵抗値にバラツキがある等の不具合が発生するおそれがある。加熱方法としては、好ましくは、熱風乾燥であり、熱風循環の改良、ターンテーブル上で金型を回転させる方法などが用いられる。また、上記加熱温度より低温中に金型を投入して、加熱温度に達するまでの昇温速度を下げる方法も好ましく用いられる。
円筒状の金型の内面に成形された皮膜(シームレスベルト)を剥離する方法としては、任意の適切な方法が採用される。なお、金型の内面には、剥離作業性を向上させるために、予め、離型処理が施されていてもよい。離型処理剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、シリカ系等の処理剤が挙げられる。
B.シームレスベルト
本発明のシームレスベルトは、上記製造方法により製造され、上記第1のポリアミド酸溶液および第2のポリアミド酸溶液により形成されたポリイミド樹脂層を有する。
上記ポリイミド樹脂層の耐折度試験による耐屈曲回数は、好ましくは5000回以上である。このように、優れた強度を有している。
上記ポリアミド酸溶液が導電性フィラーを含む場合、得られるポリイミド樹脂層の表面抵抗率(ρs)は、好ましくは1×10〜1×1014Ω/□、さらに好ましくは1×1010〜1×1013Ω/□である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
(第1のポリアミド酸溶液の調製)
1792.0gのN−メチル−2−ピロリドン中に、乾燥した74.2gのカーボンブラック(三菱化学社製、MA−100)を添加し、ボールミルにて12時間室温で混合した。この混合液に、294.0g(1mol)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と54.0gのp−フェニレンジアミン(PDA)と100.0gの4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)とを、窒素雰囲気中、室温にて投入し、反応させた。重合反応により増粘後、75℃で15時間攪拌した後、粘度1200ポイズのカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を得た。
このようにして得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の半分(1157.1g)を第1のポリアミド酸溶液として用いた。
(第2のポリアミド酸溶液の調製)
上記カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の残りの半分(1157.1g)に、イミダゾール13.6g(0.2mol)を添加し、均一になるように攪拌して第2のポリアミド酸溶液を得た。
(成形)
内径300mm、長さ500mmの円筒形の金型の内面に、上記第1のポリアミド酸溶液をディスペンサーにて、最終の厚みが40μmとなるように塗布した後、金型を1500rpmで10分間回転させ、均一な塗膜(外層)を形成した。
続いて、得られた塗膜上に、上記第2のポリアミド酸溶液を用いて、外層と同様の方法により塗膜(内層)を形成した。このようにして、均一な2層の塗膜を得た。
その後、150℃の乾燥炉内にて、金型を250rpmで回転させながら15分間加熱した。このときの塗膜全体での溶剤蒸発率は、86%であった。さらに、2℃/minの速度で350℃まで昇温させ、そのまま10分間加熱を続けて閉環イミド化反応を進行させた。冷却後、金型から得られた皮膜を剥離し、厚み80μmのシームレスベルトを得た。
[比較例1]
実施例1と同様にして得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の全量(2314.2g)に、イミダゾール27.2gを添加し、均一になるよう撹拌した。
こうして得られた溶液を、金型の内面に、最終の厚みが80μmとなるように均一な単層の塗膜を形成したこと以外は実施例1と同様にして、シームレスベルトを得た。
[比較例2]
上記第2のポリアミド酸溶液を用いて外層を形成し、上記第1のポリアミド酸溶液を用いて内層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、シームレスベルトを得た。
[比較例3]
イミダゾールを添加しないこと以外は比較例1と同様にして、シームレスベルトを得た。
<評価>
得られたシームレスベルトについて、以下の評価を行った。評価結果を、金型からの剥離の状況とともに、表1にまとめる。
1.耐折度試験(MIT)
得られたシームレスベルトから幅15mmの試験片を切り出し、MIT試験機(テスター産業製)にて、JIS−P8115に準じて評価を行った。試験開始後、試験片が破断するまでの回数を、耐屈曲回数とした。
2.反り量
駆動時のシームレスベルトの様子を、ベルト端部の反り量を測定することにより評価した。
得られたシームレスベルトの端部を切断して幅350mmとした。このベルトに、φ45のロール2本を水平に通し、ロールの中心間距離を400mmにして、ベルトに張力をかけたときのロールからのベルト端部の浮き量(反り量)を測定した。
Figure 2012086482
表1に示すとおり、実施例1では、金型からの剥離を良好に行うことができた。また、強度(耐屈曲回数)、反り量ともに問題なく、表面性状も良好で、製品として十分な品質を有していた。
本発明により得られるシームレスベルトは、画像形成装置に用いられる中間転写ベルト、搬送用ベルト、定着ベルトとして好適に用いられ得る。

Claims (5)

  1. 円筒状の金型内面に、イミド化触媒を実質的に含まない第1のポリアミド酸溶液で塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜上に、イミド化触媒を含む第2のポリアミド酸溶液で塗膜を形成する工程と、
    金型内面に形成された前記塗膜を加熱する工程とを含む、シームレスベルトの製造方法。
  2. 前記第2のポリアミド酸溶液のイミド化触媒の含有量が、ポリアミド酸を構成するテトラカルボン酸二無水物またはその誘導体の仕込み量1molに対して0.1〜1.0molである、請求項1に記載のシームレスベルトの製造方法。
  3. 前記ポリアミド酸溶液が導電性フィラーを含む、請求項1または2に記載のシームレスベルトの製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の製造方法により製造された、シームレスベルト。
  5. 耐折度試験による耐屈曲回数が5000回以上である、請求項4に記載のシームレスベルト。
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