JP5640906B2 - 合わせガラス - Google Patents

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本発明は車両や建造物の窓材として好適な合わせガラスに関し、特に断熱性および電波透過性に優れた合わせガラスに関する。
合わせガラスは、一対のガラス板の間に樹脂などの中間膜を介在させて接着させることにより一体化された構造を有し、耐貫通性および飛散防止性に優れる。このため、自動車、鉄道車両、航空機、船舶、建築物等の窓ガラスとして広く使用されている。
これらの窓ガラスには高度な透明性が必要とされており、特に、自動車用フロントガラスにおいては、視認性を確保する上で可視光線透過率が70%以上の合わせガラスであることが要求される。
一方、近年、冷房負荷の軽減あるいは室内の温度上昇の抑制を図る目的で、ガラスに熱線遮断機能を付与し、窓ガラスの遮熱性を高めることも提案されている。
熱線遮断機能を付与する方法としては、例えば、中間膜に赤外線遮蔽性能を有する金属酸化物を分散させる方法や、熱線反射膜として屈折率が異なる2種類のポリマー薄膜を多層積層した光学干渉多層膜を使用する方法などが知られている。
しかし、中間膜に金属酸化物を分散させて十分な熱線遮断性を発揮させるには、一定量の金属酸化物が必要であり、この場合、良好な可視光線透過率を得ることが難しいという問題がある。また、熱線反射膜を使用する場合には、十分な熱線遮断性を得るために反射膜を厚くする必要があるが、膜厚の増加に伴い可視光線の透過率も急激に低下するという問題がある。すなわち、熱線遮断性と可視光透過性とはトレードオフの関係にあり、これらの両立は困難である。
上記方法に加えて、ガラス板の表面に、銀などの電気抵抗の低い金属薄膜と酸化物薄膜とを交互に積層した積層膜を設けることにより熱線遮断機能を付与する方法も知られている。このような積層膜は金属膜の低い電気抵抗のために赤外光の反射率が高く、高い断熱性能を実現できる。しかし、金属膜の低い電気抵抗は同時に高い電波反射性能をもたらす。このため、テレビ、ラジオ、ETC、無線LAN、携帯電話等の広範囲の周波数帯での電波が透過せず、電波による通信システムを活用できないという問題があり、建築や車両の窓に用いることが困難となる。かような電波遮断性の問題を解決すべく、電気抵抗の高い膜を使用し、断熱性能を多少犠牲にして電波透過性を確保する方法が用いられている。
このように、高可視光透過性、高遮熱性、および高電波透過性を満足させることは困難であった。
かような問題を解決すべく、特許文献1には、金属膜や、金属薄膜と酸化物薄膜との交互積層体などの導電性膜をパターニングする方法が提案されている。当該文献の方法においては、熱線反射特性を有する導電性膜が到達電波の波長よりも十分小さいサイズの格子状またはストライプ状に高抵抗の線状領域により分割される。これにより、面抵抗が増加し、電波が電流に交換され難い構造となる。当該文献によれば、高い熱線反射性と電波透過性を付与することができる、としている。
特開平7−242441号公報
しかしながら、特許文献1の断熱合わせガラスにおいては、金属膜間の漏電による電波透過性低下を防止するために導電性膜のパターニングの線幅が1μm以上とされており、可視光線の波長よりも大きい。このため、パターニングによる可視光の屈折や回折が発生し、像ゆがみや白濁が生じるという問題がある。
そこで本発明は、熱線反射性および電波透過性を確保しつつ、像ゆがみや白濁の抑制された視界快適性に優れる合わせガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、導電性膜の周縁部の少なくとも一部に、可視光線反射率が前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸増するように形成された電波透過領域を設けることにより、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の合わせガラスによれば、導電性膜において、可視光線透過性に関して妥協できる周縁部に電波透過領域を設け、当該電波透過領域において電波を透過させることにより、中心部の可視光線透過性を確保しつつ電波透過性および熱線反射性を付与することが可能となる。さらに、電波透過領域において可視光線反射率を徐々に変化させることによって、電波透過領域の境界における像ゆがみや白濁が抑制され、視界快適性を向上させることができる。
本発明の一実施形態である合わせガラスの平面図である。 図1に示す実施形態の合わせガラス1を平面II−IIで切断した際の断面図である。 図2に示される合わせガラス1を構成する導電性膜15を上から見た平面図である。 本発明の他の一実施形態に係る合わせガラスを構成する導電性膜の平面図である。 本発明の一実施形態に係る合わせガラスを構成する導電性膜の模式断面図である。 交互積層体を構成する金属膜の積層数と可視光線反射特性との関係を示すスペクトル図である。 本発明の一実施形態に係る合わせガラスを構成する交互積層体のパターン領域の構造を示す模式平面図である。 本発明の一実施形態に係る合わせガラスを構成する交互積層体のパターン領域の構造を示す模式断面図である。 本発明の他の実施形態に係る合わせガラスを構成する交互積層体のパターン領域の構造を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に使用される交互積層体のパターニングに使用されるマスクパターンの形状を示す模式平面図である。 本発明の一実施形態に係る合わせガラスを構成する交互積層体のパターン領域の構造を示す模式平面図である。 本発明の一実施形態に係る合わせガラスを構成する交互積層体のパターン領域の構造を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に使用される交互積層体のパターニングに使用されるマスクパターンの形状を示す模式平面図である。 本発明の一実施形態に係る合わせガラスを構成する交互積層体のパターン領域の構造を示す模式断面図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみには制限されない。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本発明の一形態によれば、第1のガラス板、導電性膜、第2のガラス板の順に積層されてなる合わせガラスが提供される。そして、前記導電性膜の周縁部の少なくとも一部に、可視光線反射率が前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸増するように形成された電波透過領域を有する点を特徴とする。
図1は、本発明の一実施形態である合わせガラスの平面図である。本実施形態の合わせガラス1は、自動車のフロントウィンドウガラスであり、外周部2の内側にガラス開口部3を有する。また、合わせガラス1は自動車の形状に合わせて形成され、フロントウィンドウの形状に合わせて湾曲した形状を有する。ただし、合わせガラス1の形状は適用される部位によって様々であり、多様な形状を有しうる。
一般に自動車のウィンドウシールドなどに用いられる合わせガラスはかような曲面形状のものが多い。このような曲面形状を有する合わせガラスについては、予め任意の曲率に曲げたガラスの間に中間膜と導電性膜とを挟んで成形することにより製造される。一方、建築用窓材などに用いられるものは曲げ加工されていない平板形状を有していてもよい。
図2は、図1に示す実施形態の合わせガラス1を平面II−IIで切断した際の断面図を示す。図2に示すように、本実施形態の合わせガラス1は、第1のガラス板11、第1の中間膜12、導電性膜15、第2の中間膜16、および第2のガラス板17が順に積層されてなる。そして、導電性膜15は断熱層13および交互積層体14から構成されており、第1のガラス板11側に断熱層13が、第2のガラス板17側に交互積層体14が配置されている。本実施形態の合わせガラス1では、通常、太陽光線などの電磁波が入射する自動車の車外側に第1のガラス板11が、室内側に第2のガラス板17が配される。
本実施形態において、導電性膜15とガラス板(11,17)との間には中間膜(12,16)が介在しているが、本発明はかような形態に制限されず、中間膜(12,16)が介在しない形態であってもよい。例えば、導電性膜15がガラス板(11,17)と密着できる場合などには、中間膜(12,16)が介在していなくてもよい。
本実施形態においては、ガラスの開口部3の内側に導電性膜15が配置されており、導電性膜15の外周部を取り囲むように中間膜(12,16)が配置されている。すなわち、導電性膜15の開口部3の外側の領域(以下、「開口部外側部」とも称する)20には、中間膜の材質が充填されている。ただし、本発明はかような形態に限定されるわけではなく、導電性膜15は他の部材(ガラス板、中間膜)と同様のサイズであってもよく、開口部外側部20に導電性膜15の端部が存在していてもよい。
本実施形態においては、断熱層13および交互積層体14が一体化され、導電性層15が形成されている。かような導電性膜15は、例えば、共押出法により断熱層13をフィルムとして製造し、この断熱層13を基材として交互積層体14を表面に塗工することにより作製することができ、中間膜の枚数を最小化できるため好ましい。ただし、本発明はかような形態に制限されず、断熱層13と交互積層体14との間に第3の中間膜が介在していてもよい。かような形態は、断熱層13と交互積層体14とを別々に透明基材フィルムに施工し、合わせガラス化することにより作製することができる。中間膜と導電性膜(断熱層、交互積層体)とは1枚ずつ積層させてもよいが、製造効率を高める面で、予め導電性膜を中間膜で挟んだプリプレグ状態で用いることもできる。
図3は図2に示す実施形態の合わせガラス1を構成する導電性膜15を上から見た平面図である。図2および図3に示されるように、本実施形態の合わせガラス1は導電性膜15の周縁部19の少なくとも一部に可視光線反射率が前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸増するように形成された電波透過領域18を有する。
本明細書において、「導電性膜の周縁部」とは、導電性膜を上部から投影した時の周囲部分(導電性膜の外周部分)のうち、ガラス開口部3よりも内側に相当する領域(すなわち、図3の領域19)を意味する。すなわち、図1〜3に示す実施形態のように、導電性膜15がガラス開口部3よりも内側に配置される場合には、導電性膜の周囲部分がそのまま導電性膜周縁部となる。一方、導電性膜15の端部がガラス開口部3よりも外側の周囲部分(開口部外側部)20にも存在する場合には、導電性膜の周囲部分のうち開口部外側部20を除いた領域が導電性膜周縁部となる。
なお、当該形態における開口部外側部20の構成については特に制限されず、本形態のように中間膜(12,16)から構成されていてもよいし、開口部外側部20の一部または全てに電波透過領域18を設けてもよいし、開口部外側部20の一部または全てが断熱層13および交互積層体14から構成されていてもよい。この開口部外側部は、ガラスの取り付け部として使用される領域であり、ガラスとしての可視光透過性や電波透過性を発揮しない部位である。このため、本発明において、導電性膜の周縁部19は開口部外側部20を含まないものとして定義される。
導電性膜の周縁部19における電波透過領域18の配置は、要求される電波透過性や可視光線透過性(可視光線反射性)を考慮し、適用される部位に応じて決定すればよい。電波透過領域は可視光線の反射率が高いため、高い可視光線透過性が要求される領域には設けることができない。すなわち、本形態では、可視光線透過性について妥協できる周縁部部分に電波透過領域を設けることにより、可視光線透過性と電波透過性との両立が図られる。
具体的には、自動車のウィンドウシールド用合わせガラス1を構成する導電性膜15では、開口部3内側領域の上端側に電波透過性領域を設けることが好ましい。例えば、図3に示す形態においては、導電性膜15の開口部3上端から開口部3下端に向かって長さが20%である領域(図3の斜線部)に電波透過領域が設けられている。
すなわち、本発明の一実施形態において、電波透過領域は前記導電性膜の少なくとも一方の端辺から20%の範囲に設けられる。これによれば、JIS R3212に規定された評価領域Bから除外される部分に電波透過領域を設けることができる。したがって、中央部であるJIS R3212に規定された評価領域Bにおいて、可視光線反射率を低く抑えて可視光線の透過性を十分に確保し、自動車のウィンドウシールドに要求される特性を満足させることができる。そして、可視光線の透過性が要求されない、JIS R3212による評価領域Bから除外される部分に可視光線の透過性が小さい電波透過領域18が設けられ、この領域において電波を透過させることにより、合わせガラスに求められる電波透過性を付与することが可能となる。なお、「導電性膜の少なくとも一方の端辺」とは、導電性膜15の開口部3における端辺の少なくとも一つを意味する。「端辺から20%の範囲」とは、一方の端辺から対向する他方の端辺までの長さの20%に相当する領域を意味する。
合わせガラス10の用途は上記自動車のフロントウィンドウガラスに限定されるわけではなく、自動車のサイドウィンドウガラスやリアウィンドウガラス、さらには、自動車以外の鉄道車両、航空機、船舶、建築物等の窓ガラスにも好適に使用できる。
図4は、本発明の他の実施形態に係る合わせガラスを構成する導電性膜の平面図である。図4に示すように、例えば、建築物に使用される平板状の合わせガラスに使用される導電性膜15においては、周縁部19全体に電波透過領域18を設けることが好ましい。かような形態によれば、ガラス面の全周囲に電波透過領域18が設けられるため、電波透過性の場所による依存性を低減することができる。
以下、本実施形態の合わせガラスを構成する部材について、詳細に説明する。
(導電性膜)
導電性膜15は、導電性を有する、すなわち、電気抵抗が低いことにより、赤外光の反射率が高く、室外からの熱線を遮断する熱線遮断層として機能する。赤外光は熱的作用が大きく、物質に吸収されると熱として放出され温度上昇をもたらす。このことから熱線とも呼ばれ、これらの光線を遮蔽することにより、室内の温度上昇を効果的に抑制することができる。好ましくは、導電性膜15が近赤外光(波長域750nm〜1200nm)を少なくとも半値幅100nm以上の領域で反射することが望ましい。これにより、一層の断熱効果を発現できることとなる。ここで「半値幅」とは反射スペクトルにおける反射ピークの根元(ベースライン)から頂点(ピークトップ)までの値(ピーク高さ)の半値になる部分を結んだ半値全幅(full width at half maximum;FWHM)である。また、「半値幅100nm以上の領域」とは反射ピークの半値幅が100nm以上である波長範囲を指す。すなわち、反射スペクトルの波長域750nm〜1200nmの範囲内に、半値幅が100nm以上である反射ピークを有することを意味する。当該反射ピークは、ピークトップが波長域750nm〜1200nmの範囲内に存在する必要があるが、ピークの根元が波長域750nm〜1200nmの範囲外であってもよい。以下、反射ピークの半値幅に相当する波長域を「反射領域」ともいう。すなわち、本発明の一実施形態では、導電性膜15の反射スペクトルが、波長域750nm〜1200nmにおいて100nm以上の反射領域を有する、ともいえる。
より好ましくは、導電性膜15は、反射スペクトルの750nm〜1200nmにおける、半値幅が100nm以上である反射ピークの反射強度が70%以上であり、特に80%以上である。これにより、近赤外線の透過を著しく減少でき、一層の断熱効果を発現することが可能となる。ここで、反射ピークの反射強度は、反射領域(半値幅領域)における平均反射率を意味し、反射スペクトルの反射領域における積分値から算出することができる。
本形態では、導電性膜15の周縁部19の少なくとも一部に電波透過領域18が設けられる。一般に、電気抵抗が低いほど、電波反射性能も高くなるため、導電性膜15の周縁部19の一部に導電性が小さい(電気抵抗が高い)領域を設け、当該領域を電波透過領域18として機能させることができる。
本明細書において、「電波透過領域」とは、アドバンテスト法により測定される電磁波遮蔽率SEが10dB未満である領域を意味する。電波遮蔽率SEは、下記式のように発信信号Xと受信信号XとのSN比で表され、一般的にSE<10dBのとき電波遮蔽効果がない、すなわち、電波透過性を有するとされる。
かような電波透過領域を有することにより、電波の透過性を十分に確保することができ、合わせガラスで隔てられた室内においても電波による通信システムを活用することが可能となる。
さらに、本形態において、当該電波透過領域18は、可視光反射率が導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸増するように形成されていることを特徴とする。「可視光線反射率が漸増する」とは、可視光線反射率が連続的にまたは段階的に増加することを意味する。この際、「段階的に増加」とは、少なくとも2段階で増加していることを指す。また、電波透過領域の一部に、可視光線反射率が変化しない領域があってもよい。
かような構成とすることによって、電波透過領域において良好な電波透過性を確保することができ、合わせガラスに中心部の可視光線透過性を確保しつつ電波透過性および熱線反射性を付与することが可能となる。そして、電波透過領域において可視光線反射率を徐々に変化させることによって、電波透過領域の境界における像ゆがみや白濁が抑制され、視界快適性を向上させることができる。
なお、本形態において、導電性膜15の開口部3より内側の電波透過領域であって、電波透過領域18が設けられていない領域22(以下、「中央部」とも称する)の可視光透過率は70%以上であることが好ましい。特に、自動車用ウィンドウシールド用の合わせガラスにおいては、保安基準で決められているTvis(可視光透過率)が70%以上であることが重要である。一方、断熱性についてはTts(日射熱取得率)という指標で示されており、省エネ面から低いほうが好ましい。特に、Tvis≧70%、Tts≦45%の場合に、省エネ効果が著しく向上する。
図5は、本発明の一実施形態に係る合わせガラスを構成する導電性膜の模式断面図であり、図4に示す導電性膜を平面V−Vで切断した際の断面図に相当する。図5に示すように、本実施形態の導電性膜15は、屈折率が互いに異なる複数の誘電体膜(131,132)が積層されてなる断熱層13と誘電体膜141と金属膜142とを交互に積層してなる交互積層体14とから構成される。そして、導電性膜15の周縁部19に、交互積層体14の一部がパターニングされたパターニング領域143が設けられることにより可視光反射率が中心部から周縁部に向かって漸増した電波透過領域18が形成されている。
(交互積層体)
図5に示すように、導電性膜15は誘電体膜141と金属膜142とを交互に積層してなる交互積層体14を含んで構成されることが好ましい。かような交互積層体は金属膜のプラズモン共鳴によって、熱線(特に赤外線)を回折、反射することで、優れた熱線遮断機能を果たし、高い断熱性能を有する。
通常の金属は、プラズマ振動数より小さい振動数すなわち長波長側の電磁波を全反射し、可視光線や近赤外線を反射して金属光沢を有する。しかし、金属膜が誘電体膜で挟持されてなる交互積層体では、誘電体膜と金属膜との界面で金属のバンドギャップのエネルギーが変化する。このため、金属膜と誘電体膜との界面に発生するプラズマ振動が抑制され、可視光線反射率が低下する、すなわち、可視光線透過率が向上する。
この際、積層される金属膜や誘電体膜の積層数、厚さ、屈折率を制御することにより、可視光線反射特性を制御することができる。また、金属膜の積層数や厚さを制御することにより、電波透過性を制御することができる。したがって、中心部と周縁部とで積層する金属膜や誘電体膜の積層数、厚さ、屈折率を変化させた交互積層体16を使用することにより、中心部では高い可視光透過率を実現しつつ、周縁部では電波透過性を確保することが可能となる。
図6は、交互積層体の反射スペクトルであって、交互積層体の積層数と反射特性との関係を示す図面である。具体的には、基板(HPE−50:帝人デュポンフィルム社製PETフィルム)上に、蒸着により、ITO(厚さ:30nm)、Ag(厚さ:6nm)、ITO(厚さ:60nm)の3層、ITO(厚さ:30nm)、Ag(厚さ:6nm)、ITO(厚さ:60nm)、Ag(厚さ:6nm)、ITO(厚さ:30nm)の5層、ITO(厚さ:30nm)、Ag(厚さ:6nm)、ITO(厚さ:60nm)、Ag(厚さ:6nm)、ITO(厚さ:60nm)、Ag(厚さ:6nm)、ITO(厚さ:30nm)の7層をそれぞれ形成した。そして、これらの3〜7層の交互積層体について、JISR 3106−1985に準拠し、300〜2500nmの反射スペクトルを測定した。この反射スペクトルの測定はU−4000(日立製作所製)を用いて、300〜380nmについては5nmごとに、380〜780nmについては10nmごとに、780〜800nmについては20nmごとに、800〜2500nmについては50nmごとに、0°の透過率と5°の反射率を計測した。得られた3〜7層の交互積層体の反射スペクトルを図6に示す。
図6に示されるように、誘電体膜と金属膜との交互積層体では、短波長側(400nm付近)に金属のバンドギャップに由来する反射スペクトルの立ち上がりがみられる。一方、長波長側(600〜700nm付近)には金属のプラズマ振動に由来する反射スペクトルの立ち上がりがみられる。一般に、交互積層体を構成する金属膜の積層数を増やすにつれて、反射スペクトルの形状が矩形に近づくため、可視光線反射率が小さくなり、可視光線透過性を向上させることができる。
(中央部の交互積層体の構成)
上記観点から、電波透過領域18以外の領域(中央部)22において、交互積層体は下記の構成を有することが好ましい。
中央部の交互積層体は1層以上の金属膜を備えていればよいが、十分な可視光線透過性を確保するうえで2層以上の金属膜を備えることが好ましい。交互積層体における金属膜の積層数の上限は特に制限されないが、製造コストや製造工数の面から5層以下であることが好ましく、3層以下であることがより好ましい。
中央部の交互積層体は可視光線透過性(透明性)や断熱性を確保するために、誘電体膜が交互に金属膜を挟持する形態、すなわち、誘電体膜の積層数を金属膜の積層数+1とすることが好ましい。かような場合にはn層の金属膜がn+1層の誘電体膜によって交互に挟持され、積層体の総積層数は2n+1層となる。
金属膜および誘電体膜の膜厚は、反射を抑制したい光の波長域、誘電体の屈折率、誘電体膜と金属膜との界面での位相変化に応じて、金属膜の表面で光が干渉により打ち消されるように算出すればよい。
金属膜の厚みの合計は、可視光線透過性(透明性)に影響するため、各層の厚みの合計が50nm以下であることが好ましく、30nm以下になることがより好ましい。さらに好ましくは20nm以下であり、この場合、誘電体膜に可視光線の吸収がなければ、非常に高い透明性を確保できる。金属膜の厚みの合計の下限値は特に制限されないが、製膜性の面から3nm以上であることが好ましい。
各金属膜の厚さは、特に制限されず、金属膜の厚みの合計が上記範囲となるように調整すればよい。したがって、金属膜が1層である場合には50nm以下であればよい。プラズモン現象は50nm以下の表面層で光が生じる物理現象であり、50nmを超える場合には、金属のバルクの特性が生じて、可視光線透過率が顕著に低下するおそれがある。より好ましくは、透明性を確保しつつ、熱へと変換されやすい電磁波(特に、波長1000nm以上の赤外線)を効果的に反射して熱線遮断性に優れる点で各金属膜の厚さは30nm以下である。各金属膜の厚さの下限は特に制限されないが、3nm以上であることが好ましく、均一な製膜が容易で、赤外線の反射に基づく熱線遮断性に優れる点で6nm以上であることがより好ましい。
誘電体膜の膜厚は可視光領域(特に、550nm付近)で光が反射しないように設計するため、下記式を用いた誘電体−金属層の多層膜干渉で設計すればよい。
交互積層体を構成する金属膜142の材料(金属)としては、赤外域に共鳴を持つ金属であればよく、具体的には、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銅(Cu)、もしくはニッケル(Ni)の単体、またはこれらの合金が挙げられる。合金としては特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。好ましくは、可視光領域のスペクトルが均一で着色が無い、AgもしくはAlの単体、またはこれらの合金であり、より好ましくは、耐食性の高いAgの合金(銀合金)である。銀合金としては、銀(Ag)に、アルミニウム(Al)、金(Au)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、ネオジウム(Nd)、ビスマス(Bi)などの金属を1種類以上添加したものがある。
交互積層体を構成する誘電体膜141の材質は、透明な誘電体材料であれば特に限定されないが、屈折率が1.4〜3.0であるものが好ましい。屈折率が高いほど、干渉反射によって可視光透過性がより一層向上しうる。
具体的には、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモンスズ(ATO)、スズドープ酸化亜鉛などの無機誘電体材料やポリメチル(メタ)アクリレートやポリノルボルネンアクリレートなどのアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂などが挙げられる。なお、誘電体材料は完全な絶縁体に限定されるわけではなく、ITOやATOなどのように若干の赤外線吸収性を有するものであってもよい。
中でも、金属膜と誘電体膜とを蒸着やスパッタリングなどのドライプロセスで連続的に交互積層できる点で、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモンスズ(ATO)、およびスズドープ酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。より好ましくは、屈折率が1.8以上である、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモンスズ(ATO)、スズドープ酸化亜鉛のような無機酸化物である。これらの無機酸化物は上記の膜厚設計において干渉により可視光透過性を特に向上させることができる。特に好ましくは、高屈折率である、酸化インジウムスズ(屈折率2.2〜3.0)、酸化チタン(2.3〜2.4)である。
(周縁部の交互積層体の構成)
一方、電波透過領域18が設けられる周縁部において、交互積層体は下記の構成を有することが好ましい。
周縁部は、電波透過性を有し、電波透過領域18として機能する必要がある。このため、交互積層体の開口部付近の少なくとも一部の領域を、金属膜を1層および/または膜厚(金属膜の合計厚み)15nm以下の構成とすることで電波透過性を確保するのが好ましい。金属膜を1層とすることで金属−誘電体膜界面における電波反射が複層の場合より減少する。また、金属膜の厚さを15nm以下とすることで金属内部での電波の減衰を最小限に抑えることができる。
さらに、可視光線反射率を導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸増させるために、複数の金属膜を含む中央部の領域から周縁側に向かって徐々に金属量(単位面積あたりの金属の目付量)を減少させることが好ましい。すなわち、本発明の一実施形態において、前記導電性膜は、誘電体膜と金属膜とを交互に積層してなる交互積層体を含み、前記電波透過領域において、前記金属膜の少なくとも1つにおける単位面積あたりの金属の目付量が前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸減する。
具体的には、例えば、図5に示す実施形態において、交互積層体14の周縁部の一部に中央部の領域から周縁側に向かって徐々に金属量が減少するようにパターニング領域143を設ければよい。これにより、パターニング領域143が設けられた導電性膜の周縁部の領域は、可視光反射率が中心部から周縁部に向かって漸増した電波透過領域18として機能し、急激に可視光反射率が変化することによる外観の悪さや像のひずみを防止できる。ただし、可視光線反射率を導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸増させる方法についてはかような形態に制限されるわけではなく、例えば、交互積層体の一部の領域の材質を変更して可視光線反射率を増大させてもよい。
中央側から周縁側に向かって金属量を漸減させるパターニング領域143は、図5に示す実施形態のように、第2のガラス板17側に形成することが好ましい。すなわち、本発明の一実施形態において、前記交互積層体は2〜5層の金属膜を有し、前記電波透過領域において、第1のガラス板側から数えて2〜5番目に配置される金属膜の少なくとも1つの単位面積あたりの金属の目付量が前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸減する。かような形態によれば、周縁部において電磁波入射側である第1のガラス側には金属膜が配置されるため、熱線反射性をより高めることができる。
具体的なパターニング法としては、例えば、パターニング領域において、導電性膜を構成する交互積層体の単位体積あたりの金属量を中心側から周縁側に向かって漸減させる方法が挙げられる。すなわち、本発明の一部の実施形態では、前記電波透過領域において、前記金属膜の少なくとも1つの単位体積あたりの金属量が前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸減する。
図7Aおよび図7Bは、それぞれ、本発明の一実施形態に係る合わせガラスを構成する交互積層体のパターン領域の構造を示す模式平面図および模式断面図である。また、図8Aおよび図8Bは、それぞれ、本発明の他の一実施形態に係る合わせガラスを構成する交互積層体のパターン領域の構造を示す模式平面図および模式断面図である。
これら形態では、交互積層体14の第2ガラス側のパターン領域143の金属膜が複数の柱状体144aから構成されている。すなわち、本発明の一実施形態において、前記電波透過領域は、複数の柱状体からなる金属膜を少なくとも1つ含む。
交互積層体14の一部(パターン領域143)において金属膜をこのような柱状体形状とすることで、簡単な手法により、単位体積あたりの金属量を前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸減させることができる。そして、交互積層体を構成する金属膜の金属量が低減された領域においては、可視光線反射率が増大するとともに電波透過性が向上し、電波を透過させる電波透過領域として機能しうる。
図7Aおよび図7Bに示す形態では、柱状体144aから構成される金属膜の上部および下部に配置される誘電体膜も柱状体144bから構成されている。すなわち、パターン領域143は誘電体膜(144b)−金属膜(144a)−誘電体膜(144b)からなる複数の柱状体144から構成されている。ただし、柱状体144aの上部および下部の誘電体膜の形態はかような形態に限定されるわけではなく、柱状体144aの上部および下部に誘電体膜が存在する形態であればよい。例えば、図7Cに示すように、柱状体144aから構成される金属膜の上部および下部にパターニングしていない誘電体膜141を配置してもよい。
図7A〜図7Cおよび図8A〜図8Bに示す形態では、パターン領域143において、柱状体144(144a,144b)以外の部分146は第2の中間膜16の材質が充填されている。ただし、かような形態に制限されるわけではなく、パターン領域143が設けられた領域の電波透過性が確保される構造であればよい。
より具体的には、図7A〜図7Cに示す実施形態において、電波透過領域18は、複数の柱状体144aからなる金属膜を少なくとも1つ含み、隣接する前記柱状体144aの重心間距離rが前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸増するように形成される。本実施形態においては、隣接する柱状体の水平断面積が一定に保たれているが、本発明はかような形態に制限されず、中心側から周縁側に向かって柱状体の水平断面積を小さくしてもよい。
一方、図8AおよびBに示す実施形態において、電波透過領域は、複数の柱状体144aからなる金属膜を少なくとも1つ含み、前記柱状体144aの水平断面積が前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸減するように構成される。本実施形態においては、隣接する柱状体間の重心間距離rが一定に保たれているが、本発明はかような形態に制限されず、中心側から周縁側に向かって柱状体間の重心間距離rを大きくしてもよい。
図7A〜図7Cおよび図8A〜図8Bに示す形態において、柱状体144aのサイズ、柱状体144a間の重心間距離は、電波透過領域18の可視光反射率を徐々に変化させることができる限り特に制限されず、電波透過領域のサイズや要求される熱反射性・電波透過性に応じて決定すればよい。ただし、柱状体の直径は、回折光による白濁を防止する点から380nm以上であることが好ましく、像ゆがみをより一層抑制する点で200nm以下であることがより好ましい。一方、柱状体の直径の下限は特に制限されないが、パターン製造の容易性の観点から1nm以上であることが好ましい。また、柱状体144a間の重心間距離rは、好ましくは10〜2000nmであり、より好ましくは200〜1500nmである。
図7A〜図7Cおよび図8A〜図8Bに示す形態において柱状体144aは円柱状であるが、柱状体144aの形状は特に制限されず、楕円柱状、または側面に角部を1つ以上有する円柱もしくは角柱等の柱形状としてもよい。
電波透過領域18において可視光反射率を漸増させる場合の可視光反射率の変化率(増加率)は、電波透過領域の境界における像ゆがみや白濁が抑制される限り特に制限されないが、電波透過領域18の中心側の境界部における可視光反射率が周縁側向かって線形(一次関数)的に増加させることが好ましい。
これらの柱状体144の形成方法としては、特に制限されず、従来公知の方法を使用すればよい。一例をあげると、パターン形成材を使用して誘電体膜141または金属膜142上にマスクパターンを形成し;前記マスクパターンの形成された誘電体膜141または金属膜142上に誘電体膜141および金属膜142を積層させ;前記パターンを除去する方法が挙げられる。
例えば、図7Aまたは図8Aのような柱状体144を形成する場合には、図7Dや図8Cのような、円柱状の空孔部148が複数設けられたマスクパターン149を形成すればよい。図7Dおよび図8Cは本発明の一実施形態に使用される交互積層体のパターニングに使用されるマスクパターンの形状を示す模式平面図であり、それぞれ、図7Aおよび図8Aに示す実施形態の柱状体144のパターニングに使用されるマスクパターンに相当する。
マスクパターンを除去する方法としては、積層体の製膜後に、水洗でパターン形成材を洗い流す手法が好ましく用いられる。
このため、パターン形成材としては、水溶性の塗料であることが好ましく、第1級または第2級のアミノ基を有するアミノシランやポリビニルアルコールなどが挙げられる。中でも、アミノアルコキシシランであることが好ましく、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン及びN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
図9は、本発明の他の実施形態に係る合わせガラスを構成する交互積層体の他のパターン領域の構造を示す模式断面図である。図9に示すように、本発明の一実施形態では、電波透過領域18において、前記金属膜142の厚さが前記導電性膜15の中心側から周縁側に向かって漸減する。かような形態によれば、単位面積あたりの金属の目付量を前記導電性膜15の中心側から周縁側に向かって容易に漸減させることができる。
金属層膜厚を連続的に薄くする方法については、特に制限されないが、例えば、スパッタリングの際に、サンプル幅に対し、短いターゲットを使用することで、ターゲット端部から距離が離れた部分の金属膜を薄くすることができる。なお、周縁部における金属層の膜厚の変化率は電波透過領域の境界における像ゆがみや白濁が抑制される限り特に制限されず、電波透過領域のサイズや要求される熱反射性・電波透過性に応じて決定すればよい。
周縁部の誘電体膜および金属膜としては中央部の交互積層体の構成において誘電体膜141および金属膜142の材質として例示したものを同様に好ましく使用できる。ただし、誘電体膜の材質としては、電気伝導性の小さい、酸化ニオブや酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどが好ましい。中央部および周縁部の誘電体膜および金属膜の材質は同一であっても異なっていてもよいが、可視光線反射率を徐々に変化させる点から誘電体膜および金属膜の材質が同じであることが好ましい。
(断熱層)
図5に示すように、本実施形態の導電性膜15は前記第1のガラス板11と前記交互積層体14との間に、屈折率が互いに異なる2つの誘電体膜131および132が積層されてなる断熱層13を含んで構成される。なお、図5に示す形態において、断熱層13は屈折率の異なる2種類の誘電体膜(131,132)を交互に積層させてなるが、断熱層13はかような形態に制限されるわけではなく、屈折率の異なる3種類以上の誘電体膜を使用してもよい。すなわち、本発明の一実施形態において、導電性膜は、屈折率が互いに異なる複数の誘電体膜が積層されてなる断熱層をさらに含み、前記断熱層は前記第1のガラス板と前記交互積層体との間に位置する。
なお、図5に示す形態において、2種類の誘電体膜(131,132)は合わせガラス1の膜厚方向に積層されているが、かような形態に制限されず、例えば、合わせガラス1の膜厚方向と垂直な方向に積層されてもよい。
このような断熱層は波長域750nm〜1200nmの電磁波の反射率が高い。波長域750nm〜1200nmの電磁波は物質に照射された場合に分子や原子、電子の振動エネルギーに変換されやすく、その運動エネルギーが熱に変換されるため、温度を上昇させる原因となる。このため、交互積層体14と断熱層13とを併用することにより、断熱効果をより一層向上することができる。
また、これらの波長域の反射特性に優れる断熱層を、太陽光などの電磁波の入射側である第1のガラス板と前記交互積層体との間に配置することが好ましい。これにより、断熱層の背後にある交互積層体および第2の中間膜への電磁波の入射を防止できるとともに、交互積層体16により反射した電磁波が断熱層13より再度反射して室内側へ透過することを抑制でき、その結果、室内の温度上昇を防止することが可能となる。
特に、上述した誘電体膜および金属膜からなる交互積層体17は1000nm以上の赤外光の反射特性に優れるが、800nm〜1000nmの波長領域の電磁波を透過しやすいため、交互積層体14と断熱層13とを併用することにより、断熱効果をより一層向上することができる。
断熱層13を構成する誘電体膜(131,132)の材質は、透明な誘電体材料であれば特に限定されず、交互積層体14を構成する誘電体膜において例示した無機誘電体材料や熱可塑性樹脂などの誘電体材料を使用することができる。中でも、積層フィルムの形成が容易で、コスト面で有利な、ポリメチル(メタ)アクリレートやポリノルボルネンアクリレートなどのアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂であることが好ましい。断熱層13を構成する各誘電体膜は単一の材料で構成されていても、異なる種類の材料を組み合わせた構成とされてもどちらでもよい。ただし、断熱層13を構成する複数の誘電体膜が共に熱可塑性樹脂からなることが好ましい。
断熱層を構成する誘電体膜の屈折率の差が大きく、かつ、積層数が多いほど、高反射率で連続的に電磁波を反射することができる。かような観点から、隣接する誘電体膜の屈折率差は0.05〜1であるのが好ましい。一般に、上記の熱可塑性樹脂を作製する場合、誘電体膜の屈折率差は0.1〜0.2程度である。また、積層数は、数百〜数千層、好ましくは200〜400層とすればよい。かような場合には、所望の反射率と反射領域を得ることが可能となる。
断熱層を構成する誘電体膜の膜厚はターゲットとする反射領域に応じて、ブラッグ反射の式に従って決定することができる。ブラッグ反射の式を各層について順次解いていくことで任意の波長を反射する積層膜を設計できる。
ブラッグ反射の式に従って求めた誘電体膜(131,132)の各層の厚みは、積層方向に向かって増加または減少するが、厚みが厚い方を第1ガラス板側に配置してもよいし、厚みが小さい方を第1ガラス板側に配置してもよい。
各層の厚みの合計が断熱層13の膜厚となる。ただし、所望の膜厚とするために、電磁波干渉を起こさない厚み調整層を加えることも可能である。厚み調整層は、通常、誘電体膜から形成される。
断熱層13の厚みは電磁波の反射性能を保持するために少なくとも10μm以上であることが好ましい。また、著しく厚いフィルムは合わせガラスが曲面である場合に、ガラス端部にシワがよりやすくなるので好ましくなく、かような観点から200μm以上であることが好ましい。さらに、断熱層フィルムのハンドリングの面から20〜100μm程度が良い。
誘電体膜を積層させてなる断熱層を作製する方法は特に限定されない。誘電体として、無機誘電体材料を使用する場合には、例えば、スパッタリングや蒸着、前駆体を塗布することによるゾルゲル法などを使用し、各層を順に積層させればよい。一方、誘電体として熱可塑性樹脂を使用する場合には、例えば、共押出法を使用することで、容易に数百層以上の積層フィルムを作ることが可能である。
(第1のガラス板および第2のガラス板)
第1のガラス板11および第2のガラス板17としては特に限定されず、用途に要求される光透過性能や断熱性能によって選択すればよく、無機ガラスであっても有機ガラスであってもよい。
無機ガラス板としては特に限定されるものではなく、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、熱線吸収板ガラス、着色板ガラスなどの各種無機ガラスなどが挙げられる。有機ガラスとしては、ポリカーボネート類、ポリスチレン類、ポリメチルメタクリレート類等の樹脂からなるガラス板などが挙げられる。これらの有機ガラス板は、上記樹脂からなるシート形状のものを複数積層してなる積層体であってもよい。色についても、透明ガラス板に限らず車両等に用いられる汎用の緑色、茶色、青色等の様々な色のガラス板を用いることができる。第1のガラス板11および第2のガラス板17は同一の種類のガラス板であっても異なる種類のガラス板であってもよい。
ただし、室外側に配される第1のガラス板11は可視光や赤外線を吸収しにくいものであることが望ましい。好ましくは、電磁波吸収が5%未満かつ可視光透過率が85%以上であるものであり、具体的には750nm以上の電磁波吸収が5%未満かつ380nm〜780nmの透過率が85%以上のガラスが好ましい。室外側に可視光や赤外線のような熱線を吸収するガラスを使用すると、吸収した熱の再放射により室内の温度が上昇するおそれがある。具体的には、クリアガラスなどを用いるのが好ましい。
一方、室内側に配される第2のガラス板17は特に限定されず、可視光や赤外線を吸収するものであってもよい。第2のガラス板17の車外側には導電性膜15(特に、断熱層13)が配され、これにより赤外線が遮断されるため、第2のガラス板17の赤外線吸収量を低減でき、再放射の影響が小さいためである。具体的には、クリアガラスの他、グリーンガラスなどを用いることが好ましい。中でも、紫外線吸収性能を有する点でグリーンガラスを使用するのが好ましい。
ガラス板の厚みについては特に制限はなく、用途に応じて適宜設定すればよい。通常は、ガラス板は、1.5〜2.5mmの厚みであり、例えば、輸送車両のフロントガラス(ウインドウシールド)の用途では、一般的には、2.0〜2.3mmの厚みのガラス板を用いるのが好ましい。
なお、図2に示す実施形態の合わせガラス1は2枚のガラス板(第1のガラス板11および第2のガラス板17)を含むが、本発明では、3枚以上のガラス板を含んでいてもよい。3枚以上のガラス板を含む場合にも、図2と同様に、各ガラス板の間に中間膜を介在させることにより、積層体を接着一体化し、合わせガラスとすればよい。
(中間膜)
中間膜(12,16)は、2枚以上のガラス板の間に介在し、これらを接着し一体化する機能を有する。中間膜により合わせガラスを構成する積層体が強力に接着されるため、合わせガラスに優れた耐貫通性能・耐衝撃性能・飛散防止効果を付与することができる。
中間膜としては合わせガラスの中間膜として汎用的に使用される樹脂膜であれば特に制限されず、可視光領域や赤外光領域にOH基以外の官能基に起因する吸収が無いものがよい。具体的には、中間膜は、通常、ポリビニルブチラール系樹脂(PVB系樹脂)またはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂(EVA系樹脂)から形成され、紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を適宜添加配合してもよい。これらの樹脂は単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されてもよい。
中間膜は公知の方法を用いて製造したものでもよいが、市販品を利用してもよい。市販品としては、例えば、積水化学工業社製や三菱モンサント社製の可塑化PVB、デュポン社製や武田薬品工業社製のEVA樹脂、東ソー社製の変性EVA樹脂等がある。
中間膜は上記樹脂膜の単層で構成されてもよいし、2層以上を積層された状態で用いられてもよい。また、第1の中間膜12と第2の中間膜16とは同一種類の樹脂から構成されていてもよいし、異なる種類の樹脂から構成されていてもよい。
中間膜は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモンスズ(ATO)などの熱線吸収能を有する透明導電酸化物材料の微粒子を含んでいてもよいが、これらの微粒子を含まない方が好ましい。これらの微粒子は一度熱を吸収した後、再放射により室内側に熱を放射し、結果として室内の温度の経時的上昇を招くためである。かかる観点から、これらの微粒子を分散させる場合には、室内側に配置される第2の中間膜に適用することが好ましい。第2の中間膜では、導電性膜によって熱線の大部分は遮断されるため、微粒子による再放射の影響を最小限に抑えることができるとともに、冬場の暖房効率を高めることができる。
本発明の合わせガラスを作製する方法としては特に制限されず、一般的な合わせガラスの製造方法を用いればよい。具体的には、本実施形態の合わせガラスは、ガラス板(11,17)の間に、導電性膜15および中間膜(12,16)を積層して予備接着した後に、予備接着後に残った気泡を高温高圧で圧着することにより取り除く工程により製造することができる。
上述した導電性膜をガラス、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの透明な基材の表面に貼着し、断熱のグレージング材として使用することも可能である。しかし、かような場合には、導電性膜の表面が傷付きやすく、導電性膜の表面をハードコート層で被覆した場合であっても長期的な耐久性を満足するのは困難である。特に、これを自動車のフロントガラスなどに使用する場合には、ワイパー等の利用によって、導電性膜の剥離や傷付きが顕著となる。この他、また、基材表面に貼着する場合には、各ガラスに応じてフィルムの貼着が必要なのでバッチ式で製造する必要がある、ガラス表面の金属膜に水分が侵入してサビやすい等の問題がある。本発明の合わせガラスは、連続的な製造が可能でありコスト面で有利な他、ワイパー等が利用されるフロントウィンドウに利用する場合であっても剥離やサビが防止され優れた耐久性を有する。
以下、本発明による効果を、実施例および比較例を用いて説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されない。
[実施例1]
1.導電性膜の作製
(1)断熱層(断熱フィルム)の作製
屈折率が1.6であるポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンナフタレート複合樹脂(樹脂1)および屈折率が1.7であるポリエチレンナフタレート(樹脂2)を共押出法により押し出し、マルチプライヤーにて交互に積層させ、断熱フィルムに成形した。この際、樹脂1と樹脂2との総積層数は300層とし、樹脂1の層および樹脂2の層のそれぞれの膜厚を積層数の増加とともに110nmから180nmまで変化させた。得られた断熱フィルムの膜厚は30μmであり、750nm〜1200nmの電磁波を90%反射する反射特性を有していた。この断熱フィルムを150mm×150mmのサイズに切断した。
(2)交互積層体の作製
上記断熱フィルム(150mm×150mm)の上に、蒸着により、ZnO(厚さ:50nm)、Ag(厚さ:6nm)、ZnO(厚さ:50nm)の3層からなる誘電体−金属交互積層体を形成した。
続いて、ガラスの開口部(ガラスの周辺から20mmの領域)に相当する部分の内側10mmの領域(図4に示す領域19)にパターン形成材としてのN−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランをグラビアコートにより塗工した。この際、マスクパターンの形状は、図7Dに示すように、直径200nmの円柱状の空孔部148が複数設けられた構造とし、この円柱状の空孔部の重心間距離rを中心側から周縁側に向かって200nmから1000nmへと段階的に増加させた。この上に、ZnO(厚さ:50nm)、Ag(厚さ:6nm)、ZnO(厚さ:50nm)の3層の誘電体−金属交互積層体を積層した後、パターン形成材を水洗することにより除去した。これにより、断熱フィルム上に、図7Aおよび図7Bに示すような、周縁部において直径200nmの円柱状体144が中心側から周縁側に向かって重心間距離200nm〜1000nmに段階的に増加した構造を有する交互積層体が形成された。
得られた導電性膜の中央部の可視光反射率(Rvis)は3.8%であり、周縁部の可視光反射率(Rvis)は6.2%であった。また、目視によってその境目は確認できなかった。各可視光反射率(Rvis)は中央部全体、または、周縁部全体における平均の可視光反射率であり、JISR 3106−1985に準拠し、U−4000(日立製作所社製)によって測定された380〜780nmの反射スペクトルから算出した。
2.合わせガラスの作製
上記で作製した導電性膜を用い、第1ガラスとしてクリアガラス(厚さ:2mm)、第1の中間膜および第2の中間膜として市販のポリビニルブチラール樹脂(厚さ:381μm(15ミル))、第2のガラスとしてグリーンガラス(厚さ:2mm)を使用し、合わせガラスを作製した。
[実施例2]
1.導電性膜の作製
(1)断熱層(断熱フィルム)の作製
実施例1と同様の手法により、断熱フィルムを作製した。
(2)交互積層体の作製
上記断熱フィルム(150mm×150mm)の上に、蒸着により、Nb(厚さ:50nm)、Ag(厚さ:8nm)、Nb(厚さ:50nm)の3層からなる誘電体−金属交互積層体を形成した。
続いて、ガラスの開口部(ガラスの周辺から20mmの領域)に相当する部分の内側10mmの領域(図4に示す領域19)にパターン形成材としてのN−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランをグラビアコートにより塗工した。この際、パターンの形状は、図8Cに示すように、重心間距離rが一定(1000nm)である円柱状の空孔部145が複数設けられた構造とし、この円柱状の空孔部145の直径を中心側から周縁側に向かって1000nmから200nmへと段階的に減少させた。この上に、Nb(厚さ:50nm)、Ag(厚さ:8nm)、Nb(厚さ:50nm)の3層の誘電体−金属交互積層体を積層した後、パターン形成材を水洗することにより除去した。これにより、断熱フィルム上に、図8Aおよび図8Bに示すような、周縁部において中心側から周縁側に向かって直径が1000nmから200nmに段階的に減少した円柱状体144が等間隔(重心間距離r=1000nm)で配置された構造を有する交互積層体が形成された。
得られた導電性膜の中央部の可視光反射率(Rvis)は4.8%であり、周縁部の可視光反射率(Rvis)は7.2%であった。また、目視によってその境目は確認できなかった。
2.合わせガラスの作製
上記で作製した導電性膜を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により、合わせガラスを作製した。
[実施例3]
1.導電性膜の作製
(1)断熱層(断熱フィルム)の作製
実施例1と同様の手法により、断熱フィルムを作製した。
(2)交互積層体の作製
上記断熱フィルム(150mm×150mm)の上に、蒸着により、Nb(厚さ:50nm)、Ag(厚さ:8nm)、Nb(厚さ:50nm)の3層からなる誘電体−金属交互積層体を形成した。
続いて、スパッタリングにより、Nb50nm、Ag8nm、Nb50nmの誘電体−金属交互積層体を積層した。この際、金属膜のスパッタリング時には、基材としての断熱フィルムの幅150mmに対して、幅100mmのターゲットを用いた。これにより、ターゲット端部から距離が離れた部分の金属膜を薄くすることができるため、ターゲット端部からの距離に応じて、ガラスの周縁部の金属膜が連続的に薄くなる誘電体−金属交互積層体が形成される。
なお、誘電体膜のスパッタリング時には、基材としての断熱フィルムの幅150mmに対して、幅100mmのターゲットを用いた。
これにより、断熱フィルム上に、図9に示すような、周縁部において金属膜の厚さが前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸減された構造を有する交互積層体が形成された。
得られた導電性膜の中央部の可視光反射率(Rvis)は5.4%であり、周縁部の可視光反射率(Rvis)は8.2%であった。また、目視によってその境目は確認できなかった。
2.合わせガラスの作製
上記で作製した導電性膜を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により、合わせガラスを作製した。
[比較例1]
1.導電性膜の作製
(1)断熱層(断熱フィルム)の作製
実施例1と同様の手法により、断熱フィルムを作製した。
(2)交互積層体の作製
上記断熱フィルム(150mm×150mm)の表面全体に、蒸着により、Nb(厚さ:50nm)、Ag(厚さ:8nm)、Nb(厚さ:50nm)、Ag(厚さ:8nm)、Nb(厚さ:50nm)の5層からなる誘電体−金属交互積層体を形成した。
2.合わせガラスの作製
上記で作製した導電性膜を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により、合わせガラスを作製した。
[比較例2]
(1)断熱層(断熱フィルム)の作製
実施例1と同様の手法により、断熱フィルムを作製した。
(2)交互積層体の作製
上記断熱フィルム(150mm×150mm)の表面全体に、蒸着により、蒸着により、Nb(厚さ:50nm)、Ag(厚さ:8nm)、Nb(厚さ:50nm)の3層からなる誘電体−金属交互積層体を形成した。
続いて、ガラスの開口部(ガラスの周辺から20mmの領域)に相当する部分の内側10mmの領域(図4に示す領域19)全体にパターン形成材としてのN−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランをグラビアコートにより塗工した。この上に、Nb(厚さ:50nm)、Ag(厚さ:8nm)、Nb(厚さ:50nm)の3層の誘電体−金属交互積層体を積層した後、パターン形成材を水洗することにより除去した。これにより、断熱フィルム上に、中央部はNb、Ag、Nb、Ag、Nbの5層構造を有し、周縁部はNb、Ag、Nbの3層構造を有誘電体−金属交互積層体が形成された。
得られた導電性膜の中央部の可視光反射率(Rvis)は6.4%であり、周縁部の可視光反射率(Rvis)は9.2%であったが、目視によって明らかな境界を確認した。
2.合わせガラスの作製
上記で作製した導電性膜を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により、合わせガラスを作製した。
[評価]
1.熱線反射性
実施例および比較例で得られた合わせガラスについて、JISR 3106−1985に準拠し、300〜2500nmの透過スペクトルおよび反射スペクトルを測定し、可視光線透過率(Tvis)、日射透過率(Tts)を算出した。この透過及び反射スペクトルの測定はU−4000(日立製作所製)を用いて、300〜380nmについては5nmごとに、380〜780nmについては10nmごとに、780〜800nmについては20nmごとに、800〜2500nmについては50nmごとに、0°の透過率と5°の反射率を計測した。
2.電波透過性
実施例および比較例で得られた合わせガラスを用いて、アドバンテスト法にて周波数1GHzにおける電波遮蔽率(SE)を測定した。
結果を表1に示す。
表1から、交互積層体の周縁部がパターニングされ、単位体積あたりの金属量が前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸減された実施例1〜3では、導電性膜の中央部の可視光反射率が小さく、周縁部の可視光反射率が大きくなっている。そして、実施例1〜3の合わせガラスでは、ガラス全体としての可視光透過性(Tvis≧70%)、電波透過性(SE<10dB)および熱線反射性(Tts≦50%)を達成することが確認された。さらに、実施例1〜3では、周縁部の金属量を徐々に変化させているため、像ゆがみや白濁のない視界快適性に優れる合わせガラスが得られることが確認された。
一方、周縁部に電波透過領域を有さない比較例1では電波透過性が悪く、また、周縁部において金属量を漸減させていない(すなわち、可視光線反射率を漸増させていない)比較例2では像ゆがみが発生し、視界快適性が悪化することが確認された。
1 合わせガラス、
2 外周部、
3 (ガラス)開口部、
11 第1のガラス板、
12 第1の中間膜、
13 断熱層、
14 交互積層体、
15 導電性膜、
16 第2の中間膜、
17 第2のガラス板、
18 電波透過領域、
19 周縁部、
20 開口部外側部、
22 中央部、
131、132、141 誘電体膜、
142 金属膜、
143 パターニング領域、
144、144a、144b 柱状体、
146 中間膜充填部、
148 空孔部、
149 マスクパターン、
r 隣接する柱状体の重心間距離。

Claims (13)

  1. 第1のガラス板、導電性膜、第2のガラス板の順に積層されてなり、
    前記導電性膜の周縁部の少なくとも一部に、可視光線反射率が前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸増するように形成された電波透過領域を有する、合わせガラス。
  2. 前記導電性膜は、誘電体膜と金属膜とを交互に積層してなる交互積層体を含み、
    前記電波透過領域において、前記金属膜の少なくとも1つにおける単位面積あたりの金属の目付量が前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸減する、請求項1に記載の合わせガラス。
  3. 前記電波透過領域において、単位体積あたりの金属量が前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸減する、請求項2に記載の合わせガラス。
  4. 前記電波透過領域は、複数の柱状体からなる金属膜を少なくとも1つ含み、
    前記柱状体の水平断面積が前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸減する、請求項3に記載の合わせガラス。
  5. 前記電波透過領域は、複数の柱状体からなる金属膜を少なくとも1つ含み、
    隣接する前記柱状体の重心間距離が前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸増する、請求項3に記載の合わせガラス。
  6. 前記電波透過領域において、前記金属膜の厚さが前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸減する、請求項〜5のいずれか1項に記載の合わせガラス。
  7. 前記電波透過領域は前記導電性膜の少なくとも一方の端辺から20%の範囲に設けられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の合わせガラス。
  8. 前記電波透過領域は前記導電性膜の周縁部全体に設けられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の合わせガラス。
  9. 前記交互積層体は2〜5層の金属膜を有し、
    前記電波透過領域において、第1のガラス板側から数えて2〜5番目に配置される金属膜の少なくとも1つの単位面積あたりの金属の目付量が前記導電性膜の中心側から周縁側に向かって漸減する、請求項〜8のいずれか1項に記載の合わせガラス。
  10. 前記金属膜がAgもしくはAlの単体またはこれらの合金からなる、請求項2〜9のいずれか1項に記載の合わせガラス。
  11. 前記交互積層体を構成する誘電体膜は、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、およびスズドープ酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項2〜10のいずれか1項に記載の合わせガラス。
  12. 前記導電性膜は、屈折率が互いに異なる複数の誘電体膜が積層されてなる断熱層をさらに含み、
    前記断熱層は前記第1のガラス板と前記交互積層体との間に位置する、請求項〜11のいずれか1項に記載の合わせガラス。
  13. 前記断熱層を構成する複数の誘電体膜が共に熱可塑性樹脂からなる、請求項12に記載の合わせガラス。
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