JP2020029487A - 害虫防除性ハードコート組成物及び害虫防除性ハードコート塗膜を有する床材 - Google Patents

害虫防除性ハードコート組成物及び害虫防除性ハードコート塗膜を有する床材 Download PDF

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剛 井上
永野 裕幸
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Abstract

【課題】床面に対して施工が簡便で、得られる塗膜の耐擦り傷性が極めて優れ、かつ、害虫防除性のあるハードコート塗膜を有する床材を得ることができるハードコート組成物を提供すること【解決手段】薬剤(a)と、アルコキシシリル基、エポキシ基及びシロキサン結合を有するエポキシシランオリゴマー(b)と、硬化触媒(c)と、溶媒(d)と、を含み、薬剤(a)の含有量が、組成物の全配合成分の合計質量に対して0.05〜20質量%である、床用の害虫防除性ハードコート組成物及び該害虫防除性ハードコート組成物からなる害虫防除性ハードコート塗膜を有する床材。【選択図】なし

Description

本発明は、害虫に対する防除効力と歩行等に対する耐擦り傷性を併せ持つ、床用の害虫防除性ハードコート組成物及び床材に関する。
従来、建築物の床面は、耐擦り傷性や艶の向上を目的に水性のエマルション系樹脂を主成分とした樹脂ワックスが塗装されている。しかしながら、前記樹脂ワックスは、歩行や台車での資材運搬等により塗膜表面に多数の傷や汚れが付き易く、光沢も比較的短期間で低下してしまうため、年に数回再塗装をする作業が必要となり、メンテナンスコストや耐久性に問題があった。このことから、擦り傷や光沢等に対して高い耐久性を有するコーティング剤が望まれていた。
さらに、医薬品や食品を取り扱う建築物では、出入口から飛び込んでくる害虫(例えば、蚊など)や床面から侵入する害虫(例えば、ゴキブリなど)を防止することも重要であり、各種薬剤を配合した組成物が提案されている。
特許文献1にはワックス成分にピレスロイド系の防虫忌避成分を特定量添加し、床ワックスとしての性能(光沢、耐水性等)を発揮しつつ、ゴキブリを極めて高い忌避率で忌避させることができることが開示されている。しかしながら前述の通り、ワックスは長期耐久性に乏しく何度も塗りなおす必要がある。
特許文献2には、合成ピレスロイド系化合物と脂肪酸二塩基酸エステル、可塑剤、テルペノイド類を配合した害虫防除性塗料が開示されているが、可塑剤の影響で塗装後歩行可能となるまでの時間がかかったり、ヒール汚れが付きやすかったりするなどの問題があった。
一方、特許文献3には耐擦り傷性が良好な床材被覆用活性エネルギー線硬化性組成物とその積層体が開示されている。しかしながら、活性エネルギー線の照射により薬剤が分解するか又はその恐れがあり、十分な害虫防除効力が得られないという課題があった。
特許文献4には、アルキルシリケート系無機ワニスに殺虫成分、殺菌成分の一方又は双方を配合した殺虫・殺菌被膜剤が開示されている。このアルキルシリケート系無機ワニスは、空気中の水分との反応による脱アルコール反応によりシロキサン分子が巨大化して耐磨耗性の良い被膜を与えることが記載されているが、耐クラック性の点から問題があった。
特開平4−370177号公報 特開平11−35405号公報 特開2015−218244号公報 特公平6−81825号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、床面に対して施工が簡便で、長期にわたって耐擦り傷性及び高外観(仕上がり性、艶感)かつ、害虫防除性を発揮可能な塗膜を形成するのに適する床用のハードコート組成物及び床材を提供することである。
かかる状況の下、本発明者らは鋭意研究した結果、床面上に、特定のエポキシシランオリゴマー及び硬化触媒をバインダー成分とし、薬剤を特定量含む害虫防除性ハードコート組成物からなるハードコート硬化塗膜を最上層に形成することによって、上記課題を解決できることを見出した。
従って本発明は、下記の態様を包含する。
項1.薬剤(a)と、アルコキシシリル基、エポキシ基及びシロキサン結合を有するエポキシシランオリゴマー(b)と、硬化触媒(c)と、溶媒(d)と、を含み、
薬剤(a)の含有量が、組成物の全配合成分の合計質量に対して0.05〜20質量%である、床面塗布用の害虫防除性ハードコート組成物。
項2.前記エポキシシランオリゴマー(b)が、重量平均分子量500〜20000の範囲内のものである項1記載の床用の害虫防除性ハードコート組成物。
項3.前記溶媒(d)が、グリコールエーテル系溶剤の中から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤(d1)を含む項1又は項2に記載の床用の害虫防除性ハードコート組成物。
項4.さらにコロイダルシリカ(e)を含有し、該コロイダルシリカ(e)に含まれるシリカ微粒子の平均一次粒子径が1〜100nmの範囲内である項1〜項3のいずれか1項に記載の床用の害虫防除性ハードコート組成物。
項5.さらに反応性基を有するシランカップリング剤(f)を含有する項1〜4のいずれか1項に記載の床用の害虫防除性ハードコート組成物。
項6.被塗物上に、項1〜5のいずれか1項に記載の害虫防除性ハードコート組成物からなるハードコート硬化塗膜(I)を最上層に設けた床材であって、面積1mあたりの薬剤(a)の含有量が0.05〜10.0g/mであることを特徴とする害虫防除性ハードコート塗膜を有する床材。
項7.前記被塗物となる床が、塩化ビニル樹脂系タイル、セラミックス系タイル及び天然石系タイルから選ばれる少なくとも1種である、項6に記載の害虫防除性ハードコート塗膜を有する床材。
項8.前記床材において、害虫防除性ハードコート組成物からなるハードコート硬化塗膜(I)の下にプライマー塗膜(II)を設けてなる項6又は項7に記載の害虫防除性ハードコート塗膜を有する床材。
本発明の害虫防除性ハードコート組成物によって形成されるハードコート硬化塗膜は、長期にわたって極めて優れた耐擦り傷性及びその床面の外観(仕上り性、艶感)を維持し、且つ、害虫防除性を有する。また、本発明を構成する害虫防除性ハードコート組成物は、施工が簡便で、かつ常温での乾燥性、硬化性に優れる。硬化過程において特別な装置を必要とすることがなく、施工が簡便であり塗布作業性に優れる。
本発明の床用の害虫防除性ハードコート組成物は、薬剤(a)と、アルコキシシリル基、エポキシ基及びシロキサン結合を有するエポキシシランオリゴマー(b)と、硬化触媒(c)と、溶媒(d)と、を含み、薬剤(a)を特定量含むことを特徴とする。
<害虫防除性ハードコート組成物>
・(a)薬剤
本発明の害虫防除性ハードコート組成物は、薬剤(a)を含有する。薬剤(a)としては害虫防除性を有する薬剤であれば特に限定されるものではないが、例えば、殺虫剤、防虫剤、共力剤、忌避剤、昆虫成長抑制剤等が挙げられる。
薬剤(a)成分としては、例えば、ピレトリン、プラレトリン、イミプロトリン、フタルスリン、アレスリン、トランスフルトリン、レスメトリン、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、サイパーメスリン、エトフェンプロックス、シフルスリン、デルタメスリン、ビフェントリン、フェンプロパスリン、メトフルトリン、プロフルトリン等のピレスロイド系化合物;マラソン、パラチオン、フェニトロチオン、ダイアジノン、ピリダフェンチオン、プロチオホス、ホキシム、クロルピリホス、ジクロルボス等の有機リン系化合物;カルバリル、プロポクスル(プロポクスル)、フェノブカーブ、チオジカルブ等のカーバメート系化合物;メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系化合物;アミドフルメト等のスルホンアミド系化合物;フィプロニル、ピリプロール等のフェニルピラゾール系化合物;ジノテフラン、アセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン等のネオニコチノイド系化合物;インドキサカルブ等のオキサジアジン系化合物;クロルフルアズロン、ビストリフルロン、トリフルムロン等のベンゾイル尿素系化合物;ピペロニルブトキシド等の共力剤;メトプレン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン等の昆虫成長抑制剤等が挙げられる。これらの薬剤は、1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
中でも環境安全性、防除効力の持続性の点からピレスロイド系化合物が好ましい。また、ピレスロイド系化合物の中には光学異性体や幾何異性体が存在する化合物もあるが、これらの異性体も薬剤(a)成分に含まれる。
本発明の害虫防除性ハードコート組成物に含まれる薬剤(a)の質量は、防除効力、塗膜の仕上り性、耐擦り傷性、耐クラック性などの点から害虫防除性ハードコート組成物の全配合成分の合計質量に対して0.05〜20質量%であり、0.1〜15質量%の範囲内、さらに0.3〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。
・(b)エポキシシランオリゴマー
エポキシシランオリゴマー(b)は、分子内にアルコキシシリル基、エポキシ基及びシロキサン結合を有する化合物であり、後述の硬化触媒(c)の作用により乾燥後、ハードコート硬化塗膜中にアルコキシシリル基及びエポキシ基由来の反応による結合を有する架橋塗膜を形成するものことができる化合物である。具体的に例えば、下記一般式(I)で表されるエポキシ基含有加水分解性シランの加水分解縮合物(b1)、及び/又は、該エポキシ基含有加水分解性シランとエポキシ基を有さない下記一般式(II)で表される加水分解性シランとの混合物の加水分解縮合物(b2)であることができる。
Figure 2020029487
[式(I)中、Rはエポキシ基を含有する有機基であり、Xは、加水分解性基であり、aは1〜3の整数である。]
前記Xは加水分解性基であり、例えば、アルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、アミノキシ基、ハロゲン原子などが挙げられるが、入手しやすい炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、加水分解縮合の反応速度の点から、メトキシ基が好ましい。
前記一般式(I)で表される加水分解性シランとしては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルジメトキシシランなどが挙げられる。
Figure 2020029487
[式(II)中、Rはエポキシ基を有さない有機基であり、Xは同一又は異なっても良い加水分解性基、aは0〜3の整数を示す]。
前記一般式(II)で表される加水分解性シランとして具体的には、例えば、前記aが0〜3の整数であり、単官能性、2官能性、3官能性又は4官能性の加水分解性シランが挙げられる。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラフェノキシシランなどのテトラアルコキシシラン又はテトラクロロシランなどの4官能性の加水分解性シラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン等の3官能性加水分解性シラン;ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどの2官能性加水分解性シラン;トリメチルメトキシシランなどのトリアルキルアルコキシシランなどの単官能性加水分解性シランが挙げられる。
単官能性、2官能性、3官能性又は4官能性の加水分解性シランは、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記エポキシシランオリゴマー(b)の重量平均分子量は、乾燥性と耐クラック性の点から、500〜20000であり、好ましくは800〜10000の範囲内が好適である。
前記エポキシシランオリゴマー(b)のエポキシ当量は、水希釈安定性と硬化性の点から、通常130(g/eq)以上であり、150(g/eq)以上が好ましく、200(g/eq)以上がさらに好ましく、また、1000(g/eq)以下が好ましく、800(g/eq)以下がさらに好ましい。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した保持時間(保持容量)を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間(保持容量)によりポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置として、「HLC−8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G3000HXL」、「TSKgel G2500HXL」及び「TSKgel G2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の計4本を使用し、検出器として、示差屈折率計を使用し、移動相:テトラヒドロフラン、測定温度:40℃、流速:1mL/minの条件下で測定することができる。
該エポキシシランオリゴマー(b)の含有量は、耐クラック性、乾燥性の点から、害虫防除性ハードコート組成物の全配合成分の合計質量に対して10〜80質量%の範囲内、好ましくは10〜60質量%の範囲内である。
・(c)硬化触媒
硬化触媒(c)としては、アルコキシシリル基などの加水分解性基を加水分解縮合させて硬化性を促進させうるものであれば、その種類は特に制限はないが、中でも、乾燥性や耐擦り傷性、水希釈安定性の点からリン酸化合物、有機錫化合物が好ましい。
上記リン酸化合物としては、例えば、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、メタンホスホン酸、ベンゼンホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、ホスフィン酸、リン酸トリメチル;これらのリン酸化合物のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩などが挙げられる。
上記有機錫化合物としては、例えば、ジアセチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジアセチル錫ジオクトエート、オクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクチレートなどが挙げられる。
硬化触媒(c)の含有量としては、乾燥性の点から、害虫防除性ハードコート組成物の全配合成分の合計質量に対して、0.1〜30質量%、好ましくは0.3〜15質量%となる範囲内で調整されることが望ましい。
・(d)溶媒
害虫防除性ハードコート組成物は、溶媒(d)を含有することが好ましい。溶媒(d)は、組成物の粘度、塗布性の調整のための希釈、床材への濡れ性向上等の目的に応じて適宜組み合わせて使用することができる。
溶媒(d)としては、有機溶剤及び水が挙げられる。有機溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、ブタノール、メチルイソブチルカルビノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶剤;エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル(別名:メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(別名:エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(別名:ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル(別名:tert−ブチルセロソルブ)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(TPnBと略すことがある)トリプロピレングリコールモノイソブチルエーテル;エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、1−メトキシプロピル−2−アセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、脂肪族炭化水素類系溶剤が挙げられる。
特に、前記薬剤(a)と、水及びエポキシシランオリゴマー(b)とを混合しやすくする点及び防除性の点から、グリコールエーテル系溶剤の中から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤(d1)を含むことが好ましい。
前記(d1)の中でも、仕上がり性と硬化性、塗布作業性と相溶性の点から、グリコールエーテル系溶剤の中から選ばれる少なくとも1種の水溶性有機溶剤が好ましく、特に3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルの中から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
本発明では各配合成分混合中に凝集物が発生するのを抑制する観点から、前記薬剤(a)を予め、上記溶媒(d1)に溶解させる工程を含むことが特に好ましい。薬剤(a)を予め溶解させておくことにより、仕上り性及び防除性を向上させることができる。
本発明の害虫防除性ハードコート組成物は、さらに、塗布作業性及び各成分の相溶性調整の観点から、水(d2)を含有することが好ましい。害虫防除性ハードコート組成物の粘度を適宜調整し、塗布作業性を調整することができるだけでなく、害虫防除性ハードコート組成物中の有効成分量を調整することができ、塗膜形成時の膜厚を制御することができる。
水としては、任意のものを用いることができ、例えば、水道水、イオン交換水、および純水が好ましく用いられるが、例えば、原材料(例えば、水を分散媒として含むコロイダルシリカ(後述)に含まれる水であっても良い。
本発明の害虫防除性ハードコート組成物は、組成物中に水を含むことが可能であると共に、塗布段階の希釈作業において、有機溶剤ではなく水を用いることができるため、屋内作業においても、作業者の健康や周辺の衛生環境を損なう恐れが少なく安全性が高い。
溶媒(d)の含有量としては、害虫防除性ハードコート組成物の全配合成分の合計質量に対して、1〜60質量%、好ましくは5〜50質量%となる範囲内で調整されることが望ましい。
溶媒(d)のうち、水を含有する場合には、害虫防除性ハードコート組成物の全配合成分の合計質量に対して、0.1〜50質量%好ましくは3〜30質量%となる範囲で調整することができる。
・(e)コロイダルシリカ
本発明ではハードコート組成物がコロイダルシリカ(e)を含むことが好ましい。これにより、形成されるハードコート硬化塗膜の無機比率が向上し、害虫防除性及び耐擦り傷の持続性がより一層向上する場合があり特に好ましい。
コロイダルシリカ(e)は、シリカ微粒子が、分散媒中にコロイド状で存在する態様をいう。シリカ微粒子としては特に制限されるものではないが、耐擦り傷性の向上、透明性、硬度、害虫防除性の点から平均一次粒子径が1〜100nmの範囲内のものが好ましく、8〜50nmがさらに好ましく、10〜50nmがとくに好ましい。
ここで、シリカ微粒子の平均一次粒子径は、例えば、硬化塗膜断面の透過型電子顕微鏡(TEM)等の電子顕微鏡により観察される粒子によって測定することができる。あるいは、特定の粒子径が表示された市販品を用いてもよい。本発明においては、シリカ微粒子の平均一次粒径は、透過型電子顕微鏡で撮影し、無作為に引いた直線上にある微粒子20個を一次粒子として観察し、画像解析により最大径の数平均径として測定値を算出して得られた値である。この時、シリカ微粒子が円形でない場合には、同一面積の円相当の直径を求め、これをシリカ微粒子の直径とした。
ハードコート組成物がコロイダルシリカ(e)を含有する場合の含有量は、害虫防除性及び耐擦り傷の持続性の点から、害虫防除性ハードコート組成物の全配合成分の合計質量に対して20〜80質量%の範囲内、さらに30〜70質量%の範囲内が好ましい。
コロイダルシリカ(e)を害虫防除性ハードコート組成物に適用する際は、シリカ微粒子を分散媒に分散させた状態で使用することが好ましい。この場合シリカ微粒子の含有量としてはコロイダルシリカ(e)中に10〜60質量%、特に15〜50質量%の範囲内であることができる。
分散媒としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコール等の多価アルコール系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール誘導体;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン系溶剤;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等のモノマーがある。中でも、水、メタノール、エタノール等の水溶性溶剤、特に水を分散媒として含むものであることが害虫防除性ハードコート組成物に適用した際の安定性の点から好ましい。
水を分散媒として含むコロイダルシリカとしては、例えば、酸性コロイダルシリカ、塩基性コロイダルシリカ等が挙げられる。
酸性コロイダルシリカとしては、特に限定されないが、例えば、市販品としてスノーテックスAK、スノーテックスO、スノーテックスO−40、スノーテックスOL、スノーテックスOUP、スノーテックスOXS、スノーテックスOYL(以上、商品名、日産化学工業社製、スノーテックスは登録商標)、アデライトAT−20Q(商品名、ADEKA社製、アデライトは登録商標)等が挙げられる。
塩基性コロイダルシリカとしては、特に限定されないが、例えば、市販品としてスノーテックスC、スノーテックスN、スノーテックスNXS(以上、商品名、日産化学工業社製、スノーテックスは登録商標)、アデライトAT−20、アデライトAT−20N(以上、商品名、ADEKA社製、アデライトは登録商標)等が挙げられる。
水溶性溶剤を分散媒とするコロイダルシリカとしては、特に限定されないが、例えば、市販品としてMA−ST−M、IPA−ST、EG−ST、PGM−ST(以上、商品名、日産化学工業社製)等が挙げられる。
中でも、前記コロイダルシリカ(e)は、害虫防除性ハードコート組成物の安定性、塗膜外観から酸性コロイダルシリカが好適に使用できる。
前記コロイダルシリカは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上のコロイダルシリカを併用する方法としては、具体的には例えば、平均一次粒子径が10〜15nmの酸性コロイダルシリカと平均一次粒子径が20〜25nmの酸性コロイダルシリカとを、質量比(前者/後者)が、好ましくは10/90〜70/30の範囲内となるように併用する方法、平均一次粒子径が20〜25nmの酸性コロイダルシリカと平均一次粒子径が50〜80nmの酸性コロイダルシリカとを、質量比(前者/後者)が、好ましくは10/90〜60/40となるように併用する方法が挙げられる。
さらに、コロイダルシリカ(e)には、アルミナゾル、チタニアゾル、セリアゾル等のシリカ微粒子以外の無機質微粒子を含有させることもできる。
・(f)シランカップリング剤
本発明の害虫防除性ハードコート組成物は、シランカップリング剤(f)を含有してもよい。シランカップリング剤(f)を含有することにより、害虫防除性ハードコート組成物中の前記コロイダルシリカ(e)に含まれるシリカ微粒子の分散性が向上し、かつ均一な被膜となりうることから、耐擦り傷性と光沢度等の塗膜外観が向上する場合があり特に好ましい。シランカップリング剤(f)としては、特に制限されることはないが、反応性基を有するシランカップリング剤が好適である。
反応性基は、害虫防除性ハードコート組成物に凝集が発生せず、常温で反応し得る官能基が好ましく、具体的には、エポキシ基、水酸基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基又はイソシアネート基等を挙げることができる。
シランカップリング剤(f)の具体例としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のグリシドキシ基含有シランカップリング剤、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルジメトキシシラン等の(3,4−エポキシシクロヘキシル)基含有シランカップリング剤等のエポキシ基含有シランカップリング剤;3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等のウレイド基含有シランカップリング剤;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン等のビニル基含有シランカップリング剤;3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
シランカップリング剤(f)としては、害虫防除性ハードコート組成物の安定性、耐擦り傷性の点からウレイド基含有シランカップリング剤及びグリシドキシ基含有シランカップリング剤から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
シランカップリング剤(f)を害虫防除性ハードコート組成物に含有させる場合、その含有率としては、塗膜外観、耐擦り傷性の点から、害虫防除性ハードコート組成物の全配合成分の合計質量に対して、1〜20質量%、さらに3〜15質量%の範囲内が好ましい。
・その他
本発明において前記ハードコート組成物には、着色顔料、体質顔料、艶消し剤、光輝材(例えば、アルミニウム粉、パール顔料、ガラスフレーク等)が含まれてもよい。また、形成されるハードコート硬化塗膜の表面の光沢や外観を調整する目的で樹脂ビーズが含まれてもよい。また、その他、前記硬化触媒(c)以外のその他の硬化触媒、RTVゴム、、染料、骨材、樹脂粒子、表面調整剤、粘度調整剤、消泡剤、抗菌剤、防カビ剤、難燃剤、防曇剤、可塑剤、スリップ剤、脱水剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、金属酸化物微粒子、金属粉、酸化防止剤、界面活性剤、造膜助剤、増粘剤、帯電防止剤、撥水性付与剤、繊維類等の添加剤;イソシアネート化合物、ポリアミン化合物やメラミン樹脂等の架橋剤;ワックス等の;アクリル樹脂、フッ素樹脂、各種有機変性シリコーンオイル等の改質用樹脂などを適宜配合することができる。
ただし、上記成分は、形成されるハードコート硬化塗膜の硬度や仕上り性を損なわない範囲で含まれることが適している。上記その他の成分を含有する場合、その場合の含有量としては、害虫防除性ハードコート組成物の全配合成分の合計質量に対して20質量%以下、0.1〜18.0質量%が好ましく、0.1〜10.0質量部であることがより好ましい。
その他の硬化触媒としては、加水分解性基を有する化合物を加水分解縮合させて硬化性を促進させうるものが好ましく具体的に例えば、有機アルミニウム化合物;有機チタン化合物;有機ジルコニウム化合物;ナフテン酸亜鉛等の有機亜鉛化合物;有機コバルト化合物;ホウ酸化合物等;アルカリ金属水酸化物;水酸化アンモニウム塩;フッ化アンモニウム塩;強塩基3級アミン化合物;が挙げられる。
<害虫防除性ハードコート組成物の形態及び調整方法>
本発明の害虫防除性ハードコート組成物は、一液型組成物であってもよいし、二液以上の多液型組成物であってもよい。
多液型とする場合は、例えば、前記薬剤(a)、溶媒(d)、及びエポキシシランオリゴマー(b)を第1成分に、硬化触媒(c)を第2成分にし、それ以外のその他成分をいずれかに振り分ける方法を挙げることができる。
貯蔵安定性及び塗布作業性の観点から、害虫防除性ハードコート組成物が前記コロイダルシリカ(e)を含む場合は、例えば、薬剤(a)と溶媒(d)を含む第一液、エポキシシランオリゴマー(b)を含む第二液、硬化触媒(c)を含む第三液及び、コロイダルシリカ(e)を含む第四液を個別に作製し、使用直前に全液を混合して使用することができる。
シランカップリング剤(f)を含有する場合には、シランカップリング剤(f)と前記コロイダルシリカ(e)とを予め分散せしめてから硬化触媒(c)を混合することで相溶性が向上する場合があり好ましい。
<害虫防除性ハードコート塗膜(I)を有する床材>
本発明の床材は、前記被塗物上に害虫防除性ハードコート組成物を塗布し、硬化させて、該ハードコート硬化塗膜(I)を最上層に有するものである。
本発明でいう害虫とは、特に限定されず、例えば、アカイエカ、ヒトスジシマカ等の蚊類;イエバエ等のハエ類;ユスリカ類;ブユ類;チョウバエ類;等の飛翔害虫、アリ類;ノミ類;ゴキブリ類;シロアリ類;ダニ類;クモ類;ダンゴムシ類;ムカデ類;ヤスデ類等の匍匐害虫等を挙げることができる。
<被塗物>
本発明の害虫防除性ハードコート組成物が適用される被塗物の素材としては、床材用として用いることのできる素材が挙げられ、例えば、陶磁器、磁器タイルなどのセラミックス系;鉄、アルミニウム等の金属系;天然木、合板等の木質系;塩化ビニル樹脂等の合成樹脂系;御影石、大理石等の石材系;これらの素材を複合した被塗物等を挙げることができる。表面に保護シールや旧塗膜が設けられたものであってもよい。被塗物の形状、大きさは特に制限されず、タイル状、シート状などが挙げられる。新設又は既設の床材どちらであっても良い。特に、塩化ビニル樹脂系タイル、セラミックス系タイル及び天然石系タイル系から選ばれる少なくとも1種であることが利便性、意匠性、本発明の害虫防除性ハードコート塗膜の付着性の点から好ましい。
・塗布
前記害虫防除性ハードコート組成物は、それ自体既知の塗布手段を用いて塗布することができるが、例えば、上記害虫防除性ハードコート組成物を床面にモップ、スポンジ、クロス等によって塗り広げる方法が挙げられる。その他、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、リシンガン、万能ガン、ハケ、ディップコート、ロールコーター、刷毛塗り等、塗装法から基材の種類、用途等に応じて適宜選択して使用することができる。
また、本発明の害虫防除性ハードコート組成物は、塗膜外観を損なわない範囲で複数回塗り重ねることもできる。さらに必要に応じて塗布後の余剰分を拭き取ることもできる。
塗布後の乾燥は、常温乾燥で行うことができるが、使用した組成物の組成や塗布環境等に応じて、加熱乾燥又は強制乾燥してもよい。
常温乾燥では、例えば5〜45℃の環境下で乾燥することにより塗膜を得ることができる。塗布時における相対湿度(以下RHと略すことがある)は70%以下、特に60%以下が好ましい。常温乾燥の乾燥時間としては、1時間以上、好ましくは1日以上、さらには3日以上が好ましい。また、歩行可能となるまでの時間は、3日未満、好ましくは24時間未満、さらには3時間未満が好ましい。
・膜厚
本発明の床材において、ハードコート硬化塗膜(I)の乾燥膜厚は適用基材や塗布環境によって適宜調整できるが十分な耐擦り傷性が得られるには一般に0.5〜1,000μm、好ましくは5〜500μmがよい。
前記ハードコート硬化塗膜(I)は、害虫防除性ハードコート組成物を塗布し、乾燥して床材の最上層に形成される硬化塗膜であり、該害虫防除性ハードコート組成物が、薬剤(a)と、アルコキシシリル基、エポキシ基及びシロキサン結合を有するエポキシシランオリゴマー(b)と、硬化触媒(c)と、を含有することを特徴とするものである。
このハードコート硬化塗膜(I)は、床面の表面に単層で形成されるか、複数積層されていても構わない。
・塗布量
ハードコート組成物の塗布量としては、特に制限されるものではないが、本発明の床材が害虫防除性の機能を十分に発揮するためには、床材の面積1mあたりの薬剤(a)の含有量が0.05〜10.0g/m、より好ましくは0.1〜8.0g/mとなるような範囲に害虫防除性ハードコート組成物の塗布量若しくは塗布回数を調整することが適当である。
<プライマー塗膜(II)>
本発明では床面に対して害虫防除性ハードコート硬化塗膜(I)を形成する前に予め、プライマー塗料組成物を塗布し、プライマー塗膜(II)を形成する工程を含むことが好ましい。ハードコート塗膜(I)の下にプライマー塗膜(II)を設けることにより、床面に対する害虫防除性ハードコート塗膜(I)の付着性が向上するに伴い、最終的に得られる複層塗膜の耐久性及び耐クラック性が向上する場合があり、特に好ましい。
プライマー塗料組成物としては、特に制限なく使用することができ、床材表面の種類や状態等に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、フッソ系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、メラミン系樹脂、生分解性樹脂等を樹脂バインダーとして含んでなる塗料や本発明以外の無機系コーティング剤等であってもよい。これらの塗料やコーティング剤は無溶剤、水系又は溶剤系のいずれであってもよいが、特に作業者の健康や周辺の衛生環境の配慮する観点から、水系の樹脂を含んでなる水性塗料を使用することが好ましい。
また、中でも、水酸基含有樹脂及びポリイソシアネート化合物を含有する、常温乾燥型2液ウレタン硬化型のプライマー塗料組成物が好ましい。
上記プライマー塗料組成物の塗装は、それ自体既知の塗装手段を用いて行うことができ、例えば、モップ、スポンジ、クロス等によって塗り広げる方法が挙げられる。ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、リシンガン、万能ガン、ハケ、ロールコーター等の塗装法から基材の用途等に応じて適宜選択して使用することができる。
塗装回数は特に制限されることなく、1回又は複数回塗り重ねても良い。乾燥膜厚としては、被塗物の状態や塗装環境によって異なるが、一般には1回あたり3〜50μm、好ましくは7〜30μmの範囲内とすることができる。プライマー塗膜のトータルの厚さとしては、ハードコート組成物塗布時の仕上がり性及び耐ワレ性の点から、0.5〜1,000μm、好ましくは5〜1,000μmが好ましい。
形成されるプライマー塗膜(II)の乾燥は、常温乾燥が最も好ましいが、プライマー塗料組成物の種類や塗装環境等に応じて、加熱乾燥又は強制乾燥を行うことができる。必要に応じてブロアー等を用いて風乾燥を併用してもよい。
常温乾燥では、例えば5〜45℃の環境下で乾燥することにより塗膜を得ることができる。塗装時における相対湿度(以下RHと略すことがある)は、80%以下、特に70%以下が好ましい。
風乾燥を併用する場合は、例えば、常温環境下、サーキュレーター等を設置し、10〜60分好ましくは15〜55分換気をすることにより、乾燥を促進させ、かつ、硬化状態が均一な塗膜を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は、特記しない限り「質量部」及び「質量%」を示す。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
エポキシ当量とは、JIS K7236:2001に準拠した方法により測定した1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数である。
(実施例1)害虫防除性ハードコート組成物No.A−1
エポキシシランオリゴマー(B−1)溶液(注4) 54部(有効成分として43.2部)、硬化触媒としてリン酸トリメチル 3部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 41部及びcis−ペルメトリン標準物質 2部を混合し、ディスパーで均一になるまで撹拌することにより害虫防除性ハードコート組成物No.A−1を得た。
(実施例2〜8及び比較例1〜6)
実施例1において、各成分の配合を表1に示す配合に変更する以外は実施例1と同様にして、害虫防除性ハードコート組成物No.(A−2)〜(A−14)を得た。尚、表1の配合量は、各成分の質量比であり、水、溶媒などの揮発成分も含む質量である。
Figure 2020029487
表中の注は下記を示す。また、表中の「-」又は空欄はその成分が配合されていないことを示す。
(注1)薬剤No.1:cis−ペルメトリン標準物質:試薬、和光純薬工業株式会社、ピレスロイド系殺虫剤、有効成分100質量%。
(注2)薬剤No.2:プロポクスル:試薬、メルク株式会社、カーバメート系殺虫剤、有効成分100質量%
(注3)溶媒:トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル(別名:トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、略称:TPnB)、グリコールエーテル系有機溶剤。
(注4)エポキシシランオリゴマーNo.B−1溶液:温度計、撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けたセパラブルフラスコに、KBM−403(注5)236部(1.0mol)とメタノール32部(1.0mol)を入れ、室温下混合撹拌した。次に撹拌しながら0.05N塩酸水10部を30分かけて滴下し、さらに30分間撹拌した。その後、マントルヒーターを用いて75℃まで昇温させ、副生したメタノールも同時に除去しながら2時間還流させた。室温まで冷却後、ろ過を行い、エポキシシランオリゴマー(B−1)溶液を得た。前記オリゴマー(B−1)溶液について、120℃で1時間加熱した結果、樹脂固形分は80%であった。また、重量平均分子量は1,100、固形分あたりのエポキシ当量は220g/eqであった。
(注5)KBM−403:商品名、信越化学工業社製、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、分子量236.34。
(注6)Silquest A−1160:商品名、Momentive Performance Materials、Silquestは登録商標、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、有効成分50%。
(注7)3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール:溶媒、分子量:118.87、グリコールエーテル系有機溶剤。
(注8)エチルシリケート40:商品名、コルコート株式会社製、数平均分子量745、分子式:Si(OEt)12、SiO分40.2%、
(注9)スノーテックスO−40:商品名、日産化学工業株式会社、平均一次粒子径23nmのシリカ微粒子を含む水を分散媒とする酸性コロイダルシリカ、pH=3、有効成分40質量%。
(実施例9)
被塗物No.1として、305×305×2mmのコンポジションビニル床タイル(商品名「PタイルP−60」、タジマ製、塩化ビニル樹脂系床材)上に、プライマー塗料組成物(注10)を乾燥膜厚が15μmとなるように床用モップを用いて塗装し、気温23℃、湿度50%RHの条件下で、24時間乾燥させた。その上に、トップコートとして実施例1において調製した害虫防除性ハードコート組成物(A−1)を塗布量が30g/mとなるように床用モップを用いて塗布し、気温23℃、湿度50%RHの条件下で7日間乾燥させ硬化させて害虫防除性ハードコート塗膜を有する床タイルを得た。これを試験板とし、各種試験項目に供して評価した。結果を表2にあわせて示す。
(実施例10〜16及び比較例7〜12)
実施例9において、被塗物、プライマー塗料組成物、ハードコート組成物及び塗布量を表2に記載する以外は実施例9と同様にして、害虫防除性ハードコート塗膜を有する床タイルを得た。これを試験板とし、各種試験項目に供して評価した。結果を表2にあわせて示す。
(実施例17)
被塗物No.2として、297×297×9.5mmの磁器セラミックス磨き床タイル(商品名、「メトロポリスII」、LIXIL社製、セラミックス系タイル)を用いた。
プライマー塗料組成物(P−1)(注10)を乾燥膜厚が15μmとなるように床用モップを用いて塗装し、気温23℃、湿度50%RHの条件下で、24時間乾燥させた。その上に、トップコートとして実施例1において調製した害虫防除性ハードコート組成物(A−1)を塗布量が30g/mとなるように床用モップを用いて塗布し、気温23℃、湿度50%RHの条件下で7日間乾燥させ、硬化させて害虫防除性ハードコート塗膜を有する床タイルを得た。これを試験板とし、各種試験項目に供して評価した。結果を表2にあわせて示す。
Figure 2020029487
表中の注は下記を示す。
(注10)プライマー塗料組成物(P−1):
プライマー用水酸基含有アクリル樹脂の製造:温度計、撹拌機、サーモスタット、及び滴下装置を備えた2リットルのガラス製4ツ口フラスコに、脱イオン水400部、ニューコール707SF(商品名、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤、不揮発分30%)1部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、撹拌しながら85℃まで昇温させた。次いで下記組成の成分をエマルション化してなるプレエマルションの3%分及び2.5%過硫酸アンモニウム水溶液10部を反応容器内に添加し、85℃で20分間保持した。
脱イオン水 440部
スチレン 100部
メチルメタクリレート 310部
n−ブチルメタクリレート 182部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 192部
アクリル酸 16部
ニューコール707SF 40部
その後、残りのプレエマルションと2.5%過硫酸アンモニウム水溶液20部とを4時間かけて反応容器内に滴下し、滴下終了後2時間熟成を行った。その後、40℃まで冷却し、アンモニア水と脱イオン水を用いて樹脂固形分50%、pHが8.0となるように調整した。次いで、200メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、平均粒子径150nm、水酸基価103mgKOH/g、ガラス転移温度41℃の水酸基含有アクリル樹脂を得た。
硬化剤の製造:ポリイソシアネート化合物〔市販品、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体、21.7%のNCO含有率、平均NCO基数=3.5(GPCによる)、モノマーHDI含有量0.1%、粘度(23℃)3000mPa・s〕970g(5.00mol)、3−(シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸30g(0.14mol)、ジメチルシクロヘキシルアミン17.4g(0.14mol)及び1−メトキシプロピル−2−アセテート(水酸基を有さない水溶性有機溶剤)254gを、窒素雰囲気下、80℃で5時間撹拌することにより、固形分80%、NCO含有率16.0%のプライマー用硬化剤を得た。
上記水酸基含有アクリル樹脂200部(固形分100部)、脱イオン水100部、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(水酸基を有さないグリコールエーテル系水溶性有機溶剤)30部、「サーフロン S−211」(商品名、AGCセイミケミカル社製、パーフルオロアルキルカルボン酸系界面活性剤、有効成分50%)1.4部(固形分0.7部)を混合し、ディスパーで15分間撹拌することにより、主剤を製造した。次に、硬化剤として、前記、NCO含有率16.0%の硬化剤75部(固形分60部)とジオクチルスズジラウレート0.3部を加え、ディスパーを用いて混合して固形分含有率40質量%の常温硬化型ウレタンプライマー塗料組成物を作製した。NCO/OH比は1.2とした。
<評価試験>
各評価項目の試験方法及び評価基準は下記の通りである。
・試験項目1:乾燥性
各試験板の表面をJIS K 3920に規定される黒色標準ゴムブロックにて10往復させ、ゴム汚れの付き方及び塗膜に破れが生じるかどうかで乾燥性を評価した。ただし、本試験項目における試験板は、各害虫防除性ハードコート組成物を塗布後、気温23℃、相対湿度50%RHの条件下24時間放置した直後のものとし、該試験板を試験に供した。
◎:塗膜の破れがなく、塗膜表面にゴム汚れが付かない
○:塗膜の破れがなく、塗膜表面にゴム汚れがわずかに付く
△:塗膜にごく一部破れが生じる又はゴム汚れが付く
×:塗膜に破れが生じる又はゴム汚れが著しく付く。
・試験項目2:仕上がり性
各試験板について、塗膜外観を目視にて確認し、下記基準にて評価した。
◎:白濁や分散不良のブツがなく、均一な塗膜である
○:白濁や分散不良のブツがわずかに認められる
△:白濁や分散不良のブツが認められる
×:白濁や分散不良のブツが著しく認められ、造膜していない。
・試験項目3:艶感
各試験板について、塗膜の艶感を目視にて評価した。
◎:高い艶感が認められる
○:艶感が認められる
△:わずかに艶感が認められる
×:艶感が認められない。
・試験項目4:耐擦り傷性
スチールウール#0000を用いて、300g/cm荷重にて各試験板の表面を100mmの移動距離で10往復させた後、塗膜表面を軽く水洗した。乾燥後、塗膜の傷の有無を目視にて評価した。
◎:傷が認められなかった
○:傷がわずかに認められるが、実用上問題ないレベル
△:傷が認められる
×:著しい傷付きや塗膜に破れが生じた。
・評価項目5:耐クラック性
各試験板を50℃の乾燥機にて2時間乾燥させた後、気温23℃、湿度50%RHの条件に戻し2時間放置するサイクルを3サイクル行った後、各試験板の塗膜外観を目視にて評価した。
◎:クラックの発生が認められない
○:塗膜の一部分に微細なクラックの発生が認められる
△:塗膜全体に微細なクラックの発生が認められる
×:塗膜全体に著しいクラックの発生が認められる。
・試験項目6:害虫防除効力
得られた各試験板を気温27℃、湿度50%RHの条件に1日間放置した後、その条件にて各試験板上に直径90mm、高さ20mmのポリスチレン製シャーレを置き、その中にヒトスジシマカの成虫10匹を放虫し、ノックダウンしたヒトスジシマカの数を計測した。ヒトスジシマカのノックダウン数が半数となった時間をKT50値として評価した。
◎:KT50値が1時間未満
○:KT50値が1時間以上2時間未満
△:KT50値が2時間以上4時間未満
×:KT50値が4時間以上。

Claims (8)

  1. 薬剤(a)と、アルコキシシリル基、エポキシ基及びシロキサン結合を有するエポキシシランオリゴマー(b)と、硬化触媒(c)と、溶媒(d)と、を含み、
    薬剤(a)の含有量が、組成物の全配合成分の合計質量に対して0.05〜20質量%である、床用の害虫防除性ハードコート組成物。
  2. 前記エポキシシランオリゴマー(b)が、重量平均分子量500〜20000の範囲内のものである請求項1記載の床用の害虫防除性ハードコート組成物。
  3. 前記溶媒(d)が、グリコールエーテル系溶剤の中から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤(d1)を含む請求項1又は請求項2に記載の床用の害虫防除性ハードコート組成物。
  4. さらにコロイダルシリカ(e)を含有し、該コロイダルシリカ(e)に含まれるシリカ微粒子の平均一次粒子径が1〜100nmの範囲内である請求項1〜3のいずれか1項に記載の床用の害虫防除性ハードコート組成物。
  5. さらに反応性基を有するシランカップリング剤(f)を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の床用の害虫防除性ハードコート組成物。
  6. 被塗物上に、請求項1〜5のいずれか1項に記載の害虫防除性ハードコート組成物からなるハードコート硬化塗膜(I)を最上層に設けた床材であって、面積1mあたりの薬剤(a)の含有量が0.05〜10.0g/mであることを特徴とする害虫防除性ハードコート塗膜を有する床材。
  7. 前記被塗物となる床が、塩化ビニル樹脂系タイル、セラミックス系タイル及び天然石系タイルから選ばれる少なくとも1種である、請求項6に記載の害虫防除性ハードコート塗膜を有する床材。
  8. 前記床材において、害虫防除性ハードコート組成物からなるハードコート硬化塗膜(I)の下にプライマー塗膜(II)を設けてなる請求項6又は請求項7に記載の害虫防除性ハードコート塗膜を有する床材。
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