JP2023037111A - 熱硬化性コーティング組成物および加飾フィルム - Google Patents

熱硬化性コーティング組成物および加飾フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】3次元成形性、耐薬品性、耐候性、および密着性に優れ、屋外で好適に使用できる加飾フィルムを提供することである。また、この加飾フィルムを製造できる熱硬化性コーティング組成物を提供することである。【解決手段】水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体、式(1)で表されるシルセスキオキサン化合物、および2つ以上のイソシアネート基を有する硬化剤を含む熱硬化性コーティング組成物とする。TIFF2023037111000012.tif4496【選択図】図1

Description

本発明は、熱硬化性コーティング組成物および加飾フィルムに関する。
プラスチック、金属その他の各種材料から得られた成形品において、表面に意匠性を付与したり、表面を保護したりする目的で、成形品の表面に所定のハードコート剤を用いた加飾フィルムを用いて樹脂成型品の表面を加飾する方法がある(例えば、特許文献1)。このような方法は従来の塗装によると比較して、生産性が向上する、塗装では困難な意匠性を付与できるなどという点から、家電製品、パソコン、自動車内装品に普及してきた。このようなハードコートには3次元に成形できる優れた成形性と耐摩耗性が求められ、自動車内装については高い日焼け止め耐性が必要であると述べられている。
特許文献2には、3次元成形性、耐擦傷性、耐薬品性、密着性に優れた硬化樹脂層をトップコート層として有する一体成形可能な積層シートが提案されている。水酸基含有共重合体とポリイソシアネート化合物とからなる樹脂組成物を、硬化させてなる樹脂層の水酸基含有共重合体において、水酸基価が10~300KOHmg/g、重量平均分子量が2,000~50,000、且つガラス転移温度(Tg)が80℃以下であると記載されている。しかしながら、これらの製品では、表面保護層の屋外における耐候性や基材密着性が不十分であった。
特許文献3には、ラジカル重合性官能基を有するダブルデッカー型シルセスキオキサンとアクリル樹脂を組み合わせることで、硬化の際の硬化収縮が抑制され、さらに硬度(耐擦傷性)の低下が抑制された硬化膜が得られると記載されている。
特開2017-186500号公報 特開2002-347179号公報 国際公開第2018/131565号
本発明は、3次元成形性、耐薬品性、耐候性、および基材密着性に優れ、屋外で好適に使用できる加飾フィルムを提供することである。また、この加飾フィルムを製造できる熱硬化性コーティング組成物を提供することである。
本発明者らが鋭意検討した結果、水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体、式(1)で表されるシルセスキオキサン化合物、および2つ以上のイソシアネート基を有する硬化剤を含む熱硬化性コーティング組成物が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
本発明の熱硬化性コーティング組成物から得られる表面保護層は、3次元成形性に優れ、耐薬品性および耐候性、基材密着性に優れた性能を発揮する。その結果、基材フィルムに表面保護層を形成した場合に、上記性能を有する積層体を提供することができる。
本発明の熱硬化性コーティング材の硬化物からなる表面保護層を備える加飾フィルムの1例を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。また本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
本発明は下記の項などである。
[1] 以下の成分(a)~(c)を含有する熱硬化性コーティング組成物。
(a)水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体
(b)式(1)で示されるシルセスキオキサン化合物

Figure 2023037111000002

式(1)において、Rは炭素数1~10のアルキレンであり、少なくとも1つの-CH-は、-O-で置き換えられてもよい。

(c)2つ以上のイソシアネート基を有する硬化剤
[2]前記成分(a)が、水酸基価が50~200mgKOH/gであり、ガラス転移温度が50℃以上である、項[1]に記載の熱硬化性コーティング組成物。
[3]前記成分(c)が脂肪族系イソシアネートまたは脂環式イソシアネートである、項[1]または[2]に記載の熱硬化性コーティング組成物。
[4]前記成分(c)がイソシアヌル骨格を有するイソシアネートである項[1]から[3]のいずれか1項に記載の熱硬化性コーティング組成物。
[5]前記成分(a)と前記成分(b)の重量比が95:5~50:50である、項[1]から[4]のいずれか1項に記載の熱硬化性コーティング組成物。
[6]前記成分(a)と前記成分(b)の合計の水酸基量に対し、前期成分(c)のイソシアネート基が0.5~1.5モル当量である項[1]から[5]のいずれか1項に記載の熱硬化性コーティング組成物。
[7]項[1]から[6]のいずれか1項に記載の熱硬化性コーティング組成物の硬化物からなる表面保護層を備える物品。
[8]項[1]から[6]のいずれか1項に記載の熱硬化性コーティング組成物の硬化物からなる表面保護層と、基材層を有する積層フィルム。
[9]項[8]に記載の積層フィルムを用いた加飾フィルム。
<熱硬化性コーティング組成物>
本発明の熱硬化性コーティング組成物は、以下の成分(a)~(c)を含有する。
(a)水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体
(b)式(1)で示されるシルセスキオキサン化合物
Figure 2023037111000003
式(1)において、Rは炭素数1~10のアルキレンであり、少なくとも1つの-CH-は、-O-で置き換えられてもよい。
(c)2つ以上のイソシアネート基を有する硬化剤
<成分(a):水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体>
本発明に用いられる水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体(a)は、水酸基を有する付加重合性単量体とそれ以外の付加重合性単量体を共重合することによって得られる。付加重合性官能基の例としては、末端オレフィン型または内部オレフィン型のラジカル重合性官能基を有する基;ビニルエーテル、プロペニルエーテルなどのカチオン重合性官能基を有する基;およびビニルカルボキシル、シアノアクリロイルなどのアニオン重合性官能基を有する基が含まれるが、好ましくはラジカル重合性官能基が挙げられる。
上記のラジカル重合性官能基には、ラジカル重合する基であれば特に制限はなく、例えば(メタ)アクリル、アリル、スチリル、α-メチルスチリル、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルアミド、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、N-置換マレイミドが含まれ、中でも(メタ)アクリルを含む基が好ましい。ここで(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルの総称であり、アクリルまたはメタクリルを意味する。以下、同様とする。
本発明の(メタ)アクリル共重合体(a)に用いられる水酸基を有する付加重合性の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートの水酸基含有重合性不飽和化合物や、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとε-カプロラクトン等のラクトン類との付加物(例えば、ダイセル社製;商品名「プラクセルFA-1」、「プラクセルFA-3」、「プラクセルFM-1」、「プラクセルFM-3」)が挙げられる。これらの水酸基を有する付加重合性の単量体を必要に応じて、1種または2種以上を使用することができる
本発明の(メタ)アクリル共重合体(a)に用いられる水酸基を有する付加重合性単量体以外の付加重合性単量体としては、特に制限するものではなく比較的容易に共重合する化合物であればよい。そのような化合物としては、炭素数が1~約20の直鎖状若しくは分岐状あるいは環状の飽和または不飽和の炭化水素で置換された重合性不飽和化合物であり、(メタ)アクリル酸化合物の具体例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレートなどのアリール(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレートなどのアリールアルキル(メタ)アクリレート;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートが含まれる。
上記の1つの付加重合性二重結合を有し、水酸基を含有する付加重合性単量体以外の付加重合性単量体の(メタ)アクリル酸化合物の具体例には、さらに、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルなどのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート;トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、および2-パーフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレートなどのフルオロアルキル(メタ)アクリレートなどが含まれる。これらの水酸基を含有する付加重合性単量体以外の付加重合性単量体を必要に応じて、1種または2種以上を使用することができる。
水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体(a)を重合させる方法としては、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法などの公知な方法を使用できる。これらの方法の中では、溶液重合法が簡便に目的のポリマーを得られるため好ましい。
上記の溶液重合法による製造方法としては、キシレン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルアセテートなどのエステル類からなる有機溶媒中で、2,2’-アゾビス-(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物、n-ドデシルメルカプタンなどの連鎖移動剤などを用いて、前述のモノマー成分を、反応温度60~160℃で、約1~30時間反応させることで得られる。だだし、本発明は上記の例示に限定されるものではない。
水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体(a)は、1種類でもよいが、2種類以上を使用してもよい。
本発明の水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体(a)のfoxの式によって導かれるガラス転移温度(以下Tgと略記)は、加熱成形性の観点から50℃以上が好ましい。
本発明の水酸基を有する共重合体(a)の水酸基価が50mgKOH/g~200KOHmg/g以上が好ましく、さらに好ましくは80~150KOHmg/gである。この範囲であれば、ポリマーの架橋密度が向上し、耐薬品性が良好となる。
<成分(b):シルセスキオキサン化合物>
本発明で用いられるシルセスキオキサン化合物は、式(1)で表される末端に水酸基を有するダブルデッカー型のシルセスキオキサン化合物である。末端に水酸基を有することで(メタ)アクリル共重合体(a)および2つ以上のイソシアネート基を有する硬化剤(c)と架橋構造を構築することができ、高い耐候性、特に基材密着性を付与することができる。
Figure 2023037111000004
式(1)において表されるシルセスキオキサン化合物においてRは、炭素数1~10のアルキレンであり、少なくとも1つの-CH-は、-O-で置き換えられてもよい。
(メタ)アクリル共重合体(a)とシルセスキオキサン化合物(b)の重量比は、耐薬品性の観点から95:5~50:50であることが好ましく、より好ましくは95:5~70:30である。この範囲であれば、十分な耐アルカリ性を有する。
式(1)で表される化合物の製造方法は、例えば、国際公開第2004/024741号等に記載されている方法を参考にすることができる。
原料となる化合物は、加水分解性の基を3つ有するケイ素化合物を、アルカリ金属水酸化物の存在下、テトラヒドロフラン(以下、THF表記する)やアルコールのような含酸素有機溶剤中で加水分解し重縮合させることにより、容易に収率よく製造することができる。加水分解性の基を3つ有するケイ素化合物の多くは市販されている。市販されていない化合物は、公知の技術(例えば、ハロゲン化シランとグリニャール試薬との反応等)により合成することができる。原料となる式(2)で表される化合物はトリフェニルシランを重縮合することによって得られる。式(2)の合成は、国際公開第03/024870号に記載の方法等も参考にすることができる。
Figure 2023037111000005
Mは1価のアルカリ金属原子である。アルカリ金属原子の例は、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムなどであり、ナトリウムが好ましい。
化合物(2)から化合物(1)を製造する方法の1つは、まず化合物(2)にジメチルクロロシランを反応させて(3)とし、これにアリルアルコール等のヒドロキシル基と末端不飽和炭化水素基を持つ化合物をヒドロシリル化反応させ、末端ヒドロキシルを導入する方法が挙げられる。
Figure 2023037111000006
化合物(2)とジメチルクロロシランの反応では、有機溶剤を用いることが好ましい。即ち、化合物(2)を有機溶剤に混合し、この混合物にジメチルクロロシランを滴下する。反応終了後、必要に応じてジメチルクロロシランを蒸留により除去したのち、水を加えて、副成したアルカリ金属の塩化物を溶解する。そして有機層を水洗し、脱水剤で乾燥してから、蒸留で有機層から溶剤を除去することにより化合物(3)を得られる。また、化合物(3)は必要に応じて再結晶させるか、または有機溶剤で不純物を抽出することにより、純度を向上させられる。
反応時に用いる前記の溶剤は、反応の進行を阻害しないことを条件に選択され、それ以外には特に制限はない。好ましい溶剤は、脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、エーテル(ジエチルエーテル、THF、1,4-ジオキサンなど)、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、四塩化炭素など)およびエステル(酢酸エチルなど)である。これらの溶剤は単独で用いても、その複数を組み合わせて用いてもよい。より好ましい溶剤は芳香族炭化水素およびエーテルであり、さらに好ましい溶剤はトルエンおよびTHFである。そして、ジメチルクロロシランと容易に反応する不純物(例:水)の含有量が極めて少ない溶剤が好ましい。
溶剤に混合するときの化合物(2)の好ましい割合は、溶剤の重量に基づいて0.05~50重量%である。反応の進行を阻害するほど副成塩の濃度が高くならないようにするためには、この割合が50重量%以下であることが好ましい。コストに悪影響を与えるほど容積効率を悪くしないためには、この割合が0.05重量%以上であることが好ましい。そして、より好ましい割合は、1~10重量%である。ジメチルクロロシランの使用量は、化合物(2)に対してモル比4以上とすること以外に制限はないが、後処理工程を考慮すると、大過剰に用いることは望ましくない。反応温度は室温でもよく、反応を促進させるために必要に応じて加熱してもよい。反応による発熱または好ましくない反応等を制御する必要がある場合には冷却してもよい。
この反応は、トリエチルアミン等のアミノを有する化合物または塩基性を示す有機化合物を添加することによって、容易に促進させることができる。トリエチルアミン等の好ましい添加割合は、トリエチルアミンを用いる場合には、溶剤の重量に基づいて0.005~10重量%であり、より好ましい割合は0.01~3重量%である。しかしながら、トリエチルアミン等は反応を容易に進行させることができればよいので、その添加割合に特別な制限はない。
ヒドロキシルと末端不飽和炭化水素基を持つ化合物から1つを選んで化合物(3)とヒドロシリル化反応させることで化合物(1)を得られる。化合物(3)を有機溶剤、さらに必要に応じてヒドロシリル化触媒を混合し、この混合物にヒドロキシルと末端不飽和炭化水素基を持つ化合物を滴下する。この有機層から溶剤を除去することにより化合物(1)を得ることが出来る。また、化合物(1)は必要に応じて再結晶させるか、または有機溶剤で不純物を抽出することにより、純度を向上させることができる。
ヒドロシリル化反応に用いる溶剤は、反応の進行を阻害しないことを条件に選択され、その他には特に制限はない。好ましい溶剤の例は、化合物(2)とジメチルクロロシランとの反応の際に用いられる溶剤の例と同じであり、それらを単独で使用しても、2つ以上を組み合わせて使用してもよい。より好ましい溶剤は芳香族炭化水素類であり、その中でもトルエンが最も好ましい。
化合物(3)にヒドロキシルと末端不飽和炭化水素基を有する化合物を反応させるとき、溶剤に対する化合物(3)の好ましい割合は、溶剤の重量に基づいて0.05~80重量%である。より好ましい割合は30~70重量%である。化合物(3)に対するヒドロキシルと末端不飽和炭化水素基とを有する化合物の使用割合は、化合物(3)に対してモル比4以上とすること以外に制限はないが、後処理工程を考慮すると、大過剰に用いることは望ましくない。
反応温度は室温でもよい。反応を促進させるために必要に応じて加熱してもよい。反応による発熱または好ましくない反応等を制御するために必要であれば、冷却してもよい。必要であれば、ヒドロシリル化触媒を添加することによって、反応をより容易に進行させることができる。好ましいヒドロシリル化触媒の例は、カールステッド(Karstedt)触媒、スパイヤー(Spier)触媒、ウィルキンソン触媒(Wilkinson)などであり、これらは一般的によく知られた触媒である。これらのヒドロシリル化触媒は、反応性が高いので少量添加すれば十分反応を進めることができる。通常、含有する遷移金属がヒドロシリルに対して10-9~1モル%となる範囲で使用すればよい。好ましい添加量は10-7~10-3モル%である。反応を進行させ、容認できる時間内で終了させるために必要な触媒添加量は、含有遷移金属がヒドロシリルに対して10-9モル%以上となる量である。製造コストを低く抑えることを考慮すると、添加触媒量を含有遷移金属がヒドロシリルに対して1モル%以下となる量にする必要がある。
ヒドロキシル基と末端不飽和炭化水素基とを有する化合物としては、アリルアルコール、3-ブテン-1オール、2-メチル-3-ブテン-1オール、4-ペンテン-1-オール、2-メチル-4-ペンテン-1-オール、3-メチル-4-ペンテン-1-オール、3-メチル-4-ペンテン-2-オール、4-メチル-1-ペンテン-3-オール、2,2-ジメチル-3-ブテン-1オール、3,3-ジメチル-2-メチレン-1-ブタノール、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、1-(2-プロペン-1-イロキシ)-1-プロパノール、1-(2-プロペン-1-イロキシ)-2-プロパノール、2-(3-ブテン-1-イロキシ)-エタノール、2-[2-(2-プロペン-1-イロキシ)エトキシ]-エタノール等が挙げられる。
得られた化合物の構造は、後述の実施例記載の核磁気共鳴(NMR)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI-TOF MS)により行うことができる。また、シルセスキオキサンの骨格としては29Si NMRにより解析できる。
<成分(c):イソシアネート基を有する硬化剤>
本発明で用いられる2つ以上のイソシアネート基を有する硬化剤は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有することで水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体(a)とシルセスキオキサン化合物(b)との架橋構造を構築できる。例えば、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネートが挙げられる。中でも、屋外耐候性の観点から、脂肪族イソシアネートまたは脂環式イソシアネートを用いることが好ましい。イソシアネート基を有する硬化剤(c)は、1種類でもよく、2種類以上の硬化剤を使用してもよい。
芳香族イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
脂肪族イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環式イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)などが挙げられる。
これらのイソシアネート化合物は、毒性等の観点から上記イソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、またはビウレット変性体として用いることが好ましい。
トリメチロールプロパンとのアダクト変性体とは上記イソシアネートをトリメチロールプロパンで変性したものである。アロファネート変性体は、ウレタン基にイソシアネート基が付加して生成される。イソシアヌレート変性体は、イソシアヌレート環を分子内に有する化合物である。ビウレット変性体は、ウレア結合にイソシアネート基が付加した化合物である。
これらのイソシアネート化合物の中でも、硬化塗膜の強度の観点から脂肪族もしくは脂環式のトリメチロールプロパンアダクト変性体やイソシアヌレート変性体が好ましく、耐候性を考慮すると、イソシアヌレート変性体がより好ましい。より具体的には、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体やヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体が好ましい。
上記ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体としては、市販品を用いることができ、例えば、「コロネート2357」(東ソー(株)製)、「スミジュールN3300」(住化コベストロウレタン(株)製)、「デュラネートTPA-100」(旭化成(株)製)、「タケネートD170N」、「タケネートD177N」(いずれも三井化学(株)製)、「バーノックDN-980」(DIC(株)製)などが例示される。上記ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体の例として「タケネートD―370N」(三井化学(株)製)が挙げられる。
また上記のイソシアネート化合物に対して、ブロック剤を反応させたブロック化イソシアネートとしても用いることができる。ブロック剤としては、フェノール、キシレノール等のフェノール系ブロック剤、オキシム、ラクタム、アルコール類、ピラゾール等の活性水素化合物、マロン酸エステル等の活性メチレン化合物等が挙げられる。
本発明において、水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体(a)とシルセスキオキサン化合物(b)の合計の水酸基量に対して、イソシアネート基を有する硬化剤(c)のイソシアネート基は0.5~1.5モル当量であることが好ましく、0.8~1.2モル当量がより好ましい。この範囲であれば、塗膜の硬化性が十分であり、十分な耐薬品性が得られる。
本発明の熱硬化性コーティング組成物の硬化性を促進させるために触媒(d)を用いることができる。触媒(d)には、ジブチルスズジラウレートなどの有機錫化合物、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、チタンエチルアセトアセテートなどの有機チタン化合物、テトラノルマルブチルジルコネート、ノルマルプロピルジルコネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、などの有機ジルコニウム化合物、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセンなどのアミン化合物、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトナート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物などが挙げられる。
コーティング材には、上記の他に添加剤(e)を添加してもよい。例えば、コート膜の硬度、耐擦傷性を付与するために、フィラーを添加してもよい。塗工性を上げるために、レベリング剤を添加してもよい。その他、耐候剤、消泡剤等の添加剤を添加してもよい。より詳細には、コーティング材により形成される膜が有する効果に悪影響を及ぼさない範囲において重合禁止剤、レベリング剤(表面調整剤)、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、シリカやアルミナに代表される無機フィラー、有機フィラーなど、任意の成分をさらにコーティング材に含有させてもよい。
レベリング剤の例として、市販のアクリル系表面調整剤が利用でき、BYK-342、BYK-350、BYK-352、BYK-354、BYK-356、BYK-381、BYK-392、BYK-394、BYK-3441、BYK-3440、BYK-3550(いずれも商品名:ビックケミー・ジャパン(株)製)が挙げられる。
また、レベリング剤の例として、市販のシリコーン系表面調整剤が利用でき、BYK-UV3500、BYK-UV-3570(いずれも商品名:ビックケミー・ジャパン(株)製)、TEGO Rad2100、2200N、2250、2500、2600、2700(いずれも商品名:エボニックデグサジャパン(株)製)、X-22-2445、X-22-2455、X-22-2457、X-22-2458、X-22-2459、X-22-1602、X-22-1603、X-22-1615、X-22-1616、X-22-1618、X-22-1619、X-22-2404、X-22-2474、X-22-174DX、X-22-8201、X-22-2426、X-22-164A、X-22-164C(いずれも商品名:信越化学工業(株)製)を挙げることができる。
耐候剤の例として、ベンゾトリアゾール類、ヒドロキシフェニルトリアジン類、ベンゾフェノン類の紫外線吸収剤が挙げられる。
ベンゾトリアゾール類の例として、BASF社製TINUVIN PS、TINUVIN 99-2、TINUVIN326、TINUVIN384-2、TINUVIN900、TINUVIN928、TINUVIN1130、TINUVINCarboprotect、ヒドロキシフェニルトリアジン類の例として、BASF社製TINUVIN400、TINUVIN405、TINUVIN460、TINUVIN477、TINUVIN479、ベンゾフェノン類の例として、ADEKA社製1413、住化ケムテックス社製Sumisorb130が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤を単独で用いてもよいし、複数の紫外線吸収剤を組合せて用いてもよい。紫外線吸収剤は、吸収したい紫外線の波長に基づいて種類や組合せを適宜選択することが好ましい。
また、光安定剤(HALS)としては、BASF社製TINUVIN(登録商標)5100(中性タイプの汎用HALS)、TINUVIN292(化合物名:ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート)、TINUVIN152(化合物名:2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン)、TINUVIN144(化合物名:ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート)、TINUVIN123(化合物名:デカン二酸、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4ピペリジニル)エステルの反応生成物(1,1-ジメチルエチルヒドロぺルオキシドおよびオクタン存在下))、TINUVIN111FDL(約50%、TINUVIN622、化合物名:(ブタン二酸ポリマー(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-イル)エタノール存在下)、約50%、CHIMASSORB119、化合物名:N-N’-N’’-N’’’-テトラキス(4,6-ビス(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン)、または、(株)アデカ製アデカスタブLAシリーズ等、具体的には、LA-52((5)-6116)、LA-57((5)-5555)、LA-62((5)-5711)、LA-67((5)-5755)、LA-82((5)-6023)、LA-87((5)-6022)を挙げることができる。なお、括弧内は、既存化学物質番号である。
無機フィラーの例として、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニウム、チタニア等を使用することができる。このような無機フィラーとしては日産化学社製MEK-ST、MEK-ST-L、MEK-ST-40、MEK-ST-ZL、MEK-ST-UP、IPA-ST、IPA-ST-L」、IPA-ST-UP、ビッグケミー・ジャパン社製BYK-3601、BYK-3602、BYK-3610、BYK-3611、御国色素社製MHIシリーズFM-215Mが挙げられる。
有機フィラーの例として、積水化成品工業性製テクポリマーMBXシリーズ、SBXシリーズ、根上工業製アートパール架橋アクリルビーズ、アートパール架橋ウレタンビーズ、アイカ工業製ガンツパールを挙げることができる。
これらのフィラーを単独で用いてもよいし、複数のフィラーを組合せて用いてもよい。
本発明の熱硬化性コーティング組成物に含まれる上記成分(a)、(b)、(c)、(d),(e)は、有機溶剤等の溶剤に溶解させて用いてもよい。溶剤は特に限定しない。一般的な有機溶剤等を使用できる。
溶剤の具体例としては、炭化水素系溶媒(ベンゼン、トルエンなど)、エーテル系溶媒(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルアセテートなど)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなど)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、t-ブチルアルコールなど)、ニトリル系溶媒(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチルなど)、カーボネート系溶媒(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、アミド系溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド)が含まれる。これらを単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
溶剤の添加量は、熱硬化性コーティング組成物の固形分が10~90重量%となることが好ましい。より好ましくは、熱硬化性コーティング組成物の固形分が15~40重量%である。
<熱硬化性コーティング組成物の利用>
本発明の熱硬化性コーティング組成物を様々な物品の表面に塗布し、乾燥・加熱することによって、物品表面に耐候性・耐薬品性・密着性を付与する表面保護層を形成することができる。表面保護層を形成することのできる物品は特に制限されないが、特に積層フィルムは、液状の本発明の熱硬化性コーティング組成物を容易に塗布できる点で有利である。また、積層フィルムの中でも、成形性が求められる加飾フィルムは特に表面保護層を利用した物品として有用である。図1に示すように、基材層2上にコーティング材を塗布して硬化すると、成形性・耐候性・耐薬品性・密着性に優れた表面保護層1を形成することができる。
以下、表面保護層を設けた積層フィルムについて記述する。
<表面保護層>
熱硬化性コーティング組成物を硬化させるための処理としては、通常加熱エージング等の硬化処理が挙げられる。加熱エージングによる硬化処理は、水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体(a)及びシルセスキオキサン化合物(b)とイソシアネート基を有する硬化剤(c)との反応を進行させるために必要である。なお、塗膜に溶剤を含む場合には、通常50~200℃程度の範囲内で数分、塗膜を加熱し、塗膜中に残留している溶剤を除いた後に、硬化処理を行うことが好ましい。加熱エージングによる硬化処理は、通常室温~100℃程度の環境下で1~10日間程度エージングを実施する。短時間でエージングを終了させるためにエージングの温度を100℃以上にしてもよいが、基材層への熱によるダメージを考慮し、低温でエージングすることが好ましい。表面保護層の膜厚としては、一般的には1~100μm、好ましくは2~50μm、より好ましくは3~30μmである。
<基材層>
基材層としては、熱可塑性樹脂で形成されたフィルムを用いることが望ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ノルボルネン系樹脂等の樹脂を挙げられ、1種または複数の種類が積層されたものを使用することができる。特に、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。これらの基材フィルムにおいても複数種類が積層されたものを使用することができ、ポリカーボネート系樹脂と(メタ)アクリル系樹脂を共押し出ししたPMMA/PC2層フィルムなども用いることができる。
基材フィルムの膜厚は特に制限するものではないが、本発明を積層体として用いる場合には、基材フィルムの膜厚は好ましくは25~1000μmであり、より好ましくは100~400μmである。基材フィルムの膜厚が25μm以上であると基材の機械的強度が充分であり、基材上に層を形成することが可能になる。また、膜厚が1000μm以下であると、積層体の厚みが厚くなりすぎることがない。
<積層フィルムの製造>
本発明の積層フィルムの製造方法は、基材層に表面保護層を塗布し、上述の方法で硬化して得られる。塗布する方法としては、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、ホットメルトコート法、カーテンコート法等などが挙げられる。
<加飾フィルムの製造>
本発明の加飾フィルムは、プラスチック、金属その他の各種材料から得られた成形品の表面に意匠性を付与したり、表面を保護する目的で、使用することができる。上述の積層フィルムのような基材層に表面保護層を塗布したものを使用してもよいし、更に印刷層を設けることで意匠性を付与してもよい。印刷層とは金属調、文字、絵、模様等の様々な装飾を含む意である。前記基材層の表面保護層が形成された反対側の面側に設けることができる。このような加飾フィルムは例えば、フィルムインサート成形、ラミネートインジェクションプレス成形、フィルムインモールド成形、TOM成形、真空成形などに使用することができる。
以下、具体的な実験例をあげて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の態様にのみ限定されない。なお温度の記載がない場合は、23℃で測定を行った。
<合成例>
合成例において使用した機器は、以下のとおりである。
<使用機器>
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC): 日本分析工業(株)製
カラム:昭和電工(株)製 Shodex KF804L、Shodex KF805L、2本直列接続
移動相:THF
流速:0.5ml/min
温度:40℃
検出器:示差屈折(RI)
分子量標準サンプル:分子量既知のポリメタクリル酸メチル樹脂(昭和電工(株)製)
核磁気共鳴(NMR): VARIAN製
装置名:VARIAN NMR SYSTEM (500MHz)
マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI-TOF MS): BRUKER DALTONICS製
装置名:Bruker Daltonics autoflexIII
マトリックス : 2,5-ジヒドロキシ安息香酸(2,5-DHB)
イオン化剤 :トリフルオロ酢酸ナトリウム(NaTFA)
処方(モル比): 2,5-DHB/NaTFA/Sample=100/10/1
測定: Linear Positive mode (測定範囲:m/z=1000~3000)
<合成例(a1)「アクリル共重合体(a1)」>
還流冷却器、温度計および滴下ロートを取り付けた内容積200mLの四つ口フラスコに、2-ヒドロキシエチルメタクリレート10.50g(HEMA)、メチルメタクリレート24.50g(MMA)、酢酸エチル59.66gを仕込み、窒素雰囲気下で90℃に保ったオイルバスにセットして15分間還流させた。次いで、0.53gの2,2T-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を5.34gの酢酸エチルに溶解させた液を投入し、還流温度を保ったまま、重合を開始した。6時間重合を継続したのち、冷却して反応を終了し、固形分約35%のアクリル共重合体(a1)の溶液を得た。アクリル共重合体(a1)は、数平均分子量15,000、重量平均分子量28,000、ガラス転移点は88℃、水酸基価は129mgKOH/gであった。
<合成例(b1):シルセスキオキサン化合物(b1)>
以下の方法により、式(b1)で表されるシルセスキオキサン化合物(以下、化合物(b1)と表記する)を製造した。
窒素シール下、国際公開第2004/024741号に開示されている方法により合成した式(α)で表される化合物(以下、化合物(α)と表記する)300g、脱水トルエン(関東化学(株)製)420gを反応容器に仕込み、90℃に昇温し撹拌した。そこにPT-VTSC-3.0X(ユミコアジャパン製)0.3mLを添加し、アリルアルコール(東京化成工業(株)製)69.6gを滴下した。その後反応液を5時間還流させ、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で2140cm-1のピークが消失したことを確認後、加熱を停止し室温まで冷却した。その後、反応液に活性炭素(和光純薬工業(株)製)を15g加え一晩撹拌し、セライトを用いて活性炭素をろ過し除去した。ろ液を固形分濃度80%程度になるまでエバポレーターで濃縮し、溶液を撹拌しながらヘプタン(和光純薬工業(株)製)を750g加え、白色沈殿を得た。得られた沈殿をろ過、さらにヘプタンで十分に洗浄し、減圧乾燥し310gの化合物(b1)(白色固体)を得た。水酸基価は146mgKOH/gであった。
H-NMR:(400 MHz、(CDCO) δ = 7.27-7.57 (40H、Ph)、3.20-3.24 (12H、-OC 、O)、1.36 (8H、-C )、0.58 (8H、-SiC )、0.08 (24H、-Si(C )。
MALDI-TOFMS:m/z C6892NaO18Si12[M+Na]+、1555.38。
Figure 2023037111000007

Figure 2023037111000008
<合成例(b2):シルセスキオキサン化合物(b2)>
窒素シール下、国際公開第2004/024741号に開示されている方法により合成した式(α)で表される化合物、脱水トルエン(関東化学(株)製)420gを反応容器に仕込み、95℃に昇温し撹拌溶解した。そこにPT-VTSC-3.0X(ユミコアジャパン製)を0.18mL添加し、エチレングリコールモノアリルエーテル(東京化成工業(株)製)122.4gを滴下した。112℃まで発熱したことを確認後、反応液を2時間還流させ、FT-IRで2140 cm-1 のピークが消失したことを確認後、加熱を停止し室温まで冷却した。その後、反応液に活性炭素(15g)加え一晩撹拌し、セライトを用いて活性炭素をろ過し除去した。ろ液を固形分濃度80%程度になるまでエバポレーターで濃縮し、溶液を撹拌しながらヘプタンを加え、氷浴で冷却することで白色沈殿を得た。得られた沈殿をろ過、さらにヘプタンで十分に洗浄し、減圧乾燥し378.9gの化合物(b2)(白色固体)を得た。水酸基価は127mgKOH/gであった
H-NMR:(400MHz、(CDCO)δ = 7.20-7.55(40H、Ph)、3.20-3.24 (8H、-OC )、3.39 (4H,OH)、3.30(8H、-OC CHOH)、3.05(8H、-SiCHCH O-)、1.38 (8H、-SiCH -)、0.56 (8H、-SiC -)、0.08 (24H、-Si(C )。
Figure 2023037111000009
[熱硬化性コーティング組成物の調整]
実施例1~6および比較例1、2に用いる塗工液を、以下の様に調整した。成分(a)~(c)を表1に示すように選択し、各成分を表1に示す重量比で混合した。希釈剤として、協栄ケミカル(株)製「PMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)」を用い、20重量%の濃度を含む塗工液に希釈した。また、表に示した重量比は全て固形質量である。
(a):アクリル共重合体(a1)
(b):シルセスキオキサン化合物(b1)、シルセスキオキサン化合物(b2)
(c):三井化学(株)製「タケネートD―170N(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)」、「スタビオD-370N(ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)」
(d):東京化成工業(株)製 ジブチルスズジラウレート
(e):ビッグケミー・ジャパン(株)製 「BYK-342」
[加飾フィルムの製造]
実施例1~6および比較例1、2の加飾フィルムを、以下の様に調整した。300μm厚みのPMMA/PC2層フィルム(ウェーブロック・アドバンスト・テクノロジー社製「AW-10FSU」)のPMMA面に、上述のそれぞれの塗工液をR.D.S.Webster社製ワイヤーバーコーターを用いて塗布し、80℃で3分間乾燥した。その後、50℃4日間エージングを行い、硬化を進行させた。こうしてPMMA/PC2層フィルムの片面上に厚み5μmの熱硬化性コーティング組成物の硬化物からなる表面保護層が形成された加飾フィルムが得られた。
<加飾フィルムの評価>
上記の加飾フィルムを以下の観点・方法で評価し、その結果を表1に示す。
(1)加熱成形性
島津製作所社製引張試験機AGS-Xを用いて、恒温槽内での引張試験を実施した。得られた加飾フィルムからダンベル状試験片(JIS-K7113規定の2号試験片、平行部分の幅6±0.4mm、並行部分の長さ33±2mm、標線間距離25±1mm)を切り出した。次に、得られたダンベル状試験片を引張試験機にチャック間距離80mmで装着し、120℃の恒温槽内で3分保持した。その後、引張速さ50mm/minで試験を行い、試験片にクラックが発生した際の標線間距離(L1)と、初期の標線間距離(25mm)との差を測定した。下記の式より加熱時伸長度ΔLを計算した。ΔLが高いほど、加熱成形性に優れる。
ΔL(%)=100×(L1-25)/25
(2)初期密着性
得られた加飾フィルムの表面保護層に対して、JIS K5600-6に従って、1mm間隔でのクロスカット試験を行った。クロスカットで形成された格子の状態を目視観察し、加飾フィルムの表面保護層とPMMA/PC基材の密着状態を以下の基準で判定した。
◎:格子内に剥離が見られず、基材と良好に密着している
〇:格子内に一部剥離があるが、5%未満である。
×;格子内に5%以上の剥離がみられる。
(3)耐候試験後光沢保持率
得られた加飾フィルムの表面保護層に対して、下記の促進耐候試験機を用いて耐候試験を行った。
装置:スガ試験機(株)製スーパーキセノンウェザーメーターSX-75Z
試料面放射照度:180W/m連続照射
試験条件:ブラックパネル温度63℃±3℃、相対湿度50±5%、18分水噴霧102分水噴霧なしを1サイクルとして、計2500時間(1250サイクル)を実施(屋外暴露約5年に相当する積算光量)
上記の試験前と試験後の表面保護層を日本電色工業(株)製「VG-7000」を用いて、入反射角度60度における光沢値を測定し、以下の式より光沢保持率を計算した。光沢保持率が100%に近いほど、耐候性に優れる。
光沢保持率(%)=100×耐候試験後の光沢値/耐候試験前の光沢値
(4)耐候試験後密着性
前述の(3)と同様に耐候試験を実施後、表面保護層にJIS K5600-6に従って、1mm間隔でのクロスカット試験を行った。クロスカットで形成された格子の状態を目視観察し、加飾フィルムの表面保護層とPMMA/PC基材の密着状態を以下の基準で判定した。
◎:格子内に剥離が見られず、基材と良好に密着している
〇:格子内に一部剥離があるが、5%未満である。
×:格子内に5%以上の剥離がみられる。
(5)耐薬品性
得られた加飾フィルムの表面保護層に対して、硫酸10%wt%水溶液、水酸化ナトリウム5wt%水溶液、エタノール50wt%水溶液、トルエンをそれぞれ1滴滴下し、23℃下24時間放置した。放置後、表面保護層を水洗した。その後、外観を目視で確認し以下の基準で判定した。
〇:塗膜表面に変化がない
×:塗膜表面に跡や白化等の外観の変化が確認できる。
表1.各コーティング組成物からなる加飾フィルムの評価結果

Figure 2023037111000010
表に示すように実施例1~6は、(メタ)アクリル共重合体と規定された構造を有するシルセスキオキサン化合物とイソシアネート基を有する硬化剤を用いた硬化物である表面保護層を有するため、加熱成形性に優れ、かつ、耐候試験後の光沢保持率・密着性にも優れている。
一方で、比較例1,2は規定された構造のシルセスキオキサンの化合物を有さないため、初期の密着性は良好であるものの、耐候試験後の密着性に劣る。
このように本発明では成形性に優れ、耐薬品性、耐候性、および基材密着性に優れた、屋外で好適に使用できる樹脂組成物、およびその積層体を得ることができた。
本発明の熱硬化性コーティング組成物は、耐薬品性、成形性、耐候性、密着性をバランスよく備える。このような本発明の熱硬化性コーティング組成物は高い機能性とデザイン性が求められる自動車外装部品、例えば、エンブレム、ラジエータグリル、各種ガーニッシュの表面保護層として有用である。本発明によって、近年のより高度化した要求に耐え得る自動車外装部品を製造することができると期待される。
1:表面保護層
2:基材層
3:加飾フィルム

Claims (9)

  1. 以下の成分(a)~(c)を含有する熱硬化性コーティング組成物。
    (a)水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体
    (b)式(1)で示されるシルセスキオキサン化合物
    Figure 2023037111000011
    式(1)において、Rは炭素数1~10のアルキレンであり、少なくとも1つの-CH-は、-O-で置き換えられてもよい。
    (c)2つ以上のイソシアネート基を有する硬化剤
  2. 前記成分(a)が、水酸基価が50~200mgKOH/gであり、ガラス転移温度が50℃以上である、請求項1に記載の熱硬化性コーティング組成物。
  3. 前記成分(c)が脂肪族系イソシアネートまたは脂環式イソシアネートである、請求項1または2に記載の熱硬化性コーティング組成物。
  4. 前記成分(c)がイソシアヌル骨格を有するイソシアネートである、請求項1から3のいずれか1項に記載の熱硬化性コーティング組成物。
  5. 前記熱硬化性コーティング組成物において、前記成分(a)と前記成分(b)の重量比が95:5~50:50である、請求項1から4のいずれか1項に記載の熱硬化性コーティング組成物。
  6. 前記熱硬化性コーティング組成物において、前記成分(a)と前記成分(b)の合計の水酸基量に対し、前記成分(c)のイソシアネート基が0.5~1.5モル当量である、請求項1から5のいずれか1項に記載の熱硬化性コーティング組成物。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の熱硬化性コーティング組成物からなる表面保護層を備える物品。
  8. 請求項1から6のいずれか1項に記載の熱硬化性コーティング組成物の硬化物からなる表面保護層と、基材層を有する積層フィルム。
  9. 請求項8に記載の積層フィルムを用いた加飾フィルム。
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