JP7196723B2 - 塗装金属板、防虫塗装金属板および外装建材 - Google Patents

塗装金属板、防虫塗装金属板および外装建材 Download PDF

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Description

本発明は、塗装金属板、防虫塗装金属板および外装建材に関する。
従来、屋内において、食べ物屑が多い流し台、ガステーブルなどの台所設備の周辺や、使用時に暖気が発生する冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなどの家電製品の電気回路内またはその周辺には、ゴキブリなどの生活害虫が好んで営巣し、衛生上や安全性の面で問題となっている。また、棚と壁との隙間などの湿気が溜まりやすい場所も、生活害虫が好む環境となっている。これらのことから、屋内で用いられる建材として、防虫性能を有する建材が用いられることがある。
一方、近年の清潔志向の高まりにより、生活害虫の侵入経路を遮断するため、屋内で用いられる建材だけでなく、屋外で用いられる建材についても、防虫性能を有する材料が要求されている。すなわち、家屋の屋根材や外壁材などの屋外で使用される外装建材においても、生活害虫を忌避でき、生活害虫の侵入を遮断できることが望まれている。
防虫性能を有する塗装金属板としては、金属板と、その上に配置された焼き付け塗膜とを有し、当該焼き付け塗膜の最表層が、300℃加熱時の減量分が一定以下のピレスロイド系防虫剤を含むポリエステル系塗料の焼き付け塗膜である塗装金属板が知られている(特許文献1)。また、母材鋼板と、着色塗膜とを有し、着色塗膜が、樹脂と、着色顔料と、防虫剤として二塩基酸飽和ジアルキルエステル化合物および合成ピレスロイド系化合物と、紫外線吸収剤とを含む防虫塗装鋼板が知られている(例えば特許文献2)。
特開2003-200107号公報 特開2004-209788号公報
ところで、屋外で使用される外装建材は、長期間にわたって太陽光などの紫外線環境に曝される。そのため、そのような用途に用いられる塗装金属板は、紫外線に長期間曝されても、防虫剤が紫外線により分解せず、良好な防虫性能を維持できることが望まれる。
特許文献1および2の塗装金属板は、良好な防虫性能を有するものの、紫外線に長期間曝された場合でも、良好な防虫性能をより高度に維持できることが望まれている。また、特許文献2の塗装金属板は、着色塗膜が紫外線吸収剤を含むため、紫外線吸収剤を配合する手間と費用がかかっていた。そのため、紫外線吸収剤を実質的に含まなくても、防虫性能を高度に維持できる塗装金属板が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、屋外に長期間曝されても、良好な防虫性能を維持することができる塗装金属板、防虫塗装金属板および外装建材を提供することを目的とする。
本発明は、以下の塗装金属板、防虫塗装金属板および外装建材に関する。
本発明の塗装金属板は、金属板と、その上に配置された塗膜とを有する塗装金属板であって、前記塗膜は、硬化性樹脂と、硬化剤と、25℃における蒸気圧が1×10-5Pa以下のピレスロイド系化合物とを含む硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、前記硬化性樹脂の重量平均分子量は、2000~12000であり、前記ピレスロイド系化合物の含有量は、前記硬化性樹脂組成物の固形分に対して0.5~10質量%である。
本発明の防虫塗装金属板は、本発明の塗装金属板からなる。
本発明の外装建材は、本発明の塗装金属板を含む。
本発明によれば、屋外に長期間曝されても、良好な防虫性能を維持することができる塗装金属板、防虫塗装金属板および外装建材を提供することができる。
図1は、ゴキブリ忌避試験に用いた評価装置を示す図である。 図2は、図1のシェルターのA-A線断面図である。
本発明者らは、蒸気圧が一定以下のピレスロイド系化合物(特定のピレスロイド系化合物)を一定量以上含有させるとともに、基材樹脂である硬化性樹脂の分子量を低くする(例えば、特許文献1の実施例で使用したものよりも低くする)ことで、初期だけでなく、耐候性試験後においても良好な防虫性能を維持できることを見出した。
この理由は明らかではないが、以下のように推測される。蒸気圧が一定以下のピレスロイド系化合物は揮発性が比較的低いため、塗膜中に留まりやすい。また、低分子量の硬化性樹脂の硬化物は、高分子量の硬化性樹脂の硬化物よりも、(ピレスロイド系化合物などの)低分子量成分を塗膜外に流出(ブリードアウト)させるようなミクロな経路が形成されにくい。その結果、ピレスロイド系化合物が塗膜中に留まりやすくなるため、防虫性能を良好に維持しやすいと考えられる。以下、本発明の塗装金属板の構成について、具体的に説明する。
1.塗装金属板
本発明の塗装金属板は、金属板と、その上に配置された塗膜とを有する。
1-1.金属板
金属板は、公知の金属板から選ぶことができる。金属板の例には、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、Zn-Al合金めっき鋼板、Zn-Al-Mg合金めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、ステンレス鋼板(オーステナイト系、マルテンサイト系、フェライト系、フェライト・マルテンサイト二相系を含む)、アルミニウム板、アルミニウム合金板および銅板が含まれる。
金属板は、耐食性および軽量化の観点から、めっき鋼板またはステンレス鋼板であることが好ましく、さらに対費用効果の観点から、めっき鋼板であることが好ましい。また、金属板は、耐食性をより高める観点などから、溶融55%Al-Zn合金めっき鋼板、Zn-Al-Mg合金めっき鋼板またはアルミニウムめっき鋼板であることが好ましい。これらのうち、溶融55%Al―Zn合金めっき鋼板、Zn-Al-Mg合金めっき鋼板またはアルミニウムめっき鋼板であることが好ましい。
金属板の厚みは、塗装金属板の用途に応じて適宜設定されうる。例えば、塗装金属板の用途が外装建材である場合は、金属板の厚みは、例えば0.2~3.0mmであることが好ましく、加工性をより高める観点から、0.25~2.0mmであることが好ましい。
1-2.塗膜(上塗り塗膜)
塗膜は、金属板の表面に接して、または他の塗膜を介して配置されている。塗膜は、塗装金属板の最も外側に配置されていること、すなわち、最表層塗膜(「上塗り塗膜」ともいう)であることが好ましい。
そのような塗膜は、樹脂塗膜である。具体的には、塗膜は、フッ素樹脂やアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂と、特定のピレスロイド系化合物とを含む熱可塑性樹脂組成物で構成されてもよいし、硬化性樹脂と、硬化剤と、特定のピレスロイド系化合物とを含む硬化性樹脂組成物の硬化物で構成されてもよい。中でも、塗膜は十分な硬度および耐候性を有することが望まれることから、塗膜は、硬化性樹脂と、硬化剤と、特定のピレスロイド系化合物とを含む硬化性樹脂組成物の硬化物で構成されていることが好ましい。
1-2-1.硬化性樹脂
硬化性樹脂の重量平均分子量は、2000~12000であることが好ましい。硬化性樹脂の重量平均分子量が12000以下であると、重量平均分子量が12000を超える高分子量のものよりも、硬化物中に、ピレスロイド系化合物をブリードアウトさせるような経路が形成されにくいため、特定のピレスロイド系化合物をブリードアウトさせにくくすることができる。一方、硬化性樹脂の重量平均分子量が2000以上であると、硬化物の強度や耐候性などを高めやすい。硬化性樹脂の重量平均分子量は、上記観点から3000~10000であることがより好ましい。
硬化性樹脂の重量平均分子量は、JIS K 0124-2011に準じ、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出することができる。具体的な測定条件は、後述する実施例における測定条件と同様としうる。
硬化性樹脂は、重量平均分子量が上記範囲を満たすものであればよく、特に制限されない。硬化性樹脂の例には、硬化性ポリエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂、エポキシ樹脂および変性エポキシ樹脂が含まれる。
(硬化性ポリエステル)
硬化性ポリエステル樹脂は、例えば分子内に水酸基を有するポリエステル樹脂(水酸基含有ポリエステル樹脂)でありうる。水酸基含有ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分と、多価アルコール成分との重縮合物(オイルフリーポリエステル樹脂、油変性ポリエステル樹脂)やそれらの変性物(ウレタン変性物、エポキシ変性物)でありうる。
重縮合物を構成する多価カルボン酸成分は、脂肪族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸のいずれであってもよい。多価カルボン酸成分の例には、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸などの二価のカルボン酸やそれらのエステル化物;無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、無水ピロメリット酸などの三価以上の多価カルボン酸が含まれる。多価カルボン酸は、1種類で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、多価カルボン酸成分は、二価のカルボン酸(好ましくは芳香族二価カルボン酸)を含むことが好ましい。
重縮合物を構成する多価アルコール成分は、脂肪族多価アルコール、脂環式多価アルコール、芳香族多価アルコールのいずれであってもよい。多価アルコール成分の例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチルペンタンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどの二価のアルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの三価以上のアルコールが含まれる。多価アルコールは、1種類で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、多価アルコール成分は、三価以上のアルコール(好ましくは三価以上の脂肪族アルコール)を含むことが好ましい。
水酸基含有ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールとの反応に加えて、油脂肪酸をさらに反応させたもの(油変性ポリエステル樹脂)であってもよい。油脂肪酸の例には、ヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、キリ油脂肪酸が含まれる。
ウレタン変性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールとを反応させてなる低分子量の重縮合物の水酸基を、ポリイソシアネート化合物と反応させたものでありうる。用いられるポリイソシアネート化合物の例には、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)が含まれる。
エポキシ変性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールとを反応させて得られる重縮合物のカルボキシル基を、エポキシ基含有化合物と反応させて得られる反応生成物や;水酸基含有ポリエステル樹脂の水酸基と変性エポキシ樹脂の水酸基とを、ポリイソシアネート化合物を介して結合させた反応生成物が含まれる。
硬化性ポリエステル樹脂の水酸基価は、7~50mgKOH/gであることが好ましく、10~40mgKOH/gであることがより好ましい。水酸基価が高いほど、得られる硬化物の架橋密度は高くなりやすく、弾性率も高くなりやすいため、前述のミクロな経路が形成されにくく、ピレスロイド系化合物などの低分子量成分をブリードアウトさせにくくしうると考えられる。水酸基価は、試料1g中に含まれる水酸基をアセチル化させたときに、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数をいう。水酸基価は、JIS K 0070に準拠して測定することができる。
(硬化性アクリル樹脂)
硬化性アクリル樹脂は、特に制限されず、例えば分子内に水酸基を有するアクリル樹脂(水酸基含有アクリル樹脂、アクリルポリオールともいう)でありうる。水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基含有アクリルモノマーの(共)重合体でありうる。
水酸基含有アクリルモノマーの例には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー類、および水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー類へのγ‐ブチロラクトンの開環付加物が含まれる。水酸基含有アクリルモノマーは、一種類で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
水酸基含有アクリルモノマーと共重合されうる他のエチレン性不飽和モノマーの例には、水酸基を有しない(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類が含まれる。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂は、特に制限されず、分子内に2以上のエポキシ基を有する樹脂(未変性エポキシ樹脂)でありうる。エポキシ樹脂の例には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールまたはアルキルフェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルであるノボラック型エポキシ樹脂が含まれる。
(変性エポキシ樹脂)
変性エポキシ樹脂は、上記エポキシ樹脂を、硬化剤と反応する官能基とエポキシ基と反応する基とを有する化合物と反応させて得られる樹脂(硬化剤と反応する官能基を有する変性エポキシ樹脂)である。変性エポキシ樹脂は、例えば、分子内にアミノ基やヒドロキシ基などのイソシアネート基と反応する官能基を有する変性エポキシ樹脂(例えばアミン変性されたエポキシ樹脂、またはアルカノールアミンなどのアミノアルコール変性されたエポキシ樹脂)でありうる。
これらの中でも、外装建材として用いる観点では、硬化性ポリエステル樹脂が好ましく、耐候性をさらに高めやすくする観点では、オイルフリーポリエステル樹脂がより好ましい。
硬化性樹脂の含有量は、硬化性樹脂組成物の固形分に対して35~90質量%であることが好ましい。硬化性樹脂の含有量が50質量%以上であると、得られる塗膜が、十分な強度を有しうるだけでなく、良好な耐食性などを有しうる。硬化性樹脂の含有量が90質量%以下であると、塗料の粘度が高くなりすぎないため、塗装作業性や加工性が損なわれにくい。硬化性樹脂の含有量は、上記観点から、樹脂組成物に対して40~75質量%であることがより好ましい。
なお、硬化性樹脂組成物の固形分とは、溶剤や水などの溶媒成分を除く全成分をいう。すなわち、硬化性樹脂組成物の固形分に対する量は、硬化性樹脂組成物の硬化物からなる塗膜に対する量と同じである。以下においても、同様である。
1-2-2.硬化剤
硬化剤は、硬化性樹脂を硬化させるものであればよく、硬化性樹脂に応じて適宜選択されうる。例えば、水酸基含有ポリエステル樹脂、水酸基含有アクリル樹脂、アミン変性エポキシ樹脂などの水酸基またはアミノ基を有する硬化性樹脂を硬化させるための硬化剤の例には、イソシアネート化合物やメラミン化合物が含まれる。エポキシ樹脂の硬化剤の例には、アミン化合物、酸無水物およびイミダゾール化合物が含まれる。
中でも、硬化性樹脂が水酸基含有ポリエステル樹脂であることが好ましいことから、硬化剤は、イソシアネート化合物またはメラミン化合物であることが好ましい。
イソシアネート化合物の例には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)などの脂肪族イソシアネート化合物;ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂環式イソシアネート化合物;メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、フェニレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート化合物が含まれる。中でも、良好な密着性を有するプライマー層を得る観点では、脂肪族イソシアネート化合物が好ましい。
メラミン化合物の例には、メラミンとアルデヒドを反応させて得られるメチロール化メラミン化合物や、そのメチロール基の少なくとも一部がアルコール類(例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2-エチルブタノール、2-エチルヘキサノールなどの1価アルコール)によってエーテル化されたものが挙げられる。
硬化剤の含有量は、硬化性樹脂に対して10~35質量%であることが好ましい。硬化剤の含有量が10質量%以上であると、硬化性樹脂を十分に硬化させうるため、十分な強度の塗膜が得られやすい。また、得られる硬化物の架橋密度や弾性率も高まりやすいため、前述のミクロな経路が形成されにくく、ピレスロイド系化合物などをブリードアウトさせにくくしうると考えられる。硬化剤の含有量が35質量%以下であると、未反応のまま残留する硬化剤を少なくしうる。
1-2-3.特定のピレスロイド系化合物
特定のピレスロイド系化合物は、25℃における蒸気圧が1×10-5Pa以下のピレスロイド系化合物である。このようなピレスロイド系化合物は塗膜から揮発しにくいため、耐候性試験後においても良好な防虫性能を維持しうる。ピレスロイド系化合物の25℃における蒸気圧は、上記観点から、1×10-11~1×10-5Paであることが好ましく、1×10-10~1×10-6Paであることがより好ましい。
ピレスロイド系化合物の25℃における蒸気圧は、OECDテストガイドラインの104に記載の気体飽和法により測定することができる。
25℃における蒸気圧が1×10-5Pa以下のピレスロイド系化合物の例には、シフルトリン、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、トラロメトリン、ビフェントリン、レスメトリン、フタルスリン、イミプロトリン、モンフルオロトリン、およびエトフェンプロックスが含まれる。中でも、初期だけでなく、耐候性試験後においても、良好な防虫性能を維持できる観点から、ペルメトリンおよびエトフェンプロックスが好ましい。
ピレスロイド系化合物の含有量は、硬化性樹脂組成物の固形分に対して0.5~10質量%であることが好ましい。ピレスロイド系化合物の含有量が0.5質量%以上であると、耐候性試験後においても、紫外線などにより分解されないピレスロイド系化合物が適度に残るため、耐候性試験後においても良好な防虫性能を維持しうる。ピレスロイド系化合物の含有量を10質量%以下であると、費用を増大させることなく、高い防虫性能が得られる。ピレスロイド系化合物の含有量は、上記観点から、硬化性樹脂組成物の固形分に対して1~10質量%であることがより好ましい。
ピレスロイド系化合物の含有量は、ガスクロマトグラフ法、ガスクロマトグラフ質量分析法、または高速液体クロマトグラフ法によって確認することができる。
1-2-4.他の成分
最表面に配置される塗膜を構成する硬化性樹脂組成物は、必要に応じて上記以外の他の成分をさらに含んでもよい。他の成分の例には、着色顔料粒子、紫外線吸収剤などが含まれる。
(着色顔料粒子)
着色顔料粒子は、塗料用の着色顔料として一般に入手できる有機系着色顔料および無機系着色顔料の粒子のいずれであってもよい。着色顔料粒子は、非透明であり、塗膜に色調を付与して着色塗膜としうる。
無機系着色顔料粒子の例には、酸化チタン、酸化クロム、カーボンブラック、鉄黒、酸化鉄イエロー、チタンイエロー、ベンガラ、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、群青、コバルトグリーン、およびモリブデン赤が含まれる。
有機系着色顔料粒子の例には、キナクリドンレッド、リソールレッドB、ブリリアントスカーレットG、ピグメントスカーレット3B、ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、レーキレッドD、パーマネントレッド4R、ボルドー10B、ファストイエローG、ファストイエロー10G、パラレッド、ウォッチングレッド、ベンジジンイエロー、ベンジジンオレンジ、ボンマルーンL、ボンマルーンM、ブリリアントファストスカーレット、バーミリオンレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ファストスカイブルー、およびアニリンブラックが含まれる。
着色顔料粒子は、金属成分を含む複合酸化物焼成顔料の粒子であってもよい。焼成顔料の例には、CoAl、CoCrAl、CoCrZnMgAl、CoNiZnTi、CoCrZnTi、NiSbTi、CrSbTi、FeCrZnNi、MnSbTi、FeCr、FeCrNi、FeNi、FeCrNiMn、FeZn、CoCr、MnCo、およびSnZnTiが含まれる。
また、着色顔料粒子は、メタリック顔料の粒子であってもよい。メタリック顔料粒子の例には、Alフレーク、樹脂被覆Alフレーク、金属酸化物被覆Alフレーク、Niフレーク、Cuフレーク、およびステンレス鋼フレークが含まれる。
また、着色顔料粒子は、パール顔料の粒子であってもよい。パール顔料粒子の例には、酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、および酸化チタン-酸化鉄被覆雲母が含まれる。
着色顔料粒子の平均粒子径は、特に制限されないが、通常、3μm以下であり、0.01~1.5μmであることが好ましい。着色顔料粒子の粒径がより小さいと、塗膜における着色顔料粒子の含有量をより多くすることができる。このような観点からは、着色顔料粒子の平均粒子径は、2.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
着色顔料粒子の含有量は、着色顔料粒子の粒径や種類によって適宜設定されうる。塗膜が着色顔料粒子を含む場合、着色顔料粒子を塗膜中に配合することによる着色性などの観点から、例えば硬化性樹脂組成物の固形分に対して15~60質量%であることが好ましく、20~50質量%であることがより好ましい。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、特に制限されないが、焼き付け温度でも良好な耐熱性を有する観点から、トリアジン系紫外線吸収剤、またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることが好ましい。中でも、良好な耐熱性を有する観点から、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。紫外線吸収剤は、一種類で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
そのような紫外線吸収剤の例には、TINUVIN 384、TINUVIN 400、TINUVIN 411L、TINUVIN 900、TINUVIN 928(いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカル社製)が含まれる。
紫外線吸収剤の含有量は、例えば硬化性樹脂組成物の固形分に対して10質量%未満であることが好ましく、製造の手間や費用を低減する観点などから、実質的に含まないことがより好ましい。実質的に含まないとは、硬化性樹脂組成物の固形分に対して2質量%未満、好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0質量%であることをいう。
(厚み)
塗膜の厚みは、塗装金属板の用途に応じて適宜設定され、例えば3~50μmであることが好ましい。塗膜の厚みが50μm以下であると、塗膜を作製する際の塗料の塗布量を多くする必要がなくなり、塗料の膜を加熱し、固化させる際に、ワキ(泡状のフクレや穴)などの塗装欠陥を発生しにくくすることができる。塗膜の厚みは、10~40μmであることがより好ましい。
塗膜の厚みは、塗膜の複数箇所(例えば、任意に選ばれる10箇所)における底面から表面までの距離の平均値で表すことができる。
1-3.その他の塗膜
塗装金属板は、必要に応じて上記塗膜以外の他の塗膜をさらに有していてもよい。当該他の塗膜の例には、化成処理皮膜および下塗り塗膜が含まれる。例えば、塗装金属板は、金属板と、化成処理皮膜と、下塗り塗膜と、上記塗膜(上塗り塗膜)とをこの順に有することが好ましい。
1-3-1.化成処理皮膜
化成処理皮膜は、塗装金属板の密着性や耐食性を向上させる目的で、金属板上に直接、すなわち、金属板と塗膜(上塗り塗膜)との間に配置されうる。化成処理皮膜は、金属板の表面に接して形成された層であり、塗装前処理によって金属板の表面に付着した組成物で構成される。化成処理層の例には、非クロメート系皮膜、およびクロメート系皮膜が含まれる。これらは、いずれも防錆処理による皮膜である。
非クロメート系皮膜は、耐食性を高める観点および塗装金属板の製造および使用における環境への負荷を軽減する観点から好ましく、クロメート系皮膜は、耐食性を高める観点から好ましい。
非クロメート系皮膜の例には、Ti-Mo複合皮膜、フルオロアシッド系皮膜、リン酸塩皮膜、樹脂系皮膜、樹脂およびシランカップリング剤系皮膜、シリカ系皮膜、シリカおよびシランカップリング剤系皮膜、ジルコニウム系皮膜、ならびに、ジルコニウムおよびシランカップリング剤系皮膜などが含まれる。
非クロメート系皮膜の付着量は、その種類に応じて適宜に決めることができる。例えば、Ti-Mo複合皮膜の付着量は、全TiおよびMo換算で10~500mg/mであることが好ましく、フルオロアシッド系皮膜の付着量は、フッ素換算または総金属元素換算で3~100mg/mであることが好ましく、リン酸塩皮膜の付着量は、リン元素換算で0.1~5g/mであることが好ましく、樹脂系皮膜の付着量は、樹脂換算で1~500mg/mであることが好ましく、樹脂およびシランカップリング剤系皮膜の付着量は、Si換算で0.1~50mg/mであることが好ましく、シリカ系皮膜の付着量は、Si換算で0.1~200mg/mであることが好ましく、シリカおよびシランカップリング剤系皮膜の付着量は、Si換算で0.1~200mg/mであることが好ましく、ジルコニウム系皮膜の付着量は、Zr換算で0.1~100mg/mであることが好ましく、ジルコニウムおよびシランカップリング剤系皮膜の付着量は、Zr換算で0.1~100mg/mであることが好ましい。
クロメート系皮膜の例には、塗布型クロメート処理皮膜、およびリン酸-クロム酸系処理クロメート防錆処理皮膜が含まれる。これらのクロメート系皮膜の付着量は、いずれも、クロム元素換算で20~80mg/mであることが好ましい。
1-3-2.下塗り塗膜
下塗り塗膜は、塗装金属板における上記塗膜の密着性や耐食性を高める観点から、金属板と上記塗膜との間、または化成処理皮膜と上記塗膜との間に配置されうる。下塗り塗膜は、金属板の表面あるいは化成処理皮膜の表面に形成される。
下塗り塗膜は、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物で構成されうる。熱可塑性樹脂の例には、ポリエステル樹脂、変性シリコン樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂および塩化ビニル樹脂などが含まれる。
また、下塗り塗膜は、硬化性樹脂と、硬化剤とを含む樹脂組成物の硬化物で構成されてもよい。硬化性樹脂および硬化剤は、上記塗膜を構成する硬化性樹脂および硬化剤として挙げたものと同様のものを用いることができる。
中でも、下塗り塗膜は、硬化性樹脂と、硬化剤とを含む樹脂組成物の硬化物からなることが好ましく、化成処理皮膜との密着性および上塗り塗膜との密着性が得られやすい観点などから、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含む樹脂組成物の硬化物からなることがより好ましい。
下塗り塗膜を構成する樹脂組成物または硬化性樹脂組成物は、防錆顔料粒子、着色顔料粒子、メタリック顔料粒子、パール顔料粒子、体質顔料粒子、および光沢調整剤粒子などの添加剤をさらに含有していてもよい。
防錆顔料粒子の例には、変性シリカ、バナジン酸塩、リン酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、およびポリリン酸アルミニウムなどを含む非クロム系の防錆顔料の粒子、ならびに、クロム酸ストロンチウム、クロム酸亜鉛、クロム酸バリウム、クロム酸カルシウムなどを含むクロム系防錆顔料の粒子などが含まれる。着色顔料粒子は、前述と同様のものを用いることができる。体質顔料粒子の例には、硫酸バリウム、酸化チタン、シリカおよび炭酸カルシウムなどの粒子が含まれる。光沢調整剤粒子の例には、シリカおよび炭酸カルシウムなどの無機材料の粒子、ならびに、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾクアナミン樹脂、スチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、およびフッ素樹脂などの樹脂粒子が含まれる。
下塗り塗膜に含まれる顔料の量は、顔料の種類等に応じて適宜選択され、例えば防錆顔料の量は、10~70質量%とすることができる。
下塗り塗膜の厚みは、特に制限されないが、例えば1~10μmであることが好ましく、3~7μmであることがより好ましい。
2.塗装金属板の製造方法
塗装金属板は、公知の塗膜の作製方法で製造することができる。例えば、塗装金属板は、1)金属板上に、硬化性樹脂組成物からなる塗膜を形成する工程と、2)当該塗膜を焼き付ける(硬化させる)工程とを経て製造することができる。
1)の工程について
塗料(硬化性樹脂組成物)は、必要に応じて溶剤をさらに含んでもよい。溶剤の例には、トルエン、キシレンなどの炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、セロソルブなどのエーテル、および、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトンが含まれる。
塗料の塗布は、ロールコート、カーテンフローコート、スプレーコート、浸漬コートなどの公知の方法によって行うことができる。
2)の工程(焼き付け工程)について
金属板上に付与した塗膜を、焼き付ける(硬化させる)。具体的には、硬化性樹脂組成物から溶剤を揮発させるとともに、当該硬化性樹脂組成物を硬化させる。それにより、硬化性樹脂組成物の硬化物からなる塗膜(上塗り塗膜)を得る。
硬化性樹脂組成物の焼き付けは、加熱により行うことができる。焼き付けは、例えば到達板温200~280℃で20~80秒間行うことが好ましい。
他の工程について
塗装金属板の製造方法は、必要に応じて上記以外の他の工程をさらに含んでいてもよい。当該他の工程の例には、化成処理皮膜を形成する化成処理工程、下塗り塗膜を形成する工程などが含まれる。
化成処理皮膜を形成する工程は、化成処理皮膜を形成するための水性の化成処理液を、ロールコート法、スピンコート法、スプレー法などの公知の方法で金属板の表面に塗布し、塗布後に上記金属板を水洗せずに乾燥させることによって行うことができる。当該金属板の乾燥温度および乾燥時間は、生産性の観点から、例えば、金属板の到達温度で60~150℃、2~10秒間であることが好ましい。
下塗り塗膜を形成する工程は、下塗り塗料(前述の樹脂組成物または硬化性樹脂組成物)の塗布およびそれによる膜の硬化によって行うことができる。当該下塗り塗料は、必要に応じて、溶剤および添加剤を含んでいてもよい。下塗り塗料は、上記した各成分を均一に混合、分散させることによって調製される。当該塗料の塗膜は、例えば、金属板の到達温度で180~260℃の温度で金属板を加熱することにより金属板に焼き付けられ、作製される。
3.塗装金属板の用途
本発明の塗装金属板は、前述の通り、優れた防虫性能を有するため、防虫塗装金属板として好ましく用いることができる。
また、本発明の塗装金属板は、前述の通り、初期だけでなく、耐候性試験後においても良好な防虫性能を維持しうる。そのため、本発明の塗装金属板は、フロア材や内壁材などの内装建材としてだけでなく、屋根材や外壁材などの屋外で使用される外装建材などに好ましく用いることができる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
1.塗装原板の作製
1-1.金属板の準備
溶融55%Al―Zn合金めっき鋼板(板厚0.35mm、両面付着量150g/m)を、アルカリ脱脂した。
1-2.化成処理皮膜の形成
次いで、得られためっき鋼板の表面に、日本ペイント株式会社製の「サーフコートNRC300NS」(「サーフコート」は同社の登録商標)のクロメート処理液を塗布し、塗布後のめっき鋼板を水洗することなく100℃で乾燥させた。それにより、全クロム換算付着量30mg/mの付着量のクロメート処理(化成処理皮膜の形成)を行った。
1-3.下塗り塗膜の形成
次いで、得られためっき鋼板のクロメート処理面に、下記組成を有するエポキシ樹脂系下塗り塗料を塗布した後、めっき鋼板の到達温度が200℃となるように加熱し、乾燥膜厚が5μmの下塗り塗膜を有するクロメート系めっき鋼板(塗装原板)を得た。
リン酸塩混合物(防錆顔料) 23質量%(対固形分)
硫酸バリウム(体質顔料) 15質量%(対固形分)
シリカ(体質顔料) 1質量%(対固形分)
クリアー塗料 残り
なお、上記クリアー塗料は、日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社製「NSC680」(アミン変性エポキシ樹脂、イソシアネート系硬化剤とを含む塗料)である。
2.塗装金属板の作製および評価
2-1.上塗り塗料の材料
(硬化性ポリエステル)
硬化性ポリエステルA:水酸基含有ポリエステル(3価以上の脂肪族アルコールを含む多価アルコールと、芳香族ジカルボン酸を含む多価カルボン酸との重縮合物(オイルフリー)、重量平均分子量3000、水酸基価37mgKOH/g)
硬化性ポリエステルB:水酸基含有ポリエステル(3価以上の脂肪族アルコールを含む多価アルコールと、芳香族ジカルボン酸を含む多価カルボン酸との重縮合物(オイルフリー)、重量平均分子量9000、水酸基価20mgKOH/g)
硬化性ポリエステルC:水酸基含有ポリエステル(3価以上の脂肪族アルコールを含む多価アルコールと、芳香族ジカルボン酸を含む多価カルボン酸との重縮合物(オイルフリー)、重量平均分子量13000、水酸基価10mgKOH/g)
硬化性ポリエステルの重量平均分子量および水酸基価は、以下の方法で測定した。
〔重量平均分子量〕
JIS K 0124-2011に準じ、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した。測定条件は、以下の通りとした。
(測定条件)
カラム種類:TSKgel SuperHM-H(6.0mmI.D×15cm×2本)
溶離液:THF
カラム温度:40℃
検出器:RI
〔水酸基価〕
水酸基価は、JIS K 0070に準拠して測定した。
(硬化剤)
メラミン化合物(三井サイテック社製サイメル303)
(ピレスロイド系化合物)
ペルメトリン(大和化学工業社製ペルメトリン、25℃における蒸気圧6.82×10-7kPa)
エトフェンプロックス(大和化学工業社製エトフェンプロックス、25℃における蒸気圧8.13×10-7kPa)
エムペントリン(林純薬工業社製エムペントリン、25℃における蒸気圧1.4×10-4kPa)
ピレスロイド系化合物の蒸気圧は、以下の方法で測定した。
〔蒸気圧の測定〕
ピレスロイド系化合物の蒸気圧は、OECDテストガイドラインの104に記載の気体飽和法により測定した。計算式は、以下を用いた。
p=W/V×RT/Mr
p:蒸気圧(Pa)
W:蒸発した試料の質量(g)
V:飽和ガス容量(m
R:普通気体定数(J/(mol・K))
T:温度(K)
Mr:試料のモル質量(g/mol)
(着色顔料)
酸化チタン(テイカ株式会社製JR301、平均粒子径0.3μm)
(紫外線吸収剤)
TINUVIN384:TINUVIN400=1:1(質量比)の混合物(いずれもBASF社製)
2-2.上塗り塗料(硬化性樹脂組成物)の調製
(上塗り塗料1~16の調製)
塗料中の固形分の組成が表1に示される組成となるように、硬化性樹脂、硬化剤、ピレスロイド系化合物、着色顔料、紫外線吸収剤、および溶剤としてベンゼン、トルエンおよびキシレンとを混合して、上塗り塗料1~16を得た。
2-3.塗装金属板の作製および評価
(塗装金属板1~16の作製)
準備しておいた塗装原板の下塗り塗膜の表面に、表1に示される上塗り塗料を、乾燥塗膜厚みが15μmになるように塗布して、到達温度230℃で50秒間、焼き付けした(硬化させた)。それにより、塗装原板の下塗り塗膜の表面に、厚み15μmの上塗り塗料の焼き付け塗膜(硬化性樹脂組成物の硬化物からなる塗膜)を有する塗装金属板1~16を作製した。
(評価)
得られた塗装金属板1~16の、耐候性試験前後でのゴキブリ忌避性能を、以下の方法で評価した。
(ゴキブリ忌避性能)
(1)試験片の準備
得られた塗装金属板を7×7cmに切り出して、2つの試験片を得た。2つの試験片のうち一方は、初期の試験片として、そのままゴキブリ忌避試験に用いた。他方については、JIS K2246に準拠して、サンシャインウェザーメーターを用いて240時間紫外線を照射した後、耐候性試験後の試験片としてゴキブリ忌避試験に用いた。
(2)ゴキブリ忌避試験
次いで、得られた試験片(初期)を用いて、(財)日本環境衛生センターの試験方法に準拠してゴキブリ忌避試験を行った。
図1は、ゴキブリ忌避試験に用いた評価装置を示す図である。図2は、図1のシェルターのA-A線断面図である。
具体的には、図1に示されるように、高さ9cm、横26cm、縦20cmの樹脂製の上部開放型の容器1内の底面上に、2つのシェルター7および7’を形成した。2つのシェルター7および7’は、容器1内の底面上に、試験片2と、防虫忌避成分を配合していない比較用試験片2’とを配置し、これらの試験片2および2’上に、高さ5mm、幅5mm、長さ50mmの4つの角材4を配置し、その上に、当該試験片2および2’と同じ大きさのベニヤ板3をさらに載置して形成した(図2参照)。さらに、容器1の底面上の中央部に、水分を含ませた脱脂綿5と固形飼料6とを配置した(図1参照)。
ゴキブリが逃げ出さないようにするため、容器1の上部の内壁面にワセリンを薄く塗った後、チャバネゴキブリの成虫20匹を容器1内に入れて、各ゴキブリごとに、試験片2を用いた防虫処理シェルター7と、防虫忌避成分未配合の比較用試験片2’を用いた未防虫処理シェルター7’のいずれか好みのシェルターを選ばせて、所定時間後、それぞれのシェルター内に生息するゴキブリの数を計数した。そして、下記の計算式によって、忌避効果を判定した。
忌避率(%)=(1-(処理区の供試虫数/未処理区の供試虫数))×100
上記試験は、光源、温湿度差、個体差などによるバラツキを考慮して、3回繰り返して行い、その平均値によって忌避率を算出した。この際、1回でも処理シェルター内に潜むゴキブリ数が、未処理シェルター内の数を超えるものがあった場合は、忌避効果は認められないものとして、全体の忌避率は0%とした。そして、以下の基準で評価した。
◎:忌避率が80%以上
○:忌避率が60%以上80%未満
×:忌避率が60%未満
また、上記(1)で得られた耐候性試験後の試験片を用いた以外は、上記(2)と同様にしてゴキブリ忌避試験を行い、同様の評価を行った。
塗装金属板1~16の評価結果を、表1に示す。
Figure 0007196723000001
表1に示されるように、塗装金属板1~3、9、12~14および16(実施例)は、紫外線吸収剤を含まないにも係わらず、初期だけでなく、耐候性試験後においても良好な防虫性能を示すことがわかる。
特に、ピレスロイド系化合物の含有量を1質量%以上とすることで、耐候性試験後の防虫性能をより高度に維持できることがわかる(塗装金属板1と、2~3および13との対比)。
また、ピレスロイド系化合物としては、ペルメトリンのほうが、エトフェンプロックスよりも耐候性試験後の防虫性能をより高度に維持できることがわかる(塗装金属板12と13の対比)。
また、ピレスロイド系化合物を2種類以上配合しても、良好な防虫性能を示すことがわかる(塗装金属板16)。
また、紫外線吸収剤をさらに含有させることで、耐候性試験後の防虫性能をより高度に維持できることがわかる(塗装金属板11と12の対比)。
これに対して、比較例の塗装金属板4~8、10および15(比較例)は、耐候性試験後の防虫性能が低下することがわかる。具体的には、塗装金属板4は、ピレスロイド系化合物の含有量が0.5質量%未満と少ないことから、防虫性能が維持できなかったと考えられる。塗装金属板5~8は、25℃における蒸気圧が高いピレスロイド系化合物を用いたため、耐候性試験の過程で揮発したり、紫外線により分解されたりして、防虫性能が維持できなかったと考えられる。また、塗装金属板10および15は、硬化性ポリエステルの分子量が高いことから、ピレスロイド系化合物のブリードを生じやすく、塗膜焼付けの過程で揮発しやすく、防虫性能が維持できなかったと考えられる。
本発明の塗装金属板は、屋外に長期間曝されても、良好な防虫性能を維持することができる。したがって、当該塗装金属板は、特に外装建材の材料として好適である。
1 容器
2 試験片
2’ 比較用試験片
3 ベニヤ板
4 角材
5 脱脂綿
6 固形飼料
7、7’ シェルター

Claims (8)

  1. 金属板と、その上に配置された塗膜とを有する塗装金属板であって、
    前記塗膜は、硬化性樹脂と、硬化剤と、25℃における蒸気圧が1×10-5Pa以下のピレスロイド系化合物とを含む硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、
    前記硬化性樹脂の重量平均分子量は、2000~12000であり、
    前記ピレスロイド系化合物の含有量は、前記硬化性樹脂組成物の固形分に対して0.5~10質量%であり、
    前記硬化剤は、メラミン化合物を含む
    塗装金属板。
  2. 前記ピレスロイド系化合物は、ペルメトリンおよびエトフェンプロックスからなる群より選ばれる一以上である、
    請求項1に記載の塗装金属板。
  3. 前記硬化性樹脂は、硬化性ポリエステル樹脂である、
    請求項1または2に記載の塗装金属板。
  4. 前記硬化性樹脂組成物は、着色顔料粒子をさらに含む、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の塗装金属板。
  5. 前記硬化性樹脂組成物は、紫外線吸収剤を実質的に含まない、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の塗装金属板。
  6. 前記塗膜は、前記塗装金属板の最も外側に配置されている、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の塗装金属板。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の塗装金属板からなる、防虫塗装金属板。
  8. 請求項1~6のいずれか一項に記載の塗装金属板を含む、外装建材。
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