JP5646016B1 - 害虫忌避性クリヤ塗装ステンレス鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】害虫忌避性、表面硬度及び意匠性のいずれもが高い害虫忌避性クリヤ塗装ステンレス鋼板を提供する。【解決手段】本発明の害虫忌避性クリヤ塗装ステンレス鋼板は、ステンレス鋼板原板と、該ステンレス鋼板原板の少なくとも一方の面に設けられたクリヤ塗膜とを備え、クリヤ塗膜が、熱硬化性樹脂がアミノ樹脂以外の架橋剤によって架橋された厚さ25μm以下の硬化塗膜であり、合成ピレスロイド系化合物からなる害虫忌避剤を、クリヤ塗膜100質量部に対して0.50〜7.0質量部含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、害虫忌避性を有するクリヤ塗装ステンレス鋼板及びその製造方法に関するものである。
ステンレス鋼板の表面にクリヤ塗膜を形成したクリヤ塗装ステンレス鋼板は、ステンレス特有の美麗な金属光沢を活かした高級感のある外観が得られる(例えば、特許文献1,2参照)。また、クリヤ塗装ステンレス鋼板は、普通鋼に分類される亜鉛メッキ鋼板等をベースとした塗装鋼板や、普通鋼にフィルム材を貼り合せた複合材などに比べて耐食性・耐久性に優れる。そのため、クリヤ塗装ステンレス鋼板は、家電製品の筐体、内装材、表装材に広く使われている。
ところで、冷蔵庫や炊飯器等の生活家電類の多くはその機構上、熱を発する。発熱した生活家電は、ゴキブリ等の害虫の温床になり易いため、生活家電類に使用される素材には害虫忌避性を有することが求められている。
一般に、害虫忌避剤としては、接触忌避型と揮散忌避型の2種類が知られている。接触忌避型は、塗膜の表層部に濃化して偏在することで、直接的に害虫に接触した場合に忌避効果を発揮するものである。接触忌避型害虫忌避剤は、それ自体は変質することがないため、長期的な持続効果を期待できる半面、塗膜の表層部に偏在しない場合には、効果が低くなる。
揮散忌避型は、それ自体が徐々に揮散することで、害虫を寄せ付けなくするものであり、害虫を忌避させる範囲を広くできる利点を有するが、揮発によって徐々に消失していくため、忌避効果の持続性に難がある。
生活家電類等では、購入してから廃棄するまでの間に、塗装を塗り替えたり、パーツを交換したりすることは稀である。そのため、生活家電類に害虫忌避性を付与する際には、効果を持続させやすい接触忌避型が選択される。
特許文献3では、鋼板の表面に、接触忌避型害虫忌避剤を含む塗膜を形成した鋼板が提案されている。
しかし、特許文献3に記載の鋼板は、クリヤ塗装ステンレス鋼板ではなく、意匠性が不充分であった。また、特許文献3における塗膜は表面硬度が低く、耐傷付き性が不充分であった。
クリヤ塗装ステンレス鋼板のクリヤ塗膜表面に傷がつくと、意匠性が低下する。そのため、クリヤ塗装ステンレス鋼板においては、高い耐傷付き性、すなわち高い表面硬度が求められる。
特開平02−111865号公報 特開2002−143764号公報 特許第4755837号公報
本発明の課題は、害虫忌避性、表面硬度及び意匠性のいずれもが高い害虫忌避性クリヤ塗装ステンレス鋼板及びその製造方法を提供することにある。
本発明の害虫忌避性クリヤ塗装ステンレス鋼板は、ステンレス鋼板原板と、該ステンレス鋼板原板の少なくとも一方の面に設けられたクリヤ塗膜とを備え、クリヤ塗膜が、アクリル樹脂からなる熱硬化性樹脂がアミノ樹脂以外で且つ1分子中にイソシアネート基を2つ以上有する多官能イソシアネート化合物からなる架橋剤によって架橋された厚さ25μm以下の硬化塗膜であり、合成ピレスロイド系化合物からなる害虫忌避剤を、クリヤ塗膜100質量部に対して0.50〜7.0質量部含有する
発明の害虫忌避性クリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法は、ステンレス鋼板原板の少なくとも一方の面にクリヤ塗料を、乾燥後の塗膜厚さが25μm以下になるように塗布し、硬化させて、クリヤ塗膜を形成する工程を有し、前記クリヤ塗料として、アクリル樹脂からなる熱硬化性樹脂と、アミノ樹脂以外で且つ1分子中にイソシアネート基を2つ以上有する多官能イソシアネート化合物からなる架橋剤と、合成ピレスロイド系化合物からなる害虫忌避剤と、溶剤とを含み、害虫忌避剤の含有量がクリヤ塗料の固形分100質量部に対して0.50〜7.0質量部である。
本発明の害虫忌避性クリヤ塗装ステンレス鋼板は、害虫忌避性、表面硬度及び意匠性のいずれもが高い。
本発明の害虫忌避性クリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法は、害虫忌避性、表面硬度及び意匠性のいずれもが高い害虫忌避性クリヤ塗装ステンレス鋼板を容易に製造できる。
害虫忌避性を評価する際に使用する試験用カバーを示す平面図である。 害虫忌避性を評価する際に使用する試験体を示す斜視図である。 害虫忌避性の評価方法を説明する平面図である。
<害虫忌避性クリヤ塗装ステンレス鋼板>
本発明の害虫忌避性クリヤ塗装ステンレス鋼板は、ステンレス鋼板原板と、該ステンレス鋼板原板の少なくとも一方の面に設けられたクリヤ塗膜とを備える。
(ステンレス鋼板原板)
ステンレス鋼板原板としては、ステンレス鋼板に化成処理が施されて化成処理膜が形成されたもの、あるいは、化成処理が施されていないステンレス鋼板そのものを使用することができる。
[化成処理膜]
化成処理膜としては、アミノシラン系シランカップリング剤およびエポキシシラン系シランカップリング剤の一方又は両方を含有する塗膜が好ましい。ステンレス鋼板原板とクリヤ塗膜との間に、これらシランカップリング剤を含有する化成処理膜を有していれば、無公害なクロメートフリーにでき、さらにステンレス鋼板原板とクリヤ塗膜との密着性を高くできる。
ここで、アミノシラン系カップリング剤としては、例えば、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
エポキシ系シランカップリング剤としては、例えば、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
化成処理膜の付着量は2〜50mg/mであることが好ましい。化成処理膜の付着量が2mg/m未満であると、光沢および耐食性が低下しやすくなり、付着量が50mg/mを超えると、沸騰水試験後の塗膜表面にブリスターを生じることがある。化成処理膜の付着量の好ましい上限は30mg/mであり、より好ましくは10mg/mである。
化成処理膜の付着量は、蛍光X線分析にてSiO量を測定することによって求めることができる。
前記の化成処理膜を形成する際には、ステンレス鋼板の表面到達温度(PMT)が60〜140℃となるように焼付け、乾燥することが好ましい。
(クリヤ塗膜)
クリヤ塗膜は、熱硬化性樹脂がメラミン樹脂以外の架橋剤によって架橋された硬化塗膜である。このクリヤ塗膜は、通常、ステンレス鋼板原板の表面に単層で形成されるが、複数積層されても構わない。
熱硬化性樹脂としては、表面硬度、透明性、ステンレスに対する密着性を有するものであれば特に制限されず、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板は耐傷付き性を有することが求められるため、熱硬化性樹脂としては、高い表面硬度が得られやすいことから、アクリル樹脂が好ましい。
本発明におけるアクリル樹脂は、非架橋性アクリル系単量体と架橋性アクリル系単量体とを重合した重合体である。
非架橋性アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル等の脂肪族、又は環式アクリレートを用いることができる。
架橋性アクリル系単量体としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシシラン基等の架橋性官能基を有するアクリル酸アルキルエステルあるいはメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
また、本発明におけるアクリル樹脂は、必要に応じて、メチルビニルエーテル類、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド系単量体等から選ばれる1種、または2種以上の他の単量体を共重合してもよい。
架橋性アクリル系単量体、非架橋性アクリル系単量体及び他の単量体は1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
上記アクリル樹脂は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシシラン基等の架橋性官能基を有するが、これら架橋性官能基は1分子中に2個以上有することができる。
また、アクリル樹脂のガラス転移温度は30〜90℃であることが好ましい。ガラス転移温度が30℃未満であると、架橋反応によって得られたクリヤ塗膜の表面硬度が低くなることがある。さらに、塗装鋼板をプレス加工などで加工する際に生じた熱によって塗膜軟化が起きるため、カジリ付きと呼ばれる剥離した塗膜が金型に付着してしまう不具合を生じることがある。一方、ガラス転移温度が90℃を超えると、クリヤ塗膜のレベリング性等が低くなる傾向が見られ、クリヤ塗装ステンレス鋼板が持つ美麗な表面外観自体を損ねるおそれがある。なお、ガラス転移温度は、例えば、示差熱分析等によって測定することができる。
アクリル樹脂の数平均分子量としては、3000〜50000であることが好ましい。数平均分子量が3000未満であると、架橋剤との反応性が低くなるため、充分に架橋反応せず、反応した樹脂が膜として形成されないことがある。一方、数平均分子量が50000を超えると、溶剤に対する溶解性が不足してくるために、樹脂液にすることができず、塗料用樹脂として使用できないことがある。
アクリル樹脂の市販品としては、オレスターQ195−45、Q472、Q320、Q166、Q420、Q155、Q185、Q186、Q193、Q174、Q171、Q612、Q177、Q182、Q517、Q202、Q203、Q627、Q152、Q161−45、748−5M、749−17AE、748−16AE(三井化学(株)製)、ヒタロイド2160X、2400、2401B、2453、2462A、2467S、2468、2637、2665、2795、2680、3001、3012X、3083、3083−70B、3098L、3204EB−1、3509、3368、3375、3379、3387、3704−2、3534、3546−3、3511、3624B、3675、3675B−57、3901B、3588、3322A、3458、3618、6500、6500B、6505、D1002、D1004B(日立化成(株)製)、アクリディックA−801−P、A−817、A−837、A−848−RN、A−814、57−773、A−829、55−129、49−394−IM、A−875−55、A−870、A−871、A−859−B、52−666−BA、52−668−BA、WZU−591、WXU−880、BL−616、CL−1000、CL−408(DIC(株)製)等、ダイヤナールLR−237、LR−254、LR−257、LR−286、LR−1503、LR−1532、LR−1545、LR−1569、LR−1573、LR−1589(三菱レイヨン(株)製)等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物等が挙げられる。これらのなかでも、害虫忌避性が得られやすいことから、多官能イソシアネート化合物が好ましい。特に、熱硬化性樹脂がアクリル樹脂である場合には、架橋剤として多官能イソシアネート化合物を用いると、目的の性能(害虫忌避性、表面硬度、意匠性)が得られやすくなる。
多官能イソシアネート化合物は、熱硬化性樹脂を架橋できるものであれば特に制限されない。具体的に、多官能イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、メタキシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)やシクロヘキサンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。
多官能イソシアネート化合物は、熱架橋を前提として非加熱下での反応性を抑えるために、イソシアネート基をブロック剤によって封止した、いわゆるブロック型イソシアネートであってもよい。
ブロック型イソシアネートにおいては、ブロック剤の解離温度が高い程、クリヤ塗膜の表面硬度が下がる傾向がある。そのため、ブロック剤の解離温度は130℃以下であることが好ましい。
イソシアネートの市販品としては、デスモジュールN75MPA/X、N3200、N3300、N3390EA、N3790BA、N3600、XP2679、XP2410、HT、N3400、XP2580、N3800、E3265SN/MPA、Z4470MPA/X、Z4470SN、Z4470BA、XP2565、NZ1、L75(C)、IL1351、IL1451、HLBA、E14、E15、E22、E23、E29、MT、RE、RFE、スミジュールE21−1、E21−2、SBUイソシアネート0620、M393(住化バイエルウレタン(株)製)、24A−100、22A−75P、TPA−100、TKA−100、P301−75E、21S−75E、MFA−75B、MHG−80B、E402−80B、E405−70B、TSE−100、AE700−100、TSA−100、TSS−100、TSE−100、AE700−100、A201H、TLA−100(旭化成ケミカルズ(株)製)、バーノックDN−902S、DN−950、DN−955、DN−980、DN−981、DN−990、DN−992(DIC(株)製)コロネート L、L−55E、L−45E、2067、2030、2031、2050、2071、2074、2232、2233、2255、2257、HX、HXR、HXLV、HK、HX−T、HL、2096(日本ポリウレタン工業(株)製)等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ブロック型イソシアネートの市販品としては、デスモジュールBL1100、BL1265MPA/X、BL3175、BL3272MPA、BL3475BA/SN、VPLS2253、BL3575MPA/SN、BL4265SN、VPLS2078/1、BL5375(住化バイエルウレタン(株)製)、デュラネートMF−K60B、SBN−70D、MF−B60B、17B−60P、TPA−B80E、E402−B80B(旭化成ケミカルズ(株)製)、バーノックD−500、D−550、DB−980K(DIC(株)製)、コロネート AP−M、MS−50、2503、2515、2507、2513(日本ポリウレタン工業(株)製)等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明では、以下の理由により、架橋剤として、アミノ樹脂を使用しない。
クリヤ塗装ステンレス鋼板はその美麗な意匠性が特徴であるが、その高光沢の外観ゆえに表面の傷付きが目立ちやすい傾向がある。そのため、表面硬度が一定の水準に達していないと、使用時に形成した傷によって意匠性が損なわれる。したがって、クリヤ塗装ステンレス鋼板は、クリヤ塗膜の表面硬度が重要である。
一般に、塗膜の表面硬度を向上させるために、メラミン樹脂等のアミノ樹脂を架橋剤として使用することがある。しかし、本発明者らが調べたところ、アミノ樹脂を架橋剤として用いた場合には、害虫忌避性が発現しにくいことが判明した。これは、アミノ樹脂を架橋剤として用いた場合には、急速に硬化反応が進行するため、害虫忌避剤が表面にて濃化しにくくなり、塗膜内部に埋もれた害虫忌避剤の割合が多くなるためと推測される。そのため、クリヤ塗膜に含有させた害虫忌避剤の使用効率が低下して、害虫忌避性が不充分になると思われる。
上記のような、害虫忌避性が充分に発揮されない現象は、特に、アミノ樹脂同士での反応が進みやすいブチル化メラミン樹脂や、反応速度の速い尿素樹脂を用いた場合に顕著に生じる。
なお、架橋剤として、多官能イソシアネート化合物とアミノ樹脂を併用した場合も、硬化反応が急速に進行するため、害虫忌避性は充分に発揮されない。
クリヤ塗膜に含まれる害虫忌避剤は、合成ピレスロイド系化合物からなる。
合成ピレスロイド系化合物としては、アクリナトリン≪化学名:S−α−シアノ−3−フェノキシベンジル=(Z)−(1R,3S)−2,2−ジメチル−3−[2−(2,2,2−トリフロオロ−1−トリフルオロメチルエトキシカルボニル)ビニル]シクロプロパンカルボキシラート≫、アレスリンI≪化学名:2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロペニル)−2−シクロペンテン−1−イルエステル≫、アレスリンII≪化学名:3−(3−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロペニル)−2−シクロペンテン−1−イルエステル≫、D−テトラメトリン≪化学名:(1R)−2,2−ジメチル−3β−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパン−1β−カルボン酸[(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−イソインドール)−2−イル]メチル≫、レスメトリン≪化学名:2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(5−ベンジル−3−フリル)メチル≫、フラメトリン≪化学名:2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸5−プロパルギルフラン−2−イルメチル≫、フェノトリン≪化学名:2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸m−フェノキシベンジル≫、ペルメトリン≪化学名:3−(2,2−ジクロロエテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパン−1−カルボン酸(3−フェノキシベンジル)≫、シフェノトリン≪化学名:2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸シアノ(3−フェノキシフェニル)メチル≫、ブラトリン≪化学名:2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(6−クロロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)メチル≫、エトフェンブロックス≪化学名:2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル=3−フェノキシベンジルエーテル≫、シフルトリン≪化学名:2−(2,2−ジクロロビニル)−3,3−ジメチルシクロプロパンカルボン酸α−シアノ−4−フルオロ−3−フェノキシベンジル≫、テフルトリン≪化学名:2, 3, 5, 6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル=(Z)−(1RS, 3RS)−3−(2−クロロ−3, 3, 3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2, 2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート≫、ビフェントリン≪化学名:2−メチルビフェニル−3−イルメチル=(1RS, 2RS)−2−(Z)−(2−クロロ−3, 3, 3−トリフルオロ−1−プロペニル)−3, 3−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート≫、プロフルトリン≪化学名:(1R)−2,2−ジメチル−3α−[(Z)−1−プロペニル]シクロプロパン−1β−カルボン酸−2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル≫、メトフルトリン≪化学名:(1R,3R)−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル≫、トランスフルトリン≪化学名:(1R,3S)−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)メチル≫、ピレトリン≪化学名:(1R,3R)−3−[(E)−3−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−1−プロペニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(S)−2−メチル−4−オキソ−3−[(Z)−2,4−ペンタジエニル]−2−シクロペンテン−1−イル≫、エムペントリン≪化学名:(1R)−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル≫、プラレトリン≪化学名:2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペン−1−イル)−1−シクロプロパンカルボン酸2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテン−1−イル≫、イミプロトリン≪化学名:2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)−1−シクロプロパンカルボン酸[2,5−ジオキソ−3−(2−プロピニル)イミダゾリジン−1−イル]メチル≫等が挙げられる。
害虫忌避剤としては、害虫忌避性がより高く、さらに耐熱性及び害虫忌避効果の持続性も高いことから、アクリナトリン≪化学名:S−α−シアノ−3−フェノキシベンジル=(Z)−(1R,3S)−2,2−ジメチル−3−[2−(2,2,2−トリフロオロ−1−トリフルオロメチルエトキシカルボニル)ビニル]シクロプロパンカルボキシラート≫が好ましい。
クリヤ塗膜における害虫忌避剤の含有量は、クリヤ塗膜100質量部に対して0.50〜7.0質量部であり、0.80〜5.0質量部であることが好ましく、0.80〜3.5質量部であることがより好ましい。
害虫忌避剤の含有量が前記下限値未満であると、害虫忌避効果が充分発揮されない。一方、害虫忌避剤の含有量が前記上限値を超えると、害虫忌避効果の向上が頭打ちになり、含有量を増やしてもコストが高くなるばかりで無益である。
クリヤ塗膜には、着色顔料、体質顔料、艶消し剤、光輝材(例えば、アルミニウム粉、パール顔料、ガラスフレーク等)が含まれてもよい。また、クリヤ塗膜には、表面の光沢や外観を調整する目的で樹脂ビーズが含まれてもよい。また、クリヤ塗膜には、酸化防止剤、防腐剤、潤滑剤、導電剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が含まれてもよい。
ただし、クリヤ塗膜に含まれてもよい上記成分は、クリヤ塗膜のクリヤ性を損なわない範囲で含まれる。クリヤ塗膜に着色顔料が含まれる場合、クリヤ塗膜中の着色顔料の含有量は、クリヤ塗膜100質量部に対して0.1〜18.0質量部であることが好ましく、0.1〜10.0質量部であることがより好ましい。
クリヤ塗膜の表面硬度は、JIS K5600−5−4の引っかき硬度(鉛筆法)に準じて測定した鉛筆硬度で、H以上の硬さであることが好ましい。クリヤ塗膜の表面硬度が、鉛筆硬度でH未満の硬さであると、傷付きやすくなる。クリヤ塗膜が傷ついた場合には、クリヤ塗装ステンレス鋼板が本来持っている高い意匠性が損なわれる。
クリヤ塗膜の鉛筆硬度は2H以上であることがより好ましい。
本発明におけるクリヤ塗膜はクリヤであるため、本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板は、基材であるステンレスが有する美麗な外観を活かした高級感のある意匠性を発揮する。ここで、「クリヤ」とは、可視光領域の光線透過率が30%以上のことである。可視光領域の光線透過率は、分光光度計を用いて、380nm〜750nmの波長範囲で測定した光線透過率である。
クリヤ塗膜の可視光領域の光線透過率が30%を下回ると、可視光は僅かに透過しているものの、目視では、ステンレス鋼板を殆ど見ることはできない。そのため、ステンレスの持つ美麗な外観を活かした意匠は得られない。
クリヤ塗膜の可視光領域の光線透過率は40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。
クリヤ塗膜はステンレス鋼板原板の表面のみに形成してもよいし、表面及び裏面の両方に形成してもよい。
ステンレス鋼板原板の表面に形成したクリヤ塗膜の膜厚は25μm以下であり、1〜10μmが好ましい。ステンレス鋼板原板の表面に形成したクリヤ塗膜の膜厚が1μm未満であると、膜厚の調整が難しくなるだけでなく、塗膜中の害虫忌避剤の含有量が少なくなり、害虫忌避性が充分に発揮されないことがある。ステンレス鋼板原板の表面に形成したクリヤ塗膜の膜厚が25μmを超えると、塗装コストが増大するだけでなく、表面硬度が低くなる傾向にある。さらには、可視光領域の光線透過率が低下して、ステンレスの外観を活かした意匠性が損なわれることがある。クリヤ塗膜中に着色顔料が含まれる場合には、光線透過率低下による意匠性低下がより顕著となる。
裏面のクリヤ塗膜の膜厚は特には限定されないが1μm以上であればよい。なお、裏面のクリヤ塗膜は必ずしも、害虫忌避性及び可視光透過性を有している必要はない。
<害虫忌避性クリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法>
本発明の害虫忌避性クリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法は、ステンレス鋼板原板の少なくとも一方の面にクリヤ塗料を塗布し、硬化させて、クリヤ塗膜を形成する工程を有する。
前記のクリヤ塗料は、熱硬化性樹脂と、アミノ樹脂以外の架橋剤と、合成ピレスロイド系化合物からなる害虫忌避剤と、溶剤とを含むものである。
クリヤ塗料において、熱硬化性樹脂とアミノ樹脂以外の架橋剤の構成比率は、熱硬化性樹脂中に含まれる架橋性官能基の合計のモル数1モルに対して架橋剤中のイソシアネート基等の反応基が0.1〜2.0モルとなることが好ましく、0.1〜1.0モルとなることがより好ましい。熱硬化性樹脂に対するアミノ樹脂以外の架橋剤の構成比率が前記下限値未満であると、表面硬度が低くなることがあり、前記上限値を超えると、害虫忌避性が低くなることがある。
クリヤ塗料に含まれる溶剤としては特に限定されず、例えば、炭化水素(トルエン、キシレン、ベンゼン、シクロヘキサン、ヘキサン等)、アルコール化合物(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)、エステル化合物(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル化合物(ジエチルエーテル等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、その他極性溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)が挙げられ、適宜選択される。
クリヤ塗料には、熱硬化性樹脂と架橋剤との反応促進剤として触媒を含有させてもよい。特に、架橋剤としてブロック型イソシアネートを選択する場合には、クリヤ塗料に触媒を含有させることが好ましい。クリヤ塗料に触媒を含有させれば、ブロック剤の解離を促進させ、架橋反応を塗膜全体で均一に進行させることができる。
触媒としては、例えば、スズ系等の金属触媒、アミン系等の有機触媒が挙げられるが、これらの種類は特に限定されない。
クリヤ塗料には、塗装時の作業性を向上させるために、消泡剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、沈降防止剤が含まれてもよい。
クリヤ塗料における害虫忌避剤の含有量は、クリヤ塗料の固形分、すなわち溶剤以外の成分100質量部に対して0.50〜7.0質量部であり、0.80〜5.0質量部であることが好ましく、0.80〜3.5質量部であることがより好ましい。ここで、クリヤ塗料の固形分はクリヤ塗膜となるものである。
害虫忌避剤の含有量が前記下限値未満であると、害虫忌避効果が充分発揮されない。一方、害虫忌避剤の含有量が前記上限値を超えると、害虫忌避効果の向上が頭打ちになり、含有量を増やしてもコストが高くなるばかりで無益である。
クリヤ塗料の塗布方法としては特に制限されず、例えば、スプレー、ロールコート、バーコート、カーテンフローコート、静電塗布等を採用できる。
クリヤ塗料塗布後の硬化条件は、素材最高到達温度(PMT)が190〜250℃となるように加熱することが好ましい。素材最高到達温度が190℃未満であると、硬化反応が充分に進まず、クリヤ塗膜の表面硬度が低下するだけでなく、ステンレス鋼板とクリヤ塗膜との密着性が低下することがある。一方、素材最高到達温度が250℃を超えると、硬化反応が飽和するだけでなく、クリヤ塗膜が黄変して意匠性を低下させることがある。さらに、素材最高到達温度が250℃を超えると、害虫忌避剤が熱分解しやすくなり、害虫忌避性が低下することがある。
<本発明の作用効果>
本発明におけるクリヤ塗膜は、熱化硬化性樹脂がアミノ樹脂以外の架橋剤で架橋したものであり、接触忌避型である合成ピレスロイド系害虫忌避剤が表層部に偏在しやすくなっている。そのため、害虫忌避性に優れる。また、本発明におけるクリヤ塗膜は、熱硬化性樹脂が架橋した三次元網目構造を有するため、表面硬度が高い。さらに、本発明におけるクリヤ塗膜は、表面硬度が高いため、耐傷付き性に優れており、傷による意匠性の低下が防止されている。したがって、本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板は、意匠性に優れる。
以下に、実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜9及び比較例1〜8)
ステンレス鋼板として、新日鐵住金ステンレス(株)製のステンレス鋼板SUS430/No.4研磨仕上げ材を用いた。このステンレス鋼板の両面に、ノンクロメート系の化成処理液(日本パーカライジング株式会社製パルコートE−305)を、ロールコーター用いて、蛍光X線の測定でSiOが2〜10mg/mになるように塗装した。次いで、表面到達温度(PMT)が100℃になるように焼き付け、乾燥させた。
次いで、表1,2に示す配合のクリヤ塗料を、バーコーターを用いて、乾燥時の膜厚が表1,2に示す厚さとなるように塗装した。その後、表面到達温度(PMT)が225℃になるように加熱し、アクリル樹脂をジイソシアネートによって架橋して、塗膜を形成した。これにより、塗装ステンレス鋼板を得た。
なお、使用したアクリル樹脂としては、数平均分子量が5000、ガラス転移温度が60℃、OH価60mgKOH/gのものを用いた。ジイソシアネートとしては、アミンブロック型のHDIで、NCO価が10%のものを用いた。アミノ樹脂としては、イミノ基型メチル化メラミン樹脂を用いた。
Figure 0005646016
Figure 0005646016
<評価>
得られた塗装ステンレス鋼板について、害虫忌避性、可視光線透過率、塗膜の鉛筆硬度、塗膜の密着性、塗膜の加工性を、下記のように測定又は評価した。それらの結果を表1,2に示す。
(1)害虫忌避性
害虫忌避性は以下の方法にて評価した。
まず、図1に示すように、縦70mm、横70mmの正方形のベニヤ板11の片面に、その面の各辺に沿って、5mm角で長さが40mmの正四角柱体12を取り付けて、試験用カバー10を作製した。次いで、図2に示すように、その試験用カバー10を、各例で作製した塗装ステンレス鋼板からなる試験板20aの上に取り付けて、試験体1を作製した。また、試験用カバー10を、各例で使用したステンレス鋼板(新日鐵住金ステンレス(株)製のステンレス鋼板SUS430/No.4研磨仕上げ材)20bの上に取り付けて、比較用試験体2を作製した。
図3に示すように、試験体1及び比較用試験体2を箱3の内部に設置し、試験体1と比較用試験体2との間に水4及び餌5を配置した。その後、箱3の内部に、チャバネゴキブリの成虫を20匹投入し、24時間放置した。放置後、試験体1及び比較用試験体2の試験用カバー10を取り外し、試験体1の内部に存在したチャバネゴキブリの数、比較用試験体2の内部に存在したチャバネゴキブリの数をそれぞれ数えた。この数を元に下記式(1)によって害虫忌避率を算出し、忌避効果の程度を評価した。
ゴキブリは暗く狭い所を好むため、通常は試験用カバーの下に形成された隙間に入り込むが、試験用カバーの下に設置された板が害虫忌避性を有していると、ゴキブリは敬遠するようになる。そのため、試験体における塗装ステンレス鋼板の害虫忌避性が高い程、害虫忌避性を有していない比較用試験体の内部にゴキブリが集まりやすくなる。したがって、試験体1の内部に存在したチャバネゴキブリの数と、比較用試験体2の内部に存在したチャバネゴキブリの数とを対比することによって、害虫忌避性を評価することができる。
害虫忌避率(%)=(1−[比較用試験体内に存在したチャバネゴキブリの数]/[試験体内に存在したチャバネゴキブリの数])×100 (1)
害虫忌避性80%以上:合格、90%以上は特に優れている。
害虫忌避性80%未満:不合格
(2)可視光線透過率(塗膜のクリヤ性評価)
可視光線の透過率は以下の方法にて評価した。まず、厚さ2mmのガラス板に対して表1,2に示すクリヤ塗料を、乾燥時の膜厚が4〜6μmになるように塗装し、硬化させて塗膜を形成した。その塗膜について、可視光波長領域の透過率曲線を測定し、この曲線の積分値を算出した。
次に、ブランクとしての無塗装のガラス板にて同様に可視光波長領域の透過率曲線を測定し、この曲線の積分値を算出した。これらの数値を元に、下記式(2)(3)により、可視光波長領域の透過率を算出し、塗膜のクリヤ性を評価した。
なお、光線透過率は、分光光度計(日本分光(株)製V670)を用いて、380nm〜750nmの波長範囲で測定した。
透過率30%以上:合格、50%以上は特に優れている。
透過率30%未満:不合格
Figure 0005646016
X:無塗装ガラス板の算出積分値
X’:無塗装ガラス板の光線透過率(%)
Y:塗装ガラス板の算出積分値
Z:塗膜の光線透過率(%)
(3)塗膜の鉛筆硬度(表面硬度)
塗膜の表面硬度は、JIS K5600−5−4 引っかき硬度(鉛筆法)に準じ、三菱鉛筆製鉛筆引っかき値試験用鉛筆を用いて、鉛筆硬度にて評価した。
硬度H以上:合格、2H以上は特に優れている。
硬度F以下:不合格
(4)塗膜の密着性
JIS K5600−5−6/付着性(クロスカット法)に従って試験し、以下の基準で評価した。
5:カットの交差部分を含めて、剥離は全く見られない。(合格)
4:カットの交差部分や縁にごく僅かな剥離が見られる。(合格)
3:カットの交差部分や縁から、マス目の2割近くが剥離する。(不合格)
2:カットの縁に沿って大きく欠け、マス目の5割近くが剥離する。(不合格)
1:カットした部分が全面的に剥離する。(不合格)
(5)塗膜の加工性
被試験体として、矩形状の塗装ステンレス鋼板を用意した。該塗装ステンレス鋼板において、その長手方向の中央を境界とした片側を、塗装ステンレス鋼板と同じ厚みの2枚の板で挟んだ。次いで、塗装ステンレス鋼板を、長手方向の中央を折り曲げ部として180度折り曲げて、折り曲げた塗装ステンレス鋼板と2枚の板とを重ね合せ、万力でしっかりと締めた。
これにより伸ばされた加工箇所を30倍ルーペで拡大して目視観察し、そのクラックの程度を以下の基準で評価した。
5:加工箇所にクラックは見られない。(合格)
4:加工箇所に微細なクラックが数箇所見られる。(合格)
3:加工箇所に小さなクラックが多数目視確認できる(不合格)
2:加工箇所に小さなクラックと合わせて大きなクラックも確認できる。(不合格)
1:加工箇所に大きなクラックが多数入り、塗膜がめくれ上がっている(不合格)
アクリル樹脂をジイソシアネートによって架橋したクリヤ塗膜の内部に害虫忌避剤を0.50〜7質量部の範囲で含む実施例1〜9では、害虫忌避性及び表面硬度に優れていた。また、塗膜の密着性及び塗膜の加工性にも優れていた。
クリヤ塗膜中の害虫忌避剤の含有量が0.50質量部未満の比較例1,2では、害虫忌避性が低かった。
塗膜中に着色顔料を多く含む比較例3,4は、クリヤ塗装ステンレス鋼板と言えるものではかった。
架橋剤としてメラミン樹脂を用いた比較例5,6では、害虫忌避性が低かった。
クリヤ塗膜の膜厚が25μmを超える比較例7,8では表面硬度が低かった。

Claims (2)

  1. ステンレス鋼板原板と、該ステンレス鋼板原板の少なくとも一方の面に設けられたクリヤ塗膜とを備え、
    クリヤ塗膜が、アクリル樹脂からなる熱硬化性樹脂がアミノ樹脂以外で且つ1分子中にイソシアネート基を2つ以上有する多官能イソシアネート化合物からなる架橋剤によって架橋された厚さ25μm以下の硬化塗膜であり、合成ピレスロイド系化合物からなる害虫忌避剤を、クリヤ塗膜100質量部に対して0.50〜7.0質量部含有する、害虫忌避性クリヤ塗装ステンレス鋼板。
  2. ステンレス鋼板原板の少なくとも一方の面にクリヤ塗料を、乾燥後の塗膜厚さが25μm以下になるように塗布し、硬化させて、クリヤ塗膜を形成する工程を有し、
    前記クリヤ塗料として、アクリル樹脂からなる熱硬化性樹脂と、アミノ樹脂以外で且つ1分子中にイソシアネート基を2つ以上有する多官能イソシアネート化合物からなる架橋剤と、合成ピレスロイド系化合物からなる害虫忌避剤と、溶剤とを含み、害虫忌避剤の含有量がクリヤ塗料の固形分100質量部に対して0.50〜7.0質量部である、害虫忌避性クリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法。
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