JP2012093575A - 半導電性シームレスベルトの製造方法 - Google Patents

半導電性シームレスベルトの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】画像形成装置の機能性ベルトとして使用するため、ベルトの両端部の反りの発生を改善し、前記ベルト両端部の反りに起因するベルトの破損や亀裂等がなく、外層と内層間における層間剥離のない、鮮明な画像が得られる半導電性シームレスベルトの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリイミド系樹脂を主体とした外層及び内層からなるベルトの製造方法において、ポリアミド酸溶液を用いて外層塗膜を形成する工程と、ポリアミド酸溶液を用いて内層塗膜を形成する工程と、前記外層塗膜及び内層塗膜全体における溶剤蒸発率を、75重量%以上に調整する工程と、前記外層塗膜及び内層塗膜をイミド転化させて、外層及び内層を形成する工程とを含み、前記外層塗膜に用いるポリアミド酸溶液の固形分濃度が、前記内層塗膜に用いるポリアミド酸溶液の固形分濃度よりも高く、前記外層及び内層が導電性物質を含有するベルトの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の電子写真画像形成装置において中間転写ベルト、転写定着ベルト、転写搬送ベルト等として使用可能な半導電性シームレスベルトの製造方法に関する。
従来より、電子写真方式で像を形成記録する電子写真記録装置としては、複写機やレーザービームプリンタ、ファクシミリやこれらの複合機が知られている。この種の装置では装置寿命の向上や多様な被記録材への適用可能化等を目的として、感光ドラム等の像担持体上の像を中間転写ベルトに一旦転写(一次転写)し、これを被記録材上に一括転写(二次転写)する中間転写方式が一部採用されており、上記転写時に同時に定着動作を行う転写定着方式も検討されている。また、カラー画像のドキュメント作成の高速化や、装置のコンパクト化等を目的として、転写搬送ベルトで被記録材を搬送しながら転写を行う方式も採用されている。
このような中間転写ベルトや、転写定着ベルト、転写搬送ベルト等に用いうる半導電性ベルトとして、機械特性や耐熱性に優れたポリイミド樹脂にカーボンブラックのような導電性物質を分散してなる半導電性ベルトが開示されている(特許文献1及び2)。
しかし、これらに開示された半導電性ベルトは、成型時の残留応力等の影響から、ベルトの両端部が反る(外に広がる)ことが多く、特に中間転写ベルトで用いる場合のように、広幅で、大口径のベルトになるほど、ベルトの両端部の反りが大きくなる傾向にある。このような反りが発生したベルトを中間転写ベルトとして用いて、ローラで駆動させた場合に、折れが発生する恐れがある。更に、反りの発生したベルトが装置内の周辺部品に接触することにより、ベルトの破損や亀裂等の発生原因となるため、ベルトとその周辺部品との間に、十分なクリアランスを設ける必要があり、装置のコンパクト化の妨げにもなり、問題となっている。
また、特許文献1等に開示されている中間転写体の製造方法のように、円筒金型内面にポリアミド酸溶液を展開・塗布し、高温で加熱することによりイミド転化を行う場合、イミド転化時に溶剤の除去も同時に行われるが、金型内面から塗膜(ベルト)表面の空気面への厚み方向において、加熱状態に差が生じる。この差により、厚み方向におけるベルトの反りが発生する。特に、金型内面付近の塗膜(ベルト)中の溶剤は蒸発しにくいが、一方で、空気面付近では、溶剤が蒸発しやすい環境にあり、このような溶剤の蒸発 (蒸発率)の違いが、ベルトの反りの原因となっているものと考えられる。
また、ポリイミド系樹脂と例えばシリコーン系やフッ素系のゴム等の他種素材とから構成される積層状シームレスベルトも開示されている(特許文献3等)。
しかし、このような多種素材からなる複層ベルトは、層間の接着力が不十分なため層間剥離を生じ、耐久性に欠けるものであった。またシリコーン系ゴムやフッ素ゴムヘの導電性物質の均一分散は充分ではなく、電気抵抗値もバラツキが大きいため、実用上満足の行くものではなかった。
特開昭63−311263号公報 特開平5−77252号公報 特開昭59−77467号公報
そこで、本発明は、中間転写ベルトや、転写定着ベルト、転写搬送ベルト等の画像形成装置の機能性ベルトとして使用するため、前記ベルトの両端部の反りの発生を改善し、前記ベルト両端部の反りに起因するベルトの破損や亀裂等がなく、外層と内層間における層間剥離のない、鮮明な画像が得られる半導電性シームレスベルトの製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、ポリイミド系樹脂を主体とした外層及び内層からなる半導電性シームレスベルトの製造方法において、ポリアミド酸溶液を用いて外層塗膜を形成する工程と、ポリアミド酸溶液を用いて内層塗膜を形成する工程と、記外層塗膜及び内層塗膜全体における溶剤蒸発率を、75重量%以上に調整する工程と、前記外層塗膜及び内層塗膜をイミド転化させて、外層及び内層を形成する工程とを含み、前記外層塗膜に用いるポリアミド酸溶液の固形分濃度が、前記内層塗膜に用いるポリアミド酸溶液の固形分濃度よりも高く、前記外層及び内層が導電性物質を含有することを特徴とする。
本発明においては、使用する外層(外層塗膜)用と内層(内層塗膜)用のポリアミド酸溶液の固形分濃度と相違させ、特に外層用のポリアミド酸溶液の固形分濃度を高くする、つまりは溶剤の含有率を下げるとともに、外層塗膜及び内層塗膜形成後の溶剤蒸発率を所望の範囲に調整することにより、外層と内層の溶剤蒸発率の差を小さく抑え、イミド転化時のベルト(塗膜全体)の厚み方向におけるベルト両端部の反りを抑制できるという効果を有する半導電性シームレスベルトを得ることができ、有効である。
本発明の半導電性シームレスベルトの製造方法は、少なくともカーボンブラックを含有していることが好ましい。導電性物質としてカーボンブラックを使用することにより、表面抵抗率等の制御が容易となり、有効である。
本発明の半導電性シームレスベルトの製造方法としては、特に限定されないが、たとえば、まず、導電性物質を分散させた外層用及び内層用の分散液を調製する。次いで、調製したそれぞれの分散液に、テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体(テトラカルボン酸成分)とジアミン成分を溶解、重合させて導電性物質分散ポリアミド酸溶液を調製することが必要である。そして、外層用に使用するポリアミド酸溶液を用いて、円筒型金型内周面に展開(塗布)し、次いで、前記外層塗膜上に、内層用に使用するポリアミド酸溶液を展開(塗布)して内層塗膜を調製する。更に、前記外層塗膜と内層塗膜からなる塗膜全体を、所望の溶剤蒸発率まで乾燥させ、最終的に前記塗膜全体について、イミド転化反応を行い、本発明の外層及び内層からなる半導電性シームレスベルトを調製する。
以下に、本発明の半導電性シームレスベルトの製造方法を、具体的に説明する。
<導電性物質分散液の調製>
本発明の半導電性シームレスベルトを調製する場合、まず、導電性物質を分散させた導電性物質分散液を調製する。具体的な導電性物質としては、カーボンブラック、アルミニウム、ニッケル、酸化錫、チタン酸カリウム等の無機化合物やポリアニリンやポリピロールなどに代表される導電性高分子を用いることができる。特に、抵抗制御や抵抗低下の観点から、カーボンブラックを用いることが好ましい。
前記カーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。これらのカーボンブラックの種類は、目的とする導電性により適宜選択することができ、その用途によって、酸化処理、グラフト処理等の酸化劣化を防止したものや、溶剤への分散性を向上させたものを用いることが好ましく、特に、酸化処理されたカーボンブラックを用いることが好ましい。
前記酸化処理カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面に酸素含有官能基(例えば、カルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等)を付与して得ることができるものである。
前記酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触・反応させる空気酸化法、常温で窒素酸化物やオゾン等と反応させる方法、及び高温での空気酸化後、低温でオゾン酸化する方法等により行うことができる。上記方法により得られる酸化処理カーボンブラックは、一部に過剰な電流が流れ、繰り返しの電圧印加による酸化の影響を受けにくい。また、その表面に付着する酸素含有官能基の効果で、ポリイミド中への分散性が高く、抵抗のバラツキを小さくすることができ、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中が起き難くなる。その結果、転写電圧による電気抵抗の低下を防止し、電気抵抗の均一性を改善し、電界依存性や環境による抵抗の変化が少なく、用紙走行部が白く抜ける等の画質欠陥の発生を抑制することができるため、高画質を得ることができる。
カーボンブラックの含有量については、本発明の半導電性シームレスベルトの表面抵抗率(ベルト全体)を、電子写真記録装置の中間転写ベルトとして使用する場合であれば、1.0×10〜1.0×1014Ω/□なるように添加することが好ましく、より好ましくは、1.0×1010〜1.0×1013Ω/□になるように、カーボンブラックの種類も合わせて、適宜決定することができる。
カーボンブラックの添加・分散させる方法としては、例えば、予め本発明に用いることができる有機極性溶媒中にカーボンブラックを添加し、分散させた分散液を調製することが好ましい態様である。
カーボンブラックの分散方法には、公知の分散方法を適用することができる。例えば、溶媒中にカーボンブラックを添加した後、ナノマイザー、ボールミル、サンドミル、バスケットミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル、ホモジナイザー、超音波などの方法を適宜選択して分散作業を行うことができる。その中でも、特にナノマイザー、ビーズミル、超音波が好ましい。上記分散方法を用いることにより、カーボンブラックの粒度分布が狭く、バラツキの小さい分散液が得られる。その上、ポリアミド酸溶液のカーボン表面への浸透性、吸着性も良好である。
なお、カーボンブラックなどの導電性物質と溶媒との親和性を高めるため、分散剤をさらに添加することができる。
分散剤としては、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されないが、例えば高分子分散剤が挙げられる。高分子分散剤としては、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピペリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられ、単独又は複数の高分子分散剤を添加することができる。
分散剤の添加量は、カーボンブラックを均一に分散させるため、カーボンブラックに対して0.01〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。分散剤の添加量が0.01重量%未満の場合も10重量%を超える場合も分散に対する効果が得られない。
<ポリアミド酸溶液の調製>
ポリイミド系樹脂の原料液としては、テトラカルボン酸二無水物やその誘導体(テトラカルボン酸成分)とジアミン成分とを、溶媒中で重合反応させて、ポリアミド酸溶液を調製することにより得られる。前記ポリアミド酸はテトラカルボン酸成分とジアミン成分との略等モルを有機溶媒中で反応させることにより得られるもので、通常溶液状で用いられる。
前記テトラカルボン酸成分としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられるが、特に好ましくは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。これらは単独で又は2種以上を併用することができる。
前記ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5 −ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17 −ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用することができる。
前記のテトラカルボン酸成分(a)とジアミン成分(b)とを有機極性溶媒中で反応させることにより、ポリアミド酸が得られる。その際のモノマ−濃度「溶媒中における(a)+(b)の濃度」は、種々の条件に応じて設定されるが、通常、5〜30重量%である。また、反応温度は80℃以下に設定することが好ましく、特に好ましくは5〜50℃であり、反応時間は約0.5〜10時間である。
上記の反応により得られたポリアミド酸溶液の粘度は上昇するが、そのまま加熱を行うと、ポリアミド酸溶液の粘度が低下する。この現象を利用して、前記ポリアミド酸溶液を所定の粘度に調整することができる。このときの加熱温度は50〜90℃が好ましい。
また、テトラカルボン酸成分とジアミン成分の反応に寄与する触媒としては、例えばイミダゾール類、第2級アミン、第3級アミン等を用いることができる。例えば、2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、イミダゾール、イソキノリン等が挙げられる。これらのうちでも2−フェニルイミダゾールが機械強度を向上させる点で好ましい。触媒の添加量としては、ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸1モル当量に対して0.1〜2モル当量添加することが好ましく、より好ましくは0.2〜1モル当量である。
また、この他に本発明の目的の範囲内で、界面活性剤や分散安定化剤等を用いることもできる。
上記の方法により得られた導電性物質の分散したポリアミド酸溶液の固形分濃度としては、外層(塗膜)に用いるポリアミド酸溶液の固形分濃度が、前記内層(塗膜)に用いるポリアミド酸溶液の固形分濃度よりも高いことが必要であるが、たとえば、外層に用いられるポリアミド酸溶液の固形分濃度としては、15〜25重量%であることが好ましく、より好ましくは18〜23重量%である。15重量%未満であると、溶剤の使用量が増加することになり、溶媒除去する際の加熱工程に時間を要し、生産性を悪化させるため、好ましくない。一方、25重量%を超えると、ポリアミド酸の重合時に、溶液粘度が高くなりすぎて、流動性が悪化し、溶液がゲル状になり、導電性物質の分散のバラツキ、得られるベルトの厚みバラツキ等の原因となり、精度の高いベルトを得ることが困難となるため、好ましくない。
また、内層用のポリアミド酸溶液の固形分濃度としては、外層用のポリアミド酸溶液の固形分濃度や、加熱条件等により、適宜選択することができるが、たとえば、外層用のポリアミド酸溶液の固形分濃度に対して1〜5重量%低いことが好ましく、より好ましくは2〜4重量%である。両固形分濃度の差が前記範囲内を外れると、反りの発生を抑制することが難しく、好ましくない。
<半導電性シームレスベルトの製造方法>
上記のように得られた外層用と内層用のポリアミド酸溶液を用いて、本発明の半導電性シームレスベルトの製造方法を以下に示す。なお、ここで説明する製造方法としては、上述した外層用のポリアミド酸溶液にて外層塗膜を形成し、次いで、前記外層塗膜上に、内層用のポリアミド酸溶液にて内層塗膜を形成した後、塗膜全体(両層)について所望の溶剤除去率になるように加熱した後、更にイミド転化反応を行う方法に関するものである。
まず、円筒金型内に外層用のポリアミド酸溶液を供給し、回転遠心成形法により金型内周面に遠心力により均一に展開し、外層塗膜を形成する。このとき前記溶液の粘度は、B型粘度計で1〜1000Pa・s(25℃)が好ましい。これ以外の場合は、遠心成形の際、均一に展開することが困難であり、ベルトの厚みバラツキの原因となる。
続いて、外層塗膜上に内層用のポリアミド酸溶液を均一に展開し、内層塗膜を形成する。この時の前記溶液の粘度は、外層用の溶液と同様の条件で行う。
上記のように外層塗膜及び内層塗膜を形成後、加熱により溶剤の除去(蒸発)を行う(溶剤除去工程)。加熱直後より、両塗膜を構成するポリアミド酸の流動性が高くなり、液ダレなどによる膜厚のバラツキの発生を抑えるため、金型を回転させながら加熱し、塗膜全体が自己保持できるまで乾燥・固化させる。この際の加熱温度としては、適宜設定することができるが、たとえば、80〜160℃の範囲で、イミド転化が進行しないように調整することが好ましい。前記加熱による溶剤蒸発率としては、75重量%以上であり、好ましくは75〜90重量%であり、より好ましくは78〜88重量%である。溶媒蒸発率が75重量%未満であると、イミド転化を行う工程において、溶剤を塗膜が多く含んだ状態になるため、急激な高温加熱により、発泡が発生したり、ベルトに大きな反りが発生したり、金型から塗膜が剥離するなどの問題を生じやすくなるため、好ましくない。一方、イミド転化前の塗膜の溶媒蒸発率が75%以上であれば特に問題はないが、90重量%を超える場合においては、イミド転化が進むにつれて、割れが生じる場合もあり、注意を要する。
次いで、上記外層塗膜及び内層塗膜からなる塗膜全体を、加熱してイミド転化反応を行う。イミド転化反応を促進させるため、300〜450℃の高温で加熱する。この際の加熱も、上述した均等に加熱する方法を用いる。加熱が均一に行われない場合には、円筒金型内面より剥離が生じ、ベルト成型が困難となる。また、表面抵抗率にもバラツキを生じさせるなどの問題を生じる恐れがある。ついで、更に乾燥温度よりも低温中に投入して、乾燥温度までの昇温速度を下げるなどの方法を用いることができる。上記工程により、得られる半導電性シームレスベルトは、ベルト端部の反りの小さい良好なベルトとして得ることができる。また、外層と内層がともにポリイミド系樹脂を主体として使用していることから、異なる樹脂に基づくベルトに比べて、層間の接着力も十分であり、層間剥離も生じず、耐久性にも優れ、有効である。
また、本発明の半導電性シームレスベルトを中間転写ベルト等の機能性ベルトとして用いる場合には、その表面抵抗率が1.0×10〜1.0×1014Ω/□なるように添加することが好ましく、より好ましくは、1.0×1010〜1.0×1013Ω/□である。表面抵抗率が1.0×10Ω/□未満では、ベルトが帯電することが困難となり、ベルト表面にトナー像が形成されにくく、結果的に転写不良や、不鮮明な画像となりやすい。一方、表面抵抗率が1.0×1014Ω/□を超えると、ベルトが帯電した際に、除電が困難となり、トナーが用紙へ転写されにくく、やはり結果的に転写不良や、不鮮明な画像となりやすく、好ましくない。
本発明の半導電性シームレスベルトは、ポリイミド系樹脂を使用しているため、電気特性、機械特性及び耐熱性に優れた電子写真記録装置の中間転写ベルト、転写定着ベルト又は転写搬送ベルトに使用されるものである。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例及び評価方法について説明する。
[評価方法]
(反り量)
得られた半導電性シームレスベルトの両端部を切断し、幅350mmとし、次に前記ベルトを水平に設置されたφ45mmのロール2本に通した後、5kgの張力をかけ、ロールの中心間距離を400mmにして、ベルトに張力をかけ、その際のロール表面からのベルト端部の浮き量を反り量(mm)として、測定した。
(実施例1)
1792.0gのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に乾燥したカーボンブラック(三菱化学社製、MA−100)74.2gをボールミルにて、12時間室温で混合した。このカーボンブラック分散NMP液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)294.0g、p−フェニレンジアミン(PDA)54.0g、及び、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)100.0gとを窒素雰囲気中において、室温で撹拌しながら重合反応させ、この重合反応による増粘後、更に75℃で15時間攪拌して、120Pa・sの外層に用いるカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(a液、ポリアミド酸固形分20重量%)を得た。
2041.0gのNMP中に乾燥したカーボンブラック(三菱化学社製、MA−100)74.2gを混合した以外は、上記a液と同様の操作にて、100Pa・sの内層に用いるカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(b液、ポリアミド酸固形分18重量%)を得た。
内径300mm、長さ500mmの円筒金型の内面に上記a液をディスペンサーで、最終厚さが40μmになるように塗布後、1500rpmで10分間回転させ、外層となる均一な外層塗膜を得た。
続いて、この外層塗膜の内面に、上記b液を同様に最終厚さが40μmに塗布し、1500rpmで10分間回転させ、前記外層塗膜内面に、内層となる均一な内層塗膜を形成した。
その後、150℃の乾燥内にて、250rpmで円筒金型を回転させながら、15分間加熱した(溶媒除去工程)。この時の塗膜全体(外層塗膜+内層塗膜)における溶剤蒸発率は、86重量%であった。これを更に、350℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に350℃で10分間加熱して溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化の完結反応を行った(イミド転化工程)。その後、室温に戻し、円筒金型から剥離して目的とする半導電性シームレスベルトを得た。このベルトは、総厚さが80μmであり、外層の厚さが40μm、内層が40μmであった。
(比較例1)
2041.0gのNMP中に乾燥したカーボンブラック(三菱化学社製、MA−100)74.2gをボールミルにて、12時間室温で混合した。このカーボンブラック分散NMP液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)294.0g、p−フェニレンジアミン(PDA)54.0g、及び、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)100.0gとを窒素雰囲気中において、室温で撹拌しながら重合反応させ、この重合反応による増粘後、更に75℃で15時間攪拌して、100Pa・sのカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(c液、ポリアミド酸固形分18重量%)を得た。
次に、内径300mm、長さ500mmの円筒金型の内面に上記c液をディスペンサーで、最終厚さが80μmになるように塗布後、1500rpmで10分間回転させ、均一な塗膜を得た。
その後、150℃の乾燥内にて、250rpmで円筒金型を回転させながら、15分間加熱した。この時の塗膜における溶剤蒸発率は、82重量%であった。これを更に、350℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に350℃で10分間加熱して溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化の完結反応を行った。その後、室温に戻し、円筒金型から剥離して目的とする半導電性シームレスベルトを得た。このベルトの厚さは80μmであった。
(比較例2)
外層塗膜内面に、内層となる均一な内層塗膜を形成した後、溶媒除去工程を、150℃で10分間行った以外は、実施例1と同様の操作にて行った。前記溶媒除去工程後の塗膜全体の溶剤蒸発率は72重量%であった。また、得られた半導電性シームレスベルトの総厚さが80μmであり、外層の厚さが40μm、内層が40μmであった。
(比較例3)
2041.0gのNMP中に乾燥したカーボンブラック(三菱化学社製、MA−100)74.2gをボールミルにて、12時間室温で混合した。このカーボンブラック分散NMP液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)294.0g、p−フェニレンジアミン(PDA)54.0g、及び、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)100.0gとを窒素雰囲気中において、室温で撹拌しながら重合反応させ、この重合反応による増粘後、更に75℃で15時間攪拌して、100Pa・sの外層に用いるカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(d液、ポリアミド酸固形分18重量%)を得た。
1792.0gのNMP中に乾燥したカーボンブラック(三菱化学社製、MA−100)74.2gを混合した以外は、上記d液と同様の操作にて、100Pa・sの内層に用いるカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(e液、ポリアミド酸固形分20重量%)を得た。
続く、外層となる均一な外層塗膜、及び、前記外層塗膜の内面に内層となる均一な内層塗膜を形成する工程、更に、塗膜全体の溶媒除去工程、イミド転化を行う工程については、実施例1と同様の操作を行った。前記溶媒除去工程後の塗膜全体の溶剤蒸発率は83重量%であった。また、得られた半導電性シームレスベルトの総厚さが80μmであり、外層の厚さが40μm、内層が40μmであった。
Figure 2012093575
上記評価結果より、実施例1における所定の体積抵抗率を有する半導電性シームレスベルトは、反り(量)が非常に小さく抑えられていることが確認できた。一方、比較例1〜3では、反り量が実施例1の4〜10倍となり、ベルトの反りを抑えられないことが確認された。

Claims (2)

  1. ポリイミド系樹脂を主体とした外層及び内層からなる半導電性シームレスベルトの製造方法において、
    ポリアミド酸溶液を用いて外層塗膜を形成する工程と、
    ポリアミド酸溶液を用いて内層塗膜を形成する工程と、
    前記外層塗膜及び内層塗膜全体における溶剤蒸発率を、75重量%以上に調整する工程と、
    前記外層塗膜及び内層塗膜をイミド転化させて、外層及び内層を形成する工程とを含み、
    前記外層塗膜に用いるポリアミド酸溶液の固形分濃度が、前記内層塗膜に用いるポリアミド酸溶液の固形分濃度よりも高く、
    前記外層及び内層が導電性物質を含有することを特徴とする半導電性シームレスベルトの製造方法。
  2. 前記導電性物質が、少なくともカーボンブラックを含有していることを特徴とする請求項1記載の半導電性シームレスベルトの製造方法。
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JP2004029769A (ja) * 2003-05-12 2004-01-29 Gunze Ltd 複写機の記録用半導電性ポリイミド系無端ベルト

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